説明

ザレプロン胃内滞留性薬剤送達システム

任意で患者の胃及び胃腸管での制御放出のための第1の投与量のザレプロンと、即時放出のための第2の投与量のザレプロンとに分割された、生分解性の多層制御放出胃内滞留性剤形は、胃液に接触すると崩壊するカプセル内に折り畳まれ、胃内滞留性剤形は胃液と接触すると迅速に解かれる。本発明の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形が良好な睡眠維持及び最小限の翌日に残留する効果を伴う効率的な睡眠導入を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不眠症の治療用の胃内滞留性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
不眠症は軽度から重度の範囲におよび得る一般的な状態であり、これが原因で人々は眠りにつく又は眠り続けるのに苦労することになる。該状態は慢性又は急性である可能性があり、罹患被験者をほとんど眠れなくするか又は睡眠の質が悪くなる。睡眠不足は他の症状、例えば集中力の問題(trouble focusing)、不安神経症、うつ病及び興奮性(irritability)を引き起こす可能性がある。成人の3人に1人が不眠症であることさえあり、成人の10人に1人が慢性的な不眠症を患う。
【0003】
急性不眠症は、情緒障害、神経障害、又は他の医学的障害若しくは睡眠障害の症状又は副作用である一方、原発性又は慢性の不眠症はそれ自体が長期にわたるストレス又は情緒不安により一般的に誘発される障害である。
【0004】
多くの場合、良好な睡眠習慣を含むライフスタイルの変化が急性の不眠症を緩和するのを助ける。他方で慢性不眠症の治療には多くの場合、睡眠を妨げる可能性がある思考及び行動を標的とし、睡眠不安神経症を緩和すること、及び/又は短期間若しくは長期間の処方薬の使用に焦点を当てた認知行動療法が必要となる。
【0005】
不眠症薬は、朝の朦朧感、及びまれに夢遊食事病、夢遊病、又は居眠り運転を含む副作用を引き起こす可能性があるものが多い。
【0006】
ザレプロンは、不眠症の短期治療に適応され、商標Sonata(登録商標)として即時放出型の(immediate release:即効型の)5mg及び10mgカプセルの形態で米国で市販されている短時間作用型の非ベンゾジアゼピンGABAアゴニスト睡眠薬である。
【0007】
ザレプロンは良好な安全性プロファイルを有し(非特許文献1を参照されたい)、不眠症の治療に治療的に要求される用量よりもかなり多い用量で与えられたとしても、他の薬剤、例えばゾルピデム及びゾピクロンと比べて記憶及び精神運動機能に対する影響が少ない。
【0008】
Sonataは約1時間の最大血漿濃度(Tmax)を有する(バイオアベイラビリティ率Fが約30%である)。また、該薬剤は非常に短い半減期(T0.5=1時間)を有する。このため、ザレプロンは入眠時間の減少を示すが、総睡眠時間の増大又は覚醒回数の減少は示さない。睡眠維持能力が低いため、ザレプロンは2007年では米国の不眠症市場のわずか3%しか占めていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6685962号明細書
【特許文献2】国際公開(WO)第2007093999号パンフレット
【特許文献3】国際公開(WO)第07083309号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Danjou et al. "A comparison of the residual effects of zaleplon and zolpidem following administration 5 to 2 h before awakening" Br. J. Clin. Pharmacol. 1999;48(3):367-74
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、当該技術分野において睡眠維持の改善を伴う慢性不眠症の治療用の薬剤を開発する緊急の必要性がある。本発明はこの必要性を満たすものである。
【0012】
よって、本発明の目的は当該技術分野における上述の欠陥に対する解決策を提供することである。
【0013】
この目的に加えて、本発明は、睡眠維持の改善及び最小限の残留効果(affects)を伴うザレプロンの分解性の多層胃内滞留性剤形を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様では、胃内滞留性剤形は患者の胃及び胃腸管でのザレプロンの制御放出を与える。本発明の好ましい態様では、ザレプロンの胃内滞留性剤形は即時放出のための第1の投与量のザレプロンと、制御放出のための第2の投与量のザレプロンとを含み、ザレプロンの胃内滞留性剤形は、容易に嚥下され、胃液と接触すると迅速に崩壊するカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれる。カプセルが崩壊するときに胃液と接触すると、ザレプロンの胃内滞留性剤形が解かれる。本発明のさらにより好ましい態様では、カプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれるザレプロンの胃内滞留性剤形は、制御放出のための第1の投与量のザレプロンを含む内部層;堅固なフレーム層;及び1つ又は2つの外層を含み、カプセルは即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む少なくとも1つの層でコーティングされる。本発明の別の好ましい態様では、カプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれるザレプロンの胃内滞留性剤形は、制御放出のための第1の投与量のザレプロンを含む内部層;堅固なフレーム層;2つの外層;及び即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む1つ又は2つの超外層を含む。カプセルは胃液に接触すると迅速に崩壊し、胃内滞留性剤形は胃液に接触すると迅速に解かれる。
【0015】
一実施の形態では、胃内滞留性剤形が、即時放出のための約5mg〜約15mgの第1の投与量のザレプロンと、制御放出のための約10mg〜約30mgの第2の投与量のザレプロンとに分割された、約15mg〜約35mgの用量のザレプロンを含む。好ましい実施の形態では、胃内滞留性剤形が、前記カプセルの前記コーティングでの即時放出のための12.5mgの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための10mgの用量のザレプロンとに分割された、22.5mgの用量のザレプロンを含む。別の好ましい実施の形態では、胃内滞留性剤形が、前記カプセルの前記コーティングでの即時放出のための10mgの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための15mgの用量のザレプロンとに分割された、25mgの用量のザレプロンを含む。異なる好ましい実施の形態では、胃内滞留性剤形が、2つの超外即時放出層のそれぞれでの即時放出のための各々7.5mgの2つの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための15mgの用量のザレプロンとに分割された、30mgの用量のザレプロンを含む。
【0016】
一実施の形態では、ザレプロンの胃内滞留性剤形が2つの外層を有する。好ましい実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性剤形が、それぞれ4つの開口部を有する2つの外層と、フレームと、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含む。前記胃内滞留性剤形が、カプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれ、該カプセルが即時放出のためのザレプロンを含むコーティングでコーティングされる。
【0017】
一実施の形態では、ザレプロンの胃内滞留性剤形の外層(単数又は複数)がザレプロンを含有する層に隣接する1つ又は複数の位置で穿孔され、ザレプロンの胃内滞留性剤形からの放出を促進させる。穿孔機を用いて約0.2mm〜約2.0mmの穿孔を行うことができる。
【0018】
異なる実施の形態では、ザレプロンの胃内滞留性剤形は即時放出のためのザレプロンを含有する2つの超外層をさらに含む。
【0019】
一実施の形態では、ザレプロンの胃内滞留性剤形の前記外層が前記フレーム層よりも速い速度で水和し、親水性ポリマーと胃媒体に不溶性のポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組合せを含む。好ましい実施の形態では、前記外層が1つ又は複数のタイプのポリメタクリレートUSPを含む。
【0020】
別の好ましい実施の形態では、前記外層が可塑剤としてプロピレングリコールを含む。さらに別の好ましい実施の形態では、前記外層中の前記ポリマーの組合せがゼラチンを含み、ゼラチンの量が総外層組成の約20%〜約45%である。
【0021】
本発明の一態様では、前記外層が環境から前記内部層への胃媒体の通過を可能にし、該内部層から該環境へのザレプロンの通過を阻害する。
【0022】
本発明のさらなる態様では、ザレプロンの胃内滞留性剤形の前記フレーム層中のポリマーは5.5未満のpHで実質的に不溶性である分解性の腸溶ポリマーである。前記フレーム層は任意で可塑剤を含むことができる。好ましい実施の形態では、前記フレーム層中の前記腸溶ポリマーが、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸クエン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル及びメチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマーからなる群から選択される。さらにより好ましい実施の形態では、前記フレーム層中の前記ポリマーがUSP−NF(米国薬局方国民医薬品集)に記載のポリメタクリレートコポリマーである。
【0023】
一実施の形態では、前記フレーム層が、約0.5Kgf/mm〜約15Kgf/mmの範囲のヤング率、及び擬似胃液において1時間後、約0.03Kgf/mm〜約0.6Kgf/mmの応力で説明される機械的強度を有する。
【0024】
本発明のさらなる態様では、前記フレーム層の組成が任意で充填剤、界面活性剤、さらなる可塑剤及び他の好適な材料をさらに含む。
【0025】
一実施の形態では、ザレプロンの胃内滞留性剤形の前記内層がザレプロンと少なくとも1つのポリマーとを含む。ザレプロンが該ポリマーに実質的に均一に分散するか、又は該ポリマーと固体溶液を形成し、ザレプロンは前記胃内滞留性剤形が胃媒体と接触すると前記内層から放出される。一実施の形態では、前記内層の前記ポリマーが、有機溶媒にも可溶性である水溶性ポリマーであり、ザレプロン安定性及び/又は水性媒体中での溶解性を増大することが可能である。異なる実施の形態では、前記少ポリマーが水溶性ポリマーであり、水性媒体中で膨潤することが可能である。さらなる実施の形態では、前記内層が少なくとも1つの可塑剤をさらに含むことができる。さらに別の実施の形態では、前記内層の組成が任意で充填剤、界面活性剤、及び/又は他の好適な材料をさらに含む。
【0026】
本発明の一態様では、前記内層が、粉末、粒状粉末、ミニチュア錠剤、コーティング粉末、半固体組成物の形態、又は当業者に既知である任意の他の形態でザレプロンを含む。
【0027】
本発明の一態様では、ザレプロンを含む少なくとも1つの層を含むコーティングを胃内滞留性剤形の前記カプセル上に塗布する。一実施の形態では、前記コーティングが好ましくは胃媒体に即時可溶性である少なくとも1つのポリマーを含む。付加的な実施の形態では、ザレプロンが前記コーティングに均一に分散されるか又は溶解する。さらなる実施の形態では、前記コーティングが可塑剤又は可塑剤の組合せをさらに含む。さらに別の実施の形態では、前記コーティングが任意で少なくとも1つの粘着防止剤をさらに含む。
【0028】
本発明の一態様では、ザレプロンの胃内滞留性剤形における層を超音波溶接により接合する。
【0029】
本発明の別の態様では、前記外層及び前記フレーム層が胃液に曝されて15分以内に少なくとも20mmの長さまで解かれる。
【0030】
本発明のさらなる態様では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が擬似腸液中で3時間以内に完全に分解可能である。
【0031】
本発明の一態様では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、任意で、前記カプセル内で折り畳まれる場合、各外層を覆う付加層を含み、該付加層は、該付加層上への前記外層の付着を妨げる粉末又はフィルムを含む。一実施の形態では、前記付加層が粉末、ポリマー又はその組合せを含む。
【0032】
本発明の別の態様では、前記1つ又は2つの超外層が胃内滞留性剤形の片側又は両側で前記外層に貼り付く。一実施の形態では、該超外層がザレプロンと、水溶性ポリマー、可塑剤、胃での前記薬剤の即時放出を目的とする可溶化剤、崩壊剤及び流動促進剤からなる群から選択される1つ又は複数の不活性成分とを含む。別の実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、任意で、各超外層を覆う付加層を含む。該付加層は、前記カプセル内で折り畳まれる場合、付加層上への前記超外層の付着を妨げる粉末若しくはフィルム又はそれらの組み合わせを含む。
【0033】
一実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、図4に示す薬物動態プロファイルと類似する薬物動態プロファイル(曲線12.5/10)を有する。異なる実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、図4に示す薬物動態プロファイルと類似する薬物動態プロファイル(曲線10/15)を有する。
【0034】
一実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、単回投与後30分で約15ng/ml〜約25ng/mlのザレプロンの平均血漿濃度を与え、該平均血漿濃度が約4時間〜約5時間、安定したままである。異なる実施の形態では、ザレプロンの前記胃内滞留性製剤が、単回投与後30分で約15ng/ml〜約30ng/mlのザレプロンの平均血漿濃度を与え、該平均血漿濃度が約4時間〜約5時間、安定したままである。
【0035】
一実施の形態では、ザレプロンの前記制御放出胃内滞留性剤形が、4時間を超える胃滞留期間を与える。好ましい実施の形態では、ザレプロンの前記制御放出胃内滞留性剤形が、最大12時間の胃滞留期間を与える。
【0036】
さらなる態様では、本発明は、最大12時間の期間にわたりザレプロンの治療的な血漿濃度を与え、睡眠維持の改善をもたらす方法であって、ザレプロンの多層胃内滞留性剤形をそれを必要とする被験者に経口投与することを含む、方法を提供する。本発明の一態様では、前記方法は、投与後およそ30分〜およそ12時間で薬学的に有効な血漿レベルのザレプロンを与える。
【0037】
別の態様では、本発明は、最大12時間の期間にわたりザレプロンをそれを必要とする患者に投与した後、ザレプロンの治療的な血漿濃度の急激な上昇を排除すると共に、睡眠維持を改善する方法であって、それを必要とする患者にザレプロンの前記多層胃内滞留性剤形を経口投与することを含む、方法を提供する。
【0038】
さらに別の実施の形態では、本発明は、それを必要とする患者において不眠症を治療する方法であって、就寝時又は眠りにつけないとき、1つ又は複数のザレプロン胃内滞留性剤形を経口投与することを含む、方法を提供する。
【0039】
異なる態様では、本発明は、多くのザレプロンの胃内滞留性剤形と、取扱説明書と、それらの使用上の注意とを含む、キットを提供する。
【0040】
上述の概要及び以下の図面の簡単な説明及び詳細な説明は例示及び説明のためのものであり、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することを目的とする。他の目的、利点及び新規の特徴は本発明の以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ザレプロン胃内滞留性剤形のフィルム構成要素の概略図及びそれらのおおまかな寸法を示す。
【図2】12.5mgの即時放出ザレプロンと10mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む22.5mgのザレプロン胃内滞留性剤形の溶解プロファイルを示す図である。
【図3】10mgの即時放出ザレプロンと15mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む25mgのザレプロン胃内滞留性剤形の溶解プロファイルを示す図である。
【図4】実施例5に記載のように、12.5mgの即時放出ザレプロンと10mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む単回投与の22.5mgのザレプロン胃内滞留性剤形;10mgの即時放出ザレプロンと15mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む単回投与の25mgのザレプロン胃内滞留性剤形;及び単回投与の20mg(2×10mg)のSonata即時放出製剤に関するザレプロンの平均血漿濃度を示す図である。
【図5】実施例7に記載のように、10mgの即時放出ザレプロンと20mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む単回投与の30mgのザレプロン胃内滞留性剤形;12.5mgの即時放出ザレプロンと15mgの制御放出ザレプロンとの組合せを含む単回投与の27.5mgのザレプロン胃内滞留性剤形;及び単回投与の10mgのSonata即時放出製剤に関するザレプロンの平均血漿濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
不眠症は、頻繁な又は長期的な夜間覚醒を場合によっては含む睡眠の開始又は維持の困難を特徴とし、最適ではない(suboptimal)睡眠の質に関連する。成人の米国人のおよそ50%が任意の所定の年に不眠症の症状を経験する。不眠症に対する現在利用可能な治療法は主に睡眠導入に焦点を当てており、幾つかの選択肢が睡眠維持、特に翌朝の残留効果に関連しない治療に利用可能である。
【0043】
臨床医が不眠症薬剤に期待している3つの基本的特性は、睡眠導入、睡眠維持及び翌日の機能に対する効果である。翌日の薬酔い又は残留効果を伴わず睡眠を誘導及び維持する薬はたとえあったとしてもわずかしかない。これら3つ全ての特性に累積的に対応する薬剤への差し迫った臨床的必要性がある。
【0044】
非ベンゾジアゼピン睡眠薬であるザレプロンは現在、短期間の不眠症に適応されている。該薬剤は現在のところ、迅速な吸収(即座の睡眠開始を与える)、及び薬酔い効果を避ける迅速な排出を特徴とするが、睡眠維持の不足に関連付けられている。
【0045】
ザレプロンは就寝時に、夜中に眠りにつくのが難しいと分かった後に、又は深夜覚醒した際に投与することができる。ザレプロンの迅速吸収が眠りにつけない不眠症患者に即座の睡眠開始を与える。ザレプロンの迅速な排出が日中の沈静効果及び薬酔い効果を避ける。しかしながら、その短い半減期のために、ザレプロンは入眠後の睡眠の維持には効果的ではない。ザレプロンの効果が弱まると、不眠症を患う被験者は多くの場合、深夜に覚醒する可能性があり、別のピルを摂取する必要がある。この理由から、安定した治療レベルを与えることができる制御放出製剤に対する多大な必要性がある。
【0046】
本発明者らは、胃内滞留性剤形中のザレプロンの製剤が薬剤の吸収相を夜通し延長させることを発見した。本発明のザレプロン胃内滞留性剤形は、即時放出機構と制御放出機構との組合せによりザレプロンを放出し、即時に発現しながらも安定レベルであるザレプロンを提供するように設計される。特に本発明のザレプロン胃内滞留性剤形の経口投与が、睡眠維持を与え、薬剤の現在の良好な睡眠導入性能を保ち、翌日の効果を避ける。したがって本発明は、最適な不眠症薬剤の3つの基本的な要件、すなわち、迅速な(fast)睡眠導入、睡眠維持の延長及び翌日の機能に対する効果の低減を満たすのに初めて成功したザレプロンの胃内滞留性製剤を提供する。
【0047】
健常な成人では高脂肪/重金属はそれらを摂取しない状態(fasted state)と比べてザレプロンの吸収を延期し、およそ2時間Tmaxを遅らせ、およそ35%Cmaxを低減させる。ザレプロンのAUC及び排出半減期はほとんど影響を受けない。これらの結果は、ザレプロンを高脂肪/重金属と共に又は高脂肪/重金属の直後に摂取する場合、入眠に対するザレプロンの効果が低減する可能性があることを示唆している。この重要な側面は本発明において対処される。
【0048】
本発明の胃内滞留性剤形(GRDF)の複雑な構造により生じる設計の融通性のために、GRDFは長い期間、高い薬剤血漿レベルを維持しながら、長期間にわたって、持続性プロファイルで又は即時性及び持続性の併合プロファイルでザレプロンを都合よく放出することができる。
【0049】
定義:
本明細書で使用される場合、「胃内滞留性剤形(複数可)」(GRDF(単数又は複数))は、食品に比べて胃の排出を遅らせ、胃により長く残留する剤形を表す。「胃内滞留性」又は「胃滞留性(gastric-retentive)」剤形は、内層と、堅固なフレーム層と、1つ又は2つの外層とを備える多層構造を含むか、又は内層と、堅固なフレーム層と、1つ又は2つの外層と、1つ又は2つの超外層とを含むか、又はカプセル内に折り畳まれた若しくは圧縮された上述の構造を含む剤形を表す。該カプセルは胃液と接触すると迅速に崩壊し、該構造は胃液に接触すると迅速に解かれ、哺乳動物、好ましくはヒトの胃に、長期間、好ましくは食品及びいずれの寸法も10mm未満のサイズの小さい難消化性粒子よりも長く残留する。そのため「胃滞留」は、遊離形態で又は胃内滞留性ではないと見なされる胃腸(GI)送達ビヒクル内で送達される場合に胃に残留する時間よりも長い期間、薬剤が胃中で維持又は保留されることである。胃滞留性は、胃からの通常の排出時間よりも長い期間、すなわち約2時間より長く、特に約3時間より長く、通常約4時間、6時間、8時間又は10時間を超えて胃に残留することを特徴とし得る。胃滞留性は典型的には、約3時間、4時間、6時間、8時間、10時間又はときには18時間から最大で約21時間、胃に残留することを意味する。
【0050】
「制御放出薬剤送達システム」は本明細書で使用される場合、従来の非修正放出剤形では達成できない長期間の、持続的な又は遅発性の薬理効果をもたらすのに必要な量で設計可能な時間間隔にわたって制御的にザレプロンを放出するザレプロンの剤形を表す。
【0051】
「擬似胃液」(「SGF」)及び「擬似腸液」(「SIF」)は本明細書で使用される場合、酵素を用いずに米国薬局方30国民医薬品集により規定されるように、「胃液、疑似、TS」溶液及び「腸液、疑似、TS」溶液を表す。
【0052】
「胃媒体」及び「腸媒体」は本明細書で使用される場合、胃又は腸の環境を模倣するのに使用される、それぞれ胃及び腸の生体媒体、又は人工媒体を表す。
【0053】
「生分解性」という用語は本明細書で使用される場合、関連期間内に患者の身体内で化学的及び/又は物理的に低減又は分解することが可能であることが意図されている。
【0054】
「胃液に即時可溶性ではないポリマー」という語句は本明細書で使用される場合、GI管内に残留している間、GI管に徐々に溶解するポリマーを表す。
【0055】
「不活」又は「不活性」又は「不活性成分」という用語は本明細書で使用される場合、活性成分とは反応しない若しくはその特性に影響を与えない、又は被験者に投与の際、任意の生体効果を引き起こさない、内部層若しくは内部コンパートメント、外膜、任意層及び/又は即時放出層中の構成要素を表す。
【0056】
「長期間」という語句は本明細書で使用される場合、数時間〜約24時間、通常最大約12時間、及び多くの場合約3時間〜7時間、用量の少なくとも80%が持続する送達期間を表す。
【0057】
「膨潤性」及び「膨潤」という用語は、ポリマーに関して、該ポリマーが使用環境に存在する液体に接触すると、液体を吸収すると共に、膨張することが可能であることを意味する。
【0058】
「患者」又は「被験者」は本明細書で言及される場合、本発明の胃内滞留性製剤を摂取する可能性がある動物である。本発明の好ましい態様では、「患者」又は「被験者」はヒト又は非ヒト哺乳動物である。
【0059】
「治療すること」又は「治療」等は本明細書で使用される場合、所望の薬理効果及び生理効果が得られることを表す。該効果は疾患、症状又は病態の抑制又は部分的な抑制に関して予防的であっても及び/又は病態に起因する疾患、状態、症状又は悪影響の部分的又は完全な治癒に関して治療的であってもよい。このため、「治療」は哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を包含し、(a)病態を発症する素因があり得るが、病態を有するとはまだ診断されていない個体において病態が発生するのを防ぐこと、すなわち病態を発症する素因があり得るが、病態の症状をまだ経験又は提示していない被験者において、病態の臨床症状を発症させないこと;(b)病態若しくはその臨床症状の発症を阻害、すなわち阻止若しくは低減すること;又は(c)病態に関連する症状を緩和することを含む。
【0060】
「薬剤」、「活性薬剤成分」、「API」、「活性剤」、「活性成分」、「活性因子」等は本発明に関連して、純粋な化学物質、純粋な化学物質の混合物、又は様々な供給源からの粗抽出物として使用され、それを必要とする人の病態を治療するのに、すなわちこのような治療に用いられる。本明細書において区別なく用いられる「不活性成分」、「賦活剤」、「材料」、「構成要素」、「成分」、「不活性材料」、「不活性因子」、「作用因子」等は、当業者に知られているように、薬剤ではないが、本発明に関連して最終的な剤形特異的な特徴を与える意図で薬学的配合に利用される材料又は成分を表す。
【0061】
「フィルム」又は「層」又は「膜」は、本発明の多層GRDFの構成要素に関して区別なく使用され、それらの構築及び調製が本明細書に記載される。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲に使用される場合、「a」、「an」及び「the」という形式は文脈上はっきりと示されていなければ、単数及び複数の対象を含む。
【0063】
さらに本明細書で使用される場合、「を含む」という用語は、システムが列挙される要素を含むが、システムの設計において任意であり得る、充填剤等のような他のものを排除しないことを意味する。「から本質的になる」という用語は、列挙される要素を含むが、システムの性能に対して本質的に重要な効果を有し得る他の要素を排除するシステムを規定するのに使用される。このため「からなる」は微量を超える他の要素を排除することを意味するとする。これらの移行用語それぞれにより規定される実施形態が本発明の範囲内である。
【0064】
本発明のザレプロンGRDFは、フィルムで構成された多層平板構造を含有するカプセルの形態で与えられ、波状に(「アコーディオン」)折り畳まれ、胃液に接触されると迅速に解かれ、長期間、胃にザレプロンを放出する。「アコーディオン」技術は、以前の公報、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3(その全体が参照により本明細書に援用される)に詳細に記載されている。
【0065】
しかしながら「アコーディオン」技術は、任意の薬剤に均一に適用することはできない。活性因子の様々な生理化学特性、薬理学要件、バイオアベイラビリティ、投与量等のために様々な活性因子が様々な溶液を要求することから、各「アコーディオン」自体が製品である。
【0066】
各活性因子に特異的な薬理学要件は、特定の製品に適合する様々な革新的な溶液を要求する。これらの溶液は場合に応じて変わり、様々な投与量、(即時放出及び遅延放出のような)2つ以上の機構による薬剤送達、超外層の有無、コーティングの有無、様々な数、位置及びサイズの開口部、様々な層組成、層の厚さ及びサイズ、並びに上記の組合せを含み得る。可能性のある組合せは制限がなく(endless)、成功を正確に予測することができない。
【0067】
本発明の目的は、作用の迅速な開始、及び長期間の高いザレプロン血液レベルを有するザレプロンGRDFを開発することであった。ザレプロンは、米国薬局方30によると非常に溶解しにくい薬剤であるため、難しい製剤問題をもたらした。本願の発明者らは、ザレプロンの特定の物理化学特性、特にその難溶解性を、胃滞留の延長と組み合わせ、制御的に活性因子をゆっくりと放出し、残留効果を伴わず長期の睡眠活性をもたらすザレプロンGRDFを得るGRDF製剤を考案することにより、ザレプロン製剤問題を克服する。
【0068】
ザレプロンGRDFの開発:
本発明の目的は、市場での市販製品(Sonata)よりも長い時間にわたるが、翌日に残留する効果を避けるように長すぎない、短い時間のずれ及び持続放出効果を示すザレプロンGRDFを開発することであった。
【0069】
ザレプロンGRDFを作製する最初の試み(実施例7及び図5を参照されたい)は薬剤の吸収相の増大を示した。初期のGRDFの利点及び欠点を評価するために、臨床研究を開始した。研究設計は、健常なボランティアにおける単一施設、単回投与、非盲検、三元交差(three-way crossover)、比較薬物動態的研究であった。Sonataの経口投与と比較した試験製剤の経口投与後のザレプロンの血漿濃度からの薬物動態パラメータ(Cmax、Tmax及びAUC)の評価は、これらのGRDFのCmax及びTmax(図5を参照されたい)がSonataより有意に高かったことを明らかにした。
【0070】
GRDF内層での第1のザレプロン投与量とGRDFカプセル上のコーティングとして適用される第2のザレプロン投与量との組合せにより、魅力的な薬物動態特性を有するザレプロンGRDFが得られた。特定の層製剤、GRDF構成、層の厚さ、投与量、開口部、並びに他の設計及び製剤項目により、本明細書で詳述されるような最良な結果がもたらされる。
【0071】
本発明のザレプロンGRDF製剤:
好ましい実施形態では、本発明のザレプロン胃内滞留性剤形は、2つの外層と、フレーム層と、ザレプロン及びザレプロンの制御送達のための他の成分を含む内層とを含む。この構造はカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれ、カプセルが崩壊するときに胃液に接触すると、該構造が迅速に解かれる。このGRDFの図面は図1に詳述される。
【0072】
別の好ましい実施形態では、本発明のザレプロンGRDFは、上記のものに加えて、ザレプロンの即時放出のための、第2の用量のザレプロン及び付加成分を含む、カプセルの外部コーティングを含む。
【0073】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明のザレプロンGRDFは、2つの外層、フレーム層及び制御放出のための第1のザレプロン用量を含む内層に加えて、ザレプロンの即時放出のための、第2の用量のザレプロン及び外層上に外部適用される付加成分を含む1つ又は2つの超外層も含む。
【0074】
好ましい実施形態では、患者の胃及び胃腸管におけるザレプロンの制御放出のための分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形であって、迅速に崩壊するカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれ、胃液と接触すると迅速に解かれ、即時放出のための第1の投与量のザレプロン、及び制御放出のための第2の投与量のザレプロンを含む、多層ザレプロン胃内滞留性剤形が提供される。
【0075】
さらなる実施形態では、ザレプロン胃内滞留性剤形は経口投与のために設計され、容易に嚥下される標準サイズのカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれる。
【0076】
好ましい実施形態では、分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形であって
a.内部層での制御放出のための第1の投与量のザレプロン;
b.堅固なフレーム層;及び
c.1つ又は2つの外層;
を含み、上記の構造がカプセル内に折り畳まれ、カプセルが即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む少なくとも1つの層によりコーティングされ、カプセルが崩壊するときに胃液に接触されると、胃内滞留性剤形が迅速に解かれる、分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形が提供される。
【0077】
好ましい実施形態では、上記のザレプロン胃内滞留性剤形は2つの外層を有する。
【0078】
別の好ましい実施形態では、分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形は、
a.内部層での制御放出のための第1の投与量のザレプロン;
b.堅固なフレーム層;
c.2つの外層;及び
d.外層に外付けされた、即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む1つ又は2つの超外層、
を含み、胃内滞留性剤形が、胃液に接触すると迅速に崩壊するカプセル内に折り畳まれ、カプセルが崩壊するときに胃液に接触すると、胃内滞留性剤形が迅速に解かれる。
【0079】
好ましい実施形態では、上記のザレプロン胃内滞留性剤形は2つの超外層を有する。
【0080】
別の実施形態では、本発明の胃内滞留性剤形におけるザレプロン用量は15mg〜35mgであり、即時放出のための5mg〜15mgの第1の投与量のザレプロンと、制御放出のための10mg〜30mgの第2の投与量のザレプロンとに分割される。
【0081】
好ましい実施形態では、胃内滞留性ザレプロン剤形は、12.5mgのザレプロンを含有するカプセルの即時放出コーティングと10mgのザレプロンを含有する制御放出内層とに分割された、22.5mgの総ザレプロン用量を有する(実施例1を参照されたい)。
【0082】
好ましい実施形態では、胃内滞留性剤形は、それぞれ4つの開口部を有する2つの外層と、フレームと、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み、カプセルは即時放出ザレプロンを含有するコーティングを有する(実施例1を参照されたい)。
【0083】
別の好ましい実施形態では、胃内滞留性ザレプロン剤形は、10mgのザレプロンを含有するカプセルの即時放出コーティングと15mgのザレプロンを含有する制御放出内層とに分割された、25mgの総ザレプロン用量を有する(実施例3を参照されたい)。
【0084】
さらに別の実施形態では、胃内滞留性ザレプロン剤形は、ザレプロンを含有する層に隣接する1つ又は複数の位置で穿孔され、ザレプロンの胃への放出を促進させる1つ又は2つの外層を含む。
【0085】
胃内滞留性ザレプロン剤形の層における穿孔はレーザーを用いて又は好適な形状の刃を用いて都合よく行うことができ、穿孔の直径は0.2mm〜2mmと様々であり得る。
【0086】
好ましい実施形態では、胃内滞留性剤形は、それぞれ2つの開口部を有する2つの外層と、堅固なフレームと、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み、カプセルは即時放出ザレプロンを含有するコーティングを有する(実施例3を参照されたい)。
【0087】
別の実施形態では、胃内滞留性剤形は、それぞれ7.5mgのザレプロンを含有する2つの超外即時放出層と15mgのザレプロンを含有する制御放出内層とに分割された、30mgの総ザレプロン用量を有する(実施例6)。
【0088】
上記の胃内滞留性剤形は、即時放出のためのザレプロンを含有する2つの超外層と、それぞれ4つの開口部を有する2つの外層と、堅固なフレームと、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み得る(実施例6)。
【0089】
一実施形態では、薬物動態プロファイルが図4に示す薬物動態プロファイル(曲線12.5/10)と類似する、胃内滞留性剤形が提供される。
【0090】
別の実施形態では、単回投与後のザレプロンの平均血漿濃度がおよそ30分後に約15ng/ml〜25ng/mlに達し、およそ4時間〜5時間、この範囲内に維持される、ザレプロン胃内滞留性剤形が提供される。
【0091】
さらに別の実施形態では、薬物動態プロファイルが図4に示す薬物動態プロファイル(曲線10/15)と類似する、ザレプロン胃内滞留性剤形が提供される。
【0092】
好ましい実施形態では、単回投与後のザレプロンの平均血漿濃度がおよそ30分後に約15ng/ml〜30ng/mlに達し、およそ4時間〜5時間、この範囲内に維持される、胃内滞留性剤形が提供される。
【0093】
別の実施形態では、ザレプロン胃滞留期間が4時間を超える、制御放出胃内滞留性剤形が提供される。
【0094】
さらに別の実施形態では、ザレプロン胃滞留期間が12時間を超える、制御放出胃内滞留性剤形が提供される。
【0095】
好ましい実施形態では、最大12時間の期間にわたりザレプロンの治療的な血漿濃度を与え、睡眠維持の改善をもたらす方法であって、ザレプロンの前記多層胃内滞留性剤形をそれを必要とする被験者に経口投与することを含み、該胃内滞留性剤形がおよそ30分〜およそ12時間にわたって薬学的に有効なザレプロンの血漿レベルを維持する、方法が提供される。
【0096】
別の好ましい実施形態では、最大12時間の期間にわたりザレプロンをそれを必要とする被験者に投与した後、ザレプロンの治療的な血漿濃度の急激な上昇を排除して睡眠維持を改善する方法であって、前記被験者にザレプロンの多層胃内滞留性剤形を経口投与することを含む、方法が提供される。
【0097】
好ましい実施形態では、それを必要とする被験者に投与すると、良好な睡眠維持及び最小限の翌日に残留する効果を伴い、睡眠が迅速に誘導される、ザレプロン胃内滞留性剤形が提供される。別の実施形態では、就寝時又は眠りにつけないとき、被験者に1つ又は複数のザレプロン胃内滞留性剤形を投与することを含む、それを必要とする被験者において不眠症を治療する方法が提供される。
【0098】
さらに別の実施形態では、多くのザレプロン胃内滞留性剤形と、取扱説明書と、それらの使用上の注意とを含む、キットが提供される。
【0099】
一実施形態では、本発明のザレプロン胃内滞留性薬剤送達システムを含む、それを必要とする被験者において不眠症を治療する方法が提供される。該治療は、就寝時、本発明の1つ又は複数のザレプロンGRDFカプセルを嚥下することにより達成することができる。
【0100】
本発明のフィルム、層及び膜は全て、当業者に既知の方法により作製した。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明のフィルム(「層」とも称される)は流延成形法により調製する。フィルム組成物の溶液又は懸濁液をトレー上に流し込み、溶媒が蒸発するまでオーブンで乾燥させる。それから乾燥したフィルムを必要となる形状に切断する。
【0102】
現在の実施形態では、本発明の胃内滞留性剤形は、フレーム層と、内部層と、2つの外層とを含む。外層はフレーム層よりわずかに大きく、それらの周囲で封止又は溶接され、フレーム層及び内部層を完全に包む2つのフィルムである。外層を接続する溶接と共に、フレーム層の外側部分も外層に溶接する。GRDFを形成する様々な層の組成、成分及び構造は以下の実例となる実施例で詳述される。
【0103】
一実施形態では、本発明の胃内滞留性剤形は、親水性ポリマーと胃媒体に不溶性のポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組合せを含む1つ又は2つの外層を有し、外層がフレーム層よりも速い速度で水和する。
【0104】
外層中の上記ポリマーは1つ又は複数のタイプのポリメタクリレートUSPからなる群から選択される。
【0105】
外層は可塑剤としてプロピレングリコールを含み得る。
【0106】
一実施形態では、外層中のポリマーの組合せはゼラチンを含む。外層中のゼラチンの量は総外層組成の約20%〜約45%である。
【0107】
一実施形態では、ザレプロン胃内滞留性剤形は、1つ又は複数の外層、好ましくは環境から内部層への胃媒体の通過を可能にし、層を通っての内部層から環境へのザレプロンの通過を阻害する2つの外層を含む。他の実施形態では、内層から環境へのザレプロンの通過は上記外層において専用の穿孔を介して媒介される。
【0108】
GRDFの堅固なフレーム層(「フレーム」又は「骨格」とも称される)は機械的強度をGRDFに与える。
【0109】
一実施形態では、フレーム層中のポリマーが5.5未満のpHで実質的に不溶性である分解性の腸溶ポリマー及び可塑剤からなる群から選択される、胃内滞留性剤形が提供される。
【0110】
別の実施形態では、胃内滞留性剤形のフレーム層中のポリマーは、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸クエン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル及びメチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマーからなる群から選択される。
【0111】
フレーム層中のポリマーはポリメタクリレートコポリマーであり得る。
【0112】
本発明の胃内滞留性剤形のフレーム層は、約0.5Kgf/mm〜15Kgf/mmの範囲のヤング率、及び擬似胃液において約1時間後、0.03Kgf/mm〜約0.6Kgf/mmの応力で説明される機械的強度を有する。
【0113】
フレーム層の組成物は任意で、充填剤、界面活性剤、付加的な可塑剤及びこのような組成物に好適な他の材料をさらに含み得る。
【0114】
実施例2及び実施例3に例示されるように、GRDFの内層は、ザレプロン及び少なくとも1つのポリマーを含む一方で、ザレプロンがポリマーに実質的に均一に分散されるか、又はポリマーと固体溶液を形成し、胃内滞留性剤形が胃媒体に曝されると、ポリマーからザレプロンが放出される。少なくとも1つのポリマーは、水溶性ポリマー、好ましくは有機溶媒に可溶性である上記ポリマー、及び好ましくはザレプロン安定性及び/又は水性媒体中での溶解性を増大することが可能である上記ポリマーから選択される。
【0115】
少なくとも1つのポリマーは、水溶性ポリマー、及び水性媒体中で膨潤することが可能であるポリマーから選択される。
【0116】
内層は少なくとも1つの可塑剤をさらに含み得る。
【0117】
内層の組成物は任意で、充填剤、界面活性剤、及び/又はこのような組成物に好適な他の材料をさらに含み得る。
【0118】
胃内滞留性剤形は、胃内滞留性剤形のカプセル上に塗布された、ザレプロン含有コーティングを含むことができ、コーティングは少なくとも1つの層を含む。
【0119】
コーティングは好ましくは胃媒体に即時可溶性である少なくとも1つのポリマーを含む。
【0120】
上記コーティング中のザレプロンはコーティングに均一に分散又は溶解される。
【0121】
コーティングは可塑剤又は可塑剤の組合せをさらに含み得る。
【0122】
コーティングは任意で少なくとも1つの粘着防止剤又は別の充填剤をさらに含み得る。
【0123】
上記で詳述されるGRDF層は超音波溶接により接合する。
【0124】
外層及びフレーム層を含むGRDFは通常、胃液に曝されて15分以内に少なくとも20mmの長さまで解かれる。
【0125】
胃内滞留性製剤は擬似腸液中で3時間以内に完全に分解する。
【0126】
好ましい実施形態では、胃内滞留性剤形は任意で、各外層又は各超外層を覆う付加層を含んでもよく、付加層は、カプセル内で折り畳まれる場合、付加層上への外膜の付着を妨げる粉末又はフィルムを含み、上記層が粉末、ポリマー又はそれらの組合せを含む。
【0127】
本発明のGRDFの幾つかが、内層、フレーム層及び外層(単数又は複数)に加えて、「超外層」と呼ばれる1つ又は2つの付加外部層を有する。
【0128】
別の実施形態では、1つ又は2つの超外層は、胃内滞留性剤形の片側又は両側で外層に貼り付き、超外層がザレプロンと、ポリマー、好ましくは水溶性ポリマー、可塑剤、胃での薬剤の即時放出を目的とする可溶化剤、崩壊剤及び流動促進剤、並びに上記機能の1つ又は複数を行うことが可能である成分の任意の組合せからなる群から選択される1つ又は複数の不活性成分とを含む。
【0129】
本発明の詳細な説明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、これは例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。これらの実施例の変更形態及び均等物は本開示、添付の図面及び特許請求の範囲を鑑みて当業者にとって明らかである。
【0130】
明確にするために別々の実施形態に関して記載されている本発明の或る特定の特徴を、単一の実施形態と組合せて与えることもできることが理解される。これに対して、簡潔にするために単一の実施形態に関して記載されている本発明の様々な特徴を、別々に又は任意の好適なサブコンビネーション(subcombination:組合せの組合せ)で与えることもできる。
【0131】
本発明はその特定の実施形態と共に記載されているが、多くの代替形態、変更形態及び変形形態が当業者にとって明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にあるこのような代替形態、変更形態及び変形形態全てを包含することが意図される。
【0132】
個々の刊行物、特許及び特許出願それぞれが参照により本明細書に援用されることを具体的かつ個々に示しているのと同じように、本明細書で言及される刊行物、特許及び特許出願は全てその全体が参照により本明細書に援用される。さらに、本願における任意の引例の言及又は特定は、このような引例が従来技術として本発明に利用可能であると解釈されるものではない。
【実施例】
【0133】
実施例1:GRDF−ザレプロン 22.5mg IR 12.5mg CR 10mg
GRDFタイプ:即時放出(IR)カプセルコーティング、外層−フレーム層−内層−外層(それぞれの外層は4つの開口部を有する)
【0134】
【表1】

【0135】
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
【表4】

【0138】
実施例2:GRDF−ザレプロン 22.5mgの放出プロファイル
活性成分の即時放出及び制御放出の両方を与えるGRDFの能力を説明するために、カプセルの即時放出コーティング層に12.5mgのザレプロンと、実施例1に記載の制御放出内部層に10mgのザレプロンとを含有する22.5mgのザレプロンGRDFの放出プロファイルを求めた。
【0139】
実験を、pH 1.2、2.50rpmで米国薬局方(USP)溶解装置において擬似胃液(SGF)で行った。図2に示されるように、即時放出は10分以内に起こり、徐放は3時間見られた。
【0140】
これらの実験は、即時放出様式で及び制御放出様式でザレプロンを効率的に送達する本発明のGRDFの能力を説明する。
【0141】
実施例3:GRDF−ザレプロン 25mg IR 10mg CR 15mg
GRDFタイプ:即時放出(IR)−カプセルコーティング、外層−フレーム層−内層−外層(それぞれの外層は2つの開口部を有する)
【0142】
【表5】

【0143】
【表6】

【0144】
【表7】

【0145】
【表8】

【0146】
実施例4:GRDF−ザレプロン 25mgの放出プロファイル
活性成分の即時放出及び制御放出の両方を与えるGRDFの能力を説明するために、カプセルの即時放出コーティング層に10mgのザレプロンと、実施例3に記載の制御放出内部層に15mgのザレプロンとを含有する25mgのザレプロンGRDFの放出プロファイルを求めた。
【0147】
実験を、pH 1.2、2.50rpmで米国薬局方(USP)溶解装置において擬似胃液(SGF)で行った。図3に示されるように、即時放出は10分以内に起こり、徐放は2時間見られた。
【0148】
これらの実験は、即時放出様式で及び制御放出様式でザレプロンを効率的に送達する本発明のGRDFの能力を説明する。
【0149】
実施例5:健常な被験者における即時放出Sonata薬物動態プロファイルと比較したザレプロンGRDFの薬物動態プロファイル
単回投与、三元、夜間、交差研究を、12人の健常なボランティアにおけるSonataに対する胃滞留性二重放出ザレプロン(AP−ZP)の薬物動態を比較するために行った。主目的は、試験製剤及び参照製剤の経口投与後のザレプロンの血漿濃度により薬物動態パラメータ(Cmax、Tmax、AUC)を評価することであった。研究設計は、健常なボランティアにおける単一施設、単回投与、非盲検、三元交差、比較薬物動態的研究であった。
【0150】
A)GRDF−ZP 22.5mg(12.5mg IR及び10mg CR)−実施例1
B)GRDF−ZP 25mg(10mg IR及び15mg CR)−実施例3
C)即時放出としての参照製剤Sonata20mg(King Pharmaceuticals INC.)
ボランティアは標準的な夕食の3.5時間後、240mlの水で全ての経口製剤を全て嚥下した。薬剤の薬物動態挙動を適合させるために、投薬する前に、またその後頻繁な間隔で静脈血試料を採取した。ザレプロン血漿レベルを分析した。研究結果を以下の表及び図4に示す:
【0151】
【表9】

【0152】
【表10】

【0153】
【表11】

【0154】
結果は、ザレプロンの胃内滞留性二重放出送達が即時でかつ安定した治療レベルをもたらすことを示す。両方の胃内滞留性剤形は即時放出製剤と比較して同程度又は優れたバイオアベイラビリティを示す。吸収相は参照薬剤の1時間と比較して両方の製剤では5時間まで増大した。用量に相関したCmax比例関係の喪失が明らかであり、真の制御放出挙動と一致する。
【0155】
実施例6:GRDF−ザレプロン 30mg IR 15mg CR 15mg
GRDFタイプ:即時放出(IR)−2つの超外フィルム、外層−フレーム層−内層−外層(各外層は4つの開口部を有する)
【0156】
【表12】

【0157】
【表13】

【0158】
【表14】

【0159】
【表15】

【0160】
実施例7(比較例):ザレプロンの胃滞留性二重放出(即時及び制御)製剤(AP−ザレプロン)の薬物動態:即時放出の標準ザレプロン(Sonata)との比較−16人の健常なボランティアにおけるSonataに対する胃滞留性二重放出ザレプロン(AP−ZP)の薬物動態を比較するための単回投与、三元、交差研究
主目的は試験製剤及び参照製剤の経口投与後にザレプロンの血漿濃度から薬物動態パラメータ(Cmax、Tmax及びAUC)を評価することであった。研究設計は、健常なボランティアにおける単一施設、単回投与、非盲検、三元交差、比較薬物動態的研究であった。
【0161】
試験製剤:
GRDF−ZP 27.5mg(12.5mg IR及び15mg CR)
GRDF−ZP 30mg(10mg IR及び20mg CR)−実施例6
即時放出としての参照製剤Sonata10mg(King Pharmaceuticals INC.)
ボランティアは、夕食及び夜の間食後の就寝時投与をシミュレートするために、食事の2.5時間後及び間食の0.5時間後、240mlの水で全ての経口製剤を全て嚥下した。薬剤の薬物動態挙動を適合させるために、投薬する前に、またその後頻繁な間隔で静脈血試料を採取した。ザレプロン血漿レベルを分析した。研究結果を以下の表及び図5に示す。
【0162】
両方のGRDF−ザレプロン製剤は薬剤の吸収相の有意な増大を示した。
【0163】
実施例8:夜間の胃滞留
GRDFの胃滞留性能をPK研究の類似条件下でのMRI研究で試験した。GRDFカプセルを3時間後すぐに(fast)10人の被験者に投与した。投薬の3.5時間前に夕食を与え、30分以内に食事した。朝食までさらなる食べ物は与えられなかった。
【0164】
この研究に関しては、GRDFの薬剤リザーバー層は、活性成分の代わりに、磁気共鳴映像法(MRI)で可視化することができる酸化鉄食品着色料(sicovit black el72)を含有していた。MRI測定を投薬後2時間、4時間、6時間、8時間、10時間及び12時間で行った。
【0165】
結果の要約:
【0166】
【表16】

【0167】
この研究結果は、胃滞留期間が薬物動態性能に適切に相関することを実証した。
【0168】
[関連出願の相互参照]
本願は2008年12月4日付けで出願された米国仮特許出願第61/120,051号に対する優先権を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の胃及び胃腸管での制御放出のための第1の投与量のザレプロンと、任意で即時放出のための第2の投与量のザレプロンとを含む生分解性の多層ザレプロンの胃内滞留性剤形であって、胃液と接触すると迅速に崩壊するカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれ、該カプセルが崩壊するときに該胃液と接触すると、迅速に解けるように構成されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項2】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、経口投与用に設計され、容易に嚥下される標準サイズのカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項3】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、
a.内層での制御放出のための第1の投与量のザレプロン、
b.堅固なフレーム層、及び
c.1つ又は2つの外層、
を含み、前記内層、前記フレーム層及び前記1つ又は2つの外層がカプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれ、該カプセルが任意で即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む少なくとも1つのコーティングでコーティングされていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項4】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、
a.制御放出のための第1の投与量のザレプロンを含む内層、
b.堅固なフレーム層、
c.2つの外層、及び
d.即時放出のための第2の投与量のザレプロンを含む1つ又は2つの超外層、を含み、前記内層、前記フレーム層、前記2つの外層及び前記1つ又は2つの超外層が前記カプセル内に圧縮されるか又は折り畳まれていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項5】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、任意で、制御放出のための約10mg〜約30mgの第1の投与量のザレプロンと、即時放出のための約5mg〜約15mgの第2の投与量のザレプロンとに分割された、約15mg〜約35mgの用量のザレプロンを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項6】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記カプセルの前記コーティングでの即時放出のための12.5mgの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための10mgの用量のザレプロンとに分割された、22.5mgの用量のザレプロンを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項7】
請求項6に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、2つの外層を有することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項8】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記胃内滞留性剤形が、それぞれ4つの開口部を有する2つの外層と、堅固なフレーム層と、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み、前記カプセルが即時放出のためのザレプロンを含むコーティングでコーティングされていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項9】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、25mgの用量のザレプロンを含み、前記25mgの用量のザレプロンは、任意で前記カプセルの前記コーティングでの即時放出のための10mgの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための15mgの用量のザレプロンとに分割されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項10】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層(単数又は複数)が、前記ザレプロンを含有する前記内層に隣接する1つ又は複数の位置で穿孔され、該ザレプロンの前記胃内滞留性ザレプロン剤形からの放出を促進させることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項11】
請求項9に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、穿孔機を用いて前記穿孔を行い、該穿孔の直径が約0.2mm〜約2mmであることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項12】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記胃内滞留性剤形が、それぞれ2つの開口部を有する2つの外層と、堅固なフレーム層と、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み、前記カプセルが任意で即時放出のためのザレプロンを含有するコーティングでコーティングされていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項13】
請求項4に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記2つの超外即時放出層のそれぞれでの即時放出のための7.5mgの2つの用量のザレプロンと、前記内層での制御放出のための15mgの用量のザレプロンとに分割された、30mgの用量のザレプロンを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項14】
請求項4に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、更に、2つの超外層を含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項15】
請求項4に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、即時放出のためのザレプロンを含有する2つの超外層と、堅固なフレームと、制御放出のためのザレプロンを含有する内層とを含み、各外層が4つの開口部を有することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項16】
請求項6に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、薬物動態プロファイルが図4に示す薬物動態プロファイル(曲線12.5/10)と類似することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項17】
請求項6に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、単回投与後およそ30分で約15ng/ml〜約25ng/mlのザレプロンの平均血漿濃度が与えられ、該平均血漿濃度が約4時間〜約5時間、この範囲内にあるままであることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項18】
請求項8に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、薬物動態プロファイルが図4に示す薬物動態プロファイル(曲線10/15)と類似することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項19】
請求項8に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、単回投与後およそ30分で約15ng/ml〜約30ng/mlのザレプロンの平均血漿濃度が与えられ、該平均血漿濃度が約4時間〜約5時間、安定したままであることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項20】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、4時間を超えるザレプロン胃滞留期間を与えるように構成されていることを特徴とする生分解性の多層制御放出胃内滞留性剤形。
【請求項21】
請求項1に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、最大12時間のザレプロン胃滞留期間を与えるように構成されていることを特徴とする生分解性の多層制御放出胃内滞留性剤形。
【請求項22】
最大12時間の期間にわたりザレプロンの治療的な血漿濃度を与え、睡眠維持の改善をもたらす方法であって、ザレプロンの生分解性の多層胃内滞留性剤形をそれを必要とする被験者に経口投与することを含み、該胃内滞留性剤形が投与後およそ30分〜およそ12時間で治療的に有効な血漿レベルのザレプロンを与える、方法。
【請求項23】
最大12時間の期間にわたりザレプロンをそれを必要とする被験者に投与した後、ザレプロンの治療的な血漿濃度の急激な上昇を排除すると共に、睡眠維持を改善する方法であって、前記被験者にザレプロンの生分解性の多層胃内滞留性剤形を経口投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
それを必要とする被験者において不眠症を治療する方法であって、就寝時又は眠りにつけないとき、請求項1に記載の1つ又は複数のザレプロン胃内滞留性剤形を経口投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1に記載の多くのザレプロン胃内滞留性剤形と、取扱説明書と、それらの使用上の注意とを含むことを特徴とするキット。
【請求項26】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層が前記フレーム層よりも速い速度で水和し、親水性ポリマーと胃媒体に不溶性のポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組合せを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項27】
請求項26に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、胃媒体に不溶性の前記ポリマーが1つ又は複数のタイプのポリメタクリレートUSPからなる群から選択されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項28】
請求項26に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層が可塑剤としてプロピレングリコールを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項29】
請求項26に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層中の前記ポリマーの組合せがゼラチンを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項30】
請求項29に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層中のゼラチンの量が総外層組成の約20%〜約45%であることを特徴する生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項31】
請求項26に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記外層が環境から前記内部層への胃媒体の通過を可能にし、該内部層から該環境へのザレプロンの通過を阻害することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項32】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記堅固なフレーム層が5.5未満のpHで実質的に不溶性である分解性の腸溶ポリマーからなる群から選択されるポリマーと可塑剤とを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項33】
請求項32に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記堅固なフレーム層中の前記腸溶ポリマーが、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸クエン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル及びメチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマーからなる群から選択されることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項34】
請求項32に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記堅固なフレーム層中の前記ポリマーがポリメタクリレートコポリマーであることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項35】
請求項32に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記堅固なフレーム層が、約0.5Kgf/mm〜15Kgf/mmの範囲のヤング率、及び擬似胃液において1時間後、約0.03Kgf/mm〜約0.6Kgf/mmの応力で説明される機械的強度を有することを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項36】
請求項32に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記フレーム層が任意で充填剤、界面活性剤、さらなる可塑剤及び他の好適な材料をさらに含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項37】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記内層がザレプロンと少なくとも1つのポリマーとを含み、ザレプロンが該ポリマーに実質的に均一に分散するか、又は該ポリマーと固体溶液を形成し、ザレプロンは前記胃内滞留性剤形が胃媒体と接触すると前記内層から放出されることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項38】
請求項37に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記少なくとも1つのポリマーが、水溶性ポリマー、水及び有機溶媒に可溶性のポリマー、並びにザレプロン安定性及び/又は水性媒体中での溶解性を増大することが可能であるポリマーからなる群から選択されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項39】
請求項37に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記少なくとも1つのポリマーが、水性媒体中で膨潤することが可能である水溶性ポリマーから選択されることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項40】
請求項37に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記内層が少なくとも1つの可塑剤をさらに含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項41】
請求項37に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記内層が任意で充填剤、界面活性剤、及び/又は他の好適な材料をさらに含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項42】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記内層が、粉末、粒状粉末、ミニチュア錠剤、コーティング粉末、半固体組成物及びそれらの組合せからなる群から選択される形態でザレプロンを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項43】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記カプセル上の任意の前記コーティングが少なくとも1つの層を含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項44】
請求項43に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記コーティングが胃媒体に即時可溶性である少なくとも1つのポリマーを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項45】
請求項43に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、ザレプロンが前記コーティングに均一に分散されるか又は溶解するように構成されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項46】
請求項43に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記コーティングが可塑剤又は可塑剤の組合せをさらに含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項47】
請求項43に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記コーティングが任意で少なくとも1つの粘着防止剤をさらに含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項48】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記内層、前記フレーム層及び前記1つ又は2つの外層を超音波溶接により接合下ことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項49】
請求項48に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、胃液に曝されて15分以内に少なくとも20mmの長さまで解かれるように構成されていることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項50】
請求項48に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記胃内滞留性製剤が擬似腸液中で3時間以内に完全に分解可能であることを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項51】
請求項3に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、任意で、各外層を覆う付加層を含み、該付加層は、前記カプセル内で折り畳まれる場合、該付加層上への前記外層の付着を妨げる粉末又はフィルムを含み、前記付加層が粉末、ポリマー又はその組合せを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項52】
請求項4に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、前記1つ又は2つの超外層が前記胃内滞留性剤形の片側又は両側で前記外層に貼り付き、該超外層がザレプロンと、水溶性ポリマー、可塑剤、胃での薬剤の即時放出を目的とする可溶化剤、崩壊剤及び流動促進剤からなる群から選択される1つ又は複数の不活性成分とを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。
【請求項53】
請求項52に記載の生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形において、任意で、各超外層を覆う付加層を含み、該付加層は、前記カプセル内で折り畳まれる場合、該付加層上への前記超外層の付着を妨げる粉末又はフィルムを含み、前記付加層が粉末、ポリマー又はその組合せを含むことを特徴とする生分解性の多層ザレプロン胃内滞留性剤形。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−510987(P2012−510987A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539117(P2011−539117)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007731
【国際公開番号】WO2010/064139
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511137138)インテック ファーマ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】