説明

シールド掘進機

【課題】楕円断面のトンネル掘削用のシールド掘進機のチャンバ内に大きく突出するギヤ類のケーシング等を設けて回転させる構成では、回転抵抗が増し、エネルギー消費量が多くなる、回転型カッターヘッドを支持する支持剛性を高めにくく、掘進機の構成が全体として複雑化する。
【解決手段】楕円形断面の胴体(1) を設け、掘進機本体(3) の前端寄り部分に装備された円板部材(17)と、円板部材を回転駆動する第1回転駆動機構(18)と、円板部材に回転可能に支持された1対の揺動アーム(19)と、1対の揺動アームを回転駆動する1対の第2回転駆動機構(20)と、これら揺動アームの先端部に固着された1対のヘッド支持部材(19a) と、これらヘッド支持部材に回転可能に装備され且つ胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッド(4) と、1対の回転型カッターヘッドを第3軸心回りに回転駆動する1対の第3回転駆動機構(21)とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面楕円形のトンネルを掘削可能なシールド掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド掘進機は、胴体を含む掘進機本体と、掘進機本体を推進させる複数のシールドジャッキと、掘進機本体の前端側の地山を掘削する回転式のカッターヘッドとを備えている。一般に、掘進機本体の胴体は円筒状に形成され、胴体と同径のカッターヘッドの前面に複数のカッタービットが装備され、このカッターヘッドが、掘進機本体の前端側部分に掘進機本体の中心軸の回りに回転可能に装備され、複数の油圧モータにより回転駆動されて、円形断面のトンネルを掘削する。
【0003】
ところで、近年、円形断面以外に矩形断面や長円形断面等の種々の断面形状のトンネルを掘削可能なシールド掘進機が提案され、実用化されつつある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
特許文献1の自由断面シールド掘進機では、掘進機本体の中心軸と同心の軸を持つ固定軸に固定歯車が設けられ、この固定歯車に遊星歯車が噛合し、遊星歯車に第1歯車が噛合している。第1ケーシングが固定軸の回りに回転可能に設けられ、この第1ケーシングに固定歯車と遊星歯車と第1歯車が収容され、遊星歯車が第1ケーシングに回転可能に支持されている。第1ケーシングの外周近傍部から第2ケーシングが前方へ突出しており、第2ケーシングの中空軸部の後端部分が第1ケーシングに回転可能に内嵌され、その中空軸部が第1歯車が固定され、第2ケーシングは第1歯車と一体的に回転する。
【0005】
第2ケーシングの中空軸部に軸部材が回転可能に挿通され、この軸部材の前端部に第2歯車が設けられ、この第2歯車に第3歯車が噛合している。第2ケーシングの中空腕部に第2,第3歯車が収容されて回転可能に支持され、第3歯車に回転形カッターが設けられている。ケーシング駆動モータにより、カッターが第1,第2ケーシングを介して固定軸の回りに回転駆動され、これと同期連動して、カッターが固定歯車と遊星歯車と第1歯車と第2ケーシングを介して固定軸の回りに回転駆動される。固定歯車の歯数と第1歯車の歯数の比に応じて掘削されるトンネルの断面形状が変化し、その比が2:1のとき断面が楕円形のトンネルを掘削することができる。上記の第1ケーシングの大部分が、シールド掘進機の前端部分に形成されるチャンバー内に突出しているため、第1ケーシングに掘削土が付着しやすい。
【0006】
特許文献2の偏平断面トンネル用シールド掘進機では、円形の主カッターディスクと、この両側のやや下方部位のうちの後方近傍部に左右1対の揺動カッターを設け、揺動カッターは複数のカッタースポークを有する開角約220度のセクター形状に構成され、ほぼD形断面のトンネルを掘削可能になっている。また、主カッターディスクと揺動カッターとの境界部の掘削を補充する為の余掘り用小径カッターディスク(例えば、8組)を、上部の左右両側部位と下部の左右両側部位に設ける。
【0007】
特許文献3のシールド掘進機では、メインカッターの放射状に延びる4本のスポークに4本の伸縮腕が設けられ、それら伸縮腕が油圧ジャッキにより夫々径方向へ伸縮可能に構成され、各伸縮腕にコーナーカッターとコーナーカッターを回転駆動する油圧モータが取付けられている。
【0008】
【特許文献1】特開平9−119288号公報
【特許文献2】特開2000−329972号公報
【特許文献3】特開2001−55890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在主流となっている円形断面のトンネルを掘削するシールド掘進機では、トンネルの用途によっては無駄な掘削断面が発生する。特に、多車線道路、複線鉄道トンネルなどにおいては、楕円形断面のトンネルを採用すれば、無駄な掘削断面を最少限にすることができる。
【0010】
通常、掘削されたトンネルの内面はセグメントで覆工されるが、このときセグメントと地山の間にモルタルを注入することでセグメントが地山に固定される。地下鉄の三連駅などの偏平な大型トンネル、矩形断面トンネル等では、トンネル内面を覆工したセグメントがアーチ構造にならないため、セグメントの地山への固定強度を高めるのが難しく、トンネル覆工費用が高価になる。
【0011】
楕円形断面のトンネルでは、トンネル内面を覆工したセグメントがアーチ構造になるため、セグメントの地山への固定強度を高め易く、セグメントの安定性が高く、セグメントとして円形断面トンネル用のセグメントと略同様のセグメントを採用することができるため、セグメント製作費やセグメント覆工費用の面でも有利である。
【0012】
特許文献1のシールド掘進機では、固定歯車と遊星歯車と第1歯車を収容する第1ケーシングが掘削土を攪拌する為のチャンバー内に突出する構造であるため、第1ケーシングに多量の土砂が付着したまま回転される可能性が高く、第1ケーシングを回転駆動する駆動力が増し、動力消費量が多くなる。第2ケーシングの中空軸部がチャンバー内に長く突出しているため回転形カッタを支持する支持剛性を高めることが難しく、カッター駆動手段の耐久性を確保する上で不利である。
【0013】
特許文献2のシールド掘進機では、余掘り用の8組の小径カッターディスクを設けるため、掘進機の構造が複雑化し、製作費も高価になる。断面の楕円のトンネルを掘削することができないので、後述のように、トンネル内面を覆工するセグメント構築の面で困難を伴う。
【0014】
特許文献3のシールド掘進機は、スポークタイプのカッターヘッドを有し,各スポークに伸縮腕が径方向へ伸縮可能に装備されているため、断面の楕円のトンネルを掘削する場合など、伸縮腕を大きく伸長させる状態では、伸縮腕に大きな回転抵抗が作用するため、その伸縮腕やその伸縮腕をスポークに連結する部分において、強度的にまた耐久性の面で問題が生じる。
【0015】
本発明の目的は、楕円形断面のトンネルを掘削可能なシールド掘進機を提供すること、所要動力を節減可能で耐久性に優れたシールド掘進機を提供すること、構造を簡単化して製作費を安価にできるシールド掘進機を提供することなどである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1のシールド掘進機は、胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を前方へ掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、前記円板部材の前面側に、第1軸心と平行で且つ第1軸心に対して回転対称な1対の第2軸心の回りに基端部が回転可能に夫々支持された1対の揺動アームと、1対の揺動アームを第2軸心回りに夫々回転駆動する為の1対の第2回転駆動手段と、これら1対の揺動アームの先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、これら1対のヘッド支持部材に、第2軸心と平行な第3軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、前記1対の回転型カッターヘッドを第3軸心回りに夫々回転駆動する1対の第3回転駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
第1回転駆動手段で円板部材を第1軸心の回りに回転させると、1対の揺動アームの基端部が第1軸心の回りに公転する。1対の第2回転駆動手段により揺動アームの基端部を第2軸心の回りに回転させると1対の揺動アームが揺動する。揺動アームの先端部に回転型カッターヘッドが装備されて第3回転駆動手段で回転駆動されるため、1対の第3回転手段で回転駆動される1対の回転型カッターヘッドが第1軸心と直交方向へ移動して地山を掘削する。第1,第2回転駆動手段の駆動量を夫々適切に制御することにより、楕円形断面のトンネルを掘削することができる。
【0018】
請求項2のシールド掘進機は、請求項1の発明において、前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、前記1対の揺動アームの基準位置からの第2軸心の回りの回転角を検出する1対の第2回転角検出手段と、前記第1,第2回転角検出手段の出力を受けて、1対の回転型カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1,第2回転駆動手段を制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項3のシールド掘進機は、胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、前記円板部材のうちの前記チャンバと反対側に第1軸心に対して回転対称となるように装備された1対のガイド部材、及び、第1軸心に対して回転対称となるように1対のガイド部材に摺動自在に装着され且つ円板部材と平行に配設された1対の伸縮アームと、前記1対の伸縮アームを夫々伸縮駆動する為の1対の伸縮駆動手段と、これら1対の伸縮アームの先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、これらの1対のヘッド支持部材に、第1軸心と平行な第2軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、前記1対の回転型カッターヘッドを第2軸心回りに夫々回転駆動する1対の第2回転駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
このシールド掘進機では、第1回転駆動手段で回転駆動される円板部材に1対のガイド部材を介して1対の伸縮アームを第1軸心に対して回転対称となるように設け、1対の伸縮アームを1対の伸縮掘進機手段により伸縮駆動させ、1対の伸縮アームの先端部に設けた1対の回転型カッターヘッドにより掘削する。円板部材と第1回転駆動手段により1対の伸縮アームをトンネル軸心(第1軸心)の回りに回転させ、1対の伸縮アームを伸縮駆動手段で夫々伸縮させることで、カッターヘッドを第1軸心と直交方向へ移動させる。
第1回転駆動手段、1対の伸縮駆動手段を適切に制御することで、楕円形断面のトンネルを掘削することができる。
【0021】
請求項4のシールド掘進機は、請求項3の発明において、前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、前記1対の伸縮アームの最収縮位置からの伸長量を検出する1対の伸長量検出手段と、前記第1回転角検出手段と1対の伸長量検出手段の出力を受けて、1対の回転型カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段と伸縮駆動手段とを制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
請求項5のシールド掘進機は、胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、前記円板部材のうちのこの円板部材以外の隔壁部分よりも前方へ膨出する膨出部に第1軸心に対してミラー対称となるように装備された1対のガイド部材、及び、第1軸心に対して伸縮量がミラー対称となるように1対のガイド部材に摺動自在に装着された1対の伸縮アームと、前記1対の伸縮アームを伸縮駆動する為の1叉は1対の伸縮駆動手段と、これら1対の伸縮アームの1対の先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、これら1対のヘッド支持部材に、第1軸心と平行な第2軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、前記1対の回転型カッターヘッドを第2軸心回りに夫々回転駆動する1対の第2回転駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0023】
このシールド掘進機では、 このシールド掘進機では、第1回転駆動手段で回転駆動される円板部材に第1軸心に対して実質的にミラー対称となる1対のガイド部材を設け、これらガイド部材に1対の伸縮アームをそれらの伸縮量が第1軸心に対してミラー対称となるように摺動自在に設け、1対の伸縮アームを1叉は1対の伸縮駆動手段により伸縮駆動させ、1対の伸縮アームの先端部に設けた1対の回転型カッターヘッドにより掘削する。円板部材と第1回転駆動手段により1対の伸縮アームをトンネル軸心(第1軸心)の回りに回転させ、1対の伸縮アームを伸縮駆動手段で夫々ミラー対称に伸縮させることで、カッターヘッドを第1軸心と直交方向へ移動させる。第1回転駆動手段、伸縮駆動手段を適切に制御することで、楕円形断面のトンネルを掘削することができる。
【0024】
請求項6のシールド掘進機は、請求項5の発明において、前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、前記伸縮アームの最収縮位置からの伸長量を検出する伸長量検出手段と、前記第1回転角検出手段と伸長量検出手段の出力を受けて、1対の回転型カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段と伸縮駆動手段とを制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1のシールド掘進機によれば、次の効果が得られる。
(a)チャンバの後端を仕切る隔壁の一部を構成する円板部材を回転させ、この円板部材を介して1対の揺動アームの基端部を回転させる構成であるので、円板部材がチャンバー内に大きく突出せず、円板部材がそこに多量に付着した掘削土と共に回転するという現象は生じないから、円板部材を回転駆動する第1回転駆動手段の消費動力を節減でき、第1回転駆動手段の小型化を図ることができる。
【0026】
(b)カッターヘッドと揺動アームから円板部材に作用する荷重を円板部材を支持する隔壁部分で支持することができるから、カッターヘッドと揺動アームと円板部材を支持する支持剛性を高めることができ、第1回転駆動手段の耐久性を確保することができる。
(c)カッターヘッドをトンネル軸心(第1軸心)と直交方向へ移動させるカッターヘッド移動機構(円板部材、揺動アーム、第1,第2回転駆動手段)の構成を簡単化することができる。
【0027】
請求項2のシールド掘進機によれば、第1回転角検出手段、1対の第2回転角検出手段、掘削用制御手段により、楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段、1対の第2回転駆動手段を制御することができる。
【0028】
請求項3のシールド掘進機によれば前記 (a)と同様の効果の他に次の効果が得られる。 (d)カッターヘッドと伸縮アームから円板部材に作用する荷重を円板部材を支持する隔壁部分で支持することができるから、カッターヘッドと伸縮アームと円板部材を支持する支持剛性を高めることができ、第1回転駆動手段の耐久性を確保することができる。
(e)1対の伸縮アームを1対のガイド部材で摺動自在に支持して1対の伸縮駆動手段で駆動するように構成したため、1対の伸縮アームを円板部材に支持する構造と、カッターヘッドを第1軸心と直交方向へ移動させる為の構成が非常に簡単になり、安価に製作可能になる。
【0029】
請求項4のシールド掘進機によれば、第1回転角検出手段、1対の伸長量出手段、掘削用制御手段により、楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段、1対の伸長駆動手段を制御することができる。
【0030】
請求項5のシールド掘進機によれば前記 (a)、(d) 、(e) と同様の効果が得られる。
請求項6のシールド掘進機によれば、第1回転角検出手段、伸長量出手段、掘削用制御手段により、楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段、1対の伸長駆動手段を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明のシールド掘進機は、トンネルの断面形状に近似した断面楕円形の胴部材を有し、チャンバの後端を仕切る隔壁の一部を構成し掘進機本体の中心の回りに回転駆動される円板部材に、前記中心からの位置を可変に装備された1対の回転型カッターヘッドを設け、それら1対の回転型カッターヘッドにより断面楕円形のトンネルを掘削するように構成したシールド掘進機である。
【実施例1】
【0032】
以下、本発明のシールド掘進機SMの実施例1について図面に基づいて説明する。
以下の説明は、シールド掘進機SMが掘進して行く方向を前方とし、前方に向かって左右方向を左右方向として説明する。図1〜図3に示すように、このシールド掘進機SMは、胴体1と隔壁2とを含む掘進機本体3と、この掘進機本体3の前端部に装備された1対の回転型カッターヘッド4と、これら1対のカッターヘッド4をトンネル軸心と直交する方向へ移動させるカッターヘッド移動機構5と、複数のシールドジャッキ6と、排土装置7及びこれに連なる排土コンベヤ(図示略)と、セグメントSを覆工する為のエレクタ装置8と、電源と油圧源と掘削用の制御ユニット30(図4参照)とその他必要な諸装置を装備した後方台車(図示略)などを有する。
【0033】
前記掘進機本体3について説明する(図1〜図3参照)。
前記胴体1は、その断面形状が掘削するトンネルTの断面形状に近似した楕円形に構成され、胴体1は鋼板部材で構成されている。胴体1は、前胴1Aとこの前胴1Aの後端に固定された後胴1Bとを有し、後胴1Bの後端部にはテールシール1aが設けられている。胴体1の前端部内には、掘削した土砂を導入するチャンバ9が形成され、このチャンバ9の後端を仕切る隔壁2が掘進機本体3の前端寄り部位に設けられている。
【0034】
胴体1の前胴1Aの前後方向途中部の内側には補強用の楕円形の第1リング部10が設けられ、前胴1の後端部の内側にも補強用の楕円形の第2リング部11が設けられている。尚、第1リング部10の位置には、胴体1から外側へ所定長さ突出して胴体1のローリングを防止する為の上下1対のロール規制部材12が装備されている。
【0035】
複数のシールドジャッキ6は、掘進機本体3を前方へ前進させる為のものであり、後方台車に装備した油圧供給源に接続されている。複数のシールドジャッキ6は、前胴1Aの後半部の内面に周方向適当間隔おきに配置されている。シールドジャッキ6のジャッキ本体は、第2リング部11に貫通状に装着されて第1,第2リング部10,11に固定されている。シールドジャッキ6のジャッキ本体から後方へ向けてロッドが進退し、そのロッドの先端部に頸振り自在に連結されたスプレッダ6aを、トンネルTの内面に覆工されたセグメントSの前端に当接させて掘進の反力を取りながら掘進機本体3を前進させる。
【0036】
エレクタ装置8について説明する(図1参照)。
掘進機本体3の第2リング部11には後方へ延びる支持フレーム13が固定され、この支持フレーム13にエレクタ装置8を装備する為のレール部材14が取り付けられている。このレール部材14は、 正面視にて胴体1の内面から所定距離離隔したほぼ楕円形である。このレール部材14に例えば1対のエレクタ8A,8Bが周方向へ移動可能に且つ前後方向へ所定距離移動可能に装備されており、1対のエレクタ8A,8Bにより掘削したトンネルTの内面にセグメントSが覆工される。この覆工されたセグメントSの上半部、下半部、左半部、右半部は、何れもアーチ構造となるので強度と安定性に優れる。
【0037】
排土装置7について説明する(図1参照)。
この排土装置7として左右1対の排土装置7が設けられている。各排土装置7は、筒状ケース15とその内部に組み込まれたオーガ16とからなるスクリューコンベヤと、このスクリューコンベヤから掘削土を受け取ってトンネル内を後方へ搬送するベルトコンベヤ(図示略)とを有する。オーガ16の前端部は隔壁2の開口穴2aからチャンバ9内に突出している。
【0038】
1対の回転型カッターヘッド4と、これらカッターヘッド4をトンネルTの軸心と直交する方向へ移動させるカッターヘッド移動機構5について説明する。
このカッターヘッド移動機構5は、円板部材17と、この円板部材17を回転駆動する為の第1回転駆動機構18と、1対の揺動アーム19と、これら1対の揺動アーム19を夫々回転駆動する為の1対の第2回転駆動機構20と、1対の揺動アーム19の先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材19aと、後述のセンサ類及び制御ユニット30を有する。
【0039】
前記円板部材17について説明する(図1〜図3参照)。
この円板部材17は、掘進機本体3の前端寄り部分に掘進機本体3の中心の第1軸心A1の回りに回転可能に装備されて隔壁2の一部を構成している。円板部材17は隔壁2の中央部分に配設されている。掘進機本体3の第1リング部10の内周部には円筒部10aが設けられており、円板部材17は円筒部10aに回転自在に内嵌状に装着されている。円板部材17の外周部には、断面L形の円環部17aが設けられ、この円環部17aの後部にリングギヤ18aが固定され、円環部17aと第1リング部10側の部材との間にはベアリング(図示略)が設けられている。円筒部10aと円環部17aの間には液密にシールする複数の環状のシール部材(図示略)が設けられ、円筒部10aに対して円環部17aが前後方向に移動しないように構成されている。
【0040】
円板部材17を回転駆動する為の第1回転駆動機構18は、掘進機本体3の第1リング部10に装備された複数の油圧モータ18mにより、各油圧モータ18mの出力軸に固定されたピニオン18pを介してリングギヤ18aを正転方向と逆転方向に択一的に回転駆動可能に構成されている。
【0041】
1対の揺動アーム19について説明する(図1〜図3参照)。
これら1対の揺動アーム19は隔壁2よりも前側に配設され、これら揺動アーム19の円形基端部19bは、第1軸心A1と平行で且つ第1軸心A1に対して回転対称な1対の第2軸心A2の回りに回転自在に円板部材17に夫々支持されている。尚、第2軸心A2は、円板部材17の半径をRとして第1軸心A1から約(3/4)×R離隔した外周寄りの位置にある。揺動アーム19の円形基端部19b以外の部分はチャンバ9内に突出しており、円形基端部19bのうちの円板部材17の外側へはみ出す部分は、チャンバ9内に突出している。
【0042】
各揺動アーム19の円形基端部19bの外周部には円環部19cが形成され、この円環部19cにリングギヤ20aが固定され、このリングギヤ20aは、円板部材17の外側へはみ出した際に隔壁2の前面に摺接叉は近接する。この円環部19cと、円板部材17に形成された部分円環部17bの間には、複数の液密にシールする為のし複数のシール部材(図示略)が設けられ、部分円環部17bに対して円環部19cが前後方向へ移動しないように構成されている。
【0043】
1対の揺動アーム19は、第1軸心A1に対して回転対称の位置関係になるように,後述のように制御される。各揺動アーム19は円形基端部19bから所定長さ延びるアーム本体部を有し、このアーム本体部の先端部にはヘッド支持部材19aが設けられている。
【0044】
各揺動アーム19の円形基端部19bを第2軸心A2の回りに回転駆動する第2回転駆動機構20が設けられている。この第2回転駆動機構20は、円板部材17の部分円環部17bに装備された複数の油圧モータ20mにより、各油圧モータ20mの出力軸に固定されたピニオン20pを介してリングギヤ20aを正転方向と逆転方向に択一的に回転駆動可能に構成されている。こうして、1対の揺動アーム19は、第1軸心A1の回りに公転しながら第2軸心A2の回りに揺動(自転)駆動され、第1軸心A1に対して回転対称の姿勢となるように制御される。
【0045】
回転型カッターヘッド4は、揺動アーム19の先端部のヘッド支持部材19aに、第2軸心A2と平行な第3軸心A3の回りに回転可能に装備されている。1対の回転型カッターヘッド4は、胴体1の前端部に対応する前後方向位置に配置されており、1対のカッターヘッド4を第1軸心A1に対して回転対称の位置に保持しながら、これら回転型カッターヘッド4をほぼ楕円形を描くように移動させることにより、胴体1と近似する楕円形断面のトンネルTを掘削するように構成されている。この回転型カッターヘッド4は胴体1の楕円形断面の短直径の半分の大きさの直径を有するものである(図3参照)。
【0046】
回転型カッターヘッド4は、円形フレーム4aと、この円形フレーム4aから放射方向へ延びる6つのスポーク4bと、これらスポーク4bの前面と外周側の面に付設された複数のカッタービット4cとを有する。ヘッド支持部材19aには環状部21cが形成され、回転型カッターヘッド4の円形フレーム4aが環状部21cに回転自在に内嵌状に装着され、環状部21cと円形フレーム4aの間に液密にシールする複数のシール部材(図示略)が設けられ、環状部21cに対して円形フレーム4aが前後方向へ相対移動しないように構成されている。
【0047】
回転型カッターヘッド4を第3軸心A3の回りに回転駆動する為の第3回転駆動機構21が揺動アーム19に設けられている。この第3回転駆動機構21は、円形フレーム4aに装備されたリングギヤ21aと、環状部21cに装備された複数の油圧モータ21mなどを有し、第3回転駆動機構21は、複数の油圧モータ21mにより、それら油圧モータ21mの出力軸に設けられたピニオン21pを介してリングギヤ21aを正転方向と逆転方向に択一的に回転駆動可能に構成されている。
【0048】
次に、第1,第2,第3回転駆動機構18,20,21を制御する制御系について説明する。図4に示すように、操作盤31と、制御ユニット30と、第1回転角センサ32と、1対の第2回転角センサ33が設けられている。制御ユニット30により、第1,第2回転角センサ32,33からの検出信号に基づいて、1対の回転形カッターヘッド4により楕円形断面のトンネルTを掘削するように第1,第2回転駆動機構18,20の制油圧制御弁34,35を制御するように構成してある。制御ユニット30は、CPU30aとROM30bとRAM30cと入出力インターフェース(図示略)を備えている。
【0049】
第1回転角センサ32は、円板部材17の基準位置(例えば、図2に示す位置)からの回転角を検出するものである。この第1回転角センサ32は、リングギヤ18aのギヤ歯を検出する電磁ピックアップからなり、この第1回転角センサ32は掘進機本体3の第1リング部10に固定されている。リングギヤ18aの多数のギヤ歯のうち基準位置のギヤ歯だけに分断用小孔が形成され、上記電磁ピックアップにより基準位置のギヤ歯から2つのパルス(基準パルス)を検出し、その他の多数のギヤ歯から夫々1つのパルスを検出する。制御ユニット30において第1回転角センサ32から供給される基準パルスから基準位置を検知し、その基準位置検出以降に供給されるパルス数を計数することにより、リングギヤ18aの基準位置からの所定方向への回転角(円板部材17の回転角)が検知される。尚、油圧モータ18mの回転方向も加味してパルス数を計数することにより、リングギヤ18aの上記所定方向と反対方向への回転角も検知される。
【0050】
1対の第2回転角検出センサ33は、1対の揺動アーム19の円板部材17に対する基準位置(例えば、図2示す位置)からの第2軸心A2の回りの回転角を夫々検出するものであり、第2回転角検出センサ33は、リングギヤ20aのギヤ歯を検出する電磁ピックアップからなり、この第2回転角センサ33は円板部材17の部分円環部17bに固定されている。リングギヤ20aの多数のギヤ歯のうち基準位置のギヤ歯だけに分断用の小孔が形成され、上記の電磁ピックアップにより基準位置のギヤ歯から2つのパルス(基準パルス)を検出し、その他の多数のギヤ歯から夫々1つのパルスを検出する。
【0051】
制御ユニット30において上記の電磁ピックアップから供給される基準パルスから基準位置を検知し、その基準位置検出以降に供給されるパルス数を計数することにより、リングギヤ20aの基準位置から所定方向への回転角(揺動アーム19の揺動回転角)が検知される。尚、油圧モータ20mの回転方向も加味してパルス数を計数することにより、リングギヤ20aの上記所定方向と反対方向への回転角も検知される。
【0052】
第1回転駆動機構18は、制御ユニット30で制御される油圧制御弁34を有し、この油圧制御弁34により複数の油圧モータ18mへ供給する油圧の油量を制御することにより、油圧モータ18mの回転角を制御し、円板部材17の回転角を制御するように構成されている。第2回転駆動機構20についても同様であり、制御ユニット30で制御される油圧制御弁35を有し、この油圧制御弁35により複数の油圧モータ20mへ供給する油圧の油量を制御することにより、油圧モータ20mの回転角を制御し、揺動アーム19の回転角(揺動角)を制御するように構成されている。
【0053】
第3回転駆動機構21は、回転型カッターヘッド4の回転方向と回転速度を制御する為に、制御ユニット30で制御される油圧制御弁36を有し、この油圧制御弁36により複数の油圧モータ21mへ供給する油圧の油量と供給方向を制御することにより、油圧モータ21mの回転方向と回転速度を制御し、回転型カッターヘッド4の回転方向と回転速度を制御するように構成されている。尚、胴体1に作用するローリングトルクを小さくする為に、1対の回転型カッターヘッド4は互いに反対方向へ回転駆動される。
【0054】
制御ユニット30のROM30bには、楕円断面のトンネル掘削用の制御プログラムが予め格納されており、この制御プログラムに基づいて上記の第1,第2回転駆動機構18,20に対する制御が実行される。最初に、この制御の制御ロジックについて説明する。 図5に示すように、第1軸心A1はシールド掘進機SMの胴体1の中心であり、円Cは第2軸心A2が描く軌跡であり、楕円Eは掘削されるトンネルTの外形を示す楕円であり、楕円Dは楕円Eから内側へ回転型カッターヘッド4の半径Rだけ離隔させた楕円叉は近似楕円であり、第3軸心A3が移動する軌跡である。
【0055】
この説明では、1方の揺動アーム19について説明し、他方の揺動アーム19についての説明は省略する。揺動アーム19が図5に示す基準位置(第2軸心A2が点P0の位置、第3軸心A3が点Q0の位置)にある。その基準位置から掘削を開始し、第3軸心A3が楕円D上を反時計回り方向へ移動するとき、最初第2軸心A2は円C上を時計回り方向へ移動し、その後反時計回り方向へ移動することになる。地山の土質等に応じて掘削速度に関連する、回転型カッターヘッド4を楕円D上を移動させる移動速度Vを予め設定してある。
【0056】
この移動速度V、掘削開始からの経過時間tとすると、時刻tにおける第2軸心A2の位置が点Pの位置となり、第3軸心A3が点Qの位置になり、これらの位置は演算により得られる。その時の円板部材17の回転角−θ1、揺動アーム19の回転角θ2も演算により得られる。つまり、掘削開始後の時刻tのときに、円板部材17の回転角−θ1、揺動アーム19の回転角θ2となるように第1,第2回転駆動機構18,20を時々刻々制御することにより、断面が楕円形のトンネルTを掘削することができる。
【0057】
尚、両方の回転型カッターヘッド4で、トンネルの全体を掘削する第1方法と、一方の回転型カッターヘッド4でトンネルの左側半分を掘削し、他方の回転型カッターヘッド4でトンネルの右側半分を掘削する第2方法を採用可能であるが、以下のフローチャートに示す例は、第1方法を採用する場合の制御を示すものである。
【0058】
次に、図6のフローチャートに基づいて説明する。
制御が開始されると、第1,第2回転角センサ32,33からの検出信号などが読み込まれ(S1)、次に掘削の開始を指令するスタート指令が操作盤31から入力された否か判定し(S2)、その判定がNoの間はS1へ戻り、その判定がYesになるとS3において、円板部材17と揺動アーム19を夫々の基準位置に設定する。このとき、油圧モータ18m,20mを夫々駆動し、第1,第2回転角センサ32,33からの検出信号に基づいて基準位置に設定する。尚、スタート指令の入力に応じて、油圧モータ21mの駆動も開始され、複数のシールドジャッキ6により掘進機本体3の前進移動も行われる。
【0059】
次に、S4においてタイマーTをスタートをして計時を開始し、次のS5では、タイマーTの計時時間tを読み込むと共に第1,第2回転角センサ32,33からの検出信号が読み込まれる。S6では、計時時間tと、楕円Dに沿って移動するカッターヘッド4の移動速度Vと、楕円Dの軌跡に基づいて、楕円D上の第3軸心A3の位置(点Qの位置)が演算される。次に、S7では、第3軸心A3の位置と、揺動アーム19の長さと、円Cの軌跡に基づいて、第2軸心A2の位置(点Pの位置)が演算される。
【0060】
次に、S8では、円板部材17の回転角である第1回転角θ1と、揺動アーム19の回転角である第2回転角θ2が演算され、次にS9において第1,第2回転駆動機構18,20の油圧制御弁34,35が、第1,第2回転角−θ1,θ2とするように制御される。次にS10において円板部材17が基準位置か否か判定し、その判定がNoのときはS5へ移行してS5以降を実行するため、カッターヘッド4の中心の第3軸心A3が楕円Dに沿って移動していき、断面楕円のトンネルTが掘削される。カッターヘッド4が1周して基準位置に達すると、S10の判定がYesとなる。次にS11において操作盤31から停止指令が入力されたか否か判定する。
【0061】
S11の判定がNoの間はS3へ戻ってS3以降を繰り返すため、複数回に亙ってカッターヘッド4が周回し、セグメントSの前後長に等しい距離前進すると、セグメントSの構築の為に操作盤31から停止指令が入力され、S11の判定がYesとなってS12において第1,第2回転駆動機構18,20の駆動が停止され、油圧モータ21mも停止され、その後S1へ移行する。
【0062】
以上説明したシールド掘進機SMの作用、効果について説明する。
第1回転駆動機構18で円板部材17を回転させつつ、1対の第2回転駆動機構20により1対の揺動アーム19を第1軸心A1に対して回転対称の位置関係に保持しながら、1対の第3回転駆動機構21で1対の回転型カッターヘッド4を回転駆動しつつ、図5に示す楕円Dに沿ってカッターヘッド4の中心(第3軸心A3)を移動させることで、楕円形断面のトンネルTを掘削する。
【0063】
チャンバ9の後端を仕切る隔壁2の一部を構成する円板部材17を回転させ、この円板部材17を介して1対の揺動アーム19の円形基端部19bを回転させる構造にしたので、円板部材17がチャンバ9内に大きく突出せず、円板部材17がそこに多量に付着した掘削土と共に回転するという現象は生じないから、円板部材17を回転駆動する第1回転駆動機構18の消費動力を節減でき、第1回転駆動機構18の小型化を図ることができる。しかも、揺動アーム19の円形基端部19bへの一部(約1/3)が円板部材17から外側へはみ出す構造にしたため、円板部材17と第1回転駆動機構18の小型化を図ることができた。
【0064】
円板部材17が隔壁2と同一面をなすように配設されているため、チャンバ9内の土砂から円板部材17に作用する回転抵抗が非常に小さくなるので、第1回転駆動機構18の小型化を図ることができる。回転型カッターヘッド4の直径をトンネル断面の楕円形の短直径の半分の大きさに設定したため、1対のカッターヘッド4の相互干渉を避けながらカッターヘッド4を極力大型化してシールド掘進機SMの掘削性能を高めることができる。
【0065】
カッターヘッド4と揺動アーム18から円板部材17に作用する荷重を円板部材17を支持する隔壁2の部分で支持することができるから、カッターヘッド4と揺動アーム19と円板部材17を支持する支持剛性を高めることができ、第1回転駆動機構18の耐久性を確保することができる。カッターヘッド4をトンネル軸心(第1軸心A1)と直交方向へ移動させるカッターヘッド移動機構5(円板部材17、揺動アーム19、第1,第2回転駆動機構18,20)の構成を簡単化することができる。
【0066】
トンネルTの断面形状が楕円形であるので、トンネル内面に覆工されたセグメントSは各部分においてアーチ構造になるから、セグメントSを地山に強力に固定することができる、セグメントSの強度、安定性を確保することができるうえ、セグメントSとして円形断面のトンネルに適用される通常のセグメント叉はそれに近似したものを採用可能となるので、セグメントSの製作と構築の面でも有利である。
【0067】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)シールド掘進機SMの胴体1の前胴1Aと後胴1Bとを左右方向叉は上下左右方向へ折曲可能に連結し、複数の中折れジャッキにより折曲角度を調節するように構成し、曲がったトンネルを掘削可能に構成するしてもよい。
2)前記シールド掘進機SMは排土装置7を備えた掘進機を例にして説明したが、排土装置7の代わりに排泥装置を設けてもよい。
【実施例2】
【0068】
次に、本発明の実施例2に係るシールド掘進機SM2について説明する(図7〜図9参照)。このシールド掘進機SM2におけるカッターヘッド移動機構5A及び制御系以外の構造は、前記シールド掘進機SMのものと同様である。シールド掘進機SMと同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略し、主にカッターヘッド移動機構5Aと制御系について説明する。
【0069】
図7〜図9に示すように、カッターヘッド移動機構5Aは、第1軸心A1の回りに回転可能な円板部材17Aと、この円板部材17Aを回転駆動する第1回転駆動機構18と、1対のガイド部材40と、1対の伸縮アーム41と、1対のアーム伸縮駆動用機構42と、1対の伸縮アーム41の先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材43と、これら1対のヘッド支持部材43に支持された1対の回転形カッターヘッド4等を備えている。
【0070】
円板部材17Aは、隔壁2のうちの円板部材17A以外の部分よりも前方へ膨出する膨出部17aを有し、その膨出部17aには1対の伸縮アーム41が進退する進退空間が形成されている。円板部材17Aを隔壁2に回転自在に支持する構造は実施例1と同様である。円板部材17Aのうちのチャンバ9と反対側には、第1軸心A1に対して回転対称となるように装備された1対のガイド部材40が設けられている。1対の伸縮アーム41は、第1軸心A1に対して回転対称となるように1対のガイド部材40に摺動自在に装着され且つ隔壁2と平行に配設されている。
【0071】
1対の伸縮アーム40を夫々伸縮駆動する為の1対のアーム伸縮駆動機構42が設けられている。アーム伸縮駆動機構42は油圧シリンダ42aを有し、この油圧シリンダ42aは伸縮アーム41の内部に配設され、そのシリンダ本体は膨出部17aの壁部に固定されたブラケット41bにピン結合され、油圧シリンダ42aのロッド42bの先端部が伸縮アーム41の先端部分の先端部材41aに固定されたブラケットにピン結合されている。この油圧シリンダ42aは複動型の油圧シリンダであり、後方台車に装備された油圧供給源に接続されている。
【0072】
伸縮アーム41の先端部材41aにはヘッド支持部材43が固定的に設けられ、このヘッド支持部材43に回転型カッターヘッド4が回転可能に設けられている。この回転型カッターヘッド4をヘッド支持部材43に回転可能に支持する構造は、前記実施例1と同様である。
【0073】
1対の回転型カッターヘッド4は、1対のヘッド支持部材43に、第1軸心A1と平行な第2軸心A2の回りに回転可能に夫々装備されている。回転型カッターヘッド4は、実施例1のものと同様である。また、実施例1と同様に、1対の回転型カッターヘッド4を第2軸心A2回りに夫々回転駆動する1対の第2回転駆動機構21Aが設けられている。尚、第2軸心A2、第2回転駆動機構21Aが実施例1の第3軸心A3、第3回転駆動機構21と同様のものである。
【0074】
制御系について図10に基づいて説明する。
操作盤31と、第1回転角センサ32と、1対の伸長量検出センサ44が制御ユニット30Aに接続されている。第1回転角センサ32は、円板部材17Aの基準位置からの所定方向への回転角を検出するものであり、実施例1と同様に構成されている。
【0075】
伸長量検出センサ44は、伸縮アーム41の図7、図8に示す最収縮位置からの伸長量を検出するものであり、例えば、鋼製の伸縮アーム41の壁面に小間隔おきに伸縮方向と平行な1列状に形成された複数の小孔と、ガイド部材40側に固定的に設けられた電磁ピックアップとで構成されている。但し、これらの小孔は伸縮アーム41の内面側において水密に封鎖されている。伸縮アーム41が最収縮位置のときに電磁ピックアップで検出されるパルス幅が特別に広幅の基準パルスとする広幅の小孔も形成されているため、電磁ピックアップからの検出信号に基づいて最収縮位置を検知可能であり、また、最収縮位置検出以降に検出されたパルス数を計数することにより、伸縮アーム41の最収縮位置からの伸長量を検知可能である。
【0076】
第1回転駆動機構34は、実施例1のものと同様である。アーム伸縮駆動機構42は、油圧制御弁42vを介して油圧シリンダ42aへ供給する油圧の油量を制御して、伸縮アーム41を所望の量だけ伸縮させるように構成され、制御ユニット30Aにより油圧制御弁42vが制御される。第2回転駆動機構21Aは実施例1の第3回転駆動機構21と同様のものである。制御ユニット30Aは、第1回転角検出センサ32と1対の伸長量検出センサ44の出力を受けて、1対のカッターヘッド4により楕円形断面のトンネルTを掘削するように第1回転駆動機構34とアーム伸縮駆動機構42とを制御する。
【0077】
この制御ユニット30Aは、CPU30dと、ROM30eと、RAM30fと、入出力インターフェース(図示略)を有し、そのROM30eには、カッターヘッド4を第1軸心A1と直交方向へ移動させる上記の制御の為の制御プログラムが予め格納されている。この制御プログラムのフローチャートは省略するが、一方の伸縮アーム41に関する制御ロジックについて簡単に説明する。図11に示すように、楕円Iが掘削されるトンネルの外形を示す楕円であり、楕円Hが楕円Iの内側にカッターヘッド4の半径Rだけ離隔させた楕円叉は近似楕円であり、円Gが円板部材17Aであり、円Fは円板部材17Aと一体的に回転する伸縮アーム41が外接する仮想円である。
【0078】
図8に示す状態のとき、円板部材17Aが基準位置となり、伸縮アーム41も基準位置(最収縮位置)であるから、図11に示す基準位置のとき、伸縮アーム41の基端が点M0の位置であり、先端が点N0の位置となる。掘削開始後の時刻tのとき、伸縮アーム41の先端の位置は点Nの位置となるが、実施例1と同様に、カッターヘッド4が楕円形状に周回する予め設定された移動速度Vと時刻tに基づいて、点Nの位置を演算することができる。
【0079】
次に、点Nの位置と円F,Gに基づいて、点Mの位置を演算することができる。伸縮アーム41は線分M0N0の状態から線分MNの状態に伸長したことになり、伸縮アーム41の最収縮位置からの伸長量は、(線分MNの長さ−線分M0N0の長さ)として演算することができる。つまり、掘削開始後の時刻tのときの伸縮アーム41の伸長量が上記の値になるようにアーム伸縮駆動機構42を時々刻々制御することにより、断面が楕円形のトンネルTを掘削することができる。
【0080】
以上説明したシールド掘進機SM2の作用、効果について説明する。
第1回転駆動機構18で円板部材17Aを回転させつつ、1対の伸縮駆動機構42により1対の伸縮アーム41を第1軸心A1に対して回転対称の位置関係に保持しながら、1対の第3回転駆動機構21で1対の回転型カッターヘッド4を回転駆動しつつ、図11に示す楕円Hに沿ってカッターヘッド4の中心(第3軸心A3)を移動させることで、楕円形断面のトンネルTを掘削する。
【0081】
チャンバ9の後端を仕切る隔壁2の一部を構成する円板部材17Aを回転させ、この円板部材17Aを介して1対の伸縮アーム41を回転させる構造にしたので、円板部材17Aがチャンバ9内にさほど大きくは突出せず、円板部材17Aがそこに多量に付着した掘削土と共に回転するという現象は生じにくいから、円板部材17Aを回転駆動する第1回転駆動機構18の消費動力を節減でき、第1回転駆動機構18の小型化を図ることができる。回転型カッターヘッド4の直径をトンネル断面の楕円形の短直径の半分の大きさに設定したため、1対のカッターヘッド4の相互干渉を避けながらも、カッターヘッド4を極力大型化してシールド掘進機SM2の掘削性能を高めることができる。
【0082】
カッターヘッド4と伸縮アーム41から円板部材17Aに作用する荷重を円板部材17Aを支持する隔壁2の部分で支持することができるから、カッターヘッド4と伸縮アーム41と円板部材17Aを支持する支持剛性を高めることができ、第1回転駆動機構18の耐久性を確保することができる。
カッターヘッド4をトンネル軸心(第1軸心A1)と直交方向へ移動させるカッターヘッド移動機構5A(円板部材17、伸縮アーム41、第1回転駆動機構18、伸縮駆動機構42)の構成を簡単化することができる。
【0083】
トンネルTの断面形状が楕円形であるので、トンネル内面に覆工されたセグメントSはアーチ構造になるから、セグメントSを地山に強力に固定することができる、セグメントSの強度、安定性を確保することができるうえ、セグメントSとして円形断面のトンネルに適用される通常のセグメント叉はそれに近似したものを採用可能となるので、セグメントSの製作と構築の面でも有利である。
【0084】
1対の伸縮アーム41を1対のガイド部材40で摺動自在に支持して1対の伸縮駆動機構42で駆動するように構成したため、1対の伸縮アーム41を円板部材17Aに支持する構造と、カッターヘッド4を第1軸心A1と直交方向へ移動させる為の構成が非常に簡単になり、安価に製作可能になる。
【0085】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)シールド掘進機SM2の胴体1の前胴1Aと後胴1Bとを左右方向叉は上下左右方向へ折曲可能に連結し、複数の中折れジャッキにより折曲角度を調節するように構成し、曲がったトンネルを掘削可能に構成してもよい。
2)前記シールド掘進機SM2は排土装置7を備えた掘進機を例にして説明したが、排土装置7の代わりに排泥装置を設けてもよい。
【実施例3】
【0086】
次に、本発明の実施例3に係るシールド掘進機SM3について説明する(図12〜図14参照)。このシールド掘進機SM3におけるカッターヘッド移動機構5B及び制御系以外の構造は、前記シールド掘進機SMのものと同様である。シールド掘進機SMと同様の構成要素に同一符号を付して説明を省略し、主にカッターヘッド移動機構5Bと制御系について説明する。
【0087】
図13〜図15に示すように、カッターヘッド移動機構5Bは、第1軸心A1の回りに回転可能な円板部材17Bと、この円板部材17Bを回転駆動する第1回転駆動機構18と、1対のガイド部材50a,50bと、この1対のガイド部材50a,50bに摺動自在に装着された1対の伸縮アーム51a,51bと、これら1対の伸縮アーム51a,51bを伸縮駆動する伸縮駆動機構52と、1対の伸縮アーム51a,51bの先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材53とを備えている。
【0088】
尚、1対のヘッド支持部材53に、第1軸心A1と平行な第2軸心A2の回りに回転可能に夫々装備された1対の回転型カッターヘッド4と、それらのカッターヘッド4を回転駆動する1対の第2回転駆動機構21Bは実施例1の第3回転駆動機構21と同様のものである。
【0089】
前記円板部材17Bは、掘進機本体3Bの前端寄り部分に掘進機本体3Bの中心の第1軸心A1の回りに回転可能に装備され且つ隔壁2の一部を構成している。円板部材17Bは、その円環部17aに連なり且つ隔壁2のうちの円板部材17B以外の部分よりも前方へ膨出した円形の膨出部17bが設けられている。1対のガイド部材50a,50bは、第1軸心A1に対して実質的にミラー対称となるように円板部材17Bの膨出部17b内に装備されており、1対の伸縮アーム51a,51bは、第1軸心A1に対して伸縮量がミラー対称となるように1対のガイド部材51a,51bに摺動自在に装着されている。
【0090】
1対の伸縮アーム51a,51bは、断面矩形の外側伸縮アーム51aと、この外側伸縮アーム51aに相対摺動自在に内嵌された内側伸縮アーム51bとからなる。外側伸縮アーム51aの端部が一方のヘッド支持部材53に固着された先端部材53aに固着されて、その先端部材53a側のガイド部材50aに摺動自在に挿通している。内側伸縮アーム51bの端部が他方のヘッド支持部材53に固着された先端部材53bに固着されて、その先端部材53b側のガイド部材50bに摺動自在に挿通している。
【0091】
伸縮駆動機構52は、1対の伸縮アーム51a,51b内に配設された2本ロッド型の伸縮用油圧シリンダで構成されている。この伸縮用油圧シリンダでは、そのシリンダ本体52aの内部の長さ方向中間部に仕切り壁を有し、その仕切り壁の両側に形成された1対のシリンダボア孔内に夫々ピストン部を有し、1対のピストンロッド52a,52bがシリンダ本体52aの両端から夫々進退するように構成されている。一方のピストンロッド52aの端部は先端部材53aにブラケットを介してピン結合され、他方のピストンロッド52bの端部は先端部材53bにブラケットを介してピン結合されている。
【0092】
伸縮駆動機構52の2組の油圧シリンダは夫々複動型に構成されており、後方台車の油圧供給源に接続されている。上記の2組の油圧シリンダを同期させて第1軸心A1に対してミラー対称に作動させることにより、1対の伸縮アーム51a,51bの伸縮量が第1軸心A1に対してミラー対称になる。尚、円板ブロック7Bを第1軸心A1の回りに回転させつつ、上記の伸縮駆動機構52によって1対の伸縮アーム51a,51bを伸縮駆動させることで、1対のカッターヘッド4を第1軸心A1に対して回転対称に位置させ、断面が楕円形のトンネルTを掘削することができる。
【0093】
次に、このシールド掘進機SM2の制御系について説明する。
図16に示すように、操作盤31と、第1回転角センサ32と、1対の伸長量検出センサ54a,54bが制御ユニット30Bに接続されている。第1回転角センサ32は、円板部材17Bの基準位置からの所定方向への回転角を検出するものであり、実施例1と同様に構成されている。
【0094】
伸長量検出センサ54aは、外側伸縮アーム51aの図12、図13に示す最収縮位置(基準位置)からの伸長量を検出するものであり、例えば、鋼製の外側伸縮アーム51aの壁面に小間隔おきに伸縮方向と平行な1列状に形成された複数の小孔と、ガイド部材50a側に固定的に設けられた電磁ピックアップとで構成されている。但し、これら小孔は外側伸縮アーム51aの内側において水密に封鎖されている。外側伸縮アーム51aが最収縮位置のときに電磁ピックアップで検出されるパルス幅が特別に広幅の基準パルスとする広幅の小孔も形成されているため、電磁ピックアップからの検出信号に基づいて最収縮位置を検知可能であり、また、最収縮位置検出以降に検出されたパルス数を計数することにより、外側伸縮アーム51aの最収縮位置からの伸長量を検知可能である。尚、伸長量検出センサ54bは、内側伸縮アーム51bの最収縮位置からの伸長量を検出する為のものであるが、前記の伸長量検出センサ54aと同様に構成されている。
【0095】
第1回転駆動機構18は、実施例1のものと同様である。アーム伸縮駆動機構52は、油圧制御弁52vを介して前記2組の油圧シリンダへ供給する油圧の油量を制御して、外側伸縮アーム51aと内側伸縮アーム51bを所望の量だけミラー対称に伸縮させるように構成され、制御ユニット30Bにより油圧制御弁52vが制御される。第2回転駆動機構21Bは実施例1の第3回転駆動機構21と同様のものである。制御ユニット30Bは、第1回転角検出センサ32と1対の伸長量検出センサ54a,54bの出力を受けて、1対のカッターヘッド4により楕円形断面のトンネルTを掘削するように第1回転駆動機構18とアーム伸縮駆動機構52とを制御する。
【0096】
この制御ユニット30Aは、CPU30gと、ROM30hと、RAM30iと、入出力インターフェース(図示略)を有し、そのROM30hには、楕円断面のトンネル掘削の為にカッターヘッド4を第1軸心A1と直交方向へ移動させる上記の制御の為の制御プログラムが予め格納されている。この制御プログラムのフローチャートと制御ロジックは省略する。
【0097】
前記シールド掘進機SM3の作用、効果については、実施例2のシールド掘進機SM2とほぼ同様であるので説明を省略する。
この実施例3を部分的に変更する例について説明すると、前記伸縮駆動機構52の油圧シリンダの代わりに、相互に逆向き状態に配設した2つの独立の油圧シリンダを設け、それら油圧シリンダを同期作動させるように構成してもよい。その他の変更例は実施例2とほぼ同様である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施例1のシールド掘進機の縦断面図である。
【図2】図1のシールド掘進機(基準位置)の正面図である。
【図3】図1のシールド掘進機の正面図である。
【図4】図1のシールド掘進機の制御系のブロック図である。
【図5】図1のシールド掘進機のカッターヘッド移動制御を説明する説明図である。
【図6】カッターヘッドを移動させる制御の概略フローチャートである。
【図7】本発明の実施例2のシールド掘進機の縦断面図である。
【図8】図7のシールド掘進機(基準位置)の正面図である。
【図9】図7のシールド掘進機の正面図である。
【図10】図7のシールド掘進機の制御系のブロック図である。
【図11】図7のシールド掘進機のカッターヘッド移動制御を説明する説明図である。
【図12】本発明の実施例3のシールド掘進機の縦断面図である。
【図13】図12のシールド掘進機(基準位置)の正面図である。
【図14】図12のシールド掘進機の正面図である。
【図15】図12のシールド掘進機の制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0099】
SM,SM2,SM3 シールド掘進機
A1,A2,A3 第1,第2,第3軸心
1 胴体
1A,1B 前胴,後胴
2 隔壁
3,3A,3B 掘進機本体
4 回転型カッターヘッド
5,5A,5B カッターヘッド移動機構
6 シールドジャッキ
9 チャンバ
17,17A,17B 円板部材
18 第1回転駆動機構
19 揺動アーム
19a ヘッド支持部材
20 第2回転駆動機構
21, 第3回転駆動機構
21A,21B 第2回転駆動機構
30,30A,30B 制御ユニット
32,33 第1,第2回転角センサ
40 ガイド部材
41 伸縮アーム
42 伸縮駆動機構
43 ヘッド支持部材
44 伸長量検出センサ
51a,51b 伸縮アーム
52 伸縮駆動機構
53 ヘッド支持部材
54a,54b 伸長量検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を前方へ掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、
前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、
前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、
この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、
前記円板部材の前面側に、第1軸心と平行で且つ第1軸心に対して回転対称な1対の第2軸心の回りに基端部が回転可能に夫々支持された1対の揺動アームと、
1対の揺動アームを第2軸心回りに夫々回転駆動する為の1対の第2回転駆動手段と、 これら1対の揺動アームの先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、
これら1対のヘッド支持部材に、第2軸心と平行な第3軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、
前記1対の回転型カッターヘッドを第3軸心回りに夫々回転駆動する1対の第3回転駆動手段とを備えたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、
前記1対の揺動アームの基準位置からの第2軸心の回りの回転角を検出する1対の第2回転角検出手段と、
前記第1,第2回転角検出手段の出力を受けて、1対の回転形カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1,第2回転駆動手段を制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、
前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、
前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、
この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、
前記円板部材のうちの前記チャンバと反対側に第1軸心に対して回転対称となるように装備された1対のガイド部材、及び、第1軸心に対して回転対称となるように1対のガイド部材に摺動自在に装着され且つ前記隔壁と平行に配設された1対の伸縮アームと、
前記1対の伸縮アームを夫々伸縮駆動する為の1対の伸縮駆動手段と、
これら1対の伸縮アームの先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、
これらの1対のヘッド支持部材に、第1軸心と平行な第2軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、
前記1対の回転型カッターヘッドを第2軸心回りに夫々回転駆動する1対の第2回転駆動手段とを備えたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項4】
前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、
前記1対の伸縮アームの最収縮位置からの伸長量を検出する1対の伸長量検出手段と、 前記第1回転角検出手段と1対の伸長量検出手段の出力を受けて、1対の回転形カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段と伸縮駆動手段とを制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
胴体と胴体の前端部内のチャンバの後端を仕切る隔壁とを含む掘進機本体と、この掘進機本体を掘進させる複数のシールドジャッキとを備え、断面が楕円形のトンネルを掘削するシールド掘進機において、
前記胴体の断面形状は前記トンネルの断面形状に近似した楕円形に構成され、
前記掘進機本体の前端寄り部分に掘進機本体の中心の第1軸心の回りに回転可能に装備され且つ前記隔壁の一部を構成する円板部材と、
この円板部材を回転駆動する為の第1回転駆動手段と、
前記円板部材のうちのこの円板部材以外の隔壁部分よりも前方へ膨出する膨出部に第1軸心に対して実質的にミラー対称となるように装備された1対のガイド部材、及び第1軸心に対して伸縮量がミラー対称となるように1対のガイド部材に摺動自在に装着された1対の伸縮アームと、 前記1対の伸縮アームを伸縮駆動する為の1叉は1対の伸縮駆動手段と、
これら1対の伸縮アームの1対の先端部に夫々固着された1対のヘッド支持部材と、
これら1対のヘッド支持部材に、第1軸心と平行な第2軸心回りに回転可能に夫々装備され且つ前記胴体の断面の楕円形の短直径の半分の大きさの直径を有する1対の回転型カッターヘッドと、
前記1対の回転型カッターヘッドを第2軸心回りに夫々回転駆動する1対の第2回転駆動手段とを備えたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項6】
前記円板部材の基準位置からの回転角を検出する第1回転角検出手段と、
前記伸縮アームの最収縮位置からの伸長量を検出する伸長量検出手段と、
前記第1回転角検出手段と伸長量検出手段の出力を受けて、1対の回転型カッターヘッドにより前記楕円形断面のトンネルを掘削するように第1回転駆動手段と伸縮駆動手段とを制御する掘削用制御手段とを備えたことを特徴とする請求項5に記載のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−202220(P2008−202220A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36154(P2007−36154)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】