説明

サーモパイルアレイ温度検出器

【課題】対象分割領域の赤外線量検出を行うインライン型サーモパイルアレイチップを搭載したサーモパイルアレイセンサは、赤外線受光部となる微少面積の吸収膜と前記吸収膜上温接点とメンブラン周囲ヒートシンク上冷接点とを二種の物質で構成された熱電対により一定方向側に規定本数配列される為、前記吸収膜の赤外線検出量に伴う熱変換起電圧が微少であり、検出域の赤外線変化に追従する測定性能並びに微量な赤外線量検出精度が乏しいという欠点を有していた。
【解決手段】複数個の赤外線受光部を有する千鳥上2行配列されたサーモパイルアレイチップを形成し、四方向に熱電対本数を増設し赤外線検出時起電圧を増加させサーモパイル赤外線検出器として測定性能を向上させる構成を行う。また対象面に対して前記サーモパイルアレイ温度検出器を一軸方向へ走査駆動させる事により、測定対象全面の不感帯域を無くし赤外線検出精度の優れた温度計測機器を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象面を分割し複数の分割領域の放射赤外線量をレンズを介して検出し、二次元温度分布等を導出するサーモパイルアレイ温度検出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーモパイルは、異なる二種の電極材で構成された熱電対でメンブレン上に温接点を形成し、ヒートシンク部上に冷接点を形成し熱電対、冷接点及び温接点上に絶縁保護膜を設け、且つ温接点上に吸収膜を設置し検出域とするチップ構成を採る。前記検出域である吸収膜に入射した赤外線は熱に変換され温接点の温度上昇を生じ、各熱電対材料のゼーベック定数に比例した電圧を生じる為、赤外線量に応じた出力の測定が可能となる。前記赤外線検出時起電圧は、熱電対本数並びに温接点と冷接点間距離、吸収膜面積の寄与も受け、これらが大になると起電圧も大となる。
【0003】
サーモパイルアレイとは、前記サーモパイルを一ヶのチップ上に複数有する素子の総称である。この場合、赤外線受光検出域である吸収膜が赤外線透過レンズ、もしくはフィルターで投影された領域の赤外線量に比例した電圧が個々に出力される。
【0004】
ここで、例えば多行多列に配置されたサーモパイルアレイチップもしくはマトリックス型チップでは、前記吸収膜を有する独立した個々の赤外線受光部が、検出域間にヒートシンクを設けない場合、すなわちチップ外形部分のみをヒートシンクとした一ヶのメンブレン上に複数の検出域を設置した場合、メンブラン自体の熱伝導により、隣接する検出域からも出力が発生するクロストーク劣化が生じる。これは、温度検出域の拡がり並びに温度測定精度の低下の要因となる為、明確な測定領域の成立性並びに温度追従性を向上させる目的で、特開2006−058228号に記される様に前記各メンブラン周囲にヒートシンクが配置されたサーモパイルアレイチップもしくはマトリックス型チップの構造としても普及している。
【0005】
一般的に、例えば1行8列のインライン型サーモパイルアレイセンサを用いたサーモパイル型温度検出モジュールは、図15に示す様に赤外線受光部となる赤外線吸収膜が複数個配列されたサーモパイルアレイチップ18と、各吸収膜10へ赤外線を入射させる赤外線透過材として例えば片面が平面であり他方面が球面である平凸単レンズ5を備えた赤外線透過窓3を有する金属CANケース4と、前記サーモパイルアレイチップ18とセンサ自己温度感受用の温度基準素子であるサーミスタ2を配置接続したヘッダー6とを同一ケーシングしたセンサ構造が主に使用されており、温度検出モジュール機能としては、例えば前記インライン型サーモパイルアレイセンサを前記サーモパイルアレイチップ18の温接点と冷接点間で生じる温度差、すなわち対象物体温度とセンサ自己周囲温度の差によって取り出される信号出力を増幅して出力処理を行う回路部を構成する部品7a、7bを実装した外付け接続用配線基板8に搭載して、信号処理された出力をコネクタ端子9により取り出す構成となっており、単眼型サーモパイルセンサを搭載した温度検出器と同等機能を有するものである。尚図中では配線基板上の回路接続用結線が存在するが、煩雑となる為割愛している。
【0006】
前記インライン型サーモパイルアレイチップ18上吸収膜10の位置は、所定の検出域を例えば前記平凸単レンズ5で近軸光線理論を用いて投影した位置に設定される。図14に平凸単レンズによる一定距離先における検出域A’から検出域H’の8ヶの検出域を有する一例として挙げた従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器の投影検出域13の例を示す。この場合、所定検出域がY軸対象で、且つX軸方向を多分割化されており、これは前記平凸単レンズ5で投影される各吸収膜位置が、Y軸対象となる吸収膜a’から吸収膜h’までの8列を持つ事になる。
【0007】
この様に構成されたサーモパイルアレイセンサは、非接触型温度検出器として例えば調理器、エアコン等種々の機器に温度計測用に設置搭載され、赤外線入射量等を集光制約させる前記平凸単レンズ5と赤外線受光用サーモパイルアレイチップ18及び赤外線吸収膜10との光学的最適条件により、用途に応じて所望範囲の温度検出領域を作り得る構造を成している。この集光条件は前記平凸単レンズ5とサーモパイルアレイチップ18との距離を予め設置可能な高さに設定された金属CANケース4を用いる事で達成している。以上により、平凸単レンズで投影される所望する赤外線検出領域が形成され、各検出域の赤外線量に比例した電圧を出力とするサーモパイルアレイ温度検出器が完成となる。
【0008】
図13に一例として挙げた従来の1行8列のインライン型サーモパイルアレイチップの赤外線受光部の上面配置概略図を示す。ここで本来、信号結線、信号取り出し用パッド、ワイヤリング配線等の回路接続用結線が存在するが、図が煩雑となる為に割愛とする。
【特許文献1】特開2006−058228号
【特許文献2】特願2004−345060号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、例えば図13に示すインライン型サーモパイルアレイチップ18は、所望する赤外線領域を投影するべく配置された吸収膜10を有する各メンブラン間に隣接配置されたX軸方向側ヒートシンク部12の幅がY軸方向幅に対して狭くあり、前記X軸方向側ヒートシンク部12幅上に冷接点を形成する事が設計上困難となり、その結果、各赤外線受光部の吸収膜に対してY軸方向の周囲2辺のヒートシンク上のみに冷接点が配置され、熱電対本数を多数設ける事が出来ないという点である。赤外線受光部である吸収膜に入射した赤外線は、検出赤外線量に応じて熱電対本数、温接点と冷接点間距離距離、吸収膜面積の寄与を受けて電圧が発生するので、上述の様に一定方向のみに熱電対数が配置規定される場合、熱電対本数が減少する事に繋がる。従って図13に示すインライン型サーモパイルアレイチップ18が搭載されるサーモパイルアレイセンサでは、熱電対配置本数が少ない為に各赤外線受光部の発生出力が低く、赤外線検出時の測定性能精度が乏しいという問題があった。
【0010】
さらに、一般的に平凸単レンズ焦点と吸収膜間の距離関係及び光学系論により、赤外線受光部となる各吸収膜形状が同一の場合、各検出域の赤外線検出分布視野角度が同一でなく中央配置受光部の検出域視野角度は大、最外配置受光部の検出域角度は小となる。測定対象面の検出域面積並びに検出視野角度はチップ上吸収膜が投影された面積並びに視野角度に一致する為、各検出域分布視野角度を同一角度として規定するケースにおいては、各吸収膜を異形状に光学設計する必要があり、すなわち従来のインライン型サーモパイルアレイセンサ構造で検出域視野角度を同一とする為には、吸収膜形状が各部異なる設計配置が必要となる。この場合、小形状に設計必要な検出域が存在すれば、従来配置数の少ない熱電対本数を更に低減させる、つまり測定性能を更に劣化させて構成しなければならず高精度のサーモパイル赤外線検出器への適用性が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決する為に、サーモパイル赤外線受光部となるメンブランを千鳥上に2行配列を行い一軸方向側、例えばX軸方向側に位置する隣り合うメンブラン間ヒートシンク部幅を拡大させてX,Y方向を含む四方面に熱電対を設け、熱電対配置数を増す事により各赤外線検出域から得られる熱変換された起電圧を増加させて、サーモパイルアレイセンサとして測定性能を向上させる構造としており、加えて前記千鳥型サーモパイルアレイセンサを搭載した温度検出器として、測定対象面に対して水平もしくは垂直一軸方向走査駆動を行い、測定領域全面をカバーし検出不感帯域を無くす温度計測機器を構築した事を特徴としている。
【0012】
また、前記サーモパイルアレイチップ上に赤外線受光部となる吸収膜が千鳥上配列される事によって、各吸収膜形状を光学系を含めて所望する設計自由度が増し、例えば各検出域分布視野角度を同一とする設計を所望する場合、吸収膜縮小化もしくは形状変形化に伴う起電圧の低減を増加配置される熱電対数で補う事が可能となり、検出性能が劣る事無く、所望の光学検出域を有するサーモパイルアレイ温度検出器として構成される事を特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のサーモパイルアレイ温度検出器によれば、複数個の赤外線検出域を有するサーモパイルアレイチップの各サーモパイル赤外線受光部となるメンブランを、千鳥上に2行配列を行う事により、例えば従来より製造されているインライン型サーモパイルアレイチップの各検出域サイズと同一形状となるべく吸収膜を配置し、前記インライン型サーモパイルチップ上の一軸方向側の検出域視野特性並びに検出感度分布を変更する事なく、熱電対配列本数を増し赤外線検出時起電圧を増加させて、検出測定性能の向上したサーモパイルアレイ温度検出器を提供できる。
【0014】
さらにまた、投影される複数個の赤外線検出域の視野角度分布が同一角度となる光学設計された吸収膜を個々に配置し、測定対象面の赤外線量を精度良く検出可能なサーモパイルアレイ温度検出器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
対象面の一軸方向を分割し千鳥上に赤外線検出領域を投影するサーモパイルアレイ温度検出器として図1に斜視方向透視概要図、図2に前記千鳥型サーモパイルアレイセンサの内部構造断面概要図を示す。図3にチップ部の上面概略構成を示し、図4に前記千鳥型サーモパイルアレイセンサを搭載したサーモパイルアレイ温度検出器の投影検出域を示す。尚、図中には配線基板上の回路接続用結線並びに信号取り出しのワイヤリング結線、信号結線、信号取り出し用パッドが存在するのであるが、図が煩雑となる為割愛をした。
【実施例1】
【0016】
まず図1を参照にして、本発明に係わるサーモパイルアレイセンサについて詳細に説明する。本実施例1では8ヶの赤外線検出領域を投影する千鳥型サーモパイルアレイセンサとして挙げている。図1では、赤外線を受光するサーモパイルアレイチップ1の赤外線入射量を規定し赤外線検出領域を分別する為の平凸単レンズ5を具備した赤外線透過窓3を有するTO−5型金属製CANケース4と、前記サーモパイルアレイチップ1とセンサ自己温度感受用基準素子となるサーミスタ2をワイヤリング接続して配置されており、前記サーモパイルアレイチップとサーミスタを電気的接続したリード端子を備えたヘッダー6と共に外来からの環境的変化や電磁障害を防止する為にハーメチックシールとした一般的なTO−5型構成となっている。
【0017】
対象面を分割し複数個の赤外線検出領域として投影するサーモパイルアレイセンサの光学系は、赤外線受光部となる各吸収膜域を検出域として明確に投影する手法として、図2並びに特願2004−345060号に記されている様に、前記平凸単レンズ5を例えば円形赤外線透過窓3に球面を内側として金属製CANケース4に接着されたものを用いる。ここで、レンズ頂点からチップまでの距離は予め高さ設定したCANを用いることにより達成している。
【0018】
本実施例1による千鳥型サーモパイルアレイチップ1では、図3に示す各メンブラン部の熱電対11をX、Y方向の四辺に配列させており、8ヶの各吸収膜あたりの熱電対11の数は56本を形成している。赤外線受光部となる吸収膜10サイズは、レンズを介して投影される所望する検出域サイズから設計されたものである。また図4に一定距離先における検出域Aから検出域Hの8ヶの投影検出域13を示しており、前記平凸単レンズ5で投影される各検出域と吸収膜との関係は、光線理論よりX軸及びY軸対象となるので、それぞれ吸収膜aが検出域Aに相当し、吸収膜bが検出域B、・・、吸収膜hが検出域Hに対象投影されている。
【0019】
温度計測用途としての本実施例のサーモパイルアレイ温度検出器の動作は、前記サーモパイルアレイセンサを信号出力増幅処理回路部を通じて信号処理された出力を検出されるものである。図5に本実施例1による千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器を用いて、各8ヶの検出域の水平X軸方向における視野特性(赤外線検出分布)を、各検出域最大ピーク出力を100%と規格化した出力分布の確認結果を示し、図6は垂直Y軸方向における検出域出力分布結果を示す。またさらに、図7並びに図8に本実施例1で用いた千鳥型サーモパイルアレイチップ1と、チップサイズが同等で、図4に示すX軸方向から望んだ各検出域分布幅が同等となる様に吸収膜10が配置された1行8列の従来のインライン型サーモパイルアレイチップ18を搭載したサーモパイルアレイ温度検出器の視野特性及び出力分布の確認を行った結果を示す。図7はX軸方向の出力分布であり、図8はY軸方向出力分布の結果である。ここでは、インライン型サーモパイルアレイチップ18以外の使用構成部材は同一品種のものを使用した。また前記インライン型サーモパイルアレイチップ18は、図13に示す外形状構成をするものであり、8ヶの各吸収膜あたりの熱電対10の数は22本を形成している。図13では図3同様に信号取り出しのワイヤリング結線、並びに信号結線、信号取り出し用パッドが存在するが、煩雑となるので割愛する。検証条件としては、100平方ミリメートル(10ミリメートル角)の小型熱源と回路増幅率を2000倍に設定した信号出力増幅回路を準備し、前記小型熱源とサーモパイル温度検出器とを距離200ミリメートルに設置した場合の赤外線検出域に対してそれぞれ水平方向すなわちX軸方向並びに垂直軸方向すなわちY軸方向に、各検出域の最大ピーク出力地点より前記小型熱源を5ミリメートルピッチ毎に移動させ測定を行った。この結果から水平方向つまりX軸方向側面から望んだ視野特性としては、比較した千鳥型とインライン型のサーモパイルアレイセンサにおいて赤外線検出域出力分布(クロストーク分布)が同等である事を確認した。
【0020】
また比較対象とする水平方向であるX軸方向に関して、図9として、図7に示すインライン型サーモパイルアレイセンサの8ヶの検出域の各ピーク出力を100%と規格化し図5に示す千鳥型サーモパイルアレイセンサの各検出域出力分布を同時プロットした結果を示す。各8ヶの検出域13のX軸方向側面から見た位置の図中プロットは実線が千鳥型、点線がインライン型の出力分布を示しており、それぞれA−A‘、B−B’、・・、H−H‘と相当比較するものである。千鳥型サーモパイルアレイセンサの各検出域ピーク出力はインライン型サーモパイルセンサのピーク出力の最小156%から最大161%に達しており、測定感度(起電圧)が高く、すなわち赤外線検出性能が向上している事を確認した。
【実施例2】
【0021】
サーモパイル赤外線検出器が温度計測機器に組み込まれる場合、通常各用途に応じて測定対象面から所定高さ位置に、対象面を望む規定された角度で保持使用される。図10は、ある規定設置位置から8ヶの赤外線検出域を有し、本実施例2による千鳥型サーモパイルアレイチップ1上に各吸収膜を、投影される検出域分布角がθで同一角度となる位置に個々異形状に設計配列構成したサーモパイルアレイセンサを具備した千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器14を、所望の赤外線検出域測定面15の温度分布を計測する為、垂直方向となるY軸方向に走査駆動する事によって投影される検出域分布を模試した概要図である。温度計測装置の走査駆動開始点16を基準とする位置に設定された千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器14が、Y軸のY‘側からY側、図中の矢印方向へ駆動した場合における検出域を、簡単明確化の為走査駆動開始点の8ヶの検出域を黒塗枠で表示し、駆動後の第二ポイントを横線枠、第三ポイントを白塗枠、第四ポイントを点線枠、第五ポイントを縦横線枠で示し、所望する測定面の全域を太線囲みで表記している。図11は本実施例2のサーモパイルアレイ温度検出器14の投影されたX軸方向側面から望んだ断面透視分布角の概要図であり、また図12に本実施例2のサーモパイルアレイ温度検出器14に搭載される千鳥型サーモパイルアレイチップ1の上面概略図を示す。この場合、吸収膜10の形状に従い配置される熱電対11の本数は最小36本から最大42本となり、光学想定設計した分布角度θで分割される各検出域が得られ、且つ走査駆動機構を所定制御する事によって、対象面15全域について赤外線検出が可能である事を確認した。つまり、本実施例2として示す一例の測定機構によれば、Y軸方向測定領域に加えて、X軸方向測定領域の不感帯域を無くし高精度の温度計測が可能なものになると云える。尚ここで、図10では配線基板上の回路接続用結線並びに実装電子部品が存在し、及び図12ではチップ上信号結線、信号取り出し用パッドが存在するが図が煩雑となる為に割愛をした。
【0022】
本実施例2は対象面を複数個に分割した検出域を望む視野角度が、均一となる光学構成 とされたものであるが、例えば図10の温度検出機器からの最遠方となる丸囲み検出域17のみを拡大させて平面域のみでなく、Z軸方向断面(壁面)をも測定対象面に含んだ分割検出域を有するサーモパイルアレイセンサとしてチップ構成をさせてもよい。この事は、測定性能を保持し、つまり高感度出力が得られる所望する多種多様な検出域形状にマッチングするサーモパイルアレイチップを比較的容易な構成で提供する事が可能であると云え、前記走査駆動測定機構と複合させた温度計測装置への組合せ選択性を拡大させる一助にもなる。
【0023】
またサーモパイルアレイセンサとしてインライン型のみならずマトリックス型のサーモパイルアレイ温度検出器についても、本発明の千鳥上配列と同様な構成で各検出域部を配置させ、走査駆動機構を持たせた温度計測機器として適用する事も、比較的簡単に構築可能である。例えば検出域となる吸収膜が多数配置される為、TO−8型パッケージに収容されるチップで構成が必要な多行多列マトリックス型サーモパイルアレイセンサを搭載したサーモパイルアレイ温度検出器を、固定設置して使用する温度計測装置に対して、個々の赤外線検出部の測定性能を比較する場合、千鳥配列構造として検出特性をアップさせ前記走査駆動機構を付随設定すれば、同等な測定機能を有する温度計測機器が実現出来る事に成り、これは、例えば広域且つ測定域を多分化して温度分布を得る温度計測装置を想定する調理器、エアコン等の家電製品に搭載するケースとして、千鳥配列化による検出域数の削減によって検出器パーケージ拡大化を抑制する一案、加えて出力信号制御処理等の回路機構部の構築費用を低減させる一案としても期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器を示す透視外観図である。
【図2】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイセンサの内部構造断面図である。
【図3】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイチップの上面外観図である。
【図4】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器の所定投影検出域を示した図である。
【図5】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器のX軸方向における視野特性及び規格化出力分布を示した図である。
【図6】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器のY軸方向における視野特性及び規格化出力分布を示した図である。
【図7】従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器のX軸方向における視野特性及び規格化出力分布を示した図である。
【図8】従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器のY軸方向における視野特性及び規格化出力分布を示した図である。
【図9】本発明の一実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器のX軸方向における視野特性及び規格化出力分布と、従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器のX軸方向における視野特性及び規格化出力分布を示した図を、再規格化して重ね合わせた図である。
【図10】本発明の他の実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器を搭載した温度計測機器測定機構の簡易概念図である。
【図11】本発明の他の実施例の千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器のX軸方向側面における赤外線検出分布角の配光図である。
【図12】本発明の他の実施例の千鳥型サーモパイルアレイチップの上面外観図である。
【図13】従来のインライン型サーモパイルアレイチップの上面外観図である。
【図14】従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器の所定投影検出域を示した図である。
【図15】従来のインライン型サーモパイルアレイ温度検出器を示す透視外観図である。
【符号の説明】
【0025】
1 千鳥型サーモパイルアレイチップ
2 サーミスタ
3 赤外線透過窓部
4 金属CANケース
5 平凸単レンズ
6 ヘッダー
7a、7b 回路構成用電子部品
8 外付け接続用基板
9 コネクタ端子
10 赤外線受光吸収膜総称
11 熱電対
12 ヒートシンク部
13 赤外線検出域総称
14 千鳥型サーモパイルアレイ温度検出器
15 所定測定面
16 赤外線検出域の一領域
17 インライン型サーモパイルアレイチップ
X、X' 一軸側方向指示
Y、Y’ 多軸側方向指示
Z 高さ方向側指示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面の一軸方向領域を分割し各分割域の放射赤外線量をレンズを介して検出するサーモパイルアレイセンサにおいて、メンブレン上の吸収膜部に温接点を形成し、周囲ヒートシンク部上に冷接点を形成して、二種の物質で構成された熱電対で配列接合した複数個の赤外線検出域を、千鳥上に2行配列する事により熱電対数、温接点部、冷接点部の配置数を増加し、赤外線受光部となる各吸収膜からの赤外線検出時起電圧を増加させる事を特徴とするサーモパイルアレイ温度検出器。
【請求項2】
前記赤外線受光部となる複数個の検出域を千鳥上に2行配列設置したサーモパイルアレイセンサにおいて、測定域の赤外線検出機構として水平もしくは垂直一軸方向走査駆動を行い、他軸方向に存在しうる不感帯域をカバーする事を特徴とする請求項1に記載されたサーモパイルアレイ温度検出器。
【請求項3】
前記千鳥上配列型サーモパイルアレイチップが、測定対象面を分割した複数個の検出域の赤外線検出分布視野角度が同一となる吸収膜形状に配置したサーモパイルアレイチップである事を特徴とする請求項1または請求項2に記載されたサーモパイル温度検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−285892(P2007−285892A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113721(P2006−113721)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】