説明

サラシア属植物を含有する経口用組成物

【課題】十分な糖吸収抑制効果と、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状の低減を両立した経口用組成物の提供。従来、サラシア属植物を含有する組成物を摂取すると、体質により、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加等の症状を呈する場合がある。これは、サラシア属植物の糖吸収抑制作用により、未消化の糖質が大腸に達し、腸内細菌によって分解発酵された際に生じるガスに起因するものと考えられ、これらの症状を減ずるような経口用組成物の提供。
【解決手段】サラシア属植物の抽出物と、脱ガス剤とを含有する経口用組成物。好ましくは脱ガス剤として消泡剤、消化酵素、植物抽出物、色素およびガス吸着剤からなる群から選ばれる1種以上を含有する経口用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラシア属植物を含有する経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サラシア属植物の根や幹はインドやスリランカの伝統医学アーユルヴェーダにおいて天然薬物として利用されてきた。スリランカではサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)の根皮がリュウマチ、淋病、皮膚病の治療に有効であるとともに、初期糖尿病の治療に用いられると伝承されている。インドではサラシア・オブロンガ(S. oblonga)の根が同様の治療に用いられるほか、サラシア・キネンシス(S. chinensis)も糖尿病の治療に用いるとされている(非特許文献1)。
【0003】
このようにサラシア属植物には糖尿病の予防や初期治療に有効であることが伝承されている。近年ではサラシア属植物に血糖値上昇抑制作用があり、その作用メカニズムがα−グルコシダーゼ活性阻害に基づく糖吸収抑制作用によるものであることが報告されている(非特許文献1)。
また、サラシア属植物にはキサントン配糖体のマンジフェリンが含有されることが報告されている(非特許文献2)
【0004】
また、サラシア属抽出成分に含まれ、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を有する化合物の特許(特許文献1〜3)や、α−グルコシダーゼ活性阻害作用を基にした抗糖尿病剤としての応用例や特許が見られる(特許文献4〜5)。
【0005】
サラシア属植物を含有する組成物を摂取すると、体質により、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加等の症状を呈する場合がある。これは、サラシア属植物の糖吸収抑制作用により、未消化の糖質が大腸に達し、腸内細菌によって分解発酵された際に生じるガスに起因するものと考えられる。これらの症状を減ずるためには、組成物中のサラシア属植物含有量を少なくすることが考えられるが、これにより糖吸収抑制作用も減少することとなり、十分な効果が得られなくなる。
【0006】
【特許文献1】特許第3030008号公報
【特許文献2】特開2004−323420号公報
【特許文献3】特開2000−86653号公報
【特許文献4】特開平9−301882号公報
【特許文献5】特許第3261090号公報
【非特許文献1】FOOD Style 21、第6巻、第5号、第72〜78頁
【非特許文献2】YAKUGAKU ZASSHI、121(5)、第371〜378頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、サラシア属植物による十分な糖吸収抑制効果とそれによる腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状の低減を両立した経口用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、サラシア属植物の抽出物を含有する組成物中に脱ガス剤を含有させることで、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状を低減できることを見出した。
本発明では、サラシア属植物の抽出物、特にスクラーゼ阻害活性の高い(IC50値の小さい)サラシア属植物の抽出物を含有する組成物中に、脱ガス剤を含有せしめることで、摂取時の糖吸収抑制の効力が高くかつ腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状が少ない製品を供給できる。また、さらに、乳酸菌類、ミネラル酵母を含有せしめることにより、さらに上記症状が少ない製品を供給できる。
具体的には、下記構成よりなる。
<1>
サラシア属植物の抽出物と、脱ガス剤とを含有する経口用組成物。
<2>
経口用組成物中におけるサラシア属植物の抽出物の含有量が、下記関係を満たす量であることを特徴とする、上記<1>に記載の経口用組成物。
0.8≦[サラシア属植物抽出物の1日摂取量(mg])/[スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)]
<3>
サラシア属植物の抽出物におけるスクラーゼの50%阻害濃度が10μg/ml以上300μg/ml以下であることを特徴とする、上記<1>または<2>に記載の経口用組成物。
<4>
経口用組成物の1日量中にサラシア属植物の抽出物を40mg以上含有することを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の経口用組成物。
<5>
前記脱ガス剤が、消泡剤、消化酵素、植物抽出物、色素およびガス吸着剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の経口用組成物。
<6>
前記消泡剤がシリコーンであることを特徴とする、上記<4>に記載の経口用組成物。
<7>
前記シリコーンがジメチルポリシロキサンであることを特徴とする、上記<5>に記載の経口組成物。
<8>
前記消化酵素がセルラーゼまたはプロテアーゼの少なくとも1種であることを特徴とする、上記<5>〜<7>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<9>
前記植物抽出物が、柑橘類、杜仲、ニガウリおよびウメからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、上記<5>〜<8>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<10>
前記ガス吸着剤が、木炭またはシクロデキストリン類の少なくとも1種であることを特徴とする、上記<5>〜<9>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<11>
さらに、乳酸菌類を含有することを特徴とする、上記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<12>
さらに、ミネラル酵母類を含有することを特徴とする、上記<1>〜<11>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<13>
前記ミネラル酵母類が、クロム酵母であることを特徴とする、上記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<14>
食品、医薬部外品または医薬品であることを特徴とする、上記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<15>
前記ガス吸着剤が、マグネシウム化合物であることを特徴とする、<5>〜<14>のいずれか1項に記載の経口用組成物
<16>
前記サラシア属植物の抽出物が、抽出物全量に対して0.8質量%以上の濃度でマンジフェリンを含有することを特徴とする、上記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
<17>
経口用組成物が、1日量中に1mg以上のマンジフェリンを含有することを特徴とする、<1>〜<16>のいずれか1項に記載の経口用組成物
<18>
経口用組成物が、経口用組成物全量に対して0.20質量%以上のマンジフェリンを含有することを特徴とする、上記<1>〜<17>のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、サラシア属植物の抽出物、特にスクラーゼ50%阻害濃度(IC50値)が300μg/ml以下と酵素活性阻害力の高いサラシア属植物の抽出物と脱ガス剤を含有する経口用組成物を使用することにより、高い糖吸収抑制効果を得るとともに、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状を低減し、更には、体重抑制効果の促進、下痢・便秘の改善効果も得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によれば、スクラーゼ阻害活性の高いサラシア属植物の抽出物を含有する経口用組成物を使用することにより、十分な効果を得られ、かつ、腹部膨満感、鼓腸、放屁増加の症状を低減でき、摂取者の負担軽減となる。
【0011】
本発明のサラシア属植物とは、主としてスリランカやインドや東南アジア地域に自生するニシキギ科の植物で、より具体的にはサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macrosperma)から選ばれる1種類以上の植物が用いられる。
本発明において、サラシア属植物の抽出物とは、根、幹、葉、花、果実など可食部の粉砕物、乾燥物、抽出物またはその乾燥粉末(エキス末)などを意味する。1種類以上の部位を混合して使用しても良い。より好ましくは根、幹から抽出したエキス末が用いられる。
【0012】
該エキス末は、前述の可食部等から溶媒抽出によって得られたものを乾燥させたものである。抽出溶媒としては、水、またはメタノール、エタノールを初めとするアルコール類、あるいは水とアルコール類またはアセトンなどのケトン類との混合溶媒から選択されてよい。好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。
乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0013】
サラシア属植物の抽出物は、スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が10μg/ml以上300μg/ml以下であるものが好ましく、10μg/ml以上200μg/ml以下であるものがより好ましく、10μg/ml以上100μg/ml以下であるものが特に好ましい。
【0014】
スクラーゼ50%阻害濃度(IC50値)は以下の方法で測定する。
【0015】
[実験法1] スクラーゼIC50値の測定
サンプル溶液の準備:チューブに2mgのサンプルを量り取り、水2mLを加えてよく懸濁し、1mg/mL濃度のサンプル溶液を作成する。これをそれぞれ0、50、100、250、500μg/mLとなるように水で希釈する。
【0016】
基質液の準備:0.2Mマレイン酸バッファー(pH6.0)にスクロース濃度100mMとなるようにスクロースを溶解し、これを基質液とする。
【0017】
粗酵素液の準備:10mLの生理食塩水に1gのintestinal acetone powder rat(SIGMA社製)を懸濁した後、遠心分離(3,000rpm,4℃,5min)した。得られた上清を分離し、粗酵素液とする。
【0018】
前述の各濃度のサンプル溶液500μLに対し、基質液400μLを添加し、水浴中37℃にて5分間予備加温した。ここにそれぞれ、粗酵素液を100μL添加し、37℃にて60分間反応させた。反応終了後、95℃にて2分間加温することで酵素を失活させて反応を停止させた。生成したグルコース濃度を市販のキット・ムタロターゼ・グルコースオキシダーゼ法(グルコースCIIテストワコー、和光純薬工業(株))を使用して定量を行う。
【0019】
ブランクの準備:前述の各濃度のサンプル溶液250μLに対し、基質液200μL、粗酵素液50μLを添加し、直ちに95℃にて2分間加温することで酵素を熱失活させ、ブランクデータとする。
【0020】
得られた値より検量線を作成し、酵素活性を50%阻害する濃度(IC50値)を求める。
【0021】
経口用組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合は、組成物1日量中のサラシア属植物の抽出物の量として、例えばIC50値が50μg/mlのサラシア属植物抽出物を用いる場合、10〜600mgが好ましく、40〜450mgがより好ましく、50〜300mgが特に好ましい。
経口用組成物中の好ましいサラシア属植物の量は、上記の1日あたりの好ましい量より適宜計算できる。例えば、1日摂取量が3錠の錠剤を作製した場合、1錠あたり1日量の1/3を含有することが好ましい。すなわち、サラシア属植物の抽出物を好ましくは3〜200mg、より好ましくは13〜150mg、特に好ましくは17〜100mg含有する。
【0022】
また、下記の式1で求められる値が、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。
経口用組成物全体としてのIC50値は、式2で求められる値として、0.1〜7.5が好ましく、0.15〜4.50がより好ましく、0.3〜3.75が特に好ましい。
[式1]
サラシア属植物抽出物の1日摂取量(mg)/IC50値(μg/ml)
[式2]
経口用組成物質量(mg)/IC50値(μg/ml)
【0023】
また、前記サラシア属植物の抽出物が、抽出物中全量に対して0.8質量%以上の濃度でマンジフェリンを含有していることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましく、3.0〜11質量%であることが特に好ましい。
マンジフェリンは、経口用組成物の1日量中に1mg以上含有されていることが好ましく、1.8mg〜54mgがより好ましく、5.5〜19mgが特に好ましい。
また、経口用組成物全量に対して0.20質量%以上のマンジフェリンが含有されていることが好ましく、0.24〜7.2質量%がより好ましく、0.74〜2.5質量%が特に好ましい。
【0024】
マンジフェリンの含量は実験法2により測定できる。
[実験法2] マンジフェリン含量の測定
マンジフェリンの含有量はHPLCを用いて、以下の方法で測定する。
<HPLC条件>
カラム: Capcellpack C18 UG120 φ4.6×250mm(資生堂)
カラム温度: 40℃
検出: UV360
流速: 1.0mL/min
溶媒A: 1.0% 酢酸 溶媒B: メタノール
リニアグラジエント(%B): 15%(0min)→25%(20min)
サンプルは50%メタノールに溶解させた後、シリンジフィルターで不溶物を除去して調製する。
検出されたマンジフェリンのピーク面積から、標品の検量線を用いて含有量を算出する。
【0025】
本発明に用いられる脱ガス剤とは、ガスを消散除去する作用を有するものであり、生体内、特に腸内を対象とするものである。
【0026】
本発明で用いられる脱ガス剤の例として、消泡剤、消化酵素、植物抽出物、色素、ガス吸着剤の他、グルコン酸塩、酸化亜鉛、グリオキシル酸が挙げられる。これらの脱ガス剤は単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0027】
本発明で用いられる消泡剤としては、シリコーンが例示される。シリコーンとは、シロキサン結合を骨格とした直鎖状の重合物であり、側鎖にメチル基を有するジメチルポリシロキサン(ポリジメチルシロキサンとも言う)が好ましい。通常加水分解及びジクロロジメチルシラン及びクロロトリメチルシランの重縮合により得ることができる。ヒトを含む哺乳動物に対して無害であり、薬理学上経口的に使用できるものであるであることが好ましい。具体的には、重縮合度(n)が20〜400、好ましくは67〜228の範囲にあるものであり、25℃における粘度が20〜1000cs、好ましくは95〜1050csの範囲にあるものである。
【0028】
シリコーンの含有量は、サラシア属植物の抽出物1質量部に対し、0.3〜18.0質量部が好ましく、0.4〜6.0質量部がより好ましく、0.6〜3.6質量部が特に好ましい。
経口用組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合は、組成物1日量中のシリコーンの量として、20〜700mgが好ましく、60〜540mgが好ましく、90〜360mgが特に好ましい。
【0029】
ここで消化酵素とは、消化に携わる酵素一般を広く意味するものである。具体的にはペプチドや蛋白質、炭水化物、脂質又はセルロース等の繊維を基質とするものであり、例えば、ペプチド・蛋白質分解酵素であるプロテアーゼ、炭水化物消化酵素であるカルボヒドロラーゼ、脂肪消化酵素であるリパーゼ及び繊維素消化酵素であるセルラーゼを挙げることができる。なお、プロテアーゼにはポリペプチドに作用するペプチダーゼ及び蛋白質に直接作用するプロテイナーゼが包含され、カルボヒドロラーゼには多糖を基質とするポリアーゼ及びグルコシドやオリゴ糖を基質とするアミラーゼが包含され、更にリパーゼにはリン脂質を基質とするホスホリパーゼも含まれる。
【0030】
本発明に用いられる消化酵素としては、サラシアの持つα‐グルコシダーゼ阻害作用を低減しないものが好ましく、繊維素消化酵素であるセルラーゼ、蛋白質分解酵素であるプロテアーゼが好ましく、より好ましくはセルラーゼである。
【0031】
なお、これらの消化酵素は単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0032】
これらの消化酵素はその由来及び取得方法によって特に制限されるものではなく、植物、動物(ヒトを含む)、微生物等のいずれに由来するものであってもよく、さらに遺伝子工学的手法によって調製されるものであってもよく、ヒトを含む哺乳動物に経口的に投与することのできる消化酵素であることが好ましい。
【0033】
本発明の組成物に含まれる消化酵素の配合割合は、特に制限はされないが、例えば、消化酵素として活性が1,200〜1,800u/gであるセルラーゼを例にすれば、サラシア属植物の抽出物1質量部に対し、0.3〜18.0質量部が好ましく、0.4〜6.0質量部がより好ましく、0.6〜3.6質量部が特に好ましい。
経口用組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合は、組成物1日量中のシリコーンの量として、20〜700mgが好ましく、60〜540mgが好ましく、90〜360mgが特に好ましい。
【0034】
本発明の脱ガス剤として用いられる植物抽出物としては、柑橘類、杜仲、ニガウリ(ゴーヤー、ツルレイシとも称される)、ウメ、ルイボス(Aspalathus linearis)の葉から得られる水性抽出物、マッシュルーム子実体、柿、米ぬか、シソ、レッドビート、海藻、コナラ、サルノコシカケ、イネ科植物抽出物、セージ、ローズマリー、緑茶等を挙げることができ、柑橘類、杜仲、ニガウリ、ウメが好ましく、シークワーサー(柑橘類の1種)の果実、たんかん(柑橘類の1種)の果実、杜仲の葉、ニガウリの果実、ウメの果実が特に好ましい。
【0035】
本発明の脱ガス剤に用いられる植物抽出物とは、根、幹、葉、花、果実などの粉砕物、乾燥物、抽出物またはその乾燥粉末(エキス末)などを意味する。1種類以上の部位を混合して使用しても良い。植物抽出物の調製は、当業者に公知のあらゆる方法で行うことができる。
植物の溶媒抽出を行う場合、抽出溶媒としては、各種の溶媒を用いることができる。したがって、水性溶媒による抽出も、油性溶媒による抽出も行うことができるが、安全性等の観点から、水性溶媒および/またはエタノールで抽出を行うことが好ましく、抽出効率の観点から、加熱した水性溶媒で抽出を行うことがさらに好ましい。本明細書において水性溶媒とは水を含有する溶媒を意味し、水のみでも、水に親水性有機溶媒を加えたものも本発明の水性溶媒に含まれる。親水性有機溶媒としては、例えば、炭素数が1〜5の低級アルコールや低級ケトン、さらには多価アルコールなどを用いることができる。具体的には、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセロール、アセトン、メチルエチルケトン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができる。残留しても人をはじめとする動物や環境に対する影響が少ないため、親水性有機溶媒としてはエタノールが好ましい。さらに、抽出においては、抽出効率の向上などの理由で、他の成分を添加することができる。
【0036】
本発明に用いる植物抽出物の量は、植物の種類によっても異なるが、経口用組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合、組成物1日量中の植物抽出物の量として、10〜2000mgが好ましく、20〜1000mgが好ましく、50〜500mgが特に好ましい。
【0037】
本発明の脱ガス剤に用いられる色素としては、黄色4号、黄色203号、黄色202号の(1)、青色1号、コチニール色素、WATER VIOLET 5、Aminyl Yellow E-3GL 及び C.I. Reactive Brown 8が例示される。これらの色素のうち、特に特に黄色4号、黄色203号、黄色202号の(1)、青色1号及びコチニール色素は、人体への安全性が高く食品添加用色素として許可されている色素であり好ましい。
【0038】
本発明の脱ガス剤に用いられるガス吸着剤は、経口用に適したものであり、木炭、シクロデキストリン類、酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物、その他多孔性材料が例示される。木炭としては、白炭、備長炭、黒炭、竹炭、活性炭が例示される。シクロデキストリン類としては、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンおよびクラスターデキストリンが例示される。マグネシウム化合物としては、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩酸マグネシウム、炭酸マグネシウムが例示される。
マグネシウム化合物の含有量は、経口組成物全体に対し、1〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。また、マグネシウム化合物は、経口組成物1日量中に、100〜200mg含有されることが好ましく、50〜500mg含有されることがより好ましく、10〜2000mg含有されることが特に好ましい。また、マグネシウム化合物は、サラシアエキス末100質量部に対し、10〜200質量部含有されることが好ましく、30〜100質量部含有されることがより好ましく、50〜80質量部含有されることが特に好ましい。
【0039】
本発明の経口用組成物は、乳酸菌類を含有していることが好ましい。乳酸菌類は、ヒトを含む哺乳動物に経口的に投与することができ、生体消化管内で有用な作用を発揮する菌であることが好ましい。
【0040】
より具体的には、宿主に対して無害で、胃酸や胆汁酸に比較的耐性があり、生体腸内に定着性を有して乳酸を産生し、腸内微生物叢を整える作用を有するものが望ましい。かかる有用乳酸菌類としては、例えばアシドフィルス乳酸桿菌(Lactobacillus acidophilus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium longum等)、フェカリス菌(Streptococcus faecalis)、レウテリ乳酸桿菌(Lactobacillus reuteri)、カセイ乳酸桿菌(Lactobacillus casei)、プランタラム菌(Lactobacillus plantarum)、フェルメンタム乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)、ラムノサス乳酸桿菌(Lactobacillus rhamnosus)、アギルス乳酸桿菌(Lactobacillus agilis)、ガセリ菌(Lactobacillus gasseri)、メセンテリカス菌(Bacillus mesentericus)、酪酸菌(Clostridium butyricum)又はそれらのサブスピーシーズ等を例示することができるが、好ましくはアシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium longum等)、フェカリス菌(Streptococcus faecalis)であり、これらの乳酸菌類は1種単独若しくは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0041】
これらの乳酸菌類は、生菌であれば取得の由来は特に制限されず、簡便には商業的に市販されているものを広く用いることができる。
【0042】
本発明に用いる乳酸菌類の量は、経口用組成物の1日あたりの摂取量または目安摂取量を設定する場合、経口用組成物1日量中の乳酸菌類の生菌数として、1000万個〜1000億個が好ましく、5000万個〜500億個がより好ましく、1〜100億個が特に好ましい。
【0043】
本発明の経口用組成物は、ミネラル酵母を含有していることが好ましい。ミネラル酵母とは、ミネラルを含有する酵母を意味する。ミネラルとしては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、硫黄(S)および、微量元素と呼ばれる鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ヨウ素(I)、モリブデン(Mo)、セレン(Se)の16種の金属元素が挙げられる。本発明に用いるミネラル酵母としては、クロムを含有するクロム酵母が好ましい。酵母の種類に特に制限はないが、パン酵母またはビール酵母が好ましい。
クロム酵母のクロム含有量は、クロム酵母100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜1質量部がより好ましく、0.1〜0.3質量部が特に好ましい。
経口用組成物中のクロム酵母含有量は、経口組成物100質量部に対し、3〜5質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、0.5〜50質量部が特に好ましい。
1日の摂取量または目安摂取量を設定する場合、経口用組成物1日量中のクロム酵母量として、5〜500mgが好ましく、10〜100mgがより好ましく、30〜50mgが特に好ましい。経口用組成物1日量中のクロムの量としては、60〜100μgが好ましく、40〜150μgがより好ましく、20〜200μgが特に好ましい。
【0044】
本発明の経口用組成物はヒトを含む哺乳類を対象とし、該哺乳類に経口的に投与される。本発明の経口用組成物は、食品、医薬部外品または医薬品であってもよい。他の成分としては、経口投与剤として薬学的若しくは食品衛生上許容される各種の担体、例えば賦形剤、滑沢剤、安定剤、分散剤、結合剤、希釈剤、香味料、甘味料、風味剤、着色剤などを例示することができる。
【0045】
本発明の組成物の形態は、本発明の効果を奏するものである限り特に制限されず、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、咀嚼剤、カプセル剤、液剤、チュアブル剤、飲料等が挙げられる。その他の食品の形態であってもよい。
【0046】
これらの投与形態は、当該分野で通常知られた慣用的な方法を用いて調製することができるが、セルラーゼの活性また各種乳酸菌の生菌活性を低下させないような条件下で調製されることが望ましい。
【0047】
なお、錠剤、丸剤及び顆粒剤の場合、必要に応じて慣用的な剤皮を施した剤形、例えば糖衣錠,ゼラチン被包剤、腸溶被包剤、フィルムコーティング剤等とすることもでき、また錠剤は二重錠等の多層錠とすることもできる。
【0048】
本発明の経口用組成物には、上記の他にビタミン、ビタミン様物質、タンパク質、アミノ酸、油脂、有機酸、炭水化物、植物由来原料、動物由来原料、微生物、食品用添加物、医薬品用添加物等、経口摂取可能な成分を適宜含有させることができる。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を用いて本発明について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
(合成例1)
サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)とサラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)の根及び幹の部分を粉砕後、熱水抽出工程を経て得られた液をスプレー乾燥し、サラシアエキス末を得た。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、50μg/mlであった。
【0051】
(合成例2)
合成例1で得たサラシアエキス末1質量部とデキストリン1質量部を混合し、希釈サラシアエキス末を作製した。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、103μg/mlであった。
【0052】
(合成例3)
合成例1で得たサラシアエキス末1質量部とデキストリン5質量部を混合し、希釈サラシアエキス末を作製した。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、298μg/mlであった。
【0053】
(合成例4)
合成例1で得たサラシアエキス末1質量部とデキストリン7質量部を混合し、希釈サラシアエキス末を作製した。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、397μg/mlであった。
【0054】
(合成例5)
25〜50歳の男女10名に、表1に記載の各摂取成分を1日3回食前に、3日間服用してもらい、腹部膨満感を感じるかどうかを調べた。
表1に記載したとおり、1日摂取量が240mgの場合、サラシアエキス末のIC50値が300μg/ml以下で腹部膨満感を感じる被験者がいた。また、サラシアエキス末のIC50値が50μg/mlの場合、1日摂取量が30mg以上になると、腹部膨満感を感じる被験者がいた。また、前述の式1の値としては、0.8以上で腹部膨満感を感じる被験者がいた。本発明は、このような腹部膨満感を呈するサラシア属植物のIC50値、1日摂取量の場合に使用されることが好ましい。
【0055】
【表1】

【0056】
(合成例6)
沖縄県産のシークワーサーの果実(果肉および果皮を含む)を粉砕し、含水エタノール(水50wt%含有)で抽出した後噴霧乾燥し、シークワーサー果実エキスを得た。
【0057】
(合成例7)
合成例6のシークワーサーを鹿児島県産のたんかんに置き換えて、たんかん果実エキスを得た。
【0058】
(合成例8)
和歌山県産のウメの果実(果肉および果皮を含む)を粉砕し、熱水抽出した後噴霧乾燥し、ウメ果実エキスを得た。
【0059】
(合成例9)
合成例8のウメを沖縄県産のニガウリに置き換えて、ニガウリ果実エキスを得た。
【0060】
(合成例10)
合成例8のウメの果実を長野県産の杜仲の葉と置き換えて、杜仲葉エキスを得た。
【0061】
(処方例1)
表2〜表4に記載した処方で、1日3錠の錠剤を作製した(つまり、1錠は1日量の1/3を含有する)。使用した原料を以下に示す。なお、数字の単位はmgである。サラシアエキス末は合成例1で作製したものを使用した。
ジメチルポリシロキサン … 東レ・ダウコーニング社製
セルラーゼ … セルラーゼ A「アマノ」3、天野エンザイム社製
クロム酵母 … LALLEMAND BIO−INGREDIENTS(クロム0.2質量%以上含有) LALLEMAND社製
アシドフィルス菌 … アシドフィルス「アマノ」100(菌数:100億個/g以上) 天野エンザイム社製
フェカリス菌 … 活性乳酸菌100(菌数:100億個/g以上) 天野エンザイム社製
ビフィズス菌 … ビフィズス「アマノ」100(菌数:100億個/g以上) 天野エンザイム社製
結晶セルロース … 「ゼオラス」FD‐101 旭化成ケミカルズ社製
木炭 … 紀州備長炭末 キリヤ化学社製
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
実施例および比較例 評価その1
処方例1で作製した錠剤を、サラシアエキス末の摂取によって腹部膨満感を呈する男女10人に1日3回食前に3日間摂取してもらった。サラシアエキス末と賦形剤のみ(処方1)を摂取した場合に比べ、腹部膨満感について、下記の基準で点数づけをしてもらい、10人の平均点を軽減度として表5に記載した。また、同時に便秘または下痢についても下記の基準で点数づけをしてもらった。
【0066】
変化なし … 0点
少し軽減した … 1点
軽減した … 2点
ほぼ消失した … 3点
【0067】
【表5】

【0068】
表5に記載のとおり、サラシアエキス末を含有する経口用組成物に各種脱ガス剤を含有させることにより(処方2〜10)、脱ガス剤を含有しない場合(処方1)に比べ腹部膨満感の症状が軽減した。
また、さらに乳酸菌を含有させることにより(処方12〜20)、腹部膨満感がさらに軽減した。脱ガス剤を含有せずに乳酸菌のみを配合した場合(処方11)、軽減度は小さかった。
また、脱ガス剤に加えクロム酵母を含有させることにより(処方22〜30)、腹部膨満感がさらに軽減した。脱ガス剤を含有せずにクロム酵母のみを配合した場合(処方21)、軽減度は小さかった。
【0069】
さらに、サラシアエキス末と賦形剤のみを含有する組成物(処方1)を摂取した場合に便秘または下痢の症状を呈する被験者も、本発明の組成物(処方2〜10、12〜20、22〜30)を摂取することでその症状が腹部膨満感と同様の傾向をもって改善された。
【0070】
実施例および比較例 評価その2
評価その1の被験者にさらに計1ヶ月間各処方の錠剤を摂取してもらい、飲用前後の体重を測定した。各処方を摂取した場合の体重の減少率[(摂取後の体重−摂取前の体重)/摂取前の体重]を、処方1を摂取した場合の体重の減少率を100とした場合の相対値とする体重減少度として、表6に示した。
【0071】
【表6】

【0072】
比較例(処方1、11、21)に比べ、本発明では体重減少度が増加しており、驚くべきことに、本発明によりサラシアエキス末の持つダイエット効果が亢進されることがわかった。
【0073】
(処方例2)
表7に記載した処方で、1日3錠の錠剤を作製した(つまり、1錠は1日量の1/3を含有する)。使用した原料を以下に示す。なお、数字の単位はmgである。サラシアエキス末は合成例1で作製したものを使用した。
酸化マグネシウム … 食添 酸化マグネシウム(重質) 富田製薬製
塩化マグネシウム … 食添 塩化マグネシウム(6水塩) 富田製薬製
硫酸マグネシウム … 食添 硫酸マグネシウム(3水塩) 富田製薬製
【0074】
【表7】

【0075】
実施例および比較例 評価その3
処方1、処方11、処方21の錠剤および処方例2で作製した錠剤(処方31〜39)を、サラシアエキス末の摂取によって腹部膨満感を呈する男女10人に1日3回食前に3日間摂取してもらった。サラシアエキス末と賦形剤のみ(処方1)を摂取した場合に比べ、腹部膨満感について、下記の基準で点数づけをしてもらい、10人の平均点を軽減度として表8に記載した。また、同時に便秘または下痢についても下記の基準で点数づけをしてもらった。結果を表8に示す。
【0076】
変化なし … 0点
少し軽減した … 1点
軽減した … 2点
ほぼ消失した … 3点
【0077】
【表8】

【0078】
表8に記載のとおり、サラシアエキス末を含有する経口用組成物にマグネシウム化合物を含有させることにより(処方31〜33)、マグネシウム化合物を含有しない場合(処方1)に比べ腹部膨満感の症状が軽減した。
また、さらに乳酸菌を含有させることにより(処方34〜36)、腹部膨満感がさらに軽減した。マグネシウム化合物を含有せずに乳酸菌のみを配合した場合(処方11)、軽減度は小さかった。
また、マグネシウム化合物に加えクロム酵母を含有させることにより(処方37〜39)、腹部膨満感がさらに軽減した。マグネシウム化合物を含有せずにクロム酵母のみを配合した場合(処方21)、軽減度は小さかった。
【0079】
さらに、サラシアエキス末と賦形剤のみを含有する組成物(処方1)を摂取した場合に便秘または下痢の症状を呈する被験者も、本発明の組成物(処方31〜39)を摂取することでその症状が腹部膨満感と同様の傾向をもって改善された。
【0080】
実施例および比較例 評価その4
評価その3の被験者にさらに計1ヶ月間各処方の錠剤を摂取してもらい、飲用前後の体重を測定した。各処方を摂取した場合の体重の減少率[(摂取後の体重−摂取前の体重)/摂取前の体重]を、処方1を摂取した場合の体重の減少率を100とした場合の相対値とする体重減少度として、表9に示した。
【0081】
【表9】

【0082】
比較例(処方1、11、21)に比べ、本発明では体重減少度が増加しており、驚くべきことに、本発明によりサラシアエキス末の持つダイエット効果が亢進されることがわかった。
【0083】
合成例1で得たサラシアエキス末のマンジフェリン含量を[実験法2]に従い測定したところ、0.83質量%であった。
【0084】
(合成例11)
サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)0.5kgおよびサラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)0.5kgの根及び幹の部分を粉砕後、10Lの水を加え、100℃、1時間の条件で抽出し、得られた抽出液を100メッシュのフィルターでろ過した後スプレー乾燥し、50gのエキス末を得た。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、49μg/mlであった。
このサラシアエキス末のマンジフェリン含量を[実験法2]に従い測定したところ、1.0質量%であった。
【0085】
(合成例12)
合成例11と別ロットのサラシア・キネンシス(Salacia chinensis)0.5kgおよびサラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)0.5kgの根及び幹の部分を粉砕後、10Lの水を加え、100℃、1時間の条件で抽出し、得られた抽出液を100メッシュのフィルターでろ過した後スプレー乾燥し、50gのエキス末を得た。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、50μg/mlであった。
このサラシアエキス末のマンジフェリン含量を[実験法2]に従い測定したところ、3.1質量%であった。
【0086】
(合成例13)
合成例11と同ロットのサラシア・キネンシス(Salacia chinensis)0.5kgおよびサラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)0.5kgの根及び幹の部分を粉砕後、10Lのエタノール含有水(エタノール50質量%含有)を加え、30℃、1時間の条件で抽出し、得られた抽出液を100メッシュのフィルターでろ過した後スプレー乾燥し、50gのエキス末を得た。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、50μg/mlであった。
このサラシアエキス末のマンジフェリン含量を[実験法2]に従い測定したところ、10.1質量%であった。
【0087】
(合成例14)
合成例12と同ロットのサラシア・キネンシス(Salacia chinensis)0.5kgおよびサラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)0.5kgの根及び幹の部分を粉砕後、10Lのエタノールを加え、30℃、1時間の条件で抽出し、得られた抽出液を100メッシュのフィルターでろ過した後スプレー乾燥し、50gのエキス末を得た。
前述の[実験法1]に従ってIC50値を測定したところ、49μg/mlであった。
このサラシアエキス末のマンジフェリン含量を[実験法2]に従い測定したところ、29.8質量%であった。
【0088】
(処方例3)
合成例11、合成例12、合成例13および合成例14で作製したサラシアエキス末を用いて、前記の処方1〜10、31〜33と同様にして錠剤を作製した。合成例11のサラシアエキス末を用いたものを「処方1−A」〜「処方10−A」、「処方31−A」〜「処方33−A」、合成例12のサラシアエキス末を用いたものを「処方1−B」〜「処方10−B」、「処方31−B」〜「処方33−B」、合成例13のサラシアエキス末を用いたものを「処方1−C」〜「処方10−C」、「処方31−C」〜「処方33−C」、合成例14のサラシアエキス末を用いたものを「処方1−D」〜「処方10−D」、「処方31−D」〜「処方33−D」とした。それぞれの錠剤のマンジフェリン含量(計算値)を表10〜14に示す。
【0089】
実施例および比較例 評価その5
処方例3で作製した錠剤につき、評価その1〜その4と同様に、軽減度(腹部膨満感、便秘または下痢)および体重減少度について評価を行った。評価その1〜その4の結果を再度表10に、評価その5の結果を表11〜14に示す。
【0090】
【表10】

【0091】
【表11】

【0092】
【表12】

【0093】
【表13】

【0094】
【表14】

【0095】
評価その5より、サラシアエキス末のマンジフェリン含量および経口用組成物のマンジフェリン含量により、軽減度(腹部膨満感、便秘または下痢)に大きな変化はなかった。体重減少度は、マンジフェリン含量が1.0質量%以上のサラシアエキス末を用いることにより、また、マンジフェリン含量が1日量あたり1.8mg以上の経口用組成物とすることにより、また、マンジフェリン含量が0.24質量%の経口用組成物とすることにより、また、マンジフェリン含量が1日量あたり5.6〜18.2mgの経口用組成物とすることにより、それ未満のものに比べて大きく、ダイエット効果が大きかった。また、特に、マンジフェリン含量が3.1〜10.1質量%のサラシアエキス末、また、マンジフェリン含量が0.74〜2.42質量%の経口用組成物とすることにより、特にダイエット効果が大きかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物の抽出物と、脱ガス剤とを含有する経口用組成物。
【請求項2】
経口用組成物中におけるサラシア属植物の抽出物の含有量が、下記関係を満たす量であることを特徴とする、請求項1に記載の経口用組成物。
0.8≦[サラシア属植物抽出物の1日摂取量(mg])/[スクラーゼの50%阻害濃度(μg/ml)]
【請求項3】
サラシア属植物の抽出物におけるスクラーゼの50%阻害濃度が10μg/ml以上300μg/ml以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の経口用組成物。
【請求項4】
経口用組成物の1日量中にサラシア属植物の抽出物を40mg以上含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の経口用組成物。
【請求項5】
前記脱ガス剤が、消泡剤、消化酵素、植物抽出物、色素およびガス吸着剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の経口用組成物。
【請求項6】
前記消泡剤がシリコーンであることを特徴とする、請求項5に記載の経口用組成物。
【請求項7】
前記シリコーンがジメチルポリシロキサンであることを特徴とする、請求項6に記載の経口組成物。
【請求項8】
前記消化酵素がセルラーゼまたはプロテアーゼの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項9】
前記植物抽出物が、柑橘類、杜仲、ニガウリおよびウメからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項10】
前記ガス吸着剤が、木炭またはシクロデキストリン類の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項11】
さらに、乳酸菌類を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項12】
さらに、ミネラル酵母類を含有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項13】
前記ミネラル酵母類が、クロム酵母であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項14】
食品、医薬部外品または医薬品であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項15】
前記ガス吸着剤が、マグネシウム化合物であることを特徴とする、請求項3〜14のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項16】
前記サラシア属植物の抽出物が、抽出物全量に対して0.8質量%以上の濃度でマンジフェリンを含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項17】
経口用組成物の1日量中に1mg以上のマンジフェリンを含有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の経口用組成物。
【請求項18】
経口用組成物が、経口用組成物全量に対して0.20質量%以上のマンジフェリンを含有することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の経口用組成物。

【公開番号】特開2009−215275(P2009−215275A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176923(P2008−176923)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】