説明

シアナート及びシラザンから成るハイブリイドポリマー、その製造方法、及びその使用方法

本発明は、2官能性、オリゴ観官能性、及び/又はポリ官能性のシナート及び/又はそのプレポリマーと、モのマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザンの反応によって製造された、ハイブリッドプレポリマー及び−ポリマーに関する。このポリマーは、デュロマーであり、該デュロマーは、ガラス転移温度が高く、及びそれぞれのシアナート−出発材料から構成されるディユロマーと比較して、破断強さが非常に高い。これらは、プレポリマー化された状態で、溶媒に溶解し、及び従って、例えば含浸樹脂として、プレプレグのために適切である。更に、これらは、成形体に加工される。本発明の材料は、その火災特性が特に卓越している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2官能性、オリゴ官能性、及び/又は多官能性シアナート、及び/又はそのプレポリマーと、モノマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザンの反応によって製造されるハイブリッドプレポリマー、及び−ポリマーに関する。このポリマーはデュロマーであり、該デュロマーは、ガラス転移温度が高く、及びそれぞれのシアナート−出発材料から成るデュロマーと比較して破断強さ(Bruchzahigkeit)が非常に高い。これらは、予備重合した状態で溶媒に溶解し、及び従って、例えばプレプレグのための含浸樹脂として適切である。更に、これらは成形体に加工することができる。その火災特性(Brandeigenschaft)が、特に優れている。
【背景技術】
【0002】
成形体、例えば鋳造プラスチック、被覆された平坦な構造体、接着剤、付着剤、及び他の材料から成る成形体を形成するために、大量の軽合成物質を使用するが、これは耐火性であるか、耐火性であるように作用すると同時に、機械的に安定である必要がある。ここで、火災挙動で要求される事項について、少ない熱放射性、低い煙ガス密度、発生した火災ガスの低い毒性、及び高い火災残留物(火災遅れ:Brabddruckstand)が、しばしば挙げられる。
【0003】
これらの目的のために、液体状、又は粘性の樹脂が組み込まれ、該樹脂は、熱、及び/又は圧力を使用して後架橋(後に網目状結合すること)される。上述した火災での高い要求のために、このような目的のための樹脂として、フェノール樹脂が優先的に問題になっている。しかし、フェノール樹脂は、要求される機械的特性を提供することができない;使用の際に、例えば衝撃負荷(Schlagbelastung)が発生し、特に、その高い脆性(Sprodigkeit)が問題になる。
【0004】
更に、種々の用途のための樹脂の製造において、特殊な要求が存在する。一例では、粘性挙動(いわゆるタック、或いはタックの再活性化性)が挙げられ、これは、場合によっては、樹脂の変性(処方)によって保証される必要がある。このような粘性挙動は、例えば、接着剤、プリプレグ樹脂、積層用のバインダー又は付着剤のために必要とされる。
【0005】
樹脂(該樹脂から、火炎保護性、強化性の、及び成形可能な、平坦な構造体(プレプレグ)又は成形体が製造される)を処方するために、専門家は、追加的な樹脂を好んで使用したがる。(特に、)この理由は、その重合において、泡の発生をもたらし得る小分子の副生成物が発生しないからである。良好な機械的特性を有する追加的な樹脂は、エポキシド樹脂、及びシアナート樹脂である。今日、市販されているエポキシド樹脂は、多くの目的のために、十分に非燃焼性(耐火炎性)であるとは言えない。この理由は、エポキシド樹脂は、高い(許容できない)熱ポテンシャル(又は火災荷重)、特殊な煙ガス密度を示すからである。電子工学から、高い非燃焼性のハロゲン化されたエポキシド樹脂が公知である。ハロゲンの導入は、しかしながら、火災が起きた場合に、毒性が高く、及び腐食性のガスを発生させ、従って、たいていの場合、その使用は考慮されない。
【0006】
これに対して、シアナート樹脂は、その高い窒素−部分、及び網目状構造によって、本来的に(内在的に)非燃焼性(Flammwidrigkeit)である。これは、火災時に、低い熱放射性を、低い煙ガス密度、及び低い有毒ガス部分と結びつけるものである。シアナート樹脂は、通常、高いガラス転移温度、及び低い破壊靱性(Bruchzahigkeit)を有する。
【0007】
「シラザン」という用語は、通常、基R123Si−N(R4)SiR567を含む化合物を意味する。これらの基で、非常に単純な代表例は、ジシラザン、H3Si−NH−SiH3である。環式、及び直鎖状のシラザンは、構成単位−Si(R12)−N(R3)−を含むか、又はこれから構成される。基礎構造から出発して、種々のシラザンが発展し、そしてシリコンにおけるその置換基は、例えば、水素の他に、アルキル、アルキレン、又はアリール、及び窒素における置換基は、水素の他にアルキル又はアリールであることが可能である。オリゴマー及びポリマー構造が存在し、追加的な基、例えば尿素基、及び種々の環及び複数環の組み込みも可能である。
【0008】
イソシアナート、イソチオシアナート、ケテン、チオケテン、カルボジイミド及び二硫化炭素を加えた、ポリシラザンの重合が特許文献1(US4929704)、特許文献2(US5001090)、及び特許文献3(US5021533)に記載されている。生成物は、これにより、シリコンニトリド(シリコン窒化物)を含有するセラミックのための出発材料として適しているか否か調査される。特許文献4(US5843526)及び特許文献5(US6165551)には、所定の化合物が記載されており、該化合物は、ポリ尿素シラザンと硼素化合物の反応よって製造される。特許文献6(6534184B2)には、ポリシラザン/ポリシオキサン−ブロック−コポリマーが記載されている。
【0009】
以前には、特定のポリシラザンとイソシアナートの反応が綿密に調査されていた。芳香族イソシアナートを使用した場合、この反応は、室温で、激しく−迅速な−及び強力な発熱性のものであり、一方、脂肪族イソシアナートを使用した場合、この反応は穏健に進行し、そして場合によっては、(完全に進行させるために)ゆるやかに加熱することが必要とされる。ここで、イソシアナート基が、シラザンのSi−N−基の間に挿入され、これにより、ポリマーの中に尿素基が見出される。従って、ポリシラザンのモノイソシアナートとの反応は、生成物の重合状態を変えることがなく、そして材料中に、追加的な反応基を組み込むことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US4929704
【特許文献2】US5001090
【特許文献3】US5021533
【特許文献4】US5843526
【特許文献5】US6165551
【特許文献6】6534184B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の発明者は、ポリシアナートよりも火災挙動が改良され、高いガラス転移温度を有し、及び(比較的に)非常に高い破壊靱性を有するポリマーを提供することを課題とした。このポリマーは、一方では、成形可能な/溶解(融解)可能なプレポリマーを介して製造されるべきであり、そしてこれは、比較的に温和な条件下で、物質中、又は溶液中に得ることができ、そして例えばプレプレグ、又は成形耐の製造に適しており、これらから、(圧力及び/又は高い温度下で)後架橋によってデュロマーが形成されるものである。他方では、このポリマーは、例えば(出発成分を混合することにより得ることができる)鋳造プラスチックを硬化させることにより、一工程で製造可能とするべきものである。
【0012】
これらの要求は、いわゆるRTM−樹脂のプロフィールに対応する。RTM−樹脂は、温和な温度で、なお液状である所定の状態に移行し、そして従って、注入法に適しており、すなわち、予備成形体(予備成形体は、例えば安定した織物を含むことができる)を比較的薄い液体樹脂で浸漬させることが行われる方法に適している。現在、特に、全てのエポキシド−及びビスマレイミド樹脂がRTM−樹脂として使用されているが、これらは全て、難燃性(Flammfestigkeit)が十分ではない。更に、後架橋の温度(現在、約200℃)を更に下げることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、発明者は、これらの課題が、シアナート(シアン酸塩)及びシラザンから構成されるハイブリッド−プレポリマー及び−デュロマーを製造することにより、解決されることを確かめることができた。
【0014】
イソシアナート(Isocyanate)は、上述したように、シラザンのSi−N−結合中に、尿素基の形成下に挿入される。ここで、イソシアナート基中の窒素がネガティブな、そして炭素がポジティブな部分電荷を有し、これにより、窒素のシリコンへの結合、及び炭素の窒素のへの結合の形成下に、「挿入」が行なわれ、ここでイソシアナート基中のN=C−結合が、単結合に変化されるという構成が重要である。シラザンのシアナートとの反応について、当業者は、同様のメカニズムで、2個の分子への分裂を期待する。この理由は、酸素にネガティブな部分電荷を有し、及び炭素にポジティブな部分電荷を有するシアナート基の、シラザンのSi−N−結合への挿入は、シアナートのO−C−単結合を分裂させるはずだからである。
【0015】
驚くべきことに、それでもなお、シラザンとシアナートとの組合せから、重合性の樹脂が得られる。発明者は、アリールシアナートを使用した幾つかのモデル実験で、第1の工程で、ニトリル基が、シラザン基の窒素(の上)に移されることを確かめた。ここで形成されたアリールアルコールは、第2の工程で、更なるシラザンの、又は形成されたニトリル置換されたシラザンのSi−N−結合を裂き、及び特にシアンアミドを形成する。更に、ニトリル末端基を含む中間生成物を介して、最終的に、トリアジン構造を形成する。トリアジアン構造は、それぞれ、シラザンの部分が、−O−R−及び/又は−NH−R−基礎で置換されている。従って、使用されるシアナートの、2−ないしは多官能性に基づいて、本発明に従うハイブリッド−プレポリマー内に、これらの基を介して、ネットワーク(網目構造)が形成される。シアナートが、シラザンに対して過剰に使用された場合、重合可能な樹脂が特に形成されるが、これについては後述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例3a(曲線A)及び3b(曲線3b)に従う反応の発熱を示した図である。
【図2】純粋なシアナートの硬化の、即ち、PT15(−ΔH(J/g-1)=696)、L10(−ΔH(J/g-1)=651)及びB10(−ΔH(J/g-1)=569)の発熱を示した図である。
【図3】等価割合が1:1の、TGPAP及びPT15から成る混合物の硬化の発熱を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に従うハイブリッド−プレポリマーは硬化して、改良された特性を有するデュロマー(Duromer)になる。純粋なシアナートと比較して、特に改良された破断強さを得ることができる。デュロマーの製造における硬化温度は、純粋なシアナートに対して、及びほかのシアナートポリマー、例えばエポキシド−シアナートに対して、低い;反応の発熱は、少なくなり、従って反応が容易になる。最後に、耐火性(Brandfestigkeit)が明確に改良される。この耐火性は、イソシアナート−シラザン−コポリマーの耐火性よりも優れており、そしてかりに、デュロマーが、比較的少量のシラザンしか含まない場合であっても、その高い窒素含有量に基づいて、本来的に耐火性である。
【0018】
本ハイブリッドポリマーは、1種以上の2官能性、オリゴ官能性、又は多官能性シアナート、又はその混合物、及び/又はそのプレポリマーと、1種以上のモノマー性、オリゴマー性、又はポリマー性シラザン、又はその混合物、及び場合により、追加的に、1種以上の更なる成分の反応により得ることができる。ここで、出発成分の混合物を使用することでき、また、溶媒(該溶媒中に両成分を溶解させる)中で反応を行うこともできる。ここで第1の工程でプレポリマー(該プレポリマーは、溶解性、及び/又は更に融解性であり、そして更に高い温度下で硬化し、デュロマーが発生する。)が発生する。この替わりに、出発材料が混合され、所望の形態で使用され、及び1工程(1段階)で硬化される。
【0019】
「オリゴ官能性シアナート」という用語は、(本発明に従う)3〜10個のシアナート基を有するシアナートと理解される。従って、多官能性シアナートは、少なくとも11個のシアナート基を有するものである。
【0020】
「オリゴマー性シラザン」は、2〜10個のシリコン原子を有する、本発明に従うシランザンであると理解される。従って、ポリマー性シラザンは、少なくとも11個のシリコン原子を有するものである。
【0021】
使用可能なシラザン、又はオリゴ−/ポリシラザンは、一般式(I):
【0022】
【化1】

又は一般式(II):
【0023】
【化2】

又は一般式(III):
【0024】
【化3】

【0025】
(但し、
(a)R2及びR3が、同一又は異なるもので、及び水素、又は直鎖状の、枝分れした、又は環式の、置換された、又は−好ましくは−無置換のアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルケニルアリール、又はアリールアルケニルを意味し、
ここで、各置換基R2及びR3が、異なる単位のm及び/又はoが1よりも大きい場合には、異なる意味を有することができ、好ましくは同一の意味を有し、
2’及びR3’が、同一又は異なるもので、及び直鎖状の、枝分れした、又は環式の、置換された、又は−好ましくは−無置換のアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルケニルアリール、又はアリールアルケニルを意味し、
ここで、各置換基R2’及びR3’が、異なる単位のn及び/又はoが1よりも大きい場合には、異なる意味を有することができ、好ましくは同一の意味を有し、
又は
(b)R2及びR2’が上述した意味を有し、及び−少なくとも一つの基R3及び少なくとも一つの基R3’が存在する場合には−基R3及基R3’の全て、又は各一部が、一緒に、無置換の、又は置換された、直鎖状の、又は枝分れした、好ましくは2個の架橋結合した炭素原子を有するアルキレン基を意味することができ、ここで、場合により、基R3及基R3’の残りの部分が、(a)に記載した意味を有し、
及び、
4及びR4’が、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、又は−好ましくは−水素を意味し、ここでシラザン−分子内の複数の基R4及び/又はR4’が、同一であるか、又は異なることができ、
1及びR5が、同一であるか、又は異なり、及びR2ないしはR3と同じ意味を有することができ、ここで、R5が更にまたSi(R1)(R2’)(R3’)を意味することができ、又はR1及びR5が、一緒に、単結合を意味し、
6が、Si(R2)(R2’)−X−R7−Si(R2q(OR2’)3-qを意味し、ここでXが、O又はNR4を意味し、
7が、単結合又は置換された、又は−好ましくは−無置換の直鎖状の、枝分れした、又は環式のアルキレン基を意味し、及びqが、0、1、2又は3であることが可能であり、
Pが、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基であり、好ましくはエチレンであり、
m及びpが、互いに独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11〜25000の整数を意味し、好ましくは11〜200の整数を意味し、及び
n及びoが、互いに独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11〜25000の整数を意味し、好ましくは11〜200の整数を意味し、
角付き括弧内に記載された単位は、好ましくはランダムで、他の場合には、この替わりに、ブロック状に、及び場合によっては、交互に規則的に(均等に)、それぞれの分子内に割り当てることができる)
を有する。
【0026】
式(I)〜(III)を有するシラザンの定義に関して、「単位」という用語は、それぞれ、角付き括弧内に記載され、及び(分子内のこれらの単位の量を与える)インデックス(m、n…)で与えられる分子部分が該当する。
【0027】
第1の好ましい実施の形態では、式(I)〜(III)内で、それぞれシリコン原子で結合している置換基(R2及びR3ないしはR2’及びR3’)は、次のように選ばれる:水素原子、更なるアルキル基、アルキレン基、好ましくはビニル基、又はフェニル基と結合したアルキル基。
【0028】
これとは独立した、第2の好ましい実施の形態では、式(I)〜(III)中のアルキル−、又はアルキレン基は、1〜6個の炭素原子を有する。メチル−、エチル−、及びビニル基が特に好ましい。好ましくは、アリール−、アリールアルキル−、アルキルアリール−、アルキレンアリール−、又はアリールアルキレン基は、5〜12個の炭素原子を有する。フェニル−、及びスチリル基が特に好ましい。この実施の形態は、第1の実施の形態と組み合わせることが特に好ましい。
【0029】
これとは独立した、式(I)〜(III)の更なる好ましい実施の形態では、R4及び/又はR4’は、水素とメチルから選ばれる。
【0030】
これとは独立した、第4の実施の形態では、R2、R3、R2’及びR3’は、好ましくは、アルキル、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキルから選ばれる。
【0031】
これとは独立した第5の実施の形態では、置換基R2、R3、R2’及びR3’は、フッ素原子を有する。この実施の形態は、第4の実施の形態と組み合わせることが特に好ましい。
【0032】
これとは独立した、式(I)の好ましい実施の形態では、インデックスoは、0である。
【0033】
式(I)又は(II)の、更なる独立した好ましい実施の形態では、インデックスmは、それぞれ0である。
【0034】
更なる独立した、好ましい実施の形態では、R1及びR5は、一緒に、単結合を形成する。この実施の形態は、oがゼロであり、及び場合により、インデックスmもゼロである、式(I)を有する化合物が特に好ましい。
【0035】
更なる、独立した、好ましい実施の形態では、oは0であり、及びmとnが1よりも大きく、及び好ましくは2〜25000の範囲であり、特に2〜200の範囲である。ここで、m及びnは同一又は異なることが可能である。追加的に、又はこの替わりに、m及びnは、単位をランダムに、又は規則的(均等)に割り当てた状態にすることができる。ここで、これらは、ブロック状に、又は非ブロック状に配置することができる。
【0036】
これとは独立した、更なる好ましい実施の形態では、式(I)中のn及びoは、零の意味を有し、及びR5は、Si(R1)(R2’)(R3’)の意味を有する。この実施の形態(ここで、m=1である)の例は:
【0037】
【化4】

である。
【0038】
これらの例における、個々の結合線は、特にアルキル、極めて好ましくはメチルのために適しており、これらはしかし、水素化合物のために、又は部分的にアルキルのため及び部分的に水素化物のためにも適している。
【0039】
更なる独立した、好ましい実施の形態では、式(I)内のmは、1、2、3、4、5、又は6〜50の範囲の整数を意味し、一方n及びoは零であり、又はこれらのシラザンの異なるものの混合物が使用される。ここで、置換基R1及びR5は、同一であるか、又は異なることができ、及びR2ないしはR3と同様の意味を有しており、ここで、R5は、更に、Si(R1)(R2’)(R3’)を意味することができる。この又はこれらのシラザンは、場合により、特に、(R1とR5が、一緒に、単結合を形成している)シラザンとの混合物中に存在することができる。
【0040】
このための例は、以下のオリゴマー/ポリマーである。
【0041】
【化5】

【0042】
更なる、独立した好ましい実施の形態では、式(I)内のoは零であり、一方、mとnが、同一又は異なるもので、及び2と200〜25000の間(の範囲)を意味している。ここで、置換基R1及びR5は、同一であるか、又は異なることができ、及びR2ないしはR3と同様の意味を有しており、ここで、R5は、更に、Si(R1)(R2’)(R3’)を意味することもできる。この又はこれらのシラザンは、場合により、特に、(R1とR5が、一緒に、単結合を形成している)シラザンとの混合物中に存在することができる。
【0043】
このための例は、以下のオリゴマー/ポリマーである:
【0044】
【化6】

【0045】
(但し、角付き括弧内に記載された(分子内の)単位は、ランダムに、場合により、この替わりにブロック状に、及び他の場合には、規則的に(上述した割合で)相互に配置され、及び分子は、末端の水素原子又はアルキル−又はアリール基を含んでいる)。
【0046】
更なる独立した、好ましい実施の形態では、インデックスnとoが同様に零であり、インデックスmが3の意味を有し、及びR1とR5が、一緒に、単結合を示している。この実施の形態は、通常、式(Ia)によって示される:
【0047】
【化7】

【0048】
(ここで、R2、R3及びR4は、式(I)について示された意味を有している)。
【0049】
式(I)の、更なる独立した好ましい実施の形態では、nとoが同様に零であり、mが2、3、4、5、6、7、8、9、10又は上述した数の意味を有し、及びR1とR5が、一緒に、単結合を示している。これらの化合物は、更に例えば以下の式
【0050】
【化8】

によって示され、ここで、角付き括弧内に記載された単位は、n−重に存在する。
【0051】
式(I)及び(II)の、更なる独立した好ましい実施の形態では、mとnは、それぞれ、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は上述した数を意味し、及びR1とR5が、一緒に、単結合を示している。これらの化合物(ここで、oないしはpは零に等しい)は、更に例えば以下の式
【0052】
【化9】

によって示され、ここでまた、角付き括弧内に記載された(分子内の)単位は、ランダムに、又はブロック状に、多くの場合、規則的(均一)に配置され、m−ないしはn−重、最後に示した式の場合には一緒に(m+n)−重に、上述した割合(関係)で一緒に存在し、分子は、閉じた鎖形式で存在する。この変形例は、特に、対応する開鎖シラザンとの混合物中に存在することができ、及び本発明のために使用することができる。
【0053】
式(I)又は(II)の、更なる独立した好ましい実施の形態では、インデックスnは0に等しく、及びインデックスmとo、ないしはpが1よりも大きく、及び好ましくは2と200〜25000の間(の範囲)に存在する。式(I)のための例は、以下に示す特定のシラザンである:
【0054】
【化10】

【0055】
この実施の形態では、mとoが、単位を規則的(均等)に割り当てるように、同じ数で存在し、すなわち、単位oが単位mに常に続くことが特に好ましい。これに対して、式(II)の化合物中で、m及びpは、単位を、好ましくはランダム、又はブロック状に配置することができる。
【0056】
式(II)の、更なる独立した、好ましい実施の形態では、p−重に存在する単位内の置換基R4は、フェニル基を意味する。
【0057】
他の独立した、式(I)の好ましい実施の形態では、oは0に等しく、R1とR5は、単結合を意味し、mとnは、それぞれ2以上を意味し、及び全ての基R3は、基R3’と一緒に、アルキレン基を形成している。この実施の形態のための一例は、以下のシラザン:
【0058】
【化11】

である。
【0059】
好ましいと記載した、複数の上記実施の形態が相互に排除しない限り、これらの2種以上を組み合わせることが極めて好ましい。
【0060】
更なる独立した、好ましい実施の形態では、シラザン−成分の追加的な架橋(網目状結合)を達成するために、少なくとも2種のシラザンの混合物、又は少なくとも1種のシラザンと少なくとも1種のシランの混合物が使用される。ここで、成分は、以下の条件のものに属するべきである:
(a)(第1の)シラザンが、少なくとも1つのN−H−基を含み、第2のシラザンないしはシランが、少なくとも1つのSi−H−基を含む。これらの成分(構成要素)は、脱水素結合によって(H2の分裂、及びSi−N(Si)−基の形成下に)架橋される。
(b)(第1の)シラザンが、少なくとも1つのSi−ビニル基を含み、第2のシラザンないしはシランが、少なくとも1つのSi−H−基を含む。ヒドロシラザンないしはヒドロシランは、基−Si−C−C−Siを形成下に、C=C−二重結合を有する(ヒドロシリル化)。
(c)NH−基を有する第1のシラザンが、第2のシラザンと一緒に、アミノ基転移を受ける。ここで、基Si−N(Si)−Siを有する架橋された生成物及びシリルアミンが生成される。
【0061】
この実施の形態は、(上述した基を含む場合には、)上述した全てのシラザンを使用することができる。上述した架橋反応(網目状結合反応)は、好ましくは、シアナート成分を加える前に行われる。
【0062】
本発明に従う1種以上のビニルシラザンが使用される場合、ビニルシラザンを1種以上のシアナートと反応させる前に、付加重合を受けさせることが可能である。この替わりに、二重結合の重合も、ハイブリッドポリマーの形成の後に行うことができる。
【0063】
式(I)のシラザン(oが零に等しい)が市販されており、及び標準処理によって、特にモノハロゲンシランのアンモノリシスによって、例えばUS4395460及びこの文献に記載されている引用文献に記載されているように製造することができる。ここで、例えばモノハロゲンシランと3つの有機基の反応によって、式(I)のシラザン(但し、インデックスn及びoが零であり、及びインデックスmが1を意味し、及びR5がSi(R1)(R2’)(R3’)の意味を有している)が生じる。有機基は、反応において分裂されない。
【0064】
同様に、Kion CorporationのUS6329487B1に類似して、モノ−、ジ−、又はトリシランを、圧力装置内で、液状アンモニア内で、アンモニア化(アンモノリシス化)し、そしてこれにより、一般式(I)のシラザンを得ることができる。
ここで、少なくとも1つのSi−H−結合を有するハロゲンシランのみが、及び/又はこれをジ−ないしはトリハロゲンシランと組み合わせて、過剰の、液状の、水を含まないアンモニア内で反応させ、及び長期間、この媒体内に放置する場合には、これによって発生したモニウムハロゲニド−塩、ないしは対応する酸によって、酸性にされた環境内で、時間の経過と共に、Si−H−結合の解除反応によって、重合生成物(該重合生成物中、インデックスm、n及びoは、高い値、及び/又は上述したものとは異なる割合を有している)が形成され、可能な場合には、溶解し、イオン化したアンモニウムハロゲニドの存在下に触媒作用が及ぼされる。
【0065】
同様に、US6329487B1には、対応する重合生成物を、アンモニア内に溶解したナトリウムの作用下に得ることができることが記載されている。
【0066】
更に、US4621383及びWO87/05298には、遷移金属触媒化反応による、ポリシラザンの合成の可能性が記載されている。
【0067】
シラン、ないしは対応する出発シランの混合物のシリコン原子における、有機置換基を適切に選択することにより、この方法を使用して、式(I)の種々のシラン(ここで、インデックスoが零である、)が製造され、そして直線状及び鎖状のポリマーの混合物が、しばしば発生する。
【0068】
反応メカニズムについては、所定の学術論文(die Dissertation von Michael Schulz am Forschungszentrum Karlsruhe,Institut fur Materialforschung “Mikrostrukturierung prakeramischer Polymer mit Hilfe der UV− und Rontgentiefenlithographie”,November 2003,FZKA 6901)が参照される。この文献には、式(I)のシラザンの製造方法も記載されている(この記載では、インデックスoは零で、そしてインデックスmとnを有するブロック内のシリコン原子は、異なる置換基を有している)。
【0069】
この文献では、尿素シラザンの製造も参照される:シラザンに単官能性イソシアナートを加え、(尿素基の形成下での)N−H−結合へのNCO−基の挿入反応を行う(上述した式(II)のシラザンを参照)。その他の点では、尿素シラザン及びポリ(尿素シラザン)の製造について、US6165551、US4929704及びUS3239489が参照される。
【0070】
式(III)(アルコキシ−置換シラザン)の化合物の製造は、US6652978B2から公知である。これらの化合物を製造するために、式(I)(但し、oが零である)の、モノマー又はオリゴマー/ポリマー性シラザンを、アミノ−、又はヒドロキシ基含有アルコキシシラン、例えば2−アミノプロピル−トリエトキシシランと反応させることができる。
【0071】
式(I)(但し、oが零に等しい)の化合物の製造方法は、G.Motz(G.Motz,Dissertation,Universitat Stuttgart,1995)の学術論文に、具体的に、1,2−ビス(ジクロロメチルシリル)エタンのアンモノリシス(Ammonolyse)の例で示されている。これらの化合物の特定の代表例、ABSEの製造が、S.Kokott und G.Motz,“Modifizierung des ABSE−Polycarbosilazans mit Multi−Walled Carbon Nanotubes zur Herstellung spinnfahiger Massen”,Mat.−wiss.u.Werstofftech.2007,38(11),894−900に従い、MeHSiCl2及びMeViSiCl2から構成される混合物のヒドロシリル化及びアンモノリシスによっても行われている。
【0072】
同様に、N−アルキル−置換されたシラザンが、(例えばUS4935481及びUS4595775に記載されているように、対応するハロゲンシラザンを、アルキルアミンと反応させることによって、)当業者にとって同様な方法で容易に製造可能である。
【0073】
樹脂のための出発材料として使用される多官能性のシアナートの選択は、重要(臨界的)ではない。原則として、少なくとも2官能性のシアナート物体の任意のものが使用可能である。特に、芳香族シアナート、及びこれらの中で更に、以下の構造IV〜VIIの2−又は多官能性シナアートが使用可能である。
【0074】
【化12】

【0075】
(但し、
1〜R4が、相互に独立して、水素、C1−C10−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C10−アルコキシ、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)、フェニル、又はフェノキシであり、ここで、アルキル−又はアリール基が、フッ素化、又は部分的にフッ素化されることができる)。例は、フェニレン−1,3−ジシアナート、フェニレン−1,4−ジシアナート、2,4,5−トリフルオロフェニレン−1,3−ジシアナートである;
【0076】
【化13】

【0077】
(但し、
5〜R8が、R1〜R4と同様であり、及びZが、化学結合、SO2、CF2、CH2、CHF、CH(CH3)、イソプロピレン、ヘキサフルオロイソプロピレン、C1−C10−アルキレン、O、NR9、N=N、CH=CH、COO、CH=N、CH=N−N=CH、C1−C8−アルキレンを有するアルキレンオキサアルキレン、S、Si(CH32、又は
【0078】
【化14】

である);
例は、2,2−ビス(4−シアナート−フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−シアナート−フェニル)ヘキサプロパン、ビフェニレン−4,4‘−ジシアナートである;
【0079】
【化15】

【0080】
(但し、
9が、水素、又はC1−C10−アルキルであり、及びnが0〜20の整数を意味する)、及び
脂肪族基内に少なくとも1個のフッ素原子を有する、好ましくは構造VII:
N≡C−O−R10−O−C≡N VII
(但し、R10が、少なくとも1個のフッ素原子を有する、及び特に3〜12個の炭素原子を有する二重結合の有機の非芳香族炭化水素であり、ここで、その水素原子は、完全に、又は部分的に、更なるフッ素原子で置換されることができる)
の2−又は多官能性の脂肪族シアナートである。
【0081】
上述したシアナートは、モノマーとして、又は上述した化合物の(更に架橋可能な)プレポリマーとして、単独で、又は相互間の混合物として、又は更なる、例えば単官能性のシアナートとの混合物として挿入することができる。
【0082】
使用可能なジ−、又はオリゴシアナートのための具体的な例は、次のものである:ビスフェノールAのジシアナート(4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート;B10)、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)、式VI(但し、nが、1、2、3、4、5又は6であり、R9が、水素であり、メチレン基が、その都度、シアナート基へのオルト−位に存在する)を有する化合物(PT15/PT30)。
【0083】
追加的な成分として、例えばエポキシド(例えば、ビスエポキシド)が提供される。
【0084】
挿入(使用)するシラザンの、挿入するジ−、又はオリゴシアナートに対する量的な割合は、原則として重要ではない。但し、ジ−又はポリシアナート中のシアナート基の、シラザン中のSi−N−基に対するモル割合は、シアナート基のモル的な量を過剰に、好ましくは(1種以上のシラザン中のSi−N−基のモル的な量に対して)少なくとも2倍の量で使用するように導くことが推奨される。シラザンとシアナートの(薄められていない物質として、極めて迅速に、及び可能であれば制御することなく、相互に反応する、)特定の組合せも存在する。このような組合せの反応のために、溶媒の存在が望まれない場合には、適切な態様において、シラザンの質量的な量は、シアナートの質的な量を超えるべきではなく;多くの組合せにおいて、シアナートのシラザンに対する質量割合で、少なくとも3:2、好ましくは4:1、又は7:1〜10:1、特に8:1〜10:1が推奨される。モル的な量割合に換算すると、シアナート基のSi−N−基の割合は、少なくとも約70:30(すなわち、例えば少なくとも2:1、又はそれ以上)が推奨される。当業者は、それぞれの成分の少量を一緒にすることによって、どのような量的な割合が、ここで場合によっては回避されるべきかを容易に確かめることができる。制御された反応を行うための、替わりの態様は、溶媒を加えるか、又は単位質量(すなわち、オリゴマー性、又は比較的低いポリマー性シアナート、及び/又はシラザンの単位質量)当たりの活性基の数が少ない出発材料を使用することにより、強く希釈化しての反応である。
【0085】
上述した問題が存在しない限り、重合を行うために挿入される出発材料を、溶媒の不存在下に混合することが、使用の順序のために推奨される(たいていのシラザン、及び多くのジ−及びオリゴシアナートが、室温で液状であり、又は温和な温度で、溶解される);この替わりに、反応を適切な溶媒、例えばメチルエチルケトン内で行うことができる。多くの場合、初期の反応は、自然に行われ;場合により温和に暖めること、例えば約60〜100℃に暖めることによって補助される。反応は、望ましくは酸素の排除下に行なわれ;しかしこの処理は、通常、必ずしも必要なわけではない。開始時の空気除去又はガス除去が、(場合によっては発生するガス(アンモニア)を取り去るために)しばしば好適である。ここで、数分から数時間の内に、プレポリマーが発生し、該プレポリマーは、約100℃〜250℃の温度で、デュロマーへと後架橋することができる。この後硬化は、純粋なシアナート樹脂(シアヌラート樹脂)よりも、伴う発熱が少なく、これにより、反応の実施が容易化される(実施例3a、3b、35、及び比較例、及び53と図1及び2、参照);後硬化は、使用した温度が作用するために、実際には通常、数分以内〜数時間かかる;おおまかな規則として、迅速に予備架橋される出発材料はまた、迅速に、及び/又は低い温度で、後架橋することもできると言える。上述したように、混合割合が7:3〜10:1(シアナートのシラザンに対するもの)の範囲の出発混合物は、シラザンの部分がより大きい出発混合物と比較して、反応の激しさが少ないので、この出発混合物は、この大まかな規則に従い、たいていの場合には、(シラザンリッチの混合物の場合よりも)幾分か高い温度で後硬化される。得られるポリマーは、デュロマー−特性を有している。
【0086】
この混合割合を使用して、重合された成形体、又は固体の表面特性が操作される:従って、多くの場合、重合される混合物内のシラザンのより大きいな部分が架橋可能であれば、これにより粘着性の表面が得られ、この一方で、シラザン部分がより少ない、同様の出発成分から得られるポリマーは、乾燥した表面を有することができる。
【0087】
破断強さが比較的高く、そして比較的高いガラス転移温度を有するポリマーを得るために、重合される混合物中のシラザンの部分が比較的少ないものが通常では有利である。ここで、例えば7:3の混合割合を8:2に変更すると、Tgを大きく上昇させることができる。比較的高いガラス転移温度を得るための、他の方法は、芳香族の置換されたシラザンを使用することにより行うことができる。
【0088】
当然、(他のシアナート−ポリマーの製造について公知であるように、)本発明に従うポリマーのための出発成分は、重合の充填材と一緒に使用することができる。充填材として、例えば、EP1854827A1に記載されているようなものが使用可能である。
【0089】
本発明に従うポリマーは、例えば、プレプレグの製造のために適している。ここで、溶媒中に溶解した状態の、対応するプレポリマーを、予備架橋した含浸樹脂(Trankharze)として使用することができ、これは、圧力/高温下にデュロマーに後架橋することができる。この含浸樹脂は、大量に製造されるプレポリマーの溶解により、又は溶媒中の出発材料の反応により製造することができ、そして含浸樹脂の溶媒であることが好ましい。本発明に従うポリマーは、成形体の状態で製造することもでき、これは、特に、出発材料の溶媒を使用しない混合物を使用して行なわれる。
【0090】
以下に実施例を使用して、本発明をより詳細に説明する。
【0091】
OCT(Optical Crack tracing)を使用して、1mm/minの排出速度及び10Hzの測定点割合で、破断強さを測定した。
試料のジオメトリー:CT−体 W=35mm、厚さ6mm。
【0092】
動的な機械的分析(DMA):DMA−測定を、1Hzの周波数(頻度)で、1K/minの加熱速度で行った。
【0093】
3−点−曲げ試験を、DIN EN ISO 14125に基づいて行った。
【0094】
火災調査を、50kW/m2の熱流を有するCone Calorimeterを使用して行った。
【0095】
実施例で、シアナートの、シラザンに対するそれぞれの割当の記載のために使用されている用語「等価割合(Aquivalenzverhaltnis)」は、シアナート−基のNH−基に対するモル的な割合を示している。従って、この材料の1:1の等価割合は、ジシアナートとシラザンが、(これらが、同量のNCO−及びNH−基を有するように)使用されることを意味する。
【0096】
実施例1−4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)及びヘキサメチルシクロトリシラザン(HMCTS)からのポリマーの製造
4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、室温(室温では、この物質は液状である)で、溶媒を使用することなく、約7:3の等価割合で、ヘキサメチルシクロトリシラザン(HMCTS)と混合した。
【0097】
混合物を、平坦な形状の成形型に注ぎ、そして70℃に加熱した。約2時間後、温度を200℃に上げ、そして更に2時間後、更に250℃に上げ、そして1時間、この温度で保持し、発生したプレポリマーを後硬化させた。合計で6.5時間後、温度を徐々に室温まで低下させた。軽く黄色がかった茶色の、表面が乾燥した半透明の板が得られた。
【0098】
実施例2−4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)及びトリメチルトリビニルシクロトリシラザン(TMTVCTS)からのポリマーの製造
ジシアナートを、室温(室温では、この物質は液状である)で、溶媒を使用することなく、約7:3〜約9:1の等価割合で、シラザンと混合した。
【0099】
7:3の等価割合では、70℃に加熱し、約2時間、この温度で保持した。次に、温度を200℃に上げ、そしてこの温度で1時間、保持した。合計で6.5時間後、温度を徐々に室温まで低下させた。軽く黄色がかった茶色の、半透明の板が得られた。この物質は、ガラス転移温度が約80℃であった。
【0100】
他の硬化の変形例で、混合物(約7:3〜約9:1の等価割合)を同様に、平坦な形状の成形型に注ぎ、そして70℃に加熱した。約2時間後、温度を200℃に上げ、そして更に2時間後、更に250℃に上げ、そして1時間、この温度で保持し、発生したプレポリマーを後硬化させた。合計で6.5時間後、温度を徐々に室温まで低下させた。軽く黄色がかった茶色の、表面が乾燥した半透明の板が得られた。
【0101】
出発材料(a)7:3、(b)7.5:2.5、(c)7.8:2.2、(d)8:2、(e)8.5:1.5、(f)9:1、及び(g)9.5:0.5から作られた試料、及び参照L10のための破断強さ(K1c)及びガラス転移温度(Tg)を表1に示した。
【0102】
【表1】

【0103】
概して、得られたポリマーのガラス転移温度は、シアナートの含有量が増加するに従い、上昇する。
【0104】
等価割合がそれぞれ(a)7:3、(b)7.5:2.5、(c)7.8:2.2、(d)8:2、(e)8.5:1.5、(f)9:1、及び(g)9.5:0.5のもののための火災調査(火災試験)の結果を、硬化したPT15(オリゴマー化の程度が比較的低い、市販のオリゴ(3−メチレン−1,5−フェニルシアナート)及び4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10))と対比して、表2に示した。
【0105】
【表2】

【0106】
略語:
TTI=(点火の時間;Entzundungszeit)
HRRpeak=熱放出割合ピーク(Maximale warmefreisetungsrate)
MARHE(熱放射の最大平均速度;Maximale mittlere Warmeemission)
THR=合計熱放出(Gesamt−Wamefreisetzung)
TSR=放出された煙の合計(Gesamt−Rauchfreisetzung)
【0107】
L10及びTMTVCTSが8:2と7:3の2本の棒の湿り度(Feuchigkeitsaufnahme)を、水中に保持することによって試験した。7日間の後の、平均の湿り度は、8:2の割合の出発材料でできた棒では、約0.85%で、7:3の割合の材料でできた棒では、約0.7%を下回った。28日後、これらは、両方の場合において、1を超えることが殆どなく、従って、ほとんど上昇しなかった。
【0108】
実施例3a及び3b
4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、室温で、(室温では、この物質は液状である)で、溶媒を使用することなく、8:2の等価割合で、ビニル−メチル−ポリシラザン(VL100)と混合(実施例3a)、ないしは50モル−%のジクロロビニルメチルシラン及び50モル−%のジクロロジメチルシランから得られる、環状のシラザン(VML50)と混合(実施例3b)した。ここで、混合物を、それぞれ、所定の型に移し、そして実施例2の変形例1(等価割合1:1)に従い、最大の硬化温度、200℃で硬化させた。ガラス転移温度Tgは、実施例3bからの、完全に硬化したポリマーの場合、185℃であり、実施例3aのものは、その転移温度から僅かに上回った。
【0109】
図1に、実施例3a(曲線A)及び3b(曲線3b)に従う反応の発熱を示した。−ΔH(J/g-1)についての積分は、450ないしは480の値であった。
【0110】
実施例4
実施例3を繰り返したが、ここでVML50を、ポリフェニルメチルシラザン(PML100)で代用した。比較し得る(匹敵する)結果が得られた。完全に硬化したポリマーについて、ガラス転移温度Tgは、204℃であった。
【0111】
実施例5
実施例4を繰り返したが、ここでシアナートのシラザンに対する等価割合は、7:3であった。
【0112】
実施例6
実施例3を繰り返したが、ここでVML50を、50モル%のビニルメチルシリルアミノ基と50モル%のフェニルメチルシリルアミノ基から構成される、環状のシラザン(PVL50)で代用した。完全に硬化したポリマーのガラス転移温度Tgは、190℃であった。
【0113】
UL94に対応する可燃性試験を、実施例3〜6について行った。燃焼して滴下する滴は、試験体(サンプル)からは観察されなかった。何れの試験体(サンプル)でも、完全な燃焼は観察されず;試験体は煤のようにはならなかった。実施例3〜6の、Ul94に対応する火災試験の結果を、表3に示す:
【0114】
【表3】

【0115】
実施例7
実施例3を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート(B10)で代用した。ガラス転移温度は、215℃であった。
【0116】
実施例8:
実施例7を繰り返したが、ここで、VML50を、85モル%のジメチルシリルアミノ基、及び15モル%のメチルシリルアミノ基から構成される環状(環式)のシラザン(ML85)で代用した。ガラス転移温度は、217℃であった。
【0117】
実施例9:
実施例7を繰り返したが、ここで、VML50を、100モル%のジメチルシリルアミノ基から構成される環状(環式)のシラザン(ML100)で代用した。ガラス転移温度は、215℃であった。
【0118】
UL94に対応する可燃性試験を、実施例7〜9について行った。燃焼して滴下する滴は、試験体(サンプル)からは観察されなかった。同様に、何れの場合も、試験体(サンプル)の完全な燃焼は観察されず;試験体は煤のようにはならなかった。実施例7〜9の、Ul94に対応する火災試験の結果を、表4に示す:
【0119】
【表4】

【0120】
実施例10:
実施例9を繰り返したが、ここで、4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート(B10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。ガラス転移温度は、239℃であった。
【0121】
実施例11:
実施例4を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。ガラス転移温度は、224℃であった。
【0122】
実施例12:
実施例6を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0123】
実施例13:
実施例3を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。ガラス転移温度は、238℃であった。
【0124】
実施例14:
実施例5を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。ガラス転移温度は、235℃であった。
【0125】
UL94に対応する可燃性試験を、実施例10〜14について行った。燃焼して滴下する滴は、試験体(サンプル)からは観察されなかった。何れの場合でも、試験体の完全な燃焼は観察されず;試験体は煤のようにはならなかった。実施例10〜14の、Ul94に対応する火災試験の結果を、表5に示す:
【0126】
【表5】

【0127】
実施例15
4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、室温で、(室温では、この物質は液状である)で、溶媒を使用することなく、8:2の等価割合で、85モル−%のジクロロジメチルシラン及び15モル−%のジクロロメチルシラン(ML85)から得られる、環状のシラザンと混合した。次に、混合物を、平坦なの形状の成形型に注ぎ、70℃に加熱した。そして次に200℃で硬化させた。軽く黄色がかった茶色の、半透明の板が得られた。
【0128】
実施例16
実施例15を繰り返したが、ここで、ML85を、100モル%のジクロロジメチルシラン(ML100)から製造される環状のシラザン(ML100)で代用した。
【0129】
実施例17
実施例15を繰り返したが、ここで、ML85を、50モル%のジクロロビニルメチルシラン及び50モル%のジクロロジメチルシランから製造される環状のシラザン(VML50)で代用した。匹敵する結果が得られた。
【0130】
実施例18
実施例15を繰り返したが、ここで、ML85を、50モル%のジクロロメチルビニルシラン及び50モル%のジクロロメチルフェニルシランから製造される環状のシラザン(PVL50)で代用した。
【0131】
実施例19
実施例15を繰り返したが、ここで、ML85を、100モル%のフェニルメチルシリルアミノ基から構成される環状のシラザン(PML100)で代用した。
【0132】
実施例16、17及び18についてのK1C−値、及びガラス転移温度を表6に示した。
【0133】
【表6】

【0134】
実施例15〜19の火災値(Brandwert)を、PT15及びL10(4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート)と比較して、表7に示す。
【0135】
【表7】

【0136】
実施例20
実施例15を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0137】
実施例21
実施例16を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0138】
実施例22
実施例17を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0139】
実施例23
実施例18を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0140】
実施例24
実施例19を繰り返したが、ここで、4,4’−メチルメチレン−ジフェニルジシアナート(L10)を、4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用した。
【0141】
実施例20〜24のためのK1c−値、及びガラス転移温度を表8に示した。
【0142】
【表8】

【0143】
実施例20〜24の火災値を、参照試料PT15及び4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)と比較して、表9に示す。
【0144】
【表9】

【0145】
実施例25
実施例21を、複数回、繰り返したが、ここで、シアナートのシラザン(ML100)に対する等価割合が、8:2、8.5:1.5、及び9:1であった。
【0146】
実施例25についてのK1C−値、及びガラス転移温度を表10に示した。
【0147】
【表10】

【0148】
実施例25の火災値を、参照試料PT15及び4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)と比較して、表11に示す。
【0149】
【表11】

【0150】
実施例26
フェニルメチルシリルメチルアミノ基から構成される、メチル化されたシラザン(PML100)を、8:2の等価割合で、室温でL10と、約75℃でB10と、及び100℃を超える温度でM10と混合した。
【0151】
実施例27
ジメチルシリルメチルアミノ基から構成される、メチル化されたシラザン(ML100N)を、8:2の等価割合で、約75℃で、B10と混合した。
【0152】
実施例28
試験体を、4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート(B10)及びML100Nから製造した。ここで、シアナートと、シラザンを、8:2の等価割合で、75℃で混合し、及びこの混合物を、開口した型に移した。硬化を、200℃の最大硬化温度で行った。
【0153】
実施例29
実施例28を繰り返したが、ここで、4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート(B10)を4,4’メチリデンジフェニルジシアナート(M10)で代用し、及びML100NをPL100Nで代用した。この混合を、100℃を超える温度で行った。
【0154】
実施例30
4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート−プレポリマー(B10プレポリマー、35%反応)を、8:2の等価割合で、約50℃で、50モル−%のビニルメチルシリルアミノ−及び50モル−%のジメチルシリルアミノ基から構成される、環状のシラザン(VML50)と混合した。
【0155】
実施例31
実施例30を繰り返したが、ここで、VML50を、50モル%のビニルメチルシリルアミノ−、及び50モル%のフェニルシリルアミノ基から構成される環状のシラザン(PVL50)で代用した。
【0156】
実施例32
実施例30を繰り返したが、ここで、VML50を、100モル%のフェニルメチルシリルアミノ基で構成される環状のシラザン(PML100)で代用した。
【0157】
実施例33
試験体を、4,4’−ジメチルメチレン−ジフェニルジシアナート(B10)プレポリマー(35%反応)及びVML50から製造した。ここで、この混合物を、8:2の等価割合で、約50℃で混合し、そして開口した型に移した。2工程(約130℃で2時間、及び200℃で約1.5時間)で、硬化を行った。ガラス転移温度は、224℃であった。
【0158】
実施例34
実施例33を繰り返したが、ここでVML59を、PML100で代用した。ガラス転移温度は、233℃であった。
【0159】
実施例35
混合割合が1:1ないしは1:4のL10とPT15から構成される混合物を製造し、そしてそれぞれ、VML50、PVL50及びPML100と、8:2の等価割合で混合した。混合を約50℃で行った。VML50との反応の発熱を図1に示した;−ΔH(J/g-1)が432であった。
【0160】
実施例36
混合割合が1:1のL10とPT30から構成される混合物を製造し、そしてそれぞれ、VML50、PVL50及びPML100と、8:2の等価割合で混合した。混合を約60℃で行った。
【0161】
実施例37
シアナート混合物L10/PT15(混合割合1:4)及びVML50から、試験体を製造した。ここで、シアナート−シラザン−混合物を、8:2の等価割合で、約50℃で混合し、そして開口した成形型に移した。硬化を、200℃の最大硬化温度で行った。ガラス転移温度は、223℃であった。
【0162】
実施例38
シアナート混合物L10/PT15(混合割合1:1)及びPML100から、試験体を製造した。ここで、シアナート−シラザン−混合物を、8:2の等価割合で、約60℃で混合し、そして開口した成形型に移した。硬化を、200℃の最大硬化温度で行った。ガラス転移温度は、212℃であった。
【0163】
実施例39
2層のガラス積層体を製造した。ここで、ガラス織物を、トルエン中、B10−プレポリマーとABSEの混合物(等価割合7:3)で含浸させた。このようにして製造した、2つのプレプレグ−層(これらは、5日間、室温で保管されている)を、200℃で、15分間にわたり加圧した。樹脂浸出(Harzfluss)は、9%であった。
【0164】
実施例40
実施例39を繰り返したが、ここで、プレプレグを2分間、50℃で予備乾燥させ、及び室温で1時間、保持した。ここで、トルエンを、メチルエチルケトン(MEK)で代用した。樹脂浸出は、17%であった。
【0165】
実施例41
6層のガラス積層体を製造した。ここで、ガラス織物を、メチルエチルケトン(MEK)中、L10とVML50から成る混合物(等価割合8:2)で含浸させた。このプレプレグ(die Prepregs)を、150℃で、15分間にわたり予備乾燥させ、そして2時間、200℃で加圧した(予備加熱プレス)。
【0166】
実施例42
実施例41を繰り返したが、ここで、プレプレグを、最初に、1時間70℃で、1時間130℃で、及び最後に1時間200℃で加圧(プレス)した。
【0167】
実施例43
実施例42を繰り返したが、ここで、プレプレグを20分間、150℃で予備乾燥させた。
【0168】
実施例44
6層のガラス積層体を製造した。ここで、ガラス織物を、MEK中、L10とVML50から成る混合物(等価割合8:2)で含浸させた。このプレプレグを、150℃で、20分間にわたり予備乾燥させ、そして2時間、200℃で加圧した。プレプレグ−溶液の樹脂含有量は、30〜35質量%であった。
【0169】
実施例45
交互する構造体(ガラス織物−ガラスマット−ガラス織物)を有するハンドラミネート(手製積層体)を製造した。ここで、7層のガラス材料層を、L10とPML100の混合物(等価割合8:2)で含浸させた。層を、異なる排気ローラーを使用して、相互に結合させた。次に、この積層体を、数時間にわたり、異なる温度段階(150℃の最大温度)を遵守して保持した。ガラス転移温度は、166℃であった。火災試験の結果を表12に示した。
【0170】
【表12】

【0171】
実施例46
交互する構造体(ガラス織物−ガラスマット−ガラス織物)を有するハンドラミネート(手製積層体)を製造した。ここで、7層のガラス材料層を、L10とVML50の混合物(等価割合8:2)で含浸させた。層を、異なる排気ローラーを使用して、相互に結合させた。硬化を、200℃の最大硬化温度で行った。
【0172】
実施例46の火災値(Brandwert)を、表13に示した。
【0173】
【表13】

【0174】
実施例47
実施例46を繰り返したが、ここで6層のハンドラミネートを製造した。ガラス材料として、ガラス織物を使用した。実施例47についての火災値を、表14に示した。
【0175】
【表14】

【0176】
実施例48
6層のRTM(Resin Transfer Molding)部材を製造した。L10及びVML50を、8:2の等価割合で、室温で混合した。圧力(Druck)−RTMを使用して、6層のガラス織物構造体を含浸させ、そして得られた部材を、200℃で硬化させた。ガラス転移温度は、約214℃であった。
【0177】
火災試験の結果を表15に示した。
【0178】
【表15】

【0179】
実施例49
実施例48を繰り返したが、ここで、6層のガラス織物構造体の替わりに、4層のガラス織物構造体、及び真空−RTMを使用した。火災試験の結果を表16に示した。
【0180】
【表16】

【0181】
実施例50
実施例48を繰り返したが、ここで、6層のガラス織物の替わりに、9層のガラス織物構造体、及び真空−RTMを使用した。ガラス転移温度は、約215℃であった。火災試験の結果を表17に示した。
【0182】
【表17】

【0183】
曲げ試験(3−点−曲げ試験)を、両方の材料について行った。L10−ガラス繊維について、平均値が350Mpa、L10/VML50−ガラス繊維について、平均値が393Mpaであった。
【0184】
実施例51
実施例50を繰り返したが、ここで、炭素繊維織物−構造体を使用した。ガラス転移温度は約205℃であった。火災試験の結果を表18に示した。
【0185】
【表18】

【0186】
曲げ試験(3−点−曲げ試験)を、この材料について行った。L10/VML50−炭素繊維について、平均値が803Mpaであった。
【0187】
実施例52
2枚のガラス板を張り合わせた。ここで、等価割合が8:2のL10とVML50の混合物を製造し、そして薄い層として2枚のガラス板の間に施した。硬化を、200℃の最大硬化温度で行った。透明な、平たい接着物を得た。
【0188】
実施例53
等価割合が1:1のトリグリシジル−パラ−アミノフェノール(TGPAP)及びPT15を、10質量%の(33モル%のジメチルシリルアミノ−及び67モル%のメチルシリルアミノ基から構成される、)予備架橋されたシラザン(ML33S)と混合した。比較的温和な温度での後硬化は、−ΔH(J/g-1)=486の発熱を示した(図3、参照)。
【0189】
比較例
図2に、純粋なシアナートの硬化の発熱、即ち、PT15(−ΔH(J/g-1)=696)、L10(−ΔH(J/g-1)=651)及びB10(−ΔH(J/g-1)=569)の発熱を示した。硬化反応は、最初に、上述した実施例の温度よりも明確に高い温度で行った。図3には、等価割合が1:1の、TGPAP及びPT15から成る混合物の硬化の発熱を示す。−ΔH(J/g-1)=740という値は、実施例53について求められた値に対して、かなり高いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(i)1種以上の、二官能性、オリゴ官能性、及び/又は多官能性のシアナート及び/又は1種以上の、そのプレポリマー、及び
(ii)1種以上のモノマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザン、
を反応させることによって得ることができるハイブリッド−プレポリマー。
【請求項2】
(i)に従う1種以上のシアナート中に存在するシアナート基の、(ii)に従う1種以上のシラザン中に存在するSi−N−基に対するモル割合が、70:30以上、好ましくは75:35以上、及び特に好ましくは80:20以上であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項3】
少なくとも、
(i)1種以上の、二官能性、オリゴ官能性、及び/又は多官能性のシアナート及び/又は1種以上の、そのプレポリマー、及び
(ii)1種以上のモノマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザンであって、一般式(I):
【化1】

一般式(II):
【化2】

及び、一般式(III):
【化3】

(但し、
(a)R2及びR3が、同一又は異なるものであり、且つ水素、又は直鎖状の、枝分れした、又は環式の、置換された、又は無置換のアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルケニルアリール、又はアリールアルケニルを意味し、
ここで、各置換基R2及びR3が、異なる単位のm及び/又はoが1よりも大きい場合には、異なる、又は同一の意味を有し、
2’及びR3’が、同一又は異なるものであり、且つ直鎖状の、枝分れした、又は環式の、置換された、又は無置換のアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アルケニルアリール、又はアリールアルケニルを意味し、
ここで、各置換基R2’及びR3’が、異なる単位のm及び/又はoが1よりも大きい場合には、異なる意味、又は同一の意味を有し、
又は
(b)少なくとも一つの基R3及び一つの基R3’が存在する場合には、R2及びR2’が上述した意味を有し、及び基R3及基R3’の(i)全て、又は(ii)各一部が、一緒に、無置換の、又は置換された、直鎖状の、又は枝分れしたアルキレン基を意味し、ここで、変形(ii)では、基R3及基R3’の残りの部分が、(a)に記載した意味を有し、
及び
4及びR4’が、アルキル、フェニル、又は水素を意味し、ここで複数の基R4及び/又はR4’が、それぞれ、化合物(I)〜(III)の分子内で、同一であるか、又は異なることができ、
1及びR5が、同一であるか、又は異なり、及びR2もしくはR3と同じ意味を有することができ、ここで、R5が更にまたSi(R1)(R2’)(R3’)を意味することができ、又はR1及びR5が、一緒に、単結合を意味し、
6が、Si(R2)(R2’)−X−R7−Si(R2q(OR2’)3-qを意味し、ここでXが、O又はNR4を意味し、R7が、単結合又は置換された、又は無置換の直鎖状の、枝分れした、又は環式のアルキレン基を意味し、及びqが、0、1、2又は3であることが可能であり、
Pが、1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
m及びpが、互いに独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11〜25000の整数を意味し、及び
n及びoが、互いに独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11〜25000の整数を意味し、
角付き括弧内に記載された単位は、規則的に、ランダムに、又はブロック状に、それぞれの分子内に割り当てることができる)
から選ばれる1種以上のモノマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザン、
を反応させることによって得ることができる、請求項1に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項4】
少なくとも、
(i)1種以上のシアナートであって、以下に記載する構造IV〜VI:
【化4】

(但し、
1〜R4が、互いに独立して、水素、C1−C10−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、C1−C10−アルコキシ、ハロゲン(F、Cl、Br又はI)、フェニル、又はフェノキシであり、ここで、アルキル−又はアリール基は、フッ素化又は部分的フッ素化が可能である)、
【化5】

(但し、
1〜R8が、式IVのためのR1〜R4と同様に定義され、及びZが、化学結合、SO2、CF2、CH2、CHF、CH(CH3)、イソプロピレン、ヘキサフルオロイソプロピレン、C1−C10−アルキレン、O、NR9、N=N、CH=CH、COO、CH=N、CH=N−N=CH、C1−C8−アルキレンを有するアルキレンオキシアルキレン、S、Si(CH32、又は
【化6】

である)、
【化7】

(但し、
9が、水素、又はC1〜C10−アルキルであり、及びnが、0〜20の整数を意味する)、
から選ばれるシアナート、
2−又は多官能性脂肪族シアナート、
及び1種以上のそのプレポリマー、
及び
(ii)請求項1又は2に記載の、1種以上のモノマー性、オリゴマー性、及び/又はポリマー性のシラザン、
を反応させることによって得ることができる、請求項1又は2に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項5】
脂肪族基中に少なくとも1個のフッ素原子有するシアナート、及び/又は構造VII:
N≡C−O−R10−O−C≡N VII
(但し、
10が、少なくとも1個のフッ素原子、及び特に3〜12個の炭素原子を有する、二重結合の有機の非芳香族炭化水素であり、その水素原子は、完全に、又は部分的に、更なるフッ素によって置換されることができる)
のシアナートから、1つ以上の2−又は多官能性脂肪族シアナートが選ばれることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項6】
成分(i)及び(ii)、及び
(iii)1種以上の追加的な成分、
の反応によって得ることができることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項7】
有機モノシアナートから1種以上の成分が選ばれることを特徴とする請求項6に記載のハイブリッドポリマー。
【請求項8】
1種又は複数の成分の1種以上が充填材料から選ばれることを特徴とする請求項6又は7に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項9】
1種又は複数の成分の1種以上が、エポキシド化合物、及びそのプレポリマー、及び特にビス−、又は多官能性エポキシド化合物から選ばれることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項10】
成形可能、及び/又は溶解可能であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項11】
テキスタイルの平坦な構造物の浸漬又は被覆として使用するための、請求項10に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項12】
テキスタイルの平坦な構造物が、繊維、特にガラス繊維から成るか、又はこれらを含むことを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項13】
溶解した状態で存在することを特徴とする請求項1〜7及び9の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマー。
【請求項14】
請求項1〜10の何れか1項に記載のハイブリッド−ポリマーを後架橋することにより得ることができるデュロマー。
【請求項15】
テキスタイルの平坦な構造物の一方側の被覆、両側の被覆、又は浸透する被覆の状態で存在することを特徴とする請求項14に記載のデュロマー。
【請求項16】
三次元の物体として存在することを特徴とする請求項14に記載のデュロマー。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のデュロマーを、防火部材として使用する方法。
【請求項18】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマーを製造する方法であって、
1種以上のシアナート及び1種以上のシラザンが、溶媒の不存在下に相互に混合され、及び反応されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド−プレポリマーを製造する方法であって、
1種以上のシアナート及び1種以上のシラザンが、溶媒に溶解され、及び反応されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項12に記載のデュロマーを製造する方法であって、ハイブリッド−プレポリマーが、請求項18又は請求項19に記載されたように製造され、及び次に、ハイブリッド−プレポリマーが、圧力及び/又は熱を使用して後架橋されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−520388(P2012−520388A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500222(P2012−500222)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053405
【国際公開番号】WO2010/106074
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(503306168)フラウンホーファー・ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デア・アンゲヴァンテン・フォルシュング・エー・ファウ (38)
【出願人】(506330645)クラリアント インターナショナル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】