説明

シート一体型のスイッチアッセンブリ

【課題】車両内空間を効率的に利用してパワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けながらも、良好な操作性及び意匠性を有するシート一体型のスイッチアッセンブリを提供する。
【解決手段】パワーシート1のアウトサイドに配されたシールド5に設けられ、該パワーシート1の着座姿勢を電動で操作するスイッチ13を有するシート一体型のスイッチアッセンブリで10あって、スイッチアッセンブリ10は、シート側に収納された収納位置と、シールド5の外面から車両左右外方に突出した操作位置との間で出没可能な操作部11を備え、操作部11は操作位置にあるときに上方を向いている操作面12を有し、スイッチ13が操作部11の操作面12に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けられ、該パワーシートの着座姿勢を電動で操作するシート一体型のスイッチアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、適所に設けたスイッチを押圧操作することで、シートのリクライニング角度や前後位置及び上下高さ位置などの着座姿勢を電動で操作することができる、所謂パワーシートと呼ばれる車両用シートがある。また、車両用シートの中でもドライバーシートやアシスタントシートのアウトサイドには、レール、リクライニングハンドル、シートベルト用アンカーなど種々の部品が装備されている。そこで、車両用シートのアウトサイドに装備された各部品を隠蔽して意匠性を高めたり、外部からの衝撃や塵埃等から内部機構を保護するなどの目的で、当該車両用シートのアウトサイドにシールドが配されたものがある。この場合、パワーシートの着座姿勢を電動操作するスイッチ60は、図11に示すようにシールドに取り付けておけば、場所をとらず効率的である。このような技術としては、例えば特許文献1がある。
【0003】
ところで、シールドは車両用シートのアウトサイドに設けられているので車両ドアと対向しており、車両ドアとシールドとの間には手を差し込める程度の僅かの隙間しかない。そして、特許文献1では単に各スイッチをシールドに埋設するような形で取り付けているだけなので、当該各スイッチはパワーシートの側面を向いている。これでは使用者がパワーシートに着座した状態でパワーシートの着座姿勢を操作しようとしても、頭部が車両ドアに接触するので各スイッチを目視しながら操作することは困難であり、操作性に問題があった。また、各スイッチはシールドの外面に露呈しているので、スイッチとシールドとの一体感が無く意匠性に欠けていると共に、不用意にスイッチを触ってしまい誤操作のおそれもあった。
【0004】
これに対し、パワーシート操作用のスイッチアッセンブリをセンターコンソールに設けた技術として特許文献2がある。また、パワーシート操作用ではないが、アームレストの先端にスイッチアッセンブリを配した特許文献3もある。特許文献2や特許文献3ではスイッチが使用者から目視し易い位置に設けられているので、操作性が改善されている。また、不使用時には適宜収納状態へ変化可能となっているので、意匠性についても考慮されていると共に、誤操作のおそれも少ない。
【0005】
【特許文献1】特開平11―198702号公報
【特許文献2】特開平6−24259号公報
【特許文献3】特開2002−293182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2ではスイッチアッセンブリをセンターコンソール部分に設けているので、当該センターコンソールの設計自由度が下がり、ここでの高品質化が困難になる。また、特許文献3のスイッチアッセンブリは、その使用状態ではセンターコンソール上方のアームレストから立ち上がった位置にあるので、当該スイッチアッセンブリが少なからず邪魔となる。したがって、本来的にはパワーシートの着座姿勢操作用のスイッチアッセンブリは、パワーシートのアウトサイドに設けることが好ましい。しかし、特許文献2のスイッチアッセンブリは、そもそもセンターコンソールに適用するための構造なので、これをパワーシートのアウトサイドへ設けることは不可能である。また、特許文献3のスイッチアッセンブリは、アームレストへ一体的に折り畳まれた収納位置とアームレストから立ち上がった使用位置との間で大きく回動するものであるため、やはりこれを僅かな隙間しかないパワーシートのアウトサイドへ設けることは不可能である。
【0007】
つまり、パワーシート操作用のスイッチアッセンブリの操作性や意匠性を向上させることは、当該スイッチアッセンブリをパワーシートのアウトサイド以外の場所に設ければ、比較的容易に達成できる。しかし、この場合パワーシートの着座姿勢を操作するときはスイッチアッセンブリが邪魔になったり、他の場所の設計自由度を阻害したりするので、効率的な空間利用の観点からはパワーシートのアウトサイドに設けることが望まれる。という相反する課題が存在する。
【0008】
そこで、本発明は上記相反する2つの課題を同時に解決するものであって、車両内空間を効率的に利用してパワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けながらも、良好な操作性及び意匠性を有するシート一体型のスイッチアッセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、パワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けられ、該パワーシートの着座姿勢を電動で操作するスイッチを有するシート一体型のスイッチアッセンブリであって、前記スイッチアッセンブリは、シート側に収納された収納位置と、前記シールドの外面から車両左右外方に突出した操作位置との間で出没可能な操作部を備え、前記操作部は前記操作位置にあるときに上方を向いている操作面を有し、前記スイッチが前記操作部の操作面に配設されていることを特徴とする。
【0010】
ここでのアウトサイドとは、パワーシートの車両左右方向外方側の側面、すなわち車両ドア側を意味する。ちなみにインサイドは、パワーシートの車両左右方向内方側の側面、すなわちセンターコンソール側となる。また、シールドを基準としたシート側は車両左右方向内方と同義であり、シールドの外方とはシートから離間する方向と同義である。操作面が上方を向いているとは、垂直上方のみならず、斜め上方をも含む概念である。操作部が収納位置にあるときは、操作面は必ずしも上方を向いている必要はなく、例えば側方を向いていても構わない。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作面の左右幅寸法は、前記スイッチの左右幅寸法よりも1周り大きい程度に設計されており、前記操作部が操作位置にあるとき、車両左右方向において前記操作面のシート側縁が前記シールドの外側面と同一または近接位置にあることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作面の外側縁には、前記シールドとの隙間を塞ぐ遮蔽板が立設されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作部が収納位置にあるとき、前記シールドの外側面と前記操作部の外側面とが面一となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作部には取っ手が凹み形成されており、該取っ手に指を掛けて前記操作部を出没操作することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作部は、電動で出没操作されることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の本発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリにおいて、前記操作部は、バネ部材によって常時外方へ付勢されており、該操作部が収納位置にあるときは、該収納位置で保持されるようロックされており、該操作部をシート側へ押圧操作することでロックが解除されて前記バネ部材の付勢力によって使用位置へ変位することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パワーシートの着座姿勢を電動で操作するスイッチアッセンブリが、パワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けられてシート一体型となっている。したがって、パワーシートと車両ドアとの間の僅かな空間を利用して他の部位の設計自由度を阻害することなく、車両空間を最大限有効利用できている。そのうえで、操作部をシート側へ収納可能としているので、スイッチの不使用時に操作部が邪魔になることはなく、かつ誤操作の心配も無い。そして、最も注目されるは、操作部が操作位置にあるときに操作面が上方を向いており、この操作面にスイッチを配している点である。これにより、使用者が着座しながらパワーシートの着座姿勢を操作しようとする場合でも、スイッチを容易に上方から目視することができるので、その操作性が飛躍的に向上する。また、ブラインド操作による他のスイッチを誤操作するようなことも避けられる。
【0018】
操作面の左右幅寸法がスイッチの左右幅寸法よりも1周り大きい程度であれば、操作面はスイッチを配設するのに最低限必要な面積があるだけである。そのうえで、操作部が操作位置にあるとき、車両左右方向において操作面のシート側縁がシールドの外側面と同一または近接位置にあれば、スイッチは完全にシールドの外方へ出現しているが、操作部の突出量は小さい。すなわち、操作部の突出量をスイッチを確実に押圧操作できるだけの必要最小限の量に抑えられるので、省スペース化を図ることができる。また、スイッチの配設数の増加に伴うスイッチアッセンブリの大型化にも対応できる。
【0019】
操作部をシールドから出没可能な構成としていることから、必然的にスイッチの上面とシールドとの間には少なからず隙間が生じる。そこで、操作面の外側縁にシールドとの隙間を塞ぐ遮蔽板を立設していれば、当該隙間から塵埃が進入して操作面やスイッチが汚れるなどを防ぐことができる。
【0020】
操作部が収納位置にあるとき、シールドの外側面と操作部の外側面とが面一となっていれば、シールドの一体性が良く、意匠性を向上させることができる。
【0021】
操作部に取っ手を凹み形成したり、電動駆動としたり、外方へのバネ付勢を押圧操作でロック解除可能な構成とすれば、操作部の出没操作が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明に係るシート一体型のスイッチアッセンブリの各種実施の形態を説明するが、これに限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲においてさらに種々の変更が可能であることはいうまでもない。本発明におけるパワーシートは、基本的には自動車のドライバーシートやアシスタントシートに使用されるものであるが、必要に応じてセカンドシートやリアシートなどに適用することも可能である。本実施形態のパワーシート1の基本構成は公知の一般的なパワーシートと同様であり、着座部となるシートクッション2、背凭れとなるシートバック3から構成されている。必要に応じて頭部を支持するヘッドレストや、肘掛けとしてのアームレストを有することもある。そして、シートクッション2のアウトサイドにはリクライニング機構、シートベルト用アンカーなどの部品が装着されており、これらの部品がプレート状のシールド5によって覆われていることで意匠性が高められている(図11参照)。シールド5は、パワーシート1のアウトサイドに設けられてシートクッション2に装着された各種部品を覆うものであれば、その形態はとくに限定されることはなく、単層シールドであってもよいし、アウターシールドとインナーシールドとからなる内外二層構造であってもよい。なお、シールド5は、シートクッション2のフレーム6に嵌合したり、ビス留めなどによって固定されている。
【0023】
そして、本発明の最大の特徴として、図1に示すごとくシールド5には出没可能な操作部11を有するスイッチアッセンブリ10が設けられており、操作部11が操作位置にあるとき、スイッチ13の配設された操作面12が上方を向いている。パワーシート1は、そのリクライニング角度、前後スライド位置及び上下高さ位置、シートックッション2の上下傾斜角度や前後長さ、ヘッドレストの上下高さ、シートバック3に内蔵されたランバーサポートの前後突出量や上下高さ位置、シートバック3の中折れ角度やサイドサポートの折れ曲げ角度などを調節可能となっており、個々の使用者の体形に合った快適な着座姿勢(運転姿勢)に操作できるようになっている。パワーシート1の着座姿勢を操作するスイッチは、マイクロコンピュータなどを有する制御装置を介して駆動源としてのモータに接続されている。モータ等の着座姿勢操作機構は、適宜シートクッション2の下方空間に設置されたり、パワーシート1に内蔵されている。そして、スイッチ13を押圧操作するとモータに通電され、該モータが制御装置で制御されながら駆動することで、パワーシート1の着座姿勢を快適な位置や角度に操作できる。なお、図示していないが、各スイッチ13の端子と電気信号を伝えるリード線は操作部11の内部において結合されており、リード線の他端は適宜シールド5内を通ってパワーシート1の各姿勢操作機構と繋がっている。
【0024】
図10に、パワーシート1の着座姿勢を操作する各スイッチ13の配設例を示す。スイッチ13には、パワーシート1の着座姿勢を操作する操作スイッチ13aと、パワーシート1の操作箇所を選択するモードスイッチ13b〜13eとを有する。これら各スイッチ13は、操作面12に長手方向に沿って並列されている。各モードスイッチ13b〜eには、それぞれどのモードが選択されているかを点灯することで示す表示部13fが設けられている。パワーシート1の操作モードの選択は、モードスイッチ13c〜13eのいずれかを押すことで行い、このとき選択されたモードスイッチの表示部13fが点灯するようになっている。また、選択されたモードスイッチを再度押せば、モード選択が解除される。また、操作スイッチ13aの操作方向は、該操作スイッチ13aの上面四方に印刷、膨出形成、又は凹み形成された矢印と、操作スイッチ13a周りの操作面12に印刷された方向表示によって確認できるようになっている。
【0025】
まず、どのモードスイッチ13b〜13eも選択されていない(表示部13cが非点灯状態)通常モードでは、操作スイッチ13aはパワーシート1の前後位置とリクライニング角度の操作に対応している。この通常モードにおいて操作スイッチ13aの前後操作部を押すと、パワーシート1が車両前後方向にスライドする。また、通常モードにおいて操作スイッチ13aの上下操作部を押すと、パワーシート1のリクライニング角度が変化する。モードスイッチ13bは、シートクッション2のパーチカルとパワーシート1のリフターに対応している。モードスイッチ13bの選択モードで操作スイッチ13aの前後操作部を押すと、シートクッション2の先端が上下に昇降する。また、モードスイッチ13bの選択モードで操作スイッチ13aの上下操作部を押すと、パワーシート1が上下に昇降する。モードスイッチ13cは、シートクッション2の前後長さ調節と、シートバック3の上下高さ調節に対応している。モードスイッチ13cの選択モードで操作スイッチ13aの前後操作部を押すと、シートクッション2の前後長さが変化する。また、モードスイッチ13cの選択モードで操作スイッチ13aの上下操作部を押すと、シートバック3の上下長さが変化する。モードスイッチ13dは、ランバーサポート操作に対応している。モードスイッチ13dの選択モードで操作スイッチ13aの前後操作部を押すと、ランバーサポートのシートバック3からの出没量が変化する。モードスイッチ13dの選択モードで操作スイッチ13aの上下操作部を押すと、ランバーサポートが上下に昇降する。モードスイッチ13eは、シートバック3の中折れ角度とサイドサポートの傾斜角度とに対応している。モードスイッチ13eの選択モードで操作スイッチ13aの前後操作部を押すと、シートバック3の左右縁であるサイドサポートが前後に変化する。モードスイッチ13eの選択モードで操作スイッチ13aの上下操作部を押すと、シートバック3の中間部での折れ曲がり角度が変化する。ここで挙げたスイッチの配設数やモード選択などはほんの一例であり、これに限定されることはないことは言うまでも無い。以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0026】
(実施例1)
図1〜図2に本発明の実施例1を示す。図1においてスイッチアッセンブリ10は、ベースとなる操作部11と、操作部11の上面にある操作面12と、操作面12に配設された複数個のスイッチ13と、操作面12の外側縁から立設する遮蔽板14とを有する。操作部11は、パワーシート1のアウトサイドに配されたシールド5に設けられており、図1の想像線(二点鎖線)で示すシート1側に収納された収納位置と、図1の実線で示すシールド5の外面から車両左右外方に一定量突出した操作位置との間で出没可能となっている。シールド5には所定寸法の開口16が形成されており、図2に示すようにこの開口16の下部に設けられたヒンジ17を介して操作部11を取り付けることで、操作部11がシールド5の開口16内で車両左右方向に回動可能となっている。操作部11は平坦な上面を有しており、操作部11が操作位置にあるときは、上面すなわち操作面12が上方を向いている。これにより、操作面12に配された各スイッチ13も、操作部11が使用位置にあるときは当然上方を向いているので、使用者がパワーシート1に着座した状態でも各スイッチ13を視認することができ、その操作性に優れている。開口16の前後面は操作部11の前後面と近接している(図1参照)。一方、開口16の上面とスイッチ13の上面との間には、操作部11が出没操作されるときにスイッチ13が開口16の上面と接触しないだけの最小限のクリアランス(隙間)が確保されている(図2参照)。
【0027】
操作面12の左右幅寸法は、各スイッチの左右幅寸法よりも1周り大きい程度に設計されており、操作部11が操作位置にあるとき、図2の想像線(二点鎖線)で示すように、車両左右方向において操作面12のシート側縁がシールドの外側面と略同一位置にあるよう設定されている。つまり、操作部11のシールド5の外面からの突出量は、確実にスイッチ操作できる必要最小限に抑えられている。この操作部11が操作位置にあるときは、操作面12は略水平となっている。また、操作部11の外側縁からは中間部に凹みを有する取っ手15が、操作部11の長手方向両端に亘って上方へ一体的に立設しており、この取っ手15の凹みに指を掛けることで、操作部11をシールド5から出没操作できるようになっている。この取っ手15は、図2によく示されるように、操作部11が使用位置にあるときはシールド5の外面に当接して、シールド5と操作部11との間の隙間を遮蔽している。つまり、実施例1の取っ手15は、遮蔽板14としての機能も兼ねている。
【0028】
操作部5は、基本的にはヒンジ17の摩擦力で所定角度に保持可能となっている。しかし、荒い出没操作によって操作部11がシールド5の奥方(シート側)に収納しすぎると、次に使用姿勢へ操作し難くなる。また、操作部11をシールド5の外方へ突出させすぎると、操作面12が上方を向かなくなるのでスイッチ13の操作性に支障を来たす。そこで、操作部5の前後中間部の下部にシート側に向かって突出する突起19を一体形成し、シールド5の開口16の前後中間部の下部にも同じくシート側に向かって突出する断面略コ字状のストッパ18を一体形成し、ストッパ18内に突起19を挿入している。これにより、操作部11の出没操作(回動)に伴う突起19の上下動がストッパ18の上下面で規制されることで、操作部11が上記収納位置と操作位置との間で回動限界が規定されている。
【0029】
(実施例2)
図3に本発明の実施例2を示す。実施例2は基本的には先の実施例1の変形例であり、取っ手に指を掛けて操作部11を出没操作できるようになっている点では先の実施例1と同じである。実施例1との相違点を中心に説明すると、取っ手20は操作部11の外面に凹み形成されている。操作面12の外側縁からは、遮蔽部材としてのみ機能する遮蔽板21が上方へ一体的に立設している。この遮蔽板21の上下高さ寸法は先の実施例1での遮蔽板14よりも低く、開口16の上端よりも僅かに低い高さに設定されている。したがって、操作部11がシート側への回動限界位置すなわち使用位置あるとき、遮蔽板21の上面と開口16の上面とが上下に近接することで、シールド5と操作部11との隙間を塞ぐようになっている。
【0030】
操作部11の回動限界を規制するシールド5のストッパ22は、断面L字状に形成されて操作部11の突起19の下方限界のみを規制することで、操作部11の使用位置側への回動を規制している。そして、操作部11が収納位置にあるとき、シールド5の外面と操作部11の外面とが面一となっている。また、操作面12のシート側縁にも、ここから上方へ立設する規制板23が操作部11から一体的に形成されている。これに対し、シールド5の上部下面には凹部24がシート側から外側へ向かって凹み形成されている。これにより、操作部11が収納位置から操作位置へ変位していくと、図3の想像線(二点鎖線)で示されるように、操作部11の規制板23がシールド5の凹部24の奥壁(外側の壁)25に当接することで、操作部11の操作位置側への突出限界が規制されている。これにより、必然的に操作部11が操作位置にあるときは、操作面12のシート側縁がシールド5の外側面と左右方向において近接位置にある。その他は先の実施例1と同様なので、その細かい説明は省略する。
【0031】
(実施例3)
図4に本発明の実施例3を示す。実施例3では、取っ手の代わりに操作部11がモータ駆動により出没操作できるようになっている。具体的には、シールド5内に設置された基台30にモータ31を設置し、モータ31に固定されたシャフト32を介して操作部11が電動で出没操作されるようになっている。シャフト32は、モータ31に固定されたシャフト32aと、シャフト32aと操作部11との間に回動可能に連結されるシャフト32bとからなっている。モータ31を駆動操作するスイッチ(図示せず)の配設位置は特に限定されることはないが、スイッチアッセンブリ10の近傍においてシールド5の外面に露呈させておけばよい。モータ31操作用のスイッチをシールド5の外面に露呈させておくことで、使用者が着座姿勢において当該スイッチを視認できなくても、モータ31を駆動させるためだけの1つのスイッチを押圧操作するだけでよいので、その操作性は特に問題ない。実施例3でも、操作部11が収納位置にあるときは遮蔽板14によってスイッチアッセンブリ10とシールド5との間の隙間が塞がれており、かつ操作部11の外面とシールド5の外側面とが面一となっている。その他は先の実施例1と同様なので、その細かい説明は省略する。
【0032】
(実施例4)
図5〜図9に本発明の実施例4を示す。実施例4では、取っ手や電動に代えて、バネ部材53によって常時操作位置側へ付勢されている操作部11が収納位置にあるときは該収納位置で保持されるようロックされており、操作部11をシート側へ押圧操作することでロックを解除してバネ部材53の付勢力によって使用位置へ変位できるようになっている。具体的には、図5や図9などに示すように、操作部11のシート側面には、ベース40が膨出形成されており、これにピン41によってシャフト42が回動可能に連結され、シャフト42の先端部にストライカピン43が挿通嵌合されている。ストライカピン43は、シャフト42の厚みよりも長寸であり、シャフト42の後面よりも一定量突出している。シャフト42の後端には、操作部11に固定された引張りコイルバネ44が連結されており、シャフト42はこのコイルバネ44によって常時水平となるように付勢されている。一方、シート側のベース40と対向する位置には、図5や図8に示すように、シートクッション2に凹み形成した凹部46内に、ストライカピン43と係合して操作部11を収納位置に保持するロック部材47が埋設されている。このロック部材47は、側壁48から突部49、係合部50、及び分岐部51が一体に膨出形成された形態となっている。係合部50は、断面略逆く字状となっており、シート側の凹み部分でストライカピン43を係止できるようになっている。シールド5と操作部11との間のヒンジ17には、捻りコイルバネ53が外嵌されており、当該捻りコイルバネ53によって操作部11が常時操作位置側へ付勢されている。これにより、ロック解除状態では操作部11は図5に示すシールド5の外面から所定量突出した操作位置にあり、その回動限界が操作部11に一体成形された突起19がシールド5に一体成形されたストッパ18に当接することで規制されている。
【0033】
そして、操作部11が操作位置にある状態から、操作部11を手でシート側へ押圧すると、図5の二点鎖線で示すように、ストライカピン43がロック部材47の突部49、係合部50を順次乗り越えて、分岐部51の上方にまで移動する。この状態では、シャフト42がニュートラル状態の水平位置より上方へ傾斜しているので、引張りコイルバネ44の付勢力によりシャフト42(ストライカピン43)は下方へ付勢されている。そして、操作部11の押圧を解除すると、操作部11は捻りコイルバネ53の付勢力によって操作位置方向へ回動し、これに伴い下方へ付勢されているストライカピン43は分岐部51から係合部50のシート側凹み部分へ落ち込み係止されることで、図6に示すように操作部11が収納位置でロック保持される。なお、実施例4でも、操作部11が収納位置にあるとき、シールド5の外面と操作部11の外面とが面一となっており、操作面12の外側縁から上方に立設された遮蔽板14によってシールド5と操作部11との隙間が塞がれている。
【0034】
次いで、パワーシート1の着座姿勢を操作するために、操作部11を操作姿勢へ変位させるには、図6に示す状態から操作部11を手で押圧すればよい。具体的には、操作部11を押圧すると、図7の二点鎖線で示すようにストライカピン43が係合部50よりシート側へ移動し、引張りコイルバネ44による下方への付勢力によって分岐部51の下側へ入り込むことでロック状態が解除される。なお、分岐部51の係合部50との対向面は、下方にいくにつれてシート側へ傾斜していることで、ストライカピン43は確実に下方へ案内される。このロックが解除された状態から操作部11の押圧を解除すると、操作部11は捻りコイルバネ53の付勢力により操作位置方向へ回動し、これに伴いストライカピン43が係合部50の下方を通って突部49を乗り越える。そして、操作部11の突起19がシールド5のストッパ18と当接ことで、再び操作部11が図5に示す操作位置で保持されることになる。
【0035】
(その他の実施例)
上記各実施例は、操作部11をシールド5にヒンジ17で回動可能に取り付ける形態としたが、操作部11がシールド5から出没される機構であれば他の機構を採用することも可能である。例えば、操作部11を車両前後方向に縦長の四角箱状とし、これをシールド5にシート側へ凹み形成した凹部内に配して、いわゆる引き出しと同じ機構によって出没操作してもよい。
【0036】
実施例4では、ロック部材47をシートクッション2へ埋設しているが、シールド5にシート側へ凹み形成した凹部内に配設または一体形成してもよく、シールドが内外二層構造であれば、インナーシールドにロック部材を固定してあってもよい。もちろん、実施例4のロック機構もほんの一例であって、操作部11の押圧操作により出没できる機構であれば、そのロック機構は特に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1の操作部が操作位置にあるシートアッセンブリの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施例2を示す断面図である。
【図4】実施例3を示す断面図である。
【図5】実施例4の操作部の操作位置とストライカピンがロック状態へ移動する軌跡を示す断面図である。
【図6】実施例4の操作部が収納位置にある断面図である。
【図7】ストライカピンが収納位置から操作位置へ移動する軌跡を示す断面図である。
【図8】実施例4のロック部材の正面図である。
【図9】図5のB−B線断面図である。
【図10】スイッチの配設例を示す平面図である。
【図11】従来のパワーシートの斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 パワーシート
2 シートクッション
3 シートバック
5 シールド
10 スイッチアッセンブリ
11 操作部
12 操作面
13 スイッチ
14・21 遮蔽板
15・20 取っ手
16 開口
17 ヒンジ
18・22 ストッパ
19 突起
23 規制板
31 モータ
32 シャフト
40 ベース
42 シャフト
43 ストライカピン
44 引張りコイルバネ
46 凹部
47 ロック部材
49 突部
50 係合部
51 分岐部
53 捻りコイルバネ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーシートのアウトサイドに配されたシールドに設けられ、該パワーシートの着座姿勢を電動で操作するスイッチを有するシート一体型のスイッチアッセンブリであって、
前記シートアッセンブリは、シート側に収納された収納位置と、前記シールドの外面から車両左右外方に突出した操作位置との間で出没可能な操作部を備え、
前記操作部は、前記操作位置にあるときに上方を向いている操作面を有し、
前記スイッチが、前記操作部の操作面に配設されていることを特徴とするシート一体型のスイッチアッセンブリ。
【請求項2】
前記操作面の左右幅寸法は、前記スイッチの左右幅寸法よりも1周り大きく、
前記操作部が操作位置にあるとき、車両左右方向において前記操作面のシート側縁が前記シールドの外側面と同一または近接位置にあることを特徴とする請求項1に記載のスイッチアッセンブリ。
【請求項3】
前記操作面の外側縁には、前記シールドとの隙間を塞ぐ遮蔽板が立設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート一体型のスイッチアッセンブリ。
【請求項4】
前記操作部が収納位置にあるとき、前記シールドの外側面と前記操作部の外側面とが面一となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリ。
【請求項5】
前記操作部には取っ手が凹み形成されており、該取っ手に指を掛けて前記操作部を出没操作することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリ。
【請求項6】
前記操作部は、電動で出没操作されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリ。
【請求項7】
前記操作部は、バネ部材によって常時外方へ付勢されており、
該操作部が収納位置にあるときは、該収納位置で保持されるようロックされており、
該操作部をシート側へ押圧操作することでロックが解除されて前記バネ部材の付勢力によって使用位置へ変位することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシート一体型のスイッチアッセンブリ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−265656(P2008−265656A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114083(P2007−114083)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】