説明

シドノンイミン−特異的ドーパミン再摂取阻害剤およびそのドーパミン関連障害の治療における使用

選択的にドーパミン輸送体(DAT)タンパク質に結合するシドノンイミン誘導体およびその類縁体は、ドーパミン再摂取を阻害することにより緩和される障害および疾患の治療およびその進行の遅延に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年3月14日出願の米国仮出願番号60/894,739に基づく優先権を主張しており、その内容は本明細書にそのまま引用される。
【0002】
政府権利声明
本明細書記載の発明は、登録番号IR43DA013353-01、2R44DA013353-02A1、5R44DA013353-03、2R44DA013353-04A1、5R44DA013353-05および5R44DA013353-06に基づき米国国立衛生研究所により提供される財源でなされた。政府は本発明についていくらかの権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、特異的にドーパミン輸送体(DAT)タンパク質またはドーパミン再摂取部位に結合する特定のシドノンイミン誘導体、それを含む組成物、ならびにドーパミン再摂取を阻害することにより緩和される種々の障害および疾患を治療しまたはその進行を遅延させるための該誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
神経伝達物質は、あるニューロンまたは神経細胞と別のものとの間の間隔またはシナプス間隙の電気信号を中継する機能を有する化学的「メッセンジャー」である。神経伝達物質は、神経末端に局在する小胞と称される小さな嚢に貯蔵される。電気信号がニューロン末端に到達すると、小胞は神経細胞膜に移動し、その神経伝達物質分子をシナプス間隙に放出する。シナプス前(または送信)ニューロン中に形成される神経伝達物質は間隔を横切って拡散し、隣接したシナプス後(または受信)ニューロンの細胞膜上の結合部位またはレセプター上に閉じ込められる。イオン輸送およびいくつかの酵素の放出または阻害などの種々の生化学的過程は、シナプス後ニューロンにて、神経伝達物質がその表面上のレセプターを占める場合に開始する。その結果、新たな電気信号がシナプス後ニューロンにて生成し、その信号が継続する。
【0005】
ドーパミンは、脳内で形成され、動き、動機、情動反応および喜びや痛みを感じる能力を調節する過程に影響する、神経伝達物質の一種である。ドーパミンは、バランスがとれ、制御された動きを行うために極めて重要である。ドーパミンが神経信号を送信する過程にてレセプターに結合した後、最終的にシナプス間隙から放出されて移動し、ニューロンの外膜に存在するドーパミン輸送体(DAT)として知られるタンパク質の影響下にて作用する再摂取過程によりシナプス前ニューロンまたはグリア細胞に戻る。言い換えると、DATタンパク質が作用してシナプス間隙からドーパミンを除外し、これは神経信号の正常な送信に不可欠な過程である。
【0006】
さらに、DATタンパク質はドーパミン作動性信号の強度および持続時間の主な決定因子である。ドーパミン輸送体(DAT-KOマウス)が欠如したノックアウトマウスは、ドーパミン作動性傾向の上昇および明白な運動高進をもたらすドーパミン恒常性における顕著な変化を示す(Gainetdinov et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci., 98:11047-54; Hall et al. (2003) Neuropsychopharmacology, 28:620-8; Mateo et al. (2004) Proc. Natl. Acad. Sci., 101:372-7)。
【0007】
多くの行動障害および他の消耗性疾患は、DATタンパク質に結合し、ドーパミン再摂取を阻害する治療剤により緩和することができる。このようなものとしては、二、三例示すると、コカイン依存症、注意力欠如障害、うつ病、パーキンソン病、肥満症 ナルコレプシーおよび統合失調症が挙げられる。
【0008】
コカイン依存症は、米国における主なヘルスケア問題であり続けている。米国保健社会福祉省レポートによれば(aspe.hhs.gov/health/reports/cocaine/)、米国では2百万人を超えるコカイン使用者がいる。2002年10月のレポートにて、薬物乱用警告ネットワーク(DAWN)は、米国において2001年には薬物乱用に関してコカインにより三分の一近くの638,484人が救急処置室(ER)を訪れたことを示唆した。
【0009】
研究者がコカインはドーパミンだけでなく、セロトニンおよびノルエピネフリンなどの種々の脳内神経伝達物質に同様に結合することを示しているにもかかわらず、中毒の要因であるコカインの強化効果はDATタンパク質結合により媒介されると考えられており、これはドーパミン輸送の阻害を引き起こす。コカインおよび他のドーパミン摂取阻害剤のある卓越した行動的影響は、自発運動の刺激である。マウス自発運動の刺激と比較して、[3H] WIN 35,428(DAT阻害剤)結合についての親和性と、コカインおよび構造的に類似の化合物の刺激活性についての有効性とに有意な相関関係がある(Izenwasser et al. (2004) Eur. J. Pharmacol., 263:277-83; Kunko et al. (1998) Pharmacol. Exp. Ther., 285:277-84)。患者の中毒行動に影響を及ぼすレセプターアゴニストまたはアンタゴニストによりドーパミンレセプター活性を軽減するという十分な証拠がある(Campiani et al. (2003) J. Med. Chem., 46:3822-39; Garcia-Ladona and Fox (2003) CNS Drug Rev., 9:141-58; Schlussman et al. (2003) Pharmacol. Biochem. Behav., 75:123-31; Platt et al. (2003) Psychopharmacology (Berl)., 166:298-305; Vorel et al. (2002) J. Neurosci., 22:9595-603; Ellinwood et al. (2002) Eur. Neuropsychopharmacol., 12:407-15)。
【0010】
ドーパミン輸送体選択的化合物が単独でまたは臨床的に入手可能な選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)と組み合わせて、コカイン乱用および依存症を治療するために用いることができることが報告されている(Owens et al. (2002) Encephale., 28:350-5; Zhang et al. (2002) J. Med. Chem., 45:1930-41; Sanchez et al. (2003) Psychopharmacology (Berl), 167:353-62; Fish et al. (2004) J. Pharmacol. Exp. Ther., 308:474-80)。実際に、Soraらは神経伝達物質-輸送体ノックアウトマウスモデルからの証拠を通して依存および中毒の機序におけるドーパミン輸送体およびセロトニン輸送体(SERT)タンパク質の同時関与の重要性を示した(Sora et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci., 98:5300-5)。この研究にて、DATおよびSERTの二重ノックアウトマウスモデルにより、ドーパミン輸送体遺伝子を有さず、セロトニン輸送体のコピーを一つ有するかまたは全く有さない、マウスは先にコカインを受けた場所に全く優先傾向を示さなかったことが示された。つまり、ドーパミンおよびセロトニンの同時再摂取なしで、マウスはコカインにもはや「依存」しない。ドーパミンおよびセロトニン輸送系が互いに補うことができ、コカイン依存および報酬行動がこの重複または補償機序を通して媒介することができることが考えられる。
【0011】
上記のように、コカインが脳内の多くの神経輸送過程と相互作用するため、鎮静作用または他の所望でない副作用を生成せずに臨床試験におけるコカインの効果に拮抗しうる医薬の発見は、大変な課題であることが分かっており、今日までうまく達成されていない。実際に、他の治療用途に認可された多くの臨床的に入手可能な医薬、特に再摂取/輸送体遮断剤および/またはレセプターアゴニストがコカイン渇望、依存および中毒の抑制における有効性についての臨床試験にて試験されているが;未だ長期有効性を示すものはない。
【0012】
ドーパミン作動性系における不均衡は、注意力欠如障害、うつ病および統合失調症のいくつかの症状などのいくつかの神経精神疾患の発生における寄与因子として関わっている。
【0013】
注意力欠如障害は、活動高進を伴うかまたは伴わないで、発展的に不適切な不注意に関わる学習障害である。注意力欠如障害の主な兆候は患者の不注意および衝動性である。不適切な不注意は、活動速度の増大または参加もしくは応答への抵抗をもたらす。注意力欠如障害に罹患している患者は、典型的にかなりの発症レベルにて個体に観察されるよりも頻度が高く重篤な、一貫したパターンの不注意および/または活動高進衝動性を示す。若年ヒト対象の脳内ドーパミンレベルを検討するために陽電子放出断層撮影法(PET)を用い、脳内ドーパミンレベルの低下がADHD児童についての寄与因子であることができることが見いだされた(Volkow et al., J. Neurosci. 21(2) RC 121, (2001))。コカインと同様の薬理学的プロファイルの化合物であるメチルフェニデート(Ritalin(登録商標))は、具体的に脳内ドーパミンレベルを増大させ、従って表現型治療効果を示す。
【0014】
精神刺激薬が注意欠陥過活動性障害(ADHD)または多動性障害の治療における鎮静物質として作用する機序は現在知られていない。DATをコード化した遺伝子が欠如したマウスはドーパミン作動性傾向が上昇し、著しい過活動を示すことが実験により示されている。この活動は新規な環境への曝露により悪化する。さらに、これらのマウスは空間認知機能が害され、精神刺激薬に対して運動の減少を示した。この精神刺激薬の逆説的な鎮静効果は、セロトニン作動性神経伝達に依存した。DATノックアウトマウスとADHD個体との類似点は、共通の機序が精神刺激薬に対するいくつかの行動および反応の基礎となりうることを示唆する。ハロペリドールはそのようなマウスへの鎮静効果を生じることが知られている。
【0015】
うつ病は、一般的な母集団にて10%を超える罹患率を有する、最も一般的な情緒障害の一つである。うつ病は激しい悲しみの感情、絶望、精神機能低下、集中力の欠如、悲観的憂慮、動揺および自己非難により特徴付けられる(Harrison's Principles of Internal Medicine, 2490-2497 (Fauci et al., eds., 14th ed. 1998))。うつ病は、不眠症、睡眠過剰、拒食症、体重減少、過食、活動力減退、性欲減退ならびに活動の正常なサーカディアンリズム、体温およびエンドシン(endosine)機能の乱れなどの肉体的兆候を有しうる。さらに、うつ状態の個体の10%〜15%程度は自殺行動を示す。R. J. Bladessarini, Drugs and the Treatment of Psychiatric Disorders: Depression and Mania, in Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 431 (9th ed. 1996)。ドーパミンのシナプス濃度を増大させる戦略は抗うつ療法として提案されている(例えばD'Aquila et al., 2000, Eur. J. Pharmacol., 405: 365-373を参照のこと)。
【0016】
統合失調症は、医学的専門家により思考障害、気分障害および不安障害であると考えられている。統合失調症についての治癒法は知られていない。従って、治療は統合失調症の症状に向けられており、抗精神病薬、抗うつ薬および抗不安薬の組合せの投与を含むことが多い。ハロペリドールなどの抗精神病薬は少なくとも1950年代から統合失調症の治療に用いられてきた。この既知の医薬は、ドーパミンレセプターを遮断することにより作用し、それにより統合失調症の幻覚、妄想および混乱を制御する。そのうち、広範囲の統合失調症の症状を治療するために、ドーパミンおよびセロトニンレセプターの両方と相互作用する、新薬、例えばフマル酸クエチアピンおよびリスペリドンが導入された。
【0017】
統合失調症治療の成功の主な障害の一つは、特に視力障害、めまい、筋肉の痙攣、生理痛、振戦および他のパーキンソン様症状などの所望でない副作用を有する患者では処方された薬剤を中断することが多いことである。
【0018】
パーキンソン病の罹患者に見られる制御されない動作は、ドーパミンニューロンの変性、神経末端の欠如および結果的なドーパミン欠乏による。DAT遮断薬と称されるクラスの化合物で処置された野生型マウスおよび遺伝的な「DATノックアウト」マウスはともに、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)および6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)などの特異的な神経毒のドーパミン作動性ニューロンへの悪影響に耐性であるという研究が示されている。それゆえ、強力かつ選択的な阻害剤によるDATタンパク質の薬理学的遮断は、パーキンソン病の開始を予防するかまたはその進行を遅らせることにより有効な治療を提供し、CNSドーパミンレベルの増大を伴う症候性便益を提示することができる。
【0019】
肥満症は皮下結合組織における脂肪の異常な増大により特徴付けられる障害である。肥満症を治療するために現在用いられる治療剤の中で、モノアミンレセプター、例えばセロトニンレセプター、ドーパミンレセプター、ノルアドレナリン作動性レセプターおよびヒスタミンレセプターと干渉する薬物などの食物摂取量を増大するものがある。
【0020】
ナルコレプシーは、脱力発作(すなわち筋緊張の突然の消失および激しい興奮を伴う随意筋の麻痺)、睡眠麻痺、入眠時幻覚および無意識下での行動も伴う、突然頻発する、制御できない睡眠への衝動により特徴付けられる神経障害である。該疾患はすべての人種、女性および男性などを悩ます。ヒトの十代および二十代前半で最も一般的に見られる症状によってその重篤度が変化しうる。ナルコレプシーは、中枢アドレナリン作動性ニューロンのドーパミン摂取遮断を通して、特にDATタンパク質の遮断により多くの効果を発揮するリタリン(登録商標)などの中枢神経系(CNS)興奮剤を用いて臨床的に治療する。
【0021】
シドノカルブ(3-(1-メチル-2-フェニルエチル)-N-(フェニルカルバモイル)シドノンイミン)は、英国特許1,262,830およびドイツ出願公開2028880に記載のように、末梢交感神経興奮様作用を実質的に伴わない自発運動の増加により特徴付けられるCNS刺激作用を有することが発見されている。この発見は、CNS興奮剤としても作用する種々のシドノカルブ類縁体の合成をもたらした。例えば米国特許番号4,277,609、4,301,285、4,371,697および4,446,322を参照のこと。しかし、メソカルブとも知られているシドノカルブおよびその密接に関連するいくつかの類似体は実際に、高中毒性の精神刺激薬であるアンフェタミンの誘導体である。ヒト対象に投与した場合に、個体の代謝によりシドノカルブがアンフェタミンに変換されうる。従って、シドノカルブは、このように変換される傾向のない化合物よりも高い乱用可能性を示しうる。実際に、シドノカルブは文献(2006ガイド, Prohibited Substances and Prohibited Methods of Doping, 第6版, Table 6, at 30, United States Anti-Doping Agency, Colorado Springs, CO (December 2005))(www.usantidoping.org)にて禁止刺激剤としてリストに挙げられている。
【0022】
さらに、シドノカルブおよび密接に関連する誘導体は穏やかな再摂取阻害剤である。ドーパミン再摂取タンパク質に対するいくつかの優先的親和性を有するにもかかわらず、これらの化合物はノルエピネフリン再摂取輸送体に対する親和性も同様に示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ドーパミン作動性系におけるDATによる中枢および末梢的役割のために、DATに選択的に結合し、ドーパミン再摂取を阻害する化合物により緩和される、上記のような障害および疾患に対する治療的介入のための魅力的な標的である。特定のドーパミン再摂取を阻害し、中枢神経系刺激効果が欠如した化合物は、薬物依存および薬物乱用可能性を誘発する際に副作用をほとんど有さないようであるので、本質的により貴重な薬物である。従って、そのような化合物の発見に継続的な興味が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
簡潔には、本発明はある態様にて、ドーパミン再摂取を阻害することにより緩和される障害を治療し、またはその進行を遅延させる方法を提供する。本方法は、治療を必要とする患者に治療的有効量の式:
【化1】

(I)
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立して、H、C1-C6アルキル、OH、ハロゲン、C5-C14アリール、C6-C20アラルキル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、SH、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、CN、NO2、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アミノスルフィニル、モノアルキルアミノスルフィニル、ジアルキルアミノスルフィニル、アミノスルホニル、モノアルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヒドロキシスルホニル、アルコキシスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アミノスルホニルアルキル、モノアルキルアミノスルホニルアルキル、ジアルキルアミノスルホニルアルキル、アミノスルフィニルアルキル、モノアルキルアミノスルフィニルアルキル、ジアルキルアミノスルフィニルアルキルから選択される基であり;
Ra、RbおよびRcは互いに独立して、H、C1-C4アルキル、フェニルまたはフェニルC1-C4アルキルから選択される基であり;
m、nおよびkは独立して0-4の整数であるが、但し、m+nは0でなく、そしてm+n=2である場合Rbはアルキルでない]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩を投与する工程を含む。
【0025】
別の態様によれば、本発明は上記式(I)の新規なシドノンイミン誘導体を提供するが、但し、以下の既知化合物は本発明の態様の範囲外である:
(i) N-フェニルカルバモイル-3-(ベンジル)シドノンイミン;
(ii) N-(3',4'-ジクロロフェニル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミン;
(iii) N-(p-クロロフェニル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミン;および
(iv) N-(m-トリフルオロメチル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミン。
【0026】
さらなる態様において、本発明は、本明細書記載の1以上のシドノンイミン誘導体を医薬的に許容される担体媒体と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。
【0027】
本明細書記載のDAT阻害剤化合物は、構造ではなく、より重要には動物の挙動への観察される効果にてシドノカルブと異なる。とりわけ、オープン・フィールド研究におけるその運動機能刺激効果により示されるように、シドノカルブは興奮剤である。J. Witkin et al., J. Pharm. Exptl. Therap., 288(3): 1298-1310 (1999)。これに対して、同じ動物モデル研究は、NIDAも行うが、本発明化合物が用量依存的に自発運動を抑制する効果を有することを示している。これらの化合物の特定のドーパミン作動性効果が中枢神経系刺激を伴わないで、シドノカルブが無効である無数の治療用途を導くことが期待される。さらに、シドノカルブおよびその公知の類似体と違って、本発明化合物は、ノルエピネフリン再摂取タンパク質への親和性をそれほど有さない、強力かつ特異的なドーパミン再摂取阻害剤である。本明細書記載の化合物の別の有利な効果は、インビボにて全くアンフェタミンへの変換傾向を示さないことである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】FIGURE 1は、本発明の実践にて用いられるシドノンイミン誘導体の典型的な実施例、すなわち3-(ベンジル)シドノンイミン-N-フェニルカルバモイル (a);3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン-N-フェニルカルバモイル (b);3-(フェニルプロピル)シドノンイミン-N-フェニルカルバモイル (c);3-(p-カルボキシルベンジル)シドノンイミン N-フェニルカルバモイル) (d);3-(p-フルオロ-ベンジル)シドノンイミン N-フェニルカルバモイル (e);3-フェネチル-シドノンイミン-N-(3'-4'-ジクロロ-フェニル)カルバモイル (f)'および3-(p-ニトロフェネチル)シドノンイミン-N-(3',4'-ジニトロ-フェニル)カルバモイル (g)のIC50/Kiプロファイルのグラフ表示である。
【図2】FIGURES 2A-2Dは、異なる投与経路を用いた同用量にて実施例6の化合物(以下参照;−■−)が実施例3の化合物(−◆−)よりわずかに高いバイオアベイラビリティを示すことを示す薬物動態プロファイル比較のグラフである。
【図3】FIGURE 3は、異なる用量にて実施例6の化合物(−■− = 10 mg/kg; −●− = 30 mg/kg)が実施例3の化合物(−◆− = 10 mg/kg; −Δ− = 30 mg/kg)より良い経口バイオアベイラビリティを示す薬物動態プロファイル比較のグラフである。
【図4】FIGURES 4Aおよび4Bは、実施例3の化合物が不随意的な自発運動(NIDA)の用量依存抑制を示すグラフである。
【0029】
【図5】FIGURES 5Aおよび5Bは、実施例6の化合物が不随意的な自発運動(NIDA)の用量依存抑制を示すグラフである。
【図6】FIGURES 6Aおよび6Bは、実施例3の化合物および実施例6の化合物がそれぞれ不随意的な自発運動を少なくとも3時間抑制することができることを示す試験結果のグラフ表示である(Figures 6Aおよび6Bにおいて−●− = DAT阻害剤および−○− = ビヒクル)
【図7】FIGURES 7A-7Cは、実施例3の化合物がIrwin行動バッテリー(Behavioral Battery)にて有意な行動的影響を誘発することを示す一連のグラフである(A: 自発運動; B: 握力; C: 四肢緊張度)。
【図8】FIGURE 8は、実施例3の化合物がオープン・フィールド試験にて自発運動を軽減することを示すグラフである(−■− = ビヒクル;−▼− = 試験化合物, 10 mg/kg;−◆− = 試験化合物, 90 mg/kg;−▲− = ブスピロン, 6 mg/kg)。
【図9】FIGURES 9A-9Dは、実施例6の化合物がオープン・フィールド試験にて抗不安効果を誘発することを示す一連のグラフである(−■− = ビヒクル;−Δ− = ブスピロン, 6 mg/kg;−▼− = 試験化合物, 10 mg/kg;−*− = 試験化合物, 90 mg/kg)。
【図10】FIGURE 10は、実施例3の化合物が新環境誘発性摂食抑制にて抗不安効果を誘発することを示すグラフである(−■− = ビヒクル;−●− = ブスピロン, 6 mg/kg;−▼− = 試験化合物, 10 mg/kg;−◆− = 試験化合物, Ex. 3, 90 mg/kg)。
【図11】FIGURE 11は、実施例3の化合物がロータロッド挙動(Rotarod Performance)に影響を及ぼさなかったことを示すグラフである(−■− = ビヒクル;−●− = EtOH;−▼− = Ex. 3, 10 mg/kg;−◆− = Ex. 3, 90 mg/kg)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳述
前述したように、本発明は、上記式Iの化合物、該化合物を含む医薬組成物、ならびにドーパミン再摂取を阻害することにより緩和される種々の障害および疾患の治療またはそのような障害および疾患の進行の予防もしくは遅延のための該化合物の使用方法を含む。
【0031】
上記式Iの化合物が1以上の不斉中心を有し、鏡像異性体およびジアステレオマーなどの立体異性体として存在することができ、Cahn-Ingold-Prelogシステムにより通常命名されることが認識されよう。式Iの構造が立体化学を問わず示されるにもかかわらず、すべての可能な立体異性体を含むものであり、ラセミ混合物またはRおよびS立体異性体の他の混合物(非等量の鏡像異性体の混合物であるスケール(scalemic)混合物)ならびに分解物、実質的に純粋な光学活性体およびその医薬的に許容される塩であることができる。
【0032】
上記式(I)の化合物の立体異性体は、有機合成分野の当業者に知られている従来の手順を用いて純粋な光学活性体を選択的に合成するか、またはこれに分離することができる。例えば、立体異性体の混合物は、ラセミ体の分割、順相、逆相およびキラルクロマトグラフィー、選択的塩形成、再結晶などを含むがこれらに限定されない標準法、またはキラル出発物質からもしくは標的キラル中心の入念な合成によるキラル合成により分離することができる。
【0033】
上記式Iの化合物のすべての種々の異性体は本発明の範囲内である。
【0034】
本明細書において、「アルキル」は1-6、好ましくは1-4の炭素原子を有する、飽和の直鎖および分枝鎖炭化水素基を意味する。用語「アルケニル」は、少なくとも一つの二重結合および2-7、好ましくは2-5の炭素原子を有する、不飽和の直鎖および分枝鎖炭化水素基を意味するために用いる。そのようなアルケニル基は、トランス(E)またはシス(Z)構造立体配置であることができる。本明細書において、用語「アルキニル」は、少なくとも一つの三重結合および2-7、好ましくは2-5の炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖の不飽和炭化水素基を意味するために用いる。
【0035】
本明細書において、用語「シクロアルキル」は、3-14、好ましくは5または6-10の炭素環原子を有する1以上の環を有する、飽和環状炭化水素基を意味する。
【0036】
本明細書記載の化合物のいずれのアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル部分も、ハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4モノアルキルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシなどの1以上の基で置換されていてよい。
【0037】
本明細書において、用語「アリール」は、1以上の環および5または6-14の炭素原子、好ましくは5または6-10の炭素原子を有する、芳香族炭化水素基を意味し、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、インダニルなどである。本明細書記載の化合物のいずれのアリール部分もハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4モノアルキルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシなどの1以上の基で置換されていてよい。アリール部分は、好ましくは置換または非置換フェニルである。
【0038】
本明細書において、用語「アリールアルキル」または「アラルキル」は、上記のように定義されるアリールおよびアルキル基を組み合わせた6〜20の炭素原子を有する基を意味する。本明細書記載の化合物のいずれのアラルキル部分も適宜上記アリール基についてのものと同じ1以上の置換基で置換されていてもよい。
本明細書において、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、Fl、Cl、BrおよびIを意味する。
用語「アルコキシ」は、アルキルが上記に定義される、アルキル-O-を意味する。
用語「アルキルチオ」は、アルキルが上記に定義される、アルキル-S-を意味する。
用語「カルボキシ」は、-C(=O)OH部分を意味する。
用語「カルボアルコキシ」は、アルキルが上記に定義される、-C(=O)O-アルキル部分を意味する。
【0039】
用語「カルボキサミド」は、R'およびR''がそれぞれ独立して先に定義されるH、アルキル、アリールまたはアラルキルである、-C(=O)O-NR'R''部分を意味する。
【0040】
用語「アルキルスルホニル」は、アルキルが先に定義される、-S(=O)2-アルキル部分を意味する。
用語「アルキルスルホニルオキシ」は、アルキルが先に定義される、-OS(=O)2-アルキル部分を意味する。
用語「アミノ(モノアルキルアミノ-,ジアルキルアミノ-)スルフィニル」は、R'およびR''がそれぞれ独立して先に定義されるH、アルキル、アリールまたはアラルキルである、-S(=O)NR'R''部分を意味する。
【0041】
用語「アミノ(モノアルキルアミノ-,ジアルキルアミノ-)スルホニル」は、R'およびR''がそれぞれ独立して先に定義されるH、アルキル、アリールまたはアラルキルである、-S(=O)2NR'R''部分を意味する。
用語「アルキルスルホニルアミノ」は、アルキルが先に定義される、-NHS(=O)2-アルキル部分を意味する。
用語「ヒドロキシスルホニルオキシ」は、-OS(=O)2OH部分を意味する。
用語「アルコキシスルホニルオキシ」は、アルキルが先に定義される、-OS(=O)2O-アルキル部分を意味する。
【0042】
用語「アルキルスルホニルオキシ」は、アルキルが先に定義される、-OS(=O)2-アルキル部分を意味する。
用語「ヒドロキシスルホニル」は、-S(=O)2OH部分を意味する。
用語「アルコキシスルホニル」は、アルキルが先に定義される、-S(=O)2O-アルキル部分を意味する。
用語「アルキルスルホニルアルキル」は、アルキル(それぞれの場合)が先に定義される、-アルキル-S(=O)2-アルキル部分を意味する。
【0043】
用語「アミノ(モノアルキルアミノ-,ジアルキルアミノ-)スルホニルアルキル」は、アルキルが先に定義され、R'およびR''がそれぞれ独立して先に定義されるH、アルキル、アリールまたはアラルキルである、-アルキル-S(=O)2-NR'R''部分を意味する。
用語「アミノ(モノアルキルアミノ-,ジアルキルアミノ-)スルフィニルアルキル」は、アルキルが先に定義され、R'およびR''がそれぞれ独立して先に定義されるH、アルキル、アリールまたはアラルキルである、-アルキル-S(=O)-NR'R''部分を意味する。
【0044】
好ましくは、フェニル環Aおよび/またはBがモノまたはジ置換である、上記式(I)の化合物である。Aおよび/またはB環がモノ置換である場合、パラ置換が好ましい。Aおよび/またはB環がジ置換である場合、3,4-ジ置換が好ましい。最も好ましくは、A環がパラ置換である化合物、例えばN-フェニルカルバモイル-3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン、B環が3,4-ジ置換である化合物、例えばN-(3',4'-ジクロロフェニル)カルバモイル3-フェネチル-シドノンイミン、およびA環がパラ置換であり、B環が3,4-ジ置換である化合物、例えばN-(3',4'-ジニトロ-フェニル)カルバモイル-3-(p-ニトロフェネチル)シドノンイミンである。
【0045】
本明細書において、用語「医薬的に許容される塩」は、無機または有機であってよい、無毒性の生理学的に両立可能な酸および塩基に由来する塩を意味する。従って、式Iの化合物が酸部分、例えば3-(p-カルボキシルベンジル)、シドノンイミン-N-フェニルカルバモイルを有する場合、有用な塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばNa、Li、K、Ca、Mg、ならびにアンモニウム塩および有機アミンの塩、例えばアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウム塩などであるが、これらに限定されない、生理学的に両立可能な有機および無機塩基から形成することができる。本発明化合物はまた、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、サリチル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸および同様の既知の生理学的に両立可能な酸などであるが、これらに限定されない、有機および無機酸との塩も形成する。さらに、式Iの化合物が塩基性部分および酸性部分をともに含む場合、双性イオン(「内部塩」)が形成され、本明細書において用語「塩」に含まれる。
【0046】
本明細書においてその医薬的に許容される塩を含むシドノンイミン誘導体は、既知の出発物質を用い、以下に示す一般的合成スキームに従い、有機合成における当業者により便宜的に製造することができる(ここに、R1-R6基は先に定義されるとおりである):
【化2】

a. HCHO, NaNO2, KCN; b. HCl; c. NaHCO3
本発明の実践にて用いることができる具体的なシドノンイミン誘導体の製造のための化学反応は、以下にさらに詳細に記載する。この反応の出発物質は市販されている。米国特許3,277,108も参照のこと。
【0047】
インビトロ研究を行い、本発明化合物の特異的なDAT阻害活性を示す。DAT阻害活性は、J. Javitzら, Mol. Pharmacol., 26: 35-44 (1984)により記載される手順に従い試験した。本発明の多くの典型的な化合物についての試験結果を以下に示す。
【0048】
本明細書において、表現「DATを阻害することにより緩和される疾患の治療方法」は、1以上の上記化合物を用いた治療を意味し、DATにより媒介される疾患もしくは病態の受容者を自由にするか、またはそのような疾患もしくは病態の症状もしくは効果を和らげることにより安心感を提供する。本発明の方法は、以下の疾患を治療し、予防し、管理し、および/またはその進行を遅延させるものである:肺水腫などの肺疾患;虚血再かん流傷害;急性非代償性心不全および心腎臓症候群などの心疾患;高プロラクチン血症(BrE)、高プロラクチン血症(AmE)およびミクロプロラクチノーマ;慢性疼痛または神経因性疼痛などの疼痛;緊張病性、ジスキネジー、下肢静止不能症候群および関連運動障害;ストレス、慢性心的外傷後ストレス障害、不安障害、強迫性障害、分娩後うつ病;統合失調症、躁病、双極性障害および情動障害;ADHD、トゥレット症候群および自閉症などの実行機能障害;コカイン、アンフェタミン、アルコール依存症、および病的賭博などの常習行為;神経内分泌調節障害;炎症性疾患、自己免疫疾患およびリウマチ;下垂体癌、マクロプロラクチノーマなどの腫瘍性疾患;視覚障害、色覚異常;および射精機能不全および関連性機能障害。上記に列挙される疾患および病態は例示であり、これらに限定されるものではない。
【0049】
一般に、本発明化合物を投与し、当分野にて知られる任意の許容される方法を用いることにより、それのみでまたは1以上の他の治療剤と組み合わせて特異的ドーパミン再摂取阻害を達成することができる。従って、活性物質は、経腸的に、静脈内注入、筋肉内、腹腔内または皮下注射などの非経口的に、リポソーム媒介送達により、経膣的に、吸入または吹送的に、経皮または耳性送達により投与することができる。
【0050】
通常、約0.01 mg〜約200 mg/体重kgの範囲の日用量の本発明化合物を投与することができる。1以上の適用/日にて0.1〜100、好ましくは1〜30 mg/kg/日の日用量は、所望の結果を産生するために有効であるべきである。例として、経口投与に適切な用量は1-30 mg/体重kg/日の範囲であるが、静脈内投与に典型的な用量は1-10 mg/体重kg/日の範囲である。もちろん当業者が認識するように、実際に投与される投与量は、治療される病態、受容者の性別、年齢、健康および体重、併用治療のタイプ(あれば)および治療頻度に依存する。さらに、有効な投与量は、バイオアッセイにおける化合物の生物活性を測定し、従って適当な投与量を定めるための所定の経験的活性試験に基づき、当業者により決定することができる。
【0051】
本発明化合物は、上記日用量を送達するために典型的に1-4回/日で投与する。しかし、本明細書記載の化合物および組成物の投与のための正確な投与計画は、治療される個別対象の必要性、投与される治療タイプおよび主治医の判断にやむを得ず依存する。本明細書において、用語「対象」はヒトおよび動物を含む。
【0052】
本発明化合物はそのものとして、またはプロドラッグなどの活性物質が由来する形態にて投与することができる。プロドラッグは、本明細書記載の化合物の誘導体であり、その薬理活性はインビボにおける化学的または代謝的過程による活性化合物への変換に起因する。プロドラッグとしては、上記式Iの化合物のエステル誘導体が挙げられるが、これに限定されない。他のプロドラッグは、医薬品化学および医薬製剤科学分野にてよく知られる手順により製造することができる。例えばLombaertら, J. Med. Chem., 37: 498-511 (1994);およびVepsalainen, Tet. Letters, 40: 8491-8493 (1999)を参照のこと。
【0053】
本明細書記載のDAT特異的化合物およびその医薬的に許容される塩は、好ましくは投与のし易さおよび投与量の均一性のために単位剤形に製剤化する。本明細書において表現「単位剤形」は、治療される対象に適当な活性物質の物理的に分離した単位を意味する。各用量は、そのものとして、または選択される医薬的担体媒体および/または補足活性物質(あれば)とともに、所望の治療効果を産生するよう計算された量の有効成分を含むべきである。典型的には、本発明のDAT阻害化合物は、約0.01 mg〜約200 mg、好ましくは約30 mg〜約100 mgの有効成分を含む剤形にて投与される。
【0054】
経口投与される単位剤形は、錠剤、カプレット、ドラジェ、丸剤、半固体、軟または硬ゼラチンカプセル、水溶液または油性溶液、乳剤、懸濁液またはシロップの形態であることができる。非経口投与に適切な剤形としては、注射用溶液または懸濁液、坐剤、微結晶またはエアロゾルスプレーなどの粉末製剤が挙げられる。活性物質はまた、従来の経皮送達系に組み込んでもよい。
【0055】
本発明の医薬組成物は、1以上の上記式(I)の化合物を医薬的に許容される担体媒体との組合せまたは混合にて含む。組成物は、所望ならば1以上の補足活性物質とともに投与することができる。例えば、DAT阻害剤は、パーキンソン病の治療用L-dopa;うつ病および/またはコカイン乱用および中毒の治療用選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI);または統合失調症治療用ドーパミンD2アンタゴニスト;またはアルツハイマー病または患者が認知障害を有する他の疾患もしくは病態の治療用コリン作動性モジュレータと組み合わせて用いることができる。本発明化合物は、同時に(例えば同じまたは異なる製剤中)または補足治療剤と連続して投与することができる。
【0056】
本明細書において、表現「医薬的に許容される担体媒体」としては、所望の特定の剤形に適した任意のおよびすべての溶媒、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散剤または懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤、充填剤などが挙げられる。文献(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, A.R. Genaro et al., Part 5, Pharmaceutical Manufacturing, pp. 669-1015 (Lippincott Williams&Wilkins, Baltimore, MD/Philadelphia, PA (2000)))は、医薬組成物の製剤化に用いられる種々の担体およびその製造のための既知の技術を開示する。任意の従来の医薬的担体媒体が所望でない生物学的効果を産生するか、またはそうでなければそのような化合物を含む製剤の任意の他の成分と有害な方法にて相互作用することにより本発明のDAT阻害剤化合物と両立不可能である場合を除き、その使用は本発明の範囲内に含まれる。
【0057】
硬および軟カプセルなどの固体剤形の製造について、治療剤は、ラクトース、スクロース、グルコース、ゼラチン、モルト、シリカゲル、デンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩、乾燥脱脂粉乳、植物油、石油、動物油または合成油、蝋、脂肪、ポリオールなどの医薬的に不活性な無機または有機賦形剤と混合することができる。液剤、乳剤または懸濁剤またはシロップの製造について、水、アルコール、水性食塩水、水性デキストロース、ポリオール、グリセリン、脂質、リン脂質、シクロデキストリン、植物油、石油、動物油または合成油などの賦形剤を用いることができる。坐剤について、植物油、石油、動物油または合成油、蝋、脂肪およびポリオールなどの賦形剤を用いることができる。エアロゾル製剤について、酸素、窒素および二酸化炭素などのこの目的に適した圧縮ガスを用いることができる。医薬組成物または製剤はまた、保存剤、安定剤、例えばUV安定剤、乳化剤、甘味料、浸透圧を調節するための塩、緩衝剤、コーティング物質および抗酸化剤などであるが、これらに限定されない、1以上の添加剤も含んでよい。
【0058】
本発明はさらに、医薬組成物について制御放出または持続放出治療剤形を提供し、ここに、該組成物は送達系に組み込まれる。この剤形は、残存血中濃度を相対的に一定にして血流中の活性物質の有効な濃度が延長された期間にわたり維持することができるような方法で活性物質の放出を制御し、治療結果を改善し、および/または副作用を最小化することができる。さらに、制御放出系は、活性物質の血漿レベルにおけるトラフ(trough)変動に最小ピークを提供する。
【0059】
本発明の医薬組成物にて、活性物質は、担体媒体および/または補足活性物質(あれば)を含む組成物の総重量に基づき少なくとも0.5、一般的に多くて95重量%の量にて存在することができる。好ましい活性物質の割合は、組成物の30-90重量%で変化する。
【0060】
本明細書記載の化合物の作用の生化学的機序について任意の特定の理論に限られるものではないが、これらの化合物が1)ドーパミン再摂取タンパク質と非常に強力かつ特異的な相互作用、2)速いオンサイト吸収および分配(例えば脳)、および3)最も一般的な代謝酵素などの他のタンパク質とほとんど相互作用しないことを示すことを考えると、これらの化合物は1)内因性ドーパミン作動性機能がドーパミン再摂取の阻害により増大される場合に疾患病態、中枢および/または末梢を改善するためにそれのみで;2)増大された内因性ドーパミン作動性機能の相乗効果および薬物効果を提供するためにドーパミン(またはドーパミン作動性アゴニスト)と組み合わせて;3)疾患の治療が複雑および多面的な疾患病因の考察を必要とする場合にドーパミン作動性機序医薬以外と組み合わせて、用いることができると考えられる。
【0061】
以下の実施例を提供し、さらに詳細に本発明を記載する。これらの実施例は例示目的のためのみに提供し、何ら本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0062】
実施例1
N-フェニルカルバモイル-3-(ベンジル)シドノンイミンの製造
7.5N水性HCl 1.2 mlをベンジルアミン0.94 gおよびシアン化カリウム0.58 gの水2 ml中の混合物中にて撹拌(0℃にて)した。次いでホルムアルデヒド0.7 gを混合物に滴加した。得られた混合物を室温にて2時間撹拌した後、0℃まで冷却した。硝酸ナトリウム0.62 gの水1 ml溶液を混合物に滴加し、次いで7.5N HCl水溶液1.2 mlを冷却しながら加えた。混合物を室温にて1時間撹拌した。エーテルを用いて得られた混合物を三回抽出した。集めたエーテル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した。N-ニトロソ-ベンジルアミノアセトニトリル(反応式を参照のこと)を黄色油状物として得た。次いでニトロソ中間体を500 ml HCl エーテル溶液(2.0 M)で処理し、室温にて30分間撹拌した。白色析出物を得、2-プロパノールで再結晶し、白色結晶を得た。このように得られた3-ベンジル-シドノンイミン塩酸塩2.84 gを水25 mlに溶解した。その溶液に炭酸水素ナトリウム1.34 gを0℃にて加えた。次いでフェニルイソシアネート2.45 mlを混合物に滴加し、0℃にて4時間撹拌し、得られた混合物にエーテル10 mlを加え、黄色結晶析出物を得た。メタノールを再結晶用溶媒として用いた。所望の生成物を黄色結晶として得た。
【0063】
実施例2-7
化合物N-フェニルカルバモイル-3-(p-カルボキシルベンジルシドノンイミン (2);N-フェニルカルバモイル-3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン (3);N-(3',4'-ジクロロフェニル)カルバモイル-3-フェネチル シドノンイミン (4);N-(3',4'-ジニトロフェニル)カルバモイル-3-p-ニトロフェネチル シドノンイミン (5);N-フェニルカルバモイル-3-(フェニルプロピル)シドノンイミン (6);およびN-フェニルカルバモイル-3-(p-フルオロ-ベンジル)シドノンイミン (7)を上記実施例1に記載のものと実質的に同じ手順に従い等量の異なる出発物質に適当に置き換えて合成した。
【0064】
実施例8
I. ドーパミン輸送体結合アッセイ[3H]WIN 35,428
本アッセイは、Javitch, J. J. et al., Mol. Pharmacol. 26: 35-44; 1984に記載の手順に従い行った。

A. 組織調製(すべての溶液は氷上にて調製)
1. 雄モルモットからの凍結脳を解凍し(アッセイ緩衝液にて)、50 mM TRIS-HCl中に置く(25℃にて120 mM NaC1でpH 7.4)。線条体を単離する。
2. ポリトロン(Polytron)を用いて組織を20 vols. (w/v)の50 mM Tris-HClに均質化する(25℃にて120 mM NaC1でpH 7.4)。
3. ホモジネートを48,400 x g、4℃にて約10分間遠心分離する。上清を廃棄する。
4. 工程2および3に記載のようにペレットをさらに洗浄する。
5. 結合アッセイに必要となるまで氷上にてペレットを貯蔵する。
6. ポリトロン(設定5;約10秒)を用い、50 mM Tris-HCl(25℃にて120 mM NaC1でpH 7.4)中にてペレットを再懸濁し、最終濃度が8 mg/mlまたは組織4.0 mg/チューブとなるように、初期濃度10 mg/ml(元の湿重量)とする。
【0065】
B. 結合反応
1. 各チューブは以下の成分を含む:
薬物またはビヒクル50 ul
[3H]-WIN 35,428 50 ul
組織懸濁物400 ul
2. 組織を加えながら結合反応を開始し、0℃(氷上)にて120分間インキュベートする。
3. 未処理Whatman GF/Cフィルター上でのチューブ内容物の急速なろ過により結合反応を終了する。
4. アッセイチューブを50 mM氷冷TRIS HC1(25℃にて120 mM NaC1でpH 7.4, BSA)で1回すすいだ後、同じ洗浄緩衝液6 x 1 ml/チューブでフィルターを素早くすすぐ。
5. LSM器具を用いてフィルター上にトラップされた放射能を分析する。シンチカクテル中に3時間置く。
【0066】
C. ドーパミン輸送体結合アッセイ
物質および試薬
1. [3H]-WIN 35-428を50 mM TRIS HC1(25℃にて120 mM NaC1でpH 7.4)中60 nMの濃度に希釈する。従って、最終リガンド濃度は6 nMである。
2. 非特異的結合を1 x 10-6 M GBR12909の存在下にて残存するものとして定義する(室温キャビネット)。GBR12909 MW=523.5g/mol. 4% DMSOにて可溶化する(超音波分解15分)。アリコートを用いることができる(1E-3)。
3. アッセイの参照化合物はGBR12909であり、4% DMSO中に希釈した後、以下の最終濃度にて行う:1x10-10、5x10-10、2x10-9、5x10-9、1x10-8、2x10-8、5x10-8、1x10-7、2x10-7、5x10-7、1x10-6、5x10-6
4. 陽性対照GBR12909を最終濃度:2x10-8、1x10-7、5x10-7Mにて行う。
5. レセプターについてのKdは28.0 nMである。
【0067】
緩衝液
【表1】

洗浄緩衝液(1 g BSA/アッセイ緩衝液1 Lを加える)
【表2】


Ki: 2.25-22.5 e-9
【0068】
II: ノルエピネフリン輸送体(ヒト組換え)結合アッセイ
本アッセイはRaisman, R, et al. Eur. Jrnl. Pharmacol. 78: 345-351 (1982)記載の手順を改変して行った。文献(Langer, S., et al., Eur. Jrnl. Pharmacol, 72: 423-4 (1981))も参照のこと。
組織調製
1. hrNET(レセプター生物学;RBNET)を各チューブが0.5マイクロ単位または2マイクロ単位/mlを含むように、アッセイ緩衝液中にて2.5マイクロ単位/mlまで希釈する。
注:100マイクロアッセイ、緩衝液20 mlを加える。
【0069】
結合反応
1. 各チューブは以下の成分を含む:
薬物またはビヒクル25 ul
[3H]-ニソキセチン25 ul
組織上清200 ul
2. 組織を加えながら結合反応を開始し、室温にて1時間インキュベートする。
3. 0.1% PEI処理GF/Cフィルター(TopCount)上でのチューブ内容物の素早いろ過により結合反応を終了する。
4. 氷冷50 mM NaCl上にてアッセイチューブをすすいだ後、同じ洗浄緩衝液6 x 1 ml/チューブでフィルターを素早くすすぐ。
5. シンチレーションカクテルに少なくとも1時間浸した後、液体シンチレーション分光光度計を用いてフィルター上にトラップされた放射能を分析する。
【0070】
物質および試薬
1. レセプター源はヒト組換え/CHOである。
2. アッセイ緩衝液中10 nMの濃度に希釈した[3H]-ニソキセチンを放射性リガンドとして用いる。従って、最終リガンド濃度は1 nMである。
3. 非特異的結合は1 x 10-6Mデシプラミン(MW = 302.8)の存在下にて残存するものとして定義される(新鮮なものとする:バッグ内のrocks 1をデシケートしながら、水1E-3に溶解する)。
4. アッセイの参照化合物はデシプラミンである。デシプラミンを以下の最終濃度にて行う:
1 x 10-10、2 x 10-10、5 x 10-10、1 x 10-9、2 x 10-9、5 x 10-9、1 x 10-8、2 x 10-8、5 x 10-8、1 x 10-7、2 x 10-7、5 x 10-7M
5. 陽性対照を最終濃度:1 x 10-9、5 x 10-9、2 x 10-8 Mにて上記いずれかのとおり行う。
6. レセプターのKdは3 nMである。
【0071】
緩衝液
MW (g/mole) g/1L
インキュベーション緩衝液:
50 mM Tris, pH 7.4 121 6.06
5 mM KCl 74.6 0.38
120 mM NaCl 58.4 7.02

洗浄緩衝液:50 mM NaCl 58.4 3.0
【0072】
DATおよびNET結合アッセイの結果は、以下の表に示す:
【表3】


【表4】

【0073】
本発明の好ましい化合物は、90%以上のDAT結合阻害(10μmにて)および15%以下のNET結合阻害(10μMにて);または少なくとも9:1の比のDAT:NET結合阻害(10μMにて)を有する。
【0074】
実施例9
以下の物質および方法を提供して実施例9の実践を容易にし、ここに、いくつかの生物サンプルにおける薬物濃度は異なる投与経路を用いて分析した。
実施例3の化合物の投薬および薬物投与に用いられるパラメータ:
投与経路 投与範囲 投与量
(適当な経口摂取針を備えた1-mlシリンジを用いる)
静脈内 10 mg/kg 5-10 x 体重
(5-10 ml/kg、すなわち25gマウスが125-250ulを受ける)
腹腔内 10 mg/kg 10 x 体重
経口 10,30 mg/kg 10 x 体重
マウス血統
アダルトC57BL/6マウス(好ましくは16週齢)
時点
静脈内について、投与前、5、15、30、60、120、240および480分
腹腔内および経口について、投与前、15、30、60、120、240、480および1,440分
3つのマウス/時点。三のすべての経路が同日に行われる場合、投与前の1の群が効率的である。
投与処方
10% EtOH
0.05-0.08% 7.5N HCL
食塩水中30%キャプティソル
最終PH 2.5-3
【0075】
実施例10
自発運動(オープン・フィールド研究)
NIDA医薬開発課(MDD)自発運動研究標準プロトコールによれば、実施例3の化合物により誘発される運動低下について用量反応研究を行った。2セットにて音波減衰チャンバー内に収容された40 Digiscan自発運動試験チャンバー(40.5 X 40.5 X 30.5 cm)を用いて本研究を行った。赤外線(16ビーム)および対応する光検出器のパネルを各活動チャンバーの側に沿って水平方向に置いた。各チャンバー上に7.5 W白色光を薄暗い照明で供した。ファンは、チャンバー内で80dB周囲ノイズレベルを提供した。慣らされていない8の雄Swiss Websterマウス(Hsd:ND4, 2-3月齢)の別の群に自発運動試験の20分前にビヒクル(2%メチルセルロース)または上記実施例3の化合物(3、10、30または100 mg/kg)を腹腔内(IP)経路により注射した。器具に置いた直後、すべてのマウスに食塩水を腹腔内注射した。全研究にて、水平活動(光細胞ビームの遮断)は10分以内で1時間測定した。1のマウス/活動チャンバーで試験を行った。
実施例6の化合物により誘発される運動低下の研究と同じプロトコールを続けた。
【0076】
実施例11
経時変化(8時間)マウス自発運動試験
実施例3の化合物の運動低下誘発効果の経時変化/用量応答研究は、自発運動試験直前にビヒクル(2%メチルセルロース)または実施例3の化合物(3、10、30または100 mg/kg)を8のマウスの群に注射したことを除いて、同じMDD自発運動研究経時変化プロトコールに従って行った。100 mg/kgの試験化合物投与後30、120および480分にて各マウスの行動観察を記録した。本研究にて用いたビヒクルは2%メチルセルロースであった。
【0077】
実施例6の化合物の運動低下誘発効果の別の経時変化/用量応答研究もまた、実施例3の化合物の試験について記載のものと同じ条件下にて行った。自発運動試験の直前にビヒクル(2%メチルセルロース)または試験化合物(3、10、30または100 mg/kg)を8のマウスの別の群に注射した。100 mg/kgの試験化合物投与後30、120および480分にて各マウスの行動観察を記録した。本研究にて用いるビヒクルは2%メチルセルロースであった。
【0078】
結果
本発明者らは、コカイン乱用および異常ドーパミン再摂取と関連する他の障害の治療および予防における使用のためのDAT選択的阻害剤を認識した。そのような二の阻害剤、すなわち上記実施例3および6の化合物は、少なくとも200 mg/kgまでよく許容される。観察可能な行動変化が数分で起こり、約2-3時間続いた。実施例3の化合物で処理した対象は125 kg/mgを超えた用量にて顕著に不活発となったが、この効果はより高濃度の実施例6の化合物にて減少した。
【0079】
アダルトC57BL/6マウス(好ましくは約16週齢)を用いた研究にて、実施例3の化合物についての投薬および薬物投与パラメータを探究した。第2表は、これらの研究の結果を概略する。明らかに、化合物は経口投与に適しており、2-3時間まで血漿中に持続する。さらに、実施例3の化合物は、経口投与または静脈内投与により脳に達する。第3表を参照のこと。
【0080】
第2表
【表5】

【0081】
第3表
【表6】


Figures 2A-2Dに示されるように、さらなる薬物動態研究を行った。同用量における実施例3の化合物と比較した場合に、実施例6の化合物は血漿および脳にてわずかに良いバイオアベイラビリティを示すようだ。実施例6の化合物はまた、異なる用量にて投与される場合に比較的高い経口バイオアベイラビリティを示す。Figure 3を参照のこと。
【0082】
自発運動分析は、文献(Tella et al. (1996) Pharmacol Biochem. Behav. 54:343-54; Elmer et al. (1996) Pharmacol Biochem Behav 53:911-918)に記載の手順に従い、本発明のDAT阻害剤の投与後に行った。これらの分析の結果はFigures 4および5に示す。Figures 4Aおよび4Bは実施例3の化合物が自発運動の用量依存抑制を示すことを示すグラフである。実施例6の化合物は、Figures 5Aおよび5Bに見られるように、同様の用量依存応答を示した。
【0083】
実施例3の化合物を用いた上記経時変化マウス自発運動実験の結果をFigure 6Aに示し、これは時間(0-8 hr)および化合物の用量(上から下のパネル)の関数として平均水平活動数/10分を示す。この化合物による治療は、30および100 mg/kg後の自発運動の時間および用量依存低下をもたらした。30および100 mg/kgの低下作用は、注射後10分以内に起こり、140〜160分続いた。20-50分間は、最大抑制が用量の関数として最初に現れる時間であったので、用量応答データの分析のために選択した。この30分間の平均水平活動数/10分を用量効果曲線(3〜100 mg/kg用量範囲)の降下部分のlog10用量の一次関数に合わせた。ID50(最大低下活動の半分を生じる用量、最大低下 = 0カウント/30分)を24.0 mg/kgと推定した。
【0084】
水平活動数/10分にて行った変動の二方向分析は、処置F(4,35)=5.35, p=.002, 10分間 F(47,1645)=42.63, p<.001、および期間および処置の相互作用F(188,1645)=2.26, p<.001についての有意な効果を示した。20-50分時間についてのlog10水平活動数にて行った変動の一方向分析(最大低下効果)は、処置F(4,35)-27.59, p<.001の有意な効果を示し、ビヒクル群に対する計画的比較(事前比較)は30および100 mg/kgについて有意な低下効果を示した(ps < .05はFigure 6Aにてアステリスクで示した)。
【0085】
実施例6の化合物を用いた経時変化マウス自発運動実験の結果をFigure 6Bに供し、時間(0-8 hr)および試験化合物の用量の関数としての平均水平活動数/10分を示す(上から下のパネル)。本化合物による処置は、100 mg/kg後の自発運動の用量依存低下をもたらした。100 mg/kgの低下効果は注射後10分以内に起こり、160分続いた。期間50-80分は、最大抑制が最初に用量の関数として表された時間であったため、用量応答データの分析について選択した。この30分間についての平均水平活動数/10分を用量効果曲線の降下部分のlog10用量の一次関数に合わせた(10〜100 mg/kg用量範囲)。ID50(最大低下活動の半分を生じる用量、最大低下 = 0カウント/30分)を30.2 mg/kgと推定した。
【0086】
水平活動数/10分にて行った変動の二方向分析は、処置の有意な効果F(4,35)=6.84, p<.001, 10分間F(47,1645)=48.92, p<.001、および期間および処置の相互作用F(188,1645)=1.64, p<.001を示した。50-80分時間についてのlog10水平活動数にて行った変動の一方向分析(最大低下効果)は処置の有意な効果F(4,35)=6.01, p=.001を示し、ビヒクル基に対する計画的比較(事前比較)は100 mg/kgについての有意な低下効果を示した(ps<.05はFigure 6Bにてアステリスクで示した)。
【0087】
これらの化合物の薬理学的効果をさらに特徴付けるために、Irwin行動バッテリー試験を行った。
【0088】
試験は、午前8-11時の明周期の最後まで行った(午前11:00に光を消す)。マウスは、少なくとも30分間試験室の環境に順応させた。Irwin試験器具(タイマー、可視ジャーおよびサポート、開けた活動領域、格子、定規、サウンドボックス、木製ストック、kimwipeボックス)を層流フッド下に置いた。マウスをまず可視ジャーに5分間置き、以下のパラメータを記録した:
1. 一般的な外観−毛づや、ひげ
2. 体位
3. 自発運動
4. 呼吸速度
5. 振戦
6. 痙攣
7. 異様な挙動−コメント
8. ひきつけ
9. 排便−セッションの終わりの糞の数
【0089】
5分間の終わりにマウスの入った可視ジャーを活動領域に移し、ジャーを解体し、マウスを活動領域に開放した。マウスは実験者により処理されなかった。以下のパラメータを以下の順に活動領域で記録した:
1. 移動覚醒−最初の10秒間
2. 自発運動−四肢すべてが30秒入った平方数
3. 眼瞼閉鎖状態
4. 立毛
5. 驚愕反応−活動領域から30 cm離れたクリックボックスからの90dB音
6. 歩行
7. 骨盤上昇
8. 尾部上昇−前進運動中
9. 接触脱出−上からの指による一撃
10. 尾部つまみ−鉗子で尾の根元から3 cm
11. 体温−低体温または異常発熱
12. 位置受動−尾、首、後肢または仰臥位の保持による連続した処置に対するもがき反応
【0090】
次いで、マウスをその尾により取り上げ、活動領域上にして以下の一連のパラメータを記録した:
1. 胴体曲げ
2. 脚の把持
3. 目視置き直し−ワイヤー格子上15 cmの高さから動物を尾の根元より下げた場合の前肢の伸展
4. 握力−マウスを降ろし、格子を握らせ;穏やかに水平に後ろへ引っ張る
5. 体調−親指と人差し指の間でマウスの両端を圧迫する
6. 耳介反射−マウスを穏やかに格子に抑えて、細かいワイヤープローブのチップで内眼角(inner cathus)の近位部を軽くさわる;耳の収縮を観察する
7. 角膜反射−マウスを穏やかに格子に抑えて、細かいワイヤープローブの側面で角膜を軽くさわる;瞬目反応を観察する
8. 足指つまみ−後脚の中指を穏やかに細かい鉗子で横に押す。後ろ脚を格子から離して持ち上げる
9. ワイヤー操作−マウスを尾懸垂によりワイヤー上に保持し、降ろして前脚で水平ワイヤーを握らせる;マウスを伸ばした状態にし、水平に回転させて放す
【0091】
次いでマウスを仰臥位拘束状態に置き、以下の順序で以下のパラメータを記録した:
1. 体長−鼻の先から尾の元まで(mm)
2. 皮膚色−前脚の足底面および指
3. 心拍数−胸骨下方触診による感触
4. 四肢緊張度−左/右後脚の足底面への穏やかな指先圧に対する耐性
6. 流涙
7. 瞳孔反射
8. 唾液分泌
9. 誘発性かみつき−だぼ棒を動物の口の側面の歯間に穏やかに挿入する
10. 興奮性
【0092】
最後の三つのパラメータを活動領域上または内で記録した:
1. 立ち直り反射−マウスを尾で保持し、放したときに後方宙返りするように空中で弾く;着陸位置を観察する
2. 接触立ち直り反射−マウスをプラスティックチューブ内に置き、ひっくり返す
3. 負の走地性−マウスを水平格子上に置き;格子をマウスが床に対して垂直になるように持ち上げ;挙動を30秒間観察する
【0093】
【表7】


Figures 7A-7Cに示した試験結果は、Irwin行動バッテリーにて実施例3の化合物が有意な行動的影響を誘発することを示す。Figure 7Aは自発運動の結果を示す。Figure 7Bは握力の結果を示す。Figure 7Cは四肢緊張度における化合物投与の効果を示す。
【0094】
オープン・フィールド試験もまた行った。この試験を行う際に、個別に飼育された8-12週齢の雄および雌マウスを用いた。マウスをバリア設備内で逆L:D/12 p.m.:12 a.m.周期にて維持した。食物および水を自由に与えた。6-12 a.m.の間の明周期の終わりに向かって試験した。マウスを少なくとも30分間試験室に慣れさせた。アッセイを特注オープン・フィールド装置内で行った。各チャンバーは50×50 cm四方であった。実験は見地から得られた追跡システムにより記録し、追跡した。
【0095】
オープン・フィールドの中心における時間および路程を測定した。オープン・フィールドの中心を活動領域の幾何学的中心における13.5×13.5 cm四方として定義する。中心における路程の百分率を
中心における路程×100%
全路程
として算出する。
各マウスについて、5分間隔にて60分間の全路程および路程を自発運動の尺度として測定した。さらに、試験中の各実験動物により生じた糞をカウントした。各チャンバーを個々のマウス試験間に掃除した。
【0096】
5分間隔での60分間の路程は、SPSSソフトウェアを用いて繰り返し測定により分析した。不対t-テストを用いて他のすべてのパラメータを比較した(GraphPad Prism)。
【0097】
【表8】


Figure 8に示したデータは、実施例3の化合物がオープン・フィールド試験における自発運動を減少するのに有効であることを示す。さらに別のアッセイにて、同じ化合物が明らかな抗不安効果を生じた。Figures 9A-9Dを参照のこと。
【0098】
新環境誘発性摂食抑制(NEIFS)試験もまた行った。個別に飼育された8-12週齢の雄マウスをこの試験のために用いる。食物および水を自由に与えるように、マウスをバリア設備内で逆L:D/12 p.m.:12 a.m.周期にて維持した。6-12 a.m.の間の明周期の終わりに向かって試験した。マウスを少なくとも30分間試験室に慣れさせた。
【0099】
1、2、3および5日目(ホーム・ケージ):つぶしたグラハム・クラッカーを含むペトリ皿をそのホーム・ケージ内の各マウスから最も遠い角に置いた。クラッカーに接近し(マウスの鼻が皿に向いており1 cm以内と定義する)摂取する(食べる, 取ることではない)までの時間をホーム・ケージに皿を置いてすぐに記録した。
【0100】
4日目(新環境):以下の手順はホーム・ケージにて記載したものと同一であるが;4日目にマウスを実験期間中、寝床のある新たなケージ(新環境)に置いた。次いで、マウスを5日間試験中それぞれのホーム・ケージに戻した。残ったクラッカーおよびペトリ皿を各マウスについての実験の終わりに処理した。
【0101】
新環境誘発性摂食抑制アッセイにて、実施例3の化合物は測定可能な抗不安効果を誘発した。Figure 10を参照のこと。とりわけ、化合物はオープン・フィールド試験における排泄回数に全く影響しなかった。
【0102】
以下の実験プロトコールおよびデザインセットを用いてロータロッド・アッセイもまた行った。個別に飼育された8-12週齢の雄マウスをこの試験のために用いた。食物および水を自由に与えるように、マウスをバリア設備内で逆L:D/12 p.m.:12 a.m.周期にて維持した。6-12 a.m.の間の明周期の終わりに向かって試験した。マウスを少なくとも30分間試験室に慣れさせた。
【0103】
試験中層流フッドにて維持された4つのEzRod試験チャンバーを用いてアッセイを行った。ロータロッド・パラダイムを加速するために、マウスを最大3分30秒の試験間隔(ITI)で10回試験した。各マウスをEZRod器に置き、落下するまでの待ち時間をすべての試験について記録した。マウスが落下するかまたは3分経過すれば、次の試験開始まで30秒間マウスをEzRod試験チャンバーの下に放置した。
【0104】
落下までの待ち時間は、繰り返し測定した変動分析(ANOVA)により二群間で比較した。
【0105】
【表9】

【0106】
Figure 11に示すデータは、実施例3の化合物がロータロッド挙動に影響しなかったことを示す。
【0107】
上記明細書は、いくつかの特許および参考文献を含み、これらは本発明が関連する技術水準を示すために供される。各参考文献の開示内容はそのまま本明細書に引用される。
【0108】
本発明のいくつかの具体的態様を上記に記載および/または例示したが、種々の他の具体的態様は上記開示から当業者に明らかであろう。それゆえ、本発明は記載および/または例示される特定の具体的態様に限定されるものではないが、特許請求の範囲から逸脱しないで考え得る変更および改変が可能である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする患者におけるドーパミン再摂取を阻害することにより緩和された障害を治療し、またはその進行を遅延させる方法であって、少なくとも一つの治療的有効量の式:
【化1】


[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立して、H、C1-C6アルキル、OH、ハロゲン、C5-C14アリール、C6-C20アラルキル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、SH、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、CN、NO2、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アミノスルフィニル、モノアルキルアミノスルフィニル、ジアルキルアミノスルフィニル、アミノスルホニル、モノアルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヒドロキシスルホニル、アルコキシスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アミノスルホニルアルキル、モノアルキルアミノスルホニルアルキル、ジアルキルアミノスルホニルアルキル、アミノスルフィニルアルキル、モノアルキルアミノスルフィニルアルキル、ジアルキルアミノスルフィニルアルキル(ここに、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールおよびアラルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、R'およびR''は独立してH、C1-C6アルキル、C5-C14アリールまたはC6-C20アラルキルから選択される)から選択される基であり;
Ra、RbおよびRcは互いに独立して、H、C1-C4アルキル、フェニルまたはフェニルC1-C4アルキル(ここに、アルキル、フェニルおよびフェニルC1-C4アルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい)から選択される基であり;
m、nおよびkは独立して0-4の整数であるが、但し、m+nは0でなく、そしてm+n=2である場合Rbはアルキルでない]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする、方法。
【請求項2】
投与される化合物がN-フェニルカルバモイル-3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-カルボキシルベンジル)シドノンイミン、N-(3',4'-ジクロロ-フェニル)カルバモイル-3-(フェネチル)シドノンイミン、N-(3'4',-ジニトロ-フェニル)カルバモイル-3-(p-ニトロフェネチル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-フルオロ-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(フェニルプロピル)シドノンイミンおよびN-フェニルカルバモイル-3-(ベンジル)シドノンイミンからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コカイン依存症、注意力欠如障害、うつ病、統合失調症、ナルコレプシー、肥満症またはパーキンソン病の治療のために、少なくとも一つの化合物が適宜少なくとも一つの他の治療剤とともに投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
化合物および適宜の他の治療剤がコカイン依存症の治療のために投与される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
化合物および適宜の他の治療剤が注意力欠如障害の治療のために投与される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
化合物が単位剤形にて投与され、単位剤形が化合物約0.01〜約200 mg/患者体重キログラム/日を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
単位剤形が医薬的に許容されるビヒクルを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
化合物が経口投与される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
化合物が非経口投与される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの化合物がパーキンソン病の治療用L-dopa;うつ病および/またはコカイン乱用および中毒の治療用選択的セロトニン再摂取阻害剤;統合失調症の治療用ドーパミンD2アンタゴニスト;およびアルツハイマー病または他の疾患もしくは病態の治療用コリン作動性モジュレータの群から選択される少なくとも一つのさらなる治療剤(ここに、患者は認知障害である)と同時にまたは連続して投与される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
式:
【化2】


[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立して、H、C1-C6アルキル、OH、ハロゲン、C5-C14アリール、C6-C20アラルキル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、SH、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、CN、NO2、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アミノスルフィニル、モノアルキルアミノスルフィニル、ジアルキルアミノスルフィニル、アミノスルホニル、モノアルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヒドロキシスルホニル、アルコキシスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アミノスルホニルアルキル、モノアルキルアミノスルホニルアルキル、ジアルキルアミノスルホニルアルキル、アミノスルフィニルアルキル、モノアルキルアミノスルフィニルアルキル、ジアルキルアミノスルフィニルアルキル(ここに、C1-C6アルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールおよびアラルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、R'およびR''は独立してH、C1-C6アルキルまたはC5-C14アリールから選択される)から選択される基であり;
Ra、RbおよびRcは互いに独立して、H、C1-C4アルキル、フェニルまたはフェニルC1-C4アルキル(ここに、フェニルおよびフェニルC1-C4アルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい)から選択される基であり;
m、nおよびkは独立して0-4の整数であるが、
但し、m+nは0でなく、そしてm+n=2である場合Rbはアルキルでなく、
上記式の化合物は:
(i) N-フェニルカルバモイル-3-(ベンジル)シドノンイミン;
(ii) N-(3',4'-ジクロロフェニル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミン;
(iii) N-(p-クロロフェニル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミン;および
(iv) N-(m-トリフルオロメチル)カルバモイル-3-フェネチル-シドノンイミンでない]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
N-フェニルカルバモイル-3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-カルボキシ-ベンジル)シドノンイミン、N-(3'4',-ジニトロ-フェニル)カルバモイル-3-(p-ニトロフェネチル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-フルオロ-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(フェニルプロピル)シドノンイミンからなる群から選択される、化合物。
【請求項13】
請求項11記載の化合物および医薬的に許容されるビヒクルを含む、ドーパミン再摂取を阻害することにより緩和される障害の治療用またはその進行の遅延用医薬組成物。
【請求項14】
化合物がN-フェニルカルバモイル-3-(p-メチル-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-カルボキシルベンジル)シドノンイミン、N-(3'4',-ジニトロ-フェニル)カルバモイル-3-(p-ニトロフェネチル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(p-フルオロ-ベンジル)シドノンイミン、N-フェニルカルバモイル-3-(フェニルプロピル)シドノンイミンからなる群から選択される、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
さらに医薬的に許容される賦形剤を含む、固形の請求項13記載の組成物。
【請求項16】
さらに医薬的に許容される希釈剤を含む、液体の請求項13記載の組成物。
【請求項17】
単位剤形である、請求項13記載の組成物。
【請求項18】
さらに少なくとも一つの選択的セロトニン再摂取阻害剤を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項19】
単位剤形である、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項20】
ドーパミン再摂取活性を調節し、それによりドーパミン作動性機能を増大させることにより緩和される病態または疾患状態を治療する方法であって、該病態または疾患状態を有する患者に治療的有効量の少なくとも一つの式:
【化3】


[式中、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は互いに独立して、H、C1-C6アルキル、OH、ハロゲン、C5-C14アリール、C6-C20アラルキル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、SH、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、CN、NO2、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アミノスルフィニル、モノアルキルアミノスルフィニル、ジアルキルアミノスルフィニル、アミノスルホニル、モノアルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヒドロキシスルホニル、アルコキシスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アミノスルホニルアルキル、モノアルキルアミノスルホニルアルキル、ジアルキルアミノスルホニルアルキル、アミノスルフィニルアルキル、モノアルキルアミノスルフィニルアルキル、ジアルキルアミノスルフィニルアルキル(ここに、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールおよびアラルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよく、R'およびR''は独立してH、C1-C6アルキル、C5-C14アリールまたはC6-C20アラルキルから選択される)から選択される基であり;
Ra、RbおよびRcは互いに独立して、H、C1-C4アルキル、フェニルまたはフェニルC1-C4アルキル(ここに、アルキル、フェニルおよびフェニルC1-C4アルキル基は適宜少なくとも一つのハロゲン、OH、SH、NH2、C1-C4アルキルメチルアミノ、C1-C4ジアルキルアミノ、COOH、CN、NO2、C1-C4アルキルまたはC1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい)から選択される基であり;
m、nおよびkは独立して0-4の整数であるが、但し、m+nは0でなく、そしてm+n=2である場合Rbはアルキルでない]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする、方法。
【請求項21】
病態または疾患状態が肺疾患;虚血再かん流傷害;心臓疾患;高プロラクチン血症(BrE)または高プロラクチン血症(AmE)およびミクロプロラクチノーマ;疼痛;運動障害;ストレス、慢性心的外傷後ストレス障害、不安障害、強迫性障害、分娩後うつ病;統合失調症、躁病、双極性障害および情動障害;実行機能障害;コカイン依存症、アンフェタミン依存症、アルコール依存症、常習行為;神経内分泌調節障害;炎症性疾患、自己免疫疾患およびリウマチ;腫瘍性疾患;視覚障害、色覚異常;ならびに射精機能不全および関連性機能障害からなる群から選択される、請求項1記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−521491(P2010−521491A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553801(P2009−553801)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/056985
【国際公開番号】WO2008/112968
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(507155878)キャリパー ライフ サイエンシーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】