サーモスタットおよびそれを具備したシートヒータ
【課題】動作温度等の検査が確実にできる、温度制御および温度過昇防止機能の信頼性が高いサーモスタットを提供する。
【解決手段】温度制御用バイメタル板6の反転動作により可動接点9と固定接点10の開閉動作を行う温度制御回路3と、温度制御用バイメタル板6より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板11の反転動作により可動接点14と固定接点15の開閉動作を行う過昇防止回路4を有し、温度制御回路3および温度過昇防止回路4の一端にそれぞれ接続用の端子7と端子12を設け、反対側は導電板5により温度制御回路3と過昇防止用回路4を直列に接続し、温度制御用回路3と過昇防止用回路4の間に動作温度や導通等を検査する為の検査用端子16を設けた構成とした。これにより、サーモスタット1の動作温度や導通等の検査が確実にでき、温度制御および温度過昇防止の信頼性を向上できる。
【解決手段】温度制御用バイメタル板6の反転動作により可動接点9と固定接点10の開閉動作を行う温度制御回路3と、温度制御用バイメタル板6より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板11の反転動作により可動接点14と固定接点15の開閉動作を行う過昇防止回路4を有し、温度制御回路3および温度過昇防止回路4の一端にそれぞれ接続用の端子7と端子12を設け、反対側は導電板5により温度制御回路3と過昇防止用回路4を直列に接続し、温度制御用回路3と過昇防止用回路4の間に動作温度や導通等を検査する為の検査用端子16を設けた構成とした。これにより、サーモスタット1の動作温度や導通等の検査が確実にでき、温度制御および温度過昇防止の信頼性を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の座席に用いられるシートヒータに設けられ、シートヒータの温度制御および過昇防止をする用途等に用いられるサーモスタット、およびそのサーモスタットを具備したシートヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からシートヒータの温度制御や過昇防止の手段として、バイメタル板の反転動作により接点を開閉し、ヒータへの通電をON−OFF制御するサーモスタットが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、上記特許文献1に記載された従来のサーモスタットの構造を示す平断面図である。
【0004】
図12に示すように、このサーモスタット101は、非電動性のケース102内に温度過昇防止用バイメタル板103、温度過昇防止用可動接点板104、固定接点105、106、温度制御用バイメタル板107、温度制御用可動接点板108および導電板109が内蔵され、端子110、111はケース102の外部に突出したものである。
【0005】
温度過昇防止用可動接点板104は、一端は端子110にスポット溶接されており、他端には可動接点112がスポット溶接されている。温度制御用可動接点板108は、一端は端子111にスポット溶接されており、他端には可動接点113がスポット溶接されている。導電板109には固定接点105、106がスポット溶接されており、可動接点112、113と固定接点105、106が接触し、端子110と端子111が導通されるようになっている。
【0006】
なお、温度過昇防止用バイメタル板103の動作温度は、温度制御用バイメタル板107の動作温度よりも高く設定している。
【0007】
そして、サーモスタット101が所定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板107が反転し、温度制御用可動接点板108を押し上げ、可動接点113と固定接点106の接触を解除することにより、端子110と端子111の導通を切断し、シートヒータ(図示せず)の通電を停止する。次にサーモスタット101が所定の温度に低下すると、温度制御用バイメタル107が逆転し、温度制御用可動接点板108が元の位置に戻るため、可動接点113と固定接点106が接触することで端子110と端子111が再び導通し、シートヒータ(図示せず)の通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ(図示せず)の温度制御をしている。
【0008】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点113と固定接点106が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点113と固定接点103が溶着した場合には、所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板103が反転し、温度過昇防止用可動接点板104を押し上げ、可動接点112と固定接点105の接触を解除することでシートヒータ(図示せず)への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−109721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、サーモスタット101製造時の温度検査において、温度制御用バイメタル板107の動作温度検査は、温度制御用バイメタル板107の反転時に、端子110と端子111の導通が無くなる為、導通が無くなった時点の温度を確認することにより可能であるが、温度過昇防止用バイメタル板103の動作温度検査の際は、温度制御用バイメタル板107がすでに反転し、端子110と端子111の間の導通が無くなっている状態の為、温度過昇防止用バイメタル板103が反転した時の温度を、端子110と端子111間の導通で確認できない為、動作温度の保証が困難という課題を有していた。
【0011】
また、接点の汚れ等により、導通に不具合を生じた場合、温度制御用の可動接点113と固定接点106間の不具合か、温度過昇防止用の可動接点112と固定接点105間の不具合か特定することが出来ないという課題も有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、サーモスタットの動作温度た導通等の検査が確実にできる、温度制御および温度過昇防止機能の信頼性が高いサーモスタットを提供し、また、温度制御および温度過昇防止の信頼性が高く、安定した制御が行えるシートヒータとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明のサーモスタットは、外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され、温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した温度過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度過昇防止回路を有し、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ接続用の端子を設け、反対側は導電板により前記温度制御回路と前記温度過昇防止回路を直列に接続するよう構成し、前記温度制御用回路と前記温度過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子を設けたものである。
【0014】
したがって、サーモスタット製造時に、温度制御回路の端子と検査用端子間および温度過昇防止回路の端子と検査用端子間それぞれにおいて、温度制御回路と温度過昇防止回路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0015】
その結果、動作温度や導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができる。
【0016】
また、導電板の一部に検査用端子を形成している。
【0017】
したがって、部品を追加することなく検査用端子を設けて、温度制御回路と温度過昇防止用路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0018】
その結果、サーモスタットを安価なものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のサーモスタットは、製造時に確実に検査ができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができるものである。
【0020】
さらに、かかるサーモスタットを具備したシートヒータは、温度制御および過昇防止の
信頼性を高めたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図
【図2】同サーモスタットの側面図
【図3】同サーモスタットの内部構造を示す平断面図
【図4】同サーモスタットの図1のA−A線による断面の側面図
【図5】同サーモスタットの図1のB−B線のよる断面の側面図
【図6】本発明の実施の形態2におけるサーモスタットの正面図
【図7】同サーモスタットの側面図
【図8】同サーモスタットの内部構造を示す平断面図
【図9】同サーモスタットの図6のC−C線による断面の側面図
【図10】本発明の実施の形態3におけるシートヒータの構成を示す平面図
【図11】同シートヒータの回路図
【図12】従来例を示すサーモスタットの構造を示す平断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
請求項1に記載の発明は、外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子と、前記端子の他端側には導電板により前記温度制御回路と前記過昇防止用回路を直列に接続するよう構成され、前記温度制御回路と前記過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子とを設けたサーモスタットである。
【0023】
かかる構成とすることにより、サーモスタット製造時に、温度制御回路の端子と検査用端子間および過昇防止回路の端子と検査用端子間それぞれにおいて、温度制御回路と温度過昇防止回路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0024】
その結果、温度制御用バイメタル板および温度過昇防止用バイメタル板の動作温度や、温度制御回路および温度過昇防止回路の導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導電板の一部に前記検査用端子を形成したものである。
【0026】
これによって、部品点数を増やすことなく温度制御回路と温度過昇防止回路の検査を可能とすることができる。
【0027】
その結果、部品代や金型費用が抑制でき、サーモスタットを安価なものとすることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記検査用端子を前記ケースより露出させたものである。
【0029】
これによって、サーモスタット検査時の検査端子への電気的接続が容易にできる。
【0030】
その結果、サーモスタット製造時の検査の作業性が良く、安価なものとすることが出来る。
【0031】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ケースに凹部を設け、前期検査用端子を前記凹部に配置し、電気的絶縁材料にて形成された封止用部材にて前記凹部を塞ぐ構成としたものである。
【0032】
かかる構成とすることにより、検査用端子の外部との絶縁ができる。
【0033】
その結果、シートヒータの機器への設置に際して、漏電等の恐れが無く、信頼性の高いものとすることができるとともに、検査端子部の絶縁処理が不要となる為、設置にかかる費用が削減でき、安価なものとすることができる。
【0034】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載の発明において、前記温度制御回路と前記過昇防止回路を並べて配置するとともに、前記温度制御回路に設けられた端子と前記過昇防止回路に設けられた端子を前記ケースの一端に並べて配置し、前記検査用端子を前記端子と反対側に配置したものである。
【0035】
これにより、端子および検査用端子の配置が容易となり、構造の簡素化ができる。
【0036】
その結果、各部品の大きさを最少にできるので、材料費も最少に抑えることができ安価なものとすることができる。
【0037】
請求項6に記載の発明は、支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを過熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、請求項1から5に記載のいずれか一項に記載のサーモスタットを具備したシートヒータである。
【0038】
かかる構成とすることにより、採暖用ヒータの温度制御および温度過昇防止の信頼性が向上でき、信頼性を高めたシートヒータを得ることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図、図2は、同サーモスタットの側面図、図3は、同サーモスタットの内部構造を示す平断面図、図4は、同サーモスタットの図1のA−A線による断面の側面図、図5は、同サーモスタットの図1のB−B線のよる断面の側面図である。
【0041】
図1から図5において、サーモスタット1は、外郭を形成するケース2と、ケース2の内部に納められた温度制御回路3と温度制御回路3と並んだ位置のケース2内に配置された温度過昇防止回路4と、温度制御回路3と温度過昇防止回路4を直列に接続する導電板5を具備している。
【0042】
そして、温度制御回路3は、設定された温度にて反転動作を行う温度制御用バイメタル板6と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子7と、一端が端子7にカシメにより固定されている温度制御用可動接点板8と、温度制御用可動接点板8の他端にカシメにより固定されている可動接点9と、可動接点9と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点10を具備している。
【0043】
また、過昇防止回路4は、温度制御用バイメタル板6より高い温度にて反転動作を行う
よう設定された温度過昇防止用バイメタル板11と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子12と、一端が端子12にカシメにより固定されている温度過昇防止用可動接点板13と、温度過昇防止用可動接点板13の他端にカシメにより固定されている可動接点14と、可動接点14と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点15を具備している。
【0044】
さらに、導電板5の一部に検査用端子16を形成し、検査用端子16はケース2の凹部2aに位置し、特性検査機等と接続可能なようにケース2より露出しており、ケース2と検査用端子16の隙間は樹脂のポッテイング材17にて埋められている。
【0045】
そして、端子7と端子12および導電板5はインサート成形にて形成された樹脂製の保持部材18にて一体に保持するとともに、ケース2の一端に端子7と12が並んで配置し、検査用端子16は、端子7および端子12の反対側に配置するよう保持している。また、保持部材18の一端に設けられたフランジ部18aが、ケース2の開口部2bを塞ぐように勘合している。さらに保持部材18は、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の位置を定める保持機能も兼ねている。
【0046】
以上のように構成されたサーモスタット1の動作について説明する。
【0047】
サーモスタット1がシートヒータ等の熱機器により熱せられ一定の温度に達することにより、温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御用可動接点板8が押し上げられ、温度制御用可動接点板8に固定されている可動接点9が、導電板5に固定されている固定接点10から離れ、導通を切断することにより、シートヒータ等の熱機器への通電を停止し、設定温度以上に温度が上がらないようにする。
【0048】
次に、シートヒータ等の熱機器への通電が停止したことにより、サーモスタット1の周囲温度が下がり、一定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御用可動接点板8が元の位置にもどる為、可動接点9と固定接点10が接し、再び導通することによりシートヒータ等の熱機器への通電を再開し、設定温度以下に温度が下がらないようにする。
【0049】
このような動作を繰り返すことで、シートヒータ等の熱機器の温度制御をしている。
【0050】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板11が反転し、温度過昇防止用可動接点板13を押し上げられ、温度過昇防止用可動接点板13に固定されている可動接点14が、導電板5に固定されている固定接点15から離れることでシートヒータ等の熱機器への通電を停止し、シートヒータ等の熱機器の異常発熱を防止している。
【0051】
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0052】
したがって、上記構成からなるサーモスタット1は、温度制御用バイメタル板6を有する温度制御回路3により、シートヒータ等の熱機器の温度制御をし、温度制御回路3に不具合が生じた場合は、温度過昇防止用バイメタル板11を有する温度過昇防止回路4にて異常発熱を防止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
【0053】
また、サーモスタット1を構成する温度制御用回路3と温度過昇防止回路4の間に検査用端子16を有する構成としているため、サーモスタット1の製造時に、温度制御回路3の端子7と検査用端子16間および過昇防止回路4の端子12と検査用端子16間それぞ
れの導通を確認することにより、板温度制御回路3および温度過昇防止回路4のそれぞれの導通を確認することができ、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の反転動作による温度制御回路3および温度過昇防止回路4の接点開閉温度や導通などの検査を行うことができる。したがって、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の動作温度や、温度制御回路3および温度過昇防止回路4の導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことが可能であり、温度制御および温度過昇防止の信頼性の高いものとすることができる。
【0054】
また、導通板5の一端に検査用端子16を形成しているため、部品点数を増やすことなく温度制御回路3と温度過昇防止回路4の検査が可能であり、部品代や金型費用が抑制でき、サーモスタット1を安価なものとすることができる。
【0055】
また、検査用端子16はケース2より露出しているので、サーモスタット1の製造過程にて検査を行う際、検査端子16への電気的接続が容易にできるため、検査の作業性が良く、安価なものとすることが出来る。
【0056】
また、温度制御回路3と過昇防止回路4をケース2内に並べて配置するとともに、温度制御回路3に設けられた端子7と過昇防止回路に設けられた端子12をケース2の一端の開口部2b側に並べて配置し、検査用端子16を端子7および12と反対側のケース2の凹部2aに配置しているので、端子7と端子12および検査用端子16の配置が容易となり、構造の簡素化ができる。
【0057】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2におけるサーモスタットの正面図、図7は、同サーモスタットの側面図、図8は、同サーモスタットの内部構造を示す平断面図、図9は、同サーモスタットの図6のC−C線による断面の側面図である。なお、実施の形態1の構成要件と同様の構成要件には同一の符号を付して説明する。
【0058】
図6から図9において、サーモスタット21は、外郭を形成するケース2と、ケース2に設けられた凹部2aと、凹部2aに配置された検査用端子16と、検査用端子16が露出しないようケース2の凹部2aに装着された封止用部材22を具備している。尚、その他の構成は、実施の形態1と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0059】
以上のように構成されたサーモスタット2の動作についても、実施の形態1と同様の動作であり、詳細な説明は省略する。
【0060】
したがって、上記構成からなるサーモスタット21は、温度制御用バイメタル板6を有する温度制御回路3により、シートヒータ等の熱機器の温度制御をし、温度制御回路3に不具合が生じた場合は、温度過昇防止用バイメタル板11を有する温度過昇防止回路4にて異常発熱を防止し、安全を確保するという二重安全を確保することができるということも実施の形態1と同様である。
【0061】
また、サーモスタット21の製造時の温度検査や導通等の検査の後に、ケース2に設けた凹部2aに、検査用端子16が露出しないようゴム等の弾性を有する電気絶縁材料にて形成された封止部材22を装着しているので、検査用端子16の外部との絶縁ができるため、シートヒータ等の熱機器への設置に際して、漏電等の恐れが無く、信頼性の高いものとすることができるとともに、検査端子部16の絶縁処理が不要となる為、シートヒータ等の熱機器への設置にかかる費用が削減でき、安価なものとすることができる。
【0062】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3におけるシートヒータの構成を示す平面図、図11は同シートヒータの回路図である。なお、ここでは、サーモスタットを実施の形態1のサーモスタットとし、実施の形態1の構成要件と同様の構成要件には同一の符号を付して説明する。
【0063】
図10において、シートヒータ31は、クッション用ヒータユニット32とバック用ヒータユニット33を具備している。
【0064】
クッション用ヒータユニット31は、座席の座部を加熱するクッション採暖用ヒータ34と、温度制御機能と温度過昇防止機能を有するサーモスタット1とサーモスタット1を加熱するための補助ヒータ35と、クッション採暖用ヒータ34とサーモスタット1と補助ヒータ35を保持する布製の支持体36を具備している。
【0065】
バック用ヒータユニット33は、座席の背部を加熱するバック採暖用ヒータ37と、バック採暖用ヒータ37を保持する布製の支持体38を具備している。
【0066】
以上のように構成されたシートヒータ31の動作について説明する。
【0067】
クッション用ヒータユニット32およびバック用ヒータユニット33に通電すると、補助ヒータ35によりサーモスタット1が過熱されるため、サーモスタット1が所定の温度に達すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御回路3の導通を切断することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止する。次に、補助ヒータ35への通電が停止され、サーモスタット1が所定の温度に低下すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御回路3が再び導通することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ31の温度を制御している。
【0068】
ここで、長期にわたる使用等で、サーモスタット1の温度制御回路3の可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、サーモスタット1の温度過昇防止用バイメタル板11が所定の温度で反転し、温度過昇防止回路4がOFFすることで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0069】
したがって、シートヒータ31に、実施の形態1の構成からなる検査用端子16を用いて、温度制御回路3と温度過昇防止回路4の動作温度や導通等の検査を実施し、動作温度や導通等の信頼性を高めたサーモスタット1を用いることにより、信頼性の高い温度制御温度および過昇防止を行うことができる。
【0070】
尚、サーモスタットを実施の形態2のサーモスタット21とした場合においても、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかるサーモスタットは、シートヒータに限らず、熱機器の温度制御および温度過昇防止を行う用途に広く適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 サーモスタット
2 ケース
2a 凹部
3 温度制御回路
4 温度過昇防止回路
5 導電板
6 温度制御用バイメタル板
7 端子
9 可動接点(接点)
10 固定接点(接点)
11 温度過昇防止用バイメタル板
12 端子
14 可動接点(接点)
15 固定接点(接点)
16 検査用端子
20 サーモスタット
22 封止部材
31 シートヒータ
34 クッション採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
35 補助ヒータ
36 バック採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
37 支持体
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等の座席に用いられるシートヒータに設けられ、シートヒータの温度制御および過昇防止をする用途等に用いられるサーモスタット、およびそのサーモスタットを具備したシートヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からシートヒータの温度制御や過昇防止の手段として、バイメタル板の反転動作により接点を開閉し、ヒータへの通電をON−OFF制御するサーモスタットが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、上記特許文献1に記載された従来のサーモスタットの構造を示す平断面図である。
【0004】
図12に示すように、このサーモスタット101は、非電動性のケース102内に温度過昇防止用バイメタル板103、温度過昇防止用可動接点板104、固定接点105、106、温度制御用バイメタル板107、温度制御用可動接点板108および導電板109が内蔵され、端子110、111はケース102の外部に突出したものである。
【0005】
温度過昇防止用可動接点板104は、一端は端子110にスポット溶接されており、他端には可動接点112がスポット溶接されている。温度制御用可動接点板108は、一端は端子111にスポット溶接されており、他端には可動接点113がスポット溶接されている。導電板109には固定接点105、106がスポット溶接されており、可動接点112、113と固定接点105、106が接触し、端子110と端子111が導通されるようになっている。
【0006】
なお、温度過昇防止用バイメタル板103の動作温度は、温度制御用バイメタル板107の動作温度よりも高く設定している。
【0007】
そして、サーモスタット101が所定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板107が反転し、温度制御用可動接点板108を押し上げ、可動接点113と固定接点106の接触を解除することにより、端子110と端子111の導通を切断し、シートヒータ(図示せず)の通電を停止する。次にサーモスタット101が所定の温度に低下すると、温度制御用バイメタル107が逆転し、温度制御用可動接点板108が元の位置に戻るため、可動接点113と固定接点106が接触することで端子110と端子111が再び導通し、シートヒータ(図示せず)の通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ(図示せず)の温度制御をしている。
【0008】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点113と固定接点106が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点113と固定接点103が溶着した場合には、所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板103が反転し、温度過昇防止用可動接点板104を押し上げ、可動接点112と固定接点105の接触を解除することでシートヒータ(図示せず)への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−109721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の構成では、サーモスタット101製造時の温度検査において、温度制御用バイメタル板107の動作温度検査は、温度制御用バイメタル板107の反転時に、端子110と端子111の導通が無くなる為、導通が無くなった時点の温度を確認することにより可能であるが、温度過昇防止用バイメタル板103の動作温度検査の際は、温度制御用バイメタル板107がすでに反転し、端子110と端子111の間の導通が無くなっている状態の為、温度過昇防止用バイメタル板103が反転した時の温度を、端子110と端子111間の導通で確認できない為、動作温度の保証が困難という課題を有していた。
【0011】
また、接点の汚れ等により、導通に不具合を生じた場合、温度制御用の可動接点113と固定接点106間の不具合か、温度過昇防止用の可動接点112と固定接点105間の不具合か特定することが出来ないという課題も有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、サーモスタットの動作温度た導通等の検査が確実にできる、温度制御および温度過昇防止機能の信頼性が高いサーモスタットを提供し、また、温度制御および温度過昇防止の信頼性が高く、安定した制御が行えるシートヒータとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明のサーモスタットは、外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され、温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した温度過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度過昇防止回路を有し、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ接続用の端子を設け、反対側は導電板により前記温度制御回路と前記温度過昇防止回路を直列に接続するよう構成し、前記温度制御用回路と前記温度過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子を設けたものである。
【0014】
したがって、サーモスタット製造時に、温度制御回路の端子と検査用端子間および温度過昇防止回路の端子と検査用端子間それぞれにおいて、温度制御回路と温度過昇防止回路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0015】
その結果、動作温度や導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができる。
【0016】
また、導電板の一部に検査用端子を形成している。
【0017】
したがって、部品を追加することなく検査用端子を設けて、温度制御回路と温度過昇防止用路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0018】
その結果、サーモスタットを安価なものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のサーモスタットは、製造時に確実に検査ができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができるものである。
【0020】
さらに、かかるサーモスタットを具備したシートヒータは、温度制御および過昇防止の
信頼性を高めたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図
【図2】同サーモスタットの側面図
【図3】同サーモスタットの内部構造を示す平断面図
【図4】同サーモスタットの図1のA−A線による断面の側面図
【図5】同サーモスタットの図1のB−B線のよる断面の側面図
【図6】本発明の実施の形態2におけるサーモスタットの正面図
【図7】同サーモスタットの側面図
【図8】同サーモスタットの内部構造を示す平断面図
【図9】同サーモスタットの図6のC−C線による断面の側面図
【図10】本発明の実施の形態3におけるシートヒータの構成を示す平面図
【図11】同シートヒータの回路図
【図12】従来例を示すサーモスタットの構造を示す平断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
請求項1に記載の発明は、外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子と、前記端子の他端側には導電板により前記温度制御回路と前記過昇防止用回路を直列に接続するよう構成され、前記温度制御回路と前記過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子とを設けたサーモスタットである。
【0023】
かかる構成とすることにより、サーモスタット製造時に、温度制御回路の端子と検査用端子間および過昇防止回路の端子と検査用端子間それぞれにおいて、温度制御回路と温度過昇防止回路の動作温度や導通等の検査を行うことができる。
【0024】
その結果、温度制御用バイメタル板および温度過昇防止用バイメタル板の動作温度や、温度制御回路および温度過昇防止回路の導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことができ、温度制御および温度過昇防止の信頼性を高めることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導電板の一部に前記検査用端子を形成したものである。
【0026】
これによって、部品点数を増やすことなく温度制御回路と温度過昇防止回路の検査を可能とすることができる。
【0027】
その結果、部品代や金型費用が抑制でき、サーモスタットを安価なものとすることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記検査用端子を前記ケースより露出させたものである。
【0029】
これによって、サーモスタット検査時の検査端子への電気的接続が容易にできる。
【0030】
その結果、サーモスタット製造時の検査の作業性が良く、安価なものとすることが出来る。
【0031】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ケースに凹部を設け、前期検査用端子を前記凹部に配置し、電気的絶縁材料にて形成された封止用部材にて前記凹部を塞ぐ構成としたものである。
【0032】
かかる構成とすることにより、検査用端子の外部との絶縁ができる。
【0033】
その結果、シートヒータの機器への設置に際して、漏電等の恐れが無く、信頼性の高いものとすることができるとともに、検査端子部の絶縁処理が不要となる為、設置にかかる費用が削減でき、安価なものとすることができる。
【0034】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載の発明において、前記温度制御回路と前記過昇防止回路を並べて配置するとともに、前記温度制御回路に設けられた端子と前記過昇防止回路に設けられた端子を前記ケースの一端に並べて配置し、前記検査用端子を前記端子と反対側に配置したものである。
【0035】
これにより、端子および検査用端子の配置が容易となり、構造の簡素化ができる。
【0036】
その結果、各部品の大きさを最少にできるので、材料費も最少に抑えることができ安価なものとすることができる。
【0037】
請求項6に記載の発明は、支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを過熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、請求項1から5に記載のいずれか一項に記載のサーモスタットを具備したシートヒータである。
【0038】
かかる構成とすることにより、採暖用ヒータの温度制御および温度過昇防止の信頼性が向上でき、信頼性を高めたシートヒータを得ることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるサーモスタットの正面図、図2は、同サーモスタットの側面図、図3は、同サーモスタットの内部構造を示す平断面図、図4は、同サーモスタットの図1のA−A線による断面の側面図、図5は、同サーモスタットの図1のB−B線のよる断面の側面図である。
【0041】
図1から図5において、サーモスタット1は、外郭を形成するケース2と、ケース2の内部に納められた温度制御回路3と温度制御回路3と並んだ位置のケース2内に配置された温度過昇防止回路4と、温度制御回路3と温度過昇防止回路4を直列に接続する導電板5を具備している。
【0042】
そして、温度制御回路3は、設定された温度にて反転動作を行う温度制御用バイメタル板6と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子7と、一端が端子7にカシメにより固定されている温度制御用可動接点板8と、温度制御用可動接点板8の他端にカシメにより固定されている可動接点9と、可動接点9と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点10を具備している。
【0043】
また、過昇防止回路4は、温度制御用バイメタル板6より高い温度にて反転動作を行う
よう設定された温度過昇防止用バイメタル板11と、シートヒータ等の熱機器と電気的接続を行う為の端子12と、一端が端子12にカシメにより固定されている温度過昇防止用可動接点板13と、温度過昇防止用可動接点板13の他端にカシメにより固定されている可動接点14と、可動接点14と接触する位置に導電板5にカシメにて固定されている固定接点15を具備している。
【0044】
さらに、導電板5の一部に検査用端子16を形成し、検査用端子16はケース2の凹部2aに位置し、特性検査機等と接続可能なようにケース2より露出しており、ケース2と検査用端子16の隙間は樹脂のポッテイング材17にて埋められている。
【0045】
そして、端子7と端子12および導電板5はインサート成形にて形成された樹脂製の保持部材18にて一体に保持するとともに、ケース2の一端に端子7と12が並んで配置し、検査用端子16は、端子7および端子12の反対側に配置するよう保持している。また、保持部材18の一端に設けられたフランジ部18aが、ケース2の開口部2bを塞ぐように勘合している。さらに保持部材18は、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の位置を定める保持機能も兼ねている。
【0046】
以上のように構成されたサーモスタット1の動作について説明する。
【0047】
サーモスタット1がシートヒータ等の熱機器により熱せられ一定の温度に達することにより、温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御用可動接点板8が押し上げられ、温度制御用可動接点板8に固定されている可動接点9が、導電板5に固定されている固定接点10から離れ、導通を切断することにより、シートヒータ等の熱機器への通電を停止し、設定温度以上に温度が上がらないようにする。
【0048】
次に、シートヒータ等の熱機器への通電が停止したことにより、サーモスタット1の周囲温度が下がり、一定の温度に達すると、温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御用可動接点板8が元の位置にもどる為、可動接点9と固定接点10が接し、再び導通することによりシートヒータ等の熱機器への通電を再開し、設定温度以下に温度が下がらないようにする。
【0049】
このような動作を繰り返すことで、シートヒータ等の熱機器の温度制御をしている。
【0050】
ここで、長期にわたる使用等で接点が摩耗し、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、温度制御が不能となり、不安全になる危険性があるが、可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、所定の温度で温度過昇防止用バイメタル板11が反転し、温度過昇防止用可動接点板13を押し上げられ、温度過昇防止用可動接点板13に固定されている可動接点14が、導電板5に固定されている固定接点15から離れることでシートヒータ等の熱機器への通電を停止し、シートヒータ等の熱機器の異常発熱を防止している。
【0051】
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0052】
したがって、上記構成からなるサーモスタット1は、温度制御用バイメタル板6を有する温度制御回路3により、シートヒータ等の熱機器の温度制御をし、温度制御回路3に不具合が生じた場合は、温度過昇防止用バイメタル板11を有する温度過昇防止回路4にて異常発熱を防止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
【0053】
また、サーモスタット1を構成する温度制御用回路3と温度過昇防止回路4の間に検査用端子16を有する構成としているため、サーモスタット1の製造時に、温度制御回路3の端子7と検査用端子16間および過昇防止回路4の端子12と検査用端子16間それぞ
れの導通を確認することにより、板温度制御回路3および温度過昇防止回路4のそれぞれの導通を確認することができ、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の反転動作による温度制御回路3および温度過昇防止回路4の接点開閉温度や導通などの検査を行うことができる。したがって、温度制御用バイメタル板6および温度過昇防止用バイメタル板11の動作温度や、温度制御回路3および温度過昇防止回路4の導通等に不具合があった場合は、確実に検査で除くことが可能であり、温度制御および温度過昇防止の信頼性の高いものとすることができる。
【0054】
また、導通板5の一端に検査用端子16を形成しているため、部品点数を増やすことなく温度制御回路3と温度過昇防止回路4の検査が可能であり、部品代や金型費用が抑制でき、サーモスタット1を安価なものとすることができる。
【0055】
また、検査用端子16はケース2より露出しているので、サーモスタット1の製造過程にて検査を行う際、検査端子16への電気的接続が容易にできるため、検査の作業性が良く、安価なものとすることが出来る。
【0056】
また、温度制御回路3と過昇防止回路4をケース2内に並べて配置するとともに、温度制御回路3に設けられた端子7と過昇防止回路に設けられた端子12をケース2の一端の開口部2b側に並べて配置し、検査用端子16を端子7および12と反対側のケース2の凹部2aに配置しているので、端子7と端子12および検査用端子16の配置が容易となり、構造の簡素化ができる。
【0057】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2におけるサーモスタットの正面図、図7は、同サーモスタットの側面図、図8は、同サーモスタットの内部構造を示す平断面図、図9は、同サーモスタットの図6のC−C線による断面の側面図である。なお、実施の形態1の構成要件と同様の構成要件には同一の符号を付して説明する。
【0058】
図6から図9において、サーモスタット21は、外郭を形成するケース2と、ケース2に設けられた凹部2aと、凹部2aに配置された検査用端子16と、検査用端子16が露出しないようケース2の凹部2aに装着された封止用部材22を具備している。尚、その他の構成は、実施の形態1と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0059】
以上のように構成されたサーモスタット2の動作についても、実施の形態1と同様の動作であり、詳細な説明は省略する。
【0060】
したがって、上記構成からなるサーモスタット21は、温度制御用バイメタル板6を有する温度制御回路3により、シートヒータ等の熱機器の温度制御をし、温度制御回路3に不具合が生じた場合は、温度過昇防止用バイメタル板11を有する温度過昇防止回路4にて異常発熱を防止し、安全を確保するという二重安全を確保することができるということも実施の形態1と同様である。
【0061】
また、サーモスタット21の製造時の温度検査や導通等の検査の後に、ケース2に設けた凹部2aに、検査用端子16が露出しないようゴム等の弾性を有する電気絶縁材料にて形成された封止部材22を装着しているので、検査用端子16の外部との絶縁ができるため、シートヒータ等の熱機器への設置に際して、漏電等の恐れが無く、信頼性の高いものとすることができるとともに、検査端子部16の絶縁処理が不要となる為、シートヒータ等の熱機器への設置にかかる費用が削減でき、安価なものとすることができる。
【0062】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3におけるシートヒータの構成を示す平面図、図11は同シートヒータの回路図である。なお、ここでは、サーモスタットを実施の形態1のサーモスタットとし、実施の形態1の構成要件と同様の構成要件には同一の符号を付して説明する。
【0063】
図10において、シートヒータ31は、クッション用ヒータユニット32とバック用ヒータユニット33を具備している。
【0064】
クッション用ヒータユニット31は、座席の座部を加熱するクッション採暖用ヒータ34と、温度制御機能と温度過昇防止機能を有するサーモスタット1とサーモスタット1を加熱するための補助ヒータ35と、クッション採暖用ヒータ34とサーモスタット1と補助ヒータ35を保持する布製の支持体36を具備している。
【0065】
バック用ヒータユニット33は、座席の背部を加熱するバック採暖用ヒータ37と、バック採暖用ヒータ37を保持する布製の支持体38を具備している。
【0066】
以上のように構成されたシートヒータ31の動作について説明する。
【0067】
クッション用ヒータユニット32およびバック用ヒータユニット33に通電すると、補助ヒータ35によりサーモスタット1が過熱されるため、サーモスタット1が所定の温度に達すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が反転し、温度制御回路3の導通を切断することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止する。次に、補助ヒータ35への通電が停止され、サーモスタット1が所定の温度に低下すると、サーモスタット1の温度制御用バイメタル板6が逆転し、温度制御回路3が再び導通することで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を再開する。このような動作を繰り返すことで、シートヒータ31の温度を制御している。
【0068】
ここで、長期にわたる使用等で、サーモスタット1の温度制御回路3の可動接点9と固定接点10が溶着した場合には、サーモスタット1の温度過昇防止用バイメタル板11が所定の温度で反転し、温度過昇防止回路4がOFFすることで、クッション採暖用ヒータ34とバック採暖用ヒータ37および補助ヒータ35への通電を停止し、安全を確保するという二重安全を確保することができる。
かかる動作は、周知の動作内容であるので、詳細な説明を省略する。
【0069】
したがって、シートヒータ31に、実施の形態1の構成からなる検査用端子16を用いて、温度制御回路3と温度過昇防止回路4の動作温度や導通等の検査を実施し、動作温度や導通等の信頼性を高めたサーモスタット1を用いることにより、信頼性の高い温度制御温度および過昇防止を行うことができる。
【0070】
尚、サーモスタットを実施の形態2のサーモスタット21とした場合においても、同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかるサーモスタットは、シートヒータに限らず、熱機器の温度制御および温度過昇防止を行う用途に広く適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 サーモスタット
2 ケース
2a 凹部
3 温度制御回路
4 温度過昇防止回路
5 導電板
6 温度制御用バイメタル板
7 端子
9 可動接点(接点)
10 固定接点(接点)
11 温度過昇防止用バイメタル板
12 端子
14 可動接点(接点)
15 固定接点(接点)
16 検査用端子
20 サーモスタット
22 封止部材
31 シートヒータ
34 クッション採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
35 補助ヒータ
36 バック採暖用ヒータ(採暖用ヒータ)
37 支持体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子と、前記端子の他端側には導電板により前記温度制御回路と前記過昇防止用回路を直列に接続するよう構成され、前記温度制御回路と前記過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子とを設けたサーモスタット。
【請求項2】
前記導電板の一部に前記検査用端子を形成した請求項1に記載のサーモスタット。
【請求項3】
前記検査用端子を前記ケースより露出させた請求項1または2に記載のサーモスタット。
【請求項4】
前記ケースに凹部を設け、前期検査用端子を前記凹部に配置し、電気的絶縁材料にて形成された封止用部材にて前記凹部を塞ぐ構成とした請求項1または2に記載のサーモスタット。
【請求項5】
前記温度制御回路と前記過昇防止回路を並べて配置するとともに、前記温度制御回路に設けられた端子と前記過昇防止回路に設けられた端子を前記ケースの一端に並べて配置し、前記検査用端子を前記端子と反対側に配置した請求項1から4に記載のサーモスタット。
【請求項6】
支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを過熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、請求項1から5に記載のいずれか一項に記載のサーモスタットを具備したシートヒータ。
【請求項1】
外郭を形成するケースと、前記ケース内に配置され温度制御用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う温度制御回路と、前記温度制御用バイメタル板より動作温度を高く設定した過昇防止用バイメタル板の反転動作により接点の開閉動作を行う過昇防止回路と、前記温度制御回路および前記温度過昇防止回路の一端にそれぞれ設けられた接続用の端子と、前記端子の他端側には導電板により前記温度制御回路と前記過昇防止用回路を直列に接続するよう構成され、前記温度制御回路と前記過昇防止回路の間に、動作温度や導通等を検査する為の検査用端子とを設けたサーモスタット。
【請求項2】
前記導電板の一部に前記検査用端子を形成した請求項1に記載のサーモスタット。
【請求項3】
前記検査用端子を前記ケースより露出させた請求項1または2に記載のサーモスタット。
【請求項4】
前記ケースに凹部を設け、前期検査用端子を前記凹部に配置し、電気的絶縁材料にて形成された封止用部材にて前記凹部を塞ぐ構成とした請求項1または2に記載のサーモスタット。
【請求項5】
前記温度制御回路と前記過昇防止回路を並べて配置するとともに、前記温度制御回路に設けられた端子と前記過昇防止回路に設けられた端子を前記ケースの一端に並べて配置し、前記検査用端子を前記端子と反対側に配置した請求項1から4に記載のサーモスタット。
【請求項6】
支持体と、支持体に配置された採暖用ヒータと、前記採暖用ヒータの温度制御機能と過昇防止機能を有するサーモスタットと、前記サーモスタットを過熱する補助ヒータからなるシートヒータにおいて、前記サーモスタットを、請求項1から5に記載のいずれか一項に記載のサーモスタットを具備したシートヒータ。
【図1】
【図6】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図6】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2011−192504(P2011−192504A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57055(P2010−57055)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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