説明

シート給送装置

【課題】原稿台に積載する原稿の有無の検知に用いている光センサの光路が、シート積載台の高さに応じて変動しても検出精度が保持できる、より精度の良い原稿積載検知が可能なシート給送装置を安価に提供する。
【解決手段】原稿の異常形状状態を検知するための異常形状検知センサの光を、原稿が積載される原稿台に設置された導光体等により、原稿台よりも下部に配設された原稿積載検知センサ受光部に導くとともに、原稿台の昇降に応じて、異常形状検知センサの発光光量を変更して原稿を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機、ファクシミリおよびプリンタなどの画像形成装置やスキャナなどの画像読取装置に用いられるシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のシート給送装置は、積載部に積載されたシートをピックアップローラによって給紙し、給送ローラ及び該給送ローラに圧接する分離ローラによってシートを一枚ずつ分離して搬送路に給送する。分離ローラは、シートを積載部側に戻す方向に搬送する回転力をトルクリミッタを介して常時受けている。そして、分離ローラは、シートが一枚のときはシートの搬送力を受けてトルクリミッタがスリップすることによって給送ローラに追従回転するが、シートが複数枚のときはシートを積載部側に戻す方向に回転してシートの重送を防止する。
【0003】
ところで、上記シート給送装置は、積載部にステイプラ、クリップ、糊付け等によって束状に綴じられたシートが誤って積載されていると、このように綴じられたシートに対しても一枚ずつ分離して搬送路に給送しようとする。この場合、シート束の内、給送ローラによって給送される最上位のシートが綴じられた部分を中心にめくれ上がるように回転して皺になったり、破れたり、或いはシート束全体が回転して歪んだ形状になったりすることがある。
【0004】
このようなシートの跳ね上がりを検知し、シートの破損を未然に防止する技術として、積載部近傍のシート幅方向の―側に光を照射する発光素子を配置し、シート幅方向の他側に発光素子の照射光を受光する受光素子を配置したシート給送装置が、例えば特許文献1に開示されている。この装置では、シートの跳ね上がりによる発光素子から受光素子までの光路の遮光を検知することにより、シートの跳ね上がりを検知する。
【0005】
また、シート給送装置は、積載部にシートが積載されていないか又は、積載部へのシートの積載位置がずれて、ピックアップローラに接しない位置にシートが積載されている状態でピックアップローラを駆動させると、ピックアップローラが積載部と擦れ、ローラ表面が摩耗して搬送力が低下する。また、ピックアップローラが積載部と擦れてゴミが発生し、そのゴミが装置内に入り込むと装置内の各部材に付着し、搬送不良を引き起こしたり、画像読取装置や画像形成装置においては、読み取られた画像の不良や印字画像の不良が発生したりする。更に、ピックアップローラと積載部が擦れて騒音が発生することもある。
【0006】
従って、シートを積載部に積載すると自動で給紙を開始する機能を設けるためにも、積載部にシートが積載されているか否かをピックアップローラ近傍で検知する必要がある。図8は、機械式レバーを用いてフォトセンサを遮光することにより積載部上のシートを検知する従来のシート検知手段を示す断面図である(特許文献2参照)。
【0007】
このシート検知手段は、図8(a)に示すように、積載部の給紙ローラ近傍に配置されたレバー301を有している。搬送路300を通過するシートF1の先端310でレバー301が押されると、レバー301が回転する。そして、回転するレバー301が、該レバー301の近傍に配置されたフォトインタラプタ302を遮光するとフォトインタラプタ302の出力信号が変化することによってシートを検知可能としている。
【0008】
図9は、発光素子と受光素子とが一体となった反射型光学検知素子を用いて積載部上のシートを検知する従来のシート検知手段を示す断面図である。このシート検知手段は、図9(a)に示すように、発光素子320aと受光素子320bとが一体となった反射型光学検知素子320を備えた基板321を積載部1の下方に配置している。そして、シートF1が積載部1に積載されると、発光素子320aからの光線PがシートF1により反射して受光素子320bに入射し、出力信号が変化することによってシートを検知可能としている。
【特許文献1】特開2004−182449号公報
【特許文献2】特開平8−119493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図8(a)に示すシート検知手段では、剛性の低い薄い紙を積載部に積載するときに、図8(b)に示すように、シートF1の先端310がレバー301の回転負荷により折れ曲がることがある。また、シートF1を積載部に積載したとき、レバー301は常にシートF1と接触しており、シート搬送時にはシートF1と検知レバー301とが擦れる。そのため、長期間使用していると検知レバー301が摩耗して誤検知してしまう可能性がある。
【0010】
また、図9に示すシート検知手段では、一般的にセンサの検知有効距離が短く、有効範囲も狭い。このため、積載部1に積載されたシートF1を正確に検知するには、反射型光学検知素子320を実装した基板321を積載部1のシート積載面のごく近傍に配置しなければならず、レイアウト上の制限がある。従って、反射型光学検知素子320だけを実装した専用の基板が必要となることが多く、この場合、電気配線も必要となるため、部品数や組立工数が増えてコストアップとなってしまう。また、昇降機構により駆動されて上下に移動する積載部に反射型光学検知素子320を実装した基板を設けるため、電気配線も動くこととなり、配線の挟み込み等による断線の恐れが生じてしまう。
【0011】
更に、反射型光学検知素子320を実装した基板321を積載部1のシート積載面のごく近傍に配置したとしても、図9(b)に示すように、シートF1が折れ曲がっていると反射型光学検知素子320との距離が大きくなり、シートを検知できないこともある。
【0012】
本発明の目的は、非接触式原稿検知手段を安価に構成し、確実に積載原稿を検知できるシート給送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、シートが積載される積載部と、
該積載部に積載されたシートを分離給送する分離給送手段と、前記積載部に積載されたシートの有無を検知するためのシート検知用受光部を有するシート検知手段と、前記分離給送手段によるシートの分離給送時における該シートの異常形状を検知する異常形状検知手段と、前記積載部を昇降させる駆動手段と、を備えるシート給送装置であって、前記異常形状検知手段は、前記積載部に積載されたシートの一側部より外側の位置から前記積載部に光を照射する異常形状検知用発光部と、前記積載部に積載されたシートの他の側部より外側の位置にて、前記異常形状検知用発光部が照射した光を受光する異常形状検知用受光部と、を有し、前記異常形状検知用発光部は前記シート検知手段の発光部を兼ね、前記異常形状検知用発光部の発光光量を、前記積載部の昇降位置に応じて変更する制御手段を更に有する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のシート給送装置は、シートが積載される積載部と、該積載部に積載されたシートを分離給送する分離給送手段と、前記積載部に積載されたシートの有無を検知するためのシート検知用発光部を有するシート検知手段と、前記分離給送手段によるシートの分離給送時における該シートの異常形状を検知する異常形状検知手段と、前記積載部を昇降させる駆動手段と、を備えるシート給送装置であって、前記異常形状検知手段は、前記積載部に積載されたシートの一側部よりも外側の位置から前記積載部に光を照射する異常形状検知用発光部と、前記積載部に積載されたシートの他の側部よりも外側の位置にて、前記異常形状検知用発光部が照射した光を受光する異常形状検知用受光部と、を有し、前記異常形状検知用受光部は前記シート検知手段の受光部を兼ね、前記シート検知用発光部の発光光量を、前記積載部の昇降位置に応じて変更する制御手段を更に有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価なシート検知手段を用いて積載部にシートが積載されているか否かをシートに非接触で精度良く検知することができる。またシート検知手段への束線を設けた場合は、束線の耐久性を向上させることができる。またシート積載台の上昇下降動作に対応して、前記シート検知手段発光部の発光光量を制御した場合は、さらに信頼性の高いシート検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の第1の実施例であるシート給送装置を備える画像読取装置の概略断面図である。尚、図1に示す画像読取装置の構成は概略的であり、本構成に限るものではない。
【0018】
図1及び図2に示すように、画像読取装置200 に搭載されたシート給送装置101は、複数枚の原稿(シート)が積載される原稿台1を備える。原稿台1の幅方向の両側には、原稿台1の積載面に積載された原稿の幅方向の側部を規制する原稿規制板50が立設されている。
【0019】
原稿台1は、駆動モータ2により昇降駆動される。原稿検知センサ3は、給紙動作の開始時に原稿台1が上昇したときに、該原稿台1に積載された原稿がピックアップローラ4へ圧接されたときに原稿を検知するようになっている。分離給送部のピックアップローラ4は、駆動モータ5によって回転駆動され、原稿台1に積載された原稿を給送ローラ6及び分離ローラ7からなるローラ対42に給紙する。
【0020】
分離給送部の給送ローラ6は、給送モータ8によって原稿を下流側に給送する方向に回転駆動される。分離給送部の分離ローラ7は、原稿を上流側に押し戻す方向に回転する回転力を不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モータ9から常時受けている。
【0021】
給送ローラ6と分離ローラ7との間に原稿が一枚存在するときは、トルクリミッタが分離ローラ7へ伝達可能な原稿を上流側に押し戻す方向の回転力の上限値より、給送ローラ6による原稿を下流側に給送する方向への回転力が上回る。従って、分離ローラ7は、給送ローラ6に追従して回転する。
【0022】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間に原稿が複数枚存在するときは、分離ローラ7は、原稿を上流側に押し戻す方向に回転して最も上位の原稿以外を押し戻し、これにより、原稿が一枚ずつ分離されて給送される。なお、本実施形態では、給送ローラ6及び分離ローラ7からなるローラ対42を採用しているが、これに代えて、分離ローラと給送ローラのいずれか一方にベルトを用いてもよい。
【0023】
搬送モータ10は、分離給送後の原稿を読取位置から排出位置まで搬送するための各ローラ対を駆動する。また、搬送モータ10は、原稿の読取に最適な速度や、原稿の解像度等の設定に応じて原稿の搬送速度を変更できるように各ローラ対を駆動する。
【0024】
ニップ隙間調整モータ11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、或いは分離ローラ7に対して原稿を介して給送ローラ6が圧接する圧接力を調整する。これにより、原稿の厚みに適した隙間、或いは圧接力が調整され、原稿が分離給送される。
【0025】
読取部43は、原稿を表面及び裏面の画像を読み取る読取センサ14及び読取センサ15を備えており、原稿の読取速度と解像度の設定に基づき走査間隔を変更できるようになっている。排出センサ16は、原稿が読取部43を通過して排出積載部44に排出中であることを検知する。
【0026】
レジストクラッチ19は、搬送モータ10の回転駆動力をレジストローラ18に伝達・遮断する。レジストローラ対17、18の回転を一旦停止することにより、給送される原稿の先端をレジストローラ対17、18のニップ部に突き当てて、原稿の斜行を修正する。
【0027】
搬送ローラ対20、21、搬送ローラ対22、23及び下流側のローラ対は、原稿を排出積載部44に搬送する。上ガイド板40及び下ガイド板41は、分離ローラ対42、レジストローラ対17、18、搬送ローラ対20、21、搬送ローラ対22、23及び下流側のローラ対により搬送される原稿を搬送路に沿って案内する。
【0028】
原稿台1に積載された原稿束Fに対する分離給送動作が終了し、原稿台1に原稿が載置されるのを待機している際には、原稿台1は、下降動作を行い、駆動範囲の最下部に移動すると停止する。そして、原稿が原稿台1に載置され、分離給送動作の開始指示がなされるまで待機する。
【0029】
給送前センサS1は、給送される原稿の先端(下流側端)を検知する。給送後センサS2は、給送される原稿の後端(上流側端)を検知する。レジスト前センサS3は、レジストローラ対17、18の上流側に配設され、搬送される原稿を検知する。レジスト後センサS4は、レジストローラ対17、18の下流側に配設され、搬送される原稿を検知する。
【0030】
図3は、原稿異常形状検知センサSS1、ピックアップローラ4、及び原稿台1に積載される原稿束Fの位置関係を示す斜視図である。分離給送時に起こる原稿の異常形状を検知するための検知センサ(異常形状検知手段)SS1は、図3に示すように、発光部(異常形状検知用発光部)SS1−a及び受光部(異常形状検知用受光部)SS1−bを備える。発光部SS1−aは、LED等の発光素子で構成され、受光部SS1−bは、フォトトランジスタ等の受光素子で構成されており、共に図1に示す制御部45に接続されている。発光部SS1−aは、原稿台1に積載された原稿束Fの幅方向(シート幅方向)の一側部より外側の位置に配設され、受光部SS1−b は、原稿台1に積載された原稿束Fの幅方向の他の側部より外側の位置に配設されている。
【0031】
そして、発光部SS1−aにより照射された光は、ピックアップローラ4の上流側近傍を通過して受光部SS1−bへと進む。また、発光部SS1−aから照射される光の光路は、それぞれ原稿台1の原稿F1の積載面に対して平行で、且つ原稿F1の給送方向に対して直交する。原稿束Fのなかに、ステイプラ、クリップ、糊付け等によって束状に綴じられた原稿F1が誤って積載されていると、この原稿束も1枚ずつ分離して給送しようとする。そのときに、給送ローラ6によって給送される原稿束Fの最上位の原稿F1が綴じられた部分を中心に跳ね上がって異常形状となる。原稿F1の跳ね上がった一部は、原稿異常形状検知センサSS1の光路を遮り、制御部45は、原稿異常形状検知センサSS1からの信号の変化により、原稿が異常形状となったと認識しピックアップローラ駆動モータ5、給送モータ8、及び分離モータ9の回転を停止させる。
【0032】
図4(a)はシート給送装置101の要部を示す斜視図、図4(b)はシート給送装置101の要部を側面から見た概略断面図である。図4(a)及び図4(b)に示す、ピックアップローラ4をカバーするピックアップローラカバー30は開閉可能に設けられている。ピックアップローラ4が給紙時の摩耗により摩擦力が弱まってきたときに、ピックアップローラカバー30を開けてピックアップローラ4を交換する。
【0033】
次に、原稿異常形状検知センサSS1と原稿積載検知センサを用いて、原稿台1に積載される原稿F1の有無を検知する方法について説明する。本実施形態では、原稿積載検知手段の発光部として、原稿積載検知センサ発光部(シート検知用発光部)12を用いるとともに、原稿積載検知手段の受光部として原稿異常形状検知センサの受光部SS1−bを用いる。制御部45は発光用回路A01に駆動用信号を供給し、図5および図11に示すように原稿積載検知センサ発光部12を駆動させる。
【0034】
原稿積載検知センサ発光部12から照射された光は、原稿台1に配設された導光体(導光部材)31に入射され、屈折又は反射により光路を折り曲げる光路変更部材である導光体31を通過して光路が折り曲げられ受光部SS1−bへと到達する。なお、原稿積載検知センサ発光部12が照射した光により積載部の原稿の有無を検知する際は、原稿異常形状検知センサSS1の発光部SS1−aは消灯しておく。
【0035】
受光部SS1−bが入射光を電圧に光電変換して出力した受光信号は非常に微小であるため、アンプ回路A02を通して増幅し、原稿検知が行える信号レベルに引き上げられる。A/D変換器A03は、アンプ回路A02によって増幅された受光信号をアナログ信号からデジタル信号の受光強度データに変換して制御部45に出力する。制御部45は、受光部SS1−bから入力され増幅された受光信号の強度を受光強度データとして取得する。そして、制御部45は、取得した受光強度データが闘値を下回ると、受光強度を低下させる原稿F1が原稿台1に積載されていると判断し、取得した受光強度データが閾値以上であれば、原稿F1が原稿台1に積載されていないと判断する。
【0036】
閾値は、発光素子の個体差や外乱光の影響を受けない判定が行える受光強度に対応する電圧値のデータとする。また、光が透過しやすい薄紙でも検知できるように、薄紙による減衰が起こったときの受光強度に対応する電圧値以上の値を閾値とする。ここで、原稿積載検知センサ発光部12としてLED等の点光源を用いる場合、光源の素子との距離が近い位置ほど受光強度が強く、光源から遠くなるにつれて受光強度も低下する。
【0037】
図4(b)に示すように、原稿積載検知センサ発光部12は、原稿台1よりも下の位置にある装置底板又はその近傍に配置されているため、原稿台1が上昇した際に、導光体31との距離が開くことになる。原稿積載検知センサ発光部12から照射された光は、前述したように光源からの距離が遠くなるにつれてその光量が低下する。また、前記光源からの光は、導光体31を通過した際にも光量が低下する。
【0038】
上記のことから、原稿積載検知センサ発光部12からの発光光量を一定にして検知動作を行うと、原稿台1が上昇するにつれて、受光部SS1−bに到達する光量が低下し、原稿F1が原稿台1に積載されているかを正確に判断することが出来なくなる恐れがある。そのため、本実施形態における原稿積載検知センサ発光部12の発光強度は、原稿台1の位置(昇降位置)によって、制御部45によって変更され、受光部SS1−bに対し、原稿積載検知に適した光量が到達するようになっている。
【0039】
原稿台1を昇降させる処理が行われたとき、原稿台1の位置に応じて原稿積載検知に必要な光量を変更するための設定を行う処理について、図10のフローおよび図11のブロック図を用いて説明する。はじめにステップST101において、制御部45が駆動モータ2を用いて原稿台1を昇降させ、その際にモータ駆動回路A04に供給した駆動パルス数もしくは図示していないエンコーダなどのカウント数などから原稿台1の現在位置を確認する。制御部45は、確認した現在位置の情報から、前記現在位置に応じて発光部の発光強度に設定するために、あらかじめルックアップテーブル等に用意しておいた光量制御値を取得する(ステップST102)。次に、制御部45は取得した光量制御値を現在設定され発光強度を制御している光量制御値と比較(ステップST103)し、現在の光量制御値と同じであれば光量制御値の設定値を変更せずに、発光用回路A01に現在の設定値に従って駆動用信号を供給し、発光部の発光処理を継続(ステップST104)する。
【0040】
発光部の光量制御値が現在設定されて発光強度を制御している光量制御値と異なっている場合には、制御部45によってステップST102で取得した光量制御値に設定値を変更し、設定値に従って発光用回路A01に駆動用信号を供給し、発光部の発光処理を行う(ステップST105)。その後、制御部45は発光部からの入射光が受光部SS1−bに到達したタイミングで、信号を取得し、取得した受光信号をアンプ回路A02にて増幅し、A/D変換器A03にて増幅した受光信号のA/D変換を行って得た受光強度データから(ステップST106)、原稿有無の判断を行う。
【0041】
原稿有無の判断は、前述したように、取得したA/D値が表す受光強度データを制御部45にあらかじめ設定された閾値と比較(ステップST107)して、前記閾値未満であれば制御部45は原稿があると判断(ステップST108)し、受光強度データが前記閾値以上であれば制御部45は原稿が無いと判断(ステップST109)して本処理を終了する。再び原稿台が昇降されたとき、ステップST101から本処理を実行し、光量調整を継続する。又は、定期的に本処理を実行し光量調整を行ってもよい。
【0042】
上記の方法により、制御部45が、原稿台1の昇降による現在位置の変化から原稿積載検知センサ発光部12の発光光量を設定するとともに、発光部からの光を受光部SS1−bが受光した受光強度に基づいて、原稿の有無を判断、検知するようになっている。なお、原稿の跳ね上がり検知のための原稿異常形状倹知センサSS1の受光部SS1−bを利用しているため、原稿異常形状倹知時には原稿積載検知センサ発光部12は消灯させることが望ましい。
【0043】
原稿積載検知センサ発光部12からの照射光が、原稿台の導光体31を通過して受光部SS1−bへと到達する光路が形成されている。このため、原稿台1が上昇下降動作を行った場合、前記光路の略垂直な部分の長さは変動することになる。しかし、図5に示すように、導光体31を通過した光はある程度の角度Aの範囲内に対して光を照射できる指向性を有するため、原稿台1の動作範囲内においては問題なく受光部SS1−bに光を照射することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、原稿台1の下部に設置された原稿積載検知センサ12から照射した光を原稿の跳ね上がりを検知するための原稿異常形状倹知センサSS1の受光部SS1−bに入射させることで、原稿台1の原稿の有無を検知する。これにより、原稿積載検知 センサ12を発光部のみで構成することができ、安価なシート検知手段を用いて原稿台1に原稿が積載されているか否かを検知することができる。
【0045】
また、原稿積載検知センサ発光部12からの照射光を原稿台1の積載面に配置した導光体31を用いて受光部SS1−bに導くようにすることにより、原稿積載検知センサ発光部12を原稿台1が昇降しても移動しないように配置することができ、原稿積載検知センサ発光部12への電気配線を固定して、電気配線の耐久性を向上させることができる。なお、原稿台1の積載面に導光体を設けるのではなく、原稿台1の積載面に反射部材を設けてもよく、ピックアップローラカバー30上やその近傍部に反射部材や導光体を設けて、原稿積載検知センサ発光部12からの照射光を原稿異常形状検知センサの受光部SS1−bに導くようにしてもよい。また原稿異常形状検知センサの発光部SS1−a、受光部SS1−bを図6のように複数設けてもよい。
【実施例2】
【0046】
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態であるシート給送装置を備える画像読取装置について説明する。図7(a)はシート給送装置101の要部を示す斜視図、図7(b)は図7(a)の側面から見た概略断面図である。なお、本実施形態の画像読取装置。上記第1の実施形態に対して重複する部分については、図に同一符号を付して説明する。
なお、原稿異常形状検知センサの発光部SS1−a、受光部SS1−bを図6のように複数設けてもよく、以下の詳細な説明はこのような形態にも適用できる。
【0047】
本実施形態では、図7に示すように、原稿異常形状検知センサSS1の発光部SS1−aと受光部SS1−bとの配置が上記第1の実施形態と逆になっている。即ち、図7(a)において、発光部SS1−aが原稿台1に積載された原稿束の幅方向の左側部より外側の位置に配置され、受光部SS1−bが原稿台1に積載された原稿束の幅方向の右側部より外側の位置に配置されている。また、原稿台1の下部に配置される原稿積載検知センサ受光部12aには、受光素子(シート検知用受光部)が用いられている。
【0048】
図7(a)及び図7(b)に示すように、発光部SS1−aから照射された光は、原稿台1に配置された導光体(導光部材)31に入射され、原稿積載検知センサ受光部12aに到達する。第2の実施形態においても、本発明の第1の実施形態と同様に発光部SS1−aから照射された光は、光源からの距離が遠くなるにつれて光量が低下しながら原稿積載検知センサ受光部12aに入射するため、本実施形態における発光部SS1−aは、原稿台1の位置(昇降位置)によって、原稿検知時の発光光量を制御部45によって変更し、原稿積載検知センサ受光部12aに対し、原稿積載検知に適した光量が到達するようになっている。なお、原稿異常形状検知時には発光部SS1−aから照射された光を原稿異常形状検知に適した光量とするように制御する。
【0049】
図12に示すように、発光部SS1−aからの照射光が、原稿台の導光体31を通過して原稿積載検知センサ受光部12aへと到達する光路が形成されている。このため、原稿台1が上昇下降動作を行った場合、前記光路の略垂直方向の長さや発光部SS1−aから導光体31までの光路の角度は変動することになる。しかし、発光部SS1−aから照射される光は角度Bの範囲内である程度の光量を確保できるような指向性を持っているため、原稿台1の動作範囲内においては問題なく原稿積載検知センサ受光部12aに光を照射することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、原稿の跳ね上がりを検知するための原稿異常形状検知センサSS1の発光部SS1−aからの照射光を原稿台1の下部に設置された原稿積載検知センサ受光部12aで受光することで、原稿台1の原稿の有無を検知する。これにより、原稿積載検知センサは受光部としての原稿積載検知センサ受光部12aを専用に設置するだけで構成することができ、原稿に非接触のシート検知手段を安価に実現でき、原稿台1に原稿が積載されているか否かを精度良く検知することができる。なお、原稿台1の積載面に導光体を設けるのではなく、原稿台1の積載面に反射部材を設けてもよく、ピックアップローラカバー30上やその近傍部に反射部材や導光体を設けて、原稿異常形状検知センサの発光部SS1−aからの照射光を、原稿積載検知センサ受光部12aへ導くようにしてもよい。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、画像読取装置に本発明のシート給送装置を搭載した場合を例示したが、これに限定されず、複写機、ファクシミリおよびプリンタなどの画像形成装置やその他の装置に本発明のシート給送装置を搭載するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施例であるシート給送装置を備える画像読取装置の概略断面図である。
【図2】画像読取装置の要部を示す概略断面図である。
【図3】原稿異常形検知センサ、ピックアップローラ、及び原稿台に積載される原稿束Fの位置関係を示す斜視図である。
【図4】(a)はシート給送装置の要部を示す斜視図、(b)は側面から見た概略断面図である。
【図5】原稿積載部の導光部材からの光の照射範囲を示す図である。
【図6】原稿異常形状検知センサを複数の発光部と複数の受光部で構成し、かつその発光部をシート検知センサの発光部として使用した場合の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例であるシート給送装置を備える画像読取装置を説明するための図であり、(a)はシート給送装置の要部を示す斜視図、(b)は側面から見た概略断面図である。
【図8】機械式レバーを用いてフォトセンサを遮光することにより積載部上のシートを検知する従来のシート検知手段を示す断面図である。
【図9】発光素子と受光素子とが一体となつた反射型光学検知素子を用いて積載部上のシートを検知する従来のシート検知手段を示す断面図である。
【図10】原稿台の高さに応じて原稿積載検知センサの発光部の光量値を設定し、原稿有無検知判定を行う際の処理を示したフロー図である。
【図11】第1の実施例の構成を示すブロック図
【図12】原稿積載部の導光部材へ向かって光を照射する発光部の照射範囲を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
F 原稿束
F1 原稿
SS1 原稿異常形状検知センサ
SS1−a 発光部
SS1−b 受光部
A01 発光用回路
A02 アンプ回路
A03 A/D変換器
A04 モータ駆動回路
1 原稿台
2 原稿台駆動モータ
3 原稿圧接検知センサ
4 ピックアップローラ
5 ピックアップローラ駆動モータ
12 原稿積載検知センサ発光部
12a 原稿積載検知センサ受光部
30 ピックアップローラカバー
31 導光体
45 制御部
50 原稿規制板
101 原稿給送装置
200 原稿読取装置
300 搬送路
301 レバー
302 フォトインタラプタ
310 シート先端
320 反射型光学検知素子
321 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される積載部と、
該積載部に積載されたシートを分離給送する分離給送手段と、
前記積載部に積載されたシートの有無を検知するためのシート検知用受光部を有するシート検知手段と、
前記分離給送手段によるシートの分離給送時における該シートの異常形状を検知する異常形状検知手段と、
前記積載部を昇降させる駆動手段と、を備えるシート給送装置であって、
前記異常形状検知手段は、前記積載部に積載されたシートの一側部より外側の位置から前記積載部に光を照射する異常形状検知用発光部と、前記積載部に積載されたシートの他の側部より外側の位置にて、前記異常形状検知用発光部が照射した光を受光する異常形状検知用受光部と、を有し、
前記異常形状検知用発光部は前記シート検知手段の発光部を兼ね、
前記異常形状検知用発光部の発光光量を、前記積載部の昇降位置に応じて変更する制御手段を更に有する、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記シート検知手段は、前記異常形状検知用発光部から照射された光を反射又は屈折により前記積載部の積載面を通過する方向に導く光路変更部材を更に有し、
前記シート検知用受光部は、前記積載面を通過した光を受光することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
シートが積載される積載部と、
該積載部に積載されたシートを分離給送する分離給送手段と、
前記積載部に積載されたシートの有無を検知するためのシート検知用発光部を有するシート検知手段と、
前記分離給送手段によるシートの分離給送時における該シートの異常形状を検知する異常形状検知手段と、
前記積載部を昇降させる駆動手段と、を備えるシート給送装置であって、
前記異常形状検知手段は、前記積載部に積載されたシートの一側部よりも外側の位置から前記積載部に光を照射する異常形状検知用発光部と、前記積載部に積載されたシートの他の側部よりも外側の位置にて、前記異常形状検知用発光部が照射した光を受光する異常形状検知用受光部と、を有し、
前記異常形状検知用受光部は前記シート検知手段の受光部を兼ね、
前記シート検知用発光部の発光光量を、前記積載部の昇降位置に応じて変更する制御手段を更に有する、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
前記シート検知手段は、前記シート検知用発光部から前記積載部の積載面を通過する方向に照射され、前記積載面を通過した光を反射又は屈折により前記異常形状検知用受光部に導く光路変更部材を更に有することを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記光路変更部材は、反射部材又は導光部材である
ことを特徴とする請求項2又は4に記載のシート給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−202296(P2010−202296A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47126(P2009−47126)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】