説明

ジアザカルバゾール及びその使用方法

本発明は、キナーゼインヒビターとして有用であり、より具体的にはチェックポイントキナーゼ1(chk1)インヒビターとして有用であり、したがって、癌治療薬として有用な、式(I)、(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(I-g)及び(I-h)の1,5-ジアザカルバゾール化合物に関する。本発明はまた組成物、より具体的にはこれらの化合物を含む薬学的組成物及び癌及び過剰増殖障害の種々の形態の治療のためのその使用方法、並びにインビトロ、インサイツ、及びインビボ診断又は哺乳類細胞、又は関連する病的状態の治療のための該化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年6月11日に提出した米国仮出願第61/060750号の利益及び2009年1月28日に提出した米国仮出願第61/148004号の利益を主張するものであり、両者の開示は、出典明示によりここにその全体が取り込まれる。
【0002】
本発明は、キナーゼインヒビターとして有用な、より具体的には、チェックポイントキナーゼ1(chk1)として有用であり、したがって癌治療に有用である、1,5−ジアザカルバゾール化合物に関する。本発明は、また組成物、より具体的には、これらの化合物及び種々の形態の癌及び過剰増殖障害の治療のための同一の化合物の使用方法、並びに哺乳類又は関連の病理条件のインビトロ、インサイツ、及びインビボ診断又は治療を含む薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
各細胞は、それらの染色体の正確なコピーを作製し、それらを別の細胞に分離することにより複製する。このDNA複製、染色体分離及び分裂のサイクルは、工程の順序を維持し、各段階を正確に実施する細胞内の機構によって制御される。これらの工程に関係するのは、DNA修復機構が細胞分裂への周期を持続する前に機能するための時間を有することを保証するために細胞が停止し得る細胞周期チェックポイント (Hartwell等, Science, Nov. 3, 1989, 246(4930):629-34)である。これらは、p53によって制御されるG1/Sチェックポイント及びセリン/スレオニンキナーゼチェックポイントキナーゼ1(chk1)によって監視されるG2/Mチェックポイントの細胞周期におけるチェックポイントである。
【0004】
Chk1とChk2は構造的に関係がないが、遺伝毒性学的刺激(Bartek等, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2001, vol. 2, pp. 877-886に概説される)に対して応答して活性化されるセリン/スレオニンキナーゼと機能的に重複している。Chk1とChk2は、それらをリン酸化し活性化するATM及びATRからのチェックポイントシグナルと中継する。Chk2は細胞全体で発現する安定なタンパク質であり、二重鎖DNA切断(DSB)に応答してATMによって主として活性化される。それに対して、Chk1タンパク質発現は、大部分がSとG2期に制限される。DNA損傷に対し、ChK1は、ATM/ATRによってリン酸化され、活性化され、SとG2/M期で細胞周期停止の結果となり、DNA損傷の修復を可能とする(Cancer Cell, Bartek and Lukas, Volume 3, Issue 5, May 2003, Pages 421-429に概説される)。Chk1の阻害は細胞周期停止を阻害し、化学療法の範疇によるDNA損傷に続く腫瘍細胞死を増加させることが示されている。無傷のG1チェックポイントを欠く細胞は特にSとG2/Mチェックポイントに依存し、したがって、chk1インヒビターの存在下における化学療法により感受性が高いことが期待されるが、それに対し、機能的なG1チェックポイントの正常細胞は、より細胞死を起しにくいことが予測されるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は概してキナーゼ阻害活性を有し、より具体的にはchk1阻害活性を有する、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び(I−h)の1,5−ジアザカルバゾール(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)に関する。本発明の化合物は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK−3)、KDRキナーゼ、及びFMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)の阻害剤として有用である。したがって、本発明の化合物及びその組成物は、癌のような過剰増殖障害の治療において有用である。

XはCR又はNであり;
YはCR又はNであり;
ZはCR7a又はNであり;
WはCR8a又はNであり;但し、(i)Z及びWは双方が同時にNではなく、(ii)X及びYは双方が同時にNではなく;
はH、ハロ、CN、CF、-OCF、-OH、-NO2、-Cアルキル、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、又はN(R22)であり;
はH、ハロ、-O-R、-N(R22)-R、-S(O)-R、又はRであり;
pは0、1又は2であり;
はH、ハロ、CN、CF、-OCF3、OH、-NO、-(CR1415)C(=Y’)OR11、-(CR1415)C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、-(CR1415)S(O)11、-(CR1415)NR12C(=Y’)R11、-(CR1415)NR12C(=Y’)OR11、-(CR1415)NR12C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12SO11、-(CR1415)OC(=Y’)R11、-(CR1415)OC(=Y’)NR1112、-(CR1415)S(O)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
nは独立して0から5であり;
はH、CN、CF、OH、-(CR1415)C(=Y’)OR11、-(CR1415)C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12C(=Y’)R11、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、-(CR1415)S(O)11、-(CR1415)NR12C(=Y’)OR11、-(CR1415)NR12C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12SO11、-(CR1415)OC(=Y’)R11、-(CR1415)OC(=Y’)NR1112、-(CR1415)S(O)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
はH、CN、-CF、-OCF、ハロ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-OR11、-OC(=Y’)R11、-NR1112、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=Y’)NR1112、-NR12S(O)11、-SR11、-S(O)R11、-S(O)11、-OC(=Y’)NR1112、-S(O)NR1112、-S(O)(OR11)、-SC(=Y’)R11、-SC(=Y’)OR11、-SC(=Y’)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
7aはH、ハロ、-CN、-OH、-NO、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、前記アルキルは、ハロ、N(R22)又はOR22から選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
7bはH、ハロ、-OH、-CN、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、前記アルキルは、ハロ、N(R22)又はOR22から選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
8aはH、ハロ、-CN、-NO、-N(R22)、-OH、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、それぞれの前記アルキルは、1から3個のハロゲン基で置換されていてもよく;
8bはH、-OH、-CN、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、それぞれの前記アルキルは1から3個のハロ基で置換されていてもよい;
それぞれのRは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは、独立して、1から3個のR10基から置換され;
それぞれのR10は、独立してH、CN、-CF、-OCF、-NO、ハロ、R11、-OR11、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=NR12)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、オキソ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-S(O)11、-NR12C(=Y’)OR11、-NR12C(=Y’)NR1112、-OC(=Y’)R11、-OC(=Y’)NR1112、又は-S(O)NR1112であり、それぞれのR10は独立してH、CN、-CF、-OCF、-NO、ハロ、R11、-OR11、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=NR12)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、オキソ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-S(O)11、-NR12C(=Y’)OR11、-NR12C(=Y’)NR1112、-OC(=Y’)R11、-OC(=Y’)NR1112、又は-S(O)NR1112であり;
それぞれのqは独立して1又は2であり;
11及びR12は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、1から4個のR13基で置換されていてもよく、ここで、2個のジェミナルなR13基は、それらが結合している原子と一緒になってO、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する3から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR13基で置換されてもよく;
11及びR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR13基で置換されてもよく;
それぞれのR13は独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-(CR1415)C(=Y’)R16、-(CR1415)C(=Y’)OR16、-(CR1415)C(=Y’)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)SR16、-(CR1415)NR16C(=Y’)R17、-(CR1415)NR16C(=Y’)OR17、-(CR1415)NR17C(=Y’)NR1617、-(CR1415)NR17SO16、-(CR1415)OC(=Y’)R16、-(CR1415)OC(=Y’)NR1617、-(CR1415)S(O)R16、-(CR1415)S(O)16、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり;
14及びR15は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR18基で置換されていてもよく;
16及びR17は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR18基で置換されていてもよく;
16及びR17は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR18基で置換されてもよく;
それぞれのR18は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-(CR1920)C(=Y’)R23、-(CR1920)C(=Y’)OR23、-(CR1920)C(=Y’)NR2324、-(CR1920)NR2324、-(CR1920)OR23、-(CR1920)-SR23、-(CR1920)NR24C(=Y’)R23、-(CR1920)NR24C(=Y’)OR23、-(CR1920)NR22C(=Y’)NR2324、-(CR1920)NR24SO23、-(CR1920)OC(=Y’)R23、-(CR1920)OC(=Y’)NR2324、-(CR1920)S(O)R23、-(CR1920)S(O)23、又は-(CR1920)S(O)NR2324であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは1から4個のR21基で置換されていてもよく;
19及びR20は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR25基で置換されていてもよく;
23及びR24は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR21基で置換されていてもよく;
23及びR24は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR21基で置換されてもよく;
それぞれのR21は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-C(=Y’)R25、-C(=Y’)OR25、-C(=Y’)NR2526、-NR2526、-OR25、-SR25、-NR26C(=Y’)R25、-NR26C(=Y’)OR25、-NR22C(=Y’)NR2526、-NR26SO25、-OC(=Y’)R25、-OC(=Y’)NR2526、-S(O)R25、-S(O)25、又は-S(O)NR2526であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは1から4個のR25基で置換されていてもよく;
それぞれのR25及びR26は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、1から4個のハロ、-CN、-OCF、-CF、-NO、-C-Cアルキル、-OH、オキソ、-SH、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-SO(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C-Cアルキル)、-C(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)(C-Cアルキル)、-NHC(O)(C-Cアルキル)、-NHSO(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)SO(C-Cアルキル)、-SONH、-SONH(C-Cアルキル)、-SON(C-Cアルキル)、-OC(O)NH、-OC(O)NH(C-Cアルキル)、-OC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)O(C-Cアルキル)、及び-N(C-Cアルキル)C(O)O(C-Cアルキル)から選択される基で置換されていてもよく;
25及びR26は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のハロ、-CN、-OCF、-CF、-NO、-C-Cアルキル、-OH、オキソ、-SH、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-SO(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C-Cアルキル)、-C(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)(C-Cアルキル)、-NHC(O)(C-Cアルキル)、-NHSO(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)SO(C-Cアルキル)、-SONH、-SONH(C-Cアルキル)、-SON(C-Cアルキル)、-OC(O)NH、-OC(O)NH(C-Cアルキル)、-OC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)O(C-Cアルキル)、及び-N(C-Cアルキル)C(O)O(C-Cアルキル)から選択される基で置換されてもよく;
Y’は独立してO、NR22、又はSであり;及び
それぞれのR22は独立してH又はC-Cアルキルである。
【0006】
本発明は式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。本発明はまた式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含み、更に第二の化学療法剤を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。本組成物は、したがって異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)の過剰増殖障害、例えば、癌の治療に有用である。
【0007】
本発明は、前記哺乳類への式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の単独又は第二の化学療法剤との組み合わせの治療的有効量の異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)の過剰増殖障害、例えば、癌の治療の方法を含む。
【0008】
本発明は、哺乳類細胞、組織、又は関連する病理学的症状のインビトロ、インビボ、インサイツ、及びインビボ診断又は治療のための本化合物の使用方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
その例が添付の構造と式において記載される、本発明の特定の実施態様について以下に詳細に参照する。本発明は列挙された実施例と関連して記載される一方、本発明がこれらの実施態様に限定されるものではないことが理解されるであろう。これに対し、本発明は、請求項に定義される通り、本発明の範囲内に含まれる得る全ての代替、改変、及び等価なものを含むことを意図する。当業者は本発明を実施する際に使用し得る、ここに記載したものと類似又は等価の多くの方法及び物質を理解するであろう。本発明は記載された方法と物質に限定するものでは全くない。一以上の取り込まれた文献、特許、及び類似物が、限定されるものではないが、定義した用語、用語の使用法、記載の技術等を含む本出願と異なるか又は矛盾する場合、本出願が優先する。
【0010】
ここで使用される「アルキル」なる用語は、1個〜12個の炭素原子の飽和した直鎖もしくは分枝鎖の一価炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2、3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3、3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、1−ヘプチル、1−オクチル、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
「アルケニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、すなわち、炭素−炭素のsp2二重結合を有する2〜12個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖の一価炭化水素基を意味し、ここでアルケニル基は、「シス」配向及び「トランス」配向、あるいは「E」配向及び「Z」配向を有する基を含む。例としては、エチレニル又はビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「アルキニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、すなわち、炭素−炭素のsp三重結合を有する2〜12個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖の一価炭化水素基を意味する。例としては、エチニル(−C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、−CHC≡CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
「シクロアルキル」なる用語は、単環式環としては3個〜12個の炭素原子、又は二環式環としては6個〜12個の炭素原子を有する一価の非芳香族の飽和又は部分不飽和環を意味する。6個〜12個の原子を有する二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]系、ビシクロ[5,5]系、ビシクロ[5,6]系又はビシクロ[6,6]系として配置され得、そして9個又は10個の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]系又はビシクロ[6,6]系として、あるいは橋架け系(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナン)として配置され得る。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「アリール」とは、親芳香族環系の1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導される、6個〜18個の炭素原子の一価の芳香族炭化水素基を意味する。いくつかのアリール基は、例示的な構造において、「Ar」と表わされる。アリールは、飽和環、部分不飽和環、又は芳香族の炭素環式環もしくは複素環式環に縮合した芳香族環を含む、二環式の基を含む。代表的なアリール基としては、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどから誘導される基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環式環」なる用語は、本明細書中で交換可能に使用され、そして飽和又は部分不飽和(すなわち、環内に一又は複数の二重結合及び/又は三重結合を有する)の、3個〜18個の環原子(このうちの少なくとも一の環原子は、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、Cであり、一又は複数の環原子は、以下に記載される一又は複数の置換基で必要に応じて独立して置換されている)の炭素環式基をいう。複素環は、3個〜7個の環員(2個〜6個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1個〜4個のヘテロ原子)を有する単環であっても、7個〜10個の環員(4個〜9個の炭素原子、並びにN、O、P、及びSから選択される1個〜6個のヘテロ原子)を有する二環(例えば、ビシクロ[4,5]系、ビシクロ[5,5]系、ビシクロ[5,6]系、又はビシクロ[6,6]系)であってもよい。複素環は、Paquette,Leo A.;「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W.A.Benjamin,New York,1968)(特に、第1章、第3章、第4章、第6章、第7章、及び第9章);「The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs」(John Wiley & Sons,New York,1950年〜現在)(特に、第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、及び第28巻);並びにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」はまた、複素環基が、飽和環、部分不飽和環、又は芳香族の炭素環式環又は複素環式環に縮合している基を含む。複素環式環の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分もまたこの定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環式基の例は、ピリミジノニル及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。
【0016】
「ヘテロアリール」なる用語は、5〜16原子(窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1個以上のヘテロ原子を含む)の、5員環又は6員環の一価の芳香族基を意味し、縮合環系(これらの環のうちの少なくとも1つが芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば、2−ヒドロキシピリジニルが挙げられる)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル(例えば、4−ヒドロキシピリミジニルが挙げられる)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、チアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。
【0017】
複素環基又はヘテロアリール基は、可能である場合、炭素で結合(炭素結合)しても窒素で結合(窒素結合)してもよい。例えば、限定ではなく、炭素結合した複素環又はヘテロアリールは、ピリジンの2位、3位、4位、5位、又は6位、ピリダジンの3位、4位、5位、又は6、ピリミジンの2位、4位、5位、又は6、ピラジンの2位、3位、5位、又は6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールのの2位、3位、4位、又は5位、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの2位、4位、又は5位、イソオキサゾール、ピラゾール、又はイソチアゾールの3位、4位、又は5位、アジリジンの2位又は3位、アゼチジンの2位、3位、又は4位、キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位、あるいはイソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位、又は8位で結合する。
【0018】
例えば、限定ではなく、窒素が結合した複素環又はヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ−カルボリンの9位で結合する。
【0019】
「ハロ」なる用語は、F、Cl、Br又はIをいう。ヘテロアリール又はヘテロシクリルに存在するヘテロ原子は、酸化形態(例えば、N→O、S(O)及びS(O))を含む。
【0020】
「処置する」及び「処置」なる用語は、治療処置と予防処置又は予防的処置との両方を意味し、その目的は、望ましくない生理学的変化又は障害(例えば、癌の発生又は広がり)を予防するか又は遅くする(減らす)ことである。本発明の目的で、有利又は望ましい臨床結果としては、検出可能であれ検出不可能であれ、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化された(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の軽減又は緩和、及び寛解(部分的であれ全体的であれ)が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」はまた、処置を受けない場合に予測される生存と比較される場合に、生存を延長することを意味し得る。処置を必要とするものとしては、その状態又は障害をすでに有するもの、及びその状態又は障害を有しやすいもの、あるいはその状態又は障害が予防されるべきであるものが挙げられる。
【0021】
「治療有効量」なる語句は、(i)本明細書中に記載される特定の疾患、状態、又は障害を処置又は予防するか、(ii)特定の疾患、状態又は障害の一又は複数の症状を減衰、軽減又は排除するか、あるいは(iii)特定の疾患、状態、又は障害の一又は複数の症状の発生を予防又は遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。癌の場合、薬物の治療有効量は、癌細胞の数を減少させ得;腫瘍のサイズを減少させ得;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し得(すなわち、ある程度まで遅くし得、そして好ましくは停止させ得);腫瘍の転移を阻害し得(すなわち、ある程度まで遅くし得、そして好ましくは停止させ得);腫瘍の増殖をある程度まで阻害し得;そして/又は癌に関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで緩和し得る。薬物が、存在する癌細胞の増殖を防止し得、そして/又は殺傷し得る場合、この薬物は、細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。癌治療のためには、効力は、例えば、疾患の無増悪期間(TTP)を評価すること、及び/又は奏効率(RR)を決定することによって測定され得る。
【0022】
「異常細胞増殖」及び「過剰増殖疾患」なる用語はこの出願では交換可能に使用される。ここで使用される「異常細胞増殖」は、特に断らない限り、正常な調節機構に独立である(例えば接触阻止の喪失)細胞増殖を意味する。これは、例えば(1)変異したチロシンキナーゼを発現させ又はレセプターチロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞;(3)レセプターチロシンキナーゼにより増殖する任意の腫瘍;(4)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化により増殖する任意の腫瘍;及び(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞の異常な増殖を含む。
【0023】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を意味するか記述するものである。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍が含まれる。このような癌のより特定な例には、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric又はstomach)、例えば胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney又はrenal)、前立腺癌、陰門癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌並びに急性骨髄性白血病(AML)が含まれる。
【0024】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、エルロチニブ(Tarceva(登録商標),Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)Millennium Pharm.)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca)、スーテント(SU11248,Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標),Novartis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標),Sanofi)、ロイコボリン、ラパマイシン(Sirolimus,RAPAMUNE(登録商標),Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標),GSK572016,Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SCH66336)、ソラフェニブ(BAY43−9006,Bayer Labs)、及びゲフィチニブ(IRESSA(登録商標),AstraZeneca)、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパ;エチレンイミン及びメチラメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート、プリンアナログ、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン、スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);クロラムブシル;6−チオグアニン;メルカプトプリン;イホスファミド;ミトキサントロン;ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT−I1;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)及び上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が含まれる。
【0025】
「化学療法剤」の定義にまた含まれるものは、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節し又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、例えばタモキシフェン(例えばNOLVADEX(登録商標);シフェンクエン酸塩)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩);(ii)副腎においてエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロール酢酸エステル)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に例えばPKC−α、Ralf及びH−Rasのような異常な細胞増殖に関与するシグナリ伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;(vii);リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば遺伝子療法ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)のようなトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えばベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),Genentech);及び(x)上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体である。
【0026】
XL518(Exelixis, Inc.)及びAZD6244(Astrazeneca)のような、MEK(MAPキナーゼキナーゼ)の阻害剤;XL281(Exelixis, Inc)、PLX4032(Plexxikon)、及びISIS5132(Isis Pharmaceuticals)のようなRafの阻害剤;ラパマイシン、AP23573(Ariad Pharmaceuticals)、テムシロリムス(Wyeth Pharmaceuticals)及びRAD001(Novartis)のようなmTorの阻害剤(ラパマイシンの哺乳類標的);SF−1126(PI3K阻害剤、Exelixis, Inc.)、及びGDC−0941(Genentech)のようなPI3K阻害剤(ホスホイノシチド−3キナーゼ);PHA665752(Pfizer)、XL−880(Exelixis, Inc.)、ARQ−197(ArQule)、及びCE−355621のようなcMetの阻害剤;及び薬学的に許容可能な塩、酸及び上記の任意の誘導体を含む本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。
【0027】
「化学療法剤」の例にはまた、チオテパ及びCYOXAN(登録商標)シクロホスファミドのようなDNA障害剤;アルキル化剤(例えば、シスプラチン;カルボプラチン;シクロホスファミド;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのようなナイトロジェンマスタード;ブスルファン;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、及びラニムスチン;及びテモゾロミド);代謝拮抗剤(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)及びテガフル、ラルチドテキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、ヒドロオキシ尿素及びGEMZARR(ゲムシタビン)のようなフルオロピリミジンのような葉酸拮抗剤;エンジエン抗生物質のような抗腫瘍抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγII及びカリケアマイシンωII(例えば、Agnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)参照);ダイネマイシンAを含むアドリアマイシンのようなアントラサイクリン類、クロドロネートのようなビスホスフォネート;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連色素蛋白エンジイン抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);抗有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びNAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン)及びTAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bistol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)のようなタキソイド、ABRAXANE(商標)(クレモフォールフリー)、パクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Prtners, Schaumberg, Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル;Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、RFS2000、エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む)、及びイリノテカン及びSN−38)及び細胞分化促進剤(例えば、全てのトランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸及びフェンレチニド)及び上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
【0028】
「化学療法剤」はまたAEG40826(Aegera Teraperutics)のようなIAPの阻害剤(アポトーシスタンパク質の阻害剤);及びGX15−070(Gemin X Biotechnologies)、CNDO103(Apogossypol; Coronado Biosciences)、HA14−1(2−アミノ−6−ブロモ−4−(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチル)−4H−クロメン−3−カルボン酸エチル)、AT101(Ascenta Therapeutics)、ABT−737及びABT−263(Abbott);及び薬学的に許容可能な塩、酸、及び上記の任意の誘導体を含むアポトーシス応答を調節する治療剤を含む。
【0029】
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」は、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される製薬的活性物質の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, :375-382, 615th Meeting, Belfast (1986)、及びStella 等, 「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery, Borchardt等(編), 247-267項, Humana Press (1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害性剤の例には、前記の化学療法剤が含まれる。
【0030】
「代謝物」とは、身体内で代謝により生成される、特定の化合物又はその塩の生成物である。化合物の代謝産物は、当該分野において知られている慣用的な技術、及び本明細書中に記載されるもののような試験を使用して決定されたそれらの活性を使用して、同定され得る。このようなプロドラッグは、例えば、投与される化合物の、酸化、ヒドロキシル化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素切断などから生じ得る。従って、本発明は、本発明の化合物をその代謝産物を得るのに十分な時間にわたって哺乳動物に接触させることを含む方法によって生産される化合物を含む、本発明の化合物の代謝産物を包含する。
【0031】
「リポソーム」とは、薬物(例えば、本明細書中に開示されるMEKインヒビター、及び必要に応じて、化学療法剤)を哺乳動物に送達するために有用な、種々の型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小胞体である。リポソームの成分は、生物学的膜の脂質配置と同様に、二重層の形成で通常配置される。
【0032】
「パッケージ挿入物」なる用語は、治療製品の指示、使用、投薬量、投与、禁忌及び/又は使用に関する警告についての情報を含む、治療製品の市販パッケージ内に慣例的に含まれる指示書を指すために使用される。
【0033】
「キラル」なる用語は、その鏡像パートナーと重ならない特性を有する分子を意味する一方、「アキラル」なる用語は、その鏡像パートナーと重なる分子を意味する。
【0034】
「立体異性体」なる用語は、同一の化学構成及び結合を有するが、単結合の周りでの回転によっては相互に交換され得ない空間中で異なる原子の配向を有する化合物を意味する。
【0035】
「ジアステレオマー」とは、2つ以上の不斉中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体をいう。ジアステレオマーは、異なる物理特性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順(例えば、結晶化、電気泳動及びクロマトグラフィー)のもとで分離され得る。
【0036】
「エナンチオマー」とは、互いの鏡像と重ならない化合物の2つの立体異性体をいう。
【0037】
本明細書中で使用される立体化学の定義及び規則は、一般に、S.P.Parker編,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York;並びにEliel,E.及びWilen,S.,「Stereochemistry of Organic Compounds」,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含み得、従って、異なる立体異性体形態で存在し得る。本発明の化合物の全ての立体異性体形態(ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体を含むが、これらに限定されない)、並びにこれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)は、本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は、光学活性な形態で存在する。すなわち、これらの化合物は、面偏光された光の面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物を記載する際に、接頭語D及びL、又はR及びSが使用されて、キラル中心の周りでのその分子の絶対配置を表す。接頭語d及びl、又は(+)及び(−)は、面偏光された光の、その化合物による回転の符号を表すために使用され、(−)又は1は、その化合物が左旋性であることを意味する。接頭語(+)又はdを有する化合物は、右旋性である。所定の化学構造に関して、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除いて、同一である。特定の立体異性体はまた、エナンチオマーと称され得、このような異性体の混合物は、しばしば、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50の混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、キラル反応又はプロセスにおいて、立体選択も立体特異性も存在しない場合に生じ得る。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」なる用語は、2つのエナンチオマー種の等モル混合物であり、光学活性がないものをいう。
【0038】
「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体としてもまた公知)は、プロトンの移動を介する相互変換(例えば、ケト−エノール異性及びイミン−エナミン異性)を包含する。原子価互変異性体は、結合電子のうちのいくつかの再編成による相互変換を包含する。例えば、2−ヒドロキシピリジンの構造に対する任意の参照文献は、その互変異性体の2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン、2−ピリジンとしても知られる、を含み、逆の場合も同じである。
【0039】
ここで使用される「薬学的に許容可能な塩」なる語句は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機塩又は無機塩を意味する。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩)、並びにアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、別の分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオン又は他の対イオン)の包含を含み得る。この対イオンは、親化合物の電荷を安定化する、任意の有機部分又は無機部分であり得る。更に、薬学的に許容可能な塩は、その構造中に1より多い荷電原子を有し得る。多重に荷電した原子が薬学的に許容可能な塩の一部分である例は、複数の対イオンを有し得る。従って、薬学的に許容可能な塩は、一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有し得る。
【0040】
本発明の化合物が塩基である場合、望ましい薬学的に許容可能な塩は、当該分野において利用可能である任意の適切な方法(例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸など)又は有機酸(例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸)、αヒドロキシ酸(例えば、クエン酸もしくは酒石酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、芳香族酸(例えば、安息香酸もしくはケイ皮酸)、スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸)などでの、遊離塩基の処理)によって調製され得る。
【0041】
本発明の化合物が酸である場合、望ましい薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法(例えば、無機塩基又は有機塩基(例えば、アミン(第一級、第二級もしくは第三級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物など)での、遊離酸の処理)によって調製され得る。適切な塩の例示的な例としては、アミノ酸(例えば、グリシン及びアルギニン)、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、及び環状アミン(例えば、ピペリジン、モルホリン及びピペラジン)から誘導される有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「薬学的に許容可能な」なる語句は、その物質又は組成物が、その製剤を構成する他の成分、及び/又はこの製剤で処置される哺乳動物と化学的及び/又は毒物学的に適合性でなければならないことを意味する。
【0043】
「溶媒和物」は、一又は複数の溶媒分子と、本発明の化合物との、会合体又は複合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例としては、水、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
【0044】
「保護基」なる用語は、化合物上の他の官能基が反応している間に、この化合物の特定の官能基をブロック又は保護するために通常使用される置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」とは、この化合物中のアミノ官能基をブロック又は保護する、アミノ基に結合した置換基である。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ官能基をブロック又は保護する、ヒドロキシ基の置換基をいう。適切な保護基としては、アセチル及びトリアルキルシリルが挙げられる。「カルボキシ保護基」とは、カルボキシ官能基をブロック又は保護する、カルボキシ基の置換基をいう。通常のカルボキシ保護基としては、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチルなどが挙げられる。保護基及びこれらの使用の一般的な説明については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照のこと。
【0045】
「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」及び「式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)の化合物」、「式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物」なる用語は、他に記載しない場合、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物、及び立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、塩(例えば、薬学的に許容可能な塩)及びそのプロドラッグを含む。他に記載しない場合、ここに記述される構造は、また一以上の同位体的に濃縮された原子の存在下においてのみ区別される化合物を含むことを意図する。例えば、1以上の水素原子が重水素又は三重水素で置換されているか、又は一以上の炭素原子が、13C又は14Cを濃縮した炭素によって置換されている式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)の化合物が、本発明の範囲に含まれる。
【0046】
本発明は、上記のようなキナーゼ阻害活性、例えば、chk1、GSK−3、KDR及び/又はFLT3阻害活性、を有する、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の1,5−ジアザカルバゾール(及び/又は溶媒物、水和物及び/又はその塩)を提供する。本化合物は特にchk1キナーゼインヒビターとして有用である。
【0047】
本発明の特定の実施態様では、XはCRであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、RはH、CF、C-C アルキル、又はO(C-Cアルキル)であり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、RはH、CF、C-C アルキル、又はO(C-Cアルキル)であり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、RはHであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。
【0048】
本発明の特定の実施態様では、XはNであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。
【0049】
本発明の特定の実施態様では、YはCRであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、RはHであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の何れか一に定義する通りである。
【0050】
本発明の特定の実施態様では、YはNであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0051】
本発明の特定の実施態様では、ZはCR7aであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、ZはCR7aであり、ここで、R7aは1から3個のハロ基又はOHで置換されてもよいH、又はC-Cアルキルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、ZはCR7aであり、ここで、R7aはH、メチル又はエチルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0052】
本発明の特定の実施態様では、ZはCHであり(すなわち、ZはCR7aであり、ここで、R7aはHである);その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0053】
本発明の特定の実施態様では、ZはNであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0054】
本発明の特定の実施態様では、WはCR8aであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、WはCR8aであり、ここで、RはCHであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0055】
本発明の特定の実施態様では、WはNであり、その他の全ての可変部は、式(I)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0056】
本発明の特定の実施態様では、Rはハロ、−O−R、−N(R22)−R、−S(O)−R、又はRであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0057】
本発明の特定の実施態様では、Rはハロであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。本発明の特定の実施態様では、RはBrであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0058】
本発明の特定の実施態様では、Rはアルキニル、シクロアルキル、 ヘテロシクリル、アリール、又は ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から3個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0059】
本発明の特定の実施態様では、RはC-Cアルキニル、Cシクロアルキル、1から2個の窒素環原子を有する5から6員のヘテロシクリル、Cアリール、又は5−6員の単環又は8から10員の二環ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0060】
本発明の特定の実施態様では、RはC-Cアルキニル、Cシクロアルキル、又は1から2個のN、O及びSから選択される環原子を有する、5−6員の単環又は8から10員の二環ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0061】
本発明の特定の実施態様では、Rはプロピニル、フェニル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、又はベンゾチエニルであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0062】
本発明の特定の実施態様では、Rはシクロヘキシル又はピペリジニルであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0063】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0064】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、ここで、Rはアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から3個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0065】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、ここで、RはC-Cアルキニル、Cシクロアルキル、又は1から2個のN、O及びSから選択される環原子を有する、5−6員の単環又は8から10員の二環ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0066】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、ここで、RはC-Cアルキニル、Cアリール、又は1から2個のN、O及びSから選択される環原子を有する、5−6員の単環又は8から10員の二環ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0067】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、ここで、Rはプロピニル、フェニル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、又はベンゾチエニルであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0068】
本発明の特定の実施態様では、RはRであり、ここで、Rはシクロヘキシル又はピペリジニルであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して、1から2個のR10基で置換され;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0069】
本発明の特定の実施態様では、Rは1から2個のR10基で置換されたフェニルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0070】
本発明の特定の実施態様では、Rは、ハロ、1から2個のR11、-OR11、CN、-CF、-OCF、-NR12C(=O)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、-C(O)NR1112、-S(O)11、又は-S(O)NR1112から選択される基で置換されたフェニルであり、ここで、R11とR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個の付加的なヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は、1から4個のR13基で置換されていてもよく; その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0071】
本発明の特定の実施態様では、R10は、H、ハロ、R11、-OR11、CN、-CF、-OCF、-NR12C(=O)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、-C(=O)NR1112、-S(O)11、又は-S(O)NR1112であり、ここで、R11とR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個の付加的なヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は、1から4個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0072】
本発明の特定の実施態様では、R10は、ハロ、R11、-OR11、CN、-CF、-OCF、-NR12C(=O)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、-C(=O)NR1112、オキソ、-S(O)11、又は-S(O)NR1112であり、ここで、R11とR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個の付加的なヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は、1から4個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0073】
本発明の特定の実施態様では、R10はハロ;-CF;-OCF;-NR12C(=O)R11であり、ここで、R12はHであり、R11はC-Cアルキルであり;R11はH又はC-Cアルキルである-SR11;R11とR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個の付加的なヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は、1個のR22基で置換されていてもよい-NR1112;R11とR12は独立してH又はC-Cアルキル;オキソ;-S(O)11であり、ここで、R11はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル又はN及びOから選択される1から2個の付加的なヘテロ原子を有する5から6員のヘテロシクリルである-C(=Y’)NR1112
【0074】
本発明の特定の実施態様では、R10は、F、Cl、CN、-CF、-OCF、-OH、-NHC(O)CH、-NHS(O)CH、-SCH3、-NH、-N(Et)、-C(O)NH、-C(O)NH(p-メトキシベンジル)、-C(O)N(Et)、オキソ、-S(O)CH、-S(O)N(CH)、N-モルホリニル、N-ピペリジニル、又はN-ピペラジニルであり, その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0075】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0076】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11はアルキル又はヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から4個のR13基で置換されていてもよく、ここで、2個のジェミナルのR13基は、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個の付加的なヘテロ原子を有する3から6員環を形成してもよく、前記環は、1から4個のR18基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0077】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11はC-Cアルキル、又は5−6員の単環又はN及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から4個のR18基で置換されていてもよく、ここで、2個のジェミナルのR13基は、それらが結合している原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される0から2個のヘテロ原子を有する6員環を形成してもよく、前記環は、1から4個のR18基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0078】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11はC-Cアルキル、又は5−6員の単環又はN及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13基は、独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0079】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11はC-Cアルキルであり、ここで、アルキルは1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、R13は独立して、 ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり; その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0080】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11はメチル、エチル、i−ブチル、t−ブチル、CH27であり、ここで、R27はOH、CHOH、ピペラジニル、ピペリジニル、又はモルホリニルであり、ここで、ピペラジニル、ピペリジニルはメチル又はエチルで置換されていてもよく; その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0081】
本発明の特定の実施態様では、R10はR11であり、ここで、R11は5−6員の単環又はN及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13基は、独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0082】
本発明の特定の実施態様では、R10は-OR11であり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0083】
本発明の特定の実施態様では、R10は-OR11であり、ここで、R11はH、アルキル又はヘテロシクリルであり、ここで、 前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から4個のR13基で置換されていてもよく、その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0084】
本発明の特定の実施態様では、R10は-OR11であり、ここで、R11はH、C-Cアルキル、又は5−6員の単環又1から2個の窒素原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から4個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0085】
本発明の特定の実施態様では、R10は-OR11であり、ここで、R11はH、C-Cアルキル、又は5−6員の単環又1から2個の窒素原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13基は、独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0086】
本発明の特定の実施態様では、RはH、-(CR1415)C(O)NR1112、-(CR1415)NR12C(O)R11、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、 アルキル、又はヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル又は ヘテロシクリルは1から4個のR13基で置換されていてもよく; その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0087】
本発明の特定の実施態様では、RはHであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0088】
本発明の特定の実施態様では、Rは-(CR1415)C(O)NR1112、-(CR1415)NR12C(O)R11、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、C-Cアルキル、1から2個の窒素原子を有する5から6員の単環 ヘテロシクリルであり、 ここで、前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく;ここで、R14とR15はHであり;nは0から2であり;それぞれのR11は独立して、H、C-Cアルキル、又は1から2個の窒素原子を有する5から6員の単環 ヘテロシクリルであり、 ここで、前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0089】
本発明の特定の実施態様では、Rは-(CR1415)C(O)NR1112、-(CR1415)NR12C(O)R11、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、C-Cアルキル、1から2個の窒素原子を有する5から6員の単環 ヘテロシクリルであり、 ここで、前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく;ここで、R14とR15はHであり;nは0から2であり;それぞれのR11は独立して、H、C-Cアルキル、又は1から2個の窒素原子を有する5から6員の単環 ヘテロシクリルであり、 ここで、前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく;R13はOH、O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0090】
本発明の特定の実施態様では、R

であり、
その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0091】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、-CF、-OCF、ハロ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-OR11、-OC(=Y’)R11、-NR1112、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=Y’)NR1112、-NR12S(O)11、-SR11、-S(O)R11、-S(O)11、-OC(=Y’)NR1112、-S(O)NR1112、-S(O)(OR11)、-SC(=Y’)R11、-SC(=Y’)OR11、-SC(=Y’)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、 1から4個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0092】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、CF、-OCF、ハロ、-C(O)OR11、-C(O)NR1112、-OR11、-NR1112、-NR12C(O)R11、-NR12C(=NR12)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-S(O)11、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは、Hを除く1から4個のR13基で置換され、 前記ヘテロシクリル又はヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0093】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、ハロ、-C(O)NR1112、-OR11、-NR1112、-NR12C(O)R11、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、前記アルキルは 、Hを除く1から2個のR13基で置換され、前記ヘテロアリールは1から2個のR13基で置換されていてもよく;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0094】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、ハロ、-C(O)NR1112、-OR11、-NR1112、-NR12C(O)R11、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、1から2個のヘテロ原子を有する5から6員のヘテロシクリル、Cアリール、又は1から2個のヘテロ原子を有する5から6員のヘテロアリールであり;前記アルキルはHを除く1から2個のR13基で置換され、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールは1から2個のR13基で置換されていてもよく;ここで、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択され;ここで、R12はH又はC-Cアルキルであり、それぞれのR11は独立して1から2個のR13基で置換されていてもよいH又はC-Cアルキルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0095】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、ハロ、-C(O)NR1112、-OR11、-NR1112、-NR12C(O)R11、C-Cアルキル、又は1から2個の窒素を有する5から6員のヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは1から2個のR13基で置換され(ここでR13はOR16であり、ここで、R16はH又はアルキルであり)、 前記ヘテロアリールは1から2個のR13基で置換されていてもよく(ここで、R13はR18で置換されていてもよいOR16、NR1617、又はC-Cアルキルであり、ここで、R16及びR17のそれぞれは独立にH又はアルキルであり);ここで、それぞれのR12はH又はC-Cアルキルであり、それぞれのR11は独立して1から2個のR13基で置換されていてもよいH又はC-Cアルキルであり(ここで、R13はOR16であり、ここで、R16はH又はアルキルである);その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0096】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、又は1から2個の窒素を有する5から6員のヘテロアリールであり、ここで、前記アルキルは1から2個のR13基で置換され、 前記ヘテロアリールは1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、R13はC-Cアルキルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0097】
本発明の特定の実施態様では、RはCN、F、Cl、-C(O)OH、-C(O)NH、-C(O)NHCHCHOH、-C(O)N(CH)、-OCH、-CHOH、-C(CH)OH、ピリジル、又はメチルで置換されていてもよいピラゾリルであり; その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0098】
本発明の特定の実施態様では、RはCNであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0099】
本発明の特定の実施態様では、Rはメチルで置換されていてもよいピリジル、又はピラゾリルであり;その他の全ての可変部は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)又は(I−h)、又は上の実施態様の任意の一に定義する通りである。
【0100】
特定の実施態様では、化合物は式(II)又は(III):

ここで、Rはメチルで置換されていてもよいCN、ピリジル、又はピラゾリルであり;R30


である。
【0101】
特定の実施態様では、化合物は式(IV)又は(V):

であり、ここで、Rはメチルで置換されていてもよいCN、ピリジル又はピラゾリルであり;R40はH、

である。
【0102】
本発明の特定の実施態様では、化合物は式(VI):

であり、ここで、R41はH又はメチルである。
【0103】
本発明の別の実施態様は、下の実施例1から17に記載の標題の化合物を含む。
【0104】
式(6−5)の5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール及び式(1−10)の9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレンのような本化合物はスキーム及び実施例中の下記の手順に従うか又は当該分野で知られている方法によって調製する。開始物質及び種々の中間体は、市場から入手するか、又は市場で利用可能な化合物から調製するか、よく知られている合成方法を用いて調製する。したがって、スキーム1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び/又は12に従って式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、又は(I−h)の本化合物の調製方法は本発明の範囲内である。
【0105】
例えば、式(1−10)の9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレンはスキーム1に概要を述べた合成経路を用いて調製し得る。
【0106】
スキーム1

式(1−1)の化合物は、文献に記載の公表された方法を用いて調製し得る。それらは、フッ化カリウムのような付加剤の存在下、DMSOのような適切な溶媒中、室温から120℃の温度において、グリシンアミド又はグリシンアミド誘導体と反応し得、式(1−2)の化合物を得る。式(1−2)の中間体は、N−ブロモスクシンイミドのような適切なハロゲン化剤の存在下、DMFのような適切な溶媒中、20℃から50℃の温度において、次いでハロゲン化し得、化合物(1−3)を得る。式(1−3)の中間体は、次いで、炭酸水素ナトリウムのような塩基の存在下、エタノールのような溶媒中、20℃から120℃の温度において、環化し得、式(1−4)の化合物を得る。
【0107】
式(1−5)の化合物は、ピリジンのような塩基の存在下、中間体(1−4)と適切な酸クロリドとの反応により、20℃から100℃の間の温度において得ることができる。式(1−6)の化合物は、エタノールのような共溶媒中、50℃から170℃の間の温度において、水酸化ナトリウム水溶液のような適切な塩基を用いた、化合物(1−5)の環化によって形成し得る。式(1−8)の化合物は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライドのような触媒、炭酸ナトリウム水溶液のような塩基の存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度の温度においてか、又は70℃から150℃の温度において超音波の存在下、(適切な置換基Rを含んでいる)式(1−7)のボロン酸又はボロン酸エステルとの反応によって、式(1−6)の化合物から得ることができる。
【0108】
式(1−8)の化合物は、ニート又はトルエンのような適切な溶媒中、20℃から140℃において、塩化オキシリンのようなハロゲン化剤との反応によって式(1−9)の化合物に変換し得る。式(1−10)の化合物は、水素の雰囲気下、DMF/EtOHのような適切な溶媒中、パラジウムのような適切な触媒を使用して、式(1−9)の化合物の触媒反応から調製し得る。
【0109】
一般式(2−4)の化合物は、スキーム2に示す手順に従ってまた調製し得る。
スキーム2

【0110】
一般式(2−1)の化合物は、文献に記載の公開された方法を用いて調製し得る。式(2−1)の化合物は、エタノールのような溶媒中、0℃から還流の温度において、ベンジルアミンのようなアミンと反応し得、一般式(2−2)の中間体を得る。式(2−2)の化合物は、炭酸水素ナトリウムのような塩基の存在下、DMFのような溶媒中、酢酸ブロモtert−ブチルのような酢酸アルキルと反応してアルキル化し得、一般式(2−3)の化合物を得る。一般式(2−4)の化合物を得るための一般式(2−3)の化合物の環化は、ナトリウムtert−ブトキシドのような塩基を用いて、THFのような溶媒中、−40℃から溶媒の沸点の間の温度において、達成し得る。或いは、一般式(2−4)の化合物は、一等量以上の塩基及び延長した反応時間又はより高温を用いて、一般式(2−2)の化合物から直接調製し得る。
【0111】
その代わりに、式(3−9)の9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン化合物は、スキーム3に概要を示す合成経路を用いて調製し得る。
スキーム3

【0112】
一般式(3−3)の化合物は、式(3−1)の化合物から、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドのような触媒、炭酸水素ナトリウム水溶液のような塩基の存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、室温から還流の間の温度において、又は、70℃から150℃の間の温度における超音波照射下の、ボロン酸又は式(3−2)のボロン酸エステルとの反応によって調製し得る。一般式(3−3)の化合物は、THFのような適切な溶媒中、0℃から50℃の間の温度において、ヘキサメチルジシラザンのような適切な塩基を用いて、環化して式(3−4)の化合物を得る。
【0113】
一般式(3−4)の化合物は次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドのような触媒、及び炭酸ナトリウム水溶液のような塩基の存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、室温から溶媒の還流温度までの温度においてか、又は70℃から150℃の間の温度における超音波照射下、ボロン酸又は式(3−5)のボロン酸エステル(適切な置換基Rを含んでいる)との反応により一般式(3−6)の化合物に変換し得る。その代わりに、式(3−4)の化合物は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド又は[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の存在下、炭酸ナトリウムのような塩基水溶液の存在下又は非存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度の温度においてか、又は70℃から150℃の温度において超音波の存在下、(適切な置換基Rを含んでいる)式(3−5)のアリール又はアルキルスズ化合物とカップリングし得る。
【0114】
一般式(3−6)の化合物は、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のような触媒の存在下、カリウムtert−ブトキシドのような塩基の存在下、DME、又は2又はそれより多い適切な溶媒の混合物のような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度の間の温度においてか、又はBuchwald及びHartwigによる文献に記載の条件に類似の70℃から160℃の間の温度における超音波照射下、一般式(3−7)の化合物との反応により式(3−4)の化合物から調製し得る。
【0115】
式(3−6)の中間体は、臭素のような適切なハロゲン化剤の存在下、酢酸のような適切な溶媒中、20℃から120℃の温度において、次いでハロゲン化し得、式(3−8)の化合物を得る。式(3−8)の化合物は、次いでスキーム1に記載の方法を用いて、式(3−9)の化合物に変換し得る。
【0116】
その代わりに、式(3−4)の化合物は、ハロゲン化して式(3−10)の化合物を得、次いでボロン酸、ボロン酸エステル又はスタナンとの反応によって式(3−11)の化合物に変換し得、次いでRを導入するために記載される類似の条件を用いて式(3−9)の化合物に変換し得る。
式4

【0117】
式(4−1)の化合物は、文献に記載の方法に従って調製し得る。式(4−10)の化合物は、スキーム1に示す通りの、式(1−1)の化合物から式(1−10)の化合物を調製するために記載の方法に類似の方法を用いて、式(4−1)の化合物から得ることができる。
式5

【0118】
一般式(5−2)の化合物は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのような水素化ホウ素の存在下、EtOHのような極性溶媒中、0℃から50℃の間の温度において、アルデヒドを用いた還元的アルキル化によって、式(5−1)の化合物のアルキル化によって調製することができる。式(5−5)の化合物は、スキーム1の式(1−4)の化合物から式(1−6)の化合物を調製するための上記の方法を用いて合成し得る。
スキーム6

【0119】
一般式(6−1)の化合物は、市場から得るか又は、文献に記載の公開された方法を用いて調製することができる。一般式(6−2)の化合物は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライドのような遷移金属触媒、炭酸ナトリウム水溶液のような塩基の存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度までの温度において又は70℃から150℃の温度において超音波の存在下、式(6−1)の化合物、ボロン酸、又はボロン酸エステルから得ることができる。
【0120】
一般式(6−2)の化合物の環化は、ヘキサメチルジシラザンのような適切な塩基を用いて、THFのような適切な溶媒中で、0℃から50℃の温度において実施され得る。一般式(6−3)の化合物は、臭素のような適切なハロゲン化剤を用いて、酢酸のような溶媒中、溶媒の室温から還流温度においてハロゲン化し得、式(6−4)の中間体を得る。
【0121】
式(6−5)の化合物は、スキーム1に示す通り、式(1−6)の化合物から式(1−8)の化合物を調製するための方法に類似の方法を用いて、式(6−4)の化合物から得てもよい。
スキーム7

【0122】
式(7−3)の化合物は、スキーム7に示す手順に従って調製されてもよい。式(7−2)のボロン酸は、ボロン酸トリメチルのようなボロン酸アルキルの存在下、THFのような適切な溶媒中、−78℃から室温の間の温度において、ブチルリチウムのような塩基を用いた処理によって、式(7−1)の化合物から調製されてもよい。
【0123】
その代わりに、式(7−2)のボロン酸エステルは、適切なアルキレートジボランを用いて、ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロライドのような触媒の存在下、酢酸カリウムのような適切な塩基を用いて、ジオキサンのような溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、式(7−1)の化合物から調製されてもよい。
【0124】
式(7−3)の化合物は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライドのような触媒の存在下、酢酸ナトリウム水溶液のような塩基を用いて、アセトニトリルのような適切な共溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、式(7−2)の化合物と適切なハライド(適切な置換基Rを含む)との反応によって調製してもよい。
【0125】
式(7−1)、(7−2)及び(7−3)の化合物の保護基(R)は、合成の任意の段階で操作してもよい。SEM(トリメチルシリルエトキシメチル)のような保護基は、SEM−クロリドのようなアルキル化剤を用いて、DMFのような溶媒中、水酸化ナトリウムのような適切な塩基の存在下、導入することができる。RがSEMのような保護基である式(7−3)の化合物は、フッ化テトラブチルアンモニウムのような試薬を用いて、THFのような溶媒中、−20℃から50℃の温度において、脱保護され得、RがHである化合物を得る。
スキーム8

【0126】
式(8−3)の化合物は、スキーム8に示す手順に従ってまた調製され得る。一般式(8−2)のスタナンは、一般式(8−1)の化合物から塩基と適切なスズハライドを用いてTHFのような適切な溶媒中で調製され得る。
【0127】
その代わりに、一般式(8−2)のスタナンは、適切なアルキル二スズを用いて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような触媒の存在下、トルエンのような溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、一般式(8−1)の化合物から調製され得る。
【0128】
一般式(8−3)の化合物は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような触媒の存在下、ジオキサンのような適切な溶媒中、適切なハライドを用いて、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、一般式(8−2)の化合物から調製され得る。
スキーム9

【0129】
一般式(9−2)の化合物は、ヨウ化銅(II)又は銅粉末のような試薬の存在下、カルボン酸セシウムのような塩基の存在下、DMFのような適切な溶媒中、一般式(HX’-R)の化合物との反応によって、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又はウルマンの文献に記載の条件に類似の、70℃から240℃の温度における超音波照射下、式(9−1)の化合物から調製され得る。
【0130】
一般式(9−2)の化合物は、[1,1’-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のような触媒の存在下、カリウムtert-ブトキシドのような塩基の存在下、DME、又は2以上の適切な溶媒の混合物のような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又はBuchwald及びHartwigの文献に記載の条件に類似の、70℃から160℃の温度における超音波照射下、一般式(HX’-R)の化合物との反応によって、式(9−1)の化合物から調製されてもよい。
【0131】
適切なボロン酸、ボロン酸エステル及びスタナンは、文献に記載の方法又はスキーム10に概要を示した合成経路によって調製し得る。
スキーム10

【0132】
一般式(10−2)の化合物は、n−ブチルリチウムのような試薬をを用いた反応によって、THF又はジエチルエーテルのような極性非プロトン性溶媒中、−100℃から0℃の間の温度において、式(10−1)の化合物から調製し、ボロン酸トリメチル又はボロン酸トリイソプロピルのようなボロン酸エステルを用いて停止し得る。
【0133】
式(10−2)の化合物は、ビス(ピナコラート)ジボランのような試薬を用いて、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のような触媒の存在下、酢酸カリウムのような塩基の存在下、ジオキサン、2以上の適切な溶媒の混合物のような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から160℃の温度における超音波照射下、式(10−3)の化合物から調製し得る。
【0134】
一般式(10−4)の化合物は、ヘキサメチル二スズ又は塩化トリエチルスズのような試薬を用いた反応によって、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような触媒の存在下、炭酸カリウムのような塩基の存在下、DMF、又は2以上の適切な溶媒の混合物のような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から160℃の温度における超音波照射下、式(10−1)の化合物から調製し得る。その代わりに、一般式(10−4)のこれらの化合物は、n−ブチルリチウムのような試薬を用いた反応によって、THFのような適切な非プロトン性溶媒中、−100℃から25℃の間の温度において、式(10−3)の化合物から調製し、次いで、THFのような適切な非プロトン性溶媒中、−100℃から50℃の間の温度において、ヘキサメチル二スズ又は塩化トリエチルスズのような試薬と反応し得る。
【0135】
一般式(10−6)の化合物は、ボロン酸又は式(10−2)(適切な置換基Rを含む)のボロン酸エステルとの反応によって、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド又は[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のような触媒、炭酸ナトリウムのような塩基水溶液の存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、式(10−5)の化合物から得てもよい。その代わりに、式(10−6)の化合物は、アリール又は式(10−4)(適切な置換基Rを含む)のアルキルスズ化合物を用いた反応によって、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド又は[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のような触媒の存在下、炭酸ナトリウムのような塩基性水溶液の存在下又は非存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒中、溶媒の室温から還流温度のような温度においてか、又は70℃から150℃の温度における超音波照射下、式(10−5)の化合物から得てもよい。
スキーム11

【0136】
式(11−7)の化合物は、文献に記載の公表された方法を用いて調製してもよい。式(11−7)の化合物は、スキーム11に概要を示した合成経路を用いて調製してもよい。一般式(11−3)の化合物は、一般式(11−1)の化合物と適切なアルキン(11−2)(カップリング後に改変されずに維持されるか又は他の基R10を得るように後に改変することができる基R10を含む)から、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)及びヨウ化銅(I)のような触媒系の存在下、トリエチルアミン及びDMFのような適切な溶媒の存在下、室温から溶媒の沸点の間の温度において、得てもよい。このようなカップリング反応は、またパラジウム炭素、トリフェニルホスフィン、ヨウ化銅(I)及びトリエチルアミンの存在下、アセトニトリルのような適切な溶媒の存在下、室温から溶媒の還流温度における温度においてか、又は70℃から160℃の温度における超音波照射下、実施され得る。
【0137】
一般式(11−4)の化合物は、一般式(11−3)の化合物及び水素から、リンドラー触媒又は硫酸バリウム上のパラジウムのような適切な触媒の存在下、キノリン及びメタノール又はエタノールのような適切な溶媒の存在下、得てもよい。一般式(11−4)の化合物は、一般式(11−1)の化合物と適切なアルケン(11−5)(カップリング後に改変されずに維持されるか又は他の基R10を得るように後に改変することができる基R10を含む)との反応により、トリエチルアミン又は炭酸カリウムのような塩基、トリフェニルホスフィンのようなホスフィン、酢酸パラジウムのような金属種、アセトニトリルのような溶媒の存在下、室温から溶媒の沸点の間の温度において、また得てもよい。一般式(11−4)の化合物は、ビニルスタナン(11−6)(カップリング後に改変されずに維持されるか又は他の基R10を得るように後に改変することができる基R10を含む)との反応による、一般式(11−1)の化合物の反応によって、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のような金属種の存在下、トルエンのような適切な溶媒中、また得てもよい。
【0138】
一般式(11−7)の化合物は、炭素上のパラジウム又は酸化プラチナ(IV)一水和物の存在下、メタノール又はエタノールのような適切な溶媒中、水素との反応によって、一般式(11−4)又は(11−3)の化合物から得てもよい。
【0139】
これらは、塩化アリルパラジウム(II)ダイマー又はビス(トリ−tert−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)のような触媒及び1,4−ジオキサンのような適切な溶媒の存在下、室温から溶媒の沸点の間の温度において、適切なアルキル亜鉛試薬(11−8)との反応によって、一般式(11−1)の化合物の反応から得てもよい。
スキーム12

【0140】
一般式(12−3)の化合物は、トルエンのような適切な溶媒中、室温から溶媒の沸点の間の温度において、トリメチルシリルアジドのような、適切な1,3−双極(カップリング後に改変されずに維持されるか又は他の基R10を得るように後に改変することができる基R10を含む)を用いた反応によって、一般式(12−1)の化合物から調製してもよい。
【0141】
一般式(12−2)の化合物は、水素のような適切な還元剤を用いて、リンドラー触媒又は硫酸バリウム上のパラジウムのような適切な触媒の存在下、キノリン及びメタノール又はエタノールのような適切な溶媒の存在下、式(12−1)の化合物の還元によって得てもよい。.
【0142】
一般式(12−3)の化合物は、アセトニトリルのような溶媒中、超音波処理の存在下、被存在下のN−メトキシメチル−N−(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン及びフッ化リチウム又はトルエンのような適切な溶媒中のニトロエタン及びフェニルイソシアナートのような、適切な1,3−双極(カップリング後に改変されずに維持されるか又は他の基R10を得るように後に改変することができる基R10を含む)を用いた反応によって、トリエチルアミンのような塩基の存在下、0℃から溶媒の沸点の間の温度において、一般式(12−2)の化合物から調製してもよい。
【0143】
ハロゲン化中間体を調製する場所で、種々の式の化合物がスキーム7、8、9、10、11及び12に示す通りカップリング反応に関与して、R基が続いて更に化学的に改変される水素基以外の官能基である化合物を得ることは当業者によって理解されるであろう。
【0144】
置換基Rは、合成の任意の段階で操作してもよい。例えば、RがHである化合物は、SEMクロリドのようなアルキル化剤を用いて、DMFのような溶媒中、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下、SEM(エトキシトリメチルシリル)のような保護基を付加してもよい。更に、RがSEMのような保護基である種々の式の化合物は、フッ化テトラブチルアンモニウムのような試薬を用いて、THFのような溶媒中で、−20℃から50℃の温度において、脱保護し、RがHである化合物を得てもよい。
【0145】
適切な官能基が存在する場所で、種々の式の化合物又はその調製に用いる任意の中間体は、置換、酸化、還元、又は開列反応を用いた1以上の標準的な合成方法によって更に誘導体化されてもよいことは当業者によって理解されるであろう。特定の置換アプローチは、慣例的なアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、スルホニル化、ハロゲン化、ホルミル化及びカップリング処理を含む。
【0146】
さらなる例において、第一級アミン基又は第二級アミン基は、アシル化により、アミド基(-NHCOR’又はNRCOR’)に変換され得る。アシル化は、適切な酸塩化物との、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下での、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での反応によってか、又は適切なカルボン酸との、適切なカップリング剤(例えば、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート))の存在下での、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での反応によって、達成され得る。同様に、アミン基は、適切な塩化スルホニルとの、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下での、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での反応により、スルホンアミド(-NHSOR’又はNR”SOR’)基に変換され得る。第一級アミン基又は第二級アミン基は、適切なイソシアネートとの、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンの存在下での、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での反応によって、ウレア基(-NHCONR’R”又はNRCONR’R”)に変換され得る。
【0147】
アミン(-NH)は、ニトロ(-NO)基の還元(例えば、金属触媒(例えば、担体(例えば、炭素)上のパラジウム)の存在下で水素を使用する、溶媒(例えば、酢酸エチル又はアルコール(例えば、メタノール))中での触媒的水素化による)によって、得られ得る。あるいは、この変換は、例えば、金属(例えば、スズ又は鉄)を使用する、酸(例えば、塩酸)の存在下での化学的還元によって、行われ得る。
【0148】
さらなる例において、アミン(-CHNH)基は、ニトリル(-CN)の還元(例えば、金属触媒(例えば、担体(例えば、炭素)上のパラジウム又はラネーニッケル)の存在下で水素を使用する、溶媒(例えば、エーテル(例えば、テトラヒドロフランなどの環状エーテル))中での、−78℃〜その溶媒の還流温度までの温度での触媒的水素化)によって得られ得る。
【0149】
さらなる例において、アミン(-NH)基は、カルボン酸基(-COH)から、対応するアシルアジド(-CON)への変換、クルティウス転位、及び得られるイソシアネート(-N=C=O)の加水分解により、得られ得る。
【0150】
アルデヒド基(-CHO)は、アミン及びボロヒドリド(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を使用する、溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)又はアルコール(例えば、エタノール))中での、必要であれば酸(例えば、酢酸)の存在下での、およそ周囲温度での還元的アミノ化によって、アミン基(-CHNR’R”)に変換され得る。
【0151】
さらなる例において、アルデヒド基は、適切なホスホラン又はホスホネートを使用して、当業者に公知である標準的な条件下での、Wittig反応又はWadsworth−Emmons反応の使用によって、アルケニル基(-CH=CHR’)に変換され得る。
【0152】
アルデヒド基は、水素化ジイソブチルアルミニウムを使用する、適切な溶媒(例えば、トルエン)中でのエステル基(例えば、-COEt)又はニトリル(-CN)の還元によって、得られ得る。あるいは、アルデヒド基は、当業者に公知である任意の適切な還元剤を使用する、アルコール基の酸化によって得られ得る。
【0153】
エステル基(-COR’)は、Rの性質に依存して酸又は塩基により触媒される加水分解によって、対応する酸基(-COH)に変換され得る。Rがt−ブチルである場合、酸により触媒される加水分解は、例えば、有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)での、水性溶媒中での処理によってか、又は無機酸(例えば、塩酸)での、水性溶媒中での処理によって、達成され得る。
【0154】
カルボン酸基(-COH)は、適切なアミンとの、適切なカップリング剤(例えば、HATU)の存在下での、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中での反応によって、アミド(CONHR’又はCONR’R”)に変換され得る。
【0155】
さらなる例において、カルボン酸は、対応する酸塩化物(-COCl)への変換、引き続くArndt−Eistert合成によって、1炭素だけ(すなわち、−COHから−CHCOHへ)同族体化され得る。
【0156】
さらなる例において、-OH基は、対応するエステル(例えば、-COR’)又はアルデヒド(−CHO)から、例えば、ジエチルエーテル中もしくはテトラヒドロフラン中で複合金属水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウムを使用する還元、又はメタノールなどの溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムを使用する還元によって生成され得る。あるいは、アルコールは、対応する酸(−COH)の、例えば、テトラヒドロフランなどの溶媒中で水素化アルミニウムリチウムを使用する還元、又はテトラヒドロフランなどの溶媒中でボランを使用する還元によって、調製され得る。
【0157】
アルコール基は、当業者に公知である条件を使用して、脱離基(例えば、ハロゲン原子又はスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基)又はアリールスルホニルオキシ基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ基))に変換され得る。例えば、アルコールは、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)中で塩化チオニルと反応して、対応する塩化物を与え得る。塩基(例えば、トリエチルアミン)がまた、この反応において使用され得る。
【0158】
別の例において、アルコール基、フェノール基又はアミド基は、フェノール又はアミドを、アルコールと、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)及び活性化剤(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、又はアゾジカルボン酸ジメチル)の存在下でカップリングすることによって、アルキル化され得る。あるいは、アルキル化は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)を使用する脱保護、引き続くアルキル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル)の添加によって、達成され得る。
【0159】
化合物中の芳香族ハロゲン置換基は、塩基(例えば、リチウム塩基(例えば、n−ブチルリチウム又はt−ブチルリチウム))を用いて、必要に応じて低温(例えば、約−78℃)で、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で処理することによるハロゲン−金属交換に供され、次いで求電子試薬でクエンチされて、所望の置換基を導入され得る。従って、例えば、ホルミル基は、N,N−ジメチルホルムアミドを求電子試薬として使用することによって、導入され得る。あるいは、芳香族ハロゲン置換基は、金属(例えば、パラジウム又は銅)により触媒される反応に供されて、例えば、酸置換基、エステル置換基、シアノ置換基、アミド置換基、アリール置換基、ヘテロアリール置換基、アルケニル置換基、アルキニル置換基、チオ置換基、又はアミノ置換基を導入され得る。使用され得る適切な手順としては、Heck、Suzuki、Stille、Buchwald又はHartwigにより記載された手順が挙げられる。
【0160】
芳香族ハロゲン置換基はまた、適切な求核試薬(例えば、アミン又はアルコール)との反応後に、求核置換を受け得る。有利には、このような反応は、高温で、マイクロ波照射の存在下で行われ得る。
【0161】
本発明の化合物は、これらの化合物がchk1の活性及び活性化を阻害する能力について(一次アッセイ)、ならびに増殖する細胞に対するこれらの化合物の生物学的効果について(二次アッセイ)、以下に記載されるように試験される。chk1活性及び実施例iの活性化アッセイにおいて10μM未満(より好ましくは5μM未満、なおより好ましくは1μM未満、最も好ましくは0.5μM未満)のIC50を有する化合物、実施例iiの細胞アッセイにおいて10μM未満(より好ましくは5μM未満、最も好ましくは1μM未満)のECを有する化合物、は、chk1インヒビターとして有用である。
【0162】
本発明は式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。本発明はまた式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含み、更にここに記載されるような第2の化学療法剤を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。本発明はまた式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含み、更にここに記載されるものを含むDNA障害剤のような第2の化学療法剤を含む組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。本組成物は異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)中の癌のような過剰増殖障害の治療に有用である。例えば、本化合物及び組成物は、哺乳類(例えば、ヒト)中の、乳癌、結腸直腸癌、悪性脳腫瘍、肉腫、黒色腫、リンパ腫、骨髄腫及び/又は白血病の治療に有用である。
【0163】
本発明は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)中の癌のような過剰増殖障害の治療の方法を含む。例えば、本発明は、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む、哺乳類(例えば、ヒト)中の、乳癌、結腸直腸癌、大腸癌、非小細胞肺癌、悪性脳腫瘍、肉腫、黒色腫、リンパ腫、骨髄腫及び/又は白血病の治療方法を含む。
【0164】
本発明は、ここに記載されるような第二の化学療法剤と組み合わせる、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)中の癌のような過剰増殖障害の治療の方法を含む。本発明は、ここに記載されるものを含むDNA障害剤のような第二の化学療法剤と組み合わせる、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む異常細胞増殖の阻害又は哺乳類(例えば、ヒト)中の癌のような過剰増殖障害の治療の方法を含む。例えば、本発明はここに記載に記載するもののような第二の化学療法剤と組み合わせる、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む哺乳類(例えば、ヒト)中の、乳癌、結腸直腸癌、大腸癌、非小細胞肺癌、悪性脳腫瘍、肉腫、黒色腫、リンパ腫、骨髄腫及び/又は白血病の治療方法を含む。本発明はここに記載に記載するものを含むDNA障害剤のような第二の化学療法剤と組み合わせる、式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)及び/又は(I−h)の化合物(及び/又は溶媒和物、水和物及び/又はその塩)又はその組成物の治療的有効量の前記哺乳類への投与を含む哺乳類(例えば、ヒト)中の、乳癌、結腸直腸癌、大腸癌、非小細胞肺癌、悪性脳腫瘍、肉腫、黒色腫、リンパ腫、骨髄腫及び/又は白血病の治療方法を含む。
【0165】
本発明は、本発明の化合物を、哺乳動物細胞、生物、又は関連する病理学的状態の、インビトロ、インサイツ、及びインビボでの診断又は処置のために使用する方法を包含する。
【0166】
本発明の化合物(本明細書中以下で、「活性化合物」)の投与は、作用の部位への化合物の送達を可能にする、任意の方法によって行われ得る。これらの方法としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、脈管内又は注入が挙げられる)、局所投与、吸入投与及び直腸投与が挙げられる。
【0167】
投与される活性化合物の量は、処置される被験体、障害又は状態の重篤度、投与の割合、化合物の性質、及び処方する医師の判断に依存する。しかし、有効な投薬量は、単回用量又は分割用量で、1日あたり体重1kgあたり約0.001mg〜約100mg、好ましくは約1mg/kg/日〜約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトについては、この量は、約0.05g/日〜7g/日、好ましくは約0.05g/日〜約2.5g/日の量である。いくつかの例において、上記範囲の下限より低い投薬レベルが充分であり得、一方で、他の場合においては、いかなる危険な副作用も引き起こすことなく、さらに大きい用量が使用され得る。ただし、このようなより大きい用量は、最初に、1日にわたる投与のために、数個の小さい用量に分割される。
【0168】
活性化合物は、単独の治療剤として、又は1種以上の化学療法剤又は抗炎症剤(例えば、本明細書中に記載されるもの)と組み合わせて、適用され得る。このような組み合わせの処置は、処置の個々の成分の同時の投薬、連続的な投薬又は別々の投薬によって、達成され得る。
【0169】
薬学的組成物は、例えば、経口投与のために適切な形態(例えば、錠剤、カプセル、丸剤、散剤、徐放製剤、溶液、懸濁物)、非経口注射のために適切な形態(例えば、滅菌された溶液、懸濁液又はエマルジョン)、局所投与のために適切な形態(例えば、軟膏又はクリーム)、あるいは直腸投与のために適切な形態(例えば、坐剤)であり得る。薬学的組成物は、正確な投薬量の1回の投与のために適切な、単位投薬形態であり得る。薬学的組成物は、従来の薬学的担体又は賦形剤、及び活性成分として本発明による化合物を含有する。さらに、この組成物は、他の医薬品又は薬学的薬剤、担体、アジュバントなどを含有し得る。
【0170】
例示的な非経口投与形態としては、滅菌水溶液(例えば、プロピレングリコール又はブドウ糖の水溶液)中の、活性化合物の溶液又は懸濁物が挙げられる。このような投薬形態は、所望であれば、適切に緩衝され得る。
【0171】
適切な薬学的担体としては、不活性な希釈剤又は充填剤、水及び種々の有機溶媒が挙げられる。薬学的組成物は、所望であれば、さらなる成分(例えば、矯味矯臭剤、結合剤、賦形剤など)を含有し得る。従って、経口投与のために、種々の賦形剤(例えば、クエン酸)を含有する錠剤は、種々の崩壊剤(例えば、デンプン、アルギン酸及び特定の複合シリケート)、ならびに結合剤(例えば、スクロース、ゼラチン及びアカシア)と一緒に使用され得る。さらに、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及び滑石)が、しばしば、打錠プロセスのために有用である。類似の型の固体組成物はまた、軟質又は硬質の充填ゼラチンカプセルにおいて使用され得る。従って、好ましい材料としては、ラクトース又は乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。経口投与のために水性の懸濁物又はエリキシルが望ましい場合、その中の活性化合物は、希釈剤(例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、又はこれらの組み合わせ)と一緒に、種々の甘味剤又は矯味矯臭剤、着色物質又は色素、及び所望であれば、乳化剤又は懸濁剤と組み合わせられ得る。
【0172】
活性化合物の特定の量の種々の薬学的組成物を調整する方法は、当業者に知られているか、又は明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Ester, Pa., 15.sup.th Edition (1975)を参照されたい。
【実施例】
【0173】
略語
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
EtOH エタノール
HCl 塩酸
HM−N Isolute(登録商標)HM−Nは水溶液サンプルを効率的に吸収できるケイ藻土改変形態である。
IMS 工業用メチル化酒精
MeOH メタノール
POCl オキシ塩化リン
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
NEt トリエチルアミン
Pddbaトリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
Si−SPE プレパックドIsolute(登録商標)シリカフラッシュクロマトグラフィーカートリッジ
Si−ISCO プレパックドISCORシリカフラッシュクロマトグラフィーカートリッジ
THF テトラヒドロフラン
【0174】
一般的な実験条件
H NMRスペクトルは、三重共鳴5mmプローブを備えるVarian Unity Inova(400MHz)を使用して室温で記録された。化学シフトは、テトラメチルシランと比較してppmで表される。次の略語が使用される。br=ブロードシグナル、s=シングレット、d=ダブレット、dd=ダブルダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチチプレット。
【0175】
保持時間(RT)及び付随する質量イオンを決定するための、高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)実験は、以下の方法の一つを使用することにより実施された。
【0176】
方法A:実験は、ダイオードアレイを備えるHewlett Packard HP1100 LCシステムに連結したWaters Micromass ZQ四重極質量溶媒システムにおいて実施された。このシステムはHiggins Clipeus 5ミクロンC18 100x3.0mmカラムを使用し、1ml/分の流速である。最初の1分について、0.1%のギ酸を含む95%の水(溶媒A)及び0.1%のギ酸を含む5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、次いで続く14分間において、グラジエントを5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまで上げた。最終溶媒システムは、更に5分間一定に維持された。
【0177】
方法B:実験は、Phenomenex Luna C18(2) 30 x 4.6mmカラムを使用して、流速2ml/分で、ダイオードアレイ検出器及び100位置のオートサンプラーを備えるHewlett Packard HP1100 LCシステムに連結したWaters Platform LC四重極質量溶媒システムにおいて実施した。最初の0.50分について、0.1%のギ酸を含む95%の水(溶媒A)及び0.1%のギ酸を含む5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、次いで続く4分間において、グラジエントを5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまで上げた。最終溶媒システムは、更に0.50分間一定に維持された。
【0178】
マイクロ波実験は、単一モードの共鳴装置及び動的電磁場調整を使用するBiotage initiator 60(登録商標)を用いて実施した。40から250℃の温度が達成され得、30barまでの圧力に達し得る。
【0179】
実施例iChk1及びchk2アッセイ(chkプライマリーアッセイ)
【0180】
ヒスチジンタグ化し、昆虫細胞中で発現させた、全長ヒト変異体組換えタンパク質を酵素活性源として使用する(Invitrogen、生成物PV3982からのchk1及び生成物PV3983からのchk2)。
【0181】
chk1アルファスクリーンアッセイは、基質としてビオチン化したAkt基質−1ペプチド(Cell Signalling Technology、製品番号1065)を用いて10μMのATPの存在下30分間実施した。基質のリン酸化はアルファスクリーン技術を用いて検出し定量した。これは、抗ホスホ−Akt基質−1抗体(Cell Signalling technology製品番号9611)及び2個のアルファスクリーンビーズ(Perkin Elmer)から成り、抗体Ig鎖(製品6760137)に結合するProteinAで被覆された製品であり、ビオチン化Akt基質ペプチド−1(製品6760002)上でビオチンに結合するストレプトアビジンで被覆されたものである。Chk1活性はリン酸化Akt基質ペプチド−1の産生の結果となり、抗体の存在下、近傍に運搬される2個のビーズ種を発生させ、Perkin Elmer reader (Fusion)で検出される発光の発生につながるイベントである。
【0182】
ATP放射測定ChK1アッセイは、サンプル毎に0.3μCiの33P−ATPを含む10μMのATPの存在下、ChKTide(ペプチド配列 KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR)を基質として用いて、30分間インキュベーションすることにより実施した。1%のリン酸を用いて酸性にし、取り込まれていないATPを除去するために洗浄した後、Perkin Elmer Topcountを用いて取り込まれた放射能を測定することにより、基質のリン酸化を検出し、定量する。
【0183】
chk2アッセイは基質としてビオチン化チロシンヒドロキシラーゼ(ser40)ペプチド(Cell Signalling Technology、製品番号1132)を用いて30μMのATPの存在下30分間実施する。基質のリン酸化は、アルファスクリーン技術を用いて検出し、定量した。これは、抗ホスホチロシンヒドロキシラーゼ(ser40)ペプチド抗体(Cell Signalling technology製品番号2791)及び2個のアルファスクリーンビーズ(Perkin Elmer)から成り、抗体Ig鎖(製品6760137)に結合するProteinAで被覆された製品であり、ビオチン化チロシンヒドロキシラーゼ(ser40)ペプチド(製品6760002)上でビオチンに結合するストレプトアビジンで被覆されたものである。Chk2活性はリン酸化チロシンヒドロキシラーゼペプチドの産生の結果となり、抗体の存在下、近傍に運搬される2個のビーズ種を発生させ、Perkin Elmer reader (Fusion)で検出される発光の発生につながるるイベントである。
【0184】
ATP放射測定ChK2アッセイは、サンプル毎に0.3μCiの33P−ATPを含む10μMのATPの存在下、ChKTide(ペプチド配列 KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR)を基質として用いて、30分間インキュベーションすることにより実施した。1%のリン酸を用いて酸性にし、取り込まれていないATPを除去するために洗浄した後、Perkin Elmer Topcountを用いて取り込まれた放射能を測定することにより、基質のリン酸化を検出し、定量する。
【0185】
試験化合物はアッセイバッファーに添加する前にDMSO中で希釈し、アッセイ中の最終DMSO濃度は1%である。
【0186】
IC50は、与えた試験化合物がコントロールの50%阻害に達した濃度として定義される。IC50値は、XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を用いて計算する。
【0187】
実施例1−25の試験した標題の化合物は、chk1に対する実施例iに記載のアッセイ中、5μMより小さいIC50を示した。
【0188】
実施例ii 細胞アッセイ(チェックポイント異常)
【0189】
化合物はヒト結腸直腸腺癌由来の細胞株HT−29(ATCC HTB−38)細胞アッセイ中で試験する。
【0190】
細胞株は、5%COの加湿インキュベーター中、10%のFCSを添加したDMEM/F12(1:1)培地(Invitrogen Gibco、番号31331)中で維持した。
【0191】
細胞は96ウェルプレートに30000細胞/ウェルで播き、24時間後、0.4%のDMSO中、20nMのSN−38に曝す。各プレートの8ウェルの一列は、最大シグナルコントロールを得るために使用した。これらの細胞は、SN−38の非存在下、0.4%のDMSOで処理する。細胞は、更に16時間培養し、次いでSN−38を添加するか又はしないDMSOを含む培地を除き、300nMのノコダゾ−ルのみを含む(ベースラインを決めるため)か又はchk1インヒビターの10の濃度の組み合わせ(最終DMSO濃度は0.4%)の培地で交換する。細胞は、更に24時間培養する。培地を除き、プロテアーゼインヒビターとホスファターゼインヒビターを含む50μlの溶解バッファーと交換する。該バッファーは、細胞破壊を起す洗剤を含む。完全な細胞の破壊の後、25μlの溶解物をMesoScale96ウェルの、トリス緩衝生理食塩水中の3%のウシ血清アルブミンで事前にブロックしたヒストンH3に対する抗体(MesoScale Discovery (MSD) Product K110EWA-3)で被覆した4−スポットプレートに移す。溶解物のMDSプレートへの移動後、溶解物中のヒストンH3を、2時間室温でインキュベーションすることにより、被覆した抗体上で捕捉した。捕捉ステップ後、プレートを洗浄し、次いでSulfo−タグにコンジュゲートしたリン酸化ヒストンH3に対する抗体と共にインキュベートする。このタグはMSDプレートの底の電極の近辺の場合シグナルを与える。捕捉したタンパク質に対するタグ化した抗体の結合により、MSDリーダー上の検知が可能になる。
【0192】
EC50は、300nMのノコダゾ−ル単独によって得られるシグナルと比較し、通常のシグモイドの投与応答曲線の範囲内において、所定の化合物がホスホ−ヒストンH3の測定したレベルの50%減少を達成する濃度として定義される。EC50値は、XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)又は可変の傾きを持つシグモイド曲線をフィットするGraphpad Prism(バージョン3.03)を使用して計算する。
【0193】
実施例1から25の試験した標題の化合物は、実施例iiに記載のアッセイ中、10μMよりも小さいEC50を示した。.
【0194】
3−アミノ−5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸アミド

【0195】
工程1: 2−(3−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−アセトアミド

【0196】
Kaspersen, Frans M. 等, Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals (1989), 27(9), 1055-68の処理後、グリシンアミド(8.8g、79.4mmol)及び炭酸ナトリウム(4.6g、43.3mmol)をDMSO(200ml)中に懸濁し、16時間室温で攪拌した。セライトを通して濾過することにより固体を除き、濾液を2−クロロニコチンにトリル(10.0g、72.2mmol)とフッ化カリウム(10.0g、173.3mmol)で処理し、4時間120℃で加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いで水(800ml)で希釈した。沈殿した固体を濾過して回収し、ジクロロメタン(50ml)と水(50ml)で洗浄し、次いでジエチルエーテル(100ml)で練和し、濾過し、放置し、風乾し、灰白色固体(6.7g、53%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、400MHz)8.26(dd、J=4.9Hz、1.8Hz、1H)、7.93(dd、J=7.6Hz、1.8Hz、1H)、7.40(s、1H)、7.12(t、J=4.9Hz、1H)、7.00(s、1H)、6.69(dd、J=7.6Hz、4.9Hz、1H)、3.34(s、2H)。
【0197】
工程2:2−(5−ブロモ−3−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−アセトアミド

【0198】
N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)中のN−ブロモスクシンアミド (7.1g、38.2mmol)溶液をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中の2−(3−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−アセトアミドの懸濁液に25分かけて滴下して添加した。完全に添加した後、混合物を室温で16時間攪拌し、次いで水(400ml)に注いだ。沈殿固体を濾過して回収し、水(50ml)で洗浄し、放置して風乾し、白色固体として標題の化合物(8.35g、96%)を得た。H NMR(DMSO−D、300MHz)8.35(d、J=2.5Hz、1H)、8.24(d、J=2.5Hz、1H)、7.36−7.44(m、2H)、7.01(s、1H)、3.85(d、J=5.6Hz、1H)。LCMS(方法B):R=2.23分、M+H=255/257。
【0199】
工程3: 3−アミノ−5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸 アミド

【0200】
エタノール(150ml)中の2−(5−ブロモ−3−シアノ−ピリジン−2−イルアミノ)−アセトアミド(8.35 g、32.7mmol)と炭酸水素ナトリウム(5.5 g、65.5mmol)の懸濁液を66時間還流下加熱した。混合物を冷却して室温にし、次いで氷/水浴中でさらに冷却した。沈殿した固体を濾過して回収し、エタノール(15ml)、水(2x20ml)、エタノール(20ml)及びジエチルエーテル(20ml)で洗浄し、放置して風乾し、黄色固体として標題の化合物(5.9g、71%)を得た。H NMR(DMSO−D、300MHz)8.38(d、J=2.3Hz、1H)、8.32(d、J=2.3Hz、1H)、7.19(s、2H)、5.82(s、2H)。LCMS(方法B):R=2.38分、M+H=255/257。
一般的な酸クロリドの調製
【0201】
他に言及しない場合、酸クロリド中間体は、市場で得るか、文献の方法を用いて調製するか又は当業者によって容易に調製することができる。
【0202】
1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボニルクロリド

【0203】
工程1: 1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル

【0204】
アセトン(20ml)中の1H−ピラゾール−4−カルボン酸 エチルエステル(0.55g、3.95mmol)、4−メトキシベンジルブロミド(0.74g、4.74mmol)及び炭酸カリウム(1.64g、11.9mmol)の溶液を、室温で16時間攪拌し、次いで1時間50℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下濃縮し、次いで水で希釈し、ジクロロメタン(4x20ml)で抽出した。濃縮した有機相を飽和塩化アンモニウム溶液(20ml)と食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して蒸発させた。得られた残渣をシリカ(ISCO、40g)上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチル(0から30%)のグラジエントでペンタンを用いて抽出した。適切な画分を回収し無色油として標題の化合物を得た。H NMR(CDCl,300MHz)7.92(s、1H)、7.81(s、1H)、7.33−7.15(m、2H)、6.92−6.86(m、2H)、5.23(s、2H)、4.26(q、J=7.1Hz、2H)、3.81(s、3H)、1.29(t、J=7.1Hz、3H).LCMS(方法B):R=3.27分、M+H=261。
【0205】
工程2: 1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸

【0206】
IMS(6ml)中の1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(0.50g、1.91mmol)と1Mの水酸化ナトリウム(5.7ml、5.7mmol)を室温で16時間攪拌した。反応混合物を次いで濃縮し元の体積の約半分とした。濃縮物のpHは1Mの塩酸を添加することにより4に調製し、混合物を酢酸エチル(4x10ml)によって抽出した。濃縮した有機相を食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して蒸発させ、白色固体(0.44g、99%)として標題の化合物を得た。H NMR(CDOD、300MHz)8.11(s、1H);7.87(s、1H);7.30−7.17(m、2H);6.93−6.85(m、2H);5.26(s、2H);3.77(s、3H).LCMS(方法B):R=2.52分、M+H=233。
【0207】
工程3: 1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボニルクロライド

【0208】
1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(0.45g、1.94mmol)、オキサリルクロリド(1.2ml)及びDMF(1滴)の混合物を60Cで1時間加熱した。該混合物を室温まで冷却し、蒸発させ、無色オイル(0.48g、99%)として標題の化合物を得た。該物質は、更に精製せずに、次の工程に用いた。
方法1
【0209】
ピリジン(15ml/mmol)中の3−アミノ−5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸 アミド(1.0等量)及び適切な酸クロリド (1.2等量)の懸濁液を80℃で18時間加熱した。混合物を室温まで冷却し次いで水に注いだ。得られた沈殿固体を濾過して回収し、水及びジエチルエーテルで洗浄し、高圧下60℃で乾燥し、標題の化合物を得た。
表1: 3−カルボニルアミノ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン実施例


一般的な方法2
【0210】
10%w/wの水酸化カリウム水溶液(3ml/mmol)とエタノール(1.5ml/mmol)中の適切な5-ブロモ-3-カルボニルアミノ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-2-カルボン酸アミド(1.0等量) の懸濁液を超音波照射下170℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水で希釈し、得た沈殿固体を濾過して回収した。固体を水、メタノール:ジエチルエーテル及びジエチルエーテルで洗浄し、風乾した。
表2: 3−ブロモ−7,9−ジヒドロ−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン−8−オン 実施例


一般的なホウ酸/ホウ酸エステル精製法
【0211】
ホウ酸とホウ酸エステルを下記のカップリングの一般的な方法を用いて適切なアリールハライド中間体から調製した。全てのアリールハライド中間体は、市場で利用可能であるか、文献の方法を用いて調製するか又は当業者によって容易に調製できる。幾つかの場合、中間体は単離されず、カップリング反応は未精製のホウ酸/ホウ酸エステル上で実施した。スズキ反応は市場で得るか又は上記の処理で調製される化合物から得られるホウ酸/ホウ酸エステルを用いて実施した。次いで、必要であれば、任意の保護基は、下記の脱保護条件の一つを用いて除去した。スチレ反応は市場で得るか又は上記の処理で調製される化合物を用いて実施した。次いで、必要であれば、任意の保護基は、下記の脱保護条件の一つを用いて除去した。
【0212】
方法A:適切なアリールハライド(1から3等量)を不活性雰囲気下THFの混合物中で懸濁し、次いでnブチルリチウム(1から3等量)を−78℃で添加した。この温度で5から30分間後、ホウ酸トリアルキル(1から3等量)を添加し、次いで反応混合物を室温まで加熱し、塩化アンモニウムを添加して停止した。得た混合物を下記の一般的な精製方法の一つで精製するか又は未精製物を次の工程に用いた。
【0213】
方法B:ビス(ピナコラト)ジボロン(1から2等量)、酢酸カリウム水溶液及び1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(5から10mol%)を添加する前に、適切なアリールハライド(1−3等量)をジオキサンとDMSOの混合物中に懸濁し、次いで、混合物を1から20分間超音波照射(100から160℃)しながら加熱した。得た混合物を下記の一般的な精製方法の一つで精製するか又は未精製物を次の工程に使用した。
【0214】
方法C:適切な求電子剤(1から2等量)及び炭酸カリウム(3から5等量)をアセトニトリル中の4,4,5,5−テトラメチル−2(1H−ピラゾール−4−イル)−1,3,2−ジオキサボロランに添加し、還流下1から7日間攪拌した。混合物を下記の一般的な精製法の一つによって精製した。
【0215】
方法D:適切な(ブロモメチル)フェニルボロン酸(1等量)をヨードナトリウム(0.05等量)、炭酸カリウム(3等量)と共にアセトニトリル中で攪拌し、適切なアミン(1.2等量)を添加した。混合物を2時間50℃まで加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで、揮発性の混合物を真空で除去し、残渣をMeOH中で再懸濁した。得た固体を濾過で除去し、次いでメタノール溶液を回収し、減圧下で濃縮して乾燥した。得たボロン酸は更に精製せずに使用した。
一般的な方法3
【0216】
無水アセトニトリル(2ml/mmol)及び1Mの炭酸ナトリウム水溶液(2.5ml/mmol)中の適切なホウ酸/ホウ酸エステル(1から3等量)及び適切な6−置換−3ブロモ−7,9−ジヒドロ−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン−8−オン(2.5ml/mmol)の脱気懸濁液をビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(5から10モル%)で処理し、混合物を1から30分間超音波照射下(100から160℃)で加熱した。得た残渣を下記の一般的な精製法の一つで精製した。
表3: 3−置換−7,9−ジヒドロ−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン−8−オン 実施例


一般的な方法4
【0217】
適切な7,9−ジヒドロ−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン−8−オン(1等量を不活性雰囲気下、ニートのPOCl中で懸濁し、次いで還流下30分から18時間又は超音波照射下120℃から180℃で20から60分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し蒸発させた。得た残渣を氷で処理し、水相のpHを飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加することにより7から9までに調整した。得た固体を濾過で回収し、水及びジエチルエーテルで洗浄し、未精製物を次の工程に使用した。
表4: 8−クロロ−9H−1,5,7,9−テトラアザフルオレン実施例


一般的な方法5 : クロロ中間体の還元
【0218】
方法A:適切な8−クロロ−9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン(1.0 等量)及び Pd/C(10%w/w、0.2等量)をDMF/EtOH/NEt(20−40ml/mmol)中に懸濁し、水素の雰囲気下1時間から18時間水素化した。濾過により触媒を除き、濾液を蒸発させ残渣を得た。得た残渣を下記の一般的な精製法の一つによって精製した。
【0219】
方法B:水素化ホウ素ナトリウム(3.0等量)をメタノール中(300から400ml/mmol)の適切な8−クロロ−9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン(1.0等量)に添加し、分析(TLC/LCMS)が反応が完了したことを示すまで、必要であれば、更に水素化ホウ素ナトリウムを添加し、得た混合物を室温で攪拌した。水を反応混合物に添加し、次いで減圧下で混合物を濃縮した。得た残渣を下記の一般的な精製法の一つによって精製した。
表5: 9H−1,5,7,9−テトラアザフルオレン実施例


精製の一般的な方法
方法A: Si−SPE又はSi−ISCO、酢酸エチル/DCMグラジエント
方法B: Si−SPE又はSi−ISCO、メタノール/DCMグラジエント
方法C : メタノール中の基質の溶液をIsolute(登録商標)SCX−2カートリッジに搭載した。所望の生成物を2MのMeOH中のアンモニアを用いて抽出する前に、カートリッジを次いでメタノールで洗浄した。
方法D: 逆相HPLC Phenomenex Gemini C18、アセトニトリルのグラジエント上の20mMの水中のトリエチルアミン
方法E: Si−SPE又はSi−ISCO、メタノール/DCMグラジエント中の2MのNH3
方法F: 酢酸エチル/ メタノール再結晶化
方法G: 反応混合物から単離し、水で徹底的に洗浄した固体
方法H: Si−SPE又はSi−ISCO、メタノール/DCMグラジエント中の2Mのアンモニア
方法I: 反応混合物を水で希釈し、濾過し、得た固体をTHFで洗浄した。
方法J: 反応混合物を水で希釈し、濾過し、得た固体を水とジエチルエーテルで洗浄した。
一般的な方法からの逸脱:
メタノール中での粉末化;酢酸エチル中での粉末化、アセトニトリル中での粉末化;DMSO−水からの再結晶化;ジエチルエーテル中での粉末化。
【0220】
実施例24: 8−メチル−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン

【0221】
テトラメチルスズ(0.023ml、0.168mmol)をDMF(2ml)中の8−クロロ−3−[4−(4−メチル−ピペラジン−1イル)−フェニル]−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−9H−1,5,7,9−テトラアザ−フルオレン[13](70mg、0.153mmol)、リチウムクロリド(19mg、0.458mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(11mg、0.015mmol)の脱気した懸濁液に添加し、140℃で20分間超音波下で加熱した。反応混合物を水(10ml)で希釈し、沈殿固体を濾過で除去し、次いで水とジエチルエーテルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、得た残渣をジエチルエーテル次いでメタノールを用いて砕き、クリーム色の固体(29mg、43%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、400MHz)12.35(s、1H)、8.93(d、J=2.2Hz、1H)、8.68(d、J=2.2Hz、1H)、8.35(s、1H)、8.06(s、1H)、7.70(d、J=8.8Hz、2H)、7.07(d、J=8.8Hz、2H)、3.91(s、3H)、3.21(t、J=4.9Hz、4H)、2.79(s、3H)、2.47−2.45(m、4H)、2.23(s、3H)。LCMS(方法A):R=5.55分、M+H=439。
【0222】
実施例25: 8−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル

【0223】
工程1: 3−アミノ−2’−フルオロ−[2,3’]ビピリジンイル−6−カルボニトリル

【0224】
1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液(2.5ml)とアセトニトリル(2.5ml)中の5−アミノ−6−ブロモ−ピリジン−2−カルボニトリル(293mg、1.48mmol)、2−フルオロピリジンボロン酸(250mg、1.77mmol)及びビス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(104mg、0.15mmol)の脱気懸濁液を25分間、140℃で超音波下加熱した。 混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(75ml)と水(30ml)で分離した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して蒸発させた。得た残渣をシリカ(ISCO、40g)上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチル(20から100%)のグラジエント上シクロヘキサンで抽出した。適切な画分を回収することにより白色固体(190mg、60%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、300MHz)8.35(ddd、J=4.9Hz、2.0Hz、1.1Hz、1H)、8.03(ddd、J=9.4Hz、7.4Hz、2.0Hz、1H)、7.54(d、J=8.4Hz、1H)、7.41(ddd、J=7.4Hz、4.9Hz、2.1Hz、1H)、7.12(d、J=8.4Hz、1H)。LCMS(方法B):R=2.27分、M+H=215。
【0225】
工程2: 5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル

【0226】
ヘキサメチルジシラザンナトリウム(THF、1.33ml中1M、1.33mmol)をTHF(10ml)中の3−アミノ−2’−フルオロ−[2,3’]ビピリジニル6−カルボニトリル(190mg,0.89mmol)に5分かけて滴下して添加した。滴下が完了したら、混合物を18時間、50℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで水(50ml)及び酢酸エチル(50ml)を添加した。沈殿固体を濾過して回収し、水(10ml)及びジエチルエーテル(20ml)で洗浄し、風乾し、褐色固体(95mg、55%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、400MHz)8.70−8.66(m、2H)、8.11−8.01(m、2H)、7.42(dd、J=7.7Hz、4.9Hz、1H)。LCMS(方法B):R=2.43分、M+H=195。
【0227】
工程3: 8−ブロモ−5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル

【0228】
臭素(0.06 ml、1.16 mmol)を酢酸(10ml)中の5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル(75mg、0.39mmol)と酢酸ナトリウム(98mg、1.19mmol)の懸濁液に滴下して添加した。 滴下が完了したら、混合物を30分間、80℃で加熱し、次いで室温まで冷却した。反応混合物を蒸発させ、得た残渣を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(2ml)次いで水(5ml)で処理し、水相のpHを次いで飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することにより9を調整した。固体を濾過して回収し、水(5ml)及びジエチルエーテル(10ml)で洗浄し、次いで、高圧下、50℃で乾燥し、灰白色固体(95mg、89%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、300MHz)8.91(d、J=2.3Hz、1H)、8.75(d、J=2.3Hz、1H)、8.14−8.06(m、2H)。LCMS(方法B):R=3.08分、M+H=274/276。
【0229】
工程4: 8−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−yl)−フェニル]−5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル

【0230】
1Nの炭酸ナトリウム水溶液(2ml)とアセトニトリル(2ml)中の8−ブロモ−5H−ジピリド[2,3−b;2’,3’−d]ピロール−2−カルボニトリル(92mg,0.34mmol)、4−(4−メチルピペラジン−1−yl)フェニルボロン酸、ピナコールエステル(122mg,0.40mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(12mg、0.02mmol)の脱気懸濁液を、20分間140℃で、超音波の照射下加熱した。沈殿固体を濾過して回収し、アセトニトリル(2ml)、水(2ml)及びジエチルエーテル(5ml)で洗浄し、風乾した。固体をHM−Nにプレ吸収させ、シリカ(ISOC、12g)上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、メタノールのグラジエント(0から20%)上のジクロロメタンで抽出した。適切な画分を回収し、加熱したメタノールで砕き、黄色固体(65mg、52%)として標題の化合物を得た。H NMR(DMSO−D、300MHz)8.93(d、J=2.3Hz、1H)、8.82(d、J=2.3Hz、1H)、8.09−8.02(m、2H)、7.73(d、J=8.5Hz、2H)、7.08(d、J=8.5Hz、2H)、3.26−3.16(m、4H)、2.53−2.45(m、4H)、2.24(s、3H)。LCMS(方法A):R=5.74分、M+H=369。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)、又は(I−h):

[上式中、
XはCR又はNであり;
YはCR又はNであり;
ZはCR7a又はNであり;
WはCR8a又はNであり;但し、(i)Z及びWは双方が同時にNではなく、(ii)X及びYは双方が同時にNではなく;
はH、ハロ、CN、CF、-OCF、-OH、-NO2、-Cアルキル、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、又はN(R22)であり;
はH、ハロ、-O-R、-N(R22)-R、-S(O)-R、又はRであり;
pは0、1又は2であり;
はH、ハロ、CN、CF、-OCF3、OH、-NO、-(CR1415)C(=Y’)OR11、-(CR1415)C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、-(CR1415)S(O)11、-(CR1415)NR12C(=Y’)R11、-(CR1415)NR12C(=Y’)OR11、-(CR1415)NR12C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12SO11、-(CR1415)OC(=Y’)R11、-(CR1415)OC(=Y’)NR1112、-(CR1415)S(O)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
nは独立して0から5であり;
はH、CN、CF、OH、-(CR1415)C(=Y’)OR11、-(CR1415)C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12C(=Y’)R11、-(CR1415)NR1112、-(CR1415)OR11、-(CR1415)S(O)11、-(CR1415)NR12C(=Y’)OR11、-(CR1415)NR12C(=Y’)NR1112、-(CR1415)NR12SO11、-(CR1415)OC(=Y’)R11、-(CR1415)OC(=Y’)NR1112、-(CR1415)S(O)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
はH、CN、-CF、-OCF、ハロ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-OR11、-OC(=Y’)R11、-NR1112、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=Y’)NR1112、-NR12S(O)11、-SR11、-S(O)R11、-S(O)11、-OC(=Y’)NR1112、-S(O)NR1112、-S(O)(OR11)、-SC(=Y’)R11、-SC(=Y’)OR11、-SC(=Y’)NR1112、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR13基で置換されていてもよく;
7aはH、ハロ、-CN、-OH、-NO、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、前記アルキルは、ハロ、N(R22)又はOR22から選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
7bはH、ハロ、-OH、-CN、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、前記アルキルは、ハロ、N(R22)又はOR22から選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
8aはH、ハロ、-CN、-NO、-N(R22)、-OH、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、それぞれの前記アルキルは、1から3個のハロゲン基で置換されていてもよく;
8bはH、-OH、-CN、-O(C-Cアルキル)、又はC-Cアルキルであり、ここで、それぞれの前記アルキルは1から3個のハロ基で置換されていてもよい;
それぞれのRは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは、独立して、1から3個のR10基から置換され;
それぞれのR10は、独立してH、CN、-CF、-OCF、-NO、ハロ、R11、-OR11、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=NR12)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、オキソ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-S(O)11、-NR12C(=Y’)OR11、-NR12C(=Y’)NR1112、-OC(=Y’)R11、-OC(=Y’)NR1112、又は-S(O)NR1112であり、それぞれのR10は独立してH、CN、-CF、-OCF、-NO、ハロ、R11、-OR11、-NR12C(=Y’)R11、-NR12C(=NR12)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、オキソ、-C(=Y’)OR11、-C(=Y’)NR1112、-S(O)11、-NR12C(=Y’)OR11、-NR12C(=Y’)NR1112、-OC(=Y’)R11、-OC(=Y’)NR1112、又は-S(O)NR1112であり;
それぞれのqは独立して1又は2であり;
11及びR12は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、1から4個のR13基で置換されていてもよく、ここで、2個のジェミナルなR13基は、それらが結合している原子と一緒になってO、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する3から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR13基で置換されてもよく;
11及びR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR13基で置換されてもよく;
それぞれのR13は独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-(CR1415)C(=Y’)R16、-(CR1415)C(=Y’)OR16、-(CR1415)C(=Y’)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)SR16、-(CR1415)NR16C(=Y’)R17、-(CR1415)NR16C(=Y’)OR17、-(CR1415)NR17C(=Y’)NR1617、-(CR1415)NR17SO16、-(CR1415)OC(=Y’)R16、-(CR1415)OC(=Y’)NR1617、-(CR1415)S(O)R16、-(CR1415)S(O)16、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16であり;
14及びR15は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR18基で置換されていてもよく;
16及びR17は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR18基で置換されていてもよく;
16及びR17は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR18基で置換されてもよく;
それぞれのR18は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-(CR1920)C(=Y’)R23、-(CR1920)C(=Y’)OR23、-(CR1920)C(=Y’)NR2324、-(CR1920)NR2324、-(CR1920)OR23、-(CR1920)-SR23、-(CR1920)NR24C(=Y’)R23、-(CR1920)NR24C(=Y’)OR23、-(CR1920)NR22C(=Y’)NR2324、-(CR1920)NR24SO23、-(CR1920)OC(=Y’)R23、-(CR1920)OC(=Y’)NR2324、-(CR1920)S(O)R23、-(CR1920)S(O)23、又は-(CR1920)S(O)NR2324であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは1から4個のR21基で置換されていてもよく;
19及びR20は独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR25基で置換されていてもよく;
23及びR24は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは1から4個のR21基で置換されていてもよく;
23及びR24は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR21基で置換されてもよく;
それぞれのR21は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、CF、-OCF、-NO、オキソ、-C(=Y’)R25、-C(=Y’)OR25、-C(=Y’)NR2526、-NR2526、-OR25、-SR25、-NR26C(=Y’)R25、-NR26C(=Y’)OR25、-NR22C(=Y’)NR2526、-NR26SO25、-OC(=Y’)R25、-OC(=Y’)NR2526、-S(O)R25、-S(O)25、又は-S(O)NR2526であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは1から4個のR25基で置換されていてもよく;
それぞれのR25及びR26は独立してH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、1から4個のハロ、-CN、-OCF、-CF、-NO、-C-Cアルキル、-OH、オキソ、-SH、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-SO(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C-Cアルキル)、-C(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)(C-Cアルキル)、-NHC(O)(C-Cアルキル)、-NHSO(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)SO(C-Cアルキル)、-SONH、-SONH(C-Cアルキル)、-SON(C-Cアルキル)、-OC(O)NH、-OC(O)NH(C-Cアルキル)、-OC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)O(C-Cアルキル)、及び-N(C-Cアルキル)C(O)O(C-Cアルキル)から選択される基で置換されていてもよく;
25及びR26は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する5から6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のハロ、-CN、-OCF、-CF、-NO、-C-Cアルキル、-OH、オキソ、-SH、-O(C-Cアルキル)、-S(C-Cアルキル)、-NH、-NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)、-SO(C-Cアルキル)、-COH、-CO(C-Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C-Cアルキル)、-C(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)(C-Cアルキル)、-NHC(O)(C-Cアルキル)、-NHSO(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)SO(C-Cアルキル)、-SONH、-SONH(C-Cアルキル)、-SON(C-Cアルキル)、-OC(O)NH、-OC(O)NH(C-Cアルキル)、-OC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)NH(C-Cアルキル)、-N(C-Cアルキル)C(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)NH(C-Cアルキル)、-NHC(O)N(C-Cアルキル)、-NHC(O)O(C-Cアルキル)、及び-N(C-Cアルキル)C(O)O(C-Cアルキル)から選択される基で置換されてもよく;
Y’は独立してO、NR22、又はSであり;及び
それぞれのR22は独立してH又はC-Cアルキルである]
の化合物、又は溶媒和物、水和物、又はその塩。
【請求項2】
XはCRである、請求項1の化合物。
【請求項3】
はHである、請求項2の化合物。
【請求項4】
YはCRである、請求項2又は3の化合物。
【請求項5】
はHである、請求項4の化合物。
【請求項6】
ZはCR7aである、請求項4又は5の化合物。
【請求項7】
7aはHである、請求項6の化合物。
【請求項8】
ZはNである、請求項4又は5の化合物。
【請求項9】
WはCR8aである、請求項6から8の何れか一項の化合物。
【請求項10】
8aはHである、請求項9の化合物。
【請求項11】
はBrである、請求項9又は10の化合物。
【請求項12】
はRである、請求項9又は10の化合物。
【請求項13】
はC-Cアルキニル、Cアリール、又は5から6員の単環又は、N、O及びSから選択される1から2個の環原子を有する8から10員の二環ヘテロアリールであり;Rのそれぞれのメンバーは、独立して1から2個のR10基で置換される、請求項12の化合物。
【請求項14】
はプロピニル、フェニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、又はベンゾチエニルであり、ここで、Rのそれぞれのメンバーは独立して1から2個のR10基で置換される、請求項13の化合物。
【請求項15】
は1から2個のR10基で置換されるフェニルである、請求項14の化合物。
【請求項16】
10はハロ、R11、-OR11、CN、-CF、-OCF、-NR12C(=O)R11、-NR12S(O)11、-SR11、-NR1112、-C(=O)NR1112、-S(O)11、又は-S(O)NR1112であり、ここで、R11とR12は結合しているN原子と一緒になって、O、S、及びNから選択される付加的な0から2個のヘテロ原子を有する4から7員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR13基で置換されてもよい、請求項14又は15の化合物。
【請求項17】
10はR11である請求項16の化合物。
【請求項18】
11はC-Cアルキル、又は5から6員の単環又はN及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは、1から4個のR13基で置換されていてもよく、ここで、2個のジェミナルなR13基はそれらが結合している原子と一緒になって、O、S、及びNから選択されるヘテロ原子を有する6員環を形成してもよく、前記環は1から4個のR18基で置換されていてもよい、請求項17の化合物。
【請求項19】
11はC-Cアルキルであり、ここで、アルキルは1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13は独立してハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16である、請求項18の化合物。
【請求項20】
11は5から6員の単環又はN及びOから選択される1から2個のヘテロ原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで、前記アルキル及びヘテロシクリルは1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13は、独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16である、請求項18の化合物。
【請求項21】
10は-OR11である請求項16の化合物。
【請求項22】
11はH、C-Cアルキル、又は5から6員の単環又は1から2個の窒素原子を有する8から10員の二環ヘテロシクリルであり、ここで前記アルキル又はヘテロシクリルは、1から2個のR13基で置換されていてもよく、ここで、それぞれのR13は、独立して、ハロ、CN、CF、-OCF、オキソ、-(CR1415)C(O)OR16、-(CR1415)C(O)NR1617、-(CR1415)NR1617、-(CR1415)OR16、-(CR1415)NR16C(O)R17、-(CR1415)S(O)NR1617、又はR16である、請求項21の化合物。
【請求項23】
はHである、請求項11から22の何れか一項の化合物。
【請求項24】


である、請求項11から22の何れか一項の化合物。
【請求項25】
はCN、ハロ、-C(O)NR1112、-OR11、-NR1112、-NR12C(O)R11、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、1から2個のヘテロ原子を有する5から6員のヘテロシクリル、Cアリール、又は1から2個のヘテロ原子を有する5から6員のヘテロアリールであり;前記アルキルは1から2個のH以外のR13基で置換されていてもよく;前記シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリールは1から2個のR13基で置換されていてもよく;ヘテロ原子はN、O及びSから選択されてもよく;それぞれのR12は、H又はC-Cアルキルであり、それぞれのR11は独立してH又は1から2個のR13基で置換されていてもよいC-Cアルキルである、請求項23の化合物。
【請求項26】
はCNである請求項25の化合物。
【請求項27】
はメチルで置換されていてもよいピリジル、又はピラゾリルである請求項25の化合物。
【請求項28】
実施例1から25の標題の化合物。
【請求項29】
請求項1から28の何れか一項の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物。
【請求項30】
第二の化学療法在剤を更に含む、請求項29の薬学的組成物。
【請求項31】
前記第二の化学療法剤がDNA障害剤である、請求項30の薬学的組成物。
【請求項32】
前記哺乳類への請求項29から31の何れか一項の薬学的組成物の治療的有効量の投与を含む、異常細胞増殖の阻害又は哺乳類の過剰増殖障害の治療方法。
【請求項33】
前記哺乳類への請求項29から31の何れか一項の薬学的組成物の治療的有効量の投与を含む、哺乳類の癌治療の方法。
【請求項34】
癌が乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、悪性脳腫瘍、肉腫、黒色腫、リンパ腫、骨髄腫及び白血病から選択される、請求項33の方法。
【請求項35】
前記第二の化学療法剤が前記哺乳類に逐次的又は連続的に投与される、請求項32から34の何れか一項の方法。

【公表番号】特表2011−522888(P2011−522888A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513493(P2011−513493)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/003481
【国際公開番号】WO2009/151589
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】