説明

シリコーンエラストマー組成物およびシリコーンエラストマー

【課題】 熱エージングによっても硬さ変化が小さいシリコーンエラストマーを与えるシリコーンエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 (A)1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)白金族金属系触媒、(D)熱伝導性充填材、(E)分子中にアルケニル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有するオルガノシロキサン、および(F)アルコキシシラン化合物からなるシリコーンエラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エージングによっても硬さ変化が小さいシリコーンエラストマーを与えるシリコーンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱性素子を搭載した電子部品、高温下に曝される車載用電子部品等に、電気絶縁性や熱伝導性を向上させるため、シリコーンエラストマーが使用されている。特に熱伝導性を向上させたシリコーンエラストマー組成物としては、1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、熱伝導性充填材、白金族金属系触媒、および加水分解性基とビニル基を含有するメチルポリシロキサンからなる熱伝導性シリコーンエラストマー組成物(特許文献1参照)が提案されている。
【0003】
ところが、このような熱伝導性シリコーンエラストマー組成物において、これを硬化させて得られるシリコーンエラストマーの熱伝導率を向上させるためには、この組成物中の熱伝導性充填材の含有量を多くしなければならないが、硬化して得られるシリコーンエラストマーは熱エージングにより硬さが大きく変化するという問題があった。
【特許文献1】特開2003−213133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、熱エージングによっても硬さ変化が小さいシリコーンエラストマーを与えるシリコーンエラストマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、
(A)1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、
(C)白金族金属系触媒{(A)成分と(B)成分の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量}、
(D)熱伝導性充填材{(A)成分100重量部に対して25〜4500重量部}、
(E)一般式:
[R1a2(3-a)SiO(R22SiO)m(R24SiO)n]bSiR2[4-(b+c)](OR3)c
{式中、R1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、R2は同種もしくは異種の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、R3はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R4は一般式:
−A−SiR2d(OR3)(3-d)
(式中、Aは酸素原子または炭素原子数2〜10の2価の炭化水素基であり、R2、R3は、前記のとおりであり、dは0〜2の整数である。)
で表される基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜3の整数であり、cは0〜3の整数であり、かつ、b+cは1〜4の整数であり、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数であり、ただし、cが0のとき、nは1以上の整数である。}
で表されるオルガノシロキサン{(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部}、および
(F)一般式:
5eSi(OR6)(4-e)
(式中、R5は同種もしくは異種の一価炭化水素基、エポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、またはアクリル基含有有機基でありR6はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、eは1〜3の整数である。)
で表されるシラン化合物{(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部}
からなることを特徴とする。
【0006】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、(D)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、炭化物、石墨、金属、またはこれらの混合物であることを特徴とする。
【0007】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、(D)成分が、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0008】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、(A)成分中で(D)成分の表面を(E)成分および(F)成分により処理をしたことを特徴とする。
【0009】
本発明のシリコーンエラストマーは、上記のシリコーンエラストマー組成物を硬化させて得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、熱エージングによっても硬さ変化が小さいシリコーンエラストマーを与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のシリコーンエラストマー組成物を詳細に説明する。
【0012】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは本組成物の主剤であり、1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を平均0.1個以上有し、好ましくは、平均0.5個以上、より好ましくは、平均0.8個以上、特に好ましくは、平均2個以上有することを特徴とする。これは、1分子中のケイ素原子結合アルケニル基の平均が上記範囲の下限未満であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなる傾向があるからである。
【0013】
(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が例示され、好ましくは、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基である。また、アルケニル基以外のケイ素原子結合基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基、さらには少量のシラノール基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0014】
(A)成分の分子構造は特に制限されないが、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖を有する直鎖状、樹枝状(デンドリマー状)が例示される。(A)成分は直鎖状の重合体、一部分岐を有する単一の重合体、これらの分子構造からなる共重合体のいずれでも良く、2種類以上の重合体の混合物であってもよい。
【0015】
(A)成分の25℃における粘度は特に制限されないが、得られるシリコーンエラストマー組成物の硬化作業性が良好であり、また得られるシリコーンエラストマーの物理特性が良好であることから、50〜1000000mPa・sであることが好ましく、さらには、200〜500000mPa・sであることが好ましく、特には、1000〜100000mPa・sであることが好ましい。これは、25℃における粘度が上記範囲の下限未満であると、得られるシリコーンエラストマーの物理特性が著しく低下し、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーンエラストマー組成物の取扱作業が著しく低下するからである。
【0016】
このような(A)成分としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で表されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位と式:CH3SiO3/2で表されるシロキサン単位と式:(CH3)2SiO2/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体が例示される。
【0017】
(B)成分は本組成物の架橋剤であり、1分子中にケイ素原子結合水素原子を平均2個以上有するオルガノポリシロキサンである。(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は特に限定されず、分子鎖末端、分子鎖側鎖、または分子鎖末端と分子鎖側鎖である。また、(B)成分中の水素原子以外のケイ素原子結合基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の脂肪族不飽和結合を含まない一価炭化水素基が例示され、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、(B)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、樹枝状(デンドリマー状)が挙げられる。(B)成分はこれらの分子構造を有する単一重合体、これらの分子構造からなる共重合体、またはこれらの混合物である。また、この(B)成分の粘度は限定されないが、25℃における粘度が1〜100000mPa・sであることが好ましく、さらには、1〜10000mPa・sであることが好ましく、特には、1〜5000mPa・sであることが好ましい。
【0018】
このような(B)成分としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、式:(CH3)3SiO1/2で表されるシロキサン単位と式:(CH3)2HSiO1/2で表されるシロキサン単位と式:SiO4/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン、テトラ(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シラン、メチルトリ(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シラン、共重合体が例示される。
【0019】
本組成物において、(B)成分の含有量は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量であり、好ましくは、0.1〜5モルとなる量であり、特に好ましくは、0.1〜3モルとなる量である。これは本成分の含有量が上記範囲の下限未満となる量であると、得られるシリコーンエラストマー組成物が十分に硬化しなくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーンエラストマーから水素ガスが発生するからである。
【0020】
(C)成分の白金族金属系触媒は、本組成物の硬化を促進するための触媒である。(C)成分としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末等の白金系触媒;式:[Rh(O2CCH3)2]2、Rh(O2CCH3)3、Rh2(C8152)4、Rh(C572)3、Rh(C572)(CO)2、Rh(CO)[Ph3P](C572)、RhX3[(R)2S]3、(R'3P)2Rh(CO)X、(R23P)2Rh(CO)H、Rh224、HfRhg(En)hCli、またはRh[O(CO)R]3-j(OH)jで表されるロジウム系触媒(式中、Xは水素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、Yはメチル基、エチル基等のアルキル基、CO、C814、または0.5C812であり、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘプチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;またはフェニル基、キシリル基等のアリール基であり、R'はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコシ基;またはフェノキシ基等のアリロキシ基であり、Enは、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィンであり、fは0または1であり、gは1または2であり、hは1〜4の整数であり、iは2、3、または4であり、jは0または1である。);式:Ir(OOCCH3)3、Ir(C572)3、[Ir(Z)(En)2]2、または[Ir(Z)(Dien)]2で表されるイリジウム系触媒(式中、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基であり、Enは、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等オレフィンであり、Dienはシクロオクタジエンである。)が例示される。
【0021】
本組成物において、(C)成分の含有量は(A)成分と(B)成分の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られるシリコーンエラストマー組成物が十分に硬化しなくなり、一方、上記範囲の上限を超える量を配合しても、得られるシリコーンエラストマー組成物の硬化速度は著しく向上しないからである。
【0022】
(D)成分は、本組成物を硬化して得られるシリコーンエラストマーに強度、熱伝導性等を付与するための熱伝導性充填材である。このような(D)成分の充填材としては、例えば、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物;炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素等の炭化物;グラファイト、黒鉛等の石墨;アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属、およびこれらの混合物からなるのもが挙げられる。特に、得られるシリコーンエラストマーに電気絶縁性が必要な場合は、(D)成分としては、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの混合物であることが好ましく、さらには、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
(D)成分の形状は特に限定されず、例えば、球状、針状、燐片状、不定形状が挙げられる。特に、(D)成分として酸化アルミニウムまたは結晶性シリカを用いる場合には球状、不定形のものを用いることが好ましい。球状酸化アルミニウムは、主として高温溶射法あるいはアルミナ水和物の水熱処理により得られるα−アルミナである。ここでいう球状とは、真球状のみならず、丸み状であってもよい。(D)成分の平均粒径は限定されないが、0.01〜200μmであることが好ましく、さらには、0.1〜150μmであることが好ましく、特には、0.1〜100μmであることが好ましい。
【0024】
本組成物において、(D)成分の含有量は限定されないが、(A)成分100重量部に対して25〜4500重量部であることが好ましく、さらには、50〜4000重量部であることが好ましく、特には、100〜3000重量部であることが好ましい。これは、(D)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られるシリコーンエラストマーの充填材による付与特性が不十分になる傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーンエラストマー組成物中に(D)成分を均一に分散できなくなる傾向があるからである。
【0025】
(E)成分のオルガノシロキサンは、一般式:
[R1a2(3-a)SiO(R22SiO)m(R24SiO)n]bSiR2[4-(b+c)](OR3)c
で表される。式中、R1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基等の直鎖状アルケニル基;イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−10−ウンデセニル基等の分岐鎖状アルケニル基;ビニルシクロヘキシル基、ビニルシクロドデシル基等の脂肪族不飽和結合を有する環状アルキル基;ビニルフェニル基等の脂肪族不飽和結合を有するアリール基;ビニルベンジル基、ビニルフェネチル基等の脂肪族不飽和結合を有するアラルキル基が挙げられ、好ましくは、直鎖状アルケニル基であり、特に好ましくは、ビニル基、アリル基、またはヘキセニル基である。R1中の脂肪族不飽和結合の位置は限定されないが、結合するケイ素原子より遠い位置であることが好ましい。
【0026】
また、式中、R2は同種もしくは異種の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、さらに好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0027】
また、式中、R3はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルキル基が挙げられ、好ましくは、アルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基である。
【0028】
また、式中、R4は一般式:
−A−SiR2d(OR3)(3-d)
で表される基である。式中、Aは酸素原子または炭素原子数2〜10の2価の炭化水素基であり、Aの2価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキセニレン基、2−メチルプロピレン基が例示され、好ましくは、エチレン基である。また、式中、R2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、式中、R3はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、前記と同様の基が例示され、好ましくは、メチル基である。また、式中、dは0〜2の整数であり、好ましくは0である。
【0029】
また、式中、aは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。bは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。cは0〜3の整数であり、好ましくは2または3であり、特に好ましくは3である。ただし、b+cは1〜4の整数であり、好ましくは3または4であり、特に好ましくは4である。
【0030】
また、式中、mは0以上の整数であり、好ましくは0〜150の整数であり、より好ましくは0〜100の整数であり、特に好ましくは0〜50の整数である。また、式中、nは0以上の整数であり、好ましくは0〜50の整数であり、より好ましくは0〜10の整数であり、特に好ましくは0〜5の整数である。なお、前記cが0のときは、nは1以上の整数であり、好ましくは1〜50の整数であり、より好ましくは1〜10の整数であり、特に好ましくは1〜5の整数である。
【0031】
(E)成分のオルガノシロキサンを調製する方法としては、例えば、一般式:
1a2(3-a)SiO(R22SiO)m
で表される分子鎖片末端シラノール基封鎖オリゴシロキサンと一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物とを酢酸等の酸触媒の存在下でアルコキシ交換反応させる方法が挙げられる。このシラノール末端オリゴシロキサンにおいて、式中のR1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中のR2は同種もしくは異種の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。
【0032】
なお、式中、aは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。mは0以上の整数であり、好ましくは0〜150の整数であり、より好ましくは0〜100の整数であり、特に好ましくは0〜50の整数である。
【0033】
一方、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物は、一般式:
2(4-k)Si(OR3)k
で表される。このアルコキシシラン化合物において、式中のR2は脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、前記と同様の基が例示される。また、R3はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中のkは2〜4の整数であり、好ましくは4である。このようなアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン等のジアルコキシジアルキルシラン化合物;トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン等のトリアルコキシアルキルシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン化合物が挙げられる。また、酸触媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸が挙げられる。
【0034】
このような(E)成分のオルガノシロキサンとしては、次式で表されるオルガノシロキサンが例示される。
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]3Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2CH2CH2CH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]7Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]7Si(OC2H5)3
(CH2=CHCH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]7Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2CH2CH2CH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]7Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]7SiCH3(OCH3)2
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]25Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]25Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2CH2CH2CH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]25Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]25Si(OC2H5)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OC2H5)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]25SiCH3(OCH3)2
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]50Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]100Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]150Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]50Si(OCH3)3
(CH2=CHCH2CH2CH2CH2)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]50Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]50Si(OC2H5)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]50SiCH3(OCH3)2
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5[(CH3){(CH3O)3SiC2H4}SiO]1Si(CH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5[(CH3){(CH3O)3SiO}SiO]1Si(CH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5[(CH3){(CH3O)3SiC2H4}SiO]1Si(OCH3)3
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]5[(CH3){(CH3O)3SiO}SiO]1Si(OCH3)3
【0035】
本組成物において、(E)成分の添加量は、(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部であり、さらには、(D)成分100重量部に対して0.001〜8重量部であることが好ましく、特には、0.01〜5重量部であることが好ましい。これは、(E)成分の添加量が上記範囲の下限未満であると、(D)成分を多量に含有した場合に、得られるシリコーンエラストマー組成物の成形性が低下したり、得られるシリコーンエラストマー組成物の貯蔵中に(D)成分が沈降分離しやすくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーンエラストマーの物理的強度が低下するからである。
【0036】
(F)成分の加水分解性基を有するシラン化合物は、一般式:
5eSi(OR6)(4-e)
で表される。式中、R5は一価炭化水素基、エポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、またはアクリル基含有有機基である。R5の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の置換もしくは非置換の一価炭化水素基が例示される。また、R5のエポキシ基含有有機基としては、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が例示される。また、R5のメタクリル基含有有機基としては、3−メタクリロキシプロピル基が例示される。また、R5のアクリル基含有有機基としては、3−アクリロキシプロピル基が例示される。R6はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、前記R3と同様の基が例示される。eは1〜3の整数であり、好ましくは、1または2であり、特に好ましくは1である。
【0037】
このような(F)成分のシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが例示される。
【0038】
本組成物において、(F)成分の添加量は、(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部であり、さらには、0.001〜8重量部であることが好ましく、特には、0.01〜5重量部であることが好ましい。これは、(F)成分の添加量が上記範囲の下限未満であると、(D)成分を多量に含有した場合に、得られるシリコーンエラストマー組成物の成形性が低下したり、得られるシリコーンエラストマー組成物の貯蔵中に(D)成分が沈降分離しやすくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られるシリコーンエラストマーの物理的強度が低下するからである。
【0039】
(D)成分の表面を(E)成分および(F)成分で処理する方法としては、例えば、(D)成分の表面を予め(E)成分で処理し、次いで(F)成分で処理する方法;(D)成分の表面を予め(F)成分で処理し、次いで(E)成分で処理する方法;(D)成分の表面を(E)成分と(F)成分で同時に処理する方法;(A)成分中で(D)成分の表面を(E)成分で処理し、次いで、(F)成分で処理する方法;(A)成分中で(D)成分の表面を(F)成分で処理し、次いで、(E)成分で処理する方法;(A)成分中で(D)成分の表面を(E)成分と(F)成分で同時に処理する方法;予め(F)成分で表面処理された(D)成分を(A)成分中で(E)成分で処理する方法;予め(E)成分で表面処理された(D)成分を(A)成分中で(F)成分で処理する方法が挙げられる。このようにして得られた本組成物中には、(E)成分および(F)成分は(D)成分の表面を処理した状態で含有されているか、または本組成物中に単に含有されていてもよい。
【0040】
さらに、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、ヒュームド酸化チタン等の充填材、この充填材の表面を有機ケイ素化合物により疎水化処理した充填材;その他、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、トリアゾール系化合物以外の難燃性付与剤、可塑剤、接着付与剤を含有してもよい。
【0041】
また、本組成物の硬化速度を調節し、取扱作業性を向上させるため、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエン−イン化合物;その他、ヒドラジン系化合物、フォスフィン系化合物、メルカプタン系化合物等の硬化反応抑制剤を含有することが好ましい。この硬化反応抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100重量部に対して0.0001〜1.0重量部であることが好ましい。
【0042】
本組成物の性状は特に限定されないが常温でグリース状、スラリー状、ペースト状、あるいは粘土状であり、それを硬化させる方法は限定されず、例えば、本組成物を成形後、室温で放置する方法、本組成物を成形後、50〜200℃に加熱する方法が挙げられる。また、このようにして得られるシリコーンエラストマーの性状は限定されないが、例えば、ゲル状、低硬度のゴム状、あるいは高硬度のゴム状が挙げられ、また、取扱性が良好であることから、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータによる硬さが5以上であるものが好ましい。
【実施例】
【0043】
本発明のシリコーンエラストマー組成物およびシリコーンエラストマーを実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の特性は25℃における値である。また、シリコーンエラストマーの硬さ、引張強さ、伸び、および引張せん断接着強さは次のようにして評価し、表1に示した。
【0044】
[硬さの測定]
シリコーンエラストマー組成物を150℃で15分間プレス加硫し、さらに150℃のオーブン中で1.5時間加熱した。得られた厚さ2mmのシリコーンエラストマーシートを3枚重ね、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータ(高分子計器株式会社製のスプリング式硬さ試験機であるアスカーゴム硬度計)により硬さを測定した。
【0045】
[引張強さ、伸びの測定]
シリコーンエラストマー組成物を150℃で15分間プレス硬化し、さらに150℃のオーブン中で1.5時間加熱した。得られた厚さ2mmのシリコーンエラストマーシートの引張強さ、伸びを、JIS K 6251に従って、ダンベル3号形で島津製作所株式会社製の全自動ゴム引張試験システムAGS−Jにより測定した。
【0046】
[引張せん断接着力の測定]
アルミニウム(A1050P)板の間にシリコーンエラストマー組成物を厚さが1mm、接着面積が25mm×10mmとなるように挟み込んだ状態で、150℃で1時間加熱し、該組成物を硬化させて接着試験片を作製した。得られた試験片の引張せん断接着力を、JIS K6850に従って株式会社オリエンテック製のテンシロン万能試験機RTC−1325Aにより測定した。
【0047】
[熱伝導率の測定]
シリコーンエラストマー組成物を150℃で15分間プレス硬化し、さらに150℃のオーブン中で1時間オーブン加熱した。得られた50mm×100mm×20mmの硬化性シリコーンエラストマー硬化物の熱伝導率を、細線加熱法(ホットワイヤ法)により京都電子工業株式会社製の迅速熱伝導率計QTM−500により測定した。
【0048】
[熱エージング試験]
シリコーンエラストマーシートを150℃のオーブン中で168時間加熱したのち、硬さを前述の方法により測定した。硬さ変化率は次式:
【0049】
【数1】

0:初期の硬さ
1:熱エージング後の硬さ
により算出した。
【0050】
[実施例1]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)18.70重量部、平均粒径が11μmである丸み状アルミナ粉末(昭和電工株式会社製;AS−40)80.0重量部、式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン0.5重量部、およびメチルトリメトキシシラン0.15重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0051】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)0.55重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を室温で15分混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0052】
[実施例2]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)19.70重量部、平均粒径が11μmである丸み状アルミナ粉末(昭和電工株式会社製;AS−40)80.0重量部、式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]3Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン0.1重量部、およびメチルトリメトキシシラン0.15重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0053】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)0.55重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を室温で15分混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0054】
[実施例3]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)38.30重量部、平均粒径が15μmである不定形状結晶性シリカ粉末(株式会社龍森製;TMC−1)60.0重量部、式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン0.50重量部、およびメチルトリメトキシシラン0.10重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0055】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)1.00重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を室温で15分混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0056】
[実施例4]
実施例1において、シリコーンベースの調製を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合する代わりに、−0.09MPa以下の減圧下、室温で1.5時間混合した以外は同様にしてシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0057】
[比較例1]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)15.87重量部、平均粒径が11μmである丸み状アルミナ粉末(昭和電工株式会社製;AS−40)80.0重量部、および式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン3.0重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0058】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)1.03重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を室温で15分混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0059】
[比較例2]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)18.25重量部、平均粒径が11μmである丸み状アルミナ粉末(昭和電工株式会社製;AS−40)80.0重量部、および式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]3Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン0.6重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0060】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)1.05重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を室温で15分混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0061】
[比較例3]
特殊機化工業株式会社製のT.K.ハイビスミックスにより、粘度が10000mPa・sである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.135重量%)36.50重量部、平均粒径が15μmである不定形状結晶性シリカ粉末(株式会社龍森製;TMC−1)60.0重量部、および式:
CH2=CH(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]27Si(OCH3)3
で表されるジメチルシロキサン2.10重量部を室温で15分混合し、さらに−0.09MPa以下の減圧下、150℃で1時間混合してシリコーンベースを調製した。
【0062】
次に、冷却し室温になったベースに、粘度が5.5mPa・sであり、1分子中に平均3個のケイ素原子結合水素原子を有する分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.33重量%)1.30重量部(上記ベース中のジメチルポリシロキサンに含まれているビニル基1モルに対して、本成分に含まれているケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、および硬化反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール0.005重量部を混合し、最後に、白金含有量が0.5重量%である白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体溶液0.1重量部を混合してシリコーンエラストマー組成物を調製した。
【0063】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のシリコーンエラストマー組成物は、熱エージングによっても硬さ変化が小さいシリコーンエラストマーを与えるので、例えば発熱性素子を搭載した電子部品、高温下に曝される車載用電子部品等に用いた場合には、電子部品の性能信頼性が確保できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に平均0.1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、
(C)白金族金属系触媒{(A)成分と(B)成分の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量}、
(D)熱伝導性充填材{(A)成分100重量部に対して25〜4500重量部}、
(E)一般式:
[R1a2(3-a)SiO(R22SiO)m(R24SiO)n]bSiR2[4-(b+c)](OR3)c
{式中、R1は脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基であり、R2は同種もしくは異種の脂肪族不飽和結合を有さない一価炭化水素基であり、R3はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R4は一般式:
−A−SiR2d(OR3)(3-d)
(式中、Aは酸素原子または炭素原子数2〜10の2価の炭化水素基であり、R2、R3は、前記のとおりであり、dは0〜2の整数である。)
で表される基であり、aは1〜3の整数であり、bは1〜3の整数であり、cは0〜3の整数であり、かつ、b+cは1〜4の整数であり、mは0以上の整数であり、nは0以上の整数であり、ただし、cが0のとき、nは1以上の整数である。}
で表されるオルガノシロキサン{(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部}、および
(F)一般式:
5eSi(OR6)(4-e)
(式中、R5は同種もしくは異種の一価炭化水素基、エポキシ基含有有機基、メタクリル基含有有機基、またはアクリル基含有有機基でありR6はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、eは1〜3の整数である。)
で表されるシラン化合物{(D)成分100重量部に対して0.005〜10重量部}
からなるシリコーンエラストマー組成物。
【請求項2】
(D)成分が、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、炭化物、石墨、金属、またはこれらの混合物からなる、請求項1項記載のシリコーンエラストマー組成物。
【請求項3】
(D)成分が、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、および水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のシリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
(A)成分中で(D)成分の表面を(E)成分および(F)成分により処理していることを特徴とする、請求項1記載のシリコーンエラストマー組成物。
【請求項5】
請求項1記載のシリコーンエラストマー組成物を硬化させて得られるシリコーンエラストマー。

【公開番号】特開2008−239719(P2008−239719A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80292(P2007−80292)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】