シリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造
【課題】パッキンが小型で製造コストも安価であり、また弁ケースへの組付けも容易であってシリンダ式バルブを小型化することのできるシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造を提供する。
【解決手段】シリンダ弁体を内嵌する弁ケース28の周壁に通水用の開口36を形成して成るシリンダ式バルブの弁ケース28の開口36周りへのリング状のパッキン114の組付構造において、弁ケース28の開口36縁部の軸方向の各端部に、パッキン114の対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込む圧縮保持部130を、弁ケース28の軸直角方向に延びる形状で設け、圧縮保持部130によりパッキンを保持するようなす。
【解決手段】シリンダ弁体を内嵌する弁ケース28の周壁に通水用の開口36を形成して成るシリンダ式バルブの弁ケース28の開口36周りへのリング状のパッキン114の組付構造において、弁ケース28の開口36縁部の軸方向の各端部に、パッキン114の対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込む圧縮保持部130を、弁ケース28の軸直角方向に延びる形状で設け、圧縮保持部130によりパッキンを保持するようなす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円筒形状のシリンダ弁体と、その外側の円筒形状の弁ケースとを有するシリンダ式バルブに関し、詳しくは弁ケースの通水用の開口周りに装着されるリング状パッキンの組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓等におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、シリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
【0003】
このシリンダ式バルブでは、弁ケースの上記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンが組み付けられる。
その組付構造として、従来、図23及び図24に示す組付構造が公知である。
【0004】
図23において、200は円筒形状をなす弁ケースで、この弁ケース200には、周壁を内外に貫通する通水用の開口202が備えられている。
204は円筒形状をなし、弁ケース200に回転可能に内嵌する金属製のシリンダ弁体で、弁ケース200と同様に、周壁を内外に貫通する通水用の開口206が備えられている。
【0005】
208は樹脂で構成された弁軸部で、軸端部に大径の雄嵌合部210が設けられ、この雄嵌合部210が、シリンダ弁体204の軸端の開口を通じ雌嵌合部212に嵌入させられている。
尚、シリンダ弁体204には小円孔からなる抜止孔214が、また弁軸部208には対応する抜止突起216がそれぞれ設けられ、それらの嵌り合いによって弁軸部208がシリンダ弁体204から軸方向に抜止めされている。
【0006】
また、シリンダ弁体204には軸端部に回止め用の切欠き216が、弁軸部208にはこれに対応した回止め用の凸部218が設けられており、切欠き216に凸部218が嵌り合うことによって、弁軸部208とシリンダ弁体204との相対的な回転が規制されている。即ちシリンダ弁体204と弁軸部208とが一体回転するようになっている。
【0007】
図24において、220は弁ケース200の一方の開口202周りに装着されて、シリンダ弁体204と水栓等の本体ボデーとの間を水密にシールする、全体が弾性材からなるパッキンで、222は、シリンダ弁体204の外面と本体ボデーの内面とに弾性的に圧接されてシール作用をなすリング本体である。
このリング本体222からはシート状の取付片224が軸方向(シリンダ軸方向)と、シリンダ円周方向とのそれぞれに延出しており、その取付片224の外周縁部に沿って、シリンダ弁体204側に突出する嵌込リブ226が取付片224の全周に亘って形成されている。
ここでパッキン220は、その全体がシリンダ弁体204の外面に沿って回曲する円弧形状をなしている。
【0008】
一方、弁ケース200には、正面形状がパッキン220に対応した四角形状の凹所228が、開口202周りに形成されていて、その凹所228の外周縁部に沿って、パッキン220の嵌込リブ226に対応した嵌込溝230が全周に亘って形成されている。
【0009】
これら図23及び図24に示すパッキンの組付構造にあっては、パッキン220全体を弁ケース200の凹所228に嵌め合わせるとともに、パッキン220の外周縁部に沿って形成された嵌込リブ226を弁ケース200の対応する嵌込溝228に押圧し、弾性的に嵌め込むことによって、パッキン220を弁ケース200に組み付ける。
【0010】
尚、図23において230は硬質材から成る拘束リングで、この拘束リング230は、パッキン220のリング本体222のリング内周に嵌着されてパッキン220、特にリング本体222の求心方向の変形を阻止する。
これらの図に示したパッキンの組付構造については下記特許文献1に開示されている。
【0011】
しかしながらこの組付構造にあっては、パッキン220が大形状の大型部品とならざるを得ず、このことによってシリンダ式バルブが大型化してしまうとともに、パッキン220及び弁ケース200とともに構造が複雑で製造コストが高くなるとともに、弁ケース200へのパッキン220の組付けも大変となり、組付作業に時間を要する等の問題が内在する。
【0012】
【特許文献1】特開2004−11813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上のような事情を背景とし、パッキンが小型で製造コストも安価であり、また弁ケースへの組付けも容易であってシリンダ式バルブを小型化することのできるシリンダ式バルブのパッキンの組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースとのそれぞれの周壁に通水用の開口を該周壁を内外に貫通する状態に形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させることにより水路の開度変化を行うシリンダ式弁体の、前記弁ケースの前記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンを組み付けるパッキンの組付構造であって、前記弁ケースにおける前記開口の縁部の軸方向の各端部に、前記パッキンの対応する軸方向の各端部を該軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持する圧縮保持部を、前記弁ケースの軸直角方向に延びる形状で設け、該圧縮保持部により該パッキンを保持するようになしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2のものは、請求項1において、前記圧縮保持部が、前記軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を有しており、該押圧爪を前記パッキンの前記軸方向端部に食い込ませる状態に該端部を弾性圧縮状態に保持するものとなしてあることを特徴とする。
【0016】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記パッキンの前記軸方向の各端部には、該パッキンのリング本体から前記軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部が設けられており、該被圧縮部が前記圧縮保持部にて前記軸方向に弾性圧縮され保持されるようになしてあることを特徴とする。
【0017】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記弁ケースの前記開口の縁部の前記軸方向の端部と端部との間の両側部且つ該弁ケースの外面側部位には、前記パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブが、前記開口の縁部に沿って設けてあることを特徴とする。
【0018】
請求項5のものは、請求項4において、前記パッキンのリング内周に、リング状をなす硬質の拘束リングを嵌着して、該拘束リングにより該パッキンの求心方向の変形を阻止するようになしてあり、該拘束リングには、該拘束リングのリング外周に沿って、該パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部が設けてあり、該係合凹部と前記弁ケースの掛止リブとが協働して前記パッキンを該弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
以上のように本発明は、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の各端部に圧縮保持部を軸直角方向に延びる形状で設け、それら圧縮保持部により、パッキンにおける対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持するようになしたものである。
即ち本発明では、パッキンの有する弾性を利用して、これを軸方向に弾性圧縮する状態とし、その弾性変形による反発力に基づいてパッキンを保持する。
かかる本発明のパッキンの組付構造にあっては、リング状パッキンを、軸方向の各端部がそれら圧縮保持部により軸方向に弾性圧縮される状態に押し込むだけで、簡単にパッキンを弁ケースに組み付けることができる。
【0020】
本発明では、図24に示したパッキンのようにリング本体から延出する取付片や、その取付片の外周縁部に沿って形成されている嵌込リブといったものをパッキンに設ける必要がなく、またこれら取付片や嵌込リブに対応して、弁ケースに凹所や嵌込溝等を設けなくてもよく、従ってパッキンを小型化し得るとともに、その形状ないし構造を単純化でき、また弁ケースにおけるパッキン取付けのための構造を単純化し得て、それらの製造コストを安価となすことができる。
またパッキンを弁ケースに組み付ける際の組付作業を短時間で簡単に行えるようになる。
【0021】
弁ケースの通水用の開口周りに取り付けられるリング状パッキンは、弁ケース及びシリンダ弁体の円周面に沿った円弧形状に形成される。
また通常は、弁ケースの通水用の開口の縁部の内端面のうち、軸方向の端部と端部との間の両側部は、弁ケースの軸心を中心とした放射方向の面、即ち外面側に開いた形状の放射形状の面とする。
【0022】
この場合、リング状パッキンをその開口の縁部に外面側から内向きに嵌めたときに、パッキンの軸方向の端部と端部との間の両側部は、弁ケースの対応する両側部の内端面から容易に径方向外方に外れてしまう。
従ってこのような部分に圧縮保持部を設けておいても、効果的にパッキンを保持することができない。
【0023】
そこで本発明では、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の各端部に、パッキンの対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部を軸直角方向に延びる形状で設けている。
そしてこのことによって、パッキンを強い保持力で保持することが可能となる。
【0024】
次に請求項2は、上記圧縮保持部に軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を具備させ、その押圧爪をパッキンの軸方向端部に食い込ませて同端部を弾性圧縮状態に保持するようになしたもので、この請求項2によれば、突条形態の押圧爪をパッキンの軸方向端部に食い込ませ、軸方向端部を局部的に強く圧縮変形させることで、より強固にパッキンを保持することができる。
【0025】
一方請求項3は、パッキンのリング本体から軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部を設け、その被圧縮部を、上記圧縮保持部にて軸方向に弾性圧縮し挟込み状態に保持するようになしたもので、この請求項3によれば、リング本体とは別の個所、即ちシール性に直接関係のない個所を圧縮保持部にて圧縮状態に保持することができ、シール作用の主体をなすリング本体を特に変形させることなく、パッキンを保持することができ、従ってまた被圧縮部に対する圧縮変形量を大となし得て、パッキンに対する保持力をより一層強固となすことができる。
【0026】
請求項4は、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の端部と端部との間の両側部且つ弁ケースの外面側部位に、パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブを、開口の縁部に沿って設けたもので、この請求項4によれば、掛止リブの抜止作用によって、弁ケースによるパッキンの保持力をより一層強くすることができる。
【0027】
請求項5は、パッキンのリング内周に嵌着される拘束リングのリング外周に沿って、パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部を設け、その係合凹部と上記弁ケースの掛止リブとの協働作用により、パッキンを弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしたものである。
【0028】
弁ケースにおける上記掛止リブによる外れ防止だけでは、パッキンの両側部が求心方向に弾性変形したとき、簡単にパッキンの両側部が掛止リブから外れて径方向外方にはみ出してしまう。
しかるに拘束リングのリング外周に沿って係合凹部を設けて、この係合凹部とパッキンのリング内周部分とを係合させるようにしておけば、パッキンにおけるリング本体の求心方向の変形が拘束リングにて阻止されるのに加えて、その拘束リングの係合凹部と掛止リブとが内周側と外周側との両側からリング本体を外れ防止するため、パッキンに対する保持力をより一層効果的に強くすることができる。
【0029】
本発明では、リング状パッキンのリング本体の横断面形状を真円形状となしておくことが望ましい。
例えばリング本体の横断面形状を、横断面の径方向(弁ケースの軸直角方向)に長径をなす楕円形状としておくことも考えられるが、この場合、パッキンが歪んだ状態で取り付けられてしまうと、楕円形状をなすリング本体がシリンダ弁体の外面に対し倒れを生じ、而してそのような倒れを生じるとリング本体が十分に径方向に圧縮されないまま、即ち弾性的に潰されないまま取り付いてしまう。この場合シール性の低下を来たす。
【0030】
しかるにリング本体の横断面形状を真円形状としておけば、こうした不具合を生じることなく、リング本体を径方向に良好に弾性圧縮した状態にシリンダ弁体と水栓等の本体ボデーとの間に組み込むことができ、シール性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0032】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0033】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0034】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0035】
図12にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0036】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0037】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0038】
シリンダ弁体26には、これとは別体をなす弁軸部38が一体回転状態に組み付けられており、それらシリンダ弁体26と弁軸部38とが弁体組付体40を成している。
弁軸部38には、図4,図6,図10,図13及び図14に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0039】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが、弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に弁軸部38が、即ち弁体組付体40が弁ケース28に固定され組み付けられている。
【0040】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0041】
図4及び図5において、58はハンドル16に加えられた回転の操作力を上記弁軸部38に伝達して一体回転させる軸状の伝達部材(ここでは樹脂製)で、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、伝達部材58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0042】
一方、伝達部材58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と伝達部材58とが軸方向に締結されている。
【0043】
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
一方これに嵌合する伝達部材58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、伝達部材58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0044】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1位置決凸部76を有しており、これら一対の第1位置決凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する位置決凹部78に嵌り込み係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0045】
位置決リング56はまた、第1位置決凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2位置決凸部80を有しており、これらが図4及び図9に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の位置決凹部82に嵌り込み係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0046】
これら一対の第2位置決凸部80の内面には、径方向内方に突出する爪部88が設けられており、これら爪部88によって、位置決リング56をバルブ24に対し簡単に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、爪部88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を爪部88が乗り越えたところで爪部88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって係合した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に対し組み付いた状態となる。
尚、各爪部88には図7及び図10(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込むときに、止め輪44を乗り越えるための傾斜形状の乗越ガイドが押込方向の先端側に設けられている。
【0047】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1位置決凸部76と同じ周方向位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ部84が設けられている。
これらストッパ部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0048】
詳しくは、ハンドル16の回転方向の操作力を弁軸部38に伝達する上記伝達部材58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図11に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
【0049】
尚、ハンドル16を正方向に回転させたときには伝達部材58の一対の当接部86の一方が、位置決リング56の一対のストッパ部84の一方に当接し、また逆方向に回転操作したときには伝達部材58の他方の当接部86が、位置決リング56の他方のストッパ部84に当接する。
【0050】
上記弁体組付体40は、樹脂製の弁軸部38と金属製(ここではステンレス製)のシリンダ弁体26とが別体に構成されていて、それらが軸方向に連結され組み付けられている(図12〜図16参照)。
【0051】
図12,図15及び図16に示しているように、樹脂製の弁軸部38には図15,図16中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図15に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0052】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0053】
金属製のシリンダ弁体26は、図17(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品から成るものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0054】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図15(ハ)参照)。
尚、シリンダ弁体26の図中下端部にはフランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0055】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外面には、図15(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に、径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108が、シリンダ弁体26の係合爪98に対し軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0056】
係合突起108は、図16に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0057】
この実施形態では、図15(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0058】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図16に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0059】
嵌入後において各係合突起108は、図16に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0060】
図3及び図14に示しているように、弁ケース28の開口36周りには、シリンダ弁体26と本体ボデー12とにそれぞれ弾性的に圧接されて、それらの間でシール作用をなすゴム等の弾性材からなるリング状パッキン(以下単にパッキンとする)114が装着されている。
図18〜図22に、このパッキン114の組付構造が具体的に示してある。
【0061】
このパッキン114は、正面形状が軸方向(シリンダ軸方向)に長径をなし、また横断面形状が真円形状をなすリング本体117と、軸方向各端部に、軸方向外方に突出する状態で設けられた一対の被圧縮部118とを備えている。
パッキン114は、弁ケース28及びシリンダ弁体26の円周面に沿って回曲しており、その全体形状が、図21(B)に示すように軸方向視において円弧形状をなしている。
これに伴って被圧縮部118は、シリンダ弁体26側の面が図21(B)に示しているように円弧形状の凹曲面120とされている。
【0062】
図18において、116はパッキン114のリング内周に嵌着されて、パッキン114の求心方向の変形を阻止する硬質の拘束リングで、拘束リング116のリング外周に沿って、図18(イ)の部分拡大図に示すように横断面形状が略半円状に求心方向に凹陥した形状の係合凹部124が、拘束リング116のリング外周に沿って全周に亘り連続的に形成されている。
一方パッキン114には、リング内周に沿って図18,図19,図20に示すように横断面形状が半円形状をなし、求心方向に突出する係合凸部128が全周に亘って形成されており、図19及び図20に示すようにかかる係合凸部128が、拘束リング116における係合凹部124に弾性的に嵌り込むようになっている。
【0063】
弁ケース28における開口36は、パッキン114を嵌入可能に、パッキン114に対応した形状(正面形状)をなしており、かかる開口36縁部の軸方向各端部には、パッキン114を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部130が設けられている。
【0064】
開口36縁部におけるこれら軸端部の圧縮保持部130と130との間の両側部の内端面は、図22(B)に示しているように弁ケース28の軸心を中心とする放射方向の面、即ち弁ケース28の外面に向って内側から外側に放射状に広がる放射面135とされており、そしてその放射面135の外端部即ち弁ケース28の外面部位に、開口36の内方に向って突出する掛止リブ134が、開口36の縁部に沿って設けられている。
【0065】
ここで開口36縁部の両側部は、部分的に軸方向のストレート形状をなしており、このストレート形状の部分に沿って、掛止リブ134が軸方向にストレート形状で設けられている。
これら一対の掛止リブ134は、図19(B)に示しているようにパッキン114における左右の両側部に掛止して、パッキン114の径方向外方への外れを防止する。
【0066】
ここで開口36に嵌入させられたパッキン114は、その両側部が求心方向に弾性変形すると、その両側部が掛止リブ134から外れてしまうが、この実施形態では、パッキン114のリング内周に沿って拘束リング116が嵌着されていて、求心方向の変形がかかる拘束リング116にて阻止されており、しかも拘束リング116には、リング外周に沿って断面半円形状に凹陥した係合凹部124が設けられていて、この係合凹部124にパッキン114におけるリング本体117のリング内周の係合凸部128が嵌り合っているため、かかる拘束リング116の係合凹部124と弁ケース28の掛止リブ134との協働作用によって、パッキン114の図中左右一対の両側部が、効果的に弁ケース28から外れ防止される。
【0067】
図19及び図22において、上側の圧縮保持部130,下側の圧縮保持部130は、それぞれ内端面(下端面,上端面)がそれぞれ上方,下方に段違いに凹陥しており、そこにパッキン114における上記舌片状の被圧縮部118が、それぞれ径方向(弁ケース28の軸直角方向)内方に向って嵌め込まれている。
ここで図中上,下の圧縮保持部130,130の各内端面は、正面視において左右にストレート形状をなしており、また図20に示しているように径方向(弁ケース28の軸直角方向)にもストレート形状をなしている。即ち図20において軸直角方向である水平方向にストレートに延びる形状をなしている。
【0068】
本実施形態において、これら一対の圧縮保持部130のそれぞれの内端面、即ち上側の圧縮保持部130の下面、及び下側の圧縮保持部130の上面のそれぞれには、上記の軸直角方向にストレート形状で延びる押圧爪136が、それぞれ下向き及び上向きに突出する状態で備えられている。
本実施形態では、パッキン114を軸方向の各端部即ち図中上端部及び下端部を、図中下向き及び上向きにそれぞれ弾性圧縮させる状態に、開口36縁部に押し込むだけで、簡単にこれを開口36周りに組み付けることができる。
【0069】
このときパッキン114は、その上端部及び下端部の舌片状の被圧縮部118が、図19及び図20の部分拡大図に示しているように、弁ケース28の圧縮保持部130、詳しくは押圧爪136により弾性圧縮変形を伴って保持され(このとき押圧爪136は被圧縮部118に局部的に食い込んだ状態となる)、主としてパッキン114の弾性変形を伴う弾性圧縮力に基づく反発力によって、かかるパッキン114が弁ケース28により保持される。
【0070】
更にこのとき、弁ケース28の掛止リブ134が、パッキン114におけるリング本体117の両側部に掛止し、更にまたリング本体117のリング内周に嵌着された拘束リング116の外周の係合凹部124と、リング本体117の内周の係合凸部128との係合作用により、パッキン114が弁ケース28から外れ防止された状態で弁ケース28に組み付けられる。
【0071】
以上のように本実施形態のパッキンの取付構造にあっては、パッキン114を、軸方向の各端部が弁ケース28の圧縮保持部130により軸方向に弾性圧縮される状態に押し込むだけで、簡単にパッキン114を弁ケース28に組み付けることができる。
またパッキン114を小型化し得るとともに、その形状ないし構造を単純化でき、また弁ケース28におけるパッキン114組付けのための構造を単純化し得て、それらの製造コストを安価となすことができる。
またパッキン114を弁ケース28に組み付ける際の組付作業を短時間で簡単に行えるようになる。
【0072】
本実施形態では、パッキン114の軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部130を、軸直角方向に延びる形状で設けているため、パッキン114に対する保持力を強くすることができる。
【0073】
更に圧縮保持部130に突条形態の押圧爪136を具備させ、その押圧爪136をパッキン114の軸方向端部に食い込ませる状態にパッキン114を保持するようにしているため、より強固にパッキン114を保持することができる。
【0074】
またパッキン114のリング本体117から軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部118を設けて、これを軸方向に弾性圧縮し挟込み状態に保持するようになしてあるため、リング本体117とは別の個所を圧縮保持部130にて保持することができ、シール作用の主体をなすリング本体117を特に変形させることなく、パッキン114を保持することができ、従ってまた被圧縮部118に対する圧縮変形量を大となし得て、パッキン114に対する保持力をより一層強固となすことができる。
【0075】
また弁ケース28の外面側部位に、パッキン114の対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブ134を設け、更に拘束リング116のリング外周に係合凹部128を設けて、係合凹部128と弁ケース28の掛止リブ134との協働作用でパッキン114を弁ケース28から径方向外方に外れ防止するようになしているため、パッキン114におけるリング本体117の求心方向の変形が拘束リング116にて阻止されるのに加えて、係合凹部128と掛止リブ134とによる作用で、パッキン114を効果的に外れ防止して、これをより一層強固に保持することができる。
【0076】
また本実施形態ではリング状パッキン114のリング本体117の横断面形状が真円形状となしてあるため、リング本体117を(径方向に良好に弾性圧縮した状態で)シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間に弾性圧縮状態に挟み込んだとき、リング本体117の倒れを生ぜしめることなく十分にこれを圧縮変形させることができ、シール性を高めることができる。
【0077】
以上本発明の実施形態を詳述したが、本発明はいわゆる2ハンドル式の湯水混合水栓その他様々な水栓その他に組み込まれるシリンダ式バルブに適用することが可能である等、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】シリンダ式バルブを内蔵した水栓を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】同シリンダ式バルブを水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】シリンダ式バルブにおける位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び伝達部材との組付関係を示した図である。
【図9】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図である。
【図12】同シリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図13】図12のシリンダ式バルブを弁ケース,パッキン,弁体組付体に分解して示した斜視図である。
【図14】図12のシリンダ式バルブを弁ケース,パッキン,弁体組付体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図15】同シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図16】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図17】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図18】本発明の実施形態のパッキンの組付構造を弁ケース,パッキン,拘束リングに分解して示した図である。
【図19】同実施形態の組付構造を、弁ケースにパッキン及び拘束リングを組み付けた状態で示す図である。
【図20】図19に示した組付構造の側面断面図である。
【図21】同シリンダ式バルブにおけるパッキンの単品図である。
【図22】同シリンダ式バルブにおける弁ケースの単品図である。
【図23】従来のシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造を各部品に分解して示す図である。
【図24】図23の要部を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0079】
10 水栓
22 水路
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30,32,34,36 開口
114 パッキン
116 拘束リング
117 リング本体
118 被圧縮部
124 係合凹部
130 圧縮保持部
134 掛止リブ
136 押圧爪
【技術分野】
【0001】
この発明は、円筒形状のシリンダ弁体と、その外側の円筒形状の弁ケースとを有するシリンダ式バルブに関し、詳しくは弁ケースの通水用の開口周りに装着されるリング状パッキンの組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓等におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、シリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
【0003】
このシリンダ式バルブでは、弁ケースの上記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンが組み付けられる。
その組付構造として、従来、図23及び図24に示す組付構造が公知である。
【0004】
図23において、200は円筒形状をなす弁ケースで、この弁ケース200には、周壁を内外に貫通する通水用の開口202が備えられている。
204は円筒形状をなし、弁ケース200に回転可能に内嵌する金属製のシリンダ弁体で、弁ケース200と同様に、周壁を内外に貫通する通水用の開口206が備えられている。
【0005】
208は樹脂で構成された弁軸部で、軸端部に大径の雄嵌合部210が設けられ、この雄嵌合部210が、シリンダ弁体204の軸端の開口を通じ雌嵌合部212に嵌入させられている。
尚、シリンダ弁体204には小円孔からなる抜止孔214が、また弁軸部208には対応する抜止突起216がそれぞれ設けられ、それらの嵌り合いによって弁軸部208がシリンダ弁体204から軸方向に抜止めされている。
【0006】
また、シリンダ弁体204には軸端部に回止め用の切欠き216が、弁軸部208にはこれに対応した回止め用の凸部218が設けられており、切欠き216に凸部218が嵌り合うことによって、弁軸部208とシリンダ弁体204との相対的な回転が規制されている。即ちシリンダ弁体204と弁軸部208とが一体回転するようになっている。
【0007】
図24において、220は弁ケース200の一方の開口202周りに装着されて、シリンダ弁体204と水栓等の本体ボデーとの間を水密にシールする、全体が弾性材からなるパッキンで、222は、シリンダ弁体204の外面と本体ボデーの内面とに弾性的に圧接されてシール作用をなすリング本体である。
このリング本体222からはシート状の取付片224が軸方向(シリンダ軸方向)と、シリンダ円周方向とのそれぞれに延出しており、その取付片224の外周縁部に沿って、シリンダ弁体204側に突出する嵌込リブ226が取付片224の全周に亘って形成されている。
ここでパッキン220は、その全体がシリンダ弁体204の外面に沿って回曲する円弧形状をなしている。
【0008】
一方、弁ケース200には、正面形状がパッキン220に対応した四角形状の凹所228が、開口202周りに形成されていて、その凹所228の外周縁部に沿って、パッキン220の嵌込リブ226に対応した嵌込溝230が全周に亘って形成されている。
【0009】
これら図23及び図24に示すパッキンの組付構造にあっては、パッキン220全体を弁ケース200の凹所228に嵌め合わせるとともに、パッキン220の外周縁部に沿って形成された嵌込リブ226を弁ケース200の対応する嵌込溝228に押圧し、弾性的に嵌め込むことによって、パッキン220を弁ケース200に組み付ける。
【0010】
尚、図23において230は硬質材から成る拘束リングで、この拘束リング230は、パッキン220のリング本体222のリング内周に嵌着されてパッキン220、特にリング本体222の求心方向の変形を阻止する。
これらの図に示したパッキンの組付構造については下記特許文献1に開示されている。
【0011】
しかしながらこの組付構造にあっては、パッキン220が大形状の大型部品とならざるを得ず、このことによってシリンダ式バルブが大型化してしまうとともに、パッキン220及び弁ケース200とともに構造が複雑で製造コストが高くなるとともに、弁ケース200へのパッキン220の組付けも大変となり、組付作業に時間を要する等の問題が内在する。
【0012】
【特許文献1】特開2004−11813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は以上のような事情を背景とし、パッキンが小型で製造コストも安価であり、また弁ケースへの組付けも容易であってシリンダ式バルブを小型化することのできるシリンダ式バルブのパッキンの組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースとのそれぞれの周壁に通水用の開口を該周壁を内外に貫通する状態に形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させることにより水路の開度変化を行うシリンダ式弁体の、前記弁ケースの前記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンを組み付けるパッキンの組付構造であって、前記弁ケースにおける前記開口の縁部の軸方向の各端部に、前記パッキンの対応する軸方向の各端部を該軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持する圧縮保持部を、前記弁ケースの軸直角方向に延びる形状で設け、該圧縮保持部により該パッキンを保持するようになしたことを特徴とする。
【0015】
請求項2のものは、請求項1において、前記圧縮保持部が、前記軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を有しており、該押圧爪を前記パッキンの前記軸方向端部に食い込ませる状態に該端部を弾性圧縮状態に保持するものとなしてあることを特徴とする。
【0016】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記パッキンの前記軸方向の各端部には、該パッキンのリング本体から前記軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部が設けられており、該被圧縮部が前記圧縮保持部にて前記軸方向に弾性圧縮され保持されるようになしてあることを特徴とする。
【0017】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記弁ケースの前記開口の縁部の前記軸方向の端部と端部との間の両側部且つ該弁ケースの外面側部位には、前記パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブが、前記開口の縁部に沿って設けてあることを特徴とする。
【0018】
請求項5のものは、請求項4において、前記パッキンのリング内周に、リング状をなす硬質の拘束リングを嵌着して、該拘束リングにより該パッキンの求心方向の変形を阻止するようになしてあり、該拘束リングには、該拘束リングのリング外周に沿って、該パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部が設けてあり、該係合凹部と前記弁ケースの掛止リブとが協働して前記パッキンを該弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0019】
以上のように本発明は、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の各端部に圧縮保持部を軸直角方向に延びる形状で設け、それら圧縮保持部により、パッキンにおける対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持するようになしたものである。
即ち本発明では、パッキンの有する弾性を利用して、これを軸方向に弾性圧縮する状態とし、その弾性変形による反発力に基づいてパッキンを保持する。
かかる本発明のパッキンの組付構造にあっては、リング状パッキンを、軸方向の各端部がそれら圧縮保持部により軸方向に弾性圧縮される状態に押し込むだけで、簡単にパッキンを弁ケースに組み付けることができる。
【0020】
本発明では、図24に示したパッキンのようにリング本体から延出する取付片や、その取付片の外周縁部に沿って形成されている嵌込リブといったものをパッキンに設ける必要がなく、またこれら取付片や嵌込リブに対応して、弁ケースに凹所や嵌込溝等を設けなくてもよく、従ってパッキンを小型化し得るとともに、その形状ないし構造を単純化でき、また弁ケースにおけるパッキン取付けのための構造を単純化し得て、それらの製造コストを安価となすことができる。
またパッキンを弁ケースに組み付ける際の組付作業を短時間で簡単に行えるようになる。
【0021】
弁ケースの通水用の開口周りに取り付けられるリング状パッキンは、弁ケース及びシリンダ弁体の円周面に沿った円弧形状に形成される。
また通常は、弁ケースの通水用の開口の縁部の内端面のうち、軸方向の端部と端部との間の両側部は、弁ケースの軸心を中心とした放射方向の面、即ち外面側に開いた形状の放射形状の面とする。
【0022】
この場合、リング状パッキンをその開口の縁部に外面側から内向きに嵌めたときに、パッキンの軸方向の端部と端部との間の両側部は、弁ケースの対応する両側部の内端面から容易に径方向外方に外れてしまう。
従ってこのような部分に圧縮保持部を設けておいても、効果的にパッキンを保持することができない。
【0023】
そこで本発明では、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の各端部に、パッキンの対応する軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部を軸直角方向に延びる形状で設けている。
そしてこのことによって、パッキンを強い保持力で保持することが可能となる。
【0024】
次に請求項2は、上記圧縮保持部に軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を具備させ、その押圧爪をパッキンの軸方向端部に食い込ませて同端部を弾性圧縮状態に保持するようになしたもので、この請求項2によれば、突条形態の押圧爪をパッキンの軸方向端部に食い込ませ、軸方向端部を局部的に強く圧縮変形させることで、より強固にパッキンを保持することができる。
【0025】
一方請求項3は、パッキンのリング本体から軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部を設け、その被圧縮部を、上記圧縮保持部にて軸方向に弾性圧縮し挟込み状態に保持するようになしたもので、この請求項3によれば、リング本体とは別の個所、即ちシール性に直接関係のない個所を圧縮保持部にて圧縮状態に保持することができ、シール作用の主体をなすリング本体を特に変形させることなく、パッキンを保持することができ、従ってまた被圧縮部に対する圧縮変形量を大となし得て、パッキンに対する保持力をより一層強固となすことができる。
【0026】
請求項4は、弁ケースにおける開口の縁部の軸方向の端部と端部との間の両側部且つ弁ケースの外面側部位に、パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブを、開口の縁部に沿って設けたもので、この請求項4によれば、掛止リブの抜止作用によって、弁ケースによるパッキンの保持力をより一層強くすることができる。
【0027】
請求項5は、パッキンのリング内周に嵌着される拘束リングのリング外周に沿って、パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部を設け、その係合凹部と上記弁ケースの掛止リブとの協働作用により、パッキンを弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしたものである。
【0028】
弁ケースにおける上記掛止リブによる外れ防止だけでは、パッキンの両側部が求心方向に弾性変形したとき、簡単にパッキンの両側部が掛止リブから外れて径方向外方にはみ出してしまう。
しかるに拘束リングのリング外周に沿って係合凹部を設けて、この係合凹部とパッキンのリング内周部分とを係合させるようにしておけば、パッキンにおけるリング本体の求心方向の変形が拘束リングにて阻止されるのに加えて、その拘束リングの係合凹部と掛止リブとが内周側と外周側との両側からリング本体を外れ防止するため、パッキンに対する保持力をより一層効果的に強くすることができる。
【0029】
本発明では、リング状パッキンのリング本体の横断面形状を真円形状となしておくことが望ましい。
例えばリング本体の横断面形状を、横断面の径方向(弁ケースの軸直角方向)に長径をなす楕円形状としておくことも考えられるが、この場合、パッキンが歪んだ状態で取り付けられてしまうと、楕円形状をなすリング本体がシリンダ弁体の外面に対し倒れを生じ、而してそのような倒れを生じるとリング本体が十分に径方向に圧縮されないまま、即ち弾性的に潰されないまま取り付いてしまう。この場合シール性の低下を来たす。
【0030】
しかるにリング本体の横断面形状を真円形状としておけば、こうした不具合を生じることなく、リング本体を径方向に良好に弾性圧縮した状態にシリンダ弁体と水栓等の本体ボデーとの間に組み込むことができ、シール性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0032】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0033】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0034】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0035】
図12にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0036】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0037】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0038】
シリンダ弁体26には、これとは別体をなす弁軸部38が一体回転状態に組み付けられており、それらシリンダ弁体26と弁軸部38とが弁体組付体40を成している。
弁軸部38には、図4,図6,図10,図13及び図14に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0039】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが、弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に弁軸部38が、即ち弁体組付体40が弁ケース28に固定され組み付けられている。
【0040】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0041】
図4及び図5において、58はハンドル16に加えられた回転の操作力を上記弁軸部38に伝達して一体回転させる軸状の伝達部材(ここでは樹脂製)で、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、伝達部材58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0042】
一方、伝達部材58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と伝達部材58とが軸方向に締結されている。
【0043】
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
一方これに嵌合する伝達部材58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、伝達部材58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0044】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1位置決凸部76を有しており、これら一対の第1位置決凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する位置決凹部78に嵌り込み係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0045】
位置決リング56はまた、第1位置決凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2位置決凸部80を有しており、これらが図4及び図9に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の位置決凹部82に嵌り込み係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0046】
これら一対の第2位置決凸部80の内面には、径方向内方に突出する爪部88が設けられており、これら爪部88によって、位置決リング56をバルブ24に対し簡単に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、爪部88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を爪部88が乗り越えたところで爪部88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって係合した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に対し組み付いた状態となる。
尚、各爪部88には図7及び図10(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込むときに、止め輪44を乗り越えるための傾斜形状の乗越ガイドが押込方向の先端側に設けられている。
【0047】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1位置決凸部76と同じ周方向位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ部84が設けられている。
これらストッパ部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0048】
詳しくは、ハンドル16の回転方向の操作力を弁軸部38に伝達する上記伝達部材58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図11に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
【0049】
尚、ハンドル16を正方向に回転させたときには伝達部材58の一対の当接部86の一方が、位置決リング56の一対のストッパ部84の一方に当接し、また逆方向に回転操作したときには伝達部材58の他方の当接部86が、位置決リング56の他方のストッパ部84に当接する。
【0050】
上記弁体組付体40は、樹脂製の弁軸部38と金属製(ここではステンレス製)のシリンダ弁体26とが別体に構成されていて、それらが軸方向に連結され組み付けられている(図12〜図16参照)。
【0051】
図12,図15及び図16に示しているように、樹脂製の弁軸部38には図15,図16中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図15に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0052】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0053】
金属製のシリンダ弁体26は、図17(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品から成るものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0054】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図15(ハ)参照)。
尚、シリンダ弁体26の図中下端部にはフランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0055】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外面には、図15(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に、径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108が、シリンダ弁体26の係合爪98に対し軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0056】
係合突起108は、図16に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0057】
この実施形態では、図15(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0058】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図16に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0059】
嵌入後において各係合突起108は、図16に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0060】
図3及び図14に示しているように、弁ケース28の開口36周りには、シリンダ弁体26と本体ボデー12とにそれぞれ弾性的に圧接されて、それらの間でシール作用をなすゴム等の弾性材からなるリング状パッキン(以下単にパッキンとする)114が装着されている。
図18〜図22に、このパッキン114の組付構造が具体的に示してある。
【0061】
このパッキン114は、正面形状が軸方向(シリンダ軸方向)に長径をなし、また横断面形状が真円形状をなすリング本体117と、軸方向各端部に、軸方向外方に突出する状態で設けられた一対の被圧縮部118とを備えている。
パッキン114は、弁ケース28及びシリンダ弁体26の円周面に沿って回曲しており、その全体形状が、図21(B)に示すように軸方向視において円弧形状をなしている。
これに伴って被圧縮部118は、シリンダ弁体26側の面が図21(B)に示しているように円弧形状の凹曲面120とされている。
【0062】
図18において、116はパッキン114のリング内周に嵌着されて、パッキン114の求心方向の変形を阻止する硬質の拘束リングで、拘束リング116のリング外周に沿って、図18(イ)の部分拡大図に示すように横断面形状が略半円状に求心方向に凹陥した形状の係合凹部124が、拘束リング116のリング外周に沿って全周に亘り連続的に形成されている。
一方パッキン114には、リング内周に沿って図18,図19,図20に示すように横断面形状が半円形状をなし、求心方向に突出する係合凸部128が全周に亘って形成されており、図19及び図20に示すようにかかる係合凸部128が、拘束リング116における係合凹部124に弾性的に嵌り込むようになっている。
【0063】
弁ケース28における開口36は、パッキン114を嵌入可能に、パッキン114に対応した形状(正面形状)をなしており、かかる開口36縁部の軸方向各端部には、パッキン114を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部130が設けられている。
【0064】
開口36縁部におけるこれら軸端部の圧縮保持部130と130との間の両側部の内端面は、図22(B)に示しているように弁ケース28の軸心を中心とする放射方向の面、即ち弁ケース28の外面に向って内側から外側に放射状に広がる放射面135とされており、そしてその放射面135の外端部即ち弁ケース28の外面部位に、開口36の内方に向って突出する掛止リブ134が、開口36の縁部に沿って設けられている。
【0065】
ここで開口36縁部の両側部は、部分的に軸方向のストレート形状をなしており、このストレート形状の部分に沿って、掛止リブ134が軸方向にストレート形状で設けられている。
これら一対の掛止リブ134は、図19(B)に示しているようにパッキン114における左右の両側部に掛止して、パッキン114の径方向外方への外れを防止する。
【0066】
ここで開口36に嵌入させられたパッキン114は、その両側部が求心方向に弾性変形すると、その両側部が掛止リブ134から外れてしまうが、この実施形態では、パッキン114のリング内周に沿って拘束リング116が嵌着されていて、求心方向の変形がかかる拘束リング116にて阻止されており、しかも拘束リング116には、リング外周に沿って断面半円形状に凹陥した係合凹部124が設けられていて、この係合凹部124にパッキン114におけるリング本体117のリング内周の係合凸部128が嵌り合っているため、かかる拘束リング116の係合凹部124と弁ケース28の掛止リブ134との協働作用によって、パッキン114の図中左右一対の両側部が、効果的に弁ケース28から外れ防止される。
【0067】
図19及び図22において、上側の圧縮保持部130,下側の圧縮保持部130は、それぞれ内端面(下端面,上端面)がそれぞれ上方,下方に段違いに凹陥しており、そこにパッキン114における上記舌片状の被圧縮部118が、それぞれ径方向(弁ケース28の軸直角方向)内方に向って嵌め込まれている。
ここで図中上,下の圧縮保持部130,130の各内端面は、正面視において左右にストレート形状をなしており、また図20に示しているように径方向(弁ケース28の軸直角方向)にもストレート形状をなしている。即ち図20において軸直角方向である水平方向にストレートに延びる形状をなしている。
【0068】
本実施形態において、これら一対の圧縮保持部130のそれぞれの内端面、即ち上側の圧縮保持部130の下面、及び下側の圧縮保持部130の上面のそれぞれには、上記の軸直角方向にストレート形状で延びる押圧爪136が、それぞれ下向き及び上向きに突出する状態で備えられている。
本実施形態では、パッキン114を軸方向の各端部即ち図中上端部及び下端部を、図中下向き及び上向きにそれぞれ弾性圧縮させる状態に、開口36縁部に押し込むだけで、簡単にこれを開口36周りに組み付けることができる。
【0069】
このときパッキン114は、その上端部及び下端部の舌片状の被圧縮部118が、図19及び図20の部分拡大図に示しているように、弁ケース28の圧縮保持部130、詳しくは押圧爪136により弾性圧縮変形を伴って保持され(このとき押圧爪136は被圧縮部118に局部的に食い込んだ状態となる)、主としてパッキン114の弾性変形を伴う弾性圧縮力に基づく反発力によって、かかるパッキン114が弁ケース28により保持される。
【0070】
更にこのとき、弁ケース28の掛止リブ134が、パッキン114におけるリング本体117の両側部に掛止し、更にまたリング本体117のリング内周に嵌着された拘束リング116の外周の係合凹部124と、リング本体117の内周の係合凸部128との係合作用により、パッキン114が弁ケース28から外れ防止された状態で弁ケース28に組み付けられる。
【0071】
以上のように本実施形態のパッキンの取付構造にあっては、パッキン114を、軸方向の各端部が弁ケース28の圧縮保持部130により軸方向に弾性圧縮される状態に押し込むだけで、簡単にパッキン114を弁ケース28に組み付けることができる。
またパッキン114を小型化し得るとともに、その形状ないし構造を単純化でき、また弁ケース28におけるパッキン114組付けのための構造を単純化し得て、それらの製造コストを安価となすことができる。
またパッキン114を弁ケース28に組み付ける際の組付作業を短時間で簡単に行えるようになる。
【0072】
本実施形態では、パッキン114の軸方向の各端部を軸方向に押圧し、弾性圧縮させた状態で挟み込み保持する圧縮保持部130を、軸直角方向に延びる形状で設けているため、パッキン114に対する保持力を強くすることができる。
【0073】
更に圧縮保持部130に突条形態の押圧爪136を具備させ、その押圧爪136をパッキン114の軸方向端部に食い込ませる状態にパッキン114を保持するようにしているため、より強固にパッキン114を保持することができる。
【0074】
またパッキン114のリング本体117から軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部118を設けて、これを軸方向に弾性圧縮し挟込み状態に保持するようになしてあるため、リング本体117とは別の個所を圧縮保持部130にて保持することができ、シール作用の主体をなすリング本体117を特に変形させることなく、パッキン114を保持することができ、従ってまた被圧縮部118に対する圧縮変形量を大となし得て、パッキン114に対する保持力をより一層強固となすことができる。
【0075】
また弁ケース28の外面側部位に、パッキン114の対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブ134を設け、更に拘束リング116のリング外周に係合凹部128を設けて、係合凹部128と弁ケース28の掛止リブ134との協働作用でパッキン114を弁ケース28から径方向外方に外れ防止するようになしているため、パッキン114におけるリング本体117の求心方向の変形が拘束リング116にて阻止されるのに加えて、係合凹部128と掛止リブ134とによる作用で、パッキン114を効果的に外れ防止して、これをより一層強固に保持することができる。
【0076】
また本実施形態ではリング状パッキン114のリング本体117の横断面形状が真円形状となしてあるため、リング本体117を(径方向に良好に弾性圧縮した状態で)シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間に弾性圧縮状態に挟み込んだとき、リング本体117の倒れを生ぜしめることなく十分にこれを圧縮変形させることができ、シール性を高めることができる。
【0077】
以上本発明の実施形態を詳述したが、本発明はいわゆる2ハンドル式の湯水混合水栓その他様々な水栓その他に組み込まれるシリンダ式バルブに適用することが可能である等、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】シリンダ式バルブを内蔵した水栓を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】同シリンダ式バルブを水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】シリンダ式バルブにおける位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び伝達部材との組付関係を示した図である。
【図9】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図である。
【図12】同シリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図13】図12のシリンダ式バルブを弁ケース,パッキン,弁体組付体に分解して示した斜視図である。
【図14】図12のシリンダ式バルブを弁ケース,パッキン,弁体組付体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図15】同シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図16】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図17】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図18】本発明の実施形態のパッキンの組付構造を弁ケース,パッキン,拘束リングに分解して示した図である。
【図19】同実施形態の組付構造を、弁ケースにパッキン及び拘束リングを組み付けた状態で示す図である。
【図20】図19に示した組付構造の側面断面図である。
【図21】同シリンダ式バルブにおけるパッキンの単品図である。
【図22】同シリンダ式バルブにおける弁ケースの単品図である。
【図23】従来のシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造を各部品に分解して示す図である。
【図24】図23の要部を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0079】
10 水栓
22 水路
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30,32,34,36 開口
114 パッキン
116 拘束リング
117 リング本体
118 被圧縮部
124 係合凹部
130 圧縮保持部
134 掛止リブ
136 押圧爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースとのそれぞれの周壁に通水用の開口を該周壁を内外に貫通する状態に形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させることにより水路の開度変化を行うシリンダ式弁体の、前記弁ケースの前記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンを組み付けるパッキンの組付構造であって
前記弁ケースにおける前記開口の縁部の軸方向の各端部に、前記パッキンの対応する軸方向の各端部を該軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持する圧縮保持部を、前記弁ケースの軸直角方向に延びる形状で設け、該圧縮保持部により該パッキンを保持するようになしたことを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項2】
請求項1において、前記圧縮保持部が、前記軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を有しており、該押圧爪を前記パッキンの前記軸方向端部に食い込ませる状態に該端部を弾性圧縮状態に保持するものとなしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記パッキンの前記軸方向の各端部には、該パッキンのリング本体から前記軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部が設けられており、該被圧縮部が前記圧縮保持部にて前記軸方向に弾性圧縮され保持されるようになしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記弁ケースの前記開口の縁部の前記軸方向の端部と端部との間の両側部且つ該弁ケースの外面側部位には、前記パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブが、前記開口の縁部に沿って設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項5】
請求項4において、前記パッキンのリング内周に、リング状をなす硬質の拘束リングを嵌着して、該拘束リングにより該パッキンの求心方向の変形を阻止するようになしてあり、
該拘束リングには、該拘束リングのリング外周に沿って、該パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部が設けてあり、該係合凹部と前記弁ケースの掛止リブとが協働して前記パッキンを該弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースとのそれぞれの周壁に通水用の開口を該周壁を内外に貫通する状態に形成し、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させることにより水路の開度変化を行うシリンダ式弁体の、前記弁ケースの前記開口の周りに弾性材から成るシール用のリング状パッキンを組み付けるパッキンの組付構造であって
前記弁ケースにおける前記開口の縁部の軸方向の各端部に、前記パッキンの対応する軸方向の各端部を該軸方向に押圧し弾性圧縮させた状態に挟み込んで保持する圧縮保持部を、前記弁ケースの軸直角方向に延びる形状で設け、該圧縮保持部により該パッキンを保持するようになしたことを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項2】
請求項1において、前記圧縮保持部が、前記軸直角方向に延びる突条形態の押圧爪を有しており、該押圧爪を前記パッキンの前記軸方向端部に食い込ませる状態に該端部を弾性圧縮状態に保持するものとなしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記パッキンの前記軸方向の各端部には、該パッキンのリング本体から前記軸方向外方に突出する舌片状の被圧縮部が設けられており、該被圧縮部が前記圧縮保持部にて前記軸方向に弾性圧縮され保持されるようになしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記弁ケースの前記開口の縁部の前記軸方向の端部と端部との間の両側部且つ該弁ケースの外面側部位には、前記パッキンの対応する両側部に掛止して抜止作用する掛止リブが、前記開口の縁部に沿って設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【請求項5】
請求項4において、前記パッキンのリング内周に、リング状をなす硬質の拘束リングを嵌着して、該拘束リングにより該パッキンの求心方向の変形を阻止するようになしてあり、
該拘束リングには、該拘束リングのリング外周に沿って、該パッキンのリング内周部分に対し、リングの周方向と直角方向に嵌り合う係合凹部が設けてあり、該係合凹部と前記弁ケースの掛止リブとが協働して前記パッキンを該弁ケースから径方向外方に外れ防止するようになしてあることを特徴とするシリンダ式バルブにおけるパッキンの組付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−185157(P2008−185157A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20189(P2007−20189)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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