説明

シート処理装置及び画像形成装置

【課題】省スペース化と揃え精度の向上を図った上で、複数個所綴じを可能とする。
【解決手段】搬入されてきたシートを積載するスティプルトレイ212と、スティプルトレイ212上に積載されたシート束の搬送方向と搬送方向に直交する方向にそれぞれ整合する後端フェンス220及びジョガーフェンス219と、スティプルトレイ212上で整合され、移動するシート束を複数個所で綴じるスティプルユニット215と、綴じたシート束を集積する排紙トレイ208と、を備えたシート処理装置において、前記スティプルトレイ212と排紙トレイ208との間に前記スティプルトレイ212に対して略平行に進出後退可能に設けられ、スティプルユニット215が2個所目を綴じる際に進出し、シート束151の移動によりスティプルトレイ215のシート搬送方向先端部から突出したシート束151の先端部を保持するシート束保持部材209を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成装置に係り、特に省スペース化を目指したシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置から排紙された用紙、転写紙、OHPシートなどを含むシート状部材(以下、単にシートと称する)を処理するシート処理装置としてフィニッシャとも称される装置が知られている。この種のシート処理装置では、例えばシート若しくはシート束に対して穴明け、整合、綴じ、折り、製本などの処理が、当該装置が備えている機能に応じて実行される。そのうち、綴じ機能として、例えばスティプラを1つ設けてシート束の端綴じのみを行うもの、スティプラを複数設けて多種綴じを行うもの、あるいは、スティプルユニット自体が位置に移動し、所定若しくは任意の位置にスティプルするものなどが知られている。
【0003】
具体的には、このような技術として特許文献1あるいは2に記載された技術が公知である。このうち、特許文献1(特開2002−162796号公報)には、シート後処理装置の取り付け状態における全体の設置スペースを低減し、シート後処理装置の小型化、低コスト化を図ることを目的に、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段で画像形成されたシートを排出して前記シート後処理装置に受け渡すためのシート排出手段と、前記シート後処理装置が取り付けられる取付部とを備え、前記取付部に、前記シート後処理装置の一部が前記シート排出手段よりもシート排出方向上流側に位置するための空間部を形成し、スティプルモードではシートをスティプル可能な位置に搬送して、端部をスティプルした後、排紙する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開平10−59610号公報)には、構成を簡略化でき、省スペース化が可能になると共にコストダウンを図ることを目的に、用紙整合トレイ部には上下方向に移動可能に排紙爪を設けてあり、用紙受け入れ時には、排紙爪を受け入れ位置へ移動させることにより上方から排紙された用紙の先端を排紙爪で受けて揃え、スティプル時には、排紙爪をスティプル位置へ移動させることによりスタックされた用紙をスティプラによってスティプル綴じさせ、用紙放出時には、排紙爪を上方向に移動させることによりスタックされた用紙を、放出させるようにした技術が開示されている。この技術は、用紙整合トレイ部に排紙される用紙を揃える機能と、スティプル時の用紙移動機能と、スティプル済みの用紙束を排紙部に向けて排紙する機能を単一の排紙爪に備えたものでも、用紙を上方からスムーズにスタックさせることができ、スタック、スティプル綴じ、スティプル後の排紙という一連の動作を確実に行わせることを可能としたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スティプラを移動させて複数個所、所定個所若しくは任意個所に綴じ処理を行うものでは、スティプラ自体が移動するだけスペースを必要とする。また、スティプラを固定して複数個所若しくは所定個所に綴じ処理を行うものでは、スティプラを複数設ける必要がある。しかし、スティプラを複数設けると、その分のコストが増加する。さらに、シート束をスティプル位置に移動させて綴じ処理を行うものでは、シート束をスティプルする位置に移動させるためのスペースが必要であるため、小型化を図ることはできない。
【0006】
特に小型のシート後処理装置では、スティプル位置から排紙口までの距離が短いため、排紙口からシート先端が出た状態でスティプルすると、シート束の積載枚数によってはシート束の後端が浮いたり、スタックされたシート束がズレて、揃え精度良く安定してスティプルすることができない。
【0007】
さらに、特許文献1記載の発明では、胴内型フィニッシャにおいてシートを放出する機構はスペースをとってしまうことに加え、複数個所綴じができない。また、特許文献2記載の発明では、複数個所綴じは可能であるが、胴内型フィニッシャに適用できるほどの省スペース化を図ることまでは意図されていない。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、省スペース化と揃え精度の向上を図った上で、複数個所綴じを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、搬入されてきたシートを積載する積載手段と、前記積載手段上に積載されたシート束の搬送方向と搬送方向に直交する方向にそれぞれ整合する第1及び第2の整合手段と、前記積載手段上で整合されたシート束を移動させて複数個所で綴じる綴じ手段と、綴じたシート束を集積する集積手段と、を備えたシート処理装置において、前記積載手段と集積手段との間に前記積載手段と略平行に進出後退可能に設けられ、前記綴じ手段が2個所目を綴じる際に進出し、シート束の移動により前記積載手段のシート搬送方向先端部から突出したシート束の先端部を保持する保持手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、前記保持手段が、シート搬送方向に対して平行な方向に分割された2つの部材と、当該2つの部材をそれぞれ独立してシート搬送方向と平行に進出後退させる手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記保持手段の進出量をシート束のシート搬送方向の長さに応じて変更する手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第2又は第3の手段において、シート束のシート搬送方向と直交する方向のシートサイズに基づいて前記2つの部材の一方のみを動作させる手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第2又は第3の手段において、前記2つの部材がシート束のシート搬送方向と直交する方向の所定のサイズより小サイズのときに機能する第1の部材と、大サイズのときに第1の部材とともに機能する第2の部材からなり、前記シート束の前記シートサイズが前記所定のサイズより小さなサイズの場合には、前記第1の部材のみ動作させる手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第2の手段において、前記2つの部材がシート束のシート搬送方向と直交する方向の所定のサイズより小サイズのときに機能する第1の部材と、大サイズのときに第1の部材とともに機能する第2の部材からなり、前記シート束の前記シートサイズが前記所定のサイズより大きなサイズのシート束が前記積載手段上に積載されている状態でジャムが発生した場合には、前記第2の部材を前進状態から後退させる手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第5の手段において、前記第1の部材と前記第2の部材とを連結する連結部材を備え、前記連結部材は、前記シート束のサイズが前記大サイズの場合には両部材を連結して一体的に移動させ、前記小サイズの場合には前記第2の整合手段の整合動作によって連結が解除され、前記第1の部材のみを移動させることを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段に係るシート処理装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0017】
なお、後述の実施形態では、積載手段はスティプルトレイ212(スティプルトレイ奥212a,スティプルトレイ手前212b)に、第1の整合手段は後端フェンス220に、第2の整合手段はジョガーフェンス219に、綴じ手段はスティプルユニット215に、集積手段は排紙トレイ208(固定排紙トレイ208a,可動排紙トレイ208b)、保持手段はシート束保持部材209(シート束保持部材奥209a,シート束保持部材手前209b)に、シート処理装置は符号200に、2つの部材はシート束保持部材奥209a,シート束保持部材手前209bに、進出後退させる手段は保持部材モータ227(保持部材奥モータ227a,保持部材モータ手前227b)に、変更する手段はCPU200a及びCPU200aによって制御される保持部材モータ227に、2つの部材の一方のみを動作させる手段はCPU200a及び保持部材モータ227、あるいはCPU200a、保持部材モータ奥227a、シート束保持部材奥209a,連結部材233,スライド溝奥233a,スライド溝手前233b及び押さえバネ234に、前記第1の部材はシート束保持部材奥209aに、前記第2の部材はシート束保持部材手前209bに、第1の部材のみ動作させる手段はCPU200a及び保持部材モータ227、あるいはCPU200a、保持部材モータ奥227a、シート束保持部材奥209a,連結部材233,スライド溝奥233a,スライド溝手前233b及び押さえバネ234に、第2の部材を前進状態から後退させる手段はCPU200a及び保持部材モータ手前227bに、連結部材は符号233に、画像形成装置は符号100に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積載手段と集積手段との間に進出後退可能に設けられ、綴じ手段が2個所目を綴じる際に進出し、シート束の移動により積載手段のシート搬送方向先端部から突出したシート束の先端部を保持する保持手段を備えているので、省スペース化を図った上で、複数個所綴じ、及びシートの揃え精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の実施例1に係るシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】スティプル動作を示す説明図で、シートがシート後処理装置に搬送されたときの状態を示す。
【図3】スティプル動作を示す説明図で、シートがスティプルトレイ上に積載された状態を示す図である。
【図4】スティプル動作を示す説明図で、シート束保持部材が設けられていない場合のシート束の状態を示す図である。
【図5】スティプル動作を示す説明図で、図4の丸で囲ったB部を拡大して示す図である。
【図6】スティプル動作を示す説明図で、シート束保持部材を突出させてスティプル動作を行うときの状態を示す図である。
【図7】シート束保持部材とその駆動機構を示す正面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】シートサイズの大小に応じたシート束保持部材の可動制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図10】ジャム発生時におけるシート束保持部材手前の可動制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】シートサイズによってシート束保持部材の移動量が異なることを示す説明図である。
【図12】シートサイズによって異なるシート束保持部材の移動量の具体例を示す図である。
【図13】実施例2に係るシート後処理装置の平面図で、シート束保持部材が連結された状態を示す。
【図14】実施例2に係るシート後処理装置の平面図で、シート束保持部材の連結が解除された状態を示す。
【図15】実施例1及び2に係るシート処理装置と画像形成装置とからなるシステムの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
スティプル位置から排紙口までの距離が短い小型のシート処理装置では、排紙口からシート先端が出た状態でスティプルすると、シート束の積載枚数によってはシート束の後端が浮いたり、スタックされたシート束がズレて、揃え精度良く安定してスティプルすることができない。そこで、本発明では、シート束を補助するトレイをシート搬送方向に可動とし、シート束の後端がズレないようシートのサイズに応じて可動量を制御し、シート束の先端部を保持するようにした。
【0021】
以下、本発明の実施形態について実施例を挙げ、図面を参照しながら説明する。
〈システムの概略構成〉
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施形態の実施例1に係るシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。本実施例に係る画像形成システムは、画像形成装置100とシート処理装置200とからなる。このシステムは、画像形成装置100の排紙側にシートの後処理を行うためにシート処理装置200を備えた構成となっている。
【0023】
画像形成装置100は、例えば電子写真方式の図示しない画像形成要素を備え、シートに対して画像を形成した後、搬出口110から後段のシート処理装置200にシートを排出する。
【0024】
シート処理装置200は、シート搬入側から排紙側に沿って排紙搬送路202、スティプルトレイ212、排紙トレイ208を備え、排紙トレイ208は排紙方向下流側の固定排紙トレイ208aと上流側の可動排紙トレイbとからなる。
【0025】
排紙搬送路201には、最上流側の画像形成装置100からの入口部に入口ローラ対201が、最下流側に搬送ローラ対204がそれぞれ設けられ、搬送ローラ対204はスティプルトレイ212側にシートを搬送し、排紙する。
【0026】
スティプルトレイ212には、シート搬送方向上流側にシート搬送方向に沿ってスティプルユニット215が設けられ、放出ベルト220aの対称な位置に固定された一対の後端フェンス220が当該トレイの上面と下面に沿って回転移動可能に設けられている。スティプルトレイ212のシート搬送方向最下流側にはシフト排紙ローラ206が配置され、中間部にはジョガーフェンス219が設けられている。また、排紙搬送路202の搬送ローラ対204の下流側には、スティプルトレイ212上に排紙されたシートをスティプルトレイ212の最上流側に位置させた後端フェンス220側に叩いて移動させる叩き戻しコロ211が配され、さらに、その上流側(図においては排紙搬送路202とスティプルトレイ221の間に後端押さえコロ14がシート後端に対して近接離間可能に配されている。
【0027】
スティプルトレイ212の真下にはシート束保持部材奥209a、シート束保持部材手前209bからなるシート束保持部材209が設けられている。シート束保持部材奥209aは装置の奥側に、シート束保持部材手前209bは装置の手前側に、それぞれ位置している。
【0028】
また、シフト排紙ローラ206の上方であって、当該シフト排紙ローラ206と対向する位置には、排紙ガイドコロ205がシフト排紙ローラ206に対して近接離間可能に設けられている。なお、これらのローラは、入口モータ216及び排紙モータ217のいずれかによって駆動される。
【0029】
可動排紙トレイ208bは固定排紙トレイ208aのシート搬送方向上流側の端部で支軸221cにより軸支され、固定排紙トレイ208aの上面と可動排紙トレイ208bの上面とが同一傾斜の傾斜面となる位置と、固定排紙トレイ208aのシート搬送方向最上流側の端部が前記支軸221cの位置よりも下方に位置して形成される傾斜面と同一傾斜面を構成する位置との間で可動である。
【0030】
可動排紙トレイ208bは当該可動排紙トレイ208bの下面に配置された可動排紙トレイカム・リンク機構221bを可動排紙トレイDCモータ221aによって駆動することにより、前記範囲内で可動となっている。
【0031】
このような構成により、モードによってシートをシフト排紙したりスティプル排紙したりすることが可能となっている。
【0032】
排紙搬送路202には入口センサ207が配置され、シートの先端と後端の検知、及び検知したシートの先端と後端の検知タイミングとステッピングモータである入口モータ216と後述の排紙モータ217の駆動ステップ数により各シート処理を行う際のタイミングをとっている。なお、排紙搬送路202に沿って設けられた入口ローラ対201及び搬送ローラ204が搬送手段として機能している。
【0033】
また、スティプルトレイ212にはシート搬送方向上流側には後端フェンス220のホーム位置を設定するための後端フェンスホームポジションセンサ232が、中央部にはシート束保持部材209の移動開始タイミング設定するための保持部材可動センサ224が、最下流側にはシートの排紙完了を検知する排紙センサ225がそれぞれ配置されている。
【0034】
〈シフト動作〉
シフト動作は、排紙時にシート搬送方向と直交する方向に所定量移動させ、排紙されたトレイ上で部毎にシート集積して部の区別する動作である。
【0035】
シフト排紙ローラ206は、スティプルトレイ212の排紙口212dの近傍位置に設けられ、不図示のシフトモータによりシート搬送方向に対して垂直な方向に往復駆動される。すなわち、シフトモードでシートの仕分けを行う際、所定枚数毎にシート搬送方向と垂直な方向に移動し、シートの搬送方向を垂直な方向に移動した分だけずらして固定排紙トレイ208a上及び可動排紙トレイ208b上に排紙する。これにより排紙トレイに積載されたとき、前記所定枚数毎に排紙位置が交互にズレ、シート束の仕分けが行われる。
【0036】
排紙トレイ208は、搬送方向上流側の固定排紙トレイ部208aと下流側の可動排紙トレイ部208bを備え、可動排紙トレイ部208bはトレイDCモータ221a及びカム・リンク機構221bにより前述の可動範囲で上下動する。可動排紙トレイ部208bは上流側の端部が自由端となって支軸221cを介して固定排紙トレイ部208aに揺動可能に軸支され、カム・リンク機構221bの作動端がこの可動排紙トレイ208bに連結されている。これにより、トレイDCモータ221aが回転し、この回転に応じて可動排紙トレイ部208bが前記支軸221cを中心に揺動する。この可動排紙トレイ208bは、入口センサ207でシートの搬送枚数をカウントして、シート排紙枚数に応じて可動制御される。
【0037】
このように、排紙トレイ208のシート積載状態に応じて可動排紙トレイ部208bの自由端を上下させ、シフト排紙ローラ206のニップ部から可動排紙トレイ部208bのシート積載部までの距離を一定に保つことにより、シフト排紙ローラ206から排紙されるシートと可動排紙トレイ部208bの接触角度を一定にし、排紙トレイ208に積載されるシートの揃え品質を安定させることができ、また多枚数の積載が可能となる。また、この可動制御では、可動トレイDCモータ221aの回転数をエンコーダセンサ210でカウントしてシートの満杯を検知し、シート積載センサ226によってシートを取り除くことを検知したら、DCモータ221aを逆回転させ、ホーム位置に戻るという制御が行われている。
【0038】
以上の動作を繰り返すことにより排紙トレイ上に部毎に仕分けされたシート束が積載されることになる。
【0039】
〈スティプル動作〉
図2ないし図6はスティプル動作を示す説明図であり、これらの図に示した各部は図1に示した各部に対応する。
【0040】
図2はシートがシート後処理装置200に搬送されたときの状態を示す図である。すなわち、同図において、画像形成装置100で画像が形成されたシート150は、シート後処理装置200の排紙搬送路202を通って、スティプルトレイ212上に縦方向に搬送される。
【0041】
図3はシート150がスティプルトレイ212上に積載された状態を示す図である。すなわち、排紙搬送路202よりシート150が1枚ずつスティプルトレイ212に搬送されると、その度に、叩き戻しコロ211が作動し、シートを後端フェンス220側に叩き落し、シート後端を後端フェンス220基準に整合する。この動作を繰り返し、スティプルトレイ212上にシートが積載される。その際、スティプルトレイ212下に設置してある保持部材可動センサ224がスティプルトレイ212上のシートを検知し、シート束保持部材209が搬送方向に向かって移動する(矢印A方向)。
【0042】
シート束保持部材209は、シートずれを防ぐ目的で設けられている。図4はシート束保持部材209が設けられていない場合のシート束の状態を示す図である。同図から分かるようにシート束保持部材209がないと、複数個所目のスティプル時は、シート束151先端が可動排紙トレイ208bに接触した状態になり、可動排紙トレイ208bで補助しても排紙口212dからの高さがあるため、シート束151が撓んでしまう。
【0043】
図5は図4の丸で囲ったB部を拡大して示す図である。同図から分かるように、図4のようにシート束151先端がスティプルトレイ212の排紙口212dから垂れ下がり、可動排紙トレイ208bに当接した状態になると、シート束後端部はシフト排紙ローラ対206としてスティプルトレイ212の上面から浮いてしまう。これにより、図5から分かるように、スティプルトレイ212に最初に搬送されたシート150aと最後に搬送されたシート150bでは距離aだけズレるという現象が生じることがある。このような状態でスティプルすると、シート束151の後端部が揃っていない状態で排紙処理を行うため、シートの揃え精度が悪くなる。
【0044】
しかし、図3に示したようにシート束保持部材209をスティプルトレイ212と可動排紙トレイ208bとの間であって、スティプルトレイ212に対して平行に、排紙口212dからの高さ方向の距離が小さい位置で排紙口212dから進出後退可能に配置し、複数個所目をスティプルする際、シート束保持部材209をスティプルトレイ212と平行に排紙口212d位置から突出させると、図6に示すようにシート束151の先端の撓みを最小に抑えることが可能となる。これにより、シートの揃え精度を向上させることができる。その際、シート束保持部材209はスティプルトレイ212と可動排紙トレイ208bの間でスティプルトレイ212に対して平行に進出後退動作可能に設ければよいので、シート束保持部材209とその駆動機構を設けるに際して機器の大型化を招くことがない。そのため、小型のシート後処理装置200に適用可能であり、従来から実施されている画像形成装置100の側面に配置するシート後処理装置におけるスティプル処理時のシート揃え精度と同等の精度を、小型のシート後処理装置200においても確保することができる。
【0045】
図6はシート束保持部材を突出させてスティプル動作を行うときの状態を示す図である。スティプル動作は、スティプルのモードによって多少異なるが基本的には同様であるため、ここでは2箇所綴じについて説明する。
【0046】
スティプルトレイ212にスタックされたシート束151を搬送方向に押し出すように動作する後端フェンス220は、スティプルトレイ212の下に位置する放出ベルト220aに固定され、放出ベルト220aの回転動作に連動してスティプルトレイ212の上面に平行に移動する。後端フェンス220は放出ベルト220aを2分する位置に対として配置され、一方の後端フェンス220によってシート搬送(排出)が完了した位置が他方の後端フェンス220の次のシート束151を搬送するための待機位置となる。そのため、搬送(排紙)が完了した時点で前記待機位置に待機した後端フェンス220が排紙可能な状態となる。これにより後処理の生産性を上げている。
【0047】
スティプルする手前で後端フェンス220は一時停止する。その際、叩き戻しコロ211及び排紙ガイドコロ205はシート束151を押し出している最中は上方向に退避しているが、スティプルをする手前には下方向に可動してシート束151を押さえ、もう一方でジョガーフェンス219は1部目の最終シートの搬送が完了するとシート束151の側面をスティプル方向に押さえつけたままシート束がズレないよう保持するように動作する。
【0048】
スティプルユニット215が2箇所目のスティプル処理動作に移行するときには、叩き戻しコロ211及び排紙ガイドコロ205、は再度上方向に退避し、後端フェンス220が搬送方向に向かってシート束151を押し出すように移動する。このときもジョガーフェンス219はシート束151を押さえたままの状態を維持する。2箇所目のスティプルで再度後端フェンス220は一時停止するが、このときシート束151の前方向の重みで2箇所綴じができず排紙されてしまうことを防ぐためのシート束保持部材209がシート束を支え、さらに叩き戻しコロ211及び排紙ガイドコロ205がシート後端部を押さえることにより、より安定したスティプルを行うことが可能となる。
【0049】
最終スティプルが完了すると、シート束151は後端フェンス220によって押し出され、排紙トレイ208上に排紙される。後端フェンス220は排紙が完了すると、ベルトの折り返しと連動して下方向に可動し、スティプルトレイ212の下位置を搬送方向とは反対の向きに移動する。その際もう1つの後端フェンス220が次のシートを搬送するためホームポジションで待機し、ジョガーフェンス219も次のシートに備えてホーム位置に戻る。
【0050】
一方、排紙されたシート束151を支えたシート束保持部材209は、後端フェンス220が移動することにより排紙口212d近傍のスティプルトレイ212の下位置にある排紙センサ225が排紙完了を検知し、検知したら元の位置(初期位置)に戻る。なお、スティプラ215は、例えば、スティプル針を打ち出し、シート束を貫通させて貫通したスティプル針の先端を曲げて綴じる公知ものが使用される。
【0051】
〈シート束保持部材〉
《シート束保持部材とその駆動機構》
図7はシート束保持部材とその駆動機構を示す正面図、図8は図7の平面図である。
【0052】
シート束保持部材209は奥側と手前側で対となって設けられ、それぞれ独立して駆動される。すなわち、シート束保持部材209は駆動機構250によって駆動され、装置正面から見て手前側に位置するシート束保持部材手前209bと奥側に位置するシート束保持部材奥209aとを備え、それぞれ駆動機構手前250B、駆動機構奥250Aによって駆動される。なお、以下の説明において、手前側と奥側で共通の場合には、添え字a,b及びA,Bは省略する。
【0053】
駆動機構250は、保持部材駆動モータ227、保持部材駆動モータ227の駆動軸に軸着された駆動側プーリ230、駆動側プーリ230と対となる従動側プーリ231、駆動側プーリ230と従動側プーリ231との間に掛け渡される保持部材駆動ベルト229、シート束保持部材209を保持部材駆動ベルト229に連結する連結部材236、及びシート束保持部材209をスティプルトレイ212に平行に案内する図示しない案内部材から基本的に構成されている。前記駆動機構250は図8からも分かるように、奥側250Aと手前側250Bに分けられ、両者は、シート搬送方向に平行であって、シート搬送方向に対して直交する方向の中央部に関して対称に配置されている。
【0054】
なお、図8において、細線で示したスティプルトレイも奥側212aと手前側212bに対称に配置され、シート束保持部材奥209a、シート束保持部材手前209bの上に位置している。スティプルトレイ奥212aの側部にはスティプルユニット215が配置され、スティプルトレイ手前212bの上面側には、シート搬送方向に直交する方向に移動するジョガーフェンス219が配置される。シート束保持部材奥209aとシート束保持部材手前209bの間(前述の中央部に存在する空隙部)209cには、図示しないが前述の放出ベルト220aが配置される。また、スティプルトレイ奥212aと手前212bには、それぞれ保持部材可動センサ_サイズ小224aとサイズ大224bが設けられている。なお、先に述べた保持部材可動センサ224は両者を総称したものである。
【0055】
このように構成すると、シート150はスティプルトレイ212に搬送され、ジョガーフェンス219によってスティプルユニット215側に揃えられた後、スティプルされる。シート150は、サイズによってシート150の搬送方向の長さが変わるため、シート150がジョガーフェンス219によってシート搬送方向と直交する方向の整合が終了した後、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bの動作が開始される。
【0056】
なお、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bの進出動作ではシート150の搬送方向の長さ寸法に応じて進出量が制御される。進出量は後述のCPU200aが画像形成装置100の制御装置側からサイズ情報を受信してCPU200aが保持部材駆動モータ227の駆動量を制御することにより行われる。
【0057】
《シート束保持部材の駆動制御》
保持部材可動センサ_サイズ小224a及び保持部材可動センサ_サイズ大224bの検知の仕方によって、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bの動作状態が変化する。すなわち、シート150のサイズが大きいものについては、保持部材可動センサ_サイズ大224bで検知するとシート束保持部材奥209aとシート束保持部材手前209bが両者ともに移動し、シート束保持部材奥209aのみでも対応できるようなシートサイズの小さいものについては、保持部材可動センサ_サイズ小224aで検知した後、移動を開始するという制御が行われる。
【0058】
このシート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bが搬送方向に向かって移動する場合、少なくとも連結部材奥230a及び手前230bが保持部材モータ奥227a及び手前227bのモータ軸と接触しない程度の位置精度を必要とし、退避時は従動側プーリ奥231a及び手前231bと接触しない程度の位置精度が必要となる。
【0059】
このようにシート束搬送の際、シート150のサイズに応じてシート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bの移動制御を異ならせることにより、無駄な動作の省略が可能となり、省エネの効果を発揮することができる。
【0060】
また、もし、スティプルトレイ212に大サイズのシート束がある状態でジャムが発生した場合、シート束保持部材手前209bのみが退避(後退)するようにすると、スティプルトレイ手前212bの搬送方向下流側にシート束保持部材手前209bが存在しないので、ユーザの処理が容易となる。そこで、大サイズのシートでジャムが発生した場合には、シート束保持部材手前209bの後退制御を自動的に実行するように制御する。
【0061】
図9は前者のシートサイズの大小に応じたシート束保持部材の可動制御の制御手順を示すフローチャートである。同図において、まず、保持部材可動センサ_サイズ大224bがシート150を検知したかどうかを判断する(ステップS101)。この判断で、保持部材可動センサ_サイズ大224bがシート150を検知していれば、シート束保持部材奥及び手前209a,209bを前記矢印A方向に移動させ(ステップS102)、シート束151の先端部を保持する。
【0062】
他方、ステップS101で保持部材可動センサ_サイズ大224bがシート150を検知していなければ、保持部材可動センサ_サイズ小224aがシート150を検知しているかどうかをチェックし(ステップS103)、検知していればシート束保持部材奥209aのみ移動させる(ステップS104)。検知していなければステップS101に戻り、シート150の搬入を待って、以降の処理を繰り返す。
【0063】
すなわち、保持部材可動センサ_サイズ大224bでシート150を検知した場合は、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bが同時に移動する。しかし、保持部材可動センサ_サイズ小224bのみでシート150を検知した場合は、シート束保持部材奥209aのみが移動する。それ以外で、保持部材可動センサ_サイズ小224a、保持部材可動センサ_サイズ大224bのセンサでも検知しない場合は、保持部材可動センサ_サイズ小224a及び保持部材可動センサ_サイズ大224bが検知するまで繰り返し読み続けられる。
【0064】
なお、ここでいうシートサイズ大と小はシート束保持部材奥209a及び手前209bの両者がシート束の保持に必要なサイズであるか、シート束保持部材奥209aだけで保持が可能かという点に基づいて設定される。
【0065】
このように、シート150のサイズに応じて保持部材209a,209bの可動制御を異ならせることによって、シート束保持部材奥209aとシート束保持部材手前209bの両方が常に同じ動作を行うことよりも省エネになる。
【0066】
図10は後者のジャム発生時におけるシート束保持部材手前の可動制御の制御手順を示すフローチャートである。
【0067】
同図において、シートジャムが発生したことを検知すると(ステップS201−yes)、保持部材可動センサ_サイズ大224bのシート検知状態をチェックし(ステップS202)、シート150を検知していればシート束保持部材手前209bのみ退避(後退)させ(ステップS203)、ジャム処理の完了を待つ(ステップS204)。ジャム処理が完了すると、すでに進出しているシート束保持部材奥209aを後退させる(ステップS205)。
【0068】
他方、保持部材可動センサ_サイズ大224bがシート150を検知していなければ、シートサイズは小サイズなので、シート束保持部材奥209aのみが進出している。そこで、ジャム処理が完了するまでその状態を保持し、ジャム処理が完了した時点でシート束保持部材奥209aを退避させる(ステップS205)。
【0069】
簡単に言うと、スティプルトレイ212にシートがある状態でジャムが発生した際に、シート150のサイズが大サイズか小サイズかを検知し、小サイズであればそのままジャム処理が完了するまでシート束保持部材奥209aが進出した状態を維持し、大サイズであればシート束保持部材手前209bのみを退避させる。これにより、シート束保持部材手前209bのみが退避するので、ユーザがシート束を掴みやすくなり、ジャム処理が容易となる。ジャム処理が完了すると、シート束保持部材奥209aが退避して、次のシートの搬送に備える。
【0070】
《シート束保持部材の移動量》
図11はシートサイズによってシート束保持部材209の移動量が異なることを示す説明図である。
【0071】
図11に示すように2個所綴じされたシート束がある場合に、1回目のスティプル位置T1と2回目のスティプル位置T2が設定されている場合、2回目のスティプル位置T2からシート後処理装置200の排紙口212aまでの距離Xはどのシートサイズにおいても変わらない値である。また、2回目のスティプル位置T2からシート後端SEDまでの距離Zは、スティプルトレイ212に位置するため、シートサイズが変化してもシート束保持部材209の移動量の変化には関係がない。故にシート束保持部材209の移動量はシート先端部SFEから排紙口212dからの距離Yによって変化することになる。具体的な移動量は図12に示すようになる。
【0072】
Zの値はシートのサイズによって変化はするものの、図12に示すように、シート束保持部材209はA3、A4、A5サイズにおいてそれぞれの必要な移動量が異なることが分かる。そこで、前記移動量をシートサイズによって変更すると、電力を少しでも削減することが可能となる。
【実施例2】
【0073】
実施例2に係るシート後処理装置は1つの駆動源でシート束保持部材を移動制御可能な例である。
【0074】
図13に示した実施例2に係るシート後処理装置100は、1つの駆動源でシート束保持部材209を動作可能とするものであり、図8に示した実施例1に係るシート後処理装置100に対してシート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bを、連結部材233によって連結し、シート束保持部材手前209b側の駆動機構250Bを省略した構成となっている。
【0075】
連結部材233はシート搬送方向に対して直交する方向にスライド移動可能であって、連結部材233のシート束保持部材手前209bとの係合状態が解除されると、シート束保持部材奥209aがシート束保持部材手前209bから分離された状態でシート搬送方向(矢印A方向)に移動可能となる。図13は連結部材233がシート束保持部材奥209aのシート搬送方向に関して後端側であって、シート束保持部材手前209bと対向する位置に設けられたスライド溝奥233aと,シート束保持部材手前209bのシート束保持部材奥209aと対向する位置に設けられたスライド溝手前233bの両者に弾性部材である押さえバネ234に弾性付勢された状態でスライド可能に遊嵌されている。
【0076】
これにより、図13に示すように連結部材233が奥側と手前側の両スライド溝233a,233b内に遊嵌され、両者にまたがるように係合している場合には、シート束保持部材奥209aと手前209bはシート束保持部材奥209aの駆動機構250Aの駆動力により一体となって矢印A方向に移動する。
【0077】
また、ジョガー219は連結部材233を移動させる手段としても機能する。そこで、ジョガー219がシート搬送方向と直交する方向(矢印B方向)であってシート150若しくはシート束151を奥側に押してシートの整合動作を行う際に、シートの幅方向(シート搬送方向と直交する方向)のサイズがシート束保持部材奥209bよりも小さい場合には、ジョガー219はシートの端面に当接して整合する前に連結部材233に当接し、連結部材233を奥側に押して手前側スライド溝233bから離脱させる。これにより、図14に示すようにシート束保持部材奥209aのみが矢印A方向に移動可能となり、保持部材モータ奥227aによって駆動される。
【0078】
このように構成すると、スティプルトレイ212に搬送されたシートは、ジョガーフェンス219によってスティプルユニット215の方向に揃えられる。このジョガーフェンス219は、スティプルを打つ際や排紙処理時において、シートをスティプルユニット215方向に押さえた状態を維持している。このとき、ジョガーフェンス219はシート150のサイズがシート束保持部材奥209aより大きい場合には、連結部材233に接触することなく、あるいは、多少接触しても連結した状態を維持するため、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bは一体に移動する。
【0079】
しかし、シート150のサイズがシート束保持部材奥209aより小さい場合には、ジョガーフェンス219によって連結部材233が押されて、連結部材233がスティプルユニット215方向に移動し、連結部材233はスライド溝手前233bから離脱し、シート束保持部材奥209a及びシート束保持部材手前209bの連結状態は解除される。その結果、シートサイズの小さいものに関しては、シート束保持部材奥209aのみが移動可能となる。
【0080】
シート150若しくはシート束51の搬送が完了すると、シート束保持部材奥209aは保持部材モータ奥227aによって駆動されて後退し、図13の状態に元にもどる。連結部材233がシート束補助部手前209bのスライド溝手前233bと連結していない場合、シート束保持部材奥209aが元の状態に戻った後、ジョガーフェンス219は次のシートの搬送に備えてホームポジションに戻る。このとき、ジョガーフェンス219はジョガーフェンスホームポジションセンサ235によって検知されるまで移動し、検知されると停止する。
【0081】
すなわち、図14では、シート束保持部材奥209aのみがスティプルトレイ奥212aから進出した状態となっている。この状態からシート束保持部材奥209aが後退し、連結部材233がシート束保持部材手前209bのスライド溝手前233bと対向する位置まで来ると、ジョガーフェンス219はジョガーフェンスホームポジションセンサ235方向に移動し、これに伴って押さえバネ234の弾性力により連結部材233がスライド溝手前233bと嵌合し、シート束保持部材奥209aとシート束保持部材手前209bは連結される。その後、ジョガーフェンス219によって連結が解除されない限り、シート束保持部材奥209aと手前209bは一体に移動する。
【0082】
その他、特に説明しない各部は実施例1と同一に構成され、同様に動作する。
【0083】
図15は実施例1及び2に係るシート処理装置と画像形成装置とからなるシステムの制御構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態における画像形成システムは、画像形成装置100とシート処理装置200とからなり、シート処理装置200と画像形成装置PRは通信インターフェイス100−1で接続され、用紙情報、後処理モード、異常情報等の通知を行う。
【0084】
シート処理装置200は、シート処理装置全体及び各部を制御するCPU200aと、CPU200aと各センサ、ソレノイド、モータなどを駆動するドライバとの入出力を司るI/Oユニット200bとを含む。CPU200aは図示しないROMに格納されたプログラムコードを図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに沿った制御を実行し、前記各ドライバを通じて各部を動作させる。
【0085】
以上のように本実施形態によれば、
1)スティプルトレイ212と排紙トレイ208の間に存在する空間部にシート束保持部材209を配置するので、シート束保持部材209を配置するためのスペースを余分に設ける必要がない。
2)シート束保持部材209を配置するための余分なスペースを設けることなくシート後処理装置200を構成することができるので、胴内型フィニッシャ等の小型処理装置に適用することが可能である。
3)1つのスティプラで複数個所綴じを行うので、最小限の駆動源とセンサで駆動することが可能となり、コストダウンと省エネ化を図ることができる。
4)その際、シート束保持部材209によってシート束のずれをなくすことができるので、低コストで複数綴じが可能となる。
5)シートサイズに応じてシート束保持部材209の進出量を変更し、あるいは、2つの部材からなるシート束保持部材209の一方のみ動作させるので、その分の省エネ化を図ることができる。
6)スティプルトレイ212上にシート束がある状態でジャムが発生した場合、シート束保持部材手前212bのみを退避(後退)させるので、ユーザによるジャム処理が容易となる。
などの効果を奏する。
【0086】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記各実施例は、好適な実施形態をそれぞれ示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
100 画像形成装置
150 シート
151 シート束
200 シート処理装置
208 排紙トレイ
208a 固定排紙トレイ
208b 可動排紙トレイ
209 シート束保持部材
209a シート束保持部材奥
209b シート束保持部材手前
212 スティプルトレイ
212a スティプルトレイ奥
212b スティプルトレイ手前
215 スティプルユニット
219 ジョガーフェンス
220 後端フェンス
227a 保持部材モータ奥
227b 保持部材モータ手前
233 連結部材
233a スライド溝奥
233b スライド溝手前
234 押さえバネ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2002−162796号公報
【特許文献2】特開平10−59610号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入されてきたシートを積載する積載手段と、
前記積載手段上に積載されたシート束の搬送方向と搬送方向に直交する方向にそれぞれ整合する第1及び第2の整合手段と、
前記積載手段上で整合され、移動するシート束を複数個所で綴じる綴じ手段と、
綴じたシート束を集積する集積手段と、
を備えたシート処理装置において、
前記積載手段と集積手段との間に前記積載手段と略平行に進出後退可能に設けられ、前記綴じ手段が2個所目を綴じる際に進出し、シート束の移動により前記積載手段のシート搬送方向先端部から突出したシート束の先端部を保持する保持手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート処理装置において、
前記保持手段が、
シート搬送方向に対して平行な方向に分割された2つの部材と、
当該2つの部材をそれぞれ独立してシート搬送方向と平行に進出後退させる手段と、
を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシート処理装置において、
前記保持手段の進出量をシート束のシート搬送方向の長さに応じて変更する手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のシート処理装置において、
シート束のシート搬送方向と直交する方向のシートサイズに基づいて前記2つの部材の一方のみを動作させる手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート処理装置において、
前記2つの部材がシート束のシート搬送方向と直交する方向の所定のサイズより小サイズのときに機能する第1の部材と、大サイズのときに第1の部材とともに機能する第2の部材からなり、
前記シート束の前記シートサイズが前記所定のサイズより小さなサイズの場合には、前記第1の部材のみ動作させる手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項2記載のシート処理装置において、
前記2つの部材がシート束のシート搬送方向と直交する方向の所定のサイズより小サイズのときに機能する第1の部材と、大サイズのときに第1の部材とともに機能する第2の部材からなり、
前記シート束の前記シートサイズが前記所定のサイズより大きなサイズのシート束が前記積載手段上に積載されている状態でジャムが発生した場合には、前記第2の部材を前進状態から後退させる手段を備えていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項5記載のシート処理装置において、
前記第1の部材と前記第2の部材とを連結する連結部材を備え、
前記連結部材は、前記シート束のサイズが前記大サイズの場合には両部材を連結して一体的に移動させ、前記小サイズの場合には前記第2の整合手段の整合動作によって連結が解除され、前記第1の部材のみを移動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−41166(P2012−41166A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186274(P2010−186274)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】