説明

シート処理用機械のためのスタッキング装置およびシート処理用機械におけるシート積載方法

【課題】本発明はシート処理用機械、とくにシート印刷機のためのスタッキング装置に関する。
【解決手段】前記スタッキング装置は、第一積載位置(02)と、第二積載位置(03)との間で移動することができ、さらにパレット用キャリアを備えている。パレットは第一積載位置(02)と第二積載位置(03)において積載したシートを受け入れる。本発明におけるスタッキング装置が運搬ユニット(14,16,18)を備えていて、運搬ユニットは、パレット(09,21)を各積載位置(02,03)から単一のパレットスタック(11)へ運搬し、パレット(12,19)をパレットスタック(11)に積載するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1あるいは9の前文によるシート処理用機械のためのスタッキング装置およびシートプロセス用機械におけるシート積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッキング装置は、シート処理用機械の出口において、スタックを形成するために、印刷シートを積み上げるのに役立つものであって、スタックは所定高さに達するとさらなる処理のために運搬される。スタックが運搬される場合、さらなるシートはスタックに積載されない。シート処理の中断を回避するために、シート送り込み式印刷機用のスタッキング装置は、二つの積載位置を有するものが開発されてきていて、その二つの積載位置において、シートスタックを形成することができて、第一積載位置におけるシート積載と、第二積載位置におけるシート積載との間で積載位置をかえることかできるようになっている。そのようなスタッキング装置において、シートスタックを運搬する必要がある場合、積載を他の積載位置に切かえるだけで十分であって、新しいシートスタックはこの位置において積載される。これが行なわれる場合、完成したスタックを運搬することができる。
【0003】
公知のスタッキング装置を用いることにより、何百枚何千枚ものシートを含んだシートスタックを形成することが可能である。シートの数は、単に、シートスタックが安定していて到れるリスクのないスタック高さにより制限されている。しかしながら、このことが、シート積載時において印刷インキが完全に乾燥していないという、印刷プロセス上の問題を招いている。シートがスタッキング装置に積載される場合、スタック内部のシートは乾燥する時間がほとんどなくて、高いスタックにおいて下側のシートが受ける圧力はお互いのシートの接着を招き、その結果インクが一方のシートから他方のシートに写ってしまう。
【0004】
このリスクを克服するために、米国特許第3907274号が、例えば、請求項1の前文におけるスタッキング装置を提案していて、シートは各々の場合パレットのベッドプレートに積載され、スタックの高さは低く、シートが一体に付着するリスク及びインクが写るリスクはない。パレットがいっぱいになるとすなわちスタックが所定高さになると、パレットはスタッキング装置に下降され、新しいパレットに交換される。いっぱいになったパレットが順次積みかさねられパレットスタックを構成し、各パレットは脚によりパレット下方のベッドプレートに支持され、シートスタックにはいずれの荷重も作用していない。
【0005】
積載プロセスは、新しいパレットを挿入するたびに中断する必要がある。上流の印刷機の運転を中断しないために、米国特許第3907274号明細書で開示されたスタッキング装置も二つの積載位置を有していて、シートの流れは、新しいパレットを一方の積載位置に挿入する必要があるごとに、一方の積載位置から他方の積載位置へ切かえられる。
【0006】
通し番号付き印刷製品の印刷において、n枚のシートが各パレットに積載され、かつシートが1番から付番される場合、そのような運転モードは、第一積載位置における第一パレットはシート1−nを受け取り、第二積載位置における第一パレットはシートn+1−2nを、第一積載位置における第二パレットはシート2n+1−3nを受け入れる等々を意味している。すなわち、このことは、二つの積載位置で形成されたパレットスタックが、それぞれシート1−n,2n+1−3n,4n+1−5n…およびシートn+1−2n,3n+1−4n等々を含んでいる。従ってシートは連続番号となっていない。このことは、プロセスにおける後工程における、シートの完全なチェックのいずれをもより困難なものとしている。しかしながら、とくに銀行券あるいは同様の金券を印刷したシートの場合、そのような完全なチェックは非常に重要なものである。
【0007】
スイス国特許出願公開第464238号明細書が、縦列に配置された二つの積載テーブルを有しているシート供給装置を開示している。後方の積載テーブルが補助スタッキング装置用のものであって、それにより積載されたシートは、補助積載テーブルの上部積載位置から、後方の主スタックの下部位置へ移動され、そこで主スタックに積載される。
独国特許出願公開第464238号明細書が、波形カードボードパネル積載用装置を開示していて、スタックは第一積載位置において形成される。続いてこのスタックが第二積載位置へ運搬され、その上にさらなるパネルが積載される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、連続シートの積載が可能な、シート処理用機械のためのスタッキング装置と、シート処理用機械におけるシート積載方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において、この目的は請求項1又は9の特徴により達成されている。
【0010】
本発明により達成できる利点は以下の事実にあって、印刷を中断しない装置にもかかわらず、共通のシートスタックを得ることができ、そのシートスタックにおいて、シートはお互いにスタッキング装置に到達した状態の同一桁で連続していて、従って、シートの通し番号のいずれもが入れかわらないままである。
【0011】
この目的のために、スタッキング装置が運搬ユニットを有していて、その運搬ユニットは、パレットを各積載位置から共通のスタックへ運搬し、かつそのパレットをこのスタックに積載するためのものである。
パレットスタックが、該第一積載位置の垂直方向下方に提供されていて、該第一運搬ユニットが、パレットを該第一積載位置から該パレットスタックの上へ垂直的に下降させるようになっている。
さらに第二及び第三運搬ユニットが備えられていて、第二運搬ユニットは、パレットを該第二積載位置から中間位置へ垂直的に下降させるようになっていて、そして第三運搬ユニットが、該パレットを該中間位置から該パレットスタックへ移動するようになっている。
該第三運搬ユニットが、該第二積載位置と該パレットスタックの最上部との間で中間位置に配置されていて、かつパレットを第一運搬ユニットへ転送し、パレットをスタックに積載する。
【0012】
高さ調節可能なキャリアがスタック用に提供されていて、従って、スタックが所定数のパレットに達し、かつ運搬する必要があるまで、スタック最上部は一定レベルに維持されている。
【0013】
もしスタックキャリアの高さ調節装置が第一運搬ユニットにより提供されるなら、とくに単純な構造となる。
【0014】
装置は適切に運転されていて、各々の場合において、他方の積載位置における多数のシートの積載に切かえる以前に、多数のシートが、一方の積載位置においてパレットに積載され、そしてシートが他方の積載位置において積載されるとき、該パレットは一方の積載位置からパレットスタックへ運搬されるようになっている。運搬中に、次のパレットが他の積載位置において積載され、そしてこれが積載されるとすぐに、パレットを他の積載位置からスタックへ運搬するために一方の積載位置へ再びもどされる。
【0015】
本発明の例示の実施態様を図面に示めしかつ以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
スタッキング装置が、エンドレスデリバリチェーン01を有しているシート送り出し装置を備えていて、その通路を図1に概略的に示めす。チェーングリッパ装置が従来の方法でデリバリチェーン01に固定的な間隔で取りつけられていて、チェーングリッパ装置の構造は例えば欧州特許第0709329号明細書に開示されているものであって、図1には示めしていない。チェーングリッパ装置各々は、多数のグリッパを備えたクロスピースを備えていて、そのグリッパは印刷シートのシート先端を受取り位置(図示されていない)において把持し、かつ積載位置02,03において取りはずすために制御することができる。二つの積載位置02;03は二つの隣接したキャリアフレーム04;06の上部に位置している。上部においてキャリアフレーム04;06各々が水平方向に移動可能なあるいは回動するサポートアーム07を有していて、そのサポートアーム07各々が、キャリアフレーム04;06のコーナーに配置された四本のレール08に取りつけられ、キャリアフレーム04;06の内側の引き下がった位置に取りつけられていて、かつパレット09;21を支持している。
【0017】
本例では五個のパレット12を備えているパレットスタック11が、第一キャリアフレーム04のレール08を上下移動することのできるプレート13に積み上げられている。プレート13の垂直移動を駆動する第一運搬ユニット14は、例えばモータ駆動式エンドレスチェーンにより形成されていて、そのモータ駆動式エンドレスチェーンは、レール08に収納され、かつプレート13を支持するためのサポートアーム22を有しており、キャリアフレーム04の左側レール08に概略的に図示されている。
【0018】
パレット19を垂直移動するための第二運搬ユニット16も、第二キャリアフレーム06に取りつけられている。その垂直方向揚程は第一運搬ユニット14のリフトより小さい。パレット19を担持するようになっている第二運搬ユニット16のプレート17は、第三運搬ユニット18により水平方向に移動可能である。
【0019】
スタッキング装置の図1に示めす運転段階において、プレート13上に五つのパレット12があって、各パレットは100番台で付番されたシートのスタックを積載している。最下段パレット12は最初に送り出された1−100で付番されたシートを担持していて、その上段のパレットは101−200で付番されたシートを担持している等々であって、第五段パレット12は401−500で付番されたシートを担持している。シート501−600を積載したパレット19は、第二運搬ユニット16により積載位置03から下げられたばかりで、パレット19が占有していた積載位置03には、空のパレット21が手動あるいは送り機構(図示されていない)により挿入されている。積載したパレット19が下げられ新しいパレット21が挿入されるときは、第二積載位置03において積載は行なわれないので、装置は第一積載位置02でのシート積載に切換えられていて、シート601から始まるシートスタックがパレット09に積載される。
【0020】
図2に示めす運転段階において、第二運搬ユニット16が、パレット17を移動範囲の最下端に下げ、かつパレット19と共に第三運搬ユニット18を第一キャリアフレーム04へ移動していて、従ってパレット19がパレットスタック11に垂直方向に整列するようになっている。パレット09へのシートの積載プロセスはこの間も継続されている。
【0021】
続いて第一運搬ユニット14がパレット11を上昇し始め、従ってパレット19の脚23がパレットスタック11の最上段パレット12に係合するようになる。第三運搬ユニット18はパレット17を引き込み、従って第二キャリアフレーム06へ引きもどしている。
【0022】
このことが行なわれると、図3に示めすように、第一運搬ユニット14が、パレットスタック11の上昇移動を続行する。パレット19は、プレート17のレベルの上方でパレット09の真下に、シート601−700が積載される間位置している。この時点から、デリバリチェーンのグリッパ装置が、第二積載位置03においてパレット21へ積まれるシートを送り出すために作動される。
【0023】
第一運搬ユニット14がプレート13を図3に示めす位置を越えて上昇するので、パレット09の脚23は結局パレット19に係合する。サポートアーム07は、パレット09が下降するのを可能にするべく引きもどされる。七つのパレット12で構成されたパレットスタック11が再度下降され、パレット21が完全に積載されるとすぐに、シート801−900を積載したさらなるパレットが、サポートアーム07に置かれ、続いてサポートアーム07は再走行する。
【0024】
二つの積載位置02;03におけるパレットへの交互の積載と積載されたパレットを交互に一体化してゆくことは、シートが下段から上段に連続的に付番されている、パレットスタック11を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、スタッキング装置の概略側面図であって、第一操作段階のものである。
【図2】図2は、スタッキング装置の概略側面図であって、第二操作段階のものである。
【図3】図3は、スタッキング装置の概略側面図であって、第三操作段階のものである。
【符号の説明】
【0026】
01 デリバリチェーン
02 積載位置
03 積載位置
04 キャリアフレーム
05 −
06 キャリアフレーム
07 サポートアーム
08 レール
09 パレット
10 −
11 パレットスタック
12 パレット
13 プレート
14 第一運搬ユニット
15 −
16 第二運搬ユニット
17 プレート
18 第三運搬ユニット
19 パレット
20 −
21 パレット
22 サポートアーム
23 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート処理用機械のためのスタッキング装置において:
該スタッキング装置が、第一積載位置(02)と第二積載位置(03)との間で切かえることができることと;
該第一積載位置(02)及び該第二積載位置(03)が、シートの運搬方向に対して縦列となっていることと;
該第一積載位置(02)と第二積載位置(03)との各々にはパレット(09;21)が備えられていて、該パレット(09;21)にはシートが重ねられ積載されるようになっていることと;
単一のパレットスタック(11)が該スタッキング装置に配置されていることと;
運搬手段(14,16,18)は、シートが重ねられた一つのパレットを該第一位置(02)又は該第二位置(03)の一方から交互に該パレットスタック(11)へ運搬するようになっていて、そして該パレットをシートが該第一位置(02)又は該第二位置(03)の他方において別のパレットに重ねられている間に、該パレットスタック(11)に積載するようになっていることと;
を特徴とするスタッキング装置。
【請求項2】
該パレットスタック(11)が、該第一積載位置(02)の垂直方向下方に提供されていることと;該運搬手段(14,16,18)が、パレット(09)を該第一積載位置(02)から該パレットスタック(11)の上に垂直方向に下降させるようになっている第一運搬ユニット(14)を備えていることと;を特徴とする、請求項1に記載のスタッキング装置。
【請求項3】
該運搬手段(14,16,18)がさらに第二運搬ユニット(16)及び第三運搬ユニット(18)を備えていて、該第二運搬ユニット(16)は、パレット(21)を該第二積載位置(03)から中間位置へ垂直方向に下降させるようになっていて、そして該第三運搬ユニット(18)が、該パレット(21)を該中間位置から該パレットスタック(11)へ移動するようになっていることを特徴とする、請求項2に記載のスタッキング装置。
【請求項4】
該第三運搬ユニット(18)が、該第二積載位置(03)と該パレットスタック(11)の最上部との間で中間位置に配置されていて、かつパレットを該第一運搬ユニットへ転送することを特徴とする、請求項2又は3に記載のスタッキング装置。
【請求項5】
該スタッキング装置が、該パレットスタック(11)用の高さ調節式サポートアーム(22)を有することを特徴とする、請求項1−4のいずれか一項に記載のスタッキング装置。
【請求項6】
該高さ調節式サポートアーム(22)の高さ調節装置が該第一運搬ユニット(14)により形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のスタッキング装置。
【請求項7】
シート処理用機械におけるスタッキング装置によりシートを積載する方法であって、該スタッキング装置が第一積載位置(02)及び第二積載位置(03)を備えていて、該第二積載位置(03)はシートの運搬方向に対して該第一積載位置(02)の後方に配置されていて、該第一積載位置(02)と該第二積載位置(03)との各々にはシートを積載するためのパレット(09;21)が備えられている、シートを積載する方法において:
a)シートを該第一積載位置(02)の該パレット(09)に重ねかつ積載する段階と;
b)所定数のシートが該第一積載位置(02)の該パレット(09)に重ねられかつ積載されると、シートが該第二積載位置(03)の該パレット(21)に重ねられかつ積載されるように、シートの積載を該第二積載位置(03)に切りかえる段階と;
c)シートが該第二積載位置(03)の該パレット(21)に重ねられかつ積載されている間に、シートが重ねられ積載された該パレット(09)を該積載装置内に配置された単一のパレットスタック(11)に運搬する段階と;
d)空のパレット(09)を該第一積載位置(02)に備える段階と;
e)所定数のシートが該第二積載位置(03)の該パレット(21)に重ねられかつ積載されると、シートが該第一積載位置(02)の該パレット(09)に重ねられかつ積載されるように、シートの積載を該第一積載位置(02)に切りかえる段階と;
f)シートが該第一積載位置(02)の該パレット(09)に重ねられかつ積載されている間に、シートが重ねられ積載された該パレット(21)を該積載装置内に配置された該単一のパレットスタック(11)に運搬する段階と;
g)空のパレット(21)を該第二積載位置(03)に備える段階と;
h)該段階b)−g)を繰返す段階と;
を含んでいるシートを積載する方法。
【請求項8】
100枚のシートがパレット(09;21)各々に重ねられかつ積載される、請求項7に記載のシートを積載する方法。
【請求項9】
該100枚のシートが連続した番号を付番されたシートであって、シートが重ねられかつ積載された該パレット(09;21)は、パレットスタック(11)を形成するように積載されていて、該パレットスタック(11)において該シートは上から下に連続した番号の順番になっている、請求項7又は8に記載のシートを積載する方法。
【請求項10】
該パレットスタック(11)は該第一積載位置(02)の垂直方向下方に形成されている、請求項7−9のいずれか一項に記載のシートを積載する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−153624(P2007−153624A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11488(P2007−11488)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【分割の表示】特願2002−589378(P2002−589378)の分割
【原出願日】平成14年4月4日(2002.4.4)
【出願人】(502065583)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】