説明

シート分離搬送装置、及びこれを用いた画像形成装置

【課題】シート材の剛性に応じて積載部の高さを可変させつつ、無端ベルトと用紙の離間量を一定に保つ分離搬送装置を提供する。
【解決手段】複数枚のシート材1を積載可能な底板7と、底板7の昇降を制御する制御手段と、底板7に積載された複数枚のシート1のうちの最上位のシート材1aを誘電体からなる無端ベルト2により吸着保持する吸着分離ユニット15とからなるシート分離搬送装置である。無端ベルト2を保持する複数の保持ローラ5、6のうちシート1の搬送方向で上流側の保持ローラ6は、下流側の保持ローラ5の軸5aを回転軸とし、下流側の保持ローラ5の回転による無端ベルト2の移動により連れ回りする。上流側の保持ローラ6の高さ方向の移動幅を調整するストッパ16を備え、ストッパ16の長孔16aの寸法Sだけ昇降動作が規制、制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用のシート分離搬送装置、及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載された原稿や記録紙等のシートを分離給送する方法としては、従来、摩擦力を用いた分離給送方法や、エアー吸引や、静電吸着による分離給送方法が知られている。
【0003】
摩擦力を用いた分離搬送方法では、給送ローラにゴム材料等を用いるため、摩耗などの経時的な変化によって摩擦力が変化し、給送性能が低下することがある。また、摩擦係数が変化する、あるいはバラツキがあるシートや、摩擦係数の異なるシートを同時に分離搬送する場合には、複数枚を同時に給送する重送や、分離できないといった、給送不良が発生することがある。さらに、シートの給送時に圧力を加えて分離する構成のため、シートが汚れる場合がある。
【0004】
エアー吸引を用いた分離搬送方法は、ローラやシートの摩擦係数に依存しない非摩擦分離方式ではあるが、エアー吸引ブロワやエアーダクトを必要とするため、装置が大型化するとともに、エアー吸引音が騒音となり、オフィスで使用する装置としては不向きのものである。
【0005】
静電吸着による分離搬送方法としては、用紙の分離方法として、吸着部が上下動するもの、吸着部が揺動・上下動するもの、給紙部は固定的で積載部が上下動するもの等、様々なものがある。
【0006】
特許文献1等には、複数のローラに巻き掛けられた無端誘電体ベルトの表面に交番電荷を付加して電界パターンを形成し、無端ベルトをシートに対して揺動または平行移動させて近接または接触させ、最上シートを無端ベルトに吸着後、この無端ベルトを積載シート束から離間する方向に移動させることで分離搬送する静電吸着分離方式が提案されている。この方式は、非摩擦分離方式の一種であり、摩耗、シートの痛め、騒音の発生等がなく、しかも、装置の小型化を達成し得る点で優れている。
【0007】
また、静電気力を利用したシート給送装置における分離性を高めるために、例えば特許文献2では、シート束の最上のシートを誘電体に所定時間接触させた後、誘電体から離れる方向に積載面を下降させてシートを分離する方式であって、接触時間と下降速度の適正化を行うものが開示されている。なお特許文献2に開示されている方法は、1枚の給紙毎に底板を上昇/下降させる例であり、吸着部が揺動しない方式である。
【0008】
さらに、シートの種類に応じて吸着ベルトと積載台の相対距離の適正化を図り、分離搬送性を高める方式として、特許文献3には、シート積載手段の昇降移動距離をシートの厚さによって可変に設定できる構成とし、サイドエアーによる吹き上げ量を調整することで分離搬送性を高めている方式が開示されている。
【0009】
ところで、静電吸着による給紙を行う装置では、吸着動作と分離動作について毎回底板を上下動させる方式が従来では主流であり、基本的には吸着手段は固定(例えば特許文献4参照)で、場合によっては搬送下流側を持ち上げる構成のもの(例えば、特許文献2、特許文献5等参照)や、搬送上流側を垂れ下げる構成(例えば、特許文献6等参照)が知られている。
【0010】
ただし近年では、吸着手段を上下動させる方式が本願発明者の知るところでは多くなっている。この方式では、給紙トレイを装着後、所定の高さまで底板が上昇した後に、あるいは、いったん吸着手段に当接した後に再び下降して、前記所定の高さで停止し、用紙1枚毎の吸着搬送動作は吸着手段が上下動して行い、この際に吸着手段(特にベルトユニット)が揺動する(搬送上流側が垂れ下がる)ことにより、まるで用紙束から用紙1枚をめくり取るような動作を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述のような方式の静電吸着を用いた分離搬送装置では、無端ベルトを積載シート束から離間させる際、無端ベルトの上昇による離間量、離間後のシート上面に対する無端ベルトの角度が分離性能に大きく影響する。同じ離間量でも、無端ベルトの角度を大きくすることで、よりシートの剛性(こし)の影響を利用して高い分離性能を期待できるが、無端ベルトの角度を大きくすると、シートの復元力により一度は吸着したシートが無端ベルトから剥がれてしまう可能性が高くなることがある。すなわち、シートの種類によって離間量と角度の最適設定は異なると言える。
【0012】
従来の技術では、このような事象に対し、無端ベルトの平行移動もしくは揺動だけでは無端ベルトの離間量及び角度は一意的にしか対応することができず、これら特性に対する最適化を行うことが困難であった。
【0013】
そこで本発明は、用紙等のシート材の剛性に応じて積載部の高さを可変させつつ、無端ベルトと用紙の離間量を一定に保つべく、底板の下降量を制御して用紙の上面に対する無端ベルトの角度を異ならせ、上述のような従来の諸問題を解決した画像形成装置用のシート分離搬送装置、及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係るシート分離搬送装置は、複数枚のシート材を積載可能な積載部材と、前記積載部材の昇降を制御する制御手段と、前記積載部材に積載された複数枚のシート材のうちの最上位のシート材を誘電体からなる無端ベルトにより吸着保持する吸着分離ユニットとからなるシート分離搬送装置において、前記吸着分離ユニットは、前記無端ベルトを保持する複数の保持ローラを備え、前記保持ローラのうち前記シート材の搬送方向で上流側に位置する保持ローラは、前記シート材の搬送方向で下流側の前記保持ローラの軸を回転軸とし、かつ、該下流側の前記保持ローラの回転に連れ回りし、前記上流側の保持ローラには、高さ方向の移動幅を調整する調整手段を配し、前記制御手段は、前記シート材の種類に応じて前記積載部材の昇降動作を制御し、前記上流側の保持ローラの高さ方向の移動幅を調整することを特徴とするものである。
【0015】
同請求項2に係るものは、請求項1のシート分離搬送装置において、前記制御手段は、搬送するシート材の種類に応じて、前記吸着分離ユニットによる吸着開始のための前記積載部材の上昇開始タイミングと下降開始のタイミングを制御することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0016】
同請求項3に係るものは、請求項1または2のシート分離搬送装置において、前記吸着分離ユニットは、前記無端ベルトが前記積載部材に積載したシート材の束から離間する際における最上位のシート材の上面に対する前記無端ベルトの角度を規制するストッパ部材を備え、前記制御手段は、前記離間時に前記上流側の保持ローラと、前記積載部材上の最上位のシート材の上面の離間量が一定に保つように前記シート材の種類に応じて前記積載部材の昇降を制御することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0017】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかのシート分離搬送装置において、前記制御手段は、前記シート材の剛性が高い場合は前記シート材の剛性が低い場合よりも前記無端ベルトの角度を小さく設定することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0018】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかのシート分離搬送装置において、前記積載部材の昇降により前記無端ベルトの表面が前記積載部材上に積載された最上位のシート材の上面と接することを検知する第1の検知手段と、前記上流側の保持ローラの位置を検知する検知手段とを有することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0019】
同請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかのシート分離搬送装置において、前記積載部材の昇降により前記無端ベルトの表面が前記積載部材上に積載された最上位のシート材の上面と接すること、及び、前記上流側の保持ローラの位置を検知することを検知する検知手段を有することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0020】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかのシート分離搬送装置において、使用者がシート材の種類を選択する操作部を備え、該操作部にて選択されたシート材の種類に応じて前記制御手段が前記積載部材の昇降を制御することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0021】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかのシート分離搬送装置において、前記吸着分離ユニットを昇降動させる手段を備え、前記制御手段は、前記積載部材の昇降動作に代えて前記前記吸着分離ユニットを昇降動作を制御することを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0022】
同請求項9に係るものは、請求項8のシート分離搬送装置において、前記吸着分離ユニットの降下動作を自由落下により行わせ、前記調整手段は、前記吸着分離ユニットの自由落下量を規制する移動幅規制手段を備えることを特徴とするシート分離搬送装置である。
【0023】
同請求項10に係る画像形成装置は、画像形成部と、請求項1から9のいずれかのシート分離搬送装置を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、誘電体で構成された無端ベルトを上昇させた時のシート材からの離間量と、離間後の無端ベルトの角度とを、シート材の種類に応じて最適に設定することにより分離搬送性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例1に係るシート分離搬送装置の概略図
【図2】実施例1の吸着分離ユニットの分解斜視図
【図3】同じく組み立て状態の斜視図
【図4】実施例1の装置の待機状態を示す図
【図5】実施例1の装置の底板上昇時の状態を示す図
【図6】実施例1の装置で最上位のシートを吸着した時の状態を示す図
【図7】実施例1の装置で最上位のシート(剛性が大きいもの)を吸着した時の状態を示す図
【図8】図7の状態の時の吸着分離ユニットを示す斜視図
【図9】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の構成を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
誘電体からなる無端ベルトの上昇時のシート材からの離間量、離間後の無端ベルトの角度を、シート材の種類に応じて最適に設定することによって分離搬送性を高めるという目的を、吸着分離ユニットの無端ベルトを保持する複数の保持ローラのうちシート材の搬送方向で上流側に位置する保持ローラを下流側の保持ローラの軸を回転軸とし、かつ、下流側の保持ローラの回転に連れ回りするようにし、上流側の保持ローラには、高さ方向の移動幅を調整する調整手段を配し、シート材の種類に応じて積載部材の昇降動作を制御し、上流側の保持ローラの高さ方向の移動幅を調整することで実現した。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお以下では、記号「^」はべき乗を示す。
【0028】
<実施例1>
図1〜図3に基づいて、吸着分離ユニット15を用いたシート分離搬送装置の構成を説明する。図示のシート分離搬送装置では、ピックアップ部材となる吸着手段として、下流保持ローラ5と上流保持ローラ6とに巻掛けられた誘電体からなる無端ベルト2が使用されている。保持ローラ5、6の駆動は、下流保持ローラ5を駆動し、上流ローラ6は無端ベルト2を介して従動するよう構成してある。上流保持ローラ6を不図示のスプリングにより付勢し、ベルト2に張力を掛けている。無端ベルト2は10^8Ωcm以上の抵抗を有する誘電体例えば厚さ100μm程度のポリエチレンテレフタレート等のフィルムで構成されている。また、下流ローラ5は抵抗値が10^6Ωcmの導電性ゴム層が表面に設けられ、上流ローラ6は金属ローラである。下流ローラ5及び上流ローラ6はともに接地されている。
【0029】
無端ベルト2の給紙方向下流側には、シート1の搬送をガイドするガイド板10と搬送ローラ対11とが設けられている。駆動ローラである下流保持ローラ5は、不図示の駆動モータにより電磁クラッチを介して給紙信号に応じて間欠的に駆動される。搬送ローラ対9とベルト2の線速は同一にされており、搬送ローラ対9がタイミングを取って間欠駆動されているような場合はベルト2も間欠駆動されるように制御される。
【0030】
分離ユニット15には、交流電源4に接続されたローラ電極3が固定され、下流保持ローラ5に巻回された位置で無端誘電体ベルト2に接触している。電源4は交流の他、直流を高低交互の電位に変化させたものでも良く、矩形波、正弦波などが考えられる。また、電極は板状の帯電ブレードでも良い。
【0031】
無端ベルト2は、上流保持ローラ6は下流保持ローラ5の軸を回転中心として上下方向に揺動自在となっている。上流保持ローラ6には自重で回転力が発生するが、下向きに開口している溝型状のストッパ16により、所定の高さより下がらないように揺動角度を規制している。具体的には、ストッパ16の両側のフランジ状の部分に上下方向に向く長孔16aを設け、上流保持ローラ6の軸6aをそれに通し、長孔16aの上下方向の寸法S分だけ上流保持ローラ6が上下動できるようにしてある。また下流保持ローラ5の軸5aは、分離ユニット15の側板15a、15a間に挿通させて回転可能に支持してある。
【0032】
シートトレイ9内にはシートを積載する底板7と、底板7の昇降を行う底板上昇アーム8が設けられている。
【0033】
すなわち本実施例は、図1〜図3において示すように、シート1の積載部である底板7が上下動し、給紙部である分離ユニット15は、上流ローラ6と下流ローラ5に無端ベルト2が掛けまわされた形態で搬送方向下流側(必ずしも下流ローラ5の軸でなくて良い)を中心として上下方向に揺動する構成をとなっている。
【0034】
次に、吸着分離ユニット15の動作を、図4〜図8に基づいて説明する。
吸着分離ユニット15は、通常は図4の位置、状態にて待機しており、図示せぬ画像形成装置等から給紙信号が入ると、まず電磁クラッチが入り下流保持ローラ5が回転駆動する。無端ベルト2にローラ電極3を介して電源4より交番電圧が印加される。すると無端ベルト2の表面には交流電源周波数とベルトの周動速度に応じたピッチ(ピッチは5mm〜15mm程度とするのが好ましい)で交番する電荷パターンが形成される。無端ベルト2の帯電後、下流保持ローラ5の駆動は停止する。
【0035】
その後、不図示の制御手段により底板7の上昇指令が出されると、底板上昇アーム8が底板7を水平に押し上げ、シート1上面とベルト2が近接する方向に移動する。シート1上面がベルト2に接触すると、上流保持ローラ6は下流保持ローラ5を回転軸として上方に回転移動する。そして無端ベルト2がシート1上面に接する図5の位置まで移動すると底板7は所定時間停止し、無端ベルト2に最上位のシート1aが静電吸着される。
【0036】
シート1aの吸着後、底板7は制御手段の指令に基づき下降し、シート1aの上面と無端ベルト2とは離間する方向に移動する。上流保持ローラ6は、ストッパ16により下降量Sが規制されているため、やがて、シート1上面とベルト2は離間する。底板7はさらに下降し、高さHまで下降すると最上位のシート1aと2枚目以降のシート1bが分離される(図6)。
【0037】
ここで、ストッパ16による上流保持ローラ6の回転角度規制量を制御することで、シート1上面に対する無端ベルトの角度βを変えることができる。一般に、シートの剛性が高い場合は、シートの復元力が強くベルト表面から剥がれ落ちやすいため、ベルト角度を小さく設定する方が良い(β>β’)。図7は、図6において取り扱っているシートよりも、より剛性が高いシート1を想定した場合の搬送状態を示す模式図である。
【0038】
また、ベルト2とシート1の離間量hは、ベルト角度β、β’と底板高さHにより決定されるが、シート1の剛性によらず一定値をとる方が分離搬送性能が安定することが知られている。よって、本実施例では、底板7上に積載されたシート1の種類に応じて、底板7の昇降量を制御することで、静電吸着を用いた分離搬送装置の性能に影響が大きい、無端ベルト2とシート1の離間量h、及び、最上位のシート1aの上面に対する無端ベルト2のなす角度の適正化を図ることができる。
【0039】
そして、シート1の分離後、下流保持ローラ5を回転駆動させ、無端ベルト2の進行に伴ってシート1が曲率分離され、ガイド10を通って搬送ローラ対9の方向へ繰り出される。
【0040】
すなわち、本実施例では、吸着分離ユニット15の揺動は自由落下であるが、ストッパ16によって揺動幅を規制するという構成を備えることによって、図6、図7で示されるように、シート1の剛性に応じて積載部である底板7の高さHを可変させつつ、無端ベルト2とシート1の離間量hを一定に保つために、ストッパ16を利用して下降量Sを制御し、最上位のシート1aの上面に対する無端ベルト2の角度を異ならせ、シートの剛性によって必要な角度を異ならせるのである。
【0041】
<実施例2>
実施例1は、底板を上下動させるものであるが、本発明は、吸着手段である吸着分離ユニット15を上下動させる構成であっても構わない。なお、本実施例において吸着分離ユニット15は全体が上下に往復運動する動作を行ってシートの束から最上位のシートをめくる、いわゆるめくり動作を行う。
【0042】
<実施例3>
図9に本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の構成を示す概略断面図である。画像形成装置の一例である複写機51は、主に、原稿読取部52と、画像形成部53と、給紙部54とを備えている。この複写機51では、画像形成部53と給紙部54とは分割可能なものである。また、給紙部54には、シート材給送装置が配置されており、シート材給送装置は、給紙カセット55内に積層されて配置されたシート1の束の最上位のシート1aの上面に接し、図示しない底板上に積載されたシート1の束から最上位のシート1aを吸着、分離して搬送するためのシート分離装置15を備えている。シート分離装置15は、給紙部54に対して着脱可能なユニットとして構成できる。
【0043】
最上位のシート1aは、先の実施例で述べたように、シート分離装置15で吸着され、1枚ずつ給送される。そして分離搬送されたシートは、ローラ対61で移送され、転写装置62において画像形成部53で形成されたトナー画像を転写され、定着器63でトナー画像を熱定着され、排出ローラ64から排紙部65へと排出される。
【0044】
なお、本発明に係るシート分離搬送装置は、上述した複写機だけでなく、他の型式の例えばインクジェット方式の画像形成装置等、種々の画像形成装置に適用でき、また、複写機だけでなく、ファクシミリ、プリンタあるいはこれらの少なくとも二以上の機能を有する複合機にも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1:シート(束)
1a:最上位のシート
1b:次位のシート
2:無端誘電体ベルト
3:電極
4:電源
5:下流保持ローラ(駆動ローラ)
5a:下流保持ローラの軸
6:上流保持ローラ(従動ローラ)
6a:上流保持ローラの軸
7:底板
8:底板上昇アーム
9:シートトレイ
10:ガイド板
11:搬送ローラ対
12:付勢部材(圧縮コイルばね)
13:下流保持ローラ軸受
14:上流保持ローラ軸受
15:吸着分離ユニット
15a:吸着分離ユニットの側板
16:ストッパ
16a:ストッパの長孔
51:複写機
52:原稿読取部
53:画像形成部
54:給紙部
55:給紙カセット
61:ローラ対
62:転写装置
63:定着器
64:排出ローラ
65:排紙部
S:上流保持ローラの下降量
H:底板の高さH
h:無端ベルトとシートの離間量
β、β’:シート上面に対する無端ベルトの角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特許第3159727号公報
【特許文献2】特開2004−26314号公報
【特許文献3】特開2010−89955号公報
【特許文献4】特開2010−269872号公報
【特許文献5】特開平09−278206号公報
【特許文献6】特開2010−269873号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート材を積載可能な積載部材と、
前記積載部材の昇降を制御する制御手段と、
前記積載部材に積載された複数枚のシート材のうちの最上位のシート材を誘電体からなる無端ベルトにより吸着保持する吸着分離ユニットと、
からなるシート分離搬送装置において、
前記吸着分離ユニットは、
前記無端ベルトを保持する複数の保持ローラを備え、
前記保持ローラのうち前記シート材の搬送方向で上流側に位置する保持ローラは、前記シート材の搬送方向で下流側の前記保持ローラの軸を回転軸とし、かつ、該下流側の前記保持ローラの回転に連れ回りし、
前記上流側の保持ローラには、高さ方向の移動幅を調整する調整手段を配し、
前記制御手段は、前記シート材の種類に応じて前記積載部材の昇降動作を制御し、前記上流側の保持ローラの高さ方向の移動幅を調整する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート分離搬送装置において、
前記制御手段は、搬送するシート材の種類に応じて、前記吸着分離ユニットによる吸着開始のための前記積載部材の上昇開始タイミングと下降開始のタイミングを制御する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2のシート分離搬送装置において、
前記吸着分離ユニットは、前記無端ベルトが前記積載部材に積載したシート材の束から離間する際における最上位のシート材の上面に対する前記無端ベルトの角度を規制するストッパ部材を備え、
前記制御手段は、前記離間時に前記上流側の保持ローラと、前記積載部材上の最上位のシート材の上面の離間量が一定に保つように前記シート材の種類に応じて前記積載部材の昇降を制御する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかのシート分離搬送装置において、
前記制御手段は、前記シート材の剛性が高い場合は前記シート材の剛性が低い場合よりも前記無端ベルトの角度を小さく設定する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのシート分離搬送装置において、
前記積載部材の昇降により前記無端ベルトの表面が前記積載部材上に積載された最上位のシート材の上面と接することを検知する第1の検知手段と、
前記上流側の保持ローラの位置を検知する検知手段とを有する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかのシート分離搬送装置において、
前記積載部材の昇降により前記無端ベルトの表面が前記積載部材上に積載された最上位のシート材の上面と接すること、及び、前記上流側の保持ローラの位置を検知することを検知する検知手段を有する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかのシート分離搬送装置において、
使用者がシート材の種類を選択する操作部を備え、
該操作部にて選択されたシート材の種類に応じて前記制御手段が前記積載部材の昇降を制御する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかのシート分離搬送装置において、
前記吸着分離ユニットを昇降動させる手段を備え、
前記制御手段は、前記積載部材の昇降動作に代えて前記前記吸着分離ユニットを昇降動作を制御する、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項9】
請求項8のシート分離搬送装置において、
前記吸着分離ユニットの降下動作を自由落下により行わせ、
前記調整手段は、前記吸着分離ユニットの自由落下量を規制する移動幅規制手段を備える、
ことを特徴とするシート分離搬送装置。
【請求項10】
画像形成部と、請求項1から9のいずれかのシート分離搬送装置を有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−193010(P2012−193010A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57652(P2011−57652)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】