説明

シンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法

【課題】容易に製造でき、且つ高い位置分解能を実現できるシンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法を提供する。
【解決手段】シンチレータ2は、結晶性を有し放射線の入射によりシンチレーション光を発生する結晶塊20を備え、該結晶塊20の表面と光学的に結合される光検出器3,4にシンチレーション光を提供するために用いられる。シンチレータ2は、複数の散乱領域21を有する。各散乱領域21は、結晶塊20の内部にレーザ光を照射することにより形成され、結晶塊20の内部において或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラック21aからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線検出器は、例えばPET(Positron Emission Tomography)装置に用いられる。PET装置に用いられる放射線検出器は、陽電子放出アイソトープ(RI線源)が投入された被検体内における電子・陽電子の対消滅に伴って発生し互いに逆方向に飛行する一対のガンマ線を検出する。PET装置は、複数の放射線検出器を利用した同時計数法により一対のガンマ線を検出し、この同時計数情報を蓄積してヒストグラムを作成する。そして、PET装置は、このヒストグラムに基づいて、測定空間における一対のガンマ線の発生頻度の空間分布を表す画像を再構成する。このPET装置は核医学分野等で重要な役割を果たしており、これを用いて例えば生体機能や脳の高次機能の研究を行うことができる。
【0003】
このようなPET装置等において好適に用いられる放射線検出器として、シンチレータおよび光検出器を備えているものがある。シンチレータは、入射したガンマ線を吸収してシンチレーション光を発生する。光検出器は、シンチレータ表面に取り付けられ、シンチレーション光を検出する。このような構成により、シンチレータにおけるガンマ線入射位置およびガンマ線量が特定される。
【0004】
特許文献1には、シンチレータおよび光検出器を備える放射線検出器が開示されている。この文献に記載されたシンチレータは、シンチレーション光の進行方向を制限する光導体領域を内部に有している。この光導体領域は、センサが配置された面に対して垂直な方向に延びており、シンチレーション光をセンサへ導く。このような光導体領域の構成例としては、シンチレータに対して複数の平行な溝を形成することが挙げられており、その他、実質的に異なる屈折率の媒体間の界面、反射フィルム、気泡、欠陥、結晶粒界のような結晶欠陥なども記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、フェムト秒パルスレーザ光による多光子吸収を用いて、シリコン基板、シリカガラス、サファイア等の加工対象物の内部に、屈折率が周囲と異なるアモルファス構造の改質領域を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特表2007−532864号公報
【特許文献2】特開2005−293735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来より、PET等で用いられている放射線検出器のシンチレータは、複数のシンチレータセルを2次元的あるいは3次元的に配列したシンチレータアレイによって実現されている。このようなシンチレータアレイにおいて位置分解能を向上するには個々のシンチレータセルを小さくする必要があり、近年ではシンチレータセルのピッチが数ミリメートルないしサブミリメートル程度であることが求められている。しかし、シンチレータセルを小さくするほどシンチレータアレイの組み立てが困難となり、製造期間の長期化や製造コストの増大を招いてしまう。また、個々のシンチレータセルを機械的に加工する必要があるので、シンチレータセルの小型化には限界がある。したがって、放射線検出器の位置分解能ひいてはPETの解像度の向上が抑制されてしまう。
【0007】
なお、特許文献1には、光導体領域の構成例としてシンチレータに複数の溝を形成することが主に記載されているが、このような構成では位置分解能を向上させるために微細な機械的加工が必要となるため、上記課題を解決することは困難である。また、レーザ光を使用してシンチレータ結晶内部を部分的に溶融し、気泡を発生させることが記載されているが、結晶性を有するシンチレータ内部にこのような気泡を作成することは困難であり、気泡ではシンチレーション光の進路を効果的に変更させることが難しい。なお、光導体領域を構成するための結晶欠陥については、その作製方法及び実現可能性について何ら記載されていない。また、特許文献2に記載された技術は光メモリ素子を生産する方法であって、放射線検出器とは異なる。
【0008】
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、容易に製造でき、且つ高い位置分解能を実現できるシンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明によるシンチレータは、結晶性を有し放射線の入射によりシンチレーション光を発生する結晶塊を備え、該結晶塊の表面と光学的に結合される光検出器にシンチレーション光を提供するために用いられるシンチレータであって、結晶塊の内部にレーザ光を照射することにより形成され、結晶塊の内部において或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラックからなる散乱領域を複数有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるシンチレータの製造方法は、結晶性を有し放射線の入射によりシンチレーション光を発生する結晶塊を備え、該結晶塊の表面と光学的に結合される光検出器にシンチレーション光を提供するために用いられるシンチレータを製造する方法であって、結晶塊の内部にレーザ光を照射することにより、結晶塊の内部において或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラックからなる散乱領域を複数形成する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
上記したシンチレータ、およびシンチレータの製造方法においては、複数の散乱領域が結晶塊内部に形成される。複数の散乱領域は、或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラックからなる。結晶塊内部において発生したシンチレーション光は、このような複数の散乱領域によって次第に拡散されるので、その発生位置からの移動距離に応じて光強度が減衰されていく。これにより、シンチレータ表面において検出されたシンチレーション光の光強度に基づいて、該表面から発生位置までの距離を求めることが可能となる。すなわち、該表面と交差する方向におけるシンチレーション光の位置分解能を得ることができる。
【0012】
また、本発明者は、このような複数の散乱領域を結晶塊内部にレーザ光を照射して形成した場合、レーザ光の焦点を中心として複数の面方向に延在し互いに交差するクラックが形成されることを見出した。このような形状の散乱領域は、例えば単に結晶を溶融してできた気泡や単独で形成されたクラック等と比較して、シンチレーション光をより効果的に散乱することができる。すなわち、上記したシンチレータおよびシンチレータの製造方法によれば、結晶塊内部においてシンチレーション光をより効果的に散乱させて位置分解能を高めることができるので、複数のシンチレータセルを2次元的あるいは3次元的に配列する従来の方法と比較して、高い位置分解能を実現することができる。
【0013】
また、上記したシンチレータおよびシンチレータの製造方法によれば、結晶塊にレーザ光を照射することにより複数の散乱領域を形成するので、複数の散乱領域を形成する際に機械的な加工が必要なく、複数のシンチレータセルを配列する従来の方法と比較して当該シンチレータの製造が格段に容易となる。
【0014】
また、上記シンチレータは、複数の散乱領域が、第1の面方向に沿って延在する第1のクラックと、第1の面方向と交差する第2の面方向に沿って延在する第2のクラックとを各々含んでおり、各散乱領域において第1及び第2のクラックの軸線と直交する方向の幅(以下、クラック幅とする)が他のクラックより広いことを特徴としてもよい。同様に、上記したシンチレータの製造方法は、複数の散乱領域を、第1の面方向に沿って延在する第1のクラックと、第1の面方向と交差する第2の面方向に沿って延在する第2のクラックとを各々含むように形成し、各散乱領域において第1及び第2のクラックの軸線と直交する方向の幅(以下、クラック幅とする)が他のクラックより広いことを特徴としてもよい。このような形状の散乱領域を形成することで、シンチレーション光の散乱効果をより高めることができる。
【0015】
また、上記シンチレータは、複数の散乱領域が第1及び第2のクラックを含む場合、各散乱領域における複数のクラックの交差部分が、当該散乱領域と隣り合う散乱領域の第1及び第2のクラックの各延長面上から外れるように配置されていることを特徴としてもよい。同様に、上記したシンチレータの製造方法は、各散乱領域における複数のクラックの交差部分を、当該散乱領域と隣り合う散乱領域の第1及び第2のクラックの各延長面上から外れるように配置することを特徴としてもよい。複数の散乱領域をこのように配置することによって、隣り合う散乱領域のクラック同士が繋がることによる結晶塊の機械的強度の低下を防止しつつ、複数の散乱領域を高密度に配置することが可能となる。
【0016】
或いは、上記シンチレータは、複数の散乱領域が第1及び第2のクラックを含む場合、軸線と交差する方向に互いに隣り合う散乱領域同士の複数のクラックの交差部分の間隔が、結晶塊内での第1及び第2のクラックのクラック幅の平均値より長いことを特徴としてもよい。同様に、上記したシンチレータの製造方法は、軸線と交差する方向に互いに隣り合う散乱領域同士の複数のクラックの交差部分の間隔を、結晶塊内での第1及び第2のクラックのクラック幅の平均値より長くすることを特徴としてもよい。複数の散乱領域をこのように配置することによって、隣り合う散乱領域のクラック同士が繋がることによる結晶塊の機械的強度の低下を効果的に防止できる。
【0017】
また、本発明による第1の放射線検出器は、上記したいずれかのシンチレータと、軸線と交差する所定方向における結晶塊の端面と光学的に結合された光検出器とを備えることを特徴とする。この放射線検出器は上記シンチレータを備えるので、容易に製造でき、且つ高い位置分解能を実現できる。
【0018】
また、本発明による第2の放射線検出器は、上記したいずれかのシンチレータと、軸線と交差する所定方向における結晶塊の一方の端面と光学的に結合された第1の光検出器と、所定方向における結晶塊の他方の端面と光学的に結合された第2の光検出器とを備えることを特徴とする。この放射線検出器は上記シンチレータを備えるので、容易に製造でき、且つ高い位置分解能を実現できる。
【0019】
また、上記第1及び第2の放射線検出器は、光検出器が、結晶塊の端面上に並置された複数の光検出素子を有するか、または位置検出型光検出器により構成されることを特徴としてもよい。これにより、シンチレータ表面に沿った面方向におけるシンチレーション光の位置分解能を更に得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、容易に製造でき、且つ高い位置分解能を実現可能なシンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるシンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
まず、本発明に係るシンチレータ、及びこのシンチレータを備える放射線検出器の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線検出器1の外観を示す斜視図である。なお、理解を容易にするため、図1にはXYZ直交座標系が示されている。
【0023】
本実施形態の放射線検出器1は、シンチレータ2と、シンチレータ2の表面と光学的に結合される一対の光検出器3,4とを備えている。
【0024】
シンチレータ2は、光検出器3,4にシンチレーション光を提供するための部材である。シンチレータ2は、ガンマ線などの放射線Rの入射によりシンチレーション光を発生する単結晶性の部材である結晶塊(シンチレータ結晶)20により構成されている。この結晶塊20は、例えば多面体状や球形状といった様々な外観を有することができるが、本実施形態の結晶塊20は略直方体状の外観を有しており、X軸方向における一対の端面20a,20bを有している。
【0025】
シンチレータ2は、結晶塊20に入射した放射線Rを吸収し、その線量に応じた強さのシンチレーション光を発生する。結晶塊20は、例えばBiGe12(BGO)、CeがドープされたLuSiO(LSO)、Lu2(1−X)2XSiO(LYSO)、GdSiO(GSO)、PrがドープされたLuAG(LuAl12)などの結晶によって好適に構成される。
【0026】
光検出器3は本実施形態における第1の光検出器であり、光検出器4は本実施形態における第2の光検出器である。光検出器3,4は、例えば光電子増倍管やアバランシェフォトダイオード(APD:Avalance Photo Diode)、或いはMPPC(Multi-Pixel PhotonCounter)といった半導体光検出器により好適に構成される。なお、MPPCは、複数のガイガーモードAPDのピクセルから成るフォトンカウンティングデバイスである。本実施形態の放射線検出器1は2個の光検出器3,4を備えており、その一方の光検出器3は結晶塊20の端面20aと対向するように結晶塊20上に取り付けられており、他方の光検出器4は結晶塊20の端面20bと対向するように結晶塊20上に取り付けられている。換言すれば、光検出器3,4は、間に結晶塊20を挟んでX軸方向に互いに対向して配置されている。これにより、光検出器3は結晶塊20の端面20aと光学的に結合され、光検出器4は結晶塊20の端面20bと光学的に結合されている。
【0027】
なお、結晶塊20の端面20aに取り付けられた光検出器3、及び対向する端面20bに取り付けられた光検出器4は、それぞれ複数の光検出素子を二次元状に並置して実現されてもよいし、端面20a及び20bにそれぞれ単一の位置検出型光検出器が取り付けられて実現されてもよい。位置検出型光検出器とは、受光面上の光入射位置に応じた電気信号を出力する素子である。
【0028】
ここで、本実施形態のシンチレータ2について更に説明する。シンチレータ2の結晶塊20の内部には、複数の散乱領域21が形成されている。図2は、一つの散乱領域21の形状の一例を示す写真である。図2(a)は、散乱領域21を或る軸線方向(Z軸方向)から撮影した写真であり、図2(b)は、散乱領域21を上記軸線と直交する方向(Y軸方向)から撮影した写真である。なお、この散乱領域21は、LYSO結晶の内部に生成されたものである。図2(a),(b)に示されるように、各散乱領域21は、結晶塊20の内部において或る軸線(本実施形態ではZ軸)と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し、且つ互いに交差する2つ以上のクラック21aによって構成されている。このような散乱領域21は、結晶塊20の内部にレーザ光を照射することにより好適に形成され、レーザ光の集光点が各クラック21aの交差する部分となる。
【0029】
また、図2に示される複数の散乱領域21は、或る第1の面方向(図2においてはYZ平面方向)に沿って延在する第1のクラック22と、この第1の面方向と交差する第2の面方向(図2においてはZX平面方向)に沿って延在する第2のクラック23とを各々含んでいる。なお、本実施形態では、これらの第1及び第2の面方向は互いに略垂直に交差している。そして、各散乱領域21において、第1のクラック22の上記軸線(Z軸)と直交する方向の幅(クラック幅)、および第2のクラック23のクラック幅は、他のクラック21aのクラック幅より広くなっており、第1及び第2のクラック22,23が散乱領域21において主要なクラックとなっている。第1及び第2のクラック22,23の交差部分からは、第1及び第2のクラック22,23より小さい多数のクラック21aが髭状に延びている。
【0030】
図3は、本実施形態における複数の散乱領域21の配置を模式的に示す図である。同図に示すように、本実施形態において、各散乱領域21における複数のクラック21aの交差部分21bは、当該散乱領域21と隣り合う散乱領域21の第1及び第2のクラック22,23の各延長面上から外れるように配置されている。すなわち、複数の散乱領域21のうち一部の散乱領域21の交差部分21bが、Z軸方向から見てX軸方向およびY軸方向に沿った格子点状に配列されており、残りの散乱領域21の交差部分21bが、各格子の中央付近にそれぞれ配置されている。
【0031】
なお、上記一部の散乱領域21においては、互いに隣り合う散乱領域21の交差部分21b同士の間隔が第1及び第2のクラック22,23のクラック幅(具体的には、結晶塊20内でのこれらのクラック幅の平均値)より長くなっており、各散乱領域21の第1(第2)のクラック22(23)同士が互いに繋がらないように距離をあけて各散乱領域21が配置されている。なお、第1及び第2のクラック22,23のクラック幅は、例えば500μm〜600μmである。
【0032】
再び図1を参照する。ガンマ線等の放射線Rがシンチレータ2(結晶塊20)に入射すると、その放射線Rの線量に応じた光強度のシンチレーション光が結晶塊20の内部で発生する。このシンチレーション光の一部(図中のSC1)は、X軸負方向に進行して端面20aから光検出器3へ入射する。また、他の一部(図中のSC2)は、X軸正方向に進行して端面20bから光検出器4へ入射する。このとき、各シンチレーション光SC1,SC2は、結晶塊20の内部に形成された複数の散乱領域21によって次第に拡散される。
【0033】
その際、シンチレーション光SC1は、放射線Rの入射位置が端面20aから遠いほど、多くの散乱領域21によって拡散され、その光量が減衰される。シンチレーション光SC2に関しても同様であり、放射線Rの入射位置が端面20bから遠いほど、その光量が減衰される。したがって、光検出器3に入射するシンチレーション光SC1の光量と、光検出器4に入射するシンチレーション光SC2の光量との比が、放射線Rの入射位置に応じて直線的に変化することとなり、この比に基づいて放射線Rの入射位置を検出することが可能となる。すなわち、この放射線検出器1では、X軸方向におけるシンチレーション光の位置分解能が得られる。なお、本実施形態では端面20a及び20bの双方に光検出器が配置されているが、端面20a及び20bのいずれか一方のみに光検出器が配置された構成であっても、シンチレーション光の入射光量に基づいて放射線Rの入射位置を好適に検出することができる。
【0034】
また、シンチレーション光SC1及びSC2は、Y軸方向やZ軸方向においても、放射線Rの入射位置から遠くなるほどその光量が減衰される。したがって、光検出器3,4が、それぞれ複数の光検出素子を二次元状に並置して構成されるか、或いは単一の位置検出型光検出器によって構成されることにより、YZ平面方向におけるシンチレーション光の位置分解能を更に得ることができる。
【0035】
図4は、複数の散乱領域21を含むシンチレータ2を製造する一工程を説明するための図であり、この工程に使用されるレーザ加工装置100の構成を示している。
【0036】
レーザ加工装置100は、レーザ光Lを発生するレーザ光源101と、レーザ光Lの出力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、レーザ光Lの光路上に設けられたシャッタ103と、レーザ光Lの反射機能を有し且つレーザ光Lの光軸の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー104と、ダイクロイックミラー104で反射されたレーザ光Lを集光する集光用レンズ105と、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される結晶塊20が載置される載置台107と、載置台107をX軸方向に移動させるためのX軸ステージ109と、載置台107をX軸方向に直交するY軸方向に移動させるためのY軸ステージ111と、載置台107をX軸及びY軸方向に直交するZ軸方向に移動させるためのZ軸ステージ113と、これら3つのステージ109,111,113の移動を制御するステージ制御部115とを備える。
【0037】
なお、Z軸方向は、結晶塊20に入射するレーザ光Lの焦点深度の方向となる。したがって、Z軸ステージ113をZ軸方向に移動させることにより、結晶塊20の内部にレーザ光Lの集光点Pを合わせることができる。また、この集光点PのX軸方向、Y軸方向への各移動は、結晶塊20をX軸ステージ109、Y軸ステージ111によりX軸方向、Y軸方向に移動させることによりそれぞれ行う。
【0038】
レーザ光源101はパルスレーザ光を発生するNd:YAGレーザである。レーザ光源101に用いることができるレーザとして、この他、Nd:YVOレーザ、Nd:YLFレーザやチタンサファイアレーザがある。なお、結晶塊20の加工にはパルスレーザ光を用いても良く、連続波レーザ光を用いても良い。パルスレーザ光としてはナノ秒パルスレーザ光等が挙げられる。ナノ秒のレーザパルスは、複数のクラック21aからなる散乱領域21を好適に形成できる。
【0039】
レーザ加工装置100はさらに、載置台107に載置された結晶塊20を可視光線により照明するために可視光線を発生する観察用光源117と、ダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置された可視光用のビームスプリッタ119とを備える。ビームスプリッタ119と集光用レンズ105との間にダイクロイックミラー104が配置されている。ビームスプリッタ119は、可視光線の約半分を反射し残りの半分を透過する機能を有しかつ可視光線の光軸の向きを90°変えるように配置されている。観察用光源117から発生した可視光線はビームスプリッタ119で約半分が反射され、この反射された可視光線がダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105を透過し、結晶塊20の被加工部位を照明する。
【0040】
レーザ加工装置100はさらに、ビームスプリッタ119、ダイクロイックミラー104及び集光用レンズ105と同じ光軸上に配置されたCCDカメラ121及び結像レンズ123を備える。被加工部位を照明した可視光線の反射光は、集光用レンズ105、ダイクロイックミラー104、ビームスプリッタ119を透過し、結像レンズ123で結像されてCCDカメラ121で撮像され、撮像データとなる。
【0041】
レーザ加工装置100はさらに、CCDカメラ121から出力された撮像データが入力される撮像データ処理部125と、レーザ加工装置100全体を制御する全体制御部127と、モニタ129とを備える。撮像データ処理部125は、撮像データを基にして観察用光源117で発生した可視光の焦点を結晶塊20上に合わせるための焦点データを演算する。この焦点データを基にしてステージ制御部115がZ軸ステージ113を移動制御することにより、可視光の焦点が結晶塊20に合うようにする。よって、撮像データ処理部125はオートフォーカスユニットとして機能する。また、撮像データ処理部125は、撮像データを基にして結晶塊20の拡大画像等の画像データを演算する。この画像データは全体制御部127に送られ、全体制御部で各種処理がなされ、モニタ129に送られる。これにより、モニタ129に拡大画像等が表示される。
【0042】
全体制御部127には、ステージ制御部115からのデータ、撮像データ処理部125からの画像データ等が入力し、これらのデータも基にしてレーザ光源制御部102、シャッタ103、観察用光源117及びステージ制御部115を制御することにより、レーザ加工装置100全体を制御する。よって、全体制御部127はコンピュータユニットとして機能する。
【0043】
続いて、本実施形態に係るシンチレータ2の製造方法について説明する。図5は、上述したレーザ加工装置100を用いてシンチレータ2の結晶塊20を製造する方法を示すフローチャートである。
【0044】
まず、結晶塊20をレーザ加工装置100の載置台107上に載置する。そして、観察用光源117から可視光を発生させて結晶塊20を照明する。照明された結晶塊20の表面(例えば結晶塊20のZ軸方向の端面)をCCDカメラ121により撮像する。CCDカメラ121により撮像された撮像データは、撮像データ処理部125に送られる。この撮像データに基づいて、撮像データ処理部125は観察用光源117の可視光の焦点が結晶塊20の表面に位置するような焦点データを演算する。この焦点データは、ステージ制御部115に送られる。ステージ制御部115は、この焦点データを基にしてZ軸ステージ113をZ軸方向に移動させる。これにより、観察用光源117の可視光の焦点が結晶塊20の表面に位置する(S101)。なお、撮像データ処理部125は、撮像データに基づいて結晶塊20の表面の拡大画像データを演算する。この拡大画像データは全体制御部127を介してモニタ129に送られ、これによりモニタ129に結晶塊20の表面の拡大画像が表示される。
【0045】
続いて、結晶塊20の内部に散乱領域21を形成するためのレーザ光Lの集光点が、結晶塊20の内部における一つの散乱領域21の加工初期位置となるよう、X軸ステージ109、Y軸ステージ111及びZ軸ステージ113により結晶塊20を移動させる(S103)。この状態でシャッタ103を開いてレーザ光Lを断続的に照射しつつ、X軸ステージ109により結晶塊20をX軸方向に一定速度で移動させる(S105)。このとき、レーザ光Lが照射された結晶塊20の集光部分には、複数のクラック21aが発生することにより、図2に示したような散乱領域21が形成される。すなわち、この散乱領域21は、結晶塊20の内部において或る軸線(本実施形態ではZ軸)と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し、且つ互いに交差する2つ以上のクラック21aによって構成される。そして、レーザ光の集光点が、各クラック21aの交差する部分となる。このような散乱領域21を断続的に形成しながら結晶塊20をX軸方向に一定速度で移動させることによって、X軸方向に一定間隔で並ぶ複数の散乱領域21が形成される(S107)。その後、レーザ光Lのシャッタ103を閉じる(S109)。
【0046】
こうして形成される複数の散乱領域21は、図2に示したように、或る第1の面方向(YZ平面方向)に沿って延在する第1のクラック22と、この第1の面方向と交差する第2の面方向(ZX平面方向)に沿って延在する第2のクラック23とを各々含むこととなる。これは、結晶塊20が単結晶性の部材なので、その結晶面に沿ってクラックが発生し易いためと考えられる。なお、本実施形態に係るシンチレータ材料においては、これらの第1及び第2の面方向は互いに略垂直に交差する。そして、各散乱領域21において、第1のクラック22の上記軸線(Z軸)と直交する方向の幅(クラック幅)、および第2のクラック23のクラック幅は、他のクラック21aのクラック幅より広くなり、第1及び第2のクラック22,23が散乱領域21において主要なクラックとなる。第1及び第2のクラック22,23の交差部分からは、第1及び第2のクラック22,23より小さい多数のクラック21aが髭状に延びる。
【0047】
続いて、他に形成すべき散乱領域21がある場合(S111:Yes)、レーザ光Lの集光点が結晶塊20の内部における当該散乱領域21の加工初期位置となるよう、X軸ステージ109、Y軸ステージ111及びZ軸ステージ113により結晶塊20を移動させる。例えば、先に形成した散乱領域21に対して所定のピッチだけY軸方向に結晶塊20を移動させ(S113)、その後、X軸方向に半ピッチだけ結晶塊20を移動させる(S115)。これにより、図3に示したように、各散乱領域21における複数のクラック21aの交差部分21bを、当該散乱領域21と隣り合う散乱領域21の第1及び第2のクラック22,23の各延長面上から外れるように配置できる。なお、同一のXY平面内に形成すべき散乱領域21をすべて形成し終えている場合は、先に形成した散乱領域21に対して所定のピッチだけZ軸方向に結晶塊20を移動させるとよい。
【0048】
以降、上述したステップS105ないしS115を繰り返すことによって、複数の散乱領域21を形成することができる。複数の散乱領域21の全てを形成し終えると(S111:No)、この工程を終了する。
【0049】
以上に説明した本実施形態のシンチレータ2及びその製造方法、並びに該シンチレータ2を備える放射線検出器1においては、複数の散乱領域21を結晶塊20内部にレーザ光を照射して形成することにより、レーザ光Lの焦点を中心として複数の面方向に延在し互いに交差する幅数百μmのクラック21aが形成される。すなわち、図2に示した第1及び第2のクラック22,23、並びに他のクラック21aがそれである。このような形状の散乱領域21は、例えば単にシンチレータ結晶を溶融してできた気泡や単独で形成されたクラック等と比較して、シンチレーション光をより効果的に散乱することができる。すなわち、本実施形態によるシンチレータ2及びその製造方法、並びに放射線検出器1によれば、結晶塊20内部においてシンチレーション光をより効果的に散乱させて位置分解能を高めることができるので、複数のシンチレータセルを2次元的あるいは3次元的に配列する従来の方法と比較して、高い位置分解能を実現することができる。
【0050】
また、本実施形態によるシンチレータ2及びその製造方法によれば、結晶塊20にレーザ光Lを照射することにより複数の散乱領域21を形成するので、複数の散乱領域21を形成する際に機械的な加工が必要なく、複数のシンチレータセルを配列する従来の方法と比較して当該シンチレータ2の製造が格段に容易となる。したがって、製造コストの低減および製造期間の短縮が可能となる。
【0051】
また、本実施形態のように、複数の散乱領域21は、第1の面方向(YZ平面方向)に沿って延在する第1のクラック22と、第1の面方向と交差する第2の面方向(ZX平面方向)に沿って延在する第2のクラック23とを各々含んでおり、各散乱領域21において第1及び第2のクラック22,23のクラック幅が他のクラック21aより広いことが好ましい。このような形状の散乱領域21を形成することで、シンチレーション光の散乱効果をより高めることができる。そして、第1及び第2のクラック22,23の交差部分から第1及び第2のクラック22,23より小さい多数のクラック21aが髭状に延びることによって、散乱効果を更に高めることができる。
【0052】
また、複数の散乱領域21が第1及び第2のクラック22,23を含む場合、本実施形態のように、各散乱領域21における複数のクラック21aの交差部分21bが、当該散乱領域21と隣り合う散乱領域21の第1及び第2のクラック22,23の各延長面上から外れるように配置されていることが好ましい。複数の散乱領域21をこのように配置することによって、隣り合う散乱領域21のクラック21a同士が繋がることによる結晶塊20の機械的強度の低下を防止しつつ、複数の散乱領域21を高密度に配置することが可能となる。
【0053】
[実施例]
本発明者は、上述した実施形態に係るシンチレータ2を実際に作製した。作製時の条件は以下の通りである。
・レーザ光源…Nd:YAG SHGレーザ
・レーザ光の波長…532[nm]
・レーザ光のパルス幅…6[ns]
・レーザ光の繰り返し周波数…20[Hz]
・レーザ光の照射エネルギー…845[μJ]
・X軸ステージ移動速度…4[mm/s]
【0054】
図6は、上記条件および図5に示した製造方法に従い、LYSOから成る結晶塊20に散乱領域21を形成した様子を示す写真である。図6(a)は結晶塊20をZ軸方向から見た写真であり、図6(b)は結晶塊20をY軸方向から見た断面写真である。ここでは、複数の散乱領域21を間隔200μmで形成している。これらの写真に示されるように、上記実施形態に係るシンチレータ2及びその製造方法によれば、互いに交差する複数のクラックからなる散乱領域21を、結晶塊20内部の任意の位置に高密度に形成することができる。
【0055】
[変形例]
図7及び図8は、上記実施形態の変形例として、複数の散乱領域21の配置を模式的に示す図である。これらの図に示すように、各散乱領域21の交差部分21bは、Z軸方向から見てX軸方向およびY軸方向に沿った格子点状にのみ配列されてもよい。このような配置であっても、上記した実施形態と同様の効果を好適に奏することができる。なお、複数の散乱領域21をこのように配置する際には、互いに隣り合う散乱領域21の交差部分21b同士の間隔を第1及び第2のクラック22,23のクラック幅(具体的には、結晶塊20内でのこれらのクラック幅の平均値)より長くし、各散乱領域21の第1(第2)のクラック22(23)同士が互いに繋がらないように距離をあけることが好ましい。図7は複数の散乱領域21を互いに離して配置した例であり、図8は複数の散乱領域21を比較的近接させて配置した例である。
【0056】
本発明によるシンチレータ、放射線検出器、およびシンチレータの製造方法は、上記した実施形態および変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態および変形例ではシンチレータの結晶塊の形状として直方体を例示したが、本発明における結晶塊の形状はこれに限られるものではなく、例えばこれ以外の多面体や、曲面を有する球などの形状も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】一実施形態に係る放射線検出器1の外観を示す斜視図である。
【図2】一つの散乱領域21の形状の一例を示す写真である。(a)散乱領域21を或る軸線方向(Z軸方向)から撮影した写真である。(b)散乱領域21をこの軸線と直交する方向(Y軸方向)から撮影した写真である。
【図3】複数の散乱領域21の配置を模式的に示す図である。
【図4】複数の散乱領域21を含むシンチレータ2を製造する一工程を説明するための図であり、この工程に使用されるレーザ加工装置100の構成を示している。
【図5】上述したレーザ加工装置100を用いてシンチレータ2の結晶塊20を製造する方法を示すフローチャートである。
【図6】LYSOから成る結晶塊20に散乱領域21を形成した様子を示す写真である。(a)結晶塊20をZ軸方向から見た写真である。(b)結晶塊20をY軸方向から見た断面写真である。
【図7】変形例として、複数の散乱領域21の配置を模式的に示す図である。
【図8】変形例として、複数の散乱領域21の配置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…放射線検出器、2…シンチレータ、3…(第1の)光検出器、4…(第2の)光検出器、20…結晶塊、20a,20b…端面、21…散乱領域、21a…クラック、21b…交差部分、22…第1のクラック、23…第2のクラック、100…レーザ加工装置、103…シャッタ、104…ダイクロイックミラー、105…集光用レンズ、107…載置台、109…X軸ステージ、111…Y軸ステージ、113…Z軸ステージ、119…ビームスプリッタ、121…カメラ、123…結像レンズ、129…モニタ、L…レーザ光、P…集光点、R…放射線、SC1,SC2…シンチレーション光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性を有し放射線の入射によりシンチレーション光を発生する結晶塊を備え、該結晶塊の表面と光学的に結合される光検出器に前記シンチレーション光を提供するために用いられるシンチレータであって、
前記結晶塊の内部にレーザ光を照射することにより形成され、前記結晶塊の内部において或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラックからなる散乱領域を複数有することを特徴とする、シンチレータ。
【請求項2】
前記複数の散乱領域が、第1の面方向に沿って延在する第1のクラックと、前記第1の面方向と交差する第2の面方向に沿って延在する第2のクラックとを各々含んでおり、各散乱領域において前記第1及び第2のクラックの前記軸線と直交する方向の幅(以下、クラック幅とする)が他のクラックより広いことを特徴とする、請求項1に記載のシンチレータ。
【請求項3】
各散乱領域における前記複数のクラックの交差部分が、当該散乱領域と隣り合う前記散乱領域の前記第1及び第2のクラックの各延長面上から外れるように配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のシンチレータ。
【請求項4】
前記軸線と交差する方向に互いに隣り合う前記散乱領域同士の前記複数のクラックの交差部分の間隔が、前記結晶塊内での前記第1及び第2のクラックの前記クラック幅の平均値より長いことを特徴とする、請求項2に記載のシンチレータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータと、
前記軸線と交差する所定方向における前記結晶塊の端面と光学的に結合された光検出器と、
を備えることを特徴とする、放射線検出器。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータと、
前記軸線と交差する所定方向における前記結晶塊の一方の端面と光学的に結合された第1の光検出器と、
前記所定方向における前記結晶塊の他方の端面と光学的に結合された第2の光検出器と
を備えることを特徴とする、放射線検出器。
【請求項7】
前記光検出器が、前記結晶塊の端面上に並置された複数の光検出素子を有するか、または位置検出型光検出器により構成されることを特徴とする、請求項5または6に記載の放射線検出器。
【請求項8】
結晶性を有し放射線の入射によりシンチレーション光を発生する結晶塊を備え、該結晶塊の表面と光学的に結合される光検出器に前記シンチレーション光を提供するために用いられるシンチレータを製造する方法であって、
前記結晶塊の内部にレーザ光を照射することにより、前記結晶塊の内部において或る軸線と平行な2以上の面方向に沿って各々延在し互いに交差する2つ以上のクラックからなる散乱領域を複数形成する工程を含むことを特徴とする、シンチレータの製造方法。
【請求項9】
前記複数の散乱領域を、第1の面方向に沿って延在する第1のクラックと、前記第1の面方向と交差する第2の面方向に沿って延在する第2のクラックとを各々含むように形成し、各散乱領域において前記第1及び第2のクラックの前記軸線と直交する方向の幅(以下、クラック幅とする)が他のクラックより広いことを特徴とする、請求項8に記載のシンチレータの製造方法。
【請求項10】
各散乱領域における前記複数のクラックの交差部分を、当該散乱領域と隣り合う前記散乱領域の前記第1及び第2のクラックの各延長面上から外れるように配置することを特徴とする、請求項9に記載のシンチレータの製造方法。
【請求項11】
前記軸線と交差する方向に互いに隣り合う前記散乱領域同士の前記複数のクラックの交差部分の間隔を、前記結晶塊内での前記第1及び第2のクラックの前記クラック幅の平均値より長くすることを特徴とする、請求項9に記載のシンチレータの製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−139383(P2010−139383A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316123(P2008−316123)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】