ショッピングカート及びショッピングシステム
【課題】ショッピングカートにおいて、商品データとして取得した商品と、実際に収容されている商品とを一致させる。
【解決手段】ショッピングカート1は、各商品に付されたICタグから商品データを読み取るICタグリーダ12を備えるとともに、収容カゴ21に収容された商品を計量する計量部13を備えている。各商品の商品データには、当該商品の重量が含まれている。収容カゴ21に商品が出し入れされると、計量部13に計量された実総重量が変化する。この際、この変化後の実総重量と、ICタグリーダ12によって読み取られた商品データに基づいて導出される演算総重量とが照合される。これらの一致に基づいて、商品データとして取得した商品と、実際に収容されている商品とが一致していることが判断される。
【解決手段】ショッピングカート1は、各商品に付されたICタグから商品データを読み取るICタグリーダ12を備えるとともに、収容カゴ21に収容された商品を計量する計量部13を備えている。各商品の商品データには、当該商品の重量が含まれている。収容カゴ21に商品が出し入れされると、計量部13に計量された実総重量が変化する。この際、この変化後の実総重量と、ICタグリーダ12によって読み取られた商品データに基づいて導出される演算総重量とが照合される。これらの一致に基づいて、商品データとして取得した商品と、実際に収容されている商品とが一致していることが判断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗において販売前の商品を運搬するためのショッピングカートを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗においては、顧客が購入の対象とする商品を運搬するためにショッピングカートが利用される。近年、このようなショッピングカートにICタグリーダを設けるとともに、商品データを記録した記録素子であるICタグ(RFIDタグ)を各商品に付すことで、ショッピングカートに収容された商品の商品データをショッピングカートに取得させることが提案されている。これにより、例えば、ショッピングカートに表示パネルを設け、収容された商品の合計金額を表示パネルに表示すれば、商品の販売前にその合計金額を顧客に提示できることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3604578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ICタグリーダは、通信可能領域に存在するICタグの情報を非接触にて読み取ることが可能であるが、その読み取り性能は確実ではなく、ICタグが付された商品が通信可能領域に存在していたとしても読み取りエラーが生じることがある。特に、ICタグの読み取りに用いる電波は水分の影響を受けるため、商品が水分の多い食品などの場合は、読み取りエラーが発生する可能性が高くなる。
【0005】
このような読み取りエラーが発生すると、ショッピングカートに商品データとして取得された商品と、実際にショッピングカートに収容されている商品とに不一致が生じる可能性がある。このため、例えば、商品の販売前にその合計金額を顧客に提示できたとしても、その合計金額が不正確となってしまい種々のトラブルが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、商品データとして取得された商品と、実際に収容されている商品とが一致しているかを判断できるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、店舗において販売前の商品を収容部に収容しつつ運搬するためのショッピングカートであって、前記収容部内を読み取り対象とし、前記商品に付された電磁的な記録素子から、当該商品の重量を含む商品データを非接触にて読み取る読取手段と、前記収容部に収容された前記商品を計量して、前記商品の実総重量を取得する計量手段と、前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて導出される前記商品の演算総重量と、前記実総重量とが一致するか否かを照合する照合手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のショッピングカートにおいて、前記照合手段の照合により、前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、その旨をユーザに報知する報知手段、をさらに備えている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のショッピングカートにおいて、前記照合手段は、少なくとも前記実総重量が変化した場合に、前記演算総重量と前記実総重量との照合を行う。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のショッピングカートにおいて、前記実総重量が増加した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないとき、直近に収容した商品を前記読取手段の近傍に配置すべき旨を表示する表示手段、をさらに備えている。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3または4に記載のショッピングカートにおいて、前記読取手段により取得された前記商品データを各レコードとするテーブルデータを記憶する記憶手段と、前記実総重量が減少した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、取り出した商品の候補を示す商品データを前記テーブルデータから抽出する抽出手段と、抽出された商品データのうちから選択をユーザから受け付ける受付手段と、選択された商品データを前記テーブルデータから削除する削除手段と、をさらに備えている。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、をさらに備え、前記計量手段は、前記ショッピングカートの停止に応答して計量し、前記実総重量を取得する。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、をさらに備え、前記計量手段は、前記ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を前記実総重量として取得する。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記商品データは、商品の売価を含むものであり、前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて、前記収容部に収容された前記商品の合計売価を導出する導出手段、をさらに備えている。
【0015】
また、請求項9の発明は、店舗における商品の販売に利用されるショッピングシステムであって、請求項8に記載のショッピングカートと、前記ショッピングカートから前記合計売価を無線通信により取得し、該合計売価に基づいて決済を行う決済装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし8の発明によれば、演算総重量と実総重量との照合により、商品データとして取得された商品と、実際に収容部に収容されている商品とが一致しているかを判断できる。このような判断は、ショッピングカートに商品を入れた場合と、ショッピングカートから商品を取り出した場合との双方ともに可能である。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、商品データとして取得された商品と、実際に収容部に収容されている商品とが一致していないことをユーザに知らせることができる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、ショッピングカートに商品を出し入れした際に、その出し入れに係る商品の商品データが、正常に処理されていない旨をユーザに知らせることができる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、ショッピングカートに商品を入れた場合に、商品の商品データが読み取られない場合でも、正常に読取手段に読み取らせることができる。
【0020】
また、特に請求項5の発明によれば、ショッピングカートから商品を出した場合に、その商品をユーザにより特定することができる。
【0021】
また、特に請求項6の発明によれば、ショッピングカートの停止に応答して計量するため、実総重量を正確に得ることができる。
【0022】
また、特に請求項7の発明によれば、ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を実総重量とするため、ショッピングカートが移動していたとしても、実総重量を正確に得ることができる。
【0023】
また、特に請求項8の発明によれば、予め商品の合計売価を導出することができる。
【0024】
また、請求項9の発明によれば、ショッピングカート側で予め導出された正確な合計金額に基づいて決済を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において「電磁的な記録」とは、電気的及び磁気的に記録することのみならず、電磁波としての光を用いて読み書き可能な記録を含む概念である。
【0026】
<1.システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るショッピングカート1を利用したショッピングシステム100の概略構成を示す図である。このショッピングシステム100は、スーパーマーケットである店舗9において採用されている。ショッピングシステム100は、顧客8が利用する複数のショッピングカート1と、商品の売買取引の決済を行うための複数の決済装置3と、システム全体を統括的に管理するホストコンピュータ4とを備えて構成される。複数の決済装置3とホストコンピュータ4とは有線の通信ケーブル41にて通信可能に接続されている。
【0027】
図に示すように、店舗9の内部スペースは、商品を陳列するための複数の商品棚94が配置された陳列スペース92と、商品の精算処理を行うための精算スペース93とに大別される。ショッピングカート1は、顧客8が自由に動かして利用するものであり、利用されていないときは店舗9の出入口91付近に置かれる。一方、複数の決済装置3は、精算スペース93に並列に固定配置され、複数の決済装置3の相互間、あるいは、決済装置3とパーティション95との間において、精算処理の際に顧客8が通過する精算用通路96が形成されている。
【0028】
この店舗9を利用する顧客8は、入店後まず、出入口91付近のショッピングカート1を1つ取り出し、陳列スペース92をまわりながらそのショッピングカート1に所望の商品を収容していく。そして、顧客8は、ショッピングカート1に購入を希望する全ての商品を収容した後、ショッピングカート1を精算スペース93まで動かし、決済装置3を利用してその商品の売買取引の決済を行う。店舗9では、顧客8が自ら決済装置3を取り扱うセルフチェックアウト方式が採用されており、決済が正常に完了すると、精算用通路96を開閉する通路バー31が開放されるようになっている。
【0029】
<2.ショッピングカートの構成>
次に、ショッピングカート1の構成について説明する。図2は、ショッピングカート1の外観構成を示す図である。図に示すように、ショッピングカート1は、商品を収容する収容カゴ21と、自由に方向を変更可能な車輪である4つのキャスター22と、ユーザたる顧客8が把持しつつ操作するためのハンドル23とを備えて構成されている。
【0030】
ショッピングカート1は、このような一般的なショッピングカートの基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、ハンドル23の前方には、顧客8に各種の情報を示すための表示パネル111を備えたコンソール部11が設けられている。この表示パネル111は、タッチパネルとして機能を有し、各種のユーザ操作を受け付けることが可能である。
【0031】
また、収容カゴ21の手前側(顧客8が操作する側)には、ICタグ(RFIDタグ)の情報を読み取るICタグリーダ12が設けられる。そして、収容カゴ21の下部には、収容カゴ21に収容された商品の重量を計量するロードセルなどで構成される計量部13が設けられる。さらに、4つのキャスター22の車軸には、それぞれキャスター22の回転を検出するダイナモなどの回転検出器14が設けられている。この回転検出器14は、ショッピングカート1の移動を検出することになる。
【0032】
本実施の形態の店舗9においては、販売する全ての商品に、当該商品に係る商品データを記録した電磁的な記録素子であるICタグ(RFIDタグ)が付されている。ICタグリーダ12は、収容カゴ21の内部を読み取り対象とし、収容カゴ21に収容された商品のそれぞれに付されたICタグの情報を非接触にて読み取ることになる。収容カゴ21に複数の商品が存在していたとしても、ICタグリーダ12は、それら商品のICタグの情報を一括して読み取ることが可能である。なお、収容カゴ21の外部に存在するICタグの読み取りを防止するため、収容カゴ21の周面はICタグリーダ12が利用する電波を遮断する材質(金属の薄板材など)で構成することが好ましい。
【0033】
また、コンソール部11の内部には、ショッピングカート1の電気的な構成要素を統括的に制御する制御部が設けられている。図3は、このような制御部10を含むショッピングカート1の電気的な構成要素を模式的に示すブロック図である。
【0034】
制御部10は、各種演算処理を行うCPU101、プログラム等を記憶するROM102、演算処理の作業領域となるRAM103、及び、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM104等を備えている。制御部10の各種機能は、ROM102内に予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPU101が演算処理を行うことにより実現される。
【0035】
コンソール部11は、この制御部10及び上述した表示パネル111の他、動作の開始を指示するための開始ボタン112と、決済装置3と無線にてデータ通信を行うための無線通信部114とを備えている。これら表示パネル111、開始ボタン112及び無線通信部114は、バスライン109を介して制御部10に電気的に接続されている。また、バスライン109にはインタフェース113が設けられ、このインタフェース113を介して、タグリーダ12、計量部13及び回転検出器14も制御部10に電気的に接続される。このような構成により、ショッピングカート1の電気的な各構成要素は制御部10の制御下で動作するとともに、タグリーダ12、計量部13及び回転検出器14等で取得された情報は制御部10に入力されることになる。
【0036】
<3.決済装置の構成>
次に、決済装置3の構成について説明する。図4は、決済装置3の構成を模式的に示すブロック図である。
【0037】
図に示すように、決済装置3は、装置全体を制御する制御部30を備えている。制御部30は、各種演算処理を行うCPU301、プログラム等を記憶するROM302、演算処理の作業領域となるRAM303、及び、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304等を備えている。制御部30の各種機能は、ROM302内に予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPU301が演算処理を行うことにより実現される。
【0038】
また、決済装置3は、上述した通路バー31の他、顧客8に各種情報を表示する表示パネル32、ショッピングカート1と無線にてデータ通信を行うための無線通信部33、ホストコンピュータ4と有線にてデータ通信を行うための有線通信部34、現金を出し入れするための現金出納部35、クレジットカードの磁気情報を読み取るクレジットカードリーダ36、及び、電子マネー機能を有するICカードから金額情報を読み取るICカードリーダ37等を備えている。表示パネル32は、タッチパネルとして機能を有し、各種のユーザ操作を受け付けることが可能である。
【0039】
これらの各部は、バスライン309を介して制御部30に電気的に接続されている。このような構成により、決済装置3の各部は制御部30の制御下で動作するとともに、ICカードリーダ37等の各部等で取得された情報は制御部10に入力されることになる。
【0040】
<4.商品テーブル>
本実施の形態のショッピングカート1では、収容カゴ21に収容されている各商品のICタグから商品データが取得され、その商品データに基づいて商品テーブルがCPU101により作成され、RAM103に記憶されるようになっている。
【0041】
図5は、ショッピングカート1のRAM103に記憶された商品テーブルTの一例を示す図である。図に示すように、商品テーブルTは、テーブル形式のテーブルデータであり、一の商品に係る商品データは、一のレコード(テーブルの行に相当)Rとして含まれている。
【0042】
各商品データ(すなわち、各レコードR)には、商品の識別コードである「商品コード」、商品の名称である「商品名」、商品の重さ(内容物のみでなく包装容器を含めた重さ)を示す「重量」、及び、商品の販売価格である「売価」などのデータ項目に対応する情報が含まれている。これらの情報は、店舗9において販売に供される各商品のICタグに予め記録される。これらのデータ項目は、商品テーブルTにおいてはフィールド(テーブルの列に相当)Fとして表現される。
【0043】
このような商品テーブルTは、その時点において収容カゴ21に収容されている全商品のリストとなる。したがって、商品テーブルTの「売価」フィールドの合計値は、それら全商品の合計売価となる。この合計売価は、CPU101により導出され、表示パネル111に表示される。これにより、ショッピングカート1のユーザたる顧客8は、精算処理の前に合計売価を参照することができ、予算に合わせて購入を希望する商品を選択できるようになっている。
【0044】
商品テーブルTは、ICタグリーダ12で得られた商品データに基づいて作成される。しかしながら、ICタグリーダ12の情報のみによって商品テーブルTを作成すると、ICタグリーダ12において読み取りエラーが発生した場合には、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とが不一致となるおそれがある。このため、本実施の形態のショッピングカート1では、商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値と、計量部13で実際に計量された全商品の重量との照合により、商品テーブルTが示す商品の正当性を保つようになっている。なお以下、計量部13で実際に計量される全商品の重量を「実総重量」という。
【0045】
<5.ショッピングカートの基本動作>
以下、このような重量の照合を含むショッピングカート1の動作について説明する。図6は、ショッピングカート1の一の顧客8に係る動作の基本的な流れを示す図である。ショッピングカート1は、顧客8による開始ボタン112の押下に応答して、図6に示す動作を行うことになる。
【0046】
開始ボタン112が押下されると、まず、初期化処理がなされる。この初期化処理では、ICタグリーダ12の読み取りにより収容カゴ21内に商品が存在していないことが確認され、また、計量部13によるゼロ調整がなされる(その時点の重量が風袋とされる)(ステップS11)。
【0047】
そして、以降、計量部13による計量値が変化するか否か、すなわち、実総重量が変化するか否かが、CPU101により監視される(ステップS12)。ただし、ショッピングカート1が移動している場合は、振動が発生するために、計量部13において正確な計量を行うことはできない。このため、計量部13の計量に際しては、回転検出器14によってショッピングカート1の移動が検出され、ショッピングカート1の停止(4つのキャスター22の全てが回転していないこと)が確認されると、これに応答して計量部13による計量が行われることになる。このような実総重量の監視は、精算処理の開始を指示する精算信号を受信するまで繰り返される(ステップS16にてNoの間)。
【0048】
実総重量は収容カゴ21に実際の存在している全商品の総重量であるため、収容カゴ21に商品を入れた場合は実総重量は必ず増加し、他方で、収容カゴ21から商品を出した場合は実総重量は必ず減少する。このため、実総重量の変化を監視することは、収容カゴ21に係る商品の出し入れを監視することに実質的に相当する。
【0049】
また、商品の出し入れが発生した場合は、商品テーブルTの内容を更新する必要がある。このため、もし実総重量が増加した場合は(ステップS12にてYes,ステップS13にてYes)、それに合わせて商品テーブルTに商品データを追加する増加処理がなされ(ステップS14)、他方、実総重量が減少した場合は(ステップS12にてYes,ステップS13にてNo)、それに合わせて商品テーブルTから商品データを削除する減少処理がなされることになる(ステップS15)。
【0050】
これにより、顧客8の収容カゴ21に係る商品の出し入れに合わせて、増加処理(ステップS14)や減少処理(ステップS15)が繰り返されることになる。そして、ショッピングカート1が精算スペース93の精算用通路96まで運ばれると、無線通信部114が隣接する決済装置3から精算信号を受信する。ショッピングカート1は、この精算信号の受信に応答して(ステップS16にてNo)、決済装置3と協働して精算処理(ステップS17)を行うことになる。精算処理が完了すると、ショッピングカート1の一の顧客に係る動作は終了することになる。
【0051】
以下、このような増加処理(ステップS14)、減少処理(ステップS15)及び精算処理(ステップS17)のそれぞれについて詳細に説明する。
【0052】
<6.増加処理>
まず、収容カゴ21へ商品を入れ、実総重量が増加したときに商品テーブルTの内容を更新する増加処理(ステップS14)について説明する。図7は、増加処理の流れを示す図である。
【0053】
増加処理においては、まず、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる(ステップS21)。これにより、収容カゴ21に複数の商品が存在していた場合は、複数の商品データが得られることになる。そして、取得された商品データのうち、その時点における商品テーブルTのレコードに存在しないものがあった場合は、その商品データが商品テーブルTのレコードとして追加される(ステップS22)。
【0054】
次に、商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値が、CPU101により導出される。導出された値は、演算によって得られた、収容カゴ21内に存在する全ての商品についての総重量であるため、以下「演算総重量」という。そして、この演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS23)。なお、商品の重量は、結露や乾燥等によりある程度は変化するものであるため、この照合における「一致」とは、必ずしも厳密な意味での一致でなくてよく、ある程度(例えば、±10g程度)の許容幅を持たせた「略一致」であればよい。
【0055】
このとき、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS23にてYes)、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とが一致していることになる。このため、続いて、商品テーブルTの「売価」フィールドに基づいて新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示されると、増加処理が終了する。
【0056】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS23にてNo)、読み取りエラーにより、収容カゴ21に直近に入れた商品の商品データが取得されなかったことになる。このため、その旨を顧客8に報知する警告表示が表示パネル111においてなされる(ステップS24)。
【0057】
図8は、警告表示がなされた表示パネル111の画面を示す図である。図に示すように、表示パネル111には、収容カゴ21に直近に収容した商品を特定できなかった旨が表示されるととともに、直近に収容した商品をICタグリーダ12が存在する位置の近傍(顧客8にとっての手前側)に配置すべき旨が表示される。この指示に従ってICタグリーダ12の近傍に商品が配置されると、ICタグリーダ12は当該商品のICタグを正常に読み取ることができるため、読み取りエラーが解消されることになる。
【0058】
このような警告表示がなされると、処理は図7のステップS21に戻り、再び、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる。そして上記と同様にして、商品テーブルTの更新がなされ(ステップS23)、演算総重量と実総重量とが照合されることになる(ステップS23)。以降、演算総重量と実総重量とが一致するまで同様の処理が繰り返され、演算総重量と実総重量とが一致すると合計売価が表示パネル111に表示されて(ステップS25)増加処理が終了する。
【0059】
このように増加処理においては、収容カゴ21へ入れた商品についてICタグの読み取りエラーが発生したとしても警告表示を行うことで、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができることになる。
【0060】
<7.減少処理>
次に、収容カゴ21から商品を出し、実総重量が減少したときに商品テーブルTの内容を更新する減少処理(図6:ステップS15)について説明する。図9は、減少処理の流れを示す図である。
【0061】
減少処理においても、まず、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる(ステップS31)。次に、このとき取得された商品データに基づいて、商品テーブルTと同様のテーブルデータが、商品テーブルTとは別に作成される。このテーブルデータは、その時点において得られた商品データに基づいて作成されるものであるため「現在テーブル」と呼ぶ(ステップS32)。
【0062】
次に、現在テーブルの「重量」フィールドの合計値が「演算総重量」としてCPU101により導出される。そして、この演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS33)。
【0063】
このとき、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS23にてYes)、ステップS31の読み取りにおいて、収容カゴ21に収容されている全ての商品の商品データの読み取りが正常にできたことになる。
【0064】
この場合は、商品テーブルTには存在するが、現在テーブルには存在しない商品データに係る商品が、収容カゴ21から取り出されたことになる。このため、商品テーブルTと現在テーブルとが比較され、現在テーブルに存在しない商品データが、商品テーブルTから削除される(ステップS34)。なお、この処理は、現在テーブルをそのまま商品テーブルTとする処理にも実質的に相当する。
【0065】
これにより、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができたため、続いて、商品テーブルTの「売価」フィールドに基づいて新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了する。
【0066】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS33にてNo)、ステップS31の読み取りにおいて、読み取りエラーが生じ、収容カゴ21に収容されている商品の少なくとも一部の商品データの読み取りが正常になされなかったことになる。
【0067】
このため、次に、取り出された商品の候補を示す商品データが、商品テーブルTに商品データのうちからCPU101により抽出される。取り出された商品の商品データは、商品テーブルTには存在するが、現在テーブルには存在しないはずである。このため、商品テーブルTと現在テーブルとが比較され、現在テーブルに存在しない商品データが抽出される。
【0068】
また、減少処理の開始に際して実総重量が減少しているが、この実総重量の減少量(実総重量の変化前と、変化後との差分値)よりも、重量が大きい商品が取り出されたはずはない。このため、実総重量の減少量を、抽出のための「基準重量」として、さらに、商品データが絞り込まれる。より具体的には、抽出された商品データの「重量」フィールドが参照されて、その商品データのうちから「基準重量」よりも重量が小さい商品に係る商品データのみがさらに抽出される。なお、前述のように商品の重量は変化するため、この抽出処理においても、「基準重量」についてある程度(例えば、+5g程度)の許容幅を持たせることが好ましい。
【0069】
そして、抽出された商品データのうちから、実際に顧客8が取り出した商品に係る商品データを顧客8に特定させるため、抽出された商品データが表示パネル111に表示される(ステップS35)。図10は、このような表示がなされた表示パネル111の画面を示す図である。図に示すように、表示パネル111には、収容カゴ21から取り出した商品を特定できなかった旨が表示される。これとともに表示パネル111には、取り出された商品の候補に係る商品データがそれぞれコマンドボタンCとして表示され、それらのうちから商品データを選択するように顧客8に指示する旨の表示がなされる。この際に、「基準重量」に近い重量を示す商品データが上位となるようにソートして表示することが好ましい。
【0070】
顧客8は、このような表示パネル111のコマンドボタンCに触れることで、取り出した商品に対応する商品データを選択する。商品データが選択されると、その選択がCPU101に受け付けられ(ステップS36)、選択された商品データが商品テーブルTから削除される(ステップS37)。
【0071】
このようにして商品データが商品テーブルTから削除されると、次に、その商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値が「演算総重量」としてCPU101により導出され、その演算総重量と実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS38)。
【0072】
この照合により、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS38にてYes)、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができたため、続いて、新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了する。
【0073】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS38にてYes)、処理はステップS35に戻り、再び、取り出された商品の候補を示す商品データが抽出されて、その商品データが表示パネル111に表示される(ステップS35)。この際、「基準重量」については、先に顧客8に選択された商品データの重量に基づいて修正される。
【0074】
具体的に説明すると、例えば、減少処理の開始に際しての「基準重量」が「300g」である場合に、図10に示すような画面が表示されたと想定する。この際に、最上位の「300g」の商品データが顧客8に選択された場合においては、この商品データが商品テーブルTから削除されるため、演算総重量と実総重量とが一致することになる。しかしながら、2番目の「186g」の商品データが選択された場合にあっては、この商品データが商品テーブルTから削除されても演算総重量と実総重量とは一致しない。したがってこの場合は、取り出された商品の候補を示す商品データが再び抽出されるが、この際、当初の「基準重量」の「300g」から、選択された商品データの「186g」が減算され、「基準重量」が新たに「114g」であるとされる。このため、図10に示す最下位の「114g」の商品データのみが抽出されることになる。
【0075】
このような処理により、最終的に、演算総重量と実総重量とが一致すると(図9:ステップS38にてYes)、新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了することになる。
【0076】
このように減少処理においては、収容カゴ21から取り出した商品を自動的に特定できなかったとしても、その商品を顧客8に特定させることで、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができることになる。
【0077】
<8.精算処理>
次に、精算処理(図6:ステップS17)について説明する。図11は、精算処理の流れを示す図である。前述のように、精算処理はショッピングカート1と決済装置3とが協働して行う処理であり、図11において左側の処理の流れはショッピングカート1の処理を示し、右側の処理の流れは決済装置3の処理を示している。
【0078】
まず、上述した増加処理や減少処理により導出された合計売価が、ショッピングカート1の無線通信部114から、電波を利用した無線通信により決済装置3に送信される(ステップS41)。この合計売価は決済装置3の無線通信部33に受信され(ステップS51)、表示パネル32に表示される(ステップS52)。
【0079】
顧客8は、このような表示パネル32における合計売価の表示を参照し、決済装置3を利用して売買取引の決済を行う。この際、顧客8は、現金を用いた現金決済の他、クレジットカードを用いたカード決済や、電子マネー機能を有するICカードを利用した電子決済を行うことも可能である。現金決済では現金出納部35、カード決済ではクレジットカードリーダ36、電子決済ではICカードリーダがそれぞれ利用される。
【0080】
決済が正常に完了すると(ステップS53にてYes)、その旨を示す決済完了信号が決済装置3の無線通信部33から、電波を利用した無線通信によりショッピングカート1に送信される(ステップS54)。これとともに、通路バー31が動作して、顧客8が通過可能に精算用通路96が開放される(ステップS55)。
【0081】
また、決済完了信号は、ショッピングカート1の無線通信部114に受信される(ステップS42)。ショッピングカート1のCPU101はこれに応答して、RAM103に記憶された商品テーブルTなどのデータを消去する(ステップS43)。これにより、当該顧客8に係る個人情報の漏洩が防止されることになる。
【0082】
以上のように、本実施の形態のショッピングカート1では、商品テーブルTや現在テーブルから得られる演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とを照合することにより、商品データとして取得された商品と、実際に収容されている商品とが一致しているかを判断できる。このような判断は、ショッピングカート1に商品を入れた場合と、ショッピングカート1から商品を取り出した場合との双方ともに可能である。したがって、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを常時に一致させることができることになる。
【0083】
また、商品テーブルTにおける商品データの正当性が担保されるため、商品テーブルTに基づいて正確な合計売価を導出することができる。したがって、その正確な合計売価によって売買取引の決済を行うことができるため、顧客8が自ら決済を行うセルフチェックアウト方式を容易に採用することが可能である。
【0084】
<9.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0085】
上記実施の形態では、ショッピングカート1の停止を確認してから計量部13による計量が行われていたが、実際には、顧客8がショッピングカート1を動かしながら商品を出し入れする可能性もある。このため、ショッピングカート1の移動中において、所定の時間周期で繰り返して計量部13において計量を行い、直近に得られた所定回数の計量結果の平均値を実総重量とするようにしてもよい。これによれば、ショッピングカートが移動して振動を伴う場合であっても、ほぼ正確な実総重量を得ることができる。なお、この場合でも、ショッピングカート1が停止したときには、その停止に応答して計量部13が計量を行い、確実に正確な実総重量を取得することが望ましい。
【0086】
また、ショッピングカート1は、ICタグリーダ12の他に、さらに、バーコード(二次元コードも含む)を読み取るバーコード読取装置を備えていてもよい。この場合は、例えば、商品に付されたICタグそのものが物理的に故障していた場合などにおいても、バーコード読取装置により商品に印刷されたバーコードを読み取ることでショッピングカート1がその商品の商品データを取得することが可能となる。
【0087】
また、上記実施の形態では、ショッピングカート1は、隣接する決済装置3と通信を行うものとして説明を行ったが、ショッピングカート1が無線LANなどによりホストコンピュータ4と通信を行い、決済装置3がホストコンピュータ4からそのショッピングカート1に係る合計売価等をダウンロードするようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、ショッピングカート1に商品を収容したまま精算処理を行うものであったが、決済装置3が備える所定の収容器に商品を一旦移し替えるものであってもよい。この場合は、決済装置3の所定の収容器に商品を計量する計量部を備えておき、その計量値とショッピングカート1の計量部13の計量値とを比較するようにすれば、ショッピングカート1の計量部13の故障を精算処理の度にチェックすることができる。
【0089】
また、上記実施の形態では、計量部13による計量値が変化したときのみに演算総重量と実総重量との照合を行うものであったが、このような計量値の変化が無くても所定の時間周期で定期的に照合を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】ショッピングシステムの概略構成を示す図である。
【図2】ショッピングカートの外観構成を示す図である。
【図3】ショッピングカートの電気的な構成要素を模式的に示すブロック図である。
【図4】決済装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】商品テーブルの一例を示す図である。
【図6】ショッピングカートの動作の基本的な流れを示す図である。
【図7】増加処理の流れを示す図である。
【図8】表示パネルの画面の一例を示す図である。
【図9】減少処理の流れを示す図である。
【図10】表示パネルの画面の一例を示す図である。
【図11】精算処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 ショッピングカート
3 決済装置
11 コンソール部
12 タグリーダ
13 計量部
14 回転検出器
21 収容カゴ
100 ショッピングシステム
111 表示パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗において販売前の商品を運搬するためのショッピングカートを用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗においては、顧客が購入の対象とする商品を運搬するためにショッピングカートが利用される。近年、このようなショッピングカートにICタグリーダを設けるとともに、商品データを記録した記録素子であるICタグ(RFIDタグ)を各商品に付すことで、ショッピングカートに収容された商品の商品データをショッピングカートに取得させることが提案されている。これにより、例えば、ショッピングカートに表示パネルを設け、収容された商品の合計金額を表示パネルに表示すれば、商品の販売前にその合計金額を顧客に提示できることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3604578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ICタグリーダは、通信可能領域に存在するICタグの情報を非接触にて読み取ることが可能であるが、その読み取り性能は確実ではなく、ICタグが付された商品が通信可能領域に存在していたとしても読み取りエラーが生じることがある。特に、ICタグの読み取りに用いる電波は水分の影響を受けるため、商品が水分の多い食品などの場合は、読み取りエラーが発生する可能性が高くなる。
【0005】
このような読み取りエラーが発生すると、ショッピングカートに商品データとして取得された商品と、実際にショッピングカートに収容されている商品とに不一致が生じる可能性がある。このため、例えば、商品の販売前にその合計金額を顧客に提示できたとしても、その合計金額が不正確となってしまい種々のトラブルが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、商品データとして取得された商品と、実際に収容されている商品とが一致しているかを判断できるショッピングカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、店舗において販売前の商品を収容部に収容しつつ運搬するためのショッピングカートであって、前記収容部内を読み取り対象とし、前記商品に付された電磁的な記録素子から、当該商品の重量を含む商品データを非接触にて読み取る読取手段と、前記収容部に収容された前記商品を計量して、前記商品の実総重量を取得する計量手段と、前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて導出される前記商品の演算総重量と、前記実総重量とが一致するか否かを照合する照合手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のショッピングカートにおいて、前記照合手段の照合により、前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、その旨をユーザに報知する報知手段、をさらに備えている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載のショッピングカートにおいて、前記照合手段は、少なくとも前記実総重量が変化した場合に、前記演算総重量と前記実総重量との照合を行う。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のショッピングカートにおいて、前記実総重量が増加した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないとき、直近に収容した商品を前記読取手段の近傍に配置すべき旨を表示する表示手段、をさらに備えている。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3または4に記載のショッピングカートにおいて、前記読取手段により取得された前記商品データを各レコードとするテーブルデータを記憶する記憶手段と、前記実総重量が減少した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、取り出した商品の候補を示す商品データを前記テーブルデータから抽出する抽出手段と、抽出された商品データのうちから選択をユーザから受け付ける受付手段と、選択された商品データを前記テーブルデータから削除する削除手段と、をさらに備えている。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、をさらに備え、前記計量手段は、前記ショッピングカートの停止に応答して計量し、前記実総重量を取得する。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、をさらに備え、前記計量手段は、前記ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を前記実総重量として取得する。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、前記商品データは、商品の売価を含むものであり、前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて、前記収容部に収容された前記商品の合計売価を導出する導出手段、をさらに備えている。
【0015】
また、請求項9の発明は、店舗における商品の販売に利用されるショッピングシステムであって、請求項8に記載のショッピングカートと、前記ショッピングカートから前記合計売価を無線通信により取得し、該合計売価に基づいて決済を行う決済装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし8の発明によれば、演算総重量と実総重量との照合により、商品データとして取得された商品と、実際に収容部に収容されている商品とが一致しているかを判断できる。このような判断は、ショッピングカートに商品を入れた場合と、ショッピングカートから商品を取り出した場合との双方ともに可能である。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、商品データとして取得された商品と、実際に収容部に収容されている商品とが一致していないことをユーザに知らせることができる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、ショッピングカートに商品を出し入れした際に、その出し入れに係る商品の商品データが、正常に処理されていない旨をユーザに知らせることができる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、ショッピングカートに商品を入れた場合に、商品の商品データが読み取られない場合でも、正常に読取手段に読み取らせることができる。
【0020】
また、特に請求項5の発明によれば、ショッピングカートから商品を出した場合に、その商品をユーザにより特定することができる。
【0021】
また、特に請求項6の発明によれば、ショッピングカートの停止に応答して計量するため、実総重量を正確に得ることができる。
【0022】
また、特に請求項7の発明によれば、ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を実総重量とするため、ショッピングカートが移動していたとしても、実総重量を正確に得ることができる。
【0023】
また、特に請求項8の発明によれば、予め商品の合計売価を導出することができる。
【0024】
また、請求項9の発明によれば、ショッピングカート側で予め導出された正確な合計金額に基づいて決済を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において「電磁的な記録」とは、電気的及び磁気的に記録することのみならず、電磁波としての光を用いて読み書き可能な記録を含む概念である。
【0026】
<1.システム構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るショッピングカート1を利用したショッピングシステム100の概略構成を示す図である。このショッピングシステム100は、スーパーマーケットである店舗9において採用されている。ショッピングシステム100は、顧客8が利用する複数のショッピングカート1と、商品の売買取引の決済を行うための複数の決済装置3と、システム全体を統括的に管理するホストコンピュータ4とを備えて構成される。複数の決済装置3とホストコンピュータ4とは有線の通信ケーブル41にて通信可能に接続されている。
【0027】
図に示すように、店舗9の内部スペースは、商品を陳列するための複数の商品棚94が配置された陳列スペース92と、商品の精算処理を行うための精算スペース93とに大別される。ショッピングカート1は、顧客8が自由に動かして利用するものであり、利用されていないときは店舗9の出入口91付近に置かれる。一方、複数の決済装置3は、精算スペース93に並列に固定配置され、複数の決済装置3の相互間、あるいは、決済装置3とパーティション95との間において、精算処理の際に顧客8が通過する精算用通路96が形成されている。
【0028】
この店舗9を利用する顧客8は、入店後まず、出入口91付近のショッピングカート1を1つ取り出し、陳列スペース92をまわりながらそのショッピングカート1に所望の商品を収容していく。そして、顧客8は、ショッピングカート1に購入を希望する全ての商品を収容した後、ショッピングカート1を精算スペース93まで動かし、決済装置3を利用してその商品の売買取引の決済を行う。店舗9では、顧客8が自ら決済装置3を取り扱うセルフチェックアウト方式が採用されており、決済が正常に完了すると、精算用通路96を開閉する通路バー31が開放されるようになっている。
【0029】
<2.ショッピングカートの構成>
次に、ショッピングカート1の構成について説明する。図2は、ショッピングカート1の外観構成を示す図である。図に示すように、ショッピングカート1は、商品を収容する収容カゴ21と、自由に方向を変更可能な車輪である4つのキャスター22と、ユーザたる顧客8が把持しつつ操作するためのハンドル23とを備えて構成されている。
【0030】
ショッピングカート1は、このような一般的なショッピングカートの基本的な構成要素とともに、電気的な構成要素を備えている。すなわち、ハンドル23の前方には、顧客8に各種の情報を示すための表示パネル111を備えたコンソール部11が設けられている。この表示パネル111は、タッチパネルとして機能を有し、各種のユーザ操作を受け付けることが可能である。
【0031】
また、収容カゴ21の手前側(顧客8が操作する側)には、ICタグ(RFIDタグ)の情報を読み取るICタグリーダ12が設けられる。そして、収容カゴ21の下部には、収容カゴ21に収容された商品の重量を計量するロードセルなどで構成される計量部13が設けられる。さらに、4つのキャスター22の車軸には、それぞれキャスター22の回転を検出するダイナモなどの回転検出器14が設けられている。この回転検出器14は、ショッピングカート1の移動を検出することになる。
【0032】
本実施の形態の店舗9においては、販売する全ての商品に、当該商品に係る商品データを記録した電磁的な記録素子であるICタグ(RFIDタグ)が付されている。ICタグリーダ12は、収容カゴ21の内部を読み取り対象とし、収容カゴ21に収容された商品のそれぞれに付されたICタグの情報を非接触にて読み取ることになる。収容カゴ21に複数の商品が存在していたとしても、ICタグリーダ12は、それら商品のICタグの情報を一括して読み取ることが可能である。なお、収容カゴ21の外部に存在するICタグの読み取りを防止するため、収容カゴ21の周面はICタグリーダ12が利用する電波を遮断する材質(金属の薄板材など)で構成することが好ましい。
【0033】
また、コンソール部11の内部には、ショッピングカート1の電気的な構成要素を統括的に制御する制御部が設けられている。図3は、このような制御部10を含むショッピングカート1の電気的な構成要素を模式的に示すブロック図である。
【0034】
制御部10は、各種演算処理を行うCPU101、プログラム等を記憶するROM102、演算処理の作業領域となるRAM103、及び、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM104等を備えている。制御部10の各種機能は、ROM102内に予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPU101が演算処理を行うことにより実現される。
【0035】
コンソール部11は、この制御部10及び上述した表示パネル111の他、動作の開始を指示するための開始ボタン112と、決済装置3と無線にてデータ通信を行うための無線通信部114とを備えている。これら表示パネル111、開始ボタン112及び無線通信部114は、バスライン109を介して制御部10に電気的に接続されている。また、バスライン109にはインタフェース113が設けられ、このインタフェース113を介して、タグリーダ12、計量部13及び回転検出器14も制御部10に電気的に接続される。このような構成により、ショッピングカート1の電気的な各構成要素は制御部10の制御下で動作するとともに、タグリーダ12、計量部13及び回転検出器14等で取得された情報は制御部10に入力されることになる。
【0036】
<3.決済装置の構成>
次に、決済装置3の構成について説明する。図4は、決済装置3の構成を模式的に示すブロック図である。
【0037】
図に示すように、決済装置3は、装置全体を制御する制御部30を備えている。制御部30は、各種演算処理を行うCPU301、プログラム等を記憶するROM302、演算処理の作業領域となるRAM303、及び、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM304等を備えている。制御部30の各種機能は、ROM302内に予め記憶されたファームウェアとしてのプログラムに従ってCPU301が演算処理を行うことにより実現される。
【0038】
また、決済装置3は、上述した通路バー31の他、顧客8に各種情報を表示する表示パネル32、ショッピングカート1と無線にてデータ通信を行うための無線通信部33、ホストコンピュータ4と有線にてデータ通信を行うための有線通信部34、現金を出し入れするための現金出納部35、クレジットカードの磁気情報を読み取るクレジットカードリーダ36、及び、電子マネー機能を有するICカードから金額情報を読み取るICカードリーダ37等を備えている。表示パネル32は、タッチパネルとして機能を有し、各種のユーザ操作を受け付けることが可能である。
【0039】
これらの各部は、バスライン309を介して制御部30に電気的に接続されている。このような構成により、決済装置3の各部は制御部30の制御下で動作するとともに、ICカードリーダ37等の各部等で取得された情報は制御部10に入力されることになる。
【0040】
<4.商品テーブル>
本実施の形態のショッピングカート1では、収容カゴ21に収容されている各商品のICタグから商品データが取得され、その商品データに基づいて商品テーブルがCPU101により作成され、RAM103に記憶されるようになっている。
【0041】
図5は、ショッピングカート1のRAM103に記憶された商品テーブルTの一例を示す図である。図に示すように、商品テーブルTは、テーブル形式のテーブルデータであり、一の商品に係る商品データは、一のレコード(テーブルの行に相当)Rとして含まれている。
【0042】
各商品データ(すなわち、各レコードR)には、商品の識別コードである「商品コード」、商品の名称である「商品名」、商品の重さ(内容物のみでなく包装容器を含めた重さ)を示す「重量」、及び、商品の販売価格である「売価」などのデータ項目に対応する情報が含まれている。これらの情報は、店舗9において販売に供される各商品のICタグに予め記録される。これらのデータ項目は、商品テーブルTにおいてはフィールド(テーブルの列に相当)Fとして表現される。
【0043】
このような商品テーブルTは、その時点において収容カゴ21に収容されている全商品のリストとなる。したがって、商品テーブルTの「売価」フィールドの合計値は、それら全商品の合計売価となる。この合計売価は、CPU101により導出され、表示パネル111に表示される。これにより、ショッピングカート1のユーザたる顧客8は、精算処理の前に合計売価を参照することができ、予算に合わせて購入を希望する商品を選択できるようになっている。
【0044】
商品テーブルTは、ICタグリーダ12で得られた商品データに基づいて作成される。しかしながら、ICタグリーダ12の情報のみによって商品テーブルTを作成すると、ICタグリーダ12において読み取りエラーが発生した場合には、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とが不一致となるおそれがある。このため、本実施の形態のショッピングカート1では、商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値と、計量部13で実際に計量された全商品の重量との照合により、商品テーブルTが示す商品の正当性を保つようになっている。なお以下、計量部13で実際に計量される全商品の重量を「実総重量」という。
【0045】
<5.ショッピングカートの基本動作>
以下、このような重量の照合を含むショッピングカート1の動作について説明する。図6は、ショッピングカート1の一の顧客8に係る動作の基本的な流れを示す図である。ショッピングカート1は、顧客8による開始ボタン112の押下に応答して、図6に示す動作を行うことになる。
【0046】
開始ボタン112が押下されると、まず、初期化処理がなされる。この初期化処理では、ICタグリーダ12の読み取りにより収容カゴ21内に商品が存在していないことが確認され、また、計量部13によるゼロ調整がなされる(その時点の重量が風袋とされる)(ステップS11)。
【0047】
そして、以降、計量部13による計量値が変化するか否か、すなわち、実総重量が変化するか否かが、CPU101により監視される(ステップS12)。ただし、ショッピングカート1が移動している場合は、振動が発生するために、計量部13において正確な計量を行うことはできない。このため、計量部13の計量に際しては、回転検出器14によってショッピングカート1の移動が検出され、ショッピングカート1の停止(4つのキャスター22の全てが回転していないこと)が確認されると、これに応答して計量部13による計量が行われることになる。このような実総重量の監視は、精算処理の開始を指示する精算信号を受信するまで繰り返される(ステップS16にてNoの間)。
【0048】
実総重量は収容カゴ21に実際の存在している全商品の総重量であるため、収容カゴ21に商品を入れた場合は実総重量は必ず増加し、他方で、収容カゴ21から商品を出した場合は実総重量は必ず減少する。このため、実総重量の変化を監視することは、収容カゴ21に係る商品の出し入れを監視することに実質的に相当する。
【0049】
また、商品の出し入れが発生した場合は、商品テーブルTの内容を更新する必要がある。このため、もし実総重量が増加した場合は(ステップS12にてYes,ステップS13にてYes)、それに合わせて商品テーブルTに商品データを追加する増加処理がなされ(ステップS14)、他方、実総重量が減少した場合は(ステップS12にてYes,ステップS13にてNo)、それに合わせて商品テーブルTから商品データを削除する減少処理がなされることになる(ステップS15)。
【0050】
これにより、顧客8の収容カゴ21に係る商品の出し入れに合わせて、増加処理(ステップS14)や減少処理(ステップS15)が繰り返されることになる。そして、ショッピングカート1が精算スペース93の精算用通路96まで運ばれると、無線通信部114が隣接する決済装置3から精算信号を受信する。ショッピングカート1は、この精算信号の受信に応答して(ステップS16にてNo)、決済装置3と協働して精算処理(ステップS17)を行うことになる。精算処理が完了すると、ショッピングカート1の一の顧客に係る動作は終了することになる。
【0051】
以下、このような増加処理(ステップS14)、減少処理(ステップS15)及び精算処理(ステップS17)のそれぞれについて詳細に説明する。
【0052】
<6.増加処理>
まず、収容カゴ21へ商品を入れ、実総重量が増加したときに商品テーブルTの内容を更新する増加処理(ステップS14)について説明する。図7は、増加処理の流れを示す図である。
【0053】
増加処理においては、まず、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる(ステップS21)。これにより、収容カゴ21に複数の商品が存在していた場合は、複数の商品データが得られることになる。そして、取得された商品データのうち、その時点における商品テーブルTのレコードに存在しないものがあった場合は、その商品データが商品テーブルTのレコードとして追加される(ステップS22)。
【0054】
次に、商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値が、CPU101により導出される。導出された値は、演算によって得られた、収容カゴ21内に存在する全ての商品についての総重量であるため、以下「演算総重量」という。そして、この演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS23)。なお、商品の重量は、結露や乾燥等によりある程度は変化するものであるため、この照合における「一致」とは、必ずしも厳密な意味での一致でなくてよく、ある程度(例えば、±10g程度)の許容幅を持たせた「略一致」であればよい。
【0055】
このとき、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS23にてYes)、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とが一致していることになる。このため、続いて、商品テーブルTの「売価」フィールドに基づいて新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示されると、増加処理が終了する。
【0056】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS23にてNo)、読み取りエラーにより、収容カゴ21に直近に入れた商品の商品データが取得されなかったことになる。このため、その旨を顧客8に報知する警告表示が表示パネル111においてなされる(ステップS24)。
【0057】
図8は、警告表示がなされた表示パネル111の画面を示す図である。図に示すように、表示パネル111には、収容カゴ21に直近に収容した商品を特定できなかった旨が表示されるととともに、直近に収容した商品をICタグリーダ12が存在する位置の近傍(顧客8にとっての手前側)に配置すべき旨が表示される。この指示に従ってICタグリーダ12の近傍に商品が配置されると、ICタグリーダ12は当該商品のICタグを正常に読み取ることができるため、読み取りエラーが解消されることになる。
【0058】
このような警告表示がなされると、処理は図7のステップS21に戻り、再び、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる。そして上記と同様にして、商品テーブルTの更新がなされ(ステップS23)、演算総重量と実総重量とが照合されることになる(ステップS23)。以降、演算総重量と実総重量とが一致するまで同様の処理が繰り返され、演算総重量と実総重量とが一致すると合計売価が表示パネル111に表示されて(ステップS25)増加処理が終了する。
【0059】
このように増加処理においては、収容カゴ21へ入れた商品についてICタグの読み取りエラーが発生したとしても警告表示を行うことで、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができることになる。
【0060】
<7.減少処理>
次に、収容カゴ21から商品を出し、実総重量が減少したときに商品テーブルTの内容を更新する減少処理(図6:ステップS15)について説明する。図9は、減少処理の流れを示す図である。
【0061】
減少処理においても、まず、ICタグリーダ12によって、収容カゴ21に収容されている商品のICタグが一括して読み取られる(ステップS31)。次に、このとき取得された商品データに基づいて、商品テーブルTと同様のテーブルデータが、商品テーブルTとは別に作成される。このテーブルデータは、その時点において得られた商品データに基づいて作成されるものであるため「現在テーブル」と呼ぶ(ステップS32)。
【0062】
次に、現在テーブルの「重量」フィールドの合計値が「演算総重量」としてCPU101により導出される。そして、この演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS33)。
【0063】
このとき、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS23にてYes)、ステップS31の読み取りにおいて、収容カゴ21に収容されている全ての商品の商品データの読み取りが正常にできたことになる。
【0064】
この場合は、商品テーブルTには存在するが、現在テーブルには存在しない商品データに係る商品が、収容カゴ21から取り出されたことになる。このため、商品テーブルTと現在テーブルとが比較され、現在テーブルに存在しない商品データが、商品テーブルTから削除される(ステップS34)。なお、この処理は、現在テーブルをそのまま商品テーブルTとする処理にも実質的に相当する。
【0065】
これにより、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができたため、続いて、商品テーブルTの「売価」フィールドに基づいて新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了する。
【0066】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS33にてNo)、ステップS31の読み取りにおいて、読み取りエラーが生じ、収容カゴ21に収容されている商品の少なくとも一部の商品データの読み取りが正常になされなかったことになる。
【0067】
このため、次に、取り出された商品の候補を示す商品データが、商品テーブルTに商品データのうちからCPU101により抽出される。取り出された商品の商品データは、商品テーブルTには存在するが、現在テーブルには存在しないはずである。このため、商品テーブルTと現在テーブルとが比較され、現在テーブルに存在しない商品データが抽出される。
【0068】
また、減少処理の開始に際して実総重量が減少しているが、この実総重量の減少量(実総重量の変化前と、変化後との差分値)よりも、重量が大きい商品が取り出されたはずはない。このため、実総重量の減少量を、抽出のための「基準重量」として、さらに、商品データが絞り込まれる。より具体的には、抽出された商品データの「重量」フィールドが参照されて、その商品データのうちから「基準重量」よりも重量が小さい商品に係る商品データのみがさらに抽出される。なお、前述のように商品の重量は変化するため、この抽出処理においても、「基準重量」についてある程度(例えば、+5g程度)の許容幅を持たせることが好ましい。
【0069】
そして、抽出された商品データのうちから、実際に顧客8が取り出した商品に係る商品データを顧客8に特定させるため、抽出された商品データが表示パネル111に表示される(ステップS35)。図10は、このような表示がなされた表示パネル111の画面を示す図である。図に示すように、表示パネル111には、収容カゴ21から取り出した商品を特定できなかった旨が表示される。これとともに表示パネル111には、取り出された商品の候補に係る商品データがそれぞれコマンドボタンCとして表示され、それらのうちから商品データを選択するように顧客8に指示する旨の表示がなされる。この際に、「基準重量」に近い重量を示す商品データが上位となるようにソートして表示することが好ましい。
【0070】
顧客8は、このような表示パネル111のコマンドボタンCに触れることで、取り出した商品に対応する商品データを選択する。商品データが選択されると、その選択がCPU101に受け付けられ(ステップS36)、選択された商品データが商品テーブルTから削除される(ステップS37)。
【0071】
このようにして商品データが商品テーブルTから削除されると、次に、その商品テーブルTの「重量」フィールドの合計値が「演算総重量」としてCPU101により導出され、その演算総重量と実総重量とが一致するか否かがCPU101により照合される(ステップS38)。
【0072】
この照合により、演算総重量と実総重量とが一致した場合は(ステップS38にてYes)、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができたため、続いて、新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了する。
【0073】
一方、演算総重量と実総重量とが一致しなかった場合は(ステップS38にてYes)、処理はステップS35に戻り、再び、取り出された商品の候補を示す商品データが抽出されて、その商品データが表示パネル111に表示される(ステップS35)。この際、「基準重量」については、先に顧客8に選択された商品データの重量に基づいて修正される。
【0074】
具体的に説明すると、例えば、減少処理の開始に際しての「基準重量」が「300g」である場合に、図10に示すような画面が表示されたと想定する。この際に、最上位の「300g」の商品データが顧客8に選択された場合においては、この商品データが商品テーブルTから削除されるため、演算総重量と実総重量とが一致することになる。しかしながら、2番目の「186g」の商品データが選択された場合にあっては、この商品データが商品テーブルTから削除されても演算総重量と実総重量とは一致しない。したがってこの場合は、取り出された商品の候補を示す商品データが再び抽出されるが、この際、当初の「基準重量」の「300g」から、選択された商品データの「186g」が減算され、「基準重量」が新たに「114g」であるとされる。このため、図10に示す最下位の「114g」の商品データのみが抽出されることになる。
【0075】
このような処理により、最終的に、演算総重量と実総重量とが一致すると(図9:ステップS38にてYes)、新たな合計売価が導出されて表示パネル111に表示され(ステップS39)、減少処理が終了することになる。
【0076】
このように減少処理においては、収容カゴ21から取り出した商品を自動的に特定できなかったとしても、その商品を顧客8に特定させることで、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを一致させることができることになる。
【0077】
<8.精算処理>
次に、精算処理(図6:ステップS17)について説明する。図11は、精算処理の流れを示す図である。前述のように、精算処理はショッピングカート1と決済装置3とが協働して行う処理であり、図11において左側の処理の流れはショッピングカート1の処理を示し、右側の処理の流れは決済装置3の処理を示している。
【0078】
まず、上述した増加処理や減少処理により導出された合計売価が、ショッピングカート1の無線通信部114から、電波を利用した無線通信により決済装置3に送信される(ステップS41)。この合計売価は決済装置3の無線通信部33に受信され(ステップS51)、表示パネル32に表示される(ステップS52)。
【0079】
顧客8は、このような表示パネル32における合計売価の表示を参照し、決済装置3を利用して売買取引の決済を行う。この際、顧客8は、現金を用いた現金決済の他、クレジットカードを用いたカード決済や、電子マネー機能を有するICカードを利用した電子決済を行うことも可能である。現金決済では現金出納部35、カード決済ではクレジットカードリーダ36、電子決済ではICカードリーダがそれぞれ利用される。
【0080】
決済が正常に完了すると(ステップS53にてYes)、その旨を示す決済完了信号が決済装置3の無線通信部33から、電波を利用した無線通信によりショッピングカート1に送信される(ステップS54)。これとともに、通路バー31が動作して、顧客8が通過可能に精算用通路96が開放される(ステップS55)。
【0081】
また、決済完了信号は、ショッピングカート1の無線通信部114に受信される(ステップS42)。ショッピングカート1のCPU101はこれに応答して、RAM103に記憶された商品テーブルTなどのデータを消去する(ステップS43)。これにより、当該顧客8に係る個人情報の漏洩が防止されることになる。
【0082】
以上のように、本実施の形態のショッピングカート1では、商品テーブルTや現在テーブルから得られる演算総重量と、計量部13から得られる実総重量とを照合することにより、商品データとして取得された商品と、実際に収容されている商品とが一致しているかを判断できる。このような判断は、ショッピングカート1に商品を入れた場合と、ショッピングカート1から商品を取り出した場合との双方ともに可能である。したがって、商品テーブルTに商品データとして存在する商品と、実際に収容カゴ21に収容されている商品とを常時に一致させることができることになる。
【0083】
また、商品テーブルTにおける商品データの正当性が担保されるため、商品テーブルTに基づいて正確な合計売価を導出することができる。したがって、その正確な合計売価によって売買取引の決済を行うことができるため、顧客8が自ら決済を行うセルフチェックアウト方式を容易に採用することが可能である。
【0084】
<9.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0085】
上記実施の形態では、ショッピングカート1の停止を確認してから計量部13による計量が行われていたが、実際には、顧客8がショッピングカート1を動かしながら商品を出し入れする可能性もある。このため、ショッピングカート1の移動中において、所定の時間周期で繰り返して計量部13において計量を行い、直近に得られた所定回数の計量結果の平均値を実総重量とするようにしてもよい。これによれば、ショッピングカートが移動して振動を伴う場合であっても、ほぼ正確な実総重量を得ることができる。なお、この場合でも、ショッピングカート1が停止したときには、その停止に応答して計量部13が計量を行い、確実に正確な実総重量を取得することが望ましい。
【0086】
また、ショッピングカート1は、ICタグリーダ12の他に、さらに、バーコード(二次元コードも含む)を読み取るバーコード読取装置を備えていてもよい。この場合は、例えば、商品に付されたICタグそのものが物理的に故障していた場合などにおいても、バーコード読取装置により商品に印刷されたバーコードを読み取ることでショッピングカート1がその商品の商品データを取得することが可能となる。
【0087】
また、上記実施の形態では、ショッピングカート1は、隣接する決済装置3と通信を行うものとして説明を行ったが、ショッピングカート1が無線LANなどによりホストコンピュータ4と通信を行い、決済装置3がホストコンピュータ4からそのショッピングカート1に係る合計売価等をダウンロードするようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、ショッピングカート1に商品を収容したまま精算処理を行うものであったが、決済装置3が備える所定の収容器に商品を一旦移し替えるものであってもよい。この場合は、決済装置3の所定の収容器に商品を計量する計量部を備えておき、その計量値とショッピングカート1の計量部13の計量値とを比較するようにすれば、ショッピングカート1の計量部13の故障を精算処理の度にチェックすることができる。
【0089】
また、上記実施の形態では、計量部13による計量値が変化したときのみに演算総重量と実総重量との照合を行うものであったが、このような計量値の変化が無くても所定の時間周期で定期的に照合を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】ショッピングシステムの概略構成を示す図である。
【図2】ショッピングカートの外観構成を示す図である。
【図3】ショッピングカートの電気的な構成要素を模式的に示すブロック図である。
【図4】決済装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】商品テーブルの一例を示す図である。
【図6】ショッピングカートの動作の基本的な流れを示す図である。
【図7】増加処理の流れを示す図である。
【図8】表示パネルの画面の一例を示す図である。
【図9】減少処理の流れを示す図である。
【図10】表示パネルの画面の一例を示す図である。
【図11】精算処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 ショッピングカート
3 決済装置
11 コンソール部
12 タグリーダ
13 計量部
14 回転検出器
21 収容カゴ
100 ショッピングシステム
111 表示パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗において販売前の商品を収容部に収容しつつ運搬するためのショッピングカートであって、
前記収容部内を読み取り対象とし、前記商品に付された電磁的な記録素子から、当該商品の重量を含む商品データを非接触にて読み取る読取手段と、
前記収容部に収容された前記商品を計量して、前記商品の実総重量を取得する計量手段と、
前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて導出される前記商品の演算総重量と、前記実総重量とが一致するか否かを照合する照合手段と、
を備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
請求項1に記載のショッピングカートにおいて、
前記照合手段の照合により、前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、その旨をユーザに報知する報知手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項3】
請求項2に記載のショッピングカートにおいて、
前記照合手段は、少なくとも前記実総重量が変化した場合に、前記演算総重量と前記実総重量との照合を行うことを特徴とするショッピングカート。
【請求項4】
請求項3に記載のショッピングカートにおいて、
前記実総重量が増加した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないとき、直近に収容した商品を前記読取手段の近傍に配置すべき旨を表示する表示手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項5】
請求項3または4に記載のショッピングカートにおいて、
前記読取手段により取得された前記商品データを各レコードとするテーブルデータを記憶する記憶手段と、
前記実総重量が減少した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、取り出した商品の候補を示す商品データを前記テーブルデータから抽出する抽出手段と、
抽出された商品データのうちから選択をユーザから受け付ける受付手段と、
選択された商品データを前記テーブルデータから削除する削除手段と、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、
をさらに備え、
前記計量手段は、前記ショッピングカートの停止に応答して計量し、前記実総重量を取得することを特徴とするショッピングカート。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、
をさらに備え、
前記計量手段は、前記ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を前記実総重量として取得することを特徴とするショッピングカート。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記商品データは、商品の売価を含むものであり、
前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて、前記収容部に収容された前記商品の合計売価を導出する導出手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項9】
店舗における商品の販売に利用されるショッピングシステムであって、
請求項8に記載のショッピングカートと、
前記ショッピングカートから前記合計売価を無線通信により取得し、該合計売価に基づいて決済を行う決済装置と、
を備えることを特徴とするショッピングシステム。
【請求項1】
店舗において販売前の商品を収容部に収容しつつ運搬するためのショッピングカートであって、
前記収容部内を読み取り対象とし、前記商品に付された電磁的な記録素子から、当該商品の重量を含む商品データを非接触にて読み取る読取手段と、
前記収容部に収容された前記商品を計量して、前記商品の実総重量を取得する計量手段と、
前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて導出される前記商品の演算総重量と、前記実総重量とが一致するか否かを照合する照合手段と、
を備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項2】
請求項1に記載のショッピングカートにおいて、
前記照合手段の照合により、前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、その旨をユーザに報知する報知手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項3】
請求項2に記載のショッピングカートにおいて、
前記照合手段は、少なくとも前記実総重量が変化した場合に、前記演算総重量と前記実総重量との照合を行うことを特徴とするショッピングカート。
【請求項4】
請求項3に記載のショッピングカートにおいて、
前記実総重量が増加した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないとき、直近に収容した商品を前記読取手段の近傍に配置すべき旨を表示する表示手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項5】
請求項3または4に記載のショッピングカートにおいて、
前記読取手段により取得された前記商品データを各レコードとするテーブルデータを記憶する記憶手段と、
前記実総重量が減少した場合において前記演算総重量と前記実総重量とが一致しないときは、取り出した商品の候補を示す商品データを前記テーブルデータから抽出する抽出手段と、
抽出された商品データのうちから選択をユーザから受け付ける受付手段と、
選択された商品データを前記テーブルデータから削除する削除手段と、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、
をさらに備え、
前記計量手段は、前記ショッピングカートの停止に応答して計量し、前記実総重量を取得することを特徴とするショッピングカート。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記ショッピングカートの移動を検出する移動検出手段、
をさらに備え、
前記計量手段は、前記ショッピングカートの移動の際に繰り返し計量し、複数回の計量結果の平均値を前記実総重量として取得することを特徴とするショッピングカート。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のショッピングカートにおいて、
前記商品データは、商品の売価を含むものであり、
前記読取手段により取得された前記商品データに基づいて、前記収容部に収容された前記商品の合計売価を導出する導出手段、
をさらに備えることを特徴とするショッピングカート。
【請求項9】
店舗における商品の販売に利用されるショッピングシステムであって、
請求項8に記載のショッピングカートと、
前記ショッピングカートから前記合計売価を無線通信により取得し、該合計売価に基づいて決済を行う決済装置と、
を備えることを特徴とするショッピングシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−34789(P2007−34789A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218512(P2005−218512)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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