説明

シールド線のアース処理構造およびアース処理方法

【課題】シールド線のドレン線とアース線との接続を溶接を不要として、ドレン線とアース線との接続部分のスリム化を図ると共に、高いシールド性を備え、作業性もよいシールド線のアース処理構造およびアース処理方法を提供する。
【解決手段】シールド線10から引き出したドレン線11の引出側先端と、一端にアース端子51あるいはコネクタ収容端子56が接続されたアース線50の他端に露出させた導体とを、一対のバレル40bを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子40を用いて一括圧着接続、撚り合わせて接続あるいはジョイントバスバーを介して接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド線のアース処理構造およびアース処理方法に関し、特に、シールド線の端末から引き出されるドレン線とアース線との接続構造をスリム化するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本あるいは1本の絶縁被覆電線からなるコア電線を金属繊維からなる編組のチューブ内あるいは金属箔の内部に通し、金属編組チューブあるいは金属箔をシース(絶縁被覆)で被覆したシールド線は、シールド用の金属編組あるいは金属箔をアース接続する必要がある。
【0003】
前記シールド線のアース接続は、特開2000−268893号公報(特許文献1)では、図19に示すように、複数本のシールド線1A〜1Fのシースの端末を皮剥ぎして金属編組を露出させ、これを縒ってドレン線1a〜1fとし、これらドレン線1a〜1fとアース線2とを共にテープ3で結束し、テープ3の先端から露出させたドレン線1a〜1fおよびアース芯線2aを集中抵抗溶接し、該アース線2の他端に接続されたアース端子4を車体パネル等へ接地している。
また、シールド線の金属編組を縒って形成したドレン線に代えて、絶縁被覆していない素線からなるドレン線をコア電線と共に配線し、該ドレン線を金属編組のチューブあるいは金属箔に接触させたシールド線においても、前記特許文献1と同様の方法によりアース接続することができる。
【0004】
しかしながら、ドレン線1a〜1fとアース線2とを集中抵抗溶接する場合、抵抗溶接は、専用の抵抗溶接設備を用いて行うため、ライン上では行えず、かつ、通常の抵抗溶接作業ではシースの皮剥ぎ長さ寸法が150mm程度必要となり、シールド性能に改良の余地がある。さらに、シースの皮剥ぎ長さが長いため、ドレン線の先端を揃えるために溶接前にテープ3で結束する必要があり、作業工数が煩雑となっていた。
【0005】
【特許文献1】特開2000−268893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、アース線と接続するドレン線の長さをできるだけ短くし、かつ、ドレン線とアース線との接続部分によるハーネスの肥大化を抑制し、高いシールド性を備えると共に作業性もよいシールド線のアース処理構造およびアース処理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、第1に、シールド線から引き出したドレン線の引出側先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて一括圧着接続、あるいは撚り合わせて接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造を提供している。
【0008】
前記シールド線は、信号線となる絶縁被覆電線からなるコア電線を金属編組のチューブあるいは金属箔からなるシールド層と絶縁樹脂材料からなるシースで順次被覆したものであり、前記シールド層をアース接続するために、絶縁被覆していない導体からなるドレン線をシールド層と接触させて前記シースで被覆している。
なお、ドレン線は皮剥されたシールド層の金属編組を縒って形成してもよい。
【0009】
本発明のシールド線のアース処理構造では、シールド線のドレン線を車体等にアース接続されるアース線と前記した抵抗溶接や超音波溶接等の溶接で電気接続するのではなく、中間圧着端子により一括圧着接続、あるいは撚り合わせて接続している。このように、ドレン線とアース線とを溶接ではなく中間圧着端子を用いて圧着接続あるいは撚り合わせて接続すると、該接続作業に必要とする寸法を溶接接続する場合と比較して短くでき、その結果、シールド線から引き出されるコア電線とドレン線の長さを短くすることができる。具体的には、アース線と中間圧着端子を用いて圧着接続あるいは撚り合わせて接続するドレン線は、シールド線の端末から最短で40mm引き出しておけばよく、従来の溶接と比較して最短寸法を半分以下とすることができる。その結果、シールド線の皮剥ぎ長さを大幅に短くでき、シールド線がシールド性を損なうことがなく、高いシールド性を付与することができる。かつ、抵抗溶接では抵抗溶接機へ移動させて溶接する必要があるが、端子圧着あるいは撚り合わせでは一つのライン上で圧着作業を行うことができ、作業工数の低減および作業の効率化を図ることができる。
【0010】
前記アース線の端末に接続したアース端子には、アース線との圧着接続部に止水部を設け、該アース端子は直接的に車体にアース接続されるものとしていることが好ましい。
即ち、ドレン線の端末に端子を圧着し、該端子をコネクタに挿入して、コネクタ内でアース線端末の端子と接続すると、ドレン線を通してコネクタ内に浸水が発生する恐れがあるが、前記のように、ドレン線を接続したアース線のアース端子に止水部を設けて直接に車体等へボルト締め等で接続固定すると、コネクタへのドレン線を伝って浸水が生じることを確実に防止できる。
よって、ドレン線端末とアース線との接続部を防水処理する必要はなく、該接続部分の肥大化を防止してスリム化を図ることができる。
前記止水部は、アース端子のアース線との圧着接続部にシリコンを滴下して、あるいは止水ゴム栓を装着して形成している。
【0011】
本発明は第2に、シールド線から引き出したドレン線の引出側先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて一括圧着接続、あるいは撚り合わせて接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造を提供している。
前記第1の発明がアース線の一端のアース端子を車体パネルに接続しているのに対して、第2の発明は、アース線の一端の端子をコネクタに収容している点で相違する。
よって、第2の発明によれば、アース線を車体パネルまで引き回す必要がなくアース線を短尺化でき、構成を簡素化することができる。
また、アース線を絶縁被覆が被覆された単芯線により形成しているため、導体と絶縁被覆との間に隙間がなく、アース線とドレン線との接続部で浸入した水がアース線の導体と絶縁被覆との間を伝って前記コネクタ側に浸水するのを防止することができる。
【0012】
前記コネクタ収容端子には、アース線との圧着接続部に止水部を設けている。
前記止水部は、コネクタ収容端子のアース線との圧着接続部にシリコンを滴下して、あるいは止水ゴム栓を装着して形成しており、コネクタに接続したアース線の端末からコネクタへ浸水が生じるのを防止することができる。
【0013】
前記コネクタは、前記シールド線から引き出したコア電線の端末に接続された圧着端子と前記アース線の一端に接続された前記コネクタ収容端子がそれぞれ収容されるものであり、前記アース線に接続された前記コネクタ収容端子は、前記コネクタが接続される電子制御ユニット内に収容された回路体のアース回路に接続される構成としている。
前記構成によれば、コア電線とアース線の端末に接続したコネクタを電子制御ユニットに接続すると、アース線に接続したコネクタ収容端子が電子制御ユニット内に収容された回路体のアース回路と接続されるため、アース接続を容易にすることができる。
具体的には、前記回路体はプリント基板からなり、該プリント基板のアース回路を構成する導体に半田付け接続した端子材とアース線に接続したコネクタ収容端子が接続される。
【0014】
前記ドレン線とアース線を撚り合わせた接続部に、熱収縮チューブを被せて熱収縮して密着させている、あるいは筒状の金属管を被せて圧着させていることが好ましい。
詳細には、ドレン線の撚りを戻すと共に、アース線が素線の撚り線からなる場合にはアース線の撚りも戻し、これらドレン線とアース線の素線を絡めて撚り合わせて接続部を形成する。その後、熱収縮チューブを用いる場合には、接続部に熱収縮チューブを被せて加熱し、該熱収縮チューブを収縮させて接続部に密着させ、筒状の金属管を用いる場合には、接続部に金属管を被せて加圧して圧着している。
前記構成によれば、ドレン線とアース線の接続部に熱収縮チューブあるいは金属管を被せて密着させることにより、撚り合わせたドレン線とアース線の素線が撚り戻されないようにしているため、ドレン線とアース線の電気的な接続を確保することができる。
また、ドレン線とアース線の接続部を熱収縮チューブあるいは金属管により保護することができる。
【0015】
また、1本の前記アース線の端末から露出させた前記導体に、2〜5本のシールド線から引き出したドレン線を接続し、該接続部に絶縁樹脂製のキャップを被せていることが好ましい。
1本のアース線に対して2〜5本のシールド線のドレン線を1つの中間圧着端子を用いて一括して圧着接続あるいは撚り合わせて接続することは可能であり、該構成とすることで複数本のドレン線のアース接続処理を同時に行える。なお、1本のアース線と一括で接続する複数のシールド線のドレン線は、これらシールド線のコア電線が同一のコネクタに収容するものであることが好ましい。
また、前記のように、前記接続部に絶縁樹脂製のキャップをかぶせると、接続部の保護を簡単に図ることができる。
【0016】
前記シールド線端末のシースを皮剥して前記ドレン線およびコア電線を40〜80mm引き出し、
前記コア電線の端末に接続した圧着端子を挿入係止するコネクタのコネクタカバー内、前記シールド線に外装するコルゲートチューブ、あるいは該シールド線と一般電線とに外装しているコルゲートチューブ内に、前記ドレン線とアース線との接続部を収容していることが好ましい。
【0017】
前記のように、本発明では、アース線と接続するドレン線の長さを短くしているため、該接続部をコア電線端末の端子を挿入係止するコネクタに装着するコネクタカバーに設けた収容部内や、コア電線に外装するコルゲートチューブ内に、ドレン線の余剰部分のダブリを発生させない状態で収容することができる。
特に、コネクタカバー内に収容すると、ドレン線とアース線との接続部をシールド線の外周にテープ巻き等で沿わせて保持する必要はない。よって、複数のシールド線からなるワイヤハーネスのスリム化を図ることができる。
また、ドレン線とアース線との接続部をコネクタカバー内やコルゲートチューブ内に収容することにより、該接続部が外部の振動や熱の影響を受け難くなり、保護性能を高めることができる。
【0018】
前記のように車体パネルまたはコネクタに接続されるアース線以外に、複数のドレン線間を中継接続する中継接続用アース線を設け、該中継接続用アース線の一端の導体を前記アース線およびドレン線と接続する一方、他端の導体を他のドレン線と接続してもよい。
前記構成によれば、前記ドレン線の端末を接続した接続部が複数ある場合に、これら接続部同士を前記中継接続用アース線を介して接続してやれば、1つの接続部に前記アース線を接続することにより全てのドレン線をアース接続することができる。これにより、一端にアース端子あるいはコネクタ収容端子が接続されたアース線を各接続部毎に設ける必要がなくなり、アース端子やコネクタ収容端子の個数を低減することができる。
【0019】
また、本発明は、第3に、シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、ドレン線とコア電線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線の端末に圧着端子を圧着接続する工程と、
前記引き出されたドレン線の先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端に露出させた導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて共圧着接続する、あるいは撚り合わせて接続する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法を提供している。
【0020】
さらに、本発明は、第4に、シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、ドレン線とコア電線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線の端末に圧着端子を圧着接続する工程と、
前記引き出されたドレン線の先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて共圧着接続する、あるいは撚り合わせて接続する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法を提供している。
【0021】
前記方法によれば、シールド線のドレン線とアース線とを接続する際に、連続した生産ラインから溶接装置まで搬送する必要がなく、前記全ての工程を1つの生産ライン上で行うことができ、作業効率を高めることができる。
また、前記のように、ドレン線とアース線を、中間圧着端子を用いて圧着接続、あるいは撚り合わせて接続したことによりドレン線の露出長さを短くできるため、ドレン線の先端を揃えるためにテープ巻きが不要となり、作業工数を低減することができる。
【0022】
また、前記工程は任意の順序で行えばよく、前記コア電線への圧着端子の圧着接続工程と、前記ドレン線とアース線との中間圧着端子の圧着接続工程とを連続して行っていることが好ましい。該方法によれば、コア電線への圧着端子の圧着接続と、前記ドレン線とアース線との圧着接続を連続して行っているため、圧着接続作業を効率良く行うことができる。
【0023】
また、前記コネクタにシールド線のコア電線以外に、シールド線以外の一般電線を接続する場合には、前記圧着接続作業と同一工程で一般電線の端末に圧着端子を圧着接続してもよいし、シールド線のコア電線と一般電線をコネクタに接続してからドレン線とアース線を圧着接続してもよい。
従来のようにドレン線とアース線を抵抗溶接する場合には、一般電線をコネクタに接続した後、ドレン線とアース線と抵抗溶接し、シールド線のコア電線をコネクタに接続する必要があったが、本発明では、ドレン線とアース線を圧着接続する場合には、前記のように製造工程の自由度を高めることができる。
【0024】
本発明の前記方法は、さらに、前記ドレン線とアース線との圧着接続部分に絶縁樹脂製のキャップを被せる工程、
あるいは前記ドレン線とアース線を撚り合わせた接続部に、熱収縮チューブを被せて熱収縮して密着させる、または筒状の金属管を被せて圧着させる工程を含む。
前記キャップ、熱収縮チューブあるいは金属管を前記接続部に被せることにより、該接続部を保護することができると共に、ドレン線とアース線の電気接続を確保することができる。
【0025】
また、本発明の前記方法は、前記コア電線端末の圧着端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
前記コネクタにコネクタカバーを装着、あるいは前記コア電線にコルゲートチューブを外装する工程と、
前記ドレン線とアース線の接続部を前記コネクタカバー内に収容、あるいは前記コルゲートチューブ内に収容する工程と、
を含む。
【0026】
前記方法によれば、ドレン線とアース線の接続部をコネクタカバーあるいはコルゲートチューブ内に収容するだけでよいため、前記接続部の配置箇所を別途設ける必要がなく、かつ、前記接続部を前記コア電線等にテープ巻き固定する必要もなくなり、作業性を高めることができる。
【0027】
さらに、本発明は、第5に、シールド線から引き出したコア電線とドレン線の引出側先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端の導体に、端子をそれぞれ接続すると共に、前記コア電線に接続した圧着端子を挿入係止するコネクタに取り付けたコネクタカバーの内壁にジョイントコネクタを設け、該ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造を提供している。
【0028】
また、本発明は、第6に、シールド線から引き出したコア電線とドレン線の引出側先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体に、端子をそれぞれ接続すると共に、前記コア電線に接続した圧着端子を挿入係止する前記コネクタに取り付けたコネクタカバーの内壁にジョイントコネクタを設け、該ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造を提供している。
【0029】
前記シールド線のアース処理構造では、シールド線のドレン線をアース線と前記した抵抗溶接や超音波溶接等の溶接で電気接続するのではなく、ジョイントバスバーを介して接続している。このように、ドレン線とアース線とを溶接ではなく、ドレン線とアース線にそれぞれ圧着あるいは圧接により接続した端子をジョイントバスバーに接続する構成とすると、ドレン線への端子の接続作業に必要とする寸法を溶接接続する場合と比較して短くでき、その結果、シールド線から引き出されるコア電線とドレン線の長さを短くすることができる。これにより、シールド線の皮剥ぎ長さを大幅に短くでき、シールド線がシールド性を損なうことがなく、高いシールド性を付与することができる。かつ、抵抗溶接では抵抗溶接機へ移動させて溶接する必要があるが、端子接続は一つのライン上で作業を行うことができ、作業工数の低減および作業の効率化を図ることができる。
【0030】
前記ジョイントコネクタは前記コネクタカバーの内壁に接着剤を介して固着している、あるいは、
前記ジョイントコネクタは前記コネクタカバーの内壁に設けたコネクタ収容部に収容していることが好ましい。
【0031】
前記構成によれば、ジョイントコネクタをコネクタカバー内に収容すると、ドレン線とアース線との接続部をシールド線の外周にテープ巻き等で沿わせて保持する必要がない。よって、複数のシールド線からなるワイヤハーネスのスリム化を図ることができる。
また、ジョイントコネクタが外部の振動や熱の影響を受け難くなり、保護性能を高めることができる。
さらに、ジョイントコネクタをコネクタカバーの内壁に接着剤を介して固着する構成とすると、コネクタカバーを複雑な構造とすることなく、その内部にジョイントコネクタを設けることができる。
【0032】
さらにまた、本発明は、第7に、シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、コア電線とドレン線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線とドレン線の端末、および、一端にアース端子が接続されたアース線の他端に露出させた導体に端子を接続する工程と、
前記コア電線端末の端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続する工程と、
前記コネクタに装着するコネクタカバーの内壁に前記ジョイントコネクタを固定する工程と、
前記コネクタに前記コネクタカバーを装着する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法を提供している。
【0033】
また、本発明は、第8に、シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、コア電線とドレン線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線とドレン線の端末、および、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端に露出させた導体に端子を接続する工程と、
前記コア電線端末の圧着端子と前記アース線の一端に接続したコネクタ収容端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続する工程と、
前記コネクタに装着するコネクタカバーの内壁に前記ジョイントコネクタを固定する工程と、
前記コネクタに前記コネクタカバーを装着する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法を提供している。
【0034】
前記方法によれば、前記第3、4の方法と同様、シールド線のドレン線とアース線とを接続する際に、連続した生産ラインから溶接装置まで搬送する必要がなく、前記全ての工程を1つの生産ライン上で行うことができ、作業効率を高めることができる。
なお、前記コネクタカバー内壁へのジョイントコネクタの固定は、ドレン線とアース線をジョイントコネクタに接続してから行ってもよいし、接続前に行ってもよい。
【発明の効果】
【0035】
前述したように、本発明によれば、シールド線のドレン線とアース線とを中間圧着端子を用いて圧着接続、撚り合わせて接続、あるいは、ジョイントバスバーを介して接続しているため、ドレン線とアース線との接続部を溶接した場合と比較してドレン線の引き出し長さを最短で40mmと短くでき、その分、シールド線の皮剥長さを短くできるためシールド線のシールド性能を高めることができる。
かつ、シールド線のシースの皮剥ぎ長さが短く、露出するドレン線が短いため、複数本のドレン線をアース線と接続する際に、複数本のドレン線の先端を揃えるためにテープ巻きが不要となり、作業工数を低減することができる。
【0036】
さらに、アース線との接続部またはジョイントコネクタまでのドレン線の長さが短いため、シールド線の皮剥端から突出させたコア電線端末の端子を挿入係止するコネクタまでの距離が短くなり、ドレン線にダブリを発生させることなくコネクタに装着するコネクタカバー内にアース線との接続部またはジョイントコネクタを収容することができる。その結果、該接続部またはジョイントコネクタをシールド線にテープ巻きして保持する必要は無く、シールド線あるいは複数のシールド線を集束したワイヤハーネスの局部的な肥大化を抑制して、スリム化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は、本発明の第1実施形態を示す。
図4に示すように、複数本のシールド線10と一般電線20からなるワイヤハーネスW/Hは、自動車のエンジンルームに配索されるものであり、その端末には燃料噴射制御装置31に嵌合接続される1つのコネクタ30を接続している。
【0038】
前記シールド線10は、図2に示すように、1本または複数本の信号線となる絶縁被覆電線からなるコア電線12と1本のドレン線11を内包し、このドレン線11とコア電線12を金属箔あるいは金属編組のチューブからなるシールド層13および絶縁樹脂材料からなるシース14で順次被覆し、シールド層13にドレン線11を接触させて導通している。
前記シールド線10は、先端から40mm程度のシース14およびシールド層13を切断剥離してドレン線11とコア電線12を引き出している。
【0039】
図1に示すように、前記ワイヤハーネスW/Hは7本のシールド線10を備え、これらシールド線は、ノックセンサに接続されるシールド線10Aと、エンジン回転数センサに接続されるシールド線10Bと、左右の空燃比センサに接続されるシールド線10C、10Dと、左右の酸素センサに接続されるシールド線10E、10Fと、スロットルセンサに接続されるシールド線10Gからなる。シールド線10A、10Bのシールド層13は金属編組のチューブからなる一方、残りのシールド線10C〜10Gのシールド層13は金属箔からなる。なお、図1では、ワイヤハーネスW/Hの一般電線20の図示を省略している。
【0040】
前記シールド線10A〜10Gのうち、シールド線10A〜10Fのドレン線11A〜11Fには、車体にボルト締めされるアース端子51が一端に接続されたアース線50の他端を中間圧着端子40により圧着接続している。
詳細には、中間圧着端子40は、図3に示すように、導電性金属板からなる基板部40aの両側に一対の圧着バレル40bを設けた断面U形状としており、基板部40aに平行配線したドレン線11の端末とアース線50の露出させた芯線50a端末を載置し、圧着バレル40bを内方へ加締めてドレン線11とアース線50に基板部40aとバレル40bと密着させて一括して圧着接続している。該中間圧着端子40によるドレン線11とアース線50との圧着接続部分には絶縁樹脂製で有底筒状のキャップ41を被せている。
本実施形態では、図1に示すように、3本のドレン線11A、11C、11Dとアース線50A、3本のドレン線11B、11E、11Fとアース線50Bを中間圧着端子40A、40Bによりそれぞれ圧着接続している。なお、アース線50Aに接続されたアース端子51Aには、コネクタ30に接続されたアース線50Cも接続されており、燃料噴射制御装置31の回路の接地用としている一方、アース線50Bに接続されたアース端子51Bには、室内側の回路を接地するためのアース線50Dも接続されている。
【0041】
一方、残りのシールド線10Gのドレン線11Gは防水収縮チューブ42に通してコネクタ30に接続している。
また、アース線50とアース端子51との接続部位、シールド線10のコア電線12、ドレン線11G、一般電線20とコネクタ30との接続部位には止水ゴム栓52を装着して止水部を設け、コネクタ30の止水を図っている。
なお、止水ゴム栓に替えて、止水箇所にシリコンを滴下して止水部を形成してもよい。
【0042】
前記コネクタ30のワイヤハーネス接続側の面には、図4に示すように、コネクタカバー32を装着しており、該コネクタカバー32によりコネクタ30とワイヤハーネスW/Hとの接続部位を覆っている。
コネクタカバー32は、図4(B)に示すように、コネクタ装着側の一端から他端にかけて縮径しており、大径端の両側縁部より係止用の鍔部32aを側方へ突出させて設け、該鍔部32aをコネクタ30に設けた凹部30aに係止させて、コネクタカバー32をコネクタ30に装着している。コネクタカバー32の縮径端は開口32bとし、該開口32bより外部へ真っ直ぐに引き出したワイヤハーネスW/Hを開口32bの縁部に設けたテープ巻き舌片32cにテープT巻き固定している。このとき、シール線10のドレン線11とアース線50との圧着接続部分はコネクタカバー32内に収容している。また、コネクタカバー32には、前記一端から他端にかけてスリット32dを設けている。
【0043】
前記シールド線10の他端側でもシース14とシールド層13を切断剥離して、コア電線12を引き出し、各シールド線10の引き出したコア電線12の端末に防水コネクタ34を接続している。防水コネクタ34は、その防水ゴム栓34aによりコア電線12との間で防水機能を有する。これら防水コネクタ34はそれぞれ各種センサ等に接続される。
なお、アース線11はコネクタ34に接続していない。これにより、シールド線10の一端から他端側へ浸水した水は他端側へ排水され、ワイヤハーネスW/H全体において、防水コネクタ34およびコア電線12の外側から各種センサ(または電気回路)への水の浸入を防いでいる。
【0044】
次に、前記シールド線のアース処理方法について説明する。
まず、第1工程で、図6(A)に示すように、シールド線10の先端から40mm程度のシース14およびシールド層13を切断剥離してドレン線11とコア電線12を40mm程度引き出す。
第2工程で、図6(B)に示すように、コア電線12と一般電線20の端末に圧着端子を圧着接続する。なお、図6(B)ではシールド線10のみを図示している。
第3工程で、図6(C)に示すように、コア電線12と一般電線20の端末に接続した前記圧着端子をコネクタ30のキャビテイに挿入係止する。
第4工程で、図6(D)に示すように、ドレン線11とアース線50を中間圧着端子40により圧着接続する。
第5工程で、図6(E)に示すように、ドレン線11とアース線50との接続部分にキャップ41を被せる。
最後の第6工程で、図6(F)に示すように、コネクタ30にコネクタカバー32を装着し、該コネクタカバー32でコネクタ30とワイヤハーネスW/Hとの接続部位を覆うと共に、ドレン線11とアース線50との接続部分をコネクタカバー32内に収容する。
【0045】
前記方法を用いて構成されたシールド線のアース処理構造によれば、シールド線10のドレン線11とアース線50とを中間圧着端子40を用いて圧着接続しているため、ドレン線11とアース線50との接続部分を溶接した場合と比較してドレン線11の引き出し長さを最短で40mmと短くでき、その分、シールド線10の皮剥長さを短くできるためシールド線10のシールド性能を高めることができる。
かつ、露出するドレン線11が短いため、アース線50を接続するドレン線11の先端を揃えるためにテープ巻きが不要となり、作業工数を低減することができる。
【0046】
また、ドレン線11とアース線50の接続部分をワイヤハーネスW/Hの端末に接続されたコネクタ30に装着されるコネクタカバー32内に収容することにより、該接続部分が外部の振動や熱の影響を受け難く、保護性能を高めることができる。また、これにより、前記接続部分をワイヤハーネスW/Hにテープ巻き固定する必要もなくなり、ワイヤハーネスの局部的な肥大化を抑制してスリム化を図ることができると共に作業性を高めることができる。
【0047】
さらに、シールド線10のドレン線11とアース線50とを接続する際に、シールド線10やアース線50を生産ラインから溶接装置まで搬送する必要がなく、前記全ての工程を1つの生産ライン上で行うことができ、作業効率を高めることができる。
また、前記の第1〜第6の工程順序で作業を行うと、ドレン線11とアース線50とを圧着接続する際には、シールド線10のコア電線12および一般電線20が全てコネクタ30に接続されているため、これら電線がバラけることがなく、圧着接続作業を容易にすることができる。
前記第1〜第6の工程は、前記順序に限定されず、第1工程後に、第2→第4→第3→第5、第2→第4→第3→第5、第2→第4→第5→第3、第4→第2→第3→第5、第4→第2→第5→第3、第4→第5→第2→第3のいずれの順序で行ってもよい。これらの工程順序の中では、特に、各電線に端子を圧着する第2工程と第4工程を連続して行うことが好ましい。
このように、本実施形態のシールド線のアース接続方法によれば、ワイヤハーネスW/Hの製造工程の自由度を高めることができる。
【0048】
図7は、第1実施形態の第1変形例を示す。
本変形例では、シールド線10Gのドレン線11Gをコネクタ30に接続せず、ドレン線11Gも他のドレン線11A、11C、11Dと共に中間圧着端子40Aによりアース線50Aに圧着接続している。
このように、本変形例では、全てのシールド線10のドレン線11をコネクタに接続せず、アース線50を介して車体パネルにアース接続している。
【0049】
図8は、第1実施形態の第2変形例を示す。
本変形例では、シールド線10Fの中間位置のシールド層13とシース14にスリット15を設け、該スリット15からドレン線11Fを引き出し、該ドレン線11Fを他のシールド線10B、10Eのドレン線11B、11Eおよびアース線50Bと共に、中間圧着端子40Bを用いて圧着接続している。
なお、他のシールド線10A〜10E、10Gでも中間位置からドレン線11を引き出してもよい。
【0050】
図9は、第1実施形態の第3変形例を示す。
本実施形態では、コネクタに装着するコネクタカバーの形状を第1実施形態と相違させており、コネクタカバー32’のワイヤハーネス引出口となる開口32a’をコネクタ30への装着面32b’に対して直交する周壁に設けており、コネクタに接続したワイヤハーネスW/Hを開口32a’より外部へ横出しする横出しコネクタとしている。
なお、コネクタカバー32’も装着面32a’側の所要箇所に係止爪32c’を設けており、該係止爪32c’をコネクタ30に係止固定して、コネクタカバー32’をコネクタ30に装着している。
【0051】
図10は、第1実施形態の第4変形例を示す。
本実施形態では、コネクタ30にコネクタカバーを装着しておらず、シールド線10と一般電線20に山部と谷部を軸線方向に交互に設けた円筒状のコルゲートチューブ33を外装しており、該コルゲートチューブ33内にシールド線10のドレン線11とアース線50との圧着接続部分を収容している。
【0052】
前記構成によれば、ドレン線11とアース線50との圧着接続部分をコルゲートチューブ33内に収容しているため、ワイヤハーネスW/Hにテープ巻きすることなくは前記圧着接続部分をワイヤハーネスW/Hに沿わせて配置することができる。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図11及び図12は、本発明の第2実施形態を示す。
本実施形態では、ドレン線11とアース線50との接続部を第1実施形態と相違させており、ドレン線11の素線とアース線50の素線を撚り合わせて接続している。
詳細には、図12に示すように、ドレン線11とアース線50のそれぞれ撚り合わせた素線を撚り戻し、これら素線を纏めて撚り合わせて接続部43を形成している。該接続部43に円筒状の熱収縮チューブ44を被せ、該熱収縮チューブ44を加熱することにより収縮させて接続部43の外周面に密着させている。
熱収縮チューブ44は、内壁に熱可塑性の接着剤を有する防水用の収縮チューブであり、熱収縮することで接着剤が溶融して、撚り合わせたドレン線およびアース線の外側に密着するものである。
【0054】
前記構成によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができると共に、ドレン線11とアース線50との接続に中間圧着端子を不要とすることができる。また、ドレン線11とアース線50の素線を撚り合わせて形成した接続部43に熱収縮チューブ44を被せて密着させているため、ドレン線11とアース線50の素線が撚り戻されることがなく、電気的な接続を確保することができる。
なお、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図13は、第2実施形態の変形例を示す。
本変形例では、ドレン線11とアース線50の素線を撚り合わせて形成した接続部43に、図13(A)に示すように、円筒状の金属管45を被せ、該金属管45を両側から加締めて、図13(B)に示すように、該金属管45を接続部43に圧着している。
【0056】
前記構成によれば、ドレン線11とアース線50の素線を撚り合わせて形成した接続部43に金属管45を被せて圧着しているため、ドレン線11とアース線50の素線が撚り戻されることがなく、かつ、金属管45を介しても各素線が導通するため、より電気的な接続を確保することができる。
なお、ドレン線11とアース線50の接続部43に圧着した金属管45に第1実施形態と同様のキャップを被せてもよい。
【0057】
図14及び図15は、本発明の第3実施形態を示す。
本実施形態では、ドレン線11と接続するアース線の構成を前記実施形態と相違させている。
詳細には、図15に示すように、アース線53は、導体に絶縁被覆54が被覆された単芯線からなり、絶縁被覆54から露出させた一端の導体55aにコネクタ30に収容されるコネクタ収容端子56が接続される一方、他端の導体55bが中間圧着端子40Aによりドレン線11A、11C、11Dと接続されている。アース線53の導体55の断面積は例えば、0.5mm、0.75mmまたは1.25mmとし、アース線53のコネクタ収容端子56が接続されるコネクタ30はコア電線12が接続されるコネクタと同一のコネクタとしている。
【0058】
図15に示すように、アース線53とコネクタ収容端子56との圧着接続部には、止水ゴム栓57からなる止水部を設け、該止水ゴム栓57の外周面をコネクタ30のキャビテイ30bの内周面に密着させてコネクタ30内への浸水を防止している。
コネクタ30が接続される燃料噴射制御装置31からなる電子制御ユニット内には、プリント基板35からなる回路体を収容している。コネクタ30を燃料噴射制御装置31のコネクタ収容部31aに嵌合接続すると、コネクタ30内に収容したアース線53のコネクタ収容端子56がプリント基板35のアース回路を構成する導体36に接続した端子材37と接続される。
【0059】
また、ドレン線11A,11C、11Dとアース線53を接続する接続部とドレン線11B、11E、11Fを接続する接続部とは中継接続用アース線58を介して接続している。該中継接続用アース線58は、導体に絶縁被覆59が被覆された単芯線からなり、絶縁被覆59より露出させた一端の導体70aをドレン線11A、11C、11D及びアース線53と共に中間圧着端子40Aで圧着接続する一方、他端の導体70bをドレン線11B、11E、11Fと共に中間圧着端子40Bで圧着接続している。
【0060】
前記構成によれば、コア電線12とアース線53の端末に接続したコネクタ30を電子制御ユニットに接続すると、アース線53に接続したコネクタ収容端子56が電子制御ユニット内に収容されたプリント基板35のアース回路と接続されるため、アース接続を容易にすることができる。
また、アース線53を車体パネルまで引き回す必要がなくアース線53を短尺化でき、構成を簡素化することができる。
さらに、アース線53を絶縁被覆54が被覆された単芯線により形成しているため、導体55と絶縁被覆54との間に隙間がなく、アース線53とドレン線11との接続部で浸入した水がアース線53の導体55と絶縁被覆54との間を伝って前記コネクタ30側に浸水するのを防止することができる。
さらにまた、複数の接続部同士を中継接続用アース線58を介して接続しているため、1つの接続部にアース線53を接続することにより全てのドレン線11をアース接続することができる。これにより、一端にコネクタ収容端子56が接続されたアース線53を各接続部毎に設ける必要がなくなり、コネクタ収容端子56の個数を低減することができる。
【0061】
なお、ドレン線11とアース線50との接続部は第2実施形態のように撚り合わせて接続してもよい。
また、接続部同士を接続する中継接続用アース線58は、コネクタ収容端子が接続されたアース線に限らず、第1実施形態のように、車体パネルに接続されるアース端子が接続されたアース線の場合にも用いることができる。
さらに、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図16及び図17は、本発明の第4実施形態を示す。
本実施形態では、シールド線10のドレン線11とアース線50をジョイントコネクタ60内のジョイントバスバー61を介して接続している。
詳細には、ドレン線11のシールド線10からの引出側先端と、アース線50のアース端子が接続された一端と反対側の他端の導体に、圧着端子62、63をそれぞれ圧着接続している。該圧着端子62、63は一端にジョイントバスバー61と接続される雌端子部62a、63aを備えると共に、他端に圧着バレル62b、63bを備え、該圧着バレル62b、63bをドレン線11とアース線50にそれぞれ加締めて圧着接続している。
【0063】
前記ドレン線11とアース線50とを接続するジョイントバスバー61は、帯状のジョイント部61aと、該ジョイント部61aから突出した複数の雄タブ状の端子部61bを備えている。該ジョイントバスバー61は、樹脂成形品からなるジョイントコネクタ60内に収容しており、該ジョイントコネクタ60の各キャビテイ60aにジョイントバスバー61の端子部61bを配置している。これら各キャビテイ60aに前記ドレン線11とアース線50の圧着端子62、63を挿入係止して、各圧着端子62、63の雌端子部62a、63aをジョイントバスバー61の端子部61bと接続し、ジョイントバスバー61を介してドレン線11とアース線50をジョイント接続している。
【0064】
前記ジョイントコネクタ60は、シールド線10のコア電線12が接続されるコネクタ30に装着した第2実施形態と同様のコネクタカバー32’の内壁に接着剤64を介して固着している。ジョイントコネクタ60に接続したドレン線11とアース線50はコネクタカバー32’の開口32a’を通して外部へ引き出している。
【0065】
次に、前記シールド線のアース処理方法について説明する。
まず、第1工程で、シールド線10の先端から40mm程度のシースおよびシールド層を切断剥離してドレン線11とコア電線12を40mm程度引き出す。
第2工程で、ドレン線11、コア電線12、アース線50と一般電線20の端末に圧着端子62、63を圧着接続する。
第3工程で、コア電線12と一般電線の端末に接続した前記圧着端子をコネクタ30のキャビテイに挿入係止する。
第4工程で、ドレン線11とアース線50の圧着端子62、63をジョイントコネクタ60のキャビテイ60aに挿入係止して、ジョイントバスバー61を介してドレン線11とアース線50とをジョイント接続する。
第5工程で、前記コネクタ30に装着するコネクタカバー32’の内壁にジョイントコネクタ60を接着剤64により固定する。
最後の第6工程で、コネクタ30にコネクタカバー32’を装着し、該コネクタカバー32’でコネクタ30とワイヤハーネスW/Hとの接続部位を覆うと共に、ジョイントコネクタ60をコネクタカバー32内に収容する。
なお、第4工程と第5工程は逆の順序で行ってもよい。
【0066】
前記方法を用いて構成されたシールド線のアース処理構造によれば、第1実施形態と同様、シールド線10のドレン線11とアース線50との接続に溶接を不要としているため、ドレン線11とアース線50との接続部分を溶接した場合と比較してドレン線11の引き出し長さを最短で40mmと短くでき、その分、シールド線10の皮剥長さを短くできるためシールド線10のシールド性能を高めることができる。
【0067】
また、ドレン線11とアース線50を接続するジョイントコネクタ60をワイヤハーネスW/Hの端末に接続されたコネクタ30に装着されるコネクタカバー32’の内壁に固定して収容することにより、該ジョイントコネクタ60が外部の振動や熱の影響を受け難く、保護性能を高めることができる。また、これにより、前記ジョイントコネクタ60をワイヤハーネスW/Hにテープ巻き固定する必要もなくなり、ワイヤハーネスW/Hの局部的な肥大化を抑制してスリム化を図ることができると共に作業性を高めることができる。
【0068】
さらに、シールド線10のドレン線11とアース線50とを接続する際に、シールド線10やアース線50を生産ラインから溶接装置まで搬送する必要がなく、前記全ての工程を1つの生産ライン上で行うことができ、作業効率を高めることができる。
なお、ドレン線11とアース線50に接続する端子は圧着端子に限らず、圧接スロットを備えた圧接端子としてもよい。
また、アース線は第3実施形態のように、一端にコネクタ収容端子が接続された単芯線からなるアース線としてもよい。
さらに、他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図18は、第4実施形態の変形例を示す。
本変形例では、ジョイントコネクタ60をコネクタカバー32’の内壁に接着剤を介して固着するのではなく、コネクタカバー32’の内壁にジョイントコネクタ60を収容するためのコネクタ収容部32e’を一体的に設けている。該コネクタ収容部32e’の内面に係止溝32f’を設ける一方、ジョイントコネクタ60の外面に係止爪60bを設けており、ジョイントコネクタ60の係止爪60bをコネクタ収容部32e’の係止溝32f’に係止して、ジョイントコネクタ60をコネクタカバー32’のコネクタ収容部32e’内に固定している。
なお、前記第4実施形態および第4実施形態の変形例において、ジョイントコネクタ60はコネクタカバー32’の内壁であればどこに設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態のシールド線のアース処理構造を示す概略図である。
【図2】シールド線を示す斜視図である。
【図3】(A)は圧着端子を示す斜視図、(B)(C)はドレン線とアース線の圧着接続方法を示す図面である。
【図4】ワイヤハーネスの端末にコネクタを接続した状態を示し、(A)は斜視図、(B)はA−A線断面図である。
【図5】コネクタにコネクタカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】(A)〜(F)はシールド線のアース接続方法を示す図面である。
【図7】第1実施形態の第1変形例を示す図面である。
【図8】第1実施形態の第2変形例を示す図面である。
【図9】(A)〜(C)は第1実施形態の第3変形例を示す図面である。
【図10】第1実施形態の第4変形例を示す図面である。
【図11】本発明の第2実施形態を示す図面である。
【図12】ドレン線とアース線の撚り線を撚り戻した状態を示す図面である。
【図13】(A)(B)は第2実施形態の変形例を示す図面である。
【図14】本発明の第3実施形態を示す図面である。
【図15】ドレン線とアース線を接続した状態を示す要部拡大図である。
【図16】第4実施形態のシールド線のアース処理構造を示す断面図である。
【図17】ジョイントコネクタの断面図である。
【図18】第4実施形態の変形例を示す図面である。
【図19】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0071】
10 シールド線
11 ドレン線
12 コア電線
13 シールド層
14 シース
20 一般電線
30 コネクタ
32 コネクタカバー
32e’ コネクタ収容部
33 コルゲートチューブ
40 中間圧着端子
41 キャップ
44 熱収縮チューブ
45 金属管
50、53 アース線
51 アース端子
52、57 止水ゴム栓(止水部)
56 コネクタ収容端子
58 中継接続用アース線
60 ジョイントコネクタ
61 ジョイントバスバー
62、63 圧着端子
64 接着剤
W/H ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド線から引き出したドレン線の引出側先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて一括圧着接続、あるいは撚り合わせて接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造。
【請求項2】
前記アース線の端末に接続したアース端子には、アース線との圧着接続部に止水部を設け、該アース端子は直接的に車体にアース接続されるものとしている請求項1に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項3】
シールド線から引き出したドレン線の引出側先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて一括圧着接続、あるいは撚り合わせて接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造。
【請求項4】
前記コネクタ収容端子には、アース線との圧着接続部に止水部を設け、かつ、
前記コネクタは、前記シールド線から引き出したコア電線の端末に接続された圧着端子と前記アース線の一端に接続された前記コネクタ収容端子がそれぞれ収容されるものであり、前記アース線に接続された前記コネクタ収容端子は、前記コネクタが接続される電子制御ユニット内に収容された回路体のアース回路に接続される構成としている請求項3に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項5】
前記ドレン線とアース線を撚り合わせた接続部に、熱収縮チューブを被せて熱収縮して密着させている、あるいは筒状の金属管を被せて圧着させている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項6】
1本の前記アース線の端末から露出させた前記導体に、2〜5本のシールド線から引き出したドレン線を接続し、該接続部に絶縁樹脂製のキャップを被せている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項7】
前記シールド線端末のシースを皮剥して前記ドレン線およびコア電線を40〜80mm引き出し、
前記コア電線の端末に接続した圧着端子を挿入係止するコネクタのコネクタカバー内、前記シールド線に外装するコルゲートチューブ、あるいは該シールド線と一般電線とに外装しているコルゲートチューブ内に、前記ドレン線とアース線との接続部を収容している請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項8】
複数のドレン線間を中継接続する中継接続用アース線を設け、該中継接続用アース線の一端の導体を前記アース線およびドレン線と接続する一方、他端の導体を他のドレン線と接続している請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項9】
シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、ドレン線とコア電線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線の端末に圧着端子を圧着接続する工程と、
前記引き出されたドレン線の先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端に露出させた導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて共圧着接続する、あるいは撚り合わせて接続する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法。
【請求項10】
シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、ドレン線とコア電線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線の端末に圧着端子を圧着接続する工程と、
前記引き出されたドレン線の先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体とを、一対のバレルを対向して設けた断面U形状の中間圧着端子を用いて共圧着接続する、あるいは撚り合わせて接続する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法。
【請求項11】
前記コア電線への圧着端子の圧着接続工程と、前記ドレン線とアース線との中間圧着端子の圧着接続工程とを連続して行っている請求項9または請求項10に記載のシールド線のアース処理方法。
【請求項12】
前記ドレン線とアース線との圧着接続部分に絶縁樹脂製のキャップを被せる工程、
あるいは前記ドレン線とアース線を撚り合わせた接続部に、熱収縮チューブを被せて熱収縮して密着させる、または筒状の金属管を被せて圧着させる工程、
を含む請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理方法。
【請求項13】
前記コア電線端末の圧着端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
前記コネクタにコネクタカバーを装着、あるいは前記コア電線にコルゲートチューブを外装する工程と、
前記ドレン線とアース線の接続部を前記コネクタカバー内に収容、あるいは前記コルゲートチューブ内に収容する工程と、
を含む請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載のシールド線のアース処理方法。
【請求項14】
シールド線から引き出したコア電線とドレン線の引出側先端と、一端にアース端子が接続されたアース線の他端の導体に、端子をそれぞれ接続すると共に、前記コア電線に接続した圧着端子を挿入係止するコネクタに取り付けたコネクタカバーの内壁にジョイントコネクタを設け、該ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造。
【請求項15】
シールド線から引き出したコア電線とドレン線の引出側先端と、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端の導体に、端子をそれぞれ接続すると共に、前記コア電線に接続した圧着端子を挿入係止する前記コネクタに取り付けたコネクタカバーの内壁にジョイントコネクタを設け、該ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続していることを特徴とするシールド線のアース処理構造。
【請求項16】
前記ジョイントコネクタは前記コネクタカバーの内壁に接着剤を介して固着している、あるいは、
前記ジョイントコネクタは前記コネクタカバーの内壁に設けたコネクタ収容部に収容している請求項14または請求項15に記載のシールド線のアース処理構造。
【請求項17】
シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、コア電線とドレン線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線とドレン線の端末、および、一端にアース端子が接続されたアース線の他端に露出させた導体に端子を接続する工程と、
前記コア電線端末の端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続する工程と、
前記コネクタに装着するコネクタカバーの内壁に前記ジョイントコネクタを固定する工程と、
前記コネクタに前記コネクタカバーを装着する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法。
【請求項18】
シールド線の端末からシースを所要寸法皮剥ぎして、コア電線とドレン線を外部に引き出す工程と、
前記引き出されたコア電線とドレン線の端末、および、絶縁被覆が被覆された単芯線からなり、コネクタに収容されるコネクタ収容端子が一端の導体に接続されたアース線の他端に露出させた導体に端子を接続する工程と、
前記コア電線端末の圧着端子と前記アース線の一端に接続したコネクタ収容端子をコネクタのキャビテイに挿入係止する工程と、
ジョイントコネクタ内のジョイントバスバーに前記ドレン線の端子とアース線の端子をそれぞれ接続して、前記ドレン線とアース線とを接続する工程と、
前記コネクタに装着するコネクタカバーの内壁に前記ジョイントコネクタを固定する工程と、
前記コネクタに前記コネクタカバーを装着する工程と、
を含むシールド線のアース処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−108699(P2008−108699A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179348(P2007−179348)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】