説明

シリコーン組成物、製造方法およびシリコーン組成物から形成された物品

約60以下のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンフィルム層を含むシリコーングリップ。シリコーンフィルム層は、シリコーン組成物の硬化を促進する触媒と、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する低分子量オルガノポリシロキサンt、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンを含む硬化性シリコーン組成物から形成される。硬化シリコーン層を接着剤と組み合わせて用いて柔軟で展性のグリップを提供し、および/または補助層と組み合わせて用いてよい。補助層は、固体または発泡体であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は、2005年8月2日出願の米国特許仮出願第60/704,640号および2005年8月3日出願の米国特許仮出願第60/704,982号の優先権を主張する。これらの出願は、参照によってともに全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高摩擦の硬化シリコーン組成物、それらの製造のための方法、および、それらから形成された、グリップ面を有する物品を含む、それらの使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ハンドヘルド物品は、湿潤状態、乾燥状態、または砂、ほこりまたは潤滑用粉体などの粒子の存在下など、さまざまな条件下で物品が滑ったり、落下したりしないよう、確実に保持することができる表面を有するのが望ましい。表面を柔らかくするとグリップを改善することができ、軽量プラスチック構成部品の場合好ましいが、グリップ面の耐久性に悪影響も及ぼすことがある。従来、グリップの改善に必要な性質、例えば、柔らかさおよび高い摩擦係数と、耐久性に必要な機械的性質との間の均衡を実現することは難しかった。
【0004】
2.5mmより大きな厚さと十分な柔らかさ(例えば約60より小さなショアAデュロメーター)とを有する厚いシリコーンシートなら、グリップと十分な耐久性とを有する適当な表面を得ることができる。しかし、シリコーンが薄いシート(厚さ2.5mm以下)の形になると裂けやすくなる。強化用裏地を用いて層を強化してもよいが、有効であるためには、シリコーン層の補助層への接着強さが分離を防ぐのに十分でなければならない。応力が繰り返される条件下ではこれを実現するのが難しいことがある。シリコーン層と裏地との間に接着剤を用いてよいが、有効な接着剤は、時間が経過するとシリコーンを劣化させることがある。さらに、シリコーン接着剤は高価であるし、非シリコーン接着剤は薄いシリコーンエラストマーには効果的に接着しない。
【0005】
従って、当分野では、良好なグリップ用表面を提供するのに有効なデュロメーターおよび摩擦係数を有し、ならびにさまざまな基剤への接着強さが強化された硬化シリコーンを含むグリップ用表面が依然求められ、任意選択として、グリップの改善によって改良される、物品への接着のための接着剤の使用が求められている。2.5mm以下の厚さで用いたとき硬化シリコーンを耐久性にすることができればさらに有利と考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記で説明した弱点および不利益は、約60以下のショアAデュロメーターを有し、外表面と、反対側の内表面とを有する硬化シリコーンフィルム層と、内表面上に配置され、内表面と接触する接着剤層とを含むシリコーングリップであって、シリコーンフィルム層は、シリコーン組成物の硬化を促進する触媒と、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンを含む硬化性シリコーン組成物から形成され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンとの反応によって、30から60のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンとの反応によって、20から60のショアOOデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出されるグリップによって軽減される。
【0007】
シリコーングリップの製造方法は、上記に記載の硬化性シリコーン組成物の層を接着剤の層と接触させること、および硬化性シリコーン組成物を硬化させることを含む。接着剤層は、剥離層の上に配置してよい。
【0008】
別の実施態様では、物品は、接着剤層を介して物品の表面に接着された上述したシリコーングリップを含む。
【0009】
物品の製造方法は、上述したシリコーングリップを接着剤層を介して物品の表面に結合することを含む。
【0010】
さらに別の実施態様では、シリコーングリップは、内表面と外表面とを有する上述した硬化シリコーンフィルム層と、第1の表面と第2の反対側の表面とを有する補助層(backing layer)とを含む多層フィルムの形であり、硬化シリコーン層の内表面は、補助層の第1の表面上に配置され、補助層の第1の表面と接触し、さらに、シリコーンフィルム層と補助層との間の接着強さは、ASTM D903に従って測定した180°引張り剥離試験によって測定したとき、25ミリメートルあたり1,000グラムより大きな力であり、任意選択として、補助層の第2の表面上に接着剤層を配置する。補助層の反対側の接着剤層の1つの側に任意選択の剥離層を配置してよい。
【0011】
多層フィルムを形成する方法は、上述した硬化性シリコーン組成物を補助層の第1の表面と接触させること、および硬化性シリコーン組成物を硬化させて多層フィルムを提供することを含む。硬化性シリコーン組成物を塗布し硬化させる前、または硬化性シリコーン組成物を塗布し硬化させた後に、補助層の第2の表面上に接着剤層および任意選択の剥離層を配置してよい。
【0012】
物品は、上述の多層フィルムを含み、補助層の第2の表面を接着剤によって物品の表面に接着させる。
【0013】
物品の製造方法は、上述の多層ケイ素(silicon)グリップを、補助層の第2の表面上に配置した接着剤層によって物品の表面に接着させることを含む。
【0014】
上記で考察した本発明の特徴および利点ならびにその他の特徴および利点は、以下の図および詳細な説明によって当業者には自明となり、理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書では、ハンドヘルド物品に優れた滑り防止特性を提供しつつ、シリコーン層の耐久性を維持することができる、柔らかなシリコーングリップを開示する。表面グリップは、硬化性シリコーン組成物から形成された硬化シリコーンフィルム層を含む。シリコーンフィルム層は、湿潤時を含むさまざまな条件下で、60以下のショアAデュロメーターと高い摩擦係数とを有する。薄膜の形であっても、シリコーンフィルム層は耐久性も有し、反復使用に耐える。グリップは、シリコーンフィルム層と接着剤層との形であってよく、または、補助層の上に配置され、補助層と直接接触するシリコーンフィルム層を含む多層フィルムの形であってよい。他の接着剤層および/または補助層も存在させて圧縮性、物品への接着強さ、適合性および類似特性などの追加の機能性を提供してよい。
【0016】
シリコーン層の有利な性質、詳しくは、柔らかさと耐久性との組み合わせは、成分、詳しくは、下記にさらに詳しく記載する高分子量アルケニル置換ポリオルガノシロキサン、低分子量ビニル置換ポリオルガノシロキサン、および水素化物置換ポリオルガノシロキサンの特定の組み合わせの使用によって提供される。任意選択の反応性オルガノシロキサン、すなわち、アクリラート、メタクリラート、および/またはエポキシ基などの反応性基を有するオルガノポリシロキサンを含むことによって、補助層への接着の改善をもたらすことができる。任意選択の低粘度、不揮発性オルガノポリシロキサン流体を用いれば、表面特性と凹凸とをさらに調節することが可能となり、その結果、グリップ特性の調節も可能になる。硬化性組成物中の各成分の相対量を調節して組成物の充填材レベルおよび粘度、ひいては硬化シリコーン弾性体中の柔らかさおよびその他の性質を調節することができる。
【0017】
通常、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する適当なオルガノポリシロキサンは、式:

によって表される。式中、下添字のa、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であり、下添字aとbとがともゼロに等しければ下添字cは2以上であるという限定を受け、Mは、式RSiO1/2を有し、Dは、式RSiO2/2を有し、Tは、式RSiO3/2を有し、Qは、式SiO4/2を有する。式中、各R基は、独立に、水素、末端置換C1〜6アルケニル基、1から40、詳しくは、1から6の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、R基の少なくとも2つはアルケニルR基であるという制限を受ける。適当なアルケニルR基の例は、ビニル、アリル、1−ブテニル、1−ペンテニルおよび1−ヘキセニルであり、ビニルが特に有用である。アルケニル基は、分子鎖末端、分子鎖側鎖位置、または両方に結合してよい。
【0018】
存在する場合、少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン中の他のケイ素結合有機基の例は、1から40の炭素原子を有する置換および非置換一価炭化水素基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルなどのアルキル基、フェニル、トリルおよびキシリルなどのアリール基、ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキル基、および3−クロロプロピルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基である。メチルおよびフェニルは、特に有用である。
【0019】
アルケニル含有オルガノポリシロキサンは、直鎖、部分分枝直鎖、分枝鎖またはネットワーク分子構造を有してよく、または、そのような構造の混合物であってよい。アルケニル含有オルガノポリシロキサンの例としては、トリメチルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端固定メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端固定ジメチルポリシロキサン類、ジメチルビニルシロキシ末端固定メチルビニルポリシロキサン類、ジメチルビニルシロキシ末端固定メチルビニルフェニルシロキサン類、ジメチルビニルシロキシ末端固定ジメチルビニルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルビニルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合体、および前記オルガノポリシロキサンの少なくとも1つを含む混合物が挙げられる。
【0020】
通常、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する適当なオルガノポリシロキサンは、式:
M′D′T′Q′
によって表される。式中、下添字a、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であり、下添字aおよびbがともにゼロなら下添字cは2以上であるという限定を受け、M′は、式RSiO1/2を有し、D′は、式RSiO2/2を有し、T′は、式RSiO3/2を有し、Q′は、式SiO4/2を有する。式中、各R基は、独立に、水素、1から40、詳しくは1から6の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、R基の少なくとも2つは水素であるという限定を受ける。詳しくは、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンのR基のそれぞれは、独立に、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリール、フェニル、トリル、キシリル、アラルキル、ベンジル、フェネチル、ハロゲン化アルキル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、および前記の少なくとも1つを含む組み合わせから選択される。メチルおよびフェニルが特に好ましい。
【0021】
水素は、分子鎖末端、分子鎖上の側鎖位置、または両方のケイ素に結合してよい。一実施態様では、水素は末端位置で置換される。別の実施態様では、分子あたり少なくとも3から4の水素が存在する。水素含有オルガノポリシロキサン成分は、直鎖、部分分枝直鎖、分枝鎖、環またはネットワーク分子構造を有してよく、または、例を挙げた分子構造を有するオルガノポリシロキサンからの2つ以上の選択物の混合物であってよい。
【0022】
水素含有オルガノポリシロキサンの例としては、トリメチルシロキシ末端固定メチル水素ポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端固定メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシ末端固定ジメチルポリシロキサン類、ジメチル水素シロキシ末端固定メチル水素ポリシロキサン類、ジメチル水素シロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチル水素シロキサン共重合体、ジメチル水素シロキシ末端固定ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体、およびジメチル水素シロキシ末端固定メチルフェニルポリシロキサンが挙げられる。
【0023】
硬化性シリコーン組成物は、上述のアルケニル置換ポリオルガノシロキサンの少なくとも2つの組み合わせを含み、1つは高分子量を有し、1つは低分子量を有する。各化合物の相対量は、その特定の分子量に依存し、従って、広く変化させてよく、同様に、各化合物の分子量は、化合物の量ならびに所望の硬化シリコーンの特性に依存して変化させてよい。通常、適当な高分子量化合物は、水素化物置換ポリオルガノシロキサンと反応すると、30から60のショアA硬度を有する硬化シリコーンを提供する。適当な低分子量化合物は、水素化物置換ポリオルガノシロキサンと反応すると、20から60のショアOO硬度を有する硬化シリコーンを提供する。低分子量成分(単数または複数)は、混合物全体の粘度を低下させることを可能にし、キャスティング、コーティング、展着、および、凹凸を有するキャリア上へのキャスティングを含むさまざまな凹凸を設ける方法を容易にする。
【0024】
水素化物含有オルガノポリシロキサン成分は、組成物を硬化させるのに十分な量、詳しくはアルケニル含有オルガノポリシロキサン成分中のアルケニル基あたり約1.0から約10のケイ素結合水素原子を提供する量で用いる。アルケニル基あたりのケイ素結合水素原子の数が10を超えると、硬化時に気泡が発生することがあり、結果として得られる硬化シリコーンの耐熱性が次第に低下することがある。
【0025】
非常に多彩な2剤硬化性シリコーン組成物が市販されているので、硬化性シリコーン組成物の調合のための1つの簡便な方法は、アルケニル含有成分と水素化物含有成分とをそれぞれ含む2つの異なる市販2剤硬化性シリコーン組成物を組み合わせることである。適当な第1の硬化性組成物が30〜60のショアA硬度を有する硬化シリコーンを提供する。この種類の硬化性シリコーン組成物の例は、例えば、マサチューセッツ州ピッツフィールド(Pittsfield, MA)のGEシリコーンズ(GE Silicones)から商標名LIM6040−D2で入手可能なものを含む。
【0026】
適当な第2の硬化性組成物は、20から60のショアOO硬度を有する硬化シリコーンを提供する。そのようなシステムは、「ゲル」、すなわち、軽く架橋した流体から広範に架橋した流体、あるいは硬化不足エラストマーを形成する。ゲルは、非常に柔らかで粘着性の表面(柔らかなゲルの場合)から、中程度に柔らかで触るとわずかに粘着性の表面(固体ゲルの場合)、粘着性がほとんどないかまたはまったくない硬化表面(強靭化ゲルの場合)までの範囲にあるという点で独特である。ゲル調合物を用いると、キャスティングまたは成型のための流動性の改善、存在する任意の充填材との適合性の改善、および、硬化プロセスの制御の改善の少なくとも1つが可能になる。そのような組成物は、耐久性と、表面粘着性および/またはグリップを向上させるための柔らかさの増加との均衡を向上させることができる。2剤硬化性ゲル調合物の成分は、上述したもの(すなわち分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよび分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン)に似ている。主な差異は、アルケニル置換オルガノポリシロキサンは低分子量であり、アルケニル基に対するケイ素結合水素基(SiH)基のモル比は、通常、1より小さく、硬化ゲルのゆるさ、柔らかさを有する「架橋不足」重合体を作り出すように変えられるという事実にある。アルケニル基に対するケイ素結合水素原子の比は、1.0より小さく、約0.75より小さく、約0.6より小さく、または約0.1より小さくてよい。適当な市販のオルガノポリシロキサンゲル調合物の例は、ミシガン州ミッドランド(Midland, MI)のダウコーニング社(Dow Corning Corp.)から3−4237ダイエレクトリックゲル(Dielectric Gel)および3−4241ダイエレクトリックタフゲル(Dielectric Tough Gel)の商標名で入手可能なものを含む。別の実施態様では、ゲル調合物は、部分硬化ゲルを2剤高分子量システムと共硬化させる1剤調合物であってよい。
【0027】
2つ(または3つ以上)の2剤組成物を用いて硬化性シリコーンを調合するとき、各組成物の相対量は、各成分の種類および量、ならびに所望の硬化シリコーン特性によって決まる。通常、硬化性シリコーン組成物は、充填材をすべて除いた硬化性シリコーン組成物の全重量を基準として、約30から約70、詳しくは、約40から約60重量パーセントの第1の硬化性シリコーン組成物と、約30から約70、詳しくは約40から約60重量パーセントの第2のシリコーン組成物とを含んでよい。
【0028】
硬化性シリコーン組成物は、反応性オルガノポリシロキサン、すなわち、アルケニル基とも反応性SiH基とも異なる反応性基を有し、共有結合によってオルガノポリシロキサンに結合してよいオルガノポリシロキサンをさらに含んでよい。理論には拘泥しないが、反応性のオルガノポリシロキサンは、特に補助層への硬化シリコーン層の結合を強化すると仮定される。この実施態様では、反応性のオルガノシロキサンは、式:
M″D″T″Q″
によって表すことができる。式中、下添字a、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であり、下添字aとbとがともにゼロなら下添字cは2以上であるという限定を受け、M″は、式RSiO1/2を有し、D″は、式RSiO2/2を有し、T″は、式RSiO3/2を有し、Q″は、式SiO4/2を有する。式中、各R基は、独立に、水素、アルケニル基、1から40、詳しくは1から10の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、シリコーン中に存在するあらゆるアルケニル基および/または反応性水素化物基に加えて、R基の1つ以上は反応性有機基であるという限定を受ける。適当な反応性基は、例えば、アクリラート、メタクリラートおよびエポキシ基を含む。
【0029】
そのような反応性基を含むポリオルガノシロキサンは、その該反応性基を含むオルガノポリシロキサンの合成時に、その反応性基を含むトリアルコキシシラン単量体の反応によって誘導するとよい。あるいは、反応性基は、上記に記載の2剤システムでは、混合物中の別々の成分として(例えば、トリアルコキシシラン単量体の形で)提供してよい。あるいは、反応性基を含むジアルコキシアルキルシランおよびアルコキシジアルキルシラン単量体を用いてよい。前記単量体中のアルコキシおよび/またはアルキル基は、1から10、詳しくは1から6、より詳しくは1から3の炭素原子を有してよい。1つの適当なアルコキシシラン単量体は、式(1):
【化1】


によって表されるエポキシシランである。式中、R、RおよびRは、独立に、水素またはC1〜10炭化水素基であり、RおよびRは、独立に、C1〜10アルキレンまたはC1〜10アルキリデン基であり、R、RおよびRは、独立に、C1〜10炭化水素基である。炭化水素基は、詳しくは、1から約6の炭素原子、より詳しくは約1から約4の炭素原子を含む。これらの炭化水素基は、詳しくは、アルキルである。アルキレン基またはアルキリデン基RおよびRは、詳しくは1から約6の炭素原子、より詳しくは1から約4の炭素原子、より詳しく1または2の炭素原子を含む。アルキレン基およびアルキリデン基は、メチレン、エチレン、プロピレンおよび類似基であってよい。
【0030】
アルコキシシラン単量体は、式(2):
【化2】


によって表される(メタ)アクリルシランでもあってよい。式中、R、R10およびR11は、独立に、水素またはC1〜10炭化水素基であり、R12は、C1〜10アルキレン基またはC2〜10アルキリデン基であり、R13、R14およびR15は、独立に、C1〜10炭化水素基である。炭化水素基は、詳しくは、1から約6の炭素原子、より詳しくは1から約4の炭素原子を含む。これらの炭化水素基は、詳しくは、アルキル(例えばメチル、エチル、プロピルおよび類似基)である。アルキレン基およびアルキリデン基は、詳しくは、1から約6の炭素原子、より詳しくは1から約4の炭素原子を含む。アルキレン基は、メチレン、エチレン、プロピレンおよび類似基を含む。
【0031】
特定の実施態様では、反応性基は、グリシドキシプロピルトリ(C1〜3アルコキシ)シラン、グリシドキシプロピルジ(C1〜3アルコキシ)(C1〜3アルキル)シラン、2,3−エポキシシクロヘキシル−4−エチルトリ(C1〜3アルコキシ)シラン、2,3−エポキシシクロヘキシル−4−エトキシエチルジ(C1〜3アルコキシ)(C1〜3アルキル)シランまたは前記シラン単量体の少なくとも1つを含む組み合わせから誘導してよい。反応性基は、オルガノポリシロキサンの分子鎖末端、分子鎖上の側鎖位置、または両者に結合してよい。別の特定の実施態様では、反応性基は、前記単量体の1つ以上を硬化性組成物と組み合わせることによって提供される。適当な反応性オルガノシロキサンを含む市販硬化性組成物の例は、ダウコーニング社から商標名3−4237ダイエレクトリックファームゲル(Dielectric Firm Gel)で入手可能である。
【0032】
反応性オルガノシロキサンは、反応性オルガノシロキサンのオルガノシロキサン中のケイ素含有単量体単位の100モル%を基準として、ケイ素含有単量体単位のモルあたりのモル基準で約0.1から約50モルパーセント(mol%)、詳しくは約0.5から約45mol%、より詳しくは約1から約40mol%、さらに詳しくは約2から約40mol%の反応性基を含む。
【0033】
硬化性シリコーン組成物中の反応性オルガノシロキサンの量は、反応性基および所望のエラストマー特性に依存して広く変化させてよい。例えば、硬化性シリコーン組成物は、充填材をすべて除いた硬化性シリコーン組成物の全重量を基準として、約0.05から約50重量パーセント(wt%)、詳しくは約0.1から約45wt%、より詳しくは約0.5から約40wt%、さらに詳しくは約1から約40wt%の反応性オルガノシロキサンを含んでよい。
【0034】
硬化性シリコーン組成物は、さらに、硬化性シリコーン組成物の粘度を調節し、および/または柔らかさなどの特定の性質を硬化生成物に提供するために、シリコーン流体(オルガノポリシロキサン流体とも呼ばれる)を含んでよい。適当なオルガノポリシロキサン流体は、約1,000cPより小さい、詳しくは約750cPより小さい、より詳しくは約600cPより小さい、最も詳しくは約500cPより小さい粘度を有する。そのようなオルガノポリシロキサン流体は、組成物の粘度を低くし、望むなら、それによって、充填材使用量の増加、充填材ぬれの向上、充填材分布の改善、成型の改善および/またはコーティングおよびキャスティング特性の改善の少なくとも一つを可能にする。詳しくは、オルガノポリシロキサン流体は、組成物の硬化反応、すなわち付加反応を実質的に阻害しないが、硬化反応に参加してもしなくてもよい。
【0035】
シリコーン流体は、非反応性であってよく、または、他のオルガノシロキサン成分と共硬化してよい。適当な非反応性シリコーン流体の沸点は、高分子マトリックス中に分散し、硬化時または硬化後に蒸発せず、表面へ移動したり脱気したりしないように十分に高い。それは、さらに、硬化シリコーン層の使用時の気体放出を減らし、表面への移動がほとんどないかまたはまったくないように選択される。適当な非反応性オルガノシロキサン流体は、260℃(500°F)以上の沸点を有し、分枝状であってよく、または直鎖であってよい。非反応性オルガノシロキサン流体の例は、ダウコーニング社のDC200を含む。
【0036】
シリコーン流体が共硬化性の場合、共有結合形成によってシリコーン流体を高分子マトリックスの一部とし、それによって気体放出および/または表面移動を最小限にしてよい。オルガノポリシロキサン流体は、アルケニル含有オルガノポリシロキサンおよび少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと共硬化性であってよく、従って、それ自体、アルケニル基またはケイ素結合水素基を含んでよい。そのような化合物は、アルケニル含有オルガノポリシロキサンおよび少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンについて上述したと同じ構造を有してよいが、さらに、約1,000cPより小さい粘度、詳しくは、付加硬化反応の硬化温度より高い、すなわち約260℃(500°F)以上の沸点を有してよい。
【0037】
硬化性シリコーン組成物は、さらに、通常、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含む部分の成分として、ヒドロシリル化反応触媒を含む。効果的な触媒は、アルケニル多重結合へのケイ素結合水素の付加を促進して硬化加速する。そのような触媒は、例えば白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、または前記金属の少なくとも1つを含む組み合わせなどの貴金属を含んでよい。触媒は、担体材料、詳しくは、活性炭、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、熱可塑性樹脂および前記材料の少なくとも1つを含む組み合わせも含んでよい。
【0038】
白金および白金含有化合物が好ましく、例えば、白金黒、アルミナ上白金粉体、シリカ上白金粉体、炭素上白金粉体、クロロ白金酸、クロロ白金酸白金−オレフィン錯体のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、およびメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、シリコーンおよび類似物などの熱可塑性樹脂中の触媒の分散の微粒子化によって得られる触媒を含む。触媒の混合物も用いてよい。
【0039】
シリコーン組成物を硬化させるのに有効な触媒の量を用いる。それは、通常、反応性オルガノシロキサン成分の合計量を基準として、約0.1から約1,000重量パーツパーミリヨン(ppm)の金属(例えば、白金)である。
【0040】
この問題を克服するために、ケイ素に結合した水素を含む高架橋密度シリコーン流体も用いてよい。官能基の数が多いと白金を必要とせずに硬化反応速度を向上させる助けとなり、従って、ポットライフの問題がない。存在させる場合、適当な架橋剤濃度は、オルガノポリシロキサン混合物の全重量を基準として、約0.5重量%以下である。適当な架橋剤の例は、商標名「1107フルード」でダウコーニング社から入手可能である。
【0041】
他の添加物、例えば、充填材(強化用充填材、装飾用充填材または導電性充填材を含む)、紫外線(UV)安定剤、帯電防止剤、顔料、抗菌剤または抗ウイルス剤および類似物、またはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせを硬化性シリコーン組成物のどちらの部分にも存在させてよい。添加物を存在させる場合、用いる量は、硬化シリコーン組成物の所望の性質が添加物の存在によって悪影響を受けないように選択する。
【0042】
用いる場合、硬化性シリコーン組成物の全重量を基準として、約0.1から約90wt%の量の充填材を加えてよく、残りは、オルガノポリシロキサンおよび任意の他の任意選択の添加剤である。単一の充填材を用いてよく、またはさまざまな平均粒子サイズを有する充填材の混合物を用いてよい。液体キャスティングプロセスにおいて、混合物がコーターの2つのロールの間を移動するとき、大型粒子サイズ充填材を用いると、薄い断面(例えば、約760マイクロメートル、32ミル以下)にするとき、ときとしてエラストマー中のピンホールまたは引裂きの原因となることが見いだされる。大型サイズ充填材(例えば、約90マイクロメートルの平均最長寸法を有するもの)と小型サイズ充填材(例えば、約45マイクロメートルの平均最長寸法を有するもの)とを混合すると、この問題を軽減することができる。一剤または両剤に補強用充填剤、通常、ヒュームドシリカを各剤の約10から約30重量%量存在させてよい。
【0043】
任意の充填材の添加、組み込み、およびぬれを可能にするために、硬化性シリコーン組成物の複合成分(充填材を除く)の粘度は、約100,000cPより小さく、詳しくは約50,000cPより小さく、最も詳しくは約35,000cPより小さい。あるいは、さらに、硬化性シリコーン組成物の複合成分(充填材を除く)は、ASTM C−603−98に従って測定したとき、約500g/分より小さい正味押し出し速度を有する。
【0044】
硬化性シリコーン組成物は、用いられる組成物および硬化方法に依存して、数分から1週間を超えるポットライフを有することがある。本明細書で用いられる用語「ポットライフ」は、硬化プロセスを開始した(例えば、触媒の存在下で共硬化性成分を一緒にして)ときから、望ましい流れの性質および/または操作性がもはや適当な生成物を提供するのに有用な製造プロセスのための範囲にない点へ硬化が進んだときまでに発生し得る時間の量を意味する。シリコーン組成物のポットライフの影響を受ける性質は、例えば、押し出し性、流れ、コート品質、コート均一性、コーティング厚さおよび欠陥の数を含む。通常、ポットライフは、室温で評価され、ある実施態様では、シリコーン組成物の共硬化性成分と任意の触媒との最初の接触時点から測定したとき、約4時間以上、詳しくは約6時間以上、より詳しくは約8時間以上、さらに詳しくは約10時間以上、さらに詳しくは約12時間以上であってよい。特定の実施態様では、シリコーン組成物は、約12時間から約9日のポットライフを有する。
【0045】
望ましくは、高温ではシリコーン組成物の硬化時間を短くする。従って、高温では約1から約20分間、詳しくは約2から約10分間、より詳しくは約2.5から約7分間、さらに詳しくは約3から約6分間の硬化時間が有用である。組成物の迅速、効率的な混合、加熱および/または硬化ならびに自動分注を用いる場合、そのような硬化時間が好ましい。
【0046】
適当なシリコーン組成物は、短いポットライフを有する高速硬化性シリコーン組成物と比較して、室温硬化時間を約1から約20分間の範囲から約7日間以上に増加させるのに十分なシリコーン組成物中の低いレベルの硬化剤、高いレベルの触媒抑制剤、高い重量含有量の活性架橋基(アルケニル基および活性水素化ケイ素基など)、またはこれらの限定条件の1つ以上を含む組み合わせを有してよい。室温の硬化時間をこの程度に増加させた場合、硬化を実現する温度またはその他の手段によって、シリコーン組成物予備硬化の操作を必要とする製造プロセスで用いるのに適する制御可能な、より短い作業寿命を可能にし、制御可能な諸条件下で硬化を実行してよい。熱、紫外線放射、可視光放射、圧力または前記条件の少なくとも1つを含む組み合わせを用いて硬化を実行してよい。特定の実施態様では、約80℃以上、詳しくは約90℃以上、より詳しくは約100℃以上、さらに詳しくは約125℃以上、さらに詳しくは約150℃以上の温度でシリコーン組成物を硬化させる。このようにして、一実施態様では、適当なシリコーン組成物は、約100℃で約30分より短い、詳しくは約25分より短い、より詳しくは約20分より短い、さらに詳しくは約15分以下の作業寿命を可能にしてよい。別の実施態様では、適当なシリコーン組成物は、約125℃で約12分より短い、詳しくは約10分より短い、詳しくは約9分より短い、さらに詳しくは8分より短い作業寿命を可能にしてよい。別の実施態様では、適当なシリコーン組成物は、約150℃で約10分より短い、詳しくは約8分より短い、より詳しくは約6分より短い、最も詳しくは約5分より短い作業寿命を可能にしてよい。
【0047】
あるいは、段階的硬化プロセス、例えば第1の時間(例えば5から15分)の低温(例えば60から80℃)の第1の硬化とそれに続く第2の時間(例えば5から20分)の高温硬化(例えば90から130℃)を用いてよい。前述の硬化方法の任意の段階、例えば80から150℃、詳しくは100から140℃で、ある時間(例えば30分から3時間)の後硬化を用いてよい。後硬化は、シリコーン層の補助層への接着を強化するために特に有用である。
【0048】
白金触媒システムを用いる場合、触媒の被毒が起こることがあり、その結果、強度が低い未硬化または硬化不十分のシリコーン組成物が形成されることがある。追加の白金、例えばダウコーニングからのスライオフ(SYLOFF)4000を加えてよい。しかし、硬化を改善するために大量の白金を加えると、ポットライフまたは作業時間が悪影響を受けることがある。この状況では、メチルビニル環状化合物、例えばダウコーニングからの1−2287キュアインヒビター(Cure Inhibitor)を硬化遅延剤として用いてよい。そのような物質は、室温で白金と結合して硬化を妨げ、従って作業時間を改善するが、高温では白金を放出してオーブン中の硬化に必要な時間に影響する。白金および硬化遅延剤のレベルを調節して硬化時間および作業時間/ポットライフを変化させてよい。過剰な白金レベルを用いるとき、通常、オルガノポリシロキサン混合物、充填材および他の添加剤物の全重量の約1wt%より少ない。詳しくは、この範囲内で、追加の白金濃度(すなわち必要とされる量より多い)は、約0.05wt%以上、より詳しくはオルガノポリシロキサン混合物の全重量を基準として約0.15wt%以上である。さらに、この範囲内で、追加の白金濃度は、用いられる充填材の種類および量に依存して、約0.6wt%より小さく、より詳しくは約0.45wt%以下である。
【0049】
硬化遅延剤濃度(硬化遅延剤を用いるなら)は、組成物全体の約0.3重量%下である。詳しくは、この範囲内で、硬化遅延剤濃度は、オルガノポリシロキサン混合物の全重量を基準として約0.005wt%以上、より詳しくは約0.025wt%以上である。さらに、この範囲内で、硬化遅延剤濃度は、オルガノポリシロキサン混合物の全重量および必要な作業時間またはポットライフを基準として、約0.2重量%以下、より詳しくは約0.1重量%以下である。
【0050】
調合物中にモレキュラーシーブも混合して、例えば充填材などの添加剤、および組成物の他の成分の存在と関連するすべての水を除去してよい。モレキュラーシーブを用いると、触媒の被毒を少なくする助けとなることがある。シーブの通常の量は、シリコーン組成物の全重量を基準として、最大約1から約5wt%、詳しくは約1から約3wt%、より詳しくは約1.5から約2.5wt%である。適当なシーブの例は、イリノイ州デスプレーンズ(Des Plaines, IL)のUOP社(UOP Corporation)の3Å(オングストローム)シーブである。
【0051】
本発明による硬化シリコーン層は、ASTM D2240−05に従って測定したとき、約60以下、詳しくは約50以下、より詳しくは約40以下、さらに詳しくは30以下、さらに詳しくは25以下のショアAデュロメーターを有する。特定の実施態様では、硬化シリコーン組成物は、5から約20、詳しくは10から約20のショアAデュロメーターを有する。別の特定の実施態様では、硬化シリコーン組成物は、約20から約40のショアAデュロメーターを有する。そのような高デュロメーターシリコーンは、改善された引っ張り特性を有してよい。
【0052】
さまざまな図を参照して、本シリコーングリップをさらに詳細に説明する。図1において、シリコーングリップ2は、シリコーンフィルム層4と接着剤層6とを含む。シリコーン層4は、外表面8と内表面10とを有し、内表面10の上に接着剤層6が配置される。外表面8は、物品に静止摩擦または滑り抵抗表面を提供する。
【0053】
グリップ能力または滑り抵抗は、少なくとも部分的に、外表面8の摩擦係数の関数である。硬化シリコーン層の摩擦係数を調節して、物品の表面に所望の度合いのグリップ能力を提供してよく、例えば、ASTM D−1894−01を用いて測定してよい。シリコーン組成物の特に有利な特徴は、それが、優れた触感ととともに、湿潤条件でも乾燥条件でも十分な摩擦係数を提供することである。既知のように、表面の摩擦係数は、少なくとも部分的に表面凹凸に依存する。
【0054】
従って、シリコーングリップ2の外表面8は、平坦であっても凹凸があってもよく、摩擦係数を改善し、改善した静止摩擦および/または滑り抵抗を提供し、および/またはさまざまな使用条件(例えば雨、汗、ダスト、ほこり、砂その他)下で望ましい触感を提供するように選択される。特定の表面仕上げは、意図する用途(すなわち、表面グリップを接着する物品)、意図する使用条件(例えば、湿潤、乾燥、砂中等)、所望の耐久性、製造の容易さおよび類似条件などを考慮して選択される。1つの種類のグリップに、さまざまな仕上げ、例えば、外表面8の一部分には平坦表面仕上げ、外表面8の別の部分には凹凸のある表面仕上げを持たせてよい。望ましくは、表面仕上げに凹凸を持たせて湿潤条件下と乾燥条件下との両方の表面の摩擦係数を向上させる。
【0055】
平坦な表面仕上げは、研削および研磨された表面ならびにつや消し仕上げされた表面を含む。通常、研削表面仕上げは、約50マイクロインチ(μin)(1.27マイクロメートル)以下の平均粗さ(Ra)値を含む。研削仕上げの例は、320サンドペーパーを用いて作られ、約38から約42μin(0.97から1.07マイクロメートル)のRaを示す表面を表すSPI#6表面仕上げ、または、600サンドペーパーを用いて作られ、約2から約3μin(0.051から0.075マイクロメートル)のRaを示す表面を表すSPI#4表面仕上げなど、ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・プラスティック・インダストリー(the Society for the Plastic Industry)の表面仕上げ特性分類システムによって表してよい。通常、研磨仕上げ(すなわち光沢仕上げまたは高光沢仕上げ)の例は、#15等級ダイヤモンドバフを用いる研摩によって作られ、約2から約3μin(0.051から0.075マイクロメートル)のRaを示す表面を表すSPI#3表面仕上げ、または#3等級ダイヤモンドバフを用いる研摩によって作られ、約1μin(0.025マイクロメートル)のRaを示す表面を表すSPI#1表面仕上げなど、約5μin(0.127マイクロメートル)以下のRa値を含む。つや消し仕上げ(すなわち低光沢仕上げ)は、約50マイクロインチ(1.22マイクロメートル)より大きなRa値を有し、サンドブラスト法(例えばガラスビーズブラスト法)、ボールピーニング、放電加工(EDM)およびその他によって作り出してよい。別の実施態様では、エッチングプロセス(例えば化学エッチング)、リソグラフィープロセスおよび類似技法によって、皮革の凹凸を模倣する凹凸を提供してよい。
【0056】
本明細書で用いられる凹凸表面仕上げは、約500マイクロメートルより大きな深さ(または高さ)を有する構成要素を有する表面を含み、成型法、刻印法、機械処理法、化学エッチング法および類似技法などの方法によっても付与してよい。凹凸は、ランダムであってもパターン化されていてもよい。凹凸表面の例は、突起物(例えば凸の正方形または凸のディンプル)、窪み(例えば凹んだ正方形または凹んだディンプル)、条痕、斜方交線、波線、パターン(例えば、魚鱗、蛇革、ダチョウ、皮革その他を模倣する凹凸)、モザイクパターン、ランダム幾何学構成要素(例えば石細工を模倣する凹凸)、平行構造体その他、ならびに前記凹凸構造体の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。例えば、図2に示すシリコーン表面グリップ20は、シリコーンフィルム層4の外表面8に配置された凹んだディンプル22を含む。図3において、表面グリップの別の例30は、シリコーンフィルム層4の外表面8から突き出した「S字形」表面構成要素を含むモザイク状の凹凸32を含む。
【0057】
一実施態様では、凹凸表面は、物品の表面に滑り抵抗を提供するのに十分な摩擦係数を有する平坦な表面である。さらに詳しくは、外表面8は、約100グラム(g)のスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従って測定したとき、約5以上の乾いたガラス上の静摩擦係数および/または約3.5以上の乾いたガラス上の動摩擦係数を示す平坦な表面である。あるいは、さらに、外表面8は、約100gのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従って測定したとき、約5以上の乾いたステンレス鋼上の静摩擦係数および/または約3.5以上の乾いたステンレス鋼上の動摩擦係数を示す平坦な表面である。
【0058】
別の実施態様では、凹凸表面は、物品の表面に滑り抵抗性を提供するのに十分な摩擦係数を有するディンプルを有する凸表面である。さらに詳しくは、外表面8は、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従って測定したとき、約11以上のガラス上の静摩擦係数および/または約7.5以上のガラス上の動摩擦係数を示すディンプルを有する凸表面である。あるいは、さらに、外表面8は、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従って測定したとき、約8以上の乾いたステンレス鋼上の静摩擦係数および/または約6以上の鋼上の動摩擦係数を示す。
【0059】
本シリコーン組成物の特定の利点は、そのような組成物に均衡した摩擦係数を持たせて製造することができる点である。良好なグリップ性を提供するためには高い摩擦係数が重要であるが、摩擦係数が高すぎる表面は、べとつく傾向があり、従って、良好な触感または接触特性を有しない。さらに、高い摩擦係数を有する表面ほどほこりや汚れを多く集める傾向があり、その結果、表面の外観およびそのグリップ特性に悪影響を及ぼす。従って、約100グラムのスレッド重量を用いて、ASTM D1894−01に従ってそれぞれ測定したとき、約40、詳しくは約35、より詳しくは約30、さらに詳しくは約20、さらに詳しくは約15、さらに詳しくは約10の乾いたガラス上の最大静摩擦係数、および/または約30、詳しくは約25、より詳しくは約20、より詳しくは約15、さらに詳しくは約10の乾いたガラス上の最大動摩擦係数を有するように、硬化シリコーン層を製造する。別の実施態様では、約100グラムのスレッド重量を用いて、ASTM D1894−01に従ってそれぞれ測定したとき、約40、詳しくは約35、より詳しくは約30、より詳しくは約25、さらに詳しくは約20、さらにより詳しくは約15、なおより詳しくは約10の乾いたステンレス鋼上の最大静摩擦係数、および/または約30、詳しくは約25、より詳しくは約20、さらに詳しくは約15、さらにより詳しくは約10の乾いたステンレス鋼上の最大動摩擦係数を有するように、硬化シリコーン層を製造する。
【0060】
輪郭表面上の滑り抵抗表面が望ましい用途では、図1〜3に例を挙げた種類のシリコーングリップが特に有用である。シリコーンフィルム層に展性があり、輪郭表面と同じ形になる(例えば、表面の上で伸びおよび/または表面の周りを包む)からである。輪郭表面、例えば曲面または不規則形状表面上にシリコーングリップを用いる場合、所望の度合いの展性を提供するようにシリコーンフィルム層の性質を選択する。例えば、シリコーンフィルム層は、ISO−527−1993によって測定したとき、約100%以上、より詳しくは約250%以上、さらに詳しくは約500%以上の伸びを示してよい。所望の柔軟性を提供するようにシリコーン層の厚さを変更してよい(例えば、シリコーン層4の厚さを小さくすると層の柔軟性および展性は増加する)。
【0061】
あるいは、さらに、所望の特性を提供するようにシリコーンフィルム層の表面凹凸を構成してよい。例えば、シリコーンフィルム層の1つの部分には、より大きな度合いの柔軟性および/または伸縮性を提供するように表面をパターン化するか、または、シリコーンフィルム層4の追加の柔軟性を提供することができる減少した厚さを含むようにシリコーンフィルム層を構成してよい。美感を目的としてシリコーン層に特定の凹凸も付与してよい。層が透明な(下記でさらに詳細に記載する)場合、通常、平坦な表面を用いる。凸のディンプルを有する表面は、表面上の汚染物質(例えば、ほこり、毛髪、綿ほこりおよび類似物)の出現を最小限にする。
【0062】
さらに、所望の表面凹凸とともに、所望の供用寿命(例えば1年)を提供するように、シリコーン層4の厚さを選ぶ。材料特性(例えば、引き裂き強さ、引張り強さ、デュロメーターその他)の評価、および用いられる表面グリップの使用に関連する変数(例えば、環境、力その他などの変数)によって、シリコーンフィルム層4の特定の厚さを求める。図3に示したように凹凸の大きな表面の厚さは、表面上に存在する凹凸のため変化する。多くの用途では、シリコーンフィルム層4は、約6,000マイクロメートルより小さく、より詳しくは約4,500マイクロメートルより小さく、さらに詳しくは約3,000マイクロメートルより小さい最大厚さを有する。最小厚さは、約10マイクロメートルより大きく、より詳しくは約25マイクロメートルより大きく、さらに詳しくは約50マイクロメートルより大きい。シリコーングリップの1つの有利な特徴は、柔らかさおよび高い摩擦係数などの望ましい表面特性を耐久性とともに薄膜中でも実現できる点にある。従って、好ましい実施態様では、シリコーンフィルム層4の最大厚さと最小厚さとは、どちらも約10から約250マイクロメートル、より詳しくは10から約150マイクロメートル、さらに詳しくは約10から約50マイクロメートルの範囲にある。
【0063】
使用条件下で、シリコーンフィルム層4の基質、すなわち物品の表面への適切な接着を提供するように接着剤層6を選択する。一実施態様では、接着剤は、感圧接着剤(PSA)である。PSAは、ゴム、アクリル、改質アクリルまたはシリコーン接着剤であってよく、物品および用途を考慮し、シリコーンフィルム層および物品との適合性に合わせて選ぶ。通常、ゴムPSAは、粘着性樹脂、油および酸化防止剤と調合したスチレンブロック共重合体などの合成、非ラテックスゴムである。これらの接着剤は、プラスチックなどの低表面エネルギー材料への接着を提供し、通常、約150°Fより低温で最善の性能を示す。高湿潤用途における接着を実現するようにゴムPSAを調合してよい。通常、アクリルPSAの方が溶媒、紫外(UV)光、高温、可塑剤、化学試薬および殺菌法に対してゴム系PSAより抵抗性がある。アクリル重合体から改質アクリル接着剤を調製し、ゴムシステムに見られる粘着剤などの追加成分を組み込む。改質アクリルは、非粘着性アクリル調合物と比較すると改善された初期粘着性および接着性を低表面エネルギー材料に提供するが、溶媒、可塑剤、紫外光、ならびに殺菌、せん断特性および温度への抵抗性が低下することがある。通常、シリコーン感圧接着剤は、初期粘着性および接着性が低いが、優れた温度性能(約700°F(371℃)まで)および化学薬品への抵抗性に優れ、同時に、シリコーン基質への安定に結合する。
【0064】
グリップと基質との間に十分な接着強さ(例えば剥離強さ)を提供する量の接着剤層6を用いる。当業者ならそのような量を容易に決定することができ、例えば、約1から約100マイクロメートル、より詳しくは、約5から約75マイクロメートル、さらに詳しくは、約10から約50マイクロメートルの厚さであってよい。
【0065】
別の実施態様では、シリコーングリップは、多層構造であり、多層構造は、シリコーンフィルム層、補助層、および多層構造を基質に接着させるための接着剤層を含む。図4に、この実施態様の例を示す。図4の多層フィルム40の例は、シリコーンフィルム層4を含み、シリコーンフィルム層4は、外表面8と、表面8と反対側にある内表面10とを有する。外表面8上の凸のディンプル42は、グリップ能力を強化する。内表面10には、第1の面41と第2の面43とを有する補助層44を配置する。シリコーン層と接触する面の反対側である補助層44の第2の面43には、任意選択の接着剤層6を配置する。多層構築物に用いるのに適する接着剤層6は、シリコーングリップ2に関して上記で考察したものと同様である。接着剤層の上には、保管および輸送時に接着剤層を保護するために、任意選択の取り外し可能な剥離層7を配置する。
【0066】
補助層44は、プラスチック、シリコーン層8のモジュラスより高いモジュラスのエラストマー、セルロース系材料、リグノセルロース系材料、天然繊維(例えば綿)、金属、セラミック、ガラスまたはこれらの1つ以上を含む組み合わせを含む、直接的手段または間接的手段によってシリコーン層を接着させることができる、非常に多彩な材料を含んでよい。補助層は、機械的強さ、強靭さ、成型性、引き裂き抵抗、コストおよび/または、色、暗所光輝および光学効果維持能力などのその他の美的効果を含む、硬化シリコーン層の非常に多彩な性質を増強することができる。従って、この材料は、所望の性質、例えば展性(または硬さ)、電気伝導率、および、物品との適合性など考慮点、ならびに意図する使用の条件、コスト、製造の容易さおよび類似条件にもとづいて選ばれる。例えば、シリコーンフィルム層に硬さを付与する(製造、耐久性またはその他の目的で)ことが望ましければ、金属または硬質プラスチックなどの硬い補助層を用いてよい。展性グリップおよび/または伸縮性グリップが望ましい場合は、引き裂き抵抗および強度を高めはするが、曲面および/または複合曲面を有する物品への利用を容易にするのに望ましい度合いの展性または伸縮性および適合性を有するように、基質を選ぶ。場合によっては、補助層は、基質と物品との間の保護バリアを提供する。
【0067】
補助層がプラスチックを含む場合、熱可塑性重合体または熱硬化性重合体を用いてよい。適当な熱可塑性重合体は、芳香族ポリカーボネートを含むポリカーボネートおよびその共重合体、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリアミド、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、および前記熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含む組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0068】
補助層は、ポリウレタンを含むが限定されない硬化、未硬化または部分硬化熱硬化性樹脂、および、エポキシ、シアネートエステル、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート、アクリル、アルキド、フェノール−ホルムアルデヒド、ノボラック、レゾール、ビスマレイミド、PMR樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ベンゾシクロブタン、ヒドロキシメチルフラン、イソシアネート、単独重合および共重合脂肪族オレフィンおよび官能化オレフィン重合体、およびそれらのアロイまたはブレンド、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニル−co−塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(アクリロニトリル)、(メタ)アクリルアミドの重合体などのアクリル重合体またはポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などのアルキル(メタ)アクリラートの重合体、およびシンジオタクチックポリスチレンを含むポリスチレンなどのアルケニル芳香族化合物の重合体から誘導したものも含んでよい。実施態様によっては、付加重合体基質は、ポリスチレン、特に、いわゆるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)およびアクリロニトリル−スチレン−アクリラート(ASA)共重合体である。これらは、ブタジエンおよびアルキルアクリラートのエラストマー基質重合体にそれぞれグラフトした熱可塑性、非エラストマー性スチレン−アクリロニトリル側鎖を含んでよい。
【0069】
前記重合体の任意のブレンドも用いてよい。熱硬化性樹脂基質は、さらに、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミドまたはポリエステルなどの熱可塑性重合体を含んでよい。代表的なブレンドは、PC/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PC/PET、PC/ポリエーテルイミド、PC/ポリスルホン、ポリエステル/ポリエーテルイミド、PMMA/アクリルゴム、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル−ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル−ポリアミドまたはポリフェニレンエーテル−ポリエステルを含むものでもあってよい。
【0070】
驚くべきことに、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルを含む補助層が硬化シリコーン層に対して優れた接着強さを有し得ることを見いだした。理論には拘泥しないが、層の間の接着強さの増加は、PETと隣接シリコーン層との間の適合性が大きいためと考えてよい。反応性基は、結合形成、または双極子−双極子、水素結合、または分散などの相互作用によって、補助層または基質とシリコーン組成物との間の相互作用点を提供し、それによって、接着強さが改善された硬化組成物を生じる結果とすることができる。シリコーン組成物の補助層または基質への接着強さが改善されると、シリコーンと補助層または基質との間を剥離させるために必要な力が増大し、その結果、それらから形成された物品の耐久性を改善することができる。
【0071】
補助層は、天然材料、例えば、木材、紙、ボール紙、板紙、パーティクルボード、合板、工作用紙、クラフト紙、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロースおよび類似物などのセルロース系材料および/またはリグノセルロース系材料も含んでよい。セルロース系材料と、熱硬化性樹脂(エポキシまたはフェノールレゾールを含む接着剤など)、熱可塑性重合体(PETまたはポリカーボネートなどの熱可塑性重合体を含む)、または熱硬化性樹脂と熱可塑性重合体とを含む混合物のどれかのブレンドを用いてよい。
【0072】
補助層は、電気伝導性にされた材料、詳しくは、重合体エラストマーも含んでよい。適当なエラストマーは、約80以下、詳しくは約60以下、より詳しくは約40以下の固有ショアA硬度を有するものを含み、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、EPDM、シリコーン、EPR、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、または上記エラストマー材料の少なくとも1つを含む組み合わせなどのエラストマーを含む。
【0073】
補助層は、硬化シリコーン層と基質(substituent)との間の保護緩衝材として働いてよい。アミン、硫黄、チオール、スルフィド、ジスルフィド、チオエステル、チオカルバメート、ポリスルフィド、ポリスルホン、リン化合物、酸性材料、可塑剤および類似物などの化学官能基がオルガノポリシロキサンの硬化および/または安定性に影響することを見いだした。基質がそのような置換基または化合物を含む場合、補助層は、硬化を進行させ、および/または硬化層を安定化させることができる化学的および/または物理的障壁を提供する。望ましくは、硬化前および/または硬化時にシリコーン組成物が接触する表面には、上記の基を存在させないかまたは低濃度にする。望ましくは、そのような基が基質中に存在する場合、シリコーン層と基質との間に配置された補助層も用いてよい。実施態様では、表面は補助層であり、補助層は、1wt%以下、詳しくは0.1wt%以下、より詳しくは0.01wt%以下、より詳しくは0.005wt%以下の化合物または前記硬化干渉基を含む化合物を含む。適当な市販の補助層の例は、バージニア州ホープウェル(Hopewell, VA)のデュポン帝人フィルム(Dupont Teijin Films)のメリネックス(Melinex)(登録商標)PETフィルム、およびデュポン(DuPont)のカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムを含む。
【0074】
1つの特定の実施態様では、柔軟な伸縮抵抗性多層フィルムが望ましく、補助層44は、織布または不織布、金属箔または伸縮抵抗性重合体フィルム(例えば、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミドその他)などの柔軟ではあるが伸縮抵抗性の材料である。詳しくは、基質44は、多層フィルム50を柔軟ではあるが伸縮に抵抗性にすることが可能な厚さを有する弾性重合体を含む。
【0075】
剥離層7は、補助層として有用な上述した重合体材料の多くを含む、剥離特性で知られた材料から形成してよい。剥離層の材料は、所望の柔軟さ、強さおよび接着剤層からの剥離性を提供するように選ばれる。一実施態様では、剥離層は、剥離被覆ポリ(エチレン)テレフタレートを含む。
【0076】
補助層は、発泡体の形でもあってよい。図5に示すように、多層フィルム50の例は、上述した硬化シリコーンフィルム層4を含む。シリコーンフィルム層4は、斜行平行線パターン52を含む外表面8と、外表面8の反対側にある内表面51とを有する。シリコーン層4の内表面51には、第1の面53と第2の面55とを有する補助層54を配置する。基質44の第2の表面45には、接着剤層6を配置する。多層構築物に用いるのに適する接着剤層6は、上記で考察したものと同様である。発泡体基質を用いると、多層フィルム50は圧縮性と展性とを具え、同時に振動、ノイズおよびショックを低下させることができる。輪郭表面上の滑り抵抗表面が望ましい用途では、発泡体は特に有用なことがあり、表面と同じ形になる(例えば、伸縮しおよび/または表面の周りを包む)ことができるように補助層54を選ぶ。
【0077】
本明細書で用いられる「発泡体」は、セル状構造を有する材料を指す。適当な発泡体は、立方フィートあたり約65ポンド(pcf)より小さい、詳しくは約55pcf以下の密度、および/または重合体発泡体の全体積を基準として約20から約99%、詳しくは約30%以上の空隙体積含量を有する。一実施態様では、発泡体は、立方フィートあたり約10から約30ポンド(lb/ft)(約160から約481kg/m)の密度、約0.5から約20lb/in(約0.3から約1.41kg/m)の25%圧縮力偏位(CFD)、約50から約110%の破断伸び、および約1%より小さい約70°F(21℃)設定圧縮を有する。
【0078】
発泡体は、コルクなどの天然材料、または重合体材料であってよい。重合体発泡体を形成するために用いてよい熱可塑性樹脂の特定の例は、ポリアセタール、ポリアクリル、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11またはナイロン12などであるがそれらに限定されないポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレート、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンおよび類似物、または前記熱可塑性樹脂の少なくとも一つを含む組み合わせ、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン/ナイロン、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン/ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル/ナイロン、ポリカーボネート/熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ナイロンおよび類似物を含む。
【0079】
重合体発泡体中に用いてよい重合体熱硬化性樹脂の例は、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エポキシ、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンまたは類似物、あるいは前記熱硬化性樹脂の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。
【0080】
一般に、発泡体の製造は、用いられる特定の重合体またはポリマーブレンドに特有である。例えば、熱可塑性体の場合、プロセスの1つの例は、重合体内に発泡剤を分散させることを含み、発泡剤は高温(例えば、約200°F(93℃)より高い)で反応して重合体溶融物を発泡させる気体を形成することができる。熱硬化性重合体の場合、プロセスの1つの例は、機械的に叩いて熱硬化性組成物(例えば、重合体、触媒、架橋剤、追加の充填材および類似物を含む)を泡立たせることを含む。組成物が泡立ったら、型の中に導入するか、シート上に広げるか、または連続的に移動するシートまたはベルト上に広げ、続いて硬化させてよい。
【0081】
一実施態様では、シリコーン発泡体基質を用いる。ポリシロキサン重合体、またはそれぞれが異なる分子量を有するいくつかのポリシロキサン重合体(例えば2頂または3項分子量分布)も用いて適当なシリコーン発泡体基質を作り出してよい。所望の発泡体を作り出すために、異なる官能基または反応基を有するいくつかのポリシロキサン基質重合体を有することも可能である。通常、1モルの水あたり約0,2モルのSiH基を有することが望ましい。用いられるポリシロキサン重合体の化学的性質に依存して、発泡および硬化反応を触媒させるために触媒(例えば、白金または白金含有触媒)を用いてよい。触媒は、シリカゲル、アルミナまたはカーボンブラックなどの不活性担体上に析出させてよい。クロロ白金酸およびさまざまな形のクロロ白金酸(例えば、六水和物形、アルカリ金属塩、および有機誘導体とのその錯体として)などの非担持触媒を用いてよい。さらに、アルコール、エーテルおよびアルデヒドなどを含むクロロ白金酸の反応生成物を用いてよい。他の有効な触媒は、ホスフィン、ホスフィンオキシドとの、およびエチレン、プロピレンおよびスチレンなどのオレフィンとの白金キレートおよび塩化第一白金錯体を含む。ポリシロキサン重合体の化学的性質によっては、白金系触媒の代わりにジブチルスズジラウレートなどの他の触媒を用いることも望ましいことがある。
【0082】
通常、発泡剤(水を含む)は、約1から約20重量パーセント(wt%)、またはより詳しくは約2から約15wt%、さらに詳しくは約3から約10wt%のシリコーン組成物を含む。発泡剤が常温以下の沸点を有するときは、他の成分と混合するまで、加圧下に保持する。望ましい特性を有する発泡体を得るために発泡剤の組み合わせも用いてよい。例えば、発泡の一次モードは水とポリシロキサンの水素化物置換基との間の反応の結果として放出される水素である反応性混合物に、クロロフルオロカーボンなどの物理的発泡剤を二次発泡剤として加えてよい。シリコーン発泡体の多孔度および密度を制御するために、さまざまな白金触媒抑制剤を用いて発泡および硬化反応の反応速度を制御してよい。そのような抑制剤の例は、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物およびアセチレン系アルコールである。
【0083】
補助層(固体であっても発泡体であっても)の厚さおよびその他の特性は、望まれる特定の性質、用いられる材料の性質(例えば、引き裂き強さ、引張り強さ、デュロメーターその他)、およびグリップを用い用途(例えば、環境、温度、力その他などの変数)に依存する。ほとんどの用途で、補助層の厚さは、約10から約6,000マイクロメートル、より詳しくは約25から約3,000マイクロメートル、さらに詳しくは約50から約1,000マイクロメートルである。基質を用いて追加の圧縮性を提供する場合、それは厚手の発泡体であってよい。しかし、シリコーンフィルムを強化し、および/またはシリコーンフィルム層の弾性を低くするために基質を用いるなら、例えば、約10から約2,000マイクロメートル、より詳しくは約1から約1,000マイクロメートル、さらに詳しくは約100から約500マイクロメートル、詳しくは約75から約750マイクロメートル、詳しくは25から500マイクロメートル、より詳しくは50から400マイクロメートル、約1から約55マイクロメートル、約1から約50マイクロメートル、さらに詳しくは約2から約45マイクロメートル、さらにより詳しくは約5から約40マイクロメートルの厚さを有する、薄手の非発泡基質を用いてよい。
【0084】
他の実施態様では、多層フィルムは、追加の層(単数または複数)を含む。例えば、図6に示すように、多層フィルム60は、丸いシリコーンのうね62を形成したシリコーン層4と、第1の面41と第2の面43とを有する固体補助層44とを含む。シリコーン層4の内表面10には、タイ層64を配置し、タイ層64は、シリコーン層4を基質44の第1の面41に結合する。任意選択として、多層フィルム60の製造後、補助層44の第2の面43に、接着剤層6(図示せず)を配置してよい。あるいは、接着剤層を物品の表面に配置し、第2の面43と接着剤とを介して多層フィルムを表面に接着させてよい。
【0085】
タイ層64は、2つの層の間の接(例えばボンディング)を向上させるために用いる。タイ層の形成に用いる材料は、当分野で既知であり、例えば、アクリラートモノマーおよびオリゴマー、イソシアネート末端ポリウレタンおよび類似物などの反応性化合物を含む接着プロモーターまたはプライマーを用いる化学処理を含む。タイ層材料は、シリコーンフィルムおよび基板層との適合性によって選ぶ。タイ層に加えて、またはタイ層に代えて、接着強さを強化するために、基質の表面を処理、例えば、熱処理、コロナ放電、オゾン分解、機械的粗面化、化学的粗面化(すなわちエッチング)および類似技法、あるいは前記処理法の少なくとも1つを含む組み合わせに付してよい。
【0086】
図7に、別の実施態様の例を示す。図7で、多層フィルム70は、リブ72を形成された硬化シリコーン層4、タイ層64および発泡補助層44を含む。接着剤層66によって補助層44を第2の補助層46に結合させる。適当な接着剤は、上述した接着剤を含む。図7に示した実施態様では、第1の補助層44は、グリップに柔らかさと展性とを提供する発泡体であり、一方、第2の補助層46は、例えば、グリップの伸縮を防ぎ、引張り強度を向上させ、および/またはグリップの引き裂き抵抗を増大させるために用いてよい。1つの特定の実施態様では、多層フィルムを約120°Fより高い動作温度に曝露し、柔らかさと伸縮に対する抵抗性とが望まれる場合(例えば、台所用品、ヘアドライヤー、ヘアアイロン、デッキ家具、ステアリングホイール、コーヒーマグその他)、フィルムは、例えば、約1,000〜3,000マイクロメートルの厚さを有する発泡シリコーン材料から形成された第1の補助層44、ならびに、例えば、約250から750マイクロメートルの厚さを有するポリエチレンテレフタレート重合体などの非エラストマー性材料から形成された第2の補助層46を含む。第1の補助層と第2の補助層との他の組み合わせを選んで他の性質を提供してよい。多層フィルムは、さらに、多層フィルムを物品(図示していない)に接着させるための接着剤層と、製造、保管および輸送時に接着剤の露出された表面を保護し、グリップの物品表面へ利用する前に取り除くための、接着剤層の露出された表面に配置された剥離層(図示していない)を含んでよい。
【0087】
任意のこれらの実施態様において、タイ層の代わりに、またはタイ層に加えて、接着剤層を用いてよく、例えば、接着剤層によってタイ層64を補助してよく、または接着剤層でタイ層64を置き換えてよいと理解するべきである。図8では、多層フィルム80は、角度のあるリブ82が形成された硬化シリコーン層4、タイ層64および発泡補助層44を含む。タイ層66によって第1の補助層44を接着剤層66および第2の補助層46に結合させる。剥離層7によって接着剤層6を保護する。
【0088】
任意の個別の層(例えば、シリコーン層4、第1の補助層44、第2の補助層46、接着剤層6、タイ層64、第2のタイ層66その他などの層)またはフィルム2または多層フィルム(例えば20、30、40、50、60、70、80)を含む層の組み合わせは、着色剤、顔料、染料、強化剤、安定剤、色安定剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗ドリップ剤、充填材、流れ助剤、可塑剤、エステル置換阻害剤、帯電防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、可塑剤、発泡剤、離型材およびその他、ならびに前記添加物の少なくとも1つを含む組み合わせなどの添加物を含んでよい。例えば、一方または両方の部分に、重量で各部分の約10wt%から約30wt%の量の非導電性強化充填材(例えば、ヒュームドシリカ、ガラス繊維、シリケート、TiO、黒鉛、炭酸カルシウム、雲母、タルクおよび類似物)を存在させてよい。
【0089】
抗菌添加剤、抗ウイルス添加剤または防腐添加剤は、特にシリコーン層4にあると、特に有用なことがある。抗菌添加剤の例は、普通、マイクロバンプロダクツ社(Microban Products Co.)がマイクロバン(MICROBAN)の商標で販売している2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェノールエーテルおよび5−クロロ−2−フェノール(2,4ジクロロフェノキシ)、Agイオンテクノロジーズ社(AgION Technologies Inc.)のAgイオン(AgION)、および/またはスルファジアジン銀などの銀抗菌剤、例えばクロルヘキシジンおよびその他などの防腐剤、ならびに前記の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。例えば、公衆電話の受話器、ドアの取っ手、スポーツ器具または装置(例えば野球バット、ジャングルジムその他)、例えば病院または老人ホームの手すりおよびその他の支持具、および同様な用途に用いることを意図したシリコーングリップ中に抗菌添加剤を用いてよい。
【0090】
多層フィルムの光学特性を変化させることができる着色剤、顔料および類似物に加えて、任意の層は、印刷(例えばパッド印刷、リソグラフィーその他)などのグラフィックおよび/または光学的構成要素も含んでよい。例えば、図4を再び参照すると、補助層44は、シリコーン層4を通して見ることができるグラフィックを含んでよい。グラフィックは、それに塗布された接着剤グラフィックまたはフィルムの層上に直接形成されたグラフィックを含んでよい。さらに、フィルムの異なる層の中および/または上に、添加剤および/またはグラフィックスの組み合わせを存在させてよいことは明らかである。当業者であれば、さまざまな有用な光学的効果を提供するさまざまな組み合わせの添加剤および層を有する多層フィルムを用いることができ、多層フィルムは、前記実施態様の例において開示した特定の組み合わせ、添加剤、層、グラフィックおよび組成物に限定されないことも自明である。
【0091】
多層フィルムは、上述した基質、接着剤、タイ層および剥離層の1つ以上をさまざまな組み合わせで含み、シリコーン層のための適当な支持および物品の表面との適当な連続性を提供することができると考えられる。追加の層も存在させてよい。例えば、インクジェット接着剤層を存在させて、商業的にまたは個人宅でグリップ上へインクジェット印刷することを可能にしてよい。熱伝達層も存在させてグリップを用いるラベル貼付を可能にしてよい。さらに、着色剤またはその他の光学効果添加剤を存在させる場合、シリコーン層、接着剤層または基質を含むさまざまな層の中に、さまざまな着色剤および/または充填材の組み合わせを存在させてよい。追加の構成要素、例えば、大型シートのグリップから小型グリップを簡単に分離するための穿孔を存在させてよい。グリップをディスペンサーとも組み合わせてよいと考えられる。従って、上述した多層フィルムは、本発明を限定するとみなすべきでない。
【0092】
硬化性シリコーン組成物から硬化シリコーンを調製するための簡便な方法は、異なる成分を混合して均一にし、真空下で脱気して空気を除去することを含む。次に、組成物を補助層、接着剤組成物、または剥離ライナー上にキャストし、組成物を室温(例えば25℃)に保持するか、または加熱して硬化させる。非反応性オルガノシロキサン流体を存在させるとき、硬化は、硬化時の流体の除去を実質的に防ぐために、流体の沸点より低い温度で行うものとする。詳しくは、硬化温度は、流体成分の沸点より少なくとも約20℃、詳しくは少なくとも約50℃、最も詳しくは少なくとも約80℃低くする。反応性流体を用いるとき、流体が飛散する前に硬化するように、硬化温度を選ぶ。任意選択の硬化後操作を用いてよい。キャリア上に硬化シリコーン層を形成する場合、接着剤をコートするかまたは補助層に移動させる。移動は、ラミネート法、ロール法、またはカレンダー法によってであってよい。
【0093】
連続法において、硬化性シリコーン混合物を移動キャリア上に移す。任意選択として、混合物の上にキャリアフィルムの別の層を延伸し、次に、コーターを通してサンドイッチ状の混合物を延伸する。これによって最終的なエラストマーの厚さが決まる。次に、組成物を硬化させた後、任意選択の硬化後操作を行う。一実施態様では、続く製造を容易にし、コストを低くするために、ロール形の連続製造法を用いる。こうすると、さまざまな厚さのシート形の連続ロールをキャストすることによって、液体組成物からのシリコーンの製造が可能になり、厚さの許容度が改善される。
【0094】
特定の実施態様では、硬化性組成物を凹凸のある剥離層上にキャストした後、硬化させることによってグリップを製造する。次に、凹凸のある面と反対側の面に接着剤を塗布する。あるいは、硬化性組成物を凹凸のある剥離層上にキャストし、反対の面に補助層を塗布してから硬化させる。別の実施態様では、硬化の前に反対側の面に塗布される補助層は、接着剤と剥離ライナーとを含む。
【0095】
硬化性シリコーン組成物をコートし、キャストしまたは凹凸型の中に注入して、凹凸のある表面を提供してよい。さらに別の実施態様では、部分硬化シリコーン層を凹凸のある表面と接触させて凹凸を形成させ、それから硬化を完了させて凹凸を固定させて、凹凸のある表面を提供してよい。特定の実施態様では、パターン化されたローラーから転写されるパターンを部分硬化シリコーン層に刻印する。別の実施態様では、硬化シリコーン層を機械的または化学的に処理してシリコーン層中にパターンを作り出して、凹凸構造を形成する。
【0096】
2つの補助層を用い、1つの層がシリコーン組成物の硬化を抑制することができると有利である。例えば、硬化時または硬化前に硬化性シリコーン組成物をポリウレタン補助層上に直接配置すると、シリコーン組成物の完全硬化を抑制することができる。硬化触媒の量を増加させるか、可能なら抑制剤使用量を減らすか、ポリウレタンの表面を不動態化させるか、またはシリコーン組成物中の反応部位の量を増加させれば、硬化シリコーン組成物とポリウレタンとの間の界面における反応性の低下をみな克服することができる。あるいは、適切な場合、詳しくは、補助層にはシリコーン組成物の硬化と干渉することができる反応性官能基がない場合、硬化性シリコーン組成物とポリウレタンとの間に補助層を用いれば、硬化に伴うあらゆる困難を克服することができる。
【0097】
本明細書で開示するシリコーングリップは、ハンドヘルド物品、および、フローリング(階段を含む)、マット、シート、調理台、乗り物表面、家具および電気機器の底、家具および類似物などの非滑り表面を必要とするその他の物品を含む非常に多彩な用途に用いてよい。
【0098】
一実施態様では、任意の図に示す展性のシリコーングリップを輪郭表面に配置してグリップを向上させてよい。例えば、図9には、シリコーングリップ90を適用した野球バットのハンドル92の例を示す。この実施態様では、シリコーングリップ90によってバットハンドルの摩擦が向上する(例えば、バットがユーザーのグリップから滑って抜ける可能性が減る)。一実施態様では、シリコーングリップ90は、接着剤層によってバットハンドルに接着されたシリコーンフィルム層である。別の実施態様では、シリコーングリップは、シリコーンフィルム層と接着剤層との間に配置された発泡基質(示されていない)を含む。発泡基質を用いると、バットの使用時の衝撃および/または振動を減らすことができる。あるいは、図10に示すように、ハンドル102の周りにグリップのテープ100を巻きつけてよい。
【0099】
スポーツに関連する他の用途は、例えば、ゴルフクラブ、ラケット、自転車ハンドル、アイスピック、ラクロススティック、フィールドホッケースティック、ホッケースティック、スキーポール、野球バット、パドルおよびラケット(例えば、ピンポン、カヤック、カヌー、テニス、バドミントンその他)用のグリップ、銃床、ライフル肩掛け裏地、釣りアクセサリー(例えばロッドおよびルアー)、双眼鏡、競技用手袋(例えば、ゴルフ、野球、フットボール、重量挙げ、車輌運転)、ボール表面(例えばドッジボール、水球ボール、フットボール)、接触を改善する競技用靴の底面(例えばサッカースパイク、フットボールスパイク)、重量挙げ競技者用のハンドパッド、眼用具(例えば防護眼鏡)、ヘルメット内補助パッド材、水筒、スケートボードデッキ、サーフボード、ジェットスキー、スリーピングバッグ、ゴルフ練習マット、ゴルフカート座席、カヌー/カヤック座席、浮き器具(例えばスイミングプール用浮き)、水泳プール滑り防止区域および水泳プール裏地を含む。グリップは、ジャングルジム、ブランコの座席、スライドステップその他などの遊び場装置にも用いてよい。特に、シリコーン層の外表面がディンプルを含み、ディンプルが抗力を小さくすることができるとき、ボートの船体および舵にもグリップを用いてよい。
【0100】
1つの特定の実施態様では、図11に例を示すように、サーフボードの静止摩擦パッド90としてシリコーングリップを用いる。シリコーンフィルム層は、展性(グリップをボードの輪郭に合わせることができる)と耐久性とに加えて、濡れたときでも有効な静止摩擦を提供することを見いだした。別の有利な特徴では、グリップは、透明体として製造することができ、従って、ボード上のグラフィックを隠さない。あるいは、上述したように、グリップは、それ自体が着色効果またはグラフィック効果を提供するように構成することができる。
【0101】
料理用途の例は、なべおよびフライパンの柄、器具の柄(例えばナイフ)、皿類、三脚台、プレースマット、例えば、飛行機または列車内のプレースマット、トレイライナー、飛行機または列車の上の折り畳み食事用トレイ、ホットプレート、ワインラック、まな板底部、台所設備(例えば、ブレンダー、トースター、コーヒーポットの底部、冷蔵庫の取っ手その他)、台所ツール(例えば、缶切り、ジャーフタを開けるためのグリップパッド、オーブン用ミット)、およびカップ、マグ、ビンおよびビンのフタ、ジャーのフタ、飲用グラス、ボウル、プレート、盛り付け用の器、赤ちゃん用食器などの食器類および類似物を含む。例えば、図12を参照すると、シリコーングリップ200を備えるカップ120の例が示される。シリコーングリップ200は、カップ120が置かれた場所で滑る確率を減らす。一実施態様では、カップ120は、振動を吸収することができ、従って、振動時にカップ120から液体がこぼれる可能性を減らすことができる発泡体基質を有する多層フィルムを含む。
【0102】
家庭用または事業用の利用の例は、手動工具(例えばネジ回し、レンチおよび類似物)、電動工具(例えばドリル)、温度計、ハンドヘルド器具(例えば、筆記用具、定規、懐中電灯(例えば、反射板を有する)および運搬ケースおよびパウチ、ハンドヘルド電子デバイス用パッド(携帯ゲームシステム、CDプレーヤー、MP3プレーヤー、DVDプレーヤー、ノートパソコン、リモコン、テレビゲームおよびテレビゲームコントローラおよび個人用携帯情報機器など)、キャディーおよびクレードル(例えば充電器、ドッキングステーション)、ヘアドライヤー、ヘアカール用アイロン、電気カミソリ、体毛リムーバー(例えばペット体毛リムーバー)、カメラ(例えば、ディジタルカメラ、ビデオカメラ)、軍事感知装置および類似物)、電子式アクセサリー(例えばノート(notebook)クーラー)用のグリップ、携帯電話ならびにハンズフリーデバイスおよびイヤホーンおよびヘッドセットなどの携帯電話用アクセサリー、紙取り扱いデバイス(例えばプリンタローラー、シリンダー印刷用などのその他のローラ)、キャビネットドアクッション、クローゼットドアクッション、棚ライナー、引き出しライナー、ドアノブ、スイッチ(例えば、照明スイッチ、トグルスイッチ)、室内装飾品(例えば敷物、家具その他)の底部、木製家具(例えば二段ベッド)の保護、濡れた表面(例えば、浴槽、浴室床)のための滑り止めパッド、器具の底部(例えば、ランプ、ホッチキスなどのオフィス装置、卓上メモパッド、パンチャー、鉛筆削り、電話、デスクトップコンピュータ、コンピュータアクセサリー(例えば、キーボード、モニター、デスクトッププリンタ、マウスパッドおよびマウスローラ、LCDコンピュータスクリーンプロテクター、ファックス機および類似物)、家庭用の表面(例えば台所カウンター、窓ガラス備え付けデバイス)、コースター、灰皿、グラス用置き台(例えば卓上)、接着および水平を容易にする装飾アイテムの底部、(例えば鉢植え植物、画枠および画枠掛けパッド、壁掛け、時計、クリスマス装飾)、電気絶縁、コンベヤーベルト、光源を有し任意のものを光らせるカバー、合い鍵用の色付きの点マーク、トロフィーおよび類似物を含む。1つの特定の実施態様では、図13に示すように、シリコーングリップ130は、携帯電話132に貼り付けられたジグザグ形の凹凸を有するシリコーン層4を含む。シリコーン層4は、使用時の電話器のグリップ性を改善し、表面上に置いたとき静摩擦を向上させる。
【0103】
その他の使用は、手すり(例えば、階段の手すり)、フローリング(例えば建物の入り口通路、両面マット、滑り止めクッションフローリング)、ランナー、階段トレッド、アンダーカーペット、はしご段および類似物を含む。
【0104】
個人用の用途の例は、衣類(例えば、ブラストラップまたはストラップレスブラ、およびウエストバンド)、ひざパッドおよびひじパッド、コートハンガー、靴内部、滑りを防ぐ履き物(例えば、ブーツ、スリッパ、ソックス、パジャマ、体操スリッパ、ダンス靴、幼児用歩行練習靴、病院ソックス、老人靴パッド、バスケットボールスニーカーなどのスポーツ靴)の底、靴ひも、バックレスシューズ用かかとグリップ、ソックスのトップバンド、ラゲッジハンドル、爪切り、カミソリ、ヘアートリマー、はさみ、眼鏡用鼻パッドおよび耳ループ、吊りひもまたはひも裏地(例えば、バックパック、財布、ひも)、ブラシの柄(例えば、メーキャップブラシ、ヘアーブラシ、歯ブラシ、絵筆)、香水ビン、ミラー(例えばバニティミラー)用フットパッド、練り歯みがきチューブおよび類似物を含む。
【0105】
自動車用途の例は、接触表面(例えば、車輌のダッシュボード上)、例えば自動車の中での携帯使用のためのビデオコンソールの底面、その他を含む。他の輸送用途は、ステアリングホイール、変速レバーおよびカップホルダー、ダッシュボード用マット、ダッシュボード上のアイテム(例えばガラス、電話、トランスポンダー)のためのパッドの下面、自動車シートおよび補助シート、日よけ、バンパーステッカー、ボートのキャビン内のボートデッキ材および表面(例えば棚、調理台)を含むボートのデッキ材、皿類(例えば、航海用皿類、飛行機用およびレジャー用車輌のための皿類および類似物)、レジャー車輌フローリングおよび表面(例えば棚、調理台)、航空機頭上荷物入れ、航空機コックピットおよび類似物のグリップなど、レジャー車輌、ボート、飛行機およびキャンピングカーにおける使用を含む。
【0106】
玩具およびホビー用途の例は、キーボードの鍵、ギターのピック、ドラムスティックのグリップ、運動面マット、ホビー工具の柄(例えばハンダごて)、遊び場(例えば、託児施設、子供用寝室)用フローリング、玩具グリップ、ハンドヘルド玩具(例えば、ビルディングブロック)、玩具ホイール(例えば、硬材の床の上で使用するためのキズを付けにくいホイール)、写真(例えば、三脚の脚を止めるジョイント、写真グリップ、写真用ポストイットパッド)、衣服のへりを直すための両面へりスティック、装飾移し絵またはステッカー(例えば、壁、窓、浴室タイル、シャワードアーおよび類似物のための移し絵、ステッカーおよび壁パズル)、ブックマーク、塗料ローラトレイその他を含む。
【0107】
屋外用途の例は、園芸工具(例えば熊手、シャベル、鍬その他)の柄、電動工具(例えば芝刈り機、チェーンソー、除雪機その他)の柄、傘の柄および類似物を含む。
【0108】
医療用途および患者看護用途は、歩行器、松葉杖および杖用グリップ、エアーキャスト用パッド、圧縮ラップ用スリーブ、洗面所の障害者用手すり、車椅子グリップ、車椅子ひじかけ、ハンドルおよびシート、浴槽摩擦パッド、病院手すりおよび滑り止め手すりカバー、キーボードオーバレイ、ドアノブ、蛇口、電話、医用計器、用具、ペン、手袋などの抗菌使用、手術器具トレイライナーおよびマット、ハンドヘルド医用計器、指モニター装置、呼吸マスクおよびガスマスク、老人および/または障害者介助装置、詳しくは、シート、肘掛け、手用グリップ、床接触部分、およびそれらのハンドヘルド部分、便座、投薬びんキャップ(例えば点眼びん)、丸薬ビン、マンモグラムパッドその他、姿勢支持具(例えば滑り止めシートマット、姿勢あて)を含む。
【0109】
上記に詳細を示した用途は、例であると考えられる。以下の用途は、特に好ましく、例えば、以下に列挙するもののグリップを含む。ゴルフクラブ、ラケット、自転車ハンドル、アイスピック、スキーポール、銃床、ライフル肩掛け裏地、釣りアクセサリー(例えば、さおおよびルアー)、双眼鏡、競技用手袋(例えばゴルフ、野球)、ボール表面(例えば、ドッジボール、水球ボール、フットボール)、接触を容易に良くする競技用靴の表面(例えばサッカースパイク、フットボールスパイク)、眼用具(例えば、保護ゴーグル)、ヘルメット内の補助パッド、水筒、スケートボードデッキ、サーフボード、ジェットスキー、寝袋、ゴルフ練習マット、ゴルフカートシート、カヌー/カヤックシート、浮きデバイス(例えば、スイミングプール用の浮き)、滑りを防ぐ水泳プール区域および水泳プール裏地;ジャングルジム、ブランコの席、滑り台その他などの遊び場装置;ボート船体および舵、特にシリコーン層の外表面が抗力を低下させることができるディンプルを含むとき;サーフボード摩擦パッド;なべおよびフライパンの柄、用具の柄(例えばナイフ)、皿類、三脚台、プレースマット、例えば、飛行機または列車内の供用プレースマット、トレイライナー、飛行機または列車の折り畳み食事トレイ、ホットプレート、ワインラック、まな板底、台所器具(例えば、ブレンダー、トースター、コーヒーポットの底部、冷蔵庫ハンドルその他)、台所道具(例えば、缶切り、ジャーを開くためのグリップパッド、オーブンミット)、およびカップ、マグ、ビンおよびビンキャップ、ジャーふた、飲用グラス、ボウル、プレート、供用皿、赤ちゃん用皿などの食器;手工具(例えば、ネジ回し、レンチおよび類似物)、電動工具(例えばドリル)、温度計、ハンドヘルド器具(例えば、筆記用具、定規、ハンドヘルド電子デバイス用パッド(DVDプレーヤーなど))、ヘアドライヤー、ヘアアイロン、体毛リムーバー(例えば、ペット体毛リムーバー)、軍用感知装置および類似物、電子アクセサリー(例えばノートクーラー)用グリップ、イヤホーンおよびヘッドセットなどのハンズフリーデバイス、キャビネットドアクッション、クローゼットドアクッション、棚ライナー、引き出しライナー、ドアノブ、スイッチ(例えば、照明スイッチ、トグルスイッチ)、装飾家具(例えば、敷物、家具その他)の底部、木製家具(例えば二段ベッド)の保護、濡れた表面(例えば浴槽、浴室床)用の滑り止めパッド、器具(例えばランプ、ホッチキス、卓上書き込みパッド、パンチャー、鉛筆削り、電話、コンピュータアクセサリー(例えば、キーボード、デスクトッププリンタ、マウスパッドおよびマウスローラ、LCDコンピュータスクリーンプロテクター)などのオフィス備品、ファックス機および類似物)の底、家庭用表面(例えば、台所カウンター、窓ガラスへの取り付けデバイス)、コースター、灰皿、グラス用の支持具(例えば、卓上)、接着および水平化を容易にする装飾アイテム(例えば鉢植え植物、画枠および画枠フットパッド、壁掛け、時計、クリスマス装飾)の底、電気絶縁、コンベヤーベルト、光源を有し、あらゆるものを光らせるカバー、合い鍵用の着色点マーカー、トロフィー;手すり(例えば、階段手すり)、フローリング(例えば、建物の入り口通路、両面マット、滑り止めクッションフローリング)、ランナー、階段トレッド、アンダーカーペット、はしご段および類似物;ひざパッドおよびひじパッド、コートハンガー、靴の内張り、滑りを防ぐ履き物(例えば、ブーツ、スリッパ、ソックス、パジャマ、体操スリッパ、ダンス靴、幼児用歩行練習靴、年長者靴パッド、バスケットボールスニーカーなどのスポーツ靴)の底、靴ひも、バックレス靴用のかかとグリップ、ソックスのトップ帯、荷物ハンドル、爪切り、カミソリ、眼鏡耳ループ、吊りひもまたはひも裏地(例えば、バックパック、財布、ひも)、ブラシ(例えば、メーキャップブラシ、ヘアーブラシ、歯ブラシ、絵ブラシ)の柄、香水ビン、ミラー(例えばヴァニティミラー)用のフットパッド、練り歯みがきチューブおよび類似物;接触面(例えば、車輌のダッシュボード上)、例えば、自動車内の携帯使用のためのビデオコンソールの底面;ステアリングホイールのグリップ、変速レバーおよびカップホルダー、ダッシュボードマットの底、ダッシュボード上のアイテム(例えば眼鏡、電話、トランスポンダ)用パッド、自動車シートおよび補助椅子、日よけ、バンパーステッカー、ボートのキャビン内のデッキ材および表面を含むボートデッキ材(例えば棚、調理台)、皿類(例えば航海皿類、飛行機およびレジャー車輌用の皿類および類似物))、レジャー車輌フローリングおよび表面(例えば棚、調理台)、航空機用頭上荷物入れ、航空機コックピットおよび類似物など、レジャー用車輌、ボート、飛行機およびキャンピングカー内;キーボード鍵、ギターピック、ドラムスティックグリップ、体操面マット、ホビー工具の柄(例えばハンダごて)、遊び場(例えば、託児施設、子供用寝室)用フローリング、玩具グリップ、ハンドヘルド玩具(例えばビルディングブロック)、玩具ホイール(例えば硬材の床の上で使用するためのキズをつけにくいホイール)、写真(例えば、三脚の脚をとめるロックジョイント、写真グリップ、写真用ポストイットパッド)、衣服のへりを直すための両面へりスティック、装飾移し絵またはステッカー(例えば、壁、窓、浴室タイル、シャワードアーのための移し絵、ステッカーおよび壁パズルおよび類似物)、ブックマーク、ペイント−ローラトレイその他;園芸工具の柄(例えば熊手、シャベル、鍬その他)、電動工具ハンドル(例えば、芝刈り機、チェーンソー、除雪機その他)、傘ハンドルおよび類似物;歩行器、松葉杖および杖用グリップ、エアキャスト用パッド、洗面所内の障害者用手すり、車椅子グリップ、車椅子ひじかけ、ハンドルおよびシート、浴槽静止摩擦パッド、病院手すり、キーボードオーバレイ、ドアノブ、蛇口、電話、用具、ペン、手袋などの抗菌使用、手術器具トレイライナーおよびマット、老人および/または障害介助装置、詳しくは、シート、ひじ掛け、手用グリップ、床接触部分、およびそのハンドヘルド部分、便座、投薬びんキャップ(例えば点眼びん)、丸薬ビン、マンモグラムパッドその他、姿勢支持具(例えば姿勢あて)。
【0110】
硬化シリコーン組成物は、柔らかく、良好な厚さ許容度を有する連続ロール形の薄い断面にすることができ、ほこり、砂、ごみまたは潤滑粉体および類似物などの粒子の存在下、湿潤、乾燥などのさまざまな使用条件下で良好なグリップを提供するという点で複数の有利な性質を有する。
【0111】
引っ張り剥離強度によって求められるシリコーン層と補助層との間の接着強さは、ASTM D903−98に記載されている引っ張り剥離試験によって測定したとき、25ミリメートルあたり約1,000グラム(gf/25mm)以上、詳しくは約1100gf/25mm以上、より詳しくは約1200gf/25mm以上、さらに詳しくは約1,250gf/25mm以上、さらにより詳しくは約1,300gf/25mm以上の力であってよい。
【0112】
シリコーン層とポリエステル基板または補助、詳しくはポリエチレンテレフタレート基板または補助との間の接着強さは、ASTM D903−98に記載されている引っ張り剥離試験によって測定したとき、25ミリメートルあたり約1,000グラム以上、詳しくは約1,100gf/25mm以上、より詳しくは約1200gf/25mm以上、さらに詳しくは約1,250gf/25mm以上、さらにより詳しくは約1,300gf/25mm以上の力(gf/25mm)である。
【0113】
さらに、硬化シリコーン層は耐久性であり、特に耐磨耗性である。耐磨耗性は、H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いて、ASTM D4060−01によって測定してよい。一実施態様では、グリップに用いられるシリコーン層は、約15のショアAデュロメーターを有し、H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01によって測定したとき、重量損失は約20gより少なく、約15gより少なく、または約10gより少ない。別の実施態様では、グリップに用いられるシリコーン層は、約30のショアAデュロメーターを有し、H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01によって測定したとき、重量損失は約30より少なく、詳しくは約20より少なく、より詳しくは約15gより少ない。凸のディンプルを有し、15のショアAデュロメーターを有する試料のこれらの条件下の重量損失は5.2グラムであった。凸のディンプルを有し、30のショアAデュロメーターを有する試料の重量損失は、13.8グラムであった。
【0114】
シリコーン層、補助層、タイ層および/または接着剤層の熱膨張係数(CTE)が適合しないと、高い熱応力を誘導し、最終的な多層物品中の剥離を引き起こすことがある。さまざまな実施態様では、多層物品の用途のために、異なる熱膨張係数(CTE)を有する前記第2の層と基質とを含む、例えば、低CTEの補助層の上の高CTEの第2層を含む接着剤層を調合してよい。ある実施態様では、最高CTEの層と最低CTEの層との間の熱膨張係数(CTE)の差は、摂氏1度あたり約15パーツパーミリヨン(ppm/℃)以下、詳しくは約10ppm/℃以下、より詳しくは約5ppm/℃以下、さらにより詳しくは約2ppm/℃以下しか異ならない。
【0115】
以下の非限定的な実施例によって、本発明をさらに示す。
【実施例】
【0116】
下記のように2つの市販の2剤オルガノポリシロキサン調合物を組み合わせて、シリコーン層を調製した。
【0117】
実施例1〜実施例3.
実施例1〜3は、すべて、メリーランド州ピッツフィールドのGEシリコーンズから商標名LIM6040−D2で入手可能であり、硬化後に40のショアAを有する層を作り出す2剤オルガノポリシロキサン調合物を用いて調合した。実施例1は、65wt%のLIM6040−D2と、35wt%の、GEシリコーンズから商標名LIM6010で入手可能な2剤オルガノポリシロキサン調合物(硬化後、30のショアA硬度を有する層を作り出す)とを組み合わせて調合した。実施例2は、65wt%のLIM6040−D2と、35wt%の、ダウコーニングから商標名3−4241ダイエレクトリックタフゲルで入手可能な2剤オルガノポリシロキサン調合物(粘度=430cp、ショアOO硬度=60(硬化後))とを組み合わせて調合した。実施例3は、65wt%のLIM6040−D2と、35wt%の、ダウコーニングから商標名3−4237ダイエレクトリックタフゲルで入手可能な2剤オルガノポリシロキサン調合物(粘度=290cp、硬化後のショアOO硬度=30)とを組み合わせて調合した。
【0118】
各実施例のための成分を手で混合し、次に、2つの剥離ライナー層の間でロールオーバーロールコーター上にコーティングし、約100℃から約140℃の間で、例えば、約15から約20分間硬化させた。固体エラストマーを作り、混合によって閉じ込められた空気をすべて除去するために、例えば真空下で反応性組成物を脱気してよい。
【0119】
試料厚さおよび密度に依存して2−、5−、または10ポンド負荷範囲を有する50ポンド負荷セルを取り付けたインストロンを用いて、剥離強さによって硬化シリコーン層と基質との間の接着強さを測定した。剥離開始時に加えられた力を試料の厚さで除することによって剥離強さを計算した。
【0120】
表1は、さまざまな材料に対する硬化シリコーン層のそれぞれの接着強さの比較を示す。詳しくは、「良」、「中」、「弱」および「無(接着)」の判定結果によって定性的な引っ張り剥離接着強さデータを示す。フィルム厚さは、マイクロメートルまたはmilで示す。
【0121】
【表1】

【0122】
上記データで分るように、反応性エポキシ基を含む組成物(実施例3、3−4237ダイエレクトリックファームゲル)から作った硬化シリコーン層は、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上で、エポキシ基のない組成物と比較して接着性能の改善を示した。実施例3は、ポリイミド(PI)への接着については初め良好な結果を示したが、静置すると最終的に、フィルムは接着不良を示した。ポリカーボネート(PC)は、どのシリコーン調合物とも接着を示さなかった。従って、実施例1および実施例2のフィルムは、補助層なしで、または補助層とフィルムとの間の接着剤層とともに用いられる。
【0123】
実施例4〜実施例6.
上述したと同じに、以下の調合物の剥離強さを試験した。インチあたりポンド(ppi)で報告する。
【0124】
【表2】

【0125】
上記実施例によれば、ある範囲の比の2つの一次調合物成分を用いて、PETに対して許容範囲の結合を有するシリコーン弾性体を作り出すことができる。
【0126】
実施例7.
2つの調合物の摩擦係数(CoF)を測定した。65wt%のGEシリコーンズLIM6040と35%のダウコーニングゲル3−4237とを用いて作られた調合物について、表Aおよび表Bのデータを測定した。65wt%のGEシリコーンズLIM6071と35%のダウコーニングゲル3−4237を用いて作られた調合物について、表C中のデータを測定した。硬化シリコーン層の外表面は、平坦かまたは表に示す凸のディンプルを備えていた。
【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
本明細書に開示したフィルムは、複数の有利な性質を有する。これらのフィルムを利用して改善したグリップを提供することができる。これらのフィルムは、物品に柔らかな凹凸および感触を付与することができる。これらのフィルムは、物品の制止摩擦を改善することができる。これらのフィルムは、伸縮性実施態様に構成してよく、または実施態様によっては伸縮抵抗する実施態様に構成してよい。さまざまな視覚および光学的外観を持たせて作り出すことができる。さらに、これらのフィルムは、良好な厚さ許容度を有する連続ロール形の薄い断面にしてよく、ほこり、砂、ごみまたは潤滑剤粉体および類似物などの粒子の存在下で、湿、乾などのさまざまな使用条件下で良好なグリップを提供する。
【0131】
本明細書において別の定義を示さない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって普通に理解されると同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語「第1の」、「第2の」および「および類似物」は、いかなる順序、量または重要性を示すものでもなく、1つの要素を別の要素と区別するために用いられる。さらに、用語「a」および「an」は、量の限定を示すものではなく、参照するアイテムの少なくとも1つが存在することを示し、用語「前」、「後」、「底」および/または「上」は、特に明記しない限り、単に記載の便宜上用いられ、いかなる1つの位置または空間配向にも限定されない。範囲を開示した場合、同じ成分または性質に関するすべての範囲の終点は、終点を含み、独立に結合可能である。量とともに用いられる修飾語「約」は、記載値を含み、状況よって決まる意味(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の度合いを含む)を有する。
【0132】
説明を目的として一般的な実施態様を示してきたが、上記記載は本明細書の範囲に対する限定とみなすべきでない。従って、本明細書の技術思想および範囲から逸脱することなく、容易にさまざまな変更形、適応形および選択形が当業者には自明である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】シリコーン層と接着剤層とを含むシリコーングリップの一実施態様の部分断面図である。
【図2】凹凸シリコーングリップの例の斜位部分図である。
【図3】外部フィルム表面上のモザイク凹凸を含む凹凸フィルムの例の斜位部分図である。
【図4】シリコーン層と補助層とを含む多層シリコーングリップの一実施態様の部分断面図であり、任意選択の接着剤層および剥離層をともに示す図である。
【図5】凹凸外表面を有するシリコーン層を含み多層フィルムの部分側面図である。
【図6】シリコーン突起物を形成したシリコーン層を含む多層フィルムの部分側面図である。
【図7】シリコーンうねを形成したシリコーン層を含む多層フィルムの部分側面図である。
【図8】角度のあるリブを形成したシリコーン層を含む多層フィルムの部分側面図である。
【図9】多層フィルムを貼り付けた野球バットの柄を示す一部斜視図である。
【図10】バットハンドルの周りにらせん状に貼り付けた多層フィルムを有する野球バットの柄でを示す図である。
【図11】サーフボード静止摩擦パッドの斜位図である。
【図12】フィルムを貼り付けたカップの斜位図である。
【図13】携帯電話に貼り付けたジグザグ形の凹凸を有するシリコーン層を含む多層フィルムの斜位図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約60以下のショアAデュロメーターを有し、外表面と、反対側にある内表面とを有する硬化シリコーン層と、
前記内表面上に配置され、前記内表面と接触する第1の接着剤層と、
を含むシリコーングリップであって、
前記シリコーン層は、シリコーン組成物の硬化を促進する触媒と、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する高分子量オルガノポリシロキサンと、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する低分子量オルガノポリシロキサンと、
分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
を含む硬化性シリコーン組成物から形成され、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンとの反応によって、30から60のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有す前記低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンとの反応によって、20から60のショアOOデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出される、グリップ。
【請求項2】
分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンは、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する第1のオルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する第2のオルガノポリシロキサンとを含み、さらに、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記第1のオルガノポリシロキサンとの反応によって、30から60のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記第2のオルガノポリシロキサンとの反応によって、20から60のショアOOデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出される、請求項1に記載のグリップ。
【請求項3】
前記硬化性シリコーン組成物は、充填材をすべて除くと、約0.05から約50wt%の反応性オルガノシロキサンをさらに含む、請求項1に記載のグリップ。
【請求項4】
反応性基は、エポキシ基である、請求項3に記載のグリップ。
【請求項5】
反応性オルガノシランは、グリシドキシプロピルトリ(C1〜3アルコキシ)シラン、グリシドキシプロピルジ(C1〜3アルコキシ)(C1〜3アルキル)シラン、2,3−エポキシシクロヘキシル−4−エチルトリ(C1〜3アルコキシ)シラン、2,3−エポキシシクロヘキシル−4−エトキシエチルジ(C1〜3アルコキシ)(C1〜3アルキル)シラン、またはアルコキシシラン単量体の少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項3に記載のグリップ。
【請求項6】
シリコーン流体をさらに含む、請求項1に記載のグリップ。
【請求項7】
前記シリコーン流体は、硬化性シリコーン組成物と共硬化する、請求項6に記載のグリップ。
【請求項8】
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記オルガノポリシロキサンは、式:

を有し、
前記下添字a、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であって、下添字aとbとがともにゼロに等しければ下添字cは2以上であるという限定を有し、
Mは、式RSiO1/2を有し、
Dは、式RSiO2/2を有し、
Tは、式RSiO3/2を有し、
Qは、式SiO4/2を有し、各R基は、独立に、水素、アルケニル基、1から40の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、前記R基の少なくとも2つはアルケニル基であるという限定を有し、
分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンは、一般に、式:
M′D′T′Q′
によって表され、
前記下添字a、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であって、下添字aとbとがともにゼロに等しければ下添字cは2以上であるという前記限定を有し、
M′は、式RSiO1/2を有し、
D′は、式RSiO2/2を有し、
T′は、式RSiO3/2を有し、
Q′は、式SiO4/2を有し、各R基は、独立に、水素、1から40の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、前記R基の少なくとも2つは水素であるという限定を有し、前記反応性オルガノシロキサンは、式:
M″D″T″Q″
によって表され、
前記下添字a、b、cおよびdは、ゼロまたは正の整数であって、下添字aとbとがともにゼロに等しければ下添字cは2以上であるという限定を有し、
M″は、式RSiO1/2を有し、
D″は、式RSiO2/2を有し
T″は、式RSiO3/2を有し、
Q″は、式SiO4/2を有し、
各R基は、独立に、水素、アルケニル基、1から40の炭素原子をそれぞれ有する置換および非置換一価炭化水素基を表し、前記シリコーン中に存在する任意のアルケニル基および/または反応性水素化物基に加えて、前記R基の1つ以上は反応性有機基であるという限定を有し、前記反応性有機基は、エポキシ基、アクリラート基、メタクリラート基または前記基の少なくとも一つを含む組み合わせを含む、請求項1に記載のグリップ。
【請求項9】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は、平坦である、請求項1に記載のグリップ。
【請求項10】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は、ISO−1302−2002によって測定したとき、約1.22マイクロメートル以下の平均粗さ値を有する、請求項1に記載のグリップ。
【請求項11】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は、凹凸を有する、請求項1に記載のグリップ。
【請求項12】
前記凹凸を有する外表面は、隆起物、窪み、条痕、斜行平行線、波線、ランダム構造体、平行構造体、モザイク、整列または非整列パターンの魚鱗模様、石積み模様、または前記凹凸体の少なくとも1つを含む組み合わせを含む、請求項11に記載のグリップ。
【請求項13】
前記硬化シリコーン層および/または前記第1の接着剤層は、抗菌および/または抗ウイルス添加剤を含む、請求項1に記載のグリップ。
【請求項14】
前記グリップは、実質的に透明である、請求項1に記載のグリップ。
【請求項15】
前記グリップは、不規則な表面に形を合せることができる、請求項1に記載のグリップ。
【請求項16】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は平坦であり、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従ってそれぞれ測定したとき、約5以上の乾いたガラス上の静摩擦係数および/または約3.5以上の乾いたガラス上の動摩擦係数を有する、請求項1に記載のグリップ。
【請求項17】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従って測定したとき、約11以上の乾いたガラス上の静摩擦係数および/または約7.5以上の乾いたガラス上の動摩擦係数を有する凸のディンプルを有する凸の表面である、請求項1に記載のグリップ。
【請求項18】
H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01に従って測定したとき、約15のショアAデュロメーターを有するシリコーン層の重量減少は、約20gより少ない、請求項1に記載のグリップ。
【請求項19】
H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01に従って測定したとき、約30のショアAデュロメーターを有するシリコーン層の重量減少は、約20gより少ない、請求項1に記載のグリップ。
【請求項20】
物品であって、請求項1に記載の前記シリコーングリップを、前記第1の接着剤層を介して前記物品の表面に接着した物品。
【請求項21】
硬化シリコーンフィルム層を前記接着剤層と接触させることを含む、請求項1に記載のシリコーングリップの製造方法。
【請求項22】
前記硬化性シリコーン組成物の表面を、硬化させる前に、硬化させる間に、または部分的に硬化させた後に、凹凸を有する表面と接触させ、前記硬化シリコーン層の前記外表面に凹凸を設けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
第1の側および第2の側を有する補助層と、第2の接着剤層とを含み、前記補助層の前記第1の側は前記硬化シリコーン層と反対側の前記第1の接着剤層の側にあり、前記第1の接着剤層と接触して配置され、前記第2の接着剤層は、前記補助層の前記第2の側にあって前記補助層の前記第2の側と接触して配置されている、請求項1に記載のグリップ。
【請求項24】
物品であって、請求項23に記載の前記シリコーングリップを、前記第2の接着剤層を介して前記物品の表面に接着した物品。
【請求項25】
約60以下のショアAデュロメーターを有し、外表面と、反対側にある内表面とを有する硬化シリコーン層と、
前記内表面の上に配置され、前記内表面と接触する補助層と、
を含むシリコーングリップであって、
シリコーン層は、シリコーン組成物の硬化を促進する触媒と、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する高分子量オルガノポリシロキサンと、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する低分子量オルガノポリシロキサンと、
分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
を含む硬化性シリコーン組成物から形成され、
分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンとの反応によって、30から60のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンとの反応によって、20から60のショアOOデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、
さらに、前記補助層と前記硬化シリコーン層との間の前記剥離強さは、ASTM D903−98に従って測定したとき、25ミリメートルあたり約1,000グラム以上の力である、グリップ。
【請求項26】
分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記オルガノポリシロキサンは、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する第1のオルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する第2のオルガノポリシロキサンとを含み、さらに、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記高分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記第1のオルガノポリシロキサンとの反応によって、30から60のショアAデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出され、分子あたり少なくとも2つのアルケニル基を有する前記低分子量オルガノポリシロキサンと、分子あたり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する前記第2のオルガノポリシロキサンとの反応によって、20から60のショアOOデュロメーターを有する硬化シリコーンが作り出される、請求項25に記載のグリップ。
【請求項27】
前記補助層は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ(フェニレンオキシド)、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、または重合体の少なくとも1つを含む組み合わせを含む、請求項25に記載のグリップ。
【請求項28】
前記補助層は、立方フィートあたり約65ポンドより小さな密度を有する発泡体を含む、請求項25に記載のグリップ。
【請求項29】
前記補助層は、立方フィートあたり約50ポンドより小さな密度を有する発泡体を含む、請求項25に記載のグリップ。
【請求項30】
前記グリップは、透明である、請求項25に記載のグリップ。
【請求項31】
前記補助層は画像証印を含み、前記シリコーン層は透明である、請求項25に記載のグリップ。
【請求項32】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は平坦であり、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従ってそれぞれ測定したとき、約5以上の乾いたガラス上の静摩擦係数および/または約3.5以上の乾いたガラス上の動摩擦係数を有する、請求項25に記載のグリップ。
【請求項33】
H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01に従って測定したとき、約15のショアAデュロメーターを有するシリコーン層の重量低下は、約20gより少ない、請求項25に記載のグリップ。
【請求項34】
H−18ホイール、500グラム負荷および500サイクルを用いてASTM D4060−01に従って測定したとき、約30のショアAデュロメーターを有するシリコーン層の重量低下は、約20gより少ない、請求項25に記載のグリップ。
【請求項35】
前記硬化シリコーン層の前記外表面は、約100グラムのスレッド重量を用いてASTM D1894−01に従ってそれぞれ測定したとき、約11以上の乾いたガラス上の静摩擦係数および/または約7.5以上の乾いたガラス上の動摩擦係数を有する凸のディンプルを有する凸の表面である、請求項25に記載のグリップ。
【請求項36】
前記補助層を、前記硬化性シリコーン組成物と接触させること、および前記硬化性シリコーン組成物を硬化させることを含む、請求項25に記載のグリップの製造方法。
【請求項37】
硬化させる前、硬化させる間、または部分的に硬化させた後に、前記硬化性シリコーン組成物の表面を凹凸成形用表面と接触させ、前記硬化シリコーン層の前記外表面に凹凸を設けることをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記硬化性シリコーン組成物を剥離層上にキャストした後、前記補助層と接触させる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記硬化性シリコーン組成物の前記層は、キャストした後、前記補助層と接触させる前には未硬化であるかまたは部分硬化されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記剥離層は、凹凸を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
物品であって、請求項25に記載の前記グリップを接着剤層を介して前記物品の表面に接着した物品。
【請求項42】
前記補助層は、立方フィートあたり約65ポンドより小さな密度を有する発泡体である、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
前記補助層の上の前記シリコーン層と反対の側に配置され、前記補助層と接触する接着剤層をさらに含む、請求項25に記載のグリップ。
【請求項44】
前記補助層は、立方フィートあたり約65ポンドより小さな密度を有する発泡体である、請求項43に記載のグリップ。
【請求項45】
前記グリップは、実質的に透明である、請求項43に記載のグリップ。
【請求項46】
前記補助層は画像証印を含み、前記シリコーン層および接着剤層は実質的に透明である、請求項43に記載のグリップ。
【請求項47】
物品であって、請求項43に記載の前記グリップを前記接着剤層を介して前記物品の表面に接着した物品。
【請求項48】
前記補助層は、立方フィートあたり約65ポンドより小さな密度を有する発泡体である、請求項47に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−502591(P2009−502591A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525146(P2008−525146)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030061
【国際公開番号】WO2007/016617
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(500105311)ワールド・プロパティーズ・インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】