説明

サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブ、並びにサスペンション用基板の製造方法

【課題】電気特性を向上させると共に容易に製造することができるサスペンション用基板を提供する。
【解決手段】サスペンション用基板は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた複数の配線とを備えている。このうち一の配線が、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部22a、22bとを有している。バネ性材料層11は、本体用バネ性材料部40と、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画された配線用バネ性材料部41とを有している。絶縁層10には、絶縁層10を貫通する導電接続部34が設けられている。この一の配線の各分割配線部22a、22bは、導電接続部34を介して、配線用バネ性材料部41に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブ、並びにサスペンション用基板の製造方法に係り、とりわけ、電気特性を向上させると共に容易に製造することができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブ、並びにサスペンション用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)は、データが記憶されるディスクに対してデータの書き込みおよび読み取りを行う磁気ヘッドスライダが実装されたサスペンション用基板を備えている。このサスペンション用基板は、バネ性金属層と、バネ性金属層に絶縁層を介して積層された複数(例えば、4本〜6本)の配線とを備えており、各配線に電気信号を流すことにより、ディスクに対してデータの書き込みまたは読み取りを行うようになっている。
【0003】
近年、伝送線路を高速化し、情報処理量を増大させるとともに処理スピードを向上させることが要求されている。このためには、インピーダンスなどの基板の電気特性を向上させることが必要となる。
【0004】
ここで、インピーダンスを低減するためには、例えば、一対の差動配線の間隔を狭くすることが有効である。しかしながら、この場合、差動配線間がショート(短絡)する可能性が高まるという問題がある。
【0005】
この問題に対処するために、種々のサスペンション用基板が知られている(例えば、特許文献1乃至6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−287280号公報
【特許文献2】特開2004−133988号公報
【特許文献3】特開2009−26909号公報
【特許文献4】特開2004−363281号公報
【特許文献5】特開2003−308668号公報
【特許文献6】米国特許第5,717,547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このうち、特許文献1には、伝送線の伝送損失を低減したり、ノイズの発生を抑制するために、伝送線配線と重なる金属層の部分に孔(マイクロウィンドウ)が設けられたサスペンション用基板が開示されている。しかしながら、このように、金属層に孔を設けるだけでは、伝送損失を低減することに限界がある。
【0008】
特許文献2においては、導体間のクロストークノイズを低減するために、第1の書込用導体と、第1の読取用導体および第2の読取用導体までの距離が互いに同等となると共に、第2の書込用導体と、第1の読取用導体および第2の読取用導体までの距離が互いに同等となるようなサスペンション用基板が開示されている。
【0009】
また、特許文献3においては、第1の書込用配線パターンと第1の読取用配線パターンが所定の間隔で配置され、これらの配線パターン上に絶縁層を介して第2の書込用配線パターンと第2の読取用配線パターンが設けられ、導体間のクロストークノイズの発生を防止するサスペンション用基板が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献2および3のサスペンション用基板においては、導体(配線パターン)が多層構造となっている。このため、製造工程が煩雑になり、コストがかかるという問題がある。
【0011】
特許文献4においては、ノイズを低減するために、導体がシールド層により覆われたサスペンション用基板が開示されている。しかしながら、この場合、導体上にシールド層を形成しなければならず、製造工程が煩雑になる。
【0012】
また、特許文献5においては、低インピーダンス化を図るために、所定の導体下のポリイミド層の厚みを低減させることが行われている。しかしながら、この場合においても、ポリイミド層の厚みを部分的に変えることが必要となり、製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0013】
さらに、特許文献6においては、一対の配線の各々が、インピーダンスを低減するために、ブリッジ部分によって2つの配線部分に分岐されて、一方の配線の配線部分と他方の配線の配線部分とが交互に配置されるようになっている。しかしながら、この場合、2つの配線部分は、ブリッジ部によって、他方の配線を跨ぐように連結されているが、通常、このような配線は多層構造となり、製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0014】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、電気特性を向上させると共に容易に製造することができるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板において、絶縁層と、絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有し、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0016】
本発明は、当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0017】
本発明は、当該一の配線と他の一の配線とは、一対の書込用配線を構成し、当該他の一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有しており、当該一の配線の分割配線部と、当該他の一の配線の分割配線部とは、交互に配置されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0018】
本発明は、当該他の一の配線は、各分割配線部に接続されると共に、テール部に延びるテール側配線部を更に有しており、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する他の導電接続部が更に設けられ、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された他の配線用バネ性材料部を更に有しており、当該他の一の配線の各分割配線部は、当該他の導電接続部を介して、当該他の配線用バネ性材料部に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0019】
本発明は、当該他の配線用バネ性材料部は、当該他の一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0020】
本発明は、当該一の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線を構成すると共に、複数の配線のうちの2つの配線は、互いに隣接する一対の書込用配線を構成しており、当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線の両側方にそれぞれ配置されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0021】
本発明は、複数の配線のうちの他の2つの配線は、互いに隣接する一対の読取用配線を構成しており、当該一の配線のヘッド側配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0022】
本発明は、複数の配線のうちの他の2つの配線は、互いに隣接する一対の読取用配線を構成しており、当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線および一対の読取用配線の両側方にそれぞれ配置されることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0023】
本発明は、当該一の配線は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在された他の分割配線部を更に有していることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0024】
本発明は、当該一の配線のヘッド側配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0025】
本発明は、絶縁層に、配線を覆う保護層が設けられ、保護層は、導電接続部を外方へ露出する開口部を有していることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0026】
本発明は、導電接続部は、ニッケルからなることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0027】
本発明は、当該一の配線は、実装されるスライダの接地をとるための接地配線を構成すると共に、複数の配線のうちの2つの配線は、互いに隣接する一対の書込用配線を構成しており、当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線の両側方にそれぞれ配置されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0028】
本発明は、スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板であって、ヘッド部とテール部との間において両側方に配置される一対のアクチュエータ素子が実装されるサスペンション用基板において、絶縁層と、絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、一の配線は、テール部から延びるテール側配線部と、テール側配線部から分岐する2つの分割配線部とを有し、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、当該一の配線は、実装されるアクチュエータ素子に電源を供給する素子配線を構成していることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0029】
本発明は、当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の2つの分割配線部を導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0030】
本発明は、複数の配線のうち他の配線は、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、当該一の配線の2つの分割配線部は、それらの間に一対の書込用配線および一対の読取用配線を介在させて、対応するアクチュエータ素子に接続されることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0031】
本発明は、複数の配線のうちの他の配線は、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、当該一の配線の一方の分割配線部は、テール部側に配置されたテール側分割配線部と、アクチュエータ素子側に配置された素子側分割配線部とを有し、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料部よりヘッド部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、当該一方の分割配線部のテール側分割配線部と、素子側分割配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、当該一方の分割配線部のテール側分割配線部は、一対の書込用配線と一対の読取用配線との間に介在され、当該一方の分割配線部の素子側分割配線部と他方の分割配線部は、それらの間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線を介在させて、対応するアクチュエータ素子に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0032】
本発明は、第2の配線用バネ性材料部は、当該一方の分割配線部のテール側分割配線部と素子側分割配線部とを導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0033】
本発明は、複数の配線のうちの他の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線と、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、電源配線は、ヘッド部から延びるヘッド側電源配線部と、ヘッド側電源配線部からテール部に延びるテール側電源配線部とを有し、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料部よりテール部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、電源配線のヘッド側電源配線部と、テール側電源配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、電源配線のヘッド側電源配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在され、素子配線を構成する当該一の配線のテール側配線部と電源配線のテール側電源配線部との間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線が介在されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0034】
本発明は、第2の配線用バネ性材料部は、電源配線のヘッド側電源配線部とテール側電源配線部とを導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0035】
本発明は、複数の配線のうちの他の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線と、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、電源配線は、ヘッド部から延びるヘッド側電源配線部と、ヘッド側電源配線部から分岐する2つの分割電源配線部とを有し、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料層よりテール部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、電源配線の各分割電源配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、電源配線のヘッド側電源配線部および一方の分割電源配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在され、素子配線を構成する当該一の配線のテール側配線部と、電源配線の他方の分割電源配線部との間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線が介在されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0036】
本発明は、第2の配線用バネ性材料部は、電源配線の2つの分割電源配線部を導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0037】
本発明は、電源配線は、各分割配線部に接続され、テール部に延びるテール側電源配線部を更に有しており、絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第3の導電接続部が更に設けられ、バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、第2の配線用材料部よりテール部側に配置された第3の配線用バネ性材料部を更に有しており、電源配線の各分割配線部は、第3の導電接続部を介して、第3の配線用バネ性材料部に接続されていることを特徴とするサスペンション用基板である。
【0038】
本発明は、第3の配線用バネ性材料部は、電源配線の複数の分割電源配線部を導通接続することを特徴とするサスペンション用基板である。
【0039】
本発明は、上述したサスペンション用基板を有することを特徴とするサスペンションである。
【0040】
本発明は、上述したサスペンションと、このサスペンションに実装されたスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションである。
【0041】
本発明は、上述したヘッド付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブである。
【0042】
本発明は、スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板の製造方法において、絶縁層と、絶縁層の一方の面に設けられた導電性を有するバネ性材料層と、絶縁層の他方の面に設けられた配線材料層とを有する積層体を準備する工程と、一の配線が、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有するように、配線材料層から複数の配線を形成すると共に、各分割配線部に配線貫通孔を形成する工程と、絶縁層に、絶縁貫通孔を形成する工程と、配線貫通孔および絶縁貫通孔に、導電接続部を形成する工程と、バネ性材料層に溝を形成して、バネ性材料層を、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部から溝を介して区画される配線用バネ性材料部とに分離する工程と、を備え、当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0043】
本発明は、複数の配線を形成すると共に分割配線部に配線貫通孔を形成する工程と、絶縁貫通孔を形成する工程との間に、絶縁層に、配線を覆う保護層であって、分割配線部の配線貫通孔に対応する位置に開口部を有する保護層が形成され、導電接続部は、外方へ露出することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0044】
本発明は、導電接続部は、ニッケルめっきにより形成されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0045】
本発明は、スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板の製造方法において、バネ性材料層を準備する工程と、バネ性材料層に、絶縁貫通孔を有する絶縁層を形成する工程と、絶縁層に、一の配線が、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有するように、複数の配線を形成すると共に、絶縁貫通孔に導電接続部を形成する工程と、バネ性材料層に溝を形成して、バネ性材料層を、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部から溝を介して区画される配線用バネ性材料部とに分離する工程と、を備え、当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、電気特性を向上させると共に、製造コストを大幅に増加させることなく、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図2】図2は、図1のP部詳細図。
【図3】図3は、図2の背面図。
【図4】図4は、図2のA−A線断面図。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンションの一例を示す平面図。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態におけるヘッド付サスペンションの一例を示す平面図。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態におけるハードディスクドライブの一例を示す斜視図。
【図8】図8(a)〜(g)は、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法を示す図。
【図9】図9(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法を示す図。
【図10】図10(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法の変形例を示す図。
【図11】図11は、本発明の第1の実施の形態における変形例を示す図。
【図12】図12(a)〜(g)は、本発明の第2の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法を示す図。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図14】図14は、図13のQ部詳細図。
【図15】図15は、図14のB−B線断面図。
【図16】図16は、本発明の第3の実施の形態において、マイクロウィンドウの一例を示す図。
【図17】図17は、本発明の第3の実施の形態における変形例を示す図。
【図18】図18は、本発明の第4の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図19】図19は、図18のR部詳細図。
【図20】図20は、本発明の第5の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図21】図21は、図20のR部詳細図。
【図22】図22は、図21のC−C線断面図。
【図23】図23は、本発明の第5の実施の形態におけるサスペンションの一例を示す図。
【図24】図24は、本発明の第6の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図25】図25(a)は、図24のS1部詳細図、図25(b)は、図24のS2部詳細図。
【図26】図26は、図25(a)のD−D線断面図。
【図27】図27は、本発明の第7の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図28】図28は、図27のT部詳細図。
【図29】図29は、図28のE−E線断面図。
【図30】図30は、本発明の第8の実施の形態におけるサスペンション用基板の一例を示す平面図。
【図31】図31(a)は、図30のU1部詳細図、図31(b)は、図30のU2部詳細図。
【図32】図32(a)は、図31(a)のF−F線断面図、図32(b)は、図31(b)のG−G線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の実施の形態
図1乃至図11を用いて、本発明の第1の実施の形態におけるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブについて説明する。
【0049】
図1に示すように、サスペンション用基板1は、後述するスライダ72(図6参照)が実装されるヘッド部2から図示しない外部接続基板が接続されるテール部3に延びるように形成されている。
【0050】
図1および図4に示すように、サスペンション用基板1は、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層(金属支持基板)11と、絶縁層10の他方の面に設けられた複数(例えば、4つ)の配線12とを備えている。これら4つの配線12のうち2つの配線12が、互いに隣接する一対の書込用配線15(第1書込用配線20および第2書込用配線25)を構成すると共に、他の2つの配線12が、互いに隣接する一対の読取用配線16を構成している。
【0051】
図1および図2に示すように、第1書込用配線(一の配線)20は、ヘッド部2から延びる第1ヘッド側配線部21と、この第1ヘッド側配線部21から分岐する複数(例えば、2つ)の第1分割配線部22a、22bとを有している。このうち、第1ヘッド側配線部21は、絶縁層10の配線12側の面上において、一方の第1分割配線部22aのヘッド側端部に接続されている。各第1分割配線部22a、22bのヘッド側端部には、後述するヘッド側導電接続部34を形成するためのヘッド側配線貫通孔30が設けられている(図4参照)。また、第1書込用配線20は、テール部3に延びる第1テール側配線部23を更に有しており、各第1分割配線部22a、22bは、絶縁層10の配線12側の面上において、第1テール側配線部23に接続されている。
【0052】
また、第2書込用配線(他の配線)25は、ヘッド部2から延びる第2ヘッド側配線部26と、この第2ヘッド側配線部26から分岐する2つの第2分割配線部27a、27bとを有している。各第2分割配線部27a、27bは、第1書込用配線20のテール側分岐部分と同様にして、絶縁層10の配線12側の面上において、第2ヘッド側配線部26に接続されている。また、第2書込用配線25は、テール部3に延びる第2テール側配線部28を更に有しており、各第2分割配線部27a、27bは、第2テール側配線部28から分岐するようになっている。ここで、第2テール側配線部28は、絶縁層10の配線12側の面上において、一方の第2分割配線部27bのテール側端部に接続されている。
各第2分割配線部27a、27bのテール側端部には、後述するテール側導電接続部35を形成するためのテール側配線貫通孔31が設けられている(図4参照)。
【0053】
このような第1書込用配線20の各第1分割配線部22a、22bと、第2書込用配線25の各第2分割配線部27a、27bとは、交互に配置されている。すなわち、2つの第1分割配線部22a、22bの間に、一方の第2分割配線部27aが介在されており、2つの第2分割配線部27a、27bの間に、一方の第1分割配線部22bが介在されている。
【0054】
図1および図4に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通するヘッド側絶縁貫通孔32およびテール側絶縁貫通孔33が設けられている。このうちヘッド側絶縁貫通孔32は、第1書込用配線20のヘッド側分岐部分に対応する位置(すなわち、ヘッド側配線貫通孔30に対応する位置)に設けられている。テール側絶縁貫通孔33は、第2書込用配線25のテール側分岐部分に対応する位置(すなわち、テール側配線貫通孔31に対応する位置)に設けられている。
【0055】
ヘッド側絶縁貫通孔32およびヘッド側配線貫通孔30に、ヘッド側導電接続部(導電接続部)34が設けられている。同様に、テール側絶縁貫通孔33およびテール側配線貫通孔31に、テール側導電接続部(他の導電接続部)35が設けられている。
【0056】
バネ性材料層11は、図3および図4に示すように、本体用バネ性材料部40と、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画されたヘッド側配線用バネ性材料部(配線用バネ性材料部)41およびテール側配線用バネ性材料部(他の配線用バネ性材料部)42とを有している。このうち、ヘッド側配線用バネ性材料部41は、第1書込用配線20のヘッド側分岐部分に対応する位置に設けられている。また、テール側配線用バネ性材料部42は、第2書込用配線25のテール側分岐部分に対応する位置に設けられている。なお、溝43の幅は、30μm以上とすることが好ましい。このことにより、本体用バネ性材料部40に対して所望の絶縁性能を確保することができる。
【0057】
図4に示すように、第1書込用配線20の各第1分割配線部22a、22bは、ヘッド側導電接続部34を介して、ヘッド側配線用バネ性材料部41に接続され、ヘッド側配線用バネ性材料部41が、各第1分割配線部22a、22bを導通接続している。同様に、第2書込用配線25の各第2分割配線部27a、27bは、テール側導電接続部35を介して、テール側配線用バネ性材料部42に接続され、テール側配線用バネ性材料部42が、各第2分割配線部27a、27bを導通接続している。
【0058】
絶縁層10には、図4に示すように、各配線12を覆う保護層50が設けられている。
この保護層50は、各ヘッド側導電接続部34および各テール側導電接続部35を外方へ露出する開口部51を有している。このことにより、各導電接続部34、35の上面が、外方へ露出するようになっている。なお、図1および図2においては、図面を明瞭にするために、保護層50は省略されている。
【0059】
なお、図8および図9に示すように、絶縁層10と配線12との間に、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、もしくはそれらの合金(銅を含んでも良い)からなる金属薄膜層36を介在させても良い。この場合、絶縁層10と配線12との間の密着性を向上させることができる。また、図9に示すように、各導電接続部34、35と配線12との間に、ニッケルめっきおよび金(Au)めっきが施されることにより形成されためっき層37を介在させても良い。
【0060】
次に、各構成部材について詳細に述べる。
【0061】
絶縁層10の材料としては、所望の絶縁性を有する材料であれば特に限定されることはないが、例えば、ポリイミド(PI)を用いることが好適である。なお、絶縁層10の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。また、絶縁層10の厚さは、5μm〜30μm、とりわけ10μm〜20μmであることが好ましい。
このことにより、バネ性材料層11と各配線12との間の絶縁性能を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての剛性が喪失されることを防止することができる。
【0062】
各配線12は、電気信号を伝送するための導体として構成されており、各配線12の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、銅(Cu)を用いることが好適である。銅以外にも、純銅に準ずる電気特性を有する材料であれば用いることもできる。ここで、各配線12の厚さは、例えば1μm〜18μm、とりわけ5μm〜12μmであることが好ましい。このことにより、各配線12の伝送特性を確保するとともに、サスペンション用基板1全体としての柔軟性が喪失されることを防止することができる。
【0063】
各導電接続部34、35の材料としては、所望の導電性を有する材料であれば特に限定されることはないが、ニッケルまたは銅が挙げられ、より好ましくは、ニッケルを用いることが好適である。このことにより、各導電接続部34、35の露出された上面に、導通検査器(プローブ)の先端を押し付けた場合においても、導電接続部34、35の上面が変形することを防止することができる。
【0064】
バネ性材料層11の材料としては、所望の導電性、弾力性、および強度を有するものであれば特に限定されることはないが、例えば、ステンレス、アルミニウム、ベリリウム銅、またはその他の銅合金を用いることができ、好ましくはステンレスを用いることが好適である。バネ性材料層11の厚さは、10μm〜30μm、とりわけ15μm〜25μmであることが好ましい。このことにより、バネ性材料層11の導電性、剛性、および弾力性を確保することができる。
【0065】
保護層50の材料としては、樹脂材料、例えば、ポリイミドを用いることが好適である。なお、保護層50の材料は、感光性材料であっても非感光性材料であっても用いることができる。保護層50の厚さは、3μm〜30μmであることが好ましい。
【0066】
次に、図5により、本実施の形態におけるサスペンション61について説明する。図5に示すサスペンション61は、上述したサスペンション用基板1と、サスペンション用基板1の後述するスライダ72(図6参照)が実装される面とは反対側の面に設けられ、スライダ72をディスク83(図7参照)に対して保持するためのロードビーム62とを有している。
【0067】
次に、図6により、本実施の形態におけるヘッド付サスペンション71について説明する。図6に示すヘッド付サスペンション71は、上述したサスペンション61と、サスペンション用基板1のヘッド部2に実装されるスライダ72とを有している。
【0068】
次に、図7により、本実施の形態におけるハードディスクドライブ81について説明する。図7に示すハードディスクドライブ81は、ケース82と、このケース82に回転自在に取り付けられ、データが記憶されるディスク83と、このディスク83を回転させるスピンドルモータ84と、ディスク83に所望のフライングハイトを保って近接するように設けられ、ディスク83に対してデータの書き込みおよび読み取りを行うスライダ72を含むヘッド付サスペンション71とを有している。このうちヘッド付サスペンション71は、ケース82に対して移動自在に取り付けられ、ケース82にはヘッド付サスペンション71のスライダ72をディスク83上に沿って移動させるボイスコイルモータ85が取り付けられている。また、ヘッド付サスペンション71は、ボイスコイルモータ85にアーム86を介して取り付けられている。
【0069】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち本実施の形態によるサスペンション用基板1の製造方法について説明する。
【0070】
まず、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた導電性を有するバネ性材料層11と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線材料層12aとを有する積層体13を準備する。
【0071】
この場合、まず、バネ性材料層11を準備し(図8(a)参照)、このバネ性材料層11上に、非感光性材料からなる絶縁層10が形成される(図8(b)参照)。次に、絶縁層10上に、金属薄膜層36が形成され(図8(c)参照)、この金属薄膜層36上に、配線材料層12aが形成される(図8(d)参照)。ここで、配線材料層12aは、電解銅めっきにより形成されても良い。このようにして、絶縁層10と、バネ性材料層11と、配線材料層12aとを有する積層体13が得られる。なお、絶縁層10上に金属薄膜層36を形成することなく、絶縁層10上に配線材料層12aを形成するようにしても良いが、金属薄膜層36を介在させることにより、絶縁層10と配線材料層12aとの密着性を向上させることができる。なお、絶縁層10上に、金属薄膜層36ではなく接着剤層(図示せず)を形成して、この接着剤層を介して配線材料層12aを形成するようにしても良い。
【0072】
次に、積層体13の配線材料層12aから複数の配線12(一対の書込用配線15および一対の読取用配線16)が形成される(図8(e)参照)。この場合、フォトファブリケーションの手法により、配線材料層12a上にパターン状のレジスト(図示せず)が形成され、レジストの開口部から、塩化第二鉄水溶液などの腐食液により金属薄膜層36および配線材料層12aがエッチングされる。このようにして、一対の読取用配線16と、上述したヘッド側配線部21、26と分割配線部22a、22b、27a、27bとを有する書込用配線20、25が形成されると共に、各分割配線部22a、22b、27a、27bに配線貫通孔30、31が形成される。その後、レジストは除去される。
【0073】
次に、絶縁層10上に、各配線12を覆う保護層50が形成される(図8(f)参照)。この場合、まず、絶縁層10に、非感光性材料からなる保護層50が形成され、この保護層50上に、パターン状のレジストが形成される。次に、パターン状のレジストの開口部から、有機アルカリ液などのエッチング液により保護層50がエッチングされる。このことにより、保護層50に、開口部51が形成される。なお、保護層50のエッチングは、プラズマエッチングで行っても良い。その後、レジストは除去される。
【0074】
次に、絶縁層10の配線貫通孔30、31に対応する位置に、絶縁貫通孔32、33が形成される(図8(g)参照)。この場合、まず、パターン状のレジストが形成され、レジストの開口部から有機アルカリ液などのエッチング液により絶縁層10がエッチングされて、絶縁層10に絶縁貫通孔32、33が形成される。その後、レジストは除去される。なお、絶縁層10のエッチングは、プラズマエッチングで行っても良い。
【0075】
次に、配線貫通孔30、31および絶縁貫通孔32、33に、導電接続部34、35が形成される。この場合、まず、配線貫通孔30、31において、各分割配線部22a、22b、27a、27bの露出されている部分に、書込用配線20、25をめっき用給電層として、ニッケルめっきおよび金めっきが順次施されて、めっき層37が形成される(図9(a)参照)。このめっき層37は、スライダや、外部接続端子に接続される端子部(図示せず)に施されるめっき処理と同時に行われることが好ましい。このことにより、めっき層37を効率良く形成することができる。次に、絶縁貫通孔32、33および配線貫通孔30、31にニッケルめっきが施され、ニッケルからなる導電接続部34、35が形成される(図9(b)参照)。この場合、導電接続部34、35は、めっき層37を介して分割配線部22a、22b、27a、27bに接続される。また、保護層50の開口部51から、導電接続部34、35の上面が外方に露出される。この場合、露出した導電接続部34、35の上面から、分岐した分割配線部22a、22b、27a、27bの断線検査を行うことが可能になる。
【0076】
次に、バネ性材料層11が本体用バネ性材料部40と、配線用バネ性材料部41、42とに分離される(図9(c)参照)。この場合、バネ性材料層11にパターン状のレジストが形成され、このレジストの開口部から、塩化第二鉄水溶液などの腐食液によりバネ性材料層11がエッチングされて、溝43が形成され、本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部41、42とが区画される。その後、レジストは除去される。
【0077】
このようにして得られたサスペンション用基板1の下面に、ロードビーム62が取り付けられて図5に示すサスペンション61が得られる。このサスペンション61のヘッド部2に、スライダ72が実装されて図6に示すヘッド付サスペンション71が得られる。この場合、スライダ72のスライダパッドが各配線12に接続される。さらに、このヘッド付サスペンション71がハードディスクドライブ81のケース82に取り付けられて、図7に示すハードディスクドライブ81が得られる。
【0078】
図7に示すハードディスクドライブ81においてデータの書き込みおよび読み取りを行う際、ボイスコイルモータ85によりヘッド付サスペンション71のスライダ72がディスク83上に沿って移動し、スピンドルモータ84により回転しているディスク83に所望のフライングハイトを保って近接する。このことにより、スライダ72とディスク83との間で、データの受け渡しが行われる。この間、サスペンション用基板1のヘッド部2とテール部3との間を延びる各配線12により電気信号が伝送される。
【0079】
このように本実施の形態によれば、第1書込用配線20の第1ヘッド側配線部21から分岐した第1分割配線部22a、22bと、第2書込用配線25の第2ヘッド側配線部26から分岐した第2分割配線部27a、27bとが、交互に配置されている。このことにより、第1書込用配線20と第2書込用配線25との間のキャパシタンス(線間容量)を増大して、各書込用配線20、25のインピーダンスを低減することができる。また、各第1分割配線部22a、22bが、絶縁層10を貫通する導電接続部34を介して、本体用バネ性材料部40から区画されたヘッド側配線用バネ性材料部41に接続されると共に、各第2分割配線部27a、27bが、導電接続部35を介してテール側配線用バネ性材料部42に接続されている。このことにより、配線12同士が積層されるような多層構造となることを回避することができ、第1分割配線部22a、22bと第2分割配線部27a、27bとを交互に配置させることができる。このため、上述のようにインピーダンスを低減して電気特性を向上させると共に、サスペンション用基板1を容易に製造することができる。この場合、製造コストを低減することもできる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、第1書込用配線20が、そのヘッド側分岐部分において、ヘッド側配線用バネ性材料部41を介して分岐されると共に、第2書込用配線25が、そのテール側分岐部分において、テール側配線用バネ性材料部42を介して分岐されている。このことにより、第1書込用配線20と第2書込用配線25の経路を同様にして形成することができ、インピーダンスを略同一にすることができる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、バネ性材料層11と絶縁層10と配線材料層12aとを有する積層体13から、配線材料層12aをエッチングして、サブトラクティブ法により配線12を形成することができる。このことにより、各配線12と絶縁層10との間の密着性を向上させることができると共に、各配線12の厚みを均一にすることができる。また、バネ性材料層11を本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部41、42とに分離する前に、絶縁貫通孔32、33および配線貫通孔30、31にニッケルめっきが施されて導電接続部34、35が形成されている。このため、ニッケルめっきを行う際、バネ性材料層11全体をめっき用給電層として使用することができ、めっきの作業性を向上させることができる。
【0082】
なお、本実施の形態においては、配線貫通孔30において各書込用配線20、25の露出されている部分に、ニッケルめっきおよび金めっきからなるめっき層37を形成した後、絶縁貫通孔32、33および配線貫通孔30、31にニッケルめっきが施されて導電接続部34、35が形成される例について説明した。しかしながらこのことに限られることはなく、各書込用配線20、25の露出されている部分に、めっき層37を形成することなく、バネ性材料層11をめっき用給電層として、絶縁貫通孔32、33および配線貫通孔30、31にニッケルめっきを施して導電接続部34、35を形成するようにしても良い(図10(a)参照)。なお、この場合においても、導電接続部34、35を形成した後に、図10(b)に示すように、バネ性材料層11が、本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部41、42とに分離することが好ましい。
【0083】
また、本実施の形態においては、各書込用配線20、25が、2つの分割配線部22a、22b、27a、27bを有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各書込用配線20、25が、図11に示すように、3つの分割配線部22a、22b、22c、27a、27b、27cを有して、第1分割配線部22a、22b、22cと第2分割配線部27a、27b、27cとが交互に配置されるようにしても良い。この場合、第1書込用配線20と第2書込用配線25との間のキャパシタンスをより一層増大して、各書込用配線20、25のインピーダンスを低減することができる。
【0084】
第2の実施の形態
次に、図12により、本発明の第2の実施の形態におけるサスペンション用基板の製造方法について説明する。
【0085】
図12に示す第2の実施の形態においては、アディティブ法により配線を形成する点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図12において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0086】
本実施の形態においては、まず、図12(a)に示すように、バネ性材料層11を準備する。
【0087】
次に、バネ性材料層11に、絶縁貫通孔32、33を有する絶縁層10が形成される(図12(b)参照)。この場合、まず、バネ性材料層11に、非感光性材料からなる絶縁層10が形成され、この絶縁層10上に、パターン状のレジストが形成される。次に、レジストの開口部から、有機アルカリ液などのエッチング液により絶縁層10がエッチングされて、絶縁層10に絶縁貫通孔32、33が形成される。その後、レジストは除去される。
【0088】
次に、絶縁層10上に、金属薄膜層36が形成される(図12(c)参照)。この場合、絶縁貫通孔32、33内にも金属薄膜層36が形成される。
【0089】
次に、絶縁層10上に複数の配線12(一対の書込用配線15および一対の読取用配線16)と共に、絶縁貫通孔32、33に導電接続部34、35が形成される(図12(d)参照)。この場合、まず、絶縁層10上に、パターン状のレジストが形成され、レジストの開口部に、電解銅めっき法により、配線12が形成される。この際、絶縁貫通孔32、33に、書込用配線20、25と一体に導電接続部34、35が形成される。その後、レジストが除去される。
【0090】
次に、金属薄膜層36のうち露出されている部分が、エッチングにより除去される(図12(e)参照)。
【0091】
次に、絶縁層10上に、各配線12を覆う保護層50が形成される(図12(f)参照)。この場合、導電接続部34、35も保護層50に覆われる。
【0092】
次に、バネ性材料層11が、本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部41、42とに分離される(図12(g)参照)。この場合、バネ性材料層11に、パターン状のレジストが形成され、このレジストの開口部から、塩化第二鉄水溶液などの腐食液によりバネ性材料層11がエッチングされて、溝43が形成される。このことにより、本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部41、42とが形成される。その後、レジストが除去される。
【0093】
このように本実施の形態によれば、バネ性材料層11上に絶縁層10をパターン状に形成して、この絶縁層10上にアディティブ法により配線12を形成することができる。この場合、配線12をより一層微細化することが可能になる。また、導電接続部34、35を配線12と同時に形成することができ、製造工程を簡素化することができる。さらに、導電接続部34、35は、外方に露出することなく、保護層50により覆われる。このため、銅からなる導電接続部34、35が、腐食することを防止することができる。
【0094】
第3の実施の形態
次に、図13乃至図17により、本発明の第3の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0095】
図13乃至図17に示す第3の実施の形態においては、ヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有する配線が、スライダに電源を供給する電源配線を構成している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図13乃至図17において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0096】
図13および図14に示すように、絶縁層10上に、一対の書込用配線15と、一対の読取用配線16と、スライダ72に電源を供給する電源配線90とが設けられている。本実施の形態においては、一対の書込用配線15は、分岐することなく、ヘッド部2からテール部3に延びているが、第1及び第2の実施の形態と同様の形態であってもよい。
【0097】
電源配線90は、書込用配線15と読取用配線16との間に介在され、ヘッド部2から延びるヘッド側電源配線部(ヘッド側配線部)91と、このヘッド側電源配線部91から分岐する2つの分割電源配線部(分割配線部)92a、92bとを有している。ヘッド側電源配線部91のテール側端部、および各分割電源配線部92a、92bのヘッド側端部に、導電接続部95を形成するための配線貫通孔93がそれぞれ設けられている(図15参照)。なお、各分割電源配線部92a、92bは、テール部3に延びている。
【0098】
各分割電源配線部92a、92bは、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16の両側方に配置されている。すなわち、2つの分割電源配線部92a、92bの間に、書込用配線15および読取用配線16が介在されている。
【0099】
図15に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する絶縁貫通孔94が設けられている。この絶縁貫通孔94は、電源配線90の分岐部分に対応する位置(すなわち、配線貫通孔93に対応する位置)に設けられている。この絶縁貫通孔94および配線貫通孔93に、導電接続部95が設けられている。
【0100】
バネ性材料層11は、図14および図15に示すように、本体用バネ性材料部40と、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画された配線用バネ性材料部96とを有している。このうち配線用バネ性材料部96は、電源配線90の分岐部分に対応する位置に設けられている。
【0101】
図15に示すように、電源配線90のヘッド側電源配線部91と、分割電源配線部92a、92bとが、導電接続部95を介して、配線用バネ性材料部96に接続され、配線用バネ性材料部96が、各分割電源配線部92a、92bを導通接続している。
【0102】
このように本実施の形態によれば、電源配線90のヘッド側電源配線部91は、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。このことにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。また、電源配線90の2つの分割電源配線部92a、92bの間に、書込用配線15および読取用配線16が介在されている。このことにより、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。この結果、電気特性を向上させることができる。
【0103】
また、本実施の形態によれば、配線スペースが比較的少ないヘッド部2側の領域において、電源配線90のヘッド側電源配線部91を設け、配線スペースが比較的多いテール部3側の領域において、ヘッド側電源配線部91から2つの分割電源配線部92a、92bに分岐させている。このことにより、限られた絶縁層10上のスペースを有効に利用しながら、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16の電気特性を向上させることができる。
【0104】
また、本実施の形態においては、書込用配線15および読取用配線16の両側方に分割電源配線部92a、92bがそれぞれ配置されている。このことにより、図16に示すように、書込用配線15とバネ性材料層11の側縁との間の幅方向寸法を十分に確保した状態で、バネ性材料層11のうち書込用配線15に対応する位置にマイクロウィンドウ(貫通孔)97を形成することができる。この場合、上述したように、書込用配線15とバネ性材料層15の側縁との間の幅方向寸法が十分に確保されているため、マイクロウィンドウ形成時に、当該部分のレジストの幅を十分に保つことができ、マイクロウィンドウの形状不良を防止することができる。
【0105】
なお、本実施の形態においては、電源配線90のヘッド側電源配線部91が、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、書込用配線15の外側、あるいは読取用配線16の外側に配置されるようにしても良い。
【0106】
また、本実施の形態においては、電源配線90が、書込用配線15および読取用配線16の両側方に配置される2つの分割電源配線部92a、92bを有している例について説明した。しかしながらこのことに限られることはなく、図17に示すように、電源配線90が、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在される分割電源配線部92cを更に有していても良い。この場合、ヘッド側電源配線部91が設けられる領域だけではなく、分割電源配線部92a、92bが設けられる領域においても、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。このため、電気特性をより一層向上させることができる。
【0107】
第4の実施の形態
次に、図18および図19により、本発明の第4の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0108】
図18および図19に示す第4の実施の形態においては、スライダに電源を供給する電源配線が一対の書込用配線の両側方に分岐される点が主に異なり、他の構成は、図13乃至図17に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図18および図19において、図13乃至図17に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0109】
図18および図19に示すように、本実施の形態における電源配線90の分割電源配線部92a、92bは、一対の書込用配線15の両側方に配置されている。すなわち、2つの分割電源配線部92a、92bの間に、一対の書込用配線15のみが介在されている。
【0110】
なお、本実施の形態においては、電源配線90のヘッド側電源配線部91は、絶縁層10の配線12側の面上において、一方の分割電源配線部92aのヘッド側端部に接続されている。
【0111】
このように本実施の形態によれば、電源配線90の2つの分割電源配線部92a、92bの間に、一対の書込用配線15が介在されている。このことにより、書込用配線15に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。また、書込用配線15と読取用配線16との間に、一方の分割電源配線部92aが介在されている。このことにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。この結果、電気特性を向上させることができる。
【0112】
第5の実施の形態
次に、図20乃至図23により、本発明の第5の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0113】
図20乃至図23に示す第5の実施の形態においては、テール側配線部と、テール側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有する配線が、ピエゾ素子に電源を供給する素子配線を構成している点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図20乃至図23において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0114】
図20に示すように、本実施の形態におけるサスペンション用基板1は、スライダ72(図6参照)が実装されるヘッド部2から外部接続基板が接続されるテール部3に延びる基板本体領域100と、ヘッド部2とテール部3との間において両側方に配置される一対のピエゾ素子(アクチュエータ素子)124(図23参照)が実装される接続構造領域101と、を有している。すなわち、基板本体領域100の両側方に、一対の接続構造領域101が設けられている。
【0115】
複数の配線12のうちの一の配線が、実装されるピエゾ素子124に電源を供給する素子配線110を構成している。すなわち、絶縁層10上に、一対の書込用配線15と、一対の読取用配線16と、実装されるピエゾ素子124に電源を供給する素子配線110とが設けられている。本実施の形態においては、一対の書込用配線15は、分岐することなく、ヘッド部2からテール部3に延びているが、第1及び第2の実施の形態と同様の形態であってもよい。
【0116】
素子配線110は、テール部から延びるテール側素子配線部(テール側配線部)111と、テール側素子配線部111から分岐する2つの分割素子配線部(分割配線部)112a、112bとを有している。このうち、テール側素子配線部111は、絶縁層10の配線12側の面上において、一方の分割素子配線部112aに接続されている。各分割素子配線部112a、112bのテール側端部には、導電接続部115を形成するための配線貫通孔113がそれぞれ設けられている(図22参照)。また、各分割素子配線部112a、112bは、接続構造領域101に設けられた素子パッド102に延びており、当該素子パッド102を介して、対応するピエゾ素子124に接続されるようになっている。なお、各素子パッド102は、各配線12と同一材料を用いて、第1の実施の形態で説明した各配線12と同様の方法により形成することができる。
【0117】
図20および図21に示すように、テール側素子配線部111は、一対の書込用配線15の外側(図20における右側)に配置されている。また、2つの分割素子配線部112a、112bは、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16の両側方に配置されている。すなわち、2つの分割素子配線部112a、112bの間に、書込用配線15および読取用配線16が介在されている。
【0118】
図22に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する絶縁貫通孔114が設けられている。この絶縁貫通孔114は、素子配線110の分岐部分に対応する位置(すなわち、配線貫通孔113に対応する位置)に設けられている。この絶縁貫通孔114および配線貫通孔113に、導電接続部115が設けられている。
【0119】
バネ性材料層11は、図21および図22に示すように、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画された配線用バネ性材料部116を更に有している。この配線用バネ性材料部116は、素子配線110の分岐部分に対応する位置に設けられている。
【0120】
図21に示すように、素子配線110の分割素子配線部112a、112bは、導電接続部115を介して、配線用バネ性材料部116に接続され、配線用バネ性材料部116が、各分割素子配線部112a、112bを導通接続している。
【0121】
次に、図23により、本実施の形態におけるサスペンション121について説明する。図23に示すサスペンション121は、ベースプレート122と、ベースプレート122上に取り付けられ、サスペンション用基板1のバネ性材料層11を保持するロードビーム123と、上述のサスペンション用基板1と、サスペンション用基板1に実装されたピエゾ素子124と、を有している。このうち、サスペンション用基板1は、ベースプレート122にロードビーム123(いずれもステンレスからなる)を介してサスペンション用基板1が溶接により取り付けられている。
【0122】
ピエゾ素子124は、ベースプレート122およびロードビーム123の少なくとも一方に非導電性接着剤を介して接合されると共に、サスペンション用基板1の接続構造領域101(素子パッド102)に導電性接着剤を介して接続されている。このようなピエゾ素子124は、電圧が印加されることにより伸縮する圧電素子として構成されている。すなわち、ピエゾ素子124は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極間に介在され、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスからなる圧電材料部と、を有し(いずれも図示せず)、一対のピエゾ素子124の圧電材料部は、互いに180°異なる分極方向となるように形成されており、所定の電圧が印加されると、一方のピエゾ素子124が収縮すると共に、他方のピエゾ素子124が伸長するようになっている。このようなピエゾ素子124は、スライダ72の中心を通る長手方向軸線に対して互いに線対称に配置されていることが好ましい。このようにして、スライダ72のスウェイ方向(旋回方向)への変位に対して、各ピエゾ素子124の伸縮の影響を均等にすることができ、スライダのスウェイ方向の変位を容易に調整することができ、アクチュエータ素子として機能するようになっている。また、本実施の形態においては、ピエゾ素子124に接続される接続構造領域101が、基板本体領域100の両側方に配置されているため、ピエゾ素子124の伸縮を効果的にスライダ72の変位に利用することができるようになっている。
【0123】
ところで、スライダ72をディスク83(図7参照)の所望の位置に移動させる場合、ボイスコイルモータ85が、スライダ72の位置を大まかに調整し、ピエゾ素子124が、スライダ72の位置を微小調整する。すなわち、一対のピエゾ素子124に、素子配線110を介して電源を供給することにより、一方のピエゾ素子124を長手方向に収縮させると共に、他方のピエゾ素子124を長手方向に伸長させることができる。このことにより、ベースプレート122とロードビーム123の一部が弾性変形し、ロードビーム122の先端側に位置するスライダ72がスウェイ方向に移動することができる。このようなピエゾ素子124を実装することにより、スライダ72を、ディスク83の所望のトラックに、迅速に、かつ精度良く位置合わせすることが可能となっている。
【0124】
このように本実施の形態によれば、素子配線110のテール側素子配線部111は、一対の書込用配線15の外側に配置されている。このことにより、書込用配線15に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。また、素子配線110の2つの分割素子配線部112a、112bの間に、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16が介在されている。このことにより、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。このため、ピエゾ素子124に電源を供給する素子配線110を、書込用配線15および読取用配線16のノイズ低減に有効に利用することができ、電気特性を向上させることができる。
【0125】
また、本実施の形態によれば、一対のピエゾ素子124に接続される素子配線110は、テール部3からその分岐部分まで、テール側素子配線部111として一体に形成されている。このことにより、一対のピエゾ素子124に、テール部3から別々の素子配線を延ばして接続する場合に比べ、配線12の本数を削減することができるため、限られた配線領域に、配線の幅、間隔を狭くすることなく配置することができる。
【0126】
なお、本実施の形態においては、素子配線110のテール側素子配線部111が、一対の書込用配線15に対して図20における右側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、テール側素子配線部111は、一対の読取用配線16に対して図20における左側(一対の読取用配線16の外側)に配置されていても良い。この場合、一対の読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。あるいは、テール側素子配線部111は、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されるようにしても良い。この場合、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。
【0127】
第6の実施の形態
次に、図24乃至図26により、本発明の第6の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0128】
図24乃至図26に示す第6の実施の形態においては、素子配線の一の分割素子配線部が、テール部側に配置されたテール側分割素子配線部と、ピエゾ素子側に配置された素子側分割素子配線部とを有している点が主に異なり、他の構成は、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図24乃至図26において、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0129】
図24および図25(a)、(b)に示すように、素子配線110の一方の分割素子配線部112bは、テール側に配置されたテール側分割素子配線部132aと、ピエゾ素子124側に配置された素子側分割素子配線部132bとを有している。このうち、テール側分割素子配線部132aのヘッド側端部、および素子側分割配線部のテール側端部には、第2の導電接続部135を形成するための第2の配線貫通孔133がそれぞれ設けられている(図25(a)、図26参照)。
【0130】
テール側分割素子配線部132aは、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。また、一方の分割素子配線部112bの素子側分割素子配線部132bは、一対の読取用配線16の外側(図24における左側)に配置され、他方の分割素子配線部112aは、一対の書込用配線15の外側(図24における右側)に配置されている。すなわち、素子側分割素子配線部132bと他方の分割素子配線部112aとの間に、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16が介在され、テール側分割素子配線部132aと当該他方の分割素子配線部112aとの間に、一対の書込用配線15のみが介在されている。
【0131】
図26に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する第2の絶縁貫通孔134が設けられている。この第2の絶縁貫通孔134は、テール側分割素子配線部132aと素子側分割素子配線部132bとの連結部分に対応する位置(すなわち、第2の配線貫通孔133に対応する位置)に設けられている。この第2の絶縁貫通孔134および第2の配線貫通孔133に、第2の導電接続部135が設けられている。
【0132】
バネ性材料層11は、図24乃至図26に示すように、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画され、配線用バネ性材料部116よりヘッド部2の側に配置された第2の配線用バネ性材料部136を更に有している。この第2の配線用バネ性材料部136は、テール側分割素子配線部132aと素子側分割素子配線部132bとの連結部分に対応する位置に設けられている。なお、本実施の形態においては、本体用バネ性材料部40は、図23等に示す第5の実施の形態よりも、テール部3側に配置されている。
【0133】
図24に示すように、素子配線110のテール側素子配線部111と、テール側分割素子配線部132aとが、導電接続部115を介して、配線用バネ性材料部116に接続され、配線用バネ性材料部116が、各分割素子配線部112a、112b(具体的には、分割素子配線部112aおよびテール側分割素子配線部132a)を導通接続している。また、テール側分割素子配線部132aと素子側分割素子配線部132bとが、第2の導電接続部135を介して、第2の配線用バネ性材料部136に接続され、第2の配線用バネ性材料部136が、テール側分割素子配線部132aと素子側分割素子配線部132bとを、導通接続している。
【0134】
このように本実施の形態によれば、素子配線110のテール側素子配線部111は、一対の書込用配線15の外側に配置されている。このことにより、書込用配線15に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。また、一方の分割素子配線部112bのテール側分割素子配線部132aと他方の分割素子配線部112aとの間に、一対の書込用配線15のみが介在され、素子側分割素子配線部132bと当該他方の分割素子配線部112aとの間に、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16が介在されている。このことにより、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。さらに、テール側分割素子配線部132aが、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されていることにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。この結果、ピエゾ素子124に電源を供給する素子配線110を、書込用配線15および読取用配線16のノイズ低減に有効に利用することができ、電気特性を向上させることができる。
【0135】
なお、本実施の形態においては、一方の分割素子配線部112bの素子側分割素子配線部132bが、一対の読取用配線16に対して図24における左側に配置され、他方の分割素子配線部112aが、一対の書込用配線15に対して図24における右側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、素子側分割素子配線部132bが、一対の書込用配線15に対して図24における右側に配置され、他方の分割素子配線部112aが、一対の読取用配線16に対して図24における左側に配置されてもよい。この場合、テール側素子配線部111は、他方の分割素子配線部112aに対応する位置に配置させることが好ましいが、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在させてもよい。
【0136】
第7の実施の形態
次に、図27乃至図29により、本発明の第7の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0137】
図27乃至図29に示す第7の実施の形態においては、ヘッド側配線部と、ヘッド側配線部からテール部に延びるテール側配線部とを有する配線が、実装されるスライダに電源を供給する電源配線を構成している点が主に異なり、他の構成は、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図27乃至図29において、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0138】
図27および図28に示すように、複数の配線12のうちの一の配線は、実装されるスライダ72(図6参照)に電源を供給する電源配線90を構成している。この電源配線90は、ヘッド部2から延びるヘッド側電源配線部91と、ヘッド側電源配線部91からテール部3に延びるテール側電源配線部142とを有している。ヘッド側電源配線部91のテール側端部、およびテール側電源配線部142のヘッド側端部に、第2の導電接続部145を形成するための第2の配線貫通孔143が設けられている(図29参照)。
【0139】
ヘッド側電源配線部91は、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。テール側電源配線部142は、一対の読取用配線16の外側(図27における左側)に配置されている。すなわち、テール側素子配線部111とテール側電源配線部142との間に、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16が介在されている。
【0140】
図29に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する第2の絶縁貫通孔144が設けられている。この第2の絶縁貫通孔144は、ヘッド側電源配線部91とテール側電源配線部142との連結部分に対応する位置(すなわち、第2の配線貫通孔143に対応する位置)に設けられている。この第2の絶縁貫通孔144および第2の配線貫通孔143に、第2の導電接続部145が設けられている。
【0141】
バネ性材料層11は、図28および図29に示すように、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画され、配線用バネ性材料部116よりテール部3の側に配置された第2の配線用バネ性材料部146を更に有している。図29に示すように、電源配線90のヘッド側電源配線部91と、テール側電源配線部142とが、第2の導電接続部145を介して第2の配線用バネ性材料部146に接続され、第2の配線用バネ性材料部146が、ヘッド側電源配線部91とテール側電源配線部142とを導通接続している。
【0142】
このように本実施の形態によれば、電源配線90のヘッド側電源配線部91は、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。このことにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。また、テール側電源配線部142が一対の読取用配線16の外側に配置されていることにより、読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。さらに、第5の実施の形態において述べたように、素子配線110によっても、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。この結果、素子配線110によるノイズ低減効果と、電源配線90によるノイズ低減効果を相乗させて、電気特性をより一層向上させることができる。
【0143】
なお、本実施の形態においては、素子配線110のテール側素子配線部111が、一対の書込用配線15に対して図27における右側に配置されると共に、電源配線90のテール側電源配線部142が、一対の読取用配線16に対して図27における左側に配置される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、テール側素子配線部111が、一対の読取用配線16に対して図27における左側に配置されて、テール側電源配線部142が、一対の書込用配線15に対して図27における右側に配置されるようにしてもよい。
【0144】
第8の実施の形態
次に、図30乃至図32により、本発明の第8の実施の形態におけるサスペンション用基板について説明する。
【0145】
図30乃至図32に示す第8の実施の形態においては、ヘッド部から延びるヘッド側電源配線部と、ヘッド側電源配線部から分岐するテール側電源配線部とを有する配線が、実装されるスライダに電源を供給する電源配線を構成している点が主に異なり、他の構成は、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図30乃至図32において、図20乃至図23に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0146】
図30および図31に示すように、複数の配線12のうちの一の配線は、実装されるスライダ72(図6参照)に電源を供給する電源配線90を構成している。この電源配線90は、ヘッド部2から延びるヘッド側電源配線部91と、ヘッド側電源配線部91から分岐する2つの分割電源配線部92a、92bとを有している。このうち、ヘッド側電源配線部91は、絶縁層10の配線12側の面上において、一方の分割電源配線部92aに接続されている。また、電源配線90は、各分割電源配線部92a、92bに接続され、テール部3に延びるテール側電源配線部142を更に有しており、絶縁層10の配線12側の面上において、他方の分割電源配線部92bに接続されている。図32に示すように、各分割電源配線部92a、92bのヘッド側端部には、第2の導電接続部155を形成するための第2の配線貫通孔153がそれぞれ設けられ、各分割電源配線部92a、92bのテール側端部には、第3の導電接続部165を形成するための第3の配線貫通孔163がそれぞれ設けられている。
【0147】
図30および図31(a)、(b)に示すように、ヘッド側電源配線部91および一方の分割電源配線部92aは、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。また、他方の分割電源配線部92bは、一対の読取用配線16の外側(図30における左側)に配置され、テール側素子配線部111は、一対の書込用配線15の外側(図30における右側)に配置されている。すなわち、当該他方の分割電源配線部92bとテール側素子配線部111との間に、一対の書込用配線15および一対の読取用配線16が介在されている。なお、2つの分割電源配線部92a、92bの間には、一対の読取用配線16のみが介在されている。
【0148】
図32(a)、(b)に示すように、絶縁層10に、絶縁層10を貫通する第2の絶縁貫通孔154および第3の絶縁貫通孔164がそれぞれ設けられている。このうち第2の絶縁貫通孔154は、電源配線90のヘッド側分岐部分に対応する位置(すなわち、第2の配線貫通孔153に対応する位置)に設けられ、第2の絶縁貫通孔154および第2の配線貫通孔153に、第2の導電接続部155が設けられている(図32(a)参照)。同様にして、第3の絶縁貫通孔164は、電源配線90のテール側分岐部分に対応する位置(すなわち、第3の配線貫通孔163に対応する位置)に設けられ、第3の絶縁貫通孔164および第3の配線貫通孔163に、第3の導電接続部165が設けられている(図32(b)参照)。
【0149】
バネ性材料層11は、図31(a)、(b)および図32(a)、(b)に示すように、本体用バネ性材料部40に溝43を介して区画され、配線用バネ性材料部116よりテール部3の側に配置された第2の配線用バネ性材料部156と、第2の配線用バネ性材料部156よりテール部3の側に配置された第3の配線用バネ性材料部166とを更に有している。図32に示すように、電源配線90の各分割電源配線部92a、92bは、第2の導電接続部155を介して第2の配線用バネ性材料部156に接続され、第2の配線用バネ性材料部156が、ヘッド部2の側において、各分割電源配線部92a、92bを導通接続している。また、各分割電源配線部92a、92bは、第3の導電接続部165を介して第3の配線用バネ性材料部166に接続され、第3の配線用バネ性材料部166が、テール部3の側において、各分割電源配線部92a、92bを導通接続している。
【0150】
このように本実施の形態によれば、電源配線90のヘッド側電源配線部91は、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されている。このことにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。また、一方の分割電源配線部92bが、一対の読取用配線16の外側(図32における左側)に配置されていることにより、読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。また、他方の分割電源配線部92aが、一対の書込用配線15と一対の読取用配線16との間に介在されていることにより、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができる。さらに、第5の実施の形態において述べたように、素子配線110によっても、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができる。この結果、素子配線110によるノイズ低減効果と、電源配線90によるノイズ低減効果を相乗させて、電気特性をより一層向上させることができる。
【0151】
なお、本実施の形態においては、素子配線110のテール側素子配線部111が、一対の書込用配線15に対して図30における右側に配置されると共に、電源配線90の一方の分割電源配線部92bが、一対の読取用配線16に対して図30における左側に配置される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、テール側素子配線部111が、一対の読取用配線16に対して図30における左側に配置され、当該一方の分割電源配線部92bが、一対の書込用配線15に対して図30における右側に配置されるようにしてもよい。
【0152】
また、本実施の形態においては、各分割電源配線部92a、92bが、第3の導電接続部165および第3の配線用バネ性材料部166を介してテール側電源配線部142に接続されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図18に示すように、電源配線90が、テール側電源配線部142を有することなく、2つの分割電源配線部92a、92bが、テール部3にそれぞれ延びていてもよい。
【0153】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるサスペンション用基板およびサスペンション用基板の製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0154】
例えば、上述した実施の形態においては、絶縁層10が非感光性材料からなり、パターン状のレジストを形成して、絶縁層10をエッチングにより所望の形状にパターニングする例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、絶縁層10が感光性材料からなり、レジストを形成することなく、パターン状に露光して現像することにより絶縁層10を所望の形状にパターニングしても良い。同様にして、保護層50を、感光性材料により形成しても良い。
【0155】
また、上述した第3の実施の形態および第4の実施の形態においては、ヘッド部2から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する2つの分割配線部とを有する一の配線が、スライダ72に電源を供給する電源配線90を構成している例について説明した。しかしながらこのことに限られることはなく、この一の配線が、スライダ72の接地をとるための接地配線(図示せず)を構成するようにしても良い。この場合においても、書込用配線15と読取用配線16との間で生じるクロストークノイズを低減することができると共に、書込用配線15および読取用配線16に対する不要な輻射ノイズを低減することができ、電気特性を向上させることができる。また、この場合、バネ性材料層11は、本体用バネ性材料部40と配線用バネ性材料部96とに分離することなく、接地配線を、導電接続部95を介してバネ性材料層11に接続することができる。このため、電気特性を向上させることができるサスペンション用基板1を、より一層容易に製造することができる。
【0156】
また、上述した各実施の形態においては、ヘッド部2側に配置された1つの配線用バネ性材料部が、分岐する各分割配線部を導通接続する例について説明した。しかしながらこのことに限られることはなく、2つ以上の配線用バネ性材料部を用いて、分岐する各分割配線部を導通接続するようにしても良い。同様に、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、テール部3側に配置された1つの配線用バネ性材料部が、分岐する各分割配線部を導通接続する例について説明しているが、2つ以上の配線用バネ性材料部を用いて、分岐する各分割配線部を導通接続するようにしても良い。
【符号の説明】
【0157】
1 サスペンション用基板
2 ヘッド部
3 テール部
10 絶縁層
11 バネ性材料層
12 配線
12a 配線材料層
13 積層体
15 書込用配線
16 読取用配線
20 第1書込用配線
21 第1ヘッド側配線部
22a、22b、22c 第1分割配線部
23 第1テール側配線部
25 第2書込用配線
26 第2ヘッド側配線部
27a、27b、27c 第2分割配線部
28 第2テール側配線部
30 ヘッド側配線貫通孔
31 テール側配線貫通孔
32 ヘッド側絶縁貫通孔
33 テール側絶縁貫通孔
34 ヘッド側導電接続部
35 テール側導電接続部
36 金属薄膜層
37 めっき層
40 本体用バネ性材料部
41 ヘッド側配線用バネ性材料部
42 テール側配線用バネ性材料部
43 溝
50 保護層
51 開口部
61 サスペンション
62 ロードビーム
71 ヘッド付サスペンション
72 スライダ
81 ハードディスクドライブ
82 ケース
83 ディスク
84 スピンドルモータ
85 ボイスコイルモータ
86 アーム
90 電源配線
91 ヘッド側電源配線部
92a、92b、92c 分割電源配線部
93 配線貫通孔
94 絶縁貫通孔
95 導電接続部
96 配線用バネ性材料部
97 マイクロウィンドウ
100 基板本体領域
101 接続構造領域
102 素子パッド
110 素子配線
111 テール側素子配線部
112a、112b 分割素子配線部
113 配線貫通孔
114 絶縁貫通孔
115 導電接続部
116 配線用バネ性材料部
121 サスペンション
122 ベースプレート
123 ロードビーム
124 ピエゾ素子
132a テール側分割素子配線部
132b 素子側分割素子配線部
133、143、153 第2の配線貫通孔
134、144、154 第2の絶縁貫通孔
135、145、155 第2の導電接続部
136、146、156 第2の配線用バネ性材料部
142 テール側電源配線部
163 第3の配線貫通孔
164 第3の絶縁貫通孔
165 第3の導電接続部
166 第3の配線用バネ性材料部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板において、
絶縁層と、
絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、
絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、
一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有し、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、
絶縁層に、配線を覆う保護層が設けられ、
保護層は、導電接続部を外方へ露出する開口部を有していることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
当該一の配線と他の一の配線とは、一対の書込用配線を構成し、
当該他の一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有しており、
当該一の配線の分割配線部と、当該他の一の配線の分割配線部とは、交互に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
当該他の一の配線は、各分割配線部に接続されると共に、テール部に延びるテール側配線部を更に有しており、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する他の導電接続部が更に設けられ、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された他の配線用バネ性材料部を更に有しており、
当該他の一の配線の各分割配線部は、当該他の導電接続部を介して、当該他の配線用バネ性材料部に接続されていることを特徴とする請求項3に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
保護層は、当該他の導電接続部を外方へ露出する他の開口部を有していることを特徴とする請求項4に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
当該他の配線用バネ性材料部は、当該他の一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とする請求項4または5に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
導電接続部は、ニッケルからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板において、
絶縁層と、
絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、
絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、
一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有し、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、
当該一の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線を構成すると共に、複数の配線のうちの2つの配線は、互いに隣接する一対の書込用配線を構成しており、
当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線の両側方にそれぞれ配置されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項9】
当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とする請求項8に記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
複数の配線のうちの他の2つの配線は、互いに隣接する一対の読取用配線を構成しており、
当該一の配線のヘッド側配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在されていることを特徴とする請求項8または9に記載のサスペンション用基板。
【請求項11】
複数の配線のうちの他の2つの配線は、互いに隣接する一対の読取用配線を構成しており、
当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線および一対の読取用配線の両側方にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項8または9に記載のサスペンション用基板。
【請求項12】
当該一の配線は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在された他の分割配線部を更に有していることを特徴とする請求項11に記載のサスペンション用基板。
【請求項13】
当該一の配線のヘッド側配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在されていることを特徴とする請求項11または12に記載のサスペンション用基板。
【請求項14】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板において、
絶縁層と、
絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、
絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、
一の配線は、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有し、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、
当該一の配線は、実装されるスライダの接地をとるための接地配線を構成すると共に、複数の配線のうちの2つの配線は、互いに隣接する一対の書込用配線を構成しており、
当該一の配線の分割配線部は、一対の書込用配線の両側方にそれぞれ配置されていることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項15】
当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の複数の分割配線部を導通接続することを特徴とする請求項14に記載のサスペンション用基板。
【請求項16】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板であって、ヘッド部とテール部との間において両側方に配置される一対のアクチュエータ素子が実装されるサスペンション用基板において、
絶縁層と、
絶縁層の一方の面に設けられ、導電性を有するバネ性材料層と、
絶縁層の他方の面に設けられた複数の配線と、を備え、
一の配線は、テール部から延びるテール側配線部と、テール側配線部から分岐する2つの分割配線部とを有し、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部に溝を介して区画された配線用バネ性材料部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する導電接続部が設けられており、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、
当該一の配線は、実装されるアクチュエータ素子に電源を供給する素子配線を構成していることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項17】
当該配線用バネ性材料部は、当該一の配線の2つの分割配線部を導通接続することを特徴とする請求項16に記載のサスペンション用基板。
【請求項18】
複数の配線のうち他の配線は、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、
当該一の配線の2つの分割配線部は、それらの間に一対の書込用配線および一対の読取用配線を介在させて、対応するアクチュエータ素子に接続されることを特徴とする請求項16または17に記載のサスペンション用基板。
【請求項19】
複数の配線のうちの他の配線は、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、
当該一の配線の一方の分割配線部は、テール部側に配置されたテール側分割配線部と、アクチュエータ素子側に配置された素子側分割配線部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料部よりヘッド部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、
当該一方の分割配線部のテール側分割配線部と、素子側分割配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、
当該一方の分割配線部のテール側分割配線部は、一対の書込用配線と一対の読取用配線との間に介在され、
当該一方の分割配線部の素子側分割配線部と他方の分割配線部は、それらの間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線を介在させて、対応するアクチュエータ素子に接続されていることを特徴とする請求項16または17に記載のサスペンション用基板。
【請求項20】
第2の配線用バネ性材料部は、当該一方の分割配線部のテール側分割配線部と素子側分割配線部とを導通接続することを特徴とする請求項19に記載のサスペンション用基板。
【請求項21】
複数の配線のうちの他の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線と、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、
電源配線は、ヘッド部から延びるヘッド側電源配線部と、ヘッド側電源配線部からテール部に延びるテール側電源配線部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料部よりテール部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、
電源配線のヘッド側電源配線部と、テール側電源配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、
電源配線のヘッド側電源配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在され、
素子配線を構成する当該一の配線のテール側配線部と電源配線のテール側電源配線部との間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線が介在されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項22】
第2の配線用バネ性材料部は、電源配線のヘッド側電源配線部とテール側電源配線部とを導通接続することを特徴とする請求項21に記載のサスペンション用基板。
【請求項23】
複数の配線のうちの他の配線は、実装されるスライダに電源を供給する電源配線と、互いに隣接する一対の書込用配線と、互いに隣接する一対の読取用配線とを構成しており、
電源配線は、ヘッド部から延びるヘッド側電源配線部と、ヘッド側電源配線部から分岐する2つの分割電源配線部とを有し、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第2の導電接続部が更に設けられ、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、配線用バネ性材料層よりテール部側に配置された第2の配線用バネ性材料部を更に有しており、
電源配線の各分割電源配線部は、第2の導電接続部を介して第2の配線用バネ性材料部に接続され、
電源配線のヘッド側電源配線部および一方の分割電源配線部は、一対の書込用配線と、一対の読取用配線との間に介在され、
素子配線を構成する当該一の配線のテール側配線部と、電源配線の他方の分割電源配線部との間に、一対の書込用配線および一対の読取用配線が介在されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項24】
第2の配線用バネ性材料部は、電源配線の2つの分割電源配線部を導通接続することを特徴とする請求項23に記載のサスペンション用基板。
【請求項25】
電源配線は、各分割配線部に接続され、テール部に延びるテール側電源配線部を更に有しており、
絶縁層に、当該絶縁層を貫通する第3の導電接続部が更に設けられ、
バネ性材料層は、本体用バネ性材料部に溝を介して区画され、第2の配線用材料部よりテール部側に配置された第3の配線用バネ性材料部を更に有しており、
電源配線の各分割配線部は、第3の導電接続部を介して、第3の配線用バネ性材料部に接続されていることを特徴とする請求項23または24に記載のサスペンション用基板。
【請求項26】
第3の配線用バネ性材料部は、電源配線の複数の分割電源配線部を導通接続することを特徴とする請求項25に記載のサスペンション用基板。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれかに記載のサスペンション用基板を有することを特徴とするサスペンション。
【請求項28】
請求項27に記載のサスペンションと、このサスペンションに実装されたスライダとを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項29】
請求項28に記載のヘッド付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項30】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板の製造方法において、
絶縁層と、絶縁層の一方の面に設けられた導電性を有するバネ性材料層と、絶縁層の他方の面に設けられた配線材料層とを有する積層体を準備する工程と、
一の配線が、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有するように、配線材料層から複数の配線を形成すると共に、各分割配線部に配線貫通孔を形成する工程と、
絶縁層に、絶縁貫通孔を形成する工程と、
配線貫通孔および絶縁貫通孔に、導電接続部を形成する工程と、
バネ性材料層に溝を形成して、バネ性材料層を、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部から溝を介して区画される配線用バネ性材料部とに分離する工程と、を備え、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続され、
複数の配線を形成すると共に分割配線部に配線貫通孔を形成する工程と、絶縁貫通孔を形成する工程との間に、絶縁層に、配線を覆う保護層であって、分割配線部の配線貫通孔に対応する位置に開口部を有する保護層が形成され、
導電接続部は、外方へ露出することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項31】
導電接続部は、ニッケルめっきにより形成されることを特徴とする請求項30に記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項32】
スライダが実装されるヘッド部から外部接続基板が接続されるテール部に延びるサスペンション用基板の製造方法において、
バネ性材料層を準備する工程と、
バネ性材料層に、絶縁貫通孔を有する絶縁層を形成する工程と、
絶縁層に、一の配線が、ヘッド部から延びるヘッド側配線部と、ヘッド側配線部から分岐する複数の分割配線部とを有するように、複数の配線を形成すると共に、絶縁貫通孔に導電接続部を形成する工程と、
バネ性材料層に溝を形成して、バネ性材料層を、本体用バネ性材料部と、本体用バネ性材料部から溝を介して区画される配線用バネ性材料部とに分離する工程と、を備え、
当該一の配線の各分割配線部は、導電接続部を介して、配線用バネ性材料部に接続されることを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−227982(P2011−227982A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64694(P2011−64694)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】