説明

シート剥離装置及び剥離方法

【課題】 ウエハに接着シートを貼付した後に、不要な部分を効率良く剥離できるシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
【解決手段】 剥離シートPSに感熱接着性の接着シートSが積層された原反LSを半導体ウエハWに貼付した後に、半導体ウエハの外周に沿って原反を切断し、半導体ウエハ上に位置する剥離シートPS部分と半導体ウエハ回りの外周側に位置する原反部分S1を剥離するシート剥離装置50。同装置は、ウエハWを支持するテーブル47に対して相対移動可能なロール135を備えており、当該ロールによって剥離テープSTを原反LSに貼付し、その後に巻き取って剥離することで、ウエハWに接着シートSのみを残すようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート剥離装置及び剥離方法に係り、特に、剥離シートに感熱接着性の接着シートが積層された原反を用いて接着シートを半導体ウエハに貼付した後に、当該半導体ウエハ上の接着シートを除く残りの原反部分を剥離若しくは除去することに適したシート剥離装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路面が形成された半導体ウエハ(以下、単に、「ウエハ」と称する)をチップに個片化した後、各チップをピックアップしてリードフレームに接着(ダイボンディング)することが行われている。このダイボンディングは、ウエハ処理工程において、ダイボンディング用感熱接着性の接着シートを予め貼付することにより行われる。
【0003】
ウエハへの接着シートの貼付は、例えば、特許文献1に開示されるように、剥離シートに接着シートが積層された原反を用い、この原反をウエハ上に繰り出してプレスロールで押圧することにより行われる。この貼付を行った後は、ウエハ外周に沿ってカッターを回転させて原反を切断し、原反とウエハとの間に剥離ロールを潜り抜けさせてウエハ回りの原反が回収されるようになっている。そして、ウエハの形状に対応して当該ウエハ上に残された剥離シートに対して剥離用テープを貼付し、この剥離用テープを巻き取ることにより、接着シートをウエハに残した状態で剥離シートのみが剥離できる構成となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−257898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成にあっては、ウエハ回りの原反を除去する工程と、ウエハに貼付された原反部分から剥離シートを剥離する工程の二つの工程が必要となる。そのため、ウエハ回りの原反を除去する装置と、ウエハ上に貼付された原反部分から剥離シートを除去する剥離装置が必要となり、装置構成が極めて複雑になるという不都合がある。しかも、このような装置を用いた各処理の実行により、ウエハ処理時間が長くなって処理効率も低下させてしまう不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、板状体に接着シートを貼付した後に、不要な部分を効率良く剥離できるようにし、装置構成を簡単にするとともに、板状体の加工処理工程の短縮化に寄与することのできるシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、剥離シートの一方の面に接着シートが積層された原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体回りの外周側に位置する原反部分と共に剥離する装置において、
剥離用テープの貼付・巻取部を備え、当該貼付・巻取部は、前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付した状態で、当該剥離用テープを巻き取ることで前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に剥離する、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、剥離シートの一方の面に感熱接着性の接着シートが積層された帯状に連なる原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、原反を幅方向に切断して枚葉状にするとともに、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体の外周側に位置する原反部分と共に剥離する装置において、
剥離用テープの貼付・巻取部を備え、当該貼付・巻取部は、前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付した状態で、当該剥離用テープを巻き取ることで前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に剥離する、という構成を採ることもできる。
【0009】
本発明において、前記貼付・巻取部は、前記板状体を支持するテーブルに対して相対移動可能なロールを含み、当該ロールは、外周に剥離用テープが巻き掛けられた状態で原反上を回転して剥離用テープを剥離シート上に貼付する機能と、前記回転方向と反対側に回転して前記剥離を行う機能とを備えた構成とすることができる。
【0010】
また、前記剥離用テープは、板状体の直径よりも小さい幅に設けられていることが好ましい。
【0011】
更に、前記板状体は半導体ウエハを用いることができる。
【0012】
また、本発明は、剥離シートの一方の面に接着シートが積層された原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体回りに位置する外周側の原反部分と共に剥離する方法において、
前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付する工程と、
前記剥離用テープを巻き取って前記板状体上に接着シートを残した状態で前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に巻き取りながら剥離する工程とを備える、という手法を採っている。
【0013】
更に、前記シート剥離方法における板状体は半導体ウエハを用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、板状体上に位置する剥離シートと外周側の原反部分が同時に剥離若しくは除去できる構成となるため、装置構成を複雑にすることなく剥離を行うことができ、また、その処理時間の短縮化も図ることができる。
更に、板状体を支持するテーブルに対して相対移動可能なロールが剥離用テープを貼付する機能と、剥離用テープを巻き取る機能とを併せ持つ構成であるから、この点からも装置部品点数の削減を図ることができる。しかも、ロールが相対移動する場合に生じ易い他の装置構成部分との位置的な干渉も生じ難いものとなり、構造部品のレイアウトの自由度も拡大可能となる。
また、剥離用テープが幅狭のもので足りるため、材料の量的な無駄を少なく抑制することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、本発明のシート剥離装置及び剥離方法が適用された実施形態に係るウエハ処理装置の平面図が示され、図2には、ウエハ処理工程を経時的に説明するための概略断面図が示されている。これらの図において、ウエハ処理装置10は、UV硬化型保護テープPT(図2参照)が回路面をなす表面に貼付されたウエハWを対象とし、ウエハWの裏面にダイボンディング用感熱接着性の接着シートS(以下「接着シートS」という)を貼付した後に、ダイシングテープDTを介してリングフレームRFにウエハWをマウントする一連の工程を処理する装置として構成されている。
【0017】
前記ウエハ処理装置10は、図1に示されるように、ウエハWを収容するカセット11と、このカセット11から取り出されたウエハWを吸着保持するロボット12と、前記保護テープPTにUV照射を行うUV照射ユニット13と、ウエハWの位置決めを行うアライメント装置14と、アライメント処理されたウエハWの裏面に前記接着シートS(図2参照)を貼付する貼付装置15と、接着シートSが貼付された後のウエハWにダイシングテープDTを貼付してウエハWをリングフレームRFにマウントするテープ貼付ユニット16及び前記保護テープPTを剥離するテープ剥離ユニット17を含むマウント装置18と、保護テープPTが剥離されたウエハWを収納するストッカ19とを備えて構成されている。
【0018】
なお、前記貼付装置15を除く他の構造部分は、本出願人によって既に出願された特願2004−133069号と実質的に同一の構造であり、且つ、同一の作用を奏するものとなっている。従って、以下においては、前記出願と異なる貼付装置15について説明するものとする。
【0019】
前記貼付装置15は、図3及び図4に示されるように、剥離シートPSの一方の面に感熱接着性の接着シートSが積層された帯状の原反LSを用いてウエハWに貼付する機能と、ウエハW上に接着シートSを残した状態となるように、原反LSの残りの部分若しくは領域を剥離する機能を備えて構成されている。この貼付装置15は、ウエハWを支持する貼付テーブル40と、この貼付テーブル40に吸着されたウエハWの裏面側(上面側)に前記接着シートSを仮着する貼付ユニット41と、原反LSをウエハW毎に幅方向に切断して枚葉状にする切断手段43と、貼付テーブル40からウエハWを吸着して移載する移載装置45と(図1参照)、当該移載装置45を介して移載されるウエハWを吸着支持するとともにウエハWの外周側にはみ出ている不要原反部分S1(図6参照)を切断手段43で切断するための外周カット用テーブル47と(図5参照)、当該外周カット用テーブル47に併設されるとともに、仮着された接着シートSをウエハWに完全に接着するための接着用テーブル48と、前記ウエハW上の剥離シートPSと、不要原反部分S1を同時に剥離するシート剥離装置50とを備えて構成されている(図5参照)。
【0020】
前記貼付テーブル40は、上面側が吸着面として形成されているとともに、接着シートSを一定程度に溶融してウエハWに仮着を行うことのできる第1の温度、本実施形態では、略110℃に保たれるようになっている。この貼付テーブル40は、図示省略するが、内側テーブル部と、これを囲む外側テーブル部とを備えて構成されている。内側テーブル部は、ウエハWの支持面をなすように当該ウエハWと略同一平面形状に設けられ、ウエハWを略110℃に保つように構成されている。また、外側テーブル部は内側テーブル部の温度よりも低い温度、本実施形態では、約40℃に保たれるように設けられている。そのため、ウエハWよりも外側にはみ出る不要原反部分S1は弱い接着力で外側テーブル部に接着し、接着シートSをウエハWに貼付したときの当該ウエハW上に皺等を発生させることはない。
【0021】
また、前記貼付テーブル40は、移動装置52を介して前記UV照射ユニット13側からウエハWを受け取り可能な位置と、前記貼付ユニット41の下部領域を通過して外周カット用テーブル47の上方に達する位置との間を往復移動可能に設けられているとともに、昇降装置53を介して上下に昇降可能に設けられている。図5に示されるように、移動装置52は、一対のレール54,54と、これらレール54に案内されて当該レール54上を移動するスライドプレート55と、このスライドプレート55に固定されたブラケット57に螺合する状態で貫通するボールスプライン軸58と、当該ボールスプライン軸58を回転駆動するモータM(図1参照)とを備えて構成され、モータMの正逆回転駆動により貼付テーブル40がレール54に沿って図1中左右方向に往復移動するようになっている。また、昇降装置53は、貼付テーブル40の下面中央部に配置された上下動機構62と、前記スライドプレート55上に固定されたガイドブロック63と、このガイドブロック63に沿って昇降可能な四本の脚部材64とにより構成され、前記上下動機構62が上下方向に沿って進退することにより、貼付テーブル40が昇降してウエハ処理の上流側からウエハWを受け取ることが可能になっている。
【0022】
前記貼付テーブル40の上面には、貼付ユニット41から繰り出される原反LSを幅方向に切断するためのカッター受け溝40Aが形成されているとともに、貼付テーブル40の移動方向に沿う両側面の上部には、ラック65と、当該ラック65の外側面に取り付けられたガイドバー67が設けられている。
【0023】
前記貼付ユニット41は、図3及び図4に示されるように、貼付テーブル40の上方に配置された板状のフレームFの領域内に設けられている。この貼付ユニット41は、ロール状に巻回された原反LSを供給可能に支持する支持ロール70と、原反LSに繰り出し力を付与するドライブロール71及びピンチロール72と、支持ロール70とピンチロール72との間に配置された二つのガイドロール74,74及びこれらガイドロール74,74間に設けられたダンサロール75と、原反LSのリード端領域を貼付テーブル40の上面に押圧してこれを挟み込む押圧部材76と、原反LSをウエハWの裏面側(図3中上面側)に順次押し付けて仮着するプレスロール78と、原反LSの繰り出し方向において、プレスロール78の直前位置に配置されたテンションロール79及びガイドロール80とを備えて構成されている。なお、プレスロール78は加熱手段としてヒーターが内蔵されている。また、押圧部材76の下面側は吸着部を有し、前記原反LSの端部を吸着保持するようになっている。
【0024】
前記ドライブロール71は、フレームFの背面側に設けられたモータM1によって回転駆動されるようになっている。また、押圧部材76、プレスロール78及びテンションロール79は、それぞれシリンダ82,83,84を介して上下に移動可能に設けられている。プレスロール78は、ここでは詳細構造を図示していないが、その回転中心軸86の両端側に、前記ラック65に噛み合う一対のピニオンと、これらピニオンの更に外側位置に設けられて前記ガイドバー67上を回転する一対のコロが配置されている(特願2004−133069号参照)。
【0025】
前記切断手段43は、貼付テーブル40の移動方向に沿って延びるアーム部90と、このアーム部90の先端側(図3中左端側)下面に設けられた一軸ロボット91を介して進退可能に設けられたカッターユニット92とを含む。カッターユニット92は、一軸ロボット91に沿って移動するブラケット94に支持されたカッター上下用シリンダ95と、当該カッター上下用シリンダ95の先端に取り付けられたカッター96とにより構成されている。ここで、カッター上下用シリンダ95は、略鉛直面内において回転可能となる状態でブラケット94に取り付けられおり、これにより、カッター96の先端位置が略鉛直面内で円弧軌跡に沿う状態でカッター刃の角度調整を可能とし、後述する円周切りの時に接着シートSがウエハWよりはみ出さないように設定され、また、前記一軸ロボット91により、アーム部90の延出方向に沿って進退可能とされている。切断手段43は、図1に示されるように、貼付テーブル40の移動方向に対して直交する方向(図1中Y方向)に向けられたガイド97上を、モータM3の駆動により移動可能に支持されている。従って、カッター96の先端が貼付テーブル40のカッター受け溝40Aに入り込む姿勢とされて切断手段43全体がガイド97に沿って移動したときに、原反LSを幅方向に切断して帯状の原反LSがウエハW毎に枚葉化されることとなる。
【0026】
前記移載装置45は、図5に示されるように、ウエハWを下面側に吸着する板状の吸着プレート100と、この吸着プレート100の上面側に設けられた温度調整ユニット101と、吸着プレート100を支持するアーム102と、当該アーム102をY方向に移動させる一軸ロボット105とを含んで構成されている。吸着プレート100は、貼付テーブル40上で原反LSが幅方向に切断されて枚葉状とされた後のウエハWを吸着したときに、第1の温度である仮着時の温度(110℃)となっているウエハWを、例えば、常温に冷却し、接着シートSの粘性を低下若しくは消失させて前記カッター96に接着剤の転移を防止する作用をなす。また、移載装置45は、貼付テーブル40から外周カット用テーブル47にウエハWを移載するとともに、当該外周カット用テーブル47からウエハWを接着用テーブル48に移載し、更に、接着用テーブル48で接着シートSが完全に接着された後のウエハWを次工程に移載する作用をなす。移載装置45は、温度調整ユニット101により、貼付テーブル40から外周カット用テーブル47に移載する間、外周カット用テーブル47から接着用テーブル48に移載する間、接着用テーブル48からマウント装置18に移載する何れの工程においても、ウエハWの温度調整を行い、ウエハを移載してからの温度調整時間を不要としたり、或いは短縮化を図ることができるようになっている。
【0027】
前記一軸ロボット105は、図5に示されるように、前記切断手段43のガイド97の上方位置で当該ガイド97と略平行に配置されている。この一軸ロボット105には、上下方向に直交する方向に延びるシリンダ106と、当該シリンダ106を介して昇降可能な昇降スライダ108が設けられ、当該昇降スライダ108に前記アーム102の基端側(図5中右端側)が連結されている。
【0028】
前記外周カット用テーブル47は、前記移載装置45を介して貼付テーブル40からウエハWを受け取り、これを吸着してウエハW回りの不要原反部分S1を切断手段43で切断するためのテーブルであり、また、以下に詳述するシート剥離装置50でウエハW上の剥離シートPSと不要原反部分S1を同時に剥離する際にウエハWを定位置に支持するためのテーブルである。この外周カット用テーブル47は、本実施形態では第2の温度として常温に保たれるものであり、上面が吸着面として形成されているとともに、ウエハWの外周縁回りに対応する円周溝47Aを備えて構成されている。外周カット用テーブル47は、下面側にモータM4で駆動される回転機構110を介して昇降プレート111上に支持されて平面内で回転可能に設けられている。従って、前記カッター96が円周溝47Aに入り込んで外周カット用テーブル47が回転することにより、原反LSを周方向に切断する機能、すなわち円周切りが達成されることとなる。なお、この周方向への切断は、カッターユニット92を水平面内で回転可能に構成することによっても達成できる。
【0029】
前記外周カット用テーブル47を支持する昇降プレート111は、昇降装置120を介して昇降可能に設けられている。この昇降装置120は、図5に示されるように、昇降プレート111を支持する略L字状の支持体122の背面側に取り付けられたブロック123と、支持体122の両側に連結された一対の昇降側板124と、これら昇降側板124を上下方向にガイドする一対の起立ガイド125と、前記ブロック123を上下方向に貫通して延びるねじ軸126と、このねじ軸126の下端と、起立ガイド125の下端近傍に配置されたモータM5の出力軸にそれぞれ固定されたプーリ127,128と、これらプーリ127,128に掛け回されたベルト129とにより構成され、前記モータM5の駆動によってねじ軸126が回転することで外周カット用テーブル47が昇降可能となっている。
【0030】
前記接着用テーブル48は、図示しないフレームを介して外周カット用テーブル47の側方上部に配置されている。この接着用テーブル48は、上面が吸着面として構成されており、前記移載装置45を介して外周カット用テーブル47からウエハWが移載され、接着シートSが仮着されているウエハWを加熱して当該接着シートSをウエハWに完全に接着するようになっている。本実施形態では、接着用テーブル48は、第3の温度として約180℃に制御される。
【0031】
前記シート剥離装置50は、図6に示されるように、外周カット用テーブル47の側方に配置されている。このシート剥離装置50は、外周カット用テーブル47上のウエハWに貼付されている原反LSのうち、ウエハW上に位置する剥離シートPSと、ウエハWの外周側に位置する不要原反部分S1に剥離用テープSTを貼付して巻き取ることにより、これらを同時に剥離する装置として構成されている。なお、剥離用テープSTは、ウエハWの直径よりも相当に幅狭となる帯状のものが採用され、すなわち、後述する剥離が不都合なく実現できる程度の幅に設けられ、これにより、材料の消費を抑制できるようになっている。
【0032】
前記シート剥離装置50を更に詳述すると、図6に示されるように、シート剥離装置50は、角柱部材を縦横に結合して略直方体の外形をなすように設けられたベースフレームBFと、このベースフレームBFの上部で略鉛直面内に配置された支持プレート130と、当該支持プレート130に回転可能に支持されたロール状の剥離用テープSTを繰出可能に支持する繰出ロール132と、この繰出ロール132から繰り出された剥離用テープSTをガイドする上部ガイドロール133及び下部ガイドロール134と、下部ガイドロール134を経て繰り出される剥離用テープSTを不要原反部分S1とウエハ上の剥離シートPSを跨ぐように貼付する機能及び貼付された剥離用テープSTを巻き取る機能とを備えた貼付・巻取部を構成するロール135と、このロール135を軸方向両側で回転可能に支持するブラケット137を上下方向に移動させるシリンダ139を備えた支持アーム140と、前記ロール135をウエハWの面に沿って相対移動させるように前記支持アーム140を支持する一軸ロボット142と、前記剥離用テープSTを巻き取る巻取ロール144とを備えて構成されている。
【0033】
前記繰出ロール132の側方位置には、正逆回転可能なモータM6が配置されている。このモータM6の出力軸と繰出ロール132の軸回りにはプーリ146,147が固定され、これらのプーリ146,147間にベルト149が掛け回されて繰出ロール132が正逆回転可能に設けられている。また、上部ガイドロール133は、支持プレート130の背面側に配置されたモータM7により回転可能に設けられ、上部ガイドロール133の外周面に接する位置にピンチロール151が配置されている。このピンチロール151はシリンダ153を介して上部ガイドロール133に対して離間接近可能に設けられている。なお、前記支持アーム140は、平面形状が略L字状をなし、その一辺側が一軸ロボット142のレール部142Aに沿って移動可能に設けられている。
【0034】
前記巻取ロール144は、揺動アーム154の自由端側に支持されている。揺動アーム154は、その基部がベースフレームBFの下部に配置されたブラケット155に支持され、当該ブラケット155と回転アーム154との間に設けられたコイルスプリング156により自由端側が図7中反時計方向に付勢されて駆動ロール158の外周面に接するように設けられている。この駆動ロール158の回転軸には図示しないプーリが固定されており、ブレーキ付きモータM8の出力軸に固定されたプーリ160との間に掛け回されたベルト161を介して回転するように設けられている。なお、図7中符号162は、ガイドロールを示す。
【0035】
次に、前記シート剥離装置50による剥離方法を含むウエハ処理工程の全体的な動作について説明する。
【0036】
回路面に保護テープPTが貼付されたウエハWがロボット12によってUV照射ユニット13に移載されて所定のUV処理を受け、UV硬化処理後のウエハWは、再びロボット12を介してアライメントテーブル34に移載されてアライメント処理が行われる。その後再びロボット12を介して当該ウエハWが貼付テーブル40に移載される。この時、前記保護テープPTがテーブル面に接する状態で吸着される。従って、この状態では、ウエハWの裏面が上面側となる。
【0037】
図3に示されるように、貼付テーブル40が貼付ユニット41の所定位置に移動すると、押圧部材76の下面側に吸着保持されている原反LSのリード端領域が、押圧部材76の下降によって貼付テーブル40の上面に当接することとなる。この当接完了後に、プレスロール78が下降してウエハWの上面との間に原反LSを挟み込み、ウエハW領域以外の不要原反部分S1は外側テーブル部に当接することとなる。次いで、押圧部材76が吸着を解除して上昇する。
【0038】
貼付テーブル40が図3中右側に移動してプレスロール78が回転するとともに、順次繰り出される原反LSの接着シートSがウエハWの上面に貼付されることとなる。この貼付に際しては、ウエハWの外周よりはみ出る不要原反部分S1が、外側テーブルに弱い接着力で接着しているため、プレスロール78がウエハW上を回転しているときに、原反LSのテンションとプレスロール78の押圧力によって引っ張られることにより皺を発生させるような不都合は生じない。なお、プレスロール78は内蔵する加熱手段であるヒーターによって略110℃を維持するように制御されている。
【0039】
このようにして原反LSの接着シートS部分がウエハWに貼付されて、図4に示すように前記押圧部材76がカッター受け溝40Aを通過した直後の上方位置に至ると、貼付テーブル40は、外周カット用テーブル47の略真上位置に到達することとなる。そして、押圧部材76が下降して原反LSを貼付テーブル40に当接させる。この後、切断手段43のカッター96が前記カッター受け溝40A内に入り込み、カッターユニット92を支持しているアーム部90が図4中紙面直交方向に移動して原反LSを幅方向に切断して枚葉状にする。この切断が完了すると、前記押圧部材76は当該押圧部材76の下面側に位置する原反LSを吸着して上昇位置に戻り、次のウエハWへの接着に備える。また、切断手段43は、カッター上下用シリンダ95の上昇により、カッター96の刃先位置が上昇する位置に変位し、貼付テーブル40の上面位置から離れる方向、すなわち、図4中上方に向かって退避することとなる。
【0040】
次いで、前記移載装置45の吸着プレート100が一軸ロボット105の作動とシリンダ106の下降によって貼付テーブル40の上方に位置するように移動し、吸着プレート100の面位置を下降させて原反LSが貼付されたウエハWを吸着保持する。これにより、貼付テーブル40は、次の処理対象となるウエハWを吸着保持する元の位置(図3参照)に移動すると同時に、外周カット用テーブル47が上昇して当該カット用テーブル47の上面に、吸着プレート100に吸着されているウエハWが移載される。この際、貼付テーブル40にて仮着温度となったウエハWは、吸着プレート100に吸着されている間に温度調整作用(冷却作用)を受けて、略常温まで降温された状態に保たれる。
【0041】
外周カット用テーブル47にウエハWが移載されて吸着保持されると、移載装置45は、外周カット用テーブル47の上方位置から離れる方向に移動する一方、切断手段43が外周カット用テーブル47上に移動する。そして、一軸ロボット91を所定量移動させ、カッター上下用シリンダ95を下降させることによってカッター96がウエハWの外周縁に略対応した位置で下方に突き抜けて先端が円周溝47A内に受容される。この状態で、外周カット用テーブル47が回転機構110によって水平面内で回転し、カッター96を介してウエハWの外周より外側にはみ出ている不要原反部分S1を周方向に沿って切断する(図8(A),(B)参照)。この切断が終了すると、切断手段43は、外周カット用テーブル47の上方位置から再び退避する位置に移動する一方、剥離装置50によって以下に説明する剥離処理が行われることとなる。
【0042】
すなわち、シート剥離装置50は、初期位置でロール135が図1の状態すなわち外周カット用テーブル47に対して右側に後退した位置にあり、剥離動作に際して、一軸ロボット142により外周カット用テーブル47側に前進するようになっている。ロール135が前進する際には、モータM6が剥離用テープSTを繰り出す方向に回転するとともに、モータM7によって上部ガイドロール133とロール135との間の剥離用テープSTに一定のテンションを付与することとなる。この時ブレーキ付きモータM8は、ブレーキがかけられ、ロック状態となっている。ロール135が不要原反部分S1の右端上部(図8(B)参照)に達すると、シリンダ139によってロール135が下降し、剥離用テープSTがウエハWの径方向に沿って剥離シートPSの図8(C)中左右全領域に貼付される。つまり、剥離用テープSTが不要原反部分S1とウエハW上の剥離シートPS部分を跨ぐように貼付される。次に、前記モータM6及びM7が反転するとともに、ロール135が剥離用テープSTを貼付する時とは逆の方向に回転しながら初期位置に戻ることとなり(図8(D)参照)、これにより、不要原反部分S1と共にウエハW上の剥離シートPS部分を同時に剥離することとなる(図8(E)参照)。そして、剥離が完了した時に、ブレーキ付きモータM8のロックが解除され、駆動ロール158が当該モータによって回転し、巻取ロール144側に巻き取られるとともに、繰出ロール132が原反LSの繰出方向に回転し、これにより、剥離用テープSTによって剥離された原反LSの不要な部分若しくは領域が巻き取られることとなる。巻き取りが進むにつれ、回転アーム154は、図7の矢印方向に遥動し、二点鎖線で示すように巻き取りが行われる。
【0043】
以上の剥離が完了すると、移載装置45が外周カット用テーブル47上に移動し、再びウエハWを吸着した後に当該ウエハWを温度調整ユニットを介して完全接着に必要な温度に上昇させながら接着用テーブル48の上面に移載する。
【0044】
接着用テーブル48に移載されたウエハWは、当該接着用テーブル48が第3の温度となる略180℃を維持するように制御されていることで、接着シートSがウエハWに完全に接着する作用を受けることとなる。そして、所定時間経過後に、前記移載装置45の吸着プレート100によってウエハWが吸着されて再び常温に戻す温度調整作用を受ける。
【0045】
移載装置45に吸着されている間に温度降下したウエハWは、マウント装置18側に移載されダイシングテープDTを介してリングフレームRFにマウントされ、その後に保護テープPTの剥離を剥離してストッカに収納され、ウエハ処理の一連の動作を完了する。なお、マウント工程以後の処理については、前述した特願2004−133069号と同一である。
【0046】
このような本実施形態によれば、ウエハ上に位置する剥離シートと外周側の原反部分が同時に剥離若しくは除去できる構成となるため、装置構成を複雑にすることなく剥離を行うことができ、ウエハ処理時間の短縮化も図ることができる。また、前記プレスロールの押圧力により、ウエハWに接着シートSを貼付するに際し、剥離シートPSに積層された原反LSの状態で貼付する構成としたから、つまり、接着シートSを貼付する前段階で接着シートSと剥離シートPSとを分離しない構成としたから、プレスロール78と接着シートSとの間に剥離シートPSが介在した状態で貼付圧力を受けるため、接着シートSがプレスロール78によって傷ついてしまうおそれも確実に防止することが可能となる。
【0047】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0048】
例えば、前記実施形態では、剥離シートPSの一方の面に接着シートSが積層された帯状の原反LSを用いた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め枚葉状に設けられた原反を採用してウエハWに接着シートSを貼付して不要な部分を剥離するようにしてもよい。
また、シート剥離装置50は、実質的に同様の作用を生じさせることができるものであれば、装置各部の構成、レイアウト等を任意に変更してもよい。
更に、前記接着シートSは、ダイボンディング用のシートに限定されるものではなく、貼付して保護膜を形成する保護用シートであってもよい。
また、板状体としては、半導体ウエハに限らず、光ディスクや、DVD等の情報記録媒体でもよく、板状体の平面形状は円形の対象物だけでなく、偏光板等の多角形のものでもよい。これらの板状体を処理対象とする場合の接着シートとしては、両面粘着シート等を用いることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係るシート剥離装置及び剥離方法が適用されたウエハ処理装置の全体構成を示す概略平面図。
【図2】ウエハ処理工程を経時的に説明するための概略断面図
【図3】原反の接着シートを仮着する初期段階を示す概略正面図。
【図4】前記接着シートを仮着して原反を幅方向に切断するときの概略正面図。
【図5】本実施形態の要部概略斜視図。
【図6】シート剥離装置の概略拡大斜視図。
【図7】シート剥離装置の概略正面図。
【図8】(A)〜(E)は、前記シート剥離装置による剥離工程を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0050】
47 外周カット用テーブル
50 シート剥離装置
135 貼付・巻取部を構成するロール
PS 剥離シート
S 接着シート(感熱接着性の接着シート)
S1 不要原反部分
LS 原反
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シートの一方の面に接着シートが積層された原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体回りの外周側に位置する原反部分と共に剥離する装置において、
剥離用テープの貼付・巻取部を備え、当該貼付・巻取部は、前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付した状態で、当該剥離用テープを巻き取ることで前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に剥離することを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
剥離シートの一方の面に感熱接着性の接着シートが積層された帯状に連なる原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、原反を幅方向に切断して枚葉状にするとともに、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体の外周側に位置する原反部分と共に剥離する装置において、
剥離用テープの貼付・巻取部を備え、当該貼付・巻取部は、前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付した状態で、当該剥離用テープを巻き取ることで前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に剥離することを特徴とするシート剥離装置。
【請求項3】
前記貼付・巻取部は、前記板状体を支持するテーブルに対して相対移動可能なロールを含み、当該ロールは、外周に剥離用テープが巻き掛けられた状態で原反上を回転して剥離用テープを剥離シート上に貼付する機能と、前記回転方向と反対側に回転して前記剥離を行う機能とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のシート剥離装置。
【請求項4】
前記剥離用テープは、板状体の直径よりも小さい幅に設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のシート剥離装置。
【請求項5】
前記板状体は半導体ウエハであることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のシート剥離装置。
【請求項6】
剥離シートの一方の面に接着シートが積層された原反を繰り出して前記接着シートを板状体に貼付した後に、板状体の外周に沿って原反を切断し、板状体上に位置する剥離シート部分を板状体回りに位置する外周側の原反部分と共に剥離する方法において、
前記板状体上に位置する剥離シート及び前記外周側に位置する剥離シートに跨るように剥離用テープを貼付する工程と、
前記剥離用テープを巻き取って前記板状体上に接着シートを残した状態で前記板状体上に位置する剥離シートを前記外周側に位置する原反部分と共に同時に巻き取りながら剥離する工程とを備えたことを特徴とするシート剥離方法。
【請求項7】
前記板状体は半導体ウエハであることを特徴とする請求項6記載のシート剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−13104(P2006−13104A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187518(P2004−187518)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】