説明

シールドトンネルの施工方法

【課題】 シールドトンネルの施工において、セグメントの搬入と掘削土の搬出を効率化する。
【解決手段】 シールド機1は先端部で地中を掘削し後方部でセグメントを組み立てる。シールド機1後方の門型の架台10は、クレーン11、12を装備する。また、門型の架台10内の下部は置き場13となる。シールド機1による掘削土はベルトコンベア14により門型の架台10後方部のホッパー15へ搬送される。ここにおいて、構築済みのトンネル坑内を走行するタイヤ式の搬送車両であるダンプトラック20により、セグメントを搬入し、クレーン11により、ダンプトラック20から置き場13にセグメントを荷卸しする。その後、セグメントを荷卸ししたダンプトラック20にホッパー15から掘削土を積込み、ダンプトラック20により、掘削土を搬出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネルの施工方法に関し、特にセグメントの搬入と掘削土の排出とを伴うシールドトンネルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネルの施工においては、シールド機により、その先端部で地中を掘削し、後方部でセグメントを組み立てて掘削断面を支保する覆工を構築することを1リング毎(セグメントのトンネル方向の寸法の掘削毎)に繰り返しながら、トンネルを構築する。従って、その施工には、セグメントの搬入と掘削土の排出とを伴う。
特許文献1には、シールド工事におけるセグメント及び掘削土の運搬方法として、セグメント坑内の下部及び上部にそれぞれレールを敷設して下運搬路及び上運搬路を設け、下運搬路のレール上を走行する下運搬車でセグメントの搬入を行い、上運搬路のレール上を走行する上運搬車で掘削土の搬出を行うことが開示されている。
【0003】
特許文献2には、セグメント坑に沿って、レール状の部材で構成された軌道式のセグメント搬送ガイドを設け、このガイド上を走行するセグメント搬送台車によりセグメントを搬入することが開示され、また、掘削土砂は泥水と混合して管路により排出することが開示されている。
非特許文献1には、坑内土砂搬出設備の分類として、(1)機関車などによる軌道方式、(2)ベルトコンベアなどによるコンベア方式、(3)流体輸送などによるパイプライン方式が挙げられ、一般に、土圧式では軌道方式、泥水式では流体輸送によるパイプライン方式が用いられる旨開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−098900号公報
【特許文献2】特開2001−140599号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「シールドトンネルの新技術(シールドトンネルの新技術研究会編)」第96頁〜第105頁、平成7年1月30日、株式会社土木工学社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の一般的な運搬方法である軌道方式では、レールの敷設が必要であり、その設備の構築やメンテナンスに多大な時間と費用がかかる。また、セグメントの搬入と掘削土の搬出を別々の手段で行うことは効率が悪い。
そこで本発明者らは、山岳トンネルでは掘削土の搬出手段として一般的であるものの、シールドトンネルではほとんど使用されていないダンプトラック等のタイヤ式の搬送車両に着目し、これを掘削土の搬出の他セグメントの搬入が必要となるシールドトンネルにて有効活用する途を模索した。
【0007】
その結果、本発明では、シールドトンネルの施工において、ダンプトラック等のタイヤ式の搬送車両を用い、セグメントの搬入・荷卸し、掘削土の積込み・搬出を最適化して、運搬効率ひいては施工効率の向上を図ることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、先端部で地中を掘削し後方部でセグメントを組み立てるシールド機と、前記シールド機の後方に連結されて前記シールド機の掘進に伴って移動する門型の架台と、前記門型の架台に装備されるクレーンと、前記門型の架台内の下部に設定される置き場と、前記シールド機による掘削土を前記門型の架台の後方へ搬送する土砂搬送設備と、を備えることを前提とする。
【0009】
ここにおいて、構築済みのトンネル坑内を走行するタイヤ式の搬送車両により、セグメントを搬入し、前記クレーンにより、前記搬送車両から前記置き場にセグメントを荷卸しした後、セグメントを荷卸しした搬送車両に前記土砂搬送設備から掘削土を積込み、前記搬送車両により、掘削土を搬出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セグメントの搬入と掘削土の搬出とをセットにして、ダンプトラック等のタイヤ式の搬送車両の往復走行で行わせることにより、運搬効率の大幅な向上を図ることができる。また、タイヤ式の搬送車両を用いることで、レールの敷設が不要となり、自由度が向上する一方、この搬送車両に対し、セグメントの荷卸しと掘削土の積込みとを系列的に行うことで、作業効率の向上をも図ることができる。従って、施工効率の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示すシールドトンネルの切羽付近の断面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】図1のC−C断面図
【図5】図1のD−D断面図
【図6】施工サイクルの説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき、詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すシールドトンネルの切羽付近の断面図である。また、図2〜図5は、図1におけるA−A、B−B、C−C及びD−Dの各断面図である。
このシールドトンネルの施工装置は、先端部で地中を掘削し後方部でセグメントを組み立てるシールド機1を主体として構成される。
【0013】
シールド機1は、筒状本体の前端部に配置される掘削用のカッターヘッド2と、カッターヘッド2による掘削土を後方へ排出する排土機構(スクリューコンベア3、4)と、カッターヘッド2により掘削されたトンネルの壁面にセグメントを組み付けるセグメント組み付け機構(エレクタ5)と、筒状本体を掘削と共に前進させる推進機構(シールドジャッキ7)とを含んで構成される。
【0014】
排土機構は、2本のスクリューコンベア3、4を主体として構成される。スクリューコンベア3はトンネル底部より天井部へ向かって後方に延び、これに連結されるスクリューコンベア4は天井部に沿って後方に延び、後端付近に排出口4aを有している。
セグメント組み付け機構は、トンネル径方向及び前後方向に移動しながら、セグメントSGを把持してトンネルの壁面に組み付けるエレクタ5を主体として構成され、更にこのエレクタ5へセグメントSGを供給するセグメント供給機構を含んで構成される。
【0015】
セグメント供給機構は、構築済みのセグメント坑の底部を移動するセグメント搬送台車6と、この搬送台車6上で最後方のセグメント搬入位置から最前方のセグメント供給位置へセグメントSGを先送りする移送機構(図示せず)とを含んで構成される。
推進機構は、筒状本体の内面に沿ってほぼ等間隔で配置される複数のシールドジャッキ7を主体として構成され、構築済みのセグメントSGの端面を押すことで推力を発生させる。
【0016】
このシールドトンネル施工装置は、更に、シールド機1の後方に連結ビーム8により連結されてシールド機1の前進に伴って移動する門型の架台(後続台車)10と、この門型の架台10に装備されるクレーン11、12と、門型の架台10内の下部に設定されるセグメント等の置き場13と、シールド機1の排土機構(スクリューコンベア3、4)による掘削土を門型の架台10の後方へ搬送する土砂搬送設備(ベルトコンベア14、ホッパー15)とを含んで構成される。
【0017】
また、本実施形態では、シールド機1と門型の架台10との間で床版FPを構築するようにし、前記門型の架台10は床版FP上を移動する。また、前記置き場13は前記床版FP上に設定される。従って、床版FPについて先に説明する。
床版FPは、セグメント坑内に床面を形成するもので、本実施形態では、図3に示されるように、セグメント坑の底部に配置される上面開口のコ字型断面を有するボックスカルバート下部材F1と、ボックスカルバート下部材F1の上に配置される下面開口のコ字型断面を有するボックスカルバート上部材F2と、ボックスカルバート上部材F2とその左右のセグメント坑側壁部との間に配置されてボックスカルバート上部材F2上面と面一の床面を形成する左右の側部材F3、F4とから構成される。これらの部材F1〜F4は適宜ブラケット等を用いて組み立てられる。また、これらの部材F1〜F4はいずれもプレキャスト部材であり、トンネル前後方向の寸法は、セグメントSGのトンネル前後方向の寸法(例えば2m)と一致している。但し、床版FPを構築する部材の分割形態や組み立て方式等はこれに限るものではなく、また、非分割・1枚構成の床版を用いてもよい。
【0018】
門型の架台10は、本実施形態では、互いに連結される第1〜第4の架台10A、10B、10C、10Dにより構成され、第1の架台10Aが連結ビーム8によりシールド機1に連結され、各架台10A〜10Dも互いに連結されている。また、各架台10A〜10Dは、門型の脚部に走行輪を備え、セグメント坑内、本実施形態では構築済みの床版FP上をスムーズに移動可能である。
【0019】
門型の架台10には第1及び第2のクレーン(本実施形態ではホイスト式天井クレーン)11、12が備えられる。
第1のクレーン11は、第3の架台10C、第2の架台10B、第1の架台10Aに跨って設けられる2本の走行レール11aと、走行レール11aに沿ってトンネル前後方向に移動可能な横行レール11bと、横行レール11bに沿ってトンネル幅方向に移動可能な吊り上げ用の電気ホイスト11cとを含んで構成される。
【0020】
第2のクレーン12は、第1のクレーン11より低位置で、第2の架台10B、第1の架台10A及びシールド機1後方部に跨って設けられる2本の走行レール12aと、走行レール12aに沿ってトンネル前後に移動可能な横行レール12bと、横行レール12bに沿ってトンネル幅方向に移動可能な吊り上げ用の電気ホイスト12cとを含んで構成される。尚、図1には第2のクレーン12について横行レール12b及び電気ホイスト12cを2箇所に示しているが、これは走行レール12a方向の移動の様子を示している。
【0021】
セグメント等の置き場13は、第1の架台10A及び第2の架台10B内の底部の床版FP上に設定される。従って、置き場13にセグメントSGを搬入するダンプトラック20の荷卸し位置は第3の架台10C内に設定される。尚、本実施形態では、置き場13を床版FP上に設定したが、門型の架台10(例えば第1の架台10Aと第2の架台10B)に荷台を設けて、この荷台上に置き場13を設定するようにしてもよい。
【0022】
土砂搬送設備は、本実施形態では、ベルトコンベア14と、ホッパー15とから構成される。
ベルトコンベア14は、シールド機1による掘削土を門型の架台10の後方部へ搬送する。このため、ベルトコンベア14は、シールド機1側の排土機構(スクリューコンベア3、4)の排出口4aの下方から、トンネル天井部に向かい、これに沿って、第1の架台10A、第2の架台10B及び第3の架台10C上を経て、第4の架台10D上まで延びている。尚、ベルトコンベア14に代えて、スクリューコンベアや、土砂圧送管を用いることもできる。
【0023】
ホッパー15は、ベルトコンベア14の終端に設けられ、第4の架台10Dの上部に支持されている。尚、このホッパー15下部の排出口は開閉操作可能である。
従って、掘削土を搬出するダンプトラック20の積込み位置は第4の架台10D内のホッパー15の下方に設定される。これにより、ホッパー15は、置き場13より後方に配置され、ダンプトラック20の掘削土積込み位置は、ダンプトラック20のセグメント荷卸し位置より後方である。
【0024】
次に本実施形態でのシールドトンネルの施工方法について説明する。
本実施形態では、セグメントの搬入と掘削土の搬出に、構築済みのトンネル坑内(床版FP上)を走行するタイヤ式の搬送車両として、ダンプトラック20を用いる。
ダンプトラック20は、セグメントSGを積込んで、又は交代で床版FP用の部材(F1〜F4)を積込んで、構築済みのトンネル坑内を立坑側から切羽側へ向けて走行する。尚、ダンプトラックは地上で資材を積込んで立坑をエレベータ等で降りるようにしてもよいし、資材を地上からエレベータやクレーンで降ろし、地下の発進基地でダンプトラックに積込むようにしてもよい。また、地上と地下とが緩やかな斜坑によりつながる場合は、ダンプトラックに地上で資材を積込んでそのまま切羽部まで走行させるようにしてもよい。
【0025】
セグメントSG等を積込んだダンプトラック20は、第3の架台10C内のセグメント荷卸し位置にて停車するが、セグメント荷卸し位置への走行路にターンテーブル(図示せず)を設け、セグメント荷卸し位置に到着する前に、車両の向きを反転させて、セグメント荷卸し位置にバックで進入させる。
セグメント荷卸し位置では、第1のクレーン11の電気ホイスト11cを用いて、ダンプトラック20から置き場13へ、セグメントSG(又は床版用の部材)を荷卸しする。
【0026】
置き場13からは、第2のクレーン12の電気ホイスト12cを用いて、シールド機1にセグメントSGを供給する。より詳しくは、シールド機1のセグメント搬送台車6にセグメントSGを供給する。これにより、セグメントSGは搬送台車6上を移送機構(図示せず)により先送りされ、エレクタ5により、カッターヘッド2によって掘削されたトンネル壁面に組み付けられる。
【0027】
第2のクレーン12はまた、シールド機1と門型の架台10との間での床版FPの組み立てに用いる。すなわち、第2のクレーン12の電気ホイスト12cにより、ボックスカルバート下部材F1、ボックスカルバート上部材F2、側部材F3及びF4の順で運搬して、組み立てる。
一方、シールド機1による掘削土は、シールド機1において排土機構を構成するスクリューコンベア3、4により搬送され、スクリューコンベア4の後端付近の排出口4aから排出される。この排出口4aの直下には、土砂搬送設備を構成するベルトコンベア14の一端部を配置してあり、掘削土はベルトコンベア14により門型の架台10の上部を通って後方へ搬送される。ベルトコンベア14の他端部は第4の架台10Dに支持されているホッパー15の上方に位置しているので、ベルトコンベア14により搬送される掘削土は最終的にはベルトコンベア14の他端部より落下してホッパー15内に貯留される。
【0028】
第3の架台10C内のセグメント荷卸し位置にてセグメントSG等の荷卸しを終えたダンプトラック20は、第4の架台10D内の掘削土積込み位置に移動する。
掘削土積込み位置では、ホッパー15の排出口を開操作して、運搬可能な重量の掘削土をダンプトラック20に積込む。尚、ホッパー15の排出側にスクリューコンベアを備え、スクリューコンベアの操作により、掘削土をダンプトラック20に積込むようにすることもできる。
【0029】
掘削土の積込みを終えたダンプトラック20は、構築済みのトンネル坑内を切羽側から立坑側へ向けて走行する。尚、ダンプトラックは掘削土を積込んだまま立坑をエレベータ等で昇るようにしてもよいし、地下で掘削土を降ろし、掘削土のみをズリ出しバケットに積込んでクレーンで揚重搬出したり、垂直コンベアにより連続的に搬出したりしてもよい。また、地上と地下とが緩やかな斜坑によりつながる場合は、ダンプトラックに掘削土を積込んだまま地上まで走行させるようにしてもよい。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、構築済みのトンネル坑内を走行するダンプトラック20により、セグメントを搬入し、クレーン11により、このダンプトラック20から置き場13にセグメントを荷卸しした後、セグメントを荷卸ししたダンプトラック20にホッパー15から掘削土を積込み、このダンプトラック20により、掘削土を搬出することにより、ダンプトラック20の往路にてセグメントを搬入し、復路にて掘削土を搬出でき、極めて効率的に運用できる。また、セグメント荷卸し位置でのセグメントの荷卸しと、掘削土積込み位置での掘削土の積込みとを連続的に行うことができ、これらの作業についても効率的に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、ホッパー15は、置き場13より後方に配置され、ダンプトラック20の掘削土積込み位置は、セグメント荷卸し位置より後方であることにより、ダンプトラック20からのセグメントの荷卸しを置き場13の近くで効率的に実施できる一方、そこから退出した位置で直ちに掘削土の積込みを行うことができる。
また、本実施形態によれば、土砂搬送設備は、ベルトコンベア14、スクリューコンベア又は土砂圧送管により構成することにより、シールド機1による掘削土を門型の架台10の後方へ確実に搬送することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、土砂搬送設備は、その終端にホッパー15を備え、ダンプトラック20にホッパー15から掘削土を積込むことにより、ホッパー15の貯留機能により、ダンプトラック20の到着が遅れても支障なく適時的な積込みを実施できる。従って、ホッパー15については、掘削土を貯留し、適時的な積込みのために排出する機能を有していれば、形状等は問わない。但し、ダンプトラック20の運用によっては、ホッパー15を省略し、土砂搬送設備を構成するベルトコンベア14(又はスクリューコンベア、土砂圧送管)の終端から直接ダンプトラック20に掘削土を積込むようにすることもできる。
【0033】
また、本実施形態によれば、クレーンは、少なくとも2つ設け、第1のクレーン11により、ダンプトラック20から置き場13にセグメントを荷卸しし、第2のクレーン12により、置き場13からシールド機1にセグメントを供給することにより、2つのクレーンに仕事を分担させて、各クレーンの走行距離(トンネル前後方向の移動距離)を短くでき、作業時間の短縮を図ることができる。但し、1つのクレーンで、ダンプトラック20から置き場13へのセグメント(複数個のセグメントのセット状態)の荷卸しと、置き場13からシールド機1へのセグメント(1個ずつ)の供給とを、順番に行うようにすることも可能である。
【0034】
また、本実施形態によれば、ダンプトラック20の走行路にはターンテーブルを設け、セグメント荷卸し位置に到着する前に、車両の向きを反転させて、セグメント荷卸し位置にバックで進入させることにより、セグメントの荷卸しについて、ダンプトラック20の荷台を置き場13に向けて行うことができ、効率的な荷卸しが可能となる。
また、本実施形態によれば、シールド機1とその後続台車である門型の架台10との間で床版FPを構築することにより、門型の架台10は床版FP上を移動でき、門型の架台10の移動がスムーズになる。また、ダンプトラック20も床版FP上を走行することができるので、門型の架台10へのダンプトラック20によるセグメントの搬入が容易となる。
【0035】
また、本実施形態によれば、床版FPを構築する部材をダンプトラック20により搬入し、置き場13に荷卸しすることにより、床版FP用の部材(F1〜F4)の搬入についても効率化を図ることができる。
但し、シールド機1と門型の架台10との間で床版FPを構築する代わりに、インバートを構築し、門型の架台10をインバート上を移動させ、ダンプトラック20もインバート上を走行させるようにしてもよい。
【0036】
また、矩形断面のセグメント坑の場合は、床版やインバートを構築することなく、門型の架台10をセグメント坑の底部をそのまま移動させ、ダンプトラック20もセグメント坑の底部をそのまま走行させるようにすることができる。
【0037】
次にシールド掘進・組立同時施工との組み合わせについて述べる。
シールド機1は構築済みのセグメントの端面をシールドジャッキ7で押すことで掘削に必要な反力を発生させる。従って、セグメントの組立時にはシールドジャッキ7の圧力を解放する必要があり、通常の施工法では、図6のケース1に示すように、掘削・掘進を休止してセグメント組立等を行うサイクル工程が採用される。
【0038】
しかし、近年は工程短縮のため、シールド機1の円周上に配置された複数のシールドジャッキ7のうち、セグメント組立箇所(円周方向で分割された複数のセグメントのうち1ないし2箇所)に相当する部分のシールドジャッキのみ圧力を解放し、その他のシールドジャッキで構築済みのセグメントを押して反力を得ることで、図6のケース2又はケース3に示すように、掘削・掘進とセグメント組立等とを少なくとも一部で同時に行うことにより、掘削・掘進をできる限り連続して実施するサイクル工程(シールド掘進組立同時施工法)が採用される場合が増えている。尚、図6中の工程時間等は一例である。
【0039】
本実施形態は、セグメントの搬入と掘削土の搬出とをダンプトラック20の往復を利用して連続的に行うことができるので、上記のようなシールド掘進組立同時施工と組み合せることにより、特に工期短縮の効果を発揮する。
尚、本実施形態では、セグメント(及び床版用の部材)の搬入と掘削土の搬出にダンプトラック20を用いたが、これに限るものではなく、タイヤ式の搬送車両であればよい。
【0040】
このように図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1 シールド機
2 カッターヘッド
3、4 スクリューコンベア(排土機構)
4a 排出口
5 エレクタ(セグメント組み付け機構)
6 セグメント搬送台車
7 シールドジャッキ(推進機構)
8 連結ビーム
10(10A〜10D) 門型の架台
11 第1のクレーン
12 第2のクレーン
11a、12a 走行レール
11b、12b 横行レール
11c、12c 電気ホイスト
13 置き場
14 ベルトコンベア(土砂搬送設備)
15 ホッパー
20 ダンプトラック
SG セグメント
FP 床版
F1 ボックスカルバート下部材
F2 ボックスカルバート上部材
F3、F4 側部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメントの搬入と掘削土の搬出とを伴うシールドトンネルの施工方法であって、
先端部で地中を掘削し後方部でセグメントを組み立てるシールド機と、
前記シールド機の後方に連結されて前記シールド機の掘進に伴って移動する門型の架台と、
前記門型の架台に装備されるクレーンと、
前記門型の架台内の下部に設定される置き場と、
前記シールド機による掘削土を前記門型の架台の後方へ搬送する土砂搬送設備と、を備え、
構築済みのトンネル坑内を走行するタイヤ式の搬送車両により、セグメントを搬入し、
前記クレーンにより、前記搬送車両から前記置き場にセグメントを荷卸しした後、
セグメントを荷卸しした搬送車両に前記土砂搬送設備から掘削土を積込み、
前記搬送車両により、掘削土を搬出することを特徴とする、シールドトンネルの施工方法。
【請求項2】
前記土砂搬送設備は、ベルトコンベア、スクリューコンベア又は土砂圧送管により構成することを特徴とする請求項1記載のシールドトンネルの施工方法。
【請求項3】
前記土砂搬送設備は、その終端にホッパーを備え、前記搬送車両に前記ホッパーから掘削土を積込むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシールドトンネルの施工方法。
【請求項4】
前記シールド機と前記門型の架台との間で床版を構築するようにし、前記門型の架台は前記床版上を移動することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のシールドトンネルの施工方法。
【請求項5】
前記床版を構築する部材を前記搬送車両により搬入し、前記置き場に荷卸しすることを特徴とする請求項4記載のシールドトンネルの施工方法。
【請求項6】
前記搬送車両の走行路にはターンテーブルを設け、荷卸し位置に到着する前に、車両の向きを反転させて、荷卸し位置にバックで進入させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のシールドトンネルの施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−52289(P2012−52289A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193174(P2010−193174)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】