説明

シーリング組成物、複層ガラスおよび太陽電池パネル

【課題】常温での水蒸気バリア性に優れるシーリング組成物、それによって、各種産業製品、とりわけ、複層ガラスおよび太陽電池パネルの端部を、効率的に封止した、信頼性に優れる複層ガラスおよび太陽電池パネルを提供すること。
【解決手段】ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有し、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、剪断モードの動的粘弾性測定から得られるtanδのピーク値として算出されるガラス転移温度が、−40℃以下であるシーリング組成物からなるシール材1を、複層ガラス3および/または太陽電池パネル4の端部の封止に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング組成物、複層ガラスおよび太陽電池パネル、詳しくは、各種産業製品の封止に用いられるシーリング組成物と、そのシーリング組成物により端部が封止される複層ガラスおよび太陽電池パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業製品には、その内部に、水または湿気などの流体が浸入することを防止すべく、シール材を端部に設けることが広く知られている。
【0003】
そのようなシール材として、例えば、粘度平均分子量が5万〜9万のポリイソブチレンと粘着付与剤と無機充填剤とを含有するシーリング材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、シーリング材をソーラーパネルに用いることが提案されている。
【0004】
また、ゴム成分と炭化水素系樹脂とゼオライトとを含有するシーリング材が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、シーリング材を太陽電池パネルの端部に用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−117758号公報
【特許文献2】米国特許公開第2009/0159117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および2で提案されるシーリング材は、水蒸気バリア性が不十分であるため、ソーラーパネルの封止に用いると、水蒸気によって、ソーラーパネルに設けられる太陽電子素子が劣化することを十分に防止できず、そのため、太陽電池パネルの性能が低下するという不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、常温での水蒸気バリア性に優れるシーリング組成物、それによって、各種産業製品、とりわけ、複層ガラスおよび太陽電池パネルの端部を、効率的に封止した、信頼性に優れる複層ガラスおよび太陽電池パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のシーリング組成物は、ゴム成分と、炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンとを含有し、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、剪断モードの動的粘弾性測定から得られるtanδのピーク値として算出されるガラス転移温度が、−40℃以下であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のシーリング組成物は、周波数1Hzの剪断モードの動的粘弾性測定から得られる25℃の貯蔵剪断弾性率が、0.1〜7MPaであることが好適である。
【0010】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することが好適である。
【0011】
また、本発明のシーリング組成物では、前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することが好適である。
【0012】
また、本発明のシーリング組成物は、粘着付与剤をさらに含有し、前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であることが好適である。
【0013】
また、本発明のシーリング組成物は、軟化剤をさらに含有し、前記軟化剤が、粘度平均分子量30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることが好適である。
【0014】
また、本発明のシーリング組成物は、複層ガラスの端部の封止に用いられることが好適である。
【0015】
また、本発明の複層ガラスは、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、2枚の前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填され、上記したシーリング組成物からなるシール材とを備えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明のシーリング組成物は、太陽電池パネルの端部の封止に用いられることが好適である。
【0017】
また、本発明の太陽電池パネルは、ガラス層と、前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填され、上記したシーリング組成物からなるシール材とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシーリング組成物は、優れた水蒸気バリア性を有している。
【0019】
そのため、本発明のシーリング組成物からなる本発明のシール材を複層ガラスおよび太陽電池パネルに貼着することにより、それらに優れた水蒸気バリア性を付与することができる。
【0020】
その結果、複層ガラスおよび太陽電池パネルの性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明のシーリング組成物からなるシール材の一実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シール材が4枚からなる態様)であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図3】図3は、図2(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、封止樹脂層を配置する工程、(c)は、シール材を配置する工程、(d)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図4】図4は、太陽電池モジュール(シール材が1枚からなる態様)の平面図を示す。
【図5】図5は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態であって、(a)は、断面図、(b)は、平面図、(c)は、一部切欠断面斜視図を示す。
【図6】図6は、図5(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図であって、(a)は、上側ガラス層を用意する工程、(b)は、太陽電池素子を配置する工程、(c)は、封止樹脂層を配置する工程、(d)は、シール材を配置する工程、(e)は、下側ガラス層を配置する工程を示す。
【図7】図7は、図5に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シール材が設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図を示す。
【図8】図8は、図5に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図であって、(a)は、一部拡大断面図、(b)は、一部断面斜視図を示す。
【図9】図9は、水蒸気バリア性の評価に用いられる測定装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のシーリング組成物は、各種産業製品の封止に用いられ、ゴム成分と、特定のポリオレフィン(後述するポリイソブチレンを除く)とを含有している。
【0023】
ゴム成分は、シーリング組成物からなるシール材に弾性を付与するために含有される。ゴム成分としては、例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ビニルアルキルエーテルゴム、ポリビニルアルコールゴム、ポリビニルピロリドンゴム、ポリアクリルアミドゴム、セルロースゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンなどが挙げられる。ゴム成分として、好ましくは、ブチルゴム、高分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0024】
これらのゴム成分は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、ブチルゴムと高分子量ポリイソブチレンとの併用、または、ブチルゴムの単独使用が挙げられる。
【0025】
ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)および少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)であり、水蒸気バリア性が高いゴム弾性体である。
【0026】
ブチルゴムの不飽和度は、例えば、0.6〜2.5モル%、好ましくは、0.7〜2.0モル%である。ブチルゴムの不飽和度は、ヨウ素吸着法により測定される。
【0027】
また、ブチルゴムのムーニー粘度は、例えば、20〜70(ML1+8、125℃)、好ましくは、30〜60(ML1+8、125℃)である。
【0028】
ブチルゴムは、その粘度平均分子量が、例えば、30万〜70万、好ましくは、30万〜50万である。
【0029】
粘度平均分子量は、JIS K 7252 01(2008年)に準拠して、標準ポリスチレンを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。なお、後述の粘度平均分子量についても同様である。
【0030】
高分子量ポリイソブチレンは、イソブチレンの高分子量重合体であり、例えば、粘度平均分子量が30万以上のポリイソブチレンである。高分子量ポリイソブチレンをブチルゴムと併用することにより、ブチルゴムの高温における流れ性を向上(改善)することができ、優れた水蒸気バリア性を維持して、温度特性を向上させることができる。
【0031】
高分子量ポリイソブチレンは、その粘度平均分子量が、好ましくは、50万〜300万、さらに好ましくは、70〜200万、とりわけ好ましくは、90万〜150万である。
【0032】
高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲に満たないと、後述する複層ガラス3または太陽電池パネル4の組付時に、液だれを生じる場合がある。
【0033】
一方、高分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量が上記した範囲を超えると、形状追従性が低下する場合がある。
【0034】
ブチルゴムおよび高分子量ポリイソブチレンの配合割合は、それらの質量基準で、例えば、9/1〜1/6、好ましくは、4/1〜1/3である。
【0035】
ゴム成分の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、40〜90質量部、好ましくは、50〜80質量部である。ゴム成分の配合割合が上記した範囲内にあれば、広い温度領域におけるゴム弾性を維持することにより、水蒸気バリア性が向上する利点がある。
【0036】
特定のポリオレフィンは、炭素数2〜3(2および/または3)のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンであり、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはエチレン・プロピレン共重合体が挙げられる。特定のポリオレフィンを本発明のシーリング組成物に配合することにより、特定のポリオレフィンの軟化点の温度領域までは補強性を付与することができる。
【0037】
ポリエチレンとしては、例えば、線状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、例えば、中密度ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0038】
ポリプロピレンとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンなどが挙げられる。
【0039】
エチレン・プロピレン共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0040】
また、特定のポリオレフィンは、例えば、結晶性ポリオレフィン(具体的には、結晶性ポリエチレンなど)を含んでいる。
【0041】
また、特定のポリオレフィンの軟化点(環球法)は、例えば、100〜150℃、好ましくは、110〜140℃である。
【0042】
特定のポリオレフィンとして、好ましくは、ポリエチレン、さらに好ましくは、結晶性ポリエチレンが挙げられる。
【0043】
これらの特定のポリオレフィンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0044】
特定のポリオレフィンの配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、10〜60質量部、好ましくは、20〜50質量部である。ポリオレフィンの配合割合が上記した範囲に満たないと、常温におけるリーリング材の補強性が十分でない場合がある。
【0045】
また、シーリング組成物には、例えば、粘着付与剤および/または軟化剤を配合することができる。
【0046】
粘着付与剤は、シーリング組成物からなるシール材の水蒸気バリア性を向上させるために、シーリング組成物に含有される。粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂、例えば、C5−炭化水素系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂などの炭化水素系樹脂が挙げられる。粘着付与剤としては、好ましくは、炭化水素系樹脂、さらに好ましくは、クマロン系樹脂が挙げられる。
【0047】
クマロン系樹脂としては、例えば、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂(クマロン−インデン−スチレン共重合体を含む。)などが挙げられる。好ましくは、クマロン−インデン樹脂が挙げられる。
【0048】
クマロン系樹脂の軟化点は、例えば、90〜140℃、好ましくは、100〜130℃である。
【0049】
なお、クマロン系樹脂の軟化点は、JIS K6911(1995年)に準拠して測定される荷重たわみ温度として算出される。
【0050】
これらの粘着付与剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0051】
粘着付与剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、30質量部以上、さらに好ましくは、35質量部以上、とりわけ好ましくは、45質量部以上、もっとも好ましくは、75質量部以上であり、例えば、100質量部以下でもある。
【0052】
粘着付与剤の配合割合が上記下限に満たないと、十分な水蒸気バリア性が得られない場合がある。
【0053】
一方、粘着付与剤の配合割合が、上記上限を超えると、シール材が脆くなる場合がある。
【0054】
軟化剤は、シール材の取り扱い性を向上させるために、必要によりシール材に含有される。軟化剤としては、例えば、低分子量ポリイソブチレン、液状ポリブテン、オイル類(例えば、プロセスオイルなど)、パラフィン類、ワックス類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類、動植物油類などが挙げられる。軟化剤としては、好ましくは、低分子量ポリイソブチレンが挙げられる。
【0055】
低分子量ポリイソブチレンの粘度平均分子量は、例えば、30万未満、好ましくは、1〜25万、さらに好ましくは、3〜6万である。
【0056】
これらの軟化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0057】
軟化剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、0.5〜30質量部、好ましくは、1〜30質量部、さらに好ましくは、1〜25質量部である。軟化剤の配合割合が上記した範囲内であれば、シール材の取扱性を向上させることができる。
【0058】
すなわち、軟化剤の配合割合が、上記上限を超えると、シート形状を十分に保持することができない場合がある。
【0059】
一方、上記下限に満たないと、十分な水蒸気バリア性が得られない場合がある。
【0060】
さらに、シーリング組成物には、必要により、例えば、充填剤、さらには、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)、滑剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、熱安定剤、シランカップリング剤(例えば、加水分解性シリル基含有化合物など)、発泡剤などの添加剤を適宜の割合で添加することができる。
【0061】
充填剤は、シール材の補強性を向上させるための補強剤としてシーリング組成物に含有される。充填剤としては、例えば、顔料(例えば、無機顔料)などの無機充填剤が挙げられ、具体的には、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムなど)、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、シリカ、酸化マグネシウムなどが挙げられる。充填剤としては、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、さらに好ましくは、カーボンブラックが挙げられる。
【0062】
充填剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、カーボンブラックの単独使用が挙げられる。
【0063】
充填剤の平均粒子径は、例えば、1nm〜1000μm、好ましくは、10nm〜100μmである。
【0064】
充填剤の配合割合は、ゴム成分および特定のポリオレフィンの総量100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは、0.5〜10質量部である。充填剤の配合割合が上記した範囲内にあれば、補強性を向上させることができる。
【0065】
そして、本発明のシーリング組成物は、上記した各成分を上記した割合で配合して、加熱して混練して混練物として得ることができる。
【0066】
混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。混練における加熱温度は、例えば、70〜130℃、好ましくは、90〜120℃である。
【0067】
このようにして得られたシーリング組成物は、適宜の形状に成形することにより、シール材を得ることができる。
【0068】
図1は、本発明のシーリング組成物からなるシール材の一実施形態の断面図を示す。
【0069】
次に、本発明のシーリング組成物からなるシール材について、図1を参照して説明する。
【0070】
上記により得られたシーリング組成物を、例えば、押出機、カレンダーロール、プレス機(熱プレス機)などの成形装置により、加熱して、例えば、シート形状に成形して、シートを得る。次いで、得られたシートを離型フィルム2の表面に積層する。好ましくは、成形装置として、押出機、カレンダーロールが用いられ、さらに好ましくは、カレンダーロールが用いられる。なお、シートは、テープ、および/または、フィルムを含んでいる。
【0071】
離型フィルム2としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの合成樹脂フィルムなど、公知の離型フィルムが挙げられる。離型フィルム2の厚みは、例えば、1〜1000μmである。離型フィルム2の表面には、例えば、離型処理を施すこともできる。
【0072】
このようにして、シートとしてのシール材(第1シール材)1を得る。
【0073】
シール材1は、長手方向に延びる長尺状の広幅平帯状に形成される。
【0074】
シール材1の厚みは、図3(d)および図6(e)が参照されるように、中間層6および封止樹脂層9の寸法によって適宜選択され、例えば、0.3〜5.0mm、好ましくは、0.4〜3.0mmである。
【0075】
また、シール材1の幅(長手方向に対する直交方向長さ)は、例えば、5〜30mm、好ましくは、10〜20mmである。
【0076】
なお、シール材1の表面(下面)には、図1に示すように、離型フィルム2を積層して、それらの積層体をロール状に巻回することもできる。
【0077】
そして、シール材1は、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、剪断モードの動的粘弾性測定から得られるtanδのピーク値として算出されるガラス転移温度が、−40℃以下である。
【0078】
上記したガラス転移温度が上記上限を超えると、水蒸気バリア性が不十分となる。
【0079】
ガラス転移温度は、次のようにして測定する。
【0080】
まず、シール材1を作製後、25℃、50%RHで24時間放置する。その後、シール材1を円形状に切り出し、離型フィルムを引き剥がし、次いで、シール材1について、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、剪断モードにより、動的粘弾性測定を実施し、それによってtanδを取得する。取得したtanδのピーク値をガラス転移温度として算出する。
【0081】
上記したガラス転移温度は、好ましくは、−42℃以下、さらに好ましくは、−44℃以下、とりわけ好ましくは、−46℃以下であり、例えば、−50℃以上でもある。
【0082】
そして、シール材1は、周波数1Hzの剪断モードの動的粘弾性測定から得られる25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、0.1〜7MPaである。
【0083】
上記した貯蔵剪断弾性率が上記上限を超えると、水蒸気バリア性が不十分となる場合がある。
【0084】
一方、上記下限に満たないと、取り扱い性が低下する場合がある。
【0085】
貯蔵剪断弾性率は、上記したガラス転移温度の測定と同様にして試験片を作製し、作製した試験片について、周波数1Hz、温度25℃、剪断モードにより、動的粘弾性装置を用いて測定する。
【0086】
上記した貯蔵剪断弾性率は、好ましくは、2〜6.9MPa、さらに好ましくは、3〜6.8MPa、とりわけ好ましくは、4〜6.7MPa、もっとも好ましくは、5〜6.6MPaである。
【0087】
そして、このようにして得られるシール材1は、各種産業製品の封止に用いられる。
【0088】
好ましくは、複層ガラスおよび太陽電池パネルの封止に用いられる。
【0089】
図2は、本発明の複層ガラスの一実施形態(シール材が4枚からなる態様)、図3は、図2(a)に示す複層ガラスの製造方法を説明する工程図を示す。
【0090】
なお、図2(b)において、上側ガラス層10は、シール材1の相対配置を明確に示すため、省略されている。
【0091】
次に、上記したシール材によって周端部が封止される複層ガラスについて、図2を参照して説明する。
【0092】
図2において、この複層ガラス3は、厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層としての、上側ガラス層10および下側ガラス層11と、それらの間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される中間層6と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシール材1とを備えている。
【0093】
上側ガラス層10は、複層ガラス3の最表面(上面)側に設けられ、平面視略矩形状に形成されている。上側ガラス層10の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0094】
下側ガラス層11は、複層ガラス3の最裏面(下面)側に設けられ、平面視において、上側ガラス層10と同じ大きさの略矩形状に形成されている。下側ガラス層11の厚みは、例えば、0.5〜3.2mmである。
【0095】
中間層6は、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11より小さい略矩形状に形成されている。
【0096】
中間層6を形成する材料は、封止樹脂層9(後述)を形成する材料であり、例えば、特に限定されず、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフッ化ビニリデンなどの樹脂が挙げられる。中間層6の厚みは、例えば、0.3〜1.0mmである。
【0097】
シール材1は、中間層6を封止している。また、シール材1は、図2(b)に示すように、縦方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の縦シール材13と、各縦シール材13の縦方向両端部に接触し、横方向に長く延びる平面視略矩形状の2枚の横シール材14とを備えている。
【0098】
縦シール材13は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の横方向両端部の厚み方向間に充填されている。また、横シール材14は、上側ガラス層10および下側ガラス層11の縦方向両端部の厚み方向間に充填されている。
【0099】
次に、上記した複層ガラス3を製造する方法について、図3を参照して説明する。
【0100】
この方法では、図3(a)に示すように、まず、上側ガラス層10を用意する。
【0101】
次いで、図3(b)に示すように、中間層6としての封止樹脂層9を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0102】
封止樹脂層9は、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0103】
封止樹脂層9の厚みT1は、例えば、0.3〜5.0mm、好ましくは、0.4〜3.0mmに設定されている。
【0104】
次いで、図3(c)に示すように、上記した図2(b)に示す縦シール材13および横シール材14を備えるシール材1を、上記した配置で貼着(仮固定)する。シール材1は、必要により、溶融させながら配置(熱融着)する。
【0105】
シール材1の厚みT2は、上記した封止樹脂層9(圧着前の封止樹脂層9)の厚みT1に対して、例えば、厚く、または、同一の厚みに設定され、具体的には、100〜200%、好ましくは、105〜120%である。より具体的には、シール材1の厚みT2は、例えば、0.3〜5.0mm、好ましくは、0.4〜3.0mmである。
【0106】
シール材1の厚みT2が上記した範囲を超えると、下側ガラス層11との貼り合わせ時の加工性が低下したり、封止樹脂層9から発生するガス(例えば、EVAから発生する酢酸ガス)および/または空気が抜けずに、気泡が封止樹脂層9に残存する場合がある。
【0107】
一方、シール材1の厚みが上記した範囲に満たないと、複層ガラス3の周端部5のシール性を十分に確保することができない場合がある。
【0108】
その後、この方法では、図3(d)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシール材1に貼着する。
【0109】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシール材1に貼着するには、下側ガラス層11をシール材1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着としては、例えば、必要により、熱圧着などが挙げられる。
【0110】
圧着の条件は、常温または加熱雰囲気下で、圧力が、例えば、0.05〜0.5MPa、好ましくは、0.05〜0.2MPaであり、圧着時間が、例えば、1〜60分間、好ましくは、10〜30分間である。
【0111】
熱圧着の場合は、温度が、例えば、100〜180℃、好ましくは、110〜160℃である。
【0112】
圧着により、シール材1が圧縮され、シール材1の厚みT2が封止樹脂層9の厚みT1より厚い場合には、圧着後のシール材1の厚みT3と封止樹脂層9の厚みT1とが略同一となる。
【0113】
これにより、周端部5に、シール材1が充填された複層ガラス3を得ることができる。
【0114】
そして、上記したシール材1は、優れた水蒸気バリア性を有している。
【0115】
詳しくは、シール材1中に吸湿剤などの無機物が存在すると、シール材1のガラス転移温度が上昇するため、シール材1のシール性が低下すると考えられる。このため、シール材1のガラス転移温度を特定温度以下にすることにより、優れた水蒸気バリア性を発揮することができると考えられる。
【0116】
具体的には、後述する実施例により測定されるシール材1の水蒸気バリア性は、例えば、2.0%以下、好ましくは、1.5%以下、さらに好ましくは、1.0%以下、とりわけ好ましくは、0.5%以下、もっとも好ましくは、0.3%であり、また、0%以上でもある。
【0117】
そのため、シール材1を複層ガラス3に貼着することにより、それらに優れた水蒸気バリア性を付与することができる。
【0118】
その結果、複層ガラス3の性能の低下を有効に防止して、優れた信頼性を付与することができる。
【0119】
なお、上記した説明では、中間層6を樹脂からなる樹脂層(封止樹脂層9)として形成しているが、例えば、空気または不活性気体(例えば、窒素など)からなる空気層として形成することができ、さらには、真空状態(あるいは減圧状態)とした真空層として形成することもできる。
【0120】
図4は、太陽電池モジュール(シール材が1枚からなる態様)の平面図を示す。
【0121】
上記した説明では、シール材1を、4枚の平面視略矩形状のシール材(2枚の縦シール材13および2枚の横シール材14)から形成しているが、例えば、図4に示すように、1枚のシール材から形成することもできる。
【0122】
シール材1は、例えば、図示しないが、上記した成形装置により、平面視略矩形状に形成し、その後、中央(縦方向中央および横方向中央)を打ち抜き加工することにより得ることができる。
【0123】
図5は、本発明の太陽電池パネルの一実施形態、図6は、図5(a)に示す太陽電池パネルの製造方法を説明する工程図、図7は、図5に示す太陽電池パネルを備えるフレームレス太陽電池モジュール(第2シール材が設けられたフレームレス太陽電池モジュール)の一部拡大断面図、図8は、図5に示す太陽電池パネルを備える太陽電池モジュール(フレームが設けられた太陽電池モジュール)の説明図を示す。
【0124】
次に、上記したシール材によって周端部が封止される太陽電池パネルについて、図5および図6を参照して説明する。
【0125】
なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
図5において、この太陽電池パネル4は、ガラス層としての上側ガラス層10と、上側ガラス層10と下方に間隔を隔てて配置される支持層としての下側ガラス層11と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の間に設けられ、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の内側に配置される太陽電池素子8およびそれを封止する封止樹脂層9と、上側ガラス層10および下側ガラス層11の周端部5の間に充填されるシール材1とを備えている。
【0127】
太陽電池素子8としては、例えば、結晶シリコン系やアモルファスシリコン系などの公知の太陽電池素子が挙げられる。太陽電池素子8は、略矩形平板形状をなし、平面視において、上側ガラス層10および下側ガラス層11の中央部に配置されている。
【0128】
また、太陽電池素子8は、上側ガラス層10の下面に積層されている。太陽電池素子8の厚みは、封止樹脂層9の厚みより薄く、具体的には、例えば、0.01〜500μmである。
【0129】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を封止している。
【0130】
シール材1は、封止樹脂層9を封止している。
【0131】
次に、上記した太陽電池パネル4を製造する方法について、図6を参照して説明する。
【0132】
この方法では、まず、図6(a)および図6(b)に示すように、太陽電池素子8を上側ガラス層10の下面に配置する。
【0133】
次いで、図6(c)に示すように、封止樹脂層9を配置する。
【0134】
封止樹脂層9は、太陽電池素子8を被覆し、かつ、上側ガラス層10の周端部が露出するように、配置する。
【0135】
次いで、図6(d)に示すように、シール材1を貼着(仮固定)する。
【0136】
その後、この方法では、図6(e)に示すように、下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシール材1に貼着する。
【0137】
下側ガラス層11を封止樹脂層9およびシール材1に貼着するには、下側ガラス層11をシール材1の下面に接触させて、上方に向けて、下側ガラス層11を圧着する。圧着では、例えば、真空(減圧)下で、圧着する。
【0138】
これにより、周端部5に、シール材1が充填された太陽電池パネル4を得ることができる。
【0139】
この太陽電池パネル4では、上記した複層ガラス3の作用効果に加えて、太陽電池素子8の劣化に起因する発電効率の低下を有効に防止することができる。
【0140】
なお、上記した説明では、本発明の支持層を、下側ガラス層11として説明しているが、例えば、透湿性樹脂などの樹脂からなる下側樹脂層(バックシート)11として形成することもできる。
【0141】
また、上記した図5の太陽電池パネル4は、フレームを用いないフレームレス太陽電池モジュール12として用いることができ、あるいは、図8に示すように、フレームを用いる太陽電池モジュール7として用いることもできる。
【0142】
また、図7に示すように、フレームレス太陽電池モジュール12は、太陽電池パネル4の周端部5に公知のシール材(第2シール材)15が設けられたフレームレス太陽電池モジュール12として用いることもできる。
【0143】
図7において、第2シール材15は、太陽電池パネル4の周端部5において、太陽電池パネル4の内側に向かって開く断面略コ字形状に形成されており、上側ガラス層10の周側面および上面と、第1シール材1の周側面と、下側ガラス層11の周側面および下面とに、連続して形成されている。
【0144】
図8において、この太陽電池モジュール7は、太陽電池パネル4と、太陽電池パネル4の周端部5に設けられるフレーム16と、それらの間に介在される第2シール材15とを備えている。
【0145】
フレーム16は、太陽電池パネル4の各辺に沿って、それぞれ設けられる。フレーム16は、太陽電池パネル4に向かって内側に開く断面略コ字形状に形成されている。フレーム16は、例えば、金属材料(アルミニウムなど)や樹脂材料(アクリル樹脂など)から形成され、好ましくは、金属材料から形成されている。
【0146】
フレーム16は、図8(b)に示すように、各辺に沿う長手方向両端部が互いに接合されて4つの角を形成し、平面視において略矩形枠状となるように組み付けられる。
【実施例】
【0147】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0148】
実施例1〜5および比較例1〜3
表1に記載される各成分を、表1の配合処方に従って、ニーダー(DS1−5GHB−E型、1Lニーダー、6インチオープンロール付き、モリヤマ社製)に一括投入して、120℃で混練し、シーリング組成物を混練物として調製した。
【0149】
次いで、得られた混練物を、カレンダーロール(カレンダーロール4L−8a、日立製作所社製)で、厚み1.0mmおよび厚み3.0mmにそれぞれ圧延成形することにより、シーリング組成物からなるシール材を得た。なお、カレンダーロールの圧延条件は、ロール温度を30〜90℃に調製し、上流側ロールのロール速度(R)に対する、それの搬送方向下流側に配置される下流側ロール(R’)の割合(R’/R)を1.1に調整した。
【0150】
その後、シール材の片面に離型フィルムを積層して、ロール状に巻回した(図1参照)。その後、所定の幅となるように幅方向両端部を切断(幅加工)することにより、実施例1〜5および比較例1〜3のシール材をそれぞれ得た。
【0151】
【表1】

【0152】
なお、表1の各成分の詳細を以下に記載する。
JSR BUTYL ♯065:ブチルゴム、不飽和度0.8モル%、ムーニー粘度32(ML1+8、125℃)、JSR社製
JSR BUTYL ♯268:ブチルゴム、不飽和度1.5モル%、ムーニー粘度51(ML1+8、125℃)、JSR社製
Oppanol B−100EP:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量110万、BASF社製
DFD−2005:結晶性ポリエチレン、日本ユニカー社製
REXtac2585:非晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体、軟化点(A
STM E 28、環球法):129℃、Huntsman社製
エスクロンV−120:クマロン−インデン−スチレン共重合体、軟化点(荷重たわみ温度)120℃、日塗化学社製
H−100W:C5炭化水素系樹脂、Eastman社製
エスコレッツ1401:脂肪族炭化水素樹脂、軟化点119℃(ASTM D6090−97に準拠)、エクソンモービル社製
シースト3H:カーボンブラック、平均粒子径27nm、東海カーボン社製
重質炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製
ニップシールVN−3:シリカ、平均粒子径20μm、日本シリカ社製
テトラックス4T:低分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量4万、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス5T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量5万、JX日鉱日石エネルギー社製
テトラックス6T:高分子量ポリイソブチレン、粘度平均分子量6万、JX日鉱日石エネルギー社製
ゼオラムF−9:ゼオライト、平均粒子径150μm、東ソー社製
(評価)
各実施例および各比較例で得られたシール材について、(1)ガラス転移温度、(2)貯蔵剪断弾性率(G’)、および、(3)水蒸気バリア性について評価した。
【0153】
各評価の詳細を以下に記載する。
(1)ガラス転移温度
厚み3.0mmのシール材について、ガラス転移温度を測定した。
【0154】
すなわち、シール材を作製後、25℃、50%RHで24時間放置した後、シール材を直径7.9mmの円形に打ち抜き、離型フィルムを引き剥がし、次いで、シール材について、以下の条件により、動的粘弾性測定を実施し、それによって得られるtanδを取得した。
【0155】
得られたtanδのピーク値をガラス転移温度として算出した。
【0156】
測定条件
測定装置:ARES、レオメトリック・サイエンティフィック社製
周波数:1Hz
測定温度領域:−60〜25℃
昇温速度:5℃/分
測定モード:剪断モード
プレート:直径7.9mmのパラレルプレート
その結果を、表1に示す。
(2)貯蔵剪断弾性率(G’)
厚み3.0mmのシール材について、ガラス転移温度の測定と同様に試験片を作製し、貯蔵剪断弾性率(G’)を測定した。
【0157】
すなわち、貯蔵剪断弾性率(G’)の測定は、作製した試験片について、動的粘弾性測定装置を用いて、以下の条件により測定した。
【0158】
測定条件
測定装置:ARES、レオメトリック・サイエンティフィック社製
周波数:1Hz
測定温度:25℃
測定モード:剪断モード
プレート:直径7.9mmのパラレルプレート
(3)水蒸気バリア性試験
図9は、水蒸気バリア性の評価に用いられる測定装置を示す。
【0159】
すなわち、図9において、測定装置20は、上端部にリング形状の鍔21が設けられた有底円筒状のカップ22と、鍔21と厚み方向に間隔を隔てて対向配置されるガラス板23とを備えている。カップ22は、アルミ製であり、底壁24の深さが15mm、内径が60mmである。
【0160】
また、測定装置20において、カップ22の底壁24の上面には、吸湿剤25が均一に積層されている。吸湿剤25は、塩化カルシウムからなり、質量が10gである。
【0161】
そして、厚み1.0mmのシール材1を、鍔21より幅狭(5mm幅)のリング形状に対応するように切断加工した後、それを鍔21の上面に配置し、その後、ガラス板23をシール材1に、150℃で熱圧着させて、カップ22の円筒内を封止した。その後、この装置20を、40℃、92%RHの高温高湿器に投入し、100時間後の装置20全体の質量を測定した。なお、上記の熱圧着時に、シール材1に液だれがないことを確認した。
【0162】
水蒸気バリア性%は、加湿前の測定装置20全体の質量に対する加湿後の測定装置20全体の質量増加率として示す。
【0163】
その結果を表1に示す。
【符号の説明】
【0164】
1 シール材(シート)
3 複層ガラス
4 太陽電池パネル
5 周端部
6 中間層
7 太陽電池モジュール
8 太陽電池素子
9 封止樹脂層
10 上側ガラス層
11 下側ガラス層
12 フレームレス太陽電池モジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、
炭素数2〜3のアルケンを重合させることにより得られるポリオレフィンと
を含有し、
周波数1Hz、昇温速度5℃/分、剪断モードの動的粘弾性測定から得られるtanδのピーク値として算出されるガラス転移温度が、−40℃以下であることを特徴とする、シーリング組成物。
【請求項2】
周波数1Hzの剪断モードの動的粘弾性測定から得られる25℃の貯蔵剪断弾性率が、0.1〜7MPaであることを特徴とする、請求項1に記載のシーリング組成物。
【請求項3】
前記ゴム成分が、ブチルゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分が、ブチルゴムおよび粘度平均分子量30万以上の高分子量ポリイソブチレンを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のシーリング組成物。
【請求項5】
粘着付与剤をさらに含有し、
前記粘着付与剤が、軟化点が90〜140℃のクマロン系樹脂を含有し、
前記粘着付与剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項6】
軟化剤をさらに含有し、
前記軟化剤が、粘度平均分子量30万未満の低分子量ポリイソブチレンを含有し、
前記軟化剤の配合割合が、前記ゴム成分および前記ポリオレフィンの総量100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項7】
複層ガラスの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項8】
厚み方向に互いに間隔を隔てて配置される2枚のガラス層と、
2枚の前記ガラス層の間に設けられ、前記ガラス層の端部の内側に配置される中間層と、
2枚の前記ガラス層の端部の間に、前記中間層を封止するように充填され、請求項7に記載のシーリング組成物からなるシール材と
を備えることを特徴とする、複層ガラス。
【請求項9】
太陽電池パネルの端部の封止に用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーリング組成物。
【請求項10】
ガラス層と、
前記ガラス層と厚み方向に間隔を隔てて配置される支持層と、
前記ガラス層および前記支持層の間に設けられ、前記ガラス層および前記支持層の端部の内側に配置される太陽電池素子およびそれを封止する封止樹脂層と、
前記ガラス層および前記支持層の端部の間に、前記封止樹脂層を封止するように充填され、請求項9に記載のシーリング組成物からなるシール材と
を備えることを特徴とする、太陽電池パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−82762(P2013−82762A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221696(P2011−221696)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】