説明

サイドシルプロテクタ

【課題】 内部への雪だまりに起因した不具合を防止する。
【解決手段】 プロテクタ本体21を、サイドシルより側方へ延出する上部延出面22と、サイドシルの側部に配置される側面部23と、側面部23より車両中心0X方向へ延出する下部延出面24と、下部延出面24に連設され当該プロテクタ本体21の長さ方向全域に渡って延在する連設面25と、両端部に設けられた端部閉鎖面26とによって一体形成する。側面部23にクリップ台座を設け、クリップ台座のクリップをサイドシルに係止する。連設面25と下部延出面24間にヒンジ部41を形成し、連設面25の先端をサイドシル3の下面42に当接又は近接させて車両中心0X側への開口部分を閉鎖する。連設面25の下面固定部51をボルトによってサイドシル下面に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側部のサイドシルに沿って配設されるサイドシルプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両側部の下縁には、サイドシルが車両前後方向に延設されており、このサイドシルの下端フランジ部を隠すように、サイドシルとサイドステップとの間にサイドシルロアプロテクタを設ける構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、図5に示すように、前記サイドシル101の側部を覆いデザイン性を向上するサイドシルプロテクタ102が知られている。
【0004】
このサイドシルプロテクタ102は、図6及び図7に示すように、取付状態にてサイドシル101より側方へ延出する上部延出面111と、該上部延出面111より下方に延出してサイドシル101の側部に配置される側面部112と、該側面部112の下縁より車両中心0X方向へ向けて延出する下部延出面113とよってコ字状に形成されている。前記側面部112の上部には、クリップ台座114が設けられており(図7参照)、該クリップ台座114には、クリップ115が設けられている。このクリップ115は、前記サイドシル101に設けられた取付穴116に係止されている。
【0005】
また、前記下部延出面113には、図6に示したように、クランク状に形成されたブラケット121が固定されており、該ブラケット121の先端には、ボルト穴122が形成されている。これにより、前記各ブラケット121の先端部を前記サイドシル101の下面に面接し、前記ボルト穴122に挿通したボルトを前記サイドシル101に固定することによって、当該サイドシルプロテクタ102を前記サイドシル101に沿って取り付けられるように構成されている。
【特許文献1】特開平6−321140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなサイドシルプロテクタ102にあっては、車両中心0X側へ向けて開口する構造上、冬季走行時に、この開口部131から雪などが進入し内部で凍結することがある。すると、凍結した固まりが車両走行時や車両停止時にサイドシルプロテクタ102内を移動して移動音が発生したり、凍結した固まりの重量によって当該サイドシルプロテクタ102が脱落する恐れがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、内部への雪だまりに起因した不具合を未然に防止することができるサイドシルプロテクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明のサイドシルプロテクタにあっては、プロテクタ本体が車両側部に設けられたサイドシルに沿って取り付けられるサイドシルプロテクタにおいて、前記プロテクタ本体を、前記サイドシルに固定され該サイドシル側部に沿って配置される側面部と、該側面部の下縁より車両中心側に延出した延出面と、該延出面に連設され当該プロテクタ本体の長さ方向全域に渡って延在する連設面とにより構成し、該連設面と前記延出面との間に薄肉のヒンジ部を形成し、前記連設面を前記延出面に対して折り曲げて当該連設面の先端を前記サイドシルの下面に当接又は近接させ車両中心側への開口を閉鎖した閉鎖状態を形成するとともに、前記連設面に、前記サイドシルの下面に沿って配置される下面固定部を設け、該下面固定部に前記サイドシルの下面に固定される固定点を設定した。
【0009】
すなわち、プロテクタ本体は、サイドシル側部に沿って配置される側面部が当該サイドシルに固定される。このとき、前記側面部の下縁からは、車両中心側へ向けて延出面が延出しており、サイドシルの下部には、車両中心側へ開口した開口部が形成される。
【0010】
しかし、前記延出面には、当該プロテクタ本体の長さ方向全域に渡って延在する連設面が連設されており、この連設面は、ヒンジ部を中心に折り曲げられ、その先端が前記サイドシルの下面に当接又は近接させることにより、車両中心側への開口部分を閉鎖した閉鎖状態を形成することができる。
【0011】
そして、当該連設面は、前記サイドシルの下面に沿って配置される下面固定部が、前記サイドシルの下面に固定される。これにより、前記閉鎖状態が維持される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明のサイドシルプロテクタにあっては、サイドシル側部に沿って配置される側面部及び該側面部の下縁より延出する延出面によって形成された車両中心側へ向けた開口部を、前記延出面に連設された連設面によって閉鎖することができる。これにより、冬季走行時に、雪などを巻き上げることがあっても、サイドシルプロテクタ内部への雪だまりを防止することができる。
【0013】
したがって、開口部より内部に進入した雪が凍結して固まりと成り得る従来と比較して、走行時での異音の発生や、重量増による脱落を確実に防止することができる。
【0014】
そして、前記延出面と前記連設面との間に薄肉のヒンジ部を形成することで、前記連設面に対する前記延出面の延出方向を、成型時と使用時とで異なる方向に設定することができる。これにより、成型時には前記延出面と前記連設面と前記連設面とによって形成される開口部分を型抜き方向に設定することで、使用時に前記サイドシルと共に閉断面構造を形成する側面部及び延出面並びに連設面を、スライド型を用いること無く、一体形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1及び図2は、本実施の形態にかかるサイドシルプロテクタ1を示す図であり、該サイドシルプロテクタ1は、車両2に設けられたサイドシル3に沿って取り付けられ、該サイドシル3を保護するものである。
【0016】
すなわち、車両2側部の下縁には、図3及び図4に示すように、サイドシルアウタ11によって形成された前記サイドシル3が車両前後方向に延設されており、このサイドシル3の側部に前記サイドシルプロテクタ1が取り付けられるように構成されている。
【0017】
このサイドシルプロテクタ1のプロテクタ本体21は、取付状態においてサイドシル3より側方へ延出する上部延出面22と、該上部延出面22より下方に延出してサイドシル3の側部に配置される側面部23と、該側面部23の下縁より車両中心0X方向へ向けて延出する下部延出面24と、該下部延出面24に連設され当該プロテクタ本体21の長さ方向全域に渡って延在する連設面25と、前記上部延出面22及び前記側面部23並びに前記下部延出面24の両端部に連設された端部閉鎖面26,26とによって構成されており(図1及び図2参照)、前記上部延出面22と前記側面部23と前記下部延出面24と前記連設面25と前記端部閉鎖面26,26とは、金型によって一体形成されている。
【0018】
前記側面部23の上部には、図4に示したように、クリップ台座31が複数箇所に設けられており、該クリップ台座31には、クリップ32が設けられている。このクリップ32は、前記サイドシル3に設けられた取付穴33に係止され固定されるように構成されている。
【0019】
前記連設面25と前記下部延出面24との間には、薄肉のヒンジ部41が長さ方向の全域に渡って形成されており、前記連設面25を前記下部延出面24に対して折り曲げて当該連設面25の先端を前記サイドシル3の下面42に当接又は近接させ車両中心0X側への開口部分を閉鎖した閉鎖状態43を形成できるように構成されている。
【0020】
この連設面25には、図2及び図3に示したように、前記サイドシル3の下面42に沿って配置される下面固定部51が突設されており、該下面固定部51には、円形のボルト穴52が開設されている。これにより、このボルト穴52に挿通したボルト53を前記サイドシル3の下面42に設けられたウエルドナット54に締結することで、前記各下面固定部51,・・・を、前記サイドシル3の下面42に固定できるように構成されている。なお、前記下面固定部51は、前記プロテクタ本体21と別部材で構成しても良い。
【0021】
以上の構成にかかる本実施の形態において、プロテクタ本体21は、サイドシル3側部に沿って配置される側面部23がクリップ32によって前記サイドシル3に固定される。このとき、前記側面部23の下縁からは、車両中心0X側へ向けて下部延出面24が延出しており、前記サイドシル3の下部には、車両中心0X側へ開口した開口部が形成される。
【0022】
しかし、前記下部延出面24には、当該プロテクタ本体21の長さ方向全域に渡って延在する連設面25が連設されており、この連設面25は、ヒンジ部41を中心に折り曲げられ、その先端が前記サイドシル3の下面42に当接又は近接させることにより、車両中心0X側への開口部分を閉鎖した閉鎖状態を形成することができる。このとき、当該連設面25は、前記サイドシル3の下面42に沿って配置される下面固定部51が、前記サイドシル3の下面42に固定される。これにより、前記閉鎖状態43が維持される。
【0023】
このように、サイドシル3側部に沿って配置される側面部23及び該側面部23の下縁より延出する下部延出面24によって形成された車両中心0X側へ向けた開口部分を、前記下部延出面24に連設された連設面25によって閉鎖することができる。これにより、冬季走行時に、雪などを巻き上げることがあっても、サイドシルプロテクタ1内部への雪だまりを防止することができる。
【0024】
したがって、開口部分よりサイドシルプロテクタ内部に進入した雪が凍結して固まりと成り得る従来と比較して、走行時での異音の発生や、重量増による脱落を確実に防止することができる。
【0025】
そして、前記下部延出面24と前記連設面25との間に薄肉のヒンジ部41を形成することで、前記連設面25に対する前記下部延出面24の延出方向を、成型時と使用時とで異なる方向に設定することができる。これにより、成型時には、図3中破線で示したように、前記上部延出面22と前記側面部23と前記下部延出面24と前記連設面25との開口方向が型抜き方向に設定された開放状態61を形成することで、スライド型を用いること無く、前記各面を一体形成することができる。また、使用時には、前記閉鎖状態43を形成することによって、前記サイドシル3と共に閉断面構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態のサイドシルプロテクタを示す斜視図である。
【図3】図1のA−A断面に相当する図である。
【図4】図1のB−B断面に相当する図である。
【図5】従来例を示す図である。
【図6】同従来例のサイドシルプロテクタを示す斜視図である。
【図7】図5のC−C断面に相当する図である。
【符号の説明】
【0027】
1 サイドシルプロテクタ
2 車両
3 サイドシル
21 プロテクタ本体
23 側面部
24 下部延出面
25 連設面
41 ヒンジ部
43 閉鎖状態
51 下面固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクタ本体が車両側部に設けられたサイドシルに沿って取り付けられるサイドシルプロテクタにおいて、
前記プロテクタ本体を、前記サイドシルに固定され該サイドシル側部に沿って配置される側面部と、該側面部の下縁より車両中心側に延出した延出面と、該延出面に連設され当該プロテクタ本体の長さ方向全域に渡って延在する連設面とにより構成し、
該連設面と前記延出面との間に薄肉のヒンジ部を形成し、前記連設面を前記延出面に対して折り曲げて当該連設面の先端を前記サイドシルの下面に当接又は近接させ車両中心側への開口を閉鎖した閉鎖状態を形成するとともに、
前記連設面に、前記サイドシルの下面に沿って配置される下面固定部を設け、該下面固定部に前記サイドシルの下面に固定される固定点を設定したことを特徴とするサイドシルプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−82730(P2006−82730A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270623(P2004−270623)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)
【Fターム(参考)】