説明

シールド導電体の取付け構造

【課題】 シールド導電体における放熱性を向上させるとともに、部品点数の増大を回避する。
【解決手段】 シールド導電体Waはもシールド部材を金属製のパイプ20としたので、シールド部材の電線手段としてのプロテクタが不要であり、部品点数が少なくて済む。また、パイプ20は金属製なので、合成樹脂製のプロテクタに比べて熱伝導率が高く、電線10で発生した熱を効率良く大気中に放出することができる。しかも、シールド導電体Waを、電気自動車Wvの車体Bdの床下に沿うように配索したので、少なくとも走行中においては、パイプ20の外周面が空気流により冷却され、放熱効率が更に高められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体の取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車において動力回路として用いられるシールド導電体として、複数本のノンシールド電線を、金属細線をメッシュ状に編んだ筒状の編組線からなるシールド部材で包囲することにより一括してシールドする構造のものが考えられている。この種のシールド導電体を車体の外部に配索する場合、シールド部材と電線を保護する必要があるが、この保護手段としては、シールド部材と電線を合成樹脂製のプロテクタで包囲する方法が考えられる。
尚、編組線からなるシールド部材で電線をシールドするシールド導電体としては、特許文献1に記載されているものなどがある。
【特許文献1】特開2004−178913公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、シールド導電体が動力回路として用いられる場合には、電線で発生する熱量が少なくないことに鑑みると、電線とシールド部材を合成樹脂製のプロテクタで包囲してしまうと、プロテクタの内部に大量の熱が籠もり易くなり、放熱性が低下することが懸念される。放熱性が低下すると、電線の許容電流値も低くなるため、通電すべき電流値によっては電線の導体の断面積を増大しなければならない場合が生じる。導体の断面積を増大することは、シールド導電体が大径化することを意味するため、その対策が望まれる。また、プロテクタを用いることにより、部品点数が増えるという問題もある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド導電体における放熱性を向上させるとともに、部品点数の増大を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電線をシールド部材で包囲してなるシールド導電体を自動車に取り付けるための取付け構造であって、前記シールド部材が金属製のパイプとされ、前記シールド導電体が、前記自動車の車体の床下に沿うように配索されているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記シールド導電体が、前記車体に対し通風間隔を空けて配索されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記シールド導電体が、前記パイプに取り付けた金属製のブラケットを介して前記車体に支持されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記車体の内部には、車内用導体を車内用シールド部材で包囲した形態の車内用導電路が配索され、前記電線を構成する床下用導体に前記車内用導体が接続され、前記パイプに前記車内用シールド部材が接続されているものであって、前記床下用導体がアルミニウム合金製とされ、前記車内用導体が銅合金製とされ、前記車内用シールド部材が編組線とされているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記車内用導体が、複数本の金属細線を撚り合わせてなる撚り線とされているところに特徴を有する。
【0009】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5に記載のものにおいて、前記床下用導体の断面積が、前記車内用導体の断面積よりも小さくされているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
シールド部材を金属製のパイプとしたので、シールド部材と電線の保護手段としてのプロテクタが不要であり、部品点数が少なくて済む。また、パイプは金属製なので、合成樹脂製のプロテクタに比べて熱伝導率が高く、電線で発生した熱を効率良く大気中に放出することができる。しかも、シールド導電体を、自動車の車体の床下に沿うように配索したので、少なくとも走行中においては、パイプの外周面が空気流により冷却され、放熱効率が更に高められる。
【0011】
<請求項2の発明>
シールド導電体と車体のとの間に通風空間を空けたことにより、パイプの外周全体に亘って空気流が接触してシールド導電体から熱が奪われるので、放熱効率に優れている。
【0012】
<請求項3の発明>
電線からパイプに伝達された熱は、空気流による空冷作用の他に、金属製のブラケットを介して車体に伝達されることによっても放出されるので、放熱効率が高い。
【0013】
<請求項4の発明>
電気自動車の車体には、走行用の動力源を構成する装置であるバッテリ、インバータ、モータなどが配置されるが、これらの装置が、車体におけるキャビンよりも前方の位置とキャビンよりも後方の位置に分かれて配置されている場合には、これらの装置同士を接続するシールド導電体の配索長が長くなるため、シールド導電体の軽量化が望まれる。一方、動力源構成装置が収容される車内(例えば、エンジンルーム等)に配索される車内用導電路については、配索長さは比較的短いものの、車内収容空間のスペース効率を考慮して狭い隙間を縫うようにして配索することが優先されるため、車内用導体が可撓性を有していることが望ましい。
そこで、本発明では、床下に配索されるシールド導電体については、比重の比較的小さいアルミニウム合金製を床下用導体として使用することで軽量化を図るとともに、屈曲して配索される車内用導電路については、その車内用導体を可撓性を有する導体である銅合金製としたので、屈曲して配索することが容易となり、スペース効率に優れた配索経路を設定することが可能である。
【0014】
<請求項5の発明>
車内用導体を撚り線としたので、単芯線のものに比べて可撓性に優れ、配索が容易となる。
【0015】
<請求項6の発明>
導体に所定の電流を流したときの発熱量は、断面積が大きい程小さく抑えられ、発熱に起因する導体の温度上昇値は、導電路の放熱性が高いほど小さく抑えられる。したがって、導体の温度上昇値に上限が定められている場合、放熱効率の低い環境下では導体の断面積を大きくする必要があるが、放熱効率の高い環境下では導体の断面積を小さくすることができる。
本発明では、この点に鑑み、床下に配索されて空冷作用により放熱性に優れているシールド導電体については、床下用導体の断面積を小さくし、シールド導電体の軽量化を図った。このことは、シールド導電体が車内用導電路に比べて配索長が比較的長くなるということに鑑みると、シールド導電体と車内用導電路を合わせた導電路全体としての軽量化に大きく寄与し得ることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。電気自動車EVの車体Bdの前部にはエンジンルームが設けられ、エンジンルーム内には、走行用モータを駆動するための動力回路を構成するインバータIvとガソリン駆動のエンジンEgとが収容されている。車体Bdの後部には動力回路を構成するバッテリBtが搭載されている。また、エンジンルームの下方には、前輪駆動用のモータMが配置されており、車体Bdの後部には、後輪駆動用のモータ(図示せず)が配置されている。インバータIvとバッテリBtとの間にはシールド導電体Waと車内用導電路Wbが配索され、インバータIvと前輪駆動用のモータMとの間には車内用導電路Wbが配索され、インバータIvと後輪駆動用のモータとの間にはシールド導電体Waと車内用導電路Wbが配索されている。
【0017】
シールド導電体Waは、2本又は3本のノンシールドタイプの電線10を、一括シールド機能と電線保護機能を兼ね備えるパイプ20内に挿通した構成になる。電線10は、アルミニウム合金製の単芯線からなる床下用導体11の外周を合成樹脂製の絶縁被覆12で包囲した形態であり、電線10の断面形状は床下用導体11と絶縁被覆12の双方が真円形とされている。パイプ20は、アルミニウム合金製であり、その断面形状は、電線10と同様、真円形をなしている。かかるパイプ20は所定の配索経路に沿うように曲げ加工されている。パイプ20内における3本の電線10は、概ね俵積み状(電線10の中心を結んだときにほぼ正三角形を描く形態)をなすように位置関係を保ちつつ、パイプ20内において径方向へ相対変位し得るようになっている。つまり、電線10同士の間、及び電線10とパイプ20との間にクリアランスが空くようになっている。そして、このクリアランスにより、パイプ20に対する電線10の挿通作業が容易となっている。尚、2本の電線10が挿通されるパイプ20内では、両電線10が、横並びに配置されているとともに、径方向への相対変位を許容されている。
【0018】
インバータIvとバッテリBtとの間に配索されるシールド導電体Waは、車体Bdの床下(床板Fpの下方)に沿うように概ね水平に配索され、ブラケット30により車体Bdに支持されている。ブラケット30は、金属製(例えば、アルミニウム合金製など)であり、円筒部31から上方へアーム部32を突出させ、アーム部32の上端から板状の取付部33を側方へ突出させた形態となっている。尚、円筒部31は上下分割形態としてもよい。円筒部31には、パイプ20が上下左右方向(径方向)への相対変位を規制された状態で貫通されており、取付部33が、ボルト締めや溶接等の図示しない固定手段によって車体Bdの床板Fpの下面(外面)に固定されている。このブラケット30により、シールド導電体Waは、パイプ20の外周と床板Fpの下面との間に通風空間Sを空けるとともに、車体Bdに対して吊り下げられた状態で所定の配索経路に沿って固定されている。
【0019】
各電線10の端部は、パイプ20の外部へ導出されており、各床下用導体11の両端部には、後述する車内用導体50を床下用導体11に接続するための接続部材40が予め固着されている。接続部材40は、銅合金製(後述する車内用導体50と同種の金属)であり、全体として円形断面の棒状をなす。接続部材40の外径は、床下用導体11の外径とほぼ同じ寸法とされ、接続部材40の基端部は圧接部41となっている。接続部材40の先端部(圧接部41とは反対側の端部)には、導体圧着部42が一体に形成されている。導体圧着部42は、円形断面の棒状をなす端部をプレス加工により平板状に成形し、その後、平板状部分に対し、その幅方向中央部分が略円弧状となるとともに、左右両側側縁部が上方へ斜めに立ち上がるように曲げ加工を施すことによって成形されている。これにより、導体圧着部42は、湾曲した底板43の左右両側縁から一対のカシメ片44を立ち上げた形態のオープンバレル状に形成されている。接続部材40は、圧接部41の端面を床下用導体11の端面に突き合わせた状態で冷間圧接法により床下用導体11に対して同軸状に接合(圧接)されている。床下用導体11と接続部材40は、互いに異なる種類の金属であるが、冷間圧接によって水分の浸入を許容する隙間が存在しない形態で接合されているので、端面同士の接合部に電食が発生する虞はない。
【0020】
上記のように床下に沿って配索されるシールド導電体Waの両端部には、車内用導電路Wbが接続されている。車内用導電路Wbは、絶縁被覆51で包囲した3本の車内用導体50を1つの筒状をなす車内用シールド部材52で包囲することで一括してシールドするようにしたものである。車内用導体50は、金属細線を螺旋状に撚り合わせてなる銅合金製の撚り線からなり、可撓性を有する。車内用シールド部材52は、金属細線をメッシュ状に編み込んだ編組線からなり、車内用導体50と同様に可撓性を有する。したがって、車内用導電路Wbは屈曲させた状態で配索することが容易となっている。また、車内用導電路Wbの断面積(外径)は床下用導体11の断面積(外径)よりも大きく設定されているため、同じ値の電流を流したときの発熱量は、床下用導体11よりも車内用導体50の方が小さく抑えられるようになっている。
【0021】
かかる車内用導電路Wbとシールド導電体Waは、次のようにして接続されている。床下用導体11と車内用導体50を接続する際には、上記のように予め床下用導体11に固着されている接続部材40の導体圧着部42に対し、軸線を圧接部41(床下用導体11の端部)と略平行に向けた車内用導体50を、その径方向に移動させつつ接近させ、車内用導体50を底板43に載置するとともに、左右両カシメ片44の間で挟まれるようにセットする。この後、両カシメ片44を内側へ巻き込みつつ車内用導体50を抱き込むように塑性変形させる(カシメ付ける)と、車内用導体50の端部と導体圧着部42が、導通可能に且つ軸線同士を同心にした形態に接続される。以上により、床下用導体11と車内用導体50が接続部材40を介して導通可能に接続される。撚り線からなる車内用導体50は、座屈変形し易いのであるが、オープンバレル状の導体圧着部42を用いているので、床下用導体11(接続部材40)に確実に接続することができる。また、圧着部分では、車内用導体50と接続部材40との間に水分の浸入を許容する隙間が発生することが懸念されるが、車内用導体50と接続部材40は同じ種類の金属なので、電食が発生する虞はない。
【0022】
パイプ20と車内用シールド部材52を接続する際には、パイプ20の端部に、予め、筒状をなす金属製(例えば、アルミニウム合金製)のシールドシェル61を同軸状に且つ導通可能に取り付けておく。また、編組線からなる車内用シールド部材52の端部については、予め、筒状をなす金属製(例えば、アルミニウム合金製)のシールドシェル62に対し、カシメリング63のカシメ付けによって同軸状に且つ導通可能に固着しておく。双方のシールドシェル61,62の外周からは取付板64,65が突出されている。双方のシールドシェル61,62は、取付板64,65同士を面接触させるとともに、シールドシェル61,62同士が同軸筒状に連なる形態で接続され、取付板64,65を貫通させたボルト66とナット67によって両シールドシェル61,62が接続状態に固定されている。これにより、パイプ20と車内用シールド部材52がシールドシェル61,62を介して導通可能に接続される。また、車内用導電路Wb側のシールドシェル62は、床板Fpに貫通させた配索孔Hに下側(車体Bdの外部側)から貫通され、両取付板64,65は上記ボルト66とナット67により床板Fpに固定される。これにより、シールド導電体Waが車体Bdの外部に配索され、車内用導電路Wbが車体Bdの内部に収容される。
【0023】
シールド導電体Waの前端部に接続された車内用導電路Wbは、エンジンルーム内に屈曲させつつ配索され、この車内用導電路Wbの端部に取り付けられているコネクタ(図示せず)がインバータIvに嵌合されている。また、シールド導電体Waの後端部に接続された車内用導電路Wbは、バッテリBtの収容室(図示せず)内に屈曲させつつ配索され、この車内用導電路Wbの端部に取り付けられているコネクタ(図示せず)がバッテリBtに嵌合されている。これにより、インバータIvとバッテリBtがシールド導電体Waと車内用導電路Wbを介して接続されている。
また、インバータIvと後輪用モータも、上記と同様にしてシールド導電体Waと車内用導電路Wbにより接続され、インバータIvと前輪用モータMも、上記と同様にして車内用導電路Wbにより接続されている。
【0024】
シールド導電体Waの床下用導体11に通電されたときに床下用導体11(電線10)に発生した熱は、パイプ20に伝わり、パイプ20の外周面から大気中に放出されるが、パイプ20は、金属製であって合成樹脂製のプロテクタに比べて熱伝導率が高いので、電線10で発生した熱を効率良く大気中に放出することができる。しかも、シールド導電体Waは、自動車の車体Bdの床下に沿うように配索したので、少なくとも走行中においては、パイプ20の外周面が空気流により冷却され、放熱効率が更に高められる。また、停車中であっても、風が吹いていればパイプ20が冷却されるので、効率良く放熱される。
【0025】
しかも、シールド導電体Waと車体Bdのとの間に通風空間Sを空けたことにより、パイプ20の外周全体に亘って空気流が接触してシールド導電体Waから熱が奪われるので、放熱効率に優れている。さらに、シールド導電体Waが、パイプ20に取り付けた金属製のブラケット30を介して車体Bdに支持されているので、電線10からパイプ20に伝達された熱は、空気流による空冷作用の他に、金属製のブラケット30を介して車体Bdに伝達されることによっても放出されることになり、放熱効率が高い。
【0026】
図5は、シールド導電体Waを空冷した場合と空冷しない場合の放熱効率を比較した実験結果をグラフで示している。実験では、床下用導体11として外径が6mmのものを使用し、パイプ20内に挿通した3本の床下用導体11に100Aの直流電流を5000秒継続して流し、通電前の状態からの温度の上昇値を測定した。温度測定点は、床下用導体11の外周と絶縁被覆12の内周との境界面とした。また、パイプ20の外周に当てる風の風速は、2.4m/sとした。実験の結果、空冷しない場合には、5000秒経過した時点で、シールド導電体Waの温度上昇値が約90℃であったのに対し、空冷した場合には、5000秒経過した時点で、シールド導電体Waの温度上昇値が約50℃に抑えられた。この約40℃の温度差が空冷による放熱効果と認められる。
【0027】
また、シールド導電体Waは、比較的配索長の長い経路、即ち車体前部に配置されているインバータIvと車体後部に配置されているバッテリBtとの間、及びインバータIvと後輪駆動用モータとの間に配索されるため、軽量化が望まれる。そこで、比重の比較的小さいアルミニウム合金製を床下用導体11として使用することで軽量化を図った。一方、エンジンルーム内やバッテリBtの収容室内に配索される車内用導電路Wbについては、配索長さは比較的短いものの、スペース効率を考慮して狭い隙間を縫うようにして配索することが優先されるので、車内用導体50は、可撓性を有する導体である銅合金製とし、更には単芯線のものに比べて可撓性に優れた撚り線とした。これにより、車内用導電路Wbを、自在に屈曲させることで、スペース効率に優れた経路で配索することができた。
【0028】
また、導体に所定の電流を流したときの発熱量は、断面積が大きい程小さく抑えられ、発熱に起因する導体の温度上昇値は、導電路の放熱性が高いほど小さく抑えられる。したがって、導体の温度上昇値に上限が定められている場合、放熱効率の低い環境下では導体の断面積を大きくする必要があるが、放熱効率の高い環境下では導体の断面積を小さくすることができる。
本実施形態では、この点に鑑み、床下に配索されて空冷作用により放熱性に優れているシールド導電体Waについては、床下用導体11の断面積を小さくし、シールド導電体Waの軽量化を図った。このことは、シールド導電体Waが車内用導電路Wbに比べて配索長が比較的長くなるということに鑑みると、シールド導電体Waと車内用導電路Wbを合わせた導電路全体としての軽量化に大きく寄与し得ることを意味する。
【0029】
上述のように本実施形態においては、車体Bdの床下(車体Bdの外部)に配索されるシールド導電体Waのシールド部材を、シールド機能と電線保護機能とを兼ね備える金属製のパイプ20としたので、シールド部材と電線10の保護手段としてのプロテクタが不要であり、部品点数が少なくて済んでいる。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではシールド導電体を車体に対して通風空間を空けて支持したが、本発明によれば、シールド部材のパイプを車体に接触又は密着させた形態(即ち、パイプと車体との間に通風空間が空かない形態)としてもよい。
(2)上記実施形態では車内用導電路として銅合金製の車内用導体と編組線からなる車内用シールド部材を用いたが、本発明によれば、床下(車体外部)に配索されるシールド導電体と同じ構成の導電路を車体内に配索してもよい。
(3)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体をアルミニウム合金製としたが、本発明によれば、床下用導体は、銅合金など、アルミニウム合金以外の金属としてもよい。
(4)上記実施形態では車内用導体を撚り線としたが、本発明によれば、車内用導体を単芯線としてもよい。
(5)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体を単芯線としたが、本発明によれば、床下用導体を撚り線としてもよい。
(6)上記実施形態ではシールド導電体の床下用導体の断面積を車内用導体の断面積よりも小さくしたが、本発明によれば、床下用導体の断面積は、車内用導体の断面積と同じか、それより大きくしてもよい。
(7)上記実施形態では1つのパイプ内に3本の電線を挿通したが、本発明によれば、1つのパイプに挿通される電線の本数は1本、2本、4本以上のいずれとしてもよい。
(8)上記実施形態においてパイプ内における電線との隙間に合成樹脂などの空気よりも熱伝導率の高い充填材を充填してもよい。
(9)上記実施形態ではパイプ内で電線が俵積み状に配置されるようにしたが、本発明によれば、電線は一列に並ぶように配置されていてもよく、縦横に整列して配置されていてもよい。
(10)上記実施形態ではパイプを円形断面としたが、本発明によれば、パイプの断面形状は非円形(長円形、楕円形、台形や平行四辺形を含む概ね多角形など)としてもよい。
(11)上記実施形態ではシールド導電体を金属製のブラケットを用いて車体の支持したが、本発明によれば、金属以外の材質のブラケットによってシールド導電体を車体に支持していもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1における電気自動車及びシールド導電体の配索経路をあらわす側面図
【図2】シールド導電体を車体に取り付ける構造をあらわす拡大断面図
【図3】シールド導電体と車内用導電路との接続構造をあらわす一部切欠側面図
【図4】床下用導体と車内用導電路との接続構造をあらわす側面図
【図5】シールド導電体を空冷した場合と空冷しない場合における放熱性能をあらわすグラフ
【符号の説明】
【0032】
Ev…電気自動車
Bd…車体
Wa…シールド導電体
Wb…車内用導電路
10…電線
11…床下用導体
20…パイプ
30…ブラケット
50…車内用導体
52…車内用シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線をシールド部材で包囲してなるシールド導電体を自動車に取り付けるための取付け構造であって、
前記シールド部材が金属製のパイプとされ、
前記シールド導電体が、前記自動車の車体の床下に沿うように配索されていることを特徴とするシールド導電体の取付け構造。
【請求項2】
前記シールド導電体が、前記車体に対し通風間隔を空けて配索されていることを特徴とする請求項1記載のシールド導電体の取付け構造。
【請求項3】
前記シールド導電体が、前記パイプに取り付けた金属製のブラケットを介して前記車体に支持されていることを特徴とする請求項2記載のシールド導電体の取付け構造。
【請求項4】
前記車体の内部には、車内用導体を車内用シールド部材で包囲した形態の車内用導電路が配索され、
前記電線を構成する床下用導体に前記車内用導体が接続され、前記パイプに前記車内用シールド部材が接続されているものであって、
前記床下用導体がアルミニウム合金製とされ、
前記車内用導体が銅合金製とされ、
前記車内用シールド部材が編組線とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシールド導電体の取付け構造。
【請求項5】
前記車内用導体が、複数本の金属細線を撚り合わせてなる撚り線とされていることを特徴とする請求項4記載のシールド導電体の取付け構造。
【請求項6】
前記床下用導体の断面積が、前記車内用導体の断面積よりも小さくされていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシールド導電体の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−312409(P2006−312409A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136306(P2005−136306)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】