説明

サービス提供システム

【課題】測位要求によって指定された端末装置の位置を測位する測位システムにおいて、端末の種別に応じた測位方式(処理手順)が複数存在する場合であっても、ネットワークのトラフィックを増大させることなく、端末装置の位置を求められるようにする。
【解決手段】管理テーブル13には、端末装置の識別情報と、上記端末装置との情報のやり取りを含む測位処理に成功した測位装置の識別情報とが関連付けて記録されている。測位ゲートウェイ装置1内の振り分け手段11は、測位対象とする端末装置を指定した測位要求が入力されると、管理テーブル13を検索し、上記指定された端末装置の識別情報に関連付けて測位装置の識別情報が記録されている場合は、その識別情報が示す測位装置に測位要求を振り分け、記録されていない場合は、全ての測位装置2,3に測位要求を振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービスの要求元に対して要求されたサービスを提供するサービス提供システムに関し、特に、サービス要求によって指定された端末装置との間で通信を行うことが必要になるサービスを要求元に対して提供するサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サービスの要求元にサービスを提供するために、サービス要求によって指定された携帯端末装置などの端末装置と通信を行うことが必要になるサービス提供システムとして、端末装置を所持している端末所有者の位置を知るための測位システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8を参照すると、特許文献1に記載されている測位システムは、管理テーブル110を有する測位ゲートウェイ装置100と、測位要求の要求元となる端末装置120,121と、測位装置130と、測位対象となる端末装置140とから構成されている。
【0004】
端末装置120の利用者は、端末装置140の位置を知りたい場合、端末装置120から測位ゲートウェイ装置100に対して、端末装置140を指定した測位要求を送信する。これにより、測位ゲートウェイ装置100は、管理テーブル110を検索し、測位対象を端末装置140としている測位要求情報が記録されているか否かを調べる。今、例えば、そのような測位要求情報が記録されていないとすると、測位ゲートウェイ装置100は、測位対象を端末装置140、測位要求元を端末装置120とした測位要求情報を管理テーブル110に記録すると共に、上記測位要求を測位装置130に送信する。
【0005】
その後、測位装置130から測位結果が返される前に、他の端末装置121から端末装置140を指定した測位要求が送られてくると、測位ゲートウェイ装置100は、管理テーブル110に、測位対象を端末装置140とした測位要求情報が記録されているか否かを調べる。この例の場合、そのような測位要求情報が管理テーブル110に記録されているので、測位ゲートウェイ装置100は、測位対象を端末装置140、測位要求元を端末装置121とした測位要求情報を管理テーブル110に記録する処理だけを行い、測位要求を測位装置130に送信する処理は行わない。
【0006】
一方、測位装置130は、測位ゲートウェイ装置100から端末装置140を指定した測位要求が渡されると、端末装置140と通信を行ってその位置を測位し、測位結果を測位ゲートウェイ装置100に返す。ここで、端末装置140の位置は、例えば、次のようにして求める。端末装置140にGPS(Global Positioning System)の受信装置と通信装置とを設ける。測位装置130は、端末装置140に対して測位要求を送信し、端末装置140は、通信装置を介して測位装置130からの測位要求を受信すると、GPSの受信装置によって取得した位置を、測位結果として測位ゲートウェイ装置100に返す。
【0007】
測位ゲートウェイ装置100は、測位装置130から端末装置140の位置を示す測位結果が送られてくると、測位対象が端末装置140になっている測位要求情報を管理テーブル110から検索し、検索した各測位要求情報が示す要求元に対して測位結果を送信する。この例の場合、端末装置120,121に測位結果が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−269679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている技術によれば、測位ゲートウェイ装置100において処理が完了していない測位要求を、他の同じ端末装置についての測位要求として活用することができるので、測位装置130と測位対象となる端末装置140との間のネットワークや、測位ゲートウェイ装置100と測位装置130との間のネットワークのトラフィックを低減することができる。
【0010】
しかし、特許文献1に記載されている技術は、測位要求の要求元(サービス要求の要求元)の端末装置が複数存在する場合は想定しているものの、サービス要求によって指定された端末装置がサービスを提供するために実施する処理手順(方式)が、端末装置の種別(機種名や型番等)に応じて複数存在する場合までは想定していない。例えば、測位対象となる端末装置と測位装置との間のプロトコルが、端末装置の種別に応じて複数存在するような場合までは想定していない。
【0011】
測位対象となる端末装置の種別(機種名や型番等)が管理されている環境であれば、これを基に端末装置の測位方式を割り出し、該当する測位方式の測位装置を利用して、端末装置の位置を求めることができる。しかし、端末機種変更あるいはSIM(Subscriber Identification Module)交換等により、端末装置の種別は随時変更される可能性があるため、これを一元管理することは困難である。また、今後、SIMフリー化等も進むことで、更に端末種別を管理することは困難にあると考えられる。
【0012】
端末装置の種別が管理されていない場合、図8のように、測位方式が1種類(測位方式A)しか存在しなければ問題ないが、図9のように、処理手順が異なる複数種類の測位方式が存在する場合には次のような問題が生じる。尚、図9において、測位装置130及び端末装置140は測位方式Aに対応し、測位装置131及び端末装置141は測位方式Bに対応している。
【0013】
今、例えば、端末装置120が、測位対象として端末装置141を指定した測位要求を測位ゲートウェイ装置100に送信したとする。測位ゲートウェイ装置100は、端末装置141の測位方式が分からないため、測位方式Aの測位装置130と測位方式Bの測位装置Bとの両方に測位要求を渡すか、若しくは、測位に成功するまで、各測位方式の測位装置に順番に測位要求を渡す。この場合、1つの測位要求(サービス要求)に対して複数のトラフィックが発生することになるため、測位装置130,131と端末装置140,141との間のネットワークや、測位ゲートウェイ装置100と測位装置130,131との間のネットワークのトラフィック増大を招くといった問題が生じる。また、ネットワークが外部設備である場合は、その使用料が増大するといったコスト増を招くといった問題も生じる。
【0014】
[発明の目的]
そこで、本発明の目的は、サービス要求によって指定された端末装置がサービスを提供するために実施する処理手順が、端末装置の種別に応じて複数存在する場合に発生する、ネットワークのトラフィックが増大するという問題を解決したサービス提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかる第1のサービス提供システムは、
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、
端末装置の識別情報と、前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルと、
端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分ける振り分け手段と、
該振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新する応答手段とを備える。
【0016】
本発明にかかるサービス提供方法は、
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、端末装置の識別情報と前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルと、振り分け手段と、応答手段とを備えたコンピュータが実行するサービス提供方法であって、
前記振り分け手段が、端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分け、
前記応答手段が、前記振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新する。
【0017】
本発明にかかるプログラムは、
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、端末装置の識別情報と前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルとを備えたコンピュータをサービス提供システムとして機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分ける振り分け手段、
該振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新する応答手段として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サービス要求によって指定された端末装置がサービスを提供するために実施する処理手順が、端末装置の種別に応じて複数存在する場合であっても、ネットワークのトラフィックを増加させることなく、サービス要求の要求元にサービスを提供することが可能になるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる情報提供システムの第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】管理テーブル13の一例を示す図である。
【図3】測位ゲートウェイ装置1の処理例を示すフローチャートである。
【図4】端末装置6を指定した第1回目の測位要求があったときの動作を説明するための図である。
【図5】端末装置6を指定した第1回目の測位要求があったときの動作を説明するための図である。
【図6】端末装置6を指定した第2回目以降の測位要求があったときの動作を説明するための図である。
【図7】機種変更が行われた後に、端末装置6を指定した測位要求があったときの動作を説明するための図である。
【図8】特許文献1に記載されている技術を説明するためのブロック図である。
【図9】特許文献1に記載されている技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細い説明する。
【0021】
[本発明の第1の実施の形態]
図1を参照すると、本実施の形態は、測位ゲートウェイ装置1と、測位装置2,3と、測位要求の要求元となるパーソナルコンピュータ等の端末装置4,5と、測位対象となる携帯端末装置などの端末装置6,7とを備えている。
【0022】
測位要求の要求元となる端末装置4,5は、それぞれ要求発信手段41,51と、応答受信手段42,52とを備えている。要求発信手段41,51は、ユーザがキーボード等の入力部(図示せず)から入力した、測位対象にする端末情報の識別情報を受け付け、当該識別情報を含んだ測位要求を測位ゲートウェイ装置1へ送信する機能を有する。尚、識別情報としては、電話番号、利用者端末番号、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)などを使用することができる。応答受信手段42,52は、測位ゲートウェイ装置1から送られてきた測位結果を受信し、端末装置の位置情報をLCD等の表示部に表示する機能を有する。尚、図1では、測位要求の要求元となる端末装置の台数を2台としたが、これに限られるものではない。
【0023】
測位装置2,3は、それぞれ測位方式A,Bに対応しており、測位ゲートウェイ装置1から送られてきた測位要求を、3Gなどの携帯電話ネットワークや無線LANなどの無線ネットワークを介して、測位対象となる端末装置へ送信する機能を有する。更に、測位装置2,3は、測位対象にしている端末装置から送られてきた測位結果を測位ゲートウェイ装置1に送信する機能を有する。尚、図1では、測位方式を2種類とし、各測位方式毎に1台の測位装置を設けるようにしたが、測位方式の種類を3種類以上とし、各測位方式毎に1台の測位装置を設けるようにしても構わない。
【0024】
測位対象となる端末装置6,7は、それぞれ測位方式A,Bに対応している。そして、自端末装置6,7と対応する測位方式の測位装置から測位要求が送られてきた場合には、GPSなどを利用して自端末装置の位置情報を求め、それを測位結果として測位装置に返す。これに対して、自端末装置6,7と対応しない測位方式の測位装置から測位要求が送られてきた場合は、送られてきた測位要求を無視して破棄するか、或いは、測位結果としてNG(異常終了)を通知する。尚、本実施の形態では、測位方式A,Bの相違は、端末装置と測位装置との間のプロトコルであるとし、また、端末装置6,7は、測位方式が対応しない測位装置から測位要求が送られてきた場合は、それを無視して破棄するものとする。
【0025】
測位ゲートウェイ装置1は、振り分け手段11と、応答手段12と、管理テーブル13とを備えている。
【0026】
管理テーブル13には、端末装置の識別情報と、その端末装置の測位に成功した測位装置の識別情報とが関連付けて記録されている。図2は、管理テーブル13の一例を示す図であり、同図の例は、識別情報A1の端末装置の測位に、識別情報B1の測位装置が成功したことを示している。
【0027】
振り分け手段11は、端末装置4,5から、測位対象にする端末装置の識別情報を含んだ測位要求が入力されると、管理テーブル13を検索し、上記測位対象の測位に成功した測位装置が存在するか否かを調べ、そのような測位装置が存在する場合には、その測位装置に対して測位要求を振り分け、存在しない場合には、全ての測位装置2,3に対して測位要求を振り分ける機能を有する。
【0028】
応答手段12は、測位装置2,3からの測位結果を、測位要求の要求元の端末装置に返す機能を有する。更に、応答手段12は、測位成功を示す測位結果が測位装置2,3から送られてきた場合は、測位対象の端末装置の識別情報と、測位に成功した測位装置の識別情報とが関連付けて記録されるように、管理テーブル13を更新する。
【0029】
尚、上記した機能を有する測位ゲートウェイ装置1は、コンピュータによって実現可能であり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータを測位ゲートウェイ装置1として機能させるためのプログラムを記録したディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に振り分け手段11及び応答手段12を実現する。
【0030】
[第1の実施の形態の動作の説明]
次に、各図を参照して本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0031】
先ず、図3のフローチャートを参照して測位ゲートウェイ装置1の動作について説明する。
【0032】
測位ゲートウェイ装置1内の振り分け手段11は、端末装置4,5からの測位要求を受信すると、測位要求によって測位対象にすることが指定されている端末装置の識別情報を管理テーブル13から検索する(ステップS31)。
【0033】
そして、測位対象にする端末装置の識別情報を検索できた場合(ステップS32がYES)は、検索した端末装置の識別情報と関連付けて記録されている、過去に上記端末装置の測位に成功した測位装置の識別情報を入力し、この識別情報によって示される測位装置に対して測位要求を送信する(ステップS33)。
【0034】
その後、上記測位装置から端末装置の位置情報を含んだ測位結果が送られてきた場合(ステップS34がYES)は、測位ゲートウェイ装置1内の応答手段12が、要求元の端末装置に対して測位結果を送信し(ステップS35)、その処理を終了する。
【0035】
これに対して、上記測位装置から測位失敗(NG)を示す測位結果が送られてきた場合(ステップS34がNO)は、振り分け手段11は、測位ゲートウェイ装置1に接続されている測位装置2,3の内、今回、測位要求を送信した測位装置以外の測位装置に対して測位要求を送信する(ステップS37)。
【0036】
その後、測位装置から端末装置の位置情報を含んだ測位結果が送られてきた場合(ステップS38がYES)は、応答手段12が、今回、測位対象にした端末装置の識別情報と、測位結果の送信元の測位装置の識別情報とが関連付けて記録されるように、管理テーブル13を更新し(ステップS39)、その後、測位結果を要求元の端末装置へ送信する(ステップS35)。
【0037】
これに対して、振り分け手段11が測位装置に対して測位要求を送信してから予め定められている一定時間が経過しても、測位装置から測位対象の位置情報を含んだ測位結果が送られてこなかった場合(ステップS38がNO)は、応答手段12は、要求元の端末装置に対して、測位失敗を示す測位結果を送信し(ステップS40)、その後、その処理を終了する。
【0038】
また、ステップS31において、測位対象にする端末装置の識別情報を検索できなかった場合(ステップS32がNO)は、振り分け手段11が、測位ゲートウェイ装置1に接続されている全ての測位装置2,3に対して測位要求を送信する(ステップS36)。そして、測位装置から測位対象の位置情報を含んだ測位結果が送られてきた場合(ステップS38がYES)は、前述したステップS39,S35の処理を行い、測位失敗を示す測位結果が送られてきた場合(ステップS38がNO)は、前述したステップS40の処理を行う。
【0039】
次に、具体例を挙げて、本実施の形態の動作について説明する。
【0040】
(初回の測位要求時の動作)
先ず、端末装置6を測位対象にした初回(第1回目)の測位要求が、端末装置4から測位ゲートウェイ装置1に対して送信された場合の動作を説明する(図4、図5参照)。
【0041】
測位ゲートウェイ装置1内の振り分け手段11は、端末装置4から測位対象として端末装置6を指定した測位要求が送られてくると(図4参照)、管理テーブル13から測位対象の端末装置6の識別情報(利用者端末番号、電話番号、IMSIなど)を検索する(図3のステップS31)。新規加入の端末であるなどの理由により、端末装置6の識別情報を検索できない場合(ステップS32がNO)は、振り分け手段11は、全ての測位装置2,3に対して測位要求を送信する(ステップS36)。ここで、振り分け手段11は、全ての測位装置2,3に対して同時に測位要求を送信するようにしても良いし、各測位装置2,3に測位要求を順次送信するようにしても構わない。
【0042】
測位装置2,3は、測位対象として端末装置6が指定された測位要求が送られてくると、それぞれ端末装置6の位置情報を取得するための処理(サービス提供処理)を実行する。本実施の形態では、測位装置2,3は、それぞれ測位方式A,Bに対応しており、実行するサービス提供処理の処理手順が異なっている(例えば、測位方式A,Bでは、端末装置から位置情報を取得するための通信プロトコルが異なっている)。一方、測位対象の端末装置6は、測位方式Aに対応している。従って、図5に示すように、測位方式Aに対応している測位装置2は、端末装置6と正常に通信を行い、端末装置6の位置情報を含んだ測位結果を受信できるが、測位方式Bに対応している測位装置3は、端末装置6と正常に通信を行うことができず、端末装置6の位置情報を含んだ測位結果を受信できない。端末装置6の位置情報を含んだ測位結果を受信した測位装置2は、それを測位ゲートウェイ装置1へ送信する。
【0043】
測位ゲートウェイ装置1内の応答手段12は、測位装置2から端末装置6の位置情報を含んだ測位結果が送られてくると(ステップS38がYES)、端末装置6の識別情報と測位装置2の識別情報とを関連付けて管理テーブル13に記録すると共に、測位結果を要求元の端末装置4へ送信し(ステップS39,S35)、その後、その処理を終了する。
【0044】
(第2回目以降の測位要求時の動作)
次に、測位対象として端末装置6を指定した第2回目以降の測位要求を、端末装置5が測位ゲートウェイ装置1に対して送信した場合の動作について説明する(図6参照)。
【0045】
測位ゲートウェイ装置1内の振り分け手段11は、端末装置5から測位対象として端末装置6を指定した測位要求が送られてくると(図6参照)、管理テーブル13から端末装置6の識別情報を検索する(図3のステップS31)。管理テーブル13には、以前に端末装置6の測位に成功した際に、端末装置6の識別情報と、端末装置6の測位に成功した測位装置2の識別情報とが関連付けて記録されているので、振り分け手段11は、測位装置2のみに測位要求を送信する(ステップS32がYES、S33)。前述したように、端末装置6、測位装置2は共に測位方式Aに対応するものであるので、測位に成功し、測位結果が要求元の端末装置4へ送られる(ステップS34がYES、S35)。
【0046】
(機種変更があった場合の動作)
次に、端末装置6を測位対象に指定した第2回目以降の測位要求が行われた後に、端末装置6の所有者が機種変更を行った場合の動作を説明する(図7参照)。
【0047】
端末装置6の所有者が、SIM交換により機種変更を行ったとする。図7では、機種変更後の端末装置を端末装置6aとしている。尚、機種変更後の端末装置6aの識別情報は、機種変更前の端末装置6と同じである。また、端末装置6aの測位方式は、測位方式Bであり、機種変更前の端末装置6の測位方式Aとは異なるものになっている。
【0048】
測位ゲートウェイ装置1内の振り分け手段11は、機種変更が行われた後に、端末装置5から端末装置6aの識別情報(利用者端末番号、IMIS、電話番号など)を含んだ測位要求(端末装置6aを測位対象としてした測位要求)が送られてくると、管理テーブル13から端末装置6aの識別情報を検索する(図3のステップS31)。管理テーブル13には、端末装置6の識別情報(端末装置6aの識別情報と同一)に関連付けて、測位装置2の識別情報が記録されているので、振り分け手段11は、測位要求を測位装置2に対して送信する(図3のステップS32がYES,S33)。
【0049】
測位装置2は、端末装置6aと通信を行い、端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を受信しようと試みるが、端末装置6aの測位方式は測位方式Bであり、測位装置2の測位方式Aと異なっているので、端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を受信することができない。また、測位ゲートウェイ装置1内の応答手段12も端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を受信することができない。
【0050】
測位ゲートウェイ装置1内の応答手段12は、振り分け手段11が測位装置2に対して、端末装置6aを指定した測位要求を送信してから、予め定められた所定時間が経過しても端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を受信できないので、測位に失敗したと判断し(ステップS34がNO)、測位装置2を除いた他の測位装置(この例では、測位装置3)に対して、端末装置6aの識別情報を含んだ測位要求を送信する(ステップS37)。
【0051】
測位装置3は測位方式Bに対応し、また、機種変更後の端末装置6aも測位方式Bに対応しているので、両者の間で正常に通信が行われ、測位装置3は、端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を受信し、受信した測位結果を測位ゲートウェイ装置1へ送信する。
【0052】
測位ゲートウェイ装置1内の応答手段12は、端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を測位装置3から受信すると、測位が成功したと判断し(ステップS38がYES)、測位要求によって指定された端末装置6aの識別情報と、測位に成功した測位装置3の識別情報とが関連付けて記録されるように、管理テーブル13を更新する(ステップS39)。即ち、端末装置6aの識別情報に関連付けて記録されていた測位装置2の識別情報を、測位に成功した測位装置3の識別情報に変更する。その後、応答手段12は、端末装置6aの位置情報を含んだ測位結果を端末装置5へ送信し(ステップS35)、その後、処理を終了する。
【0053】
[第1の実施の形態の効果]
本実施の形態によれば、測位要求(サービス要求)によって指定された端末装置がサービスを提供するために実施する処理手順が、端末装置の種別に複数存在する場合であっても、ネットワークのトラフィックを増加させることなく、測位要求の要求元に端末装置の位置を知らせることが可能になる。その理由は、端末装置の識別情報と、上記端末装置との情報のやり取りを含む処理に成功した測位装置の識別情報とが関連付けて記録された管理テーブル13を備えると共に、測位要求によって測位対象にすることが指定された端末装置の識別情報が管理テーブル13に記録されている場合には、それと関連付けて識別情報が記録されている測位装置に対して測位要求を振り分ける振り分け手段11を備えているからである。
【0054】
また、本実施の形態によれば、測位対象となる端末装置の所有者がSIM交換等により機種変更を行った場合、利用者やオペレータの介在無しに、自動的に、管理テーブル13の内容を変更後の機種に応じたものに変更することができる。その理由は、管理テーブル13の内容に基づいて測位要求を振り分けた測位装置において測位に失敗した場合、振り分け手段11が残りの測位装置に対して測位要求を振り分け、測位に成功した測位装置が発生した場合、応答手段12が、測位要求によって指定された端末装置の識別情報と、上記測位に成功した測位装置の識別情報とが関連付けて記録されるように、管理テーブル13の内容を更新するからである。
【0055】
[本発明の他の実施の形態]
以上、本発明を実施の形態を挙げて説明したが、本発明は、以上の例に限定されず、その他各種の付加変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、要求(測位要求)によって指定された端末装置の位置情報を取得するようにしてが、要求によって指定された端末装置に記録されている所定の情報を取得するようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 測位ゲートウェイ装置
11 振り分け手段
12 応答手段
13 管理テーブル
2,3 測位装置
4,5 端末装置
41 要求発信手段
42 応答受信手段
6,6a,7 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、
端末装置の識別情報と、前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルと、
端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分ける振り分け手段と、
該振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新する応答手段とを備えたことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項2】
請求項1記載のサービス提供システムにおいて、
前記振り分け手段は、前記管理テーブルの内容に基づいてサービス要求を振り分けた処理手段がサービス提供処理に失敗した場合は、前記複数の処理手段の内の、前記サービス提供処理に失敗した処理手段以外の処理手段に対して前記サービス要求を振り分けることを特徴とするサービス提供システム。
【請求項3】
請求項2記載のサービス提供システムにおいて、
前記振り分け手段は、前記管理テーブルの内容に基づいてサービス要求を振り分けてから一定時間以内に振り分け先の処理手段から応答がなかった場合、前記振り分け先の処理手段がサービス提供処理に失敗したと判定し、
前記複数の処理手段は、サービス提供処理に成功した場合は前記振り分け手段に応答を返すことを特徴とするサービス提供システム。
【請求項4】
請求項1,2または3記載のサービス提供システムにおいて、
前記端末装置を指定したサービス要求は、前記端末装置の位置を測位することを要求するものであることを特徴とするサービス提供システム。
【請求項5】
請求項1乃至4記載のサービス提供システムにおいて、
前記複数の処理手段は、端末装置と情報をやり取りする際のプロトコルがそれぞれ異なることを特徴とするサービス提供システム。
【請求項6】
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、端末装置の識別情報と前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルと、振り分け手段と、応答手段とを備えたコンピュータが実行するサービス提供方法であって、
前記振り分け手段が、端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分け、
前記応答手段が、前記振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新することを特徴とするサービス提供方法。
【請求項7】
それぞれが端末装置の種別に応じたサービス提供処理であって、入力されたサービス要求によって指定された端末装置との間の通信を含む、処理手順が異なるサービス提供処理を実行する複数の処理手段と、端末装置の識別情報と前記端末装置との情報のやり取りを含むサービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録される管理テーブルとを備えたコンピュータをサービス提供システムとして機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
端末装置を指定したサービス要求が入力されることにより、前記管理テーブルを検索し、前記指定された端末装置の識別情報に関連付けて処理手段の識別情報が記録されている場合は、該識別情報によって示される処理手段に対して前記サービス要求を振り分け、記録されていない場合は、前記複数の処理手段それぞれに対して前記サービス要求を振り分ける振り分け手段、
該振り分け手段からサービス要求が振り分けられた際に実行したサービス提供処理に成功した処理手段が発生した場合、前記サービス要求によって指定された端末装置の識別情報と前記サービス提供処理に成功した処理手段の識別情報とが関連付けて記録されるように、前記管理テーブルを更新する応答手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−169880(P2012−169880A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29346(P2011−29346)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】