説明

シリンダヘッドの把持装置及びその把持方法

【課題】種類の異なるシリンダヘッドの把持に好適なシリンダヘッドの把持技術を提供することを課題とする
【解決手段】シリンダヘッドの把持装置10は、斜め孔としてのプラグ孔27(図1を参照。)へ挿入されるバーであって、先端31が拡開可能となるように分割されている支持バー32、32と、支持バー32、32を拡開する開閉ロッド33と、この開閉ロッド33を進退させる開閉ロッド駆動源34と、支持部材35と、支持バー32、32を開動作させてシリンダヘッド15把持し、シリンダヘッド15を移動させ、シリンダヘッド15を押さえ部材24で押さえ、開閉ロッド33を後退させて支持バー32、32を閉じてシリンダヘッド15から抜き取る、一連の制御を実施する制御部21(図1を参照。)と、からなる
【効果】構成部品が少ないので、小型で簡単な構造にすることができる。この結果、ロボットへの負荷を小さくすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の斜め孔を有しているシリンダヘッドをシリンダブロックに組み付ける作業時のシリンダヘッドの把持技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの組立において、シリンダヘッドを把持部材で把持して移送するシリンダヘッドの把持装置が実用に供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−24876号公報(図5)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図11は従来の技術の基本原理を説明する図であり、第1シリンダ101を作動させ、シリンダヘッドの把持装置102をシリンダヘッド103上に移動させる。第2シリンダ104を作動させ、シリンダヘッドの把持装置102をシリンダヘッド103の位置まで下降させる。第3シリンダ105を作動させ、把持爪106、106を回転軸107、107を中心に回して閉動作させる。この結果、シリンダヘッド103の端部108、108を側方から把持爪106、106で把持することができる。
【0004】
しかし、近年、環境対応や燃費技術の変化に伴いシリンダヘッド103の機種が増加しているので、これに対応するためにシリンダヘッドの把持装置102も、その機種ごとに合致するものを多数用意する必要がある。更には、移送中のシリンダヘッド103のずれや落下を防止するために、係止ピン等も設ける必要がある。すなわち、種類の異なるシリンダヘッドの把持には適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、種類の異なるシリンダヘッドの把持に好適なシリンダヘッドの把持技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、複数の斜め孔を有しているエンジンのシリンダヘッドを把持するシリンダヘッドの把持装置において、前記斜め孔へ挿入されるバーであって、先端が拡開可能となるように分割されている支持バーと、この支持バーに挿入され前進することで前記支持バーを拡開する開閉ロッドと、この開閉ロッドを進退させる開閉ロッド駆動源と、ロボットアームに設けられ前記開閉ロッド駆動源及び前記支持バーを支える支持部材と、からなり、前記開閉ロッド駆動源を作動させて前記シリンダヘッドに挿入した前記支持バーを開動作させ、前記シリンダヘッドを前倒れにして前記支持バーに前記シリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持し、前記シリンダヘッドをシリンダブロック上に移動させ、前記シリンダヘッドを前記シリンダブロック上に載置し、前記開閉ロッドを後退させて前記支持バーを閉じ、この支持バーをシリンダヘッドから抜き取ることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、シリンダヘッドの把持装置は、シリンダヘッドがシリンダブロック上に移動するまでの間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むようにシリンダヘッドを揺動させ、シリンダヘッドの取付部品の検査を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する検査機構を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、斜め孔は、エンジンの点火プラグを挿入するプラグ孔であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、シリンダヘッドをシリンダブロック上に載置した後に、シリンダブロック上に載置されたシリンダヘッドを押さえ部材で押さえ、支持バーをシリンダヘッドから抜き取ることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、複数の斜め孔を有しているエンジンのシリンダヘッドを把持するシリンダヘッドの把持方法であって、前記斜め孔に先端が拡開可能となるように分割されている支持バーを挿入する支持バー挿入工程と、挿入された支持バーに挿入された開閉ロッドを前進させることで前記支持バーを拡開する支持バー拡開工程と、拡開された支持バーにより前記シリンダヘッドを前倒れにして前記支持バーに前記シリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持する把持工程と、把持されたシリンダヘッドをシリンダブロック上に移動するシリンダヘッド移動工程と、移動されたシリンダヘッドを押さえ部材で押さえるシリンダヘッド押さえ工程と、前記支持バーに挿入されている開閉ロッドを後退させて支持バーを縮閉する支持バー縮閉工程と、縮閉された支持バーを僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取る支持バー抜き取り工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、移動工程の間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むようにシリンダヘッドを揺動させ、シリンダヘッドの取付部品を検査することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、移動工程の間に、シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査することを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明では、支持バー抜き取り工程は、支持バーに挿入された開閉ロッドを後退させた後、押さえ部材でシリンダヘッドを押さえた状態でアーム軸を中心に僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明は、先端が拡開可能となるように分割されている支持バーと、前進することで支持バーを拡開する開閉ロッドと、この開閉ロッドを進退させる開閉ロッド駆動源と、ロボットアームに設けられ開閉ロッド駆動源及び支持バーを支える支持部材と、からなり、支持バーを開動作させ、シリンダヘッドを前倒れにして前記支持バーにシリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持する。構成部品が少ないので、小型で簡単な構造にすることができる。この結果、ロボットへの負荷を小さくすることもできる。
加えて、斜め孔に支持バーを挿入してシリンダヘッドを把持するので、シリンダヘッドをずれることなく確実に位置決めすることができる。
【0016】
請求項2に係る発明は、シリンダヘッドがシリンダブロック上に移動するまでの間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むようにシリンダヘッドを揺動させ、シリンダヘッドの取付部品の検査する。別途の検査装置を必要とせずにカメラだけですむので、装置全体を簡素化することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する検査機構を備えている。把持装置を設けているロボットに検査機構も設けることで、別途の検査スペースを必要としない。
【0018】
請求項4に係る発明では、斜め孔は、エンジンの点火プラグを挿入するプラグ孔である。エンジンの機種が変わっても、プラグ孔の位置が大きく変わることはないので、同じ把持装置で対応することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、シリンダブロック上に載置されたシリンダヘッドを押さえ部材で押さえ、支持バーをシリンダヘッドから抜き取る。シリンダヘッドが押さえ部材で押さえられているので、支持バーの抜き取りを容易にできる。
加えて、シリンダヘッドの位置をずらすことなく保持することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、シリンダヘッドを前倒れにして斜め孔に挿入した支持バーにシリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持し、把持されたシリンダヘッドをシリンダブロック上に移動し、縮閉された支持バーを僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取る。簡単な動作でシリンダヘッドの把持と開放を行うので、エンジンの組立工数を低減することができる。
加えて、支持バーを僅かに揺動させてシリンダヘッドから抜き取るので、確固とした把持状態を確実に解くことができる。
【0021】
請求項7に係る発明は、移動工程の間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むようにシリンダヘッドを揺動させ、シリンダヘッドの取付部品を検査する。移動工程の間に検査するので、工数を低減することができる。
【0022】
請求項8に係る発明は、移動工程の間に、シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する。シリンダヘッドをシリンダブロックに載せる直前に検査するので、部品の欠品を確実に検出することができる。
【0023】
請求項9に係る発明では、押さえ部材でシリンダヘッドを押さえた状態で、アーム軸を中心に僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取る。アーム軸を中心に僅かに揺動させるので、シリンダヘッドの孔内面に面着した支持バーの把持状態を確実に解くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るシリンダヘッドの把持装置の配置図であり、シリンダヘッドの把持装置10は、産業用のロボット11のロボットアーム12に設けられている。ロボット11の両側に、シリンダヘッド搬送コンベア13とエンジン流動コンベア14が配置されている。ロボット11の近傍には、シリンダヘッド15の取付部品16、16の検査をするカメラ17と、検査結果が不合格のシリンダヘッド15を搬送する脇出しシャトル18と、一連の制御を実施する制御部21と、が配置されている。
エンジン流動コンベア14に臨むように、シリンダブロック22の位置決めをするシリンダブロック位置決め装置23、23と、シリンダブロック22上に移動されたシリンダヘッド15を押さえる押さえ部材24を備えている押さえ装置25と、が配置されている。
【0025】
シリンダヘッド15は、シリンダヘッド用パレット26に載せられてシリンダヘッド搬送コンベア13で搬送され、所定の位置で停止する。搬送されたシリンダヘッド15は、複数の斜め孔としてのプラグ孔27を利用してシリンダヘッドの把持装置10で把持され、シリンダブロック22上に載置される。
一方、シリンダブロック22は、シリンダブロック用パレット28に載せられてエンジン流動コンベア14で搬送され、所定の位置で停止する。シリンダブロック22は、シリンダヘッド15が組み付けられ、次の工程へと搬送される。
【0026】
図2は本発明に係るシリンダヘッドの把持装置の基本構成を説明する図であり、シリンダヘッドの把持装置10は、斜め孔としてのプラグ孔27(図1を参照。)へ挿入されるバーであって、先端31が上下に拡開可能となるように分割されている支持バー32、32と、この支持バー32、32に挿入され前進することで支持バー32、32を拡開する開閉ロッド33と、この開閉ロッド33を進退させる開閉ロッド駆動源34と、ロボットアーム12に設けられ開閉ロッド駆動源34及び支持バー32、32を支える支持部材35と、この支持部材に設けられ図斜め上下に延びている上下レール36、36と、これらの上下レール36、36に移動自在に載せられている上下スライダ37、37と、これらの上下スライダ37、37に設けられ支持バー32、32を固定する固定部材38、38と、開閉ロッド駆動源34を作動させてシリンダヘッド15(図1を参照。)に挿入した支持バー32、32を開動作させ、シリンダヘッド15を前倒れにして支持バー32、32にシリンダヘッド15の荷重をかけることでシリンダヘッド15を把持し、シリンダヘッド15をシリンダブロック22(図1を参照。)上に移動させ、シリンダヘッド15を押さえ部材24で押さえ、開閉ロッド33を後退させて支持バー32、32を閉じ、この支持バー32、32をシリンダヘッド15から抜き取る、一連の制御を実施する制御部21(図1を参照。)と、からなる
【0027】
また、符号41は負荷緩和機構であり、この負荷緩和機構41は、ロボットアーム12に設けられているベース部材42と、このベース部材42に設けられ図上下に延びている負荷緩和レール43と、この負荷緩和レール43に上下移動自在に引っ掛けられている負荷緩和スライダ44と、この負荷緩和スライダ44に設けられ把持装置10を固定するブラケット45と、ベース部材42に設けられ接続ロッド46を介してブラケット45を吊り下げているエアーシリンダ47とからなる。
【0028】
エアーシリンダ47は一定圧で把持装置10を支えているが、一定圧以上の負荷がかかると、把持装置10を負荷緩和レール43を介して逃がす。この結果、把持装置10の損傷を防ぐことができる。
【0029】
また、符号51はシリンダブロック22(図1を参照。)に所定の部品が付いているか否かを検査する検査機構51であり、この検査機構51は、ロボットアーム12に設けられている支持プレート52と、この支持プレート52に摺動自在に設けられているガイドロッド53、53と、このガイドロッド53、53に設けられている移動プレート54と、この移動プレート54に昇降自在に設けられシリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する検査ピン55と、この検査ピン55が上昇したことを検出する検出センサー56と、支持プレート52に設けられロッド57を介して移動プレート54に接続されている検査シリンダ58とからなる。
【0030】
検査シリンダ58を作動させ、検査ピン55を図下に移動させることで、検査ピン55を把持装置10から離す。検査ピン55がシリンダブロックの所定の部品に接触すると検査ピン55が上昇し、検出センサー56で検査ピン55が検出される。この結果、把持装置10でシリンダヘッド15(図1を参照。)を把持した状態で、ロボット11をティーチング通りに動作させ、検査ピン55でシリンダブロックにガスケット等の所定の部品が付いているか否かを検査できる。
また、符号59はロボットアーム12のアーム軸59である。
【0031】
図3は図2の3矢視図であり、把持装置10は、2組の支持バー32、32を備えている。2組の支持バー32、32をシリンダヘッド15(図1を参照。)の斜め孔としてのプラグ孔27(図1を参照。)に挿入し、2点でシリンダヘッド15を把持するのでシリンダヘッドの位置ずれを防ぎ、且つ、確実に把持することができる。
【0032】
ここで、図左半分に着目する。把持装置10は、基本になるベースプレート61と、このベースプレート61に設けられ図左右に延びている左右レール62、62と、これらの左右レール62、62に移動自在に設けられている支持部材35と、ベースプレート61に設けられ幅調整ロッド63を介して支持部材35を進退させる幅調整駆動源64と、支持部材35の移動を制限する第1のストッパー65及び第2のストッパー66と、を備えている。
【0033】
幅調整駆動源64を作動させ、図左の支持部材35の位置を移動させて左右2組の支持バー32、32の間隔を調整するので、シリンダヘッド15(図1を参照。)の機種が異なり、プラグ孔27(図1を参照。)の間隔が変わっても、左右の支持バー32、32をそれぞれプラグ孔27に挿入できる。この結果、種類の異なるシリンダヘッド15を把持することができる。
【0034】
また、固定部材38、38には、ピン67、67、67、67が設けられ、これらのピン67、67、67、67に引っ張りばね68、68が引っ掛けられている。上下の支持バー32は、閉じ方向に引っ張りばね68、68で付勢される。
また、符号71、71は第3のストッパーであり、図下側の支持バー32、32を下降限を規制している。
【0035】
図4は図3の4−4線断面図であり、支持バー32、32の内周部には、テーパ72、72、72、72が備えられている。開閉ロッド33には、大きい外径部73、73、73と、小さい外径部74、74とが備えられている。これにより、開閉ロッド33を前進させることで支持バー32、32が拡径される。
また、支持部材35には、スライダ75、75が設けられており、左右レール62、62に引っ掛けられている。
【0036】
以上の構成からなるシリンダヘッドの把持装置の作用を次に述べる。
図5は支持バー挿入工程を説明する図であり、矢印(1)のように、シリンダヘッドの把持装置10を下降させ、シリンダヘッド15の斜め孔としてのプラグ孔27(図1を参照。)に支持バー32を挿入する。
【0037】
図6は支持バー拡開工程を説明する図であり、(a)に示すように、開閉ロッド駆動源34を作動させ、矢印(2)の向きに開閉ロッド33を前進させる。すると、矢印(3)、(3)のように支持バー32、32が移動される。この結果、(b)に示すように、支持バー32、32が拡開される。
そして、矢印(4)のように、シリンダヘッドの把持装置10を移動させ、移動工程に移る。
【0038】
図7は移動工程の間にシリンダヘッドの取付部品を検査する動作を説明する図であり、図1に示したカメラ17の位置までシリンダヘッド15を移動させる。矢印(5)のように、カメラ17に臨むようにシリンダヘッド15を揺動させ、シリンダヘッド15の取付部品16、16を検査する。検査の結果、合格であれば、シリンダヘッド15をシリンダブロック22(図1を参照。)上に移動させる。検査の結果、不合格であれば、シリンダヘッド15を脇出しシャトル18(図1を参照。)に払い出す。
【0039】
図8は移動工程の間にシリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する動作を説明する図であり、矢印(8)のように、検査機構51を移動させ、シリンダブロック22に臨ませる。検査機構51の移動プレート54を下降させ、矢印(9)のように、ティーチング通りに動作させ、検査ピン55でシリンダブロック22に所定の部品が付いているか否かを検査する。検査の結果、合格であれば、シリンダヘッド15をシリンダブロック22に載せる。検査の結果、不合格であれば、異常を音で報知し作業を停止する。
【0040】
図9はシリンダヘッド押さえ工程を説明する図であり、矢印(10)のように、押さえ装置25の押さえ部材24を移動させる。更に、矢印(11)のように、押さえ部材24を想像線に示す位置に移動させ、シリンダヘッド15を固定する。このとき、シリンダブロック22は、両側からシリンダブロック位置決め装置23、23により確固として位置決め、固定されている。
【0041】
図10は支持バー縮閉工程及び支持バー抜き取り工程を説明する図である。
(a)は支持バー縮閉工程を説明する図であり、開閉ロッド駆動源34を作動させ、矢印(12)のように、開閉ロッド33を後退させる。すると、矢印(13)、(13)のように、支持バー32、32が移動し、支持バー32、32が縮閉される。
(b)は支持バー抜き取り工程を説明する図であり、矢印(14)のように、支持バー32、32をロボット11のアーム軸59(図2を参照。)を中心に僅かに揺動させ、シリンダヘッド15から支持バー32、32を抜き取る。この結果、シリンダヘッド15の斜め孔27の内面に面着した支持バー32、32を外すことができ、確固とした把持状態を確実に解くことができる。
【0042】
尚、本発明のシリンダヘッドの把持装置は、エンジンのシリンダヘッドに適用したが、これに限定されず、複数の斜め孔を有するワークであれば、他の一般的な機械部品に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るシリンダヘッドの把持装置は、エンジンのシリンダヘッドを把持するシリンダヘッドの把持装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るシリンダヘッドの把持装置の配置図である。
【図2】本発明に係るシリンダヘッドの把持装置の基本構成を説明する図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】支持バー挿入工程を説明する図である。
【図6】支持バー拡開工程を説明する図である。
【図7】移動工程の間にシリンダヘッドの取付部品を検査する動作を説明する図である。
【図8】移動工程の間にシリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する動作を説明する図である。
【図9】シリンダヘッド押さえ工程を説明する図である。
【図10】支持バー縮閉工程及び支持バー抜き取り工程を説明する図である。
【図11】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
10…シリンダヘッドの把持装置、11…ロボット、12…ロボットアーム、15…シリンダヘッド、16…取付部品、17…カメラ、21…制御部、22…シリンダブロック、27…斜め孔(プラグ孔)、32…支持バー、33…開閉ロッド、34…開閉ロッド駆動源、35…支持部材、51…検査機構、68…引っ張りばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の斜め孔を有しているエンジンのシリンダヘッドを把持するシリンダヘッドの把持装置において、
前記斜め孔へ挿入されるバーであって、先端が拡開可能となるように分割されている支持バーと、
この支持バーに挿入され前進することで前記支持バーを拡開する開閉ロッドと、
この開閉ロッドを進退させる開閉ロッド駆動源と、
ロボットアームに設けられ前記開閉ロッド駆動源及び前記支持バーを支える支持部材と、からなり、
前記開閉ロッド駆動源を作動させて前記シリンダヘッドに挿入した前記支持バーを開動作させ、前記シリンダヘッドを前倒れにして前記支持バーに前記シリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持し、前記シリンダヘッドをシリンダブロック上に移動させ、前記シリンダヘッドを前記シリンダブロック上に載置し、前記開閉ロッドを後退させて前記支持バーを閉じ、この支持バーをシリンダヘッドから抜き取ることを特徴とするシリンダヘッドの把持装置。
【請求項2】
前記シリンダヘッドの把持装置は、前記シリンダヘッドがシリンダブロック上に移動するまでの間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むように前記シリンダヘッドを揺動させ、前記シリンダヘッドの取付部品の検査を行うことを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドの把持装置。
【請求項3】
前記シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査する検査機構を備えていることを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドの把持装置。
【請求項4】
前記斜め孔は、エンジンの点火プラグを挿入するプラグ孔であることを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドの把持装置。
【請求項5】
前記シリンダヘッドを前記シリンダブロック上に載置した後に、前記シリンダブロック上に載置された前記シリンダヘッドを押さえ部材で押さえ、前記支持バーを前記シリンダヘッドから抜き取ることを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドの把持装置。
【請求項6】
複数の斜め孔を有しているエンジンのシリンダヘッドを把持するシリンダヘッドの把持方法であって、
前記斜め孔に先端が拡開可能となるように分割されている支持バーを挿入する支持バー挿入工程と、
挿入された支持バーに挿入された開閉ロッドを前進させることで前記支持バーを拡開する支持バー拡開工程と、
拡開された支持バーにより前記シリンダヘッドを前倒れにして前記支持バーに前記シリンダヘッドの荷重をかけることでシリンダヘッドを把持する把持工程と、
把持されたシリンダヘッドをシリンダブロック上に移動するシリンダヘッド移動工程と、
移動されたシリンダヘッドを押さえ部材で押さえるシリンダヘッド押さえ工程と、
前記支持バーに挿入されている開閉ロッドを後退させて支持バーを縮閉する支持バー縮閉工程と、
縮閉された支持バーを僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取る支持バー抜き取り工程と、からなることを特徴とするシリンダヘッドの把持方法。
【請求項7】
前記移動工程の間に、ロボットの近傍に設けられたカメラに臨むように前記シリンダヘッドを揺動させ、前記シリンダヘッドの取付部品を検査することを特徴とする請求項6記載のシリンダヘッド把持方法。
【請求項8】
前記移動工程の間に、前記シリンダブロックに所定の部品が付いているか否かを検査することを特徴とする請求項6記載のシリンダヘッド把持方法。
【請求項9】
前記支持バー抜き取り工程は、前記支持バーに挿入された前記開閉ロッドを後退させた後、前記押さえ部材で前記シリンダヘッドを押さえた状態でアーム軸を中心に僅かに揺動させてシリンダヘッドから支持バーを抜き取ることを特徴とする請求項6記載のシリンダヘッド把持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−94775(P2010−94775A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267776(P2008−267776)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】