説明

シート状ガラスを測定するための装置及び方法

板ガラスを測定する装置である。この装置は安定したベースを含み、ベース上には複数の再配置可能な支持部材が配列されている。シート状ガラスは支持部材上に配置され、x−y軸及びz軸に沿って測距装置を平行移動させるシステムに連結されたレーザ測距装置等の従来の測距装置が、シート状ガラスの上方に懸下される。複数の距離測定が行われ、その後、平面からのシート状ガラスのずれが決定される。各支持部材と測定されるシート状ガラスとの接触は点接触であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略平面状のシート材を測定する方法に関する。本発明は、フラットパネルディスプレイ装置のガラス基体に用いられるような薄いシート状ガラスの反りを測定するために特に有用である。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、清浄で欠陥のない表面を有する薄く平坦な板ガラスを含むフラットパネルディスプレイ装置である。少なくとも何枚かの薄い板ガラスが一体に密封されて、ディスプレイ装置内の密封構造(envelope)を形成する。ディスプレイ装置が組み立てられた際のガラス層間の適切な位置決めが保たれるように、これらのディスプレイを構成するシート状ガラスは表面形状(平面から外れる変形)を示さないことが非常に望ましい。より簡単に述べれば、シート状ガラスは平坦であることが非常に望ましい。平面から外れる変形(平面度)は一般的に反りと呼ばれる。
【0003】
フラットパネルディスプレイ用のシート状ガラスの反りをなくすことは、継続的な課題である。この努力に必要な道具は、反りを正確に測定する能力である。当該技術分野には、反りを測定するための様々な洗練レベルの方法が数多く存在する。しかし、脆い弾性材料の非常に大きく且つ非常に薄いシートの測定に向けられた方法はほとんどない。効果的な反りの測定の開発における考慮点の1つは、測定のためにシート状ガラスが呈示される方法である。即ち、測定プロセスの間にシート状ガラスがどのように支持される(呈示される)かである。ディスプレイ装置に用いられるシート状ガラスは、約1ミリメートル未満程度と非常に薄いので、シート状ガラスへの接触は、測定に影響する別の反りの源を与えがちである。これは、非常に大きいディスプレイ用シート状ガラスに対する要求が高まっているという事実により、深刻化している。今日、数平方メートルを超えるサイズのシート状ガラスが製造されており、このような大きく薄いシートの反りを測定しなければならない。
【0004】
大きいシート状ガラスは、無接触且つ重力がかからない環境で呈示されるのが理想的である。特に地球上の製造環境では、これを達成するのは困難であるため、シートの更なる反りを最小限にする呈示方法が非常に望ましい。
【0005】
シート状ガラスの反りをオフラインで測定するための従来技術の測定方法は、平滑且つ平坦に研磨された大理石のテーブルトップ等の平坦なベース上に、シート状ガラスを置くことを含むものであった。しかし、平坦なベース表面を、微粒子が存在しない状態に保つのは困難である。粉塵等の微粒子の存在は、数マイクロメートル(ミクロン)以内の精度を有することが期待されるシート状ガラスの反りの測定に、誤差を生じ得る。
【0006】
シート材と接触する面を最小限にし、汚れの可能性をなくし又は最小限にし、測定の必要性の変化に対応するための十分な柔軟性を提供し得る、シート状ガラス呈示(支持)装置を見出すことは、有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、略平面状のシート材の少なくとも1つの属性を測定するためにシート材を支持する装置、及び略平面状のシート材の反りを測定する方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、ベース上に載置された支持部材を用いて、略平面状のシート材の形状(反り)を測定する方法を提供する。測定されるシート状ガラスは、シート状ガラスと接触する各支持部材と本質的に点接触することで、支持部材によって支持される。
【0009】
本発明の装置の一実施形態では、装置は、ベースと、ベース上に配置された複数の支持部材であって、略平面状のシート材と複数の支持部材のいずれの支持部材との接触も点接触のみであるよう各支持部材が構成された複数の支持部材とを備える。シート材の属性の測定には、例えばレーザ測距装置等といった、測定装置からシート材の表面までの距離を測定するための従来の非接触式の測定手段が用いられ得る。
【0010】
この実施形態によれば、複数の接触点間のピッチ、即ち、1つの再配置可能な支持部材と測定されるシート材との点接触と、隣接する点接触との間の距離は、均一であるのが好ましく、好ましくは約10cm未満であり、より好ましくは約5cm未満である。
【0011】
一部の実施形態では、均一なピッチを維持し、測定中に支持部材どうしが相対的に移動しないことを確実にするために、支持部材拘束装置を用いるのが望ましい。支持部材拘束装置は、支持部材を受容して支持部材間の位置関係を維持するための少なくとも1つの開口部を有するのが好ましい。複数の支持部材は、複数の単位セルの繰り返しパターンで配置されるのが好ましく、拘束装置は、支持部材を受容するための複数の開口部を備えるのが好ましい。拘束装置は電気的に接地されるのが望ましいが、これは必須ではない。
【0012】
拘束装置は、特定の配置に従って支持部材に合わせた包囲帯等の形態であってもよく、支持部材は、包囲する拘束装置の周囲の内側に配置され得る。従って、配列された支持部材のうち周囲に沿った一部の支持部材のみが、拘束装置と接触する。
【0013】
この実施形態によれば、ベース上方の各支持部材の最大高さの、所定の値からのずれは、約10μm未満である。
【0014】
シート状ガラスの反りを測定する方法も記載される。この方法は、略平面状のシート材と複数の支持部材のいずれの支持部材との接触も点接触のみであるよう各支持部材が構成された複数の支持部材上に、略平面状のシート材を配置する工程と、シート材上の複数の位置において、センサから略平面状のシート材の面までの距離を測定する工程と、測定された距離を用いてシート材の反りを決定する工程とを備える。この方法の一部の実施形態では、センサの移動を較正することが望ましいことがある。較正は、a)較正平面を支持部材の第1の単位セルと接触させて配置する工程と、b)センサから較正平面までの距離を測定する工程と、c)較正平面を第2の単位セル上に配置する工程と、d)上記a)〜c)の工程を繰り返す工程とを備える。較正平面は、一度に単一の単位セルのみと接触するのが好ましい。
【0015】
本発明は、添付の図面を参照して与えられる以下の例示的な説明からより容易に理解されると共に、本発明の他の目的、特性、詳細及び長所がより明確になる。以下の説明は限定を意味するものではない。そのような更なるシステム、方法、特徴及び長所の全ては、本記載及び本発明の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の詳細説明では、限定ではなく説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するための具体的な詳細を開示する例示的な実施形態を示す。しかし、本開示の利益を得た当業者には、本願明細書で開示する具体的な詳細から離れた他の実施形態でも本発明が実施され得ることは明白である。更に、本発明の記載が不明瞭にならないように、周知の装置、方法及び材料に関する記載は省略する場合がある。尚、該当する場合には、類似の参照番号は類似の要素を示す。
【0017】
図1は、例えばガラスやガラスセラミック等といった脆性の材料の略平面状のシート材を測定する装置の一実施形態を示す。一般的に、このような測定は、シート材の平面からのずれ(即ち平面度、又は反り)を決定することに向けられている。以下の説明は、略平面状のシート状ガラスの反りの測定に関するものである。しかし、本願明細書に記載される支持装置は他の用途にも適用可能であり、シート状ガラスの反りの測定に限定されないことが、当業者にはわかるであろう。
【0018】
図1の装置は、ベース10と、複数の球形部材12(以降、ベアリング12)とを有する。ベース10は花崗岩で作られるのが一般的であるが、他の寸法的に安定な材料で形成されてもよく、又は寸法的に安定な方法で構成されてもよい。例えば、実験用の光学コンポーネントの取り付けに用いられる光学テーブルトップ、ブレッドボード等が用いられ得る。このようなテーブルトップは市販されており容易に入手可能である。例えば数平方メートル以上の大きい大きいシート状ガラスの測定に適したベースは、特注製造を必要とし得る。寸法的に安定とは、測定が行われる間、ベースが知覚可能な歪みを示さないことを意味する。ベース10は、ベースの上面に歪みや振動を与えない方法でしっかりと取り付けられるのが望ましい。例えば、ベース10は、金属の枠に取り付けられ、周囲環境(例えば地面や床)から測定されるシート状ガラスに伝わる振動を緩衝又は解消するために、空気圧式の脚部によって支持され得る。ベース10の上面14は、15μm以内の平面であるのが好ましい。即ち、表面14上のいかなる点においても、理想的な平面からの上面14のずれは約15μm以下である。ベースが測定されるシート状ガラスに機械的な共鳴をほとんど与えず、ベースや測定されるガラスの重量でベースがたるまないように、ベースは十分に剛性であることも望ましい。基本的に、測定可能なたるみは存在しないべきである。例えば、厚さが約15cmの花崗岩のベースであれば、たるみの解消に十分であることがわかった。
【0019】
ベアリング12は、例えば、ステンレス鋼やクロム等の超硬合金等といった適切な金属で形成された精密なボールベアリングであり得る。ベアリングの最大直径公差は10μm以下であるべきである。即ち、各ベアリングの直径は、最大直径d±5μmであるべきである(dは所定のノミナルな直径)。各ベアリングのノミナルな直径は、とりわけ、ベアリングの所望のピッチに依存し、これについては後でより詳細に説明する。
【0020】
温度の変化がシート状ガラスの測定を大きく変えることのないことを確実にするために、測定が行われている間、本発明の装置の周囲温度は±1°F(±約0.56℃)の範囲内に維持されるのが望ましい。しかし、許容可能な温度のずれは、所望の測定精度によっても左右される。一般的な測定温度は68°F±1°F(20℃±約0.56℃)である。
【0021】
図1に戻ると、ベアリング12はベース表面14上に配置される。各ベアリング12は、単一の点(ベース−ベアリング接触点)において表面14と直接接触するの好ましい。各ベース−ベアリング接触点は、最も近いベース−ベアリング接触点から所定の距離Λの位置にある。距離Λはピッチと呼ばれる。ベアリング12は、均一なピッチの幾何学的なパターンでベース表面14上に配置されるのが好ましい。例えば、ベアリング12は、正方形グリッドパターン(即ち、ベアリングが正方形の四隅に配置される)でベース表面14に配置され得る。或いは、同心円や六角形等といった他の幾何学的パターンを用いてもよい。一般的なピッチΛは約3cm未満であるが、顧客の要求及びシート状ガラスの厚さに応じて異なり得る。一般的に、シート状ガラスの適切な支持を確実にするには、シート状ガラスが薄いほど、小さいピッチが必要となる。
【0022】
シート状ガラス測定中のベアリングの移動を防ぐために、拘束装置が用いられ得る。図2に最もよく示されるように、キャリッジ板16は適切な材料の板であり、キャリッジ板の厚さを貫通する複数の開口部18を有する。開口部18には、各ベアリング12の少なくとも一部分がキャリッジ板の上方に延出するようにして、ベアリング12が挿入され得る。図1及び図2に示されている実施形態では、キャリッジ板16の片面がベース10に接触して載置されている。キャリッジ板16の適切な材料としては、ベアリングがシート状ガラスを支持している間、各ベアリングを他のベアリングとの所定の配列関係に維持可能な任意の材料が含まれる。例えば、キャリッジ板16は、様々な異なるポリマーの任意のもので構成され得る(例えばデュポン社(DuPont)製のDelrin(登録商標))。ポリマーは、軽量で、加工が容易であり、比較的安価であるという長所を有する。一方、キャリッジ板16は、アルミニウム等の金属で形成され得る。アルミニウム等の金属が用いられる場合のように拘束装置が導電性である場合には、ベアリング表面に粉塵を引き付けて測定に誤差を生じ得る静電気の蓄積を抑制するために、拘束装置を電気的に接地するのが有益である。
【0023】
図1及び図3に示される実施形態では、キャリッジ板16の開口部18は、ベアリング12上へのキャリッジ板16の配置を容易にするために面取りされた内側壁20を有する。面取りされた側壁20は、開口部から粉塵が入るのを防ぐことによってベアリング表面の汚れを防ぐ一助となるという利点を有する。即ち、キャリッジ板の上側にある各開口部の狭くなった部分(図1に示される)が、各ベアリングの周囲にぴったりと嵌る。しかし、この特徴は必須ではなく、開口部18の内側壁20は面取りされていない円筒形であってもよい。即ち、キャリッジ板16の各側の開口部は同じサイズであってもよく、開口部の壁は、キャリッジ板の各側の表面に対して垂直であってもよい。
【0024】
ベアリング12どうしの相対的な移動を拘束するための他の機構が用いられてもよい。例えば、図4に示されるような、接続部材又は支柱22とカラー24とを有する格子が形成されてもよい。支柱22は複数のカラー24を接続して、カラー間の所定の距離を維持する。例えばベアリングの上からカラーを嵌め込むことによって、ベアリング12がカラー24に挿入される。(図4では、説明の目的で、即ちベアリングとカラーとの関係をより良好に示すために、ベアリングとカラーとの間にかなりの空間が示されている。)カラー24は弓形の内面26を有し、各ベアリングの外周より僅かに大きいカラーの最大内径が各ベアリングの外周の周囲にほぼ位置するのが好ましい。従って、カラーの格子は、ベアリングによってベース表面の上方に浮いた状態となり、各ベアリング12は個々のカラー24内に保持されるが、カラー内で自由に回転するのが好ましい。ベース10の表面14に載置されたベアリング上に配置されたカラーの詳細な断面図が図5に示されている。
【0025】
支持部材はベースに永久的に取り付けられてはいないので、単に異なる拘束装置を用いることで、異なる構成(例えば、異なる形状の単位セル)に再配置できるという利点を有する。例えば、キャリッジ板16の開口部の数は、より多くても又は少なくてもよく、開口部間の間隔が異なっていてもよい。
【0026】
図6に示される別の実施形態では、複数のベアリング12が、枠に入れられた玉突きの玉のように互いに接触した、密に詰められた構成であり得る。図6に示される構成では、ベアリング12は枠26によって囲まれている。枠26は、ベアリング12の構成を、ベアリングの外周の径(各ベアリング12が同じ赤道直径を有するものとする)と等しいピッチを有する所定の配列に維持する。
【0027】
ベアリングの横方向の移動(即ち、ベース平面に平行な移動)を拘束する他の方法を用いてもよく、それらも本発明の範囲に含まれることが意図される。例えば、円筒形部(以降「ワッシャー」28)を、接着剤等によって、又は金属のワッシャー28の場合には溶接によって、所望の所定のパターンでベース10の上面に固定してもよい。これに関する詳細な斜視図が図7に示されており、ベース及びワッシャーによって、各所定の位置に浅い井戸30が形成されている。ベアリング12は、各井戸30内に配置される。各井戸30の深さは、上述のように各ベアリングがベース表面と点で接触し、ワッシャーの存在によってベアリングの横方向の移動が抑制され、且つ、ベアリングの少なくとも一部がワッシャーの上方に延出するように設定されている。或いは、井戸の直径は、ワッシャー上に載置されたベアリングがベースと接触しないように、ベアリングの直径より小さくてもよく、又は、井戸の直径は、ベアリングがワッシャーとベースとに同時に接触するよう設定されてもよい。
【0028】
更に別の実施形態では、ベースの表面に、ベアリングを適切な位置に保持するための凹型の窪み(図示せず)を形成してもよく、又は、ベアリングを接着剤でベース表面14に固定することによって、ベアリングを適切な位置に単に取り付けてもよい。当業者にとっては、ベアリングの位置を維持する他の方法も可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0029】
この実施形態によれば、本発明の装置は、ベース及び支持部材の上方に配置された測定装置を更に備える。図8は、直交座標レール系に取り付けられたセンサ32を示しており、測定装置はベース表面と平行な平面、即ちx−y平面内で移動され得るようになっている(x−y平面は、ベース表面と平行な平面に直交する距離を表し、z方向(図9)は、ベース表面に直交する方向を表す)。一般的に、x−y方向は、測定されるシート状ガラスの長さ及び幅に対応する。この文脈では、長さ及び幅は、長方形のシート状ガラスの互いに垂直な辺を表す任意の表示である。センサ32は、例えばリニアステッピングモータ(図示せず)によって、レール34に沿ってx方向に移動され、同様に、構台36に沿ってy方向に移動され得る。しかし、当該技術分野で公知の任意の適切な平行移動技術を用いてよい(即ち、シート状ガラス38の上方の所定の座標への測定装置の平行移動を可能にする技術)。例えば、平行移動は、極座標等の異なる座標系に基づいて行われてもよい。センサ32は、距離の測定に適した当該技術分野で公知の任意の非接触型装置であってよく、例えば、従来のレーザ測距装置、干渉計装置、又は音響測距装置で構成され得る。z方向(図面の紙面に向かう方向)に動作する構台36に取り付けられた平行移動台40も含まれており、構台36に取り付けられたセンサ32と測定されるシート状ガラスとの間の距離を変えられるようになっている。
【0030】
シート状ガラスを測定するために、まず、想像上の基準面(人工的な平面:APS)を、各支持部材の上面に載置された平面(例えば各ベアリング12上に載置されたAPS)として識別する。APSの平面度の公差は、ベース表面14の平面度と、支持部材の高さの公差(例えばベアリング12の直径の公差)とによって定められる。その後、センサの移動の範囲に沿って、センサのずれが決定される。次に、例示の目的で、ベアリングの形態の支持部材の正方形グリッドパターンについて説明する。
【0031】
全体を較正平面42として示される、既知の平面度を有する小さい基準シート状ガラスが、最小正方形単位セル(単位セルA)を表す支持部材上に接触するよう配置される。各支持部材と測定中のガラスとの間の単一の点接触を有する正方形グリッドパターンには、様々なサイズの多くの異なる4ベアリング配置が包含されることが、当業者には認識されよう。「点接触」とは、支持部材が、例えばピンの先やピラミッド構造の頂点等といった非常に小さい(微小の)表面積において特定の物体と接触することを意味することが、当業者には理解されよう。本質的に平面状の表面と接触する球形の支持部材の場合には、表面と球形部材との接触は点接触である。較正平面は、単位セルを構成する支持部材のみと接触すべきである。この記載の文脈における単位セルは、図10に示されるように、正方形を構成する最小数、即ち4つのベアリングとの接触から構成される正方形を表す。他の形状の単位セルも可能である。図11aは、図10のように正方形の形状を有する4ベアリング単位セルAを示しており、図11bは、台形の形状を有する4ベアリング単位セルBを示している。センサ32は、第1の位置(図10では42aで示す)の較正平面42の直上の位置に平行移動され、較正平面の上面(好ましくは較正平面の中心)から測定装置までの距離が判定される。次に、較正平面は次の単位セルAへと移動され、測定が繰り返される(この位置の較正平面は42bで示される)。較正平面を全てのベアリンググリッドの単位セル上に次々と配置することにより、センサ32の移動範囲にわたるセンサ32の垂直方向、即ちz軸方向のずれが決定され得るデータが得られる。即ち、水平なx−y平面におけるセンサの移動範囲をカバーする複数の位置において、センサから既知の基準面(較正平面)までの距離が測定され、センサのz軸方向のずれが決定される。
【0032】
センサの移動範囲にわたるセンサの垂直方向のずれが決定されたら、支持部材及びシート状ガラス38のベッドから較正平面が取り除かれ、測定されるシート状ガラスが、ベアリング12上の適切な位置に配置される。再び測定センサを用いて、シート状ガラス上の複数の離散的な点(座標)におけるセンサからシート状ガラス38の上面までの距離が測定される。この例では、センサがシート状ガラス上の各測定位置に移動される間、シート状ガラスは静止状態に保たれる。測定点の数が多いほど、シート状ガラスの形状(即ち、平面からのシート状ガラスのずれ)の判定精度を高めることができる。例えば、10,000箇所もの離散的な測定が行われ得る。この離散的な測定を用いて、予備的なシート状ガラス形状が算出され、ベアリングの高さの差によって生じ得るシート状ガラスの形状への影響を取り除くために、センサのz軸方向のずれが差し引かれる。この結果が、シート状ガラスの全体的な形状、即ちシート状ガラスの位置の関数としての、平面から外れたシート状ガラスのずれ(反り)である。
【0033】
上述の実施形態では、球形の形状を有するシート状ガラス支持部材を用いたが、他の形状を用いてもよい。例えば、支持部材はピラミッド状であって、各ピラミッドの底部がベースと接触し、各ピラミッドの頂点が測定されるシート状ガラスと接触(即ち点接触)してもよい。ベアリングの場合のように、個々のピラミッドは所定の幾何学的パターンでベース上に配置される。複数のこのような支持部材をベース10上に配置できる。図12aは、三辺ピラミッドの形状の支持部材12を示し、図12bは、ベース表面14上における三角形の支持部材12の底部の三角形の接触パターン42(設置面積)を示す。黒い点44は、設置面積42に投影されたピラミッドの頂点を表す。支持部材12の配置は図13に示されるようなものであってもよく、図面中、各点は、投影された頂点44の配置を表す。この配置法は、四辺ピラミッド形状等の他の形状にも有効である。
【0034】
本発明の上述の実施形態、特に、いかなる「好ましい」実施形態も、単に可能な実施例であり、本発明の原理が明瞭に理解されるために示したものに過ぎないことを強調する。本発明の上述の実施形態には、本発明の精神及び原理から実質的に逸脱することなく、多くの変形及び変更が行われ得る。そのような変形及び変更の全ては、本開示及び本発明の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】反りの測定のためにシート状ガラスを呈示する装置の側断面図。
【図2】ベアリングの移動を拘束するためのキャリッジ板の平面図。
【図3】図2のキャリッジ板の断面図。
【図4】ベアリングを拘束するための格子による拘束の平面図。
【図5】図4の格子による拘束の一部を縁部から見た、ベアリング、カラー及び複数の支柱を示す詳細な断面図。
【図6】ベアリングが枠内に密に詰められて拘束される、ベアリングの移動を拘束するための別の装置の平面図。
【図7】ベース上にワッシャーを取り付けることによって構成された井戸内に配置されたベアリングを示す、反りの測定のためにシート状ガラスを呈示する装置の部分斜視図。
【図8】移動するx−y台に取り付けられた測定装置を含む図1の装置の平面図。
【図9】測定されるシート状ガラスの上方にあり且つシート状ガラスに平行な平面内、及びシート状ガラスに対して垂直な方向におけるセンサの移動のための、平行移動レール及びZ軸台を示す、本発明による一実施形態の側面図。
【図10】APSを決定するためのベアリングの単位セル間での較正平面の移動を示す、図2のキャリッジ板の平面図。
【図11a】4つの支持部材で構成される正方形の第1の単位セルの平面図。
【図11b】4つの支持部材で構成される台形の第2の単位セルの平面図。
【図12a】ピラミッド状支持部材の斜視図。
【図12b】図12aのピラミッド状支持部材の設置面積と、設置面積上に垂直方向下方に投影されたピラミッド状支持部材の頂点(頂点は、支持部材と測定されるシート状ガラスとの接触点の位置を表す)とを示す図。
【図13】図12a及び図12bに示される種類の複数のピラミッド状支持部材がどのように配置され得るかを示す(黒い点は、図12bの投影された頂点の位置を表す)、ベースの一部分の斜視図。
【符号の説明】
【0036】
10 ベース
12 球形部材(ベアリング、支持部材)
32 センサ
38 シート状ガラス(シート材)
、A 単位セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平面状のシート材の少なくとも1つの属性を測定するために、前記シート材を支持する装置であって、
ベースと、
前記ベース上に配置された複数の支持部材であって、前記略平面状のシート材と前記複数の支持部材のいずれの支持部材との接触も点接触のみであるよう各支持部材が構成された前記複数の支持部材と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記略平面状のシート材の反りを測定するための、前記支持部材の上方に配置された手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ベースが、該ベースの上面上のいずれの点においても平面からのずれが未満15μmである前記上面を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
複数の前記点接触間のピッチが10cm未満であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記支持部材間の位置関係を維持するために前記支持部材と接触する支持部材拘束装置を更に備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記拘束装置が、前記支持部材を受容するための少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記拘束装置が複数の開口部を備えることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記複数の支持部材が、複数の単位セルの繰り返しパターンで配置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
略平面状のシート材の反りを測定する方法であって、
前記略平面状のシート材と複数の支持部材のいずれの支持部材との接触も点接触のみであるよう各支持部材が構成された前記複数の支持部材上に、前記略平面状のシート材を配置する工程と、
前記シート材上の複数の位置において、センサから前記シート材の上面までの距離を測定する工程と、
前記測定された距離を用いて前記シート材の反りを決定する工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記センサの移動を較正する工程を更に備え、該較正する工程が、
a)較正平面を前記支持部材の第1の単位セルと接触させて配置する工程と、
b)前記センサから前記較正平面までの距離を測定する工程と、
c)前記較正平面を第2の単位セル上に配置する工程と、
d)上記a)〜c)の工程を繰り返す工程と
を備えることを特徴とする請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−503504(P2009−503504A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523933(P2008−523933)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/027492
【国際公開番号】WO2007/015772
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】