説明

シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを使用した乾癬又は乾癬性関節炎の治療

乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、管理する又は予防する方法が開示される。前記方法は、単独での又は第二活性物質と組み合わせた、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの投与を含む。医薬組成物及び単一単位投与形態も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年3月24日出願の米国特許仮出願第61/070,514号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
単独で又は他の治療薬との組合せで、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの投与によって乾癬を治療する、予防する及び/又は管理するための方法が本明細書において提供される。
【0003】
また、単独で又は他の治療薬との組合せで、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの投与によって乾癬性関節炎を治療する、予防する及び/又は管理する方法も、本明細書において提供される。また、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、予防する及び/又は管理する方法における使用に適したシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを含有する医薬組成物及び投与形態も、本明細書において提供される。
【背景技術】
【0004】
2.1 乾癬及び乾癬性関節炎
乾癬は、ケラチノサイト及び内皮細胞の表皮過剰増殖、並びに炎症細胞蓄積(例えば活性化T細胞)によって特徴づけられる慢性自己免疫性炎症性皮膚疾患である。Griffiths CE, J. Eur. Acad. Dermatol. Venereol. 2003, 17 Suppl 2:1-5; Creamer JD, et al., Clin. Exp. Dermatol. 1995, 20(l):6-9。また、最近の証拠は、乾癬の病因へのナチュラルキラー(NK)及びNK T細胞の関与を示唆しており、これは、これらの細胞が、乾癬のケラチノサイト増殖において役割を果たすことが示されているインターフェロンγ(IFN−γ)を産生するためである。Bos JD, et al., Br. J. Dermatol. 2005, 152(6): 1098-107。
【0005】
臨床的には、乾癬の主たる症状は、皮膚上の灰色又は銀色の薄片状の斑であり、その下は赤く、炎症を起こしている。提案されている病因経路の中心となるのは、ケラチノサイト増殖及びリンパ球移動の両方を誘導すると考えられる、活性化ケラチノサイト、樹状細胞、好中球及びNK T細胞によって産生されるサイトカイン、ケモカイン及び他の炎症メディエイターである。Creamer JD, et al., Clin. Exp. Dermatol. 1995, 20(l):6-9; Bos JD, et al., Br. J. Dermatol. 2005, 152(6): 1098-107; Bowcock et al., Nat. Rev. Immunol. 2005, 5(9):699-71。乾癬皮膚病巣において上昇することが示されたプロ炎症性メディエイターは、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターロイキン6(IL−6)、IL−8、IL−12、IFN−γ及び誘導的酸化窒素シンターゼ(iNOS)を含む。LaDuca JR, et al., Dermatol. Clin. 2001, 19(4):617-35; Duan H, et al, J. Dermatol. Sci. 2001, 26(2): 119-24; Gottlieb et al., J. Immunol. 2005, 175(4):2721-9。さらに、抗炎症性サイトカインIL−10の低い発現レベルが乾癬病巣において認められた。Asadullah K, et al., Curr. Drug Targets Inflamm. Allergy. 2004, 3(2): 185-92。
【0006】
乾癬の病因は、IL−10の低下に加えて少なくともTNF−α、IFN−γ、IL−6、IL−8及びIL−12の上方調節を含むので、PDE4阻害剤は乾癬の治療において治療的恩恵を提供し得る。
【0007】
乾癬性関節炎は、皮膚、関節、腱、靱帯及び筋膜の挿入部位を侵す慢性炎症性関節炎状態である。Gladman, Current Opinion in Rheumatology, 「Current concepts in psoriatic arthritis」, 2002, 14:361-366、and Ruddy et al., Rheumatology, vol. 2., chapter 71, page 1071, 6th ed., 2001。乾癬性関節炎は一般に乾癬に付随する。同上。乾癬を有する患者の約7%が乾癬性関節炎を発症する。The Merck Manual, 448 (17th ed., 1999)。
【0008】
乾癬性関節炎は様々な臨床パターンで出現し得る。乾癬性関節炎の5つの一般的なパターンが存在する:遠位節間関節の関節炎、破壊性関節炎、関節リウマチと区別できない対称性多発性関節炎、非対称性少関節炎及び脊椎関節症。Ruddy et al., page 1073。60〜80%の患者において乾癬が乾癬性関節炎の発症に先行すると思われる。時として、関節炎と乾癬は同時に出現する。関節症が皮膚発疹に先行することもある。
【0009】
乾癬性関節炎の症状は、骨外形成(extra bone formation)、関節硬直、指炎、腱付着部症、腱炎及び脊椎炎を含む。Gladman, page 362。大部分の患者は古典的な乾癬パターンの皮膚病変を有する。Ruddy et al., page 1075。落屑性の紅斑性斑(erythematous plaque);滴状病巣、膿湖及び紅皮症は、乾癬性関節炎を有する患者において見られ得る乾癬性皮膚病変である。点状陥凹(pitting)、ボー線、爪甲白斑、爪甲離床症、油斑、爪下の過角化症、線状出血、斑点のある半月(spotted lunulae)及び亀裂(cracking)を含む爪の病変は、乾癬性関節炎の発症と有意に関連する臨床特徴である。Ruddy et al., page 1076。乾癬性関節炎における眼症状は、結膜炎、虹彩炎、上強膜炎、乾性角結膜炎及び大動脈弁閉鎖不全を含む。
【0010】
乾癬性関節炎の正確な原因は不明であるが、遺伝、環境、免疫及び血管因子がその人の素因に寄与する。Ruddy et al., pages 1071-72 and Gladman, page 363。この疾患は、一般集団におけるよりも罹患している一等親血縁者において起こる可能性が高い。Ruddy et al., page 1071。集団調査は、多数のヒト白血球抗原(HLA)が関連することを示した。British Society for Rheumatology, Rheumatology, 2001; 40:243 and Gladman, page 362。多くの証拠が、T細胞媒介性過程が乾癬性関節炎の病態生理学を促進することを示唆する。Ruddy et al., pages 1071 and 1077 and Gladman, page 363。活性化T細胞は、滑液中で認められるサイトカインの産生増強に寄与し得る。Th1サイトカイン(例えば腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターロイキン(IL)−1β及びIL−10)は関節リウマチよりも乾癬性関節炎においてより一般的であり、この2つの疾患が異なる機構から生じ得ることを示唆する。Ruddy et al., page 1071。単球も乾癬性関節炎において役割を果たし、乾癬性関節炎を有する患者の関節の破壊的変化を媒介し得る、マトリックスメタロプロテイナーゼの産生の原因となる。Gladman, page 364。
【0011】
国際的に、乾癬性関節炎の発生率は1〜40%である。乾癬性関節炎は通常40歳代から60歳代で発症するが、ほとんどいかなる年齢でも起こり得る。男性と女性は同等に罹患するが、男性では脊椎炎形態が優勢であり、女性ではリウマチ形態が多い。Ruddy et al., page 1077。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Griffiths CE, J. Eur. Acad. Dermatol. Venereol. 2003, 17 Suppl 2:1-5
【非特許文献2】Creamer JD, et al., Clin. Exp. Dermatol. 1995, 20(l):6-9
【非特許文献3】Bos JD, et al., Br. J. Dermatol. 2005, 152(6): 1098-107
【非特許文献4】Creamer JD, et al., Clin. Exp. Dermatol. 1995, 20(l):6-9
【非特許文献5】Bos JD, et al., Br. J. Dermatol. 2005, 152(6): 1098-107
【非特許文献6】Bowcock et al., Nat. Rev. Immunol. 2005, 5(9):699-71
【非特許文献7】LaDuca JR, et al., Dermatol. Clin. 2001, 19(4):617-35
【非特許文献8】Duan H, et al, J. Dermatol. Sci. 2001, 26(2): 119-24
【非特許文献9】Gottlieb et al., J. Immunol. 2005, 175(4):2721-9
【非特許文献10】Asadullah K, et al., Curr. Drug Targets Inflamm. Allergy. 2004, 3(2): 185-92
【非特許文献11】Gladman, Current Opinion in Rheumatology, 「Current concepts in psoriatic arthritis,」2002, 14:361-366
【非特許文献12】Ruddy et al., Rheumatology, vol. 2., chapter 71, page 1071, 6th ed., 2001
【非特許文献13】The Merck Manual, 448 (17th ed., 1999)
【非特許文献14】Ruddy et al., page 1073
【非特許文献15】Gladman, page 362
【非特許文献16】Ruddy et al., page 1075
【非特許文献17】Ruddy et al, page 1076
【非特許文献18】Ruddy et al., pages 1071-72
【非特許文献19】Gladman, page 363
【非特許文献20】British Society for Rheumatology, Rheumatology, 2001; 40:243
【非特許文献21】Ruddy et al., pages 1071 and 1077
【非特許文献22】Gladman, page 364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特に従来の治療に抗療性である患者に関して、乾癬及び乾癬性関節炎を治療し、予防し、管理する安全で有効な方法に対する重大な必要性が存在する。加えて、従来の療法に付随する毒性及び/又は副作用を低減又は回避しつつそのような疾患を治療する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様では、その必要のあるヒトにおいて乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、予防する及び/又は管理する方法が本明細書で提供される。その方法は、そのような治療、予防又は管理を必要とする患者に、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド(「化合物A」)、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物(例えば水和物)若しくは包接体の治療的又は予防的に有効な量を投与することを含む。
【0015】
一部の実施形態では、前記方法は、抗炎症剤、免疫抑制剤、ミコフェノール酸モフェチル、生物学的薬剤又はCox−2阻害剤を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの第二活性物質の治療的又は予防的に有効な量の投与をさらに含む。
【0016】
もう1つの実施形態では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物(例えば水和物)若しくは包接体を錠剤及びカプセルなどの投与形態で経口的に投与する。
【0017】
さらなる実施形態では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物(例えば水和物)若しくは包接体を、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、粉剤(dusting powder)、ローション、スプレー、塗布薬、湿布、エアロゾル、溶液、乳剤及び懸濁液などの投与形態で局所的に投与する。
【0018】
本明細書における特定実施形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物(例えば水和物)若しくは包接体を含有する、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、予防する及び/又は管理するための医薬組成物を提供する。
【0019】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物(例えば水和物)若しくは包接体を含有する、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、予防する及び/又は管理するための単一単位投与形態が本明細書で提供される。
【0020】
好ましい方法及び組成物は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの塩又は溶媒和物、最も好ましくは遊離塩基を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】mAb/LPS誘導性マウス関節炎モデルにおける両後足(左足と右足の平均)のグループ平均関節炎誘発性評価値を示す。
【図2】mAb/LPS誘導マウス関節炎モデルにおける後足厚さのグループ平均値を示す。
【図3】II型コラーゲン誘導マウス関節炎モデルにおける関節炎の臨床的重症度を軽減するうえでの化合物Aの有効性を示す。
【図4】II型コラーゲン誘導マウス関節炎モデルにおける関節炎の組織学的重症度を軽減するうえでの化合物Aの有効性を示す。
【図5】非関節炎マウスモデルにおける自発行動への作用についての化合物Aとロリプラムの間での比較を示す。
【図6】化合物Aによる、未処置コラーゲン免疫マウスにおけるサイトカイン産生及びT細胞増殖のインビトロ阻害を示す。
【図7】化合物Aによる、関節リウマチ患者からの滑膜細胞によるTNF−α産生の阻害を示す。
【図8】化合物Aによる、LPS刺激単球のTNF−α産生の用量依存的阻害を示す。
【図9】化合物Aによる、LPS刺激ヒトPBMCのTNF−α産生の阻害を示す。
【図10】化合物Aによる、LPS刺激ヒト全血のTNF−α産生の阻害を示す。
【図11】化合物AによるPDE4酵素活性の阻害を示す。
【図12】PGE2刺激ヒトPBMCにおける、化合物AによるcAMPの上昇を示す。
【図13】化合物AによるCD4 IL−5産生の阻害を示す。
【図14】化合物AによるfMLF誘導LTB4産生の阻害を示す。
【図15】化合物AによるfMLF誘導性好中球CD18及びCD11b発現の阻害を示す。
【図16】異種移植した正常ヒト皮膚及び化合物A又はシクロスポリンで処置した乾癬患者NK細胞注入マウスにおける表皮厚さを示す。
【図17】異種移植した正常ヒト皮膚及び化合物A又はシクロスポリンで処置した乾癬患者NK細胞注入マウスにおけるケラチノサイト増殖指数を示す。
【図18】化合物A又はシクロスポリンで処置した乾癬患者NK細胞注入マウスからの正常ヒト皮膚グラフにおけるTNF−α発現を示す。
【図19】化合物A又はシクロスポリンで処置した乾癬患者NK細胞注入マウスからの正常ヒト皮膚グラフにおけるHLA−DR発現を示す。
【図20】化合物A又はシクロスポリンで処置した乾癬患者NK細胞注入マウスからの正常ヒト皮膚グラフにおけるICAM−1発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
5.1 定義
本明細書で使用される、「化合物A」という用語は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「医薬的に許容される塩」という用語は、無機酸及び塩基並びに有機酸及び塩基を含む、医薬的に許容される非毒性の酸又は塩基から調製される塩を含むが、これらに限定されない。本発明の化合物のための適切な医薬的に許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜塩から生成される金属塩、又はリシン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから生成される有機塩を含む。適切な非毒性の酸としては、無機酸及び有機酸、例えば酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸及びp−トルエンスルホン酸を含むが、これらに限定されない。特定の非毒性酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸を含む。特定塩の例としては、したがって、塩酸塩及びメシル酸塩を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「水和物」という用語は、非共有結合分子間力によって結合した化学量論量又は非化学量論量の水をさらに含有する本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物への1又はそれ以上の溶媒分子の結合から形成される溶媒和物を意味する。「溶媒和物」という用語は水和物(例えば一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等)を包含する。
【0026】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「多型」という用語は、本発明の化合物の固体結晶形態又はその複合体を意味する。同じ化合物の異なる多型は、異なる物理的、化学的及び/又は分光特性を示し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下で(インビトロ又はインビボで)加水分解、酸化又は反応して当該化合物を提供することができる、化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生体加水分解性部分、例えば生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバメート、生体加水分解性カーボネート、生体加水分解性ウレイド及び生体加水分解性リン酸類似体を含有するシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの誘導体及び代謝産物を含むが、これらに限定されない。プロドラッグは、典型的には周知の方法、例えば1 Burger 's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 172-178, 949-982 (Manfred E. Wolff ed., 5th ed. 1995)に記載されている方法を用いて調製できる。
【0028】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「エナンチオマー」、「異性体」又は「立体異性体」という用語は、すべての鏡像異性的/立体異性的に純粋で、鏡像異性的/立体異性的に富化された本発明の化合物を包含する。
【0029】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「立体異性的に純粋」又は「鏡像異性的に純粋」という用語は、化合物が1つの立体異性体を含み、その対立体異性体又は対エナンチオマーを実質的に含まないことを意味する。例えば、ある化合物が、80%、90%、95%、98%又は99%又はそれ以上の1つの立体異性体を含み、20%、10%、5%、2%、1%又はそれ以下の対立体異性体を含む場合、その化合物は立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。「その(R)エナンチオマーを実質的に含まない」は、立体異性的に純粋又は鏡像異性的に純粋という用語に包含される。
【0030】
本明細書で使用される、「有害作用」という用語は、胃腸、腎及び肝毒性、白血球減少、例えば血小板減少による、出血時間の上昇、及び妊娠期間の延長、吐気、嘔吐、傾眠、無力、めまい感、催奇形性、錐体外路症状、静座不能、心臓血管障害を含む心臓毒性、炎症、男性性機能障害、及び血清肝臓酵素レベルの上昇を含むが、これらに限定されない。「胃腸毒性」という用語は、胃及び腸の潰瘍形成及びびらんを含むが、これらに限定されない。「腎毒性」という用語は、乳頭壊死及び慢性間質性腎炎などの状態を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される、「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを指す。一部の実施形態では、患者は女性である。さらなる実施形態では、患者は男性である。さらなる実施形態では、患者は小児である。
【0032】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している間に起こる作用であって、その疾患若しくは障害の重症度若しくは症状を軽減する、又は疾患若しくは障害の進行若しくは症状を遅延させる若しくは緩慢化する作用を企図する。
【0033】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「予防する」、「予防すること」及び「予防」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる作用であって、その疾患又は障害の重症度又は症状を阻止する又は軽減する作用を企図する。
【0034】
本明細書で使用される場合、特に指示がない限り、「管理する」、「管理すること」及び「管理」という用語は、既に特定の疾患若しくは障害に罹患している患者においてその疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害に罹患した患者が寛解を維持する時間を延長させることを包含する。この用語は、疾患若しくは障害の閾値、進行及び/若しくは期間を調節すること、又は患者が疾患若しくは障害に応答する方法を変化させることを包含する。
【0035】
5.2 治療及び予防の方法
そのような治療、管理又は予防を必要とする患者に、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物若しくは包接体の治療的又は予防的に有効な量を投与することを含む、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、管理する及び/又は予防する方法が本明細書において提供される。好ましくは、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの塩又は溶媒和物、最も好ましくは遊離塩基が前記方法において使用される。
【0036】
ある実施形態では、前記方法は、乾癬又は乾癬性関節炎の症状の発現後に、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物若しくは包接体を投与することを含む。
【0037】
ある実施形態では、前記方法はまた、症状の発現前に、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物若しくは包接体を投与することによって乾癬又は乾癬性関節炎の症状を阻止する又は回避すること、並びに疾患自体に対処することを包含する。乾癬又は乾癬性関節炎の病歴を有する患者は、予防的レジメンのための好ましい候補である。方法は、乾癬又は乾癬性関節炎に罹患している又は罹患している可能性が高い患者(例えばヒト)に、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物若しくは包接体を投与することを含む。
【0038】
乾癬又は乾癬性関節炎の急性又は慢性管理におけるシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの予防又は治療用量の大きさは、疾患又は状態の性質及び重症度、並びに化合物が投与される経路によって異なる。用量、そしておそらく投与頻度は、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても異なる。適切な投与レジメンは、そのような因子を十分に考慮したうえで当業者によって容易に選択され得る。一般に、本明細書で述べる状態についての推奨される1日用量範囲は約1mg〜約1,000mg/日の範囲内であり、1日1回用量として又は1日を通じての分割用量として投与される。より詳細には、1日用量は、等しく分割された用量で1日2回、3回又は4回投与される。詳細には、1日用量範囲は約5mg〜約500mg/日、より詳細には約10mg〜約200mg/日であり得る。詳細には、1日用量は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、100mg又は200mgの投与形態で投与され得る。患者を管理する場合、治療は、より低い用量で、おそらく約1mg〜約25mgで開始され、患者の全体的応答に依存して、必要に応じて単回投与又は分割投与として約200mg〜約1,000mg/日まで増加され得る。さらなる実施形態では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの1日用量は、患者の体重kg当たり約0.01mg〜約100mgである。一部の実施形態では、化合物の1日用量は、約1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg又は25mg/kgである。
【0039】
5.2.1 第二活性物質又は治療との併用療法
この実施形態に包含される特定方法では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを、乾癬性関節炎又は乾癬を治療する、管理する及び/又は予防するためにもう1つ別の薬剤(「第二活性物質」)と組み合わせて投与する。
【0040】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、方法において1又はそれ以上の第二活性物質と組み合わせることができる。ある実施形態では、前記方法は、乾癬又は乾癬性関節炎の治療、予防及び/又は管理のための相乗作用的組合せを包含する。シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドはまた、ある第二活性物質に関連する有害作用又は明らかにされていない(unnamed)作用を軽減するために使用できる。逆に、一部の第二活性物質は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドに関連する有害作用又は明らかにされていない作用を軽減するために使用できる。
【0041】
1又はそれ以上の第二活性物質が、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドと共に本発明の方法において使用できる。第二活性物質は、抗炎症剤、例えば非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、免疫抑制剤、ミコフェノール酸モフェチル、生物学的薬剤及びCox−2阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0042】
第二活性物質は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの前、後又は同時に投与することができる。
【0043】
一部の対象実施形態では、第二活性物質は、抗炎症剤、例えばNSAID、例えば、しかしこれらに限定されることなく、ジクロフェナク(例えばARTHROTEC(登録商標))、ジフルニサール(例えばDOLOBID(登録商標))、エトドラク(例えばLODINE(登録商標))、フェノプロフェン(例えばNALFON(登録商標))、イブプロフェン(例えばADVIL、小児用ADVIL/MOTRIN、MEDIPREN、MOTRIN、NUPRIN又はPEDIACARE FEVER(登録商標))、インドメタシン(例えばARTHREXIN(登録商標))、ケトプロフェン(例えばORUVAIL(登録商標))、ケトロラク(例えばTORADOL(登録商標))、ホスホマイシントロメタミン(例えばMONURAL(登録商標))、メクロフェナメート(例えばMeclomen(登録商標))、ナブメトン(例えばRELAFEN(登録商標))、ナプロキセン(例えばANAPROX(登録商標)、ANAPROX(登録商標)DS、EC−NAPROSYN(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)又はNAPROSYN(登録商標))、オキサプロジン(例えばDAYPRO(登録商標))、ピロキシカム(例えばFELDENE(登録商標))、スリンダク(例えばCLINORIL(登録商標))、及びトルメチン(例えばTOLECTIN(登録商標)DS又はTOLECTIN(登録商標))などを含み得るが、これらに限定されない。
【0044】
他の対象実施形態では、第二活性物質は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)又は免疫抑制剤、例えば、しかしこれらに限定されることなく、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))及びシクロスポリン(Sandimmune(登録商標)又はNeroal(登録商標))などを含み得るが、これらに限定されない。
【0045】
他の対象実施形態では、第二活性物質は、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標))を含み得るが、これらに限定されない。これは、臓器移植において広く使用されており、自己免疫及び炎症性皮膚障害を治療するうえで支持されている免疫抑制剤である。
【0046】
さらなる対象実施形態では、第二活性物質は、生物学的薬剤、例えば、しかしこれらに限定されることなく、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))及びアダリムマブ(Humira(登録商標))などを含み得るが、これらに限定されない。
【0047】
さらなる対象実施形態では、第二活性物質は、Cox−2阻害剤、例えば、しかしこれらに限定されることなく、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))及びメロキシカム(Mobic(登録商標))などを含み得るが、これらに限定されない。
【0048】
患者へのシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド及び第二活性物質の投与は、同じか又は異なる投与経路によって同時に又は連続的に実施され得る。特定の第二活性物質のために使用される特定投与経路の適切さは、第二活性物質自体(例えば血流に入る前に分解されることなく経口的又は局所的に投与できるか否か)及び治療される被験者に依存する。シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの投与の特定経路は、錠剤又はカプセルの剤型での経口投与である。第二活性物質又は成分についての特定投与経路は当業者に公知である。例えばThe Merck Manual, 448 (17th ed., 1999)参照。
【0049】
投与される第二活性物質の量は、使用される特定薬剤、治療される被験者、疾患の重症度及び病期、並びにシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド及び患者に併用投与される何らかの選択的な付加的第二活性物質の量に基づいて決定され得る。当業者は、当分野で公知の従来の手順に従って詳細な量を決定することができる。最初は、治療において従来使用されている第二活性物質の量から出発し、前述した因子に応じて量を調節することができる。例えばPhysician's Desk Reference (59th Ed., 2005)参照。
【0050】
ある実施形態では、第二活性物質は、経口的、局所的、静脈内経路で又は皮下的に、約1〜約1,000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg又は約50〜約200mgの量で1日1回から4回投与される。第二活性物質の詳細な量は、使用される特定薬剤、治療される被験者の年齢、疾患の重症度及び病期、並びにシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド及び患者に併用投与される何らかの選択的な付加的第二活性物質の量に依存する。1つの実施形態では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、約1mg〜約1,000mg、好ましくは約5mg〜約500mg、より好ましくは約10mg〜約200mgの量で経口的に毎日、単独で又は本明細書で開示される第二活性物質(例えば5.2.1章参照)と組み合わせて、従来の治療の使用前、使用の間又は使用後に投与され得る。もう1つの実施形態では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの1日用量は、患者の体重kg当たり約0.01mg〜約100mgである。
【0051】
5.3 シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド
ある実施形態では、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する、管理する又は予防する方法は、そのような治療、管理又は予防を必要とする患者に、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多型、塩、溶媒和物若しくは包接体の治療的又は予防的に有効な量を投与することを含む。理論に拘束されるものではないが、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、以下の構造:
【化1】


を有する(S)エナンチオマーであると考えられる。
【0052】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Pharmaceutically active isoindoline derivatives」と題された米国特許第6,667,316号及び「PROCESS FOR THE PREPARATION OF 2-(l-PHENYLETHYL) ISOINDOLIN- 1-ONE COMPOUNDS」と題された2006年10月11日出願の米国特許仮出願第60/851,152号に開示されている方法に従って調製できる。
【0053】
一般に、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,667,316号及び米国特許仮出願第60/851,152号に記載されている方法を使用して容易に調製できる。(S)エナンチオマーは、当分野で公知の手法によってラセミ化合物から単離できる。例としては、キラル塩の形成とキラル又は高速液体クロマトグラフィー「HPLC」の使用及びキラル塩の形成と結晶化を含むが、これらに限定されない。例えばJacques, J., et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981); Wilen, S. H., et al., Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E. L., Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw Hill, NY, 1962); and Wilen, S. H., Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268 (E. L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)参照。
【0054】
特定方法では、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドは、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で化合物(6)をシクロプロピルカルボニルクロリドと反応させることによって調製できる。アシル化反応は、例えば、酢酸エチル中20℃〜25℃の反応温度で約4〜約6時間起こり得る。化合物(6)対シクロプロピルカルボニルクロリド対N,N−ジイソプロピルエチルアミンのモル比は約1:1.05:1.2である。
【化2】

【0055】
鏡像異性的に純粋な化合物(6)は、鏡像異性的に純粋な化合物(7)の調製のために使用できる。あるいは、化合物(7)のラセミ混合物を調製し、その後従来の分割手法、例えば生物学的分割及び化学的分割によってエナンチオマーに分割することができる。
【0056】
5.4 医薬組成物及び投与形態
医薬組成物は、個別の単一単位投与形態の調製において使用できる。医薬組成物及び投与形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物及び第二活性物質を含有し得る。選択的な第二活性物質の例は本明細書において開示されている(例えば5.2.1章参照)。医薬組成物及び投与形態は、1又はそれ以上の担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含有し得る。
【0057】
単一単位投与形態は、患者への経口、経粘膜(例えば鼻、舌下、膣、嚢胞、直腸、包皮、眼、口腔又は耳)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内又は動脈内)、局所(例えば点眼薬又は他の眼科用製剤)、経皮(transdermal or transcutaneous)投与に適する。投与形態の非限定的な例としては、錠剤;カプレット;カプセル、例えば軟弾性ゼラチンカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散;坐薬;粉末;エアロゾル(例えば鼻スプレー又は吸入器);ゲル;患者への経口又は経粘膜投与に適する液体投与形態、例えば懸濁液(例えば水性又は非水性液体懸濁液、水中油型エマルション又は油中水型液体エマルション)、溶液及びエリキシル;患者への非経口投与に適する液体投与形態;局所投与に適する点眼薬又は他の眼科用製剤);並びに患者への非経口投与に適する液体投与形態を提供するように再構成できる滅菌固体(例えば結晶性又は非晶質固体)を含む。
【0058】
投与形態の組成、形状及びタイプは、典型的にはそれらの用途に依存して異なる。例えば、疾患の急性治療において使用される投与形態は、その投与形態が含有する有効成分の1又はそれ以上を、同じ疾患の慢性治療で使用される投与形態よりも多い量で含有し得る。同様に、非経口投与形態は、その投与形態が含有する有効成分の1又はそれ以上を、同じ疾患を治療するために使用される経口投与形態よりも少ない量で含有し得る。これら及びそのほかに特定投与形態が相互にどのように異なるかは当業者に容易に明白である。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2,000)参照。
【0059】
典型的な医薬組成物及び投与形態は、1又はそれ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は薬学の当業者に周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例が本明細書で提供される。特定の賦形剤が医薬組成物又は投与形態への組込みに適するか否かは、投与形態が患者に投与される方法を含むがこれに限定されない、当分野で周知の様々な因子に依存する。例えば、経口投与形態、例えば錠剤は、非経口投与形態における使用には適さない賦形剤を含有し得る。特定賦形剤の適切さはまた、投与形態中の特定有効成分にも依存し得る。例えば、一部の有効成分の分解は、一部の賦形剤、例えばラクトースによって又は水に暴露された場合に加速され得る。第一級又は第二級アミンを含む有効成分は特にそのような加速分解を受けやすい。従って、本発明は、ごくわずかな、存在する場合は、ラクトース又は他の単糖類若しくは二糖類しか含有しない医薬組成物及び投与形態を包含する。本明細書で使用される、「ラクトース不含」という用語は、存在するラクトースの量が、存在する場合は、有効成分の分解速度を実質的に上昇させるには不十分であることを意味する。
【0060】
ラクトース不含組成物は当分野で周知であり、例えば米国薬局方(U.S. Pharmacopeia) (USP)25−NF20(2002)に列挙されている賦形剤を含有し得る。一般に、ラクトース不含組成物は、有効成分、結合剤/増量剤及び潤滑剤を、医薬的に適合性であり、医薬的に許容される量で含有する。特定のラクトース不含投与形態は、有効成分、微結晶セルロース、プレゼラチン化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0061】
ある実施形態では、水は一部の化合物の分解を促進し得るので、有効成分を含有する無水医薬組成物及び投与形態が本明細書で提供される。例えば、水(例えば5%)の添加は、貯蔵寿命又は経時的な製剤の安定性などの特徴を測定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として医薬分野で広く受け入れられている。例えばJens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80参照。実際に、水及び熱は一部の化合物の分解を加速する。したがって、一般に製剤の製造、取扱い、包装、貯蔵、出荷及び使用の間に水分及び/又は湿気に遭遇するので、製剤への水の影響は極めて重要であり得る。
【0062】
無水医薬組成物及び投与形態は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製され得る。ラクトース及び第一級又は第二級アミンを含む少なくとも1つの有効成分を含有する医薬組成物及び投与形態は、製造、包装及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、好ましくは無水である。
【0063】
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製され、貯蔵されるべきである。従って、無水組成物は、好ましくは、それらが適切な処方キット(formulary kit)に含まれ得るように水分への暴露を防ぐことが公知の材料を使用して包装される。適切な包装の非限定的な例としては、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック及びストリップパックを含む。
【0064】
有効成分が分解する速度を低下させる1又はそれ以上の化合物を含有する医薬組成物及び投与形態が本明細書で提供される。本明細書では「安定剤」と称される、そのような化合物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝剤又は塩緩衝剤を含むが、これらに限定されない。賦形剤の量及びタイプと同様に、投与形態中の有効成分の量及び特定のタイプは、投与形態が患者に投与される経路などの、しかしこれに限定されない因子に依存して異なり得る。しかし、典型的な投与形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を約1〜約1,000mgの量で含有する。典型的な投与形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を約1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150又は200mgの量で含有する。特定実施形態では、投与形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを約1、5、10、25、50、100又は200mgの量で含有する。
【0065】
5.4.1 経口投与形態
経口投与に適する、個別投与形態、例えば、しかしこれらに限定されることなく、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル及び液体(例えばフレーバーシロップ)として提供され得る医薬組成物が本明細書で提供される。そのような投与形態は、あらかじめ定められた量の有効成分を含有し、当業者に周知の薬学の方法によって調製できる。一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2,000)参照。
【0066】
典型的な経口投与形態は、従来の製薬配合技術に従って有効成分を少なくとも1つの賦形剤と緊密な混合物として組み合わせることによって調製される。賦形剤は、投与のために所望される製剤の形態に依存して多種多様な形態をとり得る。経口液体及びエアロゾル投与形態における使用に適する賦形剤の非限定的な例としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤及び着色剤を含む。固体経口投与形態(例えば粉末、錠剤、カプセル及びカプレット)における使用に適する賦形剤の非限定的な例としては、デンプン類、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤を含む。
【0067】
投与が容易であるため、錠剤及びカプセルは、固体賦形剤が使用される最も好都合な経口単位投与形態である。所望であれば、錠剤を標準的な水性又は非水性手法によって被覆することができる。そのような投与形態は薬学の方法のいずれかによって調製できる。一般に、医薬組成物及び投与形態は、有効成分を液体担体、微細分割された固体担体又はその両方と均一且つ緊密に混合し、その後必要に応じて生成物を所望体裁に成形することによって調製される。
【0068】
例えば、錠剤は圧縮又は成形によって調製できる。圧縮錠は、場合により賦形剤と混合して、適切な機械で自由流動形態、例えば粉末又は顆粒の有効成分を圧縮することによって調製できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤化した粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって生成できる。
【0069】
経口投与形態において使用できる賦形剤の非限定的な例としては、結合剤、増量剤、崩壊剤及び潤滑剤を含む。医薬組成物及び投与形態における使用に適する結合剤の非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン又は他のデンプン類、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えばアカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばNo.2208、2906、2910)、微結晶セルロース並びにそれらの混合物を含む。
【0070】
適切な形態の微結晶セルロースの非限定的な例としては、AVICEL(登録商標)(微結晶セルロース)PH−101、AVICEL(登録商標)(微結晶セルロース)PH−103、AVICEL RC−581(登録商標)(結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム)、AVICEL(登録商標)(微結晶セルロース)PH−105(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales,Marcus Hook,PAより入手可能)、及びそれらの混合物として市販されている物質を含むが、これらに限定されない。1つの特定結合剤は、AVICEL RC−581(登録商標)(結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム)として市販されている、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適切な無水又は低水分賦形剤又は添加物は、AVICEL−PH−103(商標)(登録商標)(微結晶セルロース)PH−103及びStarch 1500(登録商標)LM(プレゼラチン化デンプン)を含む。
【0071】
本明細書で開示される医薬組成物及び投与形態における使用に適する増量剤の非限定的な例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン及びそれらの混合物を含む。医薬組成物中の結合剤又は増量剤は、典型的には医薬組成物又は投与形態の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0072】
崩壊剤は、水性環境に暴露されたときに崩壊する錠剤を提供するために組成物中で使用される。あまりに多くの崩壊剤を含有する錠剤は貯蔵中に崩壊することがあり、一方あまりに少ない崩壊剤を含有する錠剤は所望の速度及び所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、有効成分の放出を有害に変化させない、多すぎず且つ少なすぎない十分量の崩壊剤が、固体経口投与形態を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は製剤のタイプに基づいて異なり、当業者には容易に認識できる。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含有する。
【0073】
医薬組成物及び投与形態において使用できる崩壊剤の非限定的な例としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、他のデンプン類、プレゼラチン化デンプン、他のデンプン類、粘土、他のアルギン類、他のセルロース類、ゴム及びそれらの混合物を含む。
【0074】
医薬組成物及び投与形態において使用できる潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール類、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天及びそれらの混合物を含む。さらなる潤滑剤としては、例えばシロイドシリカゲル(AEROSIL200(登録商標)(シリカ)、W.R.Grace Co.of Baltimore,MDによって製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(Degussa Co.of Piano,TXによって市販)、CAB−O−SIL(登録商標)(くん蒸シリカ)(Cabot Co.of Boston,MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素製品)及びそれらの混合物を含む。使用される場合、潤滑剤は、典型的にはそれらが組み込まれる医薬組成物又は投与形態の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0075】
1つの特定固体経口投与形態は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、無水ラクトース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ及びゼラチンを含有する。
【0076】
5.4.2 遅延放出投与形態
ある実施形態では、有効成分は、当業者に周知の制御放出手段によって又は送達装置によって投与され得る。制御放出手段又は送達装置の非限定的な例としては、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号及び同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号及び同第5,733,566号に記載されているものを含む。そのような投与形態は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア又はそれらの組合せを、所望放出プロフィールを提供するために様々な割合で使用して、1又はそれ以上の有効成分の徐放又は制御放出を提供するために使用できる。本明細書で述べるものを含む、当業者に公知の適切な制御放出製剤は、有効成分に関する使用のために容易に選択できる。ある実施形態では、経口投与に適する単一単位投与形態、例えば、しかしこれらに限定されることなく、制御放出に適合された錠剤、カプセル、ゲルキャップ及びカプレットが本明細書で提供される。
【0077】
すべての制御放出医薬品は、それらの非制御対応物によって達成されるよりも薬剤治療を改善するという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療における最適に設計された制御放出製剤の使用は、最小限の時間で状態を治療又は制御するために最小限の薬剤物質を使用することを特徴とする。制御放出製剤の利点は、薬剤の活性の延長、投薬頻度の減少及び患者のコンプライアンスの上昇を含む。加えて、制御放出製剤は、作用の開始時間又は他の特徴、例えば薬剤の血中レベルに影響を及ぼすために使用でき、したがって副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼし得る。
【0078】
ほとんどの制御放出製剤は、最初に、所望治療効果を迅速に生じさせる量の薬剤(有効成分)を放出し、このレベルの治療又は予防効果を長期間にわたって維持するために徐々にそして持続的に残りの量の薬剤を放出するように設計される。体内で薬剤のこの一定レベルを維持するために、薬剤は、代謝されて体内から排出される薬剤の量を置換する速度で投与形態から放出されねばならない。有効成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水若しくは他の生理的条件又は化合物を含むがこれらに限定されない、様々な条件によって刺激され得る。
【0079】
5.4.3 非経口投与形態
非経口投与形態は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含むが、これらに限定されない様々な経路によって患者に投与することができる。非経口投与形態の投与は、典型的には汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、非経口投与形態は、好ましくは無菌であるか又は患者への投与の前に滅菌され得る。非経口投与形態の非限定的な例としては、即時注射溶液、医薬的に許容される注射用ビヒクルに直ちに溶解又は懸濁できる乾燥製品、即時注射懸濁液及び乳剤を含む。
【0080】
非経口投与形態を提供するために使用できる適切なビヒクルは当業者に周知である。適切なビヒクルの非限定的な例としては、注射用蒸留水USP;水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されることなく、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸加リンガー注射液;水混和性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されることなく、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、しかしこれらに限定されることなく、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルを含む。
【0081】
本明細書で開示される有効成分の1又はそれ以上の溶解度を高める化合物も、非経口投与形態に組み込むことができる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体は、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド及びその誘導体の溶解度を高めるために使用できる。
【0082】
5.4.4 局所及び経粘膜投与形態
薬剤は、皮膚及びその付属器又は様々な粘膜に局所的に適用することができる。使用できる経路としては、鼻、舌下、膣、嚢胞、直腸、包皮、眼、口腔又は耳を含む。多くの投与形態が、有効成分を適用部位に送達して局所作用を生じさせるために開発されてきた。局所及び経粘膜投与形態の非限定的な例としては、スプレー、吸入器、エアロゾル、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、粉剤、ローション、塗布薬、湿布、溶液、乳剤、懸濁液、点眼薬若しくは他の眼科用製剤又は当業者に公知の他の形態を含む。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2,000); and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia (1985)参照。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した投与形態は、含そう薬として又はオーラルゲルとして製剤できる。
【0083】
局所及び経粘膜投与形態を提供するために使用できる適切な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)並びに他の物質は、医薬分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物又は投与形態が適用される特定組織に依存する。典型的な賦形剤の非限定的な例としては、非毒性で医薬的に許容される、溶液、乳剤又はゲルを形成するための水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油及びそれらの混合物を含む。
【0084】
保湿剤、例えば吸蔵剤(occlusives)、湿潤剤、皮膚軟化剤及びタンパク質活性化剤(protein rejuvenators)も、所望であれば医薬組成物及び投与形態に添加することができる。そのような付加的な成分の例は当分野において周知である。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2,000)参照。
【0085】
吸蔵剤は、角質層における水分損失を物理的にブロックする物質である。吸蔵剤の非限定的な例としては、ペトロラタム、ラノリン、鉱油、シリコーン、例えばジメチコン、酸化亜鉛及びそれらの組合せを含む。好ましくは、吸蔵剤はペトロラタム及びラノリンであり、より好ましくは5%の最小濃度のペトロラタムである。
【0086】
湿潤剤は、皮膚に適用したとき水分を集め、理論的には角質層の水和を改善する物質である。しかし、皮膚に引き寄せられる水分は他の細胞からの水分であり、大気中の水分ではない。このタイプの保湿剤では、皮膚からの蒸発が持続することがあり、実際上乾燥を悪化させ得る。湿潤剤の非限定的な例としては、グリセリン、ソルビトール、尿素、αヒドロキシ酸、糖類及びそれらの組合せを含む。好ましくは、湿潤剤はαヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸である。
【0087】
皮膚軟化剤は、皮膚薄片の間の空隙をオイルの液滴で充填することによって皮膚を滑らかにする物質であり、大量に適用しない限り通常は閉鎖性ではない。乳化剤と組み合わせた場合、角質層に油分と水分を保持するのを助け得る。ビタミンEは一般的な添加物であるが、皮膚軟化剤として以外は作用を有さないと思われる。同様に、他のビタミン類、例えばA及びDも添加されるが、それらの作用は疑わしい。皮膚軟化剤の非限定的な例としては、鉱油、ラノリン、脂肪酸、コレステロール、スクアレン、構造脂質及びそれらの組合せを含む。
【0088】
タンパク質活性化剤は、必須タンパク質を補充することによって皮膚を活性化する物質である。タンパク質活性化剤の非限定的な例としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン及びそれらの組合せを含む。
【0089】
医薬組成物又は投与形態のpHも、1又はそれ以上の有効成分の送達を改善するように調整し得る。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張度を、送達を改善するように調整できる。例えば、皮膚を通して吸収はまた、閉鎖包帯、塗膏によって又はジメチルスルホキシドを担体として使用することによっても増強され得る。ステアリン酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等)などの化合物も、送達を改善するように1又はそれ以上の有効成分の親水性又は親油性を好都合に変化させるために医薬組成物又は投与形態に添加することができる。これに関して、ステアリン酸塩は、製剤のための脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達増強剤又は浸透促進剤としての役割を果たし得る。有効成分の種々の塩、水和物又は溶媒和物が、生じる組成物の性質をさらに調整するために使用できる。
【実施例】
【0090】
いくつかの実施形態を以下の非限定的な実施例によって説明する。実施例は、その範囲の限定と解釈されるべきではない。本発明の範囲は付属の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0091】
[実施例1]
6.1 mAb/LPS誘導性マウス関節炎モデル
化合物Aの抗関節炎活性を、雄性BALB/cマウスにおけるmAb/LPS誘導性実験的関節炎において評価した。
【0092】
mAb/LPS誘導マウス関節炎モデル:試験マウスにおける実験的関節炎を、最初に、0日目に100mg/kgの用量レベルのモノクローナル抗体(mAb)カクテルを尾静脈に単回静脈内(IV)注射し、続いて約72時間後にリポ多糖(LPS)2.5mg/kgを単回腹腔内(IP)注射することによって誘導した。
【0093】
処置レジメン:化合物Aを、適切なステンレス鋼給餌針を使用して、強制経口投与(PO)によって投与した。Enbrel(標準品)を腹腔内(IP)注射によって投与した。化合物Aを、最初に試験3日目(単回LPS注射の1時間前)に、及びその後4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13日目(合計11日間の連続処置)に、1日1回1、5及び25mg/kgで投与した。化合物A処置グループは、投与グループ当たりn=8匹のBALB/c雄性マウスを含んだ。加えて、2つの等しい大きさのグループをEnbrel(5mg/kg/日、標準品)又は0.5%Na CMC/0.25%Tween 80の溶液(PO、5ml/kg、ビヒクル対照)のいずれかで処置した。
【0094】
14日間の観察期間を通じて、立毛、自発運動量の低下及び軽度の下痢を特徴とするLPS注射の典型的反応を除き、すべての処置動物において明らかな処置に関連する有害反応は認められなかった。
【0095】
関節炎反応:各動物の両後足(左足と右足)を、関節炎誘導の前(0日目)及びその後主催者によって選択された試験4、5、6、7、9、11及び14日目に関節炎誘発応答の徴候に関して検査した。関節炎反応を採点し、表1に示すように重症度の低い順に0〜4等級によって記録した(Morwell MD Biosciences Inc.のパンフレットに基づく)。結果を図1及び表2に示す。25mg/kg/日の化合物Aに供した動物における関節炎誘発性評価値は、9日目と14日目に統計的に低い(p<0.05)ことが認められた。
【表1】


【表2】

【0096】
実験的関節炎の測定:Mitutoyo Electronic Digital Caliperを使用して、8日間にわたって(0、4、5、6、7、9、11及び14日目)後足厚さを測定し、左後足と右後足についての平均のグループ平均値として提示した。結果を図2に及び表3に示す。データは、9、11及び14日目に、25mg/kg/日の化合物Aの反復投与に供した動物における極めて有意の低下(ビヒクル対照に対してP<0.01)を示した。1及び5mg/kg/日の化合物Aの反復投与に供した動物では、11日目に統計的に有意の数値(p<0.05)が明らかになった。
【表3】

【0097】
関節炎誘導開始日(0日目)に対する後足厚さのグループ平均パーセンテージ変化は、9、11及び14日目に、25mg/kgの化合物Aの反復投与に供した動物において極めて有意に低い(P<0.01)ことが認められた。データを表4に示す。
【表4】

【0098】
[実施例2]
6.2 II型コラーゲン誘導マウス関節炎モデル
この試験は、雄性マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎に対する治療効果に関して化合物Aを試験するために実施した。
【0099】
コラーゲン誘導関節炎動物モデル:幼若仔ウシの軟骨から精製したII型コラーゲンを0.1M酢酸中に4mg/mlで溶解し、等容量の完全フロイントアジュバント(CFA)で乳化した。次にDBA/1マウス(8〜12週齢)を、1日目に尾の基部の2つの部位において乳剤100μlで免疫した。
【0100】
処置レジメン及び臨床スコアの測定:試験グループ当たり14匹の動物を、ビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース/0.25%Tween 80)又は5mg/kg若しくは25mg/kgでビヒクルに懸濁した化合物Aで10日間にわたって(1〜10日目)1日1回経口的に処置した。10日目に実験を終了した。マウスを関節炎の徴候に関して毎日観測し、確立された臨床スコアリングシステム、すなわち0=正常、1=軽度の腫脹及び/又は紅斑、2=顕著な水腫状腫脹、を使用して評価した。各々の肢を等級付け、マウス当たり8の最大スコアを与えた。加えて、カリパスを用いて足の腫脹を測定した。結果は、化合物Aが25mg/kgで関節炎の臨床的重症度を軽減するのに有効であったことを示す(図3)。
【0101】
組織学的検査:実験の最後に、処置マウスからの足を正規食塩水(formal saline)に固定し、脱灰して、ワックスに包埋し、切片化して、ヘマトキシリンとエオシンで染色した。関節炎の組織病理学的評価を、以下のようなスコアリングシステムを使用してヘマトキシリン及びエオシン染色切片に関して盲検的に実施した:0、正常;1、軟骨/骨びらんを伴わないごく軽度の滑膜炎;2、多少の周辺びらんを伴うが関節構造は維持されている滑膜炎;3、正常関節構造の喪失を伴う重度の滑膜炎及びびらん。結果は、化合物Aが25mg/kgで関節炎の組織学的重症度を軽減したことを示す(P<0.05、図4)。
【0102】
行動試験:自発行動への化合物A(25mg/kg/日)の作用を、ケージ内の単一げっ歯動物の運動によって惹起される振動を検出する自動システムである、LABORAS(Laboratory Animal Behavior Observation Registration and Analysis System)を使用して評価した。パターン認識ソフトウエアは、毛づくろい、活動、よじ登り、不動性及び摂食を含む行動を認識し、数量化する。化合物Aは、毛づくろい、不動時間又はよじ登りにほとんど又は全く影響を及ぼさなかったが、移動の軽度の低下だけを生じさせた(図5)。
【0103】
エクスビボ手順:マウスから採血し、リンパ節を切除した。リンパ節細胞(LNC)を、インビトロで化合物Aの存在下に抗原(II型コラーゲン)又はマイトジェン(抗CD3 mAb)で刺激した。
【0104】
増殖及びT細胞サイトカイン産生の両方への大きな影響が認められた。結果は、化合物AがT細胞増殖、IFN−γ及びTNF−α産生を用量依存的に阻害したことを示す。これに対し、Th2サイトカイン、IL−5の産生は影響を受けなかった(図6)。
【0105】
結論:化合物Aは、臨床及び組織学的レベルで関節炎の重症度を軽減するのに有効である。重要な点として、化合物Aは自発行動に重要な影響を及ぼさず、この化合物が伝統的なPDE4阻害剤、例えばロリプラムよりもはるかに良好に耐容されることを示唆した。
【0106】
[実施例3]
6.3 TNF−αの阻害
ヒトリウマチ滑膜細胞:リウマチ滑膜組織試料を、コラゲナーゼA及びDNアーゼで組織を消化することによって基質から細胞を解離するように処理した。次に細胞をRPMI(10%FCS)中1×10/ウエルで96穴平底プレートに塗布し、化合物A及び対照で処置した(3つ組で)。細胞を5%CO中37℃で48時間培養した後、上清を採集し、ELISAによって分析した。
【0107】
化合物Aを、無菌条件下でフィルター滅菌したジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ビヒクル対照は、使用した薬剤の最高濃度において希釈剤として用いたのと同じ濃度のDMSOを含んだ。どちらも10μg/mlの抗TNF−α及びIL−1RAの併用処置を陽性対照として使用した。
【0108】
化合物AはTNF−αの産生を用量依存的に有効に阻害した(図7)。化合物AのIC50は100nMであった。
【0109】
単球におけるLPS誘導性TNF−α産生:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)から分離した単球を、RPMI(5%熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS))中1×10/ウエルで96穴平底プレートに塗布し、次に漸増濃度の化合物A及び対照で処置した(3つ組で)。30分のプレインキュベーション期間後、単球をLPS(10ng/ml)で刺激し、5%CO中37℃で24時間培養した。その後上清を採集し、ELISAによって分析した。
【0110】
結果は、化合物Aが、LPSで刺激した単球のTNF−α産生を用量依存的に阻害したことを示す。化合物Aは、40nMの単球TNF−α IC50値を有する(図8)。
【0111】
ヒトPBMCにおけるLPS誘導性TNF−α産生:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)(2×10細胞)を、3つ組で96穴平底Costar組織培養プレート(Corning,NY,USA)に塗布した。化合物AをDMSO(Sigma)に溶解し、使用の直前に培地中でさらなる希釈を行った。すべての試料における最終DMSO濃度は0.25%であった。様々な濃度の化合物Aを刺激の1時間前に細胞に添加した。細胞を、化合物Aの不在下又は存在下に100ng/mlのLPS(Sigma,St.Louis,MO,USA)で刺激した。細胞を5%CO中37℃で18〜20時間インキュベートし、次に上清を収集して、培地で希釈し、TNF−αレベルに関してELISA(Endogen,Boston,MA,USA)によって検定した (Muller, G. W., et al., J Med Chem, 1996. 39(17): 3238-40)。
【0112】
結果は、化合物Aが51nM(24ng/ml)のPBMC TNF−α IC50を有することを示す(図9及び表5)。
【0113】
ヒト全血におけるLPS誘導性TNF−α産生:化合物Aがヒト全血によるLPS誘導TNF−α産生を阻害する能力を、新鮮採取した全血をPBMCの代わりに使用したことを除き、ヒトPBMCにおけるLPS誘導性TNF−αアッセイについて前述したように
測定した。
【0114】
化合物Aは、240nM(110ng/ml)の全血TNF−α IC50を有する(図10及び表5)。
【0115】
マウスのLPS誘導性血清TNF−α産生:化合物Aを、LPS攻撃誘発の2時間前に強制経口投与によって雌性BALB/cマウスに経口投与した。LPS攻撃誘発の1時間半後に血液を採取し、血清TNF−αを前述したように測定した。
【0116】
化合物Aは、マウスLPS誘導性血清TNF−αレベルを1mg/kg p.o.で83%(n=2)及び0.1mg/kg p.o.で3%(n=2)阻害した。これらのデータに基づき、このモデルについてのED50は0.1〜1mg/kgである(表5)。
【0117】
[実施例4]
6.4 PDE4の阻害
PDE4酵素をゲルろ過クロマトグラフィーによってU937ヒト単球細胞から精製した(Muller et al.,1998, Bioorg. & Med. Chem. Lett. 1998. 8 (19):2669-74)。ホスホジエステラーゼ反応を、50mM Tris HCl pH7.5、5mM MgCl、1μM cAMP、10nM[H]−cAMP中30℃で30分間実施し、煮沸して終了させ、1mg/mlのヘビ毒で処理して、AG−IXSイオン交換樹脂(BioRad)を用いて分離した。
【0118】
結果は、化合物Aが100nM(50ng/ml)のPDE4 IC50を有することを示す(図11及び表5)。
【0119】
[実施例5]
6.5 PDE4阻害に対する特異性
PDE4に対する化合物Aの特異性を、ウシPDE1、ヒト血小板からのヒトPDE2、PDE3及びPDE5、並びにウシ網膜杆体外側セグメントからのPDE6に対して単一濃度(10μM)で試験することによって評価した(Hidaka, H. and T. Asano, Biochim Biophys Acta, 1976. 429(2): 485-97; Nicholson, C.D., R. A. Challiss, and M. Shahid, Trends Pharmacol Sci, 1991. 12(1): 19-27; Baehr, W., M.J. Devlin, and M.L. Applebury, J Biol Chem, 1979. 254(22): 11699-77; and Gillespie, P.G. and J. A. Beavo, Mol Pharmacol, 1989. 36(5): 773-81)。10μMで、化合物Aは、PDE1を30%、PDE2を−14%、PDE3を9%、PDE4を95%、PDE5を−7%及びPDE6を17%阻害した(表5)。
【0120】
[実施例6]
6.6 PGE2誘導性cAMP上昇
プロスタグランジンE2(PGE2)は、単球、T細胞及び他の白血球上のプロスタノイド受容体に結合し、その結果として細胞内cAMPレベルを上昇させ、細胞応答の阻害を生じさせる。PGE2とPDE4阻害剤の組合せは、これらの細胞型においてcAMPレベルを相乗作用的に上昇させ、PGE2の存在下でPDE4阻害剤によって引き起こされるPBMC中のcAMPの上昇は、そのPDE4阻害剤の阻害活性に比例する。
【0121】
ヒトPBMCを前述のように単離し、RPMI−1640中1×10細胞/ウエルで96穴プレートに塗布した。細胞を、2つ組にて、5%COの加湿インキュベーターにおいて37℃で1時間、最終濃度2%のDMSO中の化合物Aで前処理した。次に細胞をPGE2(10μM)(Sigma)で1時間刺激した。細胞を0.1N最終濃度のHClで溶解してホスホジエステラーゼ活性を阻害し、プレートを−20℃で凍結した。生成されたcAMPを、cAMP(低pH)免疫検定キット(R&D Systems)を用いて測定した。
【0122】
結果は、化合物Aが6.1μM(2.9μg/ml)のPBMC cAMP EC50を有することを示す(図12及び表5)。
【0123】
[実施例7]
6.7 CD4T細胞によるIL−5産生
CD4T細胞を、Blood Center of New Jersey(East Orange,NJ)より入手したヒト白血球から陰性選択によって精製した(Schafer, P.H., et al., J Immunol, 1999. 162(12): 7110-9)。CD4T細胞をCD3抗体OKT3(OKT3ハイブリドーマ上清から精製した)及びCD28抗体CD28.2(BD Pharmingen)で刺激した(Hatzelmann, A. and C. Schudt, J Pharmacol Exp Ther, 2001. 297(1): 267-79)。IL−5をELISA(R&D Systems)によって測定した。
【0124】
結果は、化合物Aが520nM(250ng/ml)のIL−5 IC50を有することを示す(図13及び表5)。
【0125】
[実施例8]
6.8 fMLF誘導性好中球LTB4産生
ホルミル−Met−Leu−Phe(fMLP,Sigma)は、好中球を活性化して迅速に脱顆粒し、移動させ、内皮細胞に接着させる細菌由来ペプチドである。好中球の内容物の中で、顆粒は、アラキドン酸代謝の産物であり、それ自体が好中球刺激物質であるロイコトリエンB4(LTB4)である。化合物Aを、fMLF誘導性好中球LTB4酸性をブロックする能力に関して試験した。
【0126】
ヒト好中球を、Coligan, J. E., et al., Current Protocols in Immunology, ed. R. Coico. Vol. 2. 2002: 2-3に記載されているようにデキストラン沈降法によってヒト白血球単位から単離した。10mM HEPES pH7.2を含有する、カルシウム又はマグネシウム不含のリン酸緩衝食塩水(BioWhittaker)に好中球を再懸濁し、1.7×10細胞/ウエルの濃度で96穴組織培養プレートに塗布した。細胞を37℃、5%COで15分間、50μMチメロサール(Sigma)/1mM CaCl/1mM MgClで処理し、次に2つ組で、最終濃度0.01%のDMSO中の化合物Aで10分間処理した。好中球を1μM fMLPで30分間刺激し、その後メタノール(最終濃度20%)の添加によって溶解して、ドライアイス/イソプロパノール浴中で10分間凍結した。LTB4含量を競合的LTB4 ELISA(R&D systems)によって測定するときまで、溶解産物を−70℃で保存した。
【0127】
結果は、化合物Aが10nM(4.7ng/ml)のLTB4 IC50を有することを示す(図14及び表5)。
【0128】
[実施例9]
6.9 fMLF誘導性好中球CD18/CD11b発現
好中球上のCD18/CD11b(Mac−1)発現を以下の修正法で測定した (Derian, C.K., et al., J Immunol, 1995. 154(1): 308-17)。好中球を前述のように単離し、次に1×10細胞/mlで完全培地に再懸濁して、2つ組で、37℃、5%COで10分間、最終濃度0.1%のDMSO中10、1、0.1、0.01及び0μMの化合物Aで前処理した。次に細胞を30nM fMLFで30分間刺激し、その後4℃に冷却した。Fc受容体をブロックするために細胞をウサギIgG(Jackson ImmunoResearch Labs,West Grove,PA,USA)(10μg/1×10細胞)で処理し、CD18−FITC及びCD11b−PE(Becton Dickinson)で染色して、FACSCaliburでのフローサイトメトリーによって分析した。刺激の不在下でのCD18/CD11b発現(平均蛍光)をすべての試料から差し引いて阻害曲線を得、IC50を算定した。
【0129】
結果は、化合物Aが23nM(11ng/ml)のCD18 IC50及び30nM(14ng/ml)のCD11b IC50を有することを示す(図15及び表5)。
【表5】

【0130】
[実施例10]
6.10 乾癬の治療
この試験の目的は、重症複合免疫不全(SCID)ベージュマウスに異種移植されたヒト皮膚を利用する乾癬のヒトNK細胞駆動モデルにおいて、重症尋常性乾癬のための承認された治療薬であるシクロスポリンと化合物Aの有効性を比較することであった。Nickoloff BJ, et al., Am. J. Pathol. 1995, 146(3):580-8; Wrone-Smith T, et al., J. Clin. Invest. 1996, 98(8): 1878-87。
【0131】
29歳から58歳までにわたる、平均年齢42歳の6名の乾癬患者をこの試験に含めた。すべての患者は古典的尋常性乾癬を有していた。いずれの患者もこれまでに治療を受けていなかった。7名の健常志願者からの正常皮膚も移植のために入手した。
【0132】
幅0.4mm及び表面積3×3cmの健常ヒト皮膚片を、Plastic Surgery Department of the Rambam Medical Center,Isrealより、常套的形成外科手術の残余皮膚から提供された。加えて、乾癬患者からの血液試料を25mLの容量で採取した。
【0133】
21匹の重症複合免疫不全(SCID)ベージュマウス(体重約20g)をこの試験に含めた。正常ヒト皮膚を、以前にNickoloff et al., 1995; Wrone-Smith, et al., 1996によって記述されたようにSCIDベージュマウスに移植した。各々のドナーの試料を、3つの処置グループ(n=7匹のマウス/グループ)が均質になるように4匹のマウスに移植した。
【0134】
以前にGilhar et al., J. Invest. Dermatol. 2002, 1 19(2):384-91によって記述されたように、乾癬患者血液からのPBMCを単離し、IL−2(100U/mL培地)の存在下で14日間培養してNK細胞を活性化した。生着の4週間後、各々のマウスに1×10の乾癬患者の活性化同種NK細胞(1×10注入細胞/マウス、n=21)を注射した。注射の2週間後、マウスを分割し、14日間にわたって1日2回処置した。すべての化合物を、b.i.d.(1日2回)用量に分けて5mg/kg/日の用量で投与した。p.o.投与を実施するため、マウスを、頸部の毛を親指と人差し指で静かにつかみ、尾を小指で抑えることによってしっかりと保持した。化合物Aの1mg/ml水溶液の0.05mL容量を、食道に挿入した鈍端の屈曲給餌チューブを通して注射器で1日2回(b.i.d.)投与した。ビヒクル(陰性)対照グループは、0.5%カルボキシメチルセルロース及び0.25%Tween 80 0.05mL(b.i.d.)を摂取した。化合物A及び陽性対照(シクロスポリン)グループは同様の処置投与を受けた。処置の開始から2週間後(注射の4週間後)に、皮膚を採集した。移植片を組織学及び免疫組織化学によって分析した。
【0135】
表皮厚さの測定:皮膚移植片の組織学的評価を移植の前と後に光学顕微鏡検査によって実施し、2名の盲検観察者が評価を行った。表皮厚さを、最大厚さと最小厚さの部位を示すように選択した、表皮に沿った最低限50か所で接眼ミクロメーターを用いて測定した。乳頭上板(suprapapillary plate)の厚さを各々の試料について50か所で同様に測定した。
【0136】
免疫組織化学染色:凍結切片に関する免疫組織化学のために使用したヒト抗原に対するモノクローナル抗体は以下の通りであった:抗HLA−DR(Becton Dickenson,San Jose,CA)及び抗CD54(ICAM−1)(Biodesign,Saco,Maine)。精製マウスIgGを前記抗体についての対照として使用した。ビオチン−アビジン系(Vectostain,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いてOCT包埋標本に関して免疫組織化学を実施した。
【0137】
ヤギ抗ヒトTNF−α(R&D Systems,Minneapolis,MN)を、脱パラフィンし、ペルオキシダーゼでブロックしたスライドガラス上で使用した。切片をマイクロ波オーブンにおいてクエン酸緩衝液、pH=6で20分間処理した。次に切片を室温で30分間冷却し、非特異的結合並びにアビジン−ビオチンに対してブロックした。すべての洗浄はリン酸緩衝食塩水−サポニンで実施した。抗TNF−αを4℃で一晩適用した。次にスライドガラスをビオチニル化ウサギ抗ヤギIgG(DAKO,Carpinteria,CA)と共に、次いでストレプトアビジンホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)と共にインキュベートした。3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)で呈色させた。表皮増殖指数を、抗原賦活化をEDTA(pH=8)緩衝液で実施したことを除き、前記手順を用いてモノクローナル抗ヒトKi−67抗体(Zymed Laboratories,San Francisco,CA,U.S.A.)によって検出される、Ki−67を発現するケラチノサイトのパーセンテージとして測定した。
【0138】
免疫組織化学染色のスコアリング:びまん性染色は表皮の50%以上の陽性で強い発現と定義し、一方限局性染色は表皮の50%未満と定義した。限局性染色は非常に小さな面積の陽性発現であり得る。
【0139】
統計解析:Prism 4.00(GraphPad Software;San Diego,CA)を使用して、ボンフェローニ多重比較ポストホック検定による一方向ANOVAを用いて統計解析を実施した。
【0140】
乾癬NK細胞を注入したSCIDベージュマウスからの正常ヒト皮膚移植片の組織学的評価:実験は、3つのグループ(n=7)に分けた21匹のマウスからなった。プロトコールに従ってすべてのマウスに乾癬患者から得たNK細胞を注射した。その後マウスをビヒクル、化合物A及びシクロスポリン処置グループに分けた。乾癬NK細胞及びビヒクルで処置したSCIDベージュマウスに異種移植した正常ヒト皮膚は、皮膚リンパ球浸潤と共に、表皮肥厚(アカントシス)、過角化、不全角化を含む乾癬状特徴を発現し、一部の領域は顆粒層を保持していたが、また別の領域では顆粒層が失われていた。加えて、大部分の乾癬NK細胞注入正常ヒト皮膚移植片において乳頭間隆起の伸長が観察され、血管周囲のリンパ球浸潤に関連する血管拡張が乳頭層で認められた。したがって、乾癬NK細胞を注入した正常皮膚移植片は、多くの場合、乾癬に類似するが、皮膚炎の一部の徴候と結び付いた組織学的特徴を示し、ヒト皮膚異種移植/乾癬のSCIDマウスモデルの有用性を裏付けた。
【0141】
特に、乾癬患者のNK細胞を注入したSCIDベージュマウスに異種移植した正常ヒト皮膚の組織学的評価は、ビヒクル処置グループの7つの標本すべてにおいて乾癬状の組織学的特徴を明らかにした(表6及び7)。化合物A処置グループの組織学的評価は、1/7のマウスが部分的回復を示し、3/7のマウスが乾癬特徴からの完全な回復を経験し、全体的応答率は57%であることを明らかにした。シクロスポリン処置グループは、化合物Aよりも約14%分低い、42.9%の応答率(1/7が部分的及び2/7が完全回復)を有していた(表6)。
【表6】

【0142】
さらに、表皮厚さを乾癬特徴の指標として使用した。正常ヒト皮膚移植片を有する、乾癬NK細胞を注入したビヒクル処置SCIDベージュマウスは、1450ミクロンの平均表皮厚さを有していた(図16及び表7)。バーの値は7匹のSCIDベージュマウスの平均±SEMを示す。しかし、化合物A又はシクロスポリンで処置した正常皮膚移植/乾癬NK細胞注入SCIDベージュマウスは、ビヒクル処置動物と比較して表皮厚さの約50%減少を示し、それぞれ736及び804ミクロンの平均値であった(図16及び表7)。薬剤処置マウスにおいて認められた表皮厚さの減少は有意であった(P<0.0002;一方向ANOVA)。特に、表皮厚さの薬剤誘導性減少は、ビヒクル処置動物と比較した場合に有意であった(化合物AについてはP<0.001;シクロスポリンについてはP<0.01、ボンフェローニ多重比較ポストホック検定)(図16)。化合物Aはシクロスポリンと等しい成績であり、活性の差は認められなかった(シクロスポリン対化合物A:P>0.05)。
【0143】
免疫組織化学的方法を用いてKi−67陽性ケラチノサイトのパーセンテージとして表した増殖指数も、付加的な乾癬の指標として使用した。バーの値は7匹のSCIDベージュマウスの平均±SEMを示す。ビヒクルで処置した正常皮膚移植/乾癬NK細胞注入SCIDベージュマウスは、活発な細胞増殖を示す、54.1%のKi−67タンパク質発現ケラチノサイトを有していた(図17及び表7)。これに対し、化合物A又はシクロスポリンで処置した正常皮膚移植/乾癬NK細胞注入SCIDベージュマウスは、それぞれ26.2%と24.2%のケラチノサイト増殖指数の低下(≧50%)を示した(図17及び表7)。これらのデータは、化合物A及びシクロスポリンによって媒介される、乾癬NK細胞駆動性ケラチノサイト増殖の有意の低下を明らかにした(P<0.0005;一方向ANOVA)。特に、ケラチノサイト増殖指数は、ビヒクル処置動物と比較して化合物A及びシクロスポリン処置グループにおいて有意に低下した(それぞれp<0.01及び0.001、ボンフェローニ多重比較ポストホック検定)(図7)。しかし、化合物Aとシクロスポリングループの間の差は有意ではなく、これらの薬剤の全体的活性が同様であることを指示した(シクロスポリン対化合物A:p>0.05)。
【表7】

【0144】
乾癬NK細胞を注入したSCIDベージュマウスからの正常ヒト皮膚移植片の炎症マーカー評価:プロ炎症性サイトカインであるTNF−αは、乾癬患者の皮膚病巣において増加する。この試験では、ビヒクル処置マウスからの7/7(100%)のグラフが多数の細胞において高レベルのTNF−α発現を示した(図18及び表8)。TNF−α発現の下方調節が薬剤処置グループにおいて認められた。バーの値は、応答グラフの数を処置グループ内のグラフの総数で除して(応答グラフ/合計7グラフ)、パーセンテージとして表したものである。特に、化合物A処置グループは、4/7の移植片がごくわずかな(2/7)又は陰性(2/7)TNF−α発現細胞を有していたことを示し、グラフの57%における部分的及び完全な回復を明らかにした(図18及び表8)。シクロスポリンはTNF−α発現を85.7%(6/7グラフ)低減し、それぞれ4/7(57.1%;ごくわずか)及び2/7(28.6%;陰性)グラフにおいて部分的及び完全な回復を生じさせた(図18及び表8)。これらのデータは、化合物Aとシクロスポリンの両方が乾癬の炎症症状を軽減する潜在的可能性を有することを示す。
【0145】
乾癬患者において上昇する付加的なプロ炎症性マーカーは、HLA−DR及びICAM−1である。乾癬患者のNK細胞を注入し、ビヒクルで処置したSCIDベージュマウスに移植した正常皮膚は、6/7(85.7%)グラフにおいて表皮全体にわたるびまん性HLA−DR及びICAM−1発現パターンを有していた(注:ビヒクル処置グループからの1つのグラフは陰性HLA−DR及び限局性ICAM−1発現を示した)(図19、図20及び表8)。バーの値は、応答グラフの数を処置グループ内のグラフの総数で除して(応答グラフ/合計7グラフ)、パーセンテージとして表したものである。化合物A及びシクロスポリン処置はHLA−DR及びICAM−1発現を低下させた。特に、HLA−DRは、化合物A及びシクロスポリン処置グループからのグラフの43%において限局性又は陰性(0%)発現まで低下した。化合物A及びシクロスポリン処置グループにおいて生じた43%の回復は、それぞれ限局性及び陰性発現を示す1/7(14.3%)及び2/7(28.6%)に分けられた(図19及び表8)。それに対応して、ICAM−1発現は、化合物A又はシクロスポリンのいずれかで処置したマウスからの4/7(57%)グラフにおいて限局性又は陰性発現(2/7限局性及び2/7陰性)まで低下した(図20及び表8)。
【表8】

【0146】
要約すると、表皮厚さ及び増殖指数データは、乾癬治療薬として期待できる結果を示唆する、化合物Aについての統計的に有意の結果を生じた。免疫組織化学染色データは、乾癬における化合物Aの正の機構的作用(positive mechanistic effects)を部分的に示した。合わせて考慮すると、これらのデータは、ヒト皮膚異種移植/SCIDマウスモデルが、乾癬の病態生理学的機構に対する潜在的薬剤を検討するためのツールとして役立ち得ることを示唆する。組織学的及び免疫組織化学的評価における化合物Aの作用は、化合物Aが乾癬治療薬として有効であることを示唆する。
【0147】
本明細書で引用する参考文献はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明を特定実施形態に関して説明したが、付属の特許請求の範囲によって言及される精神と範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を施し得ることは当業者に明白である。
【0148】
前述した実施形態は単に例示であることが意図されており、当業者は、常套的な実験だけを使用して、特定化合物、材料及び手順の数多くの等価物を認識する又は確認することができる。すべてのそのような等価物は付属の特許請求の範囲内であるとみなされ、付属の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾癬又は乾癬性関節炎を有する患者に、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物の治療有効量を投与することを含む、乾癬又は乾癬性関節炎を治療する方法。
【請求項2】
前記患者に、式:
【化3】


を有するシクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを医薬的に許容される塩として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを医薬的に許容される溶媒和物として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドを医薬的に許容される水和物として投与する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第二活性物質の治療有効量を前記患者に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第二活性物質が、抗炎症剤、免疫抑制剤、ミコフェノール酸モフェチル、生物学的薬剤又はCox−2阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第二活性物質がエタネルセプトである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を経口的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物を錠剤又はカプセルの投与形態で投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミド、又はその医薬的に許容される塩若しくは溶媒和物を局所的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物をローション又は液体の投与形態で投与する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記治療有効量が約1mg〜約1,000mg/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記治療有効量が約5mg〜約500mg/日である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記治療有効量が約10mg〜約200mg/日である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記治療有効量が約20mg/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物を1日1回又は2回投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療有効量が約0.01mg〜約100mg/患者の体重kg/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記治療有効量が約1mg、5mg又は25mg/患者の体重kg/日である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
乾癬を有する患者に、その(R)エナンチオマーを実質的に含まない、シクロプロピル−N−{2−[(1S)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−オキソイソインドリン−4−イル}カルボキサミドの治療有効量を投与することを含む、乾癬を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−515469(P2011−515469A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501796(P2011−501796)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/001805
【国際公開番号】WO2009/120296
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】