説明

シリコーンポリエーテルブロック共重合体の水性分散液

(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体の水性分散液、この分散液組成物の調製方法、ならびに、この組成物を含むパーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の配合物を開示する。この水性分散液は、(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体の構造および分散液の調製方法次第で、小胞組成物にもエマルション組成物にもなり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2004年4月20日に出願した米国特許出願第60/563,663号、2004年9月17日に出願した米国特許出願第60/611,258号、2004年9月17日に出願した米国特許出願第60/611,151号、および2004年9月17日に出願した米国特許出願第60/611,229号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本出願は、(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体の水性分散液、この分散液組成物の調製方法、ならびに、この組成物を含むパーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の配合物に関する。この水性分散液は、(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体の構造および分散液の調製方法次第で、小胞組成物にもエマルション組成物にもなり得る。
【背景技術】
【0003】
シリコーン界面活性剤は、疎水性オルガノポリシロキサンを多様な親水性部分と組合せることにより、さまざまな用途のために設計されてきた。例えば、シリコーンポリエーテル(SPE)として公知のシリコーン界面活性剤は、ペンダントポリオキシアルキレン基を有するポリオルガノシロキサンの共重合体構造をベースにしている。最も一般的には、シリコーンポリエーテルの共重合体構造は「くま手(レーキ:rake)」型であり、大部分が線状のポリオルガノシロキサンが、共重合体構造の「骨格」を提供し、「くま手」を形成するペンダントポリオキシアルキレン基を有する。ペンダントポリオキシアルキレン基が線状ポリオキシオルガノシロキサンの各分子末端に存在する、「ABA」構造も一般的である。シロキサン単位とポリエーテル単位とからなるブロックが繰り返されて共重合体を形成している(AB)型シリコーンポリエーテルも知られている。(AB)型SPEは、当分野において、レーキ型シリコーンポリエーテルまたはABA型シリコーンポリエーテルほど多数を占めていない。例えば、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の組成物に適用するための、乳化剤、湿潤剤および多目的水性界面活性剤として、さまざまなレーキ型およびABA型シリコーンポリエーテル構造を記述する多数の教示がある。さらに最近は、レーキ型およびABA型シリコーンポリエーテルの凝集挙動が報告されている。
【0004】
化粧品分野および薬物の製剤/送達の分野においては、活性剤を容易に組織化し取り込み、さまざまな化学的、機械的ストレス下において安定であり、さらに所望の条件下で制御された方法で活性剤を送達することができる小胞組成物を発見することが長い間求められている。シリコーン界面活性剤、より具体的にはシリコーンポリエーテル界面活性剤に由来する小胞は、この種類の界面活性剤が他のタイプのものに対して追加的な特有の利点を有するため興味深い。例えば、シリコーンポリエーテル界面活性剤は、パーソナルケア用配合物において改善された美観を有することが多い。
【0005】
Hill による、米国特許第5,364,633号および同第5,411,744号は、特定のシリコーンポリエーテルの水性分散液中のシリコーン小胞の自己組織化を教示している。Lin による、PCT出願第US03/38455号は、シリコーン小胞内へのさまざまな油の取り込み、および多様なパーソナルケア用配合物におけるこれらの使用を教示している。
【0006】
本発明者らは、特定の(AB)型シリコーンポリエーテルが、水性媒体中で特異な分散液を形成することを発見した。一つの実施態様において、定義した特定の(AB)SPE構造が、水性媒体中で小胞組成物を形成する。第二の実施態様においては、特定の(AB)SPE構造が、エマルションを作り出すために利用できるな安定な分散液を形成する。これらの安定な分散液および小胞は、医薬品およびパーソナルケア用活性剤の送達のための組成物を配合するために使用することができる。
【特許文献1】米国特許第5,364,633号明細書
【特許文献2】米国特許第5,411,744号明細書
【特許文献3】PCT出願第US03/38455号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体は公知であるが、具体的な構造の選択または特定の分子の選択が、この共重合体の水性媒体中での安定な分散液の形成を可能にすることはこれまで知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の要旨]
本発明は、分散粒子を有する水性組成物であって、前記分散粒子が平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)
を有する、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を含む水性組成物に関する。
【0009】
本発明はさらに、以下の工程:
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)任意選択により、水混和性揮発性溶媒と、
を水と共に混合して水性分散液を形成させる工程、
II)前記水性分散液を混合して、10マイクロメーター未満の平均粒径を有する(AB)型シリコーンポリエーテル共重合体の分散粒子を形成させる工程、および、
III)任意選択により、前記水混和性揮発性溶媒を前記水性分散液から除去する工程、
を含む、水性組成物の調製方法に関する。
【0010】
本発明はさらに、以下の工程:
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2〜30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)水混和性揮発性溶媒と、
を混合して疎水性相を形成する工程、および、
II)前記疎水性相に水を添加して、水を連続相とするエマルションを形成させる工程、
を含む、10マイクロメーター未満の平均粒径を有し、水を連続相とするエマルションの調製方法に関する。
【0011】
さらに、本発明は、本発明の水性組成物を含む、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の配合物に関する。
【0012】
[発明の詳細な説明]
本発明は、分散粒子を有する水性組成物であって、前記分散粒子が下記平均式Iを有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を含む水性組成物を提供する:
式I -[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)。
【0013】
式I中のシロキサンブロックは、式 (R2SiO)x (式中、Rは、独立して、一価の有機基から選択され、xは4より大きな整数である)を有する、大部分が線状のシロキサンポリマーである。第一の実施態様では、xの値(すなわち、ポリシロキサン鎖の重合度:DPまたはdp)は、20〜100の範囲であり、あるいは30〜75の範囲である。これらの構造は、後で論じるように、水性媒体中で小胞を形成する。第二の実施態様では、xの値は、5〜19の範囲であり、あるいは5〜15の範囲である。これらの構造は、これも後で論じるように、10マイクロメートル未満の粒径を有する、水性媒体中で安定なエマルションを形成する。
【0014】
シロキサンポリマーにおいてRで表される有機基は、脂肪族不飽和結合を全く有さない。これらの有機基は、独立して、脂肪族不飽和結合を全く有さない一価の炭化水素基および一価のハロゲン化炭化水素基から選択することができる。これらの一価の基は、炭素原子を1個から20個、あるいは炭素原子を1個から10個有していてよく、制限されないが、例として、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシル等)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル等)、アリール(例えば、フェニル、トリル、キシリル、ベンジルおよび2-フェニルエチル等)、およびハロゲン化炭化水素基(例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル、3-クロロプロピルおよびジクロロフェニル等)が挙げられる。このオルガノポリシロキサンにおいて、脂肪族不飽和結合を全く有さない有機基の少なくとも50%、あるいは少なくとも80%は、メチルであってよい(Meで示される)。典型的には、このシロキサンブロックは、式 (R2SiO)x (式中、xは上記に定義したとおりである)を有する、大部分線状のポリジメチルシロキサンである。
【0015】
シリコーンポリエーテルのポリオキシアルキレンブロックは、式 (CmH2mO)y (式中、mは2から4までであり、yは4より大であり、あるいはyは5〜45であり、あるいはyは5〜25である)で表される。ポリオキシアルキレンブロックは、典型的には、オキシエチレン単位(C2H4O)y、オキシプロピレン単位(C3H6O)y、オキシブチレン単位(C4H8O)y、またはこれらの混合単位を含む。典型的には、ポリオキシアルキレンブロックは、オキシエチレン単位(C2H4O)yを含む。
【0016】
式I中の各ポリオキシアルキレンブロックの少なくとも1個の末端は、Rで表される二価の有機基によってシロキサンブロックに連結している。この結合は、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を合成するために用いられる反応によって決まる。二価の有機基Rは、独立して、炭素を2個から30個有する二価の有機基、および炭素を2個から30個有する二価の有機官能性の炭化水素から選択することができる。このような二価の炭化水素基の代表的な制限されない例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン等を挙げることができる。このような二価の有機官能性の炭化水素基の代表的な制限されない例として、アクリレートおよびメタクリレートを挙げることができる。典型的には、Rはプロピレン (-CH2CH2CH2-) である。
【0017】
(AB)ブロック型シリコーンポリエーテルは、末端がブロックされている。末端ブロック単位は、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を合成するために用いられる反応によって決まり、一般的には、用いた反応剤の残りの活性基である。例えば、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体は、ジアリルポリエーテル(すなわち、アリル基が各分子末端に存在する)の、SiH末端ポリオルガノシロキサンとの金属触媒ヒドロシリル化反応によって合成することができる。結果として得られる(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体は、プロピレンオキシ基(-CH2CH2CH2O-)を介してシリコーンブロックに連結するポリオキシアルキレンブロックを有し、わずかにモル過剰のアリルポリエーテルを用いることにより、アリル−末端ブロック単位(-CH2CHCH2)がもたらされる。別の末端ブロック単位は、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を合成するために用いられる反応中の他の分子であって、シロキサンまたはポリエーテルブロック中間体と反応可能な分子の添加によりもたらされる。例えば、単一末端脂肪族不飽和体結合(例えば、モノアリル末端化ポリエーテル)を有する有機化合物の添加により、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体のその有機化合物でのエンドキャップがもたらされる。典型的には、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテルの末端ブロック単位は、アリルエーテル(CH2=CHCH2O-)またはアリルポリエーテルである。
【0018】
(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体の分子量は、式I中の下付き文字のzによって示されるように、シロキサンおよびポリアルキレンのブロックの繰り返しの数によって決まる。典型的には、zの値は、重量平均分子量(M)が1,500〜150,000の範囲、あるいは、10,000〜100,000の範囲となるような値である。
【0019】
(AB)SPE中のシリコーンブロックのポリオキシアルキレンブロックに対する比は、どの構造が小胞または安定な水性エマルションを形成するかを明らかにするためにも用いられる。この分子パラメーターは、式Iにおけるx/(x+y)の値によって表される。x/(x+y)の値は、0.2から0.9まで、あるいは、0.4から0.9まで変動し得る。
【0020】
本発明の(AB)SPEは、このようなブロック共重合体を合成するために当技術分野で公知のいずれの方法でも合成することができる。あるいは、本発明の(AB)SPEは、後述する方法に従って合成することができる。
【0021】
本発明はさらに、以下の成分を反応させる工程を含む、(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体の合成方法を提供する:
a)SiH末端オルガノポリシロキサン、
b)各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレン、
c)ヒドロシリル化触媒、
d)任意選択により、溶媒、および
e)任意選択により、単一の末端不飽和炭化水素基を有する、有機末端ブロック化化合物。
この場合において、反応における、不飽和有機基のSiHに対するモル比は、少なくとも1:1である。
【0022】
本発明の方法において有用なSiH末端オルガノポリシロキサンは、式M’DM’で表すことができる。式中、「M’」は式R2HSiO1/2のシロキサン単位を表し、「D」は式R2SiO2/2のシロキサン単位を表し、ここで、Rは独立して上記に定義した一価の有機基である。典型的には、SiH末端オルガノポリシロキサンは、平均式 Me2HSiO(Me2SiO)xSiHMe2(xは上記に定義したとおりである)を有するジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。
【0023】
本発明の方法において有用なポリオキシアルキレンは、平均式-(C2H4O)y-を含むポリオキシエチレン〔式中、yは上記に定義したものと同じであり、各分子鎖末端(すなわちα位およびω位)が不飽和有機基で終止されている〕である。この不飽和有機基は、不飽和炭化水素基、例えばアルケニル基またはアルキニル基等である。アルケニル基の代表的な、制限されない例は以下の構造で示される;H2C=CH- 、H2C=CHCH2- 、H2C=C(CH3)CH2- 、H2C=CHCH2CH2- 、H2C=CHCH2CH2CH2- 、およびH2C=CHCH2CH2CH2CH2- 。アルキニル基の代表的な、制限されない例は以下の構造で示される;HC≡C- 、HC≡CCH2- 、HC≡CC(CH3) - 、HC≡CC(CH3)2 - 、およびHC≡CC(CH3)2CH2- 。各分子鎖末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンは、当技術分野において公知であり、多くのものが市販されている。あるいは、不飽和有機基は、有機官能性炭化水素、例えばアクリレート、メタクリレートなどであってよい。典型的には、ポリオキシエチレンは、平均式 H2C=CHCH2O(CH2CH2O)yCH2CH=CH2(式中、yは4より大であり、あるいは5から30までの範囲、あるいは5から22までの範囲である)を有する。
【0024】
SiH末端オルガノポリシロキサンと、各分子鎖末端に不飽和有機基を有するポリオキシアルキレンとを、当分野において公知のヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる。このようなヒドロシリル化触媒は、SiH末端オルガノポリシロキサンのケイ素に結合した水素原子の、ポリオキシアルキレンの不飽和炭化水素基との反応を容易にするいずれかの金属含有触媒として説明される。そのような金属として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金が例示される。
【0025】
ヒドロシリル化触媒の例示として以下のものが挙げられる;塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、炭素担体に吸着された微細白金粒子、金属酸化物担体に担持された白金(例えばPt(Al2O3)等)、白金黒、白金アセチルアセトネート、白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)、白金ハロゲン化物(例えばPtCl2、PtCl4、Pt(CN)2)、白金ハロゲン化物と不飽和化合物(例えばエチレン、プロピレン、およびオルガノビニルシロキサン、スチレン)との錯体、ヘキサメチル二白金錯体、およびRhCl3(Bu2S)3
【0026】
用いるヒドロシリル化触媒の量は、各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンとSiH末端オルガノポリシロキサンとの反応を室温または室温より高い温度で促進するのに十分な量である限り狭く限定されない。この触媒の正確な必要量は、利用する具体的な触媒次第であり、容易に予測できない。しかし、白金含有触媒については、この量は、成分(各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンおよびSiH末端オルガノポリシロキサン)1,000,000重量部につき白金1重量部という低い量にすることができる。触媒は、成分(各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンおよびSiH末端オルガノポリシロキサン)1,000,000重量部につき10から120重量部で添加することができるが、典型的には、成分(各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンおよびSiH末端オルガノポリシロキサン)1,000,000重量部につき10から60重量部で添加することができる
【0027】
ヒドロシリル化反応は、ニートで、またはd)の溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはn-プロパノール等);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等);芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエンまたはキシレン等);脂肪族炭化水素(例えばヘプタン、ヘキサンまたはオクタン等);グリコールエーテル(プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテルまたはエチレングリコール-n-ブチルエーテル等);ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタンまたは塩化メチレン);クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、ミネラルスピリット、またはナフサであってよい。
【0028】
溶媒の量は、最高で50重量%までであってよいが、典型的には20〜50重量%であり、この重量%は、ヒドロシリル化反応中の成分の総重量に基づく。ヒドロシリル化反応において用いる溶媒は、その後、さまざまな公知の方法で、結果として得られるシリコーン重合体から除去することができる。
【0029】
このヒドロシリル化反応に、このような反応を促進することが知られている追加的な成分を加えてもよい。これらの成分には、白金触媒との組み合わせで緩衝効果を有する塩、例えば酢酸ナトリウム等が含まれる。
【0030】
本発明の第一の実施態様において、式(I)の(AB)SPEは、xの値〔すなわち、シロキサン単位中のポリシロキサン鎖の重合度(DP)〕が20から100まで、あるいは30から75までである。これらの構造は、水性媒体中で小胞を形成する。このような小胞組成物は、小胞組成物を作るための当業者に周知な技術のいずれかを用いて、(AB)SPEを水と混合することにより調製することができる。混合技術のタイプおよび程度は、選択した(AB)SPEの具体的な構造次第である。例えば、一部の(AB)SPEは、水と混合すると自然に小胞組成物を形成するが、他の(AB)SPEは、小胞の形成を容易にするために、任意選択による水溶性溶媒(後述する成分B)を存在させる必要がある。
【0031】
任意選択による成分B)は、水混和性揮発性溶媒である。本明細書において、「水混和性」は、室温において少なくとも数時間で水との分散液を形成する溶媒を意味する。「揮発性」は、さまざまな温度において水より高い蒸気圧を有する溶媒を意味する。したがって、オルガノポリシロキサンと溶媒との水性分散液を、溶媒を除去するための条件下におくと(例えば、減圧下に分散液を加熱する等)、この溶媒が基本的に最初に除去され、全ての水またはほとんどの水は組成物中に残る。
【0032】
成分B)としての好適な水混和性揮発性溶媒は、有機溶媒、例えば、アルコール、エーテル、グリコール、エステル、酸、ハロゲン化炭化水素、ジオール等を含む。この有機溶媒は、シリコーンを効果的に分散させ、安定で均一な分散液を長時間維持するための比率またはそれ以下の比率で、水と混和可能でなければならない。例示の目的で示すと、水混和性のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび高級炭化水素アルコールを含み;エーテルは、グリコールエーテル、メチルエチルエーテル、メチルイソブチルエーテル(MIBK)等を含み;グリコールは、プロピレングリコールを含み;エステルは、トリグリセロールのエステル類、酸とアルコールとのエステル化生成物を含み;ハロゲン化炭化水素は、クロロホルムを含む。典型的には、水混和性有機溶媒は、比較的低い沸点(100℃未満)または高い蒸発速度を有し、減圧下で容易に除去することができる。最も好ましい本発明の水混和性有機溶媒は、揮発性アルコールであり、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびプロパノールを含む。これらのアルコールは、シリコーン分散液を含有する水性混合物から減圧ストリッピングにより周囲温度で除去することができる。
【0033】
本水性組成物は、さらに、任意選択により、シリコーンオイルまたは有機油(成分C))を含んでいてもよい。シリコーンは、一般式RiSiO(4-i)/2(式中、iは1から3までの平均の値であり、Rは一価の有機基である)のいずれの有機ポリシロキサンであってもよい。この有機ポリシロキサンは、環状、線状、分枝状、またはこれらの混合物であってよい。
【0034】
成分C)は、低分子量線状または環状揮発性メチルシロキサンを含む、揮発性メチルシロキサン(VMS)であってよい。シクロメチコーンのCTFA定義に適合する揮発性メチルシロキサンは、低分子量シロキサンの定義の範囲内にあるとみなされる。
【0035】
成分C)が有機油である場合、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の配合物における使用に適する、当分野において公知のいずれの有機油から選択してもよい。好適な有機油は、これに限定されないが、天然油(例えばココナッツ油等)、炭化水素(例えば鉱油および水素化ポリイソブテン等)、脂肪アルコール(例えばオクチルドデカノール等)、エステル(例えば安息香酸C12-C15アルキル等)、ジエステル(例えばプロピレンジペラルゴネート等)、およびトリエステル(例えばグリセリルトリオクタノエート等)を含む。有機油成分は、低粘度油および高粘度油の混合物であってもよい。好適な低粘度油は、25℃で5〜100mPa・sの粘度を有し、一般に、構造RCO-OR' (式中、RCOはカルボン酸基を表し、OR' はアルコール残基である)を有するエステルである。これらの低粘度油の例としては、イソノナン酸イソトリデシル、PEG-4ジヘプタノエート、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、ココ−ジカプリレート/カプレート、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、パルミチン酸オクチル、マレイン酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクチルドデカノール、またはオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、酢酸セチル、イソドデカノール、3-ジイソステアリン酸ポリグリセリル、またはこれらの混合物が挙げられる。高粘度表面油は、概して、25℃で200〜1,000,000mPa・sの粘度、好ましくは、100,000〜250,000mPa・sの粘度を有する。表面油は、ヒマシ油、ラノリンおよびラノリン誘導体、クエン酸トリイソセチル、セスキオレイン酸ソルビタン、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリアセチルリシノール酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、亜麻仁油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、イリッペ脂、なたね油、大豆油、ヒマワリ種子油、獣脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、胡桃油、コムギの胚種油、コレステロールまたはこれらの混合物を含む。任意選択による他の非シリコーン脂肪性物質として、鉱油(例えば流動パラフィンまたは液体石油等)、動物油(例えばペルヒドロスクアレンまたはアララ油等)、あるいは、植物油(例えばスイートアーモンド、胡桐、パーム、キャスター、アボカド、ホホバ、オリーブまたは穀物胚芽油等)を含む。例えば、アルコール(例えばオレイルアルコール、リノレイルもしくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノール等)と、ラノリンの酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、またはミリスチン酸との、エステルまたはアセチルグリセリド、または、アルコールまたはポリアルコールのオクタン酸エステル、デカン酸エステルまたはリシノール酸エステルを用いることもできる。あるいは、25℃で固体である水素化油(例えば、水素化キャスター油、パーム油、もしくはココナッツ油、または水素化獣脂;モノ−、ジ−、トリ−、またはスクロ−グリセリド;ラノリン;または25℃で固体である脂肪酸エステル等)を用いることもできる。
【0036】
本発明の組成物中の小胞の形成は、当技術分野において周知な技術で確認することができる。典型的には、小胞は、ラメラ相構造を有し、干渉偏光顕微鏡で解析すると複屈折性を示す。あるいは、小胞の形成は、低温透過型電子顕微鏡(Cryo-TEM)技術で実証することができる。粒径測定も、オルガノポリシランが、水性媒体中、典型的な小胞サイズで十分に分散していることを示すために用いることができる。例えば、0.500μm(マイクロメーター)未満の平均粒径が、分散された小胞に典型的である。0.200μm未満、または0.100μm未満の平均粒径を有する小胞が、本発明の教示により形成され得る。
【0037】
(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体(成分A))、任意選択による水混和性揮発性溶媒(成分B))、および水の量は、本発明の組成物において変動し得るが、典型的には、以下の範囲である;
A)2〜50重量%、あるいは2〜25重量%、あるいは2〜15重量%、
B)0〜50重量%、あるいは2〜30重量%、あるいは2〜20重量%、
C)0〜50重量%、あるいは1〜20重量%、あるいは2〜10重量%、
ならびに、A)、B)、C)、および水の重量%の合計を100%とするための適量の水。
【0038】
あるいは、本小胞組成物は、後で論じる本発明の方法にしたがって調製することができる。
【0039】
本発明はまた、以下の工程を含む水性組成物の調製方法を提供する;
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)任意選択により、水混和性揮発性溶媒と、
を水と共に混合して水性分散液を形成する工程、
II)前記水性分散液を混合して、10マイクロメーター未満の平均粒径を有する(AB)型シリコーンポリエーテル共重合体の分散粒子を形成させる工程、および、
III)任意選択により、前記水混和性揮発性溶媒を前記水性分散液から除去する工程。
【0040】
工程I)は、(AB)SPEである成分A)と、任意選択による水混和性揮発性溶媒である成分B)とを混合する工程である。工程I)の成分A)およびB)は、上述したものと同じである。工程I)において混合される成分A)、B)、および水の量は調製方法によって変動し得るが、典型的には、以下の範囲である;
A)2〜50重量%、あるいは2〜25重量%、あるいは2〜15重量%、
B)0〜50重量%、あるいは2〜30重量%、あるいは2〜20重量%、
ならびに、A)、B)、および水の重量%の合計を100%とするための適量の水。
【0041】
上記の工程IIは、工程Iで形成させた水性分散液を混合して、10マイクロメーター未満の平均粒径を有する、(AB)型シリコーンポリエーテル共重合体の分散粒子を形成させる工程である。工程II)の混合工程を達成するために必要な、特別な要求または条件は全くない。混合技術は、単純な撹拌、ホモジナイズ、音波処理、または当技術分野で公知の他の混合技術であってよい。混合工程は、バッチ式、半連続式、または連続式で行うことができる。
【0042】
上記の工程III)は、任意選択的であり、水混和性溶媒である成分B)を除去する工程である。典型的には、この水混和性溶媒を、当分野において公知の手法、例えば、任意で組成物を加熱しながら本小胞組成物を減圧下に置くこと等により除去する。このような手法の例となる装置は、ロータリーエバポレーターおよび薄膜ストリッパーである。
【0043】
本発明の第二の実施態様においては、式Iの(AB)SPEは、xの値(すなわち、シロキサン単位中のポリシロキサン鎖の重合度:DPまたはdp)が5〜19の範囲であり、あるいは5〜10の範囲である。これらの構造は、10マイクロメートル未満の粒径を有する、水性媒体中で安定なエマルションを形成する。この安定なエマルションは、水を連続相とするエマルションを調製するための公知の技術にしたがって、第二の実施態様の(AB)SPEを水と混合することにより調製することができる。あるいは、本エマルション組成物は、後で論じるように、本発明の方法に従って調製することができる。
【0044】
したがって、本発明は、10マイクロメーター未満の平均粒径を有し、水を連続相とするエマルションを調製するための、以下の工程を含む方法を提供する。;
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2〜30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)任意選択により、水混和性揮発性溶媒と、
を混合して疎水性相を形成する工程、および、
II)前記疎水性相に水を添加して、水を連続相とするエマルションを形成する工程。
【0045】
上記の工程II)における、(AB)SPEである成分A)、および任意選択による水混和性揮発性溶媒である成分B)は、上述したものと同じである。
【0046】
A)とB)との疎水性相を形成させた後、本方法の工程IIにおいてこの混合物に水を添加して、水を連続相とするエマルションを調製する。工程Iにおける成分A)、B)の混合、およびその後の工程IIにおける水との混合を行うために必要な、特別な要求および条件は全くない。混合工程および水の添加工程は、バッチ式、半連続式、または連続式のプロセスで行うことができる。
【0047】
工程I)の疎水性相はまた、シリコーンオイルまたは有機油を成分C)として含んでいてもよい。成分C)は上述したものと同じである。
【0048】
工程I)の疎水性相は、任意選択により、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の活性剤を含んでいてもよい。可能性のあるパーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の材料のリストは、参照により本明細書に援用されている国際公開第03/101412号に記載されている。パーソナル用またはヘルスケア用の材料は、パーソナル用またはヘルスケア用の「活性剤」、すなわち美容上および/または医薬上の活性を有することが知られているいずれかの化合物から選択することもできる。代表的なパーソナル用またはヘルスケア用の活性剤のリストは、参照により本明細書に援用されている米国特許第6,168,782号に開示されている。同一出願人による米国特許第5,948,855号(1999年9月7日)にも、いくつかの適切な油溶性活性剤材料の広範囲に及ぶリストが記載されている。例えば、水中油型エマルションの油性相中に使用することができるビタミンおよび薬物等、なかでも、ビタミン類、これだけに限定されないが、ビタミンA、レチノール、レチノールのC2-C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、およびこれらの混合物である。レチノールは、トランス-レチノール、13-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノールおよび3,4-ジデヒドロ-レチノールを含む。他の適切なビタミン類は、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、α-トコフェロール、トコフェルソラン、酢酸トコフェリル、リノレン酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、およびコハク酸トコフェリルを含む。
成分A)、B)、C)およびD)の量は、本発明のエマルションの調製方法によって変動し得るが、典型的には、以下の範囲である;
A)2〜60重量%、あるいは2〜50重量%、あるいは2〜40重量%、
B)0〜50重量%、あるいは2〜30重量%、あるいは2〜20重量%、
C)0〜30重量%、あるいは0〜25重量%、あるいは0〜20重量%、
D)0〜30重量%、あるいは0〜25重量%、あるいは0〜20重量%、
ならびに、A)、B)、C)、D)、および水の重量%の合計を100%とするための適量の水。
本発明はまた、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の材料をさらに含む小胞組成物に関する。したがって、本小胞組成物は、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の材料を取り込み、その後適用した後にこれらを送達するために使用される。可能性のあるパーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の材料のリストは、参照により本明細書に援用されている国際公開第03/101412号に記載されている。パーソナル用またはヘルスケア用の成分は、パーソナル用またはヘルスケア用の「活性剤」、すなわち美容的および/または医薬的な活性を有することが知られているいずれかの化合物から選択することもできる。代表的なパーソナル用またはヘルスケア用の活性剤のリストは、参照により本明細書に援用されている米国特許第6,168,782号に開示されている。
本発明にしたがって調製した組成物は、さまざまな、店頭販売(OTC)パーソナルケア用組成物、ヘルスケア用組成物、および家庭用組成物において使用することができるが、特にパーソナルケア用分野で使用することができる。したがって、これらは、制汗剤、脱臭剤、皮膚クリーム、皮膚ケアローション、保湿剤、顔用トリートメント剤(例えばざ瘡またはしわ除去剤等)、パーソナル用または顔用クレンザー、浴用オイル、芳香剤、コロン、サシェ剤、日焼け止め、プリシェーブおよびアフターシェーブローション、液状石鹸、シェービング石鹸、シェービング石鹸泡剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナ、ヘアスプレー、ムース、パーマネント剤、脱毛剤、ヘアキューティクルコート剤、メイクアップ剤、着色化粧品、ファンデーション、ブラッシェ、口紅、リップバルム、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、着色化粧品除去剤、爪磨き剤、およびパウダーにおいて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の組成物および方法をより詳細に説明するために示され、本発明を限定するものではない。実施例中の部およびパーセンテージはいずれも、重量をベースにしていて、特に示さない限り、測定値は全て23℃で得られたものである。
【0050】
[材料]
本発明のエマルション組成物において使用した代表的な(AB)型シリコーンポリエーテル(本明細書において(AB)SPEと呼ぶ)は、M’DxM’型シロキサン〔さまざまな重合度(xにより表され、周知のシロキサン重合技術を用いて合成されるもの)のジメチル水素末端(Me2HSiO)線状ポリジメチルシロキサン〕とアリル末端ポリエーテル〔平均式、
(CH2=CHCH2O(CH2CH2O)mCH2CH=CH2)
を有するα、ω−ジアリルオキシポリエーテル〕とのヒドロシリル化反応によって合成した。ポリグリコールAA600、AA1200、およびAA2000は、Clariant (Mt. Holly, NC)から入手したものを用いた。これらは、平均して、12、25、および44エチレンオキシド単位を含んでいた(EOとして示した単位、すなわち上記の式中でm=12、25、および44に該当する)。
【0051】
[試験手順]
粒径
(低温(Cyro:クライオ)−透過型電子顕微鏡(TEM))
本小胞組成物は、以下の手順にしたがってCyro-TEM法で解析した。約2.3μlの水性試料溶液をマイクロピペットを用いて、レイシー(lacey)カーボンフィルムコートされたCu TEMグリッド(アセトンおよびクロロホルムで洗浄しリンスしたもの)にロードした。試料は、脱イオン水で5%溶液に希釈した。グリッド表面上の過剰の液体を、1.5秒間濾紙で表面を吸い取ることにより除去して、TEMのための水性薄膜を作成した。このグリッドを、-175℃の雰囲気下、Cyro-プランジシステム内において、大きな液体窒素容器内に設置されたより小さい容器に入った液体エタン中に漬けて、グリッド上の水性薄膜をガラス状にし、水の結晶化を避けた。急冷された試料グリッドをCyro-プランジシステム内のCyro-グリッドボックスの中に移した。サンプルが入ったグリッドボックスを、液体窒素で満たされたGatan Cyro-搬送システムに移動して、あらかじめCyro-搬送システム内に設置し、-160℃未満まで冷却した、Cyro-TEM試料台にロードした。このサンプルをTEM (JEOL 2000FX)にロードし、-160℃未満の温度で画像を観察した。より低温フィンガー、TEM内で液体窒素を用いて-180℃まで冷却したフィンガーを存在させて、TEM解析中、高度な減圧下で低温の試料片表面上に混入する可能性のある不純物を減らすことができる。本明細書に示したデジタル画像は、TEMカラムの下部に装着したGatan CCDカメラ、およびDigital Micrograph softwareで取得した。
【実施例】
【0052】
[実施例1−6(参考例)]
表1にまとめたように、以下の一般的手順を用いて、SiHシロキサンとアリルポリエーテルとの白金触媒によるヒドロシリル化によって、種々の(AB)SPEを合成した。
【0053】
[SPEの合成手順]
温度プローブ、電気攪拌機、コンデンサーを備えた1000mlの3つ口丸底フラスコに、表1に示した量の、ポリエチレングリコールジアリルエーテル(Clariant Corp., Mt. Holly, NC)、キシレン 61グラム(g)、酢酸ナトリウム 0.28gを仕込んだ。次に、フラスコの内容物を100℃に加熱した。ジメチル水素末端ポリジメチルシロキサンを滴下漏斗から滴下した(量および構造は表1に示した)。シロキサン 5gを添加した後、白金触媒(ジメチルシロキサン中の1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体)0.60gを混合物中に添加した。シロキサンの半分を添加した時に追加のPt触媒 0.69gを添加し、その後、全てのシロキサンの添加が完了した時にPt 0.71gを添加した。反応混合物を1時間撹拌して重合体を伸長させた。その後、キシレン溶媒を、150℃での減圧ストリッピングにより除去した。
【0054】
いくつかのケースにおいて、(AB)SPEブロック共重合体を多数バッチ合成して、所与のシロキサンおよびポリエーテルの組み合わせからの、同じ(AB)SPEブロック共重合体の分子量変動体を作った。これらはまた、小胞組成物を調製するための、異なる鎖長(すなわちnの値)を有する(AB)型共重合体の好適性を実証する。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例12−16]:(AB)SPE2からの小胞組成物
以下の手順にしたがって、実施例12および13と同様にして、表3にまとめた小胞組成物を調製した。
【0057】
イソプロパノール(IPA)を、(AB)SPE2〔M’D50M’型シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型ブロック共重合体であって、50,108 g/moleの重量平均分子量(MW)を有するもの〕に添加して、均一な混合物を準備した。連続混合しながら、水を徐々に添加して、0.208μmの平均粒径を有する均一な分散液を形成させた。その後、分散液中のIPAをRotovaporを使用して減圧下、周囲温度で除去して、アルコールを含まない、0.223μmの平均粒径を有する均一な分散液(実施例13で示す)を得た。
【0058】
(AB)SPE2ブロック重合体を用いて、さらに3種の小胞組成物を、混合物の調製の後かつ減圧ストリップの前に任意選択によるホモジナイズ工程を導入したこと除いて、実施例12の手順にしたがって調製した。エタノール(EtOH)をIPAの代わりにアルコールとして用いた。組成物を表3にまとめた。データに示されるように、ホモジナイズ工程により、平均粒径が小さくなり、分散液の均一性が維持された。揮発性アルコール(EtOH)の除去は、分散液の品質に悪影響を及ぼさなかった。
【0059】
実施例14〜16の組成物の粒径分布を図1に示した。図2〜5に示した、実施例13〜16の組成物のcyro-TEM画像により、小胞構造の存在が確認された。
【0060】
【表2】

【0061】
[実施例17−19]:(AB)SPE1からの小胞組成物
(AB)SPE1〔M’D30M’型シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型ブロック共重合体であって、19486g/moleの重量平均分子量Mを有するもの〕の小胞組成物を、実施例12〜13の手順にしたがって調製した。これらの小胞組成物は、表4に実施例17〜19としてまとめた。3種の組成物はいずれも、40nm(0.040μm)未満の平均粒径分布を有していた。これらの実施例は、揮発性アルコールの除去が、分散液の品質に影響を及ぼさなかったこと、およびホモジナイズ工程は任意選択的であることを実証している。
【0062】
【表3】

【0063】
[実施例20−23]:(AB)SPE3AおよびBからの小胞組成物
(AB)SPE3AおよびB〔M’D75M’型シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体であって、それぞれ40,158g/moleおよび44,885g/moleの重量平均分子量Mを有するもの〕からの小胞組成物を調製した。これらの分散液は、実施例12〜13に記載の手順にしたがって調製し、表5にまとめた。
【0064】
【表4】

【0065】
[実施例24−25]:(AB)SPE3Bからのアルコールを含まない小胞組成物
(AB)SPE3B〔M’D75M’型シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型シリコーンポリエーテルブロック共重合体であって、44,885g/moleの重量平均分子量Mを有するもの〕からのアルコールを含まない小胞組成物を、実施例12〜13の手順に従い、かつ、減圧下でアルコールを除去することにより調製した。これらの組成物を表6にまとめた。
【0066】
【表5】

【0067】
[実施例26−27]:(AB)SPE1からの小胞に組み込んだビタミンAパルミテート
まず、ビタミンAパルミテートをイソプロパノールと50/50の比で混合した。次に、このビタミン/IPA混合物を、(AB)SPE1〔M’D30M’型シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型ブロック共重合体であって、19486g/moleの重量平均分子量Mを有するもの〕と、混合して均一にした。その後、エタノールを混合して均一な混合物を形成させた。連続的な攪拌下において、このSPE/ビタミン/アルコール混合物に、脱イオン水をゆっくりと徐々に加えて均一にした。この混合物を、APV-2000 Gaulinホモジナイザーを用いてホモジナイズし、表8の実施例26に示すサブ-ミクロン粒径を有する均一な分散液を調製した。実施例26の組成物は、その後さらにホモジナイズした。周囲温度、減圧下でアルコールを除去して、表8の実施例27に示す0.54μmの平均粒径を有する組成物を調製した。処理助剤であるアルコールの除去は、分散液の品質および粒径に影響を及ぼさなかった。
【0068】
【表6】

【0069】
[実施例28]
以下の、ビタミンAパルミテートを組み込んだ、水性分散液中の(AB)SPE小胞を、本発明のこれまでの実施例で示した方法に従って調製した。この(AB)SPEは、50dpシロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの共重合体である。小胞分散液の最終組成物を表9に示した。
【0070】
【表7】

【0071】
このビタミンを組み込んだSPE小胞は、スキンケア配合物に容易に配合することができる。オイルをベースにしたビタミン類を水をベースにした配合物に容易に組み込むことができる。以下の実施例はこのような実例を提供する。
【0072】
[実施例29]:水中油型ボディローション
【表8】

【0073】
ボディローションの調製を以下の手順で行った:成分A中の材料を混合し、85℃に加熱して均一にした。成分Aの混合物を40℃に冷却した後、成分Bの材料を加える。混合物を周囲温度にまで冷却する。ビタミンAパルミテートを組み込んだSPE小胞をこの混合物に加え、混合して均一にする。最終混合物は、滑らかな、わずかに黄色のクリーム状ローションである。
【0074】
[実施例30]:単純な皮膚用保湿ゲル
(AB)型SPE小胞は、水性ベースのゲル配合物に容易に配合することができる。SPE小胞は、油溶性ビタミン類を水に富むゲル配合物に組み込む簡便な手段を提供する。
【表9】

ゲルの調製を以下の手順で行った:成分Aの材料を混合して均一にする。次いで、ビタミンAパルミテートを組み込んだSPE小胞分散液を組み込み、混合して均一にした。最終製品はベージュの、滑らかなゲルである。
【0075】
さらに配合物中の小胞の完全性を明らかにするために、「配合したままの」製品のcyro-TEM画像を撮った。上記の実施例からのゲルの画像を図6に示した。図に示されるように、小胞および小胞の凝集体が良好に保たれている。
【0076】
実施例Aで説明した「調製したままの」ボディローション〔(AB)SPE小胞から調製〕のcyro-TEM画像を図7に示す。(AB)SPE小胞が独特に結びついた小胞群および凝集構造の特徴を図7に示す。
【0077】
[実施例31−32](参考例)
以下の一連の(AB)SPEを、実施例1〜6に記載の手順にしたがって合成した。
(AB)SPE31A−M’D15M’およびAA2000からの反応生成物、MW=16,022
(AB)SPE31B−M’D15M’およびAA2000からの反応生成物、MW=24,426
(AB)SPE32A−M’D15M’およびAA1200からの反応生成物、MW=33,552
(AB)SPE32B−M’D15M’およびAA1200からの反応生成物、MW=35,352
【0078】
[実施例33]:(AB)SPE31Aの水中分散液
(AB)SPE31A(M’D15M’シロキサンと、ポリグリコールAA2000ポリエーテルとの反応生成物)は、固体であり、45〜47℃の融点を有するワックス状物質であった。この重合体の分散液は、低剪断機械混合装置を使用して、この固体重合体を水中に分散することによって調製した。分散液は、1.867μmの平均粒径を有していた。
【0079】
[実施例34−36]:(AB)SPE31Aの、アルコール含有水中の分散液
(AB)SPE31A共重合体の分散液を、アルコール−水混合物中で調製した。表10にまとめたように、固体(AB)SPE共重合体を、機械的剪断装置によって、それぞれ5/85および20/70の比のイソプロパノール/水混合物中に分散させた。さらに、混合物からIPAを減圧ストリッピングすることにより、サブミクロンサイズの水中分散液も得られた。
【0080】
【表10】

【0081】
[実施例37]:ビタミンAパルミテートを組み込んだ(AB)SPE粒子分散液
ビタミンAパルミテートは水に溶解せず、直接水中に分散させることができない。本実施例は、粒子分散形成をする(AB)SPEブロック共重合体が、水不溶性ビタミン類を組み込むために利用でき、水中で安定な分散液を形成することを示す。分散液は、以下の手順で調製した:ビタミンAパルミテートと、Dow Corning(登録商標) DC 1-2287ビニルシリコーン液との50/50の比の予備混合物を準備した。この予備混合物を加えて、(AB)SPE31A共重合体との均一な混合物を形成させた。連続的に攪拌しながら、脱イオン水を上記混合物にゆっくりと加えた。表11に示すように、水中で1.68μmの平均粒径を有する分散液が得られた。分散粒子中のビタミンAパルミテートの組み込み量は、17%であった。
【0082】
【表11】

【0083】
[実施例38−40]:(AB)SPEからのSi/Wエマルション
組成の異なる3種のSi/Wエマルションを高剪断乳化プロセスによって調製した。この調製方法は以下の工程を含む:シリコーン液を(AB)SPE32A共重合体に加えて、均一な混合物を形成させた。少量の水をこのA相混合物に加えた後、Speed Mixerを用いて高剪断混合して水を分散させた。少量の水の添加は、混合物が、連続的、滑らかなクリームに転化またはこれを形成する(水を連続相とするエマルション濃縮物に転相したといわれる)まで継続した。残った水は、さらにエマルションを所望の濃度およびコンシステンシーに希釈するために添加する。最終的なエマルションは、1.3から2.1μmの間の平均粒径を有する。
【0084】
これらのSi/Wエマルションの実施例は、(AB)SPE共重合体とシリコーンオイルを含む所望の組成物のエマルション粒子を調製することが可能であることを実証した。これらの組成物を表12にまとめた。
【0085】
【表12】

【0086】
[実施例41−42]:サブミクロンの(AB)SPE31B共重合粒子の水中のエマルション
別の(AB)SPEブロック共重合体を用いて、Si/Wエマルションを調製した。(AB)SPE31Bは、M’D15M’シロキサンと、ポリグリコールAA2000ポリエーテル(44EO単位のセグメント長)とのブロック共重合反応生成物であり、45〜47℃の融点を有している。これらのSi/Wエマルションの実施例は、上述した実施例と同様に、高剪断混合機(Speed Mixer)を用いて機械的に乳化することにより調製した。これまでの実施例の中の段階的な手順を用いることができる。表13にまとめたように、最終的なSi/Wエマルションは、それぞれ0.394μmおよび0.725μmの平均粒径を有していた。
【0087】
【表13】

【0088】
[実施例43−45]:Si/Wエマルションおよびビタミンを組み込んだ(Si+O)/Wエマルション
Si/Wエマルション形態の(AB)SPEブロック共重合体は、水不溶性オイルまたは物質を担持し保護するのに用いることができる。これらのエマルションは、その後、水をベースにした最終製品におよび配合物に組み込むことができる。
【0089】
ビタミンAパルミテートは水不溶性であり、水ベースの配合物に直接組み込むことができない。これらの実施例は、さまざまな量のビタミンAパルミテートを含有する安定なSi/Wエマルションが、(AB)SPEブロック共重合体からうまく調製できることを明らかにした。
【0090】
Si/Wエマルションを、SPE32A共重合体〔M’D15M’シロキサンと、ポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)型ブロック共重合生成物であって、27〜32℃の融点を有するもの〕を用いて合成した。DC245シリコーン環状体、およびDC1-2287ビニルシリコーン液を用いて、以下のSi/Wおよび(Si+O)/Wエマルションを調製した。
【0091】
これらのエマルションは、以下の手順で調製した:まず、ビタミンAパルミテートをDC1-2287ビニルシリコーン液に混合して均一な混合物を形成させた後、攪拌しながら、(AB)SPE32A共重合体に加えて均一な予備混合物を得た。高剪断混合機(Speed Mixer)を用いて、このA相混合物に脱イオン水を、混合物が水を連続相とする混合物に転相するまでゆっくり、徐々に加えた。残りの水を、所望の組成までの希釈を完結するために剪断下で添加した。最終エマルションは、滑らかな、乳白色エマルションであり、表14にまとめた。
【0092】
2種のビタミンAパルミテートを組み込んだ(AB)SPEブロック共重合体分散液は、それぞれ1.62μmおよび1.02μmの粒径を有していた。ビタミンの組み込み量は、それぞれ13.4%および20.3%であった。
【0093】
【表14】

【0094】
[実施例46−47]:スキンケア製品に配合された、ビタミンを組み込んだエマルション
ビタミンAパルミテートを組み込んだ(AB)SPE粒子の水中分散液を、これまでの実施例で明らかにした方法に従って調製した。実施例46は、15dpシロキサンとポリグリコールAA2000ポリエーテルとの(AB)SPE共重合体から調製し、実施例47の分散液は、15dpシロキサンとポリグリコールAA1200ポリエーテルとの(AB)SPE共重合体から調製した。これらの分散液の最終組成物を表15に示す。
【0095】
【表15】

【0096】
ビタミンを組み込んだSPE粒子分散液を、スキンケア配合物中に配合した。
(水中油型ボディローション)
【表16】

【0097】
ボディローションを以下の手順で調製した:成分Aの材料を混合し、85℃に加熱して均一にした。この成分A混合物を40℃に冷却し、成分Bの材料を加える。この混合物を周囲温度まで冷却する。この混合物に、ビタミンAパルミテートを組み込んだSPE粒子分散液を加え、混合して均一にする。最終的な混合物は、滑らかな、わずかに黄色のクリーム状ローションである。
【0098】
本実施例で説明した「調製したままの」ボディーローションのcyro-TEM画像により、配合物の調製後においてもこの分散粒子が損なわれず安定なままであることが確認された。
【0099】
(皮膚用保湿ゲル)
本(AB)型SPE粒子分散液は、水性ベースのゲル配合物に配合することができる。SPE小胞は、油溶性ビタミン類を水に富むゲル配合物中に組み入れるための簡便な手段を提供する。
【表17】

ゲルを、以下の手順に従って調製した:成分Aの材料を混合して均一にした。その後、ビタミンAパルミテートを組み込んだSPE粒子分散液を加え、混合して均一にした。最終製品は、ベージュ、滑らかなゲルである。
【0100】
配合物中の分散粒子の完全性をさらに実証するために、「配合したままの」製品のcyclo-TEM画像を撮った。得られた上記実施例のゲルの画像により、分散粒子が良好に保たれていることが確認された。
【0101】
[実施例48−49]
以下のビタミンAパルミテートを組み込んだ(AB)SPE粒子の水中の分散液を、本発明のこれまでの実施例で明らかにした方法に従って調製した。実施例48と名付けたエマルションは、(AB)SPE32A〔15dpシロキサンとポリグリコールAA2000ポリエーテルとの共重合体〕から調製し、実施例49と名付けられたエマルションは、(AB)SPE31B〔15dpシロキサンとポリグリコールAA2000ポリエーテルとの共重合体〕から調製した。これらの分散液の最終組成物を、以下の表に示す。この場合、水混和性溶媒は全く必要ない。メチルビニルシリコーン環状体DC1-2287(ダウ・コーニング社より)を用いた。これら2種のエマルションの組成を以下の表16に示す。
【0102】
(AB)SPE共重合体から調製したエマルションの安定性も示す。表16に示すように、これらのエマルションの、40℃での5週間のエージング後の粒径は、これらの初期の値と比べて遜色がない。
【0103】
【表18】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】Figure 1は、実施例14〜16の小胞組成物の粒径分布である。
【図2】Figure 2は、水分散液中の(AB)n SPE 2のCryo-TEM 画像である。
【図3】Figure 3は、10 SPE /30EtOH / 60 水中に分散した(AB)n SPE ブロック共重合体散液である。
【図4】Figure 4は、EtOH / 水中で混合、ホモジナイズした(AB)n SPEブロック共重合体分散液である。
【図5】Figure 5は、ストリッピングしてEtOHを除去した(AB)n SPE 1 分散液である。
【図6】Figure 6は、ビタミンを組み込んだSPE小胞を配合した、実施例29のボディローションのCryo-TEM 画像である。
【図7】Figure 7は、ビタミンを組み込んだSPE小胞を配合した、実施例30のゲルのCryo-TEM 画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散粒子を有する水性組成物であって、前記分散粒子が平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体を含む、水性組成物。
【請求項2】
前記(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体の平均式のmの値が2であり、Rがメチルであり、Rがプロピレンであり、かつ、重量平均分子量が1,500〜150,000である、請求項1の水性組成物。
【請求項3】
前記分散粒子が10マイクロメートル未満の平均粒径を有する、請求項1または2の水性組成物。
【請求項4】
x/(x+y)の値が0.2〜0.9の範囲である、請求項3の水性組成物。
【請求項5】
前記分散粒子が小胞である、請求項3の水性組成物。
【請求項6】
xが20〜100の範囲である、請求項3の水性組成物。
【請求項7】
組成物がエマルションである、請求項3の水性組成物。
【請求項8】
xが5〜19の範囲である、請求項3の水性組成物。
【請求項9】
水混和性揮発性溶媒をさらに含む、請求項3の水性組成物。
【請求項10】
揮発性メチルシロキサンをさらに含む、請求項3の水性組成物。
【請求項11】
以下の工程:
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2から30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)任意選択により、水混和性揮発性溶媒と、
を水と共に混合して水性分散液を形成する工程、
II)前記水性分散液を混合して、10マイクロメーター未満の平均粒径を有する(AB)型シリコーンポリエーテル共重合体の分散粒子を形成させる工程、および、
III)任意選択により、前記水混和性揮発性溶媒を前記水性分散液から除去する工程、
を含む、水性組成物の調製方法。
【請求項12】
前記分散粒子が小胞である、請求項11に記載の調製方法。
【請求項13】
請求項11の方法により調製された、小胞組成物。
【請求項14】
パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の活性材料をさらに含む、請求項13の小胞組成物。
【請求項15】
以下の工程:
I)
A)平均式:
-[R1(R2SiO)x(R2SiR1O)(CmH2mO)y ]z-
(式中、xおよびyは4より大であり、mは2から4までであり、zは2より大であり、
Rは、独立して、一価の有機基であり、
は、炭素原子を2〜30個有する二価の炭化水素である)
を有する(AB)ブロック型シリコーンポリエーテル共重合体と、
B)任意選択により、水混和性揮発性溶媒と、
を混合して疎水性相を形成する工程、および、
II)前記疎水性相に水を添加して、水を連続相とするエマルションを形成する工程、
を含む、10マイクロメーター未満の平均粒径を有し、水を連続相とするエマルションの調製方法。
【請求項16】
工程I)の前記混合において、シリコーンオイルまたは有機油を含ませる、請求項15の調製方法。
【請求項17】
前記シリコーンが揮発性メチルシロキサンである、請求項15の調製方法。
【請求項18】
前記シリコーンがビニル官能性オルガノポリシロキサンである、請求項15の調製方法。
【請求項19】
工程Iにおいて、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の活性剤をさらに含む、請求項15、16、17、または18の調製方法。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか一項の方法により調製された製品。
【請求項21】
請求項20の組成物を含む、パーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−533831(P2007−533831A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509574(P2007−509574)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013328
【国際公開番号】WO2005/103118
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】