説明

シェービングジェルフォーム組成物

【課題】後発泡シェービングジェルフォームに関して、吐出した時にジェル状で、肌に塗り伸ばしたときにジェルが完全に発泡した良好な発泡状態で、発泡によりシェービングジェルフォームとして満足できるシェービングジェルフォーム組成物を提供することである。
【解決手段】1.水、脂肪酸、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤、中和剤としてアルカリ剤、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンからなる後発泡剤と0.05〜5重量%配合のジェルの硬さ調整剤である炭化水素またはシリコーン油からなる油剤を必須成分とするシェービングジェルフォーム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髭やむだ毛等の体毛を剃刀で剃る際に使用するシェービング剤の組成物に関し、更に詳しくはジェル状に吐出した内容物を、軽く擦ることにより、徐々に発泡してフォームを形成するシェービングジェルフォーム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
剃刀で髭や体毛を剃る際にはシェービング剤が用いられる。シェービング剤には脂肪酸石鹸を主基材としたものが多く、例えば一般的な固形または粉末のシェービングソープの他にシェービングクリーム、エアゾール型シェービングフォーム、後発泡シェービングジェルフォームなどがある。
【0003】
後発泡タイプのシェービングフォームは、石鹸によりジェルを形成し、ジェルの粘性によって物理的に発泡を抑えるエアゾール組成物は公知である(特許文献1)。また、吐出されたジェルが高い透明性を有する後発泡エアゾール組成物が提案されている(特許文献2)。また、圧縮ガスを水性原液に溶解させ、吐出された後に適度に抑制された気泡性で発泡する徐気泡型後発泡性組成物が提案されている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特公昭49−34912号
【特許文献2】特許第3354678号
【特許文献3】特許第2776540号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の技術は石鹸により形成したジェルは経時的に安定とするために粘度が高く、肌に塗り伸ばしたときにジェルの一部が完全に発泡せず、肌にジェルのまま残って、良好な発泡状態ではなかった。また、特許文献3の技術は水性原液の粘度を調整して、圧縮ガスが溶解して発泡させる方法は、圧縮ガスの溶解する量が少なく、ペンタンなどの後発泡剤と比較して発泡量が少なく、シェービングジェルフォームとして満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、水、脂肪酸、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤、中和剤としてアルカリ剤、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンからなる後発泡剤に0.05〜5重量%配合のジェルの硬さ調整剤である炭化水素またはシリコーン油からなる油剤を添加することにより、肌に塗り伸ばしたときにジェルが完全に発泡した良好な発泡状態で、発泡によりシェービングジェルフォームとして満足できるシェービングジェルフォーム組成物を見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
即ち、本発明は、下記のシェービングジェルフォーム組成物を提供するものである。
1.水、脂肪酸、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤、中和剤としてアルカリ剤、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンからなる後発泡剤と0.05〜5重量%配合のジェルの硬さ調整剤である炭化水素またはシリコーン油からなる油剤を必須成分とするシェービングジェルフォーム組成物。
2.前記炭化水素からなる油剤が流動パラフィンであることを特徴とする請求項1記載のシェービングジェルフォーム組成物。
本発明のシェービングジェルフォーム組成物は水、脂肪酸、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤、中和剤としてアルカリ剤、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンからなる後発泡剤と0.05〜5重量%配合のジェルの硬さ調整剤である炭化水素またはシリコーン油からなる油剤を必須成分とするものである。以下、本発明のシェービングジェル組成物について具体的に説明する。
【0008】
本発明に用いる水は組成物の基剤となるものであり、通常水道水、蒸留水、イオン交換水等を用い、組成物中40〜98重量%、好ましくは60〜95重量%である。40重量%未満であれば十分な発泡が得られず、また98重量%を超えると他の成分が少なくなり、シェービング剤として好ましくない。
【0009】
脂肪酸は例えば炭素数10〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等の脂肪酸、及び前記脂肪酸類を多く含む天然油脂由来の脂肪酸等が挙げられる。好ましくは炭素数12〜18の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸を用いる。この中で特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の直鎖脂肪酸、及び前記脂肪酸類を多く含むヤシ油脂肪酸が好ましい。これらの脂肪酸は、単独で又は適宜組み合わせて配合することができる。
【0010】
HLBが10以上の非イオン系界面活性剤はポリオキシエチレン(以下POE)(9)ラウリルエーテル〔HLB(以下省略):14.5〕、POE(7)セチルエーテル〔11.5〕、POE(20)ステアリルエーテル〔18.0〕、POE(7)オレイルエーテル〔10.5〕、POE(20)ベヘニルエーテル〔18.0〕などのPOEアルキルエーテル類、POE(10)ポリオキシプロピレン(以下POP)(4)セチルエーテル〔10.5〕、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)〔12.5〕、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)〔11.0〕、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)〔11.0〕などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、POE(20)ヒマシ油〔10.5〕、POE(30)硬化ヒマシ油〔11.0〕などのPOEヒマシ油・硬化ヒマシ油類、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン〔16.9〕、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン〔15.6〕、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン〔14.9〕、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン〔15.0〕などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。非イオン系界面活性剤のHLBは10以上、好ましくは10.5以上、更に好ましくは12.0以上である。HLBが10未満であれば、炭化水素からなる油剤を安定的に可溶化できず、ジェルの硬さを一定にすることができない。配合割合は特に規定されないが油剤を可溶化できる配合割合が好ましく0.1〜12重量%、より好ましくは0.3〜7重量%である。
【0011】
上記脂肪酸を中和するためのアルカリ剤は特に限定されないが、例えばアルカノールアミンや塩基性アミノ酸等の有機塩基、水酸化アルカリ金属等の無機塩基が挙げられる。具体的には、アルカノールアミンとして、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等、塩基性アミノ酸として、アルギニン、リジン、ヒスチジン等、水酸化アルカリ金属として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中和用塩基はpHが上がり過ぎることがない点と、塩の結晶が析出せず保存安定性が良い点から、前記有機塩基化合物が好ましい。
【0012】
後発泡剤としては、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンが必須であり、その他ではイソブタン、ノルマルブタンを適宜組み合わせることも可能である。良好な発泡を得るために配合割合としては2〜15重量%が好ましく、更に好ましくは3〜10重量%である。配合割合が2重量%未満であれば、発泡が少なすぎてシェービング剤として好ましくなく、15重量%を超えると発泡が多すぎて泡がパサつき、シェービング剤として好ましくない。
【0013】
油剤としては、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、固体パラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油が好ましい。この中で、炭化水素からなる油剤で、流動パラフィンは常温で液状であり、取扱いや使用感から特に好ましい。配合割合は0.05〜5重量%が好ましく、0.3〜3重量%が更に好ましい。0.05重量%未満であれば、ジェルが柔らかすぎてシェービング剤として好ましくなく、5重量%を超えるとジェルが硬すぎてシェービング剤として好ましくない。
【0014】
本発明の制汗スプレー組成物には、上記の必須構成成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲で化粧料に使用される一般的なその他の成分、例えば保湿剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、清涼剤、殺菌剤、香料、色素等を適宜配合することができる。
【実施例及び比較例】
【0015】
以下、本発明のシェービングジェルフォーム組成物の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
実施例1〜2及び比較例1〜4
下記表1に示す組成に従って、シェービングジェルフォーム組成物の成分を調整し、それぞれ二重容器型エアゾール容器内に充填した。下記評価方法により(イ)吐出後のジェルの状態、(ロ)肌に塗布し、塗り伸ばした状態、(ハ)シェービング剤としての満足度について評価を行った。その評価結果を併せて表1に示す。実施例及び比較例中の単位は重量%を示す。
【0017】
【表1】


【0018】
(イ)吐出後のジェル状態
20℃において、シェービングジェル組成物を2〜3g吐出させ、吐出してから発泡するまでの時間を測定し、下記の基準により評価した。
○:吐出させてから発泡するまでの時間が60秒以上であるもの
△:吐出させてから発泡するまでの時間が30秒以上60秒未満であるもの
×:吐出させてから発泡するまでの時間が30秒未満であるもの
【0019】
(ロ)肌に塗布し、塗り伸ばした状態
20℃において、シェービングジェル組成物を2〜3g吐出させ、肌の上に指で軽く伸ばした時のジェルの状態を観察した。
○:肌の上にジェルが残らず、全て発泡しているもの
△:肌の上にジェルが粒で少量残っているもの
×:肌の上にジェルが粒で多量残っているもの
【0020】
(ハ)シェービング剤としての満足度
実施例1〜2、比較例1〜4のシェービングジェル組成物を用いて、10名の成人男性により髭剃りをさせ、シェービング剤としての満足度の評価を行った。
○:シェービング剤として満足と評価した人数が8名以上
△:シェービング剤として満足と評価した人数が5〜7名
×:シェービング剤として満足と評価した人数が4名以下
【発明の効果】
【0021】
本発明のシェービングジェル組成物は吐出後の安定したジェル状態を保ち、肌の上に伸ばした時の発泡状態が良好で、シェービング剤として満足度が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、脂肪酸、HLBが10以上の非イオン系界面活性剤、中和剤としてアルカリ剤、ノルマルペンタンもしくはイソペンタンからなる後発泡剤と0.05〜5重量%配合のジェルの硬さ調整剤である炭化水素またはシリコーン油からなる油剤を必須成分とするシェービングジェルフォーム組成物。
【請求項2】
前記炭化水素からなる油剤が流動パラフィンであることを特徴とする請求項1記載のシェービングジェルフォーム組成物。

【公開番号】特開2010−24217(P2010−24217A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208776(P2008−208776)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(393008821)日進化学株式会社 (16)
【Fターム(参考)】