説明

サンプルマルチ処理

サンプル処理カートリッジは、少なくとも2行長で2列幅のアレイに配列された複数のセグメントを含むことができる。各セグメントは、サンプルカートリッジの少なくとも1つの壁によって規定され得、少なくとも1つの破損可能シールにより、または少なくとも1つの永久シールにより、隣接するセグメントから少なくとも部分的に流体的に隔離され、別のセグメントから出た流体の容量を受容するように拡張可能であり、実質的に流体を含まないように圧縮されたときそのように圧縮されることが可能である。アレイの少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、行の経度軸に沿って位置決めされ、行の緯度軸に沿って実質的に同一の高さを有することができる。少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、永久シールによって分離され得て少なくとも2つのトラックを形成する。少なくとも1つのセグメントは、または破損可能シールによって分離される少なくとも2つの隣接するセグメントは、少なくとも2つのトラックと流体連絡することができる。少なくとも1つのセグメントが少なくとも1つの試薬を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2004年6月7日出願の米国仮特許出願第60/577,692号の利益を主張し、その全体において本明細書に参照によって援用される。次の米国特許出願、第09/910,233号、09/782,732号、10/241,816号、および10/773,775号もそれらの全体において参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
序論
多くの状況で複数の標的物質に対する単一のサンプルの試験が要求されている。加えて、多くの状況で複数のサンプルを、同一の標的物質に対してか異なる標的物質のいずれか全てに同時に試験することが要求されている。診断アッセイ、食品アッセイ、環境サンプルアッセイを実施するとき、特に生体サンプルの処理においてサンプル調製がしばしば要求される。例えば、生体サンプルは、アッセイに適した状態になる前に通常は集中的な要求の厳しい処理を経る。適切なサンプル調製は、特定の温度、濃度、試薬容量、および特に所望のアッセイを妨害し得る材料の除去など正確な状態がしばしば要求される。しばしば、未処理サンプルは、高度な技量のスタッフによって厳しく制御された試験室の設定で適切な処理を受けるため離れた場所に移動する必要がある。通常の処理装置と方法は、大きくて非常に複雑で精緻な計器がしばしば要求される。通常のサンプル処理のこれらの要因では必然的に時間の遅れが生じ、その結果、多くの場合、費用が高くつき、サンプルの完全性が妥協され、診断アッセイを使用する実用性が制約される。
要旨
【0003】
本開示は、サンプルのマルチアッセイ処理と複数のサンプル処理のための装置と方法を提供する。当開示の装置と方法は、サンプルの調製と複数の処理工程を通じた複数のアッセイの実施とを容易化することができる。
【0004】
1つの局面において、サンプル処理カートリッジは、少なくとも2行長および2列幅でのアレイに配列された複数のセグメントを備えることができる。各セグメントは、前記サンプルカートリッジの少なくとも1つの壁で規定され、少なくとも1つの破損可能シールによって、または少なくとも1つの永久シールによって、少なくとも部分的に隣接するセグメントから流体分離され、別のセグメントから出る流体の容量を受容するように拡張可能であり、および、圧縮されると実質的に流体を含まないように圧縮可能である。前記アレイの少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、前記行の経度軸に沿って位置決めされており、前記行の緯度軸に沿った実質的に同一の高さを有している。少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、永久シールによって分離されて少なくとも2つのトラックを形成する。少なくとも1つのセグメントまたは、破損可能シールによって分離されている少なくとも2つの隣接するセグメントは、前記少なくとも2つのトラックと流体連絡することができる。少なくとも1つのセグメントは、少なくとも1つの試薬を含むことができる。
【0005】
別の局面において、サンプルを処理する方法は、少なくとも2行長で2列幅でのアレイに配列した複数のセグメントの少なくとも1つのセグメントへ、少なくとも1つのサンプルを導入する工程を含む。前記アレイの各セグメントは、少なくとも1つの破損可能シールにより、または少なくとも1つの永久シールによって、少なくとも部分的に隣接するセグメントから流体隔離され得、別のセグメントから出た流体の容量を受容するように拡張可能であり、および、圧縮されたとき流体を実質的に含まないように圧縮可能である。少なくとも1行における少なくとも2つの隣接するセグメントは、永久シールにより分離されて少なくとも2つのトラックを形成する。少なくとも1つのセグメントは、前記少なくとも2つのトラックと流体連絡しているか、1以上の破損可能シールにより前記2つのトラックから隔離されているか、のいずれかである枝セグメントであり得る。方法は、前記サンプルを、前記サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合することができる物質で、セグメント内においてインキュベートする工程と、第1のセグメントから隣接する第2のセグメントへ、前記第1のセグメントを圧縮して前記流体を前記第2のセグメントへ進ませることによって、前記流体を移動させる工程と、流体を枝セグメントから前記少なくとも2つのトラックへ分割する工程と、をさらに備えることができる。
【0006】
さらに、別の局面において、サンプルを処理する方法は、少なくとも1つのサンプルを、少なくとも2つのトラックを有するサンプル容器の少なくとも2つのトラックへ導入する工程を含むことができる。各トラックは、別のトラックから隔離され、破損可能シールによって複数の流体隔離されたセグメントへ区分され(discretized)得る。方法は、さらに、各トラックのセグメント内でサンプルを、サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合することができる物質でインキュベートする工程、第1のセグメントを圧縮して、流体を第2のセグメントへ進めることによって、第1のセグメントから隣接する第2のセグメントへ前記流体を移動させる工程、および前記2つのトラックの第1における第1のアッセイと前記2つのトラックの第2における第2のアッセイとを実施する工程とを含み得る。
詳細な説明
【0007】
本開示は、複数のアッセイのための1以上のサンプルを処理する装置と方法を説明する。いくつかの実施の形態において、セグメントのアレイを有するサンプル処理カートリッジは、生体サンプルを複数のアッセイで受容し、蓄え、処理し、および/または分析するための便利な容器を提供している。特定の実施の形態において、サンプル処理カートリッジは、複数の生体サンプルを受容し、蓄え、処理し、および/または分析するための便利な容器を提供している。特定の実施の形態において、このカートリッジは、複数の処理工程を含む同時サンプル処理プロトコルを容易化することができる。特定の実施の形態において、サンプルは、サンプル処理カートリッジに収集することができ、サンプルは次いで分析器に置かれ、次いでこの分析器は、サンプルを処理するためカートリッジセグメントとその内容物を操作する。
【0008】
好適な実施の形態は、破損可能な、および/または永久シールによってアレイの区画に区分されたカートリッジを含む。個別のセグメントは、別のセグメントから出された流体の容量を受容できるよう拡張することができ、圧縮された時には実質的に流体が存在しないように圧縮することができる。特定の実施の形態において、細管は、各複数のセグメントから多量の流体を1つのセグメントで受容することができるように拡張可能であることができる。これによって、サンプルと試薬が1つのセグメントで特定の処理工程を経ることができ、それによりアッセイを実施する機械的構造がより簡単化することとなる。拡張可能セグメントを使用する実施の形態の別の利点は、異なる容量の試薬をセグメント内にパッケージするために同じセグメント構造を使用することができる点であり、これにより、実施するアッセイに応じて同じセグメントを異なる方法でパッケージすることができる。
【0009】
別の好適な実施の形態において、実質的に全セグメントや、セグメントのアレイの一行のセグメントのみを、分析器のアクチュエータによって同時に圧縮することができるようにセグメントを位置決めする。セグメントが1行に位置決めされていることで、他の行に影響することなく、この行を1または最小限の数のアクチュエータで同行内で同時に圧縮することにより、サンプルの並行処理が可能となる。
【0010】
別の実施の形態においては、サンプルを異なるアッセイで処理し、または異なるサンプルを特定のアッセイで処理するため、トラックは、異なる経路から流体的に隔離された複数のセグメントを含む。トラック内のセグメントは、破損可能シールによって接続されている。異なるトラックのセグメントは、永久シールによって互いに隔離されている。
【0011】
図1Aは、2行2列アレイのセグメントを有するカートリッジの1つの実施の形態を示す。このカートリッジは、折り畳み、および/または溶着か他の方法で互いに付着された1以上の可撓性材料で形成することができる壁(図示せず)を有する。このアレイ中の各行は、軸L等の経度軸(longitudinal axis)と、軸La等の緯度軸(latitudinal axis)を有する。セグメント11および21は、破損可能シール74によって接続され第1トラック41を形成する。セグメント12および22は、破損可能シール74によって接続され第2トラック42を形成している。第1トラック41は、第2トラックから永久シール71によって分割されている。特定の好適な実施の形態において、切り込みスロット72が、2つの流体隔離されたセグメントの間で永久シール71を分離することができ、これにより大量の流体を収容するときセグメントが大きく拡張することができ、圧縮されるときトラックの半径方向の動きを妨げないようにすることができる。
【0012】
図1Bは、サンプル処理カートリッジが、3行3列のセグメントを含むことができる別の実施の形態を例示する。第1行の2つのセグメントは、合わされて枝セグメント112を形成している。セグメント21および31は、破損可能シール74によって接続されて第1トラック41を形成している。セグメント22および32は、破損可能シール74によって接続されて第2トラック42を形成している。第1トラック41は、永久シール71によって第2トラックから分割されている。枝セグメント112は、トラック41および42のセグメント21および22と流体連絡しており、これは並行処理のためサンプルをトラック41と42とに分割している。別の実施の形態において、枝セグメント112は、破損可能シールを介してセグメント21および22に接続することができる。
【0013】
好適な実施の形態において、1以上の個別のセグメントが、サンプルを処理するための多様な試薬や緩衝液を含むことができる。流体の動きを導いて破損シールの破損が生ずるように、多様な組み合わせと多様なタイミングで、クランプとアクチュエータをセグメントのアレイに適用することができる。破損可能シールがこのように破損することで、実質的に流体が障害なく内部カートリッジ面を流れるようにさせることができる。好適な実施の形態において、生体サンプルの流れを、処理の進行に伴って、カートリッジのトラックの遠位端の方に導き、一方で廃棄物の流れを反対方向に、サンプルが最初に導入されたトラックの開口の方に移動させることができる。廃棄物は、トラックの開口に近位するカートリッジのセグメント内に蓄えることもできる。
【0014】
実施の形態によっては、サンプルがサンプル注入口を介してカートリッジに導入される。このサンプル注入口は、ロック機構を有するキャップで、可能であれば永久にシールすることができ、廃棄物チャンバは、キャップ内またはセグメント内に配置することができる。このアプローチの重要な利点は、処理されたサンプルが未処理のサンプルが接触した面と接触しないということである。その結果、カートリッジの壁をコーティングしている可能性がある未処理サンプルに存在する微量の反応抑制剤は、未処理サンプルを汚染しにくくなる。
【0015】
このサンプル処理カートリッジは、セグメント10のアレイを含むことができる(図2A−B)。1以上のセグメントが、少なくとも選択された1つの波長の光、いくつかの波長の光、可視光、赤外放射、および/または紫外放射に対して透明であり得る。1以上のセグメントは、可撓性であり得、または少なくとも壁の一部分が可撓性であり得るが、これについては以下に詳細を記載する。111、112、113、114、121、122、123、および/または160−179等のセグメントは、圧縮により実質的に平坦となることができる。1つの実施の形態においては、セグメントのアレイは少なくとも2つのトラックを有し、1つの実施の形態においては、トラックは少なくとも2つのセグメントを有する。セグメントの可撓性のあるアレイによって、2℃と105℃の間等広い温度範囲での操作性、−80℃と120℃との間等さらに広い範囲での蓄え機能、サンプル、標的、および試薬との互換性、低いガス透過性、低い水蒸気移動性、最小の蛍光特性、および/または繰り返しの圧縮と屈曲サイクルの間に弾性を提供することができる。セグメントのアレイは、多様な材料で作成することができ、これには、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリオレフィンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、および/または好適な特性を提供する他の材料が含まれるが限定はされない。透明性、湿潤性、表面平滑性、表面電荷、および熱弾性(thermal resilience)、等のセグメントのアレイの特性がカートリッジの性能に影響を及ぼし得る。これらの特性は、シーディング(seeding)、プラズマ処理、添加物の付与、および照射等に代表されるプロセスによって改善することができる。実施の形態によっては、選択された特性を改善するために添加材をプラスチックに加えることができる。例えば、エルカ酸アミドおよび/またはオレアミド等のスリップ材を加えることができる。実施の形態によっては、いわゆる「アンチブロック」剤を加えることができる。添加物は、プラスチック中で約0.01%から約5.0%の範囲の濃度を有することができる。
【0016】
細管は、押出し、注入モールディング、ブロー成形等広範な好適な方法で製造することができる。1つの実施の形態においては、セグメントのアレイは、連続的に押出しされた細管によって形成される。セグメントのアレイを製造する代替技術には、例えば、鋳造、押出し成形、ブロー成形、二次処理工程によって好適な形状へと作り込むことができる真空または熱形成フィルム等がある。セグメントのアレイの壁材には、同時押出し成形やフィルムラミネーションによる複数層を含むことができる。例えば、内層を高い生体適合性のために選択し、外層を低ガス透過性と低水蒸気移動度のために選択することができる。さらに例えば、内層が、剥離可能シール等破損可能シール74へと容易に形成され、一方外層が弾性で高度に不浸透性であることができる。本開示において使用するために、セグメントのアレイが約0.03mmから約0.8mm、好ましくは0.03mmから約0.5mmの壁厚を有しつつ、このセグメントのアレイがおよそ1気圧の外圧の適用で実質的に平坦化することができることが好適である。
【0017】
実施の形態によっては、装置は、少なくとも1つのセグメントにおいて強化した壁を有することができる。この強化した壁によって、生体サンプルや固体環境サンプル等の固体試料から細胞群を粉砕動作を使用して移動させることができる。さらに実施の形態において、この装置は、可撓性の壁と剛性の壁を有してセグメントのアレイの少なくとも一部を形成することができる。剛性の壁は、溝または凹部等や、セグメントの2つの壁が圧縮により接触したときのチャネルや微小計量カップの形成に至るまで、さらにいくつかの特徴を含むことができる。剛性の壁は、フレーム機能とセグメントを圧縮するサポートとを提供することもできる。
【0018】
セグメント10のサンプルアレイは、1以上のセグメントを有する2つのトラック101および102に区分化することができる。トラック101は、セグメント111、112、131、ならびに141、ならびに/またはサブセグメント121および122、ならびに/または枝セグメント151、ならびに/またはセグメント160から162、および170から172によりそれぞれ形成されたサブトラックを含むことができる。トラック102は、セグメント113、114、123、132、142、および143、ならびに/または枝セグメント152、ならびに/またはセグメント163から169および173から179によりそれぞれ形成されたサブトラックを含むことができる。好適な実施の形態において、トラックは、永久シール71によって規定されて、トラック内のセグメントは、トラック内の隣接するセグメントから流体隔離するように破損可能シール74によって規定されている。サンプルは、トラック101の第1の開口501とトラック102の第2の開口を介して入力することができる。その後、処理したサンプルからの廃棄物が開口を通じて戻されてキャップ90のリザーバ92に蓄えられ、一方で対象物は反対端の方に押されて、それによりセグメントの壁に付着したかもしれない反応抑制剤による対象物の汚染を最小化し、対象物をさらに操作するための好適な試薬を含み得るトラックの清浄なセグメントへ対象物を閉じこめることができる。別の実施の形態において、サンプルは、枝セグメント112への開口接続を介して入れられ処理されて、次いで別の処理のためにトラック41のセグメント21とトラック42のセグメント22に分割されることができる。
【0019】
実施の形態によっては、それぞれが少なくとも1つの試薬を含む少なくとも3つの複数のセグメントを含む第1のトラックを使用する。実施の形態によっては、これらのセグメントは、次の順序で試薬を含む。第2のセグメントの試薬は、溶解試薬、希釈緩衝液または洗浄緩衝液、または基質のいずれかであり得る。第3のセグメントの試薬は、基質、溶解試薬、洗浄緩衝液、または中和試薬のいずれかであり得る。第4のセグメントの試薬は、洗浄緩衝液、懸濁緩衝液、溶出試薬、または核酸増幅および検出試薬のいずれかであり得る。実施の形態によっては、3つのセグメントがトラックに連続的に配列され、一方で別の実施の形態においては、これらの3つのセグメントが別のセグメントかその間のセグメントによって分離される。
【0020】
実施の形態によっては、それぞれが少なくとも1つの試薬を含む少なくとも2つの複数のセグメントを含む第2のトラックを使用することができる。実施の形態によっては、これらのセグメントが次の順序で試薬を含む。第2のセグメントの試薬は、基質、捕捉分子(capture molecule)、検出物質、および/または希釈もしくは洗浄緩衝液であり得る。第3のセグメントの試薬は、基質、捕捉分子、検出物質、洗浄緩衝液であり得る。第4のセグメントの試薬は、洗浄緩衝液、懸濁緩衝液、検出エンハンサー、溶出試薬、表示分子(display molecule)、または核酸増幅および検出試薬であり得る。実施の形態によっては、3つのセグメントが、トラック内に連続的に配列されるものある一方、他の実施の形態においては、これらの3つのセグメントが別のセグメントやその間のセグメントによって分離される。検出物質は、抗体、蛍光群へ抱合された抗体、ランタニドキレートへ抱合された抗体、核酸へ抱合された抗体、抗体、蛋白質、もしくはペプチドを示すバクテリオフォージもしくはウィルス、抗体、蛋白質、もしくはペプチドを示す細胞であり得る。核酸へ抱合された抗体、インビボで合成された抗体を示すバクテリオファージまたは細胞(従って、バクテリオファージ、ウィルス、または細胞によってコード化される。)は、核酸試験によって検出することができる。
【0021】
好適な実施の形態において、例えば、特定のアッセイを実施するため液体試薬と乾燥試薬の2つを再生するのに適切となるまで、液体試薬から乾燥試薬を分離する際に、または反応が所望されるまで化学的反応性の種を分離する際に、破損可能シール機能は有用であり得る。破損可能シール74は、対向する壁が実質的に合わさったセグメント10のアレイの領域に形成することができる。しかし、
この合わさった壁は、セグメント配列の壁や前にシールした面をひどく損傷することなく後で剥離されるのを防ぐことができるほど強くは合わさっていない。このようなシールを「剥離可能」シールと名付けるとができ、一種の破損可能シールである。剥離可能シールは、約0.2mmから5mm、好ましくは約0.5mmから約3mm、最も好ましくは0.8から約1.5mmの範囲の幅を有することができる。実施の形態によっては、シールバンドが、高さと形状で変更可能であり、および/または細管の軸を横切る角度に配向され、このような変更が剥離特性を変化させることができる。
【0022】
セグメントアレイに制御された量のエネルギーを、剥離可能シールが所望される位置に適用することで、破損可能シール74をセグメントのアレイの対向する壁の間に作成することができる。例えば、固定した台に対して特定の時間間隔、特定の圧力で、温度制御されたシーリングヘッドをセグメントのアレイの壁にプレスすることができる。所望のサイズと剥離強度のシールを形成するため、温度、圧力および時間の多様な組み合わせを選択することができる。例えば、ポリプロピレン管材料を加熱するための、105℃と140℃の間の一定温度に維持された温度制御されたシーリングヘッド、3から100気圧の間の正確な圧力を所望のシール領域上に伝達することができるアクチュエータ、およびアクチュエータのシーケンスを1から30秒の間の特定のサイクル時間まで駆動する制御システム、によりエネルギーを送達することができる。この方法を使用して、およそ1気圧の内圧をかけたときに剥がすことができる満足のいくシールをポリプロピレンシートに作成できた。細管へエネルギーを送達する代替の技術には、RFおよび超音波溶接が含まれる。
【0023】
別の実施の形態において、このセグメントのアレイのために、代替の壁材料および混合した材料を使用して剥離可能シールの性能を最適化することができる。例えば、組成と溶融特性が剥離可能シールの形成に最適となる割合で、異なる融点の2つのポリプロピレンポリマーを混合することができる。破損可能シール74に加えてまたは代えて、セグメントのアレイはさらに1以上の圧力ゲートを有することができる。この圧力ゲートは、試験の操作中に制御された力をセグメントのアレイに適用することで、可逆に開放と閉鎖をすることが可能である。
【0024】
フィルタをセグメントに埋設することができる。好適な実施の形態において、可撓性フィルタ材料を積層することでフィルタを形成することができる。サンプルに直接接触するフィルタの最上層は、濾過のために選択された孔サイズを有することができ、フィルタの底層は、濾過中、圧力がかかるときに最上層の支持を提供するため、さらに大きな孔サイズを有する材料を含むことができる。この好適な実施の形態において、フィルタは、袋を形成するように折り畳まれて、その開放端の縁部がセグメントの壁に堅固に付着されることができる。セグメントアレイの外部を圧縮することで、フィルタバッグを有するセグメントは、実質的に平坦化されることができる。別の好適な実施の形態において、セグメント201(図3A−B)は、フィルタ205、フィルタ205の横に位置する入口206、および出口207を含むことができる。セグメント201の横には、さらに溶出緩衝液を含むセグメント203、および少なくとも1つのトラック202が位置する。セグメントのこの構成により、入口206から出口207へフィルタを通る空気等の流体の濾過が可能となり、この次に逆流することで、セグメント203内に洗浄液を使用してフィルタを介してトラック202へ濾過物を溶出する。このアプローチの重要な利点は、サンプル中のフィルタ捕捉した対象物が、フィルタから離脱することができ、トラックに移動して別の処理を受けることができる点である。
【0025】
例示の実施の形態において、1以上の試薬を乾燥試薬として、および/または溶液としてセグメントのアレイの1セグメントに蓄えることができる。実施の形態において、試薬を乾燥様式で貯蔵することができる場合、溶液を隣接するセグメントで蓄えて試薬溶液の再生を容易にすることができる。典型的な試薬の例には、溶解試薬、溶出緩衝液、洗浄緩衝液、デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤、リボヌクレアーゼ阻害剤、プロテナーゼ阻害剤、キレート剤、中和試薬、カオトロピック塩溶液、洗浄剤、界面活性剤、抗凝固剤、発芽溶液、イソプロパノール、エタノール溶液、抗体、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、ホスホチオエート(phosphothioate)核酸プローブ、アプタマー、およびバクテリオファージが含まれる。実施の形態においては、試薬の1つがカオトロピック塩溶液であり、好適な成分は、イソシアン酸グアニジウム、もしくは塩酸グアニジウムまたはこれらの組み合わせである。実施の形態によっては、サンプルが入る開口に対するセグメントのアレイのトラックに蓄えられ得る試薬の順序が、カートリッジを利用する方法で使用され得る試薬の順次を反映している。好適な実施の形態において、試薬には、サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合することができる物質が含まれる。例えば、物質は特異的に核酸に結合することができ、または核酸プローブが特異的に特定の塩基配列を有する核酸に結合することができる。別の例として、物質は特異的に蛋白質に結合することができ、または抗体は特異的に特定のアミノ酸配列を有する蛋白質に結合することができる。
【0026】
別の例示の実施の形態において、固相物質を、セグメントのアレイの1セグメント内に含むことができ、標的微生物、核酸、蛋白質または細胞等、サンプルの1以上の選択した成分を(そのような成分がサンプル中に存在すれば)捕捉するために使用することができる。捕捉することにより、標的成分を濃縮することができ、サンプルから反応阻止剤や阻害成分を除去するのに役立つ。基質は、標的細胞、ヴィリオン、核酸、蛋白質、または規定の化学的および温度条件下で他に選択された成分を捕捉することができる液相物質または固相物質であり得、異なる化学的および温度条件下で成分を放出することができる。
【0027】
実施の形態において、試薬は、サンプル中の標的に結合する、捕捉分子、抗体、抗原、ファージ、レセプタ、および/またはリガンドであり得る。捕捉分子は、ドナーフルオロフォア(donor fluorophor)もしくはアクセプタフルオロフォア(acceptor fluorophor)、またはDNA等の指標分子でラベル付けすることができる。実施の形態によっては、試薬が、標的または捕捉分子に結合する、検出物質、第2抗体、抗原、ファージ、レセプタ、レセプタ、および/またはリガンドであり得る。検出物質は、ドナーフルオロフォアもしくはアクセプタフルオロフォア、またはDNA等の指標分子でラベル付けすることができる。検出物質は、抗体、蛍光性群に抱合された抗体、ランタニドキレートに抱合された抗体、核酸に抱合された抗体、抗体、蛋白質、もしくはペプチドを示すバクテリオファージもしくはウィルス、抗体、または蛋白質もしくはペプチドを示す細胞であり得る。核酸に抱合された抗体、インビボで合成された抗体を示すバクテリオファージおよび細胞は(従って、バクテリオファージ、ウィルス、または細胞によってコード化される)、核酸試験によって検出することができる。
【0028】
実施の形態によっては、試薬が物質上でコーティングされているものものある。コーティングできる試薬の例として、レセプタ、リガンド、抗体、抗原、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、ホスホチオエート核酸プローブ、バクテリオファージ、シリカ、カオトロピック塩、プロテナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤、リボヌクレアーゼ阻害剤、および発芽溶液がある。実施の形態によっては、基質が細管の乾燥したセグメントに蓄えられ得、一方で別の実施の形態では液体に浸して蓄えられ得る。実施の形態によっては、基質とサンプルが入る開口に対して細管に蓄えることができる試薬の順序が、装置を利用する方法で使用することができる試薬と基質の順序を反映している。
【0029】
基質は、ビーズ、パッド、フィルタ、シート、および/またはセグメント壁面もしくは収集ツールの一部であり得る。実施の形態によっては、基質が複数のビーズであり、このビーズは、シリカビーズ、磁性ビーズ、シリカ磁性ビーズ、ガラスビーズ、ニトロセルロースコロイドビーズ、および磁性ニトロセルロースコロイドビーズであり得る。実施の形態によっては、ビーズは、常磁性であり得、このビーズは磁場によって捕捉されることができる。核酸分子を官能基コーティングされた表面へ選択的な吸着を可能とする試薬の例は、例えば、米国特許第5,705,628号、第5,898,071号、および第6,534,262号に記載されており、参照によって本明細書に援用される。分離は、溶液のイオン強度とポリアルキレングリコール濃度を操作して、核酸を固相表面に選択的に沈降させ、および可逆的に吸着することで達成することができる。
【0030】
これらの固相表面が常時性微粒子であると、標的核酸分子が吸着された磁性ビーズは、核酸を保持しても他の分子を保持しないという条件で洗浄されることができる。この処理を介して隔離した核酸分子は、キャピラリー電気泳動、ヌクレオチド配列決定、逆転写、クローニング、形質移入、形質導入、哺乳類細胞の微量注入、遺伝子治療プロトコル、RNAプローブのインビトロ合成、cDNAライブラリ作成、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に好適である。いくつかの会社は、QIAGEN’のMagAttract(登録商標)、Cortex BiochemのMagaZorb(登録商標)、Roche Applied ScienceのMagNA Pure LC(登録商標)、およびMerck & Co.からMagPrep(登録商標)Silica等磁性ベースの精製システムを提供している。これらのキットは全てマイナス帯電した粒子を使用し、緩衝液条件を操作して、多様な核酸をビーズに選択的に結合し、ビーズを洗浄し、水溶性緩衝液のビーズを溶出する。これらの会社に使用される製品の多くは、カオトロピック塩を使用して核酸が磁性ビーズ上に沈降しやすくしている。例示は、米国特許第4,427,580号、第4,483,920号、および第5,234,809号に記載され、参照により本明細書に援用される。
【0031】
この開示の別の局面は、所与の分析物に対して、当該分析物の異なる成分を検出する試薬を使用して冗長な試験をすることにより、試験の信頼性を高める方法に関する。核酸試験の場合は、通常これには、増幅プライマおよび検出プローブを設計するため多重配列標的の特定を伴い、その一方で蛋白質の場合、通常これには、蛋白質上で異なるエピトープを認識する、特定の蛋白質結合試薬、またはバクテリオファージまたは細胞の表面上に見られる抗体またはペプチドを伴う。冗長な標的検出をするため、異なる核酸標的配列結合プローブ、およびプライマ、ならびに蛋白質エピトープ認識試薬を組み合わせて使用することも考えられる。特定の生物因子のための一連の試験における異なる分析物タイプのこのような組み合わせは、蛋白質試験を伴う核酸試験やその逆から得られた測定結果の確認を提供する。このような相互分析物確認を記述する当業者によって通常使用される用語は、「直交(orthogonal)」確認」である。好適な実施の形態は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)やヒトC型肝炎ウィルス(HCV)等のRNAウィルスを標的とする診断試験のための直交確認の使用である。実際に、これらのウィルスは、個別のヒト宿主に混合した集団(別名、疑似種)で存在することが知られている。当業者は、核酸試験と蛋白質試験に要求されるサンプル処理手順がかなり異なることを知るであろう。
【0032】
実施の形態によっては、基質がパッドである。別の実施の形態においては、基質パッドは、紙、交互に異なる疎水性を有する紙の層、ファイバーグラスフィルタ、または規定の孔サイズを有するポリカーボネートフィルタを含み得る。実施の形態によっては、パッドは、所定の孔サイズを有するフィルタであったり、パッドの表面の選択された一部を覆うための不浸透性シートであり得る。このような濾過デバイスは、全血および/または他のサンプルから、白血球と赤血球(またはウィルスや微生物等の他の粒子)の分離のために使用することができる。パッドは、セグメント壁上またはサンプル収集ツール上に取り付けることができる。実施の形態によっては、パッドは、試薬溶液で浸されることができ、また別の実施の形態においては、パッドが乾燥試薬でコーティングされ得る。
【0033】
実施の形態によっては、圧力ゲートが組み込まれてカートリッジの入口開口を選択的に開閉するか、2つのセグメントの間の接続を選択的に開閉する。例示の実施の形態は、セグメントにチェックバルブを組み込んで液体の流れを一方向に制限する。実施の形態によっては、圧力ゲートが組み込まれて、トラックの遠位端に配置される第2の開口を選択的に開閉して、試験中に生成される物質をカートリッジの外部で別に処理するためトラックから集める。実施の形態によっては、第2の開口は、サンプル処理セグメントからの物質を蓄えるため、2つの圧力ゲート174および176によって規定されるセグメントに配置することができる。実施の形態によっては、破損可能シールおよび圧力ゲートの組み合わせが設けられて、トラックの内容物を第2の開口に移動する。
【0034】
実施の形態によっては、サンプル入力の後にカートリッジを閉鎖するためのカートリッジ閉鎖デバイスが、キャップ90(図2A−AB)およびクランプ310を含むことができる。キャップとセグメントのアレイの第1の開口との間のインターフェースまたはアダプタ60が使用されて、確実な密封シールが確保される。例示の実施の形態において、このインターフェースにはネジ山を付け、キャップにテーパ形体を含むことができ、および/または適度に剛性のチューブフレーム50が、両者を締めたとき、ネジ山がチューブフレームとキャップとの間のテーパ形体に結合するようにかみ合って適切なロックを提供することができる。別の実施の形態において、キャップロックデバイスは、嵌め合い、プレス嵌め、および/またはキャップとチューブホルダの間の他のタイプの「ねじれとロック」機構、およびキャップがヒンジ付けや繋ぎ留めなどによって、同様の永久に細管に取り付けられる機構が含まれ得る。
【0035】
キャップ90およびカートリッジフレーム50は、ポリプロピレン等適切な注入モールドされたプラスチックで作成することができる。カートリッジフレーム50は、次いで、永久密封シールによってセグメントの可撓性アレイに固定することができる。キャップの外部は、容易に取り扱うためのリッジや指グリップで覆うことができる。さらに、キャップ90は、サンプル認識マークやラベル80を取り付けるための領域を含むことができる。さらに代替として、キャップは、密封シールを作成するため、押し嵌めや、キャップの突出部に対して可撓性チューブ開口を押しつけるカラーによって、セグメントのアレイの開口に直接に取り付けられることができる。キャップとカートリッジフレームの間のロックがキー付けまたはガイドされて、キャップ内に組み込まれた収集ツールや機構がカートリッジに対して最終的に方向づけられて、容易にサンプル処理とセグメントのアレイの平坦化をできるようにする。さらに、カートリッジのセグメントのアレイの開口にキャップが導入された後、このキャップが外れることを防ぐため、ラチェットや同様の安全機構等の機構をキャップに組み込むことができる。
【0036】
実施の形態によっては、セグメントのアレイを閉鎖するためのキャップ90が、キャップ本体の中を中空にすることでその中に凹部92を含むことができる。実施の形態によっては、この中空部が、キャップ本体の頂部からキャップ本体の底部におけるオリフィスに至る。チャンバを形成するために、カバーをキャップ本体上に留めることで凹部の頂部を閉鎖することができる。このカバーは、キャップ本体と同一ピースで構成することができる。カバーは、通気孔96を組み込むことができ、また装着された細菌バリア、フィルタ、または液体や特定の温度に晒されたとき通気孔を閉鎖するように拡張する材料をさらに組み込むことができる。チャンバの底は、破損可能な隔壁またはバルブによって開放または閉鎖したままとすることができる。中空チャンバはさらに、可撓性の膜または隔壁94を組み込むことができる。この可撓性隔壁は、ディップ成形、液体注入シリコーン成形、ブロー成形、および/または薄いエラストマー構造の作成に適切な他の方法を使用して製作することができる。可撓性隔壁は、キャップ本体凹部92アセンブリに挿入して、セグメントのアレイの適所にキャップを配置した後、外部環境からカートリッジの内部を有効に隔離することができる。可撓性隔壁は、外部圧力が無ければ、その固有の堅さによって確実に好適な既知の状態の変形であるように設計することができる。別の実施の形態において、可撓性隔壁をプランジャに替えてもよい。例示の実施の形態において、キャップ本体は、適切な熱可塑性材で注入成形され、カートリッジのアッセイ中に生じる廃棄物流体を少なくとも受容することができる容量を有する内部凹部を含む。キャップ本体のチャンバは、試薬の保持や分配、廃棄物流体の保持のためのリザーバとしての作用、一体化した収集ツールのための後退スペース、またはそれらの組み合わせ等の目的のために有用であるよう適合することができる。
【0037】
キャップ90は、スワブ、キャピラリチューブ、液滴器、接種ループ、シリンジ、吸収パッド、ピンセット、さじ、またはスティック等の一体型収集ツールを有して、液体や固体サンプルの収集とこれらのカートリッジへの挿入とを容易にすることができる。収集ツールは、所定量の材料を収集してカートリッジに挿入するように設計することができる。試薬は収集ツール自体の上に蓄えることができる。例えば、収集ツールは、乾燥塩を含ませたスワブを含むことができ、スワブに水が付くとスワブから塩を浮かせて溶液とする。さらに、収集ツールとキャップは、サンプルをカートリッジ内に挿入した後、収集ツール部をキャップ本体に引き込んで、セグメントのアレイの複数のセグメントを実質的に邪魔にならないように設計することができる。
【0038】
キャップ内のチャンバ92を、試薬を蓄えるように作成することができる。そのため、例えば、キャップを締め付けると、隔壁が破れて試薬を放出するように、チャンバのベースを破損可能隔壁やバルブ(図示せず)で閉鎖することができる。このような特徴は、キャップがスワブやスティック等の収集ツールと一体化して形成されているとすると有益である。この場合、キャップチャンバから放出される試薬は、サンプルを収集ツールからチューブセグメントへと洗い落としたり、収集ツールに含まれるサンプルを溶解するのに有用である。セグメントのアレイの可撓性セグメントを圧縮して、セグメントからキャップチャンバの上方へと流体が押されて生成する圧力を使用して、破損可能隔壁を開放することで、キャップチャンバから試薬を放出することもできる。キャップ内のチャンバは、細管内での処理から得られた廃棄物流体を蓄えるように作成することができる。好適な実施の形態において、チャンバのベースは、セグメントのアレイの第1の開口に接続されると開放したままで、セグメントのアレイのトラックとチャンバの間で流体の通過が形成されるようにすることができる。流体がキャップチャンバへ移動すると、内部の可撓性隔壁94は、初期位置から上方に移動して、それによって新たな流体の流入を受け入れることができる。この隔壁の動きは、キャップ本体カバー上に通気孔96を組み込むことで容易になる。
【0039】
流体がキャップチャンバに移動した後、クランプ310またはアクチュエータ312は、セグメントを圧縮し、チャンバ容積を細管セグメントから密封するように作用する。代替の実施の形態において、キャップチャンバは、圧力ゲートやチェックバルブ(図示せず)を組み込んでキャップチャンバからセグメントへ戻る流体の流れを阻止することができる。さらに別の代替として、含有する気体を放出するがセグメント中の容積と病原菌の全てを保持する細菌バリアを含むキャップチャンバカバーで可撓性隔壁を省略することができる。さらに別の代替として、可撓性隔壁は、軸上上方に動いてセグメントからキャップチャンバへ移った追加の流体容量を受け入れるプランジャに置き換えることができる。キャップチャンバ内に流体廃棄物を受け入れる他の方法は、本開示の範囲から逸脱することなく容易に考えられる。
【0040】
実質的に剛性のフレーム50が、セグメントのアレイの少なくとも2つの遠位端を拘束することで、セグメント10の可撓性アレイを適切に張りつめて(taught)保持するように設けられる。例示の実施の形態において、第1の拘束は、セグメントのアレイのサンプル入口開口の周囲でセグメントのアレイをフレームに永久に付着してシールするために設けられることができる。このシールは、熱および/または超音波源を使用してセグメントの可撓性アレイをフレームに溶着することで作成することができる。あるいは、このシールは、エチレンビニルアセテートを有するホットメルト接着剤接合を使用して、またはUV硬化エポキシもしくは他の接着剤を使用する接合を作成することにより、作成することができる。別の実施の形態において、セグメントのアレイは、フレームと機械的にシールされるか挿入成形されることができる。第2の拘束は、セグメントのアレイをフレームのベースに付着してシールするように設けることができる。この第2の拘束の例示の実施の形態において、セグメントのアレイのこの端は、平坦にシールされて、熱および/または超音波溶着技術によって剛性のフレームに付着することができる。あるいは、この接合とシールは、接着または機械的アプローチを使用して形成することもできる。代替の実施の形態において、第2のシールは、第1のシールと同様であり、実質的に開放していて、第2の開口からセグメントの可撓性アレイの内容へアクセスすることができる。セグメントのアレイおよびフレーム材料は、接合の製作のために最適化することができる。例えば、フレームは、1以上の溶着ゾーンに渡って確実に均一な溶着とするために、薄い細管よりも低い融点を有するポリプロピレンで作成することができる。セグメントのアレイとフレームの間の溶着を容易にするために、接合領域をテーパ付けするか、エネルギー方向や溶着性能を高める他に通常使用される特徴を含む他の形状とすることができる。第3および/または第4の拘束は、セグメントのアレイをフレームのベースに付着しシールするために設けることができる。これらの第3および第4の拘束の例示の実施の形態において、セグメントのアレイの2つの側部端が平坦にシールされて、剛性フレームに熱溶着、超音波溶着、および/または他の技術で付着することができる。例示の実施の形態において、剛性フレームは、任意の好適な注入成形によりプラスチックで作成することができる。
【0041】
剛性フレーム50は、セグメントの可撓性配列を容易に圧縮し平坦化するためにいくつかの特徴を取込むことができる。例えば、例示の実施の形態において、セグメント10の可撓性アレイは、圧縮されたときアレイが半径方向への動きを妨げないように、その2つの軸方向の先端でのみ拘束して、半径方向の自由度を最大とすることができる。別の実施の形態においては、セグメントアレイの開口近くでフレームに緩衝領域を含めることで、容易に圧縮することができる。この緩衝領域は、セグメント中で実質的に圧縮された形状から開口で実質的に開放した形状へ可撓性アレイが容易に移行するように使用することができる。セグメントの可撓性アレイを容易に圧縮することができる剛性フレームの他の有用な特徴には、一体的アレイのテンション機構が含まれる。例示の実施の形態において、このテンション機構は、カンチレバーや板バネ等のモールド形態によって、剛性フレームへ直接に作成してセグメントアレイをフレームとの取り付けポイントの1つにおいてピンと張る(taught)ことができる。
【0042】
剛性フレーム50によって、チューブ識別、取扱い、サンプル装填、およびキャップへのインターフェースが容易になる。例えば、フレームは、ラベルや付着の書込み80を介してカートリッジを識別するための追加の領域を提供することができる。フレームのプラスチック材は、キャップ材とともにカラーコード化されて装置とその機能を認識しやすくすることができる。フレームは、厚みの変化や受容器具への、または製造中の方向をガイドするキー等の特別の特徴を組み込むことができる。フレームは、スリーブ90へ、またはセグメントの可撓性アレイを不測の取扱い上のダメージ、光への露出、および/または熱への露出からカバーしたり保護するためのパッケージングへインターフェースすることができる。剛性フレームの本体はまた、セグメントのアレイを保持するのに都合のいい構造を提供している。フレームは、偏向板(deflector)やさじ等の一体化した収集ツールを有して、サンプルを容易に装置に収集することができる。フレームのサンプル受容端は、また収集したサンプルをセグメントのアレイの開口へとガイドするテーパ付けされているか漏斗型の内面を組み込むことができる。
【0043】
別の実施の形態において、複数のセグメントのアレイが鎖状テープ形式で接続することができる。特定の好適な実施の形態において、セグメントのアレイのテープは、リールへと巻かれてカセットに収容することができ、使用していないセグメントのアレイが第1のリールに蓄えられ、一方セグメントの使用したアレイが第2のリールに蓄えられる。2つのリールを接続するセグメントの露出したアレイ上で試験がなされる。これにより、特に特定の時間間隔での自動化した繰り返し試験のために、1つの都合のいい形式でセグメントの複数のアレイを蓄えることができ。ここで使用されていないセグメントのアレイは、サンプルを受容して処理するため順方向に(forward)インデックス付けすることができる。
【0044】
実施の形態によっては、本明細書に記載した装置を使用してサンプルを処理する方法が考慮される。特定の実施の形態において、このような試験のイベントの手順には、以下が含まれ得る。1)収集ツールを使用してサンプルを収集する、2)収集したサンプルを、カートリッジに導入する。このカートリッジは、試験中に必要な試薬を含み得るセグメントの可撓性アレイを含むことができる。3)事前に選択されたサンプルの成分を捕捉することでサンプルを処理する。4)処理したサンプルを複数の流体隔離したトラックへ分割する。および5)少なくとも1つのトラックにおいて事前に選択された成分を検出する。例えば、イベントのこの手順は、イムノアッセイ、核酸アッセイ、および細胞アッセイ等、複数のアッセイを使用してサンプルの特徴づけをするために使用することができる。あるいは、イベントのこの手順は、単一の座位の遺伝子型解析が各トラックで生じる、複数の座位でのサンプルの遺伝子型の特定に使用することができる。
【0045】
別の実施の形態において、このような試験のイベントの手順には、以下が含まれ得る。1)複数サンプルの収集、2)収集したサンプルをカートリッジの各トラックへ導入する。各トラックには、単一のタイプのアッセイに必要な試薬が含まれ得る。3)カートリッジの少なくとも1つのトラックにおいて事前に選択された成分を検出する。特定の実施の形態において、イベントの手順は、さらにサンプルの事前に選択された成分を捕捉することでサンプルを処理する工程を含むことができる。例えば、イベントのこの手順は、各サンプルが単一のトラックで遺伝型特定される、多様な生体サンプルに対する同じ座位の遺伝子型特定に使用することができる。
【0046】
トラックに検出された事前に選択された成分は、核酸、蛋白質、脂質、炭水化物、代謝産物、細胞、細菌、微生物、またはウィルスであり得る。特定の実施の形態において、単一のトラックにおける事前に選択された成分は、同様のアッセイのプロトコルを使用する複数標的であり得る。特定の好適な実施の形態においては、各トラックで検出された事前に選択された成分(単数または複数)は、複数のトラックに対して同一である。別の好適な実施の形態においては、各トラックで検出された事前に選択された成分(単数または複数)は、複数のトラックに対して異なる。
【0047】
別の1つの実施の形態においては、トラックは別の処理のためにさらにサブトラックに分割される。例えば、カートリッジの第1のトラックは、蛋白質毒素を検出するために使用され、第2のトラックは、細菌を検出するために使用され得る。第1のトラックにおいて、毒素は、浄化されて個別の毒素のイムノアッセイ検出のために複数のサブトラックに分割され得る。第2のトラックにおいて、核酸がサンプルから抽出されて、空間的多重化(spatially multiplexed)PCR増幅を行って単一の細菌種を検出するため複数のサブトラックに分割され得る。
【0048】
実施の形態によっては、複数のセグメントからの流体が1つの枝セグメントに合わせられる。例えば、異なる核酸標的が複数のトラックで増幅されて、複数のトラックからの単位複製配列がマイクロアレイ分析のための1つのセグメントにプールされ得る。
【0049】
例示の実施の形態において、サンプルのフローは試験の進行につれて開口からトラックの遠位端の方であり得、一方で廃棄物のフローは、トラックの閉鎖したサンプル入力の方であり得、ここでカートリッジのキャップ内の廃棄物チャンバが廃棄物を受容して蓄える。代替の実施の形態において、サンプルおよび廃棄物は、2つのそれぞれのトラックに分割され、廃棄物は廃棄物トラックに蓄えることができる。従って、処理したサンプルと、未処理サンプルが触れた反応容器の表面との望ましくない接触が回避され、それにより、未処理サンプルに存在して反応容器の壁をコーティングするかもしれない微量の反応阻害剤による反応阻害を防ぐことができる。
【0050】
実施の形態によっては、本明細書に記載の装置を使用して生体サンプルから核酸を抽出する方法が考慮される。特定の実施の形態において、このような試験のイベントの順序には以下が含まれ得る。1)生体サンプル、収集ツールで収集した生体サンプル、2)サンプル処理カートリッジであって、これは試験中に必要な試薬を含むことができるセグメントの可撓性アレイを含み得、この中で収集されたサンプルがセグメントのアレイの少なくとも開口を使用して配置されることができる。3)制御された温度、および/または設定したインキュベーション期間中に標的生物や核酸を捕捉するための他の条件で設定され得る少なくとも1つの基質、4)未処理サンプル中の生物または分子であって、これらは、基質に結合しないかもしれず、そのため移動する液体によって廃棄物リザーバへと除去され得る。5)廃棄物リザーバに蓄えられている廃棄物であって、これはクランプおよび/またはセグメントのアレイに対して圧縮されるアクチュエータによって、標的から分離され得る。6)カートリッジの別のセグメントから放出され、反応阻害剤を除去することができる洗浄バッファ、7)別のセグメントからの溶出剤であって、これは制御された温度でのインキュベーションの後、基質に拘束された標的を放出させることができる。および8)核酸であって、これは当業者に周知の技術によって検出されるか、または細管の第2の開口から収集され得る。例示の実施の形態において、サンプルのフローは、試験が進行するにつれ、開口からセグメントのアレイの遠位端の方に向かうものであり得、一方で廃棄物のフローは、セグメントのアレイの閉鎖したサンプル入力開口の方に向かうものであり得、ここでカートリッジのキャップの中の廃棄物チャンバは廃棄物を受容する。従って、処理したサンプルと、未処理サンプルが触れた反応容器の表面との望ましくない接触が回避され、それにより、未処理サンプルに存在して反応容器の壁をコーティングするかもしれない微量の反応阻害剤による反応阻害を防ぐことができる。
【0051】
実施の形態は、セグメント11、12、21、22、31、32、112、111、112、113、121、122、123、131、132、141、142、143、151、152、160−169、および/または170−179等のセグメント10の可撓性アレイとともに、サンプル処理カートリッジ1の使用を取り入れることができる。これらのセグメントは、実質的に全部または行セグメントのみが同時に圧縮されることができ、試薬212、214、221、222、223、231、232、241、242、243、251、252、260−269、および/または270−279等の試薬、ならびにアクチュエータ312、322、332、342、352、362、および/または372等の複数のアクチュエータ、クランプ310、320、330、340、350、360、および/または370等のクランプ、およびサンプルを処理するためのアクチュエータとクランプに対向する例えば314、344、および/または374(簡単のために他は番号付けしない)のブロック、を有し得る分析器を含むことができる。アクチュエータは、セグメントのアレイの行の実質的に全ての高さと幅とに亘り、行内でのセグメントの並行処理のため全トラックを横切ることもある。あるいは、アクチュエータはセグメントのアレイの一行の幅の一部に亘ることがあり得、ここで一行のセグメントと整列する複数のアクチュエータが、異なるトラックを横切る行のセグメントを独立して処理することができる。これらのアクチュエータ、クランプ、および/またはブロックの多様な組み合わせが、セグメントのアレイを効果的に締め付けて閉鎖することで流体を分離するように使用され得る。例示の実施の形態において、少なくとも1つの上記のアクチュエータやブロックが、熱制御素子を有して、サンプル処理のためのセグメント(単数または複数)の温度を制御することができる。サンプル処理装置は、さらにセグメントに磁場をかけることができる少なくとも1つの磁場源430を有することができる。サンプル処理装置は、セグメントのアレイ内で生じたり完結する反応をモニターするための光度計やCCD等の検出デバイス472をさらに有することができる。
【0052】
セグメントのアレイと分析器を組み合わせて使用することで、多くのサンプル処理操作が可能となる。血液、唾液、血清、食物、水、土、生検組織、便、または他の固体また液体サンプルの収集を、サンプル収集ツールを使用することで達成することができる。サンプル収集ツールは、キャップ90内へ組み込むことができる。適切な量のサンプルが収集された後、キャップはセグメントのアレイの開口上へ配置されてアレイを閉鎖し、サンプルを第1のセグメントに送ることができる。このステップに次いで、収集ツールに含まれるかセグメントに送られたサンプルは、キャップの一部を圧縮することで、第2のセグメントまたはキャップ内のチャンバに含まれる試薬で洗浄されるか再浮遊される。カートリッジは、次いで別の処理のために分析器に装填されることができる。バーコードやRFタグ等の認識機構がカートリッジ上に存在して、分析器および/またはユーザーに読まれる形式でサンプルの同一性を表示することができる。
【0053】
セグメントの破損可能シールの開放は、セグメントのアレイの壁の境界面を不可逆的に分離する圧力を、隣接するセグメントに適用することで達成することができる。必要な圧力をかけて流体を含むセグメントを圧縮し、破損可能シールを開放するためにアクチュエータを使用することができる。実施の形態において、セグメントが2つの破損可能シールAおよびBによって区切られた領域では、分析器は、アクチュエータまたはクランプでシールB領域を物理的に保護することによって優先的にシールAを破損し、シールBが破損しないようにしつつシールAを破損するように圧力がセグメントにかけられる。あるいは、シールAに隣接するセグメントに、以下の正確なやり方で圧力をかけることで好ましくはシールAを開放する。まず、隣接するセグメントで作られた圧力によってシールAが開放され、シールAが破損した後、2つのセグメント間の圧力が、追加の、組み合わせた、セグメント容積のために実質的に落ち、組み合わせたセグメントにおける減少した圧力ではシールBを破損するには不十分である、というやり方である。この方法は、保護アクチュエータまたはクランプを使用せずに1つずつ破損可能シール開放するために使用することができる。さらに別の代替として、シールAの付着がシールBの付着よりも弱く、シールAがシールBよりも低い圧力で破損するようにすることができる。
【0054】
流体を1つのセグメントから別のセグメントに移動させる工程には、例えば、第1のセグメントの一端でクランプを解放し、第1のセグメントの他端でクランプを圧縮し、第2のセグメントでアクチュエータを解放し、第1のセグメントのアクチュエータを圧縮して液体を第1のセグメントから第2のセグメントへ移動させる。あるいは、クランプは省略するか、第2のセグメントのアクチュエータを解放した後に開放することができる。
【0055】
枝セグメントから複数のトラックに流体を分割する工程には、例えば、複数のトラックの受容セグメントを圧縮し、当該セグメントの容積を制御するギャップを規定するように当該受容セグメントの圧縮を解放し、枝セグメントを圧縮して複数のトラックの受容セグメントに規定の容量を満たし、枝セグメントと各トラックの受容セグメント間のインターフェースをクランプする工程を含むことができる。受容セグメントに充填された容量は、枝セグメントとそのインターフェースにおける受容セグメントの幅によって制御することができる。
【0056】
複数のトラックから枝セグメントへ流体を合わせる工程には、例えば、複数のトラックのセグメントを圧縮し、それによって破損可能シールをバーストさせて液体を枝セグメントへ流す工程が含まれ得る。
【0057】
隣接するセグメントに配置され、少なくとも1つが液体である2つの物質を混合する工程は、以下によって達成することができる。2つのセグメント間のクランプを解放し、第1のセグメントに含まれる液体を開放された破損可能シールを通じて第2のセグメントに移動させ、および第2のセグメントと第1のセグメントを交互に圧縮し、それらのセグメント間に液体を流す工程である。
【0058】
アクチュエータの横の両方のクランプがセグメントの端を圧縮しながら、セグメントをアクチュエータで交互に圧縮したり圧縮を解放することで攪拌がなされ得る。別の実施の形態において、攪拌は、少なくとも2つのセグメントの間で液体を交互に移動することで達成することができる。
【0059】
セグメントがプロトコルに必要な容量を超える容量を有する液体を含む実施の形態において、セグメント内の液体の容量を調節する工程は、以下によって実行することができる。セグメントのアレイの壁の間のギャップを減少するようにセグメントを圧縮し、セグメントの容積を所望のレベルに設定し、セグメントの端のクランプまたは隣接するアクチュエータを通過して、超過する液体を隣接するセグメントに流れることができるようする工程、セグメントをクランプまたはアクチュエータで閉鎖し、その結果セグメントに残る液体の容量を調節する工程。
【0060】
空気泡を除去する処理には、泡立つ液体を含むセグメントを攪拌する工程が含まれることがある。空気泡を除去する別の処理には、第2のセグメントを閉鎖しつつ液体を含む第1のセグメントを攪拌する工程、第2のセグメントを開放し、液体を第1のセグメントから第2のセグメントに移動させる工程、第2のセグメントを攪拌して第2のアクチュエータの位置を調節して液体−空気界面を第2のセグメントの上端の上方近くに移動させ、次いで第2のセグメントの上端をクランプして充分に液体が注入されたセグメントを空気泡なく形成する工程が含まれる。
【0061】
希釈工程は、セグメントの1つに希釈剤が含まれ、他方には希釈されるべき物質が含まれていて、液体移動工程を使用することで実施することができる。
【0062】
異なるセグメントまたはサブセグメントに分離して蓄えられた乾燥成分および液体成分から試薬を再生する工程には、液体成分を含むセグメントまたはサブセグメントを圧縮して、乾燥試薬セグメントに接続する破損可能シールを開放し、液体を乾燥試薬セグメントまたはサブセグメントに移動させ、混合工程を使用して乾燥試薬を液体成分と混合させる工程が含まれ得る。
【0063】
濾過は、2つのセグメントまたは2つのサブセグメントの間に配置したフィルタを使用することにより実施することができる。例えば、全血サンプルが、フィルタバッグを有する第1のセグメントに挿入され得る。フィルタの孔サイズは、血液細胞濾過に対して選択することができる。次いでフィルタバッグに対向するセグメントの端部をクランプが閉鎖することができ、アクチュエータが第1のセグメントを圧縮して圧力を生成し、血漿をフィルターを介して第2のセグメントへ流すことができる。別の実施の形態において、赤血球表面抗原に対する抗体、凝固赤血球等の凝固または凝集(aggregation or agglutination)剤を使用して、赤血球−赤血球結合を生じさせ、濾過の前にクラスタを形成することができる。フィルタの孔サイズは、凝集していない細胞が通過しつつクラスタを阻止するように選択することができる。赤血球クラスタと血液を含む第1のセグメントに圧力を加えることで、第2のセグメントに白血球を濃縮することができる。
【0064】
代替の実施の形態において、セグメントをセクションAとセクションBに分割するフィルタ205を含むセグメント201(図3A−3B)を使用して濾過を実施することができる。セクションAは、さらに入口206を含むことができ、セクションBは、さらに出口207を含むことができる。例えば、フィルタの開孔サイズは、空気中の細菌粒子や毒性粒子を濾過するために選択することができる。空気サンプルは、入口206およびフィルタ205および出口207を通過して、それにより粒子をセグメント201のセクションAに堆積させることができる。入口206と出口207は、次いでクランプまたは他の機械的手段で閉鎖される。分析器のアクチュエータは、セグメント203を圧縮して破損可能シール74をバーストさせ、洗浄液をセグメント201に放出させる。クランプは、セグメント203の端を閉鎖し、別のアクチュエータがセグメント201を圧縮して、洗浄液がフィルタ205を通過してセグメント201のセクションBからセクションAへ移動するようにし向け、破損可能シール74をバーストさせ、洗浄液をサンプル粒子とともに別の処理のためにトラック202へと通す。
【0065】
実施の形態によっては、微細歯状内面を有した強化壁を備えるセグメントを交互に圧縮、解放するアクチュエータを使用することで、研磨工程を実施することができ、そのようにしてセグメント内の生体組織サンプル等の固体サンプルを粉砕することができる。別の実施の形態において、固体サンプルとともに小ガラスビーズを使用して研磨の性能を改善することができる。別の実施の形態において、モータ駆動した研磨ホイールを使用してセグメント内のサンプル上へ回転性の研磨を作成し、ガラスビーズと生体サンプルの動きを促進して研磨性能を改善することができる。セグメント内の液体反応剤の温度は、研磨の結果が改善するよう選択することができる。
【0066】
セグメントの内容のインキュベーションは、対応するアクチュエータおよび/またはブロック温度を設定して、セグメントに圧力をかけてセグメントの壁とアクチュエータとブロックとの間の充分な表面接触を確保し、セグメントの内容を周囲のアクチュエータおよび/またはブロック温度と実質的に同一温度にすることで達成することができる。インキュベーションは、全ての関係するセグメントが必要な温度に設定される限り、あらゆる処理条件で実施することができる。
【0067】
インキュベーションのための急激な温度傾斜は、第1のセグメントの流体を第1の温度でインキュベートし、第1のセグメントに隣接する第2のセグメントのために第2の温度を設定し、第1の温度における保温が完了した後、液体を第1のセグメントから第2のセグメントへすばやく移動し、第2の温度で保温することによって達成することができる。
【0068】
フローチャンネル工程を通過させるフローは、中央に配置したセグメントを、アクチュエータおよびもしあればその横のクランプで圧縮し、約1から約500μm、好ましくは約5から約500μmのギャップを有する薄層フローチャンネルをセグメントを介して形成することによって達成することができる。隣接するアクチュエータは、フローチャンネルと液体連絡する隣接するセグメント上で徐々に圧縮して、補正(off set)内圧を生成し、薄層フローチャンネルの実質的に均一なギャップを確保する。2つの横のアクチュエータは、次いで各セグメントで交互に圧縮と圧力の解放をして、制御された流量でフローを生成することができる。フロー、圧力、および/または力センサーが追加的に組み込まれて、フロー挙動を閉ループ制御することができる。フローチャンネル処理は、洗浄するときに使用され、基質結合効率および検出を高めることができる。
【0069】
サンプル液からビーズを分離するため、磁性ビーズ固定および再懸濁工程を使用することができる。磁気源430(図1B)により生成された磁場が、磁性ビーズ懸濁液220および223を含むセグメント121、122、123にかけられて、ビーズを捕捉してセグメント壁に固定する。捕捉工程中に攪拌工程を使用することができる。別の実施の形態において、磁場がかけられたセグメント上にフローチャンネルを形成することができ、磁性ビーズがフローのもとで捕捉することができ、捕捉効率を高めることが可能である。固定したビーズを再懸濁するために、磁場が切られるか除去され、再懸濁のために攪拌やフローチャンネル工程を使用することができる。
【0070】
残余物と反応阻害剤を基質から除去する洗浄工程は、以下の3つの基本的工程を使用することで実施することができる。第一に、アクチュエータが固定されたビーズやシート等の基質を含むセグメントを圧縮し、実質的にこのセグメントから液体を除去することができる。第二に、乾燥および液体成分から試薬を再生するのと同様の工程を使用することで洗浄緩衝液をセグメントへ移動することができる。ビーズベースの基質に対して、細管壁上でのビーズ再捕捉工程に次いで、ビーズ再懸濁工程を使用することができる。第三に、混合または攪拌工程の後、アクチュエータは、セグメントを圧縮して、使用した洗浄液をセグメントから除去することができる。別の実施の形態において、固体したビーズやシートであり得る基質を含むセグメントにフローチャンネルを形成することができる。層流特性を有する一方向のフロー洗浄が、基質を有するフローチャンネルを介して生成される。最後に、もしあれば、全てのアクチュエータとクランプを閉鎖して、セグメントから全ての液体を実質的に除去する。別の実施の形態において、希釈液ベースの洗浄と層流ベースの洗浄の組み合わせが、洗浄効率をさらに高めるために使用され得る。
【0071】
溶解は、設定した温度でサンプルを加熱することにより、または熱と化学薬剤の組み合わせを使用することで達成されて、細胞膜、細胞壁を壊して開き、またはウィルス粒子を脱コートする。別の実施の形態において、溶解は、プロテナーゼKやカオトロピック塩溶液等の化学薬剤を使用することで達成することができる。当該化学薬剤は、以上のセグメントに蓄えることができ、上記に開示の工程を使用してサンプルと組み合わせることができる。実施の形態によっては、化学的細胞溶解、機械的研磨、および加熱等の複数の工程が組み合わされて、例えば、生検から収集された組織等の固体サンプルを分解して能力を最大化することができる。
【0072】
標的微生物の捕捉は、基質を使用することで達成することができる。実施の形態において、基質の表面は、抗体、抗原に対するリガンドもしくはレセプタ、標的生物の表面上のレセプタまたはリガンド(ASA)、核酸(NA)、ペプチド核酸(PNA)およびプローブまたは標的生物に相補の特定の核酸標的配列を捕捉するためのホスホチオエート(PT)核酸プローブ等の少なくとも1つの結合試薬でコーティングすることができる。別の実施の形態において、シリカコーティングまたはイオン交換樹脂コーティングされた表面等の静電気的に帯電(EC)した表面を有するか、これを形成するように表面をコーティングして、核酸のみを可逆的に補足するように表面を選択することができる。実施の形態によっては、基質がセグメントまたはサブセグメントで乾燥形態で事前に包まれ、液体結合緩衝液が別のセグメントで包まれ得る。基質および緩衝液は、前述の工程を使用することで再生することができる。
【0073】
実施の形態によっては、隣接するセグメントからの試薬が使用されて、基質とともにインキュベーションする前にサンプルを希釈することができる。実施の形態によっては、標的生物は微生物を溶解する前に基質へ補足することができ、一方で別の実施の形態においては、溶解工程は、標的捕捉工程の前に実施することができる。好適な実施の形態において、攪拌するときの基質のインキュベーショは、例えば生菌補足に対しては4℃で、またはウィルスの補足に対しては室温で等、所望の温度で実施することができる。補足の次には洗浄工程が来て、残余物や細管セグメントからのサンプルの不要な成分を除去することができる。
【0074】
実施の形態によっては、磁性ビーズが標的を補足するための基質として使用され得、磁性ビーズ固定と再懸濁工程が使用されてサンプル液体からビーズが分離され得る。別の実施の形態においては、基質がパッドまたはシートであり得、基質パッドおよびシートが収集ツールに組み込まれ、および/またはセグメントの細管壁に付着され得る。
【0075】
溶出が、高温で細管セグメントの溶液中で基質を加熱および/またはインキュベートすることで達成することができる。溶出のための好適な温度は、50℃から95℃である。別の実施の形態において、溶出は、基質が懸濁されているか包埋されている溶液のpHを変更することで達成することができる。例えば、例示の実施の形態において、洗浄溶液のpHは、4と5の間であり得、一方で溶出緩衝液のそれは8と9の間であり得る。
【0076】
胞子発芽工程は、細菌胞子を含むサンプルを発芽溶液と混合し、混合物を好適な状態でインキュベートすることで実施することができる。発芽溶液は、L−アラニン、イノシン、L−フェニルアラニン、および/またはL−プロリン、ならびに胞子から放出された前植物性細胞を部分的に成長させることができる豊かな成長培地の少なくとも1つを含み得る。発芽のための好適なインキュベーション温度は、20℃から37℃である。抗胞子抗体で基質をコーティングすることにより、植物性細胞は、生および/または死胞子の両方を含むサンプルから選択的に濃縮することができる。生胞子は、複数の植物性細胞を基質から放出することができ、これは別に処理されて細菌種の核酸配列特性を検出することができる。実施の形態によっては、発芽溶液はパッドに吸収され得る。
【0077】
特定の実施の形態において、生体サンプルから抽出された核酸は、以下のグループから少なくとも1つの方法を使用して核酸を増幅することによって別に処理される得る。ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、RCA法(rolling circle amplification)、リガーゼ連鎖反応法(LCR)、TMA法(transcription mediated amplification)、NASBA法(nucleic acid sequence based amplification)、およびSDAR法(strand displacement amplification reaction)。実施の形態によっては、生物から抽出した核酸がリボ核酸(RNA)であり得、その処理には、Tthポリメラーゼ、およびTaqポリメラーゼ、または逆転写酵素およびTaqポリメラーゼ等の酵素の組み合わせを使用する結合したRT−PCR法(reverse transcription and polymerase chain reaction)が含まれ得る。実施の形態によっては、ニックの入った環状核酸プローブが、T4DNAリガーゼまたはAmpligase(登録商標)を使用して環状に配置されて、DNAやRNA標的等の核酸をガイドし、次いでインビトロ選択工程の後に閉じて環状配置したプローブの形成を検出する。このような検出は、当業者に公知の酵素を使用して、PCR、TMA、RCA、LCR、NASBA、またはSDARによってなされ得る。例示の実施の形態において、蛍光標識した核酸プローブ、またはDNA介入性の色素、ならびに核酸増幅中の蛍光の増加を検出するための分子分析器の光度計または電荷結合素子を使用して、リアルタイムで核酸の増幅を検出することができる。これらの蛍光的標識プローブは、当業者に周知の検出スキーム(すなわち、TaqMan(登録商標)、molecular beacons(登録商標)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プローブ、scorpion(登録商標)プローブ)を使用し、蛍光消光や、消光の放出または1つのレポータから別のレポータへの蛍光エネルギー移動を通常使用して、特定の核酸の合成または存在を検出する。
【0078】
細管セグメントからのシグナルのリアルタイム検出は、ブロック470等のブロックに接続された、光度計、分光計、CCD、等のセンサ472(図1B)を使用することで達成することができる。例示の実施の形態において、細管セグメントの形状を適切に規定するため、細管セグメント170上にアクチュエータ372によって圧力をかけることができる。シグナルの形式は、蛍光等の特定の波長での光の強度、スペクトル、および/または細胞の像等の画像、もしくは量子ドットなどの人工要素であり得る。蛍光検出のため、光学系からの光の励起が使用されて反応を照射することができ、放出光を光度計によって検出することができる。特定の波長を有する複数のシグナルを検出するため、専用の検出チャンネルまたは分光器によって、異なる波長のシグナルを連続的にまたは並行して検出することができる。
【0079】
開示のデバイスおよび方法は、医療、農業、および環境モニタリング、ならびに他の多くの生物学的サンプル試験適用の実務において広く応用することができる。外科医が除去した腫瘍周囲の組織生検サンプルから隔離された核酸は、前癌組織を検出するために使用され得る。これらの適用において、腫瘍抑制遺伝子やプロトオンコジーンにおけるホットスポット突然変異が、当業者に周知の遺伝子型同定技術を使用して検出され得る。前癌組織は、しばしば体細胞突然変異を有し、これは生検サンプルの遺伝子型同定試験の結果を、核酸のソースとして全血を使用して、患者の遺伝子型と比較することにより迅速に確認することができる。白血球から分離した核酸は、当業者に周知の遺伝子型同定技術を使用する遺伝的多型や生殖細胞系列変異を検出するのに使用することができる。このような変異の例は、the American College of Medical Genetics および the American College of Obstetricians and Gynecologistsによって出生前診断に対して推奨されるCFTR遺伝子の約25の公知の変異体である。遺伝的多型の例は、抗マラリア薬プリマキン等の治療薬の感受性に影響するグルコース−6−リン酸脱水素酵素における高い頻度の対立遺伝子である。
【0080】
臨床に関連する遺伝的多型の別の例は、第V因子ライデン対立遺伝子等の病的状態の増大するリスクや静脈血栓症の増大するリスクに関する対立遺伝子である。細菌から分離された核酸は、遺伝子コード配列を検出して菌種の病原性を評価するのに使用することができる。このような遺伝子の例は、致死因子(the Lethal Factor)、感染防御源A(the Protective Antigen A)、炭疽菌のPXO1プラスミド上の浮腫因子遺伝子(Edema factor genes)、炭疽菌のPXO2プラスミド上の莢膜抗原A、B、およびCである。これらの配列の存在によって、研究者達は、炭疽菌と無害な土壌細菌とを区別することができる。RNAウィルスから隔離された核酸は、感染した個体の治療上の処置へと導くため、遺伝子コード配列を決定して、ウィルスの存在の有無やウィルスの定量化を検出するように使用することができる。
【0081】
このようなアッセイの特に重要な効用は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)を検出して抗レトロウィルス治療へ導くことである。DNAウィルスから隔離された核酸は、遺伝子コード配列を決定し、血液由来製品の製造における血液の使用に先だって血液中のウィルスの存在の有無を検出することができる。血液サンプルのプール中のB型肝炎ウィルスの検出は、当業者に周知のこの利用の例である。牛挽肉中のベロ毒素大腸菌の存在は、装置を農業的に使用する可能性の良い例である。表面上のノーウォークウィルスの検出は、公衆衛生環境モニタリング適用の例である。
実施例
【0082】
本主題は、さらに次の実施例によって説明されるが、多少なりとも限定して解釈されるべきではない。全ての引例の内容(本出願の全体に亘って引用されている参考文献、発行済特許、公開特許出願を含む。)は、参照により本明細書に特に援用される。
【0083】
実施例1.遺伝子型同定パネル
【0084】
多重遺伝子型同定試験を、通常のサンプル調製トラックと各疾病の検出用の複数のトラックを有する1つのサンプル処理カートリッジにおいて実施することができる。例えば、単一のDNAサンプルは、複数の遺伝性疾患のために試験することができる。これは、一般住民、または特定の疾病の発生が増加した特定民族における遺伝性疾患の標準的パネルのスクリーニングをする時に特に有用である。例えば、アシュケナージ・ユダヤ系の人達の間で頻度が増加した遺伝性疾患の遺伝子型を同定するパネルには、ブルーム症候群、カナバン病、嚢胞性線維症、第XI因子欠乏症、家族性自律神経失調症、ファンコニ貧血、ゴーシェ病、ムコリピドーシスIV、ニーマン・ピック病、テイ・サックス病、および捻転ジストニアのための1以上のトラックが含まれ得る。
【0085】
血液サンプルは収集され、カートリッジに挿入される(図6)。サンプル溶解、補足、洗浄および溶出工程は、サンプル調製とゲノムDNA抽出のための複数のセグメント内においてサンプルに関して実施される。各工程で使用される詳細な試薬と反応条件ならびにトラックのアクチュエータの操作は、米国特許第10/773,775号に詳述され、参照によって本明細書に援用される。溶出したDNAは、複数のトラックに分割され、各トラックは、PCR試薬、オリゴヌクレオチド(oligonueclotide)プライマー、および1つの疾病を検出するために必要なプローブを含むことができる。熱サイクルプログラムが、各疾病の座位を増幅し検出する複数のトラックに亘って、同時に、変性温度(denature temperature)とアニーリング/伸張温度のそれぞれで設定された2つのセグメントの間で、反応混合物を交互に移動させることで実施される。PCRトラックの各疾病に対して、1つの座位が特定の光学チャンネルで検出される約4つの対立遺伝子を検出することができる。嚢胞性線維症等の2以上の座位を要求する疾病は、2以上のトラックを利用することができる。トラック内で異なる波長のレポートプローブを使用する多重化と、複数トラックに亘る空間的多重化の組み合わせで、多くの核酸標的を同時に検出することができる。
【0086】
実施例2.多管腔ポリメラーゼ連鎖反応
【0087】
異なるサンプルでのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、カートリッジの各トラックで実施することができる。トラックからトラックへの間隔が96ウェルプレートの列のウェルのものと同様の間隔の、8トラックを有するカートリッジ(図4)は、サンプル核酸テンプレートを、自動流体処理システムを使用したりや人手によるピペットで、このような96ウェルプレートからすぐに受容することができる。同様に、トラックからトラックへの間隔が384ウェルプレートの列のウェルのものと同様の間隔の16トラックを有するカートリッジは、より高度なスループット処理のために使用することができる。サンプル核酸テンプレートとPCR試薬混合物が、サンプル処理カートリッジの各トラックへ送られた後、カートリッジは分析器内に配置され、この分析器は、複数のトラックに亘って同時に、変性温度とアニーリング/伸張温度のそれぞれで設定された2つのセグメントの間で、反応混合物を交互に移動させることでなされる熱サイクルプログラムを実施することができる。増幅反応は、さらにリアルタイムで検出することができる。
【0088】
実施例3.空気分析
【0089】
空気分析デバイスおよび方法が使用されて、生物のための空気と、特定の核酸(DNAまたはRNAのいずれでも)の検出のための試験による毒素、ならびに蛋白質をモニタすることができる。デバイスは空気サンプラーを有し、空気サンプラーは、全ての必要なサンプル収集および反応容器、試薬、ならびに1ヶ月の操作のためのリーチバック(reach back)サンプル貯蔵セグメントを含む使い捨て試験カセットに一団の粒子を選択的に収集する。装置内のサンプル処理モジュールは、プログラム化されたプロトコルに従って、使い捨て試験カセット内でサンプルを操作することができ、装置内の検出モジュールは、閉じた試験容器内の反応をモニタすることができる。装置は、万一電源が喪失したときに自動的に動作可能な電源と、同様の検出器のネットワークへこれを接続し、遠隔サイトにおいてのモニタを可能とする通信モジュールとを含み、デバイスの外部の制御パネルは、オンサイト診断を可能とする。
【0090】
空気収集モードで操作するとき、デバイスは、入口を介して空気サンプルを収集する。この入口は、可撓性プラスチック膜に埋め込まれたフィルタに接続されている。空気入口と空気出口フローは、可撓性プラスチック膜反応容器に垂直である(図7)。第1のセグメントは、一団の粒子を補足するためのフィルタバッグサンプルを含む収集セグメントである。実施の形態によっては、このフィルタが、フィルタの表面積を増加するように折り畳まれて、背圧を減少する。別の実施の形態において、フィルタは、フィルタの一方の面が入口の方を向いており、他方の面が出口の方を向いている。フィルタを含む試験セクションのセグメントに隣接する試験セグメントが試薬を含んでいることにより、デバイスのアクチュエータおよびクランプは、収集したサンプルを試薬と混合して試験を実施するとともに、反応物から廃棄物を分離する。ビデオテープ状試験カセットは、長い連続テープ状可撓性試験細管のスプールを保持する。この試験細管は、サンプル容器として作用し、試験に必要な全ての試薬を含んでいる。各試験は、交差汚染やキャリーオーバーを避けるため、パッケージ済みの試薬を有する消耗品の新たなセクションを使用する。通常のメンテナンスは、定期的な(すなわち、1時間毎、1日毎、1週間毎、1ヶ月ごと、2ヶ月毎等)消耗カセットの交換が必要であるだけである。
【0091】
空気収集の設定された時間の後、入口と出口アダプタは可撓性プラスチック膜から後退し、加熱したクランプは、フィルタを含むセグメントが永久に反応容器を閉鎖するように可撓性膜の入口と出口スリットを溶着する。サンプル処理中に生成した全ての廃棄物は、試験チューブ内に残存するので、廃棄物が消耗カセット自体から生成されることはない。試験進行機構は、デバイス内でアッセイ実行位置に可撓性プラスチック膜を動かす。サンプル試験モードで動作するとき、デバイスは、可撓性テープに圧力を加えて、剥離可能シールをバーストさせ、液体をテストテープを介して移動させる。クランプ位置を制御して、アクチュエータで細管セグメントへ圧力をかけることで、破損可能をシールを開放し、パッケージ済みの試薬を隣接するセグメントへ移動させる。例えば、パッケージ済みの緩衝液を移動して、試験細管セグメントに蓄えられた乾燥試薬を含水させることができ、次いでこれをフィルタバッグに収集した粒子サンプルと混合することができる。
【0092】
基準機構が試験テープの外側縁(5mm)に存在し、新たな試験セクションがサンプル収集位置へ移動し、サンプルを捕捉するために既に使用された試験セクションがサンプル処理位置へ移動するとき、この基準機構は、デバイスの機構と相互作用して、それぞれの新たな試験セクションが確実に適切に位置決めされるようにすることができる。試験セクションは、剥離可能シールや永久シールによって多くのセグメントに分割される。可撓性テープに圧力をかけるアクチュエータは、所定の温度に設定されたアクチュエータと接触する1つのセグメントから、異なる温度に設定された別のアクチュエータと接触する別のセグメントへ液体を移動させて、可撓性テープ内の流体の温度を変化させるようにテープ内の液体の温度も制御する。乾燥抗体コーティングされた磁性捕捉ビーズ、洗浄緩衝液、胞子発芽/フィルタ溶出緩衝液、乾燥蛋白質検出試薬、乾燥逆転写酵素、DNAリガーゼ&パドロックプローブ、乾燥エキソヌクレアーゼI&エキソヌクレアーゼIII、乾燥PCR試薬、乾燥ウラシル−N−グリコシラーゼ、溶解液、乾燥シリカコーティング磁性粒子、イソプロパノールなどの試薬が、製造工程中にテープのセグメントの特定の順序に事前にパック詰めされ得る。セグメントのアレイの直線的に配置されたこれらの試薬の相対的位置は、サンプル処理法で使用される順序を反映している。
【0093】
マグネットをアクチュエータ上に配置することで、デバイスが可撓性テープ内の磁性ビーズを操作することを可能とする。結合イベントの後、磁性ビーズは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の緩衝液で洗浄されて、捕捉抗体に親和性を有さない分子を除去する。洗浄工程の後、検出試薬が磁性ビーズと混合され得る。この検出試薬は、通常抗体を含むが、同様の役割が、ペプチド、核酸、ウィルス粒子または細胞によって実施され得ることは、当業者であればわかるであろう。あるいは、核酸がこれらの磁性ビーズに抱合されるとき、磁性ビーズは、特定の核酸を捕捉するため固相基質として使用され得る。例えば、プロテナーゼK、4.7MグアニジウムHCl、10mM尿素、10mMTris・HClpH5.7、および2%TritonX−100を使用するインキュベーションによって生成された全体の細胞溶解物の中の核酸は、捕捉核酸によって標的にされる二本鎖DNAの融解点、例えば10分間で50℃、に近づく温度でインキュベーションすることにより、磁性粒子に抱合した核酸に容易にハイブリダイズされ得る。ビーズは次いで、器具によって磁気的に捕捉され、廃棄物は、10mMTris・ClpH7.5、150mMNaClで次に洗浄することで除去され得る。
【0094】
核酸試験は、核酸中間体としてパドロックプローブを用いて、ゲノム核酸標的と配列を検出するために使用されるモレキュラービーコンプローブとの間で実施される。パドロックプローブは、相補的標的配列に結合したとき環状複合体を形成し得るオリゴヌクレオチドである。T4DNAリガーゼ(Nilssonら、1994年、Science 265:2085−2088)または熱耐性リガーゼ(Luoら,1996 Nucleic Acids Res 24:3071−78;Barany,1991 Proc.Natl Acad.Sci.USA 88:89−93)を有するパドロックプローブの環状化は、標的DNA配列の点変異を明確に敏感に区別することができる。環状化または他のプローブと鎖状結合しなかったプローブは、エキソヌクレアーゼを使用して分解されて、環状化物質を1000倍濃縮し得る(Hardenbolら2003年 Nat Biotechnol 21:673−8)。次いで、ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)を伴う処置が使用されて、全ての汚染PCR産物を除去することができ(Pangら、1992 Mol Cell Probes 6:251−6)、パドロックプローブを反転して、各プローブが有するハイブリダイゼーションタグのPCR増幅を可能とする。パドロックプローブは、単一のセットのプライマを使用する多数の配列を増幅をするために使用することができ、これにより、PCRを使用する多数のマーカの遺伝子型を同定する困難が避けられる(Hardenbolら、2003;Banerら、2003 Nucleic Acids Res 31: e103)。2003年Hardenbolら、および2003年Banerらは、このアプローチを使用して、単一の反応中に1200を超えるDNAマーカを得た。パドロックプローブはまた、T4DNAリガーゼを使用して、RNA分子ならびにRNAおよびDNA分子の混合物を検出し、プローブ環状化を触媒するために使用されてきた(Nilssonら、2000 Nat Biotechnol 18:791−3)。Chenら(米国特許第2004/0161788 A1号)は、このような反応を可撓性チューブ内で実施することができることを示した。
【0095】
実施例4.HCVRNAおよび蛋白質直交試験
【0096】
本開示の別の局面は、蛋白質と核酸の試験を同一の反応容器内で同時に行うデバイスである(図1B)。この開示は、この問題に対して、核酸試験と蛋白質試験が並行して実施できる直線的に配置された異なるセグメントアレイへ、未処理サンプルを可撓性テープ内で分割することで簡単な解決策を提供する。イムノ−磁性PCRを介した蛋白質の検出は、当業者に周知である。従って、核酸を検出することができるデバイスは、蛋白質検出アッセイに容易に使用することができる。
【0097】
この分割が生じる工程は、試験テープで生じる各アッセイが、既知の容量のサンプルで開始されるように容量分析的に制御される。容量分析的制御は、液体サンプル112を含むセグメントを覆う試験テープを圧縮し、一方で同時に、隣接するセグメント21、22を圧縮するアクチュエータを、所望の容量に適合する容量に上げることで達成される。この工程は、サンプル容器の壁によってそれぞれ規定される、少なくとも2行2列アレイのセグメントを有するデバイス内で実施される(図1B)。これらのセグメントは、破損可能シール41、42、74によって、および2つのサンプル処理経路を規定する少なくとも1つの永久シール71によって、少なくとも部分的に流体隔離されている。反応容器は、別のセグメントから出た流体の容量を受容するように拡張可能であり、実質的に流体が含まれないように圧縮されたとき、そのように圧縮可能である。行内の実質的に全セグメントが、容器へ圧力をかけるサンプル処理デバイスによって同時に圧縮されることができるように、セグメントは位置決めされている。2つのアクチュエータの間に配置されるクランプは、次いで、流体サンプルを送ったセグメントと液体サンプルを受容した2つのセグメントとの間で流体連絡を閉鎖する。
【0098】
好適な実施の形態において、1つの入力ポートを有するカートリッジが使用されて、未処理サンプルを入力する。この未処理サンプルは、容量分析的に2つの直線的に配置された隣接するセグメントに分割され、これらのセグメントは、剥離可能シールで分離され、単一の臨床サンプル内で、HIVやHCV等の通常の微生物剤から、2つの異なるタイプの分析物の試験を実施する試薬を含む。この実施の形態は、所与の臨床サンプル内のコート蛋白質の量および複数のウィルス粒子におけるRNAゲノムの量を測定するので、分割したサンプルの各部の組成比は、蛋白質を検出する免疫学的試薬の相対的親和性と、RNAゲノムを検出するために使用されるRT−PCRアッセイの感度に対するイムノ−PCRアッセイの感度とに依存するであろう。入力サンプルの容量は、これらのアッセイの感度および所与のヒトの臨床サンプル中のウィルスの力価にも依存するであろう。
【0099】
HCV検出に対して、サンプル入力は、血液であり、容量は、〜100μLであろう。この実施の形態は、水平と垂直の両方への液体の移動に対する一時的障壁を作成する剥離可能シールによって規定された複数セグメントを含むカートリッジ(図8)を使用する。圧力がアクチュエータによって剥離可能シールにかかると、当該シールは永久に開放する。クランプはアクチュエータに類似するが、狭いエッジを有し、流体連絡を遮断するために使用される。サンプル入力ポートに隣接する第1のセグメントはサンプルを受容する。カートリッジは、蛋白質アッセイ経路とDNAアッセイ経路の2つのサンプル処理経路を含む。これらの経路は、永久シールによって分離されている。DNA経路におけるサンプル入力チャンバに隣接するセグメントは、剥離可能シールによって2つに分割されており、一方の部分は、プロテナーゼKペレットを含み、他方は溶解緩衝液、細胞からDNAを放出するカオトロピック塩ベースの細胞緩衝液を保持している。
【0100】
それに対して、蛋白質経路のサンプル入力チャンバに隣接するセグメントも、2つに分割され、一方の部分は、イムノ磁性ビーズ、アッセイにより標的とされる蛋白質分析物に特異的に結合する試薬を含み、他方の部分は、イムノ磁性試薬を再溶解(redisolves)してサンプル中でこれと混合する希釈緩衝液を含む。DNAアッセイ経路において、プロテナーゼK/溶解緩衝液セグメントに隣接するセグメントは、イソプロパノールとマグプレップ(MagPrep)ビーズを含むので、剥離可能シールが破れて2つのセグメントの内容が混ざると、核酸はそのセグメントの磁性粒子上に沈降する。磁性ビーズは、次いで、PCR阻害剤を除去するため、洗浄緩衝液を含むセグメントから放出された緩衝液によって連続的に洗浄される。蛋白質アッセイ経路において、検出試薬と混合された固定化したイムノアッセイ磁性粒子は、セグメントに蓄えられ、次いで異なる緩衝液溶液で洗浄され、2つの隣接するセグメントから放出される。磁性ビーズは、これらの洗浄の後、固定化される前にPCR溶出緩衝液で加熱される。分析物の核酸、およびイムノPCRアッセイのためのレポータ核酸を含む溶液は、プライマ/プローブを含むセグメントに移され、一方で磁性ビーズはセグメント内に保持される。分析物プローブおよびプライマは、次いでDNA増幅酵素を含むセグメントに移される。
【0101】
実施例5.HIV RNA計量とCD4+細胞数
【0102】
この開示の別の実施の形態は、臨床患者管理における細胞アッセイと分子診断の使用である。HIVに感染した患者の処置は、抗レトロウイルス薬の組み合わせを使用する(別名、高活性抗レトロウイルス剤療法、HAART)。HIVのゲノムが急速に変異すると、抗レトロウィルス薬を受容する患者内のウィルス群は、薬剤耐性株のために選択的な圧力を受ける。処置する医者は、通常は患者の免疫系(すなわち、CD4+カウント)および患者の血液のHIVウィルス粒子のコピー数を、ウィルスの耐性株の出現と差し迫ったHAART治療の不成功とを検出する手段としてモニタする(Hughes 1997, Ann Intern Med 126:929−38: Mellors 1997 Ann Intern Med 126:946−54; O’Brien (1997) Ann Intern Med 126:939−45)。CD4+セルカウントの降下は、他の多くの疾患においても通常見られので、AIDSの診断には、HIVウィルス粒子またはウィルス粒子の抗体のエビデンスが含まれなければならない。典型的なカウント変化(HIV患者50−150cells/μlからに対して、非AIDS患者800−1200cells/μl)として、充分に大量の血液が正確な細胞数を得るために必要である。
【0103】
この開示に記載の2つの入力ポートデバイスは、CD4+カウントおよびHIV RNA計量を実施するために使用することができる。この実施の形態において、細胞アッセイは、5μl血液サンプルを、入力ポートに対して第2のセグメントに蓄えられた500μlの希釈緩衝液(血液は、個別のセルが画像化できるため100倍に希釈する必要がある。)と、および血液サンプルを受容した第1のセグメントの一部に蓄えられた、選択的にCD4+と結合する蛍光性抗体と、を混合することにより実施される。染色された細胞は、次いで、第3のセグメントに配置されたカートリッジの圧縮されたセグメントを介して流れる。細胞がこの薄いフローシートを介して流れると、蛍光細胞は、診断装置のCCDカメラによって検出される。
【0104】
第2の入力ポートに隣接するセグメントは、大量の血液(HIV RNAの量を正確に測定するため2mL)を受容する。このRNA経路に続くセグメントは、溶解液、HIV RNAと類似するオリゴヌクレオチドに抱合された磁性粒子、洗浄緩衝液、溶出緩衝液、乾燥RT−PCR試薬(すなわち逆転写酵素、PCRプライマ、DNAポリメラーゼ、および二重標識したプーロブ等)を含み得る。プロテナーゼK、4.7MグアニジウムHCl、10mM尿素、10mMTrisHClpH5.7、および2%TritonX−100でインキュベーションによって生成された全体の細胞溶解物質の中の核酸は、例えば50℃50分間等、捕捉核酸によって標的される2本鎖DNAの融点に近づく温度におけるインキュベーションによって、磁性粒子に抱合した核酸に容易にハイブリダイズされ得る。ビーズは、次いで、器具によって磁気的に捕捉され得て、廃棄物は、溶出とPCR分析の前に、10mMTris.ClpH7.5、150mMNaclで連続的に洗浄することで除去される。
【0105】
実施例6.Her2DNA、RNAおよび蛋白質試験
【0106】
HER2は、乳癌において重要な予測的および予後の要因として認識されている(Slamonら1987 Science 235:177−182)。HER2遺伝子増幅は、HER2レセプタ(HER2蛋白質)の連続的な過剰発現をもたらす永久的な遺伝的変化である(Kallioniemi 1992. Proc Natl Acad Sci U S A. 89:5321−5325)。いくつかの研究は、HER2過剰発現(遺伝子自体の余計なコピー、または遺伝子の蛋白質産物の過剰量のいずれであっても)は、全体の生存の減少を伴うことを示してきた。HER2過剰発現を伴う患者は、ハーセプチン(Genentech)での処置が受容的である。
【0107】
HER2状態を決定して、ハーセプチンで処置するための患者を選択する2つのFDA承認された試験がある。第1に承認されたものは、細胞表面でHER2蛋白質の発現のレベルを測定する免疫組織化学試験(DAKO、HercepTest(登録商標))であった。第2は、HER2/neu遺伝子コピーの数を測定する蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)測定(Vysis、PathVysion(登録商標))である。HER2の陽性腫瘍では、HER2/neuの遺伝子増幅によって、第17番染色体につき、2以上のHER2/neu遺伝子のコピーが存在する。当業者であれば、遺伝子コピー数は、リアルタイムPCRによって検出することもできることを知るであろう(Suoら 2004 Int J Surg Pathol.12:311−8).。第3の試験、Bayer Immuno 1(登録商標)HER2/neu血清試験は、転移性乳癌を有する患者の追跡と監視における使用のためにのみに承認されている。この試験は、HER2(ECD−Her2)の脱落した細胞外領域の循環レベルを測定するが、腫瘍細胞の表面上の遺伝子増幅やHER2の過剰発現のいずれも測定しない。通常の個体においては、HER2−ECDのレベルは、15ng/mL未満であり、HER−2陽性患者においては、数倍高いかもしれない。
【0108】
HER2蛋白質の過剰発現は、遺伝子増幅が無ければほとんど生じない。FISH分析は、明らかに蛋白質過剰発現を有する患者(IHC2+または3+)は、遺伝子増幅を有さないものもあることを明らかにし(FISH)、これらの患者は「偽陽性」であり得ることを示唆している(Press ら1994 Cancer Res.54:2771−2777)。分子技術によってHER2蛋白質過剰発現を示すほぼ2%−4%の患者は、遺伝子増幅を有していない(Lohrischら 2001,Clin Breast Cancer 2:129−135)。最近の臨床試験において、分析前組織処理の可変性、試薬の可変性、抗原検索、および記録付けは、免疫組織化学の偽陽性をもたらし得る。当業者は、HER−2RNAの試験が、蛋白質試験やDNAコピー数試験への補完的な情報を提供し得、従って、遺伝子発現を検出することにより「偽陽性」を減少するのに役立ち、これにより、遺伝子組織化学アッセイが失敗し、および/または患者の組織が遺伝子増幅を欠いていても増加した発現を検出することができる。
【0109】
この開示の好適な実施の形態は、血清入力を使用してECD−HER2を定量化し、生検からの組織の第2の入力を使用して、Her−2遺伝子のDNAコピー数およびRNAコピー数を検出することができるデバイスである。第1のポートへの血清入力の量は、10μLから100μLの範囲であり、一方で第2のポートの生検入力は、針生検からである。血清は、第2の区画に蓄えられた緩衝液で希釈され、Her2−ECDは、磁性ビーズに抱合された抗体により捕捉され、第2のセグメントに乾燥試薬として蓄えられもするが、希釈緩衝液からは剥離可能シールにより分離される。インキュベーションの後、ECD−HER2は、磁性ビーズにより捕捉され、第2のセグメントに隣接するセグメントから放出された希釈液で洗浄される。洗浄の後、磁性ビーズは、固定される前にPCR溶出緩衝液で加熱される。分析物の核酸およびイムノ−PCRアッセイのためのレポータ核酸を含む溶液は、プライマ/プローブを含むセグメントへ移され、一方で磁性ビーズはセグメント内に保持される。分析物プローブおよびプライマは、次いでDNA増幅酵素を含むセグメントへ移される。
【0110】
それに対し、別のポートへの組織生検入力は、プロテナーゼK、2.4MグアニジウムHCl、5mM尿素、5mMTrisHClpH5.7、および1%TritonX−100でのインキュベーションにより温浸される。このRNA/DNA経路に続くセグメントには、イソプロパノール中のシリカコーティングされた磁性粒子が含まれ得るので、剥離可能シールが破れて2つのセグメントの内容が混合されると、そのセグメント中で核酸が磁性粒子上に沈降する。磁性ビーズは次いで、洗浄緩衝液を含むセグメントから放出された緩衝液により連続的に洗浄されて、逆転写とPCR阻害剤を除去する。サンプルは次いで前述したアプローチを使用して2つに分割され、RT−PCRおよびPCR増幅を並行トラック中で実施する。
【0111】
実施例7.サンプル中の蛋白質毒素および細菌DNAの検出
【0112】
別の実施の形態において、食品サンプル中の細菌性毒素と細菌とを検出するために2つの入力ポートを有するサンプル処理カートリッジ(図5)が使用される。好適な実施の形態において、2つの入力ポートを有するカートリッジは、濾過を経た液体サンプルが充填されて、臨床または食品サンプル中に存在し得る細菌や蛋白質を選択的に捕捉する。例えば、このようなシステムは、炭疽菌等の細菌によって産生される毒素の検出と、細菌自体によって産生された核酸ゲノムまたはRNAの検出との両方によって、1つの薬剤に対するアッセイを実施することができる。あるいはこのようなシステムは、ブドウ球菌性エンテロトキシンおよびボツリヌス菌神経毒等の複数の毒素、ならびに大腸菌およびサルモネラ菌spp等の細菌のための同時アッセイを実施することができる。濾過された細菌細胞を含む濾過済みサンプルは一方の入力ポートに移され、他方でこれを含んでいない蛋白質が別のポートに配置される。カートリッジは、液体の動きに対して一時的障壁を作成する剥離可能シールによって規定された複数のセグメントを含む。アクチュエータによって圧力が剥離可能シールにかかると、これらは永久に開放する。サンプル入力ポートに隣接するサンプル受容セグメントは、サンプルを受容する。カートリッジは、蛋白質アッセイトラックとDNAアッセイトラックの2つのサンプル処理トラックを含む。セグメントのアレイとセグメントに含まれる試薬を、図5に示す。
【0113】
DNAトラック中で、サンプルは、サンプル受容セグメントに導入される。中の破損可能シールがバーストした後、サンプルは、プロテナーゼKペレットと混合してこれを再生する。溶液は、次いで次のセグメントに移され、カオトロピック塩ベースの細胞溶解緩衝液と混合して、細胞可溶化物からDNAが放出される。溶解の後、サンプル溶液は、イソプロパノールとシリカ磁性ビーズ(例えばMagPrep(登録商標) Silica, Merck & Co.)を含む隣接するセグメントへ移され、核酸をビーズ表面上に沈降させる。DNAが結合したビーズは、次いで磁気的に捕捉されてビーズをセグメント内に保持し、一方次のセグメントからの洗浄緩衝液が使用されてビーズを洗浄し、あるかもしれないPCR阻害剤を除去する。その後、ビーズは磁気的に放出され、溶出緩衝液が移されてDNAをビーズ表面から放出させる。溶出されたDNA溶液は、次いで移されてPCRサブトラックに分割され、プライマ(Pri)およびプローブ(Pro)、およびDNAポリメラーゼ(Pol)を含むPCR試薬と混合され、熱サイクルプログラムが実施されてDNAをリアルタイムで増幅して検出する。
【0114】
蛋白質トラック中で、サンプル受容セグメントに沈着したサンプルは、イムノ磁性ビーズと混合され、その間にアッセイにより標的された蛋白質分析物が特異的に結合する。溶液は、次いで、次のセグメントに移され、希釈緩衝液と蛋白質分析物に特有のDNA標識した抗体とが混合される。蛋白質分析物、イムノ磁性ビーズおよびDNA標識した抗体によって形成された複合体は、磁気的に捕捉され、次の2つのセグメントから洗浄緩衝液を使用して2度洗浄される。洗浄の後、ビーズ複合体は、磁気的に開放されて、溶出物は、移されてビーズと混合してDNA標識を溶出する。溶出したDNA溶液は、次いで増幅とリアルタイム検出のためにPCRサブトラックに移される。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1Aは、セグメントの2×2アレイの例示の実施形態のサンプル処理カートリッジを示す。図1Bは、サンプル処理カートリッジの2×3セグメントアレイの例示の実施形態を示す。
【図2】図2Aは、サンプル処理カートリッジの例示の実施形態の正面立面図である。図2Bは、分析器の内部に配置されたサンプル処理カートリッジの断面図である。図2Cは、サンプル処理カートリッジの例示の実施形態の斜視図である。
【図3】図3Aは、サンプル処理カートリッジの例示の実施形態の正面立面図である。図3Bは、サンプル処理カートリッジの例示の実施形態の側面立面図である。
【図4】図4は、マルチトラックサンプル処理カートリッジの写真である。
【図5】図5は、蛋白質に対するイムノPCR試験および核酸に対するPCR試験を実施するための2ポートサンプル処理カートリッジの概略である。
【図6】図6は、単一の未処理生体サンプル入力を使用した複数の核酸試験を実施するための単一入力ポートアレイのセグメントの概略を示す。
【図7】図7は、エアロゾルサンプル試験を実施するために使用するセグメントのアレイの概略である。
【図8】図8は、単一のサンプルで核酸と蛋白質試験を実施するための単一入力ポートアレイのセグメントで、当該サンプルが2つの経路間で容量分析上分割されている概略である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2行長および2列幅でのアレイに配列された複数のセグメントを備えるサンプル処理カートリッジであって、前記アレイの各セグメントは、
前記サンプルカートリッジの少なくとも1つの壁で規定され、
少なくとも1つの破損可能シールによって、または少なくとも1つの永久シールによって、少なくとも部分的に隣接するセグメントから流体分離され、
別のセグメントから出る流体の容量を受容するように拡張可能であり、
および、圧縮されると実質的に流体を含まないように圧縮可能であり、
ここで、前記アレイの少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、前記行の経度軸に沿って位置決めされており、前記行の緯度軸に沿った実質的に同一の高さを有しており、
ここで、少なくとも1行の少なくとも2つの隣接するセグメントは、永久シールによって分離されて少なくとも2つのトラックを形成し、
ここで、少なくとも1つのセグメントまたは、破損可能シールによって分離されている少なくとも2つの隣接するセグメントは、前記少なくとも2つのトラックと流体連絡しており、および、
ここで、少なくとも1つのセグメントは、少なくとも1つの試薬を含んでいる、サンプル処理カートリッジ。
【請求項2】
前記サンプル処理カートリッジの壁の少なくとも一部が透明である、請求項1に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項3】
少なくとも1行における少なくとも2つの隣接するセグメントが、前記行の経度軸に沿って互いに分離されている少なくとも2つの永久シールによって分離されている、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項4】
少なくとも1つのトラックが、複数のサブトラックを備えている、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項5】
セグメントが、前記セグメントをセクションAとセクションBに分割するフィルタを備えており、ここでセクションAが少なくとも1つのトラックに破損可能シールによって接続し、セクションBが破損可能シールによって別のセグメントに接続しており、セクションAが流体入口をさらに備え、セクションBが流体出口をさらに備えている、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項6】
少なくとも1つのセグメントと流体連絡している少なくとも1つの圧力ゲートをさらに備える、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項7】
サンプルが前記サンプル処理カートリッジに加えられるとき、前記サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合することができる物質を、前記試薬の少なくとも1つが含む、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項8】
前記事前に選択された成分が、核酸、蛋白質、炭水化物、代謝産物、脂質、抗体、抗原、リガンド、レセプタ、細菌、ウィルス、寄生体、細胞、および胞子のうちの少なくとも1つを備えている、請求項7に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項9】
事前に選択された成分に特異的に結合することができる前記物質が、少なくとも抗体、蛍光性群に抱合された抗体、ランタニドキレートに抱合された抗体、核酸に抱合された抗体、核酸、ペプチド核酸、ホスホチオエート核酸、バクテリオファージ、抗体、蛋白質、またはペプチドを示すウィルスまたは細胞、アプタマー、シリカ、シリカコーティングした表面、ニッケルコーティングした表面、静電的に帯電した表面、および酵素のいずれか1つを含む、請求項7に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項10】
前記酵素が、逆転写酵素、アブスクリプターゼ(abscriptase)、ウラシル−N−グリコシラーゼ、DNAポリメラーゼ、Fen−1、プロテアーゼ、RNAポリメラーゼ、ヘリカーゼ、φ29ポリメラーゼ、T4DNAリガーゼ、アンプリガーゼ(ampligase)の少なくとも1つを備えている、請求項9に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項11】
前記試薬が、ヌクレオチド三リン酸、水、塩化マグネシウム、イソプロパノール、塩酸グアニジウム、イソチオシアン酸グアニジウム、ジヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、蛍光性レポータ、ならびにヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドに抱合された蛍光性レポータの少なくとも1つを備える、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項12】
少なくとも1つのセグメントが、マイクロアレイを備える、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項13】
前記セグメントのアレイが、プラスチック細管またはプラスチックシートにより少なくとも部分的に形成されている、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項14】
セグメントの前記プラスチック壁が、複数の層を備え、ここで少なくとも1つの層が、低水蒸気透過材料から作成されており、別の層が、熱可塑性材料から作成されている、請求項13に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項15】
前記セグメントのアレイが、鎖状テープ形式で接続されている、請求項1または2に記載のサンプル処理カートリッジ。
【請求項16】
サンプルを処理する方法であって、
少なくとも2行長で2列幅でのアレイに整列した複数のセグメントの少なくとも1つのセグメントへ、少なくとも1つのサンプルを導入する工程であって、前記アレイの各セグメントは、
少なくとも1つの破損可能シールにより、または少なくとも1つの永久シールによって、少なくとも部分的に隣接するセグメントから流体隔離されており、
別のセグメントから出た液体の容量を受容するように拡張可能であり、および、
圧縮されたとき液体を実質的に含まないように圧縮可能であり、
ここで、少なくとも1行における少なくとも2つの隣接するセグメントは、永久シールにより分離されて少なくとも2つのトラックを形成し、および、
ここで、少なくとも1つのセグメントが、少なくとも2つのトラックと流体連絡しているか、1以上の破損可能シールにより前記2つのトラックから隔離されているか、のいずれかである枝セグメントである工程と、
前記サンプルを、前記サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合することができる物質で、セグメント内においてインキュベートする工程と、
第1のセグメントから隣接する第2のセグメントへ、前記第1のセグメントを圧縮して流体を前記第2のセグメントへ進ませることによって、前記流体を移動させる工程と、
流体を枝セグメントから前記少なくとも2つのトラックへ分割する工程と、を備える方法。
【請求項17】
流体を分割する工程が、
各トラックの受容セグメントを圧縮する工程と、
各受容セグメントの圧縮を規定されたギャップへ戻して、前記セグメントの容量を制御する工程と、
前記枝セグメントを圧縮して、各トラックの受容セグメントを規定の容量で充填する工程と、
各トラックの前記受容セグメントを、前記枝セグメントから流体的に分離する工程と、を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記容量が、第1のトラックの受容セグメントへ分割される容量が、第2のトラックの受容セグメントへ分割される容量と異なっており、ここで各受容セグメントへ分割される前記容量が、前記各受容セグメントの幅によって規定される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つのトラックの少なくとも1つのセグメントを圧縮することにより、破損可能シールにより前記少なくとも2つのトラックへ接続された枝セグメントへ、前記少なくとも2つのトラックからの流体を合わせる工程をさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも2つのトラックの流体を、前記セグメントのアレイの同一の行の少なくとも2つのトラックのそれぞれの少なくとも1つのセグメントを同時に圧縮することにより、前記少なくとも2つのトラックにおいて処理する工程をさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項21】
流体を1つのトラックから別のトラックへ移動させる工程、前記物質を捕捉する工程、試薬を放出する工程、乾燥試薬を再生する工程、薄層フローチャンネルを形成する工程、多量の流体を混合する工程、多量の流体を攪拌する工程、サンプルをフィルタ通して進める工程、サンプルを研磨する工程、流体の量を調節する工程、空気泡を除去する工程、サンプルを溶出する工程、サンプルを溶解して事前に選択された成分から廃棄物を除去する工程、の少なくとも1つをさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項22】
前記事前に選択された成分が、核酸を備え、および前記方法がさらに、ポリメラーゼ連鎖反応法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法、RCA法(rolling circle amplification)、リガーゼ連鎖反応法、NASBA法(nucleic acid based amplification)、TMA法(transcription mediated amplification)、およびSDA(strand displacement amplification)反応、の少なくとも1つの工程により、前記核酸を増幅する工程をさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項23】
第1のアッセイを第1のトラックで実施し、第2のアッセイを第2のトラックで実施する工程をさらに備え、ここで前記第1のアッセイおよび第2のアッセイが、デオキシリボ核酸アッセイ、リボ核酸アッセイ、蛋白質アッセイ、イムノアッセイ、および細胞アッセイ、からなるグループから選択されたものである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項24】
サンプルを、フィルタセグメントを介して濾過する工程をさらに備え、
前記フィルタセグメントは、前記セグメントをセクションAおよびセクションBに分割するフィルタを備え、ここでセクションAが破損可能シールを介して少なくとも1つのトラックへ接続し、セクションBが破損可能シールを介して洗浄流体を含む上流のセグメントへ接続し、セクションAが入口をさらに備え、セクションBが出口をさらに備えており、
前記濾過する工程は、
流体をセクションAからセクションBへ前記フィルタを介して前記入口から前記出口へ進める工程と、
前記入口および出口を閉鎖する工程と、
洗浄流体を含む上流セグメントを圧縮し、それにより破損可能シールを開放して、洗浄流体をセクションBへ前記フィルタを介して前記セクションAへ進める工程と、
前記上流セグメントおよびフィルタセグメントの間をクランプする工程と、
フィルタセグメントを圧縮し、それにより破損可能シールを開放し、流体を前記フィルタセグメントから少なくとも1つのトラックへ進める工程と、によってなされる、請求項16または17に記載の方法。
【請求項25】
サンプルを処理する方法であって、
少なくとも1つのサンプルを、少なくとも2つのトラックを有するサンプル容器の少なくとも2つのトラックへ導入する工程であって、
ここで、各トラックが、他方のトラックから流体分離されており、
各トラックが、破損可能シールにより、複数の流体分離されたセグメントへ区分されている工程と、
前記サンプルを各トラックのセグメント内において、前記サンプルの事前に選択された成分に特異的に結合する物質でインキュベートする工程と、
流体を、第1のセグメントから、隣接する第2のセグメントへ、前記第1のセグメントを圧縮し、前記流体を前記第2のセグメントへ進めることにより、移動させる工程と、
前記2つのトラックの第1において第1のアッセイを実施し、前記2つのトラックの第2において第2のアッセイを実施する工程と、を備える方法。
【請求項26】
前記第1のアッセイおよび第2のアッセイが、デオキシリボ核酸アッセイ、リボ核酸アッセイ、蛋白質アッセイ、イムノアッセイ、および細胞アッセイのグループから選択される、請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2008−505346(P2008−505346A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527678(P2007−527678)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/020095
【国際公開番号】WO2005/121963
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506406353)アイキューム, インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】IQUUM,  INC.
【住所又は居所原語表記】700 Nickerson RoadMarlborough, MA 01752 (US).
【Fターム(参考)】