説明

サーバ装置およびレンタルサーバシステム

【課題】サーバクライアントシステムにおいて、サーバのリソースを利用者に適切に提供することを支援する。
【解決手段】サーバ側で利用者が選択可能なリソースを提示する。提示時には、コストも併せて提示する。さらに、割り当て後、コスト削減のための手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してPC(Personal Computer)などの時間貸しを行うサービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年企業の一般業務でのPCの利用が拡大するとともに、PCの高性能化が進んでいる。高性能化に伴い企業の従業員に貸し与えるPCの買い替え頻度がますます多くなり、多くの投資を必要としている。また、従業員数の増大にともなって、個々のPCのOS(Operating System)や業務アプリケーションのバージョンアップ、バグフィックス、ウィルス対策、バックアップなどを統一的に管理することは極めて困難なものになっている。
【0003】
この管理コストを低減するための一手法として、サーバクライアントシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。これは、主なプログラムやデータをサーバ側に蓄積し、例えば、Thin Client(シンクライアント)のようなクライアント側に蓄積するデータを低減させたものである。
【0004】
サーバクライアントシステムでは、演算処理やデータの蓄積は主にサーバ側で行われるため、シンクライアントのようなクライアント側にて個々にOSや業務に利用するアプリケーションのバージョンアップやバグフィックス、ウィルス対策やウィルス駆除などを行う必要性や頻度が減少し、全体の管理コストを低減できる。またハードウェアの置き換えはサーバ側のみを適宜行えばよく、コスト低減を図ることができる。さらに、企業においては、同時にPCを使用する可能性のある従業員分の環境をサーバに持たせればよく、全ての従業員分のPCを揃える必要がない。従って、一層のコスト低減を図ることができる。
【0005】
上述のように、サーバクライアントシステムでは、サーバ上にクライアントのPCのデスクトップ環境を仮想的に実現することができる。この特徴を利用し、サーバ上に複数のクライアントのPC環境を実現し、クライアントにネットワーク経由で貸し出す仮想PCレンタル装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−094411号公報
【特許文献2】特開2004−171412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載された技術では、サーバ上のPC環境は、常に予め定められた同一のハードウェアスペックにより実現される。利用者がこのPC環境を利用する場合、ハードウェアリソースの選択肢はない。また、特許文献2に記載された技術では、利用にあたってのコストを削減するための工夫の余地がないため、限られた予算を有効に使用することができない。
【0008】
これらの事情から、従来の技術では、サーバクライアントシステムの中で、クライアント側がシンクライアントの場合、サーバ側が提供するリソースを利用者に適切に提供できていない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、サーバクライアントシステムの中でクライアント側がシンクライアントの場合において、サーバのリソースを利用者に適切に提供することを支援可能なシステムを実現することを目的とする。
【0010】
本発明の特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、サーバ側で利用者が選択可能なリソースを提示する。提示時には、コストも併せて提示する。さらに、割り当て後、コスト削減のための手段を提供する。
【0012】
具体的には、クライアント端末にネットワークを介して接続され、当該クライアント端末にリソースを提供するサーバ装置であって、前記提供可能なリソースを管理するリソース管理手段と、前記クライアント端末を使用する利用者の属性および当該利用者に割り当てるリソースの情報を管理する利用者管理手段と、を備え、前記リソース管理手段は、前記クライアント端末を介して前記利用者からリソース提供の要求があった場合、前記利用者管理手段が管理する当該利用者の属性に従って、自身が管理するリソース内で、当該要求元の利用者に提供可能なリソースの一覧を抽出して要求元のクライアント端末に選択肢として送信する選択肢生成手段と、前記クライアント端末を介して、利用者の前記選択肢からの選択の要求を受け付けると、受け付けた選択内容を、前記利用者管理手段に登録する登録手段と、前記クライアント端末を介して、利用者からリソース利用開始の要求を受け付けると、前記利用者管理手段に登録された選択内容に従って、当該リソースを前記要求元の利用者に割り当てるリソース割当手段と、を備えることを特徴とするサーバ装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サーバクライアントシステムの中でクライアント側がシンクライアントの場合において、サーバ側が提供するリソースを利用者に適切に提供することを支援可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、図面中にて同一の参照番号を付したものは、同一の機能を有する構成要素を示し、説明の便宜上、その詳細な説明は省略する。
【0015】
<<第一の実施形態>>
本実施形態は、本発明をレンタルサーバシステムに適用したものである。本実施形態のレンタルサーバシステムは、ネットワークを介して、クライアント端末にサーバ側のPCハードウェアリソースを提供する。利用者は、クライアント端末上の遠隔操作プログラムを用いて、提供されたPCハードウェアリソースを利用する。本実施形態のクライアント端末はシンクライアントであり、サーバ側で、各利用者のOS、データ、アプリケーションを含む環境を保持する。
【0016】
図1は、本実施形態のレンタルサーバシステムのシステム構成図である。本図に示すように、本実施形態のレンタルサーバシステムは、クライアント端末である接続PC1000と、サーバ側装置であるサーバPCシステム2000とを備える。両者は、ネットワーク3000を介して接続される。
【0017】
接続PC1000は、CPU1010と、メモリ1020と、不揮発性メモリ1030とネットワーク接続装置1080とを備え、入出力のインタフェースとして、マウス1050とキー入力装置1060と表示装置1040とリーダライタ1070とを備える。
【0018】
マウス1050およびキー入力装置1060は、タッチパネルやジョイスティックなどの利用者の入力情報を接続PC1000へ伝達するための装置であれば代替可能である。ネットワーク接続装置1080は、接続PC1000をネットワーク3000に接続するインタフェースである。表示装置1040は、広告1140やサービス利用状況に関する情報1150を含む画面情報5100を表示する。
【0019】
リーダライタ1070は、USB(Universal Serial Bus)や近距離無線通信などのインタフェースを備え、接続PC1000と接続可能であり、また、後述する認証デバイス4000と接続可能なインタフェースを備える。なお、リーダライタ1070は図示していない指紋認証装置や利用者が秘密に保持すべき暗証番号であるPIN(Personal Identification Number)を入力するPIN入力パッドなどを備えていてもよい。
【0020】
不揮発性メモリ1030には、認証プログラム1031と遠隔操作プログラム1032とが格納される。認証プログラム1031および遠隔操作プログラム1032は、メモリ1020にロードされてCPU1010により実行されることにより、それぞれ、認証機能と遠隔操作機能とを実現する。マウス1050およびキー入力装置1060から入力された各種の入力情報5200は、遠隔操作機能によってネットワーク3000を介して後述するサーバPCシステム2000内のゲートウェイサーバ2100に送信される。
【0021】
また、接続PC1000は、上記構成を備えた一般の情報処理装置を想定しているが、機器の種類は限定されない。例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)など、上記と同様な構成を備える機器であればよい。例えば、PDAの場合、CPUとメモリと不揮発性メモリとを備える。ただし、入力装置はスタイラスとタッチパネル、出力装置はLCDとなる。
【0022】
認証デバイス4000は、耐タンパ性を有するICチップ4500を具備する。ICチップ4500は、CPU4100とメモリ4200とROM(Read Only Memory)4300と不揮発性メモリ4400とを備える。ROM4300には認証情報処理プログラムやPIN照合プログラムが格納される。CPU4100は、メモリ4200に前記の認証情報処理プログラムやPIN照合プログラムをロードして実行し、認証処理機能やPIN照合機能を実現する。不揮発性メモリ4400はPIN情報や認証のための秘密鍵などを格納する。
【0023】
ネットワーク3000は、例えば、インターネット、WAN、LAN、電話回線網、CATV網、衛星通信網、無線LANなどである。ネットワーク3000は、画面情報5100や入力情報5200などを伝達する。
【0024】
サーバPCシステム2000は、ゲートウェイサーバ2100とストレージ2200とサーバPC2300とターミナルサーバ2400と仮想PC向けサーバ2500と管理サーバ2600とを備える。
【0025】
ゲートウェイサーバ2100は、ネットワーク3000とのインタフェースの役割を果たすものであり、CPU2110とメモリ2120とディスク装置2130とネットワーク接続装置2140とを備える。ゲートウェイサーバ2100は、ネットワーク接続装置2140を介してネットワーク3000とストレージ2200とサーバPC2300とターミナルサーバ2400と仮想PC向けサーバ2500と管理サーバ2600と接続する。
【0026】
ディスク装置2130には、VPN(Virtual Private Network)プログラム2131が格納される。VPNプログラム2131は、メモリ2120にロードされ、CPU2110により実行されることにより仮想ネットワーク機能を実現する。仮想ネットワーク機能は、接続PC1000から受信した入力情報5200を、管理サーバ2600に従って、サーバPC2300、ターミナルサーバ2400、仮想PC向けサーバ2500のいずれかに送信する。また、同様に、サーバPC2300、ターミナルサーバ2400、仮想PC向けサーバ2500からの画面情報5100を接続PC1000に送信するため、ネットワーク1000に送出する。
【0027】
サーバPC2300と、ターミナルサーバ2400と、仮想PC向けサーバ2500とのサーバ群は、クライアント端末である接続PC1000に、PCサービス(環境)を提供するものである。
【0028】
サーバPC2300は、CPU2310とメモリ2320とを備える。
【0029】
ターミナルサーバ2400は、CPU2410とメモリ2420とディスク装置2430とを備える。ディスク装置2430には、サーバOS2431とアプリケーションプログラム2432とが格納される。アプリケーションプログラム2432は、ターミナルサービスを実現するためのプログラムや表計算アプリケーションやワープロアプリケーションなどである。ターミナルサービスとは、サーバOS2340上で複数のユーザデスクトップ環境を実現して、キーボード、マウス、表示装置などを備えた、複数のクライアント端末から操作することにより、複数人でサーバのCPUやメモリやOSを共有して利用するものであり、代表的な製品名としてMicrosoft社のWindowsターミナルサービス(登録商標)やCitrix社のMetaFrame(登録商標)などが挙げられる。ターミナルサービスは、公知の技術であるため詳細は省略する。
【0030】
仮想PC向けサーバ2500は、CPU2510とメモリ2520とディスク装置2530とを備える。ディスク装置2530には、サーバOS2531と仮想化アプリケーションプログラム2532とが格納される。仮想化とは、あるサーバ上に仮想的に複数のPCを実現するものである。仮想アプリケーションプログラム2532は、メモリ2520にロードされ、CPU2510に実行されることにより、仮想的に複数のPCを実現する。仮想アプリケーションプログラム2532の代表的な製品名としてMicrosoft社のVirtualServer2005(登録商標)やVMware社のVMware(登録商標)などが挙げられる。仮想化アプリケーションプログラム2532は、公知の技術であるため、詳細は省略する。
【0031】
ストレージ2200には、利用者毎に、OS(Operating System)2210と個人データ2220とアプリケーションプログラム(AP)2230とが格納される。アプリケーションプログラム2230とは、表計算アプリケーションやワープロアプリケーションなどである。本実施形態では、ストレージ2200は、ユーザが上記サーバ群から必要に応じて自由に選択できるよう、PC環境を構築するために必要なデータを一括保持している。
【0032】
個人データ2220は、CD(Compact Disk)−ROMなどの媒体に記録し、事前に利用者からサービス提供者側に送付して登録する。または、ネットワーク3000を介してアップロードするよう構成してもよい。個人データ2220を、ネットワーク3000を介してアップロードする方法は、例えば、後述する利用サービスの1つとして、個人データのアップロードを選択項目に加えて、利用者がアップロードを選択した場合、当該利用者が利用している接続PC1000内に予め用意された個人データをストレージ2200にアップロードし、サーバリソースを接続PC1000と同じ個人環境で利用可能とする方法が考えられる。
【0033】
なお、ストレージ2200の全ての格納領域には、識別子(ストレージ番号)が付されている。各利用者のOS2210、個人データ2220、AP2230が格納されている領域のストレージ番号は、後述する管理サーバ2600のユーザ管理テーブル2651に、各利用者を特定する利用者識別子と対応づけて記録される。利用者識別子は、利用者を特定可能なパラメータであればよく、例えば、後述のPINやパスワードであってもよい。以後、各利用者のOS2210、個人データ2220、AP2230が格納されている領域を当該利用者に割り当てられた個人領域と呼ぶ。
【0034】
管理サーバ2600は、サーバPCシステム2000内の各リソースと、各リソースの利用者の利用状況を管理する。管理サーバ2600は、CPU2610とメモリ2620と表示装置2630とディスク装置2640とを備える。ディスク装置2640は、ユーザ管理プログラム2641と広告配信プログラム2642と消費電力管理プログラム2643とバックアッププログラム2644とウィルスチェックプログラム2645とリソース管理プログラム2646との各プログラム、および、ユーザ管理テーブル2651とサーバリソース管理テーブル2652と料金テーブル2653とストレージ管理テーブ2654と推奨・不可組合テーブル2655と利用者属性テーブル2656とソフトウェア・オプション管理テーブル2657との各テーブルが格納される。
【0035】
まず、各プログラムにより実現される機能について、説明する。
【0036】
ユーザ管理プログラム2641は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、ユーザ管理機能を実現する。ユーザ管理機能は、各プログラムにより実現される機能からの通知に基づいて、ユーザ管理テーブル2651の管理、利用者毎のリソースの利用状況の管理を行うとともに、利用者の認証を行う。また、利用者毎のリソースの利用状況に基づいて、利用者にリソース使用料の請求処理を行う。例えば、本実施形態では、リソース管理機能から、各リソースの利用をポイントで受け取り、収集する。ユーザ管理機能は、月単位で、利用者が利用した各リソースのポイントを集計し、金額に変換して月額の使用料を算出し、算出した使用料を接続PC1000に通知する。接続PC1000は、通知を受けた使用料をサービス情報1150欄に表示するなどして利用者に支払いを促す。利用者は本請求に従ってクレジットカードや銀行引き落としなどにより月額費用を支払う。
【0037】
広告配信プログラム2642は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、広告配信機能を実現する。広告配信機能は、接続PC1000に送信する画面情報5100に広告を挿入するものである。本実施形態では、リソース管理機能により、利用者の広告挿入の可否の意思を受け付け、可とした利用者へ送信する画面情報5100に広告を挿入する。
【0038】
なお、後述するように、広告配信をオプションサービスとして選択した場合の必要なポイントはマイナスとなる。すなわち、利用者は、広告配信を選択することにより、コストを低減させることができる。
【0039】
消費電力管理プログラム2643は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、消費電力管理機能を実現する。消費電力管理機能は、利用者のサーバPC2300の電力消費量を監視する。そして、監視結果をユーザ管理機能に通知する。ユーザ管理機能では、受け取った監視結果を用いて利用者の総電力消費量を記録し、所定期間の消費量が少なければ少ないほど多くの割引ポイントが付与される節電割引ポイントを算出し、各利用者のポイント集計に反映させる。本機能により、利用者は、作業を行わない際にサーバPC2300の電源を落とすことにより、コストを低減させることができる。さらに、利用者に作業を行わない際にはサーバPC2300の電源を落とすことを促すこととなるため、電力消費抑制を図ることもできる。
【0040】
バックアッププログラム2644は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、バックアップ機能を実現する。バックアップ機能は、管理サーバ2600がストレージ2200内に格納されているデータをバックアップデバイス(例えば、テープデバイス、CD、DVD、ハードディスクなど)に定期的に、あるいは、更新があった際にバックアップする。バックアップは、ユーザ管理テーブル2651に登録された利用者の選択に従って行われる。
【0041】
ウィルスチェックプログラム2645は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、ウィルスチェック機能を実現する。ウィルスチェック機能は、定期的にストレージ2200内に格納されているデータを走査し、ウィルスパターンに一致するものを検出して駆除する。本処理は、ユーザ管理テーブル2651に登録された利用者の選択に従って行われる。
【0042】
リソース管理プログラム2646は、メモリ2620にロードされ、CPU2610により実行されることにより、リソース管理機能を実現する。リソース管理機能は、サーバPCシステム2000内の、管理サーバ2600に接続される各サーバリソース(2300、2400、2500)およびストレージ2200のスペックを管理する。具体的には、後述するサーバリソース管理テーブル2652およびストレージ管理テーブル2654を最新の状態に維持することにより管理を実現する。
【0043】
なお、新たなサーバリソースやストレージが、該管理サーバ2600に接続された場合は、UPnP等により、該サーバリソースやストレージからその性能情報が管理サーバ2600に通知されて上記各テーブルに登録されるよう構成してもよいし、管理サーバ2600の管理者等が上記各テーブルに登録するよう構成してもよい。
【0044】
また、リソース管理機能は、利用者からリソースの提供の要求(以後、リソース割当要求と呼ぶ。)があった場合、ユーザ管理テーブル2651、サーバリソース管理テーブル2652、料金テーブル2653、ストレージ管理テーブル2654、推奨・不可組合テーブル2655、ソフトウェアリソース・オプション管理テーブル2657に保持されているデータを用いて、選択可能利用サービス一覧表示画面6100のデータを生成する。本表示画面データは、リソース割当要求の要求元の利用者に対し、サーバPCシステム2000が提供可能なリソースであって、当該利用者が選択可能なリソース項目を提示するとともに、利用者の選択を受け付けるインタフェースとなる。
【0045】
リソース管理機能は、選択可能利用サービス一覧表示画面6100を介して受け付けた利用者の選択に従って、利用者にリソースを割り当てる。具体的には、リソース管理機能は、利用者から受け付けた選択の内容を、ユーザ管理機能に通知する。このとき、料金テーブル2653を参照し、選択された各リソースの必要ポイントも併せてユーザ管理機能に通知する。通知を受けたユーザ管理機能は、受け取った情報に基づいてユーザ管理テーブル2651を更新する。リソース管理機能は、利用者から利用を開始する要求である利用開始要求を受け取ると、ユーザ管理テーブル2651に登録されている内容に従って、リソースを割り当て、利用者が利用できるようにする。
【0046】
次に、各テーブルに管理される情報について、説明する。
【0047】
ユーザ管理テーブル2651には、利用者毎の、属性、サーバPCシステム2000内のリソースの利用状況、利用者が選択した各サービス、利用に関する諸データが登録される。図2に、本実施形態のユーザ管理テーブル2651の一例を示す。
【0048】
本図に示すように、本実施形態のユーザ管理テーブル2651は、利用者毎に予め一意に付与されている利用者番号2651aと、当該利用者の利用者属性2651bと、当該利用者が利用を選択したサーバPCシステム2000内のリソースの利用に関する諸データ2651cとが登録される。
【0049】
利用者番号1651aは、本実施形態では、利用者を識別するために用いる番号であり、予め管理者等により登録される。
【0050】
利用者属性2651bは、利用者属性テーブル2656に登録されている属性の中から、予め管理者等により割り当てられ、登録される。
【0051】
諸データ2561cは、リソース管理機能から通知を受け、ユーザ管理機能により登録される。諸データ2651cには、当該利用者の、本サーバPCシステム内のリソースの、利用状態(未登録、利用中、利用終了)が登録される。
利用状態が「利用中」の場合は、利用開始時刻、割り当てられているサーバリソースを特定する情報として、当該利用者の選択に基づき割り当てられたサーバリソースのサーバリソース番号(後述)が登録される。
【0052】
その他、諸データ2561cには、利用者が選択した各ハードウェアスペック(CPUのスペック、CPU種別、メモリ容量、メモリ種別、ストレージ容量、ストレージ種別、ストレージ番号)および各オプションサービス(バックアップサービスの要否、ウィルスチェックプログラムの要否、ワープロアプリケーションの要否、表計算アプリケーション要否、オペレーティングシステムの種類、広告配信の可否)、サーバPC2300の節電割引ポイント、利用者の選択状況での必要ポイント、料金の引き落とし状況、認証デバイス4000の紛失した場合の届け出日時、紛失届けのあった認証デバイス4000を使って利用者になりすまして接続してきた場合に記録する不正アクセスログ、接続元のIPアドレスや日時やサービス利用中の画面情報などのログなどが登録される。
【0053】
なお、利用者がリソースの選択内容を途中で変更した場合には、以前の利用状態は「利用終了」となり、諸データの記録は残される。
【0054】
利用ログの画面情報は、例えば企業にて顧客情報等の漏洩事故があった際に、監査証跡として使用する。
【0055】
サーバリソース管理テーブル2652は、サーバPCシステム2000内の、管理サーバ2600に接続される各サーバリソースのスペックを管理する。サーバリソース管理テーブル2652の一例を図3に示す。
【0056】
本図に示すように、サーバリソース管理テーブル2652には、サーバリソース毎に、当該サーバリソースに一意に付与されるサーバリソース番号2652aと、当該サーバリソースの現在の電源状態を示す電源状態2652bと、当該サーバリソースのCPUのクロック周波数を示すCPUクロック2652cと、当該サーバリソースが有するCPUの種別を示すCPU種別2652dと、当該サーバリソースが有するメモリの容量を示すメモリ容量2652eと、当該メモリの種別を示すメモリ種別2652fと、アドレス情報2652gと、当該サーバリソースの現在の使用状況を示す使用率2652hとが登録される。
【0057】
電源状態2652bおよび使用率2652hは、リソース管理機能が、所定時間ごとに各サーバリソースに問い合わせることにより、最新の情報を維持する。他の項目は、管理者等により予め登録される。
【0058】
料金テーブル2653は、各リソースを一定期間使用するために必要なコストをポイントとして格納するものである。各ポイントは、予め管理者により登録される。一定期間とは、例えば、1ヶ月間、1週間、1時間などである。図4に、本実施形態の料金テーブル2653の一例を示す。本図に示すように、本実施形態の料金テーブル2653は、リソース名を登録する選択可能項目欄2653aと、当該リソースを一定期間使用するために必要なポイントを登録する必要ポイント登録欄2653bとを備える。高機能なスペックを選択したり、サービスを利用する選択などをした場合は必要ポイントが多くなり、広告配信を許諾した場合は必要ポイントがマイナスになる。
【0059】
ストレージ管理テーブル2654は、サーバPCシステム2000内の、管理サーバ2600に接続される各ストレージのスペックを管理する。ストレージ管理テーブル2654の一例を図5に示す。
【0060】
本図に示すように、ストレージ管理テーブル2654は、ストレージ毎に、各ストレージに一意に付与されているストレージ番号2654aと、当該ストレージの論理ユニット番号2654bと、当該ストレージのディスク使用率2654cと、当該ストレージの種別2654dと、当該ストレージの総容量2654eとが登録される。ディスク使用率2654cは、リソース管理機能が所定時間ごとに各ストレージに問い合わせることにより、最新の情報を維持する。他の項目は、予め管理者等により登録される。
【0061】
推奨・不可組合テーブル2655は、管理サーバ2600に接続されているサーバリソース毎の、推奨可能なスペックを登録したものである。推奨・不可組合テーブル2655は、管理者により予め登録される。
【0062】
図6に、推奨・不可組合テーブル2655の一例を示す。本図に示すように、本実施形態の推奨・不可組合テーブル2655には、管理サーバ2600に接続しているサーバリソース毎2655aに、推奨されるOS2655b、推奨CPUスペック2655c、推奨メモリ容量2655d、各ソフトウェアリソースの利用の可否を示すアプリケーションA2655e、推奨サーバリソース優先度2655f、オプションサービスの利用の可否を示すオプションサービスA2655gが登録される。ここでは、ソフトウェアリソースは、アプリケーションAについてのみ、オプションサービスは、オプションサービスAについてのみ、利用の可否が登録されている場合を示すが、用意された各アプリケーション、各オプションサービスについて、利用の可否が登録される。
【0063】
図6の例では、例えば、サーバリソースがサーバPC2300型の場合,OS1と、CPUスペック1GHzと、メモリ1Gバイト以上と、サーバリソース優先度1との組み合わせが推奨されるものとして登録されている。また、同じサーバPC2300型の場合であっても、OS2を選択した場合アプリケーションAが利用できないものとして登録されている。
【0064】
利用者属性テーブル2656は、利用者の属性毎に、推奨されるリソース、スペック、ソフトウェア、オプションサービスの要否等を登録したものである。本テーブルは、予め管理者により登録される。本実施形態では、利用者の属性とは、例えば、企業内であれば職位や職種,一般消費者向けサービスであればプレミアム会員や一般会員種別などである。利用者属性に従って該利用者が利用できるサービスの選択可能項目を制限するものである。図7に本実施形態の利用者属性テーブル2656の一例を示す。
【0065】
ソフトウェアリソース・オプション管理テーブル2657は、サーバPCシステム2000内で利用可能なソフトウェアおよびオプションのサービスを管理する。これらは、予め管理者により登録される。
【0066】
以上、管理サーバ2600内の各プログラム、テーブルについて説明した。
【0067】
なお、サーバPCシステム2000において、ゲートウェイサーバ2100とストレージ2200とサーバPC2300とターミナルサーバ2400と仮想PC向けサーバ2500と管理サーバ2600とは、それぞれネットワークで相互に接続されている。また、図1中ではそれぞれ一台しか図示していないが何台あってもよい。
【0068】
次に、リソース管理機能により生成され、接続PC1000の表示装置1040上で表示される、選択可能利用サービス一覧表示画面6100について説明する。図8は、選択可能利用サービス一覧表示画面6100である。
【0069】
選択可能利用サービス一覧表示画面6100は、本図に示すように、選択可能項目表示欄6110と、選択内容表示欄6120と、必要ポイント表示欄6130と、合計ポイント表示欄6140と、ポイント算出ボタン6150と、確定ボタン6160と、キャンセルボタン6170とを備える。ポイント算出ボタン6150は、選択内容により必要な合計ポイントの算出の指示を受け付けるボタンであり、確定ボタン6160は、選択内容の確定の指示を受け付けるボタンであり、キャンセルボタン6170は、選択内容のキャンセルの指示を受け付けるボタンである。
【0070】
選択可能項目表示欄6110は、リソース種別表示欄6111と、スペック表示欄6112とを備える。リソース種別表示欄6111には、当該利用者が選択可能なサーバリソースと、ストレージリソースとが、ソフトウェアリソースおよびオプションサービスとが、それぞれ別個に表示される。スペック表示欄6112には、リソース種別表示欄6111に表示された各リソースの、選択可能なスペック(の組み合わせ)が表示される。ソフトウェアリソースおよびオプションサービスとしては、選択可能なアプリケーション名、オプションサービスが表示される。選択可能なスペックとして表示される情報は、リソース管理機能により生成されたものである。
【0071】
表示された各項目から、利用者は、所望のリソース種別、スペック、ソフトウェアなどを選択することができる。本実施形態では、サーバリソースと、ストレージリソースとを、それぞれ独立して選択することができる。すなわち、サーバリソースのみの選択、ストレージリソースのみの選択も可能である。
【0072】
具体的には、図8の例では、利用者は、サーバリソースとして、サーバPC2300、ターミナルサーバ2400、仮想PC向けサーバ2500から選択することができる。さらに、例えば、サーバリソースとしてサーバPC2300を選択した場合は、サーバPCのCPUスペックとCPU種別とメモリ容量とメモリ種別を選択する。ここで、CPU種別とは、例えばPentium(登録商標)やAthlon(登録商標)などのCPUの製品種別などである。メモリ種別とは、例えばDDR(Double Data Rate)などのメモリ規格の種別などである。
【0073】
ストレージリソースとして、ストレージのスペックや容量を選択することができる。
【0074】
また、ソフトウェアリソースやオプションサービスとして、利用者は、ストレージに格納する個人データなどのバックアップサービスの要/不要、ウィルスチェックサービスの要/不要、ワープロアプリケーションの要/不要、表計算アプリケーションの要/不要、オペレーティングシステムの選択、広告配信の許諾の可否、サーバリソースの利用優先度などを選択することができる。
【0075】
ここで、サーバリソース利用優先度とは、優先度に応じて空いているサーバPC2300に優先的に割り当てる、あるいは、ターミナルサーバ2400や仮想PC向けサーバ2500のCPU2410、2510とメモリリソース2420、2520を優先的に利用可能にする指標である。例えば、ある利用者がサーバPC2300で最高の優先度を示す「1」を選択した場合、管理サーバは該利用者が接続してきた時にいつでもサーバPC2300を利用できるように、常に1台のサーバPC2300を空き状態にしておくよう管理する。すなわち、空き状態のサーバPC2300が1台のみであった場合、優先度の低い利用者の場合には、サーバPC2300を希望したとしても割り当てられず、ターミナルサーバ2400や仮想PC向けサーバ2500が割り当てられることとなる。また、利用者はサーバリソースを選択せずにストレージリソースのみを選択して利用することも可能である。
【0076】
本実施形態では、料金テーブル2652の情報を利用して、それぞれの選択内容に応じて一定期間の利用に必要なポイントを必要ポイント表示欄6130に表示させる。
【0077】
また、ユーザが選択した内容は、接続PC1000により受け付けられ、選択内容表示欄6120に表示される。選択を受け付けた後、ポイント算出ボタン6150の押下による指示を受け付けた場合、接続PC1000は、選択を受け付けた内容とポイント算出の指示とを、ネットワーク3000およびゲートウェイサーバ2100を介して管理サーバ2600に送出する。管理サーバ2600では、リソース管理機能が受け付けた選択内容に従った合計の必要なポイントを算出し、接続PC1000に追加の画面情報5100として返信する。接続PC1000では、受け取った合計のポイントを、合計ポイント表示欄6140に表示させる。本表示を行うことにより、利用者に当該リソースを選択した場合に必要なポイント、すなわち、コストを示すことができる。利用者は、そのコストを直感的に把握することができる。
【0078】
一方、確定ボタン6160の押下により送信の指示をユーザから受け付けると、接続PC1000は、ユーザの選択内容と確定の指示とを管理サーバ2600に送信する。管理サーバ2600では、リソース管理機能が受け付けた選択内容を、ユーザ管理機能がユーザ管理テーブルに登録する。
【0079】
キャンセルボタン6170が押下された場合は、ユーザの選択内容は、管理サーバ2600には送信されない。
【0080】
なお、サーバリソースのCPUスペックの選択においては、利用者が利用可能なCPU性能をプルダウンメニューから選択できるように構成してもよいし、任意の数値の入力を受け付けるよう構成してもよい。数値の入力を受け付ける場合には、入力された数値で指定されるCPUスペックで動作するように管理サーバ2600でサーバPC2300のCPU2310のクロック周波数を制限する命令を送信するよう構成してもよい。
【0081】
次に図9を用いてクライアント端末である接続PC1000が、サーバPCシステム2000をレンタルサーバとして利用する場合の、処理の流れについて説明する。なお、以下においては、利用者の認証は、予め認証デバイス4000に登録された認証情報を用いて行う場合を例に挙げて説明する。もちろん、利用者の認証は、本方法に限られない。例えば、利用者が記憶するパスワードによって認証するパスワード認証であってもよい。
【0082】
まず、レンタルサーバの利用者から認証要求を意図する指示を受け付けると、接続PC1000のCPU1010は、不揮発性メモリ1030に格納されている認証プログラム1031を起動させる(ステップ201)。CPU1010は、認証プログラム1021に従って、認証要求をゲートウェイサーバ2100経由で管理サーバ2600に送信する(ステップ203)。
【0083】
認証要求を受け取った管理サーバ2600は、認証に必要な情報(認証情報)を取得する要求である認証情報要求を折り返し送信元の接続PC1000に送信する(ステップ204)。認証情報要求を受け取った接続PC1000は、PIN入力のための画面を表示装置1040に表示させ、利用者に入力を促す(ステップ205)。
【0084】
利用者から、キー入力装置1060やPINパッド(不図示)等の入力手段を用いて、PINの入力を受け付けると(ステップ206)、接続PC1000は、入力されたPINを認証デバイス4000に送信し、その照合を要求する(ステップ207)。PINを受け取った認証デバイス4000のICチップ4500では、PIN照合機能が照合を行い、照合に成功すれば認証情報を送信元の接続PC1000に返信する(ステップ209)。
【0085】
接続PC1000は、認証情報を管理サーバ2600に送信する(ステップ210)。認証情報を受け取った管理サーバ2600は、ユーザ管理テーブル2651を参照し、認証を行う(ステップ211)。例えば、利用者の認証機能にPKI(Public Key Infrastructure)を利用する場合、認証情報として利用者の証明書およびICカード内で生成された署名値を用いる。ユーザ管理サーバは、前記署名値と証明書により利用者の認証を行う。前記証明書はユーザ管理テーブル2651の利用者番号に関連づけられている。
【0086】
認証が成功した場合、認証が成功したことを示す認証成功通知を送信元の接続PC1000に返信する(ステップ212)認証情報を受け取った際、管理サーバ2600は、リソース割当要求を受け取ったと解釈し、利用サービス選択要求として特定された利用者が選択可能な利用サービスの一覧を表示する選択可能利用サービス一覧表示画面6100データを生成し、当該データと料金テーブル2653とを、認証成功通知とともに返信する。
【0087】
認証成功の通知と選択可能利用サービス一覧表示画面6100データと料金テーブル2653とを受信した接続PC1000は、受け取った選択可能利用サービス一覧表示画面6100を表示装置1040に表示させ、利用者の選択を促す(ステップ213)。
【0088】
利用者から利用サービスの選択を受け付けると(ステップ214)、接続PC1000は、選択された利用サービスを管理サーバ2600に通知する(ステップ215)。管理サーバ2600は、選択された利用サービスをユーザ管理テーブル2651に登録する(ステップ216)。そして管理サーバ2600は、ユーザ管理テーブル2651への登録が終了したことを示す画面情報5100を送信元の接続PC1000に通知する(ステップ217)。接続PC1000は、受け取った画面情報5100を表示画面1040に表示させ、利用者に通知する(ステップ218)。
【0089】
なお、上記ステップ213〜217の処理は、同じ利用者が、割り当てを希望するスペックを変更しない限り、1度実行すれば2度目以降の割り当て要求時は省略可能である。
【0090】
その後、利用者は上記通知を確認すると、接続PC1000の遠隔操作プログラム1032を起動するよう指示する(ステップ219)。利用者からの指示を受け付けると、接続PC1000は、遠隔操作プログラム1032を起動させ、遠隔操作機能を実現する。接続PC1000は、遠隔操作機能により、選択したサービスの利用を開始する利用開始要求を、利用者を特定する情報とともにゲートウェイサーバ2100を介して管理サーバ2600に送信する(ステップ220)。
【0091】
管理サーバ2600は、ユーザ管理テーブル2651に当該利用者に対応づけて登録されている利用サービスを確認し(ステップ221)、登録されている利用サービスに応じて、必要なサーバリソースを当該利用者に割り当て(ステップ222)、利用可能とする。
【0092】
ここで、本実施形態のサーバリソースとは、サーバPC2300、ターミナルサーバ2400、仮想PC向けサーバ2500のいずれかである。割り当て後、それぞれのサーバリソースは、当該利用者に割り当てられているストレージ2200の領域から、OS2210、個人データ2220、AP2230をサーバPC2300にロードし、それぞれのサーバリソース上で、接続PC1000から遠隔操作機能により利用可能とする(ステップ223)。
【0093】
以降、利用者は、接続PC1000の遠隔操作プログラム1032により、サーバリソースを利用することができる(ステップ224)。
【0094】
サーバリソースの利用を終了する際の手順は以下のとおりである。
【0095】
利用者が接続PC1000に終了を指示する。利用者からサーバリソースの利用の終了の意思を受け付けた接続PC1000は(ステップ225)、利用者を特定する情報とともに、終了を意味する終了通知を当該利用者に割り当てられ、利用者が利用していたサーバリソースに通知する(ステップ226)。終了通知を受け取ったサーバリソースは、利用者を特定する情報に従って、ロードしていた当該利用者のデータ(OS2210、個人データ2220、AP2230)を、ストレージ装置2200の当該利用者に割り当てられている個人領域に保存し(ステップ227)、サーバリソース内のメモリから利用者のデータを削除する。利用者のデータが残らないように削除する方法は、例えば、当該サーバリソースのメモリに管理サーバ2600が乱数を書き込む、ゼロジングを行うなどの方法がある。また、そのメモリが揮発性メモリの場合には電圧0Vにすることでデータをクリアすることも可能である。
【0096】
その後、終了通知の送信元の接続PC1000と、管理サーバ2600に正常に終了したことを通知する(ステップ228)。このとき、管理サーバ2600には、利用者を特定する情報とともに通知する。
【0097】
管理サーバ2600では、ユーザ管理機能がユーザ管理テーブル2651を更新する。
【0098】
ステップ209で受け取った照合結果が照合不成功を示すものであった場合、接続PC1000はその旨、利用者に通知する。また、ステップ212において、認証が不成功であった場合、管理サーバ2600は、その旨を通知する情報を、送信元の接続PC1000に返信する。
【0099】
次に、管理サーバ2600のリソース管理機能が、利用者に送付する選択可能利用サービス一覧表示画面6100データを生成する処理について説明する。図10は、選択可能利用サービス一覧表示画面6100データ生成処理の処理フローである。
【0100】
管理サーバ2600のリソース管理機能は,サーバリソース管理テーブル2652とストレージ管理テーブル2654と、ソフトウェアリソース・オプション管理テーブル2657とを用いて、サーバPCシステム2000において、物理的に提供可能な利用サービスのリスト(1段階目)410を生成する。
【0101】
次に,推奨・不可組合せテーブル2655を参照し、予め登録されている推奨する組み合わせ、論理的に利用できない組み合わせを反映させて利用サービスリスト(2段階目)420を生成する。
【0102】
次に,ユーザ管理テーブル2651と利用者属性テーブル2656とを参照し、リソース割当要求である認証情報で特定される利用者の属性によって選択可能な利用サービス項目を反映させて利用サービスリスト(最終段階)430を生成する。選択可能項目生成機能は、生成した利用サービスリストを用いて選択可能利用サービス一覧表示画面6100データを生成し、ゲートウェイサーバ2100、ネットワーク3000を介して、認証情報の送信元の接続PC1000に当該データを送信する。
【0103】
次に、接続PC1000からの利用開始要求220を受信してから、遠隔操作プログラムの終了の要求225を受信するまでの管理サーバ2600の処理を説明する。
【0104】
管理サーバ2600では利用開始要求220を受信すると、サーバリソース管理テーブル2652を参照しながら、上記ステップ216でユーザ管理テーブルに登録された利用サービス216に従って利用開始要求220の送信元の利用者に割り振るサーバリソースを決定する。
【0105】
管理サーバ2600は、例えば、ユーザ管理テーブル2651に登録されている利用サービス情報に対応づけてサーバリソース管理テーブル2652に登録されているサーバリソースのスペック、使用率等を抽出し、割り当て可能なサーバリソースを選択する。その後、管理サーバ2600は、サーバリソース管理テーブル2652を更新する。また、ユーザ管理テーブル2651の利用中サーバリソース番号や利用ログや利用状態の該当する項目を更新する。
【0106】
次にユーザ管理テーブル2651のストレージ番号とストレージ管理テーブル2654のストレージ番号2654aとから、該利用者に割り当てられている個人領域を検索し、当該個人領域から個人環境データ(OS2210、個人データ2220、AP2230)を前記割り当てられたサーバリソースにロードする。
【0107】
一方、管理サーバ2600は、前記サーバリソースから利用終了の通知を受信した場合、該通知元のサーバリソースが空き状態になったものと判断し、当該サーバリソースのメモリや記憶装置内の個人環境データをストレージ2200の当該利用者に割り当てられている個人領域にセーブし、サーバリソース管理テーブル2652を更新し、サーバリソースを開放する。
【0108】
なお、利用者の選択がストレージ2200のみの場合、管理サーバ2600は、利用開始要求を受け取ると、選択内容に合致したストレージ2200の領域を割り当て、当該領域に利用者がデータを保存したり、削除したりアクセス可能なように制御する。
【0109】
なお、サーバPC2100の割り当てを行う際にサーバPC2100の空きがない場合には、利用者にその旨を通知し、空きができるまで待機するよう指示を出したり、ターミナルサーバ2400や仮想PC向けサーバ2500をサーバPC2100に空きができるまで代用して利用者に割り当てるよう構成することも可能である。
【0110】
以上説明したように、本実施形態では、利用者に、当該利用者の属性、必要に応じて、選択可能なサーバリソース、スペック、ソフトウェア等の情報をサーバPCシステム2000側が生成して提供することができる。利用者は提供された選択可能な項目から、必要に応じて選択することが可能である。さらに、選択時に、提示されたリソースそれぞれを一定期間利用する際に必要とされるポイントが表示されるため、利用者は直感的にコストも把握することができる。従って、利用者に選択の幅とともに指針も与えることができる。
【0111】
すなわち、本実施形態によれば、クライアントサーバシステムの中でも、特に主なデータ、アプリケーション、OSなどをサーバ側に蓄積するシステムにおいて、サーバ側のPCハードウェアリソースを利用者に適切に提供し、サーバ側の資源を効率的に利用することを支援できる。
【0112】
さらに、本実施形態によれば、広告配信の選択、節電により、サーバリソース利用時のコストの低減の方策が用意されている。このため、より幅広い選択肢を利用者に提供できる。同時に、節電によるコストが低減されるため、電力消費を節約するインセンティブを与えることができる。従って、例えば、本実施形態を、レンタルPCシステムに適用した場合、利用者の選択の幅をさらに広げ、サービスの質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施形態のレンタルサーバシステムのシステム構成図である。
【図2】実施形態のユーザ管理テーブルの一例を示す図である。
【図3】実施形態のサーバリソース管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】実施形態の料金テーブルの一例を示す図である。
【図5】実施形態のストレージ管理テーブル一例を示す図である。
【図6】実施形態の推奨・不可組合テーブルの一例を示す図である。
【図7】実施形態の利用者属性テーブルの一例を示す図である。
【図8】実施形態の選択可能利用サービス一覧表示画面例である。
【図9】実施形態のクライアント端末とサーバシステム間のデータの送受信を示す図である。
【図10】実施形態の選択可能利用サービス一覧表示画面データ生成処理の処理フローである。
【符号の説明】
【0114】
1000…接続PC、1010…CPU、1020…メモリ、1030…不揮発性メモリ、1031…認証プログラム、1032…遠隔操作プログラム、1040…表示装置、1050…マウス、1060…キー入力装置、1070…リーダライタ、1080…ネットワーク接続装置、1140…広告、1150…情報、2000…サーバPCシステム、2100…ゲートウェイサーバ、2110…CPU、2120…メモリ、2130…ディスク装置、2131…VPNプログラム、2140…ネットワーク接続装置、2200…ストレージ、2210…2210、2220…個人データ、2230…AP、2300…サーバPC、2310…CPU、2320…メモリ、2400…ターミナルサーバ、2410…CPU、2420…メモリ、2430…ディスク装置、2431…サーバOS、2432…アプリケーションプログラム、2500…仮想PC向けサーバ、2510…CPU、2520…メモリ、2530…ディスク装置、2531…サーバOS、2532…仮想化アプリケーションプログラム、2600…管理サーバ、2610…CPU、2620…メモリ、2630…表示装置、2640…ディスク装置、2641…ユーザ管理プログラム、2642…広告配信プログラム、2643…消費電力管理プログラム、2644…バックアッププログラム、2645…ウィルスチェックプログラム、2646…リソース管理プログラム、2651…ユーザ管理テーブル、2652…サーバリソース管理テーブル、2653…料金テーブル、2654…ストレージ管理テーブル、2655…推奨・不可組合テーブル、2656…利用者属性テーブル、2657…ソフトウェアリソース・オプション管理テーブル、3000…ネットワーク、4000…認証デバイス、4100…CPU、4200…メモリ、4300…ROM、4400…不揮発性メモリ、4500…ICチップ、5100…画面情報、5200…入力情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末にネットワークを介して接続され、当該クライアント端末にリソースを提供するサーバ装置であって、
前記提供可能なリソースを管理するリソース管理手段と、
前記クライアント端末を使用する利用者の属性および当該利用者に割り当てるリソースの情報を管理する利用者管理手段と、を備え、
前記リソース管理手段は、
前記クライアント端末を介して前記利用者からリソース提供の要求があった場合、前記利用者管理手段が管理する当該利用者の属性に従って、自身が管理するリソース内で、当該要求元の利用者に提供可能なリソースの一覧を抽出して要求元のクライアント端末に選択肢として送信する選択肢生成手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者の前記選択肢からの選択を受け付けると、受け付けた選択内容を、前記利用者管理手段に登録する登録手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者からリソース利用開始の要求を受け付けると、前記利用者管理手段に登録された選択内容に従って、当該リソースを前記要求元の利用者に割り当てるリソース割当手段と、を備えること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
請求項1記載のサーバ装置であって、
前記リソース管理手段は、各利用者のリソースの利用を監視する監視手段をさらに備え、
前記利用者管理手段は、前記監視手段の監視結果を、利用者毎に収集する利用結果収集手段を備えること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
請求項2記載のサーバ装置であって、
前記提供可能な各リソースには、それぞれ使用コストが設定され、
前記選択肢生成手段は、前記選択肢とともに、当該選択肢内の各リソース毎に前記使用コストも送信し、
前記利用結果収集手段は、前記使用コストに換算して利用者毎の監視結果を収集すること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
請求項3記載のサーバ装置であって、
前記提供可能なリソースには、仮想PCと、サーバPCと、ターミナルサーバと、記憶装置と、ソフトウェアと、オプションサービスとがあること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
請求項4記載のサーバ装置であって、
前記オプションサービスには、バックアップサービスと、ウイルスチェックサービスと、広告配信と、優先度設定と、があること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
請求項5記載のサーバ装置であって、
前記利用結果収集手段は、前記使用コストへの換算にあたり、前記広告配信を利用者が選択した場合、当該利用者の使用コストを低減させること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項7】
請求項5または6記載のサーバ装置であって、
前記監視手段は、前記サーバPCにて消費される消費電力を監視する消費電力監視手段を備え、
前記利用結果収集手段は、消費電力監視手段が監視した前記消費電力を所定期間利用者毎に収集し、消費電力が少なければ少ないほど、前記使用コストを低減させること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
請求項1記載のサーバ装置であって、
前記利用者による選択には、所定のリソースを確保すべきか否かの指示が含まれ、確保すべきものとの選択を受け付けた場合、前記リソース管理手段は、当該リソースを当該利用者のために確保すること
を特徴とするサーバ装置。
【請求項9】
ネットワークを介して接続されたクライアント端末と、当該クライアント端末にリソースを提供するサーバ装置とを備えるレンタルサーバシステムであって、
前記クライアント端末は、
当該クライアント端末を介して前記サーバ装置のリソースの提供を受ける利用者を認証する利用者認証手段と、
前記利用者認証手段で認証された利用者から入力を受け付けた情報を前記サーバ装置に送信するとともに、当該サーバ装置から送信された情報を前記利用者に提示する利用者インタフェースと、を備え、
前記サーバ装置は、
前記提供可能なリソースを管理するリソース管理手段と、
前記クライアント端末を使用する利用者の属性および当該利用者に割り当てるリソースの情報を管理する利用者管理手段と、を備え、
前記リソース管理手段は、
前記クライアント端末を介して前記利用者からリソース提供の要求があった場合、前記利用者管理手段が管理する当該利用者の属性に従って、自身が管理するリソース内で、当該要求元の利用者に提供可能なリソースの一覧を抽出して要求元のクライアント端末に選択肢として送信する選択肢生成手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者の前記選択肢からの選択の要求を受け付けると、受け付けた選択内容を、前記利用者管理手段に登録する登録手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者からリソース利用開始の要求を受け付けると、前記利用者管理手段に登録された選択内容に従って、当該リソースを前記要求元の利用者に割り当てるリソース割当手段と、を備えること
を特徴とするレンタルサーバシステム。
【請求項10】
クライアント端末にネットワークを介して接続され、当該クライアント端末にリソースを提供するサーバ装置におけるリソース提供方法であって、
前記サーバ装置は、
前記提供可能なリソースを管理するリソース管理手段と、
前記クライアント端末を使用する利用者の属性および当該利用者に割り当てるリソースの情報を管理する利用者管理手段と、を備え、
前記クライアント端末を介して前記利用者からリソース提供の要求があった場合、前記利用者管理手段が管理する当該利用者の属性に従って、自身が管理するリソース内で、当該要求元の利用者に提供可能なリソースの一覧を抽出して要求元のクライアント端末に選択肢として送信する選択肢生成ステップと、
前記クライアント端末を介して、利用者の前記選択肢からの選択の要求を受け付けると、受け付けた選択内容を、前記利用者管理手段に登録する登録ステップと、
前期クライアント端末を介して、利用者からリソース利用開始の要求を受け付けると、前記利用者管理手段に登録された選択内容に従って、当該リソースを前記要求元の利用者に割り当てるリソース割当ステップと、を備えること
を特徴とするリソース提供方法。
【請求項11】
クライアント端末にネットワークを介して接続され、当該クライアント端末にリソースを提供するサーバ装置内のコンピュータを、
前記クライアント端末を使用する利用者の属性および当該利用者に割り当てるリソースの情報を管理する利用者管理手段と、
前記クライアント端末を介して前記利用者からリソース提供の要求があった場合、前記利用者管理手段が管理する当該利用者の属性に従って、自身が管理するリソース内で、当該要求元の利用者に提供可能なリソースの一覧を抽出して要求元のクライアント端末に選択肢として送信する選択肢生成手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者の前記選択肢からの選択の要求を受け付けると、受け付けた選択内容を、前記利用者管理手段に登録する登録手段と、
前記クライアント端末を介して、利用者からリソース利用開始の要求を受け付けると、前記利用者管理手段に登録された選択内容に従って、当該リソースを前記要求元の利用者に割り当てるリソース割当手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−188139(P2007−188139A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3452(P2006−3452)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】