シャフト上にペーシング電極を有する経血管バルーンカテーテル
心臓保護ペーシングは、心筋梗塞(MI)および血管再生術に関連する心外傷を予防および/または軽減するために適用される。ペーシングパルスは、ペースメーカーから生成され、1つ以上の経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して、血管再生術中に送達され、一実施形態では、少なくとも1つのペーシング電極は、PTVI装置の遠位端部分が位置する梗塞領域から遠隔の部位にペーシングパルスを送達可能にするように、PTVI装置のシャフト上に組み込まれる。別の実施形態では、少なくとも1つのペーシング電極は、少なくとも1つのペーシング電極を組み込むスリーブとして、またはステント電極としてシャフトの上に設けられ、少なくとも1つのペーシング電極は、シャフトの一部分に沿って変位可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、米国特許出願第12/484,778号(2009年6月15日出願)および米国特許出願第61/074,055号(2008年6月19日出願)の優先権の利益を主張し、これらの出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
本願は、同時係属かつ共通譲受人の米国特許出願第11/113,828号(名称「METHOD AND APPARATUS FOR PACING DURING REVASCULARIZATION」、2005年4月25日出願)、米国特許出願第11/468,875号(名称「INTEGRATED CATHETER AND PULSE GENERATOR SYSTEMS AND METHODS」、2006年8月31日出願)、米国特許出願第61/074,032号(名称「PACING CATHETER WITH EXPANDABLE DISTAL END」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,035号(名称「PACING CATHETER FOR ACCESS TO MULTIPLE VESSELS」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,042号(名称「PACING CATHETER RELEASING CONDUCTIVE LIQUID」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,048号(名称「PACEMAKER INTEGRATED WITHVASCULAR INTERVENTUION CATHETER」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,060号(名称「PACING CATHETER WITH STENT ELECTRODE」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,064号(名称「VASCULAR INTERVENTION CATHETERS WITH PACING ELECTRODES」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,064号(名称「EXTERNAL PACEMAKER WITH AUTOMATIC CARDIOPROTECTIVE PACING PROTOCOL」、2008年6月19日出願)、および米国特許出願第61/074,024号(名称「METHOD AND DEVICE FOR PACING AND INTERMITTENT ISCHEMIA」、2008年6月19日出願)に関連し、これらは、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0003】
(技術分野)
本書は、概して、心臓ペーシングシステムに関し、具体的には、血管再生術中に心臓保護ペーシングを送達するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
心臓は、ヒトの循環系の中心である。心臓は、2つの主要なポンプ機能を実行する電気機械的システムを含む。心臓の左部分は、酸素化血液を肺から引き込み、その血液を身体の器官に拍出し、酸素に対するその代謝要求を器官に提供する。心臓の右部分は、身体器官から脱酸素化血液を引き込み、その血液を、血液を酸素化する肺に拍出する。これらの拍出機能は、心筋(心臓の筋肉)の収縮から生じる。正常な心臓では、洞房結節、つまり心臓の天然ペースメーカーは、活動電位と呼ばれる電気インパルスを生成し、この電気インパルスは、電気伝導系を介して心臓の様々な領域に伝播し、これらの領域の心筋組織を励起する。正常な電気伝導系における活動電位の伝播における協調的遅延によって、心臓の様々な部分が同調して収縮し、効率的な拍出機能がもたらされる。閉塞された、またはそうでなければ異常な電気伝導および/または劣化した心筋組織によって、心臓の非同期収縮が引き起こされ、心臓および残りの身体への血液供給の減少を含む、血液動態性能の低下がもたらされる。心臓が身体の代謝要求を満たすのに十分な血液を拍出しない状態は、心不全として知られている。
【0005】
心筋梗塞(MI)は、冠状動脈等の血管の閉塞によって引き起こされる血液供給の阻害によって、心虚血、つまり、心筋に十分な酸素供給が与えられない状態と、代謝産物除去とによって生じる心筋組織の部分の壊死である。梗塞組織として知られる壊死組織は、通常の健康な心筋組織の収縮性を失う。結果として、心筋の全体的な収縮性が弱まり、血行動態性能の低下がもたらされる。MIに続いて、心臓リモデリングは、梗塞組織の領域の拡張によって開始し、サイズにおける慢性的な広範囲の拡大および左心室全体の形状の変化に進行する。その結果として、さらなる血行動態性能の低下および心不全を発現するリスクの有意な増加がもたらされる。
【0006】
冠状動脈等の血管が、部分的または完全に閉塞される場合、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)等の血管再生術を実行して、閉塞した血管を再開放することができる。しかしながら、血管再生術自体は、冠状動脈の一時的な閉塞を伴う。また、閉塞した血管の再開放後の再灌流も、再灌流傷害として知られる心外傷を引き起こすことが知られている。加えて、血管再生術によって除去および押しのけられるプラークは、血管再生が実行される血管から分岐する小血管に進入する可能性があり、これにより、これらの小血管の閉塞が引き起こされる。また、血管再生術は、末梢の塞栓、すなわち、処置中に除去されたプラークによってもたらされる動脈の閉塞をも引き起こす可能性がある。従って、MIおよび後続の血管再生術に関連する心外傷を最小限に抑える必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
心臓保護ペーシングは、心筋梗塞(MI)および血管再生術に関連する心外傷を予防および/または軽減するために適用される。ペーシングパルスは、ペースメーカーから生成され、血管再生術中に、1つ以上の経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置上に組み込まれた1つ以上のペーシング電極を介して送達される。ペースメーカーは、心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、ペーシングパルスの送達を制御する。
【0008】
一実施形態では、血管の血管再生中に使用するためのPTVI装置は、近位端部分、遠位端部分、細長いシャフト、および1つ以上のペーシング電極を含む。遠位端部分は、血管に留置されるように構成され、血管形成装置を含む。シャフトは、近位端部分と遠位端部分との間で連結される。1つ以上のペーシング電極は、シャフトの上に存在し、シャフトの一部分にそって変位可能である。
【0009】
一実施形態では、血管の血管再生中に使用するためのPTVI装置は、近位端部分と、遠位端部分と、細長いシャフトと、ペーシング電極とを含む。遠位端部分は、血管に設置されるように構成され、血管形成装置を含む。シャフトは、近位端部分と遠位端部分との間に連結され、伝導性部分を含む外殻を含む。ペーシング電極は、伝導性部分を含む。
【0010】
一実施形態では、血管の血管再生中の心臓保護ペーシングの方法が提供される。ペーシングパルスは、PTVI装置上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して送達される。PTVI装置は、近位端部分と、血管に設置されるように構成され、かつ拡張可能な血管形成装置を含む遠位端部分と、近位部分と遠位部分との間に連結される細長いシャフトとを含む。1つ以上のペーシング電極は、シャフトの一部分に沿って変位可能である。
【0011】
この概要は、本出願の教示のいくつかに関する概要であり、本主題を排他的または包括的に取り扱うことを意図されない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明および添付の請求項に記載される。本発明の他の側面は、以下の発明の詳細な説明を熟読および理解し、その一部を形成する図面を閲覧することによって、当業者にとって明白になる。本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な均等物によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、概して、本書において論じられる様々な実施形態を例として図示する。図面は、例示目的のためだけのものであり、一定の縮尺ではない場合がある。
【図1】図1は、血管再生中にペーシングを提供するシステムと、システムが使用される環境の部分のある実施形態の図である。
【図2】図2は、血管再生中にペーシングを提供するペースメーカーのある実施形態を図示するブロック図である。
【図3】図3は、心臓保護ペーシングのある実施形態を図示するタイミング図である。
【図4】図4は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルのある実施形態の図である。
【図5】図5は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤのある実施形態の図である。
【図6】図6は、ペーシング電極を備える血管形成術カテーテルのある実施形態の図である。
【図7】図7は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分のある実施形態の図である。
【図8】図8は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図9】図9は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図10】図10は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤの遠位部分のある実施形態の図である。
【図11】図11は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図12】図12は、バルーンおよびペーシング電極を備える血管形成術カテーテルの遠位部分のある実施形態の図である。
【図13】図13は、ペーシング電極を備える血管形成術カテーテルの近位部分のある実施形態の図である。
【図14】図14は、シースと、拡張可能な遠位端を有するペーシングリード線とを含むペーシングカテーテルのある実施形態の図である。
【図15】図15は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分のある実施形態の図である。
【図16】図16は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図17】図17は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図18】図18は、ペーシングリード線およびバルーンカテーテルを含む経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置アセンブリのある実施形態の図である。
【図19】図19は、複数の血管にアクセスするための複数のペーシングリード線を含むペーシングカテーテルのある実施形態の図である。
【図20】図20は、図19のペーシングカテーテルのカテーテルのある実施形態の図である。
【図21】図21は、導電性液体を放出するペーシングカテーテルと、注入装置とのある実施形態の図である。
【図22】図22は、導電性液体を放出するペーシングカテーテルの別の実施形態の図である。
【図23】図23A〜図23Bは、導電性液体を放出するペーシングカテーテルの別の実施形態の図である。
【図24】図24は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーのある実施形態の図である
【図25】図25は、図24のペースメーカーのある実施形態の図である。
【図26】図26は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図27】図27は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図28】図28は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図29】図29は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルのある実施形態の図である。
【図30】図30は、図29の血管形成術カテーテルのスリーブのある実施形態の図である。
【図31】図31は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図32】図32は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図33】図33、は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図34】図34は、ステント電極を備えるステントカテーテルを含むペーシングカテーテルアセンブリのある実施形態の図である。
【図35】図35は、図34のステントカテーテルの遠位端部分のある実施形態の図である。
【図36】図36は、図34のステントカテーテルの遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図37】図37は、図34のステントカテーテルの遠位端部分の別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面が参照され、これらの図面において、本発明が実践され得る具体的な実施形態が例示として示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように十分詳細に説明され、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態を組み合わせてもよいこと、または他の実施形態を利用してもよいこと、ならびに構造的、論理的、および電気的変更を加えてもよいことを理解されたい。以下の詳細な説明は、例を提供しており、本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な均等物によって規定される。
【0014】
本開示における「ある実施形態」、「一実施形態」、または「様々な実施形態」への言及は、必ずしも同一の実施形態に対するものではなく、このような言及は1つを超える実施形態を想定する。
【0015】
本書では、「血管再生」は、本書で論じる装置等のPTVI装置を使用して、心虚血または心筋梗塞(MI)に応じて実行される経皮経管冠動脈形成(PTCA)術等の経皮経管血管インターベンション(PTVI)術を使用する、完全または部分的に閉塞した血管の再開放を含む。
【0016】
本書は、1つ以上のPTVI装置を介して血管再生術を受ける患者にペーシングパルスを送達するペーシングシステムについて論じる。ある用途において、ペーシングシステムは、血管再生術中に、ペーシング事後調節とも呼ばれる急速ペーシング心臓保護療法を提供する。急速ペーシング心臓保護療法は、MIおよび後続の血管再生術に関連する心外傷を予防および/または軽減するために、冠状動脈の一時的な閉塞前、閉塞中、および/または閉塞後に、ペーシングパルスを送達することを含む。ペーシングシステムは、血管再生術を実質的に妨害することなく、急速ペーシング心臓保護療法を送達することができる。別の用途では、ペーシングシステムは、虚血性心臓保護療法をも提供する。虚血性心臓保護療法は、例えば、PTVI装置のバルーンを周期的に膨張および収縮することによって、冠状動脈を間欠的に閉塞することを含む。
【0017】
血管再生術中にペーシングパルスを送達するために、1つ以上のペーシング電極が、1つ以上のPTVI装置上に組み込まれる。このようなPTVI装置の例として、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、および拡張バルーンカテーテル等の血管形成術カテーテル、ステント送達システム、小線源療法装置、アテローム切除術装置、ならびに末梢塞栓保護装置が挙げられる。1つ以上のPTVI装置に接続されるペースメーカーは、ペーシングパルスを生成する。一実施形態において、ペースメーカーは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間または交互のペーシングモードを含むペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、急速ペーシング心臓保護療法の送達を制御する。一実施形態において、ペースメーカーは、ペーシングシステム分析器(PSA)等の体外ペーシング装置である。別の実施形態において、ペースメーカーは、1つ以上のPTVI装置のうちの1つに一体化される。
【0018】
図1は、血管再生中にペーシングを提供するシステム100の実施形態、およびシステム100を使用する環境の部分についての図である。システム100は、PTVI装置110と、ペースメーカー122と、PTVI装置110とペースメーカー122とを接続するケーブル121とを含む。必要に応じて、システム100は、リード線120に接続される皮膚パッチ電極等の表面電極である参照電極119をも含む。リード線120は、ケーブル121とのその接続を可能にするコネクタ118に接続される。
【0019】
PTVI装置110は、血管再生術中に使用され、血管内配置のための遠位端部分111と近位端部分112とを含む。近位端部分112は、近位端装置114と、ペーシングコネクタ116A〜Bとを含む。近位端装置114は、様々なコネクタと、装置の経皮経管挿入および遠位端111における血管形成術装置の動作を含む、PTVI装置110の操作を可能にする他の構造とを含む。ペーシングコネクタ116A〜Bは、ケーブル121を介して、ペースメーカー122とPTVI装置110との間の電気接続を提供する。図示される実施形態において、PTVI装置110は、PTCA術に使用するPTCA装置である。PTCA術中、患者の身体102における大腿動脈104に開口部105が形成される。PTVI装置110は、大腿動脈104に挿入され、大動脈106に前進させられ、次いで狭窄または閉塞した右冠状動脈107に前進させられる。次いで、遠位端111における血管形成術装置を使用して、閉塞した右冠状動脈107を開放する。別の実施形態において、PTVI装置110を使用して、閉塞した左冠状動脈108を開放する。
【0020】
PTVI装置110の遠位端部分111は、PTCA術中に、心臓101にペーシングパルスを送達可能にする1つ以上のペーシング電極を含む。一実施形態において、ペーシングパルスは、PTVI装置110の遠位端部分111上の2つのペーシング電極を介して送達される。別の実施形態において、ペーシングパルスは、PTVI装置110の遠位端部分111上の1つのペーシング電極と、ペーシングのためのリターン電極として機能する表面電極119とを介して送達される。
【0021】
ペースメーカー122は、心臓保護ペーシングプロトコルを実行することによって、ペーシングパルスを送達する。一実施形態において、心臓保護ペーシングプロトコルは、血管再生術に関連する不整脈および心外傷を防止するための心臓保護ペーシングシーケンスを特定する。一実施形態において、ペースメーカー122は、PSA等の外部ペースメーカーである。別の実施形態において、ペースメーカー122は、外用に適合される埋め込み型ペースメーカーを含む。
【0022】
図1は、例示目的のためのものであり、限定目的のためのものではないことを理解されたい。例えば、近位端部分112の物理的構造は、機能および使い易さの考慮事項に依存する。近位端装置114は、全ての機械的接続およびアクセス要件に対応する構造を表わし、この構造は、PTVI装置110の具体的な構成および機能に依存する。一実施形態において、近位端装置114は、図1に図示するような一体型装置を含む。別の実施形態において、近位端装置114は、複数のコネクタおよび/または他の装置に分岐する。ペーシングコネクタ116A〜Bは、ペースメーカー122からPTVI装置110にペーシングパルスを送達するために必要な全ての電気接続に対応する構造を表わす。ペーシングコネクタの数は、PTVI装置110に組み込まれるペーシング電極の数と、ケーブル121への接続方法とに依存する。一実施形態において、ペーシングパルスの送達に1つを超える電気接続が必要とされる場合、近位端部分112は、図1に図示するような、ペーシングコネクタ116および117等の分岐型ペーシングコネクタを含む。別の実施形態において、近位端部分112は、複数の独立した電気接続を提供する単一のコネクタを含む。
【0023】
(ペースメーカー)
図2は、血管再生中にペーシングを提供する外部ペースメーカー222のある実施形態を図示するブロック図である。外部ペースメーカー222は、ペースメーカー122のある実施形態であり、ペーシング出力回路224と、ユーザインターフェース228と、制御回路226とを含む。ペーシング出力回路224は、ケーブル121を介して、ペーシングパルスをPTVI装置110に送達する。ユーザインターフェース228は、ペーシングパラメータおよび/または送達のタイミングを制御することによって、ユーザがペーシングパルスの送達を制御することを可能にする。制御回路226は、ペーシングパルスの送達を制御する。一実施形態において、外部ペースメーカー222は、ペーシング出力回路224と、制御回路226とを収容する筺体を含むPSAである。ユーザインターフェース228は、筺体上に組み込まれる。
【0024】
図示する実施形態において、制御回路226は、ペーシングプロトコルモジュール227を含み、これにより、制御回路226は、ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、ペーシングパルスの送達を制御することが可能になる。急速ペーシング心臓保護療法を提供するために、ペーシングプロトコルは、PTCA術等の血管再生術中にペーシングを送達するために、交互のペーシング期間および非ペーシング期間をまたは交互のペーシングモードを含む心臓保護ペーシングシーケンスを特定する。
【0025】
一実施形態において、ペーシングプロトコルモジュール227は、外部ペースメーカー222に取り外し可能に接続されるように構成される。具体的な実施形態において、ペーシングプロトコルモジュール227は、心臓保護ペーシングプロトコルを記憶するメモリ機器を含み、制御回路226は、ペーシングプロトコルモジュール227が外部ペースメーカー222に接続されると、心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することができる。別の具体的な実施形態において、心臓保護ペーシングプロトコルを記憶するメモリ機器に加えて、ペーシングプロトコルモジュール227は、ユーザが心臓保護ペーシングプロトコルのパラメータを調整することを可能にするユーザインターフェースを含み、および/または心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行するための制御回路226の機能を補う制御回路を含む。様々な実施形態において、外部ペースメーカー222を使用してペーシングプロトコルを自動的に実行するために、他のペーシングプロトコルモジュールが提供される。様々な実施形態において、ユーザには、外部ペースメーカー222と、心臓保護ペーシングプロトコル、心臓再同期療法(CRT)ペーシングプロトコル、および心臓リモデリング制御療法(RCT)ペーシングプロトコル等のペーシングプロトコルを実行するためのペーシングプロトコルモジュールとが提供される。検査または治療セッション中にユーザがペーシングパラメータを手動で調整することが必要であるPSAと比べると、ペーシングプロトコルの自動実行により、ペーシング制御の精度が向上し、ユーザがペーシングパルスの送達を制御する必要性が低減または排除され、その結果、ユーザは、患者および/または血管再生術の応答に対して、より多くの注意を向けることができるようになる。
【0026】
図3は、心臓保護ペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルのある実施形態を図示するタイミング図である。心臓保護ペーシングシーケンスは、PTVI装置の身体102への挿入が完了する際に開始する時間間隔301の後に開始される。時間間隔301は、血管再生術が標的とする血管がPTVI装置110によって実質的に閉塞される際に発生する虚血性イベント前、イベント中、および/またはイベント後に終了する。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、血管再生術中、血管の閉塞前、閉塞中、および/または閉塞後に繰り返し適用される。
【0027】
図3に図示するように、心臓保護ペーシングシーケンスは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。各ペーシング期間は、ペーシングパルスが既定のペーシングモードで送達されるペーシング持続時間である。非ペーシング期間は、ペーシングパルスがなんら送達されない非ペーシング持続時間である。一実施形態において、各ペーシング期間中に、急速な非同期ペーシングが適用される。言い換えると、ペーシングパルスは、患者の固有の心臓収縮に同期されることなく、患者の固有心拍速度よりも実質的に速い速度で送達される。例示目的のためだけに、図3は、交互のペーシング期間および非ペーシング期間の2つのサイクル、つまり、ペーシング期間302Aと、非ペーシング期間303Aと、ペーシング期間302Bと、ペーシング期間303Bとを含む心臓保護ペーシングシーケンスを示す。一実施形態において、交互のペーシング期間および非ペーシング期間のサイクルの数は、プログラム可能であり、ペーシング期間および非ペーシング期間の各々は、プログラム可能である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント前に開始され、約1サイクルから4サイクルまでの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。非ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。具体的な例では、虚血性イベント前に開始される心臓保護ペーシングシーケンスは、3サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含み、各々の長さは、約5分である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント中に開始され、約1から4サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。非ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。具体的な例では、虚血性イベント中に送達される心臓保護ペーシングシーケンスは、3サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含み、各々の長さは、約5分である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント後に始動し、約1サイクルから4サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約10秒から1分までの範囲である。非ペーシング期間は、約10秒から1分までの範囲である。1つの具体的な例では、虚血性イベント後に送達される心臓保護ペーシングシーケンスは、各々の長さは約30秒である、2サイクルから4サイクルまでの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。
【0028】
様々な他の実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、1つ以上の心房追跡モードまたは他のペーシングモードにおけるペーシングを含む。このような心臓保護ペーシングシーケンスにおいて使用されるペーシングモードの例として、VDD、VVI、およびDDDモードが挙げられる。様々な実施形態において、VVIおよびDDDモードは、患者の固有心拍速度よりも速い低速限界で送達される。一実施形態において、ペーシング療法は、心筋または心筋の特定の領域に対する機械的ストレスを生成または増大するように選択されるペーシングモードおよび/または他のペーシングパラメータで送達される。別の実施形態において、ペーシング療法は、再狭窄を予防するように送達される。別の実施形態において、ペーシング療法は、血管再生術中、例えば、患者が手術中に徐脈を経験する場合に不整脈を治療するために送達される。
【0029】
様々な実施形態において、ペーシング期間中、ペーシングパルスの送達は、ストレス増大ペーシングモードに従って制御され、心臓保護ペーシングシーケンスの非ペーシング期間中、非ペーシングモードに従って、なんらペーシングパルスが送達されないように時間調節される。ペーシングパルスが送達されるように時間調節される場合、心周期中のペーシングパルスのスケジュール化された送達前に発生する固有の心臓脱分極の検出等の阻害イベントによって阻害されなければ、ペーシングパルスは送達される。なんらペーシングパルスが送達されないように時間調節される非ペーシングモード下では、無送達は、阻害イベントの検出による阻害ではなく、プログラミングに起因する。ストレス増大ペーシングモード下では、ペーシングパルスは、心臓の心筋に対する機械的ストレスを、心筋障害に対する心臓保護をもたらすレベルまで増大するように送達される。様々な実施形態において、ストレス増大ペーシングモードは、患者の必要性、病状、および応答に従って心筋ストレス増大の所望のレベルに選択されるペーシングパラメータ値を含む、標準的または非標準的なペーシングモードである。ストレス増大ペーシングモードの例として、比較的短い房室(AV)遅延を含む心房追跡ペーシングモード、患者の固有心拍速度よりも実質的に速いペーシング速度を含む徐脈ペーシングモード、および患者の固有心拍速度よりも実質的に速いペーシング速度を含む非同期ペーシングモードが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、ペーシングパルスは、血管再生術中に、PTVI装置110を介して、心臓保護ペーシングプロトコルに従って送達される。血管再生術の後、埋め込み型ペースメーカーが患者内に埋め込まれる場合、ペーシング療法は、埋め込み型ペースメーカーからの1つ以上の埋め込み型リード線を介して心臓101に送達される。ペーシング療法は、血管再生術中に適用される心臓保護ペーシングシーケンスに実質的に同一または類似するペーシングシーケンスに従って、ペーシングパルスを送達することを含む。ペーシングシーケンスは、既定の期間基礎等の既定のスケジュールに従って送達される。これにより、埋め込み型ペースメーカーの埋め込み後に患者が経験し得る心筋梗塞を含む虚血性イベントによって引き起こされる心外傷および不整脈の発生を含む、血管再生後の可能性のある心外傷が予防または軽減される。
【0031】
(ペーシング電極を備えるPTVI装置)
図4〜図6は、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルを含むPTVI装置アセンブリを図示する。PTCA術等の血管再生術中、ガイドカテーテルが、まず患者に挿入され、その後、ガイドワイヤがガイドカテーテルのルーメンに挿入される。血管形成術カテーテルは、ガイドワイヤの一部分を収容するルーメンを含むことによって、血管形成術カテーテルが、ガイドカテーテルを通して、かつガイドワイヤの上で患者に挿入可能になる。ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルは、血管形成術カテーテルのバルーン等の血管形成術装置が血管再生術中に再開放される閉塞血管の部分に配置可能になるように挿入される。
【0032】
図4は、ガイドカテーテル410のある実施形態の図である。ガイドカテーテル410は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分411と近位端部分412との間に細長いシャフト413を有する。遠位端部分411は、血管内配置のために構成され、遠位先端435を有する。ルーメン430は、シャフト413内に延出し、近位端部分412における近位開口部と、遠位先端435における遠位開口部とを有する。ルーメン430は、血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容する。遠位端部分411は、ペーシング電極432A〜Bを含む。図示する実施形態において、電極432Aは、遠位先端435上に組み込まれる。導体433Aは、ペーシング電極432Aとコネクタ416Aとの間に接続される。導体433Bは、ペーシング電極432Bとコネクタ416Bとの間に接続される。コネクタ416A〜Bは、各々、近位端部分412の部分である。一実施形態において、導体433A〜Bは、各々、シャフト413内に長手方向に延在する。別の実施形態において、導体433A〜Bは、各々、シャフト413の外面上に長手方向に延在し、絶縁される。
【0033】
一実施形態において、ガイドカテーテル410は、約50cmから150cmまでの範囲の長さを有する。シャフト413は、約0.5mmから8mmまでの範囲の外径を有し、ルーメン430は、約0.4mmから7mmまでの直径を有する。導体433A〜Bは、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、コバルト、金、および/もしくは塩化銀の合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト413は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される。電極432A〜Bは、白金またはイリジウム合金等の金属材料から作製される。
【0034】
図5は、ガイドワイヤ510のある実施形態の図である。ガイドワイヤ510は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分511と近位端部分512との間に細長いシャフト513を有する。遠位端部分511は、血管内配置のために構成され、遠位先端535を有する。遠位端部分511は、ペーシング電極532A〜Bを含む。図示する実施形態において、電極532Aは、遠位先端535上に組み込まれる。導体533Aは、ペーシング電極532Aとコネクタ516Aとの間に接続される。導体533Bは、ペーシング電極532Bとコネクタ516Bとの間に接続される。コネクタ516A〜Bの各々は、近位端部分512の部分である。一実施形態において、導体533A〜Bの各々は、シャフト513内において長手方向に延在する。別の実施形態において、導体533A〜Bは、各々、シャフト513の外面上で長手方向に延在し、絶縁される。一実施形態において、コネクタ533A〜Bのうちの1つは、ガイドワイヤ510の核である。
【0035】
一実施形態において、ガイドワイヤ510は、約30cmから300cmまでの範囲の長さを有する。シャフト513は、約0.2mmから1.5mmまでの範囲の直径を有する細長い円筒状シャフトである。導体533A〜Bは、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、および/もしくはコバルトの合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト513は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される。電極532A〜Bは、白金、イリジウム合金、金、または塩化銀等の金属材料から作製される。
【0036】
図6は、血管形成術カテーテル610のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル610は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分611と近位端部分612との間に細長いシャフト613を有する。ルーメン631は、ガイドワイヤ510等のガイドワイヤの少なくとも一部分を収容するために、シャフ613内において長手方向に延在する。遠位端部分611は、血管内配置のために構成され、遠位先端635および血管形成術装置634を含む。血管形成術装置634は、遠位先端635にほぼ隣接する一方の端部と、シャフト613に連結する別の端部とを有する。一実施形態において、血管形成術装置634は、制御可能な拡張性および収縮性を有する調整可能部分を含む。図示される実施形態において、血管形成術装置634は、シャフト613内において長手方向に延在し、かつバルーンのチャンバと近位端部分612のコネクタ614との間に接続されるルーメンを通して膨張および収縮させられるバルーンを含む。バルーンは、そのコネクタに接続される空気または液体ポンプを使用して膨張可能である。様々な実施形態において、血管形成術装置634は、血管拡張、ステント送達、小線源療法(放射線療法)、アテローム切除術、または塞栓保護等の血管形成療法の適用を可能にするバルーンまたは他の装置を含む。一実施形態において、遠位先端635は、テーパ状の先端であり、これにより、血管形成術カテーテル610の血管内への挿入が容易になる。遠位端部分611は、ペーシング電極632A〜Bを含む。図示される実施形態において、ペーシング電極632Aは、血管形成術装置634の一方の端部にほぼ隣接し、ペーシング電極632Bは、血管形成術装置634の他方の端部にほぼ隣接する。導体633Aは、シャフト613内において長手方向に延在し、ペーシング電極632Aと近位端部分612の部分であるペーシングコネクタ616Aとの間に接続される。導体633Bは、細長いシャフト613内において長手方向に延在し、ペーシング電極632Bと、近位端部分612の部分であるペーシングコネクタ616Bとの間に接続される。代替実施形態において、ペーシングコネクタ616A〜Bは、1つの多重導体コネクタに物理的に一体化される。また、近位端部分612は、近位端装置614も含む。様々な実施形態において、コネクタ614は、血管形成術カテーテル610のための全ての機械的接続およびアクセス要件に対応する構造を含み、この構造は、血管形成術装置634の機能に依存する。一実施形態において、コネクタ614は、一体型装置を含む。別の実施形態において、コネクタ614は、複数のコネクタおよび/または他の装置に分岐する。
【0037】
一実施形態において、血管形成術カテーテル610は、約50cmから150cmまでの範囲の長さを有する。シャフト613は、約1mmから5mmまでの範囲の直径を有する細長い円筒状シャフトである。一実施形態において、血管形成術装置634は、完全拡張時に約1mmから10mmまでの範囲の最大直径と、完全収縮時に約0.5mmから5mmまでの範囲の最大直径とを有する、調整可能な実質的に円筒形状または半球形状を有する。一実施形態において、導体633A〜Bは、各々、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、および/もしくはコバルトの合金等の金属材料から作製される。電極632A〜Bは、各々、白金またはイリジウム合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト613は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される管状外殻を有する。
【0038】
ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610は、図4〜図6において、限定目的のためではなく、例示目的のためだけに図示される。例えば、ペーシングパルスの望ましい位置への送達を可能にする任意の方式で、1つ以上のペーシング電極を、これらのPTVI装置の各々の上に分布されることができる。様々な実施形態において、1つ以上のペーシング電極は、これらの3つの装置を含むPTVI装置アセンブリを介してペーシングパルスを送達するために、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のうちの1つ以上の上に組み込まれる。一実施形態において、1つ以上の除細動電極も、PTVI装置アセンブリを介して除細動ショックを送達するために、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のうちの1つ以上の上に組み込まれる。一実施形態において、ペーシング電極432A〜B、532A〜B、および632A〜Bのうちの1つ以上等の、1つ以上のペーシング電極は、蛍光透視法を使用して、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および/または血管形成術装置610を設置するための1つ以上のX線不透過性マーカとして機能するように、伝導性X線不透過性材料から作製される。
【0039】
一実施形態において、血管形成術装置610は、バルーンを含む。ガイドワイヤ510は、バルーンが膨張させられたときにルーメン631内にとどまる。膨張したバルーンは、ペーシング電極532A〜Bの上にある。収縮させられると、バルーンが、電極532A〜Bを暴露するように引き込まれることによって、ペーシングパルスの送達が可能になる。一実施形態において、シャフト613は、バルーンが収縮させられると電極532A〜Bを暴露するように短縮される調整可能な長さを有する一部分を含む。
【0040】
例えば、右冠状動脈107を再開放するためのPTCA術の間の一用途において、ガイドカテーテル410は、大腿動脈104に挿入され、右冠状動脈107が大動脈106から分岐する点に遠位先端435が到達するまで大動脈106に対して進められる。ガイドワイヤ510は、遠位端535が右冠状動脈107内に存在するまで、ガイドカテーテル410のルーメン430を通して導入される。次いで、血管形成術カテーテル610は、血管形成術装置634(バルーン)が右冠状動脈107の部分内に存在するまで、ガイドワイヤ510の上でルーメン430を通して導入される。一実施形態において、急速ペーシング心臓保護療法は、ガイドカテーテル410がPTCA術のための適所に存在するとすぐに、電極432A〜Bを使用して送達される。一実施形態において、ガイドカテーテル410と、ガイドワイヤ510と、血管形成術装置610とを含むPTVI装置アセンブリが、PTCA術のための適所に存在すると、急速ペーシング心臓保護療法は、電極432A〜B、532A〜B、632A〜B、および119から選択される1つ以上の対のペーシング電極を使用して送達される。
【0041】
一実施形態において、PTVI装置アセンブリによって、ペーシング心臓保護療法と虚血性心臓保護療法との組み合わせが可能になる。例えば、虚血性心臓保護療法は、1つ以上の対のペーシング電極を介してペーシング心臓保護療法を送達することに加え、血管形成術カテーテル610の血管形成術装置634(バルーン)を膨張および収縮することによって、閉塞した血管を間欠的に閉塞することによって適用される。
【0042】
PTVI装置およびペースメーカーの様々な実施形態が、血管再生術中に急速ペーシング心臓保護療法を送達するためのペーシングシステムを説明する例として、以下に論じられる。概して、このようなペーシングシステムは、図3を参照して上述したような、心臓保護ペーシングプロトコルに従ってペーシングパルスを送達することができるペースメーカーと、各々が1つ以上のペーシング電極を含む1つ以上のPTVI装置とを含む。一実施形態において、1つ以上のPTVI装置は、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテル等の血管再生術の実行に使用する装置であって、急速ペーシング心臓保護療法の送達を可能にするように修正される装置を含む。別の実施形態において、1つ以上のPTVI装置は、血管再生術自体の実行を必要とされないが、血管再生術中にペーシングパルスの送達を可能にするように構成される1つ以上の装置を含む。様々な実施形態において、PTVI装置は、上述のサイズと同一または類似のサイズを有し、上述の材料と同一または類似の材料を使用して構築される。
【0043】
図7〜図13は、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のいくつかの具体的な実施形態を図示する。様々な実施形態において、単独で、または任意の他のPTVI装置と組み合わせて、少なくとも1つのペーシング電極を伴う任意のPVTI装置を使用して、ペーシングパルスが血管再生術中に送達され、少なくとも1つのペーシング電極および/または複数のペーシング電極が血管再生術を受ける患者の中または上に配置される。
【0044】
図7は、ガイドカテーテル710の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分711および細長いシャフト713を示す。ガイドカテーテル710は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図7に示すように、遠位端部分711は、ルーメン730がその遠位開口部で終端する遠位先端735を含む。ルーメン730は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル710から退出することが可能になるように構成される。ペーシング電極732A〜Bは、ルーメン730の遠位開口部に隣接して、遠位先端735上に組み込まれる。ペーシング電極732C〜Dは、シャフト713上に組み込まれる。導体733A〜Dは、ペースメーカーがガイドカテーテル710の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極732A〜Dに送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル710は、遠位端部分711および/またはシャフト713上に組み込まれる任意の数のペーシング電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル710上に組み込まれるペーシング電極のうちの任意の1つ以上が、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0045】
図8は、ガイドカテーテル810の遠位端部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分811および細長いシャフト813を示している。ガイドカテーテル810は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図8に示すように、遠位端部分811は、ルーメン830がその遠位開口部で終端する遠位先端835を含む。ルーメン830は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル810から退出することが可能になるように構成される。コイル電極として構成されるペーシング電極832は、遠位先端835付近の遠位端部分811上に組み込まれる。導体833は、ペースメーカーがガイドカテーテル810の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極832に送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル810は、遠位端部分811および/またはシャフト813上に組み込まれる任意の数のコイル電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル810上に組み込まれる任意の1つ以上のコイル電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0046】
図9は、ガイドカテーテル910の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分911および細長いシャフト913を示している。ガイドカテーテル910は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図9に示すように、遠位端部分911は、ルーメン930がその遠位開口部で終端する遠位先端935を含む。ルーメン930は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル910から退出することが可能になるように構成される。ペーシング電極932Aは、カラー電極として構成され、遠位先端935上に組み込まれる。別のペーシング電極932Bは、別のカラー電極として構成され、シャフト913上に組み込まれる。2つの層の管状金属編組は、各々、ガイドカテーテル910内において延在し、ペーシング電極932A〜Bのうちの1つに接続する。これらの2つの層の管状金属編組は、導体933A〜Bとして機能し、ペースメーカーがガイドカテーテル910の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極932A〜Bに送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル910は、遠位端部分911および/またはシャフト913上に組み込まれる任意の数のカラー電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル910上に組み込まれる任意の1つ以上のカラー電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0047】
図10は、ガイドワイヤ1010の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分1011および細長いシャフト1013を示している。ガイドワイヤ1010は、ガイドワイヤ510の別の実施形態であり、絶縁層1043によって被覆された導体1033で形成される。図示される実施形態において、遠位端部分1011は、遠位先端1035と、導体1033の一部分を暴露する絶縁層1043における開口部によって形成されるペーシング電極1032とを含む。ペーシングパルスは、ペースメーカーがガイドワイヤ1010の近位端に接続されると、導体1033を介して、開口部/電極1032を介して患者に送達される。様々な他の実施形態において、絶縁層1043は、遠位端部分1011および/またはシャフト1013上で電極として機能する任意の数の開口部を含む。
【0048】
図11は、ガイドワイヤ1110の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分1111および細長いシャフト1113を示している。ガイドワイヤ1010は、ガイドワイヤ510の別の実施形態であり、絶縁層によって被覆された複数の導体で形成される。図示される実施形態において、ガイドワイヤ1110は、シャフト1113を形成するように絶縁され、かつ遠位端部分1111においてペーシング電極1132A〜Bを形成するように暴露される導体1133A〜Bを含む。ペーシング電極1132A〜Bは、ガイドワイヤ1110の遠位先端1135まで延在する螺旋形式の導体1133A〜Bの暴露部分を含む。一実施形態において、ペーシング電極1132A〜Bは、ペースメーカーがガイドワイヤ1110の近位端に接続されると、ペーシングパルスを送達するための陽極および陰極として使用されるように、相互から分離される。様々な他の実施形態において、ガイドワイヤ1110は、それらの遠位端部分が暴露され、1つ、2つ、または2つを超える電気的に分離されたペーシング電極として機能するように構成されている、1つ、2つ、または2つを超える導体を含む。
【0049】
図12は、血管形成術カテーテル1210の遠位部分のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル1210は、血管形成術カテーテル610の別の実施形態である。遠位端部分1211は、遠位先端1235と細長いシャフト1213との間に連結されるバルーン1234を含む。図示される実施形態において、バルーン1234は、灌流チャネル1236A〜Bと、切断刃1232E〜Fとを含む。灌流チャネル1236A〜Bは、各々、膨張時に血液がバルーン1234を通して流動可能になるように、近位開口部と、遠位開口部を有するルーメンとを含む。一実施形態において、バルーン1234が膨張させられると、ペーシングリード線の1つ以上のペーシング電極がルーメンに対して遠位に配置されるように、ルーメンは、ペーシングリード線の遠位端部分がその近位開口部に進入し、かつその遠位開口部から退出することを可能にする直径を有する。切断刃1232E〜Fは、バルーン1234がその血管において膨張させられる際に血管中のプラークを切断する。一実施形態において、切断刃1232E〜Fは、各々、金属から作製され、ペーシング電極として使用される。様々な実施形態において、バルーン1234は、1つ以上の灌流チャネルを含む灌流バルーンおよび/または1つ以上の切断刃を含む切断バルーンである。また、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Dをも含む。ペーシング電極1232Aは、遠位先端1235上に組み込まれる。ペーシング電極1232Bは、シャフト1213上に組み込まれる。ペーシング電極1232C〜Dは、バルーン1234上に組み込まれる。一実施形態において、ペーシング電極1232A〜Dのうちの1つ以上は、蛍光透視法を使用して、遠位端部分1211を配置するための1つ以上のX線不透過性マーカとして機能するように、X線不透過性材料から作製される。導体1233A〜Fは、ペースメーカーが血管形成術カテーテル1210の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング1232A〜Fに送達することを可能にする電気接続を提供する。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Fを含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Fのうちの任意の1つ以上、ならびに遠位端部分1211および/またはシャフト1213上に組み込まれる他の1つ以上のペーシング電極を含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1210上に組み込まれる任意の1つ以上のペーシング電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0050】
ペーシングパルスを送達するためのペーシング電極1232C〜Fのうちの1つ以上を使用することの潜在的な利点は、バルーン1234の膨張時に、ペーシング電極が血管壁上に押圧されて、安定した電気接点を形成することにある。一実施形態において、ガイドワイヤ510に実質的に同一または類似するペーシングリード線は、バルーン1234の膨張時に、そのペーシングリード線の1つ以上のペーシング電極が血管壁上に確実に押圧されて、ペーシングパルスを送達するための安定した電気接点を形成するように、その1つ以上のペーシング電極がバルーン1234の上に配置された状態で、血管形成術カテーテル1210の側面に沿って導入される。
【0051】
図13は、血管形成術カテーテル1310の近位部分のある実施形態の図であり、近位端部分1312および細長いシャフト1313を示している。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル1310は、近位端部分1312におけるリングコネクタ1316A〜Dと、血管形成術カテーテル1310の遠位端部分のペーシング電極との間に接続される導体1333A〜Dを含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1310は、ペーシング電極の数に依存して、1つ以上の導体およびリングコネクタを含む。ルーメン1330は、ガイドワイヤ510等のガイドワイヤを収容するように、および/または遠位端部分におけるバルーンの膨張および収縮を可能にするように、血管形成術カテーテル1310内において長手方向に延在する。ルーメン1339A〜Dは、各々、導体1333A〜Dのうちの1つを収容する。
【0052】
図14〜図37は、血管再生術中に送達される急速ペーシング心臓保護療法を可能にするようにペーシング電極を含む、PTVI装置の様々な具体的な例を図示する。様々な実施形態において、これらのPTVI装置の各々は、上述のようなガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルのうちの1つ、または血管再生術に必要とされないPTVIペーシング装置として機能し得る。様々な実施形態において、ペーシングパルスは、ペーシング電極を備える1つ以上のPTVI装置に接続される外部ペースメーカーから、またはPTVI装置上に組み込まれるペースメーカーから送達される。
【0053】
(例:拡張可能遠位端を備えるペーシングカテーテル)
図14〜図18は、1つ以上のペーシング電極を含む拡張可能な遠位端を含むペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。血管再生術中に血管内において拡張すると、遠位端は、血管内において安定化して、ペーシングパルスを送達するために、1つ以上のペーシング電極と血管壁との間に確実な電気接点を提供する。
【0054】
図14は、ペーシングカテーテル1410のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル1410は、シース1410Aおよびペーシングリード線1410Bを含むPTVI装置アセンブリである。シース1410Aは、シース近位端部分1412Aと、シース血管内配置のために構成され、かつ遠位先端1435Aを含む遠位端部分1411Aと、近位端部分1412Aと遠位端部分1411Aとの間に連結される細長いシースシャフト1413Aと、ルーメン1430Aとを含む。ルーメン1430Aは、シャフト1413A内において延在し、近位端部分1412Aに近位開口部1441Aと、遠位先端1435Aに遠位開口部1440Aとを有する。一実施形態において、シース1410Aは、血管再生術において使用するためのガイドカテーテルである。図示される実施形態において、シース1410Aは、遠位端部分1411A上に組み込まれるペーシング電極1432Aと、近位端部分1412A上に組み込まれるコネクタ1416Aと、ペーシング電極1432Aとコネクタ1416Aとの間の電気接続を提供する導体1433Aとを含む。様々な他の実施形態において、シース1410Aは、任意の数のペーシング電極を含むか、またはペーシング電極を含まない。
【0055】
ペーシングリード線1410Bは、リード線近位端部分1412Bと、血管内配置のために構成される拡張可能リード線遠位端部分1411Bと、近位端部分1412Bと遠位端部分1411Bとの間に連結される細長いリード線シャフト1413Bとを含む。ペーシングリード線1410Bは、遠位端部分1411Bが近位開口部1441Aを通ってルーメン1430Aに進入し、かつルーメン1430A内に押圧されることによって、遠位開口部1440Aを通ってルーメン1430Aから退出し、かつ遠位開口部1440Aを通ってルーメン1430A内に引き込まれ、ルーメン1430Aから引っ張られることによって、近位開口部1441Aからルーメン1430Aを退出することが可能になるように構成される。遠位端部分1411Bは、ペーシング電極1432Bを含む。ペーシングリード線1410Bは、シャフト1413Bを貫通する導体1433Bを介してペーシング電極1432Bに電気的に接続されるコネクタ1416Bを含む。一実施形態において、ペーシング電極1432Bは、遠位端部分1411B上に組み込まれる。別の実施形態において、ペーシング電極1432Bは、遠位端部分1411B全体を含むか、またはその実質的に一部分を含む。遠位端部分1411Bは、ルーメン1430Aに配置されている間は収縮状態にあり、ルーメン1430Aから退出した後は拡張状態である。一実施形態において、遠位端部分1411Bは、ルーメン1430Aから退出すると拡張し、ルーメン1430A内に後退すると収縮する。一実施形態において、遠位端部分1411Bは、自己拡張可能であり、拘束されていないときには拡張状態にある。血管内に配置され、かつその拡張状態にある場合、遠位端部分1411Bは、ペーシングパルスを送達するために、ペーシング電極1432Bと血管壁との間に安定した電気接点を提供する。
【0056】
様々な実施形態において、ペーシングリード線1410Bは、1つ以上のペーシング電極と、1つ以上のコネクタと、シャフト1413Bを貫通し、かつ1つ以上のペーシング電極のうちの1つと1つ以上のコネクタのうちの1つとの間に接続される1つ以上の導体とを含む。図15〜図17は、各々が1つ以上のペーシング電極を含む遠位端部分1411Bの様々な実施形態を図示する。
【0057】
図15は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1510Bのリード線遠位端部分1511Bのある実施形態の図である。ペーシングリード線1510Bは、遠位端部分1511Bにおいて、細長いリード線シャフト1513B内に延在する導体1533Bに接続されるペーシング電極1532Bを含む。ペーシング電極1532Bは、遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出するときにコイルになるワイヤによって形成される。コイルは、血管においてリード線遠位端1511Bを安定化させるために適切な直径を有する。
【0058】
図16は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1610Bのリード線遠位端部分1611Bのある実施形態の図である。ペーシングリード線1610Bは、遠位端部分1611Bにおいて、細長いリード線シャフト1613B内に延在する導体1633Bに接続されるペーシング電極1632Bを含む。ペーシング電極1632Bは、グリエルミ着脱可能コイル(GDC(登録商標))を含む。GDCは、身体内への送達中は拘束される形状記憶材料から作製されるコイルであり、拘束が無くなると拡張する。コイルは、送達装置に低振幅電流を流すことによって、その送達装置から着脱されるような電気的感受性がある。したがって、ペーシング電極1632Bは、遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出するときに拡張し、ペーシングパルスの送達後に、シャフト1613Bから切断される。
【0059】
図17は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1710Bのリード線遠位端部分1711Bのある実施形態の図である。図示される実施形態において、ペーシングリード線1710Bは、細長いリード線シャフト1713B内に延在する導体1733BAおよび1733BBに接続される遠位端部分1711Bにおけるペーシング電極1732BAおよび1732BBを含む。遠位端1711Bにおける導体1733BAおよび1733BBは、ルーメン1430A内に拘束されている間は実質的に付勢されず、遠位端部分1711Bが遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出したときに付勢される。導体1733BAおよび1733BBの付勢部分は、1つ以上の形状記憶材料から作製され、付勢されると血管内において遠位端部分1711Bを安定化させるのに適切であるように構成される。様々な実施形態において、遠位端部分1711Aは、複数のワイヤを含み、その各々は、ルーメン1430A内において拘束されているときは実質的に付勢されず、拘束されていないとき付勢される。複数のワイヤは、1つ以上のペーシング電極を形成する。
【0060】
図18は、ペーシングリード線1810Bおよびバルーンカテーテル1810Aを含むPTVI装置アセンブリ1810のある実施形態の図である。バルーンカテーテル1810Aは、カテーテル近位端部分1812Aと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端1835Aおよびバルーン1834Aを含むカテーテル遠位端部分1811Aと、近位端部分1812Aと遠位端部分1811Aとの間の細長いカテーテルシャフト1813Aとを含む血管形成術カテーテルである。ペーシング電極1832Aは、遠位先端1835A上に組み込まれる。導体1833Aは、シャフト1813A内において延在し、ペーシング電極1832Aと近位端部分1812Aにおけるコネクタ1816Aとの間に電気接続を提供する。
【0061】
ペーシングリード線1810Bは、リード線近位端1812Bと、遠位先端1835Bを含むリード線遠位端1811Bと、近位端部分1812Bと遠位端部分1811Bとの間の細長いリード線シャフト1813Bとを含む。ペーシング電極1832Bは、遠位先端1835B上に組み込まれる。導体1833Bは、シャフト1813B内において延在し、ペーシング電極1832Bと近位端部分1812Bにおけるコネクタ1816Bとの間に電気接続を提供する。
【0062】
ペーシング電極1832Aおよび1832Bを使用してペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1810Bは、遠位端部分1811Aおよび1811Bが血管における意図するペーシング部位に設置されると、ペーシング電極1832Bがバルーン1834Aの上に存在するように配置される。バルーン1834Aが膨張させられると、ペーシング電極1832Bは、バルーン1834Aによって血管の内壁上に押圧されて、ペーシングパルスを送達するための安定した電気接点を提供する。一実施形態において、PTVI装置アセンブリ1810によって、バルーン1834Aの膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、電極1832Aおよび1832Bを介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0063】
(例:複数の血管へアクセスするためのペーシングカテーテル)
図19および図20は、それを通して複数のペーシングリード線が複数の血管内に導入されるペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。ペーシングカテーテルは、意図されるペーシング部位が位置する血管系の一部分の解剖学的構造に従って設置される出口ポートを含み、ペーシングリード線が、出口ポートを通って、ペーシング電極が配置される血管内にペーシングカテーテルから退出するようにする。例えば、ペーシングカテーテルが、血管再生術中に再開放される血管等の大血管に挿入された後に、ペーシングリード線は、出口ポートから退出し、大血管および/または大血管から分岐する1つ以上の血管に進入する。
【0064】
図19は、ペーシングカテーテル1910のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル1910は、複数の血管へのアクセスのための複数のペーシングリード線を含むPTVI装置アセンブリである。図示される実施形態において、ペーシングカテーテル1910は、ペーシングリード線1910Aおよび1910Bならびにカテーテル1910Cを含む。
【0065】
ペーシングリード線1910Aは、コネクタ1916Aを含むリード線近位端部分1912Aと、血管内配置のために構成され、かつリード線遠位先端1935Aを含むリード線遠位端部分1911Aと、リード線近位端部分1912Aとリード線遠位端部分1911Aとの間に連結される細長いリード線シャフト1913Aとを含む。ペーシング電極1932Aは、遠位先端1935A上に組み込まれる。コネクタ1933Aは、ペーシング電極1932Aとコネクタ1916Aとの間に電気接続を提供する。
【0066】
ペーシングリード線1910Bは、コネクタ1916Bを含むリード線近位端部分1912Bと、血管内配置のために構成され、かつリード線遠位先端1935Bを含むリード線遠位端部分1911Bと、リード線近位端部分1912Bとリード線遠位端部分1911Bとの間に連結される細長いリード線シャフト1913Bとを含む。ペーシング電極1932Bは、遠位先端1935B上に組み込まれる。コネクタ1933Bは、ペーシング電極1932Bとコネクタ1916Bとの間に電気接続を提供する。
【0067】
カテーテル1910Cは、コネクタ1916Cを含むカテーテル近位端部分1912Cと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端1935Cを含むカテーテル遠位端部分1911Cと、カテーテル近位端部分1912Cとカテーテル遠位端部分1911Cとの間に連結される細長いカテーテルシャフト1913Cとを含む。ペーシング電極1932Cは、遠位先端1935C上に組み込まれる。コネクタ1933Cは、ペーシング電極1932Cとコネクタ1916Cとの間に電気接続を提供する。カテーテル1910Cは、近位端部分1912Cに1つ以上の入口ポート1943Cと、遠位先端1935Cに出口ポート1942CA、およびシャフト1913C上に出口ポート1942CBとを含む。ペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1910A〜Bの遠位端1911A〜Bは、入口ポート1943Cを通してカテーテル1910Cに挿入され、出口ポート1942CA〜Bを通って退出する。出口ポート1942CA〜Bは、ペーシング電極1932A〜Bが配置される2つの血管に遠位端1911A〜Bが進入することが可能になるように設置される。一実施形態において、出口ポート1942CAは、ペーシング電極1932Aを、カテーテル1910Cが配置される主要血管に配置することが可能であり、ペーシング電極1932Bを、主要血管から分岐した別の血管に配置することが可能であるように、カテーテル1910C上に設置される。
【0068】
一用途では、出口ポート1942CA〜Bは、遠位端部分1911A〜Bが左前下行枝(LAD)冠状動脈および右冠状動脈に進入することが可能になるように設置される。
【0069】
様々な実施形態において、PTVI装置アセンブリ1910は、各々がペーシングリード線のうちの1つを血管内に退出することを可能にする2つ以上の出口ポートを含むカテーテル1910Cを通して導入される2つ以上のペーシングリード線を含む。2つ以上のペーシングリード線の各々は、1つ以上のペーシング電極を含む。
【0070】
図20は、カテーテル1910Cのある実施形態であるカテーテル2010Cのある実施形態の図である。カテーテル2010Cは、カテーテル近位端部分2012Cと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端2035Cを含むカテーテル遠位端部分2011Cと、カテーテル近位端部分2012Cとカテーテル遠位端部分2011Cとの間に連結される細長いカテーテルシャフト2013Cとを含む。カテーテル2010Cは、近位端部分2012Cに入口ポート2043CA〜Bと、遠位先端2035Cに出口ポート2042CBと、シャフト2013C上に出口ポート2042CAと、各々がシャフト2013Cの一部分内において延在するルーメンを含むガイドチャネル2044CA〜Bとを含む。ガイドチャネル2044CAは、入口ポート2043CAと出口ポート2042CAとを接続するルーメンを含む。ガイドチャネル2044CBは、入口ポート2043CBと出口ポート2042CBとを接続するルーメンを含む。ペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1910A〜Bは、各々、遠位先端が入口ポート2043A〜Bのうちの1つに進入し、出口ポート2042A〜Bのうちの1つから退出した状態で、ガイドチャネル2044CA〜Bのうちの1つを使用して配置される。
【0071】
(例:電極として導電性液体を放出するペーシングカテーテル)
図21〜図23は、ペーシング電極を含み、かつ導電性液体を血管内に放出して、ペーシング電極と血管の血管壁との間に導電性媒質を提供するペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。この導電性媒質は、ペーシング電極と標的組織との間の電気導電性を増加させることによって、心臓を捕捉するのに必要とされるペーシングエネルギーを低下させる。様々な実施形態において、導電性液体は、血液の電気伝導性よりも実質的に高い電気伝導性を有する。
【0072】
図21は、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2110(断面図)と、注入装置2150とのある実施形態の図である。ペーシングカテーテル2110は、近位端部分2112と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2135を含む遠位端部分2111と、近位端部分2112と遠位端部分2111との間に連結される細長いシャフト2113と、シャフト2113内において延在するルーメン2148と、出口ポート2147A〜Bとを含むPTVI装置である。ルーメン2148は、近位端部分2112に近位開口部2149を有し、出口ポート2147A〜Bに接続する。導電性液体2146は、近位開口部2149を通して注入装置2150からルーメン2148に注入され、出口ポート2147A〜Bを通ってルーメン2148から血管内に退出する。
【0073】
ペーシングカテーテル2110は、遠位先端2135上に組み込まれるペーシング電極2132と、近位端部分2112におけるコネクタ2116と、ペーシング電極2132とコネクタ2116との間に電気接続を提供する導体2133とを含む。血管内に放出された後、導電性液体2146は、ペーシング電極2132と血管壁との間の電気導電性を改善することによって、ペーシングパルスが送達される陽極と陰極との対の間のインピーダンスが低下する。一実施形態において、導電性液体2146は、生理食塩水を含む。一実施形態において、導電性液体2146は、X線不透過性である。一実施形態において、導電性液体2146は、約50%の生理食塩水と50%のX線不透過性造影液との混合液等の生理食塩水およびX線不透過性造影液を含む。
【0074】
一実施形態において、出口ポート2147A〜Bは、導電性液体2146の血管内への制御可能な放出を可能にするように構成される。一実施形態において、出口ポート2147A〜Bの各々は、電極2132を使用して印加される電場によって制御される弁として機能する電気的に活性化されるポリマー(EAP)を含む。1つのペーシング電極2132および2つの出口ポート2147A〜Bが、例示目的のために図21に示されるが、様々な実施形態において、ペーシングカテーテル2110は、ペーシング電極とペーシングのための標的組織との間の電気導電性を増加させるために導電性液体を放出するように設置される、任意の数のペーシング電極および任意の数の出口ポートを含む。
【0075】
図22は、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2210のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル2210は、近位端部分2212と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2235および点滴バルーン2234を含む遠位端部分2211と、近位端部分2212と遠位端部分2211との間に連結される細長いシャフト2213と、シャフト2213内において延在するルーメン2248と、出口ポート2247A〜Dとを含むPTVI装置である。ルーメン2248は、近位端部分2212に近位開口部2249を有し、出口ポート2247A〜Dに接続する。導電性液体2146は、近位開口部2249を通して注入装置2150からルーメン2248に注入され、出口ポート2247A〜Dを通ってルーメン2248から血管内に退出する。
【0076】
ペーシングカテーテル2210は、点滴バルーン2234上に組み込まれるペーシング電極2232と、近位端部分2212におけるコネクタ2216と、ペーシング電極2232とコネクタ2216との間の電気接続を提供する導体2233とを含む。点滴バルーン2234は、導電性液体2146を含有するためにチャンバ2252を形成する壁2251を含む。壁2251は、出口ポート2247A〜Dとして機能する孔を含み、これにより、チャンバ2252から血管への導電性液体2146の点滴が可能になる。一実施形態において、孔は、点滴バルーン2234が膨張させられたときに、導電性液体2146の血管への点滴を可能にするように開放される。血管内に放出された後に、導電性液体2146は、ペーシング電極2232と血管壁との間の電気伝導性を改善する。
【0077】
一実施形態において、注入装置2150は、ルーメン2248を通して導電性液体2146をチャンバ2252に注入して、点滴バルーン2234を膨張させ、ルーメン2248を通して導電性液体2146をチャンバ2252から引き込んで、点滴バルーン2234を収縮させる。これにより、点滴バルーン2234の膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、ペーシング電極2232および導電性液体2146を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0078】
4つの出口ポート2247A〜Dが、例示目的のために図22に示されるが、ペーシングカテーテル2210は、任意の数の出口ポートを含む。一実施形態において、ペーシングカテーテル2210によって、点滴バルーン2234の膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、電極2232および導電性液体2146を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0079】
図23Aは、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2310のある実施形態を図示する側面図であり、図23Bは、断面図である。ペーシングカテーテル2310は、近位端部分2312と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2335を含む遠位端部分2311と、近位端部分2312と遠位端部分2311との間に連結される細長いシャフト2313とを含むPTVI装置である。ペーシングカテーテル2310は、ルーメン2348を含む内側管2354と、内側管2354の少なくとも一部分を収容する外側管2353とを含む。内側管は、内側オリフィス2347BA〜Bを含む。外側管2353は、外側オリフィス2347AA〜Bを含む。ルーメン2348からの導電性液体2146の放出は、外側管2353に対して内側管2354を回転させて、内側オリフィス2347BA〜Bおよび外側オリフィス2347AA〜Bを整列させることによって開口部を形成することによって制御される。ルーメン2348は、近位端部分2312に近位開口部2349を有し、内側オリフィス2347BA〜Bを接続する。導電性液体2146は、近位開口部2349を通して注入装置2150からルーメン2348内に導入される。整列させられると、オリフィス2347AAおよび2347BAは、出口ポートを形成し、オリフィス2347BAおよび2347BBは、別の出口ポートを形成して、導電性液体2146がルーメン2348から血管に流動することを可能にする。
【0080】
ペーシングカテーテル2310は、遠位端部分2311上に組み込まれるペーシング電極2332と、近位端部分2312におけるコネクタ2316と、ペーシング電極2332とコネクタ2316との間の電気接続を提供する導体2333とを含む。血管内に放出された後、導電性液体2146は、ペーシング電極2332と血管壁との間の電気導電性を改善する。
【0081】
2つの出口ポートを形成する2つの対の内側オリフィスおよび外側オリフィスが例示目的のために図23に示されるが、ペーシングカテーテル2310は、任意の数の出口ポートを形成する任意の数の対の内側オリフィスと外側オリフィスとを含む。
【0082】
(例:PTVI装置と一体型であるペースメーカー)
図24〜図28は、PTVI装置と一体化されたペースメーカーおよびペーシング電極の様々な実施形態を図示する。このような一体型ペースメーカーPTVI装置は、別々のペースメーカーをPTVI装置に接続する必要性を排除することによって、血管再生術中のペーシングの機器設定が簡略化される。
【0083】
図24は、PTVI装置2410と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2410は、近位端部分2412と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2435を含む遠位端部分2411と、近位端部分2412と遠位端部分2411との間に連結される細長いシャフト2413とを含む。図示される実施形態において、ペースメーカー2456は、シャフト2413上に組み込まれる。ペーシング電極2432A〜Bは、遠位端部分2411上に組み込まれ、導体2433A〜Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。様々な実施形態において、PTVI装置2410は、遠位端部分2411およびシャフト2413のうちの1つ以上の上に組み込まれる任意の数のペーシング電極を含む。PTVI装置2410の例として、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、および血管形成術カテーテルが挙げられる。様々な実施形態において、ペースメーカー2456は、本書に論じられるPTVI装置のいずれかに一体化される。
【0084】
図25は、ペースメーカー2556のある実施形態の図である。ペースメーカー2556は、2456のある実施形態であり、電子回路2559および電池2558を含む可撓性ペースメーカー回路を含み、電子回路2559および電池2558の両方は、可撓性回路基板2557上に配置される。可撓性回路基板2557は、PTVI装置2410に取り付けられる。一実施形態において、電子回路2559は、ペーシング出力回路224等のペーシング出力回路と、制御回路226等の制御回路とを含む。一実施形態において、電池2558は、固体リチウム電池等の固体電池であり、可撓性回路基板2557上に設置される。一実施形態において、電池2558は、10分間の心臓保護ペーシングプロトコルに従ってペーシングパルスを送達するために電子回路2559にエネルギーを提供することができる。
【0085】
一実施形態において、電子回路2559は、遠位端部分2411がガイドカテーテルまたは他のシースから退出する際等の、ペーシング電極2432A〜Bが血液に接触する際に、ペーシングパルスの送達を始動する制御回路を含む。別の実施形態において、電子回路2559は、有線または無線通信リンクを介して外部装置に通信可能に連結され、外部装置から受信したコマンドに応答して、ペーシングパルスの送達を始動する。別の実施形態において、電子回路2559は、PTVI装置2410内またはPTVI装置2410上に延在するストリング、シース、または他の機械的リンクを介して機械的に制御されるスイッチを含む。スイッチによって、近位端部分2412におけるペーシングパルスの送達の始動、中断、および/または停止が可能になる。一実施形態において、ペーシングパルスの送達の持続時間は、電子回路2559内にプログラミングされる。例えば、電子回路2559は、図3を参照して上述した心臓保護ペーシングプロトコルを実行するようにプログラミングされ、ペーシングパルスの送達は、心臓保護ペーシングプロトコルによって特定されるペーシングシーケンスの完了時に停止する。細動の検出時等の緊急の場合、ペーシングパルスの送達は、外部装置または機械的に制御されるスイッチのうちのいずれか利用可能な方からのコマンドによって停止するか、または患者からPTVI装置2410を除去することによって停止する。
【0086】
図26は、PTVI装置2610と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2610は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2612と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2635を含む遠位端部分2611と、近位端部分2612と遠位端部分2611との間に連結される細長いシャフト2613とを含む。ペースメーカー2456は、近位端部分2612上に組み込まれる。ペーシング電極2432A〜Bは、遠位端部分2611上に組み込まれ、導体2633A〜Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0087】
図27は、PTVI装置2710と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2710は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2712と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2735を含む遠位端部分2711と、近位端部分2712と遠位端部分2711との間に連結されるシャフト2713とを含む。ペースメーカー2456は、シャフト2713上に組み込まれる。ペーシング電極2732Aは、遠位端部分2711上に組み込まれ、導体2733Aを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。別のペーシング電極2732Bは、シャフト2713上に組み込まれ、導体2733Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0088】
図28は、PTVI装置2810に一体化されたペースメーカー2856のある実施形態の図である。PTVI装置2810は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2812と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2835を含む遠位端部分2811と、近位端部分2812と遠位端部分2811との間に連結される細長いシャフト2813とを含む。ペースメーカー2856は、電子回路2559、固体電池2558、およびペーシング電極2832A〜Bを含む可撓性ペースメーカー回路を含み、電子回路2559、固体電池2558、およびペーシング電極2832A〜Bの全ては、可撓性回路基板2557上に配置される。言い換えると、ペースメーカー2856は、可撓性回路基板上に形成されるペースメーカー2456およびペーシング電極2832A〜Bを含み、可撓性回路基板上において、ペーシング電極2832A〜Bは、ペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0089】
PTVI装置2410、2610、2710、および2810は、例示目的のために上述されている。様々な実施形態において、ペースメーカー2456または2856等のペースメーカーおよび2つ以上のペーシング電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するためにPTVI装置に一体化される。様々な実施形態において、ペースメーカーが一体化されるPTVI装置は、本書において論じられる任意のPTVI装置を含む。一実施形態において、内蔵のペースメーカーおよびペーシング電極を含むこのようなPTVI装置は、単回使用のために使い捨て装置として構築される。
【0090】
(例:シャフト上にペーシング電極を備える血管形成術カテーテル)
図29〜図33は、バルーンカテーテル等の血管形成術カテーテルのシャフト上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極の様々な例を図示する。バルーンが膨張させられる時等のその拡張状態においては、血管形成術カテーテルの遠位端部分における血管形成術装置は、血管におけるペーシング電極の位置を安定化させるための固定具として機能する。一実施形態において、1つ以上のペーシング電極(単数または複数)は、血管形成術カテーテルのシャフトに沿って変位可能である。このことは、例えば、梗塞領域の上流に、および梗塞領域から離れてペーシング部位(単数または複数)を設置することを可能にし、これによって、梗塞組織よりも伝導性ではないことが知られている正常組織にペーシングパルスを送達することによって心臓を捕捉することに必要なエネルギーが低下する。別の実施形態において、血管形成術カテーテルは、伝導性材料から作製される外殻を含み、外殻のうちの少なくとも一部分は、ペーシング電極として機能する。
【0091】
図29は、血管形成術カテーテル2910のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル2910は、近位端部分2912と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置2934および遠位先端2935を含む遠位端部分2911と、近位端部分2912と遠位端部分2911との間に連結される細長いシャフト2913とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、スリーブ2960は、シャフト2913の上に設置されている。ペーシング電極2932A〜Bは、スリーブ2960上に組み込まれ、導体2933A〜Bを介して近位端部分2912におけるコネクタ2916A〜Bに電気的に接続される。スリーブ2960は、第1のルーメン2961および第2のルーメン2962を含む。ルーメン2961は、シャフト2913の一部分を収容し、電極2932A〜Bを備えるスリーブ2960がシャフト2913の上を摺動することを可能にするように構成される。導体2933A〜Bは、各々、調整可能な長さを有し、シャフト2913に沿って変位することが可能であるか、またはそうでない場合は、シャフト2913の上のスリーブ2960の変位を可能にするように可撓性である。ルーメン2962は、シャフト2913に沿ってスリーブ2960を移動させるために、プッシュワイヤ2963を受容するように構成される。
【0092】
一実施形態において、血管形成術装置2934は、バルーンを含む。膨張させられると、バルーン2934は、ペーシング電極2932A〜Bの位置を安定化させるための固定具として機能する。例えば、バルーン2934の拡張後、電極2932A〜Bは、シャフト2913に沿ってスリーブ2960を摺動することによって設置される。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910は、シャフト2913の上で1つ以上のスリーブを摺動する。各スリーブは、1つ以上のペーシング電極を含む。
【0093】
図30は、スリーブ2960のある実施形態であるスリーブ3060のある実施形態の図であり、シャフト2913上に設置されるように構成される。スリーブ3060は、スリット3063、第1のルーメン3061、第2のルーメン3062、およびペーシング電極2932A〜Bを含む可撓性のC字型スリーブである。スリット3063は、スリーブ3060に沿って長手方向に延在し、スリーブ3060がシャフト2913上に押圧され、シャフト2913から剥離されることを可能にする。ルーメン3061は、シャフト2913の一部分を収容し、スリーブ3060がシャフト2913の一部分に沿って摺動することが可能になるように構成される。ルーメン3062は、スリーブ3060が押圧されてシャフト2913に沿って摺動することを可能にするプッシュワイヤを収容するように構成される。
【0094】
図31は、血管形成術カテーテル2910の別の実施形態である血管形成術カテーテル3110のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル3110は、近位端部分3112と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置2934および遠位先端3135を含む遠位端部分3111と、近位端部分3112と遠位端部分3111との間に連結される細長いシャフト3113とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、各々がステントとして構成されるペーシング電極3132A〜Bは、シャフト3113の上に設置され、導体3133A〜Bを介して近位端部分3112におけるコネクタ3116A〜Bに電気的に接続される。一実施形態において、ペーシング電極3132A〜Bは、各々、可撓性ステントとして構成される。一実施形態において、導体3133A〜Bは、各々、調整可能な長さを有し、シャフト3113に沿って変位することが可能であるか、またはそうでない場合は、シャフト3113の上のペーシング電極3132A〜Bの変位を可能にするように可撓性である。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル3110は、シャフト3113の上の1つ以上のステントとして構成される1つ以上のペーシング電極を含む。
【0095】
図32は、血管形成術カテーテル3210のある実施形態である。血管形成術カテーテル3210は、近位端部分3212と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置3234および遠位先端3235を含む遠位端部分3211と、近位端部分3212と遠位端部分3211との間に連結される細長いシャフト3213とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、シャフト3213は、ペーシング電極3232Aとして機能する伝導性部分を含む外殻3265を含む。ペーシング電極3232Aは、近位端部分3212におけるコネクタ3216Aに電気的に接続される。一実施形態において、外殻3265は、可撓性の金属管を含む。一実施形態において、ペーシング電極3232Aは、外殻3265のほぼ全体を含むか、または外殻3265の実質的な部分を含む。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル3210は、血管形成術カテーテル3310のほぼ十分な長さを貫通する細長い伝導性内側部分3266も含む。内側部分3266は別のペーシング電極3232Bとして機能する暴露された伝導性遠位端を含む。ペーシング電極3232Bは、近位端部分3212におけるコネクタ3216Bに電気的に接続される。一実施形態において、内側部分3266は、可撓性の金属ワイヤである。別の実施形態において、内側部分3266は、可撓性の金属管である。一実施形態において、血管形成術装置3234は、バルーンを含む。内側部分3266は、バルーン3234の膨張および収縮を可能にするルーメンを備える可撓性の金属管である。膨張させられると、バルーン3234は、ペーシング電極3232A〜Bの位置を安定化させるための固定具として機能する。例えば、バルーン3234の拡張後、電極3232A〜Bは、シャフト3213に沿ってスリーブ3260を摺動することによって設置される。
【0096】
図33は、血管形成術カテーテル3210の別の実施形態である血管形成術カテーテル3310のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル3310は、近位端部分3312と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置3234および遠位先端3335を含む遠位端部分3311と、近位端部分3312と遠位端部分3311との間に連結される細長いシャフト3313とを含むPTVI装置である。血管形成術カテーテル3310は、1つ以上のペーシング電極として機能する1つ以上の暴露範囲を残すように、絶縁材料によってコーティングされる外殻3365をシャフト3313が含むという点において、血管形成術カテーテル3210とは異なる。図示される実施形態において、外殻3365は、ペーシング電極3332Aとして機能する暴露範囲を残すように、絶縁材料でコーティングされ、ペーシング電極3332Aは、近位端部分3312におけるコネクタ3216Aに電気的に接続される。
【0097】
様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910、3110、3210、および3310の各々によって、バルーン等の拡張可能な血管形成術装置が拡張して固定具として機能した後に、血管に沿っておよび血管内において移動させることによって1つ以上のペーシング電極を設置することが可能になる。一用途では、1つ以上のペーシング電極は、ペーシングパルスのおよそ最小の振幅または幅に関連して、ペーシング部位(単数または複数)を設置すること等によって、必要とされるペーシングエネルギーに従って設置される。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910、3110、3210、および3310の各々によって、カテーテルのバルーンの膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、カテーテルのペーシング電極のうちの1つ以上を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0098】
(例:ステント電極を備えるペーシングカテーテル)
図34〜図37は、ステントとして構築されるか、またはステント上に組み込まれるペーシング電極の様々な例を図示する。ステントは、PTVIカテーテルに接続される。血管再生術中にペーシングパルスを送達するために使用された後、ステントは、PTVIカテーテルから切断されて患者にとどまるか、またはPTVIカテーテルとともに患者から除去される。様々な実施形態において、ペーシングパルスは、ペーシング電極と血管の血管壁との間の安定した電気接点のために、ステントが血管においてその拡張状態にある際に送達される。
【0099】
図34は、ペーシングカテーテル3410のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル3410は、ステントカテーテル3410Aと、シース3410Cと、ガイドワイヤ3410Dとを含むPTVI装置アセンブリである。
【0100】
ステントカテーテル3410Aは、カテーテル近位端部分3412Aと、血管内配置のために構成され、かつステント3468を含むカテーテル遠位端部分3411Aと、近位端部分3412Aと遠位端部分3411Aとの間に連結される細長いカテーテルシャフト3413Aと、近位端部分3412Aと遠位端部分3411Aとの間のシャフト3413A内において延在するカテーテルルーメン3430Aとを含む。ステント3468は、ペーシング電極3432Aを含む。導体3433Aは、ペーシング電極3432Aを近位端部分3412Aにおけるコネクタ3416Aに電気的に連結する。図示される実施形態において、別のペーシング電極3432Bは、シャフト3413A上に組み込まれる。別の導体3433Bは、ペーシング電極3432Bを近位端部分3412Aにおけるコネクタ3416Bに電気的に接続する。
【0101】
シース3410Cは、シース近位端部分3412C、血管内配置のために構成されるシース遠位端部分3411C、近位端部分3412Cと遠位端部分3411Cとの間に連結される細長いシースシャフト3413C、および近位端部分3412Cと遠位端部分3411Cとの間のシャフト3413C内に延在するシースルーメン3430Cを含む。ルーメン3430Cは、ステントカテーテル3410Aの一部分を収容する直径を有し、シャフト3413Aおよび拘束状態のステント3468を含む。ルーメン3430Cは、遠位端部分3412Cに近位開口部3443Cと、遠位端部分3411Cに遠位開口部3442Cとを有する。一実施形態において、シース3410Cは、血管再生術に使用するガイドカテーテルである。図示される実施形態において、ペーシング電極3432Cは、遠位端部分3411C上に組み込まれる。導体3433Cは、ペーシング電極3432Cを近位端部分3412Cにおけるコネクタ3416Cに電気的に接続する。
【0102】
ガイドワイヤ3410Dは、ガイドワイヤ近位端部分3412Dと、ガイドワイヤ遠位先端3435Dを含むガイドワイヤ遠位端部分3411Dと、近位端部分3412Dと遠位端部分3411Dとの間に連結される細長いワイヤシャフト3413Dとを含む。図示される実施形態において、ペーシング電極3432Dは、遠位先端3435D上に組み込まれる。導体3433Dは、ペーシング電極3432Dを近位端部分3412Dにおけるコネクタ3416Dに電気的に接続する。
【0103】
一実施形態において、ステントカテーテル3410Aは、ステント送達カテーテルであり、ステント3468は、ペーシングパルスが血管再生術中に送達された後に血管に永久的に移植されるシャフト3413Aに、取り外し可能に接続される。別の実施形態において、ステントカテーテル3410Aは、血管再生術中のペーシングに専用であり、ステント3468は、ペーシング療法の完了後に血管から除去されるシャフト3413Aに取り外し不可能に接続される。
【0104】
一実施形態において、ステント3468は、ペーシング電極3432Aとして機能する金属メッシュを含む。別の実施形態において、ペーシング電極3432Aは、ステント3468のメッシュ上に取り付けられる電極である。
【0105】
様々な実施形態において、ステント3468は、シース3410Cおよび/またはステントカテーテル3410Aを押すことおよび引くことによって、拡張可能および収縮可能である。ステント3468は、近位方向に向かって(患者から離れるように)シース3410Cを引くことによって、および/または遠位方向に向かって(患者に向かって)ステントカテーテル3410Aを押すことによって、遠位開口部3442Cを通してルーメン3430Cから退出する。一実施形態において、ステント3468は、遠位開口部3442Cを通ってシース3410Cから退出する際に自己拡張することが可能である。また、ステント3468は、遠位方向に向かって(患者に向かって)にシース3410Cを押すことによって、および/または近位方向に向かって(患者から離れるように)ステントカテーテル3410Aを引くことによって、遠位開口部3442Cを通してルーメン3430C内に引き込むことが可能である。
【0106】
様々な実施形態において、ペーシングカテーテル3410は、ペーシング電極3432Aと、ペーシング電極3432B〜Dのうちの1つ以上とを含む。一実施形態において、以下の図35および36に図示するように、ステント3468は、2つのペーシング電極を含み、ペーシング電極3432B〜Dは選択的である。
【0107】
図35は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3510Aの遠位端部分3511Aのある実施形態の図である。遠位端部分3511Aは、ステント3568を含む。ペーシング電極3532A〜Bは、各々、ステント3568のメッシュ上に取り付けられ、カテーテルシャフト3513Aを貫通する導体3533A〜Bのうちの1つに接続される。
【0108】
図36は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3610Aの遠位端部分3611Aのある実施形態の図である。遠位端部分3611Aは、ステント3668を含む。ペーシング電極3632A〜Bは、各々、ステント3668のメッシュの一部分を含み、カテーテルシャフト3613Aを貫通する導体3633A〜Bのうちの1つに接続される。ペーシング電極3632A〜Bを形成する2つのメッシュ部分は、相互に電気的に絶縁される。
【0109】
図37は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3710Aの遠位端部分3711Aのある実施形態の図である。遠位端部分3711Aは、コネクタ3769を介してカテーテルシャフト3713Aに取り外し可能に接続されるステント3768を含む。ステント3768は、コネクタ3769を介してシャフト3713Aに接続されると、ペーシング電極3732Aとして機能することができ、また、ペーシング電極3732Aと、シャフト3713Aを貫通する導体3733Aとの間の電気接続も提供する。コネクタ3769は、血液に暴露されると、電解によって溶解可能である。一実施形態において、コネクタ3769は、血液に暴露されている間に、そこを通る電流を印加することによって溶解される。これにより、血管再生術中にペーシングパルスが送達された後に、ステント3768をシャフト3713Aから切断し、血管にとどまらせることが可能になる。
【0110】
PTVI装置および外部ペースメーカーの様々な例を含む上記の発明を実施するための形態は、例示的であって限定的ではないことを意図することを理解されたい。概して、心臓保護ペーシングは、心臓保護ペーシングプロトコルを実行することによってペーシングパルスを送達可能な任意の血管内装置およびペースメーカー上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を使用することによって、虚血に関連する心外傷を予防または軽減するために適用される。他の実施形態は、上記の説明を熟読および理解することによって当業者に明白になる。ゆえに、本発明の範囲は、このような請求項が権利を有する均等物の全体の範囲とともに、添付の請求項を参照して判断されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、米国特許出願第12/484,778号(2009年6月15日出願)および米国特許出願第61/074,055号(2008年6月19日出願)の優先権の利益を主張し、これらの出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
本願は、同時係属かつ共通譲受人の米国特許出願第11/113,828号(名称「METHOD AND APPARATUS FOR PACING DURING REVASCULARIZATION」、2005年4月25日出願)、米国特許出願第11/468,875号(名称「INTEGRATED CATHETER AND PULSE GENERATOR SYSTEMS AND METHODS」、2006年8月31日出願)、米国特許出願第61/074,032号(名称「PACING CATHETER WITH EXPANDABLE DISTAL END」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,035号(名称「PACING CATHETER FOR ACCESS TO MULTIPLE VESSELS」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,042号(名称「PACING CATHETER RELEASING CONDUCTIVE LIQUID」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,048号(名称「PACEMAKER INTEGRATED WITHVASCULAR INTERVENTUION CATHETER」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,060号(名称「PACING CATHETER WITH STENT ELECTRODE」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,064号(名称「VASCULAR INTERVENTION CATHETERS WITH PACING ELECTRODES」、2008年6月19日出願)、米国特許出願第61/074,064号(名称「EXTERNAL PACEMAKER WITH AUTOMATIC CARDIOPROTECTIVE PACING PROTOCOL」、2008年6月19日出願)、および米国特許出願第61/074,024号(名称「METHOD AND DEVICE FOR PACING AND INTERMITTENT ISCHEMIA」、2008年6月19日出願)に関連し、これらは、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0003】
(技術分野)
本書は、概して、心臓ペーシングシステムに関し、具体的には、血管再生術中に心臓保護ペーシングを送達するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
心臓は、ヒトの循環系の中心である。心臓は、2つの主要なポンプ機能を実行する電気機械的システムを含む。心臓の左部分は、酸素化血液を肺から引き込み、その血液を身体の器官に拍出し、酸素に対するその代謝要求を器官に提供する。心臓の右部分は、身体器官から脱酸素化血液を引き込み、その血液を、血液を酸素化する肺に拍出する。これらの拍出機能は、心筋(心臓の筋肉)の収縮から生じる。正常な心臓では、洞房結節、つまり心臓の天然ペースメーカーは、活動電位と呼ばれる電気インパルスを生成し、この電気インパルスは、電気伝導系を介して心臓の様々な領域に伝播し、これらの領域の心筋組織を励起する。正常な電気伝導系における活動電位の伝播における協調的遅延によって、心臓の様々な部分が同調して収縮し、効率的な拍出機能がもたらされる。閉塞された、またはそうでなければ異常な電気伝導および/または劣化した心筋組織によって、心臓の非同期収縮が引き起こされ、心臓および残りの身体への血液供給の減少を含む、血液動態性能の低下がもたらされる。心臓が身体の代謝要求を満たすのに十分な血液を拍出しない状態は、心不全として知られている。
【0005】
心筋梗塞(MI)は、冠状動脈等の血管の閉塞によって引き起こされる血液供給の阻害によって、心虚血、つまり、心筋に十分な酸素供給が与えられない状態と、代謝産物除去とによって生じる心筋組織の部分の壊死である。梗塞組織として知られる壊死組織は、通常の健康な心筋組織の収縮性を失う。結果として、心筋の全体的な収縮性が弱まり、血行動態性能の低下がもたらされる。MIに続いて、心臓リモデリングは、梗塞組織の領域の拡張によって開始し、サイズにおける慢性的な広範囲の拡大および左心室全体の形状の変化に進行する。その結果として、さらなる血行動態性能の低下および心不全を発現するリスクの有意な増加がもたらされる。
【0006】
冠状動脈等の血管が、部分的または完全に閉塞される場合、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)等の血管再生術を実行して、閉塞した血管を再開放することができる。しかしながら、血管再生術自体は、冠状動脈の一時的な閉塞を伴う。また、閉塞した血管の再開放後の再灌流も、再灌流傷害として知られる心外傷を引き起こすことが知られている。加えて、血管再生術によって除去および押しのけられるプラークは、血管再生が実行される血管から分岐する小血管に進入する可能性があり、これにより、これらの小血管の閉塞が引き起こされる。また、血管再生術は、末梢の塞栓、すなわち、処置中に除去されたプラークによってもたらされる動脈の閉塞をも引き起こす可能性がある。従って、MIおよび後続の血管再生術に関連する心外傷を最小限に抑える必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
心臓保護ペーシングは、心筋梗塞(MI)および血管再生術に関連する心外傷を予防および/または軽減するために適用される。ペーシングパルスは、ペースメーカーから生成され、血管再生術中に、1つ以上の経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置上に組み込まれた1つ以上のペーシング電極を介して送達される。ペースメーカーは、心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、ペーシングパルスの送達を制御する。
【0008】
一実施形態では、血管の血管再生中に使用するためのPTVI装置は、近位端部分、遠位端部分、細長いシャフト、および1つ以上のペーシング電極を含む。遠位端部分は、血管に留置されるように構成され、血管形成装置を含む。シャフトは、近位端部分と遠位端部分との間で連結される。1つ以上のペーシング電極は、シャフトの上に存在し、シャフトの一部分にそって変位可能である。
【0009】
一実施形態では、血管の血管再生中に使用するためのPTVI装置は、近位端部分と、遠位端部分と、細長いシャフトと、ペーシング電極とを含む。遠位端部分は、血管に設置されるように構成され、血管形成装置を含む。シャフトは、近位端部分と遠位端部分との間に連結され、伝導性部分を含む外殻を含む。ペーシング電極は、伝導性部分を含む。
【0010】
一実施形態では、血管の血管再生中の心臓保護ペーシングの方法が提供される。ペーシングパルスは、PTVI装置上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して送達される。PTVI装置は、近位端部分と、血管に設置されるように構成され、かつ拡張可能な血管形成装置を含む遠位端部分と、近位部分と遠位部分との間に連結される細長いシャフトとを含む。1つ以上のペーシング電極は、シャフトの一部分に沿って変位可能である。
【0011】
この概要は、本出願の教示のいくつかに関する概要であり、本主題を排他的または包括的に取り扱うことを意図されない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明および添付の請求項に記載される。本発明の他の側面は、以下の発明の詳細な説明を熟読および理解し、その一部を形成する図面を閲覧することによって、当業者にとって明白になる。本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な均等物によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、概して、本書において論じられる様々な実施形態を例として図示する。図面は、例示目的のためだけのものであり、一定の縮尺ではない場合がある。
【図1】図1は、血管再生中にペーシングを提供するシステムと、システムが使用される環境の部分のある実施形態の図である。
【図2】図2は、血管再生中にペーシングを提供するペースメーカーのある実施形態を図示するブロック図である。
【図3】図3は、心臓保護ペーシングのある実施形態を図示するタイミング図である。
【図4】図4は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルのある実施形態の図である。
【図5】図5は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤのある実施形態の図である。
【図6】図6は、ペーシング電極を備える血管形成術カテーテルのある実施形態の図である。
【図7】図7は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分のある実施形態の図である。
【図8】図8は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図9】図9は、ペーシング電極を備えるガイドカテーテルの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図10】図10は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤの遠位部分のある実施形態の図である。
【図11】図11は、ペーシング電極を備えるガイドワイヤの遠位部分の別の実施形態の図である。
【図12】図12は、バルーンおよびペーシング電極を備える血管形成術カテーテルの遠位部分のある実施形態の図である。
【図13】図13は、ペーシング電極を備える血管形成術カテーテルの近位部分のある実施形態の図である。
【図14】図14は、シースと、拡張可能な遠位端を有するペーシングリード線とを含むペーシングカテーテルのある実施形態の図である。
【図15】図15は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分のある実施形態の図である。
【図16】図16は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図17】図17は、図14のペーシングカテーテルのペーシングリード線の遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図18】図18は、ペーシングリード線およびバルーンカテーテルを含む経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置アセンブリのある実施形態の図である。
【図19】図19は、複数の血管にアクセスするための複数のペーシングリード線を含むペーシングカテーテルのある実施形態の図である。
【図20】図20は、図19のペーシングカテーテルのカテーテルのある実施形態の図である。
【図21】図21は、導電性液体を放出するペーシングカテーテルと、注入装置とのある実施形態の図である。
【図22】図22は、導電性液体を放出するペーシングカテーテルの別の実施形態の図である。
【図23】図23A〜図23Bは、導電性液体を放出するペーシングカテーテルの別の実施形態の図である。
【図24】図24は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーのある実施形態の図である
【図25】図25は、図24のペースメーカーのある実施形態の図である。
【図26】図26は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図27】図27は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図28】図28は、PTVI装置に一体化されたペースメーカーの別の実施形態の図である
【図29】図29は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルのある実施形態の図である。
【図30】図30は、図29の血管形成術カテーテルのスリーブのある実施形態の図である。
【図31】図31は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図32】図32は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図33】図33、は、シャフト上にペーシング電極を含む血管形成術カテーテルの別の実施形態の図である。
【図34】図34は、ステント電極を備えるステントカテーテルを含むペーシングカテーテルアセンブリのある実施形態の図である。
【図35】図35は、図34のステントカテーテルの遠位端部分のある実施形態の図である。
【図36】図36は、図34のステントカテーテルの遠位端部分の別の実施形態の図である。
【図37】図37は、図34のステントカテーテルの遠位端部分の別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面が参照され、これらの図面において、本発明が実践され得る具体的な実施形態が例示として示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように十分詳細に説明され、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態を組み合わせてもよいこと、または他の実施形態を利用してもよいこと、ならびに構造的、論理的、および電気的変更を加えてもよいことを理解されたい。以下の詳細な説明は、例を提供しており、本発明の範囲は、添付の請求項およびその法的な均等物によって規定される。
【0014】
本開示における「ある実施形態」、「一実施形態」、または「様々な実施形態」への言及は、必ずしも同一の実施形態に対するものではなく、このような言及は1つを超える実施形態を想定する。
【0015】
本書では、「血管再生」は、本書で論じる装置等のPTVI装置を使用して、心虚血または心筋梗塞(MI)に応じて実行される経皮経管冠動脈形成(PTCA)術等の経皮経管血管インターベンション(PTVI)術を使用する、完全または部分的に閉塞した血管の再開放を含む。
【0016】
本書は、1つ以上のPTVI装置を介して血管再生術を受ける患者にペーシングパルスを送達するペーシングシステムについて論じる。ある用途において、ペーシングシステムは、血管再生術中に、ペーシング事後調節とも呼ばれる急速ペーシング心臓保護療法を提供する。急速ペーシング心臓保護療法は、MIおよび後続の血管再生術に関連する心外傷を予防および/または軽減するために、冠状動脈の一時的な閉塞前、閉塞中、および/または閉塞後に、ペーシングパルスを送達することを含む。ペーシングシステムは、血管再生術を実質的に妨害することなく、急速ペーシング心臓保護療法を送達することができる。別の用途では、ペーシングシステムは、虚血性心臓保護療法をも提供する。虚血性心臓保護療法は、例えば、PTVI装置のバルーンを周期的に膨張および収縮することによって、冠状動脈を間欠的に閉塞することを含む。
【0017】
血管再生術中にペーシングパルスを送達するために、1つ以上のペーシング電極が、1つ以上のPTVI装置上に組み込まれる。このようなPTVI装置の例として、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、および拡張バルーンカテーテル等の血管形成術カテーテル、ステント送達システム、小線源療法装置、アテローム切除術装置、ならびに末梢塞栓保護装置が挙げられる。1つ以上のPTVI装置に接続されるペースメーカーは、ペーシングパルスを生成する。一実施形態において、ペースメーカーは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間または交互のペーシングモードを含むペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、急速ペーシング心臓保護療法の送達を制御する。一実施形態において、ペースメーカーは、ペーシングシステム分析器(PSA)等の体外ペーシング装置である。別の実施形態において、ペースメーカーは、1つ以上のPTVI装置のうちの1つに一体化される。
【0018】
図1は、血管再生中にペーシングを提供するシステム100の実施形態、およびシステム100を使用する環境の部分についての図である。システム100は、PTVI装置110と、ペースメーカー122と、PTVI装置110とペースメーカー122とを接続するケーブル121とを含む。必要に応じて、システム100は、リード線120に接続される皮膚パッチ電極等の表面電極である参照電極119をも含む。リード線120は、ケーブル121とのその接続を可能にするコネクタ118に接続される。
【0019】
PTVI装置110は、血管再生術中に使用され、血管内配置のための遠位端部分111と近位端部分112とを含む。近位端部分112は、近位端装置114と、ペーシングコネクタ116A〜Bとを含む。近位端装置114は、様々なコネクタと、装置の経皮経管挿入および遠位端111における血管形成術装置の動作を含む、PTVI装置110の操作を可能にする他の構造とを含む。ペーシングコネクタ116A〜Bは、ケーブル121を介して、ペースメーカー122とPTVI装置110との間の電気接続を提供する。図示される実施形態において、PTVI装置110は、PTCA術に使用するPTCA装置である。PTCA術中、患者の身体102における大腿動脈104に開口部105が形成される。PTVI装置110は、大腿動脈104に挿入され、大動脈106に前進させられ、次いで狭窄または閉塞した右冠状動脈107に前進させられる。次いで、遠位端111における血管形成術装置を使用して、閉塞した右冠状動脈107を開放する。別の実施形態において、PTVI装置110を使用して、閉塞した左冠状動脈108を開放する。
【0020】
PTVI装置110の遠位端部分111は、PTCA術中に、心臓101にペーシングパルスを送達可能にする1つ以上のペーシング電極を含む。一実施形態において、ペーシングパルスは、PTVI装置110の遠位端部分111上の2つのペーシング電極を介して送達される。別の実施形態において、ペーシングパルスは、PTVI装置110の遠位端部分111上の1つのペーシング電極と、ペーシングのためのリターン電極として機能する表面電極119とを介して送達される。
【0021】
ペースメーカー122は、心臓保護ペーシングプロトコルを実行することによって、ペーシングパルスを送達する。一実施形態において、心臓保護ペーシングプロトコルは、血管再生術に関連する不整脈および心外傷を防止するための心臓保護ペーシングシーケンスを特定する。一実施形態において、ペースメーカー122は、PSA等の外部ペースメーカーである。別の実施形態において、ペースメーカー122は、外用に適合される埋め込み型ペースメーカーを含む。
【0022】
図1は、例示目的のためのものであり、限定目的のためのものではないことを理解されたい。例えば、近位端部分112の物理的構造は、機能および使い易さの考慮事項に依存する。近位端装置114は、全ての機械的接続およびアクセス要件に対応する構造を表わし、この構造は、PTVI装置110の具体的な構成および機能に依存する。一実施形態において、近位端装置114は、図1に図示するような一体型装置を含む。別の実施形態において、近位端装置114は、複数のコネクタおよび/または他の装置に分岐する。ペーシングコネクタ116A〜Bは、ペースメーカー122からPTVI装置110にペーシングパルスを送達するために必要な全ての電気接続に対応する構造を表わす。ペーシングコネクタの数は、PTVI装置110に組み込まれるペーシング電極の数と、ケーブル121への接続方法とに依存する。一実施形態において、ペーシングパルスの送達に1つを超える電気接続が必要とされる場合、近位端部分112は、図1に図示するような、ペーシングコネクタ116および117等の分岐型ペーシングコネクタを含む。別の実施形態において、近位端部分112は、複数の独立した電気接続を提供する単一のコネクタを含む。
【0023】
(ペースメーカー)
図2は、血管再生中にペーシングを提供する外部ペースメーカー222のある実施形態を図示するブロック図である。外部ペースメーカー222は、ペースメーカー122のある実施形態であり、ペーシング出力回路224と、ユーザインターフェース228と、制御回路226とを含む。ペーシング出力回路224は、ケーブル121を介して、ペーシングパルスをPTVI装置110に送達する。ユーザインターフェース228は、ペーシングパラメータおよび/または送達のタイミングを制御することによって、ユーザがペーシングパルスの送達を制御することを可能にする。制御回路226は、ペーシングパルスの送達を制御する。一実施形態において、外部ペースメーカー222は、ペーシング出力回路224と、制御回路226とを収容する筺体を含むPSAである。ユーザインターフェース228は、筺体上に組み込まれる。
【0024】
図示する実施形態において、制御回路226は、ペーシングプロトコルモジュール227を含み、これにより、制御回路226は、ペーシングプロトコルを自動的に実行することによって、ペーシングパルスの送達を制御することが可能になる。急速ペーシング心臓保護療法を提供するために、ペーシングプロトコルは、PTCA術等の血管再生術中にペーシングを送達するために、交互のペーシング期間および非ペーシング期間をまたは交互のペーシングモードを含む心臓保護ペーシングシーケンスを特定する。
【0025】
一実施形態において、ペーシングプロトコルモジュール227は、外部ペースメーカー222に取り外し可能に接続されるように構成される。具体的な実施形態において、ペーシングプロトコルモジュール227は、心臓保護ペーシングプロトコルを記憶するメモリ機器を含み、制御回路226は、ペーシングプロトコルモジュール227が外部ペースメーカー222に接続されると、心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行することができる。別の具体的な実施形態において、心臓保護ペーシングプロトコルを記憶するメモリ機器に加えて、ペーシングプロトコルモジュール227は、ユーザが心臓保護ペーシングプロトコルのパラメータを調整することを可能にするユーザインターフェースを含み、および/または心臓保護ペーシングプロトコルを自動的に実行するための制御回路226の機能を補う制御回路を含む。様々な実施形態において、外部ペースメーカー222を使用してペーシングプロトコルを自動的に実行するために、他のペーシングプロトコルモジュールが提供される。様々な実施形態において、ユーザには、外部ペースメーカー222と、心臓保護ペーシングプロトコル、心臓再同期療法(CRT)ペーシングプロトコル、および心臓リモデリング制御療法(RCT)ペーシングプロトコル等のペーシングプロトコルを実行するためのペーシングプロトコルモジュールとが提供される。検査または治療セッション中にユーザがペーシングパラメータを手動で調整することが必要であるPSAと比べると、ペーシングプロトコルの自動実行により、ペーシング制御の精度が向上し、ユーザがペーシングパルスの送達を制御する必要性が低減または排除され、その結果、ユーザは、患者および/または血管再生術の応答に対して、より多くの注意を向けることができるようになる。
【0026】
図3は、心臓保護ペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルのある実施形態を図示するタイミング図である。心臓保護ペーシングシーケンスは、PTVI装置の身体102への挿入が完了する際に開始する時間間隔301の後に開始される。時間間隔301は、血管再生術が標的とする血管がPTVI装置110によって実質的に閉塞される際に発生する虚血性イベント前、イベント中、および/またはイベント後に終了する。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、血管再生術中、血管の閉塞前、閉塞中、および/または閉塞後に繰り返し適用される。
【0027】
図3に図示するように、心臓保護ペーシングシーケンスは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。各ペーシング期間は、ペーシングパルスが既定のペーシングモードで送達されるペーシング持続時間である。非ペーシング期間は、ペーシングパルスがなんら送達されない非ペーシング持続時間である。一実施形態において、各ペーシング期間中に、急速な非同期ペーシングが適用される。言い換えると、ペーシングパルスは、患者の固有の心臓収縮に同期されることなく、患者の固有心拍速度よりも実質的に速い速度で送達される。例示目的のためだけに、図3は、交互のペーシング期間および非ペーシング期間の2つのサイクル、つまり、ペーシング期間302Aと、非ペーシング期間303Aと、ペーシング期間302Bと、ペーシング期間303Bとを含む心臓保護ペーシングシーケンスを示す。一実施形態において、交互のペーシング期間および非ペーシング期間のサイクルの数は、プログラム可能であり、ペーシング期間および非ペーシング期間の各々は、プログラム可能である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント前に開始され、約1サイクルから4サイクルまでの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。非ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。具体的な例では、虚血性イベント前に開始される心臓保護ペーシングシーケンスは、3サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含み、各々の長さは、約5分である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント中に開始され、約1から4サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。非ペーシング期間は、約30秒から20分までの範囲である。具体的な例では、虚血性イベント中に送達される心臓保護ペーシングシーケンスは、3サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含み、各々の長さは、約5分である。一実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、虚血性イベント後に始動し、約1サイクルから4サイクルの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。ペーシング期間は、約10秒から1分までの範囲である。非ペーシング期間は、約10秒から1分までの範囲である。1つの具体的な例では、虚血性イベント後に送達される心臓保護ペーシングシーケンスは、各々の長さは約30秒である、2サイクルから4サイクルまでの交互のペーシング期間および非ペーシング期間を含む。
【0028】
様々な他の実施形態において、心臓保護ペーシングシーケンスは、1つ以上の心房追跡モードまたは他のペーシングモードにおけるペーシングを含む。このような心臓保護ペーシングシーケンスにおいて使用されるペーシングモードの例として、VDD、VVI、およびDDDモードが挙げられる。様々な実施形態において、VVIおよびDDDモードは、患者の固有心拍速度よりも速い低速限界で送達される。一実施形態において、ペーシング療法は、心筋または心筋の特定の領域に対する機械的ストレスを生成または増大するように選択されるペーシングモードおよび/または他のペーシングパラメータで送達される。別の実施形態において、ペーシング療法は、再狭窄を予防するように送達される。別の実施形態において、ペーシング療法は、血管再生術中、例えば、患者が手術中に徐脈を経験する場合に不整脈を治療するために送達される。
【0029】
様々な実施形態において、ペーシング期間中、ペーシングパルスの送達は、ストレス増大ペーシングモードに従って制御され、心臓保護ペーシングシーケンスの非ペーシング期間中、非ペーシングモードに従って、なんらペーシングパルスが送達されないように時間調節される。ペーシングパルスが送達されるように時間調節される場合、心周期中のペーシングパルスのスケジュール化された送達前に発生する固有の心臓脱分極の検出等の阻害イベントによって阻害されなければ、ペーシングパルスは送達される。なんらペーシングパルスが送達されないように時間調節される非ペーシングモード下では、無送達は、阻害イベントの検出による阻害ではなく、プログラミングに起因する。ストレス増大ペーシングモード下では、ペーシングパルスは、心臓の心筋に対する機械的ストレスを、心筋障害に対する心臓保護をもたらすレベルまで増大するように送達される。様々な実施形態において、ストレス増大ペーシングモードは、患者の必要性、病状、および応答に従って心筋ストレス増大の所望のレベルに選択されるペーシングパラメータ値を含む、標準的または非標準的なペーシングモードである。ストレス増大ペーシングモードの例として、比較的短い房室(AV)遅延を含む心房追跡ペーシングモード、患者の固有心拍速度よりも実質的に速いペーシング速度を含む徐脈ペーシングモード、および患者の固有心拍速度よりも実質的に速いペーシング速度を含む非同期ペーシングモードが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、ペーシングパルスは、血管再生術中に、PTVI装置110を介して、心臓保護ペーシングプロトコルに従って送達される。血管再生術の後、埋め込み型ペースメーカーが患者内に埋め込まれる場合、ペーシング療法は、埋め込み型ペースメーカーからの1つ以上の埋め込み型リード線を介して心臓101に送達される。ペーシング療法は、血管再生術中に適用される心臓保護ペーシングシーケンスに実質的に同一または類似するペーシングシーケンスに従って、ペーシングパルスを送達することを含む。ペーシングシーケンスは、既定の期間基礎等の既定のスケジュールに従って送達される。これにより、埋め込み型ペースメーカーの埋め込み後に患者が経験し得る心筋梗塞を含む虚血性イベントによって引き起こされる心外傷および不整脈の発生を含む、血管再生後の可能性のある心外傷が予防または軽減される。
【0031】
(ペーシング電極を備えるPTVI装置)
図4〜図6は、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルを含むPTVI装置アセンブリを図示する。PTCA術等の血管再生術中、ガイドカテーテルが、まず患者に挿入され、その後、ガイドワイヤがガイドカテーテルのルーメンに挿入される。血管形成術カテーテルは、ガイドワイヤの一部分を収容するルーメンを含むことによって、血管形成術カテーテルが、ガイドカテーテルを通して、かつガイドワイヤの上で患者に挿入可能になる。ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルは、血管形成術カテーテルのバルーン等の血管形成術装置が血管再生術中に再開放される閉塞血管の部分に配置可能になるように挿入される。
【0032】
図4は、ガイドカテーテル410のある実施形態の図である。ガイドカテーテル410は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分411と近位端部分412との間に細長いシャフト413を有する。遠位端部分411は、血管内配置のために構成され、遠位先端435を有する。ルーメン430は、シャフト413内に延出し、近位端部分412における近位開口部と、遠位先端435における遠位開口部とを有する。ルーメン430は、血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容する。遠位端部分411は、ペーシング電極432A〜Bを含む。図示する実施形態において、電極432Aは、遠位先端435上に組み込まれる。導体433Aは、ペーシング電極432Aとコネクタ416Aとの間に接続される。導体433Bは、ペーシング電極432Bとコネクタ416Bとの間に接続される。コネクタ416A〜Bは、各々、近位端部分412の部分である。一実施形態において、導体433A〜Bは、各々、シャフト413内に長手方向に延在する。別の実施形態において、導体433A〜Bは、各々、シャフト413の外面上に長手方向に延在し、絶縁される。
【0033】
一実施形態において、ガイドカテーテル410は、約50cmから150cmまでの範囲の長さを有する。シャフト413は、約0.5mmから8mmまでの範囲の外径を有し、ルーメン430は、約0.4mmから7mmまでの直径を有する。導体433A〜Bは、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、コバルト、金、および/もしくは塩化銀の合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト413は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される。電極432A〜Bは、白金またはイリジウム合金等の金属材料から作製される。
【0034】
図5は、ガイドワイヤ510のある実施形態の図である。ガイドワイヤ510は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分511と近位端部分512との間に細長いシャフト513を有する。遠位端部分511は、血管内配置のために構成され、遠位先端535を有する。遠位端部分511は、ペーシング電極532A〜Bを含む。図示する実施形態において、電極532Aは、遠位先端535上に組み込まれる。導体533Aは、ペーシング電極532Aとコネクタ516Aとの間に接続される。導体533Bは、ペーシング電極532Bとコネクタ516Bとの間に接続される。コネクタ516A〜Bの各々は、近位端部分512の部分である。一実施形態において、導体533A〜Bの各々は、シャフト513内において長手方向に延在する。別の実施形態において、導体533A〜Bは、各々、シャフト513の外面上で長手方向に延在し、絶縁される。一実施形態において、コネクタ533A〜Bのうちの1つは、ガイドワイヤ510の核である。
【0035】
一実施形態において、ガイドワイヤ510は、約30cmから300cmまでの範囲の長さを有する。シャフト513は、約0.2mmから1.5mmまでの範囲の直径を有する細長い円筒状シャフトである。導体533A〜Bは、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、および/もしくはコバルトの合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト513は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される。電極532A〜Bは、白金、イリジウム合金、金、または塩化銀等の金属材料から作製される。
【0036】
図6は、血管形成術カテーテル610のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル610は、PTVI装置110のある実施形態であり、遠位端部分611と近位端部分612との間に細長いシャフト613を有する。ルーメン631は、ガイドワイヤ510等のガイドワイヤの少なくとも一部分を収容するために、シャフ613内において長手方向に延在する。遠位端部分611は、血管内配置のために構成され、遠位先端635および血管形成術装置634を含む。血管形成術装置634は、遠位先端635にほぼ隣接する一方の端部と、シャフト613に連結する別の端部とを有する。一実施形態において、血管形成術装置634は、制御可能な拡張性および収縮性を有する調整可能部分を含む。図示される実施形態において、血管形成術装置634は、シャフト613内において長手方向に延在し、かつバルーンのチャンバと近位端部分612のコネクタ614との間に接続されるルーメンを通して膨張および収縮させられるバルーンを含む。バルーンは、そのコネクタに接続される空気または液体ポンプを使用して膨張可能である。様々な実施形態において、血管形成術装置634は、血管拡張、ステント送達、小線源療法(放射線療法)、アテローム切除術、または塞栓保護等の血管形成療法の適用を可能にするバルーンまたは他の装置を含む。一実施形態において、遠位先端635は、テーパ状の先端であり、これにより、血管形成術カテーテル610の血管内への挿入が容易になる。遠位端部分611は、ペーシング電極632A〜Bを含む。図示される実施形態において、ペーシング電極632Aは、血管形成術装置634の一方の端部にほぼ隣接し、ペーシング電極632Bは、血管形成術装置634の他方の端部にほぼ隣接する。導体633Aは、シャフト613内において長手方向に延在し、ペーシング電極632Aと近位端部分612の部分であるペーシングコネクタ616Aとの間に接続される。導体633Bは、細長いシャフト613内において長手方向に延在し、ペーシング電極632Bと、近位端部分612の部分であるペーシングコネクタ616Bとの間に接続される。代替実施形態において、ペーシングコネクタ616A〜Bは、1つの多重導体コネクタに物理的に一体化される。また、近位端部分612は、近位端装置614も含む。様々な実施形態において、コネクタ614は、血管形成術カテーテル610のための全ての機械的接続およびアクセス要件に対応する構造を含み、この構造は、血管形成術装置634の機能に依存する。一実施形態において、コネクタ614は、一体型装置を含む。別の実施形態において、コネクタ614は、複数のコネクタおよび/または他の装置に分岐する。
【0037】
一実施形態において、血管形成術カテーテル610は、約50cmから150cmまでの範囲の長さを有する。シャフト613は、約1mmから5mmまでの範囲の直径を有する細長い円筒状シャフトである。一実施形態において、血管形成術装置634は、完全拡張時に約1mmから10mmまでの範囲の最大直径と、完全収縮時に約0.5mmから5mmまでの範囲の最大直径とを有する、調整可能な実質的に円筒形状または半球形状を有する。一実施形態において、導体633A〜Bは、各々、ステンレス鋼またはニッケル、チタン、および/もしくはコバルトの合金等の金属材料から作製される。電極632A〜Bは、各々、白金またはイリジウム合金等の金属材料から作製される。細長いシャフト613は、シリコーン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の材料から作製される管状外殻を有する。
【0038】
ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610は、図4〜図6において、限定目的のためではなく、例示目的のためだけに図示される。例えば、ペーシングパルスの望ましい位置への送達を可能にする任意の方式で、1つ以上のペーシング電極を、これらのPTVI装置の各々の上に分布されることができる。様々な実施形態において、1つ以上のペーシング電極は、これらの3つの装置を含むPTVI装置アセンブリを介してペーシングパルスを送達するために、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のうちの1つ以上の上に組み込まれる。一実施形態において、1つ以上の除細動電極も、PTVI装置アセンブリを介して除細動ショックを送達するために、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のうちの1つ以上の上に組み込まれる。一実施形態において、ペーシング電極432A〜B、532A〜B、および632A〜Bのうちの1つ以上等の、1つ以上のペーシング電極は、蛍光透視法を使用して、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および/または血管形成術装置610を設置するための1つ以上のX線不透過性マーカとして機能するように、伝導性X線不透過性材料から作製される。
【0039】
一実施形態において、血管形成術装置610は、バルーンを含む。ガイドワイヤ510は、バルーンが膨張させられたときにルーメン631内にとどまる。膨張したバルーンは、ペーシング電極532A〜Bの上にある。収縮させられると、バルーンが、電極532A〜Bを暴露するように引き込まれることによって、ペーシングパルスの送達が可能になる。一実施形態において、シャフト613は、バルーンが収縮させられると電極532A〜Bを暴露するように短縮される調整可能な長さを有する一部分を含む。
【0040】
例えば、右冠状動脈107を再開放するためのPTCA術の間の一用途において、ガイドカテーテル410は、大腿動脈104に挿入され、右冠状動脈107が大動脈106から分岐する点に遠位先端435が到達するまで大動脈106に対して進められる。ガイドワイヤ510は、遠位端535が右冠状動脈107内に存在するまで、ガイドカテーテル410のルーメン430を通して導入される。次いで、血管形成術カテーテル610は、血管形成術装置634(バルーン)が右冠状動脈107の部分内に存在するまで、ガイドワイヤ510の上でルーメン430を通して導入される。一実施形態において、急速ペーシング心臓保護療法は、ガイドカテーテル410がPTCA術のための適所に存在するとすぐに、電極432A〜Bを使用して送達される。一実施形態において、ガイドカテーテル410と、ガイドワイヤ510と、血管形成術装置610とを含むPTVI装置アセンブリが、PTCA術のための適所に存在すると、急速ペーシング心臓保護療法は、電極432A〜B、532A〜B、632A〜B、および119から選択される1つ以上の対のペーシング電極を使用して送達される。
【0041】
一実施形態において、PTVI装置アセンブリによって、ペーシング心臓保護療法と虚血性心臓保護療法との組み合わせが可能になる。例えば、虚血性心臓保護療法は、1つ以上の対のペーシング電極を介してペーシング心臓保護療法を送達することに加え、血管形成術カテーテル610の血管形成術装置634(バルーン)を膨張および収縮することによって、閉塞した血管を間欠的に閉塞することによって適用される。
【0042】
PTVI装置およびペースメーカーの様々な実施形態が、血管再生術中に急速ペーシング心臓保護療法を送達するためのペーシングシステムを説明する例として、以下に論じられる。概して、このようなペーシングシステムは、図3を参照して上述したような、心臓保護ペーシングプロトコルに従ってペーシングパルスを送達することができるペースメーカーと、各々が1つ以上のペーシング電極を含む1つ以上のPTVI装置とを含む。一実施形態において、1つ以上のPTVI装置は、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテル等の血管再生術の実行に使用する装置であって、急速ペーシング心臓保護療法の送達を可能にするように修正される装置を含む。別の実施形態において、1つ以上のPTVI装置は、血管再生術自体の実行を必要とされないが、血管再生術中にペーシングパルスの送達を可能にするように構成される1つ以上の装置を含む。様々な実施形態において、PTVI装置は、上述のサイズと同一または類似のサイズを有し、上述の材料と同一または類似の材料を使用して構築される。
【0043】
図7〜図13は、ガイドカテーテル410、ガイドワイヤ510、および血管形成術装置610のいくつかの具体的な実施形態を図示する。様々な実施形態において、単独で、または任意の他のPTVI装置と組み合わせて、少なくとも1つのペーシング電極を伴う任意のPVTI装置を使用して、ペーシングパルスが血管再生術中に送達され、少なくとも1つのペーシング電極および/または複数のペーシング電極が血管再生術を受ける患者の中または上に配置される。
【0044】
図7は、ガイドカテーテル710の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分711および細長いシャフト713を示す。ガイドカテーテル710は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図7に示すように、遠位端部分711は、ルーメン730がその遠位開口部で終端する遠位先端735を含む。ルーメン730は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル710から退出することが可能になるように構成される。ペーシング電極732A〜Bは、ルーメン730の遠位開口部に隣接して、遠位先端735上に組み込まれる。ペーシング電極732C〜Dは、シャフト713上に組み込まれる。導体733A〜Dは、ペースメーカーがガイドカテーテル710の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極732A〜Dに送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル710は、遠位端部分711および/またはシャフト713上に組み込まれる任意の数のペーシング電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル710上に組み込まれるペーシング電極のうちの任意の1つ以上が、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0045】
図8は、ガイドカテーテル810の遠位端部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分811および細長いシャフト813を示している。ガイドカテーテル810は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図8に示すように、遠位端部分811は、ルーメン830がその遠位開口部で終端する遠位先端835を含む。ルーメン830は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル810から退出することが可能になるように構成される。コイル電極として構成されるペーシング電極832は、遠位先端835付近の遠位端部分811上に組み込まれる。導体833は、ペースメーカーがガイドカテーテル810の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極832に送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル810は、遠位端部分811および/またはシャフト813上に組み込まれる任意の数のコイル電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル810上に組み込まれる任意の1つ以上のコイル電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0046】
図9は、ガイドカテーテル910の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分911および細長いシャフト913を示している。ガイドカテーテル910は、ガイドカテーテル410の別の実施形態である。図9に示すように、遠位端部分911は、ルーメン930がその遠位開口部で終端する遠位先端935を含む。ルーメン930は、血管形成術カテーテル610等の血管形成術カテーテルの少なくとも一部分を収容し、かつ血管形成術カテーテルの血管形成術装置がガイドカテーテル910から退出することが可能になるように構成される。ペーシング電極932Aは、カラー電極として構成され、遠位先端935上に組み込まれる。別のペーシング電極932Bは、別のカラー電極として構成され、シャフト913上に組み込まれる。2つの層の管状金属編組は、各々、ガイドカテーテル910内において延在し、ペーシング電極932A〜Bのうちの1つに接続する。これらの2つの層の管状金属編組は、導体933A〜Bとして機能し、ペースメーカーがガイドカテーテル910の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング電極932A〜Bに送達することを可能にする電気接続を提供する。様々な他の実施形態において、ガイドカテーテル910は、遠位端部分911および/またはシャフト913上に組み込まれる任意の数のカラー電極を含む。様々な実施形態において、ガイドカテーテル910上に組み込まれる任意の1つ以上のカラー電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0047】
図10は、ガイドワイヤ1010の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分1011および細長いシャフト1013を示している。ガイドワイヤ1010は、ガイドワイヤ510の別の実施形態であり、絶縁層1043によって被覆された導体1033で形成される。図示される実施形態において、遠位端部分1011は、遠位先端1035と、導体1033の一部分を暴露する絶縁層1043における開口部によって形成されるペーシング電極1032とを含む。ペーシングパルスは、ペースメーカーがガイドワイヤ1010の近位端に接続されると、導体1033を介して、開口部/電極1032を介して患者に送達される。様々な他の実施形態において、絶縁層1043は、遠位端部分1011および/またはシャフト1013上で電極として機能する任意の数の開口部を含む。
【0048】
図11は、ガイドワイヤ1110の遠位部分のある実施形態の図であり、その遠位端部分1111および細長いシャフト1113を示している。ガイドワイヤ1010は、ガイドワイヤ510の別の実施形態であり、絶縁層によって被覆された複数の導体で形成される。図示される実施形態において、ガイドワイヤ1110は、シャフト1113を形成するように絶縁され、かつ遠位端部分1111においてペーシング電極1132A〜Bを形成するように暴露される導体1133A〜Bを含む。ペーシング電極1132A〜Bは、ガイドワイヤ1110の遠位先端1135まで延在する螺旋形式の導体1133A〜Bの暴露部分を含む。一実施形態において、ペーシング電極1132A〜Bは、ペースメーカーがガイドワイヤ1110の近位端に接続されると、ペーシングパルスを送達するための陽極および陰極として使用されるように、相互から分離される。様々な他の実施形態において、ガイドワイヤ1110は、それらの遠位端部分が暴露され、1つ、2つ、または2つを超える電気的に分離されたペーシング電極として機能するように構成されている、1つ、2つ、または2つを超える導体を含む。
【0049】
図12は、血管形成術カテーテル1210の遠位部分のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル1210は、血管形成術カテーテル610の別の実施形態である。遠位端部分1211は、遠位先端1235と細長いシャフト1213との間に連結されるバルーン1234を含む。図示される実施形態において、バルーン1234は、灌流チャネル1236A〜Bと、切断刃1232E〜Fとを含む。灌流チャネル1236A〜Bは、各々、膨張時に血液がバルーン1234を通して流動可能になるように、近位開口部と、遠位開口部を有するルーメンとを含む。一実施形態において、バルーン1234が膨張させられると、ペーシングリード線の1つ以上のペーシング電極がルーメンに対して遠位に配置されるように、ルーメンは、ペーシングリード線の遠位端部分がその近位開口部に進入し、かつその遠位開口部から退出することを可能にする直径を有する。切断刃1232E〜Fは、バルーン1234がその血管において膨張させられる際に血管中のプラークを切断する。一実施形態において、切断刃1232E〜Fは、各々、金属から作製され、ペーシング電極として使用される。様々な実施形態において、バルーン1234は、1つ以上の灌流チャネルを含む灌流バルーンおよび/または1つ以上の切断刃を含む切断バルーンである。また、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Dをも含む。ペーシング電極1232Aは、遠位先端1235上に組み込まれる。ペーシング電極1232Bは、シャフト1213上に組み込まれる。ペーシング電極1232C〜Dは、バルーン1234上に組み込まれる。一実施形態において、ペーシング電極1232A〜Dのうちの1つ以上は、蛍光透視法を使用して、遠位端部分1211を配置するための1つ以上のX線不透過性マーカとして機能するように、X線不透過性材料から作製される。導体1233A〜Fは、ペースメーカーが血管形成術カテーテル1210の近位端に接続されると、ペーシングパルスをペーシング1232A〜Fに送達することを可能にする電気接続を提供する。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Fを含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1210は、ペーシング電極1232A〜Fのうちの任意の1つ以上、ならびに遠位端部分1211および/またはシャフト1213上に組み込まれる他の1つ以上のペーシング電極を含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1210上に組み込まれる任意の1つ以上のペーシング電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するために選択される。
【0050】
ペーシングパルスを送達するためのペーシング電極1232C〜Fのうちの1つ以上を使用することの潜在的な利点は、バルーン1234の膨張時に、ペーシング電極が血管壁上に押圧されて、安定した電気接点を形成することにある。一実施形態において、ガイドワイヤ510に実質的に同一または類似するペーシングリード線は、バルーン1234の膨張時に、そのペーシングリード線の1つ以上のペーシング電極が血管壁上に確実に押圧されて、ペーシングパルスを送達するための安定した電気接点を形成するように、その1つ以上のペーシング電極がバルーン1234の上に配置された状態で、血管形成術カテーテル1210の側面に沿って導入される。
【0051】
図13は、血管形成術カテーテル1310の近位部分のある実施形態の図であり、近位端部分1312および細長いシャフト1313を示している。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル1310は、近位端部分1312におけるリングコネクタ1316A〜Dと、血管形成術カテーテル1310の遠位端部分のペーシング電極との間に接続される導体1333A〜Dを含む。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル1310は、ペーシング電極の数に依存して、1つ以上の導体およびリングコネクタを含む。ルーメン1330は、ガイドワイヤ510等のガイドワイヤを収容するように、および/または遠位端部分におけるバルーンの膨張および収縮を可能にするように、血管形成術カテーテル1310内において長手方向に延在する。ルーメン1339A〜Dは、各々、導体1333A〜Dのうちの1つを収容する。
【0052】
図14〜図37は、血管再生術中に送達される急速ペーシング心臓保護療法を可能にするようにペーシング電極を含む、PTVI装置の様々な具体的な例を図示する。様々な実施形態において、これらのPTVI装置の各々は、上述のようなガイドカテーテル、ガイドワイヤ、および血管形成術カテーテルのうちの1つ、または血管再生術に必要とされないPTVIペーシング装置として機能し得る。様々な実施形態において、ペーシングパルスは、ペーシング電極を備える1つ以上のPTVI装置に接続される外部ペースメーカーから、またはPTVI装置上に組み込まれるペースメーカーから送達される。
【0053】
(例:拡張可能遠位端を備えるペーシングカテーテル)
図14〜図18は、1つ以上のペーシング電極を含む拡張可能な遠位端を含むペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。血管再生術中に血管内において拡張すると、遠位端は、血管内において安定化して、ペーシングパルスを送達するために、1つ以上のペーシング電極と血管壁との間に確実な電気接点を提供する。
【0054】
図14は、ペーシングカテーテル1410のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル1410は、シース1410Aおよびペーシングリード線1410Bを含むPTVI装置アセンブリである。シース1410Aは、シース近位端部分1412Aと、シース血管内配置のために構成され、かつ遠位先端1435Aを含む遠位端部分1411Aと、近位端部分1412Aと遠位端部分1411Aとの間に連結される細長いシースシャフト1413Aと、ルーメン1430Aとを含む。ルーメン1430Aは、シャフト1413A内において延在し、近位端部分1412Aに近位開口部1441Aと、遠位先端1435Aに遠位開口部1440Aとを有する。一実施形態において、シース1410Aは、血管再生術において使用するためのガイドカテーテルである。図示される実施形態において、シース1410Aは、遠位端部分1411A上に組み込まれるペーシング電極1432Aと、近位端部分1412A上に組み込まれるコネクタ1416Aと、ペーシング電極1432Aとコネクタ1416Aとの間の電気接続を提供する導体1433Aとを含む。様々な他の実施形態において、シース1410Aは、任意の数のペーシング電極を含むか、またはペーシング電極を含まない。
【0055】
ペーシングリード線1410Bは、リード線近位端部分1412Bと、血管内配置のために構成される拡張可能リード線遠位端部分1411Bと、近位端部分1412Bと遠位端部分1411Bとの間に連結される細長いリード線シャフト1413Bとを含む。ペーシングリード線1410Bは、遠位端部分1411Bが近位開口部1441Aを通ってルーメン1430Aに進入し、かつルーメン1430A内に押圧されることによって、遠位開口部1440Aを通ってルーメン1430Aから退出し、かつ遠位開口部1440Aを通ってルーメン1430A内に引き込まれ、ルーメン1430Aから引っ張られることによって、近位開口部1441Aからルーメン1430Aを退出することが可能になるように構成される。遠位端部分1411Bは、ペーシング電極1432Bを含む。ペーシングリード線1410Bは、シャフト1413Bを貫通する導体1433Bを介してペーシング電極1432Bに電気的に接続されるコネクタ1416Bを含む。一実施形態において、ペーシング電極1432Bは、遠位端部分1411B上に組み込まれる。別の実施形態において、ペーシング電極1432Bは、遠位端部分1411B全体を含むか、またはその実質的に一部分を含む。遠位端部分1411Bは、ルーメン1430Aに配置されている間は収縮状態にあり、ルーメン1430Aから退出した後は拡張状態である。一実施形態において、遠位端部分1411Bは、ルーメン1430Aから退出すると拡張し、ルーメン1430A内に後退すると収縮する。一実施形態において、遠位端部分1411Bは、自己拡張可能であり、拘束されていないときには拡張状態にある。血管内に配置され、かつその拡張状態にある場合、遠位端部分1411Bは、ペーシングパルスを送達するために、ペーシング電極1432Bと血管壁との間に安定した電気接点を提供する。
【0056】
様々な実施形態において、ペーシングリード線1410Bは、1つ以上のペーシング電極と、1つ以上のコネクタと、シャフト1413Bを貫通し、かつ1つ以上のペーシング電極のうちの1つと1つ以上のコネクタのうちの1つとの間に接続される1つ以上の導体とを含む。図15〜図17は、各々が1つ以上のペーシング電極を含む遠位端部分1411Bの様々な実施形態を図示する。
【0057】
図15は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1510Bのリード線遠位端部分1511Bのある実施形態の図である。ペーシングリード線1510Bは、遠位端部分1511Bにおいて、細長いリード線シャフト1513B内に延在する導体1533Bに接続されるペーシング電極1532Bを含む。ペーシング電極1532Bは、遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出するときにコイルになるワイヤによって形成される。コイルは、血管においてリード線遠位端1511Bを安定化させるために適切な直径を有する。
【0058】
図16は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1610Bのリード線遠位端部分1611Bのある実施形態の図である。ペーシングリード線1610Bは、遠位端部分1611Bにおいて、細長いリード線シャフト1613B内に延在する導体1633Bに接続されるペーシング電極1632Bを含む。ペーシング電極1632Bは、グリエルミ着脱可能コイル(GDC(登録商標))を含む。GDCは、身体内への送達中は拘束される形状記憶材料から作製されるコイルであり、拘束が無くなると拡張する。コイルは、送達装置に低振幅電流を流すことによって、その送達装置から着脱されるような電気的感受性がある。したがって、ペーシング電極1632Bは、遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出するときに拡張し、ペーシングパルスの送達後に、シャフト1613Bから切断される。
【0059】
図17は、ペーシングリード線1410Bの別の実施形態であるペーシングリード線1710Bのリード線遠位端部分1711Bのある実施形態の図である。図示される実施形態において、ペーシングリード線1710Bは、細長いリード線シャフト1713B内に延在する導体1733BAおよび1733BBに接続される遠位端部分1711Bにおけるペーシング電極1732BAおよび1732BBを含む。遠位端1711Bにおける導体1733BAおよび1733BBは、ルーメン1430A内に拘束されている間は実質的に付勢されず、遠位端部分1711Bが遠位開口部1440Aからルーメン1430Aを退出したときに付勢される。導体1733BAおよび1733BBの付勢部分は、1つ以上の形状記憶材料から作製され、付勢されると血管内において遠位端部分1711Bを安定化させるのに適切であるように構成される。様々な実施形態において、遠位端部分1711Aは、複数のワイヤを含み、その各々は、ルーメン1430A内において拘束されているときは実質的に付勢されず、拘束されていないとき付勢される。複数のワイヤは、1つ以上のペーシング電極を形成する。
【0060】
図18は、ペーシングリード線1810Bおよびバルーンカテーテル1810Aを含むPTVI装置アセンブリ1810のある実施形態の図である。バルーンカテーテル1810Aは、カテーテル近位端部分1812Aと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端1835Aおよびバルーン1834Aを含むカテーテル遠位端部分1811Aと、近位端部分1812Aと遠位端部分1811Aとの間の細長いカテーテルシャフト1813Aとを含む血管形成術カテーテルである。ペーシング電極1832Aは、遠位先端1835A上に組み込まれる。導体1833Aは、シャフト1813A内において延在し、ペーシング電極1832Aと近位端部分1812Aにおけるコネクタ1816Aとの間に電気接続を提供する。
【0061】
ペーシングリード線1810Bは、リード線近位端1812Bと、遠位先端1835Bを含むリード線遠位端1811Bと、近位端部分1812Bと遠位端部分1811Bとの間の細長いリード線シャフト1813Bとを含む。ペーシング電極1832Bは、遠位先端1835B上に組み込まれる。導体1833Bは、シャフト1813B内において延在し、ペーシング電極1832Bと近位端部分1812Bにおけるコネクタ1816Bとの間に電気接続を提供する。
【0062】
ペーシング電極1832Aおよび1832Bを使用してペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1810Bは、遠位端部分1811Aおよび1811Bが血管における意図するペーシング部位に設置されると、ペーシング電極1832Bがバルーン1834Aの上に存在するように配置される。バルーン1834Aが膨張させられると、ペーシング電極1832Bは、バルーン1834Aによって血管の内壁上に押圧されて、ペーシングパルスを送達するための安定した電気接点を提供する。一実施形態において、PTVI装置アセンブリ1810によって、バルーン1834Aの膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、電極1832Aおよび1832Bを介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0063】
(例:複数の血管へアクセスするためのペーシングカテーテル)
図19および図20は、それを通して複数のペーシングリード線が複数の血管内に導入されるペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。ペーシングカテーテルは、意図されるペーシング部位が位置する血管系の一部分の解剖学的構造に従って設置される出口ポートを含み、ペーシングリード線が、出口ポートを通って、ペーシング電極が配置される血管内にペーシングカテーテルから退出するようにする。例えば、ペーシングカテーテルが、血管再生術中に再開放される血管等の大血管に挿入された後に、ペーシングリード線は、出口ポートから退出し、大血管および/または大血管から分岐する1つ以上の血管に進入する。
【0064】
図19は、ペーシングカテーテル1910のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル1910は、複数の血管へのアクセスのための複数のペーシングリード線を含むPTVI装置アセンブリである。図示される実施形態において、ペーシングカテーテル1910は、ペーシングリード線1910Aおよび1910Bならびにカテーテル1910Cを含む。
【0065】
ペーシングリード線1910Aは、コネクタ1916Aを含むリード線近位端部分1912Aと、血管内配置のために構成され、かつリード線遠位先端1935Aを含むリード線遠位端部分1911Aと、リード線近位端部分1912Aとリード線遠位端部分1911Aとの間に連結される細長いリード線シャフト1913Aとを含む。ペーシング電極1932Aは、遠位先端1935A上に組み込まれる。コネクタ1933Aは、ペーシング電極1932Aとコネクタ1916Aとの間に電気接続を提供する。
【0066】
ペーシングリード線1910Bは、コネクタ1916Bを含むリード線近位端部分1912Bと、血管内配置のために構成され、かつリード線遠位先端1935Bを含むリード線遠位端部分1911Bと、リード線近位端部分1912Bとリード線遠位端部分1911Bとの間に連結される細長いリード線シャフト1913Bとを含む。ペーシング電極1932Bは、遠位先端1935B上に組み込まれる。コネクタ1933Bは、ペーシング電極1932Bとコネクタ1916Bとの間に電気接続を提供する。
【0067】
カテーテル1910Cは、コネクタ1916Cを含むカテーテル近位端部分1912Cと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端1935Cを含むカテーテル遠位端部分1911Cと、カテーテル近位端部分1912Cとカテーテル遠位端部分1911Cとの間に連結される細長いカテーテルシャフト1913Cとを含む。ペーシング電極1932Cは、遠位先端1935C上に組み込まれる。コネクタ1933Cは、ペーシング電極1932Cとコネクタ1916Cとの間に電気接続を提供する。カテーテル1910Cは、近位端部分1912Cに1つ以上の入口ポート1943Cと、遠位先端1935Cに出口ポート1942CA、およびシャフト1913C上に出口ポート1942CBとを含む。ペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1910A〜Bの遠位端1911A〜Bは、入口ポート1943Cを通してカテーテル1910Cに挿入され、出口ポート1942CA〜Bを通って退出する。出口ポート1942CA〜Bは、ペーシング電極1932A〜Bが配置される2つの血管に遠位端1911A〜Bが進入することが可能になるように設置される。一実施形態において、出口ポート1942CAは、ペーシング電極1932Aを、カテーテル1910Cが配置される主要血管に配置することが可能であり、ペーシング電極1932Bを、主要血管から分岐した別の血管に配置することが可能であるように、カテーテル1910C上に設置される。
【0068】
一用途では、出口ポート1942CA〜Bは、遠位端部分1911A〜Bが左前下行枝(LAD)冠状動脈および右冠状動脈に進入することが可能になるように設置される。
【0069】
様々な実施形態において、PTVI装置アセンブリ1910は、各々がペーシングリード線のうちの1つを血管内に退出することを可能にする2つ以上の出口ポートを含むカテーテル1910Cを通して導入される2つ以上のペーシングリード線を含む。2つ以上のペーシングリード線の各々は、1つ以上のペーシング電極を含む。
【0070】
図20は、カテーテル1910Cのある実施形態であるカテーテル2010Cのある実施形態の図である。カテーテル2010Cは、カテーテル近位端部分2012Cと、血管内配置のために構成され、かつカテーテル遠位先端2035Cを含むカテーテル遠位端部分2011Cと、カテーテル近位端部分2012Cとカテーテル遠位端部分2011Cとの間に連結される細長いカテーテルシャフト2013Cとを含む。カテーテル2010Cは、近位端部分2012Cに入口ポート2043CA〜Bと、遠位先端2035Cに出口ポート2042CBと、シャフト2013C上に出口ポート2042CAと、各々がシャフト2013Cの一部分内において延在するルーメンを含むガイドチャネル2044CA〜Bとを含む。ガイドチャネル2044CAは、入口ポート2043CAと出口ポート2042CAとを接続するルーメンを含む。ガイドチャネル2044CBは、入口ポート2043CBと出口ポート2042CBとを接続するルーメンを含む。ペーシングパルスを送達するために、ペーシングリード線1910A〜Bは、各々、遠位先端が入口ポート2043A〜Bのうちの1つに進入し、出口ポート2042A〜Bのうちの1つから退出した状態で、ガイドチャネル2044CA〜Bのうちの1つを使用して配置される。
【0071】
(例:電極として導電性液体を放出するペーシングカテーテル)
図21〜図23は、ペーシング電極を含み、かつ導電性液体を血管内に放出して、ペーシング電極と血管の血管壁との間に導電性媒質を提供するペーシングカテーテルの様々な実施形態を図示する。この導電性媒質は、ペーシング電極と標的組織との間の電気導電性を増加させることによって、心臓を捕捉するのに必要とされるペーシングエネルギーを低下させる。様々な実施形態において、導電性液体は、血液の電気伝導性よりも実質的に高い電気伝導性を有する。
【0072】
図21は、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2110(断面図)と、注入装置2150とのある実施形態の図である。ペーシングカテーテル2110は、近位端部分2112と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2135を含む遠位端部分2111と、近位端部分2112と遠位端部分2111との間に連結される細長いシャフト2113と、シャフト2113内において延在するルーメン2148と、出口ポート2147A〜Bとを含むPTVI装置である。ルーメン2148は、近位端部分2112に近位開口部2149を有し、出口ポート2147A〜Bに接続する。導電性液体2146は、近位開口部2149を通して注入装置2150からルーメン2148に注入され、出口ポート2147A〜Bを通ってルーメン2148から血管内に退出する。
【0073】
ペーシングカテーテル2110は、遠位先端2135上に組み込まれるペーシング電極2132と、近位端部分2112におけるコネクタ2116と、ペーシング電極2132とコネクタ2116との間に電気接続を提供する導体2133とを含む。血管内に放出された後、導電性液体2146は、ペーシング電極2132と血管壁との間の電気導電性を改善することによって、ペーシングパルスが送達される陽極と陰極との対の間のインピーダンスが低下する。一実施形態において、導電性液体2146は、生理食塩水を含む。一実施形態において、導電性液体2146は、X線不透過性である。一実施形態において、導電性液体2146は、約50%の生理食塩水と50%のX線不透過性造影液との混合液等の生理食塩水およびX線不透過性造影液を含む。
【0074】
一実施形態において、出口ポート2147A〜Bは、導電性液体2146の血管内への制御可能な放出を可能にするように構成される。一実施形態において、出口ポート2147A〜Bの各々は、電極2132を使用して印加される電場によって制御される弁として機能する電気的に活性化されるポリマー(EAP)を含む。1つのペーシング電極2132および2つの出口ポート2147A〜Bが、例示目的のために図21に示されるが、様々な実施形態において、ペーシングカテーテル2110は、ペーシング電極とペーシングのための標的組織との間の電気導電性を増加させるために導電性液体を放出するように設置される、任意の数のペーシング電極および任意の数の出口ポートを含む。
【0075】
図22は、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2210のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル2210は、近位端部分2212と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2235および点滴バルーン2234を含む遠位端部分2211と、近位端部分2212と遠位端部分2211との間に連結される細長いシャフト2213と、シャフト2213内において延在するルーメン2248と、出口ポート2247A〜Dとを含むPTVI装置である。ルーメン2248は、近位端部分2212に近位開口部2249を有し、出口ポート2247A〜Dに接続する。導電性液体2146は、近位開口部2249を通して注入装置2150からルーメン2248に注入され、出口ポート2247A〜Dを通ってルーメン2248から血管内に退出する。
【0076】
ペーシングカテーテル2210は、点滴バルーン2234上に組み込まれるペーシング電極2232と、近位端部分2212におけるコネクタ2216と、ペーシング電極2232とコネクタ2216との間の電気接続を提供する導体2233とを含む。点滴バルーン2234は、導電性液体2146を含有するためにチャンバ2252を形成する壁2251を含む。壁2251は、出口ポート2247A〜Dとして機能する孔を含み、これにより、チャンバ2252から血管への導電性液体2146の点滴が可能になる。一実施形態において、孔は、点滴バルーン2234が膨張させられたときに、導電性液体2146の血管への点滴を可能にするように開放される。血管内に放出された後に、導電性液体2146は、ペーシング電極2232と血管壁との間の電気伝導性を改善する。
【0077】
一実施形態において、注入装置2150は、ルーメン2248を通して導電性液体2146をチャンバ2252に注入して、点滴バルーン2234を膨張させ、ルーメン2248を通して導電性液体2146をチャンバ2252から引き込んで、点滴バルーン2234を収縮させる。これにより、点滴バルーン2234の膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、ペーシング電極2232および導電性液体2146を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0078】
4つの出口ポート2247A〜Dが、例示目的のために図22に示されるが、ペーシングカテーテル2210は、任意の数の出口ポートを含む。一実施形態において、ペーシングカテーテル2210によって、点滴バルーン2234の膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、電極2232および導電性液体2146を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0079】
図23Aは、導電性液体2146を放出するペーシングカテーテル2310のある実施形態を図示する側面図であり、図23Bは、断面図である。ペーシングカテーテル2310は、近位端部分2312と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2335を含む遠位端部分2311と、近位端部分2312と遠位端部分2311との間に連結される細長いシャフト2313とを含むPTVI装置である。ペーシングカテーテル2310は、ルーメン2348を含む内側管2354と、内側管2354の少なくとも一部分を収容する外側管2353とを含む。内側管は、内側オリフィス2347BA〜Bを含む。外側管2353は、外側オリフィス2347AA〜Bを含む。ルーメン2348からの導電性液体2146の放出は、外側管2353に対して内側管2354を回転させて、内側オリフィス2347BA〜Bおよび外側オリフィス2347AA〜Bを整列させることによって開口部を形成することによって制御される。ルーメン2348は、近位端部分2312に近位開口部2349を有し、内側オリフィス2347BA〜Bを接続する。導電性液体2146は、近位開口部2349を通して注入装置2150からルーメン2348内に導入される。整列させられると、オリフィス2347AAおよび2347BAは、出口ポートを形成し、オリフィス2347BAおよび2347BBは、別の出口ポートを形成して、導電性液体2146がルーメン2348から血管に流動することを可能にする。
【0080】
ペーシングカテーテル2310は、遠位端部分2311上に組み込まれるペーシング電極2332と、近位端部分2312におけるコネクタ2316と、ペーシング電極2332とコネクタ2316との間の電気接続を提供する導体2333とを含む。血管内に放出された後、導電性液体2146は、ペーシング電極2332と血管壁との間の電気導電性を改善する。
【0081】
2つの出口ポートを形成する2つの対の内側オリフィスおよび外側オリフィスが例示目的のために図23に示されるが、ペーシングカテーテル2310は、任意の数の出口ポートを形成する任意の数の対の内側オリフィスと外側オリフィスとを含む。
【0082】
(例:PTVI装置と一体型であるペースメーカー)
図24〜図28は、PTVI装置と一体化されたペースメーカーおよびペーシング電極の様々な実施形態を図示する。このような一体型ペースメーカーPTVI装置は、別々のペースメーカーをPTVI装置に接続する必要性を排除することによって、血管再生術中のペーシングの機器設定が簡略化される。
【0083】
図24は、PTVI装置2410と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2410は、近位端部分2412と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2435を含む遠位端部分2411と、近位端部分2412と遠位端部分2411との間に連結される細長いシャフト2413とを含む。図示される実施形態において、ペースメーカー2456は、シャフト2413上に組み込まれる。ペーシング電極2432A〜Bは、遠位端部分2411上に組み込まれ、導体2433A〜Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。様々な実施形態において、PTVI装置2410は、遠位端部分2411およびシャフト2413のうちの1つ以上の上に組み込まれる任意の数のペーシング電極を含む。PTVI装置2410の例として、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、および血管形成術カテーテルが挙げられる。様々な実施形態において、ペースメーカー2456は、本書に論じられるPTVI装置のいずれかに一体化される。
【0084】
図25は、ペースメーカー2556のある実施形態の図である。ペースメーカー2556は、2456のある実施形態であり、電子回路2559および電池2558を含む可撓性ペースメーカー回路を含み、電子回路2559および電池2558の両方は、可撓性回路基板2557上に配置される。可撓性回路基板2557は、PTVI装置2410に取り付けられる。一実施形態において、電子回路2559は、ペーシング出力回路224等のペーシング出力回路と、制御回路226等の制御回路とを含む。一実施形態において、電池2558は、固体リチウム電池等の固体電池であり、可撓性回路基板2557上に設置される。一実施形態において、電池2558は、10分間の心臓保護ペーシングプロトコルに従ってペーシングパルスを送達するために電子回路2559にエネルギーを提供することができる。
【0085】
一実施形態において、電子回路2559は、遠位端部分2411がガイドカテーテルまたは他のシースから退出する際等の、ペーシング電極2432A〜Bが血液に接触する際に、ペーシングパルスの送達を始動する制御回路を含む。別の実施形態において、電子回路2559は、有線または無線通信リンクを介して外部装置に通信可能に連結され、外部装置から受信したコマンドに応答して、ペーシングパルスの送達を始動する。別の実施形態において、電子回路2559は、PTVI装置2410内またはPTVI装置2410上に延在するストリング、シース、または他の機械的リンクを介して機械的に制御されるスイッチを含む。スイッチによって、近位端部分2412におけるペーシングパルスの送達の始動、中断、および/または停止が可能になる。一実施形態において、ペーシングパルスの送達の持続時間は、電子回路2559内にプログラミングされる。例えば、電子回路2559は、図3を参照して上述した心臓保護ペーシングプロトコルを実行するようにプログラミングされ、ペーシングパルスの送達は、心臓保護ペーシングプロトコルによって特定されるペーシングシーケンスの完了時に停止する。細動の検出時等の緊急の場合、ペーシングパルスの送達は、外部装置または機械的に制御されるスイッチのうちのいずれか利用可能な方からのコマンドによって停止するか、または患者からPTVI装置2410を除去することによって停止する。
【0086】
図26は、PTVI装置2610と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2610は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2612と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2635を含む遠位端部分2611と、近位端部分2612と遠位端部分2611との間に連結される細長いシャフト2613とを含む。ペースメーカー2456は、近位端部分2612上に組み込まれる。ペーシング電極2432A〜Bは、遠位端部分2611上に組み込まれ、導体2633A〜Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0087】
図27は、PTVI装置2710と一体化されたペースメーカー2456のある実施形態の図である。PTVI装置2710は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2712と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2735を含む遠位端部分2711と、近位端部分2712と遠位端部分2711との間に連結されるシャフト2713とを含む。ペースメーカー2456は、シャフト2713上に組み込まれる。ペーシング電極2732Aは、遠位端部分2711上に組み込まれ、導体2733Aを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。別のペーシング電極2732Bは、シャフト2713上に組み込まれ、導体2733Bを介してペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0088】
図28は、PTVI装置2810に一体化されたペースメーカー2856のある実施形態の図である。PTVI装置2810は、PTVI装置2410の別の実施形態であり、近位端部分2812と、血管内配置のために構成され、かつ遠位先端2835を含む遠位端部分2811と、近位端部分2812と遠位端部分2811との間に連結される細長いシャフト2813とを含む。ペースメーカー2856は、電子回路2559、固体電池2558、およびペーシング電極2832A〜Bを含む可撓性ペースメーカー回路を含み、電子回路2559、固体電池2558、およびペーシング電極2832A〜Bの全ては、可撓性回路基板2557上に配置される。言い換えると、ペースメーカー2856は、可撓性回路基板上に形成されるペースメーカー2456およびペーシング電極2832A〜Bを含み、可撓性回路基板上において、ペーシング電極2832A〜Bは、ペースメーカー2456に電気的に接続される。
【0089】
PTVI装置2410、2610、2710、および2810は、例示目的のために上述されている。様々な実施形態において、ペースメーカー2456または2856等のペースメーカーおよび2つ以上のペーシング電極は、血管再生術中にペーシングパルスを送達するためにPTVI装置に一体化される。様々な実施形態において、ペースメーカーが一体化されるPTVI装置は、本書において論じられる任意のPTVI装置を含む。一実施形態において、内蔵のペースメーカーおよびペーシング電極を含むこのようなPTVI装置は、単回使用のために使い捨て装置として構築される。
【0090】
(例:シャフト上にペーシング電極を備える血管形成術カテーテル)
図29〜図33は、バルーンカテーテル等の血管形成術カテーテルのシャフト上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極の様々な例を図示する。バルーンが膨張させられる時等のその拡張状態においては、血管形成術カテーテルの遠位端部分における血管形成術装置は、血管におけるペーシング電極の位置を安定化させるための固定具として機能する。一実施形態において、1つ以上のペーシング電極(単数または複数)は、血管形成術カテーテルのシャフトに沿って変位可能である。このことは、例えば、梗塞領域の上流に、および梗塞領域から離れてペーシング部位(単数または複数)を設置することを可能にし、これによって、梗塞組織よりも伝導性ではないことが知られている正常組織にペーシングパルスを送達することによって心臓を捕捉することに必要なエネルギーが低下する。別の実施形態において、血管形成術カテーテルは、伝導性材料から作製される外殻を含み、外殻のうちの少なくとも一部分は、ペーシング電極として機能する。
【0091】
図29は、血管形成術カテーテル2910のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル2910は、近位端部分2912と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置2934および遠位先端2935を含む遠位端部分2911と、近位端部分2912と遠位端部分2911との間に連結される細長いシャフト2913とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、スリーブ2960は、シャフト2913の上に設置されている。ペーシング電極2932A〜Bは、スリーブ2960上に組み込まれ、導体2933A〜Bを介して近位端部分2912におけるコネクタ2916A〜Bに電気的に接続される。スリーブ2960は、第1のルーメン2961および第2のルーメン2962を含む。ルーメン2961は、シャフト2913の一部分を収容し、電極2932A〜Bを備えるスリーブ2960がシャフト2913の上を摺動することを可能にするように構成される。導体2933A〜Bは、各々、調整可能な長さを有し、シャフト2913に沿って変位することが可能であるか、またはそうでない場合は、シャフト2913の上のスリーブ2960の変位を可能にするように可撓性である。ルーメン2962は、シャフト2913に沿ってスリーブ2960を移動させるために、プッシュワイヤ2963を受容するように構成される。
【0092】
一実施形態において、血管形成術装置2934は、バルーンを含む。膨張させられると、バルーン2934は、ペーシング電極2932A〜Bの位置を安定化させるための固定具として機能する。例えば、バルーン2934の拡張後、電極2932A〜Bは、シャフト2913に沿ってスリーブ2960を摺動することによって設置される。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910は、シャフト2913の上で1つ以上のスリーブを摺動する。各スリーブは、1つ以上のペーシング電極を含む。
【0093】
図30は、スリーブ2960のある実施形態であるスリーブ3060のある実施形態の図であり、シャフト2913上に設置されるように構成される。スリーブ3060は、スリット3063、第1のルーメン3061、第2のルーメン3062、およびペーシング電極2932A〜Bを含む可撓性のC字型スリーブである。スリット3063は、スリーブ3060に沿って長手方向に延在し、スリーブ3060がシャフト2913上に押圧され、シャフト2913から剥離されることを可能にする。ルーメン3061は、シャフト2913の一部分を収容し、スリーブ3060がシャフト2913の一部分に沿って摺動することが可能になるように構成される。ルーメン3062は、スリーブ3060が押圧されてシャフト2913に沿って摺動することを可能にするプッシュワイヤを収容するように構成される。
【0094】
図31は、血管形成術カテーテル2910の別の実施形態である血管形成術カテーテル3110のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル3110は、近位端部分3112と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置2934および遠位先端3135を含む遠位端部分3111と、近位端部分3112と遠位端部分3111との間に連結される細長いシャフト3113とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、各々がステントとして構成されるペーシング電極3132A〜Bは、シャフト3113の上に設置され、導体3133A〜Bを介して近位端部分3112におけるコネクタ3116A〜Bに電気的に接続される。一実施形態において、ペーシング電極3132A〜Bは、各々、可撓性ステントとして構成される。一実施形態において、導体3133A〜Bは、各々、調整可能な長さを有し、シャフト3113に沿って変位することが可能であるか、またはそうでない場合は、シャフト3113の上のペーシング電極3132A〜Bの変位を可能にするように可撓性である。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル3110は、シャフト3113の上の1つ以上のステントとして構成される1つ以上のペーシング電極を含む。
【0095】
図32は、血管形成術カテーテル3210のある実施形態である。血管形成術カテーテル3210は、近位端部分3212と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置3234および遠位先端3235を含む遠位端部分3211と、近位端部分3212と遠位端部分3211との間に連結される細長いシャフト3213とを含むPTVI装置である。図示される実施形態において、シャフト3213は、ペーシング電極3232Aとして機能する伝導性部分を含む外殻3265を含む。ペーシング電極3232Aは、近位端部分3212におけるコネクタ3216Aに電気的に接続される。一実施形態において、外殻3265は、可撓性の金属管を含む。一実施形態において、ペーシング電極3232Aは、外殻3265のほぼ全体を含むか、または外殻3265の実質的な部分を含む。図示される実施形態において、血管形成術カテーテル3210は、血管形成術カテーテル3310のほぼ十分な長さを貫通する細長い伝導性内側部分3266も含む。内側部分3266は別のペーシング電極3232Bとして機能する暴露された伝導性遠位端を含む。ペーシング電極3232Bは、近位端部分3212におけるコネクタ3216Bに電気的に接続される。一実施形態において、内側部分3266は、可撓性の金属ワイヤである。別の実施形態において、内側部分3266は、可撓性の金属管である。一実施形態において、血管形成術装置3234は、バルーンを含む。内側部分3266は、バルーン3234の膨張および収縮を可能にするルーメンを備える可撓性の金属管である。膨張させられると、バルーン3234は、ペーシング電極3232A〜Bの位置を安定化させるための固定具として機能する。例えば、バルーン3234の拡張後、電極3232A〜Bは、シャフト3213に沿ってスリーブ3260を摺動することによって設置される。
【0096】
図33は、血管形成術カテーテル3210の別の実施形態である血管形成術カテーテル3310のある実施形態の図である。血管形成術カテーテル3310は、近位端部分3312と、血管内配置のために構成され、かつ血管形成術装置3234および遠位先端3335を含む遠位端部分3311と、近位端部分3312と遠位端部分3311との間に連結される細長いシャフト3313とを含むPTVI装置である。血管形成術カテーテル3310は、1つ以上のペーシング電極として機能する1つ以上の暴露範囲を残すように、絶縁材料によってコーティングされる外殻3365をシャフト3313が含むという点において、血管形成術カテーテル3210とは異なる。図示される実施形態において、外殻3365は、ペーシング電極3332Aとして機能する暴露範囲を残すように、絶縁材料でコーティングされ、ペーシング電極3332Aは、近位端部分3312におけるコネクタ3216Aに電気的に接続される。
【0097】
様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910、3110、3210、および3310の各々によって、バルーン等の拡張可能な血管形成術装置が拡張して固定具として機能した後に、血管に沿っておよび血管内において移動させることによって1つ以上のペーシング電極を設置することが可能になる。一用途では、1つ以上のペーシング電極は、ペーシングパルスのおよそ最小の振幅または幅に関連して、ペーシング部位(単数または複数)を設置すること等によって、必要とされるペーシングエネルギーに従って設置される。様々な実施形態において、血管形成術カテーテル2910、3110、3210、および3310の各々によって、カテーテルのバルーンの膨張および収縮による虚血性心臓保護療法と、カテーテルのペーシング電極のうちの1つ以上を介した心臓保護ペーシングの送達によるペーシング心臓保護療法との組み合わせを送達することが可能になる。
【0098】
(例:ステント電極を備えるペーシングカテーテル)
図34〜図37は、ステントとして構築されるか、またはステント上に組み込まれるペーシング電極の様々な例を図示する。ステントは、PTVIカテーテルに接続される。血管再生術中にペーシングパルスを送達するために使用された後、ステントは、PTVIカテーテルから切断されて患者にとどまるか、またはPTVIカテーテルとともに患者から除去される。様々な実施形態において、ペーシングパルスは、ペーシング電極と血管の血管壁との間の安定した電気接点のために、ステントが血管においてその拡張状態にある際に送達される。
【0099】
図34は、ペーシングカテーテル3410のある実施形態の図である。ペーシングカテーテル3410は、ステントカテーテル3410Aと、シース3410Cと、ガイドワイヤ3410Dとを含むPTVI装置アセンブリである。
【0100】
ステントカテーテル3410Aは、カテーテル近位端部分3412Aと、血管内配置のために構成され、かつステント3468を含むカテーテル遠位端部分3411Aと、近位端部分3412Aと遠位端部分3411Aとの間に連結される細長いカテーテルシャフト3413Aと、近位端部分3412Aと遠位端部分3411Aとの間のシャフト3413A内において延在するカテーテルルーメン3430Aとを含む。ステント3468は、ペーシング電極3432Aを含む。導体3433Aは、ペーシング電極3432Aを近位端部分3412Aにおけるコネクタ3416Aに電気的に連結する。図示される実施形態において、別のペーシング電極3432Bは、シャフト3413A上に組み込まれる。別の導体3433Bは、ペーシング電極3432Bを近位端部分3412Aにおけるコネクタ3416Bに電気的に接続する。
【0101】
シース3410Cは、シース近位端部分3412C、血管内配置のために構成されるシース遠位端部分3411C、近位端部分3412Cと遠位端部分3411Cとの間に連結される細長いシースシャフト3413C、および近位端部分3412Cと遠位端部分3411Cとの間のシャフト3413C内に延在するシースルーメン3430Cを含む。ルーメン3430Cは、ステントカテーテル3410Aの一部分を収容する直径を有し、シャフト3413Aおよび拘束状態のステント3468を含む。ルーメン3430Cは、遠位端部分3412Cに近位開口部3443Cと、遠位端部分3411Cに遠位開口部3442Cとを有する。一実施形態において、シース3410Cは、血管再生術に使用するガイドカテーテルである。図示される実施形態において、ペーシング電極3432Cは、遠位端部分3411C上に組み込まれる。導体3433Cは、ペーシング電極3432Cを近位端部分3412Cにおけるコネクタ3416Cに電気的に接続する。
【0102】
ガイドワイヤ3410Dは、ガイドワイヤ近位端部分3412Dと、ガイドワイヤ遠位先端3435Dを含むガイドワイヤ遠位端部分3411Dと、近位端部分3412Dと遠位端部分3411Dとの間に連結される細長いワイヤシャフト3413Dとを含む。図示される実施形態において、ペーシング電極3432Dは、遠位先端3435D上に組み込まれる。導体3433Dは、ペーシング電極3432Dを近位端部分3412Dにおけるコネクタ3416Dに電気的に接続する。
【0103】
一実施形態において、ステントカテーテル3410Aは、ステント送達カテーテルであり、ステント3468は、ペーシングパルスが血管再生術中に送達された後に血管に永久的に移植されるシャフト3413Aに、取り外し可能に接続される。別の実施形態において、ステントカテーテル3410Aは、血管再生術中のペーシングに専用であり、ステント3468は、ペーシング療法の完了後に血管から除去されるシャフト3413Aに取り外し不可能に接続される。
【0104】
一実施形態において、ステント3468は、ペーシング電極3432Aとして機能する金属メッシュを含む。別の実施形態において、ペーシング電極3432Aは、ステント3468のメッシュ上に取り付けられる電極である。
【0105】
様々な実施形態において、ステント3468は、シース3410Cおよび/またはステントカテーテル3410Aを押すことおよび引くことによって、拡張可能および収縮可能である。ステント3468は、近位方向に向かって(患者から離れるように)シース3410Cを引くことによって、および/または遠位方向に向かって(患者に向かって)ステントカテーテル3410Aを押すことによって、遠位開口部3442Cを通してルーメン3430Cから退出する。一実施形態において、ステント3468は、遠位開口部3442Cを通ってシース3410Cから退出する際に自己拡張することが可能である。また、ステント3468は、遠位方向に向かって(患者に向かって)にシース3410Cを押すことによって、および/または近位方向に向かって(患者から離れるように)ステントカテーテル3410Aを引くことによって、遠位開口部3442Cを通してルーメン3430C内に引き込むことが可能である。
【0106】
様々な実施形態において、ペーシングカテーテル3410は、ペーシング電極3432Aと、ペーシング電極3432B〜Dのうちの1つ以上とを含む。一実施形態において、以下の図35および36に図示するように、ステント3468は、2つのペーシング電極を含み、ペーシング電極3432B〜Dは選択的である。
【0107】
図35は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3510Aの遠位端部分3511Aのある実施形態の図である。遠位端部分3511Aは、ステント3568を含む。ペーシング電極3532A〜Bは、各々、ステント3568のメッシュ上に取り付けられ、カテーテルシャフト3513Aを貫通する導体3533A〜Bのうちの1つに接続される。
【0108】
図36は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3610Aの遠位端部分3611Aのある実施形態の図である。遠位端部分3611Aは、ステント3668を含む。ペーシング電極3632A〜Bは、各々、ステント3668のメッシュの一部分を含み、カテーテルシャフト3613Aを貫通する導体3633A〜Bのうちの1つに接続される。ペーシング電極3632A〜Bを形成する2つのメッシュ部分は、相互に電気的に絶縁される。
【0109】
図37は、ステントカテーテル3410Aの別の実施形態であるステントカテーテル3710Aの遠位端部分3711Aのある実施形態の図である。遠位端部分3711Aは、コネクタ3769を介してカテーテルシャフト3713Aに取り外し可能に接続されるステント3768を含む。ステント3768は、コネクタ3769を介してシャフト3713Aに接続されると、ペーシング電極3732Aとして機能することができ、また、ペーシング電極3732Aと、シャフト3713Aを貫通する導体3733Aとの間の電気接続も提供する。コネクタ3769は、血液に暴露されると、電解によって溶解可能である。一実施形態において、コネクタ3769は、血液に暴露されている間に、そこを通る電流を印加することによって溶解される。これにより、血管再生術中にペーシングパルスが送達された後に、ステント3768をシャフト3713Aから切断し、血管にとどまらせることが可能になる。
【0110】
PTVI装置および外部ペースメーカーの様々な例を含む上記の発明を実施するための形態は、例示的であって限定的ではないことを意図することを理解されたい。概して、心臓保護ペーシングは、心臓保護ペーシングプロトコルを実行することによってペーシングパルスを送達可能な任意の血管内装置およびペースメーカー上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を使用することによって、虚血に関連する心外傷を予防または軽減するために適用される。他の実施形態は、上記の説明を熟読および理解することによって当業者に明白になる。ゆえに、本発明の範囲は、このような請求項が権利を有する均等物の全体の範囲とともに、添付の請求項を参照して判断されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の血管再生中に使用するための経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置であって、該装置は、
近位端部分と、
該血管内に配置されるように構成される遠位端部分であって、血管形成装置を含む、遠位端部分と、
該近位端部分と該遠位端部分との間に連結される細長いシャフトと、
該シャフトの中または上の第1のペーシング電極であって、該第1のペーシング電極は、該シャフトの伝導性部分を含むか、または該シャフトの一部分に沿って変位可能である、第1のペーシング電極と
を備える、装置。
【請求項2】
前記シャフトの上に1つ以上のペーシング電極を備え、該1つ以上のペーシング電極は、前記第1のペーシング電極を含み、該シャフトの前記一部分に沿って変位可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シャフトの上にスリーブを備え、該スリーブは、該シャフトの前記一部分に沿って変位可能であるように構成され、前記1つ以上の電極は、該スリーブ上に組み込まれる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スリーブは、該スリーブが前記シャフト上に押され、該シャフトから剥離されることを可能にするように設置されるスリットを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スリーブは、
前記シャフトの前記一部分を収容するように構成される第1のルーメンと、
該シャフトの該一部分の上を摺動するように該スリーブが押されることを可能にするプッシュワイヤを受容するように構成される第2のルーメンと
を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のペーシング電極は、各々、前記シャフトの上の可撓性ステントであるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記シャフトは、該シャフトの前記伝導性部分を含む外殻を備え、該シャフトの該伝導性部分を含む前記第1のペーシング電極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記外殻は、可撓性金属管を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記外殻は、前記第1のペーシング電極として機能する1つ以上の暴露領域を含む絶縁層によって被覆される、請求項7および8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記シャフト内において延在し、前記PTVI装置の前記遠位端部分において暴露部分を含む細長い伝導性内側部分を備え、該暴露部分は、第2のペーシング電極として機能する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記細長い伝導性内側部分は、可撓性金属ワイヤまたは管を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記血管形成装置は、バルーンを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
血管の血管再生中の心臓保護ペーシングのための方法であって、該方法は、
経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置上に組み込まれる第1のペーシング電極を介してペーシングパルスを送達することであって、該PTVI装置は、近位端部分と、該血管内に配置されるように構成され、拡張可能な血管形成装置を含む遠位端部分と、該近位端部分と該遠位端部分との間に連結される細長いシャフトとを含み、該第1のペーシング電極は、該シャフトの一部分に沿って変位可能であるか、または該細長いシャフトの伝導性部分を含む、ことを含む、方法。
【請求項14】
前記PTVI装置上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して前記ペーシングパルスを送達することであって、前記1つ以上の電極は、該第1のペーシング電極を含み、前記シャフトの前記一部分に沿って変位可能である、ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することと、
該拡張可能な血管形成装置が拡張された後に、前記シャフトに沿って前記1つ以上のペーシング電極を摺動させることによって、該1つ以上のペーシング電極を設置することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することは、バルーンを膨張させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ペーシングパルスを送達することは、前記シャフトの前記一部分の上に配置されるスリーブ上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シャフトに沿って前記1つ以上のペーシング電極を摺動させることは、
プッシュワイヤを前記スリーブのルーメン内に挿入することと、
該シャフトの上を摺動するように該スリーブを押すことと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ペーシングパルスを送達することは、各々が前記シャフトの上の可撓性ステントであるように構成される1つ以上のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフトの前記伝導性部分を含む前記第1のペーシング電極を介して前記ペーシングパルスを送達することであって、該伝導性部分は、該シャフトの外殻の一部分である、ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記ペーシングパルスを送達することは、前記PTVI装置の前記遠位端部分における第2のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含み、該第2のペーシング電極は、該PTVI装置の前記シャフト内において延在する細長い伝導性内側部分の暴露部分を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することと、
該拡張可能な血管形成装置が拡張された後に、前記ペーシングパルスを送達することと
を含む、請求項20および21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することは、バルーンを膨張させることを含む、請求項15および22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ペーシングパルスを送達することは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間を各々が含む1つ以上の心臓保護ペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルを実行することを含み、該ペーシング期間は、各々、複数の該ペーシングパルスがその間に送達されるペーシング持続時間を有し、該非ペーシング期間は、各々、該ペーシングパルスがその間に送達されない非ペーシング持続時間を有する、請求項13〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
血管の血管再生中に使用するための経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置であって、該装置は、
近位端部分と、
該血管内に配置されるように構成される遠位端部分であって、血管形成装置を含む、遠位端部分と、
該近位端部分と該遠位端部分との間に連結される細長いシャフトと、
該シャフトの中または上の第1のペーシング電極であって、該第1のペーシング電極は、該シャフトの伝導性部分を含むか、または該シャフトの一部分に沿って変位可能である、第1のペーシング電極と
を備える、装置。
【請求項2】
前記シャフトの上に1つ以上のペーシング電極を備え、該1つ以上のペーシング電極は、前記第1のペーシング電極を含み、該シャフトの前記一部分に沿って変位可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シャフトの上にスリーブを備え、該スリーブは、該シャフトの前記一部分に沿って変位可能であるように構成され、前記1つ以上の電極は、該スリーブ上に組み込まれる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スリーブは、該スリーブが前記シャフト上に押され、該シャフトから剥離されることを可能にするように設置されるスリットを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スリーブは、
前記シャフトの前記一部分を収容するように構成される第1のルーメンと、
該シャフトの該一部分の上を摺動するように該スリーブが押されることを可能にするプッシュワイヤを受容するように構成される第2のルーメンと
を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のペーシング電極は、各々、前記シャフトの上の可撓性ステントであるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記シャフトは、該シャフトの前記伝導性部分を含む外殻を備え、該シャフトの該伝導性部分を含む前記第1のペーシング電極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記外殻は、可撓性金属管を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記外殻は、前記第1のペーシング電極として機能する1つ以上の暴露領域を含む絶縁層によって被覆される、請求項7および8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記シャフト内において延在し、前記PTVI装置の前記遠位端部分において暴露部分を含む細長い伝導性内側部分を備え、該暴露部分は、第2のペーシング電極として機能する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記細長い伝導性内側部分は、可撓性金属ワイヤまたは管を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記血管形成装置は、バルーンを備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
血管の血管再生中の心臓保護ペーシングのための方法であって、該方法は、
経皮経管血管インターベンション(PTVI)装置上に組み込まれる第1のペーシング電極を介してペーシングパルスを送達することであって、該PTVI装置は、近位端部分と、該血管内に配置されるように構成され、拡張可能な血管形成装置を含む遠位端部分と、該近位端部分と該遠位端部分との間に連結される細長いシャフトとを含み、該第1のペーシング電極は、該シャフトの一部分に沿って変位可能であるか、または該細長いシャフトの伝導性部分を含む、ことを含む、方法。
【請求項14】
前記PTVI装置上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して前記ペーシングパルスを送達することであって、前記1つ以上の電極は、該第1のペーシング電極を含み、前記シャフトの前記一部分に沿って変位可能である、ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することと、
該拡張可能な血管形成装置が拡張された後に、前記シャフトに沿って前記1つ以上のペーシング電極を摺動させることによって、該1つ以上のペーシング電極を設置することと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することは、バルーンを膨張させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ペーシングパルスを送達することは、前記シャフトの前記一部分の上に配置されるスリーブ上に組み込まれる1つ以上のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記シャフトに沿って前記1つ以上のペーシング電極を摺動させることは、
プッシュワイヤを前記スリーブのルーメン内に挿入することと、
該シャフトの上を摺動するように該スリーブを押すことと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ペーシングパルスを送達することは、各々が前記シャフトの上の可撓性ステントであるように構成される1つ以上のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフトの前記伝導性部分を含む前記第1のペーシング電極を介して前記ペーシングパルスを送達することであって、該伝導性部分は、該シャフトの外殻の一部分である、ことを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記ペーシングパルスを送達することは、前記PTVI装置の前記遠位端部分における第2のペーシング電極を介して該ペーシングパルスを送達することを含み、該第2のペーシング電極は、該PTVI装置の前記シャフト内において延在する細長い伝導性内側部分の暴露部分を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することと、
該拡張可能な血管形成装置が拡張された後に、前記ペーシングパルスを送達することと
を含む、請求項20および21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記拡張可能な血管形成装置を拡張することは、バルーンを膨張させることを含む、請求項15および22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ペーシングパルスを送達することは、交互のペーシング期間および非ペーシング期間を各々が含む1つ以上の心臓保護ペーシングシーケンスを特定する心臓保護ペーシングプロトコルを実行することを含み、該ペーシング期間は、各々、複数の該ペーシングパルスがその間に送達されるペーシング持続時間を有し、該非ペーシング期間は、各々、該ペーシングパルスがその間に送達されない非ペーシング持続時間を有する、請求項13〜23のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公表番号】特表2011−524786(P2011−524786A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514590(P2011−514590)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/003575
【国際公開番号】WO2009/154718
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/003575
【国際公開番号】WO2009/154718
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
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