説明

サンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法、ならびにサンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの成形方法

【課題】サンドイッチパネルの用途に応じた外形形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法を提供する。
【解決手段】2枚の樹脂製表皮材シート12の間に介在するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材13であって、該熱可塑性樹脂製芯材13は、サンドイッチパネル10の用途に応じて、その内部の所望の位置に密閉中空部を有するとともに、所望の外形および/または表面形状を呈するように、2つの分割形式の金型の間に位置決めした溶融状態の可塑化樹脂材料のパリソンPを2つの分割形式の金型を型締めすることにより成形され、溶融状態のパリソンPの2つの分割形式の金型それぞれに向かって押圧される表面が、対応する樹脂製表皮材シート12との接着面を形成する、ことを特徴とするサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材13。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法ならびにサンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの成形方法に関し、より詳細には、サンドイッチパネルの用途に応じた外形および表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法、ならびに芯材として中空部を有しつつそれ自体の強度を確保する一方、表皮シートとして芯材より高剛性としつつ、芯材と表皮シートとの間の十分な接着性を確保することにより、軽量化および高剛性を達成可能なサンドイッチパネル、および表皮材シート、芯材等構成要素の再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネルを実現可能なサンドイッチパネルの成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、いわゆるサンドイッチパネルが、自動車、航空機等の輸送機械用、建材用、電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用等多用途に用いられてきた。
サンドイッチパネルは、2枚の表皮材シート、両表皮材シートとの間に介在する芯材とを有し、表皮材シート、芯材および表皮材シートの積層構造が基本的形態であるが、用途に応じてサンドイッチパネルに要求される機能が変わる。
たとえば、浴室に使用される内装パネルのように、外観上の美観が重視される反面、それほどの強度が要求されない場合には、外観を呈するおもて面側表皮材シートにさらに化粧材が貼り合わせられ、化粧材の表面性状あるいは全体成形形状が重視され、構造材としての用途の場合には、外観上の美観より強度が要求される。
この点、自動車、航空機等の輸送機械の内装材部品、特に車両用のカーゴフロアボード、デッキボード、リアパーセルシェルフ等は、燃費向上の観点から軽量化が要求されるとともに強度が要求されることから、両表皮材シートおよび芯材が樹脂製である樹脂製のサンドイッチパネルが多用されてきた。
【0003】
従来、このようなサンドイッチパネルは、用途に向けた外形形状に対応するために、両表皮材シートおよび芯材それぞれが個別に切断加工等により製造され、用意された両表皮材シートおよび芯材同士を組み付け、接着等することにより完成してきた。
一方で、両表皮材シートおよび芯材が樹脂製である樹脂製のサンドイッチパネルは、各種の成形方法により製造されてきた。
特許文献1は、押出成形による樹脂製のサンドイッチパネルの成形方法を開示する。
この成形方法は、サンドイッチパネルを構成する各表層をそれぞれ、Tダイから押し出して、溶融状態の表層の溶融熱を利用して各表層を溶着することにより、層間の接着性が良好なサンドイッチパネルを連続的に製造することが可能である。
特許文献2は、射出成形による樹脂製のサンドイッチパネルの成形方法を開示する。
この成形方法は、表皮層と内部層が異なる組成物からなるサンドイッチパネルにあって、表皮層を形成する組成物を第1シリンダから表皮層の厚さを形成するのに必要なだけ射出し、次いで、内部層を形成する組成物を第2シリンダから高速で射出することにより、表皮層の厚さの薄いサンドイッチパネルを成形することが可能である。
【0004】
このような射出成形による樹脂製のサンドイッチパネルの成形方法によれば、断面形状が一定の成形体のみならず、断面形状が変化する自由な外形形状の成形体を製造することが可能であり、この点で、押出成形に比べて、成形物の形状に対する制約性が低い。
しかしながら、射出成形方法は、密閉金型空間内に溶融樹脂を圧入し、密閉金型内面に押し付けることにより、溶融樹脂を賦形する形態を採用することから、射出成形方法単独で、内部に密閉中空部を有する成形体を成形することは、技術的に困難である。
たとえば樹脂製のサンドイッチパネルを自動車のカーゴフロアリッドとして利用する場合、自動車内の限られたスペース内に収める必要から、外形形状が種々の曲率の曲線を含めた複雑な形状となり、一方、樹脂製のサンドイッチパネルを構造材として利用する場合、外部荷重に応じて局所的に剛性を確保するため、それに対応した内部構造が必要となる。
この点において、第1の観点として、サンドイッチパネルの用途に応じた外形形状、表面形状および内部構造を所望に達成可能なサンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法の実現が要望されている。
【0005】
ところで、たとえば樹脂製のサンドイッチパネルを自動車のカーゴフロアリッドとして利用する場合、単に外観上の美観だけでなく、カーゴフロアリッドに重量物の荷物を載置する用途に用いられることから、荷物の重量に耐える剛性(特に曲げ剛性)が必要である反面、燃費向上の観点から軽量化が要求され、高剛性および軽量化という両立させるのが困難な技術的課題を克服することが必要である。
そのため、このような用途に向けた樹脂製のサンドイッチパネルとして、表皮材シートとしては、ヤング率の高い硬い樹脂材料を採用し、一方芯材としては、嵩(芯材の厚み)をかせいで、両表皮材シートの間隔をなるべく広げることにより断面係数を増大させつつ、芯材自体としては、軽量化を図るために、たとえば発泡材料を採用したり、あるいは内部に中空部を設けたり、あるいは表面に多数の窪みを設けたりするものが採用されている。
特に、昨今、高剛性および軽量化が要求される樹脂製のサンドイッチパネル向けの芯材として、いわゆるハニカム構造の樹脂製芯材が注目されている。
【0006】
このハニカム構造の樹脂製芯材は、一方の表面の側で突出するように芯材の他方の表面に開口形状が正六角形の角錐台形状の窪みを多数設けたタイプ、あるいは芯材の表面に開口形状が正六角形の角柱形状の貫通穴を多数設けたタイプに大別される。
このようなハニカム構造の樹脂製芯材によれば、多数の窪みあるいは多数の貫通穴を芯材の表面に最も効率的に密接配置可能であることから、空隙率を確保して軽量化を達成することが可能である。
【0007】
特許文献3は、円錐台形状の多数の窪みを有する樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルについて、押出成形により段ロールを用いて成形されたサンドイッチパネルを開示する。
このサンドイッチパネルは、2枚の樹脂製表皮材シートと、両表皮材シートとの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材とを有し、該樹脂製芯材はそれぞれ、内方に向かって先細の複数の円錐台窪みが外表面に設けられた一対の熱可塑性樹脂製板材を有し、複数の円錐台窪みそれぞれは、段ロールの表面に設けられた複数の突起体により形成され、内表面側で突出し最先細部に突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部を段ロールによる押圧力により突き合わせ溶着することにより、芯材が形成される。
このようなサンドイッチパネルによれば、複数の窪みにより空隙率を確保することにより、軽量化を達成可能である。
しかしながら、芯材を構成する一対の熱可塑性樹脂製板材同士の接着性が不良で、サンドイッチパネル全体として十分な曲げ剛性を奏することができない。
【0008】
より詳細には、段ロールによれば、一対の樹脂製板材がロールの間に送られて、その位置で押圧力が付加されて接着されることから、一対の樹脂製板材同士の接着は、面接着より点接着に近くしかも接着時間が短いため、十分な接着性を確保できない。
この点、いわゆる金型を用いた成形によれば、金型による成形の制約から、複数の窪みは内方に向かって先細のテーパ角度を設けざるを得ないが、金型の型締により十分な溶着時間を確保可能であり、このような問題点を引き起こす恐れはない。
【0009】
特許文献4は、金型による成形の1つであるシート成形(圧縮成形)による樹脂製サンドイッチパネルの製造方法を開示する。
より詳細には、2つの分割金型の間に、表皮材シートおよび芯材(場合により化粧材)を配置して、分割金型を型締することにより、金型内の表皮材シートおよび芯材を加圧して賦形するとともに、表皮材シートと芯材とを溶着することが可能であり、この点で一度にサンドイッチパネルを形成することが可能である。
しかしながら、型締により賦形あるいは溶着するためには、表皮材シートおよび芯材はいずれも、溶融状態とする必要があり、表皮材シートが、たとえば原反ロールから連続シートとして繰り出される場合には、赤外線ヒータ等で分割金型への配置前に再加熱する必要があり、このような再加熱に起因して、以下のような技術的問題点が引き起こされる。
第1に、シート成形によるサンドイッチパネルでは、複雑な外形形状、表面模様を実現することが困難な点である。より詳細には、このような再加熱は外表面からの加熱であるためシートの内部まで十分な溶融状態とすることが困難であり、十分な溶融状態とするために加熱時間を長くすると、シートが自重により弛み、成形自体が困難となり、成形するとしても金型キャビティへの転写性あるいは追従性が劣化し、複雑な外形形状あるいは表面のシボ模様等を実現することが困難となる。
第2に、シート成形によるサンドイッチパネルでは、構造体としての用途に用いる場合、十分な強度を有するサンドイッチパネルを得るのが困難な点である。より詳細には、上述のような再加熱の成形性への悪影響に起因して、表皮材シート同士の溶着部分である外周パーティングラインPLの溶着強度、あるいは表皮材と芯材との間の溶着強度が劣化するため、サンドイッチパネル全体としての強度が低下する。
これらの点に鑑み、第2の観点として、表皮材シート、芯材等構成要素の再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネルを実現可能なサンドイッチパネルの製造方法が要望されている。
【0010】
この点、金型による成形の一つであるブロー成形あるいは真空成形によれば、溶融樹脂を用いてそのまま成形可能であり、いったん一次成形として成形した成形品を再度加熱して、二次成形として成形する無駄を省くことが可能であり、効率的な成形が可能である。
しかしながら、ブロー成形あるいは真空成形によりサンドイッチパネルを成形すると、ブロー比の大小の関係で、特有の技術的問題点がある。
すなわち、サンドイッチパネル全体の曲げ剛性について、芯材と一対の表皮材シートそれぞれとの強固な接着性を前提として、芯材の厚み(嵩)を増大するほど、一対の表皮材シートの断面係数増大によりサンドイッチパネル全体として曲げ剛性の向上を達成可能である。
しかしながら、一方において、芯材の厚み(嵩)を増大するほど、ブロー比が大きくなり、複数の窪みそれぞれの開口の周縁部にだれが生じることにより、平面性がくずれ、それにより芯材の表面の接着面積が実質的に失われ、芯材と表皮材シートとの間に十分な接着性を確保することが困難になるとともに、複数の窪みのテーパ角度が一定の場合に、芯材の厚み(嵩)を増大するほど、芯材の表面における複数の窪みによる開口割合が増大し、それにより接着面積が失われる反面、複数の窪みによる空隙率が増大し、軽量化が促進される。
このように、ブロー成形あるいは真空成形によりサンドイッチパネルを成形する場合、軽量化かつ高剛性を達成するために、芯材の厚み(嵩)と窪みのテーパ角度とのバランスが重要である。
【0011】
一方、サンドイッチパネルに曲げ荷重が負荷された場合に、最大曲げ応力が上下端の表皮材シートに発生するところ、芯材の嵩を確保するとともに、芯材と表皮材シートとの間の強固な接着性を確保するとしても、芯材自体から破壊あるいは破損することもあり得る。この点において、芯材自体の強度確保も必要である。
【0012】
この点において、第3の観点として、芯材として中空部を有しつつそれ自体の強度を確保する一方、表皮シートとして芯材より高剛性としつつ、芯材と表皮シートとの間の十分な接着性を確保することにより、軽量化および高剛性を達成可能なサンドイッチパネルを実現することが要望されている。
【0013】
この点に関連して、特許文献5には、ブロー成形により製造した合成樹脂製構造板が開示されている。より詳細には、合成樹脂製構造板は、ブロー成形された熱可塑性樹脂の板状体からなり、表面と裏面それぞれに、複数の凹陥部がその底面部が互いに背向するように形成されている。
このような構成の合成樹脂製構造板によれば、軽量化とともに板状体の圧縮強さや引張強さを向上させることが可能であると記載されている。
しかしながら、特許文献5は、合成樹脂製構造板を開示するものであり、いわばこのような合成樹脂製構造板を芯材とし、芯材の表裏面それぞれに表皮材シートを固定したサンドイッチパネルを開示するものでない。
ましてや、特許文献5は、表皮材シートと芯材との強固な接着性を前提とするサンドイッチパネルとしての曲げ剛性についてなんら言及するものでない。
【特許文献1】特開昭55−67444号
【特許文献2】特開2005−132016号
【特許文献3】特開2006−103027号
【特許文献4】特開平7−171877号
【特許文献5】特開2008−247003号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上の技術的課題に鑑み、本発明の目的は、サンドイッチパネルの用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材およびサンドイッチパネル用芯材の成形方法を提供することにある。
以上の技術的課題に鑑み、本発明の目的は、表皮材シート、芯材等構成要素の再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネルを実現可能なサンドイッチパネルの成形方法を提供することにある。
以上の技術的課題に鑑み、本発明の目的は、芯材として中空部を有しつつそれ自体の強度を確保する一方、表皮シートとして芯材より高剛性としつつ、芯材と表皮シートとの間の十分な接着性を確保することにより、軽量化および高剛性を達成可能なサンドイッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材は、
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材であって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、サンドイッチパネルの用途に応じて、その内部の所望の位置に密閉中空部を有するとともに、所望の外形および/または表面形状を呈するように、2つの分割形式の金型の間に位置決めした溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のパリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより成形され、
溶融状態のパリソンの2つの分割形式の金型のキャビティそれぞれに向かって押圧される表面が、対応する樹脂製表皮材シートとの接着面を形成する、構成としている。
【0016】
以上の構成を有するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材によれば、2つの分割形式の金型の間に位置決めした溶融状態のパリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより、サンドイッチパネルの用途に応じて、サンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材をその内部の所望の位置に密閉中空部を有するとともに所望の表面形状を呈するように形成する一方、熱可塑性樹脂製芯材の分割形式の金型のキャビティに向かって押圧される表面を通じて、対応する樹脂製表皮材シートと接着され、サンドイッチパネルの用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材を提供することが可能である。特に、芯材を挟んで対向する樹脂製表皮材シート同士の周縁面が互いに溶着することにより、パーティングラインPLが形成され、サンドイッチパネル全体の剛性向上に寄与することも可能である。

【0017】
前記熱可塑性樹脂製材料のパリソンは、筒状、管状あるいはシート状であるのがよい。
また、前記熱可塑性樹脂製芯材は、分割形式の金型のキャビティに向かって押圧される表面に、内方に向かって先細の所定のテーパ角度を備えた複数の窪みを有し、
サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと、前記表面と対応する表皮材シートとの総接着面積との関係で、前記複数の窪みのテーパ角度が決定される、のがよい。
さらに、該熱可塑性樹脂製芯材は、2つの分割形式の金型の間に位置決めした2つの溶融状態のシート状パリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより成形され、該熱可塑性樹脂製芯材は、それぞれ溶融状態のシート状パリソンに基づいて成形される一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、芯材が形成されるのがよい。
【0018】
さらにまた、前記複数の窪みのいずれかが、補強材を埋め込むための溝あるいは貫通孔を形成するのがよい。
加えて、前記サンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材は、補強材を介して連結された分割タイプであり、
該補強材は、前記分割されたサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の端部と嵌合するための凹部を有し、一方前記端部は、該凹部と相補形状の凸部を有するのがよい。

【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネルは、
2枚の樹脂製表皮材シートと、両表皮材シートとの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材とを有するサンドイッチパネルであって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、金型を用いて成形され、一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の突き合わせ部を突き合わせ溶着することにより、芯材が形成され、
一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれは、その表面において対応するシートと接着され、
サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと、両表皮材シートそれぞれと対応する樹脂製板材の表面との総接着面積と、一対の樹脂製板材同士の総突き合わせ面積との相互関係で、前記複数の窪みのテーパ角度が決定される、構成としている。
【0020】
以上の構成を有するサンドイッチパネルによれば、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれの表面に、複数の窪みを設けつつ、一対の熱可塑性樹脂製板材を突き合わせて芯材としての嵩を確保することにより、両表皮材シートとの間隔を拡げてサンドイッチパネル全体としての曲げ剛性を確保するとともに、軽量化を達成することが可能である。
この場合、芯材の嵩を増大するほど両表皮材シートにより曲げ剛性が確保される反面、水平線に対する窪みのテーパ角度が小さくなるほど曲げ剛性が低下する。
その際、嵩が一定であれば、水平線に対する窪みのテーパ角度が小さくなるほど、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれの表面における複数の窪みの開口が大きくなる一方、窪みの突き合わせ平面部の面積が小さくなることから、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれと対応する表皮材シートとの接着面積、および一対の熱可塑性樹脂製板材同士の突き合わせ面積が減少し、一対の熱可塑性樹脂製板材および両表皮材シートの接着固定に伴うサンドイッチパネルの曲げ剛性の向上は減少する。
このことから、サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、両表皮材シート同士の間隔と、両表皮材シートそれぞれと対応する樹脂製板材の表面との総接着面積と、一対の樹脂製板材同士の総突き合わせ面積との相互関係で、前記複数の窪みのテーパ角度を決定することにより、サンドイッチパネルの用途に応じて要求される曲げ剛性に応じて、軽量化を達成しつつ所望の曲げ剛性を得ることが可能である。

【0021】
また、前記複数の窪みは、有底であり、前記突き合わせ部は、突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、芯材が形成されるのがよい。
さらに、前記突き合わせ部は、一対の樹脂製板材の互いに対向する対向面に形成される開口周縁部により形成され、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の突き合わせ部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、貫通穴を有する芯材が形成されるのがよい。
さらにまた、前記複数の窪みはそれぞれ、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面における開口が正六角形の角錐台形状を有するのがよい。
加えて、前記複数の窪みは、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面上で、ハニカム状に配置されているのがよい。

【0022】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネルは、
2枚の樹脂製表皮材シートと、両表皮材シートとの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材とを有するサンドイッチパネルであって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態でブロー成形または真空成形により突き合わせ溶着することにより、芯材が形成され、
一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれは、その表面において対応する表皮材シートと溶着され、
表皮材シートと芯材との接着性が確保可能なように、サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと前記複数の窪みのテーパ角度との関係を決定する、構成としている。

【0023】
以上の構成を有するサンドイッチパネルによれば、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれの表面に、複数の窪みを設けつつ、一対の熱可塑性樹脂製板材を突き合わせて芯材としての嵩を確保することにより、両表皮材シートとの間隔を拡げてサンドイッチパネル全体としての曲げ剛性を確保するとともに、軽量化を達成することが可能である。
この場合、芯材の嵩(厚み)が増大するほど、ブロー比が増大し、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれの表面に設けられる複数の窪みの開口まわりにだれが生じ、平面性が失われ、一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれと対応する表皮材シートとの接着性の確保が困難となる。一方、芯材の嵩(厚み)が一定の場合、複数の窪みそれぞれの水平線に対するテーパ角度を小さくするほど、窪みの開口は大きなる半面、突き合わせ平面部の面積は減少する。
そこで、表皮材シートと芯材との接着性が確保可能なように、サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、芯材の厚みと複数の窪みのテーパ角度との関係を決定することにより、ブロー比に起因する接着性への悪影響を抑制しつつ、一対の熱可塑性樹脂製板材同士の接着部分を形成する複数の窪み同士の突き合わせ平面部の面積を確保する一方、一対の熱可塑性樹脂製板材の表面に設けられた複数の窪みによる開口面積により空隙率を確保することにより、芯材として中空部を有しつつそれ自体の強度を確保する一方、表皮シートとして芯材より高剛性としつつ、芯材と表皮シートとの間の十分な接着性を確保することにより、軽量化および高剛性を達成可能となる。

【0024】
また、前記複数の窪みはそれぞれ、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面における開口が正六角形の角錐台形状を有するのがよい。
さらに、前記複数の窪みは、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面上で、ハニカム状に配置されているのがよい。

【0025】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の成形方法は、
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の成形方法であって、
一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のパリソンを一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型を型締して、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内の溶融状態のパリソン中から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内のパリソンを吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのキャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内のパリソンを賦形する段階と、を有し、
それにより、密閉空間内のパリソンの外形形状および表面形状を成形する構成としている。

【0026】
以上の構成を有する熱可塑性樹脂製芯材の成形方法によれば、熱可塑性樹脂製材料の溶融状態のパリソンを、2つの分割形式の金型の間に金型キャビティのまわりにはみ出す形態で位置決めし、2つの分割形式の金型を型締めすることにより一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成し、密閉空間内のパリソン中から加圧することにより(ブロー成形)、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内のパリソンを吸引することにより(真空成形)、サンドイッチパネルの用途に応じて、一対の分割形式の金型それぞれのキャビティに設けられた凹凸部を準備することを通じて、サンドイッチパネルの用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材を提供することが可能である。

【0027】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の成形方法は、
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネル向けの熱可塑性樹脂製芯材の成形方法であって、
それぞれ、一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのキャビティにおいて間隔を隔てて配置され、かつ該キャビティから対向する分割形式の金型に向かって突出する一対の突起体に対して、シート状パリソンを当接させて、一対の分割形式の金型のキャビティとシート状パリソンとの間に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間を通じてシート状パリソンを吸引することにより、シート状パリソンを一対の分割形式の金型のキャビティに押し当てて、賦形する段階と、
一対の分割形式の金型を型締して、2つのシート状パリソン同士を溶着する段階と、を有し、
それにより、溶着された2つのシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成することを通じて、シート状パリソンの内部に密閉中空部を設けるとともに、シート状パリソンの表面に複数の窪みあるいは複数の貫通穴を設ける構成としている。
【0028】
また、前記賦形段階は、一対の分割形式の金型の少なくとも一方のキャビティに複数設けられた突起体であって、それぞれ、対向する分割形式の金型に向かって先細の形状を有する複数の突起体に対して、対応するシート状パリソンを押し当てることにより、シート状パリソンの表面に複数の突起体に対応する複数の窪みを賦形するのがよい。

【0029】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネルの成形方法は、
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルの成形方法であって、
請求の範囲14ないし16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製芯材の成形方法により成形された芯材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを、前記芯材を挟んで一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型を型締して、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内を吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのキャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内のシート状パリソンを賦形するとともに、シート状パリソンと芯材とを溶着する段階と、を有し、
それにより、内部に芯材を配置した状態で、互いに溶着されたシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成する構成としている。

【0030】
以上の構成を有するサンドイッチパネルの成形方法によれば、溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを利用して、芯材を挟み込む表皮材シートをその場で成形する一方、芯材については、既に成形されたものをそのまま利用することにより、表皮材シートは比較的肉厚が薄いため熱容量が小さく冷えやすいことから、芯材と表皮材シートの冷却速度の差から熱収縮の差が生じ、表皮材シートが波打ったり変形が生じたりすることなしに、表皮材シートの外部からの再加熱に伴い金型キャビティへの転写性あるいは追従性が劣化するのを防止することが可能であるとともに、表皮材シート同士の溶着部分である外周パーティングラインPLの溶着強度、あるいは表皮材と芯材との間の溶着強度が劣化することも抑制することが可能であることから、表皮材シートの再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネルが実現可能である。

【0031】
上記目的を達成するために、本発明に係るサンドイッチパネルの成形方法は、
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルの成形方法であって、
請求の範囲14ないし16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製芯材の成形方法により成形された芯材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
それぞれ、一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを、前記芯材を挟んで、一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型のキャビティにおいて間隔を隔てて配置され、かつ該キャビティから互いに向かって突出する一対の突起体に対して、シート状パリソンを当接させて、一対の分割形式の金型のキャビティとシート状パリソンとの間に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間を通じてシート状パリソンを吸引することにより、シート状パリソンを一対の分割形式の金型のキャビティに押し当てて、賦形する段階と、
一対の分割形式の金型を型締して、2つの可塑化樹脂材料のシート状パリソンと前記芯材とを溶着する段階と、を有し、
それにより、内部に芯材を配置した状態で、互いに溶着されたシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成する構成としている。
【0032】
さらに、溶着された前記2枚の表皮材シートの周縁に形成されるパーティングラインPLが、前記芯材の周縁から離間するように、前記芯材の大きさ、または前記表皮材シートの大きさを決定するのがよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材によれば、2つの分割形式の金型の間に位置決めした溶融状態のパリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより、サンドイッチパネルの用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材を提供することが可能である。
本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の成形方法によれば、2つの分割形式の金型を型締めすることにより一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成し、密閉空間内の熱可塑性樹脂製材料の溶融状態のパリソン中から加圧することにより(ブロー成形)、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内のパリソンを吸引することにより(真空成形)、サンドイッチパネルの用途に応じて、一対の分割形式の金型それぞれのキャビティに設けられた凹凸部を通じて、サンドイッチパネルの用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材を提供することが可能である。
本発明に係るサンドイッチパネルによれば、サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、両表皮材シート同士の間隔と、両表皮材シートそれぞれと対応する樹脂製板材の表面との総接着面積と、一対の樹脂製板材同士の総突き合わせ面積との相互関係で、前記複数の窪みのテーパ角度を決定することにより、サンドイッチパネルの用途に応じて要求される曲げ剛性に応じて、軽量化を達成しつつ所望の曲げ剛性を得ることが可能である。
本発明に係るサンドイッチパネルの成形方法によれば、表皮材シートの外部からの再加熱に伴い金型キャビティへの転写性あるいは追従性が劣化するのを防止することが可能であるとともに、表皮材シート同士の溶着部分である外周パーティングラインPLの溶着強度、あるいは表皮材と芯材との間の溶着強度が劣化することも抑制することが可能であることから、表皮材シートの再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネルが実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係るサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材、このような芯材の成形方法、このような芯材を有するサンドイッチパネル並びにこのようなサンドイッチパネルの成形方法それぞれの実施形態について、サンドイッチパネルとして軽量化かつ高剛性が要求される自動車のカーゴフロアリッドに用いられる場合を例として、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0035】
自動車のカーゴフロアリッド100は、図1に示すように、自動車の制約された後部スペースに収める関係から複雑な外形形状が必要とされ、より具体的には、タイヤハウスを避けるための曲率半径の小さい湾曲部102、自動車の後部形状に沿った曲率半径の大きい湾曲部104、およびカーゴフロアリッドを開閉するためのヒンジ部を構成する局所的な突起部106が必要とされるとともに、表面形状として運転手がカーゴフロアリッドを開閉するための把手を構成する凹部108が必要とされ、その一方で、燃費向上の観点から軽量化が要求されるとともに、上面に荷物等の重量物を載置することから高剛性(特に曲げ剛性)が要求される。
【0036】
図2に示すように、このようなサンドイッチパネル10は、おもて面側表皮材シート12Aと裏面側表皮材シート12Bと、両表皮材シート12A,Bの間に介在する芯材13と、おもて面側表皮材シート12Aの外表面に貼り合わされた化粧材シート14とから構成され、サンドイッチパネル10は、化粧材シート14、おもて面側表皮材シート12A、芯材13、および裏面側表皮材シート12Bの積層構造物である。
【0037】
芯材13は、一対の熱可塑性樹脂製板材16により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材16はそれぞれ、内表面18側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪み20を外表面22に有する。複数の窪み20はそれぞれ、有底であり、最先細部に突き合わせ平面部24を有し、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの対応する窪み20同士の平面部24が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、芯材13が形成されるようにしている。一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれは、その表面において対応する表皮材シート12と溶着されるようにしている。
図3に示すように、複数の窪み20はそれぞれ、芯材13の外表面22における開口26が正六角形の角錐台であり、外表面22上で開口26がハニカム状に配置されている。これにより、芯材13の外表面22に最も密に複数の窪み20を配置することが可能である。複数の窪み20それぞれの開口26の大きさ、窪みの深さおよび隣り合う窪み同士の間隔について、開口26の大きさが大きく、窪みの深さが深く、隣合う窪み同士の間隔が小さいほど、芯材13全体としての空隙率を向上することが可能であり、軽量化に資する反面、後に説明するように、サンドイッチパネル10全体に要求される剛性の観点から、後に説明する窪みのテーパ角度も含め、決定する必要がある。
【0038】
変形例として、複数の窪み20は、芯材13の外表面22において均等に分散配置させるのが好ましいが、その形状は、円錐形状、円錐台形状、円筒形状、角柱形状、角錐形状、半球形状など多種の形状から適宜選択すればよい。
一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれが、後に説明するように、2つの分割形式の金型50の間に位置決めした溶融状態のパリソンPを2つの分割形式の金型50を型締することにより成形される場合、サンドイッチパネル10の用途に応じて、サンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材13をその内部の所望の位置に密閉中空部28を有するとともに所望の表面形状を呈するように形成する一方、熱可塑性樹脂製芯材13の分割形式の金型50のキャビティ52に向かって押圧される表面を通じて、対応する樹脂製表皮材シート12と接着され、サンドイッチパネル10の用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材13を提供することが可能である。特に、芯材13を挟んで対向する樹脂製表皮材シート12同士の周縁面が互いに溶着することにより、パーティングラインPLが形成され、サンドイッチパネル全体の剛性向上に寄与することも可能である。
【0039】
図4に示すように、複数の窪み20はそれぞれ、芯材13の内方に向かって先細のテーパが付けられ、開口26の幅(D1)および底面を構成する薄肉部の幅(D2)は、芯材13の厚みに応じて適宜選択される。より詳細には、芯材13の厚みが一定の場合、芯材13の長手方向に対するテーパ角度(図4においてα)が小さくなるほど、直立する場合(αが90°の場合)に比べ、D1は大きくなる一方、D2は小さくなる。その結果、芯材13の外表面22における総開口面積が増大することから、芯材13の外表面22における対応する表皮材シート12との接着面積が減少する一方、一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の接着部を構成する複数の窪み20の突き合わせ平面部24の総面積も同様に減少する。
【0040】
このことから、特に軽量化および高剛性が機能的に要求されるサンドイッチパネル10の場合、高剛性の表皮材シート12の間の間隔を確保するために、芯材13の嵩(厚み)を確保しつつ芯材13自体の空隙率を確保するのに、芯材13を構成する一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の強固な接着性、および芯材13と表皮材シート12との間の強固な接着性が前提となるところ、芯材13に複数の窪み20を設けることにより空隙率を確保可能であるとしても、窪み20のテーパ角度αに応じて、一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の接着面積、および芯材13と表皮材シート12との間の接着面積が変動し、サンドイッチパネル10としての全体剛性が影響を受けることが容易に理解可能である。
【0041】
以上のように、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの表面に、複数の窪み20を設けつつ、一対の熱可塑性樹脂製板材16を突き合わせて芯材13としての嵩を確保することにより、両表皮材シート12との間隔を拡げてサンドイッチパネル10全体としての曲げ剛性を確保するとともに、軽量化を達成することが可能である。
この場合、芯材13の嵩を増大するほど両表皮材シート12により曲げ剛性が確保される反面、水平線に対する窪み20のテーパ角度αが小さくなるほど曲げ剛性が低下する。
その際、嵩が一定であれば、水平線に対する窪み20のテーパ角度αが小さくなるほど、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの表面における複数の窪み20の開口26が大きくなる一方、窪み20の突き合わせ平面部24の面積が小さくなることから、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれと対応する表皮材シート12との接着面積、および一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の突き合わせ面積が減少し、一対の熱可塑性樹脂製板材16および両表皮材シート12の接着固定に伴うサンドイッチパネル10の曲げ剛性の向上は減少する。
【0042】
このことから、サンドイッチパネル10に要求される曲げ剛性に応じて、両表皮材シート12同士の間隔と、両表皮材シート12それぞれと対応する樹脂製板材16の表面との総接着面積と、一対の樹脂製板材16同士の総突き合わせ面積との相互関係で、複数の窪み20のテーパ角度αを決定することにより、サンドイッチパネル10の用途に応じて要求される曲げ剛性に応じて、軽量化を達成しつつ所望の曲げ剛性を得ることが可能である。
特に、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれが、2つの分割形式の金型50を型締することによりブロー成形あるいは真空成形される場合、芯材13の嵩(厚み)が増大するほど、ブロー比が増大し、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの表面に設けられる複数の窪み20の開口26まわりにだれが生じ、平面性が失われ、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれと対応する表皮材シート12との接着性の確保が困難となる。一方、芯材13の嵩(厚み)が一定の場合、複数の窪み20それぞれの水平線に対するテーパ角度αを小さくするほど、窪み20の開口26は大きくなる半面、突き合わせ平面部24の面積は減少する。
そこで、表皮材シート12と芯材13との接着性が確保可能なように、サンドイッチパネル10に要求される曲げ剛性に応じて、芯材13の厚みと複数の窪み20のテーパ角度αとの関係を決定することにより、ブロー比に起因する接着性への悪影響を抑制しつつ、一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の接着部分を形成する複数の窪み20同士の突き合わせ平面部24の面積を確保する一方、一対の熱可塑性樹脂製板材16の表面に設けられた複数の窪み20による開口面積により空隙率を確保することにより、芯材13として中空部28を有しつつそれ自体の強度を確保する一方、表皮シートとして芯材13より高剛性としつつ、芯材13と表皮材シート12との間の十分な接着性を確保することにより、軽量化および高剛性を達成可能となる。
なお、突き合わせ平面部24は、一対の熱可塑性樹脂製16の互いに対向する対向面に形成される開口周縁部により形成され、一対の熱可塑性樹脂製16それぞれの対応する窪み20同士の突き合わせ部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、貫通穴を有する芯材13が形成されるのでもよい。
【0043】
変形例として、図5に示すように、図4に示す薄肉部を排除することにより、貫通穴27としてもよい。さらに、隣り合う複数の窪み20の間の中実部に中空部を設けて、さらに空隙率を向上してもよい。
【0044】
本発明において、芯材13の材質としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0045】
なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、繊維層との溶着性、機械的強度および成形性のバランスに優れている点で好ましい。芯材13は、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
【0046】
本発明において、表皮材シート12は、ポリプロピレン、エンジニアリングプラスチックス、オレフィン系樹脂などから形成されたシートからなる。芯材13の両側に設けられる表皮材シート12間の間隔、すなわち芯材13の嵩(厚み)を確保することにより、サンドイッチパネル全体としての剛性、特に曲げ剛性を確保する観点から、表皮材シート12の剛性としては、少なくとも芯材13の剛性より高い材質が要求される。
【0047】
より詳細には、表皮材シート12は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型50への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0048】
また、表皮材シート12には衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴム(?)およびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものがよい。
【0049】
さらに、表皮材シート12には芯材13と同様に添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0050】
表皮材シート12の表面に化粧材シート14を設ける場合において、化粧材シート14とは、外観性向上、装飾性、成形品と接触する物(例えば、カーゴフロアボードの場合、ボード上面に載置される荷物など)の保護を目的として構成されるものである。化粧材シート14の材質は、繊維表皮材シート状表皮材、フィルム状表皮材等が適用される。かかる繊維表皮材の素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル、ビニロン等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再生繊維、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、又はこれらのブレンド繊維が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、触感、耐久性及び成形性の観点から、ポリプロピレン又はポリエステルであることが好ましく、ポリエステルであることがより好ましい。繊維表皮材に用いられる糸は、例えば、ポリエステル:(3〜5)デニール×(50〜100)mm等の繊度が3〜15デニール、繊維長さが2〜5インチ程度のステープルの紡績糸と、細い柔軟なフィラメントを束にしたポリエステル:約150〜1000デニール/30〜200フィラメント=約5デニール×30〜200本等のマルチフィラメント、又は、ポリエステル:400〜800デニール/1フィラメント等の太いモノ・フィラメントと、を組み合わせて用いることが好ましい。
【0052】
化粧材シート14の組織としては、不織布、織物、編物、それらを起毛した布地等が挙げられる。なお、織物には、織組織が縦糸、横糸が順次上下に交絡する平組織のほか、何本かの糸を跳び越して交絡する種々の変化織も含まれる。これらの中でも、伸びに対する方向性がないため、立体形状に成形し易く、且つ表面の触感、風合いに優れることから、不織布であることが好ましい。ここで、不織布とは、繊維を平行に又は交互させて積上げるか又はランダムに散布してウエブを形成し、次いでウエブとなった繊維を接合してなる布状品を意味する。これらの中でも、成形品の立体形状再現性及び外観特性の観点から、ニードルパンチ法により製造された不織布であることが好ましい。また、ニードルパンチ法にて得られた不織布は、織物に比べて強度が小で伸度が大であり任意方向に対する変形度合いが大きいので、不織布としての強度を向上させると共に寸法の安定化を図るために、織布にバインダーを付着させる、又は、ウエブと不織布を重ね針でパンチさせておくことがより好ましい。これらのことから、化粧材シート14は、ポリプロピレン不織布又はポリエステル不織布であることがより好ましい。この場合、化粧材シート14自体が熱可塑性であるので、剥離回収後、加熱して変形させることによって、別の用途に用いることも可能である。例えば主体樹脂層をポリプロピレンにて構成し、化粧材シート14をポリプロピレン不織布で構成すると、成形品の主体樹脂層と化粧材シート14とが同じ素材であることから、リサイクルが容易になる。
【0053】
一方、化粧材シート14がポリエステル不織布であると、ポリプロピレンにて構成した主体樹脂層と繊維表皮材との融点が異なるので、成形品に化粧材シート14を接着する際、熱により変質、変形したり、正しい位置に接着できない等の不具合が生じるのを抑制できる。また、この場合、成形性、剛性、外観及び耐久性にも優れる。また、化粧材シート14の引張強度は、立体形状再現性及び成形性の観点から、15kg/cm
2以上であることが好ましく、伸度は、30%以上であることが好ましい。なお、かかる引張強度及び伸度の値は、温度20℃においてJIS−K−7113に準拠して測定したものである。シート状表皮材、フィルム状表皮材としては、熱可塑性エラストマ−、エンボス加工された樹脂層、印刷層が外面に付された樹脂層、合成皮革、滑り止め用メッシュ形状の表皮層等が使用できる。
【0054】
以上の構成を有する芯材13を成形する押出ヘッド40および一対の分割形式の金型50は従来既知であり、図6に示すように、一対の分割形式の金型50はそれぞれ、一対の分割形式の金型50の間に供給されたパリソンPを賦形するキャビティ52が互いに対向するように配置され、それぞれのキャビティ52の表面には、複数の突起体54が形成され、複数の突起体54それぞれは、閉位置で芯材13を成形後に金型50を開位置に移動させる際、成形された芯材13から複数の突起体54を抜くために、対向する金型50に向かって先細のテーパが付けられている。テーパ角度αは、芯材13の長手方向に対して少なくとも75°以上であることが好ましい。複数の突起体54はそれぞれ、正六角形の角錐台形状を有する。これにより、金型50を閉位置に移動させ、金型50を型締する際、2つの分割金型50それぞれのキャビティ52に向かって2つの金型50内の溶融状態のパリソンPが押圧され、それにより溶融状態のパリソンPのキャビティ52に対向する面に複数の突起体54が挿入されて、複数の突起体54の外形と相補形状の窪み20が対向面に形成されるようになっている。
次に、芯材13の成形方法について説明する。
まず、図6に示すように、既知の押出ヘッド40より溶融状態の筒状パリソンPをスリットダイを通じて鉛直下方に押出し、連続の溶融状態の筒状パリソンPを開位置にある2つの分割金型50の間に供給する。
次いで、図7に示すように、2つの分割金型50を開位置から閉位置に移動し、2つの分割金型50を型締する。これにより、密閉空間が構成される。
次いで、この密閉空間を通じて、ブロー成形あるいは真空成形することにより、密閉空間内のパリソンPはキャビティ52に向かって押し付けられ、キャビティ52に沿って賦形される。
より詳細には、ブロー成形の場合、従来既知の方法と同様に、ブローピン(図示せず)を芯材13中に差し込んで内部に加圧流体を導入することにより、パリソンPをキャビティ52に向かって押し付け、真空成形の場合、従来既知の方法と同様に、密閉空間に連通した流路(図示せず)を分割金型50中に設け、この流路を通じて密閉空間を吸引することにより、パリソンPをキャビティ52に向かって吸引し、パリソンPがキャビティ52に向かって押し付けられる。
これにより、溶融状態の連続的な筒状パリソンPにより、熱可塑性樹脂製板材16が構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの対応するキャビティ52に対向する面に、キャビティ52の複数の突起体54が挿入され、対向面に、複数の突起体54に対応する複数の窪み20が形成される。複数の窪み20はそれぞれ、対向面の反対側の面、すなわち内表面18側で突出するように形成され、それにより底部を形成する突き合わせ平面部24が形成される。
その際、2つの分割金型50において、複数の突起体のキャビティ52での配置形態を共通とすることにより、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれにおいて、対応する窪み20の突き合わせ平面部24同士が溶着されるとともに、各金型50のピンチオフ部が当接することにより、連続筒状パリソンPは、その周縁部にパーティングラインPLが形成されると同時に、溶着される。
【0055】
次いで、図8に示すように、金型駆動装置により2つの分割金型50を閉位置から開位置に移動し、2つの分割金型50を型開きする。これにより、成形された芯材13を2つの分割金型50の間から取り出す。
以上で、芯材13の成形が完了する。
【0056】
図9ないし図11は、芯材13として大きさの異なる窪み20を偏在させ、それにより芯材13の内部構造を長手方向(高さ方向)に変化させた変形例である。この例では、押出ヘッドを2基設け(40A、40B)、それぞれから連続シート状パリソンPを押し出すようにしている。この場合、図面上右側の連続シート状パリソンPについてのみ大きさの異なる窪み20を偏在させ、左側の連続シート状パリソンPについては、図4ないし図8と同様に、大きさの等しい窪み20を長手方向(高さ方向)に均等に分布させている。
そのために、図9ないし図11に示すように、図面上右側の金型50のキャビティ52には、大きさの異なる突起体54を設けている。より詳細には、図4ないし図8と同様に、角錐台形状の窪み20のほかに、長手方向(高さ方向)に幅をもたせた角錐台形状の窪み20を設けている。
これにより、図10に示すように、金型50の型締により、右側の連続シート状パリソンPには、突き合わせ底面の広い窪み20が成形され、この突き合わせ底面には、左側の連続シート状パリソンPに形成された2つ分の窪み20の突き合わせ底面が突き合わせられている。
このような構成の芯材13によれば、芯材13の長手方向に内部構造を変化させ、局所的な強度を所望に分布させることが可能である。
【0057】
以上の構成を有する熱可塑性樹脂製芯材13の成形方法によれば、熱可塑性樹脂製材料の溶融状態のパリソンPを、2つの分割形式の金型50の間にキャビティ52のまわりにはみ出す形態で位置決めし、2つの分割形式の金型50を型締めすることにより一対の分割形式の金型50内に密閉空間を形成し、密閉空間内のパリソンP中から加圧することにより(ブロー成形)、あるいは型締された一対の分割形式の金型50を通じて密閉空間内のパリソンPを吸引することにより(真空成形)、サンドイッチパネル10の用途に応じて、一対の分割形式の金型50それぞれのキャビティ52に設けられた凹凸部を通じて、サンドイッチパネル10の用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現可能なサンドイッチパネル用芯材13を提供することが可能である。
【0058】
熱可塑性樹脂製芯材13の成形方法の変形例として、2つの分割金型50を型締する前に溶融状態のパリソンPを賦形してもよい。すなわち、一対の分割形式の金型50のキャビティ52のまわりにはみ出す形態で、2つの熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンPを一対の分割形式の金型50間に位置決めした後、一対の分割形式の金型50それぞれのキャビティ52において間隔を隔てて配置され、かつキャビティ52から対向する分割形式の金型50に向かって突出する一対の突起体(図示せず)に対して、シート状パリソンPを当接させて、一対の分割形式の金型50のキャビティ52とシート状パリソンPとの間に密閉空間を形成する段階と、密閉空間を通じてシート状パリソンPを吸引することにより、シート状パリソンPを一対の分割形式の金型50のキャビティ52に押し当てて、賦形する段階と、一対の分割形式の金型50を型締して、2つのシート状パリソンP同士を溶着する段階と、を有し、それにより、溶着された2つのシート状パリソンPの周縁にパーティングラインPLを形成することを通じて、シート状パリソンPの内部に密閉中空部28を設けるとともに、シート状パリソンPの表面に複数の窪み20あるいは複数の貫通穴を設ける構成としてもよい。
【0059】
その場合、賦形段階は、一対の分割形式の金型50の少なくとも一方のキャビティ52に複数設けられた突起体54であって、それぞれ、対向する分割形式の金型50に向かって先細の形状を有する複数の突起体54に対して、対応するシート状パリソンPを押し当てることにより、シート状パリソンPの表面に複数の突起体54に対応する複数の窪み20を賦形するのがよい。
【0060】
次に、このように成形された芯材13を利用して、サンドイッチパネル10を金型を用いて成形する装置および方法について説明する。
図12に示すように、サンドイッチパネルの成形装置60は、押出装置62と、押出装置62の下方に配置された型締装置64とを有し、押出装置62から押出された溶融状態のパリソンPを型締装置64に送り、型締装置64により溶融状態のパリソンPを成形するようにしている。
押出装置62は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー65が付設されたシリンダー66と、シリンダー66内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター68と、シリンダー66と内部が連通したアキュムレータ70と、アキュムレータ70内に設けられたプランジャー72とを有し、ホッパー65から投入された樹脂ペレットが、シリンダー66内で油圧モータ68によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂がアキュムレータ室に移送されて一定量貯留され、プランジャー72の駆動によりTダイ71に向けて溶融樹脂を送り、ダイスリット(図示せず)を通じて連続的なシート状のパリソンPが押し出され、間隔を隔てて配置された一対のローラ79によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型73の間に垂下される。これにより、シート状のパリソンPはしわまたは弛みがなく張った状態で分割金型73の間に配置される。
【0061】
押出装置62の押出の能力は、成形する表皮材シート12の大きさ、パリソンPのドローダウン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、ダイスリットからの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、パリソンPのドローダウン発生防止の観点から、パリソンPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは30秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂のダイスリットからの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm以上、より好ましくは60kg/時cm以上である。
ダイスリットは、鉛直下向きに配置され、ダイスリットから押し出された連続シート状のパソンは、そのままダイスリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。ダイスリットは、その幅を可変とすることにより、連続シート状のパリソンPの厚みを変更することが可能である。
【0062】
一方、型締装置64も、押出装置62と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型73と、金型73を溶融状態のシート状パリソンPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させ金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型73は、キャビティ74を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ74が略鉛直方向を向くように配置される。それぞれのキャビティ74の表面には、溶融状態のシート状パリソンPに基づいて成形される表皮材シート12の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられる。
【0063】
2つの分割形式の金型73それぞれにおいて、キャビティ74のまわりには、ピンチオフ部76が形成され、このピンチオフ部76は、キャビティ74のまわりに環状に形成され、対向する金型73に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型73を型締する際、それぞれのピンチオフ部76の先端部が当接し、溶融状態のパリソンPの周縁にパーティングラインPLが形成されるようにしている。
2つの分割形式の金型73の間には、一対の金型73と入れ子式に、キャビティ74と略平行に一対の枠部材75が配置され、一対の枠部材75はそれぞれ、開口77を有し、図示しない枠部材駆動装置により一対の枠部材75を水平方向に移動させるようにしている。これにより、一対の枠部材75それぞれを対応する溶融状態のパリソンPに向かって移動して、パリソンPを保持し、その状態で逆向きに、対応する金型73のピンチオフ部76の先端が開口76を通じてパリソンPの表面に当接まで移動させることが可能としている。
【0064】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型73はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型73の間に、2枚の溶融状態の連続シート状パリソンPが、互いに間隔を隔てて配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型73のピンチオフ部76が当接し、環状のピンチオフ部76が互いに当接することにより、2つの分割金型73内に密閉空間が形成されるようにしている。なお、開位置から閉位置への各金型73の移動について、閉位置は、2条の溶融状態の連続シート状パリソンPの中心線の位置とし、各金型73が金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
【0065】
次に、サンドイッチパネル10を成形方法について説明する。
まず、図13に示すように、シート状の化粧材シート14を2つの分割金型73の側方から一方の分割金型73と一方の枠部材75との間に挿入し、一方の分割金型73に設けた仮止ピン(図示せず)により、シート状の化粧材シート14を一方の分割金型73のキャビティ74を覆うように仮止めする。
【0066】
次いで、図14に示すように、溶融状態の熱可塑性樹脂製パリソンPを各ダイスリットから鉛直下方に押し出して、2条の連続シート状パリソンPを2つの分割金型73の間に供給し、それとともに枠部材駆動装置により一対の枠部材75を対応する連続シート状パリソンPに向けて移動する。
次いで、図15に示すように、連続シート状パリソンPを保持した枠部材75を、対応する分割金型73に向かって枠部材75の開口77を通じて金型50のピンチオフ部76が連続シート状パリソンPのキャビティ74に対向する面に当接するまで移動する。これにより、連続シート状パリソンPのキャビティ74に対向する面、ピンチオフ部76およびキャビティ74により密閉空間が形成される。
【0067】
次いで、図16に示すように、それぞれの分割金型73を通じて密閉空間内を吸引し、それにより対応する連続シート状パリソンPがキャビティ74に対して押圧され、キャビティ74に沿った形状に賦形される。なお、図面上左側の連続シート状パリソンPについては、賦形されるとともに、連続シート状パリソンPとキャビティ74との間に介在する化粧材シート14に溶着する。
次いで、図17に示すように、マニピュレータ(図示せず)の吸着盤78により保持された芯材13を2つの分割金型73の間に側方より挿入する。
【0068】
次いで、図18に示すように、マニピュレータを右側の分割金型73に向かって水平方向に移動させることにより、右側の分割金型73のキャビティ74に吸着された連続シート状パリソンPに対して芯材13を押し付ける。これにより、芯材13を連続シート状パリソンPに溶着する。次いで、吸着盤78を芯材13から脱着して、マニピュレータを2つの分割金型73の間から引き抜き、型締の準備を行う。
次いで、図19に示すように、金型駆動装置により2つの分割金型73を開位置より互いに近づく向きに閉位置まで移動させて、型締する。これにより、一方の連続シート状パリソンP(図面右側)に溶着された芯材13は、他方のシート状パリソンPに溶着されるとともに、連続シート状パリソンP同士の周縁が溶着されてパーティングラインPLが形成される。なお、型締の際、芯材13自体は、表皮材シート12とは異なり、予め成形されたコールドな状態で溶融状態の表皮材シート12に対して溶着するため、芯材13自体は、型締により変形を受けないように予め位置決めされている。
【0069】
以上で、化粧材シート14、表皮材シート12、芯材13、および表皮材シート12が積層されたサンドイッチパネル10が完成する。図20は、賦形された表皮材シート12と溶着された芯材13とを一方の金型73のキャビティ74から見た正面図である。109はキャビティ74の突起形成部、110は把手形成用金型突起であり、芯材13は金型キャビティより若干小さな形状であり、把手形成用金型突起を避けた形状となっている。
次いで、図21に示すように、2つの分割金型73を型開きし、完成したサンドイッチパネル10からキャビティ74を離間させ、パーティングラインPLまわりに形成されたバリを除去する。
以上で、サンドイッチパネル10の成形が完了する。
【0070】
以上の構成を有するサンドイッチパネル10の成形方法によれば、溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンPを利用して、芯材13を挟み込む表皮材シート12をその場で成形する一方、芯材13については、既に成形されたものをそのまま利用することにより、表皮材シート12は比較的肉厚が薄いため熱容量が小さく冷えやすいことから、芯材13と表皮材シート12の冷却速度の差から熱収縮の差が生じ、表皮材シート12が波打ったり変形が生じたりすることなしに、表皮材シート12の外部からの再加熱に伴い金型キャビティ52への転写性あるいは追従性が劣化するのを防止することが可能であるとともに、表皮材シート12同士の溶着部分である外周パーティングラインPLの溶着強度、あるいは表皮材シート12と芯材13との間の溶着強度が劣化することも抑制することが可能であることから、表皮材シート12の再加熱の必要なく、十分な強度を確保しつつ任意の外形形状あるいは表面形状のサンドイッチパネル10が実現可能である。
押出機から溶融状態に押出された略均等に加熱可塑化された状態の一対のシート状パリソンPを用いる場合には、周縁部のピンチオフ部強度が10kgf/cm以上、さらには20kgf/cm以上とすることが可能である。予め形成した原反シートを赤外線ヒーターなどで再加熱して成形する所謂シートブロー成形では8kgf/cm程度のピンチオフ部強度しか得られないものであるのに対し、押出機から溶融状態に押出されたシート状パリソンPを用いる場合にはピンチオフ部強度は、10kgf/cm〜35kgf/cmであり、優位性は明らかである。尚、ピンチオフ部強度は金型のピンチオフ部により形成された2枚のシートが溶着一体化されたパーティングラインにおける溶着強度であり、パーティングラインと直行する方向に切り出した25mm幅の試験片を引張試験機を用いて、常温(23℃)にて破断点における強度を測定し、1cm当りの値に換算した。試験片はその略中央に25mm幅のパーティングラインを有し試験片、長さ80mmの、引張試験機のチャックで試験片の両末端をチャック間距離30mmで挟み、引張速度を50mm/分で測定を行った。試験片を切り出した際に試験片が屈曲している場合には、試験片の両末端をチャックで挟むことができるようにパーティングラインから20mm以上離れた部位を熱源にて加熱変形させ試験片の両末端が180°開いた状態に変形させる。
サンドイッチパネル10の成形方法の変形例として、一対の分割金型73の型締後に賦形を行ってもよい。すなわち、一対の分割形式の金型73を型締して、一対の分割形式の金型73内に密閉空間を形成する段階と、密閉空間内から加圧することにより(ブロー成形)、あるいは型締された一対の分割形式の金型73を通じて密閉空間内を吸引することにより(真空成形)、一対の分割形式の金型73それぞれのキャビティ74に設けられた凹凸部により、密閉空間内のシート状パリソンPを賦形するとともに、シート状パリソンPと芯材13とを溶着する段階と、を有し、それにより、内部に芯材13を配置した状態で、互いに溶着されたシート状パリソンPの周縁にパーティングラインPLを形成してもよい。
さらなる変形例として、芯材13の一対の分割金型73の間への位置決めのタイミングについて、一対の分割金型73の型締前である限り、上述のように、表皮材シート成形用のシート状パリソンの一対の分割金型73の間への供給の後であってもよいし、前であってもよい。
【0071】
図31に示すように、溶着された2枚の表皮材シート12の周縁に形成されるパーティングラインPLが、芯材13の周端部80から離間するように、芯材13の大きさ、または表皮材シート12の大きさを決定することにより、芯材13の周端部と、ピンチオフ部76により表皮材シート12の互いに溶着された周端部80の間には空間部82を設けてある。これにより、芯材13を一対の表皮材シート12で挟み、かつその一対の表皮材シート12の周端面を互いに溶着して芯材13を表皮材シート12で覆ってなるサンドイッチパネルおよびその製造工程において、表皮材シート12が芯材13の外周端面に沿って互いに接合する方向に引き伸ばされて、薄肉部分が生じたり、一部が破断するような不具合が生ぜず、強度および剛性を損なうことなく外観精度にすぐれたサンドイッチパネルを得ることができる。
【0072】
図32ないし図35に示すように、さらなる変形例として、芯材13は、補強材83を用いて補強してもよい。
図32ないし図33は、芯材13が補強材83を介して連結された分割タイプであり、補強材83は分割された芯材13の端部と嵌合するための凹部84を有し、一方芯材の端部は、凹部84と相補形状の凸部86を有する。より詳細には、補強材83は、芯材13の端部と同じ長さの長尺状であってその長さ方向に延びる嵌合溝84を有しており(いわゆるH型押出リンフォースであり)、芯材13の端部を補強材83の嵌合溝84にそれぞれ圧入嵌合して芯材13と補強材83が一体となった1枚の内装材としている。補強材83は、アルミニウムなどの金属製あるいは硬質のプラスチック製である。なお、補強材83はH型押出リンフォースのほか、C形、コ字形、角形パイプ状あるいは円形パイプ状等であって芯材13に嵌合一体化可能な形状であれば適宜のものでよい。
【0073】
補強材83がH型押出リンフォースの場合には、図33に示すようにH型押出リンフォースの嵌合溝に芯材13の端部を圧入して一体化するが、図33(A)に示すようにH型押出リンフォースの嵌合溝84に、その両端または一端に鉤状部88を形成したものとし、芯材13を鉤状部88の係合溝90を形成したものとすれば、補強材83の嵌合溝84に圧入した芯材13の結合状態が強固に保持される。また図33(B)に示すようにH型押出リンフォースの嵌合溝84にその長手方向に多数条の山形細溝(ギザギザ)92を形成し、芯材13の端部を一段低い係合段部94を形成したものとしても同様である。なお、図33(C)に示すように、芯材13の端部に切り込み96を設けておけば、補強材83が通常のH型押出リンフォースであっても補強材83の嵌合溝84に圧入した芯材13の結合状態を強固に保持できる。図33(D)に示すように、芯材13の端部に一段低い係合段部98を形成して芯材13とH型押出リンフォースである補強材83とを同一面とした内装材を構成することができる。

【0074】
図34ないし図35は、芯材13を構成する熱可塑性樹脂製板材16の表面に設けられた複数の窪みを利用して、補強材70を埋め込むための溝あるいは貫通孔とするものである。
より詳細には、図34(A)に示すように、芯材13の嵌合溝内の一端側に角形パイプ状の補強材83に係合させる突起101を、かつ他端側にも突起101より短い突起103を形成してあって、図34(B)に示すように、角形パイプ状の補強材83の一端を突起101に係合したうえ、嵌合溝内に押し込んで他端も突起103に係合させて、芯材13と角形パイプ状の補強材83とを一体としたものである。なお、嵌合溝の他端側を開放状として止め駒を後嵌合することによって角形パイプ状の補強材83を固定する構成とすることもできる。
以上のように、芯材13に補強材を組み込む場合に、それに応じた芯材13の端面形状が必要となるが、本発明によれば、所望の端面形状の芯材13を提供することが可能である。
【0075】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、第1実施形態においては、サンドイッチパネル10の構成要素である芯材13が、連続の筒状溶融パリソンPに基づいて一対の熱可塑性樹脂製板材16により構成される場合を説明したが、それに限定されることなく、溶融状態の管状あるいはシート状パリソンP単体を利用して、成形してもよい。
また、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれが、2つの分割形式の金型50を用いて熱可塑性樹脂製材料の溶融パリソンPに基づいてブロー成形あるいは真空成形される場合を説明したが、それに限定されることなく、一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の強固な接着性が確保される限り、2つの分割形式の金型50を用いてシート成形(圧縮成形)により成形されてもよい。
さらに、第1実施形態においては、芯材13が一対の熱可塑性樹脂製板材16により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれが、その表面に複数の窪み20を有し、複数の窪み20それぞれが、他方の表面側で突出するような形態を有し、一対の熱可塑性樹脂製板材16において、対応する窪み20同士の突き合わせ平面部24を溶着する場合を説明したが、それに限定されることなく、一対の熱可塑性樹脂製板材16同士の強固な接着性が確保される限り、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれの窪み20の底部を突き合わせなくてもよい。
さらにまた、一対の熱可塑性樹脂製板材16それぞれが、その表面に複数の窪み20を有するが、その窪み20は他方の表面側で突出するような形態でなく、それにより対応する窪み20同士の突き合わせ平面部24を溶着しない場合でもよい。
また、第1実施形態においては、カーゴフロアボードに用いられるサンドイッチパネル10として、外観を呈するおもて面側表皮材シート12に対して化粧材シート14を貼り合わせる場合を説明したが、それに限定されることなく、化粧材シート14を省略し、おもて面側表皮材シート12をそのまま露出させてもよい。加えて、カーゴフロアボードに用いられるサンドイッチパネル10に限定されることなく、フットレスト、サイドドアトリム、シートバック、リアーパーセルシェルフ、ドアパネル、座席シート等の自動車内装材、機械器具のキャリングケース、弱電製品の部品、壁材、パーティション等の建築用内装材、椅子等の家具、その他にも、タンク、ダスト、ケース、ハウジング、トレイ、コンテナ等の用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0076】
本発明者は、対向または対称截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルに関し、軽量化と剛性(特に曲げ剛性)との関係を検討するために、コンピュータシミレーション解析を行った。
以下に、解析条件を示す。
(1)解析手法
(i)解析:有限要素法による弾性静解析
(ii)解析コード:汎用コード Marc
(2)解析モデル
(i)解析モデル:芯材と芯材の各面に貼り付けた表皮材シートとからなる3次元1/2対称モデル(図22参照)
ただし、芯材と表皮材シートとの間は、剛結合
(ii)寸法:全体表面積:6000mm
表皮材の肉厚:1.0mm
窪みの形状:正六角形開口の角錐台
(iii)物性値:芯材:材質 発泡ポリプロピレン樹脂(発泡倍率2.5倍)
表皮材:材質 ポリプロピレン+タルク30%
(iv)荷重あるいは支持条件:両端支持の中央一点集中荷重(図22において、A方向の荷重に対して、Bで支持)
芯材のみの場合:1kgf
芯材+表皮材シートの場合:20kgf
(v) 評価項目:変位量(撓み)による曲げ剛性、および窪みによる空隙率
ただし、空隙率=窪みの総開口面積/全体表面積
(3)解析パラメータ
(i)芯材の肉厚:0.396mm、0.447mm、0.495mm、0.536mm、0.550mmおよび0.648mm
(ii)窪みのテーパ角度α)
:75°、80°および85°

(iii) 窪みの開口:7mmおよび10mm
(iv) 窪み間の間隔:1.33mm、3mmおよび6mm
【0077】
解析セットAは、芯材の重量を一定に窪みのテーパ角度α、窪みの開口および窪み間の間隔をパラメータとした場合であり、解析セットBは、芯材の嵩(肉厚)を一定に窪みのテーパ角度α、窪みの開口および窪み間の間隔をパラメータとした場合であり、いずれの解析セットも、窪みのテーパ角度α、窪みの開口および窪み間の間隔により定まる各ケースについて、芯材のみの場合と、芯材の両面に表皮材を貼り付けた場合とを解析している。
【0078】
解析ケースを以下の表1に示す。
【表1】

【0079】
(4)解析結果
(i)芯材の厚み一定の場合の解析セットAと、重量一定の場合の解析セットBとについて、それぞれのケースを比較すれば、芯材の厚みが増大するほど、全体の曲げ剛性が増大することが示されている。
(ii)解析セットAおよびBそれぞれにおいて、窪み間の距離とテーパ角度αが共通で、窪みの大きさのみ異なるケース1とケース3と比較すれば、窪みの大きさが大きいほうが、芯材のみでは曲げ剛性が低下するが、芯材+表皮材シートでは、逆に曲げ剛性が増大する。
(iii)解析セットAおよびBそれぞれにおいて、窪みの大きさとテーパ角度αが共通で、窪み間の距離のみ異なるケース2ないしケース4を比較すれば、窪み間の距離が大きいほうが、芯材のみでは曲げ剛性が増大するが、芯材+表皮材シートでは、逆に曲げ剛性が低下する。
(iv)解析セットAおよびBそれぞれにおいて、窪みの大きさと窪み間の距離が共通で、テーパ角度αのみ異なるケース3、ケース5およびケース6を比較すれば、テーパ角度αが大きいほうが、芯材のみでは曲げ剛性が増大するが、芯材+表皮材シートでは、逆に曲げ剛性が低下する。
(v)解析セットAに関し、芯材+表皮材の場合において、テーパ角度αが共通なケース1ないし4について、空隙率と変位量との関係を図29に示す。図29に示すように、芯材の肉厚が一定の場合、空隙率が大きいほど変形量が小さく、曲げ剛性が増大している。
(vi)解析セットBに関し、同様に、芯材+表皮材の場合において、テーパ角度αが共通なケース1ないし4について、空隙率と変位量との関係を図30に示す。図30に示すように、芯材の重量が一定の場合、空隙率が大きいほど変形量が小さく、曲げ剛性が増大している。
【0080】
以上の結果より、シート面積一定で、表皮材との強固な接着を前提に、サンドイッチパネル全体の曲げ剛性に対する表皮材シートの効果を得るには、芯材自体の曲げ剛性は低下するにも係わらず、なるべく表面上の窪み開口を大きく密に配置し、それにより空隙率を確保し、しかもテーパはなるべく直立させるのがよいという結論を得た。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルが自動車に適用された状態を示す 図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの一部を破断して示す断面斜視 図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の正面図である。
【図4】図3のA-A矢視方向に対応するサンドイッチパネルの断面図である。
【図5】変形例を示す図4と同様なサンドイッチパネルの断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型締前の状態を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型締状態を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型開き状態を示す図である。
【図9】本発明の変形実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型締前の状態を示す図6と同様な図である。
【図10】本発明の変形実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型締状態を示す図7と同様な図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネル用芯材の成形工程における型開き状態を示す図8と同様な図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形装置の概略を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、化粧材シート14を分割形式の金型間に配置した状態を示す図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、表皮材シートを分割形式の金型間に配置した状態を示す図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、表皮材シートを分割形式の金型に当接させた状態を示す図である。
【図16】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、表皮材シートを賦形した状態を示す図である。
【図17】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、芯材シートを分割形式の金型間に配置した状態を示す図である。
【図18】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、芯材シートを一方の表皮材シートに押し付けた状態を示す図である。
【図19】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、分割形式の金型を型締めした状態を示す図である。
【図20】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形装置の一方の金型のキャビティの正面図である。
【図21】本発明の第1実施形態に係るサンドイッチパネルの成形工程において、分割形式の金型を型開きした状態を示す図である。
【図22】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析モデルの図である。
【図23】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース1における解析モデルの図である。
【図24】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース2における解析モデルの図である。
【図25】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース3における解析モデルの図である。
【図26】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース4における解析モデルの図である。
【図27】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース5における解析モデルの図である。
【図28】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析セットAおよび解析セットBそれぞれのケース6における解析モデルの図である。
【図29】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析結果において、芯材の肉厚が一定の場合に空隙率と変形量との関係を示すグラフである。
【図30】本発明の実施例における対向截頭錐形状の窪みを有する芯材を用いたサンドイッチパネルの解析結果において、芯材の重量が一定の場合に空隙率と変形量との関係を示すグラフである。
【図31】本発明の変形実施形態に係るサンドイッチパネルの端部まわりの部分詳細図である。
【図32】本発明の変形実施形態に係るサンドイッチパネルの断面図である。
【図33】本発明の変形実施形態に係るサンドイッチパネルの芯材の組立方法を示す図である。
【図34】本発明の別の変形実施形態に係るサンドイッチパネルの芯材の組立方法を示す図である。
【図35】本発明の別の変形実施形態に係るサンドイッチパネルの断面図である。
【符号の説明】
【0082】
P パリソン
PL パーティングライン
α テーパ角度
10 サンドイッチパネル
12 表皮材シート
13 芯材
14 化粧材シート
16 熱可塑性樹脂製板材
18 内表面
20 窪み
22 外表面
24 突き合わせ部
26 開口
27 貫通穴
28 中空部
40 押出ヘッド
50 金型
52 キャビティ
54 突起体
60 サンドイッチパネル成形装置
62 押出装置
64 型締装置
65 ホッパー
66 シリンダー
68 油圧モータ
70 アキュムレータ
72 プランジャー
73 金型
74 キャビティ
75 枠部材
76 ピンチオフ部
77 開口
78 吸着盤
80 周縁
82 空間部
83 補強材
84 凹部
86 凸部
88 鉤状部
90 係合溝
92 山形細溝
94 係合段部
96 切り込み
98 係合段部
100 カーゴフロアリッド
101 突起
102 小さい湾曲部
103 突起
104 大きい湾曲部
106 突起部
108 凹部
109 突起形成部
110 把手形成用金型突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材であって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、サンドイッチパネルの用途に応じて、その内部の所望の位置に密閉中空部を有するとともに、所望の外形および/または表面形状を呈するように、2つの分割形式の金型の間に位置決めした溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のパリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより成形され、
溶融状態のパリソンの2つの分割形式の金型のキャビティそれぞれに向かって押圧される表面が、対応する樹脂製表皮材シートとの接着面を形成する、
ことを特徴とするサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂製芯材は、分割形式の金型のキャビティに向かって押圧される表面に、内方に向かって先細の所定のテーパ角度を備えた複数の窪みを有し、
サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと、前記表面と対応する表皮材シートとの総接着面積との関係で、前記複数の窪みのテーパ角度が決定される、請求項1に記載のサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。
【請求項3】
該熱可塑性樹脂製芯材は、2つの分割形式の金型の間に位置決めした2つの溶融状態のシート状パリソンを2つの分割形式の金型を型締めすることにより成形され、該熱可塑性樹脂製芯材は、それぞれ溶融状態のシート状パリソンに基づいて成形される一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、芯材が形成される、請求項2に記載のサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。
【請求項4】
前記複数の窪みのいずれかが、補強材を埋め込むための溝あるいは貫通孔を形成する、請求項2に記載のサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。
【請求項5】
前記サンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材は、補強材を介して連結された分割タイプであり、
該補強材は、前記分割されたサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の端部と嵌合するための凹部を有し、一方前記端部は、該凹部と相補形状の凸部を有する、請求項1に記載のサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。
【請求項6】
2枚の樹脂製表皮材シートと、両表皮材シートとの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材とを有するサンドイッチパネルであって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、金型を用いて成形され、一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の突き合わせ部を突き合わせ溶着することにより、芯材が形成され、
一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれは、その表面において対応するシートと接着され、
サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと、両表皮材シートそれぞれと対応する樹脂製板材の表面との総接着面積と、一対の樹脂製板材同士の総突き合わせ面積との相互関係で、前記複数の窪みのテーパ角度が決定される、ことを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項7】
前記複数の窪みは、有底であり、前記突き合わせ部は、突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、芯材が形成される、請求項6に記載のサンドイッチパネル。
【請求項8】
前記突き合わせ部は、一対の樹脂製板材の互いに対向する対向面に形成される開口周縁部により形成され、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の突き合わせ部が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、貫通穴を有する芯材が形成される、請求項6に記載のサンドイッチパネル。
【請求項9】
前記複数の窪みはそれぞれ、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面における開口が正六角形の角錐台形状を有する、請求項7または請求項
8に記載のサンドイッチパネル。
【請求項10】
前記複数の窪みは、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面上で、ハニカム状に配置されている、請求項9に記載のサンドイッチパネル。
【請求項11】
2枚の樹脂製表皮材シートと、両表皮材シートとの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材とを有するサンドイッチパネルであって、
該熱可塑性樹脂製芯材は、一対の熱可塑性樹脂製板材により構成され、一対の熱可塑性樹脂製板材はそれぞれ、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の窪みを外表面に有し、前記複数の窪みそれぞれは、最先細部に突き合わせ平面部を有し、一対の樹脂製板材それぞれの対応する窪み同士の平面部が互いに背向する形態でブロー成形または真空成形により突き合わせ溶着することにより、芯材が形成され、
一対の熱可塑性樹脂製板材それぞれは、その表面において対応する表皮材シートと溶着され、
表皮材シートと芯材との接着性が確保可能なように、サンドイッチパネルに要求される曲げ剛性に応じて、前記芯材の厚みと前記複数の窪みのテーパ角度との関係を決定する、ことを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項12】
前記複数の窪みはそれぞれ、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面における開口が正六角形の角錐台形状を有する、請求項11に記載のサンドイッチパネル。
【請求項13】
前記複数の窪みは、前記熱可塑性樹脂製芯材の前記外表面上で、ハニカム状に配置されている、請求項12に記載のサンドイッチパネル。
【請求項14】
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材の成形方法であって、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のパリソンを一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、金型を型締して、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内の溶融状態のパリソン中から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内の溶融状態のパリソンを吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部の内側であって、キャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内のパリソンを賦形する段階と、を有し、
それにより、密閉空間内のパリソンの外形形状および表面形状を成形することを特徴とする熱可塑性樹脂製芯材の成形方法。
【請求項15】
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネル向けの熱可塑性樹脂製芯材の成形方法であって、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
シート状パリソンを対応するピンチオフ部に当接させることにより、一対の分割形式の金型のキャビティとシート状パリソンとの間に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間を通じてシート状パリソンを吸引することにより、シート状パリソンを一対の分割形式の金型のキャビティに押し当てて、賦形する段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、一対の分割形式の金型を型締して、2つのシート状パリソン同士を溶着する段階と、を有し、
それにより、溶着された2つのシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成することを通じて、シート状パリソンの内部に密閉中空部を設けるとともに、シート状パリソンの表面に複数の窪みあるいは複数の貫通穴を設けることを特徴とする熱可塑性樹脂製芯材の成形方法。
【請求項16】
前記賦形段階は、一対の分割形式の金型の少なくとも一方のピンチオフ部の内側において、キャビティに複数設けられた突起体であって、それぞれ、対向する分割形式の金型に向かって先細の形状を有する複数の突起体に対して、対応するシート状パリソンを押し当てることにより、シート状パリソンの表面に複数の突起体に対応する複数の窪みを賦形する、請求項
14または15に記載の熱可塑性樹脂製芯材の成形方法。
【請求項17】
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルの成形方法であって、
請求項14ないし16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製芯材の成形方法により成形された芯材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを、前記芯材を挟んで一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、一対の分割形式の金型を型締して、一対の分割形式の金型内に密閉空間を形成する段階と、
密閉空間内から加圧することにより、あるいは型締された一対の分割形式の金型を通じて密閉空間内を吸引することにより、一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部の内側であって、キャビティに設けられた凹凸部により、密閉空間内のシート状パリソンを賦形するとともに、シート状パリソンと芯材とを溶着する段階と、を有し、
それにより、内部に芯材を配置した状態で、互いに溶着されたシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成することを特徴とするサンドイッチパネルの成形方法。
【請求項18】
2枚の樹脂製表皮材シートの間に介在する熱可塑性樹脂製芯材を有するサンドイッチパネルの成形方法であって、
請求項14ないし16のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂製芯材の成形方法により成形された芯材を一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
キャビティのまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出するピンチオフ部がそれぞれ設けられた一対の分割形式の金型のキャビティのまわりにはみ出す形態で、2つの溶融状態の熱可塑性樹脂製材料のシート状パリソンを、前記芯材を挟んで、一対の分割形式の金型間に位置決めする段階と、
シート状パリソンを対応するピンチオフ部に当接させることにより、一対の分割形式の金型のキャビティとシート状パリソンとの間に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間を通じてシート状パリソンを吸引することにより、シート状パリソンを一対の分割形式の金型のキャビティに押し当てて、賦形する段階と、
一対の分割形式の金型それぞれのピンチオフ部同士を当接させることにより、一対の分割形式の金型を型締して、2つの可塑化樹脂材料のシート状パリソンと前記芯材とを溶着する段階と、を有し、
それにより、内部に芯材を配置した状態で、互いに溶着されたシート状パリソンの周縁にパーティングラインPLを形成することを特徴とするサンドイッチパネルの成形方法。
【請求項19】
溶着された前記2枚の表皮材シートの周縁に形成されるパーティングラインPLが、前記芯材の周縁から離間するように、前記芯材の大きさ、または前記表皮材シートの大きさを決定する、請求項16ないし18のいずれか1項に記載のサンドイッチパネルの成形方法。
【請求項20】
前記熱可塑性樹脂製材料のパリソンは、筒状、管状あるいはシート状である、請求項1に記載のサンドイッチパネル用熱可塑性樹脂製芯材。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−166561(P2012−166561A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104421(P2012−104421)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2010−511016(P2010−511016)の分割
【原出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】