シリンジポンプ
【課題】シリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができるシリンジポンプを提供する。
【解決手段】シリンジ200のシリンジ本体201を設定するシリンジ載置部6と、シリンジ200のシリンジ押子202を押すためのシリンジ押子駆動部7を有し、シリンジ載置部6は、シリンジ本体201を収容する凹状の収容部8と、シリンジ本体201を収容部8に収容した状態で、シリンジ本体201の本体フランジ209を着脱可能にはめ込むことで本体フランジ209を把持する本体フランジ把持部500と、本体フランジ把持部500の予め定めた位置LLに本体フランジ209が装着されたことを検出する本体フランジ検出部600を有する。
【解決手段】シリンジ200のシリンジ本体201を設定するシリンジ載置部6と、シリンジ200のシリンジ押子202を押すためのシリンジ押子駆動部7を有し、シリンジ載置部6は、シリンジ本体201を収容する凹状の収容部8と、シリンジ本体201を収容部8に収容した状態で、シリンジ本体201の本体フランジ209を着脱可能にはめ込むことで本体フランジ209を把持する本体フランジ把持部500と、本体フランジ把持部500の予め定めた位置LLに本体フランジ209が装着されたことを検出する本体フランジ検出部600を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へ薬剤等を送液するためのシリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジポンプは、例えば集中治療室(ICU)等で使用されて、患者に対して抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の送液を、通常の場合、0.1〜150mL/hの流速、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、高い精度で比較的長時間行うことに用いられている。シリンジポンプの薬剤の流量制御は、他の輸液ポンプに比較して精密で優れている。
すなわち、薬剤を充填したシリンジ本体は、シリンジポンプに対してクランプを用いて動かないようにセットされ、シリンジポンプは、シリンジ押子を押圧してシリンジ本体内の薬剤を正確に患者側に送液するようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−88564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したシリンジポンプには、複数種類の収容量、例えば2.5mL,5mL,10mL,2.5mL,30mL,50mLの収容量を有するシリンジが着脱可能に装着されるようになっている。シリンジがシリンジポンプに固定される場合には、シリンジ本体の外周面がシリンジポンプの凹部の内面に密着されるとともに、シリンジの本体フランジがシリンジポンプのはめ込み部分に対してはめ込まれるようになっている。
【0005】
ここで、もし、本体フランジが所定位置にまではめ込まれないと、シリンジ本体がシリンジポンプの凹部の内周面に対して傾いて装着されることになる。このため、シリンジ押圧駆動部がシリンジ押子を正確な方向に押し込むことができず、薬剤の送液処置を、高い精度で行うことができなくなる。
そこで、本発明は、2.5mL,5mL,10mL,2.5mL,30mL,50mLの収容量のシリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができるシリンジポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシリンジポンプは、薬剤が充填されているシリンジを装着して、前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液するためのシリンジポンプであって、前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、前記シリンジのシリンジ押子を押すためのシリンジ押子駆動部と、を有し、前記シリンジ設定部は、前記シリンジ本体を収容する凹状の収容部と、前記シリンジ本体を前記収容部に収容した状態で、前記シリンジ本体の本体フランジを着脱可能にはめ込むことで前記本体フランジを把持する本体フランジ把持部と、前記本体フランジ把持部の予め定めた位置に前記本体フランジが装着されたことを検出する本体フランジ検出部と、前記本体フランジ検出部からの前記本体フランジを検出した検出信号を受ける制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、シリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができる。すなわち、医療従事者は、本体フランジを本体フランジ把持部にはめ込んで把持することで確実に装着でき、本体フランジが装着されたことは、本体フランジ検出部から制御部に与えられる検出信号に基づいて、制御部は本体フランジが所定位置に達していることを把握できる。
【0007】
好ましくは、前記本体フランジ把持部は、前記収容部の側面部に沿って配置される板状の部材であり、前記本体フランジ把持部の一端部が固定され、前記本体フランジ把持部の他端部が自由端部となっており、前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に前記本体フランジを着脱可能に装着する構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、本体フランジは、本体フランジ把持部と収容部の側面部との間にはめ込むだけで本体フランジ把持部の自由端部側を撓ませた状態で容易に装着できる。
【0008】
好ましくは、前記本体フランジ検出部は、検出器と、前記本体フランジが前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に装着されることで押されて、前記検出器から前記制御部に前記検出信号を付与させる本体フランジ検出部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、本体フランジが本体フランジ検出部材を押す簡単な構成にすることで、検出器は制御部に対して検出信号を付与することができる。
【0009】
好ましくは、情報を表示する表示部と、前記本体フランジ検出部が前記本体フランジを検出すると前記本体フランジ検出部から本体フランジ検出信号を受けて、前記本体フランジが前記予め定めた位置まで装着されたことを前記表示部に表示させる前記制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、医療従事者は、本体フランジが予め定めた位置まで装着されたことを、表示部を目視することで確認することができる。
【0010】
好ましくは、前記本体の上部分には、前記表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体の下部分には、前記シリンジ設定部と前記シリンジ押子駆動部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、シリンジからの薬剤の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、操作パネル部の操作ボタンを操作することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、2.5mL〜50mLの範囲のシリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができるシリンジポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のシリンジポンプの好ましい実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図。
【図3】複数種類の大きさのシリンジの例を示す斜視図。
【図4】シリンジポンプにおける電気な構成例を示す図。
【図5】図2に示すシリンジ設定部とシリンジ押子駆動部を示す斜視図。
【図6】図5に示すシリンジ設定部とシリンジ押子駆動部を、E方向から拡大して示す斜視図。
【図7】本体フランジ把持部を、図6のF方向から見た底面図。
【図8】図7に示す本体フランジ把持部と本体フランジ検出部の構造例を示す図。
【図9】図6に示す収容部のシリンジ本体の保持部のJ−J線における断面形状例を示す図。
【図10】図10(A)は、このポテンションメータが測定するクランプの移動量とシリンジサイズの関係例を示し、図10(B)は、本発明の範囲外である比較例における収容部の円弧型の断面形状を示す図。
【図11】シリンジ押子駆動部のブーツが伸張されている状態を拡大して示す斜視図。
【図12】図12(A)は、シリンジ押子駆動部のブーツが少し収縮されている状態を拡大して示す斜視図であり、図12(B)は、押子フランジがスライダに装着される様子を示す図。
【図13】ブーツの形状と、ブーツの収縮状態の例を示す図。
【図14】ブーツの構造例を示す図。
【図15】図1と図2に示す複数台のシリンジポンプを、設定スタンドに搭載した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明のシリンジポンプの好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図である。
【0014】
図1と図2に示すシリンジポンプ1は、例えば集中治療室(ICU、CCU,NICU)等で使用され、患者に対して、抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入を、通常の場合、0.1〜150mL/hの注入速度、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、±3%以内の精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。このシリンジポンプ1は、薬剤ライブラリから、使用する薬剤を選択して、その選択した薬剤を送液するために用いられる。この薬剤ライブラリは、薬剤ライブラリデータベース(DB)において、予め登録された薬剤名を含む薬剤の投与設定群である薬剤情報である。医療従事者は、この薬剤ライブラリを用いることにより、複雑な投与設定をその都度行わなくても良く、薬剤の選択および薬剤の設定が図れる。
【0015】
図1と図2に示すように、シリンジポンプ1は、例えば薬剤を充填したシリンジ200のシリンジ本体(シリンジ外筒)201を、クランプ5を用いて動かないようにセットすることができる。シリンジポンプ1は、シリンジ200のシリンジ押子202の押子フランジ205をT方向に押圧して、シリンジ本体201内の薬剤を、図2に示すように輸液チューブ203と留置針204を介して、患者Pに対して正確に送液するようになっている。
シリンジポンプ1は、本体部ともいう本体カバー2を有し、この本体カバー2は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、仮に薬剤等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫処理構造を有している。このように、カバー2が防沫処理構造を有しているのは、シリンジ本体201内の薬剤がこぼれたり、上方に配置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散して付着することがあるためである。
【0016】
まず、シリンジポンプ1の本体カバー2に配置された要素について説明する。
図1と図2に示すように、シリンジポンプ1は、本体カバー2と取手2Tを有しており、取手2Tは水平方向のN方向(シリンジポンプ1に向って右方向)に伸ばしたり水平方向のT方向(シリンジポンプ1に向って左方向)に収納したりすることができる。本体カバー2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が配置されている。本体カバー2の下部分2Bには、シリンジ載置部6と、シリンジ押子202を押すためのシリンジ押子駆動部7が配置されている。これにより、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3の情報を確認しながら、シリンジ200からの薬剤の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3の情報を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
【0017】
表示部3は、カラー表示することができる画像表示装置であり、例えばカラー液晶表示装置を用いている。この表示部3は、日本語表記による情報表記だけでなく、必要に応じて複数の外国語による情報の表示を行うことができる。表示部3は、本体カバー2の上部分2Aの左上位置であって、シリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7の上側に配置されている。操作パネル部4は、本体カバー2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、電源ON/OFFボタン4F、動作インジケータ4A、操作ボタンとしては、図示例では、必要最小限の、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eが4ケ配置されている。
【0018】
図2に示す表示部3は、例えばポリエステル膜で表面がおおわれており、艶がある。これに対して、操作パネル部4の表面は、例えば艶消し処理が施されている。本体カバー2の上部分2Aは、本体カバー2の上半分の部分である。本体カバー2の下部分2Bは、本体カバー2の下半分の部分である。本体カバー2の周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバー2の表面色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印を表示することができる。このポンプの目印が設けられることで、複数台の輸液ポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいはこのシリンジポンプ1と他の種類のポンプ例えば輸液ポンプ等を積み重ねて使用する場合には、各ポンプの境目が視覚的に明確になるメリットがある。
【0019】
図1と図2に示すように、シリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7は、X方向に沿って並べて配置されている。シリンジ載置部6は、例えば図3を用いて後で説明する複数種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400の中から必要とする収容量のシリンジを選択して着脱可能にはめ込んで装着することができる。
図1と図2では、複数種類のシリンジ200,300,400の内の最も収容量の大きいシリンジ200が、クランプ5から受ける付勢力により、動かないようにして装着されている例を、代表して示している。ここでは、3種類の収容量のシリンジを示したが、躯体的には2.5mL,5mL,10mL,20mL,30mL,50mLの収容量のシリンジが適用できる。
図1と図2に示すシリンジ載置部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(図3を参照)をはめ込んで把持するための本体フランジ把持部500を有している。収容部8は、凹型のシリンジ本体保持部8Dを有している。収容部8の左側の端部には、壁部分8Wを有しており、この壁部分8Wには、輸液チューブ203を着脱可能に挟み込むためのチューブ固定部9が形成されている。このチューブ固定部9は、輸液チューブ203の一部を挟み込んで固定する溝部分である。
【0020】
図1と図2において、医療従事者が、クランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ載置部6から取り外す際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向(手前方向)に引っ張って、しかもR1方向に90度回すことで、クランプ5はシリンジ本体201の外周面から離れる。これにより、シリンジ本体201は、クランプ5による固定を解除して、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから取り出すとともに、輸液チューブ203はチューブ固定部9内から取り外すことができる。
また、このクランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ載置部6の収容部8に収容して取り付ける際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向に引っ張ってR2方向に90度回して、スプリングの力によりY2方向に戻すことで、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、輸液チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により、2.5mL,5mL,10mL,20mL,30mL,50mLの収容量のシリンジを固定することができるように、シリンジ載置部6の収容部8の右端部8Eは一部が切欠部となっている。
【0021】
シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して装着されると、シリンジ押子202がシリンジ押子駆動部7内に配置される。このシリンジ押子駆動部7は、移動部材としてのスライダ10を有している。このスライダ10は、図2に示す制御部100からの指令により、シリンジ押子202の押子フランジ205を把持しながら、シリンジ本体201に対して相対的にT方向に沿って少しずつ押す。これにより、シリンジ本体201内の薬剤は、輸液チューブ203と留置針204を通じて、患者Pに対して、0.1〜150mL/hの注入速度、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、精度よく長時間かけて送液することができる。なお、図1と図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。
図2に示す表示部3における薬剤情報の表示内容としては、例えば閉塞圧レベル表示,薬剤投与の予定量(mL)の表示欄、薬剤投与の積算量(mL)の表示欄、充電履歴の表示欄、電圧低下の表示欄、注入速度(mL/h)、注入量(mL)等の表示欄をカラー表示することができる。
【0022】
図3は、上述した複数種類の大きさのシリンジの例を示す斜視図である。
図1と図2では、最も薬剤の収容量が大きいシリンジ、例えば50mLの収容量のシリンジ200が固定されている例を示している。図3(A)に示す最も薬剤の収容量が大きいシリンジ200は、シリンジ本体201と、十字リブ形状部202Wを有するシリンジ押子202を有しており、シリンジ本体201は本体フランジ209を有し、シリンジ押子202は押子フランジ205を有している。シリンジ本体201には、薬剤の目盛210が形成されている。シリンジ本体201の出口部211には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(B)に示す薬剤の収容量が中くらいのシリンジ、例えば10mL,2.5mL,30mLの収容量のシリンジ300は、シリンジ本体301と、十字リブ形状部302Wを有するシリンジ押子302を有しており、シリンジ本体301は本体フランジ309を有し、シリンジ押子302は押子フランジ305を有している。シリンジ本体301には、薬剤の目盛310が形成されている。シリンジ本体301の出口部311には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
【0023】
図3(C)に示す最も薬剤の収容量がシリンジ、例えば2.5mLまたは5mLの収容量の小さいシリンジ400は、シリンジ本体401と、十字リブ形状部402Wを有するシリンジ押子402を有しており、シリンジ本体401は本体フランジ409を有し、シリンジ押子402は押子フランジ405を有している。シリンジ本体401には、薬剤の目盛410が形成されている。シリンジ本体401の出口部411には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(A)に示すシリンジ200は、例えば薬剤の収容量が10mLであり、図7(B)に示すシリンジ300は、例えば薬剤の収容量が5mLであり、図7(C)に示すシリンジ400は、例えば薬剤の収容量が2.5mLである。シリンジ300,400の各シリンジ本体301,401は、図1と図2に示すシリンジ200と同様にして、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して固定することができる。
しかし、図3では、3種類のシリンジを図示しているが、これに限らず、シリンジが収容できる薬剤の収容量は、2.5mL〜50mL、例えば2.5mL、30mL、50mL等であっても良く、シリンジの収容量は任意に選択できる。
【0024】
次に、図4を参照して、図1と図2に示すシリンジポンプ1における電気な構成例を説明する。
図4において、シリンジポンプ1は、全体的な動作の制御を行う制御部(コンピュータ)100を有している。この制御部100は、例えばワンチップのマイクロコンピュータであり、ROM(読み出し専用メモリ)101,RAM(ランダムアクセスメモリ)102、不揮発性メモリ103、そしてクロック104を有する。クロック104は、所定の操作により現在時刻の修正ができ、現在時刻の取得や、所定の送液作業の経過時間の計測、送液の速度制御の基準時間の計測等ができる。
【0025】
図4に示す制御部100は、電源スイッチボタン4Sと、スイッチ111が接続されている。スイッチ111は、電源コンバータ部112と例えばリチウムイオン電池のような充電池113を切り換えることで、電源コンバータ部112と充電池113のいずれかから制御部100に電源供給する。電源コンバータ部112は、コンセント114を介して商用交流電源115に接続されている。
図4において、収容部8内には、一対の検出スイッチ120,121が配置されている。検出スイッチ120,121は、シリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検知して、制御部100に通知する。
【0026】
図4に示すクランプセンサとしてのポテンションメータ122は、クランプ5に連結されている。このポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5がY2方向に関して移動する際のクランプ5の移動量を検出することで、どの収容量のシリンジ本体201(301,401)がクランプ5によりクランプされているかどうかを、制御部100に検出信号を送って通知する。制御部100は、このポテンションメータ122からの検出信号によりクランプ5のY方向に関する移動量を得て、例えば図3に示す複数種類の収容量のシリンジのシリンジ本体201,301,401の内のどのシリンジが装着されているかを判別することができる。なお、同じ収容量のシリンジであってメーカーによって、シリンジ外筒の外径が若干異なるため、これらのデータはROM101に記憶されていている。
図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令によりモータドライバ134により駆動されると、送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0027】
図4において、表示部ドライバ130は、制御部100の指令により表示部3を駆動して、各種情報や報知内容等を表示するようになっている。スピーカ131は、制御部100の指令により各種の報知内容を音声により告知することができる。
制御部100は、通信ポート140を通じて、例えばデスクトップコンピュータのようなコンピュータ141に対して双方向に通信可能である。このコンピュータ141は、薬剤データベース(DB)150に接続されており、薬剤データベース150に格納されている薬剤情報MFは、コンピュータ141を介して、制御部100に取得して、制御部100の不揮発性メモリ103に記憶させることができる。制御部100は、記憶した薬剤情報MFを基にして、表示部3には薬剤情報MF等を表示することができる。
図4において、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eは、制御部100に電気的に接続されている。
この他に、制御部100には、本体フランジ209が挿入されたことを検出するための検出器としてのフォトカプラセンサ250が、電気的に接続されている。このフォトカプラセンサ250は、発光素子251と、この発光素子251からの光を受光する受光素子252を有している。
【0028】
次に、シリンジ載置部6の詳しい構造を説明する。
図5は、図2に示すシリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7を示す斜視図である。図6は、図5に示すシリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7を、E方向から拡大して見た斜視図である。
図5に示すシリンジ載置部6は、シリンジを載せるシリンジ載置台でもあり、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(図3を参照)をはめ込んで固定するための本体フランジ把持部500と、本体フランジ検出部600を有している。
図5と図6に示すように、シリンジ載置部6の収容部8は、シリンジ本体201の一部分もしくは全部を収容することができる凹部であり、収容部8の軸方向はX方向に沿っている。図1と図2では、一例として最も容量の大きいシリンジ200のシリンジ本体201が収容部8内に収められているが、この例ではシリンジ本体201の外周面の一部分が収容部8のシリンジ本体保持部8Dの内面に対して密接され、シリンジ本体201の外周面の残り部分は、外側に露出されている。
【0029】
図7は、本体フランジ把持部500を、図6のF方向から見た底面図である。図8は、図7に示す本体フランジ把持部500と本体フランジ検出部600の構造例を示す図である。
図8に示すように、本体フランジ把持部500と本体フランジ検出部600は、本体フランジの把持検出部700を構成している。本体フランジの把持検出部700は、一例としてシリンジ200の本体フランジ209をはめ込んで確実に把持でき、しかも本体フランジ209をはめ込んで本体フランジ209が予め定めた所定位置LLに達していることを、制御部100が確実に把握できるようにするために設けられている。
【0030】
まず、図5〜図8を参照して、本体フランジ把持部500の構造を説明する。
図5と図6に示す本体フランジ把持部500は、弾性変形可能なプラスチック製の板部材であり、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに対して平行に配置されている。この本体フランジ把持部500は、Y方向とZ方向で形成される面に配置されており、先端部501は、2つの突出部502,503と、これらの突出部502,503の間に形成されている凹部504を有している。
図7(A)に示すように、突出部502,503の内面502A,503Aは、先細りになるように傾斜面になっている。これにより、本体フランジ209は、本体フランジ把持部500の内面509とシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vとの間に、図8のY1方向に沿って容易に挿入することができる。図6に示すように、この突出部502は上側に位置し、突出部503は下側に位置している。凹部504の中央位置には、好ましくはさらに小さい凹部505が形成されている。図7(B)に示すように、この小さい凹部505は、シリンジ400が装着された状態で、特に2.5mLシリンジなど小さい収容量のシリンジの十字リブ形状部402Wであっても、シリンジポンプの機能に影響しないように,フランジ把持部500への乗り上げを回避するための溝部分である。小さい外筒径,たとえば2.5,5mLシリンジを装着した際に,十字リブ形状部402Wがフランジ把持部500と接触するのを回避する目的で形成している。十字リブ形状部402Wがフランジ把持部500と接触すると、シリンジ押子駆動部7でシリンジを送液する際の吐出精度や,閉塞の検出精度に影響するため、これを回避するためである。
【0031】
図7に示すように、本体フランジ把持部500の内面509は、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに平行になるように、しかも図7(A)に示すように所定の小さい間隔Kを保持した状態で、固定されている。この間隔Kは、本体フランジ把持部500の厚みHと本体フランジ209の厚みGよりも小さく設定されている。
図7に示す本体フランジ把持部500は、断面ほぼL字型を有しており、本体フランジ把持部500の一端部は取り付け基部506である。本体フランジ把持部500の他端部は、突出部502と突出部503を有する自由端部である。この取り付け基部506は、シリンジポンプ1の本体ケース2の一部分507に対してネジ508を用いて固定されている。これにより、本体フランジ209が間隔Kにはめ込まれると、本体フランジ把持部500は、図7(A)に示す正立した状態から図7(B)に示す傾いた状態になるように、取り付け基部506に対してMB方向に弾性変形できるようになっている。
【0032】
図7(A)から図7(B)に示すように、シリンジ200が収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して配置されると、本体フランジ209の一部分がシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の先端部501の間に挿入される。本体シリンジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟まれた状態で、しかも本体フランジ把持部500が弾性変形する際の反発力により、平坦な右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の平坦な内面509の間に挟まれて固定されることになる。
この際に、クランプ5により,シリンジ外筒部を固定しているため,シリンジ押子202の十字リブ形状部202Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部202Wが邪魔とならず、十字リブ形状部202Wが凹部504に乗り上げてしまうことが無い。このため、シリンジ本体201は、本体フランジ把持部500が存在していても、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから浮き上がることがないようにしてシリンジ本体保持部8Dに装着することができる。
【0033】
本体フランジ把持部500は、一例としてシリンジ200の本体フランジ209をはめ込んで確実に固定できるが、シリンジ200に限らず、例えば図3に示す他の種類のシリンジ300,400も同様にして確実に固定できる。すなわち、本体フランジ把持部500は、図3のシリンジ300の本体フランジ309をはめ込んで確実に固定できる。シリンジ押子302の十字リブ形状部302Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部302Wが邪魔とならず凹部504に乗り上げてしまうことが無い。同様にして、本体フランジ把持部500は、図3のシリンジ400の本体フランジ409をはめ込んで確実に固定できる。シリンジ押子402の十字リブ形状部402Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部402Wが邪魔とならず凹部504に乗り上げてしまうことが無い。
【0034】
次に、図8を参照して本体フランジ検出部600の構造例を説明する。
本体フランジ検出部600は、本体フランジ209がはめ込まれて本体フランジ209が予め定めた所定位置LLに達していることを、制御部100に通知できる。この制御部100は、本体フランジ209が所定位置LLに達していることを、例えば表示部3に表示させることができる。このため、医療従事者は、シリンジを正確に装着できたことを、表示部3を目視することで、確実に把握できる。
図8に示すように、本体フランジ検出部600は、本体フランジ検出部材601と、スプリング602と、フォトカプラセンサ250と、突起部603を有している。本体フランジ検出部材601とスプリング602とフォトカプラセンサ250は、シリンジポンプ1の本体ケース2内に配置されている。本体フランジ検出部材601は、図8(B)に示すように本体フランジ209が所定位置LLに達していることを直接接触することで検出する棒状の部材である。本体フランジ検出部材601は、検出先端部604と後端部605を有している。本体フランジ検出部材601は、ピン606を用いてGH方向に沿って、スプリング602の力に抗して回転できる。
【0035】
本体フランジ検出部材601の検出先端部604は、好ましくは半球状に形成されている。図8(A)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれていない状態では、本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間に入り込んでいる。このため、発光素子251からの光はこの後端部605により遮断されていて、受光部252には受光されない。
これに対して、図8(B)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれて所定位置LLに達している状態では、本体フランジ検出部材601はスプリング602の力に抗してGH方向に回転される。本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間から離脱している。
このため、発光素子251からの光は受光部252に受光されるので、受光部252は、受光信号RSを制御部100に送る。制御部100は、この受光信号RSを受けることにより、表示部3において、例えば「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を表示させる。この場合に、制御部100は、必要に応じて、同時に図4に示すスピーカ131により、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を、音声ガイダンスしても良い。これにより、医療従事者は、本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたことを、情報表示と音声ガイダンスの少なくとも一方により確実に把握できる。
【0036】
なお、所定位置LLは、最も収容量の小さい例えば2.5mLのシリンジの本体フランジ、最も収容量の大きい例えば50mLのシリンジの本体フランジであっても検出できる位置である。
また、図8に示すように、本体フランジ把持部500の内面509には、突起部603が設けられている。この突起部603は、図8(A)に示す状態では、本体フランジ検出部材601の検出先端部604と突き当たることにより、本体フランジ把持部500の内面509と収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vの所定の小さい間隔Kを保持している。そして、図8(B)に示すように、本体フランジ209が挿入されると、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱する。
【0037】
なお、所定位置LLは、最も収容量の小さい例えば2.5mLのシリンジの本体フランジ、最も収容量の大きい例えば50mLのシリンジの本体フランジであっても検出できる位置である。また、図8に示すように、本体フランジ把持部500の内面509には、突起部603が設けられている。この突起部603は、図8(A)に示す状態では、本体フランジ検出部材601の検出先端部604と突き当たることにより、本体フランジ把持部500の内面509と収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vの所定の小さい間隔Kを保持している。そして、図8(B)に示すように、本体フランジ209が挿入されると、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱する。
なお,別の実施形態として、本体フランジ209が挿入された場合であっても、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱せず、検出先端部604は突起部603上を摺動するようにする。ただし、本機構の目的は、本体フランジ209がセットされていることを確認することである。そのため、検出可能であれば,本体フランジ209の厚みがある規定値を超える値のものをセットされた場合には検出先端部604は突起部603上から離脱してもよい。
【0038】
次に、図2、図6、そして図9と図10を参照して、シリンジ載置部6の収容部8のシリンジ本体保持部8Dの好ましい形状例について説明する。
図2と図6に示すように、シリンジ載置部6の収容部8の右側寄りの位置には、クランプ5が対面して配置されている。また、図6に示すように、収容部8の右側側面部8Vには、すでに説明した本体フランジ把持部500が配置されている。
図9は、図6に示す収容部8のシリンジ本体保持部8DのJ−J線における断面形状例を示している。シリンジ本体保持部8Dは、シリンジ本体201の外周面の少なくとも一部を収容して保持するために形成されている凹部であるが、図9(A)と図9(B)に示すような特徴的な断面形状を有している。
【0039】
図9(A)には、図8(B)に示している収容部8のシリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rを形成するために基本となる形成線の例を示しており、1つの円弧形成線L1と、2本の直線形成線L2、L3が図示されている。2本の直線形成線L2、L3は、1つの円弧形成線L1に対する接線であり、交点Cにおいて交差している。
ここで、収容部8の内面におけるシリンジ本体の軸方向と直交する断面形状は、この内面の先端部(図9Aの左端部)から中央部(同図のL2、L3との接触部付近)までの部分の曲率に比べて、前記内面の前記中央部から底部(同図の右端の円弧先端)までの部分の曲率を小さくすると好ましい。
これにより、収容部の奥に行くほど、曲率が小さくなっている。つまり、曲がり具合が緩くなっているので、収容部内面が、シリンジ本体の外周面に線状に接し易くなり、収容部内においてシリンジ本体を倣い易くして位置決めを容易にすることでシリンジ本体の装着作業を迅速にすることができる。
シリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rは、これらの円弧形成線L1と、2本の直線形成線L2、L3により形成されている。すなわち、図9(B)に示すように、断面形状線8Rは、円弧形成線L1に相当する第1部分曲線形状部8R1と第2部分曲線形状部8R2と、2本の直線形成線L2、L3に相当する第1部分直線形状部8R3と第2部分直線形状部8R4により構成されている。
このように、収容部8の内面におけるシリンジ本体201の軸方向と直交する断面形状は、内面の先端部から中央部までの部分の曲率に比べて、内面の中央部から底部までの部分の曲率が小さくなっている。これにより、図9(B)に示すように、3種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401が、断面形状線8Rに密接された場合に、いずれのシリンダ本体201,301,401が密接されても、それぞれ2本の接線CL1、CL2だけで密接する。このため、医療従事者は、シリンジ本体201,301,401を、それぞれシリンジ本体保持部8D内に密接するだけで、シリンジ本体201,301,401の位置決め位置を容易に確定することができるので、シリンジの装着作業性が向上する。
【0040】
本発明の最も好ましい実施形態としては、図9(B)に示すように、3種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401が、シリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rに密接されている。第1と第2部分直線形状部8R3,8R4は、第1と第2部分曲線形状部8R1,8R2の曲率に比べて、大きな曲率を有する形状部分の例であり、V字型を形成している。従って、第1と第2部分直線形状部8R3,8R4は、最も好ましくは直線的に変化する部分であるが、必ずしも直線的に変化するものでなくても良く、第1と第2部分直線形状部の曲率が、第1と第2部分曲線形状部8R1,8R2の曲率よりも大きい曲線であっても良い。
【0041】
シリンジ本体保持部8Dの断面形状線8Rをこのような形状にしているのは、次のような理由からである。
図9(B)に示す例では、シリンジ本体301の内側部分301Nとシリンジ本体201の内側部分201Nの間には、間隔PR1を確保することができ、同様にして、シリンジ本体401の内側部分401Nとシリンジ本体301の内側部分301Nの間には、間隔PR2を確保することができる。
このように、第1と第2部分直線形状部8R3,8R4を形成することで、収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、相互に間隔PR1、PR2を必ず確保することができる。
【0042】
図2に示すように、クランプ5が、シリンジ本体201(301,401)の外周面に当てて、シリンジ本体201(301,401)の外周面をシリンジ本体保持部8D内に装着すると、これらのシリンジ本体の種類(収容量の違いによる外径サイズ)は、図4に示すクランプ5の移動量を検出するポテンションメータ122により検出している。図10(A)は、このポテンションメータ122が測定するクランプ5の移動量と、シリンジサイズの関係例を示している。
図10(A)において、ポテンションメータ122が10mLのシリンジ200を測定した場合に得られる移動量の測定範囲200Sと、ポテンションメータ122が5mLのシリンジ300を測定した場合に得られる移動量の測定範囲300Sとの間には、移動量の差DF1を確保することができる。同様にして、ポテンションメータ122が5mLのシリンジ300を測定した場合に得られる移動量の測定範囲300Sと、ポテンションメータ122が2mLのシリンジ400を測定した場合に得られる移動量の測定範囲400Sとの間には、移動量の差(マージン)DF2を確保することができる。
このように、移動量の差(マージン)DF1、DF2を確保できるのは、図9(B)に示すように、シリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、相互に間隔PR1、PR2を確保できているからである。つまり、図10(A)に示す移動量の差DF1は、図9(B)に示す間隔PR1を確保したことにより得られ、図10(A)に示す移動量の差DF2は、図9(B)に示す間隔PR2を確保したことにより得られる。
【0043】
このように移動量の差DF1、DF2を確保することができるので、図4に示す制御部100は、シリンジ本体保持部8D内に密接して保持されたシリンジの種類が、シリンジ200,300,400のいずれであるかを、測定マージンである移動量の差DF1、DF2を確保しながら区別して検出することができる。つまり、シリンジの種類を検出する際に、移動量の範囲200S、300S、400Sを接近させずに離すことができるように、測定マージンである移動量の差DF1、DF2を確保している。
しかも、医療従事者は、図9(B)に示す第1と第2部分直線形状部8R3,8R4には、各シリンジ本体201,301,401の外周面を倣わせて密接させるだけで、各シリンジ本体201,301,401は動かないようにして保持できるので、シリンジをシリンジ本体保持部8D内に装着した時に、Y2方向に対して密接した状態で位置決めすれば良いので、シリンジ本体の装着位置を確定し易い。
以上説明したように、収容部8の内面では、シリンジ本体201,301,401の外周面が、2本の接線CL1、CL2で接触する構成であるので、シリンジ本体201,301,401の外周面を収容部8の内面に対して倣い易くして位置決めを容易にすることができる。
【0044】
図10(B)は、図9に示す本発明の実施形態とは異なる比較例のシリンジ本体保持部1000Dの断面形状線1000Rを示している。
この比較例では、断面形状線1000Rは単純な円弧形状であり、直線部分は有していないが、底部には逃げ穴1001を有している。この断面形状線1000D内に収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、シリンジ本体401の内側部分401Nとシリンジ本体301の内側部分301Nとシリンジ本体201の内側部分201Nは、断面形状線1000Rの中央の一点に集中する。このため、図10(B)の比較例は、図9(B)に示す本発明の実施形態のように相互にシリンジ200,300,400の間に間隔PR1、PR2を確保することはできず、図10(A)に示すような移動量の差DF1と移動量の差DF2を確保することはできない。
また、図10(B)の比較例では、断面形状線1000Rは単純な円弧形状であるので、断面形状線1000Rに、各シリンジ本体201,301,401の外周面を密接させても、動かないようにして安定して保持できずに、シリンジをシリンジ本体保持部8D内に装着した時に、Y1方向に対して密接した状態で位置決めを確定することが難しいため、シリンジの装着作業性が低い。
【0045】
図9(B)に示すように、例えばシリンジ本体201が収容部8の内面に2本の接線CL1、CL2により接触する際のシリンジ本体201の外周面の内側位置と、別の異なる収容量のシリンジ本体301が収容部8の内面に2本の接線CL1、CL2により接触する際のシリンジ本体301の外周面の内側位置は、図10(B)の比較例のように1点に集中するのではなく、互いに離すことができる。このため、互いに収容量が異なる複数のシリンジ本体の外周面の内側位置が互いに異なるので、例えばクランプ5がシリンジ本体201,301を収容部8の内面側に押し付ける場合に、シリンジ本体201を測定して得られるポテンションメータの移動量の測定範囲200Sは、別の異なる収容量のシリンジ本体301を測定して得られるポテンションメータの移動量の測定範囲300Sとは、離すことができる。
従って、図4に示す制御部100は、ポテンションメータ122からの移動量の検出信号により、複数種類の収容量を有するシリンジ本体201,301のどちらのシリンジが選択して収容部8に装着されたかを、区別することができる。シリンジ本体301,401のどちらのシリンジが選択して収容部8に装着されたかを、区別する場合も同じである。
【0046】
次に、図11〜図13を参照して、図2に示すシリンジ押子駆動部7の構造例を説明する。図11と図12は、このシリンジ押子駆動部7を拡大して示す斜視図である。
図2と図11に示すように、シリンジ押子駆動部7は、本体カバー2の延長形成部2C内に収容して保持されている。この延長形成部2Cは、本体カバー2の下部分2BからX1方向に延長することにより形成されている。図2に示すように、延長形成部2Cは、上側面部701と、下側面部702と、右側面部703を有している。この延長形成部2Cは、上側面部701と下側面部702と右側面部703と、図11に示すすでに説明した収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、により囲まれた空間SPを有しており、この空間内にはシリンジ押子駆動部7が収容されている。
【0047】
図2に示すように、シリンジ押子駆動部7のスライダ10は、図4の制御部100からの指令により、シリンジ押子202の押子フランジ205を、シリンジ本体201に対して相対的にT方向(X2方向)に沿って少しずつ押す。すなわち、図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令により駆動されると、送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液することができる。
このスライダ10は、プラスチック製のカバー部材80と、2つの把持部材81,82と、操作レバー83を有している。このカバー部材80は、延長形成部2Cのガイドレール84に沿ってX1方向とX2方向(T方向)に沿って移動可能である。医療従事者は、指により、この操作レバー83を、図11(A)に示すP1方向に付勢力に抗して押し下たり、図11(B)に示すようにP2方向に付勢力により持ち上げることができるようになっている。操作レバー83は、図11(B)に示すガイド部83Gに沿って操作可能である。
【0048】
図12(B)に示すように、医療従事者が操作レバー83を、図11(A)に示すようにP1方向に付勢力に抗して押し下ることにより、把持部材81,82はX2方向に移動してカバー部材80から離れて間隔BNを開け、医療従事者が操作レバー83をさらに押すと、把持部材81,82は互いに遠ざかるRQ1方向に開く。
医療従事者がシリンジ押子202の押子フランジ205をこの間隔BNにはめ込んだ後に、医療従事者が操作レバー83を放すと操作レバー83はスプリングの力によりP2方向に復帰する。これにより、把持部材81,82は、図示しないスプリングの力により、X1方向に移動して押子フランジ205をこれらの把持部材81,82とカバー部材80の間に挟んで保持し、しかも把持部材81,82をRQ2方向に閉じることで、把持部材81,82はシリンジ押子202を両側から挟んで保持することができる。
【0049】
次に、図2に示す覆い部材としてのブーツ800の形状について説明する。
このブーツ800は、図4に示すように送りネジ135等の要素の周囲を覆っており、図11に示すように収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、スライダ10のカバー部材80の間に配置されている。ブーツ800は、送りネジ135等を覆う防沫構造になっている。これにより、シリンジ本体201内の薬剤がこぼれたり、上方に配置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散しても、送りネジ135等の要素に対して付着するのを防ぐことができる。
図11(A)に示すブーツ800は、薬剤や紫外線で劣化しないシリコーンゴム、合成ゴムやプラスチックにより作られており、スライダ10がX1方向とX2方向に移動するのに伴って、伸張と収縮ができる。図11(A)に示すように、ブーツ800は、複数の第1凸部分811,812,813,814,815,816と、複数の第2凸部分821,822,823と、左右位置の連結部分830,831を有している。
【0050】
左側の連結部分830は、本体フランジ把持部500の穴部分599を通って、シリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに固定されている。
左側の連結部分830には、2つの第1凸部分811,812が連続して形成され、さらに1つの第2凸部分821が連続して形成されている。この1つの第2凸部分821には、2つの第1凸部分813,814が連続して形成され、さらに1つの第2凸部分822が連続して形成されている。さらに、1つの第2凸部分822には、2つの第1凸部分815,816が連続して形成され、1つの第2凸部分823が連続して形成されている。1つの第2凸部分823は右側の連結部分831を介してカバー部材80の内側面89側に接続されている。このように、2つの第1凸部分の間には、1つの第2凸部分が配置されている。
【0051】
図13(A)は、このブーツ800とスライダ10を示す底面図である。
図13に示す複数の第2凸部分821,822,823の外径DM2は、第1凸部分811,812,813,814,815,816の外径DM1に比べて1/2程度に小さく設定されている。スライダ10のカバー部材80は、凹型のブーツ収納部88を有している。
図13(B)と図13(C)は、ブーツ800が縮んだ状態を示しており、縮んだ状態のブーツ800の一部もしくは全部が、カバー部材80のブーツ収納部88内に収納することができるようになっている。これにより、収縮された覆い部材であるブーツ800の少なくとも一部を、移動部材であるスライダ10のブーツ収納部88内に収納できるので、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
【0052】
図13(A)は、このブーツ800とスライダ10を示す底面図である。
図13に示す複数の第2凸部分821,822,823の外径DM2は、第1凸部分811,812,813,814,815,816の外径DM1に比べて小さく設定されている。スライダ10のカバー部材80は、凹型のブーツ収納部88を有している。
図13(B)と図13(C)は、ブーツ800が縮んだ状態を示しており、縮んだ状態のブーツ800の一部もしくは全部が、カバー部材80のブーツ収納部88内に収納することができるようになっている。これにより、収縮された覆い部材であるブーツ800の少なくとも一部を、移動部材であるスライダ10のブーツ収納部88内に収納できるので、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
【0053】
ここで、ブーツ800の収縮機能について説明する。
図13(A)に示すように、スライダ10がX2方向(T方向)にスライドすると、図13(B)に示すように、隣同志の第1凸部分812と第1凸部分813が、これらの間に位置している径の小さな1つの第2凸部分821を内側に収容するようにして織り込んだ状態で納めることができる。同様にして、隣同志の第1凸部分814と第1凸部分815が、これらの間に位置している1つの第2凸部分822を織り込んだ状態で納めることができる。しかも残りの1つの第2凸部分823は、第1凸部分816内に織り込んだ状態で納めることができる。
図13(B)に示すように、ブーツ800が収納された状態では、折り畳まれた2つの第1凸部分811,812の膨出部分の間に、1つの第2凸部分821が織り込まれた(収納された)状態に維持することができ、同様にして折り畳まれた第1凸部分814,815の間に、第2凸部分822が織り込まれた(収容された)状態に維持することができる。
【0054】
これにより、ブーツをすべて同じ大きさの第1凸部分で形成した場合に比べて、第2凸部分は2つの第1凸部分内に織り込んだ状態で納めることができることから、ブーツ800が収縮した状態では、その収縮長さLTを短くすることができる。ブーツ800が収縮された状態でその収縮長さを短くすることにより、シリンジ押子駆動部7のスライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくでき、小型化を図ることができる。すなわち、ブーツ800がスライダ10により押されて収縮されると、第2凸部分の両側に位置する第1凸部分が、この第2凸部分を織り込んだ状態で収縮できるので、覆い部材が収縮された状態でその収縮長さを短くでき、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
図14に示すように、大きい第1凸部分1201と小さい第2凸部分1202を交互に配列するようにしてもよい。
しかしながら、このように構成すると、小さい第2凸部分1202の数が図13の場合と比較して、比率的に多くなるので、ブーツがX1方向についての伸び量が十分に確保できない場合もある。
したがって、伸長時にブーツが十分な長さ延びることができ、可能な限り長さ寸法を小さく収縮できるようにするには、図13に示す本実施形態のブーツのように、好ましくは、2つの大きな第1凸部分と1つの小さな第2凸部分を交互に繰り返して配列する。
【0055】
次に、上述したシリンジポンプ1の使用例を説明する。
図7を参照すると、医療従事者が、例えばシリンジ200を収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して配置すると、本体フランジ209の一部分がシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の先端部501との間に挿入される。
図7(B)に示すように、本体シリンジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟まれた状態で、しかも本体フランジ把持部500が弾性変形する際の反発力により、平坦な右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の平坦な内面509の間に挟まれて固定される。これにより、本体フランジ209は、本体フランジ把持部500と収容部8の側面部8Vとの間にはめ込むだけで、本体フランジ把持部500の自由端部側を撓ませた状態で容易に装着できる。
この際に、シリンジ押子202の十字リブ形状部202Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部202Wが邪魔とならず、十字リブ形状部202Wが凹部504に乗り上げてしまうことが無い。
【0056】
図8(A)から図8(B)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれて所定位置LLに達している状態では、本体フランジ検出部材601はGH方向に回転するので、本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間から離脱する。このため、発光素子251からの光は受光部252に受光されるので、受光部252は受光信号RSを制御部100に送る。制御部100は、この受光信号RSを受けると、表示部3において、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を表示させる。このため、医療従事者は、本体フランジ201が予め定めた位置LLまで装着されたことを、表示部2を目視で確認できる。
この場合に、制御部100は、必要に応じて、同時に図4に示すスピーカ131により、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を音声ガイダンスしても良い。これにより、医療従事者は、本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと確実に把握できる。
【0057】
その後、医療従事者は、図2に示すクランプ5を操作して、クランプ5によりシリンジ本体201を、収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して固定する。これにより、シリンジは動かない。
一方、医療従事者は、図11(A)に示す操作レバー83を、図11(A)に示すようにP1方向に付勢力に抗して押し下ることにより、図12(B)に示すように把持部材81,82はX2方向に移動してカバー部材80から離れて間隔BNを開ける。医療従事者が操作レバー83をさらに押すと、把持部材81,82は互いに遠ざかるRQ1方向に開く。
医療従事者がシリンジ押子202の押子フランジ205をこの間隔BNにはめ込んだ後に、医療従事者が操作レバー83を放すことにより、把持部材81,82は、図示しないスプリングの力により、X1方向に移動し、把持部材81,82をRQ2方向に閉じる。これにより、押子フランジ205は、これらの把持部材81,82とカバー部材80の間に挟んで保持し、しかも把持部材81,82はシリンジ押子202を両側から挟むことができる。
【0058】
そして、図4において、必要に応じて、検出スイッチ120,121は、シリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検出して、制御部100に通知する。
クランプ5の移動量のセンサとしてのポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5の移動量を検出することで、シリンジ本体201がクランプ5により確実にクランプされているかどうかを、制御部100に通知する。制御部100が、シリンジ200を確実にクランプできたと判断すると、シリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令により駆動されて送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。
これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をX2方向(T方向)に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0059】
このようにスライダ10がシリンジ押子202をX2方向(T方向)に押圧して、シリンジ200から薬剤が送液されると、ブーツ800は図12(A)から図13(B)に示す状態に収縮される。ブーツ800が収縮されると、第1凸部分812と第1凸部分813が、これらの間に位置している第2凸部分821を織り込んだ状態で納めることができる。同様にして、第1凸部分814と第1凸部分815が、これらの間に位置している第2凸部分822を織り込んだ状態で納めることができる。しかも残りの第2凸部分823は第1凸部分823内に織り込んだ状態で納めることができる。
つまり、図13(B)に示すように、ブーツ800が収納された状態では、折り畳まれた第1凸部分811,812の間に、第2凸部分821が収納された状態に維持することができ、同様にして折り畳まれた第1凸部分814,815の間に、第2凸部分822が収納された状態に維持することができる。これにより、図13(B)に示すように、ブーツをすべて第1凸部分で形成した場合に比べて、第2凸部分823は第1凸部分823内に織り込んだ状態で納めることができる。
【0060】
本発明の実施形態では、シリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができる。すなわち、医療従事者は、本体フランジを本体フランジ把持部にはめ込んで把持することで確実に装着でき、本体フランジが装着されたことは、本体フランジ検出部から制御部に与えられる検出信号に基づいて、制御部は本体フランジが所定位置に達していることを把握できる。このため、シリンジ押圧駆動部がシリンジ押子を正確な方向に押し込むことができるので、薬剤の送液処置を高い精度で行える。
【0061】
本発明の実施形態によれば、シリンジ本体の外周面を位置決めして装着する際に倣い易くして位置決めし易くすることでシリンジ本体の取り付け作業が迅速にでき、複数種類の収容量を有するシリンジの中のどの種類のシリンジが選択して収容部に装着されたかを区別することができる。
【0062】
図15は、図1と図2に示す複数台のシリンジポンプ1を、設定スタンド70に上下方向に一列に搭載した例を示しており、必要に応じて複数台のシリンジポンプ1を同時に使用することができる。同じ種類の複数台のシリンジポンプ1を重ねるようにして配置したり、シリンジポンプ1と、このシリンジポンプ1とは異なる種類のポンプ、例えば輸液ポンプ1100を積み重ねて配置する際には、シリンジポンプ1の本体カバーの周囲部分もしくは一部分と、輸液ポンプ1100の本体カバーの周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバーの色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印770を表示することができる。これにより、ポンプの目印770が設けられることで、複数台のシリンジポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいはシリンジポンプ1と他の種類のポンプ例えば輸液ポンプ1100等を積み重ねて使用する場合には、医療従事者が各ポンプの境目を視覚的に明確に認識できるメリットがある。
【0063】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の実施形態のシリンジポンプ1は、図7に示す例えば3種類の大きさの薬剤を収容するシリンジ200,300,400を着脱可能に設定するようにしているが、これに限らず2種類あるいは4種類以上のシリンジを設定することもできる。
図8に示すフォトカプラセンサ250のような光検出器に代えて、他の形式の検出器、例えば磁気検出器等を用いても良い。
【符号の説明】
【0064】
1・・・シリンジポンプ、2・・・本体カバー、2A・・・本体カバーの上部分、2B・・・本体カバーの下部分、3・・・表示部、4・・・操作パネル部、5・・・クランプ、6・・・シリンジ設定部、7・・・シリンジ押子駆動部、8・・・凹状の収容部、8D・・・収容部のシリンジ本体保持部、10・・・スライダ(移動部材)、100・・・制御部、122・・・ポテンションメータ、135・・・送りネジ(スライダ)、200,300,400・・・シリンジ、201,301,401・・・シリンジ本体、202,302,402・・・シリンジ押子、205,305,405・・・押子フランジ、209,309,409・・・シリンジ本体の本体フランジ、250・・・フォトカプラセンサ(検出器の一例)、500・・・本体フランジ把持部、600・・・本体フランジ検出部、601・・・本体フランジ検出部材601、700・・・本体フランジの把持検出部、800・・・ブーツ(覆い部材)、811〜816・・・第1凸部分、821,822,823・・・第2凸部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者へ薬剤等を送液するためのシリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジポンプは、例えば集中治療室(ICU)等で使用されて、患者に対して抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の送液を、通常の場合、0.1〜150mL/hの流速、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、高い精度で比較的長時間行うことに用いられている。シリンジポンプの薬剤の流量制御は、他の輸液ポンプに比較して精密で優れている。
すなわち、薬剤を充填したシリンジ本体は、シリンジポンプに対してクランプを用いて動かないようにセットされ、シリンジポンプは、シリンジ押子を押圧してシリンジ本体内の薬剤を正確に患者側に送液するようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−88564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したシリンジポンプには、複数種類の収容量、例えば2.5mL,5mL,10mL,2.5mL,30mL,50mLの収容量を有するシリンジが着脱可能に装着されるようになっている。シリンジがシリンジポンプに固定される場合には、シリンジ本体の外周面がシリンジポンプの凹部の内面に密着されるとともに、シリンジの本体フランジがシリンジポンプのはめ込み部分に対してはめ込まれるようになっている。
【0005】
ここで、もし、本体フランジが所定位置にまではめ込まれないと、シリンジ本体がシリンジポンプの凹部の内周面に対して傾いて装着されることになる。このため、シリンジ押圧駆動部がシリンジ押子を正確な方向に押し込むことができず、薬剤の送液処置を、高い精度で行うことができなくなる。
そこで、本発明は、2.5mL,5mL,10mL,2.5mL,30mL,50mLの収容量のシリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができるシリンジポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシリンジポンプは、薬剤が充填されているシリンジを装着して、前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液するためのシリンジポンプであって、前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、前記シリンジのシリンジ押子を押すためのシリンジ押子駆動部と、を有し、前記シリンジ設定部は、前記シリンジ本体を収容する凹状の収容部と、前記シリンジ本体を前記収容部に収容した状態で、前記シリンジ本体の本体フランジを着脱可能にはめ込むことで前記本体フランジを把持する本体フランジ把持部と、前記本体フランジ把持部の予め定めた位置に前記本体フランジが装着されたことを検出する本体フランジ検出部と、前記本体フランジ検出部からの前記本体フランジを検出した検出信号を受ける制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、シリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができる。すなわち、医療従事者は、本体フランジを本体フランジ把持部にはめ込んで把持することで確実に装着でき、本体フランジが装着されたことは、本体フランジ検出部から制御部に与えられる検出信号に基づいて、制御部は本体フランジが所定位置に達していることを把握できる。
【0007】
好ましくは、前記本体フランジ把持部は、前記収容部の側面部に沿って配置される板状の部材であり、前記本体フランジ把持部の一端部が固定され、前記本体フランジ把持部の他端部が自由端部となっており、前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に前記本体フランジを着脱可能に装着する構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、本体フランジは、本体フランジ把持部と収容部の側面部との間にはめ込むだけで本体フランジ把持部の自由端部側を撓ませた状態で容易に装着できる。
【0008】
好ましくは、前記本体フランジ検出部は、検出器と、前記本体フランジが前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に装着されることで押されて、前記検出器から前記制御部に前記検出信号を付与させる本体フランジ検出部材と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、本体フランジが本体フランジ検出部材を押す簡単な構成にすることで、検出器は制御部に対して検出信号を付与することができる。
【0009】
好ましくは、情報を表示する表示部と、前記本体フランジ検出部が前記本体フランジを検出すると前記本体フランジ検出部から本体フランジ検出信号を受けて、前記本体フランジが前記予め定めた位置まで装着されたことを前記表示部に表示させる前記制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、医療従事者は、本体フランジが予め定めた位置まで装着されたことを、表示部を目視することで確認することができる。
【0010】
好ましくは、前記本体の上部分には、前記表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体の下部分には、前記シリンジ設定部と前記シリンジ押子駆動部が配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、シリンジからの薬剤の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体の上部分の表示部の情報を確認しながら、操作パネル部の操作ボタンを操作することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、2.5mL〜50mLの範囲のシリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができるシリンジポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のシリンジポンプの好ましい実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図。
【図3】複数種類の大きさのシリンジの例を示す斜視図。
【図4】シリンジポンプにおける電気な構成例を示す図。
【図5】図2に示すシリンジ設定部とシリンジ押子駆動部を示す斜視図。
【図6】図5に示すシリンジ設定部とシリンジ押子駆動部を、E方向から拡大して示す斜視図。
【図7】本体フランジ把持部を、図6のF方向から見た底面図。
【図8】図7に示す本体フランジ把持部と本体フランジ検出部の構造例を示す図。
【図9】図6に示す収容部のシリンジ本体の保持部のJ−J線における断面形状例を示す図。
【図10】図10(A)は、このポテンションメータが測定するクランプの移動量とシリンジサイズの関係例を示し、図10(B)は、本発明の範囲外である比較例における収容部の円弧型の断面形状を示す図。
【図11】シリンジ押子駆動部のブーツが伸張されている状態を拡大して示す斜視図。
【図12】図12(A)は、シリンジ押子駆動部のブーツが少し収縮されている状態を拡大して示す斜視図であり、図12(B)は、押子フランジがスライダに装着される様子を示す図。
【図13】ブーツの形状と、ブーツの収縮状態の例を示す図。
【図14】ブーツの構造例を示す図。
【図15】図1と図2に示す複数台のシリンジポンプを、設定スタンドに搭載した例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。 図1は、本発明のシリンジポンプの好ましい実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すシリンジポンプをW方向から見た斜視図である。
【0014】
図1と図2に示すシリンジポンプ1は、例えば集中治療室(ICU、CCU,NICU)等で使用され、患者に対して、抗がん剤、麻酔剤、化学療法剤、輸血等、栄養剤等の薬剤の注入を、通常の場合、0.1〜150mL/hの注入速度、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、±3%以内の精度で比較的長時間行うことに用いられる注入ポンプである。このシリンジポンプ1は、薬剤ライブラリから、使用する薬剤を選択して、その選択した薬剤を送液するために用いられる。この薬剤ライブラリは、薬剤ライブラリデータベース(DB)において、予め登録された薬剤名を含む薬剤の投与設定群である薬剤情報である。医療従事者は、この薬剤ライブラリを用いることにより、複雑な投与設定をその都度行わなくても良く、薬剤の選択および薬剤の設定が図れる。
【0015】
図1と図2に示すように、シリンジポンプ1は、例えば薬剤を充填したシリンジ200のシリンジ本体(シリンジ外筒)201を、クランプ5を用いて動かないようにセットすることができる。シリンジポンプ1は、シリンジ200のシリンジ押子202の押子フランジ205をT方向に押圧して、シリンジ本体201内の薬剤を、図2に示すように輸液チューブ203と留置針204を介して、患者Pに対して正確に送液するようになっている。
シリンジポンプ1は、本体部ともいう本体カバー2を有し、この本体カバー2は耐薬品性を有する成型樹脂材料により一体成型されており、仮に薬剤等がかかってもシリンジポンプ1の内部に侵入するのを防ぐことができる防沫処理構造を有している。このように、カバー2が防沫処理構造を有しているのは、シリンジ本体201内の薬剤がこぼれたり、上方に配置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散して付着することがあるためである。
【0016】
まず、シリンジポンプ1の本体カバー2に配置された要素について説明する。
図1と図2に示すように、シリンジポンプ1は、本体カバー2と取手2Tを有しており、取手2Tは水平方向のN方向(シリンジポンプ1に向って右方向)に伸ばしたり水平方向のT方向(シリンジポンプ1に向って左方向)に収納したりすることができる。本体カバー2の上部分2Aには、表示部3と、操作パネル部4が配置されている。本体カバー2の下部分2Bには、シリンジ載置部6と、シリンジ押子202を押すためのシリンジ押子駆動部7が配置されている。これにより、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3の情報を確認しながら、シリンジ200からの薬剤の送液作業を行うことができる。そして、医療従事者は、本体カバー2の上部分2Aの表示部3の情報を確認しながら、操作パネル部4の操作ボタンを操作することができる。
【0017】
表示部3は、カラー表示することができる画像表示装置であり、例えばカラー液晶表示装置を用いている。この表示部3は、日本語表記による情報表記だけでなく、必要に応じて複数の外国語による情報の表示を行うことができる。表示部3は、本体カバー2の上部分2Aの左上位置であって、シリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7の上側に配置されている。操作パネル部4は、本体カバー2の上部分2Aにおいて表示部3の右側に配置され、操作パネル部4には、電源ON/OFFボタン4F、動作インジケータ4A、操作ボタンとしては、図示例では、必要最小限の、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eが4ケ配置されている。
【0018】
図2に示す表示部3は、例えばポリエステル膜で表面がおおわれており、艶がある。これに対して、操作パネル部4の表面は、例えば艶消し処理が施されている。本体カバー2の上部分2Aは、本体カバー2の上半分の部分である。本体カバー2の下部分2Bは、本体カバー2の下半分の部分である。本体カバー2の周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバー2の表面色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印を表示することができる。このポンプの目印が設けられることで、複数台の輸液ポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいはこのシリンジポンプ1と他の種類のポンプ例えば輸液ポンプ等を積み重ねて使用する場合には、各ポンプの境目が視覚的に明確になるメリットがある。
【0019】
図1と図2に示すように、シリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7は、X方向に沿って並べて配置されている。シリンジ載置部6は、例えば図3を用いて後で説明する複数種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400の中から必要とする収容量のシリンジを選択して着脱可能にはめ込んで装着することができる。
図1と図2では、複数種類のシリンジ200,300,400の内の最も収容量の大きいシリンジ200が、クランプ5から受ける付勢力により、動かないようにして装着されている例を、代表して示している。ここでは、3種類の収容量のシリンジを示したが、躯体的には2.5mL,5mL,10mL,20mL,30mL,50mLの収容量のシリンジが適用できる。
図1と図2に示すシリンジ載置部6は、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(図3を参照)をはめ込んで把持するための本体フランジ把持部500を有している。収容部8は、凹型のシリンジ本体保持部8Dを有している。収容部8の左側の端部には、壁部分8Wを有しており、この壁部分8Wには、輸液チューブ203を着脱可能に挟み込むためのチューブ固定部9が形成されている。このチューブ固定部9は、輸液チューブ203の一部を挟み込んで固定する溝部分である。
【0020】
図1と図2において、医療従事者が、クランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ載置部6から取り外す際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向(手前方向)に引っ張って、しかもR1方向に90度回すことで、クランプ5はシリンジ本体201の外周面から離れる。これにより、シリンジ本体201は、クランプ5による固定を解除して、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから取り出すとともに、輸液チューブ203はチューブ固定部9内から取り外すことができる。
また、このクランプ5を操作してシリンジ200をシリンジ載置部6の収容部8に収容して取り付ける際には、クランプ5を図示しないスプリングの力に抗してY1方向に引っ張ってR2方向に90度回して、スプリングの力によりY2方向に戻すことで、シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容するとともに、輸液チューブ203をチューブ固定部9内にはめ込んだ状態で、クランプ5により、2.5mL,5mL,10mL,20mL,30mL,50mLの収容量のシリンジを固定することができるように、シリンジ載置部6の収容部8の右端部8Eは一部が切欠部となっている。
【0021】
シリンジ本体201は、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して装着されると、シリンジ押子202がシリンジ押子駆動部7内に配置される。このシリンジ押子駆動部7は、移動部材としてのスライダ10を有している。このスライダ10は、図2に示す制御部100からの指令により、シリンジ押子202の押子フランジ205を把持しながら、シリンジ本体201に対して相対的にT方向に沿って少しずつ押す。これにより、シリンジ本体201内の薬剤は、輸液チューブ203と留置針204を通じて、患者Pに対して、0.1〜150mL/hの注入速度、999mLまでの注入量の範囲で設定された値で、精度よく長時間かけて送液することができる。なお、図1と図2におけるX方向、Y方向、Z方向は互いに直交しており、Z方向は上下方向である。
図2に示す表示部3における薬剤情報の表示内容としては、例えば閉塞圧レベル表示,薬剤投与の予定量(mL)の表示欄、薬剤投与の積算量(mL)の表示欄、充電履歴の表示欄、電圧低下の表示欄、注入速度(mL/h)、注入量(mL)等の表示欄をカラー表示することができる。
【0022】
図3は、上述した複数種類の大きさのシリンジの例を示す斜視図である。
図1と図2では、最も薬剤の収容量が大きいシリンジ、例えば50mLの収容量のシリンジ200が固定されている例を示している。図3(A)に示す最も薬剤の収容量が大きいシリンジ200は、シリンジ本体201と、十字リブ形状部202Wを有するシリンジ押子202を有しており、シリンジ本体201は本体フランジ209を有し、シリンジ押子202は押子フランジ205を有している。シリンジ本体201には、薬剤の目盛210が形成されている。シリンジ本体201の出口部211には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(B)に示す薬剤の収容量が中くらいのシリンジ、例えば10mL,2.5mL,30mLの収容量のシリンジ300は、シリンジ本体301と、十字リブ形状部302Wを有するシリンジ押子302を有しており、シリンジ本体301は本体フランジ309を有し、シリンジ押子302は押子フランジ305を有している。シリンジ本体301には、薬剤の目盛310が形成されている。シリンジ本体301の出口部311には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
【0023】
図3(C)に示す最も薬剤の収容量がシリンジ、例えば2.5mLまたは5mLの収容量の小さいシリンジ400は、シリンジ本体401と、十字リブ形状部402Wを有するシリンジ押子402を有しており、シリンジ本体401は本体フランジ409を有し、シリンジ押子402は押子フランジ405を有している。シリンジ本体401には、薬剤の目盛410が形成されている。シリンジ本体401の出口部411には、フレキシブルな輸液チューブ203の一端部が着脱可能に接続される。
図3(A)に示すシリンジ200は、例えば薬剤の収容量が10mLであり、図7(B)に示すシリンジ300は、例えば薬剤の収容量が5mLであり、図7(C)に示すシリンジ400は、例えば薬剤の収容量が2.5mLである。シリンジ300,400の各シリンジ本体301,401は、図1と図2に示すシリンジ200と同様にして、収容部8のシリンジ本体保持部8D内に収容して固定することができる。
しかし、図3では、3種類のシリンジを図示しているが、これに限らず、シリンジが収容できる薬剤の収容量は、2.5mL〜50mL、例えば2.5mL、30mL、50mL等であっても良く、シリンジの収容量は任意に選択できる。
【0024】
次に、図4を参照して、図1と図2に示すシリンジポンプ1における電気な構成例を説明する。
図4において、シリンジポンプ1は、全体的な動作の制御を行う制御部(コンピュータ)100を有している。この制御部100は、例えばワンチップのマイクロコンピュータであり、ROM(読み出し専用メモリ)101,RAM(ランダムアクセスメモリ)102、不揮発性メモリ103、そしてクロック104を有する。クロック104は、所定の操作により現在時刻の修正ができ、現在時刻の取得や、所定の送液作業の経過時間の計測、送液の速度制御の基準時間の計測等ができる。
【0025】
図4に示す制御部100は、電源スイッチボタン4Sと、スイッチ111が接続されている。スイッチ111は、電源コンバータ部112と例えばリチウムイオン電池のような充電池113を切り換えることで、電源コンバータ部112と充電池113のいずれかから制御部100に電源供給する。電源コンバータ部112は、コンセント114を介して商用交流電源115に接続されている。
図4において、収容部8内には、一対の検出スイッチ120,121が配置されている。検出スイッチ120,121は、シリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検知して、制御部100に通知する。
【0026】
図4に示すクランプセンサとしてのポテンションメータ122は、クランプ5に連結されている。このポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5がY2方向に関して移動する際のクランプ5の移動量を検出することで、どの収容量のシリンジ本体201(301,401)がクランプ5によりクランプされているかどうかを、制御部100に検出信号を送って通知する。制御部100は、このポテンションメータ122からの検出信号によりクランプ5のY方向に関する移動量を得て、例えば図3に示す複数種類の収容量のシリンジのシリンジ本体201,301,401の内のどのシリンジが装着されているかを判別することができる。なお、同じ収容量のシリンジであってメーカーによって、シリンジ外筒の外径が若干異なるため、これらのデータはROM101に記憶されていている。
図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令によりモータドライバ134により駆動されると、送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0027】
図4において、表示部ドライバ130は、制御部100の指令により表示部3を駆動して、各種情報や報知内容等を表示するようになっている。スピーカ131は、制御部100の指令により各種の報知内容を音声により告知することができる。
制御部100は、通信ポート140を通じて、例えばデスクトップコンピュータのようなコンピュータ141に対して双方向に通信可能である。このコンピュータ141は、薬剤データベース(DB)150に接続されており、薬剤データベース150に格納されている薬剤情報MFは、コンピュータ141を介して、制御部100に取得して、制御部100の不揮発性メモリ103に記憶させることができる。制御部100は、記憶した薬剤情報MFを基にして、表示部3には薬剤情報MF等を表示することができる。
図4において、早送りスイッチボタン4B、開始スイッチボタン4C、停止スイッチボタン4D、メニュー選択ボタン4Eは、制御部100に電気的に接続されている。
この他に、制御部100には、本体フランジ209が挿入されたことを検出するための検出器としてのフォトカプラセンサ250が、電気的に接続されている。このフォトカプラセンサ250は、発光素子251と、この発光素子251からの光を受光する受光素子252を有している。
【0028】
次に、シリンジ載置部6の詳しい構造を説明する。
図5は、図2に示すシリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7を示す斜視図である。図6は、図5に示すシリンジ載置部6とシリンジ押子駆動部7を、E方向から拡大して見た斜視図である。
図5に示すシリンジ載置部6は、シリンジを載せるシリンジ載置台でもあり、シリンジ本体201を収容する収容部8と、クランプ5と、シリンジ200の本体フランジ209(図3を参照)をはめ込んで固定するための本体フランジ把持部500と、本体フランジ検出部600を有している。
図5と図6に示すように、シリンジ載置部6の収容部8は、シリンジ本体201の一部分もしくは全部を収容することができる凹部であり、収容部8の軸方向はX方向に沿っている。図1と図2では、一例として最も容量の大きいシリンジ200のシリンジ本体201が収容部8内に収められているが、この例ではシリンジ本体201の外周面の一部分が収容部8のシリンジ本体保持部8Dの内面に対して密接され、シリンジ本体201の外周面の残り部分は、外側に露出されている。
【0029】
図7は、本体フランジ把持部500を、図6のF方向から見た底面図である。図8は、図7に示す本体フランジ把持部500と本体フランジ検出部600の構造例を示す図である。
図8に示すように、本体フランジ把持部500と本体フランジ検出部600は、本体フランジの把持検出部700を構成している。本体フランジの把持検出部700は、一例としてシリンジ200の本体フランジ209をはめ込んで確実に把持でき、しかも本体フランジ209をはめ込んで本体フランジ209が予め定めた所定位置LLに達していることを、制御部100が確実に把握できるようにするために設けられている。
【0030】
まず、図5〜図8を参照して、本体フランジ把持部500の構造を説明する。
図5と図6に示す本体フランジ把持部500は、弾性変形可能なプラスチック製の板部材であり、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに対して平行に配置されている。この本体フランジ把持部500は、Y方向とZ方向で形成される面に配置されており、先端部501は、2つの突出部502,503と、これらの突出部502,503の間に形成されている凹部504を有している。
図7(A)に示すように、突出部502,503の内面502A,503Aは、先細りになるように傾斜面になっている。これにより、本体フランジ209は、本体フランジ把持部500の内面509とシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vとの間に、図8のY1方向に沿って容易に挿入することができる。図6に示すように、この突出部502は上側に位置し、突出部503は下側に位置している。凹部504の中央位置には、好ましくはさらに小さい凹部505が形成されている。図7(B)に示すように、この小さい凹部505は、シリンジ400が装着された状態で、特に2.5mLシリンジなど小さい収容量のシリンジの十字リブ形状部402Wであっても、シリンジポンプの機能に影響しないように,フランジ把持部500への乗り上げを回避するための溝部分である。小さい外筒径,たとえば2.5,5mLシリンジを装着した際に,十字リブ形状部402Wがフランジ把持部500と接触するのを回避する目的で形成している。十字リブ形状部402Wがフランジ把持部500と接触すると、シリンジ押子駆動部7でシリンジを送液する際の吐出精度や,閉塞の検出精度に影響するため、これを回避するためである。
【0031】
図7に示すように、本体フランジ把持部500の内面509は、収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに平行になるように、しかも図7(A)に示すように所定の小さい間隔Kを保持した状態で、固定されている。この間隔Kは、本体フランジ把持部500の厚みHと本体フランジ209の厚みGよりも小さく設定されている。
図7に示す本体フランジ把持部500は、断面ほぼL字型を有しており、本体フランジ把持部500の一端部は取り付け基部506である。本体フランジ把持部500の他端部は、突出部502と突出部503を有する自由端部である。この取り付け基部506は、シリンジポンプ1の本体ケース2の一部分507に対してネジ508を用いて固定されている。これにより、本体フランジ209が間隔Kにはめ込まれると、本体フランジ把持部500は、図7(A)に示す正立した状態から図7(B)に示す傾いた状態になるように、取り付け基部506に対してMB方向に弾性変形できるようになっている。
【0032】
図7(A)から図7(B)に示すように、シリンジ200が収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して配置されると、本体フランジ209の一部分がシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の先端部501の間に挿入される。本体シリンジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟まれた状態で、しかも本体フランジ把持部500が弾性変形する際の反発力により、平坦な右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の平坦な内面509の間に挟まれて固定されることになる。
この際に、クランプ5により,シリンジ外筒部を固定しているため,シリンジ押子202の十字リブ形状部202Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部202Wが邪魔とならず、十字リブ形状部202Wが凹部504に乗り上げてしまうことが無い。このため、シリンジ本体201は、本体フランジ把持部500が存在していても、収容部8のシリンジ本体保持部8Dから浮き上がることがないようにしてシリンジ本体保持部8Dに装着することができる。
【0033】
本体フランジ把持部500は、一例としてシリンジ200の本体フランジ209をはめ込んで確実に固定できるが、シリンジ200に限らず、例えば図3に示す他の種類のシリンジ300,400も同様にして確実に固定できる。すなわち、本体フランジ把持部500は、図3のシリンジ300の本体フランジ309をはめ込んで確実に固定できる。シリンジ押子302の十字リブ形状部302Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部302Wが邪魔とならず凹部504に乗り上げてしまうことが無い。同様にして、本体フランジ把持部500は、図3のシリンジ400の本体フランジ409をはめ込んで確実に固定できる。シリンジ押子402の十字リブ形状部402Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部402Wが邪魔とならず凹部504に乗り上げてしまうことが無い。
【0034】
次に、図8を参照して本体フランジ検出部600の構造例を説明する。
本体フランジ検出部600は、本体フランジ209がはめ込まれて本体フランジ209が予め定めた所定位置LLに達していることを、制御部100に通知できる。この制御部100は、本体フランジ209が所定位置LLに達していることを、例えば表示部3に表示させることができる。このため、医療従事者は、シリンジを正確に装着できたことを、表示部3を目視することで、確実に把握できる。
図8に示すように、本体フランジ検出部600は、本体フランジ検出部材601と、スプリング602と、フォトカプラセンサ250と、突起部603を有している。本体フランジ検出部材601とスプリング602とフォトカプラセンサ250は、シリンジポンプ1の本体ケース2内に配置されている。本体フランジ検出部材601は、図8(B)に示すように本体フランジ209が所定位置LLに達していることを直接接触することで検出する棒状の部材である。本体フランジ検出部材601は、検出先端部604と後端部605を有している。本体フランジ検出部材601は、ピン606を用いてGH方向に沿って、スプリング602の力に抗して回転できる。
【0035】
本体フランジ検出部材601の検出先端部604は、好ましくは半球状に形成されている。図8(A)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれていない状態では、本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間に入り込んでいる。このため、発光素子251からの光はこの後端部605により遮断されていて、受光部252には受光されない。
これに対して、図8(B)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれて所定位置LLに達している状態では、本体フランジ検出部材601はスプリング602の力に抗してGH方向に回転される。本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間から離脱している。
このため、発光素子251からの光は受光部252に受光されるので、受光部252は、受光信号RSを制御部100に送る。制御部100は、この受光信号RSを受けることにより、表示部3において、例えば「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を表示させる。この場合に、制御部100は、必要に応じて、同時に図4に示すスピーカ131により、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を、音声ガイダンスしても良い。これにより、医療従事者は、本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたことを、情報表示と音声ガイダンスの少なくとも一方により確実に把握できる。
【0036】
なお、所定位置LLは、最も収容量の小さい例えば2.5mLのシリンジの本体フランジ、最も収容量の大きい例えば50mLのシリンジの本体フランジであっても検出できる位置である。
また、図8に示すように、本体フランジ把持部500の内面509には、突起部603が設けられている。この突起部603は、図8(A)に示す状態では、本体フランジ検出部材601の検出先端部604と突き当たることにより、本体フランジ把持部500の内面509と収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vの所定の小さい間隔Kを保持している。そして、図8(B)に示すように、本体フランジ209が挿入されると、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱する。
【0037】
なお、所定位置LLは、最も収容量の小さい例えば2.5mLのシリンジの本体フランジ、最も収容量の大きい例えば50mLのシリンジの本体フランジであっても検出できる位置である。また、図8に示すように、本体フランジ把持部500の内面509には、突起部603が設けられている。この突起部603は、図8(A)に示す状態では、本体フランジ検出部材601の検出先端部604と突き当たることにより、本体フランジ把持部500の内面509と収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vの所定の小さい間隔Kを保持している。そして、図8(B)に示すように、本体フランジ209が挿入されると、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱する。
なお,別の実施形態として、本体フランジ209が挿入された場合であっても、本体フランジ検出部材601の検出先端部604は突起部603から離脱せず、検出先端部604は突起部603上を摺動するようにする。ただし、本機構の目的は、本体フランジ209がセットされていることを確認することである。そのため、検出可能であれば,本体フランジ209の厚みがある規定値を超える値のものをセットされた場合には検出先端部604は突起部603上から離脱してもよい。
【0038】
次に、図2、図6、そして図9と図10を参照して、シリンジ載置部6の収容部8のシリンジ本体保持部8Dの好ましい形状例について説明する。
図2と図6に示すように、シリンジ載置部6の収容部8の右側寄りの位置には、クランプ5が対面して配置されている。また、図6に示すように、収容部8の右側側面部8Vには、すでに説明した本体フランジ把持部500が配置されている。
図9は、図6に示す収容部8のシリンジ本体保持部8DのJ−J線における断面形状例を示している。シリンジ本体保持部8Dは、シリンジ本体201の外周面の少なくとも一部を収容して保持するために形成されている凹部であるが、図9(A)と図9(B)に示すような特徴的な断面形状を有している。
【0039】
図9(A)には、図8(B)に示している収容部8のシリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rを形成するために基本となる形成線の例を示しており、1つの円弧形成線L1と、2本の直線形成線L2、L3が図示されている。2本の直線形成線L2、L3は、1つの円弧形成線L1に対する接線であり、交点Cにおいて交差している。
ここで、収容部8の内面におけるシリンジ本体の軸方向と直交する断面形状は、この内面の先端部(図9Aの左端部)から中央部(同図のL2、L3との接触部付近)までの部分の曲率に比べて、前記内面の前記中央部から底部(同図の右端の円弧先端)までの部分の曲率を小さくすると好ましい。
これにより、収容部の奥に行くほど、曲率が小さくなっている。つまり、曲がり具合が緩くなっているので、収容部内面が、シリンジ本体の外周面に線状に接し易くなり、収容部内においてシリンジ本体を倣い易くして位置決めを容易にすることでシリンジ本体の装着作業を迅速にすることができる。
シリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rは、これらの円弧形成線L1と、2本の直線形成線L2、L3により形成されている。すなわち、図9(B)に示すように、断面形状線8Rは、円弧形成線L1に相当する第1部分曲線形状部8R1と第2部分曲線形状部8R2と、2本の直線形成線L2、L3に相当する第1部分直線形状部8R3と第2部分直線形状部8R4により構成されている。
このように、収容部8の内面におけるシリンジ本体201の軸方向と直交する断面形状は、内面の先端部から中央部までの部分の曲率に比べて、内面の中央部から底部までの部分の曲率が小さくなっている。これにより、図9(B)に示すように、3種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401が、断面形状線8Rに密接された場合に、いずれのシリンダ本体201,301,401が密接されても、それぞれ2本の接線CL1、CL2だけで密接する。このため、医療従事者は、シリンジ本体201,301,401を、それぞれシリンジ本体保持部8D内に密接するだけで、シリンジ本体201,301,401の位置決め位置を容易に確定することができるので、シリンジの装着作業性が向上する。
【0040】
本発明の最も好ましい実施形態としては、図9(B)に示すように、3種類の収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401が、シリンジ本体保持部8Dの内面の断面形状線8Rに密接されている。第1と第2部分直線形状部8R3,8R4は、第1と第2部分曲線形状部8R1,8R2の曲率に比べて、大きな曲率を有する形状部分の例であり、V字型を形成している。従って、第1と第2部分直線形状部8R3,8R4は、最も好ましくは直線的に変化する部分であるが、必ずしも直線的に変化するものでなくても良く、第1と第2部分直線形状部の曲率が、第1と第2部分曲線形状部8R1,8R2の曲率よりも大きい曲線であっても良い。
【0041】
シリンジ本体保持部8Dの断面形状線8Rをこのような形状にしているのは、次のような理由からである。
図9(B)に示す例では、シリンジ本体301の内側部分301Nとシリンジ本体201の内側部分201Nの間には、間隔PR1を確保することができ、同様にして、シリンジ本体401の内側部分401Nとシリンジ本体301の内側部分301Nの間には、間隔PR2を確保することができる。
このように、第1と第2部分直線形状部8R3,8R4を形成することで、収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、相互に間隔PR1、PR2を必ず確保することができる。
【0042】
図2に示すように、クランプ5が、シリンジ本体201(301,401)の外周面に当てて、シリンジ本体201(301,401)の外周面をシリンジ本体保持部8D内に装着すると、これらのシリンジ本体の種類(収容量の違いによる外径サイズ)は、図4に示すクランプ5の移動量を検出するポテンションメータ122により検出している。図10(A)は、このポテンションメータ122が測定するクランプ5の移動量と、シリンジサイズの関係例を示している。
図10(A)において、ポテンションメータ122が10mLのシリンジ200を測定した場合に得られる移動量の測定範囲200Sと、ポテンションメータ122が5mLのシリンジ300を測定した場合に得られる移動量の測定範囲300Sとの間には、移動量の差DF1を確保することができる。同様にして、ポテンションメータ122が5mLのシリンジ300を測定した場合に得られる移動量の測定範囲300Sと、ポテンションメータ122が2mLのシリンジ400を測定した場合に得られる移動量の測定範囲400Sとの間には、移動量の差(マージン)DF2を確保することができる。
このように、移動量の差(マージン)DF1、DF2を確保できるのは、図9(B)に示すように、シリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、相互に間隔PR1、PR2を確保できているからである。つまり、図10(A)に示す移動量の差DF1は、図9(B)に示す間隔PR1を確保したことにより得られ、図10(A)に示す移動量の差DF2は、図9(B)に示す間隔PR2を確保したことにより得られる。
【0043】
このように移動量の差DF1、DF2を確保することができるので、図4に示す制御部100は、シリンジ本体保持部8D内に密接して保持されたシリンジの種類が、シリンジ200,300,400のいずれであるかを、測定マージンである移動量の差DF1、DF2を確保しながら区別して検出することができる。つまり、シリンジの種類を検出する際に、移動量の範囲200S、300S、400Sを接近させずに離すことができるように、測定マージンである移動量の差DF1、DF2を確保している。
しかも、医療従事者は、図9(B)に示す第1と第2部分直線形状部8R3,8R4には、各シリンジ本体201,301,401の外周面を倣わせて密接させるだけで、各シリンジ本体201,301,401は動かないようにして保持できるので、シリンジをシリンジ本体保持部8D内に装着した時に、Y2方向に対して密接した状態で位置決めすれば良いので、シリンジ本体の装着位置を確定し易い。
以上説明したように、収容部8の内面では、シリンジ本体201,301,401の外周面が、2本の接線CL1、CL2で接触する構成であるので、シリンジ本体201,301,401の外周面を収容部8の内面に対して倣い易くして位置決めを容易にすることができる。
【0044】
図10(B)は、図9に示す本発明の実施形態とは異なる比較例のシリンジ本体保持部1000Dの断面形状線1000Rを示している。
この比較例では、断面形状線1000Rは単純な円弧形状であり、直線部分は有していないが、底部には逃げ穴1001を有している。この断面形状線1000D内に収容量の異なるシリンジ200,300,400のシリンジ本体201,301,401がそれぞれ密接された場合には、シリンジ本体401の内側部分401Nとシリンジ本体301の内側部分301Nとシリンジ本体201の内側部分201Nは、断面形状線1000Rの中央の一点に集中する。このため、図10(B)の比較例は、図9(B)に示す本発明の実施形態のように相互にシリンジ200,300,400の間に間隔PR1、PR2を確保することはできず、図10(A)に示すような移動量の差DF1と移動量の差DF2を確保することはできない。
また、図10(B)の比較例では、断面形状線1000Rは単純な円弧形状であるので、断面形状線1000Rに、各シリンジ本体201,301,401の外周面を密接させても、動かないようにして安定して保持できずに、シリンジをシリンジ本体保持部8D内に装着した時に、Y1方向に対して密接した状態で位置決めを確定することが難しいため、シリンジの装着作業性が低い。
【0045】
図9(B)に示すように、例えばシリンジ本体201が収容部8の内面に2本の接線CL1、CL2により接触する際のシリンジ本体201の外周面の内側位置と、別の異なる収容量のシリンジ本体301が収容部8の内面に2本の接線CL1、CL2により接触する際のシリンジ本体301の外周面の内側位置は、図10(B)の比較例のように1点に集中するのではなく、互いに離すことができる。このため、互いに収容量が異なる複数のシリンジ本体の外周面の内側位置が互いに異なるので、例えばクランプ5がシリンジ本体201,301を収容部8の内面側に押し付ける場合に、シリンジ本体201を測定して得られるポテンションメータの移動量の測定範囲200Sは、別の異なる収容量のシリンジ本体301を測定して得られるポテンションメータの移動量の測定範囲300Sとは、離すことができる。
従って、図4に示す制御部100は、ポテンションメータ122からの移動量の検出信号により、複数種類の収容量を有するシリンジ本体201,301のどちらのシリンジが選択して収容部8に装着されたかを、区別することができる。シリンジ本体301,401のどちらのシリンジが選択して収容部8に装着されたかを、区別する場合も同じである。
【0046】
次に、図11〜図13を参照して、図2に示すシリンジ押子駆動部7の構造例を説明する。図11と図12は、このシリンジ押子駆動部7を拡大して示す斜視図である。
図2と図11に示すように、シリンジ押子駆動部7は、本体カバー2の延長形成部2C内に収容して保持されている。この延長形成部2Cは、本体カバー2の下部分2BからX1方向に延長することにより形成されている。図2に示すように、延長形成部2Cは、上側面部701と、下側面部702と、右側面部703を有している。この延長形成部2Cは、上側面部701と下側面部702と右側面部703と、図11に示すすでに説明した収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、により囲まれた空間SPを有しており、この空間内にはシリンジ押子駆動部7が収容されている。
【0047】
図2に示すように、シリンジ押子駆動部7のスライダ10は、図4の制御部100からの指令により、シリンジ押子202の押子フランジ205を、シリンジ本体201に対して相対的にT方向(X2方向)に沿って少しずつ押す。すなわち、図4に示すシリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令により駆動されると、送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をT方向に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液することができる。
このスライダ10は、プラスチック製のカバー部材80と、2つの把持部材81,82と、操作レバー83を有している。このカバー部材80は、延長形成部2Cのガイドレール84に沿ってX1方向とX2方向(T方向)に沿って移動可能である。医療従事者は、指により、この操作レバー83を、図11(A)に示すP1方向に付勢力に抗して押し下たり、図11(B)に示すようにP2方向に付勢力により持ち上げることができるようになっている。操作レバー83は、図11(B)に示すガイド部83Gに沿って操作可能である。
【0048】
図12(B)に示すように、医療従事者が操作レバー83を、図11(A)に示すようにP1方向に付勢力に抗して押し下ることにより、把持部材81,82はX2方向に移動してカバー部材80から離れて間隔BNを開け、医療従事者が操作レバー83をさらに押すと、把持部材81,82は互いに遠ざかるRQ1方向に開く。
医療従事者がシリンジ押子202の押子フランジ205をこの間隔BNにはめ込んだ後に、医療従事者が操作レバー83を放すと操作レバー83はスプリングの力によりP2方向に復帰する。これにより、把持部材81,82は、図示しないスプリングの力により、X1方向に移動して押子フランジ205をこれらの把持部材81,82とカバー部材80の間に挟んで保持し、しかも把持部材81,82をRQ2方向に閉じることで、把持部材81,82はシリンジ押子202を両側から挟んで保持することができる。
【0049】
次に、図2に示す覆い部材としてのブーツ800の形状について説明する。
このブーツ800は、図4に示すように送りネジ135等の要素の周囲を覆っており、図11に示すように収容部8のシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと、スライダ10のカバー部材80の間に配置されている。ブーツ800は、送りネジ135等を覆う防沫構造になっている。これにより、シリンジ本体201内の薬剤がこぼれたり、上方に配置されている点滴液がこぼれ落ちたり、周辺で用いる消毒液等が飛散しても、送りネジ135等の要素に対して付着するのを防ぐことができる。
図11(A)に示すブーツ800は、薬剤や紫外線で劣化しないシリコーンゴム、合成ゴムやプラスチックにより作られており、スライダ10がX1方向とX2方向に移動するのに伴って、伸張と収縮ができる。図11(A)に示すように、ブーツ800は、複数の第1凸部分811,812,813,814,815,816と、複数の第2凸部分821,822,823と、左右位置の連結部分830,831を有している。
【0050】
左側の連結部分830は、本体フランジ把持部500の穴部分599を通って、シリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vに固定されている。
左側の連結部分830には、2つの第1凸部分811,812が連続して形成され、さらに1つの第2凸部分821が連続して形成されている。この1つの第2凸部分821には、2つの第1凸部分813,814が連続して形成され、さらに1つの第2凸部分822が連続して形成されている。さらに、1つの第2凸部分822には、2つの第1凸部分815,816が連続して形成され、1つの第2凸部分823が連続して形成されている。1つの第2凸部分823は右側の連結部分831を介してカバー部材80の内側面89側に接続されている。このように、2つの第1凸部分の間には、1つの第2凸部分が配置されている。
【0051】
図13(A)は、このブーツ800とスライダ10を示す底面図である。
図13に示す複数の第2凸部分821,822,823の外径DM2は、第1凸部分811,812,813,814,815,816の外径DM1に比べて1/2程度に小さく設定されている。スライダ10のカバー部材80は、凹型のブーツ収納部88を有している。
図13(B)と図13(C)は、ブーツ800が縮んだ状態を示しており、縮んだ状態のブーツ800の一部もしくは全部が、カバー部材80のブーツ収納部88内に収納することができるようになっている。これにより、収縮された覆い部材であるブーツ800の少なくとも一部を、移動部材であるスライダ10のブーツ収納部88内に収納できるので、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
【0052】
図13(A)は、このブーツ800とスライダ10を示す底面図である。
図13に示す複数の第2凸部分821,822,823の外径DM2は、第1凸部分811,812,813,814,815,816の外径DM1に比べて小さく設定されている。スライダ10のカバー部材80は、凹型のブーツ収納部88を有している。
図13(B)と図13(C)は、ブーツ800が縮んだ状態を示しており、縮んだ状態のブーツ800の一部もしくは全部が、カバー部材80のブーツ収納部88内に収納することができるようになっている。これにより、収縮された覆い部材であるブーツ800の少なくとも一部を、移動部材であるスライダ10のブーツ収納部88内に収納できるので、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
【0053】
ここで、ブーツ800の収縮機能について説明する。
図13(A)に示すように、スライダ10がX2方向(T方向)にスライドすると、図13(B)に示すように、隣同志の第1凸部分812と第1凸部分813が、これらの間に位置している径の小さな1つの第2凸部分821を内側に収容するようにして織り込んだ状態で納めることができる。同様にして、隣同志の第1凸部分814と第1凸部分815が、これらの間に位置している1つの第2凸部分822を織り込んだ状態で納めることができる。しかも残りの1つの第2凸部分823は、第1凸部分816内に織り込んだ状態で納めることができる。
図13(B)に示すように、ブーツ800が収納された状態では、折り畳まれた2つの第1凸部分811,812の膨出部分の間に、1つの第2凸部分821が織り込まれた(収納された)状態に維持することができ、同様にして折り畳まれた第1凸部分814,815の間に、第2凸部分822が織り込まれた(収容された)状態に維持することができる。
【0054】
これにより、ブーツをすべて同じ大きさの第1凸部分で形成した場合に比べて、第2凸部分は2つの第1凸部分内に織り込んだ状態で納めることができることから、ブーツ800が収縮した状態では、その収縮長さLTを短くすることができる。ブーツ800が収縮された状態でその収縮長さを短くすることにより、シリンジ押子駆動部7のスライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくでき、小型化を図ることができる。すなわち、ブーツ800がスライダ10により押されて収縮されると、第2凸部分の両側に位置する第1凸部分が、この第2凸部分を織り込んだ状態で収縮できるので、覆い部材が収縮された状態でその収縮長さを短くでき、スライダ10が収容部8側に最も近づけるまでの距離が小さくできる。
図14に示すように、大きい第1凸部分1201と小さい第2凸部分1202を交互に配列するようにしてもよい。
しかしながら、このように構成すると、小さい第2凸部分1202の数が図13の場合と比較して、比率的に多くなるので、ブーツがX1方向についての伸び量が十分に確保できない場合もある。
したがって、伸長時にブーツが十分な長さ延びることができ、可能な限り長さ寸法を小さく収縮できるようにするには、図13に示す本実施形態のブーツのように、好ましくは、2つの大きな第1凸部分と1つの小さな第2凸部分を交互に繰り返して配列する。
【0055】
次に、上述したシリンジポンプ1の使用例を説明する。
図7を参照すると、医療従事者が、例えばシリンジ200を収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して配置すると、本体フランジ209の一部分がシリンジ本体保持部8Dの右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の先端部501との間に挿入される。
図7(B)に示すように、本体シリンジ209の一部分は、右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の間に挟まれた状態で、しかも本体フランジ把持部500が弾性変形する際の反発力により、平坦な右側側面部8Vと本体フランジ把持部500の平坦な内面509の間に挟まれて固定される。これにより、本体フランジ209は、本体フランジ把持部500と収容部8の側面部8Vとの間にはめ込むだけで、本体フランジ把持部500の自由端部側を撓ませた状態で容易に装着できる。
この際に、シリンジ押子202の十字リブ形状部202Wの一部分が、凹部504の中央位置の凹部505にはまり込むので、この小さい凹部505の存在により十字リブ形状部202Wが邪魔とならず、十字リブ形状部202Wが凹部504に乗り上げてしまうことが無い。
【0056】
図8(A)から図8(B)に示すように、本体フランジ209がはめ込まれて所定位置LLに達している状態では、本体フランジ検出部材601はGH方向に回転するので、本体フランジ検出部材601の後端部605は、フォトカプラセンサ250の発光素子251と受光素子252との間から離脱する。このため、発光素子251からの光は受光部252に受光されるので、受光部252は受光信号RSを制御部100に送る。制御部100は、この受光信号RSを受けると、表示部3において、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を表示させる。このため、医療従事者は、本体フランジ201が予め定めた位置LLまで装着されたことを、表示部2を目視で確認できる。
この場合に、制御部100は、必要に応じて、同時に図4に示すスピーカ131により、「本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと」を音声ガイダンスしても良い。これにより、医療従事者は、本体フランジ209が所定位置LLに達してシリンジ200を正確に装着できたこと確実に把握できる。
【0057】
その後、医療従事者は、図2に示すクランプ5を操作して、クランプ5によりシリンジ本体201を、収容部8のシリンジ本体保持部8Dに密接して固定する。これにより、シリンジは動かない。
一方、医療従事者は、図11(A)に示す操作レバー83を、図11(A)に示すようにP1方向に付勢力に抗して押し下ることにより、図12(B)に示すように把持部材81,82はX2方向に移動してカバー部材80から離れて間隔BNを開ける。医療従事者が操作レバー83をさらに押すと、把持部材81,82は互いに遠ざかるRQ1方向に開く。
医療従事者がシリンジ押子202の押子フランジ205をこの間隔BNにはめ込んだ後に、医療従事者が操作レバー83を放すことにより、把持部材81,82は、図示しないスプリングの力により、X1方向に移動し、把持部材81,82をRQ2方向に閉じる。これにより、押子フランジ205は、これらの把持部材81,82とカバー部材80の間に挟んで保持し、しかも把持部材81,82はシリンジ押子202を両側から挟むことができる。
【0058】
そして、図4において、必要に応じて、検出スイッチ120,121は、シリンジ200のシリンジ本体201が、収容部8内に正しく配置されているかどうかを検出して、制御部100に通知する。
クランプ5の移動量のセンサとしてのポテンションメータ122は、シリンジ本体201をクランプ5によりクランプした状態で、クランプ5の移動量を検出することで、シリンジ本体201がクランプ5により確実にクランプされているかどうかを、制御部100に通知する。制御部100が、シリンジ200を確実にクランプできたと判断すると、シリンジ押子駆動部7のモータ133は、制御部100の指令により駆動されて送りネジ135を回転させてスライダ10をT方向に移動させる。
これにより、スライダ10は、シリンジ押子202をX2方向(T方向)に押圧して、図2に示すシリンジ本体201内の薬剤を、輸液チューブ203を通じて患者Pに対して留置針204を介して正確に送液する。
【0059】
このようにスライダ10がシリンジ押子202をX2方向(T方向)に押圧して、シリンジ200から薬剤が送液されると、ブーツ800は図12(A)から図13(B)に示す状態に収縮される。ブーツ800が収縮されると、第1凸部分812と第1凸部分813が、これらの間に位置している第2凸部分821を織り込んだ状態で納めることができる。同様にして、第1凸部分814と第1凸部分815が、これらの間に位置している第2凸部分822を織り込んだ状態で納めることができる。しかも残りの第2凸部分823は第1凸部分823内に織り込んだ状態で納めることができる。
つまり、図13(B)に示すように、ブーツ800が収納された状態では、折り畳まれた第1凸部分811,812の間に、第2凸部分821が収納された状態に維持することができ、同様にして折り畳まれた第1凸部分814,815の間に、第2凸部分822が収納された状態に維持することができる。これにより、図13(B)に示すように、ブーツをすべて第1凸部分で形成した場合に比べて、第2凸部分823は第1凸部分823内に織り込んだ状態で納めることができる。
【0060】
本発明の実施形態では、シリンジの本体フランジをはめ込んで確実に装着でき、しかも本体フランジが所定位置に達していることを把握することができる。すなわち、医療従事者は、本体フランジを本体フランジ把持部にはめ込んで把持することで確実に装着でき、本体フランジが装着されたことは、本体フランジ検出部から制御部に与えられる検出信号に基づいて、制御部は本体フランジが所定位置に達していることを把握できる。このため、シリンジ押圧駆動部がシリンジ押子を正確な方向に押し込むことができるので、薬剤の送液処置を高い精度で行える。
【0061】
本発明の実施形態によれば、シリンジ本体の外周面を位置決めして装着する際に倣い易くして位置決めし易くすることでシリンジ本体の取り付け作業が迅速にでき、複数種類の収容量を有するシリンジの中のどの種類のシリンジが選択して収容部に装着されたかを区別することができる。
【0062】
図15は、図1と図2に示す複数台のシリンジポンプ1を、設定スタンド70に上下方向に一列に搭載した例を示しており、必要に応じて複数台のシリンジポンプ1を同時に使用することができる。同じ種類の複数台のシリンジポンプ1を重ねるようにして配置したり、シリンジポンプ1と、このシリンジポンプ1とは異なる種類のポンプ、例えば輸液ポンプ1100を積み重ねて配置する際には、シリンジポンプ1の本体カバーの周囲部分もしくは一部分と、輸液ポンプ1100の本体カバーの周囲部分もしくは一部分には、好ましくは本体カバーの色とは異なる色、例えば黄色や赤色のシール材を貼ったり、塗装をすることで、ポンプの目印770を表示することができる。これにより、ポンプの目印770が設けられることで、複数台のシリンジポンプ1を積み重ねて使用したり、あるいはシリンジポンプ1と他の種類のポンプ例えば輸液ポンプ1100等を積み重ねて使用する場合には、医療従事者が各ポンプの境目を視覚的に明確に認識できるメリットがある。
【0063】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
本発明の実施形態のシリンジポンプ1は、図7に示す例えば3種類の大きさの薬剤を収容するシリンジ200,300,400を着脱可能に設定するようにしているが、これに限らず2種類あるいは4種類以上のシリンジを設定することもできる。
図8に示すフォトカプラセンサ250のような光検出器に代えて、他の形式の検出器、例えば磁気検出器等を用いても良い。
【符号の説明】
【0064】
1・・・シリンジポンプ、2・・・本体カバー、2A・・・本体カバーの上部分、2B・・・本体カバーの下部分、3・・・表示部、4・・・操作パネル部、5・・・クランプ、6・・・シリンジ設定部、7・・・シリンジ押子駆動部、8・・・凹状の収容部、8D・・・収容部のシリンジ本体保持部、10・・・スライダ(移動部材)、100・・・制御部、122・・・ポテンションメータ、135・・・送りネジ(スライダ)、200,300,400・・・シリンジ、201,301,401・・・シリンジ本体、202,302,402・・・シリンジ押子、205,305,405・・・押子フランジ、209,309,409・・・シリンジ本体の本体フランジ、250・・・フォトカプラセンサ(検出器の一例)、500・・・本体フランジ把持部、600・・・本体フランジ検出部、601・・・本体フランジ検出部材601、700・・・本体フランジの把持検出部、800・・・ブーツ(覆い部材)、811〜816・・・第1凸部分、821,822,823・・・第2凸部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が充填されているシリンジを装着して、前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液するためのシリンジポンプであって、
前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、前記シリンジのシリンジ押子を押すためのシリンジ押子駆動部と
を有し、
前記シリンジ設定部は、
前記シリンジ本体を収容する凹状の収容部と、
前記シリンジ本体を前記収容部に収容した状態で、前記シリンジ本体の本体フランジを着脱可能にはめ込むことで前記本体フランジを把持する本体フランジ把持部と、
前記本体フランジ把持部の予め定めた位置に前記本体フランジが装着されたことを検出する本体フランジ検出部と、
前記本体フランジ検出部からの前記本体フランジを検出した検出信号を受ける制御部と
を有することを特徴とするシリンジポンプ。
【請求項2】
前記本体フランジ把持部は、前記収容部の側面部に沿って配置される板状の部材であり、前記本体フランジ把持部の一端部が固定され、前記本体フランジ把持部の他端部が自由端部となっており、前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に前記本体フランジを着脱可能に装着する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のシリンジポンプ。
【請求項3】
前記本体フランジ検出部は、検出器と、前記本体フランジが前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に装着されることで押されて、前記検出器から前記制御部に前記検出信号を付与させる本体フランジ検出部材とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンジポンプ。
【請求項4】
情報を表示する表示部と、
前記本体フランジ検出部が前記本体フランジを検出すると前記本体フランジ検出部から本体フランジ検出信号を受けて、前記本体フランジが前記予め定めた位置まで装着されたことを前記表示部に表示させる前記制御部とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリンジポンプ。
【請求項5】
前記本体の上部分には、前記表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体の下部分には、前記シリンジ設定部と前記シリンジ押子駆動部が配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシリンジポンプ。
【請求項1】
薬剤が充填されているシリンジを装着して、前記シリンジ内の前記薬剤を患者に送液するためのシリンジポンプであって、
前記シリンジのシリンジ本体を設定するシリンジ設定部と、前記シリンジのシリンジ押子を押すためのシリンジ押子駆動部と
を有し、
前記シリンジ設定部は、
前記シリンジ本体を収容する凹状の収容部と、
前記シリンジ本体を前記収容部に収容した状態で、前記シリンジ本体の本体フランジを着脱可能にはめ込むことで前記本体フランジを把持する本体フランジ把持部と、
前記本体フランジ把持部の予め定めた位置に前記本体フランジが装着されたことを検出する本体フランジ検出部と、
前記本体フランジ検出部からの前記本体フランジを検出した検出信号を受ける制御部と
を有することを特徴とするシリンジポンプ。
【請求項2】
前記本体フランジ把持部は、前記収容部の側面部に沿って配置される板状の部材であり、前記本体フランジ把持部の一端部が固定され、前記本体フランジ把持部の他端部が自由端部となっており、前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に前記本体フランジを着脱可能に装着する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のシリンジポンプ。
【請求項3】
前記本体フランジ検出部は、検出器と、前記本体フランジが前記本体フランジ把持部と前記収容部の側面部との間に装着されることで押されて、前記検出器から前記制御部に前記検出信号を付与させる本体フランジ検出部材とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンジポンプ。
【請求項4】
情報を表示する表示部と、
前記本体フランジ検出部が前記本体フランジを検出すると前記本体フランジ検出部から本体フランジ検出信号を受けて、前記本体フランジが前記予め定めた位置まで装着されたことを前記表示部に表示させる前記制御部とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリンジポンプ。
【請求項5】
前記本体の上部分には、前記表示部と、操作ボタンを有する操作パネル部が配置され、前記本体の下部分には、前記シリンジ設定部と前記シリンジ押子駆動部が配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシリンジポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−170786(P2012−170786A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38862(P2011−38862)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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