説明

シール

本発明は、互いに対してスライドするように相互に移動可能な2つの部材(1、3)間をシールするためのシールを提供する。この部材のうちの第1部材は、中にチャネル(2)が形成された本体(3)を備える。チャネル(2)は縦軸を有し、他方の部材(1)は2つの部材(1、3)が縦軸に平行な方向に互いに対してスライドするようにチャネル内に受入可能である。第1部材(1)は、その表面上に形成された少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブ(4、5、6、7、8、30、34)を有する。リブ(4、5、6、7、8、30、34)は第2部材(3)に対面し、使用中に変形して第2部材(3)のチャネル(2)の壁に当接し、2つの部材(1、3)が静止しているか又は互いに対して移動するときに2つの部材間にシールを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール、特に流体の滅菌移送のためのシステムにおいて有用なシールに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの科学産業においては検証及び責任が重要であり、特に製薬及びバイオテクノロジー産業においてはそうである。これらの産業にとっての主な課題は、プラント内の製造ラインの全体を通して滅菌が正確に且つ再現可能に達成され維持されることを証明する必要があることである。これは、米国FDAのような規制機関の厳しい要件を満たす形でなされなければならない。物質が1つの滅菌位置から別の滅菌位置に非直接的な手段によって移送されるときに、容認可能基準に適合するのは困難なことがある。こうした移送の間は、信頼できる耐久性のあるシール手段が用いられなければならない。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、互いに対してスライドするように相互に移動可能な2つの部材間をシールするためのシールを提供するものであり、この部材のうちの第1部材は、第2部材に対面するその表面上に、第2部材と接触してそれらが静止しているか又は互いに対して移動しているときに2つの部材間をシールするための、少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブを有する。
2つの部材のうち第1部材はプラスチック材料からなり、リブがそれと一体に形成されるのが理想的である。
リブは、2つの部材が互いに対してスライドする際に該リブが接触する第2部材の表面に沿って引きずられ又は拭うように、十分に変形可能であり且つ可撓性である。部材間の相対移動経路に沿って互いに軸方向に離間された複数のシール・リブが設けられてもよい。
【0004】
もっとも好ましい実施形態においては、部材の一方は、縦軸を有する第1チャネルが形成された本体を備え、部材の他方は、2つの部材が縦軸に平行な方向に互いに対してスライドするようにチャネル内に受入可能であり、部材のうち第1部材は、第2部材に対面するその表面上に、少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブを有する。
リブ自体は、異なる形状及び構成を有してもよく、そのいずれも、それらが部材間に有効なシールを与えるようなものであれば、適したものとなるであろう。例えば、リブは、その自由シール縁の形状が、U、V、W、「先端が切り取られたV」、「先端が切り取られたW」又はその他の適切な断面形状で形成されてもよい。
【0005】
特に役立つのは、こうしたシール装置が、ピストンがハウジング内でスライドして弁の開放端を開放し又は閉鎖するような弁に用いられるときである。こうした場合には、ピストンの半径方向外方に向いた面の周りにリブを形成して、リブがそこから半径方向外方に延びてハウジングの内面に当たるようにすることに利点がある。
さらに、特に役立つのは、2つの部材の互いに対する移動経路に沿ったリブ間の距離が、2つの部材の互いに対する経路に沿った所定の移動距離よりも大きくなるように、第1部材の表面上に本発明に係る少なくとも2つのリブを設けることである。こうした装置は、リブの一方が第2部材の表面上の所定領域内に常に残るようにする。こうした領域は、例えば、ピストンが弁を開放し又は閉鎖するようにハウジングに沿って移動する、流体を滅菌移送するための弁内部の滅菌領域であってもよい。上記のリブ装置は、リブの1つが滅菌領域内に常に残って弁内部の滅菌性を保つようにする。上記のリブ装置は、例えば、WO03/090842号及びWO05/012775号に記載された弁のような、流体を滅菌移送するための種々の弁に用いられてもよい。
本発明のシールは、O−リング・シールのような公知のシール手段の代わりとして又はそれに加えて用いてもよい。
【0006】
本体の中のチャネルの横方向寸法の許容範囲は、受入可能部材及び少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブに関して、リブが2つの部材間をシールできるようにするために、やや厳密なものとされる。したがって、これらの許容範囲は、適合させるのが困難となったり、費用がかさんだりする。このことから、チャネルの壁と受入可能部材との間にアダプタを設けることに利点があり、アダプタは、チャネルか又は他方の部材に対面する受入可能部材の1つの表面の周りに設けられたエンドレス・スカートを備え、スカートは、部材に接続されて部材と共に移動可能であり、それによりスカートの及びスカートが取り付けられた部材の相互に対面する面がそれらの間にギャップを定めるように離間され、少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブは、スカート及び前述の他方の部材の相互に対向する面の1つの周りに形成されており、スカートは、2つの部材が係合したときにスカートと前述の他方の部材との間の寸法上の不揃いに適応するべくスカートを調節できるようにするために十分に変形可能且つ可撓性であり、それにより、2つの部材が静止しているか又は互いに対して移動しているときにスカートと前述の他方の部材との相互に対向する面の間を少なくとも1つのリブがシールできるようになる。
スカートは自由端部と基部を備え、基部の周りでスカートが部材に接続されることが好ましい。
【0007】
最も好ましい配置においては、スカートは受入可能部材の周りに形成され、リブはスカートの外面の周りに形成され、それにより、使用中にスカートがスカートの外面とチャネルの壁との間の寸法上の不揃いを調節するようにチャネル内で変形して、リブがそれらの間をシールできるようにされる。
スカートは、変形が撤回されるとその元の状態に回復するように十分に弾性があるのが理想的である。
特に役立つのは、前述の弁においてピストンの外方に向いた面の周りにスカートを設け、スカートの外面の周りにリブを形成することである。
【0008】
最も好ましい配置においては、スカートは、結合手段を介して部材に接続可能な取付部として設けられる。結合手段は、スカートと他方の部材との間のスナップ嵌め装置を含むことが好ましい。スナップ嵌め装置は、スカート及び他方の部材の相互に対向する面の各々の周りに形成された一連の交互の弾性的に変形可能なリブ及び溝を含み、スカート及び他方の部材のリブは、部材及びスカートの対応する溝と係合するように組立体上で変形可能であるのが理想的である。スカートが受入可能部材と結合可能な取付部として設けられる装置においては、スカートに開放端が設けられる。
1つの配置においては、スカートは、好ましくは部材の材料にエンドレス・スロットを形成して、スロットがスカート及び部材の相互に対向するエンドレス面によって定められるようにすることによって、部材と一体に形成されてもよい。
スカートの製造において好ましい材料はプラスチックであるが、他の適切な弾性的に変形可能な材料が用いられてもよい。
【0009】
スカートは、スカートとスカートが取り付けられる部材の相互に対向する面との間のギャップの中に供給される流体の所定の圧力範囲の下で、十分に弾性的に変形可能となって、他方の部材の方に変形してスカート及び他方の部材との間の少なくとも1つのリブのシール作用を強化するように構成されるのが理想的である。このスカートの特徴は、流体の滅菌移送のための弁における用途に特に有用である。典型的には、こうした弁においては、弁を通って移送される流体は、より高いライン圧の下で供給される。したがって、弁のピストン上にスカートを配置し、ギャップの開口部が流体の流れの方向に対面して、弁に入る流体の一部がギャップの中にも流れるようにすることに利点がある。
1つの配置においては、スカート又は他の部材の周りに複数のリブを形成する代わりに、そうでなければ一対の又はそれ以上の離間されたリブによって占有されることになる、チャネルの縦軸に平行なスカート又は他の部材の長さの上に、肥厚部を形成することができる。
【0010】
上述のアダプタは、上述のシール・リブでの使用のみに限定されないことが分かるであろう。したがって、別の態様においては、本発明は、2つの部材を接続するためのアダプタを提供し、部材の一方は、縦軸を有するチャネルが形成された本体を備え、部材の他方は、チャネル内に受入可能であり、それにより、2つの部材は縦軸に平行な方向に互いに対してスライドすることができ、アダプタは、チャネル又は他方の部材に対面する受入可能部材の1つの表面の周りに設けられたエンドレス・スカートを備え、スカートは部材に接続され、部材と共に移動可能であり、スカート及びスカートが取り付けられる部材の相互に対向する面は、それらの間にギャップを定めるように離間され、スカートは、2つの部材が係合したときにスカートと前述の他方の部材との間の寸法上の不揃いに適応するべくスカートを調節できるようにするために十分に変形可能であり且つ可撓性であり、それにより、2つの部材の製造において、あまり厳しくない許容範囲が適用される。アダプタには、ここで説明した1つ又はそれ以上のシール・リブが設けられることに利点がある。
ここで、本発明が、単なる例として、本発明に係るシールの幾つかの実施形態を示す付属の図面を参照しながら説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1から図10までを参照すると、本体3の円形チャネル2内にスライド可能に受け入れられるシリンダ1が示されている。本発明に係るシール部材が、シリンダ1の外面の周りに形成されるそれぞれ図2、4、6、8及び10の変形可能リブ4、5、6、7、8の形態で設けられる。リブ4はU字形状の断面を有し、リブ5、7及び8はV字形状の断面を有し、リブ6はW字形状の断面を有する。シリンダ1の直径はチャネル2の直径よりも小さく、一方、リブ4、5、6、7、8の表面の最外領域9は、シリンダ1の外面1aを超えて突出し、最外領域9の直径がチャネル2の直径よりも大きくなる。シリンダ1はプラスチック材料からなり、リブ4、5、6、7、8はシリンダと一体に形成される。シリンダ上にリブを形成する他の手段も可能であり、そのうちの幾つかを図15から図26までを参照しながら以下に説明する。
使用の際に、シリンダ1がチャネル2の中に入れ込まれたときに、リブ4、5、6、7、8の表面の最外領域9が、チャネル2の壁に当接し、シリンダ1がチャネル2に入ることができるように、変形する。当接は、壁10及びリブ4、5、6、7、8の間にシールが形成されるのに十分なだけ緊密である。このシールは、変形可能リブ4、5、6、7、8がチャネル2の壁に沿って引きずられ又は「拭う」際の、チャネルに沿ったシリンダ1のその後の移動の間、そのままの状態である。
【0012】
図11は、1つのリブ5を有するシリンダ1を斜視図で示す。
図12及び図13は、流体を滅菌移送するための弁において用いられるピストン12の端部を示す。こうしたピストンは、ハウジングの開放端を開放し又は閉鎖するように弁のハウジング内で移動可能である。ピストン12は、ハウジング内のピストンの経路に沿って互いから軸方向に離間された3つのリブ7を有する。同様に、弁の特定のシール要件に応じて、2つのリブ7又は3つ以上の多数のリブが設けられてもよい。
図14は、ハウジング15のチャネル18内に配置されたピストン14の外面の周りに形成されたリブ7を示す。リブ7は、ピストン14の溝17の中に受け入れられたO−リング16と組み合わせて用いられて、ピストン14の外面とチャネル18の壁との間にシールを与える。
本発明のシールは、共通の同心軸線を中心として互いに対してスライドする部材間のシールに限定されないことが分かるであろう。むしろ、本発明のシールは、互いに対してスライドするあらゆる2つの表面の間をシールするのに用いることができる。シール・リブは、部材の表面が互いに対してスライドする方向にほぼ平行な軸線に対して実質的に垂直に設けられる。
【0013】
典型的には、シリンダ1の外径及び本体3のチャネル2の内径の許容範囲は、やや厳密であり、したがって、変形可能リブとチャネルの壁との十分に緊密な当接が達成されることを可能にするように適合させるのは、困難であったり費用がかさんだりする。図15から図17までは、シリンダ20の各端の周りに形成されシリンダ20の端部25の外面を包囲する環状エンドレス・プラスチック・スカート22の形態のアダプタを有する、シリンダ20を示す。スカート22は、別個の本体3のチャネル2内に受入れ可能なサイズにされる。スカート22は、自由端部23と、その周りでスカートがシリンダ20に接続される基部24とを有する。「先端が切り取られたV」形状を有する本発明に係る一対の軸方向に離間されたリブ30が、スカート22の外面の周りに形成される。スカート22は、使用の際にスカートがチャネル2内に挿入されると、スカート22がチャネル2の直径及びスカート自体の外形のそれらの許容範囲内の変動に適応できるように、十分に変形可能且つ可撓性にされる。スカート22を設けることにより、リブ30とチャネル2の壁とが十分に緊密に当接して、スカート22の外面とチャネル3の壁との間にシールが形成されることが保証される。例えば、チャネルの横断面におけるチャネルの直径の公称値からの変動は、結果としてこの断面におけるチャネルの楕円性をもたらす。縦断面においては、変動は、バレリング、サドリング、テーパリングなどのようなチャネルのプロフィールの欠陥をもたらすことになる。同様の寸法上の欠陥は、スカートの外形に存在することがある。図15においては、スカート22の1つが、シリンダの一端におけるシリンダ20の端面33と整列する端面26を有することが示されている。他の変形例においては、スカート22の自由端部23が、シリンダの端面を越えて延びてもよいことが分かるであろう。
スカート22は、チャネル3に挿入されたときに過度な変形を打ち消し、変形が撤回されるとその元の形状に戻るように、十分に弾性的に変形可能であることが好ましい。事実上、こうした配置においては、スカート22は、チャネル3とシリンダ20との間の弾性アダプタとして働き、チャネルの直径及びスカート22の外形にあまり厳密でない許容範囲が適用されるようにし、それにより製造コストを低下させる。
【0014】
図18から図20は、流体の滅菌移送に適した弁において用いられるピストン31を示す。ピストン31は、ピストンの縦軸に沿って離間されてピストンの外面を取り囲む一対の上述のスカート22を有し、各スカート22は、一対の軸方向に離間されたリブ30を有する。ピストン31は、そこから外方に突出することなくハウジング(図示せず)内で移動するようになっている。図21及び図22は、ピストン31に類似しているが別個の装置に接続するために一方の端に突起付き留め部41を有するピストン40を示す。使用中に、突起付き留め部41は、ハウジングから外方に突出する。図18及び図21は、それらの自由端部23と、ピストンの端部の中間に位置する基部24とを有するスカート22を示す。
【0015】
図15及び図16においては、スカート22の相互に対面する内面及びシリンダ20の外面によって定められるシリンダ20の材料内の環状スロット21を形成することによってシリンダ20と一体に形成されたスカート22が示されている。同様に、スカート22は、図18から図21までのピストン31及び40と一体に形成される。しかしながら、本発明のスカートは、多少なりともこうした配置に限定されない。事実上、より好ましい選択肢は、スカートを個別の取付部として設けることである。図23は、シリンダの各端の周りのシリンダの外面周囲に取り付けられた個別部品として開放端付きスカート45を有するシリンダ28を示す。図23aに示されるように、各スカート45は、使用中にシリンダ28の外面と接触するスカートの基部24に内方突出部46を有する。突出部46を設けることにより、スカートの相互に対向する内面とシリンダの外面との間に環状スロット21が定められる。図24は、ピストン60の外面の周囲に取り付けられた個別部品として開放端付きスカート52を有するピストン60の端部605を示す。スカート52は、スナップ嵌め係止部61によってピストン60と結合される(図24)。図面には示されていないが、ピストン60の他方の端部に同様のスカートが設けられる。図25及び図25aに最も良く示されているように、スナップ嵌め係止部61は、使用中にピストン60に対面するスカート52の内面周囲に形成された複数の交互の弾性的に変形可能なリッジ62及び溝63を備える。ピストン60の外面周囲に、適合するリッジ68及び溝69(図27及び図28参照)が形成される。ピストン60のリッジ68及び溝69を含む部分の材料は、リッジ及び溝が弾性的に変形可能となるように選択され、例えば、プラスチック材料である。組み立て時に、スカート52がピストン60に沿って前進するのに伴って、リッジ62及び68が変形してスカートが前進できるようになる。スカート52がピストン60に沿って所定位置に到達したときに、リッジ62及び68がそれぞれ溝63及び69の中に嵌って、スカート52がピストン60と係合した状態で係止する。したがって、スカート52は、ピストン60と共に移動することのみ許される。スカート52及びピストン60を結合するために他の手段が設けられてもよいことが分かるであろう。スカート52は、本発明に係る一対の軸方向に離間されたリブ34を有する。図26に示されるように、各リブ34は、長いテーパ側部34a、短いテーパ側部34b、及び側部34aと側部34bとの中間の周辺円筒形面34cを有する。
それぞれリブ30及び34を有するスカート22及び52が示されているが、スカートは、リブ4、5、6、7及び8のいずれか、又はそれらのいずれかの組み合わせ、並びに、本発明に係る他の形状に同様に適している。
【0016】
流体を滅菌移送するための弁への適用において、スカート22、52は、ピストン及び弁のハウジングの特定のサイズ及び形状に適合するようになっている。例えば、図29に示されるように、ピストン60及びこうした弁のハウジング65は、典型的に注入成形によって製造され、したがって、それらのそれぞれのモールドからのピストン60及びハウジング65の取り出しを容易にするように、ピストン60の外面及びハウジング65内のチャネルの壁66が一方の端から他方の端へテーパする。図30に示されるように、チャネル内でのピストン60の移動の間、リブ34がスカート52及びハウジング65間をシールできるようにするために、スカート52の外面、及び、それに沿ってピストン60が移動するチャネルの壁66の領域67が、ピストン60の移動経路に平行に形成される。図30においては、ピストン60は、弁が閉鎖される位置に示されている。弁を開放するために、ピストン60は、図30の矢印Gの方向にハウジングの狭い端から離れる方へ移動しなければならない。チャネルの狭い端の近位の第1リブ34と狭い端の遠位の領域67の端部67aとの間の領域67の長さは、チャネルの狭い端の遠位の第2リブ34が直線領域67の端67aを越えて移動するのを防止するために、リブ34間の距離の少なくとも2倍となるように選択される。幾つかの弁は、弁を開放して弁を再び閉鎖した後でピストン60がチャネル内で後方に移動できるように構成することができる。この移動の間、ピストン60は、図30に示されたその元の位置を越えて後方に移動し、弁を再び閉鎖するためにチャネルの狭い端の方に余分の距離を移動する。この移動を可能にするために、図30に示されるように、第1リブ34とチャネル66の狭い端の近位の領域67の第2端67cとの間に余分の直線長さ67bが与えられる。こうした弁においては、ピストン60の端の周りに設置された2つのスカート52の外径は、ハウジング65の端においてチャネルの異なる直径に適合するべく互いに異なっている。
【0017】
図24に示されるように、ピストン60は、ピストンの小直径の近位端部分605を有するピストンの部分602と大直径の遠位端部分を有する部分603との間に延びる端面601を有することができる。スカート52がピストン60に結合されたときに、端面601に面するスカート52の端面521、部分602の外面及びピストンの端面601が、リブ34と共に弁において用いられるシーリングO−リング(図示せず)を受け入れるための溝80を定める。
流体を滅菌移送するための弁におけるスカート52の別の有用な特徴及び機能を、図24を参照しながら説明する。弁の使用中に、ピストン60の端部605において弁に入る流体は、普通は、増加した圧力の下で供給される。流体がピストン60の他方の端部の方に流れるのに伴って、幾らかの流体がスロット21に入り、スカート52の内面に外からの圧力をかけて、スカートを外向きに変形させ、リブ34のシーリング効果を強化する。
【0018】
リブ4、5、6、7、8、30、34は、シリンダ1の周囲に形成されるものとして説明されているが、もちろん、こうしたリブ4、5、6、7、8、30、34は、チャネル2内に受け入れられたシリンダ1の外面1aとのシールを形成するために、本体3のチャネル2を定める壁の周りに設けられてもよい。同様に、スカートは、スカートの内面と本体の外面との間にシールが形成されるように、チャネル内の壁の周りに形成されてもよい。さらに、1つ又はそれ以上のリブは、必ずしもスカートの周りに形成される必要はない。例えば、リブは、チャネルの周りに形成されてもよく、一方、リブを備えていないスカートは、チャネル内に受入可能な本体の周りに形成されてもよい。同様に、リブは、本体の周りに設けられてもよく、一方、スカートは、チャネル内の壁の周りに設けられてもよい。
スカートの製造においてはプラスチック材料以外の適切な材料が用いられてもよい。
本発明のリブ又はスカートのいずれも、シリンダ又は円形チャネルにおける使用のみに限定されず、実際には、本体の周り、或いは、例えば四角形又はシールを与えるのに適したその他の形状といった何らかの断面形状のチャネルの壁の周りに設けることができる。
【0019】
さらに、本発明のスカート22、52は、上述のシーリング・リブ4、5、6、7、8、30、34と組み合わせての使用のみに限定されない。スカート22、52は、2つの部材を、それらの間をシールすることなく接続するためにだけ用いることができる。2つの部材は、例えば、中にチャネルが形成された第1本体と、2つの部材が互いに対してスライドできるようにチャネル内に受入可能な第2本体とを含むことができる。スカート22、52は、第1本体内のチャネルの壁の周りに、又は第2本体の外面の周りに設けられて、2つの本体が係合したときにスカートが弾性的に変形してスカートとチャネルの壁又は第2本体の外面の1つとの間の寸法上の不揃いに適応するようにしてもよい。したがって、2つの本体間にスカートを設けることにより、2つの本体の製造においてあまり厳密でない許容範囲が適用される。
【0020】
もちろん、本発明は、単なる例として与えられた、ここで説明されるような特定の詳細に限定されず、添付の請求項において定められる本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】円筒形本体に形成されたシール・リブの第1実施形態の側面図である。
【図2】シール・リブを示す図1の一部の拡大図である。
【図3】円筒形本体に形成されたシール・リブの第2実施形態の側面図である。
【図4】シール・リブを示す図3の一部の拡大図である。
【図5】円筒形本体に形成されたシール・リブの第3実施形態の側面図である。
【図6】シール・リブを示す図5の一部の拡大図である。
【図7】円筒形本体に形成されたシール・リブの第4実施形態の側面図である。
【図8】シール・リブを示す図7の一部の拡大図である。
【図9】円筒形本体に形成されたシール・リブの第5実施形態の側面図である。
【図10】シール・リブを示す図9の一部の拡大図である。
【図11】第1実施形態の1つのシール・リブを有するスライド部材の斜視図である。
【図12】第4実施形態の3つのシール・リブを有するピストンの一部の側面図である。
【図13】シール・リブを示す図12の一部の拡大断面図である。
【図14】O−リング・シールと組み合わせて用いられるシーリング・リブの第4実施形態の側面断面図である。
【図15】各端部に設けられた弾性的に変形可能なスカートの形態のアダプタを有し、スカートが該スカートの外面上に形成された本発明に係るシール・リブを有する、シリンダの横断面図である。
【図16】本発明に係るスカート及びシール・リブを詳細に示す、図15の領域Xの拡大図である。
【図17】スカート上に設けられたシール・リブの1つを詳細に示す、図16の領域Yの拡大図である。
【図18】図15に示されたものと類似した一対のスカートを有し、ハウジングから外方に突出することなくハウジング内で移動するようになっているピストンの横断面図である。
【図19】ピストンの一端にシール・リブを備えたスカートを示す、図18の領域Wの拡大図である。
【図20】ピストンの反対側の端におけるスカートの外面を示す、図18のピストンの一部の側面図である。
【図21】図15及び図18に示されたものと類似した一対のスカートを有し、別の装置に接続するための突起付き留め部を有するピストンの横断面図である。
【図22】突起付き留め部を有するピストンの端の近位にシール・リブを備えたスカートを示す、図21の領域Zの拡大図である。
【図23】図15に示されたものと類似しているが付属物として設けられたスカートを有するシリンダの横断面図である。
【図23a】図23の領域Sの拡大図である。
【図24】図15に示されたものと類似しているが付属物として設けられたスカートを有するピストンの一部の側面図である。
【図25】図23のスカートの拡大部分側面図である。
【図25a】スカートのスナップ係止装置を示す、図24の領域Pの拡大図である。
【図26】スカートの外面の周りに形成された本発明に係るシール・リブを示す、図24の領域Qの拡大図である。
【図27】図23に示されたものに類似しているがスカートを備えていない、ピストンの一部の側面図である。
【図28】図27の領域Vの拡大図である。
【図29】ピストンの外面のテーパ面と、ピストンが移動するハウジング内のチャネルの壁を誇張して示す、ピストン及びハウジングの概略的な横断面図である。
【図30】スカート上のリブに接触するためのハウジング内の直線領域を示す、ハウジング内に位置決めされた図23のピストンの拡大略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対してスライドするように相互に移動可能な2つの部材間をシールするためのシールであって、前記部材のうちの第1部材が、第2部材に対面するその表面上に、前記第2部材と接触してそれらが静止しているか又は互いに対して移動しているときに前記2つの部材間をシールするための、少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブを有することを特徴とするシール。
【請求項2】
前記2つの部材のうちの第1部材がプラスチック材料からなり、前記リブがそれと一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記リブは、前記2つの部材が互いに対してスライドする際に、該リブが接触する前記第2部材の表面に沿って引きずられ又は拭うように、十分に変形可能であり且つ可撓性であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシール。
【請求項4】
前記2つの部材の互いに対する移動経路に沿った前記リブ間の距離が前記2つの部材の互いに対する前記経路に沿った所定の移動距離より大きなって、前記リブの1つが前記第2部材の表面の所定領域内に常に残るように、少なくとも2つの前記リブが前記第1部材の表面上に形成されたことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のシール。
【請求項5】
前記部材間の相対移動経路に沿って互いから軸方向に離間されている複数のリブが設けられたことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のシール。
【請求項6】
前記部材の一方は、縦軸を有するチャネルが形成されている本体を備え、前記部材の他方は、2つの部材が縦軸に平行な方向に互いに対してスライドするようにチャネル内に受入可能であり、前記部材のうち前記第1部材は、前記第2部材に対面するその表面上に、少なくとも1つの変形可能なプラスチック・リブを有することを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のシール。
【請求項7】
前記チャネルの壁と前記受入可能部材との間にアダプタが設けられ、前記アダプタは、前記チャネルか又は前記部材の他方に対面する前記受入可能部材の1つの表面の周りに設けられたエンドレス・スカートを備え、前記スカートは、前記部材に接続されて前記部材と共に移動可能であり、それにより前記スカートの及び前記スカートが取り付けられた前記部材の相互に対面する面がそれらの間にギャップを定めるように離間され、少なくとも1つの前記変形可能なプラスチック・リブが、前記スカート及び前記他方の部材の相互に対向する面の1つの周りに形成され、前記スカートは、2つの前記部材が係合したときに前記スカートと前記他方の部材との間の寸法上の不揃いに適応するべく前記スカートを調節できるようにするために十分に変形可能且つ可撓性であり、それにより、2つの前記部材が静止しているか又は互いに対して移動しているときに前記スカートと前記他方の部材との相互に対向する面の間を少なくとも1つの前記リブがシールできるようにされたことを特徴とする請求項6に記載のシール。
【請求項8】
前記スカートが、自由端部と基部を備え、前記基部の周りで前記スカートが前記部材に接続されることを特徴とする請求項7に記載のシール。
【請求項9】
前記スカートが前記受入可能部材の周りに形成され、前記リブが前記スカートの外面の周りに形成され、それにより、使用中に前記スカートが前記スカートの外面と前記チャネルの壁との間の寸法上の不揃いを調節するように前記チャネル内で変形して、前記リブがそれらの間をシールできるようにされたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のシール。
【請求項10】
前記スカートが、変形が撤回されるとその元の状態に回復するように十分に弾性があることを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかに記載のシール。
【請求項11】
前記スカートが、流体を滅菌移送するために弁のハウジング内で移動可能なピストンの外方に向いた面の周りに設けられ、前記スカートの外面の周りにリブが形成されたことを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれかに記載のシール。
【請求項12】
前記スカートが、結合手段を介して前記部材に接続可能な取付部として設けられたことを特徴とする請求項7から請求項11までのいずれかに記載のシール。
【請求項13】
前記結合手段が、前記スカートと前記他方の部材との間のスナップ嵌め装置を含むことを特徴とする請求項7から請求項12までのいずれかに記載のシール。
【請求項14】
前記スナップ嵌め装置が、前記スカート及び前記他方の部材の相互に対向する面の各々の周りに形成された一連の交互の弾性的に変形可能なリブ及び溝を含み、前記スカート及び前記他方の部材のリブが、前記部材及び前記スカートの対応する溝と係合するように組立体上で変形可能であることを特徴とする請求項7から請求項13までのいずれかに記載のシール。
【請求項15】
前記スカートが、前記部材の材料にエンドレス・スロットを形成して、前記スロットが前記スカート及び前記部材の相互に対向するエンドレス面によって定められるようにすることによって、前記部材と一体に形成されたことを特徴とする請求項7から請求項11までのいずれかに記載のシール。
【請求項16】
前記スカートがプラスチック材料から製造されたことを特徴とする請求項7から請求項15までのいずれかに記載のシール。
【請求項17】
前記スカートが、前記スカート及び前記スカートが取り付けられる部材の相互に対向する面の間のギャップの中に供給される流体の所定の圧力範囲の下で、十分に弾性的に変形可能となって、前記他方の部材の方に変形して前記スカート及び前記他方の部材の間の少なくとも1つのリブのシール作用を強化するように構成されたことを特徴とする請求項7から請求項16までのいずれかに記載のシール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図23a】
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【図24】
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【図25】
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【図25a】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−508488(P2008−508488A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523883(P2007−523883)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/027288
【国際公開番号】WO2006/015324
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507031826)
【Fターム(参考)】