シート打ち抜き型用の面版
【課題】 シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋や凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、シートの材質や厚みやその内部構成に応じた変更が容易な構造の面版を提供する。
【解決手段】 面版1は、押罫部材25に相対する位置に溝が形成された基板2と当該溝の複数個所の底面上に貼り付けられたテープ3とからなり、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部に対応した窪み3cが形成され、シート100の凸ライン102にテープ3が当接する構成となっている。
【解決手段】 面版1は、押罫部材25に相対する位置に溝が形成された基板2と当該溝の複数個所の底面上に貼り付けられたテープ3とからなり、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部に対応した窪み3cが形成され、シート100の凸ライン102にテープ3が当接する構成となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート打ち抜き型用の面版に関し、特に紙器を組み立てるためにシートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に使用される面版に関する。
【背景技術】
【0002】
紙類や、紙類と樹脂や金属等との複合材料からなるシートを打ち抜き折り曲げて貼り合わすことで形成される紙器(包装容器、箱体)は、軽量で持ち運びに便利であり、食品業界、電子部品業界、自動車関連業界など、多くの産業分野で普及している。
【0003】
図14に示す従来の打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザー加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の溝と押罫部材25用の溝とを形成し、それぞれの溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。
【0004】
打抜き加工の際には、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、受け型21を上昇させて次に降下させ、打抜き加工する(図14を参照)。つまり、打抜刃26で所定の形状に裁断するとともに、押罫部材25によって所要部に折り筋101を複数刻設し、ブランク(打ち抜いたシート)100を形成する。次にブランク100の折り筋101に沿って谷折りし糊代を貼り合わせることで紙器を組み立てる(図14を参照)。
【0005】
図14に示す従来の打ち抜き型22では、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与するに際して、より正確な折り筋101の刻設のために、上記押罫部材25に対応する位置に溝201が形成された面版200を、打抜機19の受け型21の上面21aに取り付けている。つまり、面版200に所定の溝201を形成することによって、折り筋101の反対側に、押罫部材25によって下方に押されたシート100が所定形状のライン102(図14では凸形状)を形成することとなり、押罫部材25によってブランク100にかかるダメージを低減し、ブランク100の折り曲げを容易にしている。
【0006】
前記面版200は、板状やフィルム状の基板からなり、近年、基板の裏面に接着剤を塗布することで、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な面版も市場に出回っている(特許文献1を参照)。これらの面版200は、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂等の合成樹脂製からなり、打ち抜き型22を製作する為のCADデータからNC加工機により打ち抜き型22の押罫部材25に対応する位置に溝201を削り加工し、打抜刃26が当接する部位が外周となるよう切除して製作される。
【0007】
前記面版200を受け型21に取り付ける方法としては、例えば特許文献2に示す方法があり、転移位置決め治具29を、打ち抜き型(雄型)の位置決め孔に挿脱可能に挿入する等して、受け型21の上に転移部材12を転移させ、これらの転移部材12の外周が面版200に設けた貫通穴212となるように位置合わせして、受け型21の上面21aに接着剤で接着する方法が知られている(図14ないし図16を参照)。
【0008】
ダンボール等の厚みの大きなシート100の場合、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102がはっきりせず、シート100が折り筋101にて折り曲げ難いことがあり、問題視されていた。そこで、本願出願人は、特許文献3に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102(特許文献3では凹ライン)に相対する位置に、押し潰し具をカッティングプレート上(平板上)に貼着する構成を考案した。
【0009】
この一方で、シート100の材質が、ダンボール等の変形がし難い材質の場合には、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、面版200に形成された溝201の角部に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102の根元が押し付けられることで、局部的に荷重負荷が大きくなり易く、シート100の曲げ強度や引っ張り強度を超える荷重負荷となったときには、シート100の所定形状のライン102の根元等が座屈して表層割れする等の不具合が生じてしまい、問題視されていた。そこで、本願出願人は、特許文献4に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102に相対する位置に、凸形状、台形形状、山形形状、溝部を有する台形形状を呈する折り罫テープを薄い基板シート上(平板上)に貼着する構成を考案した。特許文献4によれば、前記折り罫テープの形状が凸形状の場合は、シート100の所定形状のライン102は凹ラインとなる。また例えば、前記折り罫テープの形状が凹形状の場合は、シート100の所定形状のライン102は凸ラインとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−107354号公報
【特許文献2】特開2010−30040号公報
【特許文献3】実用新案登録第3114009号公報
【特許文献4】実用新案登録第3132946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープは、いずれも平板上に貼着されており、前記シートが当接する際の当接角度によっては前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれることがあり、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性が十分であるとは言い難い。
【0012】
また、前記シートには、紙、ダンボール、コーティング紙に加えて、複数の紙類や紙類と樹脂や金属との複合材料等があり、シートの材質や厚みやその内部構成と、打ち抜き型との関係(相性)によっては、前記押し潰し具や前記折り罫テープの寸法形状を変更する必要がある。しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープが強固に固定されている場合、取り外しが困難であり変更し難い。また、前記押し潰し具や前記折り罫テープが接着剤(粘着剤)にて単純に固定されている場合、上述のように前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれ易いという問題点がある。
前記シートのうちダンボールは、ライナーに波型に加工した中芯を貼り付けてその裏側をライナーで補強した内部構成であることから、シート内に空洞が多く形成される。このため、特にダンボールの場合は、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点が生じ易い。
【0013】
そこで本発明の目的は、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、シートの材質や厚みやその内部構成に応じた変更が容易な構造の面版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することを特徴とする。
【0015】
本発明では、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝の形状を変えるために溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。そして、本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することで、前記テープに形成された窪みの形状に沿ってシートの凸ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0016】
本発明は、前記押罫部材の下方への突出量が比較的大きい位置の前記テープの厚みを、前記押罫部材の下方への突出量が比較的小さい位置の前記テープの厚みよりも小さく設定することを特徴とする。
【0017】
前記押罫部材は打ち抜き型に複数配置されており、前記押罫部材の下方への突出量には個体差がある。本発明では、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凸ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0018】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することを特徴とする。
【0019】
本発明では、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝の形状を変えるために溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。そして、本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することで、前記テープに形成された突起の形状に沿ってシートの凹ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0020】
前記押罫部材は打ち抜き型に複数配置されており、前記押罫部材の下方への突出量には個体差がある。本発明では、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凹ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0021】
前記基板の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属が挙げられるが、加工の容易性や、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を密着させるための変形の容易性の観点から、前記基板は、板状又はフィルム状の樹脂製が好ましい。そして、前記テープの材質としては、前記基板と同質の材料でもよいが、前記シートの凸ラインを傷めない観点からは、前記テープは前記基板よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であることが好ましい。
本発明によれば、前記テープが前記シートの凸ラインと前記基板との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れする等の不具合を防止する。
【0022】
好ましくは、前記テープは前記基板のすべての溝に貼り付けられ、前記シートに加わる荷重負荷を最適なものとする。
【0023】
本発明は、前記テープ上に所定形状の窪みが形成されている場合、前記窪みの両側の肉厚部から外側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、前記シートの凸ラインの頂部から根元にかけてのスロープに合わせてより広い範囲で前記テープの上面が当接し易くなり、前記シートの凸ラインに加わる荷重負荷を前記テープの上面のより広い範囲で受けることで分散させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。本発明によれば、シートに凸ラインを形成する場合には、前記テープに形成された窪みの形状に沿ってシートの凸ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。また、シートに凹ラインを形成する場合には、前記テープに形成された突起の形状に沿ってシートの凹ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0025】
本発明によれば、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凹ラインまたは凸ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0026】
本発明によれば、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋や凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、シートの材質や厚みやその内部構成に応じた変更が容易な構成となり、高品質の紙器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態の面版を示す図である。
【図2】上記実施形態の面版におけるテープと基板との関係を示す図である。
【図3】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、(a)はシートを打ち抜く前の状態を示す図であり、(b)はシートを打ち抜くときの状態を示す図であり、(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図4】上記実施形態の面版と押罫部材との関係を示す図である。
【図5】上記実施形態の面版と押罫部材との関係の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の面版を示す図である。
【図7】上記実施形態の面版におけるテープと基板との関係を示す図である。
【図8】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、(a)はシートを打ち抜く前の状態を示す図であり、(b)はシートを打ち抜くときの状態を示す図であり、(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図9】上記第1の実施形態の面版の他の例と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図である。
【図10】上記第1の実施形態の面版の他の例と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図である。
【図11】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との上記と異なる関係を示す側面図である。
【図12】上記実施形態の面版における、テープの他の例を示す図である。
【図13】上記実施形態の面版の他の例を示す図である。
【図14】従来の面版と、シートと打ち抜き型と受け型との関係を示す図である。
【図15】従来の打ち抜き型を、その刃先を手前側にした状態で例示する図である。
【図16】従来の受け型を、その面版を手前側にした状態で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施の形態の面版1は、板状又はフィルム状の樹脂製の基板2と、基板2に取り付けられた樹脂製のテープ3とから構成される(図1から図3)。基板2の裏面2b並びにテープ3の裏面3bには、それぞれ、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。基板3の外周は、打抜刃26が直接上から当たらないように打抜刃26よりも一回り小さくなっている。そして、基板2の上面2b側には、押罫部材25に相対する位置に複数の溝2cが形成され、形成された溝の底面2c上にテープ3が貼り付けられている。なお、符号213は、面版1を受け型21に貼り合わせる際の方向を指し示すマークである。
【0030】
図2は、本実施の形態の面版1におけるテープ3と基板2との関係を示す図である。基板2には、フライス盤等による機械加工によって溝2cが形成されており、溝の幅が符号2w、溝の深さが符号2r、基板2の厚みが符号2tで示される。テープ3には、その上面に樹脂成形された窪み3cが形成されており、窪み3cの深さが符号3r、テープ3の全体厚みが符号3tで示される。本実施形態では、テープ3の幅3uが基板2の溝の幅2wと同じか少し小さめに設定される。これは、テープ3を基板2の溝の底面2c上に貼り付け易くし、正確な位置に貼り付けるためである。
【0031】
本実施形態では、テープ3の全体厚み3tが基板2の溝の深さ2rよりも大きく設定されており、テープ3の上面3aが基板2の上面2aから突出している(図3)。これは、シート100の凸ライン102の根元にテープ3の上面3aを確実に当接させるためである。そして、テープ3の上面2aには、窪み3cの両側の肉厚部から幅方向の外側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されている(図3)。これは、シート100の凸ライン102の頂部から根元にかけてのスロープに合わせてより広い範囲でテープ3の上面が当接し易くすることで、シート100の凸ライン102に加わる荷重負荷をテープ3の上面3aのより広い範囲で受けて負荷を分散させる狙いがある。
【0032】
本実施形態では、基板2が板状又はフィルム状の樹脂製であり、テープ3が基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製である。例えば、基板2をフェノール樹脂とし、テープ3をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又はゴムとする。また例えば、基板2をポリカーボネートとし、テープ3をポリエチレン又はゴムとする。本実施形態によれば、テープ3が基板2よりも柔らかいことで、テープ3がシート100の凸ライン102と基板3との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合を防止する。
【0033】
図3は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21との関係を示す側面図である。図3(a)はシート100を打ち抜く前の状態を示しており、図3(b)はシート100を打ち抜くときの状態を示しており、図3(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示している。ここでのシート100はダンボールを例示している。シート100の打抜き加工に使用される打ち抜き型22は、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザー加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の溝と押罫部材25用の溝とを形成し、それぞれの溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。一般に、打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。面版1における基板2に貼り付けられたテープ3の窪み3cの幅3wと、相対する押罫部材25の幅25wとは近似した値となっており、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部に対応した窪み3cとなっている。
【0034】
シート100の打抜き加工では、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、受け型21を上昇させて次に降下させ、打抜き加工するか、又は、打ち抜き型22を下降させて次に上昇させ、打抜き加工する(図3)。
【0035】
打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており(図3(a))、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際には、ゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ(図3(b))、折り筋101を付与することとなる(図3(c))。そして、押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部がテープ3の窪み3cの底面に当接して変形しすぎない程度の深さで窪み3cが形成され、前記シート100の凸ライン102の根元にテープ3の上面3cが当接する(図3(b))。つまり、テープ3の窪み3cによって、前記シート100の凸ライン102の頂部を潰さないようにしつつ、前記シート100の凸ライン102の根元に前記テープ3の上面3aが当接することで、前記シート100が表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合が生じ難い。
【0036】
図4と図5は、本実施形態の面版1におけるテープ3と押罫部材25との関係を示す図である。押罫部材25は打ち抜き型22に複数配置されており、打ち抜き型22の下面22cからの押罫部材25の下方への突出量には個体差がある。例えば、図4と図5では、左側の押罫部材251の突出量25h1が右側の押罫部材252の突出量25h2よりも大きい。そこで、本実施形態では、下方への突出量が比較的大きい押罫部材251に対しては、テープ31の厚み31tを比較的薄くして対応し、下方への突出量が比較的小さい押罫部材252に対しては、テープ32の厚み32tを比較的厚くして対応する。つまり、受け型21の上面21aからテープ31の窪みの底面31cまでの高さ3h1が、受け型21の上面21aからテープ32の窪みの底面32cまでの高さ3h2よりも大きく設定される。そして、テープ3と押罫部材25との関係は、寸法25h1と寸法3h1との差が、寸法25h2と寸法3h2との差と等しい値に設定される(|(25h1−3h1)|=|(25h2−3h2)|)。
【0037】
ここで、図4においては、厚みの異なるテープ31とテープ32とを使用したが、図5では、1種類の厚みのテープ31にて対応している。つまり、高さ3h1が、高さ3h2よりも大きく設定されように、右側のテープ31の下面に所定厚みのテープ4を貼り付けている。そして、テープ3と押罫部材25との関係は、寸法25h1と寸法3h1との差が、寸法25h2と寸法3h2との差と等しい値に設定される(|(25h1−3h1)|=|(25h2−3h2)|)。
【0038】
本実施形態によれば、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材25に対しては、テープ3の厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材25に対しては、テープ3の厚みを比較的厚くして対応し、シート100の凸ライン102への負荷のばらつきを抑える。本実施形態では、テープ3を基板2に形成されたすべての溝の底面2c上に貼り付けることで、シート100に加わる荷重負荷の値を最適なものとする。
【0039】
上記実施形態に加えて、押罫部材25の下方への突出量を比較的大きくしてシート100の折り筋101を深くし凸ライン102を大きくしたいときには、テープ3の中央ラインに第1の溝2cよりも深い第2の溝3eを追加工することでテープ3を分断したテープ34として対応してもよい(図9)。また、押罫部材25の幅が細い場合には、押罫部材25の幅の大きさに合わせて、テープ3の中央ラインに第1の溝2cよりも深い第2の溝3eを追加工し、テープ3の窪み3cの内側に第2の溝3eを形成して複数段の溝とすることもできる(図10)。
【0040】
また、上記実施形態に加えて、例えば、前記テープ3を基板2に形成された溝のうち、紙器の底面を構成する4つの溝2c上にのみ貼り付けることで、紙器の底面の形状を特に安定させることでもよい(図13)。
【0041】
上述した第1の実施形態におけるテープ3は、図12(a)、(b)の形状としてもよい。例えば、図12(a)に示すテープ35の窪み35cは半球状又はすり鉢状に窪んでおり、図12(b)に示すテープ36の窪み36cは押罫部材25の先端形状に近い窪み形状となっている。テープ35の場合は、緩やかな凸ライン102となり、テープ36の場合は、鋭い凸ライン102となる。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施の形態の面版1は、第1の実施形態と同じく、板状又はフィルム状の樹脂製の基板2と、基板2に取り付けられた樹脂製のテープ3とから構成される(図6から図8)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0043】
図7は、本実施の形態の面版1におけるテープ33(3)と基板2との関係を示す図である。基板2には、フライス盤等による機械加工によって溝2cが形成されている。テープ33は山形状の突起3dを有し、テープ3の全体厚み3tが基板2の溝の深さ2rよりも大きく設定されており、テープ3の上面3aが基板2の上面2aから突出している(図8)。
【0044】
本実施形態によれば、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、シート100の凸ラインの頂部を積極的に押圧することで凹ライン103を形成し、押罫部材25によるシート100の折り筋101の深さをシート100が表層割れしない程度に浅くしてもシート100を折り曲げし易いような折り筋101及び凹ライン103とすることができる(図8(b)(c))。
【0045】
上述した第1の実施形態と第2の実施形態における基板2は、板状又はフィルム状の樹脂製が好ましく、より具体的な材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂が挙げられる。これは、加工の容易性に加え、平板の受け型21のみならず円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合に基板2とローラ29との面同士を密着させるための変形の容易性の観点から設定されており、さらに、テープ3が基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であることで、ロータリー式打ち抜き機への取り付けも容易である(図11)。
【0046】
上述した第2の実施形態におけるテープ3は、図12(c)、(d)の形状としてもよい。例えば、図12(c)に示すテープ37の突起37dは角が付いた四角形状であり、図12(d)に示すテープ38の突起38dは押罫部材25の先端形状に近い突起形状となっている。テープ37の場合は、幅をもたせた凹ライン103となり、テープ38の場合は、折り筋101とよく似た形状の凹ライン103となる。
【0047】
上述した本実施の形態では、面版1における基板3の外周は、打抜刃26が直接上から当たらないように打抜刃26よりも一回り小さくなっているとしたが、打抜刃26に相対する位置に、溝2cよりも深い溝を形成して打抜刃26の刃先を逃がす構造としてもよい。さらには、打抜刃26に相対する位置に、溝2cよりも深い溝を形成し、硬質金属製の凹部材を嵌め込むことで打抜刃26の刃先を硬質金属製の凹部材の内側側面に沿わせて逃がしつつ、シートを切断する構造とすることもできる。また、テープ3の厚みのみならず、テープ3の材質を溝2cの位置によって適宜異ならせることも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1,11 面版、
2 基板、
2c 溝(第1の溝)、
3 テープ、
3c 窪み、
3e 第2の溝、
19 打抜機、
21 受け型、
22 打ち抜き型、
25 押罫部材、
26 打抜刃、
27 ゴム部材、
100 シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート打ち抜き型用の面版に関し、特に紙器を組み立てるためにシートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に使用される面版に関する。
【背景技術】
【0002】
紙類や、紙類と樹脂や金属等との複合材料からなるシートを打ち抜き折り曲げて貼り合わすことで形成される紙器(包装容器、箱体)は、軽量で持ち運びに便利であり、食品業界、電子部品業界、自動車関連業界など、多くの産業分野で普及している。
【0003】
図14に示す従来の打ち抜き型22は、シート100の打抜き加工に使用され、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザー加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の溝と押罫部材25用の溝とを形成し、それぞれの溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。
【0004】
打抜き加工の際には、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、受け型21を上昇させて次に降下させ、打抜き加工する(図14を参照)。つまり、打抜刃26で所定の形状に裁断するとともに、押罫部材25によって所要部に折り筋101を複数刻設し、ブランク(打ち抜いたシート)100を形成する。次にブランク100の折り筋101に沿って谷折りし糊代を貼り合わせることで紙器を組み立てる(図14を参照)。
【0005】
図14に示す従来の打ち抜き型22では、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与するに際して、より正確な折り筋101の刻設のために、上記押罫部材25に対応する位置に溝201が形成された面版200を、打抜機19の受け型21の上面21aに取り付けている。つまり、面版200に所定の溝201を形成することによって、折り筋101の反対側に、押罫部材25によって下方に押されたシート100が所定形状のライン102(図14では凸形状)を形成することとなり、押罫部材25によってブランク100にかかるダメージを低減し、ブランク100の折り曲げを容易にしている。
【0006】
前記面版200は、板状やフィルム状の基板からなり、近年、基板の裏面に接着剤を塗布することで、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な面版も市場に出回っている(特許文献1を参照)。これらの面版200は、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂等の合成樹脂製からなり、打ち抜き型22を製作する為のCADデータからNC加工機により打ち抜き型22の押罫部材25に対応する位置に溝201を削り加工し、打抜刃26が当接する部位が外周となるよう切除して製作される。
【0007】
前記面版200を受け型21に取り付ける方法としては、例えば特許文献2に示す方法があり、転移位置決め治具29を、打ち抜き型(雄型)の位置決め孔に挿脱可能に挿入する等して、受け型21の上に転移部材12を転移させ、これらの転移部材12の外周が面版200に設けた貫通穴212となるように位置合わせして、受け型21の上面21aに接着剤で接着する方法が知られている(図14ないし図16を参照)。
【0008】
ダンボール等の厚みの大きなシート100の場合、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102がはっきりせず、シート100が折り筋101にて折り曲げ難いことがあり、問題視されていた。そこで、本願出願人は、特許文献3に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102(特許文献3では凹ライン)に相対する位置に、押し潰し具をカッティングプレート上(平板上)に貼着する構成を考案した。
【0009】
この一方で、シート100の材質が、ダンボール等の変形がし難い材質の場合には、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、面版200に形成された溝201の角部に、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102の根元が押し付けられることで、局部的に荷重負荷が大きくなり易く、シート100の曲げ強度や引っ張り強度を超える荷重負荷となったときには、シート100の所定形状のライン102の根元等が座屈して表層割れする等の不具合が生じてしまい、問題視されていた。そこで、本願出願人は、特許文献4に示すように、押罫部材25によって下方に押されたシート100の所定形状のライン102に相対する位置に、凸形状、台形形状、山形形状、溝部を有する台形形状を呈する折り罫テープを薄い基板シート上(平板上)に貼着する構成を考案した。特許文献4によれば、前記折り罫テープの形状が凸形状の場合は、シート100の所定形状のライン102は凹ラインとなる。また例えば、前記折り罫テープの形状が凹形状の場合は、シート100の所定形状のライン102は凸ラインとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−107354号公報
【特許文献2】特開2010−30040号公報
【特許文献3】実用新案登録第3114009号公報
【特許文献4】実用新案登録第3132946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープは、いずれも平板上に貼着されており、前記シートが当接する際の当接角度によっては前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれることがあり、多量のシートを短時間で打ち抜くための信頼性が十分であるとは言い難い。
【0012】
また、前記シートには、紙、ダンボール、コーティング紙に加えて、複数の紙類や紙類と樹脂や金属との複合材料等があり、シートの材質や厚みやその内部構成と、打ち抜き型との関係(相性)によっては、前記押し潰し具や前記折り罫テープの寸法形状を変更する必要がある。しかしながら、前記押し潰し具や前記折り罫テープが強固に固定されている場合、取り外しが困難であり変更し難い。また、前記押し潰し具や前記折り罫テープが接着剤(粘着剤)にて単純に固定されている場合、上述のように前記押し潰し具や前記折り罫テープが剥がれ易いという問題点がある。
前記シートのうちダンボールは、ライナーに波型に加工した中芯を貼り付けてその裏側をライナーで補強した内部構成であることから、シート内に空洞が多く形成される。このため、特にダンボールの場合は、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点が生じ易い。
【0013】
そこで本発明の目的は、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、シートの材質や厚みやその内部構成に応じた変更が容易な構造の面版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することを特徴とする。
【0015】
本発明では、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝の形状を変えるために溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。そして、本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することで、前記テープに形成された窪みの形状に沿ってシートの凸ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0016】
本発明は、前記押罫部材の下方への突出量が比較的大きい位置の前記テープの厚みを、前記押罫部材の下方への突出量が比較的小さい位置の前記テープの厚みよりも小さく設定することを特徴とする。
【0017】
前記押罫部材は打ち抜き型に複数配置されており、前記押罫部材の下方への突出量には個体差がある。本発明では、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凸ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0018】
本発明の面版は、シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することを特徴とする。
【0019】
本発明では、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝の形状を変えるために溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。そして、本発明によれば、シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することで、前記テープに形成された突起の形状に沿ってシートの凹ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0020】
前記押罫部材は打ち抜き型に複数配置されており、前記押罫部材の下方への突出量には個体差がある。本発明では、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凹ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0021】
前記基板の材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミ、ステンレス等の金属が挙げられるが、加工の容易性や、受け型が平板のみならず円筒形状(ローラー形状)である場合に面同士を密着させるための変形の容易性の観点から、前記基板は、板状又はフィルム状の樹脂製が好ましい。そして、前記テープの材質としては、前記基板と同質の材料でもよいが、前記シートの凸ラインを傷めない観点からは、前記テープは前記基板よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であることが好ましい。
本発明によれば、前記テープが前記シートの凸ラインと前記基板との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れする等の不具合を防止する。
【0022】
好ましくは、前記テープは前記基板のすべての溝に貼り付けられ、前記シートに加わる荷重負荷を最適なものとする。
【0023】
本発明は、前記テープ上に所定形状の窪みが形成されている場合、前記窪みの両側の肉厚部から外側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、前記シートの凸ラインの頂部から根元にかけてのスロープに合わせてより広い範囲で前記テープの上面が当接し易くなり、前記シートの凸ラインに加わる荷重負荷を前記テープの上面のより広い範囲で受けることで分散させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、面版を構成する基板の押罫部材に相対する位置に形成された溝に沿わせてテープが貼り付けられているので、前記シートが当接する際にテープが剥がれる虞がない。本発明によれば、シートに凸ラインを形成する場合には、前記テープに形成された窪みの形状に沿ってシートの凸ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。また、シートに凹ラインを形成する場合には、前記テープに形成された突起の形状に沿ってシートの凹ラインが形成されるのでシートの表層割れ等の不具合が生じ難い。
【0025】
本発明によれば、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材に対しては、前記テープの全体厚みを比較的厚くして対応し、前記シートの凹ラインまたは凸ラインへの負荷のばらつきを抑える。
【0026】
本発明によれば、シートの表層割れ等の外観不良や、シートの折り筋や凸ラインや凹ラインがはっきりせずに折り曲げ難いという問題点を解消しつつ、多量のシートを短時間で打ち抜くために必要な信頼性を確保し、シートの材質や厚みやその内部構成に応じた変更が容易な構成となり、高品質の紙器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態の面版を示す図である。
【図2】上記実施形態の面版におけるテープと基板との関係を示す図である。
【図3】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、(a)はシートを打ち抜く前の状態を示す図であり、(b)はシートを打ち抜くときの状態を示す図であり、(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図4】上記実施形態の面版と押罫部材との関係を示す図である。
【図5】上記実施形態の面版と押罫部材との関係の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の面版を示す図である。
【図7】上記実施形態の面版におけるテープと基板との関係を示す図である。
【図8】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図であり、(a)はシートを打ち抜く前の状態を示す図であり、(b)はシートを打ち抜くときの状態を示す図であり、(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示す図である。
【図9】上記第1の実施形態の面版の他の例と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図である。
【図10】上記第1の実施形態の面版の他の例と、シート、打ち抜き型及び受け型との関係を示す側面図である。
【図11】上記実施形態の面版と、シート、打ち抜き型及び受け型との上記と異なる関係を示す側面図である。
【図12】上記実施形態の面版における、テープの他の例を示す図である。
【図13】上記実施形態の面版の他の例を示す図である。
【図14】従来の面版と、シートと打ち抜き型と受け型との関係を示す図である。
【図15】従来の打ち抜き型を、その刃先を手前側にした状態で例示する図である。
【図16】従来の受け型を、その面版を手前側にした状態で例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施の形態の面版1は、板状又はフィルム状の樹脂製の基板2と、基板2に取り付けられた樹脂製のテープ3とから構成される(図1から図3)。基板2の裏面2b並びにテープ3の裏面3bには、それぞれ、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能な接着剤が塗布されている。面版1は、紙器の外形となるようシート100を打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して受け型に取り付けて使用される。基板3の外周は、打抜刃26が直接上から当たらないように打抜刃26よりも一回り小さくなっている。そして、基板2の上面2b側には、押罫部材25に相対する位置に複数の溝2cが形成され、形成された溝の底面2c上にテープ3が貼り付けられている。なお、符号213は、面版1を受け型21に貼り合わせる際の方向を指し示すマークである。
【0030】
図2は、本実施の形態の面版1におけるテープ3と基板2との関係を示す図である。基板2には、フライス盤等による機械加工によって溝2cが形成されており、溝の幅が符号2w、溝の深さが符号2r、基板2の厚みが符号2tで示される。テープ3には、その上面に樹脂成形された窪み3cが形成されており、窪み3cの深さが符号3r、テープ3の全体厚みが符号3tで示される。本実施形態では、テープ3の幅3uが基板2の溝の幅2wと同じか少し小さめに設定される。これは、テープ3を基板2の溝の底面2c上に貼り付け易くし、正確な位置に貼り付けるためである。
【0031】
本実施形態では、テープ3の全体厚み3tが基板2の溝の深さ2rよりも大きく設定されており、テープ3の上面3aが基板2の上面2aから突出している(図3)。これは、シート100の凸ライン102の根元にテープ3の上面3aを確実に当接させるためである。そして、テープ3の上面2aには、窪み3cの両側の肉厚部から幅方向の外側に向かって厚みが小さくなる傾斜が形成されている(図3)。これは、シート100の凸ライン102の頂部から根元にかけてのスロープに合わせてより広い範囲でテープ3の上面が当接し易くすることで、シート100の凸ライン102に加わる荷重負荷をテープ3の上面3aのより広い範囲で受けて負荷を分散させる狙いがある。
【0032】
本実施形態では、基板2が板状又はフィルム状の樹脂製であり、テープ3が基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製である。例えば、基板2をフェノール樹脂とし、テープ3をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又はゴムとする。また例えば、基板2をポリカーボネートとし、テープ3をポリエチレン又はゴムとする。本実施形態によれば、テープ3が基板2よりも柔らかいことで、テープ3がシート100の凸ライン102と基板3との緩衝機能を果たし、前記シートの凸ラインにて表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合を防止する。
【0033】
図3は、本実施形態の面版1と、シート100、打ち抜き型22及び受け型21との関係を示す側面図である。図3(a)はシート100を打ち抜く前の状態を示しており、図3(b)はシート100を打ち抜くときの状態を示しており、図3(c)はシートを打ち抜いた後の状態を示している。ここでのシート100はダンボールを例示している。シート100の打抜き加工に使用される打ち抜き型22は、紙器となる外形形状や折り曲げ用の罫線に従ってベニヤ板にレーザー加工を施して、紙器となる外形形状に対応した打抜刃26用の溝と押罫部材25用の溝とを形成し、それぞれの溝に打抜刃26と、当該打抜刃26よりも高さ寸法が小さい押罫部材25とを埋め込んで、押罫部材25の下方への突出量が打抜刃26よりも少ない突出量とした打ち抜き型22が製作される。一般に、打抜刃26はその先端が鋭利となっており、押罫部材25はその先端が丸くなっている。面版1における基板2に貼り付けられたテープ3の窪み3cの幅3wと、相対する押罫部材25の幅25wとは近似した値となっており、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部に対応した窪み3cとなっている。
【0034】
シート100の打抜き加工では、打抜機19の上側に装着された打ち抜き型22と打抜機19の下側の受け型21の間にシート100を挿入し、受け型21を上昇させて次に降下させ、打抜き加工するか、又は、打ち抜き型22を下降させて次に上昇させ、打抜き加工する(図3)。
【0035】
打抜刃26の内側と外側とにはゴム部材27が配されており(図3(a))、前記シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際には、ゴム部材27によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ(図3(b))、折り筋101を付与することとなる(図3(c))。そして、押罫部材25によって下方に押されたシート100の凸ライン102の頂部がテープ3の窪み3cの底面に当接して変形しすぎない程度の深さで窪み3cが形成され、前記シート100の凸ライン102の根元にテープ3の上面3cが当接する(図3(b))。つまり、テープ3の窪み3cによって、前記シート100の凸ライン102の頂部を潰さないようにしつつ、前記シート100の凸ライン102の根元に前記テープ3の上面3aが当接することで、前記シート100が表層割れしたり、押し付けられた痕が付く等の不具合が生じ難い。
【0036】
図4と図5は、本実施形態の面版1におけるテープ3と押罫部材25との関係を示す図である。押罫部材25は打ち抜き型22に複数配置されており、打ち抜き型22の下面22cからの押罫部材25の下方への突出量には個体差がある。例えば、図4と図5では、左側の押罫部材251の突出量25h1が右側の押罫部材252の突出量25h2よりも大きい。そこで、本実施形態では、下方への突出量が比較的大きい押罫部材251に対しては、テープ31の厚み31tを比較的薄くして対応し、下方への突出量が比較的小さい押罫部材252に対しては、テープ32の厚み32tを比較的厚くして対応する。つまり、受け型21の上面21aからテープ31の窪みの底面31cまでの高さ3h1が、受け型21の上面21aからテープ32の窪みの底面32cまでの高さ3h2よりも大きく設定される。そして、テープ3と押罫部材25との関係は、寸法25h1と寸法3h1との差が、寸法25h2と寸法3h2との差と等しい値に設定される(|(25h1−3h1)|=|(25h2−3h2)|)。
【0037】
ここで、図4においては、厚みの異なるテープ31とテープ32とを使用したが、図5では、1種類の厚みのテープ31にて対応している。つまり、高さ3h1が、高さ3h2よりも大きく設定されように、右側のテープ31の下面に所定厚みのテープ4を貼り付けている。そして、テープ3と押罫部材25との関係は、寸法25h1と寸法3h1との差が、寸法25h2と寸法3h2との差と等しい値に設定される(|(25h1−3h1)|=|(25h2−3h2)|)。
【0038】
本実施形態によれば、例えば下方への突出量が比較的大きい押罫部材25に対しては、テープ3の厚みを比較的薄くして対応し、例えば下方への突出量が比較的小さい押罫部材25に対しては、テープ3の厚みを比較的厚くして対応し、シート100の凸ライン102への負荷のばらつきを抑える。本実施形態では、テープ3を基板2に形成されたすべての溝の底面2c上に貼り付けることで、シート100に加わる荷重負荷の値を最適なものとする。
【0039】
上記実施形態に加えて、押罫部材25の下方への突出量を比較的大きくしてシート100の折り筋101を深くし凸ライン102を大きくしたいときには、テープ3の中央ラインに第1の溝2cよりも深い第2の溝3eを追加工することでテープ3を分断したテープ34として対応してもよい(図9)。また、押罫部材25の幅が細い場合には、押罫部材25の幅の大きさに合わせて、テープ3の中央ラインに第1の溝2cよりも深い第2の溝3eを追加工し、テープ3の窪み3cの内側に第2の溝3eを形成して複数段の溝とすることもできる(図10)。
【0040】
また、上記実施形態に加えて、例えば、前記テープ3を基板2に形成された溝のうち、紙器の底面を構成する4つの溝2c上にのみ貼り付けることで、紙器の底面の形状を特に安定させることでもよい(図13)。
【0041】
上述した第1の実施形態におけるテープ3は、図12(a)、(b)の形状としてもよい。例えば、図12(a)に示すテープ35の窪み35cは半球状又はすり鉢状に窪んでおり、図12(b)に示すテープ36の窪み36cは押罫部材25の先端形状に近い窪み形状となっている。テープ35の場合は、緩やかな凸ライン102となり、テープ36の場合は、鋭い凸ライン102となる。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施の形態の面版1は、第1の実施形態と同じく、板状又はフィルム状の樹脂製の基板2と、基板2に取り付けられた樹脂製のテープ3とから構成される(図6から図8)。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0043】
図7は、本実施の形態の面版1におけるテープ33(3)と基板2との関係を示す図である。基板2には、フライス盤等による機械加工によって溝2cが形成されている。テープ33は山形状の突起3dを有し、テープ3の全体厚み3tが基板2の溝の深さ2rよりも大きく設定されており、テープ3の上面3aが基板2の上面2aから突出している(図8)。
【0044】
本実施形態によれば、シート100を打ち抜くとともに折り筋101を付与する際に、シート100の凸ラインの頂部を積極的に押圧することで凹ライン103を形成し、押罫部材25によるシート100の折り筋101の深さをシート100が表層割れしない程度に浅くしてもシート100を折り曲げし易いような折り筋101及び凹ライン103とすることができる(図8(b)(c))。
【0045】
上述した第1の実施形態と第2の実施形態における基板2は、板状又はフィルム状の樹脂製が好ましく、より具体的な材質としては、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂が挙げられる。これは、加工の容易性に加え、平板の受け型21のみならず円筒形状(ローラー形状)の受け型29である場合に基板2とローラ29との面同士を密着させるための変形の容易性の観点から設定されており、さらに、テープ3が基板2よりも弾性率が小さな樹脂製又はゴム製であることで、ロータリー式打ち抜き機への取り付けも容易である(図11)。
【0046】
上述した第2の実施形態におけるテープ3は、図12(c)、(d)の形状としてもよい。例えば、図12(c)に示すテープ37の突起37dは角が付いた四角形状であり、図12(d)に示すテープ38の突起38dは押罫部材25の先端形状に近い突起形状となっている。テープ37の場合は、幅をもたせた凹ライン103となり、テープ38の場合は、折り筋101とよく似た形状の凹ライン103となる。
【0047】
上述した本実施の形態では、面版1における基板3の外周は、打抜刃26が直接上から当たらないように打抜刃26よりも一回り小さくなっているとしたが、打抜刃26に相対する位置に、溝2cよりも深い溝を形成して打抜刃26の刃先を逃がす構造としてもよい。さらには、打抜刃26に相対する位置に、溝2cよりも深い溝を形成し、硬質金属製の凹部材を嵌め込むことで打抜刃26の刃先を硬質金属製の凹部材の内側側面に沿わせて逃がしつつ、シートを切断する構造とすることもできる。また、テープ3の厚みのみならず、テープ3の材質を溝2cの位置によって適宜異ならせることも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1,11 面版、
2 基板、
2c 溝(第1の溝)、
3 テープ、
3c 窪み、
3e 第2の溝、
19 打抜機、
21 受け型、
22 打ち抜き型、
25 押罫部材、
26 打抜刃、
27 ゴム部材、
100 シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することを特徴とする面版。
【請求項2】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することを特徴とする面版。
【請求項3】
前記押罫部材の下方への突出量が比較的大きい位置の前記テープの厚みを、前記押罫部材の下方への突出量が比較的小さい位置の前記テープの厚みよりも小さく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の面版。
【請求項1】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した窪みが形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された窪みが当接することでシートに凸ラインを形成することを特徴とする面版。
【請求項2】
シートを打ち抜く打抜刃とシートに折り筋を付与する押罫部材とが配された打ち抜き型と当該打ち抜き型及びシートを受ける受け型とが取り付けられた打抜機にて、紙器の外形となるようシートを打ち抜くとともに折り筋を付与するに際して前記受け型に取り付けて使用される面版であって、前記押罫部材に相対する位置に溝が形成された基板と当該溝の形状を変えるために当該溝の一つないし全てに沿って貼り付けられたテープとからなり、前記テープは、その上方側が前記基板の上面から突出しており、かつ、前記押罫部材に対応した突起が形成されている構成とされ、
シートを打ち抜くとともに折り筋を付与する際に、シートの折り筋となる位置の反対側のラインに前記テープに形成された突起が当接することでシートに凹ラインを形成することを特徴とする面版。
【請求項3】
前記押罫部材の下方への突出量が比較的大きい位置の前記テープの厚みを、前記押罫部材の下方への突出量が比較的小さい位置の前記テープの厚みよりも小さく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の面版。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−730(P2012−730A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138813(P2010−138813)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【特許番号】特許第4701307号(P4701307)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(302065873)株式会社メイク・ア・ボックス (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【特許番号】特許第4701307号(P4701307)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(302065873)株式会社メイク・ア・ボックス (11)
【Fターム(参考)】
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