説明

サンプル中の元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システム

【課題】微量の金属元素をオンサイトで分析する手法を提供する。
【解決手段】流路内を流れる第一の液に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システムであって、前記流路内を流れる前記第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー分析法(FA)又はフローインジェクション分析法(FIA)により、対象となる元素を分析する手法にかかるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、試料採取現場における迅速な分析(オンサイト分析)の重要性が認識されてきた。例えば、環境分野においては、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、大気汚染、海洋汚染が顕在化するなど、地球規模での様々な問題が深刻となっている。これらの問題を解決するためには、環境問題を引き起こす原因物質の存在形態、存在状態、存在量などの正確な実態把握が必要であり、そのために、信頼できる微量元素のオンサイト分析手法の開発は不可欠となっている。
【0003】
また、半導体の製造工程においては、Siウエハの洗浄その他の洗浄工程、露光・現像工程、エッチング工程において、様々な薬液が用いられる。これらの薬液に金属不純物が混入している場合、製品性能・歩留まりに深刻な悪影響を及ぼすことがある。一般に半導体の製造工程においては、きわめて高純度の薬品類が使用されており、この薬品類に対する品質管理のために、微量元素のオンサイト分析手法の解決が不可欠となっている。
【0004】
従来、微量の金属元素をオンサイトで分析する手法は存在しなかった。半導体製造工程においては、各薬液毎にサンプルを採取し、別の場所の分析室等において、濃縮等のバッチ方式でのみ適用できる方法で検出感度を高める処理を行い、ICP-MS(Inductively coupled plasma-mass spectrometer:誘導結合プラズマ質量分析)などの高感度分析方法に委ねていた。このような方法では、試料濃縮などの処理が必要なために、分析結果が出るまでに最短でも一日程度要し、その結果、薬液の不純物濃度が高いと判断された場合は、それにかかる製品をすべて廃棄するなどの無駄を生じ、結果として、歩留まりの低下を引き起こしていた。更に、ICP-MSは、装置が高価なことに加え、約5000度以上の高温に試料やアルゴン、空気を熱するため、その排ガスからの汚染問題から、オンサイト分析が要求される現場に持ち込むことはできない。
【0005】
また、検出下限を改善する手法、いわゆる高感度化の手法としては、試料液中の検出対象元素を濃縮して、その濃縮比率を勘案しつつ、試料の元素濃度を導出する方法が一般に知られていた。濃縮方法としては、白金や合成石英などの不純物汚染の少ない容器において蒸発・蒸留を行う方法や、その元素成分をイオン交換樹脂などの吸着剤、捕集剤等に吸着させて濃縮する方法が一般的であるが、この方法はバッチ処理によらなければならないのでオンサイト分析には容易には適用できず、オンサイト分析に適用できたとしてもイオン交換樹脂、濃縮剤、捕集剤、更には溶離剤等からの汚染を排除できないのでpptオーダーの分析には適用できない。
【0006】
ここで、オンサイト分析に適した分析手法として、フロー分析法(FA)が知られている。このフロー分析法は、例えば、サンプルを流路内に流しておいて、連続的又は適当な間隔で薬液を注入し、当該反応液からの応答を検出し、前記サンプル内の分析対象物濃度を定量的に測定する手法である。図1を参照しながら説明すると、サンプル液導入部2(2)から導入されたサンプル液Sは、図示しないポンプにより連続的に流路内に送液される。そして、流路内にサンプル液Sが存在する状況下、限定された時間だけポンプ(図示せず)をシンクロ作動させることにより、発色液R(2)及び発色補助液{酸化液O(2)、緩衝液B(2)}が同時に流路内に注入される。これにより、流路内のある一部分だけサンプルと薬液が混合した状態となり、当該混合液が発色反応を起こす。そして、当該混合液は、やがて下流の測定部17(2)に到達し、ここで吸光度が測定される。他方、混合していない部分(即ち、サンプル液のみ)の吸光度も測定され、差Δに基づき、サンプル液中の分析対象物の濃度を決定する。
【0007】
更に、本発明者らは、特開2004−163191号公報(特願2002−327720号)に示すように、フローインジェクション分析法(FIA)を適用して、オンサイトでの微量分析を提案した。FIAとは、流路にキャリア(試料を運ぶ流体)を流しておき、適時、キャリア中を分析試料に置きかえて、これら検出元素が発色する反応試薬と反応させて、キャリアの吸光度と分析試料の吸光度との差△を検出して元素濃度を分析する方法である。すなわち、FIAにおいては、キャリアと反応試薬を混合して、これを攪拌・分散等によってよく混ぜた後に、元素濃度を検出する検出器によって濃度検出(典型的には吸光度分析による吸光度の測定)を行うのであるが、キャリアをある時点において、試料に置き換えることによって、吸光度の差分を測定することによって試料濃度を測定するものである。尚、特開2004−163191号公報(特願2002−327720号)の内容は、本明細書に組み込まれるものとする。
【0008】
ここで、FIAの原理図を図2及び図3に示す。図2を参照すると、キャリアと反応試薬が定常的に攪拌混入され、検出器において測定対象元素の検出が行われる。このときに、キャリアに切り替えバルブを設けておき、適時、分析対象サンプルをキャリアと置換する。
【0009】
図3は、このような状態で検出される吸光度のチャートである。キャリアに対する吸光度測定時は空試験値として表されている。これに対し、分析対象サンプル(試料)は、空試験値からΔで表される分、吸光度特性に差分が観察される。この差分Δがすなわち、キャリア中に含まれる分析対象元素濃度(0であると推定される)と、サンプル中に含まれる分析対象元素濃度の差分による吸光度の差である。通常、Δは小さいので、これを100〜1000倍に拡大することによって、分析精度を向上させる手法が採用される。なお、吸光度の代わりに蛍光測定でもよく、この場合は発色試薬ではなく蛍光を発する試薬を用いる。
【0010】
また、FIAにおいては、キャリアと試料による吸光度の差分を電気的手法により増幅し、これによって、分析感度を高める方法がとられることもある。このためには、ノイズが小さく、安定したバックグラウンドが得られる反応系、装置等をクリアしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、FAやFIAは、溶液バッグを用いることにより、完全閉鎖系測定システムとすることが可能で、測定環境からの汚染を遮断することができる。これに加え、測定後、瞬時に測定結果が得られ、更には手軽に持ち運びでき、装置調整も簡単なことから、オンサイト分析が可能であるという点で、半導体の製造工程中に設置し、その結果を半導体製造工程に直ちに反映できるという利点を有している。しかしながら、上記利点の反面、これまでのFA又はFIA測定装置や測定法では、その分析感度はppbオーダーまでであり、サブppbオーダーないしpptオーダーの不純物制御が要求される半導体製造工程などに適用するには感度的な難点があった。
【0012】
そこで、本発明は、例えばオンサイトでも実施可能である金属元素分析手法であって、微量でも極めて高い検出感度を奏する分析手法を提供することを目的とする。
【0013】
尚、特開昭61-108964号公報には、水溶液中の微量カルシウムの定量方法が開示されており、具体的には、試料液に検出対象元素であるカルシウムをマスキングするマスキング剤を適用する技術が開示されている。その際のマスク剤としては、キレート滴定に滴定試薬として用いられる通常のキレート試薬、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸その他の塩などが開示されている。そして、この発明によれば、試料液に対してマスキング剤を添加したブランク剤と試料液との比較となるので、これら溶液双方のバックグランドが共通になり、試料液の液性による誤差を相殺することができると記載されている。
【0014】
しかし、この発明はFAやFIAに対するかかる手法の適用について何ら開示はないから、pptオーダーの超高純度分析を目的とするものではない。また、後述するように、本発明では試料ではなく、キャリア液に発色抑制剤(マスキング剤に相当)を加えているので、溶液双方のバックグランドを共通にするという原理を用いない。
【0015】
また、特開平3-235019号公報には、FIAに近似したフロー分析手法において、分析感度を高めるために、キャリア液中に含まれる不純物濃度を下げるべく、試料溶液のキャリア液の精製カラムに陰イオン交換樹脂、試薬溶液のキャリア液の精製カラムにはキレート樹脂を用いた例が開示されている。この例では、濃縮カラムを併用している。
【0016】
このような方法においては、カラム充填剤や濃縮後に使用する溶離剤から不純物の溶出が起こり、pptオーダーの分析ではときとしてかかる不純物の溶出濃度は測定サンプル中の不純物濃度を上回ることがあるので、この方法を超高純度分析に適用することはできない。
【特許文献1】特開昭61-108964号公報
【特許文献2】特開平3-235019号公報
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題を解決するために、本発明においては以下の基本アプローチを採用した。
【0018】
超高純度分析においては、検出対象となる元素が費消されて発色が生じる型の反応ではなく、検出対象となる元素が発色反応の触媒となり、それ自体は費消されることなく発色が生じる型(接触型)の反応を前提とすることが好ましい。かかる前提下においては、一定温度、一定時間、その他pHなどの一定条件下において、比較材(本明細書においてはキャリア)とサンプル材との反応を制御し、前者と後者とのS/N比を最適化した測定条件にて発色程度の測定を行うことにより感度のよい分析が可能となる。そして、一定条件下を実現するためには、分析に使用する容器の汚染度が一回ごとに異なるバッチ式の分析方法を採用するよりも、連続式の分析方法を採用する方が、様々な条件を分析毎に統一することができるので好ましい。本発明においては、オンサイト型分析方法であるFAやFIAに接触型の反応試薬を適用することが好ましい。
【0019】
微量分析を実現するためには、測定環境からの汚染を防止することが重要である。検出対象元素が鉄のような一般的な元素の場合、大気中に浮遊していたり、用いる実験器具、容器、配管から混入する場合も考えられる。そのため、本発明にかかる測定システムは、外環境からなるべく閉鎖されたシステムであることが望ましい。
【0020】
さらに、S/N比を向上させるために、本発明においては、比較材(キャリア)中に含まれる検出対象元素(不純物)の発色を低減させることが好ましい。
【0021】
これらの発想の一部又は全部を組み合わせて分析感度を高めた結果、pptオーダーの超高純度元素分析が可能となる。
【0022】
より具体的には、本発明(1)〜(14)は、以下を構成要件とするものである。
【0023】
本発明(1)は、サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器が接続されている、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムであって、前記試薬液が封入された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、フロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0024】
ここで、本発明(1)の一態様は、サンプル液を流路内に導入するためのサンプル液導入部と、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器が接続されている、前記試薬液を前記流路内に導入するための試薬液導入部と、前記サンプル液導入部及び前記試薬液導入部より前記流路の下流に位置する、前記応答を測定するための応答測定部とを有し、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムであって、前記試薬液が封入された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、フロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0025】
本発明(2)は、試薬液以外の、前記応答測定に必要な補助液が封入された密封容器が更に接続されており、前記補助液が密封された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(1)のフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0026】
本発明(2)の一態様は、試薬液以外の、前記応答測定に必要な補助液が封入された密封容器が接続されている、前記補助液を前記流路内に導入するための補助液導入部を更に有し、前記補助液が密封された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(1)のフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0027】
本発明(3)は、前記補助液が、キャリア液、中和液、酸化液、緩衝液、前記分析対象元素の標準液及びブランク液から選択される少なくとも一種である、前記発明(2)のフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0028】
本発明(4)は、前記密封容器に封入された状態の試薬液又は補助液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0029】
本発明(5)は、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つのフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムにおいて使用される、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている試薬液又は補助液が封入された密封容器である。
【0030】
本発明(6)は、前記密封容器に封入された状態の試薬液又は補助液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下である、前記発明(5)の密封容器である。
【0031】
本発明(7)は、サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器が接続されている、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムであって、前記密封容器に封入された状態の試薬液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下であるフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0032】
本発明(7)の一態様は、サンプル液を流路内に導入するためのサンプル液導入部と、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器が接続されている、前記試薬液を前記流路内に導入するための試薬液導入部と、前記サンプル液導入部及び前記試薬液導入部より前記流路の下流に位置する、前記応答を測定するための応答測定部とを有し、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムであって、前記密封容器に封入された状態の試薬液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下であるフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0033】
本発明(8)は、試薬液以外の、前記応答測定に必要な補助液が封入された密封容器が接続されている、前記補助液を前記流路内に導入するための補助液導入部を更に有し、前記密封容器に封入された状態の試薬液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下である、前記発明(7)のフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0034】
本発明(9)は、前記補助液が、キャリア液、中和液、酸化液、緩衝液、前記分析対象元素の標準液及びブランク液から選択される少なくとも一種である、前記発明(8)のフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0035】
本発明(10)は、前記試薬液又は前記補助液が封入された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(7)〜(9)のいずれか一つのフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0036】
本発明(11)は、前記発明(7)〜(10)のいずれか一つのフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムにおいて使用される、酸素含有量が5ppm以下の試薬液又は補助液が封入された密封容器である。
【0037】
本発明(12)は、前記密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(11)の密封容器である。
【0038】
本発明(13)は、流路内を流れる第一の液に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システムであって、前記流路内を流れる前記第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0039】
本発明(13)の一態様は、サンプル液を流路内に導入するためのサンプル液導入部と、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器が接続されている、前記試薬液を前記流路内に導入するための試薬液導入部と、前記サンプル液導入部及び前記試薬液導入部より前記流路の下流に位置する、前記応答を測定するための応答測定部とを有し、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システムであって、前記流路内を流れる第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するフロー分析システム又はフローインジェクション分析システムである。
【0040】
本発明(14)は、サンプル液を流路内に導入するステップと、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器から、前記試薬液を流路内に導入するステップと、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答を検出すると共に、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答を検出又は入力するステップとを有する、前記第一の応答と前記第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法であって、前記試薬液が封入された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されているフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0041】
ここで、第二の液に関するベース値としての第二の応答は、正確さの観点からは、検出して取得することが好適であるが、通常、その値は第一の応答よりも低いので、規定値(例えば、過去の測定値に基づく平均値)として記録しておき、当該規定値を入力する形で取得してもよい。尚、以下の発明における「第二の応答を検出又は入力するステップ」という用語の意味も同様である。
【0042】
本発明(15)は、試薬液以外の、前記応答測定に必要な補助液が封入された密封容器が接続されている、前記補助液を前記流路内に導入ステップを更に有し、前記補助液が密封された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(14)のフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0043】
本発明(16)は、前記補助液が、キャリア液、中和液、酸化液、緩衝液、前記分析対象元素の標準液及びブランク液から選択される少なくとも一種である、前記発明(15)のフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0044】
本発明(17)は、前記密封容器に封入された状態の試薬液又は補助液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下である、前記発明(14)〜(16)のいずれか一つのフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0045】
本発明(18)は、サンプル液を流路内に導入するステップと、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器から、前記試薬液を流路内に導入するステップと、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答を検出すると共に、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答を検出又は入力するステップとを有する、前記第一の応答と前記第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法であって、前記密封容器に封入された状態の試薬液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下であるフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0046】
本発明(19)は、試薬液以外の、前記応答測定に必要な補助液が封入された密封容器が接続されている、前記補助液を前記流路内に導入するための補助液導入部を更に有し、前記密封容器に封入された状態の試薬液中に含まれる酸素含有量が、5ppm以下である、前記発明(18)のフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0047】
本発明(20)は、前記補助液が、キャリア液、中和液、酸化液、緩衝液、前記分析対象元素の標準液及びブランク液から選択される少なくとも一種である、前記発明(19)のフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0048】
本発明(21)は、前記試薬液又は前記補助液が封入された密封容器が、酸素透過度が10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下である素材で構成されている、前記発明(18)〜(20)のいずれか一つのフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0049】
本発明(22)は、サンプル液を流路内に導入するステップと、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器から、前記試薬液を流路内に導入するステップと、前記流路内を流れる第一の液(例えば、前記サンプル液と前記試薬液との混合液)に関する第一の応答を検出すると共に、前記流路内を流れる第二の液(例えば、前記混合液以外の液)に関するベース値としての第二の応答を検出又は入力するステップとを有し、前記第一の応答と前記第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法であって、前記流路内を流れる前記第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法である。
【0050】
ここで、本明細書における各用語の意義について説明する。「サンプル液」とは、分析対象元素を含んでいるか否かが問題となる液をいい、例えば、各プロセス(例えば半導体洗浄プロセス)で使用するプロセス液(洗浄液)や、当該プロセス液の原液(新液)を挙げることができる。「検出可能な応答」とは、例えば、変色(例えば発色や減色)、光信号(例えば蛍光)、電気信号等を挙げることができ、検出可能である限り特に限定されない。「第一の液」とは、好適な応答反応条件の下、サンプル液中に存在する分析対象元素の存在により応答反応を起した液を指し、例えば、サンプル液と試薬液との混合液や、サンプル液と試薬液と補助液(例えば、酸化液、中和液、緩衝液、補触媒液等)との混合液を挙げることができる。「第二の液」とは、サンプル液を含有しない液や、サンプル液を含有していても第一の液と比較して応答反応を起し難い状態にある液を指し、例えば、サンプル液を含有しない液としては、例えば、キャリア液と試薬液の混合液や、キャリア液と試薬液と他の補助液(例えば、酸化液、緩衝液、補触媒液等)}との混合液を挙げることができ、サンプル液を含有していても第一の液と比較して応答反応を起し難い状態にある液としては、例えば、サンプル液のみ、応答反応に適したpH範囲にない状態のサンプル液と試薬液との混合液、応答反応に必要な補触媒が存在しない状態のサンプル液と試薬液との混合液を挙げることができる。「システム」とは、装置のみならずプラントのようなものも包含する概念であり、また、各構成要素が物理的に一体的又は集約的なもののみならず、各構成要素が物理的に分割しているものや分散しているものも包含する。「元素」とは、特に限定されず、例えば金属元素である。「フロー分析」とは、自動分析を含む流れ分析を意味し、フローインジェクション分析を包含する概念である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、図面を参照しながら本発明の最良形態について説明する。尚、本発明の権利範囲は、以下の最良形態に限定されるものではない。即ち、上記最良形態は、あくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の権利範囲に包含される。
【0052】
まず、本発明に係るシステム及び方法は、好適には、微量元素を測定対象とし、より好適には超微量元素を測定対象とする。ここで、「微量」とは、対象元素の含有量が10−7オーダー(ppb)以下である場合を指し、「超微量」とは、対象元素の含有量が10−8オーダー(サブppb)以下(より好適には10−9オーダー以下)である場合を指す。尚、下限値は特に制限されないが、通常、10−12オーダー(ppt)である。更に、本発明に係るシステム及び方法は、オンサイト分析用に適しているが、オンサイト分析用に限定されるものではなく、これ以外の用途も適用可能であり、本発明の権利範囲に属する。
【0053】
まず、図4及び図5を参照しながら、本発明の第一の最良形態(新液用モニター)について詳述する。ここで、「新液」とは、実際の洗浄時に使用されるプロセス液を作るための高濃度の原液であり、例えば、98%硫酸や29%アンモニア水である。図4は、当該FIAの各工程に係るフローチャート図である。図4に示すように、半導体工程等、分析対象となる薬品から、連続的に、又は、一定時間毎にサンプルを採取するサンプル採取工程(ステップ1)と、前記サンプル採取工程で採取されたサンプルを中和してpHを調整する中和工程(ステップ2)と、前記中和工程後のサンプルに、金属イオンを触媒として酸化反応を起こすことにより発色を呈する発色試薬を注入する発色試薬注入工程(ステップ3)と、前記発色試薬注入工程後のサンプルの吸光度を測定する吸光度測定工程(ステップ4)とを含む。以下、各工程について詳述する。
【0054】
(1)サンプル採取工程(S1)
サンプル採取工程S1は、被検出溶液たる薬品中からサンプルを採取する工程である。ここで、一定時間毎にサンプルを採取することが好適であり、更に、一定時間毎に一定量のサンプルを採取することがより好適である。尚、サンプル採取の具体的方法は特に限定されない。
【0055】
被検出溶液たる薬品としては、例えば、強酸、弱酸及び強アルカリ、弱アルカリ薬品のいずれであっても、金属の検出が可能である。具体的には、強酸薬品としては、塩酸、硫酸、硝酸、又はこれらを混合したものなど、弱酸薬品としては、酢酸、フッ酸、リン酸などを挙げることができる。また、強アルカリ薬品としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、又はこれらを混合したものなど、弱アルカリ薬品としては、アンモニア水などを挙げることができる。
【0056】
(2)中和工程(S2)
中和工程S2とは、採取したサンプルに中和剤を注入することにより中和させる工程である。尚、発熱反応による発泡現象を防止するために、中和工程を冷却下で行なったり、並びに/或いは、中和剤及び/又はサンプルを予め冷却しておくことが好適である。このような構成を採ることにより、中和剤の希釈度を低く抑えることが可能となる結果、感度上昇に繋がる。但し、本工程は、中和しないと測定ができない場合にのみ必要であり、中和しなくても測定可能なサンプルの場合には省略される。
【0057】
この中和工程S2において用いられる中和剤は、被検出溶液たる薬品の種類及びpHにより適宜選択して使用すればよい。例えば、被検出溶液が塩酸の場合には、アンモニア水や水酸化ナトリウムを好適に用いることができ、また被検出溶液が水酸化カリウムの場合には、塩酸や酢酸などを好適に用いることができる。尚、中和剤としては、金属を含有しないものを用いることが、感度上昇の観点から好適である。
【0058】
(3)発色試薬注入工程(S3)
発色試薬注入工程S3とは、中和されたサンプル中に、検出対象である金属イオンを触媒として酸化反応を起こすことにより発色を呈する発色試薬を注入する工程である。尚、本最良形態では、吸光度測定法に基づいて測定を行なうため、分析試薬として発色試薬を選択したが、例えば、分析手法として蛍光測定法を選択した場合には、分析試薬として蛍光試薬を選択することになる。
【0059】
発色試薬は、検出しようとする金属に合わせて適宜選択する。例えば、薬品中の鉄を検出する場合には、発色試薬としてはN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミンや還元体のマラカイトグリーン、メチレンブルーなどが好適であり、また、銅、マンガン、コバルトなどを検出する場合にも、これらの試薬が使用可能である。尚、分析対象金属に応じ、、温度、pH、濃度などの条件を適宜変更する。
【0060】
具体的には、例えば、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン、N-(p-メトキシフェニル)-p-フェニレンジアミン、N-(p-メトキシフェニル-N,N-ジメチル)-p-フェニレンジアミン、ヒドロキシベンズアルデヒド4オセミカルパゾン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、2-ニトロソ-5-(Nプロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、2-(5-ブロム-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)アニリン、2-(5-ブロム-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、2-(5-ニトロ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノールなどを挙げることができる。
【0061】
また、発色試薬注入工程S3において、前記発色試薬に加えて酸化剤(酸化液)や緩衝剤(緩衝液)を注入することもできる。使用される発色試薬は、酸化反応により発色を呈する試薬であるため、当該酸化反応を促進することにより感度を上げることができる。例えば、鉄イオンは、酸化剤である過酸化水素の酸化反応を促進する触媒として働くことができる。しかも、酸化剤である過酸化水素は、発色試薬と鉄(III)の酸化還元反応の化学量論量よりもかなり多量に加えられており、鉄(III)が消費され、鉄(II)が生成されると、過酸化水素により鉄(III)が再生される(鉄の触媒作用)。このような触媒作用を利用することにより、少量の測定対象物質(例えば鉄)が存在すれば、十分な酸化剤が存在し、時間を制限しなければ、無限に酸化反応は進行する。すなわち、酸化による生成物の発色を検出に利用する場合には、感度の大幅な向上が期待できる。しかし、生成物量が測定対象物質量と明瞭な相関関係(直線関係が好ましい)にあることが保障される測定装置、測定手法でなければならない。このためには、詳細な実験的裏付けが必須である。注入する酸化剤は、特に限定されないが、例えば、発色試薬として、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミンを用いた場合には、酸化剤としては過酸化水素が好適である。また、使用される緩衝剤は、当該発色強度が最も高くなるpH域に緩衝するものである限り特に限定されない。
【0062】
(4)吸光度測定工程(S4)
吸光度測定工程S4とは、前記発色試薬注入工程S3後のサンプルの吸光度を測定する工程であり、当該測定結果により被検出溶液たる薬品中に存在する金属を定量することができる。尚、本最良形態では、吸光度測定法に基づいて測定を行なうものを挙げたが、分析手法はこれに限定されず、例えば、蛍光測定法も採用可能である。
【0063】
吸光度測定の具体的な方法は特に限定されることなく、従来公知の検出装置などを用いることができる。また測定波長についても前記発色試薬により適宜設定すればよい。例えば、発色試薬としてN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミンを用いた場合には、測定波長は510nm〜530nm付近である。
【0064】
以下、図5を参照しながら、半導体製造工程を例にとり、本最良形態をより詳細に説明する。半導体製造工程の場合、使用される薬液は強酸・強アルカリであり、取扱がきわめて難しいという問題がある。また、例えば、濃硫酸の場合は、濃度が極めて高いので中和が必要であるが、中和すると不純物元素の濃度も低下するので、一層の検出感度が必要となる。
【0065】
また、半導体製造工程の配管の多くは、鉄系素材に四フッ化樹脂などの耐薬品性樹脂をライニングしたものなどからなり、このライニング樹脂の破れなどの欠陥は、鉄などの金属汚染の原因となっている。従って、濃硫酸を対象として、検出対象元素を鉄(Fe)とした例を以下に説明する。しかし、本発明において、試薬等鉄固有の条件要素ではない部分は、他の金属元素を微量分析する場合にも適用可能であり、本明細書において鉄を最良の実施形態として説明するからといって、他の元素に対する適用が否定されたり、本願発明の権利範囲が限定されると解釈されてはならない。
【0066】
図5に示す検出装置は、フローインジェクション分析装置の一種であり、半導体製造工程において使用される薬品から、一定時間毎にサンプルを採取するサンプル採取手段2と、前記サンプル採取手段2により採取されたサンプルと、当該サンプルを中和してpHを調整するための中和試薬とを混合して、当該サンプルを中和する中和手段3と、前記中和手段により中和されたサンプルと、金属イオンを触媒として酸化反応を起こすことにより発色を呈する発色試薬と酸化剤を所定の割合で混合して、発色反応を起こさせる反応手段4と、前記反応装置により発色反応を呈したサンプルの吸光度を測定する吸光光度測定手段5とを少なくとも含む。
【0067】
まず、サンプル採取手段2は、半導体製造工程において使用される薬品が流通する薬品流通管100に設けられており、当該薬品流通管100から一定時間毎に一定量のサンプルSを採取する。
【0068】
そして、サンプル採取手段2により採取されたサンプルは、サンプル流通管5に流入される。サンプル流通管5は、中和手段3として機能する中和管7に接続されている。
【0069】
中和試薬Nは、例えば樹脂製の試薬バック8aに封入されており、当該試薬バック8aが接続されている中和試薬流通管9により前記中和管7に注入される。このように中和試薬Nをはじめ、本発明の装置において使用される試薬を試薬バックに封入して使用することにより、装置外部から不純物が混入することを防止することができ、より感度の高い分析を行うことができる。
【0070】
中和手段3にかかる中和管7に流入されたサンプルと中和試薬Nは、中和管7を流通する間に中和される。この際、中和管7に流入されるサンプルの流量、および中和試薬Nの流量を適宜調節することにより簡便に再現性よく中和をすることができる。
【0071】
中和管7は、自動切り替えバルブBに接続されている。当該自動切り替えバルブBには、一定量のサンプルを保持することができるサンプル計量管10を設けてある。
【0072】
切り替えバルブBには、キャリアー流通管11が接続されている。当該キャリア流通管11の端部にはキャリアCを封入するための試薬バック8bが接続されている。
【0073】
キャリアCをキャリア流通管11に流入せしめながら、適当なタイミングで自動切り替えバルブBを切り替えることにより、キャリアCはサンプル保持管10内に流入する。その結果サンプル保持管10内に保持されたサンプルはキャリアCによって押し出されて、反応手段4にかかる反応管12へ流入する。
【0074】
反応手段4の上流側には、当該反応管に金属イオンを触媒として酸化反応を起こすことにより発色を呈する発色試薬Rを封入した試薬バッグ8cに接続された発色試薬流通管13、酸化剤Oを封入した試薬バッグ8dに接続された酸化剤流通管14、および緩衝溶液Bを封入した試薬バッグ8eに接続された緩衝溶液流通管15が接続されている。
【0075】
反応管4は、サンプルSまたはキャリアCに、発色試薬R、酸化剤O、および必要に応じて用いられる緩衝溶液Bをそれぞれ混合し、酸化反応を促進する。フローインジェクション分析装置においては、当該反応管12の長さを調節することにより反応時間をコントロールすることが出来る。また、当該反応管12(特に下流側)を温度調節器16内に設けることにより、反応温度を調節することも可能である。
【0076】
上述したように各試薬は、それぞれ試薬バック8a〜8eに封入されていることが好ましい。
【0077】
さらに、それぞれの流通管には、試薬の流量を調節する機構が設けられている(図示せず)。従って、それぞれの流通管を流れる溶液のpHや濃度等により、それぞれの流通管の流量を調節することによって、発色試薬が最も発色し易い条件を容易に作り出すことができる。
【0078】
反応管12は、吸光光度測定手段である吸光光度計17に接続されている。吸光光度計17は、サンプルSまたはキャリアCの吸光度を測定する。吸光度が測定されたサンプルは排出管18より排出される。
【0079】
上記説明においては、中和剤、酸化剤、緩衝剤の順序でサンプルに対して適用しているが、この順序については発色を実現するものであれば特にこだわるものではない。
【0080】
次に、図1及び図6を参照しながら、本発明の第二の最良形態(プロセス液用モニター)について説明する。ここで、「プロセス液」とは、新液を希釈して実際の洗浄に使用される液を意味し、例えば過酸化水素等が添加されているものである(例えば、36%塩酸:30%過酸化水素:超純水=1:5:400)。まず、図6は、当該FAの各工程に係るフローチャート図である。図6に示すように、まず、ステップ11でサンプルを採取する。この際、FIAと異なり、サンプルは採取し続け、基本的には常に流路内に流れている状態となる。次に、ステップ12で、発色試薬(及び場合により酸化剤や緩衝剤)をある期間注入する。その結果、発色試薬が注入されたサンプル部分は、発色反応を起こし得る状態となる。そして、ステップ13で、当該発色試薬が注入されたサンプル部分と、当該発色試薬が注入されていないサンプル部分の両方について吸光度を測定する。
【0081】
次に、図1は、本最良形態に係る装置の概略図である。ここで、第一の最良形態(FIA)との相違点は、キャリア液が存在しない点、サンプル液が流路内を流れ続ける点、及び、発色試薬(及び酸化剤や緩衝剤のような補助液)がある期間シンクロしてサンプル液に注入される点である。それ以外は、第一の最良形態と同一であり、同一機能を有する部材の番号の後に「(2)」を付している。相違点について説明すると、サンプル液導入部2(2)は、洗浄流路100(2)から継続的にサンプル液Sを採取し、図示しないポンプにより流路5(2)内にサンプル液Sを流し続ける。そして、酸化液O(2)、試薬液R(2)及び緩衝液B(2)は、図示しないポンプをシンクロ作動させることにより、ある期間、サンプル液S内にこれら試薬液や補助液を同時注入する。
【0082】
前記第一の最良形態(FIA)及び前記第二の最良形態(FA)のような検出装置において、その検出感度は、検出バックグランド値とサンプルピーク値との差分であるΔを大きくすることによって向上する。FAやFIAによる検出感度を上げるための工夫としては大きく分けると以下の二つのアプローチがあり得る。
【0083】
第一は、検出バックグランドを低下させることにより、ノイズを小さく安定させ、微少なΔを大きくし、またはこれを拡大して正確に測定する方法である。第二は、検出対象元素の発色効率を向上させることによって、サンプルピークを実質的に大きくし、S/N比を向上することによってΔを大きくする方法である。
【0084】
本発明においては、それぞれのアプローチに関して、以下の手法を採用した。
【0085】
検出バックグランドは、主として(1)流路において、分析サンプル以外から検出対象元素が混入すること、(2)検出対象元素以外の元素に発色剤が反応して発色が生じること、によって上昇する。本発明においては、この二つの要因を低下させることによって、検出バックグランドの低下を図る。
【0086】
まず、(1)については、分析サンプル以外からの検出対象元素の混入量を低減するとともに、バックグランドを構成するキャリア液中に分析対象元素の発色を抑制する物質(発色抑制物質)を混入することによって解決した。
【0087】
本発明によれば、試薬バッグ8bに封入されたキャリアCの中にかかる発色抑制物質を混入する。発色抑制物質としては、通常のキレート試薬、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸その他の塩、ピロリン酸の無機錯化剤などが考えられる。
【0088】
発色抑制物質の濃度は、10-13M(mol/l)〜10-3M(mol/l)が好ましい。10-13M(mol/l)未満であると発色抑制の効果が低下し、10-3M(mol/l)以上入れてもそれ以上の効果がないからである。
【0089】
発色抑制物質をキャリア中に入れることにより、キャリアにかかる検出バックグランドが低下し、ノイズが小さくなり、バックグランドが安定するので微少なΔも拡大して正確に測定できる。よって、相対的にサンプルの検出レベルとの差異Δが大きくなるので、検出感度が向上する。
【0090】
尚、当該発色抑制物質は、キャリア中だけでなく、試薬液や他の補助液(例えば、酸化液、緩衝液、中和液)に入れてもよい。
【0091】
また、上記(2)の点について、本発明者は、FAやFIAでサブppbオーダーないしpptオーダーで測定を行なう際に、最も重要な偽発色原因物質が酸素であることを見出した。更に、FAやFIAで高感度な超微量分析を可能にする上で、所定値以下の酸素透過性(酸素透過度)のバックで各種薬剤(特に発色剤溶液)を封入することが重要であることも見出した。具体的には、当該バッグの酸素透過度は、25℃で相対湿度80%において、10fmol/m2.s.Pa(2cc/m2・d・atm)以下であることが重要であり、5fmol/m2・s・Pa(1cc/m2・d・atm)以下であることが好適であり、2.5fmol/m2・s・Pa(0.5cc/m2・d・atm)以下であることがより好適である。
【0092】
このようなバッグに薬剤を封入することにより、FAやFIAでサブppbオーダーないしpptオーダーで測定を行なう際に従来問題となっていた、発色液の保管・運搬中における発色剤の発色を、本目的を達成するために問題とならない程度まで抑制できる。更に、発色剤溶液のみならず、他の補助剤(キャリア、酸化剤、中和剤、緩衝剤)も同様のバッグに封入することにより、発色剤と混合した際の偽発色も抑制できる。ここで、前記バッグに各種液を封入するに際し、これら薬剤を十分に脱気してから封入する必要があることはいうまでもない。
【0093】
また、別の手段(又は前記手段との組み合わせ)として、本発明者らは、FAやFIAでサブppbオーダーないしpptオーダーで測定を行なう際、液中に僅かにでも存在する気泡が大きな問題となることを発見した。当該発見に基づき、鋭意検討した結果、各種液(特に発色液)中の酸素含有量が、5ppm以下に維持することが好適であることを見出した。ここで、5ppm以下に維持する手法としては、例えば、減圧して溶存酸素を除去する手法を挙げることができる。
【0094】
なお、本発明における数値を規定するにあたって、酸素含有量については、例えば、溶存酸素測定法(JIS K 0400−32−30)に記載された水質―溶存酸素の定量―電気化学プローブ法による。また、酸素透過率については、例えば、JIS K7126に記載のプラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法により測定することができる。
【0095】
次に、検出精度を高めるための第二のアプローチについて述べる。
【0096】
検出精度を高めるためには、サンプル中に含まれる検出対象元素の触媒効果がもっとも発現反応しやすい条件となり、発色に寄与することが望ましい。検出対象元素がFeであり、発色剤がN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミンの場合、発色反応を呈するためには、好ましくは、pH3.0ないし9.0に一定時間維持することが望ましい。このような維持は、吸光度測定器に連接された恒温層において、または、吸光度測定器の直前において実現されることが好ましい。
【実施例】
【0097】
実施例1{FIA法(鉄分析)}
まず、図7を参照しながら、本実施例に係る装置及び分析方法について説明する。サンプルSと中和液NSの送液にはCavro Scientific Instruments,Inc.製CavroXL3000モジュラー・デジタル・ポンプ(1”h、1”v)を用いた。サンプルSとしては、5種類の97%(18.2mol/l)硫酸(鉄濃度=0、30、60、80、100ppt)を300μl用い、流量50μl/minで流した。中和液NSとしては、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている2.85%(1.65mol/l)のアンモニア水(酸素含有量:2.5ppm)を5500μl用い、流量916.7μl/minで流した。キャリア液CS、酸化剤OS、発色試薬液RS,緩衝液BSの送液には、旭テクネイオン株式会社製APZ−2000ダブルプランジャーポンプ1”bを用いた。キャリア液CSとしては、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atom)に封入されている0.97mol/lの硫酸アンモニウム水溶液(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.8ml/minで流した。また、キャリア中には発色を抑える抑制剤として10−6mol/lのエチレンジアミン四酢酸を混ぜている。酸化液OSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている0.3%の過酸化水素水(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.8ml/minで流した。発色試薬液RSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている4mmol/lのN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン(酸素含有量:2.5ppm)を用い流量0.5ml/minで流した。緩衝液BSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている1.3mol/lの酢酸アンモニウム水溶液(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.5ml/minで流した。サンプル計量管(インジェクションバルブ1”i)には、内径0.8mm、長さ160cmのチューブを用いた。中和管(冷却部1”g)で中和された液、酸化液OS、発色試薬液RS、緩衝液BSを、内径0.8mm、長さ2mの反応管で混合した。この混合液を温度調節器1”kで35℃に保った。そして、空冷部1”qを介した後、この着色溶液の吸光度を検出器(吸光光度計1”m)により最大吸収波長514nmで測定を行った。流路構成には内径0.8mmのチューブを用いた。
【0098】
図8に、上記方法で濃硫酸中における30pptないし100pptの濃度の鉄を測定した場合の検量線を示す。なお、この例においては、発色反応を呈するためにpHを5.5に維持した。この結果、図8に示すように、Blankと表示されたキャリアにおける発色と30pptないし100pptの濃度の鉄を含んだサンプルとの間には、発色度に応じた差Δ(キャリアの発色度とサンプルの発色度との差)が観察された。また、図9にΔと鉄濃度との相関を示す。図9に示すように、この相関は、良好な直線関係を示しており、本発明にかかる方法によって、pptオーダーの鉄が測定可能であることが立証された。
【0099】
実施例2{FA法(鉄、銅及び各種元素分析)}
まず、図10を参照しながら、本実施例に係る装置及び分析方法について説明する。サンプルSの送液には旭テクネイオン株式会社製APZ−2000の2連式プランジャーポンプ1hを用いた。サンプルSとしては、以下の表に示す所定量の金属を添加した0.01M塩酸を300μl用い、流量50μl/minで流した。
【表1】

酸化液OS、発色試薬液RS及び緩衝液BSの送液には、シリンジポンプ1bを用いた。酸化液OSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている0.3%の過酸化水素水(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.8ml/minで流した。発色試薬液RSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている4mmol/lのN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン(酸素含有量:2.5ppm)を用い流量0.5ml/minで流した。緩衝液BSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている1.3mol/lの酢酸アンモニウム水溶液(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.5ml/minで流した。尚、これら3個のシリンジポンプ1bは、流れるサンプルSの同じ場所にすべてが注入されるよう、相互にシンクロして作動させた。サンプルS、酸化液OS、発色試薬液RS,緩衝液BSは、内径0.8mm、長さ2mの反応管で混合した。この混合液を温度調節器1kで35℃に保った。この着色溶液の吸光度を検出器(吸光光度計)1mにより最大吸収波長514nmで測定を行った。流路構成には内径0.8mmのチューブを用いた。
【0100】
尚、濃度決定の際には、検量線を作成する必要があるため、標準液SSやブランク液BLSが、インジェクションバルブ1iによりサンプル液Sと切替可能に構成されている。尚、図10は、サンプル液Sと標準液SSやブランク液BLSとの切替をインジェクションバルブ1iで行なう態様であるが、図11に、切替弁1’wで切替を行なう態様を示す。
【0101】
結果を図12〜図15及び表2に示す。図12は、波長514nmにおける鉄1ppbの吸光度ピークを示すチャートである。図13は、波長514nmにおける銅1ppbの吸光度ピークを示すチャートである。図14は、波長514nmにおける吸光度と鉄濃度との関係を示す検量線である。図15は、波長514nmにおける吸光度と銅濃度との関係を示す検量線である。図12及び図13に示されるように、検出バックグラウンドが十分に低下しているので、ppbオーダーでも、検出バックグランド値とサンプルピーク値との差分であるΔが大きくなった。尚、鉄の感度は銅の3倍近くであることが確認された。また、図14及び図15に示されるように、鉄及び銅のいずれに関しても、相関定数が0.999程度と、ppbオーダーでも極めて高い相関関係を示すことが確認された。更に、表2に示されるように、鉄(1ppb)+銅(1ppb)を添加した場合には、吸光度(0.0860)は、鉄1ppbに基づく吸光度(0.0652)と銅1ppbに基づく吸光度(0.0208)とを合計した値となり、鉄と銅の総量を測定できることが確認された。更に、鉄+銅+他の金属(すべて1ppb)を添加した場合、測定された吸光度(0.0857)は、ほぼ鉄+銅(1ppb)の吸光度(0.0860)と同程度であることから、他の金属の影響は無視できることが確認された。
【表2】

【0102】
実施例3{FIA法(鉄分析)}
まず、図7を参照しながら、本実施例に係る装置及び分析方法について説明する。尚、本実施例に関しては、中和液を用いないので、図7中の「NS」及びそのラインは存在しないものとする。サンプルSの送液にはCavro Scientific Instruments,Inc.製CavroXL3000モジュラー・デジタル・ポンプ(1”h、1”v)を用いた。サンプルSとしては、APM液(29% アンモニア:30%過酸化水素:超純水=1:5:400)に鉄を0、0.5、1.0ppb加えたものを0.8ml用いた。キャリア液CS、酸化液OS、発色試薬液RS、緩衝液BSの送液には、旭テクネイオン株式会社製APZ−2000ダブルプランジャーポンプ1”bを用いた。キャリア液CSとしては、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている0.037 M (0.071 %) アンモニア+0.11 M (0.37 %) 過酸化水素(pH 10.86)を用い、流量0.8ml/minで流した。酸化液OSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている0.88 M (3.0 %) 過酸化水素+0.05 M (0.15 %) 塩酸(pH 1.26)を用い(酸素含有量:2.5ppm)、流量0.8ml/minで流した。発色試薬液RSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている4 mM (0.084%)のN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン(DPD,pH1.87)(酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.5ml/minで流した。緩衝液BSには、密封容器(酸素透過度:0.8cc/m2・d・atm)に封入されている1.3mol/lの酢酸アンモニウム水溶液(pH6.34、酸素含有量:2.5ppm)を用い、流量0.5ml/minで流した。サンプル計量管(インジェクションバルブ1”i)には、内径0.8mm、長さ160cmのチューブを用いた。流路を流れるキャリア液S又はサンプル液と、酸化液OS、発色試薬液RS及び緩衝液BSとを、内径0.8mm、長さ2mの反応管で混合した。この混合液を温度調節器1”kで35℃に保った。そして、空冷部1”qを介した後、この着色溶液の吸光度を検出器(吸光光度計1”m)により最大吸収波長514nmで測定を行った。流路構成には内径0.8mmのチューブを用いた。
【0103】
結果を図16に示す。図16は、波長514nmにおける吸光度と鉄濃度との関係を示す検量線である。図16に示されるように、調製当日は鉄の濃度に比例して吸光度が増加し、鉄1 ppbで吸光度0.032を示しているので、塩酸中の鉄などと同程度の充分な感度が得られることが分かった。以上の結果から、希薄APM液中の鉄の測定でも、塩酸中の鉄と同程度の感度で得られたので、希薄APM液中の鉄を中和等の前処理工程を経ず、充分な感度で定量出来ることが判明した。
【0104】
本明細書においては、pptオーダーの微量元素を分析することを前提として記述したが、本願発明はppbオーダーの元素分析にも適用可能である。かかる場合も本発明の射程範囲内であり、その権利範囲が及ぶことは当然である。
【0105】
本明細書の最良形態及び実施例においては、発色反応を前提として説明を行ったが、蛍光反応を前提としても本発明を適用可能である。この場合、発色試薬ではなく、サンプル及びキャリアに含まれる分析対象元素の濃度に応じて蛍光光度が変化する蛍光物質(蛍光試薬)を用いる。また、キャリア中に加える物質としては、発色抑制物質の代わりに、蛍光反応を抑制する物質を添加すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明にかかるFA装置を模式的に示した図である。
【図2】本発明にかかるFIA測定装置を簡略的に示した図である。
【図3】本発明にかかるFIA測定原理を示す測定チャートである。
【図4】本発明にかかるFIA測定ステップを示すフロー図である。
【図5】本発明に用いられるFIA装置を模式的に示した図である。
【図6】本発明にかかるFA測定ステップを示すフロー図である。
【図7】実施例1及び実施例3における、FIA装置を模式的に示した図である。
【図8】実施例1における、濃硫酸中の微量鉄を測定したときのデータ図である。
【図9】実施例1における、濃硫酸中の微量鉄を測定したときの鉄濃度と発色度との相関を示すデータ図である。
【図10】実施例2における、FA装置を模式的に示した図である。
【図11】図10のFA装置の変更態様を模式的に示した図である。
【図12】実施例2における、波長514nmでの鉄1ppbの吸光度ピークを示すチャートである。
【図13】実施例2における、波長514nmでの銅1ppbの吸光度ピークを示すチャートである。
【図14】実施例2における、波長514nmにおける吸光度と鉄濃度との関係を示す検量線である。
【図15】実施例2における、波長514nmにおける吸光度と銅濃度との関係を示す検量線である。
【図16】実施例3における、波長514nmにおける吸光度と鉄濃度との関係を示す検量線である。
【符号の説明】
【0107】
1 FA装置、1b シリンジポンプ、1c 混合器、1d 洗浄水切替弁、1e 気液分離器、1f サンプル入口弁、1g 冷却器(ラジエター)、1h 2連式プランジャーポンプ、1i インジェクションバルブ、1j 標準液切替弁、1k 恒温槽、1m 吸光光度計、1n チェック弁、1p シリンジポンプ、1r エア抜き電磁弁、1s 廃液、1t エアトラップ(外付け)、1x 洗浄水導入部、1y サンプル導入部、1z サンプル排出部、2 検出薬カートリッジ(保冷庫)
【0108】
1’ FA装置、1’b シリンジポンプ、1’c 混合器、1’d 洗浄水切替弁、1’e 気液分離器、1’f サンプル入口弁、1’g 冷却器(ラジエター)、1’h 2連式プランジャーポンプ、1’j 標準液切替弁、1’k 恒温槽、1’m 吸光光度計、1’n チェック弁、1’p シリンジポンプ、1’r エア抜き電磁弁、1’s 廃液、1’t エアトラップ(外付け)、1’w 標準液切替弁、1’x 洗浄水導入部、1’y サンプル導入部、1’z サンプル排出部、2’ 検出薬カートリッジ(保冷庫)
【0109】
1” FA装置、1”b プランジャーポンプ、1”f サンプル入口弁、1”g 冷却器(ラジエター)、1”h サンプルポンプ、1”i インジェクションバルブ、1”j サンプル吸引弁、1”k 恒温槽、1”m 吸光光度計、1”n チェック弁、1”p シリンジポンプ、1”r エア抜き電磁弁、1”s 廃液、1”t エアトラップ(外付け)、1”u 線浄水ポンプ、1”v 中和液ポンプ、1”x 洗浄水導入部、1”y サンプル導入部、1”z サンプル排出部、2” 検出薬カートリッジ(保冷庫)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流れる第一の液に関する第一の応答と、前記流路内を流れる第二の液に関するベース値としての第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析システムであって、前記流路内を流れる前記第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するフロー分析システム又はフローインジェクション分析システム。
【請求項2】
サンプル液を流路内に導入するステップと、前記サンプル液中の分析対象元素の濃度に応じて検出可能な応答を発する試薬液が封入された密封容器から、前記試薬液を流路内に導入するステップと、前記流路内を流れる第一の液に関する第一の応答を検出すると共に、前記流路内を流れる第二の液に関するベース値としての第二の応答を検出又は入力するステップとを有する、前記第一の応答と前記第二の応答との差Δに基づき、サンプル液中に含まれている前記分析対象元素を定量又は半定量的に測定可能なフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法であって、前記流路内を流れる前記第二の液が、前記試薬液による応答を抑制する作用を有する応答抑制物質を含有するフロー分析方法又はフローインジェクション分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−199078(P2007−199078A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46120(P2007−46120)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【分割の表示】特願2006−519366(P2006−519366)の分割
【原出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(501210065)株式会社フィアモ (8)
【Fターム(参考)】