説明

シーケンス制御システム

【課題】トランスファラインなどを構成するシーケンス機械装置が停止した場合に復帰までの時間を短縮できるシーケンス制御システムを提供する。
【解決手段】統括制御装置30は、機械本体11、211の特定状態と特定状態に応じたON/OFF信号パターンとを予め記憶する特定状態信号記憶部31と、復帰指令を出力する復帰指令出力部32と、それぞれの機械本体11、211の現在状態を取得する機械現在状態取得部33と、復帰指令が出力された場合に、機械現在状態取得手段33が取得した現在状態と、特定状態信号記憶手段31に記憶された特定状態とが一致するかを判定する判定部34と、両者の状態が一致すると判定された場合に、シーケンス機械装置10、20におけるON/OFF信号記憶部12、212に記憶されたON/OFF信号のパターンを、特定状態信号記憶部31に記憶されたON/OFF信号のパターンに書き換える書換部35を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシーケンス機械装置と、全てのシーケンス機械装置を統括制御する統括制御装置を備えたシーケンス制御システムに関するものであり、例えば、加工ユニット(工作機械など)と搬送装置などから構成されるトランスファライン制御システムに適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の工作機械と隣り合う当該工作機械間にてワーク搬送を行う搬送装置を備えたトランスファラインについて、例えば、特許第3023251号公報(特許文献1)および特開平3−15906号公報(特許文献2)に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1には、工作機械の工具交換時期になると、全加工ユニットを退避位置に移動させることが記載されている。また、特許文献2には、サイクル途中で停止した場合に、予め設定された複数のブロックのホームポジションから復帰することが記載されている。
【特許文献1】特許第3023251号公報
【特許文献2】特開平3−15906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、搬送装置は、前工程の工作機械からワークを搬出している状態(ワークを保持している状態)や、次工程の工作機械へワークを搬入した後の状態(ワークを保持していない状態)など、種々の状態が存在する。工作機械においても、加工前のワークが搬入された状態、ワークに対して加工した直後の状態、および、加工後のワークを搬出して加工前のワークが搬入されていない状態など、種々の状態が存在する。そして、工作機械および搬送装置は、それぞれの制御装置であるPLCにおいて、ON/OFF信号として各種の状態を把握している。
【0005】
そして、特許文献1、2に記載のように、工具交換や緊急停止などによりトランスファラインが途中で停止した場合に、復帰前の状態と復帰後の状態とに応じて、PLCに記憶されるべきON/OFF信号の状態が異なることがある。そのため、従来は、作業者が、工作機械毎および搬送装置毎に、ON/OFF信号を適切な状態に変更していた。そのため、トランスファラインを構成する工作機械および搬送装置が多数になればなるほど、復帰させるまでに多大な時間を要していた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、トランスファラインなどを構成するシーケンス機械装置が停止した場合に、当該シーケンス機械装置を復帰させるまでの時間を短縮することができるシーケンス制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0008】
1.複数のシーケンス機械装置と、全ての前記シーケンス機械装置を統括制御する統括制御装置と、を備えたシーケンス制御システムにおいて、
それぞれの前記シーケンス機械装置は、
シーケンス制御により動作する機械本体と、
前記機械本体の状態をON/OFF信号として記憶するON/OFF信号記憶手段と、
前記ON/OFF信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号に基づいて前記シーケンス制御を実行して、前記機械本体を動作させる制御手段と、
を備え、
前記統括制御装置は、
予め設定されたそれぞれの前記機械本体の特定状態と、それぞれの前記特定状態に応じた前記ON/OFF信号のパターンとを予め記憶する特定状態信号記憶手段と、
復帰指令を出力する復帰指令出力手段と、
それぞれの前記機械本体の現在状態を取得する機械現在状態取得手段と、
前記復帰指令が出力された場合に、前記機械現在状態取得手段が取得した前記現在状態と、前記特定状態信号記憶手段に記憶された前記特定状態とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により両者の状態が一致すると判定された場合に、それぞれの前記シーケンス機械装置における前記ON/OFF信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号のパターンを、前記特定状態信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号のパターンに書き換える書換手段と、
を備えることを特徴とするシーケンス制御システム。
【0009】
手段1によれば、機械本体の現在状態が特定状態に一致するのであれば、統括制御装置の書換手段により、対象のシーケンス機械装置のON/OFF信号記憶手段の内容を変更できる。つまり、従来、シーケンス機械装置毎にON/OFF信号記憶手段の内容を変更していたのに対して、本発明によれば、統括制御装置のみの操作によりON/OFF信号の記憶手段の内容を変更できる。従って、シーケンス機械装置の機械本体を停止させた場合に、非常に短時間でON/OFF信号を適切な状態に変更できる。その結果、シーケンス機械装置を復帰させるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0010】
2.前記統括制御装置は、
さらに、前記判定手段による判定の結果、前記現在状態と前記特定状態とが一致しているか否かを表示する統括用表示手段を備える手段1に記載のシーケンス制御システム。
【0011】
手段2によれば、統括用表示手段にて、機械本体の現在状態と予め記憶された特定状態とが一致しているか否かを表示しているので、統括制御装置のみにより復帰できる状態か否かを容易に把握できる。
【0012】
3.前記統括用表示手段は、前記シーケンス機械装置毎に、前記現在状態と前記特定状態との一致の有無を表示する手段2に記載のシーケンス制御システム。
【0013】
手段3によれば、どのシーケンス機械装置の機械本体の現在状態が特定状態に一致していないかを把握できる。つまり、現在状態と特定状態と一致していないシーケンス機械装置を作業者が操作することで、全てのシーケンス機械装置の現在状態を特定状態に一致させることが容易となる。
【0014】
4.それぞれの前記シーケンス機械装置は、
さらに、前記判定手段による判定の結果、当該シーケンス機械装置の前記機械本体の前記現在状態と前記特定状態とが一致しているか否かを表示する表示手段を備える手段1〜3の何れかに記載のシーケンス制御システム。
【0015】
手段4によれば、それぞれのシーケンス機械装置においても、現在状態と特定状態との一致の有無を把握できる。従って、シーケンス機械装置を操作している作業者が、当該表示手段を確認しながら、機械本体の現在状態を変更させることができる。効率的に行うことができる。
【0016】
5.前記複数のシーケンス機械装置は、同種で且つ同一動作を行う装置であり
前記特定状態は、それぞれの前記機械本体が同一位置にある状態である手段1に記載のシーケンス制御システム。
【0017】
手段5によれば、特定状態に一致させるためには、複数のシーケンス機械装置の機械本体を、全て同一位置にある状態にすればよい。特に、同種で同一動作を行うシーケンス機械装置が多数存在するシステムにおいて、非常に短時間で復帰させることが可能となる。
【0018】
6.前記特定状態は、1つの前記機械本体において複数設定される手段1〜5の何れかに記載のシーケンス制御システム。
【0019】
手段6によれば、複数の特定状態のうち、対象のシーケンス機械装置の機械本体の状況に応じて最も短時間で復帰できる特定状態に動作させることができる。つまり、復帰までの時間を短縮できる。
【0020】
7.複数の前記シーケンス機械装置は、
加工ユニットと、
前記加工ユニットとは独立し前記加工ユニットに並設され、前記加工ユニットにワークを搬送する搬送装置と、
を含み、
前記シーケンス制御システムは、トランスファラインの制御システムである手段1〜6の何れかに記載のシーケンス制御システム。
【0021】
手段7によれば、シーケンス制御システムの対象をトランスファラインの制御システムとしている。特に、トランスファラインの制御システムにおいては、シーケンス制御を行う装置を多数使用しているため、上記手段1〜6に記載の構成を当該トランスファラインに適用することで、より効果的となる。特に、手段6においては、複数のシーケンス機械装置として、工作機械などの加工ユニットと搬送装置とを対象としたものである。
【0022】
8.複数の前記シーケンス機械装置は、
加工ユニットのトランスファライン両側に前記加工ユニットとは独立して配置された複数の搬送装置を含み、
前記シーケンス制御システムは、トランスファラインの制御システムである手段1〜6の何れかに記載のシーケンス制御システム。
【0023】
上記手段7が、複数のシーケンス機械装置として、加工ユニットと搬送装置とを対象としたのに対して、本手段8は、複数のシーケンス機械装置として、複数の搬送装置を対象としている。この場合も、上記手段7と同様に、上記手段1〜6に記載の構成を効果的に発揮できる。特に、手段8によれば、複数のシーケンス機械装置が、同種で同一動作を行う搬送装置の場合には、手段5による構成を採用することで、上記効果を確実に発揮し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のシーケンス制御システムを具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、シーケンス制御システムとして、トランスファラインの制御システムを対象としたものである。
【0025】
<制御システム全体構成>
まず、本実施形態のトランスファラインの制御システムの全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、トランスファラインの制御システムの全体構成図である。なお、図1において、3ステーションの場合について図示しているが、4ステーション以上を構成することもできる。
【0026】
図1に示すように、トランスファラインは、搬送方向に沿って、複数のステーションST1、ST2、ST3が一定の間隔で設けられている。この各ステーションST1〜ST3には、トランスファラインの一連の加工工程における所定の加工機能を各々有した加工ユニット10、10、・・・が設けられている。さらに、トランスファラインには、並設される各加工ユニット10間にてワークを順次間欠搬送する複数の搬送装置20、20・・・が設けられている。これらの搬送装置20は、各加工ユニット10とは独立して設けられ、加工ユニット10に並設されている。この搬送装置20の詳細については後述する。
【0027】
ここで、加工ユニット10は、ワークに対して切削加工や研削加工を行う工作機械、ワークの姿勢を変換する姿勢変換装置などである。これらの加工ユニット10は、何れも、加工ユニット10が備える汎用のPLC(シーケンス制御装置)のシーケンス制御により動作する装置である。また、搬送装置20も、加工ユニット10と同様に、搬送装置20が備える汎用のPLC(シーケンス制御装置)のシーケンス制御により動作する装置である。つまり、「シーケンス機械装置」は、加工ユニット10または搬送装置20の機械構成部分と、それぞれの汎用のPLCとの組み合わせにより構成される。なお、加工ユニット10または搬送装置20は、本発明における「シーケンス機械装置」に相当する。
【0028】
さらに、トランスファラインは、全ての加工ユニット10および全ての搬送装置20を統括制御する統括制御装置30を備える。
【0029】
<搬送装置20の詳細構成>
次に、搬送装置20の詳細構成について図2を参照して説明する。図2(a)〜図2(f)は、搬送装置20のシーケンス制御ステップの各状態を示す図である。
【0030】
図2(a)〜図2(f)に示すように、搬送装置20は、ワークWの搬送を行うスライド装置21と、ワークWの搬入および搬出を行う昇降装置22を備えている。この搬送装置20は、例えば、本出願人により出願された特開平7−148636号公報に記載の装置である。
【0031】
すなわち、スライド装置21は、昇降装置22により床面に対して昇降移動可能に支持されている。さらに、スライド装置21は、昇降装置22に対して図2の左右方向に移動可能に、昇降装置22に支持されている。このスライド装置21の上面には、ワークWを載置可能なワーク保持部材21aが設けられている。そして、図2(a)〜(f)に示すように、スライド装置21は、昇降装置22に対して図2の左右方向に移動することに伴って、スライド装置21のワーク保持部材21aが図2の左右方向に移動する。つまり、スライド装置21のワーク保持部材21aは、図2(c)の状態から図2(e)の状態へ、または、図2(f)の状態から図2(b)の状態へ移動可能である。
【0032】
昇降装置22は、中央で回転可能に係合した2本のリンク部材により構成されている。そして、当該リンク部材の下端のうち一方が支持台23に固定され、当該リンク部材の下端のうち他方が支持台23に対して左右方向にスライド可能に取り付けられている。また、リンク部材の上端のうち一方がスライド装置21に固定され、当該リンク部材の上端のうち他方がスライド装置21に対して左右方向にスライド可能に取り付けられている。
【0033】
このように構成される搬送装置20は、スライド装置21のワーク保持部材21aが中間上位置である図2(a)の状態を原位置Aとして、順に、図2(b)の前進上端位置B、図2(c)の前進下端位置C、図2(d)の中間下位置D、図2(e)の後退下端位置E、図2(f)の後退上端位置Fに移動可能である。
【0034】
<制御システムのブロック構成>
次に、トランスファラインの制御システムのブロック構成について、図3を参照して説明する。図3は、制御システムのブロック構成図である。ただし、加工ユニット10と搬送装置20は、それぞれ1つのみ図示する。つまり、他の全ての加工ユニット10および搬送装置20は、図3にて図示したブロック構成図と同様の構成をなしている。
【0035】
図3に示すように、加工ユニット10は、機械本体11と、ON/OFF信号記憶部12と、制御部13と、表示部14とを備える。
【0036】
機械本体11は、シーケンス制御により動作する構造部位である。この機械本体11は、上述したように、例えば、工作機械の機械本体や姿勢変換装置の機械本体などである。ON/OFF信号記憶部12は、機械本体11の状態をON/OFF信号として記憶する部位である。例えば、加工ユニット10が姿勢変換装置の場合には、姿勢変換装置にワークが搬入または搬出されたか否かの状態、姿勢変換サイクルを完了したか否かの状態などを、それぞれON信号またはOFF信号として記憶する。また、加工ユニット10が工作機械の場合には、ワークが搬入または搬出されたか否かの状態、加工サイクルを完了したか否かの状態などを、それぞれON信号またはOFF信号として記憶する。
【0037】
制御部13は、ON/OFF信号記憶部12に記憶されたON/OFF信号に基づいてシーケンス制御を実行して、機械本体11を動作させる。例えば、加工ユニット10が工作機械の場合に、加工完了フラグがOFF信号であって、ワーク搬入フラグがOFFからONに変更されると、次のステップであるワークの保持を実行し、続いてのステップである加工サイクルを実行する。
【0038】
表示部14(本発明の「表示手段」に相当する)は、現在実行されているシーケンス制御ステップを表示する。さらに、表示部14は、後述する統括制御装置30の判定部34による判定結果のうち、当該加工ユニット10に関する情報のみを表示する。具体的には、表示部14は、当該加工ユニット10の機械本体11の現在状態と、後述する特定状態とが一致しているか否かを表示する。
【0039】
また、搬送装置20は、図3に示すように、機械本体211と、ON/OFF信号記憶部212と、制御部213と、表示部214とを備える。
【0040】
機械本体211は、シーケンス制御により動作する構造部位である。すなわち、機械本体211は、スライド装置21、昇降装置22および支持台23そのものである。ON/OFF信号記憶部212は、機械本体211の状態をON/OFF信号として記憶する部位である。例えば、搬送装置20にワークが搬入または搬出されたか否かの状態などを、それぞれON信号またはOFF信号として記憶する。
【0041】
制御部213は、ON/OFF信号記憶部212に記憶されたON/OFF信号に基づいてシーケンス制御を実行して、機械本体211を動作させる。例えば、搬送装置20が、図2(c)の前進下端位置Cに移動した状態で、ワーク搬入フラグがOFFからONに変更されると、次のステップである図2(d)の中間下位置Dへの移動を実行し、続いてのステップである図2(e)の後退下端位置Eへの移動を実行する。
【0042】
表示部214(本発明の「表示手段」に相当する)は、現在実行されているシーケンス制御ステップを表示する。さらに、表示部214は、後述する統括制御装置30の判定部34による判定結果のうち、当該搬送装置20に関する情報のみを表示する。具体的には、表示部214は、当該搬送装置20の機械本体211の現在状態と、後述する特定状態とが一致しているか否かを表示する。
【0043】
統括制御装置30は、図3に示すように、特定状態信号記憶部31と、復帰指令出力部32と、機械現在状態取得部33と、判定部34と、書換部35と、統括用表示部36とを備える。
【0044】
特定状態信号記憶部31は、予め設定された加工ユニット10の機械本体11の特定状態および搬送装置20の機械装置211の特定状態と、それぞれの特定状態に応じたON/OFF信号のパターンとを予め記憶する。
【0045】
この特定状態としては、第1の特定状態と第2の特定状態の2種設定されている。具体的には、第1の特定状態とは、全ての加工ユニット10の機械本体11が、原位置、いわゆる初期化の状態位置であり、全ての搬送装置20の機械本体211が、図2(a)の原位置Aにある状態である。また、第2の特定状態とは、全ての加工ユニット10の機械本体11が、原位置、いわゆる初期化の状態位置であり、全ての搬送装置20の機械本体211が、図2(d)の中間下位置Dにある状態である。
【0046】
ON/OFF信号のパターンとしては、第1のパターンと第2のパターンの2種設定されている。第1のパターンとは、第1の特定状態、すなわち、全ての加工ユニット10の機械本体11が原位置であって、全ての搬送装置20の機械本体211が原位置Aである場合のパターンである。第2のパターンとは、第2の特定状態、すなわち、全ての加工ユニット10の機械本体11が原位置であって、全ての搬送装置20の機械本体211が中間下位置Dである場合のパターンである。なお、同種で且つ同一動作を行う全ての搬送装置20における特定状態は、それぞれの搬送装置20の機械本体211が同一位置(AまたはD)にある状態とされている。
【0047】
復帰指令出力部32は、統合制御装置30に設けられた復帰指令ボタン(図示せず)を作業者により押圧された場合に、復帰指令を出力する。ただし、復帰指令出力部32により復帰指令が出力されるのは、トランスファラインが停止している場合のみである。
【0048】
機械現在状態取得部33は、それぞれの機械本体11、211の現在状態を取得する。加工ユニット10がマシニングセンタの場合には、マシニングセンタの機械本体11の現在状態は、例えば、工具先端位置が原位置にある状態や、工具先端位置が原位置ではなくどこかのXYZ座標位置にある状態などである。また、加工ユニット10が姿勢変換装置の場合には、姿勢変換装置の機械本体11の現在状態は、原位置にある状態や、ワークの姿勢変換途中の状態などである。また、搬送装置20の機械本体211の現在状態とは、図2(a)〜図2(f)の位置A〜Fの何れの位置である。
【0049】
判定部34は、復帰指令出力部32から復帰指令が出力された場合に、機械現在状態取得部33が取得した全ての加工ユニット10および搬送装置20の現在状態と、特定状態信号記憶部31に記憶された対応する加工ユニット10および搬送装置20の特定状態とが一致するか否かを判定する。より具体的には、判定部34は、現在状態と第1の特定状態とが一致するか否か、さらには、現在状態と第2の特定状態とが一致するか否かを判定している。
【0050】
書換部35は、判定部34により現在状態と第1の特定状態とが一致すると判定された場合に、加工ユニット10におけるON/OFF信号記憶部12および搬送装置20におけるON/OFF信号記憶部212にそれぞれ記憶されたON/OFF信号のパターンを、特定状態信号記憶部31に記憶されたON/OFF信号の第1のパターンに書き換える。また、書換部35は、判定部34により現在状態と第2の特定状態とが一致すると判定された場合に、加工ユニット10におけるON/OFF信号記憶部12および搬送装置20におけるON/OFF信号記憶部212にそれぞれ記憶されたON/OFF信号のパターンを、特定状態信号記憶部31に記憶されたON/OFF信号の第2のパターンに書き換える。
【0051】
統括用表示部36は、判定部34による判定の結果、現在状態と特定状態とが一致しているか否かを表示する。より詳細には、統括用表示部36は、加工ユニット10および搬送装置20毎に、現在状態と第1の特定状態または第2の特定状態との一致の有無を表示する。
【0052】
<制御システムの動作>
次に、トランスファラインの制御システムの動作について説明する。ここで説明する一例について、図4を参照して説明する。図4は、トランスファラインの一例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、ステーションST1に、ワークWの姿勢(方向)を変換する「第1の姿勢変換装置」を配置し、ステーションST2に、ワークWを加工する「工作機械(ここではマシニングセンタ)」を配置し、ステーションST3に、ワークWの姿勢を変換する「第2の姿勢変換装置」を配置する。そして、第1の姿勢変換装置ST1から工作機械ST2へワークWを搬送する第1の搬送装置CR1が、第1の姿勢変換装置ST1と工作機械ST2との間に配置されている。また、工作機械ST2から第2の姿勢変換装置ST3へワークWを搬送する第2の搬送装置CR2が、工作機械ST2と第2の姿勢変換装置ST3との間に配置されている。つまり、ワークWは、第1の姿勢変換装置ST1→工作機械ST2→第2の姿勢変換装置ST3へ搬送される。なお、図4において、カッコ内の数字10、20は、図1の加工ユニット10または搬送装置20に相当することを意味している。
【0054】
この場合において、それぞれの加工ユニット10の制御部13および搬送装置20の制御部213の処理について、図5〜図9を参照して説明する。図5は、第1の姿勢変換装置ST1の制御部13の処理を示すフローチャートである。図6は、第1の搬送装置CR1の制御部213の処理を示すフローチャートである。図7は、工作機械ST2の制御部13の処理を示すフローチャートである。図8は、第2の搬送装置CR2の制御部213の処理を示す。図9は、第2の姿勢変換装置ST3の制御部13の処理を示すフローチャートである。
【0055】
図5に示すように、第1の姿勢変換装置ST1の制御部13の処理は、まず、機械本体11の位置が、原位置であるか否かを判定する(ステップS1)。原位置でなければ、原位置となるまで、その判定を繰り返す。原位置であれば、ワーク搬入サイクルを実行する(ステップS2)。ワーク搬入サイクルとは、第1の姿勢変換装置ST1へワークWを搬入するサイクル(シーケンス制御による動作)である。ワーク搬入サイクルの実行後に、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」をONとする(ステップS3)。
【0056】
続いて、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」がONであれば(ステップS4:Yes)、姿勢変換サイクルを実行する(ステップS5)。姿勢変換サイクルとは、第1の姿勢変換装置ST1に搬入されたワークWの姿勢(方向)を変換する。姿勢変換サイクルの実行後に、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST1姿勢変換完了フラグ」をONとする(ステップS6)。
【0057】
続いて、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」がOFFであって(ステップS7:Yes)、「ST1姿勢変換完了フラグ」がOFFである場合には(ステップS8:Yes)、原位置へ移動する(ステップS9)。そして、ステップS1に戻り、処理を繰り返す。ここで、「ST1搬入完了フラグ」および「ST1姿勢変換完了フラグ」は、第1の搬送装置CR1によりOFFにされる。
【0058】
ここで、統括制御装置30による復帰処理(後述する)が実行される場合には、「X」「Y」の何れの場合にも、ステップS2から復帰する。
【0059】
図6に示すように、第1の搬送装置CR1の制御部213の処理は、まず、機械本体211の位置が原位置A(図2(a)に示す)であるか否かを判定する(ステップS11)。原位置Aでなければ、原位置Aとなるまで、その判定を繰り返す。原位置Aであれば、前進上端位置B(図2(b)に示す)に前進し(ステップS12)、続いて、前進下端位置C(図2(c)に示す)に下降する(ステップS13)。
【0060】
続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」をONとする(ステップS14)。続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」がONであれば(ステップS15:Yes)、中間下位置D(図2(d)に示す)に後退する(ステップS16)。続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」がONであって(ステップS17:Yes)、「ST1姿勢変換フラグ」がONである場合には(ステップS18:Yes)、後退下端位置E(図2(e)に示す)へ後退する(ステップS19)。ここで、「ST1搬入完了フラグ」および「ST1姿勢変換フラグ」は、第1の姿勢変換装置ST1のON/OFF信号記憶部12と、第1の搬送装置CR1のON/OFF信号記憶部212とで共有している情報である。つまり、両装置ST1、CR1の記憶部12、212に記憶されているこれらのフラグは、両装置ST1、CR1のそれぞれにより変更される。
【0061】
続いて、後退上端位置Fへ上昇する(ステップS20)。その後、原位置Aへの移動を開始する(ステップS21)。そうすると、第1の搬送装置CR1のON/OFF信号記憶部212および第1の姿勢変換装置ST1のON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」をOFFとし(ステップS22)、「ST1姿勢変換完了フラグ」をOFFとする(ステップS23)。さらに、第1の搬送装置CR1のON/OFF信号記憶部212に記憶されている「CR1前進中フラグ」をONとする(ステップS24)。
【0062】
続いて、ON/OFF信号記憶部12、212に記憶されている「ST1搬入完了フラグ」および「ST1姿勢変換完了フラグ」がOFFであって(ステップS25、S26:Yes)、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「CR1前進中フラグ」がONであれば(ステップS27)、原位置Aに到着したか否かを判定する(ステップS28)。そして、原位置Aに到着した場合には、「CR1前進中フラグ」をOFFとする(ステップS29)。続いて、「CR1前進中フラグ」がOFFであれば(ステップS30)、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0063】
ここで、統括制御装置30による復帰処理(後述する)が実行される場合には、「X」の場合には、ステップS12から復帰し、「Y」の場合には、ステップS17から復帰する。
【0064】
図7に示すように、工作機械ST2の制御部13の処理は、まず、機械本体11の位置が原位置であるか否かを判定する(ステップS31)。原位置でなければ、原位置となるまで、その判定を繰り返す。原位置であれば、工作機械ST2のON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」がONである場合に(ステップS32:Yes)、治具締めを実行することで、ワークWを固定する(ステップS33)。続いて、加工サイクルを実行して、ワークWに加工を施す(ステップS34)。ここで、「ST2搬入完了フラグ」は、第1の搬送装置CR1のON/OFF信号記憶部212と、工作機械ST2のON/OFF信号記憶部12とで共有している情報である。つまり、両装置CR1、ST2の記憶部212、12に記憶されているこのフラグは、両装置CR1、ST2のそれぞれにより変更される。
【0065】
続いて、「加工完了フラグ」をONとする(ステップS35)。続いて、「加工完了フラグ」がONであれば(ステップS36:Yes)、治具緩めを実行することで、ワークWの固定を解除する(ステップS37)。そして、原位置へ移動して、ステップS31へ戻り、処理を繰り返す。
【0066】
ここで、統括制御装置30による復帰処理(後述する)が実行される場合には、「X」「Y」の何れの場合にも、ステップS32から復帰する。
【0067】
図8に示すように、第2の搬送装置CR2の制御部213の処理は、まず、機械本体211の位置が原位置A(図2(a)に示す)であるか否かを判定する(ステップS41)。原位置Aでなければ、原位置Aとなるまで、その判定を繰り返す。原位置Aであれば、前進上端位置B(図2(b)に示す)に前進し(ステップS42)、続いて、前進下端位置C(図2(c)に示す)に下降する(ステップS43)。
【0068】
続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST3搬入完了フラグ」をONとする(ステップS44)。続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST3搬入完了フラグ」がONであれば(ステップS45:Yes)、中間下位置D(図2(d)に示す)に後退する(ステップS46)。続いて、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」がONであって(ステップS47:Yes)、「ST2加工完了フラグ」がONである場合には(ステップS48:Yes)、後退下端位置E(図2(e)に示す)へ後退する(ステップS49)。ここで、「ST2搬入完了フラグ」および「ST2加工完了フラグ」は、工作機械ST2のON/OFF信号記憶部12と、第2の搬送装置CR2のON/OFF信号記憶部212とで共有している情報である。つまり、両装置ST2、CR2の記憶部12、212に記憶されているこれらのフラグは、両装置ST2、CR2のそれぞれにより変更される。
【0069】
続いて、後退上端位置Fへ上昇する(ステップS50)。その後、原位置Aへの移動を開始する(ステップS51)。そうすると、第2の搬送装置CR2のON/OFF信号記憶部212および工作機械ST2のON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」をOFFとし(ステップS52)、「ST2加工完了フラグ」をOFFとする(ステップS53)。さらに、第2の搬送装置CR2のON/OFF信号記憶部212に記憶されている「CR2前進中フラグ」をONとする(ステップS54)。
【0070】
続いて、ON/OFF信号記憶部12、212に記憶されている「ST2搬入完了フラグ」および「ST2加工完了フラグ」がOFFであって(ステップS55、S56:Yes)、ON/OFF信号記憶部212に記憶されている「CR2前進中フラグ」がONであれば(ステップS57)、原位置Aに到着したか否かを判定する(ステップS58)。そして、原位置Aに到着した場合には、「CR2前進中フラグ」をOFFとする(ステップS59)。続いて、「CR2前進中フラグ」がOFFであれば(ステップS60)、ステップS41に戻り、処理を繰り返す。
【0071】
ここで、統括制御装置30による復帰処理(後述する)が実行される場合には、「X」の場合には、ステップS42から復帰し、「Y」の場合には、ステップS47から復帰する。
【0072】
図9に示すように、第2の姿勢変換装置ST3の制御部13の処理は、まず、機械本体11の位置が原位置であるか否かを判定する(ステップS61)。原位置でなければ、原位置となるまで、その判定を繰り返す。原位置であれば、第2の姿勢変換装置ST3のON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST3搬入完了フラグ」がONである場合に(ステップS62:Yes)、姿勢変換サイクルを実行する(ステップS63)。姿勢変換サイクルの実行後に、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST3姿勢変換完了フラグ」をONとする(ステップS64)。ここで、「ST3搬入完了フラグ」は、第2の搬送装置CR2のON/OFF信号記憶部212と、第2の姿勢変換装置ST3のON/OFF信号記憶部12とで共有している情報である。つまり、両装置CR2、ST3の記憶部212、12に記憶されているこのフラグは、両装置CR2、ST3のそれぞれにより変更される。
【0073】
続いて、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST3姿勢変換完了フラグ」がONである場合には(ステップS65:Yes)、ワーク搬出サイクルを実行する(ステップS66)。続いて、「ST3搬出完了フラグ」および「ST3姿勢変換完了フラグ」をOFFとする(ステップS67、S68)。
【0074】
続いて、ON/OFF信号記憶部12に記憶されている「ST3搬出完了フラグ」がOFFであって(ステップS69:Yes)、「ST3姿勢変換完了フラグ」がOFFである場合には(ステップS70:Yes)、原位置へ移動する(ステップS71)。そして、ステップS61に戻り、処理を繰り返す。
【0075】
ここで、統括制御装置30による復帰処理(後述する)が実行される場合には、「X」「Y」の何れの場合にも、ステップS62から復帰する。
【0076】
続いて、統括制御装置30による復帰処理について、図10を参照して説明する。図10は、復帰処理を示すフローチャートである。
【0077】
例えば、工作機械の工具交換やトランスファラインの緊急停止などにより、トランスファラインが停止した場合に、以下のようにして復帰させる。まず、停止原因を究明したうえで、その処置を行う。例えば、工具交換が必要であれば、当該工作機会の工具を新しい工具に変更する。その後、作業者は、全ての機械(第1の姿勢変換装置ST1、工作機械ST2、第2の姿勢変換装置ST3、第1の搬送装置CR1、第2の搬送装置CR2)の状態を第1の特定状態または第2の特定状態となるように、操作する。
【0078】
第1の特定状態とは、上述したように、各装置ST1〜ST3の機械本体11が、原位置、いわゆる初期化の状態位置であり、全ての搬送装置CR1〜CR2の機械本体211が、図2(a)の原位置Aにある状態である。また、第2の特定状態とは、各装置ST1〜ST3の機械本体11が、原位置、いわゆる初期化の状態位置であり、全ての搬送装置CR1〜CR2の機械本体211が、図2(d)の中間下位置Dにある状態である。これらの特定状態は、統括制御装置30の特定状態信号記憶部31に記憶されている。
【0079】
続いて、作業者は、統括制御装置30にて復帰指令ボタンを押す。作業者により復帰指令ボタンが押圧されることにより、復帰指令出力部32から復帰指令が出力されたか否かを判定する(ステップS81)。復帰指令が出力されなければ、次の処理に進まない。
【0080】
復帰指令が出力された場合には、判定部34にて、機械現在状態取得部33にて取得した第1の姿勢変換装置ST1、工作機械ST2、第2の姿勢変換装置ST3、第1の搬送装置CR1および第2の搬送装置CR2の現在状態と、特定状態信号記憶部31に記憶された第1の特定状態とが一致するか否かを判定する(ステップS82)。両者が一致する場合には、書換部35により第1の書換処理が行われる(ステップS83)。第1の書換処理とは、第1の姿勢変換装置ST1、工作機械ST2、第2の姿勢変換装置ST3、第1の搬送装置CR1および第2の搬送装置CR2のON/OFF信号記憶部12、212に記憶されているON/OFF信号を、特定状態信号記憶部31に記憶されている第1のパターンのON/OFF信号に書き換える処理である。
【0081】
続いて、第1の表示処理が行われる(ステップS84)。第1の表示処理とは、第1のパターンに書き換えられた旨を、統括用表示部36、および、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の表示部14、214に表示する処理である。その後、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の各処理の「X」から復帰させる。
【0082】
各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の現在状態と第1の特定状態とが一致しない場合には(ステップS82:No)、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の現在状態と第2の特定状態とが一致するか否かを判定する(ステップS85)。両者が一致する場合には、書換部35により第2の書換処理が行われる(ステップS86)。第2の書換処理とは、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2のON/OFF信号記憶部12、212に記憶されているON/OFF信号を、特定状態信号記憶部31に記憶されている第2のパターンのON/OFF信号に書き換える処理である。
【0083】
続いて、第2の表示処理が行われる(ステップS87)。第2の表示処理とは、第2のパターンに書き換えられた旨を、統括用表示部36、および、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の表示部14、214に表示する処理である。その後、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の各処理の「Y」から復帰させる。
【0084】
一方、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の現在状態と第2の特定状態とが一致しない場合には(ステップS85:No)、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2のうち、第1の特定状態でない装置を抽出する(ステップS86)。さらに、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2のうち、第2の特定状態でない装置を抽出する(ステップS87)。
【0085】
そして、第3の表示処理を行い(ステップS90)、処理を終了する。第3の表示処理とは、第3の表示処理とは、統括用表示部36にて、第1の特定状態と異なる装置、および、第2の特定状態と異なる装置について表示する処理である。さらに、第3の表示処理は、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2の表示部14、214にて、第1の特定状態と異なる装置である場合にはその旨を表示し、且つ、第2の特定状態と異なる装置である場合にはその旨を表示する処理である。つまり、統括制御装置30において、どの装置が第1の特定状態または第2の特定状態でないのかを把握することができる。さらに、各装置ST1〜ST3、CR1〜CR2においても、それぞれの装置が第1の特定状態か第2の特定状態に一致していないのかを把握することができる。従って、作業者は、どの装置を操作することで、復帰できる状態となるかを容易に把握できる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、機械本体11、211の現在状態が特定状態に一致するのであれば、統括制御装置30の書換部35により、対象の装置ST1〜ST3、CR1〜CR2のON/OFF信号記憶部12、212の内容を変更できる。つまり、従来、装置毎にON/OFF信号記憶部の内容を変更していたのに対して、本実施形態によれば、統括制御装置30のみの操作によりON/OFF信号の記憶内容を変更できる。従って、トランスファラインの機械本体を停止させた場合に、非常に短時間でON/OFF信号を適切な状態に変更できる。その結果、トランスファラインを復帰させるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0087】
さらに、特定状態として、2種設定している。これにより、停止した機械の状態に応じて、最も短時間で復帰できる特定状態に動作させることができる。つまり、復帰までの時間を短縮できる。ただし、特定状態として、2種の他に、1または3以上設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】トランスファラインの制御システムの全体構成図である。
【図2】搬送装置20のシーケンス制御ステップの各状態を示す図である。
【図3】制御システムのブロック構成図である。
【図4】トランスファラインの一例を示す図である。
【図5】第1の姿勢変換装置ST1の制御部13の処理を示すフローチャートである
【図6】第1の搬送装置CR1の制御部213の処理を示すフローチャートである。
【図7】工作機械ST2の制御部13の処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の搬送装置CR2の制御部213の処理を示す。
【図9】第2の姿勢変換装置ST3の制御部13の処理を示すフローチャートである。
【図10】復帰処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10:加工ユニット
20:搬送装置
21:スライド装置、 21a:ワーク保持部材、 22:昇降装置、 23:支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシーケンス機械装置と、全ての前記シーケンス機械装置を統括制御する統括制御装置と、を備えたシーケンス制御システムにおいて、
それぞれの前記シーケンス機械装置は、
シーケンス制御により動作する機械本体と、
前記機械本体の状態をON/OFF信号として記憶するON/OFF信号記憶手段と、
前記ON/OFF信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号に基づいて前記シーケンス制御を実行して、前記機械本体を動作させる制御手段と、
を備え、
前記統括制御装置は、
予め設定されたそれぞれの前記機械本体の特定状態と、それぞれの前記特定状態に応じた前記ON/OFF信号のパターンとを予め記憶する特定状態信号記憶手段と、
復帰指令を出力する復帰指令出力手段と、
それぞれの前記機械本体の現在状態を取得する機械現在状態取得手段と、
前記復帰指令が出力された場合に、前記機械現在状態取得手段が取得した前記現在状態と、前記特定状態信号記憶手段に記憶された前記特定状態とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により両者の状態が一致すると判定された場合に、それぞれの前記シーケンス機械装置における前記ON/OFF信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号のパターンを、前記特定状態信号記憶手段に記憶された前記ON/OFF信号のパターンに書き換える書換手段と、
を備えることを特徴とするシーケンス制御システム。
【請求項2】
前記統括制御装置は、
さらに、前記判定手段による判定の結果、前記現在状態と前記特定状態とが一致しているか否かを表示する統括用表示手段を備える請求項1に記載のシーケンス制御システム。
【請求項3】
前記統括用表示手段は、前記シーケンス機械装置毎に、前記現在状態と前記特定状態との一致の有無を表示する請求項2に記載のシーケンス制御システム。
【請求項4】
それぞれの前記シーケンス機械装置は、
さらに、前記判定手段による判定の結果、当該シーケンス機械装置の前記機械本体の前記現在状態と前記特定状態とが一致しているか否かを表示する表示手段を備える請求項1〜3の何れか一項に記載のシーケンス制御システム。
【請求項5】
前記複数のシーケンス機械装置は、同種で且つ同一動作を行う装置であり
前記特定状態は、それぞれの前記機械本体が同一位置にある状態である請求項1に記載のシーケンス制御システム。
【請求項6】
前記特定状態は、1つの前記機械本体において複数設定される請求項1〜5の何れか一項に記載のシーケンス制御システム。
【請求項7】
複数の前記シーケンス機械装置は、
加工ユニットと、
前記加工ユニットとは独立し前記加工ユニットに並設され、前記加工ユニットにワークを搬送する搬送装置と、
を含み、
前記シーケンス制御システムは、トランスファラインの制御システムである請求項1〜6の何れか一項に記載のシーケンス制御システム。
【請求項8】
複数の前記シーケンス機械装置は、
加工ユニットのトランスファライン両側に前記加工ユニットとは独立して配置された複数の搬送装置を含み、
前記シーケンス制御システムは、トランスファラインの制御システムである請求項1〜6の何れか一項に記載のシーケンス制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−199488(P2009−199488A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42437(P2008−42437)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】