説明

シート搬送装置、ベルト駆動装置、画像読取装置及び画像形成装置

【課題】記録紙や原稿などのシート状部材における搬送方向と直交する方向の移動量を従来よりも精度良く検知することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート状部材を搬送するための搬送路と、発光素子から発した光を、その搬送路内のシート状部材の表面で反射させ、得られた反射光をマトリクス状に並ぶ複数の受光素子900でそれぞれ受光した結果に基づいてシート部材の変位を検知する光学式変位センサと、光学式変位センサによる検知結果に基づいて、シート部材の表面方向に沿いつつ搬送方向(y方向)と直交するx方向の移動量を示す移動指標値を算出する構成において、y方向に対して、複数の受光素子900のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で、光学式変位センサを配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートやシート状原稿などのシート状部材を搬送するシート搬送装置や、無端状のベルト部材を無端移動せしめるベルト駆動装置に関するものである。また、かかるシート搬送装置あるいはベルト駆動装置を用いる画像読取装置や画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、給紙トレイ内の印刷用紙を給紙路に送り出して搬送しながら、周知の電子写真プロセスによってその印刷用紙に画像を形成するものである。給紙トレイには、給紙路に送り出されていく印刷用紙の変位を検知する光学式変位センサが設けられている。この光学式変位センサは、パーソナルコンピュータの入力機器である光学式マウスなどに広く使用されているものであり、被検対象である印刷用紙の2次元の変位を光学的に検知する。給紙トレイから印刷用紙を送り出す給紙ローラや、給紙路内で印刷用紙に搬送力を付与する搬送ローラ対が劣化してくると、印刷用紙が搬送方向に沿って真っ直ぐな姿勢で搬送されずに、傾いた姿勢で搬送されるいわゆるスキューが発生し始める。光学式変位センサにより、印刷用紙のスキューに起因する搬送方向と直交する方向の移動量を検知することで、給紙ローラや搬送ローラ対の寿命を予測して、それらローラの交換を故障前に促すことができる。
【0003】
上述した光学式変位センサは、被検対象に対して光を照射する発光素子と、被検対象の表面で得られた反射光を受光する複数の受光素子とを具備している。それらの受光素子は、例えば、図1に符号900で示すようにマトリクス状に配設されている。被検対象の表面には、微妙な凹凸が存在することから、反射光量が顕著に多くなる局所箇所や顕著に少なくなる局所箇所が存在する(以下、それらの箇所を特徴箇所という)。光学式変位センサは、マトリクス状に配設された複数の受光素子における受光量の時系列変化に基づいて、その特徴箇所の2次元変位を捉える。たとえば、被検対象の特徴箇所の移動に伴って、より多くの反射光を受光する受光素子900の位置が、図中矢印で示すように時系列的に変化することで、特徴箇所の矢印に沿った2次元変位を捉えることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−41623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、市販の光学式変位センサをプリンタ試験機の給紙路に搭載して、用紙のスキュー量を検知する実験を行ったところ、精度良い検知を行うことが困難であることがわかった。具体的には、市販の光学式変位センサの殆どは、光学式マウスのために開発されたものであるため、被検対象の表面のうち、ごく狭い領域でしか2次元変位を把握することができない。例えば、図1に示した例では、16個×16個の受光素子900のマトリクスに相当する用紙領域が検知領域となるが、これは用紙の全領域のうちの、ごく狭い領域でしかない。同図において、矢印Y方向が用紙の搬送方向であるとすると、用紙の特徴箇所は矢印Y方向の全領域を確実に移動する。このとき、用紙がスキューを起こしている場合、矢印Y方向だけでなく、矢印X方向にも移動するようになるが、矢印Y方向への移動量に対して、矢印X方向の移動量はごく僅かである。このため、スキューを起こした用紙の特徴箇所は、図示の狭い検知領域内において、矢印X方向に移動したとしても、その移動量はせいぜい数画素分(受光素子数個分)である。図示の態様では、このような矢印X方向への数画素分の僅かな移動量を、1画素、2画素といった具合に1画素の単位でしか捉えることができない。このため、スキュー量を精度良く検知することが困難なのである。
【0006】
これまで、画像形成装置の給紙路などといった搬送路内における用紙のスキュー量を検知する際の問題について説明してきたが、スキャナの原稿自働搬送装置の搬送路内における原稿のスキュー量を検知する場合にも、同様の問題が発生する。また、中間転写ベルトなどの無端状のベルト部材を無端移動させるベルト駆動装置において、ベルト部材の幅方向への寄り量を光学式変位センサで検知する構成を採用した場合にも、同様の問題が発生する。
【0007】
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなシート搬送装置、ベルト駆動装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。即ち、印刷用紙等のシート状部材や、中間転写ベルト等のベルト部材における搬送方向と直交する方向の移動量を従来よりも精度良く検知することができるシート搬送装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート状部材を搬送するための搬送路と、発光素子から発した光を、該搬送路内のシート状部材の表面で反射させ、得られた反射光をマトリクス状に並ぶ複数の受光素子でそれぞれ受光した結果に基づいてシート部材の変位を検知する光学式変位センサと、該光学式変位センサによる検知結果に基づいて、シート部材の表面方向に沿いつつ搬送方向と直交する方向の移動量を示す移動指標値を算出する算出手段とを備えるシート搬送装置において、上記搬送方向に対して、複数の上記受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート搬送装置において、複数のシート状部材を重ねた状態で収容するシート収容手段と、該シート収容手段内における一番上のシート状部材に当接した状態で回転することで、該シート収容手段内のシート状部材を上記搬送路に送り出す送出ローラとを設けるとともに、該送出ローラによって送り出されてくるシート状部材の変位を検知させるように、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1のシート搬送装置において、複数のシート状部材を重ねた状態で収容するシート収容手段と、該シート収容手段内における一番上のシート状部材に当接した状態で回転することで、該シート収容手段内のシート状部材を上記搬送路に送り出す送出ローラと、該送出ローラによって送り出されるシート状部材を複数枚重ならないように1枚ずつに分離する分離パッド又はコーナー爪とを設けるとともに、該分離パッド又はコーナー爪による分離後のシート状部材の変位を検知させるように、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかのシート搬送装置において、上記シート状部材を上記光学式変位センサとの対向位置で該光学式変位センサに接触させるように案内する案内手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかのシート搬送装置において、上記光学式変位センサとして、シート状部材の変位量を所定周期で検知してその信号を出力するものを用いるとともに、該光学式変位センサからの出力に基づいて上記シート状部材の所定時間内における平均変位量を算出し、該平均変位量に基づいて上記移動指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかのシート搬送装置において、上記光学式変位センサからの出力変化に基づいて、上記光学式変位センサとの対向位置でのシート状部材の有無を把握するシート有無把握手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置において、上記搬送方向に対して、上記縦並び方向、横並び方向をそれぞれ45[°]傾ける姿勢で上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかのシート搬送装置において、上記搬送路内のシート状部材に対して上記搬送方向の搬送力を付与する搬送力付与手段を、該搬送方向に並べて複数設けるとともに、それぞれの搬送力付与手段の近傍に、上記光学式変位センサをそれぞれ配設し、それぞれの光学式変位センサによる検知結果に基づいて、それぞれの搬送力付与手段の近傍での移動指標値を個別に算出させるように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかのシート搬送装置において、上記光学式変位センサによる検知結果に基づいて、上記移動指標値として、上記搬送方向に対する上記シート状部材の移動方向の傾きを示す傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9のシート搬送装置において、上記光学式変位センサによって検知されるシート状部材の上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との差に基づいて、上記傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10のシート搬送装置において、上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との差を、それら変位量の合成変位量で除算した結果を、上記傾き指標値として算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項9のシート搬送装置において、上記光学式変位センサによって検知されるシート状部材の上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との比に基づいて、上記傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置において、上記移動指標値に基づいて、上記搬送経路内でシート状部材に上記搬送方向の搬送力を付与する搬送力付与手段の寿命を予測する寿命予測手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、無端状のベルト部材と、該ベルト部材をループ内側から支持しながら張架する複数の張架部材と、該張架部材のうちの1つであり、自らの回転駆動に伴って該ベルト部材を無端移動せしめる駆動回転体とを備えるベルト駆動装置において、発光素子から発した光を、上記ベルト部材の表面で反射させ、得られた反射光をマトリクス状に並ぶ複数の受光素子でそれぞれ受光した結果に基づいて該ベルト部材の変位を検知する光学式変位センサと、該光学式変位センサによる検知結果に基づいて、該ベルト部材の表面方向に沿いつつ上記無端移動方向と直交する方向の移動量を示す移動指標値を算出する算出手段とを設け、且つ、上記搬送方向に対して、複数の上記受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で、該光学式変位センサを配設したことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、シート状部材である原稿シートを搬送するシート搬送装置と、該シート搬送装置によって搬送されている最中の原稿シート、あるいは該シート搬送装置によって所定の読取位置まで搬送された原稿シートの画像を読み取る読取手段とを備える画像読取装置において、上記シート搬送装置として、請求項1乃至13の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項15の画像読取装置において、上記移動指標値の算出結果に基づいて、上記読取手段によって読み取られた画像情報を補正する補正手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、シート状部材である記録シートを搬送するシート搬送装置と、該シート搬送装置によって搬送されている記録シートに作像処理を施す作像手段とを備える画像形成装置において、上記シート搬送装置として請求項1乃至13の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、無端状のベルト部材を無端移動せしめるベルト駆動装置と、該ベルト部材の表面、あるいは該ベルト部材の表面に保持される記録部材に対して作像処理を施す作像手段とを備える画像形成装置において、
上記ベルト駆動装置として、請求項14のベルト駆動装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明においては、被検対象であるシート状部材やベルト部材の搬送方向に対して、複数の受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で光学式変位センサを配設することで、被検対象の直交移動量を光学式変位センサの1画素未満の単位で検知することが可能になる。例えば、シート状部材の搬送方向に対して、複数の受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ図2に示すように傾けたとする。同図において、矢印Y方向はシート状部材の搬送方向を示している。マトリクスの縦並び方向、横並び方向をそれぞれ矢印Y方向に対して図示のように傾けると、個々の受光素子900が、矢印Y方向に直交する矢印Y方向に沿って、マトリクスの1画素分(図中のL1)よりも狭いピッチ(図中のL2)で並ぶことがわかる。これにより、シート状部材の矢印X方向の移動量を1画素未満の単位で検知することが可能になるのである。このように、被検対象の矢印X方向への移動量を、マトリクスの1画素分よりも狭い単位で検知することで、従来よりも精度良く検知することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図3は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、白紙供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0011】
白紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセットから記録紙を送り出す送出ローラ43、送り出された記録紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての給紙路37に、シート状部材としての記録紙を搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット内の記録紙を画像形成部1内の給紙路37内に給紙する。
【0012】
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0013】
図4は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図5は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。なお、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図5においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0014】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスユニット3Kを例にすると、これは、感光体4の周りに、帯電装置23、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。本複写機では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0015】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0016】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0017】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュウ8、これらスクリュウ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0018】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ12は、ドクタブレード14との対向位置からスリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ13表面に引き寄せて担持させるとともに、スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0019】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。なお、現像装置6として、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0020】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュウ20上に落下する。回収スクリュウ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡されたトナーを現像装置15に送ってリサイクルする。
【0021】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置23によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。なお、帯電装置23としては、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いている。感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0022】
先に示した図4において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0023】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。ベルト駆動装置としての転写ユニット24は、複数のローラによって張架した中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、無端状のベルト部材である中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の1次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら1次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の1次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と2次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの2次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ31には図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、2次転写ニップに2次転写電界が形成されている。
【0025】
この2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。図示しない白紙供給装置からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録紙Pは、その先端がレジストローラセンサに検知された所定時間後記録紙Pの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、記録紙Pの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。このようにして、記録紙Pは、姿勢が修正されるが、その修正が上手く行われない場合もある。すると、レジストローラ対33の下流側で記録紙Pのスキューが発生する。
【0026】
記録紙Pの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙に一括2次転写され、記録紙の白色と相まってフルカラー画像となる。2次転写ニップを通過した記録紙は、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。なお、レジストニップの出口付近には、光学式変位センサ38が配設されているが、その役割については後述する。
【0027】
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、2次転写ニップで記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置によって掻き取り除去される。
【0028】
定着装置34に搬送された記録紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
【0029】
先に示した図3において、紙搬送ユニット22および定着装置34の下には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた記録紙が、切換爪で記録紙の進路を記録紙反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び2次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ上に排紙される。
【0030】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0031】
一方、固定読取部は、スキャナ150の内部に配設された第1面固定読取部151と、ADF51内に配設された図示しない第2面固定読取部とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第1面固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、後述するADF51によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第1面を走査する。また、第2面固定読取部は、第1面固定読取部151を通過した後の原稿MSの第2面を走査する。
【0032】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート状部材としての原稿MSを搬送するための搬送ユニット54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図6に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第1コンタクトガラス154や第2コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADFによる搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図6に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第2コンタクトガラス154上に載せた後、ADFを閉じる。そして、スキャナ150の図3に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0033】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第1面固定読取部151やADF51内の第2面固定読取部に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、図示しないコピースタートボタンを押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に搬送ユニット54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第1面固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第1面の画像がスキャナ150の第1面固定読取部151によって読み取られる。
【0034】
図7は、ADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第1読取搬送部E、第2読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。
【0035】
原稿セット部Aは、原稿MSの束がセットされる原稿載置台53等を有している。また、分離給送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。また、レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。また、ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させるものである。また、第1読取搬送部Eは、第1コンタクトガラス155の上で原稿MSを搬送しながら、第1コンタクトガラス155の下方で図示しないスキャナの内部に配設されている第1固定読取部151に原稿MSの第1面を読み取らせるものである。また、第2読取搬送部Fは、第2固定読取部95の下で原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第2面を第2固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
【0036】
原稿MSは、原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル54の上に原稿先端部が載せられるとともに、原稿後端側が原稿載置台53の上に載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置が調整される。このようにしてセットされる原稿MSは、可動原稿テーブル54の上方で揺動可能に配設されたレバー部材62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号を図示しないコントローラに送信する。そして、この検知信号は、コントローラからI/Fを介してスキャナの読取制御部に送られる。
【0037】
原稿載置台53には、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又はアクチュエーター・タイプのセンサからなる第1長さセンサ57、第2長さセンサ58が保持されている。これら長さセンサにより、原稿MSの搬送方向の長さが検知される。
【0038】
可動原稿テーブル54の上に載置された原稿MSの束の上方には、カム機構によって上下方向(図中矢印c,d方向)に移動可能に支持されるピックアップローラ80が配設されている。このカム機構は、ピックアップモータ56によって駆動することで、ピックアップローラ80を上下移動させることが可能である。ピックアップローラ80が上昇移動すると、それに伴って可動原稿テーブル54が図中矢印a方向に揺動して、ピックアップローラ80が原稿MSの束における一番上の原稿MSに当接する。更に可動原稿テーブル54が上昇すると、やがてテーブル上昇検知センサ59によって可動原稿テーブル54の上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップモータ56が停止するとともに、可動原稿テーブル54の上昇が停止する。
【0039】
複写機の本体に設けられたテンキーやディスプレイ等からなる本体操作部に対しては、操作者によって両面読取モードか、あるいは片面読取モードかを示す読取モード設定のためのキー操作や、コピースタートキーの押下操作などが行われる。コピースタートキーが押下されると、図示しない本体制御部からADF51のコントローラに原稿給紙信号が送信される。すると、ピックアップローラ80が給紙モータ76の正転によって回転駆動して、可動原稿テーブル54上の原稿MSを可動原稿テーブル54上から送り出す。
【0040】
両面読取モードか、片面読取モードかの設定に際しては、可動原稿テーブル54上に載置された全ての原稿MSについて一括して両面、片面の設定を行うことが可能である。また、1枚目及び10枚目の原稿MSについては両面読取モードに設定する一方で、その他の原稿MSについては片面読取モードに設定するなどといった具合に、個々の原稿MSについてそれぞれ個別に読取モードを設定することも可能である。
【0041】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と駆動ローラ82とによって張架されており、給紙モータ76の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ76の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは当接部に原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、ベルト又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなることから、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。
【0042】
給紙ベルト84やリバースローラ85の働きによって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、突き当てセンサ72の直下を通過する際にその先端が検知される。このとき、ピックアップモータ56の駆動力を受けているピックアップローラ80がまだ回転駆動しているが、可動原稿テーブル54の下降によって原稿MSから離間するため、原稿MSは給紙ベルト84の無端移動力のみによって搬送される。そして、突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたタイミングから所定時間だけ給紙ベルト84の無端移動が継続して、原稿MSの先端がプルアウト駆動ローラ86とこれに当接しながら回転駆動するプルウト駆動ローラ87との当接部に突き当たる。
【0043】
プルアウト従動ローラ87は、原稿MSを原稿搬送方向下流側の中間ローラ対66まで搬送する役割を担っており、給紙モータ76の逆転によって回転駆動される。給紙モータ76が逆転すると、プルアウト従動ローラ87と、互いに当接している中間ローラ対66における一方のローラとが回転を開始するとともに、給紙ベルト84の無端移動が停止する。また、このとき、ピックアップローラ80の回転も停止される。
【0044】
プルアウト従動ローラ87から送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知部を複数有しており、これら紙検知部は原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に並んでいる。どの紙検知部が原稿MSを検知するのかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズが検知される。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSの後端が突き当てセンサ72によって検知されなくなるまでのタイミングに基づいて検知される。
【0045】
原稿幅センサ73によって幅方向のサイズが検知された原稿MSの先端は、ターン部Dに進入して、中間ローラ対66のローラ間の当接部に挟み込まれる。この中間ローラ対66による原稿MSの搬送速度は、後述する第1読取搬送部Eでの原稿MSの搬送速度よりも高速に設定されている。これにより、原稿MSを第1読取搬送部Eに送り込むまでの時間の短縮化が図られている。
【0046】
ターン部D内を搬送される原稿MSの先端は、原稿先端が読取入口センサ67との対向位置を通過する。これによって原稿MSの先端が読取入口センサ67によって検知されると、その先端が搬送方向下流側の読取入口ローラ対(89と90との対)の位置まで搬送される間での間に、中間ローラ対66による原稿搬送速度が減速される。また、読取モータ77の回転駆動の開始に伴って、読取入口ローラ対(89,90)における一方のローラ、読取出口ローラ対92における一方のローラ、第2読取出口ローラ対93における一方のローラがそれぞれ回転駆動を開始する。
【0047】
ターン部D内においては、原稿MSが中間ローラ対66と読取入口ローラ対(89、90)との間の湾曲搬送路で搬送される間に上下面が逆転されるとともに、搬送方向が折り返される。そして、読取入口ローラ対(89、90)のローラ間のニップを通過した原稿MSの先端は、レジストセンサ65の直下を通過する。このとき原稿MSの先端がレジストセンサ65によって検知されると、所定の搬送距離をかけながら原稿搬送速度が減速されていき、第1読取搬送部Eの手前で原稿MSの搬送が一時停止される。また、図示しない読取制御部に対してレジスト停止信号が送信される。
【0048】
レジスト停止信号を受けた読取制御部が読取開始信号を送信すると、ADF51のコントローラの制御により、原稿MSの先端が第1読取搬送部E内に到達するまで、読取モータ77の回転が再開されて所定の搬送速度まで原稿MSの搬送速度が増速される。そして、読取モータ77のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第1固定読取部151による読取位置に到達するタイミングで、コントローラから読取制御部に対して原稿MSの第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第1固定読取部151による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第1面が第1固定読取部151によって読み取られる。
【0049】
第1読取搬送部Eを通過した原稿MSは、後述の読取出口ローラ対92を経由した後、その先端が排紙センサ61によって検知される。片面読取モードが設定されている場合には、後述する第2固定読取部95による原稿MSの第2面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されると、排紙モータ78の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中下側の排紙ローラが図中時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ78の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSがスタック台55から飛び出さないような速度で排紙される。
【0050】
一方、両面読取モードが設定されている場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第2固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ77のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラから読取制御部に対して原稿MSの第2面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第2固定読取部95による読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第2面が第2固定読取部95によって読み取られる。
【0051】
読取手段としての第2固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。第2固定読取部95との対向位置には、原稿MSを非読取面側(第1面側)から支持する原稿支持手段としての第2読取ローラ96が配設されている。この第2読取ローラ96は、第2固定読取部95による読取位置での原稿MSの浮きを防止するとともに、第2固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0052】
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
本発明者らは、図8に示す実験装置を用意した。この実験装置は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に線速Vで回転駆動せしめられる回転ドラム920と、回転ドラムの側方でドラム表面と所定の間隙を介して対向するように配設された光学式変位センサ910とを具備している。回転ドラム920の表面は、鏡面仕上げされており、拡散反射光を殆ど発生させないことから、拡散反射光を検出する後述のLED方式の光学式変位センサでは、回転ドラム920の表面移動を検出することができない。そこで、回転ドラム920の表面には、記録紙Pを巻き付けてある。回転ドラム920としては、直径100[mm]のものを用い、これを20〜200rpm(線速換算で105〜1047mm/s)の速度で回転させる。なお、同図において、矢印y方向は光学式変位センサ910との対向位置における回転ドラム920表面の移動方向を示している。また、矢印x方向は、回転ドラム920の回転軸線方向を示しており、これは矢印y方向と直交する。
【0053】
光学式変位センサ910は大別すると、LED方式のものと、LD(レーザーダイオード)方式のものとに分類される。LED方式の光学式変位センサ910は、例えば図9に示すように、発光素子としてのLED911から発した光ビーム(波長λ=639nm)を、被検対象990の表面で反射させる。そして、得られた反射光を、図示しない複数の受光素子がマトリクス状に配設された撮像モジュール912の各受光素子で受光して、各受光素子による受光パターンを得る。その後、所定の受光パターン取得周期(フレームレートの逆数)が経過した後に、再び受光パターンを得て、前回の受光パターンとの差を把握することで、被検対象990のx方向の移動量と、y方向の移動量とを把握してそれらを一時記憶する。そして、図示しないCPUから所定のサンプリング周期で送られてくる読み出し命令に応じて、それらの移動量データを出力する。また、LD方式の光学式変位センサ910は、発光素子としてのVCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)モジュール915から発したレーザー光(波長λ=832〜865nm)光を被検対象990の表面で反射させる。LD方式がLED方式と異なる点は、コヒーレント光であるレーザー光を用いることにより、ごく微細な凸凹であっても反射光の干渉パターンが得られることである。LD方式、LED方式ともに、「Avago Technologies」社から市販されている。実験では、同社から市販されているLED方式の「ADNS−3080」を使用した。この光学式変位センサ910は、撮像モジュール912における受光素子のマトリクスが30×30[pixel]になっており、毎秒2000〜6469フレームの受光パターンを取り込んでx方向、y方向の移動量に相当する信号を出力する。LD方式においても、同等以上の性能のものが市販されている。
【0054】
図11は、光学式変位センサの一般的な配設態様を説明するための模式図である。被検対象のX−Y座標上の変位を検知する場合、通常は、図示のように、撮像モジュールにおける複数の受光素子の横並び方向であるα方向をX方向に沿わせるとともに、複数の受光素子の縦並び方向であるβ方向をY方向に沿わせる姿勢で、光学式変位センサを配設する。このように配設した光学式変位センサのα方向用の出力端子からは、例えば所定のサンプリング周期内で被検対象がX方向に3画素分だけ移動すると、「3」を示す信号が出力される。また、光学式変位センサのβ方向用の出力端子からは、例えば所定のサンプリング周期内で被検対象がY方向に4画素分だけ移動すると、「4」を示す信号が出力される。光学式変位センサでは、このように、被検対象の変位量に相当する画素値が整数(離散値)で出力される。つまり、光学式変位センサは、被検対象の変位量を1画素単位で検知する仕様になっている。
【0055】
図12は、上述した実験装置における光学式変位センサの配設態様を説明するための模式図である。実験装置では、図示のように、被検対象としての回転ドラムの表面移動方向であるy方向に対して、撮像モジュールのα方向やβ方向を傾ける姿勢で、光学式変位センサ(910)を配設している。なお、実験に用いた光学式変位センサの撮像モジュール912は、複数の受光素子のマトリクスが30×30[pixel]になっているが、同図では、便宜上、16×16[pixel]で示している。
【0056】
同図に示す姿勢で光学式変位センサ910を配設した状態で、回転ドラム920を回転させてその表面をy方向に移動させると、光学式変位センサ910のα方向用の出力端子や、β方向用の出力端子から、それぞれほぼ同じ値の出力がなされる。これは、先に示した図12において、被検対象のα方向への移動量をα、β方向への移動量をβで示した場合に、例えば、被検対象がy方向に「α+β」の平方根と同じ量だけ移動する毎に、光学式変位センサが被検対象のα方向の1画素分の移動と、β方向の1画素分の移動とを検知するからである。実験装置では、被検対象としての回転ドラム920の表面はx方向に移動しないので、ドラム表面のy方向への移動量は、次式によって表される。
【数1】

【0057】
図13は、実験装置の光学式変位センサ910からのα方向変位の出力波形を示すグラフである。この出力波形は、α方向を、回転ドラム920の表面移動方向であるy方向に沿わせる姿勢で光学式変位センサ910を配設し、回転ドラム920を419[mm/s]の線速で回転させたときに得られたものである。出力のサンプリング周期は1[ms]としている。被検対象を419[mm/s]の速度でy方向(図12参照)に移動させながら、1[ms]周期でサンプリングを行うと、光学式変位センサ910のα方向変位の出力は、「6」、「7」あるいは「8」の整数値が得られることがわかる。光学式マウス用のセンサとして使用する場合には、このような出力が便利であるが、被検対象の変位を連続的に把握する場合には、1画素よりも細かな変位も捉えることが望ましい。そこで、本発明者らは、光学式変位センサからの出力値を所定時間内で平均化したものを変位の連続量として扱うことを考えた。なお、回転ドラム920の表面移動方向であるy方向と、光学式変位センサ910のβ方向とを一致させた場合も、センサからのβ方向変位の出力波形は同様のものが得られる。
【0058】
センサ出力の平均化を行う上で、どの程度の数のサンプリングデータに対して平均をとればよいのかを知るために、まず、1000個のサンプル数で平均変位量を求めた。この平均変位量を基準変位量として、様々な平均算出サンプル数で求めた平均変位量の基準変位量に対する相対値を求めた。この相対値と、平均算出サンプル数との関係を図14に示す。平均算出サンプル数が1000である場合の平均変位量は、基準変位量そのものであるので、同図において、平均算出サンプル数が1000である場合の相対値は1になっている。平均算出サンプル数が少なくなるほど、グラフの振幅が大きくなる。相対値に対する振幅の大きさが±1%以内になる条件でみると、20個のサンプルで平均をとれば(20サンプル周期分)、安定した結果が得られることがわかった。そこで、光学式変位センサからの出力を20サンプル毎に平均して平均変位量を求めることにした。
【0059】
図15は、光学式変位センサからの出力を20サンプル毎に平均化した平均変位量と、回転ドラム920の線速との関係を示すグラフである。−1〜1[m/s]に渡る速度範囲にて、速度と平均変位量との関係が良好な相関を示していることがわかる。なお、同図では、α方向の変位量を示すセンサ出力の平均変位量と、速度との関係を示したが、β方向についても、同様の関係が成立する。
【0060】
本発明者らは、次に、図12に示した角度θを0[°]から徐々に大きくしていった場合における、α方向の平均変位量と、β方向の平均変位量と、上記数1の数式によって求められる合成変位量との関係を調べる実験を行った。この結果を図16に示す。実験装置では、被検対象となる回転ドラム920の表面がy方向にしか移動しないので、合成変位量はドラムのy方向の移動量と一致する。図示のように、光学式変位センサ910の図11の状態に対する傾きを示す角度θが0〜6[°]の範囲では、α方向の平均変位量がほぼゼロになっているのに対し、β方向の平均変位量がほぼ飽和状態にある。角度θが0〜6[°]の範囲では、β方向がドラム表面移動方向であるy方向に一致するか、あるいは、ほぼy方向に沿うので、y方向の移動しか検知していないことになる。つまり、角度θが0〜6[°]の範囲では、被検対象の斜め移動を検知することができないことを示している。これに対し、角度θが45[°]の付近になると、α方向の平均変位量が角度θ=0[°]の条件に比べてかなり大きくなっており、y方向の変位と、x方向の変位とをそれぞれ感度良く検知していることがわかる。
【0061】
角度θにおけるα方向の変位に対する感度の有無を一元的に表す目的で、次式で求められる数値を、α方向の変位に対する感度の指標値として用いることにした。
【数2】

【0062】
回転ドラム920を互いに異なる3つの線速モードで回転させた場合における、α方向の変位に対する感度の指標値と、角度θと、線速との関係を図17に示す。図示のように、角度θが0〜4[°]の範囲では、α方向の変位に対する感度が全く無いが、角度θが5[°]を上回り始めると、α方向の変位に対する感度が現れ始める。そして、角度θが10[°]あたりになると、α向の変位に対する感度が飽和付近まで上昇するが、角度θが10〜25[°]あたりでは、飽和感度が安定して得られていまい。角度θを[°]よりも大きく設定することで、α方向の変位に対する飽和感度を安定して得られることがわかった。この理由は後述するが、α方向とβ方向とで、センサ感度が同等でないことによる。
【0063】
次に、本発明者らは、光学式変位センサ910を45[°]の角度θで傾けた姿勢で、回転ドラム920を回転させた状態を基準にして、光学式変位センサ910を角度θの方向に微小角度回転させて、センサ出力を取得する実験を行った。光学式変位センサ910を角度θの方向に僅かに回転させる(この時点で角度θが45°から変化する)ことで、被検対象がスキューを起こしているのと同じ状態を擬似的につくりだすことができる。スキューとは、被検対象が搬送方向であるy方向に向けて真っ直ぐに進まずに、y方向から傾いた状態で進む現象である。微小なスキュー角を検出することが可能か否かを調べるために、光学式変位センサ910からの出力に基づいて算出されるα方向の平均変位量(α)と、β方向の平均変位量(β)とを、次式に代入して、擬似的なスキューによるスキュー角の指標となる傾き指標値Aを算出した。
【数3】

【0064】
この傾き指標値Aにおいて、α方向の平均変位量αと、β方向の平均変位量βとの差をとるのは、両方向の変位量を加味してスキュー角φを捉えることで、検出精度を高める狙いからである。また、前述の差を、合成変位量(α+βの平方根)で除算しているのは、速度の影響を除外する規格化を行うためであり、この規格化により、スキュー角φを速度から分離して検出することが可能になる。
【0065】
傾き指標値Aと、光学式変位センサ910のx方向の移動量によって求められるスキュー角φとの関係を図18に示す。0[°]近傍ではスキュー角φを1/6[°]というかなり細かい刻みで変化させているが、この細かい変化を敏感に捉えることができている。よって、光学式変位センサ910を45[°]の角度θで傾けた姿勢にすることで、被検対象のスキュー角φを1/6[°]以下の分解能で検出し得ることが確かめられた。
【0066】
図19は、角度θを0[°]にした姿勢で配設した光学式変位センサの撮像モジュール912と、被検対象のスキュー角φとの関係を示す模式図である。なお、実験では、上述したように、30×30[pixel]の撮像モジュールを用いているが、同図では、便宜上、撮像モジュール912のマトリクスを16×16[pixel]で示している(後述する図20も同様)。あるサンプリングタイミングで、β方向の下端に位置する受光素子913によって被検対象の特徴箇所(丸印)が捉えられている。この特徴箇所が、次のサンプリングタイミングで、β方向の上端に位置する受光素子913によって捉えられたとする。このとき、被検対象の搬送方向であるy方向に対する移動方向の傾き(φの正接)は、図示のように1/15である。この1/15よりも小さな傾きを、図示の態様で検出することはできない。
【0067】
図20は、角度θを45[°]にした姿勢で配設した光学式変位センサの撮像モジュール912と、被検対象のスキュー角φとの関係を示す模式図である。光学式変位センサの角度θを45[°]に傾けると、図示のように、被検対象のy方向に対する移動方向の傾きを、1/21の分解能で検出することが可能になる。つまり、角度θを45[°]にした条件では、角度θを0[°]にした条件に比べて、より小さなスキュー角を検出できるようになる(φ>φ)。
【0068】
より小さなスキュー角を検出できるようになると、より少ないサンプリング数で、安定した平均変位量を求めることが可能になる。例えば、上述したように、角度θを45[°]にした条件では、1[m/s]のサンプリング周期で20個のサンプリングを行った平均をとることで、安定した平均変位量を求めることが可能になることは既に述べた通りである。ところが、角度θを0[°]にした条件では、サンプリング数をもっと増やさないと、安定した平均変位量を得ることができないのである。
【0069】
光学式変位センサは、わずか30×30[pixel]の検知範囲内で例えば0〜1[m/s]程度の速度変化を連続して検出できるように、被検対象の速度に応じてフレームレートを変化させるのが一般的である。被検対象の速度が比較的速い場合には、フレームレートを大きくする(受光パターン取得周期を短くする)一方で、被検対象の速度が比較的遅い場合には、フレームレートを小さくするのである。ここで、被検対象がスキューを引き起こしていると、被検対象が搬送方向(y方向)だけでなく、搬送方向と直交する方向(x方向)にも移動するようになるが、単位時間あたりにおいて、x方向への変位量はy方向への変位量に比べて僅かである。また、x方向への移動速度も、y方向への移動速度に比べて僅かである。例えば、スキュー角φが1[°]の場合では、x方向への移動速度はy方向への移動速度の17[%]程度である。y方向への移動速度が比較的速いことに対応して、フレームレートを比較的大きくすると、各フレームにおいて、y方向への変位を的確に捉えることが可能になるが、x方向においては、x方向の速度に比べて受光パターン取得周期が短すぎることから、各フレームでx方向の変位を捉え難くなる。但し、角度θを45[°]にしてより小さなスキュー角φを捉え得るようにすると、0[°]にした場合に比べて、各フレームでのx方向の変位を捉え易くなるので、比較的少ないサンプリング数で安定した平均変位量を算出することが可能になるのである。
【0070】
本発明者らは、次に、図8に示した実験装置において、回転ドラム920の全周に渡って記録紙Pを巻き付ける代わりに、記録紙Pを巻き付けない領域を周方向において所定のピッチで設けて、光学式変位センサからの出力を調べる実験を行った。この結果を図21に示す。図示のように、光学式変位センサからの出力が間欠的に得られていることがわかる。これは、記録紙Pを巻き付けていないドラム無垢の表面では、拡散反射光が得られずに、撮像モジュールに検知されないからである。記録紙Pを搬送する搬送路内の記録紙Pを被検対象にするように光学式変位センサを配設した場合にも、搬送路内に記録紙Pが存在していないときには同様に、光学式変位センサからの出力が無くなる。つまり、光学式変位センサからの出力の有無に基づいて、記録紙Pの有無を把握することができるのである。
【0071】
本発明者らは、次に、光学式変位センサからのα方向用の出力と、β方向用の出力とを用いて算出される、スキュー角φの指標となる傾き指標値について検討した。上述した数3の数式に基づいて算出される傾き指標値Aもその一つであるが、この他にも、スキュー角φと良好な相関を示す傾き指標値がいくつか考えられた。何れも、三角関数に基づいて、α方向の変位量と、β方向の変位量と、それらの合成変位量とから算出される。その1つとして、「sinφ」を検討した。これは、「x方向の変位量/合成変位量」という数式によって求めることができる。また、他の傾き指標値として、「sinφ−cosφ」を検討した。sinφは「x方向の変位量/合成変位量」であり、cosφは「y方向の変位量/合成変位量」であることから、その解は、両方向の変位量の差に基づいて算出されることになる。更に、他の傾き指標値として、「tanφ」を検討した。周知のように、「tanφ=sinφ/cosφ」という関係が成立し、この式の右辺のsinφやcosφを各種の変位量で表すと、右辺を、「x方向の変位量/y方向の変位量」という式に変形することができる。つまり、この傾き指標値は、x方向の変位量とy方向の変位量との比に基づいて算出されるものである。これら3つの傾き指標値とスキュー角φとの関係を理論演算によって求めた結果を、図22に示す。なお、同図においては、「tanφ」から1を減算したり、「sinφ」から「sinπ/4」を減算したりしているが、これは、3つのグラフをそれぞれ原点を通るように位置調整したためである。3つのグラフを傾きが大きい順に並べると、「tanφ」、「sinφ−cosφ」、「sinφ」となる。つまり、スキュー角φを感度良く検出するには、「tanφ」が有利である。また、3つのグラフを直線性の良い順で並べると、「sinφ−cosφ」、「sinφ」、「tanφ」となる。つまり、そのままでスキュー角φを把握するには、「sinφ−cosφ」が高精度の観点から有利である。
【0072】
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
本複写機では、先に図7に示したシート搬送装置としてのADF51において、レジストセンサ65として、光学式変位センサからなるものを採用している。このレジストセンサ65については、原稿MSの搬送方向(y方向)に対して、角度θを45[°]にする姿勢で配設している。ADF51のコントローラは、図21を用いて説明したように、光学式変位センサからなるレジストセンサ65の出力の急激な変化に基づいて、センサ対向位置での原稿MSの有無を把握する。また、光学式変位センサからなるレジストセンサ65からの、α方向の出力やβ方向の出力に基づいて、原稿MSについての傾き指標値を求めて、その結果に基づいて画像の読取結果を補正する。なお、傾き指標値としては、上述した傾き指標値A、「tanφ」、「sinφ−cosφ」、及び「sinφ」のうち、少なくとも何れか1つを算出させるようにしている。移動指標値として、傾き指標値の代わりに、x方向の変位量を算出させるようにしてもよい。
【0073】
図23は、スキャナ150及びADF51の電気回路の一部を示すブロック図である。ADF51のレジストセンサ65からの出力は、ADF51のコントローラ64に入力される。コントローラ64は、レジストセンサ65からの出力に基づいて、原稿MSの先端の検知タイミングを把握したり、搬送中の原稿MSの傾き指標値を算出したり、原稿MSの搬送方向(y方向)への搬送速度を算出したりする。そして、傾き指標値の算出結果と、搬送速度の算出結果と、同期タイミング情報とを、スキャナ150の読取制御部159に送る。スキャナ150においては、既に説明したようにして、第1固定読取部151で原稿MSの画像情報が読み取られるが、このとき、第1固定読取部151との対向位置を原稿MSがスキューしながら搬送されると、原稿MSの画像が斜めに傾いて読み取られてしまう。読取制御部159は、コントローラ64から送られてくる傾き指標値の算出結果、搬送速度の算出結果、及び同期タイミング情報に基づいて、スキューに起因する画像の傾きを真っ直ぐに修正する補正値データを構築し、その結果に基づいて、第1固定読取部151による読取で得られた画像情報を補正する。そして、補正後の画像情報をデータ記憶手段に一時記憶した後、画像形成部に送信する。
【0074】
先に示した図4において、光学式変位センサ38は、記録紙Pの搬送方向(y方向)に対して、角度θを45[°]にする姿勢で配設されている。画像形成部において、この光学式変位センサ38からの出力を受け入れる本体制御部は、図21を用いて説明したように、光学式変位センサ38の出力の急激な変化に基づいて、センサ対向位置での記録紙Pの先端進入タイミングを把握するようになっている。また、光学式変位センサ38からの出力に基づいて、レジストローラ対33から送り出されている最中の記録紙Pについての傾き指標値を算出し、算出結果に基づいて、レジストローラ対33の寿命到来タイミングを予測するようになっている。レジストローラ対33が劣化してくると、ローラ表面の摩擦抵抗のバラツキや変形などに起因するスキューが起こり易くなるため、スキューが頻繁に発生したり、スキュー角φが大きくなったりする。このため、傾き指標値の経時変化に基づいて、レジストローラ対33の寿命到来タイミングを予測することができる。なお、光学式変位センサ38によって検知した記録紙Pの先端進入タイミングでレジストローラ対33の回転駆動を一時停止させた後、タイミングを見計らって回転駆動を再開させることで画像形成との同期をとっても良い。
【0075】
なお、記録紙Pの傾き指標値としては、上述した傾き指標値A、「tanφ」、「sinφ−cosφ」、及び「sinφ」のうち、少なくとも何れか1つを算出させるようにしている。移動指標値として、傾き指標値の代わりに、x方向の変位量を算出させるようにしてもよい。
【0076】
ベルト駆動装置としての転写ユニット24において、中間転写ベルト25のループ内側には、ベルト裏面に所定の間隙を介して対向するベルト速度検知センサ39が配設されている。このベルト速度検知センサ39は、光学式変位センサからなり、中間転写ベルト25の移動方向(y方向)に対して、角度θを45[°]にする姿勢で配設されている。中間転写ベルト25の駆動を制御する図示しないベルト駆動制御部は、図示しないベルト駆動モータの駆動速度を調整することで、中間転写ベルト25を張架している複数の張架ローラのうちの1つである駆動ローラの回転駆動速度を調整し、もって、ベルトの速度を調整する。駆動ローラを等速で回転していても、中間転写ベルト25は安定した速度で走行しない。これは、張架ローラの偏心や、中間転写ベルト25の周方向の厚みムラなどに起因している。中間転写ベルト25の速度が安定しないと、画像が乱れてしまう。そこで、ベルト駆動制御部は、ベルト速度検知センサ39からの出力に基づいて、中間転写ベルト25のローラ掛け回し方向(y方向)の速度であるベルト走行速度を把握する。そして、ベルト走行速度の変動を検知した結果を、ベルト駆動モータの駆動速度にフィードバックすることで、中間転写ベルトを安定したベルト走行速度で駆動走行させる。
【0077】
従来、中間転写ベルト25の走行速度を把握する方法として、中間転写ベルト25を張架しながらベルト走行に伴って従動回転する従動ローラの回転速度をエンコーダーによって検知し、その結果に基づいてベルトの走行速度を把握する方法が知られている。しかしながら、この方法では、従動ローラの偏心や、中間転写ベルト25の周方向の厚みムラなどにより、従動ローラの回転速度とベルト走行速度との関係に誤差が生ずるため、ベルト走行速度を精度良く把握することが困難であった。
【0078】
また、中間転写ベルト25の走行速度を把握する方法として、ベルトの幅方向の端部に所定のピッチで付した複数の目盛からなるスケールを、反射型フォトセンサで検知し、目盛の検知時間間隔に基づいてベルト走行速度を把握する方法も知られている。しかしながら、この方法では、中間転写ベルト25にスケールを設けることでコスト高になるという問題があった。
【0079】
一方、本複写機のように、光学式変位センサからなるベルト速度検知センサ39によって中間転写ベルト25の走行速度を検知する構成では、ベルト走行速度をセンサによって直接的に検知するので、従動ローラの偏心や、中間転写ベルト25の周方向の厚みムラなどに起因する検知精度の悪化を引き起こすことがない。また、中間転写ベルト25にスケールを設ける必要がないので、スケール付設によるコストアップを回避することができる。
【0080】
ベルト駆動制御部は、光学式変位センサからなるベルト速度検知センサ39からの出力に基づいて、中間転写ベルト25の走行方向(y方向)の速度を把握する他に、ベルトの傾き指標値を算出する。そして、本体制御部にその算出結果を送信する。中間転写ベルト25を張架する張架ローラが劣化してくると、その摩擦抵抗ムラや変形などに起因して、中間転写ベルト25がベルト幅方向において、右又は左の一方に片寄って走行する傾向が出始める。本体制御部は、ベルト駆動制御部から送られてくる傾き指標値の経時変化に基づいて、張架ローラの寿命到来タイミングを予測するようになっている。
【0081】
なお、記録紙Pの傾き指標値としては、上述した傾き指標値A、「tanφ」、「sinφ−cosφ」、及び「sinφ」のうち、少なくとも何れか1つを算出させるようにしている。移動指標値として、傾き指標値の代わりに、x方向の変位量を算出させるようにしてもよい。また、傾き指標値やx方向の変位量に基づいて、張架ローラの傾き角度を変化させて、ベルトの左右の片寄り走行を修正する制御をベルト駆動制御部に行わせるようにしてもよい。
【0082】
図24は、レジストローラ対33の劣化に起因して発生する記録紙Pの回転スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図である。偏摩耗、変形、異物付着などによってレジストローラ対33が劣化してくると、図示のように、レジストローラ対33よりも搬送方向上流側の位置から下流側の位置に向けて、記録紙Pを弧状の軌道で移動させるいわゆる回転スキューが発生することがある。記録紙Pがこのように回転スキューしながら2次転写ニップに進入すると、記録紙Pの縦横方向に対して画像の縦横方向が図示のように傾いてしまう画像スキューが発生する。なお、回転スキューが発生すると、図示のように記録紙Pの姿勢が搬送方向から傾いた姿勢になる。
【0083】
図25は、レジストローラ対33の劣化に起因して発生する記録紙Pの斜め移動スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図である。レジストローラ対33が劣化してくると、図示のように、レジストローラ対33よりも搬送方向上流側の位置から下流側の位置に向けて、記録紙Pを搬送方向であるy方向から傾けた方向で移動させるいわゆる斜め移動スキューが発生することがある。このとき、記録紙Pの姿勢はy方向に沿って真っ直ぐのまま変わらないが、記録紙Pの移動軌道がy方向から傾く。このような傾いた移動軌道で記録紙Pが2次転写ニップに進入すると、記録紙Pの縦横方向に対して画像の縦横方向が図示のように傾いてしまう画像スキューが発生する。
【0084】
図26は、レジストローラ対33よりも搬送方向上流側で発生した記録紙Pの回転スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図である。図示の状態では、レジストローラ対33の位置では、記録紙Pのスキューは発生しておらず、記録紙Pは搬送方向(y方向)に沿って真っ直ぐ搬送されている。しかし、レジストローラ対33よりも上流側で発生した回転スキューにより、記録紙Pの姿勢が搬送方向に対して傾いてしまっているので、2次転写ニップでは図示のような画像スキューが発生する。つまり、レジストローラ対33の位置で発生する記録紙Pのスキューの他、レジストローラ対33よりも上流側の位置で発生する記録紙Pの回転スキューによっても、画像スキューが発生するのである。よって、レジストローラ対33の寿命到来を早期に予測してレジストローラ対33の交換を早期に促すだけでは、画像スキューの発生を有効に抑えることができない。そこで、本複写機では、レジストローラ対33よりも搬送方向の上流側である白紙供給装置内にも光学式変位センサを設けて、記録紙Pのスキューを検出するようになっている。
【0085】
図27は、白紙供給装置の送出ローラ43とその周囲構成とを拡大して示す拡大斜視図である。送出ローラ43の回転駆動により、図示しない給紙カセット内から送り出された記録紙Pは、搬送ローラ46と分離ローラ45との当接による搬送・分離ニップ内に進入する。この搬送・分離ニップと、送出ローラ43との間には、光学式変位センサ48が配設されている。本体制御部は、この光学式変位センサ48からの出力に基づいて傾き指標値を算出し、算出結果に基づいて、送出ローラ43の劣化に起因する回転スキューを検出する。
【0086】
なお、光学式変位センサ48は、記録紙Pの搬送方向(y方向)に対して、角度θを45[°]にする姿勢で配設されている。また、本体制御部は、記録紙Pの傾き指標値として、上述した傾き指標値A、「tanφ」、「sinφ−cosφ」、及び「sinφ」のうち、少なくとも何れか1つを算出する。移動指標値として、傾き指標値の代わりに、x方向の変位量を算出させるようにしてもよい。
【0087】
搬送・分離ニップと、送出ローラ43との間には、光学式変位センサ48の他、図示しない案内手段としてのガイド板が配設されている。このガイド板は、送出ローラ43から送り出されてくる記録紙Pを光学式変位センサ48の検知面に接触させるように案内する。これにより、記録紙Pは、光学式変位センサ48と摺擦しながら、搬送・分離ニップに進入する。記録紙Pを光学式変位センサ48に接触させることで、光学式変位センサ48として、検知可能距離の短いものを採用しても、記録紙Pの変位を確実に検知させることができる。
【0088】
光学式変位センサ48は、図示しない支持手段により、記録紙Pの厚み方向に揺動可能に支持されている。送出ローラ43が記録紙Pから送り出されていないときには、光学式変位センサ48が自重により、揺動可能範囲の下限位置で停止している。この状態では、光学式変位センサ48が送出ローラ43による紙送り出し位置と、搬送・分離ニップとを直線で結ぶ仮想直線搬送経路に最も近づく。本来であれば、この仮想直線搬送経路に沿って記録紙Pを搬送するのであるが、本複写機では、記録紙Pを光学式変位センサ48に接触させるために、上述したガイド板により、記録紙Pをその仮想直線搬送経路から逸らして、光学式変位センサ48に向けて案内している。記録紙Pが光学式変位センサ48に接触すると、光学式変位センサ48は揺動可能範囲の下端から僅かに上方に逃げる。このように光学式変位センサ48を逃がすことで、記録紙P先端をセンサに接触させる際のセンサに対する紙先端の引っかかりを抑えることができる。
【0089】
図28は、送出ローラ43から記録紙Pが1枚だけ送り出された状態を示す拡大模式図である。送出ローラ43の側方では、上述したように、搬送ローラ46と分離ローラ45とが互いに当接して搬送・分離ニップを形成している。搬送ローラ46は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動する。そして、搬送・分離ニップに挟み込んだ記録紙Pに対して搬送方向の搬送力を付与する。これに対し、分離ローラ45は、搬送・分離ニップ内に記録紙Pを挟み込んでいない状態では、搬送ローラ46の回転駆動力を受けて従動回転する。また、図示のように、送出ローラ43から送り出された記録紙Pを搬送・分離ニップ内に1枚だけ挟み込んでいるときには、記録紙Pの移動に追従して従動回転する。
【0090】
図29は、送出ローラ43から複数の記録紙Pが重なった状態で送り出された状態を示す拡大模式図である。このような状態は重送と呼ばれている。重送が発生すると、複数の記録紙Pが重なった状態で搬送・分離ニップ内に進入する。すると、分離ローラ45の回転トルクが急激に上昇し、それに伴ってトルクリミッターが働く。そして、駆動モータの回転駆動力が分離ローラ45に繋がれて、分離ローラ45が図中反時計回り方向に回転駆動する。これにより、一番下の記録紙Pに対して搬送方向とは逆方向の搬送力が付与されて、一番上の記録紙Pから分離される。この動作が、一番上の1枚だけになるまで続けられる。
【0091】
このようにして記録紙Pを1枚ずつに分離する分離ローラ45の周辺では、ジャムが発生し易いので、分離ローラ45の近傍には紙検知センサを設けるのが一般的である。本複写機では、光学式変位センサ48を、その紙検知センサとして兼用しているので、低コスト化を図ることができる。
【0092】
図30は、特許文献1に記載の画像形成装置のように、給紙カセット内の記録紙Pの変位を光学式変位センサ910で検知させるようにした構成例を示す模式図である。ユーザーが記録紙Pのセット操作を誤らない限り、給紙カセット内の記録紙Pの姿勢を搬送方向(y方向)から大きく傾けることはない。送出ローラ43の劣化により、カセット内の記録紙Pに対して送出ローラ43が不均一な圧力で当接すると、記録紙Pは回転スキューを起こしながらカセット内から送り出される(一点鎖線)。このとき、記録紙Pは、概ね、送出ローラ43を中心にする円弧軌道を描くことから、記録紙Pの回転変位量は紙後端に近づくほど大きくなる。よって、スキューの検出感度を高めるためには、光学式変位センサ910については、送出ローラ43からできるだけ遠ざけて配設することが望ましい。即ち、距離Dをできるだけ大きくすることが望ましい。ところが、給紙カセット内には、様々なサイズの記録紙Pをセットするので、図31に示すように、距離Dについては、最も小さな紙規格サイズ(図示の例ではA5)に合わせて小さい値に設定せざるを得ない。このため、回転スキューを感度良く検出することが困難になる。
【0093】
一方、本複写機では、図32に示すように、給紙カセット内ではなく、送出ローラ43と搬送ローラ46との間における記録紙Pのスキューを検出させるようになっている。かかる構成では、記録紙Pのサイズにかかわらず、スキューによる変位量が最大になる紙後端の変位量を検出することが可能なので、スキューを高感度に検出することができる。
【0094】
図33は、傾き指標値に基づいて、上述したレジストローラ対33、張架ローラ、送出ローラ43の寿命到来を予測するための寿命指標値の算出工程を説明するブロック図である。本体制御部は、傾き指標値をそのまま寿命到来の予測に用いるのではなく、傾き指標値に基づいて、寿命予測対象となるローラの寿命到来の予測に有用な寿命指標値を算出する。寿命指標値の算出に用いる情報としては、傾き指標値の他、用紙情報,画像情報,画像形成条件、距離センサ信号などを用いる。距離センサ信号は、ローラから送り出される用紙のローラ表面からの剥離性を反省表しており、ニップ出口における距離センサと用紙との距離を示しており、これは、用紙のローラ表面からの剥離性を反映している。寿命指標値としては、例えばMTS(マハラノビス−田口−システム)法によるマハラノビス距離などが挙げられる(日本規格協会発行「MTシステムにおける技術開発」を参照)。
【0095】
寿命指標値の算出には、図33に示した各種情報からなる多次元データを用い、それぞれの情報に対して互いに異なる座標軸を設定した多次元空間を定義し、その多次元空間での距離を算出する。この距離が寿命指標値Dとなる。寿命指標値Dを採用することにより、所定時間後の装置の故障有無や画像ランクが判定できる。そして、実際に異常が発生する(危険性が高くなる)までの期間が時間的猶予となる。
【0096】
寿命指標値Dの算出に用いる情報については、次のようにして特定するするとよい。即ち、まず、全ての種類の情報に基づいて寿命指標値Dを算出する。次に、何れか1つの情報だけを除いて寿命指標値Dを算出する。これを、1つだけ除外する情報を順次代えながら、全ての種類の情報についてそれぞれ除外した寿命指標値Dを算出する。全種類の情報を用いたときの寿命指標値Dと、それぞれ1つだけ情報を除外した寿命指標値Dとを順次比較していき、寿命指標値Dを比較的大きく増大させる種類の情報(寿命予測に対する寄与率の大きい情報)を選びだす。そして、選抜した情報だけで、寿命指標値Dを算出するのである。この方法はあくまでも一例であって、これ以外にも、2水準系の直交表を利用して組み合わせた項目で寿命指標値Dを算出してもよい。直交表とは、実験計画法などで利用される「条件の組み合わせ表」であり、実験回数を節約し且つノイズに対して安定な結果を得るためのツールである。例えば、パラメータが5種類あって、それぞれに水準が3つある場合、実験で最適条件を求めようとすれば、まともにやると35=243通りの実験をしなければならないが、直交表を使えば実験回数を減らすことができる。また、ノイズ情報も各実験に均等に含まれるため、安定な(再現性が高い)結果が得られる。この場合は、実地運用段階で、状態の変化に伴って指標値が変化したときにその変化をもたらしたパラメータ(原因項目)を抽出する、あるいは逆に、開発実験段階で、指標値の変化に影響を与えない不要なパラメータを抽出して除くのが目的で、そのツールとして使用する。この直交表を用いることにより、総当たり式に計算する方法に比べて計算回数を節約しつつ安定な結果を得ることができるという利点がある。以上のような手順によって、故障予測から処置方法の決定までが実行される。
【0097】
寿命指標値Dの経時変化の様子を図34に示す。寿命指標値Dは、プリント枚数の増加と共に増大する。そこで、紙詰まりやスキューが頻発する部品の経時劣化を示す閾値を設け、閾値を越えたところで部品の交換要求を通知する。尚、これらの閾値はユーザーの使用する用紙条件や画像比率などによって決定される。また、経時で発生する搬送速度やスキューを補正する手段を備える場合は、閾値に達する以前に補正動作を実行することも可能である。
【0098】
図35は、第1変形例に係る複写機の給紙カセットとその周囲構成とを示す拡大構成図である。第1変形例に係る複写機では、分離ローラの代わりに、分離パッド402を用いて、送出ローラ43から送り出されてくる記録紙Pを1枚ずつ分離するようになっている。分離ローラを用いる構成に比べて、ジャムを発生させ難い構成である。また、レイアウト上、搬送ローラ46の径を大きくできるため、送出ローラ43と搬送ローラ46との距離をより大きくして、送出ローラ43に起因するスキューを両者間でより顕著に発生させることが可能になる。
【0099】
図36は、第2変形例に係る複写機の給紙カセットとその周囲構成とを示す拡大構成図である。この複写機では、給紙カセット42の角に設けたコーナー爪403に記録紙Pを引っ掛けて撓ませながら、給紙カセットから記録紙Pを送り出すことで、記録紙Pを1枚ずつに分離するようになっている。つまり、コーナー爪403が分離手段として機能している。かかる構成においても、第1変形例と同様に、送出ローラ43と搬送ローラ46との距離をより大きくして、送出ローラ43に起因するスキューを両者間でより顕著に発生させることが可能になる。
【0100】
これまで、いわゆるタンデム方式によってフルカラー画像を形成する複写機の例について説明してきたが、単色画像だけを形成する画像形成装置や、タンデム方式とは異なる方式によって多色画像を形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0101】
以上、実施形態に係る複写機の白紙供給装置40においては、複数の記録紙Pを重ねた状態で収容するシート収容手段たる給紙カセット42と、これに収容される記録紙Pのうち、一番上の記録紙Pに当接した状態で回転することで、カセット内の記録紙Pを搬送路としての給紙路44に送り出す送出ローラ43とを設けるとともに、送出ローラ43によって送り出されてくる記録紙Pの変位を検知させるように、光学式変位センサ48を配設している。かかる構成では、劣化に伴ってスキューを発生させ易くなる送出ローラ43の劣化に起因する記録紙Pのスキューを検出して、送出ローラ43の寿命判定に役立てることができる。
【0102】
また、第1変形例や第2変形例に係る複写機では、送出ローラ43によって送り出される記録紙Pを複数枚重ならないように1枚ずつに分離する分離パッド402やコーナー爪403を設けるとともに、分離パッド402やコーナー爪403による分離後の記録紙Pの変位を検知させるように、光学式変位センサ48を配設している。かかる構成では、既に説明したように、送出ローラ43と搬送ローラ46との距離をより大きくして、送出ローラ43に起因するスキューを両者間でより顕著に発生させることができる。
【0103】
また、実施形態に係る複写機の白紙供給装置40においては、記録紙Pを光学式変位センサ48との対向位置で光学式変位センサ48に接触させるように案内する案内手段たるガイド板を設けているので、光学式変位センサとして検知可能距離の短いものを用いても記録紙Pの変位を確実に検知させることができる。
【0104】
また、実施形態に係る複写機においては、光学式変位センサ38,48や、光学式変位センサからなるレジストセンサ65、ベルト速度検知センサ39(以下、これらを単に光学式変位センサという)として、シート状部材の変位量を所定周期で検知してその信号を出力するものを用いるとともに、それらセンサからの出力に基づいてシート状部材の所定時間内(サンプリング20回に要する時間)における平均変位量を算出し、その平均変位量に基づいて移動指標値としての傾き指標値を算出するように、算出手段としてのコントローラや制御部を構成している。かかる構成では、既に説明したように、センサ出力を、安定した値の平均変位量に変換することができる。
【0105】
また、実施形態に係る複写機においては、光学式変位センサからの出力変化に基づいて、光学式変位センサとの対向位置でのシート状部材の有無を把握するように、コントローラや制御部を構成している。かかる構成では、光学式変位センサをシート状部材検知センサとして兼用することで、低コスト化を図ることができる。
【0106】
また、実施形態に係る複写機においては、搬送方向に対して、撮像モジュール912の受光素子の縦並び方向、横並び方向をそれぞれ45[°]傾ける姿勢で光学式変位センサを配設している。かかる構成では、先に図16や図17に示したように、角度θを45[°]とは異なる角度にする場合に比べて、シート状部材のスキューを感度良く検出することができる。
【0107】
また、実施形態に係る複写機においては、搬送路内の記録紙Pに対して搬送方向の搬送力を付与する搬送力付与手段としての搬送ローラ46、レジストローラ対33を、搬送方向に並べて設けるとともに、それぞれのローラ近傍に、光学式変位センサをそれぞれ配設し、それぞれの光学式変位センサによる検知結果に基づいて、それぞれのローラ近傍での傾き指標値を個別に算出させるように、算出手段たる本体制御部を構成している。かかる構成では、それぞれのローラの位置で発生する記録紙Pのスキューをそれぞれ個別に検出することができる。
【0108】
また、実施形態に係る複写機においては、光学式変位センサによる検知結果に基づいて、移動指標値として、搬送方向に対するシート状部材の移動方向の傾きを示す傾き指標値を算出するように、算出手段たるコントローラや制御部を構成している。かかる構成では、傾き指標値に基づいてシート状部材のスキューの発生を把握することができる。
【0109】
また、実施形態に係る複写機において、光学式変位センサによって検知されるβ方向(受光素子の縦並び方向)の変位量と、α方向(受光素子の横並び方向)の変位量との差に基づいて、傾き指標値としての「sinφ−cosφ」を算出するように、コントローラや制御を構成した場合には、既に説明したように、シート状部材のスキュー角φを高精度に検出することができる。
【0110】
また、上述した数3の数式のように、α方向の変位量と、β方向の変位量との差を、合成変位量で除算した結果を、傾き指標値Aとして算出するようにした場合には、既に説明したように、除算によって速度の影響を除外する規格化を行うことで、スキュー角φを速度から分離して検出することができる。
【0111】
また、α方向の変位量と、β方向の変位量との比に基づいて、傾き指標値である「tanφ」を算出するようにした場合には、既に説明したように、シート状部材のスキューを高感度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】従来の光学式変位センサにおける受光素子のマトリクスを示す模式図。
【図2】同マトリクスを被検対象の搬送方向に対して傾ける姿勢で配設した例を示す模式図。
【図3】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図4】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図5】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図6】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図7】同ADFの要部構成をスキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【図8】本発明者らが使用した実験装置を示す斜視図。
【図9】LED方式の光学式変位センサの一例を示す拡大構成図。
【図10】LD方式の光学式変位センサの一例を示す拡大構成図。
【図11】光学式変位センサの一般的な配設態様を説明するための模式図。
【図12】同実験装置における光学式変位センサの配設態様を説明するための模式図。
【図13】同実験装置の光学式変位センサからのα方向変位の出力波形を示すグラフ。
【図14】平均変位量の基準変位量に対する相対値と、平均算出サンプル数との関係を示すグラフ。
【図15】光学式変位センサからの出力を20サンプル毎に平均化した平均変位量と、同実験装置の回転ドラムの線速との関係を示すグラフ。
【図16】角度θと、α方向の平均変位量と、β方向の平均変位量と、合成変位量との関係を示すグラフ。
【図17】同回転ドラムを互いに異なる3つの線速モードで回転させた場合における、x方向の変位に対する感度の指標値と、角度θと、線速との関係を示すグラフ。
【図18】傾き指標値Aと、スキュー角φとの関係を示すグラフ。
【図19】角度θ=0[°]の条件における撮像モジュールと、被検対象のスキュー角φとの関係を示す模式図。
【図20】角度θ=0[°]の条件における撮像モジュールと、被検対象のスキュー角φとの関係を示す模式図。
【図21】同回転ドラムの周面に記録紙Pを部分的に巻き付けた条件における光学式変位センサの出力を示すグラフ。
【図22】各種の傾き指標値とスキュー角φとの関係を示すグラフ。
【図23】スキャナ及びADFの電気回路の一部を示すブロック図。
【図24】レジストローラ対の劣化に起因して発生する記録紙の回転スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図。
【図25】レジストローラ対の劣化に起因して発生する記録紙の斜め移動スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図。
【図26】レジストローラ対よりも搬送方向上流側で発生した記録紙の回転スキューと、画像スキューとの関係を示す模式図。
【図27】白紙供給装置の送出ローラとその周囲構成とを拡大して示す拡大斜視図。
【図28】送出ローラから記録紙が1枚だけ送り出された状態を示す拡大模式図。
【図29】送出ローラから複数の記録紙が重なった状態で送り出された状態を示す拡大模式図。
【図30】給紙カセット内の記録紙Pの変位を光学式変位センサ910で検知させるようにした第1構成例を示す模式図。
【図31】給紙カセット内の記録紙Pの変位を光学式変位センサ910で検知させるようにした第2構成例を示す模式図。
【図32】同複写機の給紙カセットと光学式変位センサとの関係を示す模式図。
【図33】寿命到来を予測するための寿命指標値の算出工程を説明するブロック図である。
【図34】寿命指標値Dの経時変化を示すグラフ。
【図35】第1変形例に係る複写機の給紙カセットとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【図36】第2変形例に係る複写機の給紙カセットとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【符号の説明】
【0113】
24:転写ユニット(ベルト駆動装置)
25:中間転写ベルト(ベルト部材)
33:レジストローラ対(搬送力付与手段)
38:光学式変位センサ
39:ベルト速度検知センサ(光学式変位センサ)
40:白紙供給装置(シート搬送装置)
42:給紙カセット(シート収容手段)
43:送出ローラ(搬送力付与手段)
48:光学式変位センサ
51:ADF(シート搬送装置)
65:レジストセンサ(光学式変位センサ)
402:分離パッド
403:コーナー爪
911:LED(発光素子)
913:受光素子
915:VCSELモジュール(発光素子)
P:記録紙(シート状部材)
MS:原稿(シート状部材)
y:(搬送方向)
α:横並び方向
β:縦並び方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材を搬送するための搬送路と、発光素子から発した光を、該搬送路内のシート状部材の表面で反射させ、得られた反射光をマトリクス状に並ぶ複数の受光素子でそれぞれ受光した結果に基づいてシート部材の変位を検知する光学式変位センサと、該光学式変位センサによる検知結果に基づいて、シート部材の表面方向に沿いつつ搬送方向と直交する方向の移動量を示す移動指標値を算出する算出手段とを備えるシート搬送装置において、
上記搬送方向に対して、複数の上記受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
複数のシート状部材を重ねた状態で収容するシート収容手段と、該シート収容手段内における一番上のシート状部材に当接した状態で回転することで、該シート収容手段内のシート状部材を上記搬送路に送り出す送出ローラとを設けるとともに、
該送出ローラによって送り出されてくるシート状部材の変位を検知させるように、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1のシート搬送装置において、
複数のシート状部材を重ねた状態で収容するシート収容手段と、該シート収容手段内における一番上のシート状部材に当接した状態で回転することで、該シート収容手段内のシート状部材を上記搬送路に送り出す送出ローラと、該送出ローラによって送り出されるシート状部材を複数枚重ならないように1枚ずつに分離する分離パッド又はコーナー爪とを設けるとともに、
該分離パッド又はコーナー爪による分離後のシート状部材の変位を検知させるように、上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかのシート搬送装置において、
上記シート状部材を上記光学式変位センサとの対向位置で該光学式変位センサに接触させるように案内する案内手段を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかのシート搬送装置において、
上記光学式変位センサとして、シート状部材の変位量を所定周期で検知してその信号を出力するものを用いるとともに、
該光学式変位センサからの出力に基づいて上記シート状部材の所定時間内における平均変位量を算出し、該平均変位量に基づいて上記移動指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかのシート搬送装置において、
上記光学式変位センサからの出力変化に基づいて、上記光学式変位センサとの対向位置でのシート状部材の有無を把握するシート有無把握手段を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかのシート搬送装置において、
上記搬送方向に対して、上記縦並び方向、横並び方向をそれぞれ45[°]傾ける姿勢で上記光学式変位センサを配設したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかのシート搬送装置において、
上記搬送路内のシート状部材に対して上記搬送方向の搬送力を付与する搬送力付与手段を、該搬送方向に並べて複数設けるとともに、
それぞれの搬送力付与手段の近傍に、上記光学式変位センサをそれぞれ配設し、それぞれの光学式変位センサによる検知結果に基づいて、それぞれの搬送力付与手段の近傍での移動指標値を個別に算出させるように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかのシート搬送装置において、
上記光学式変位センサによる検知結果に基づいて、上記移動指標値として、上記搬送方向に対する上記シート状部材の移動方向の傾きを示す傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項9のシート搬送装置において、
上記光学式変位センサによって検知されるシート状部材の上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との差に基づいて、上記傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項10のシート搬送装置において、
上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との差を、それら変位量の合成変位量で除算した結果を、上記傾き指標値として算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
請求項9のシート搬送装置において、
上記光学式変位センサによって検知されるシート状部材の上記縦並び方向の変位量と、上記横並び方向の変位量との比に基づいて、上記傾き指標値を算出するように、上記算出手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置において、
上記移動指標値に基づいて、上記搬送経路内でシート状部材に上記搬送方向の搬送力を付与する搬送力付与手段の寿命を予測する寿命予測手段を設けたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項14】
無端状のベルト部材と、該ベルト部材をループ内側から支持しながら張架する複数の張架部材と、該張架部材のうちの1つであり、自らの回転駆動に伴って該ベルト部材を無端移動せしめる駆動回転体とを備えるベルト駆動装置において、
発光素子から発した光を、上記ベルト部材の表面で反射させ、得られた反射光をマトリクス状に並ぶ複数の受光素子でそれぞれ受光した結果に基づいて該ベルト部材の変位を検知する光学式変位センサと、該光学式変位センサによる検知結果に基づいて、該ベルト部材の表面方向に沿いつつ上記無端移動方向と直交する方向の移動量を示す移動指標値を算出する算出手段とを設け、
且つ、上記搬送方向に対して、複数の上記受光素子のマトリクスにおける縦並び方向、横並び方向をそれぞれ斜めに傾ける姿勢で、該光学式変位センサを配設したことを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項15】
シート状部材である原稿シートを搬送するシート搬送装置と、該シート搬送装置によって搬送されている最中の原稿シート、あるいは該シート搬送装置によって所定の読取位置まで搬送された原稿シートの画像を読み取る読取手段とを備える画像読取装置において、
上記シート搬送装置として、請求項1乃至13の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項16】
請求項15の画像読取装置において、
上記移動指標値の算出結果に基づいて、上記読取手段によって読み取られた画像情報を補正する補正手段を設けたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項17】
シート状部材である記録シートを搬送するシート搬送装置と、該シート搬送装置によって搬送されている記録シートに作像処理を施す作像手段とを備える画像形成装置において、
上記シート搬送装置として、請求項1乃至13の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
無端状のベルト部材を無端移動せしめるベルト駆動装置と、該ベルト部材の表面、あるいは該ベルト部材の表面に保持される記録部材に対して作像処理を施す作像手段とを備える画像形成装置において、
上記ベルト駆動装置として、請求項14のベルト駆動装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公開番号】特開2010−116214(P2010−116214A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287528(P2008−287528)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】