説明

ジアリールエーテル類

いかなる可能な立体異性体も包含する式(I)の化合物、またはそれらの製薬学的に許容できる塩および/若しくは溶媒和物、ならびに製薬学的製剤、ならびにHCV阻害剤としての式Iの化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)によりコードされるNS5Aタンパク質の阻害剤であるジアリールエーテル類、およびHCVの処置若しくは予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、ヘパシウイルス属のウイルスのフラビウイルス科に属する一本鎖+センスRNAウイルスである。該ウイルスゲノムは、複数の構造および非構造タンパク質をコードする単一オープンリーディングフレームになる。
【0003】
初期急性感染後、感染した個体の大多数は慢性肝炎を発症する。HCVは優先的に肝細胞中で複製するがしかし直接細胞壊死性ではないためである。とりわけ、活発なTリンパ球応答の欠如および該ウイルスの変異する高い傾向が高率の慢性感染を促進するようである。慢性肝炎は、肝硬変、末期肝疾患およびHCC(肝細胞癌)に至る肝線維化に進行して、それを肝移植の第一位の原因にし得る。
【0004】
6種の主要なHCV遺伝子型および50以上のサブタイプが存在し、それらは地理的に異なって分布されている。HCV遺伝子型1は欧州および米国における優勢な遺伝子型である。HCVの広範な遺伝子不均一性は重要な診断上のおよび臨床的意義を有し、おそらくワクチン開発における困難および現在の治療に対する応答の欠如を説明する。
【0005】
HCVの感染は汚染された血液若しくは血液製剤との接触により、例えば輸血若しくは静脈内薬物使用後に発生し得る。血液スクリーニングで使用される診断試験の導入は輸血後HCVの発生率の下方傾向に至った。しかしながら、末期肝疾患の緩徐な進行を考えれば、既存の感染は重大な医学的および経済学的負荷を数十年間与えることを継続するであろう。
【0006】
現在のHCV治療はリバビリンと組合せの(ペグ化)インターフェロンα(IFN−α)に基づく。この併用療法は、遺伝子型1のHCVにより感染させられた患者の40%ならびに遺伝子型2および3により感染させられた者の約80%で持続的ウイルス学的応答を生じる。HCV遺伝子型1に対する限られた有効性のほかに、この併用療法は、流感様症状、血液学的異常および神経精神医学的症状を包含する重大な副作用を有する。これゆえに、より有効、便宜的かつより良好に認容される処置に対する必要性が存在する。
【0007】
HIV薬、とりわけHIVプロテアーゼ阻害剤での経験は、最適状態に及ばない薬物動態および複雑な投与計画が不注意によるコンプライアンス不履行を迅速にもたらすことを教示した。これは順に、HIV投与計画のそれぞれの薬物の24時間トラフ濃度(最小血漿濃度)が該日の大部分についてIC50若しくはED90閾値より下に頻繁に下落することを意味している。少なくともIC50、およびより現実的にはIC90若しくはED90の24時間トラフ濃度が薬物エスケープ変異体の発生を遅らせるのに不可欠であると考えられる。こうしたトラフ濃度を可能にするための必要な薬物動態および薬物代謝を達成することは、ドラッグデザインに対する緊急の課題を提供する。
【0008】
HCVのNS5Aタンパク質はNS4Bタンパク質の下流かつNS5Bタンパク質の上流に位置する。ウイルスセリンプロテアーゼNS3による翻訳後切断に際して、NS5Aは、低リン酸化(56kDa、p56)若しくは高リン酸化種(58kDa、p58)いずれかとして存在する、亜鉛を含有する3ドメインリン酸化タンパク質に成熟する。HC
VのNS5Aは、ウイルス複製および感染性粒子集成を包含するウイルス生活環の複数の局面ならびにその宿主細胞の環境の調節に関与している。いずれの酵素機能も該タンパク質に帰されないとは言え、それは多数のウイルスおよび細胞因子と相互作用することが報告されている。
【0009】
多数の特許および特許出願がNS5A HCV阻害活性をもつ化合物を開示している。特許文献1はスチルベン誘導体を開示する一方、特許文献2はNS5A HCV阻害活性を有するビフェニル誘導体を開示する。
【0010】
副作用、限られた有効性、耐性の出現およびコンプライアンス不履行のような現在のHCV治療の欠点を克服することができならびに持続的ウイルス量応答を改善しうるHCV阻害剤に対する必要性が存在する。
【0011】
本発明は、以下のパラメータ、すなわち抗ウイルス効力、耐性発生の好都合なプロファイル、毒性および遺伝毒性の欠如、好都合な薬物動態および薬力学ならびに処方および投与の容易さの1種若しくはそれ以上に関する有用な特性をもつHCVを阻害するジアリールエーテルの一群に関する。
【0012】
本発明の化合物は、それらが他のウイルスとりわけHIVに対する活性を欠くという事実によってもまた魅力的でありうる。HIVに感染した患者はHCVのような共感染にしばしば苦しめられる。HIVもまた阻害するHCV阻害剤でのこうした患者の処置は耐性HIV株の出現に至ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】第WO2006/133326号明細書
【特許文献2】第WO2008/021927号明細書
【発明の概要】
【0014】
[発明の要約]
一局面において、本発明は、いかなる可能な立体異性体も包含する、式I:
【0015】
【化1】

【0016】
[ここで:
RおよびRは、相互から独立に、ハロおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されているベンゾイル、または−C(=O)−Het(ここでHetはC−Cアルキルから独立に選択される1若しくは2置換基で場合によっては置換されており)、あるいは式−C(=O)−CH(R)−Rの基、ベンジルオキシカルボニル、C−Cアルキルオキシカルボニル、式HN−CH(R)−C(=O)−の基、式R−O−C(=O)−HN−CH(R)−C(=O)−の基、若しくは−C(=O)−C(=O)−フェニルであり;
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ベンジル若しくはフェニルで
あり、ここで該フェニルはハロ、C−Cアルキル、メトキシ、トリフルオロメトキシからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されることができるか、または、隣接する環原子上の2置換基が該フェニル環と一緒になってベンゾジオキソールを形成し、ならびに、該C−Cアルキルはモノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、フェニルスルホニル、Hetで場合によっては置換されており、ならびに、ここでベンジルは、ハロ、メトキシからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されており;
は、水素、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、イミダゾリル、C−Cアルキルカルボニルアミノ若しくはC−Cアルキルオキシカルボニルアミノから選択され;
Hetは、OおよびNから選択される1若しくは2個のヘテロ原子を含んでなりかつ4ないし7個の環原子を有する複素環基であり、ここで前記複素環は環炭素原子によりカルボニル炭素に結合されており、かつ、前記ヘテロ原子の最低1個は前記環炭素原子に隣接しており、
およびRは、相互から独立に水素、ヒドロキシル、C−Cアルキル若しくはハロであり;
およびRは、相互から独立に水素、C−Cアルキル、ハロ若しくはメトキシであり;
各Rは独立に水素、フェニル、またはメトキシ若しくはフェニルで場合によっては置換されているC−Cアルキルであり;ならびに
はC−Cアルキル若しくはベンジルである]
により表され得る化合物;
あるいはそれらの製薬学的に許容できる塩および/若しくは溶媒和物
を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の詳細な記述]
一態様において、本発明は、いかなる可能な立体異性体も包含する、式I:
【0018】
【化2】

【0019】
[ここで:
RおよびRは、相互から独立に、ハロおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されているベンゾイル、または−C(=O)−Het、あるいは式−C(=O)−CH(R)−Rの基、ベンジルオキシカルボニル、C−Cアルキルオキシカルボニル、式HN−CH(R)−C(=O)−の基若しくは式R−O−C(=O)−HN−CH(R)−C(=O)−の基であり;
は、C−Cアルキル若しくはフェニルであり、ここで該フェニルはハロおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されることができ;
は、水素、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ若しくはジC−C
アルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、C−Cアルキルカルボニルアミノ若しくはC−Cアルキルオキシカルボニルアミノから選択され;
Hetは、OおよびNから選択される1若しくは2個のヘテロ原子を含んでなりかつ4ないし7個の環原子を有する複素環基であり、ここで前記複素環は環炭素原子によりカルボニル炭素に結合されており、かつ、前記ヘテロ原子の最低1個は前記環炭素原子に隣接しており、
およびRは、相互から独立に水素、ヒドロキシル、C−Cアルキル若しくはハロであり;
およびRは、相互から独立に水素、C−Cアルキル、ハロ若しくはメトキシであり;
各Rは独立に水素、C−Cアルキル若しくはフェニルであり;ならびに
はC−Cアルキル若しくはベンジルである]
により表され得る化合物;あるいはそれらの製薬学的に許容できる塩および/若しくは溶媒和物
を提供する。
【0020】
さらなる一局面において、本発明はHCVを阻害するための本明細書に明記されるところの式Iの化合物の使用に関する。あるいは、本明細書に明記されるところの式Iの化合物の医薬品の製造のための使用が提供される。
【0021】
本発明の態様は、式(I)の化合物若しくは本明細書に定義されるところのそれらのいかなる下位群にも関し、ここで本明細書に明記されるところのR、R、R、R、R、R、R、R、R、Rおよび/若しくはHetの定義の1種若しくはそれ以上が当てはまる。
【0022】
式Iの化合物の下位群は、RおよびRがベンジルカルボニル若しくはイソブチルオキシカルボニルであり、とりわけRおよびRがベンジルカルボニルである、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0023】
式Iの化合物の下位群は、RおよびRが相互から独立に式−C(=O)−CH(R)−R若しくは−C(=O)−Hetの基であることができ、とりわけRおよびRが相互から独立に式−C(=O)−CH(R)−Rの基である、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0024】
式Iの化合物の下位群は、Rがヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、C−CアルキルカルボニルアミノまたはC−Cアルキルオキシカルボニルアミノであるか;あるいは、Rがヒドロキシル、アミノ、ジC−Cアルキルアミノ若しくはモルホリニルであるか;あるいはRがヒドロキシ、アミノ若しくはジメチルアミノである、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0025】
式Iの化合物の下位群は、Rが1個のハロ若しくはC−Cアルキルで場合によっては置換されているフェニル環であるか;または該フェニル環が未置換である、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。あるいは、Rはフェニルおよびイソプロピルから選択される。
【0026】
式Iの化合物の下位群は、上で定義されたところのHetが4、5若しくは6個の環原子を有するか;または、Hetが2−ピリジニル、2−ピリミジル、2−ピラジニル、2−イミダゾイル、2−チアゾリル、2−チオフェニル、2−ピラゾリニル、2−ピペリジニル、2−ピロリジニル、2−ピロリル、2−フラニル、2−テトラヒドロフラニル、2
−オキセタニル、2−若しくは3−モルホリニルおよび2−ピペラジニル、とりわけ2−テトラヒドロフラニルから選択される、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0027】
式Iの化合物の下位群は、RおよびRが独立に水素、ヒドロキシ若しくはフルオロであり、とりわけRおよびRが水素である、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0028】
式Iの化合物の下位群は、RおよびRが独立に水素、メチル、メトキシ若しくはクロロであり、とりわけRおよびRが水素である、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0029】
式Iの化合物の下位群は、Rがメチルである、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0030】
式Iの化合物の下位群は、基
【0031】
【化3】

【0032】
が2個のフェニル基の間の酸素架橋に関してメタ若しくはパラ位で置換されている、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群、とりわけ、前記基がメタにある本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくはそれらの下位群である。
【0033】
式Iの化合物の下位群は、式HN−CH(R)−C(=O)−若しくは式R−O−C(=O)−HN−CH(R)−C(=O)−の一部としての基−HN−CH(R)−C(=O)−が、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、フェニルアラニン(Phe)、MeO−トレオニン若しくはフェニルグリシンから選択されるアミノ酸残基を形成する、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。L−Val、L−Leu、L−PheおよびL−MeO−トレオニンのようなL−アミノ酸残基がとりわけ興味深い。
【0034】
式Iの化合物の下位群は、構造式Y
【0035】
【化4】

【0036】
ここで本明細書に明記されるところのR、R、R、R、R、R、R、R、Rおよび/若しくはHetが当てはまる、
を有する、本明細書に定義されるところの式Iの化合物若しくは式Iの化合物の下位群である。
【0037】
さらなる一局面において、本発明は、HCV感染の処置若しくは予防(または処置若しくは予防のための医薬品の製造)における使用のための式Iの化合物またはその製薬学的に許容できる塩、水和物若しくは溶媒和物を提供する。本発明の処置若しくは予防の文脈における代表的HCV遺伝子型は遺伝子型1b(欧州で優勢)若しくは1a(北米で優勢)を包含する。本発明は、とりわけ遺伝子型1a若しくは1bのHCV感染の処置若しくは予防方法もまた提供する。
【0038】
本明細書で挙げられるところの化合物および中間体の純粋な立体異性体は、前記化合物若しくは中間体の同一の基本的分子構造の他の鏡像異性体若しくはジアステレオマーの形態を実質的に含まない異性体と定義される。とりわけ、「立体異性的に純粋な」という用語は、100%(すなわち100%の一異性体および他者なし)の一立体異性体過剰までの最低80%(すなわち最低90%の一異性体および最大10%の他の可能な異性体)の一立体異性体過剰を有する化合物若しくは中間体、より具体的には90%から100%までの立体異性体過剰を有する、なおより具体的には94%から100%までの立体異性体過剰を有する、および最も具体的には97%から100%までの立体異性体過剰を有する化合物若しくは中間体に関する。「鏡像異性的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、同様の方法で、しかしその場合は問題の混合物のそれぞれ鏡像異性的過剰およびジアステレオマー的過剰を考慮して理解されるべきである。
【0039】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体(stereoisomeric form)すなわち立体異性体(stereoisomer)は技術既知の手順の応用により得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性の酸若しくは塩基を用いるそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により相互から分離することができる。それらの例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。あるいは、鏡像異性体はキラルな固定相を使用するクロマトグラフィー技術により分離しうる。前記純粋な立体化学異性体は、適切な出発原料の対応する純粋な立体異性体にもまた由来することができるが、但し該反応が立体特異的に起こる。好ましくは、特定の一立体異性体が望ましい場合、前記化合物は立体特異的製造方法により合成する。これらの方法は鏡像異性的に純粋な出発原料を有利に使用することができる。
【0040】
式Iの化合物のジアステレオマーのラセミ混合物は慣習的方法により個別に得ることができる。有利に使用しうる適切な物理的分離方法は、例えば選択的結晶化およびクロマト
グラフィー、例えばカラムクロマトグラフィー若しくは超臨界流体クロマトグラフィーである。
【0041】
式Iの化合物はいくつかのキラル中心を有する。2位の炭素原子のピロリジン環のステレオジェン中心が興味深い。この位置の配置はL−プロリンすなわち
【0042】
【化5】

【0043】
に対応するもの、またはD−プロリンすなわち
【0044】
【化6】

【0045】
に対応するものでありうる。
【0046】
式−C(=O)−CH(R)−Rの基中でRおよびRにより置換されている、および/または式HN−CH(R)−C(=O)−により定義されるところのアミノ酸残基若しくは式R−O−C(=O)−HN−CH(R)−C(=O)−の炭素原子の立体化学もまた興味深い。
【0047】
製薬学的に許容できる付加塩は、式(I)の化合物若しくはそれらの下位群の治療上活性の非毒性の酸および塩基付加塩の形態を含んでなる。遊離のすなわち塩でない形態の本明細書に明記される式Iの化合物若しくは式Iの化合物のいかなる下位群も興味深い。
【0048】
製薬学的に許容できる酸付加塩は塩基の形態をこうした適切な酸で処理することにより便宜的に得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロ水素酸例えば塩酸若しくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸および類似の酸のような無機酸;若しくは例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サイクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および類似の酸のような有機酸を含んでなる。逆に、前記塩の形態は適切な塩基での処理により遊離塩基の形態に転化し得る。
【0049】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの塩基付加塩、とりわけ金属若しくはアミン付加塩の形態にもまた転化しうる。適切な塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0050】
「溶媒和物」という用語は、式Iの化合物ならびにそれらの塩が形成することが可能であるいかなる製薬学的に許容できる溶媒和物も包括する。こうした溶媒和物は、例えば水和物、アルコール和物例えばエタノラート、プロパノラートなどである。
【0051】
式Iの化合物のいくつかは互変異性体でもまた存在しうる。例えば、アミド(−C(=O)−NH−)基の互変異性体はイミノアルコール(−C(OH)=N−)である。互変異性体は本明細書に表される構造式で明確に示されないとは言え、本発明の範囲内に包含されることを意図している。
【0052】
本明細書で使用されるところの基若しくは基の一部としての「C−Cアルキル」は、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピルのような1から4個までの炭素原子を有する直鎖若しくは分枝状鎖炭化水素基を定義する。「C−Cアルキル」はC−Cアルキル基および例えば1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、3−メチル−2−ペンチルなどのような5若しくは6個の炭素原子を有するそれらの高級な相同物を包含する。最も興味深いC−CアルキルはC−Cアルキルである。
【0053】
「C−Cアルコキシ」若しくは「C−Cアルキルオキシ」は、C−Cアルキルが上で定義されたとおりである式−O−C−Cアルキルの基を意味している。C−Cアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ若しくはイソプロポキシである。最も興味深いC−CアルコキシはC−Cアルコキシ、すなわちC−Cアルキルが上で定義されたとおりである式−O−C−Cアルキルの基である。
【0054】
「C−Cシクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルに包括的なものである。
【0055】
「ハロ」という用語はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードに包括的なものである。
【0056】
本明細書で使用されるところの「(=O)」若しくは「オキソ」という用語は、炭素原子に結合される場合にカルボニル部分を形成する。1原子の原子価がそのように許容する場合、その原子はオキソ基でのみ置換され得ることに注目すべきである。
【0057】
Hetを定義する目的上本明細書で使用されるところの複素環基は、OおよびNから選択される1若しくは2個のヘテロ原子を含んでなりかつ4、5、6若しくは7個の環原子を有することができる。
【0058】
分子部分上のある基の位置が明記されない(例えばフェニル上の置換基)若しくは浮遊結合(floating bond)により表される場合、こうした基は、生じる構造が化学的に安定である限りはこうした部分のいずれの原子に位置してもよい。いずれかの変数が該分子中で1回以上存在する場合、各定義は独立である。
【0059】
本明細書で使用される場合はいつも、「式Iの化合物」若しくは「本化合物」という用語または類似の用語は、それらの可能な立体異性体ならびに製薬学的に許容できる塩および溶媒和物を包含する式Iの化合物を包含することを意味している。
【0060】
一般的合成方法
RおよびRが同一の意味するところを有する式(I)の化合物(前記化合物は式(I
a)により表される)は、スキーム1により具体的に説明されるところのアミド若しくはカルバメート形成反応にて式(II)のピロリジニル誘導体を中間体R−W若しくはR−Wと反応させることにより製造し得る。アミド形成のためには、Wはヒドロキシ若しくは活性化基であり、また、カルバメート形成のためにはWは活性化基である。活性化基はハロゲン化物、とりわけ塩化物、混合無水物若しくは活性エステルである。
【0061】
【化7】

【0062】
上および以下の反応スキーム中で、ピロリジン環中のα−炭素原子はラセミ混合物であり得るか、若しくは立体化学配置の一方(R若しくはS)を有し得る。
【0063】
アミド形成反応は、出発原料すなわちカルボン酸誘導体およびビスピロリジニル(II)例えばフェニル酢酸、マンデル酸、トリル酢酸を、場合によっては塩基の存在下に反応不活性溶媒中でアミドカップリング試薬と反応させることを含んでなる。使用し得る溶媒は、ジクロロメタン(DCM)若しくはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)若しくは2−メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)のようなエーテル、トルエン若しくはキシレンのような炭化水素溶媒、DMF、DMA、アセトニトリルのような双極性非プロトン性溶媒またはそれらの混合物を含んでなる。アミドカップリング試薬は、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、N−イソプロポキシカルボニル−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリンとりわけその塩酸塩、(IIDQ)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、ベンゾトリアゾル−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP(R)として商業的に入手可能)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDI若しくはEDCI)ならびにその塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)などのような剤を含んでなる。触媒例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)若しくは4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加してもよい。該反応は通常、塩基、具体的には三級アミン、例えばトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(後者はヒューニッヒ塩基、DIPEA若しくはDIEAともまた称される)のようなアミン塩基の存在下で実施する。一態様において、該反
応は塩基としてN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下にHATUを含むDMF中で実施する。
【0064】
アミドはカルボン酸ハロゲン化物、とりわけ塩化物のような活性化された酸、または混合無水物若しくは活性エステルを(II)と反応させることによってもまた製造し得る。活性エステル中で、Wはフェノキシ、p−ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、トリクロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシなどのようなアリールオキシ基であるか;またはWは混合無水物の残部であることができ、すなわちWは−O−CO−Z若しくは−O−CO−OZであり、後者のZは例えばメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、i−ブチルのようなC1−4アルキルであるか、若しくはZはベンジルである)。
【0065】
カルバメート形成反応は、多様な方法を使用して、具体的には式(II)のビスピロリジニル誘導体のアルキルクロロギ酸エステルとの反応により;好ましくないとは言えカルバモイル塩化物若しくはイソシアネートとのアルコールの反応により;金属錯体若しくはアシル転位剤を必要とする反応を介して実施しうる。一酸化炭素およびある種の金属触媒もまたカルバメートを合成するのに使用し得る。パラジウム、イリジウム、ウランおよび白金のような金属を触媒として使用しうる。
【0066】
カルバメートの製造のための一アプローチは式R’−O−CO−Qの中間体の使用を必要とし、ここでR’はC−Cアルキル若しくはベンジルであり、そしてQはハロとりわけクロロおよびブロモのような脱離基、または上で挙げられたもののようなアミド結合形成のため活性エステル中で使用される基である。中間体R’−O−CO−Qは、かようにクロロギ酸エステルを形成するアルコールR’−OHおよびホスゲン由来であることができるか、若しくは後者中のクロロを他の活性基に転位することにより得ることができる。
【0067】
活性化された酸との反応すなわちカルバメート形成反応は、アミドカップリング剤との反応について上述されたと同様の反応条件を使用して実施し得る。
【0068】
下で(II−m)と称されるピロリジノイミダゾリル基の1個がメタ位にある式(II)のビスピロリジニル誘導体は、以下の反応スキームで具体的に説明されるとおり製造し得る。
【0069】
【化8】

【0070】
1−(3−(4−アセチルフェノキシ)フェニル)エタノン誘導体(IX)は、炭酸カリウムのような塩基の存在下での1−(4−フルオロフェニル)エタノン誘導体(XI)上の1−(3−ヒドロキシフェニル)エタノン誘導体(X)の芳香族置換反応によりビスフェニルエーテル基を形成することにより製造し得る。前記(IX)は臭素で2,2−ジブロモ−1−(3−(4−(2,2−ジブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン誘導体(VIII)に臭素化される。後者を亜リン酸エステル例えば亜リン酸ジエチルとの反応により2−ブロモ−1−(3−(4−(2−ブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン誘導体(VII)に転化し得、その後該ブロモ原子をアジ化ナトリウムのようなアジ化物塩を使用してアジド基で置換し得る。生じるビスアジド化合物(VI)中
のアジド基を、貴金属触媒の存在下に水素、例えばPdの存在下の水素で還元して2−アミノ−1−(3−(4−(2−アミノアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン誘導体(V)を生じ得る。後者をN−保護プロリン誘導体とカップリングしてフェノキシフェニル誘導体(IV)を生じ得、ここでPはアミノ保護基例えばtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)である。
【0071】
次の段階で、(IV)を酢酸アンモニウムで中間体(III)に環化し、ここでPは上で明記されたとおりである。例えばPがBOCである場合は酸、例えば水性HClとの反応によるPの除去が(II−m)を生じる。後者はアシル若しくはカルバメート基を導入することにより式(I)の多様な化合物を製造するための出発原料として使用し得る。
【0072】
あるいは、化合物(VII)は、例えば実施例17に記述されるところの化合物(XII)への化合物(XIV)の変換(スキーム3)で使用されると同様の方法により、化合物(III)に変換し得る。
【0073】
下で(II−p)と称される、双方のピロリジノイミダゾリル基が相互に関してパラ位にある式(II)のビスピロリジニル誘導体は、反応スキーム3に具体的に説明されるとおり製造し得る。
【0074】
【化9】

【0075】
1,1’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(2−クロロエタノン)誘導体(XIV)は、おそらく溶媒として二硫化炭素を使用して、好ましくは還流まで加熱して、塩化アルミニウムおよび酸塩化物のようなルイス酸の存在下にジアリールエーテル(XV)でフリーデル−クラフツアシル化を実施することにより製造し得る。塩化クロロアセチルでのアシル化はα−ハロケトン(XIV)をもたらす。生じるハロゲン化ケトンを、トリエチルアミン若しくはジイソプロピルエチルアミンのような可溶性有機塩
基を使用してBoc−L−プロリンのようなアミノ酸と反応させてエステルを形成する。エステル生成物(XIII)をその後酢酸アンモニウムで中間体(XII)に環化する。該環化は過剰のアンモニア源例えば酢酸アンモニウムと一緒にかつ慣習的様式で若しくは電子レンジ中で加熱される封止チューブ中で実施して中間体(XII)を製造しうる。例えばPがBOCである場合酸例えば水性HClでの脱保護によるPの除去が(II−p)を生じる。
【0076】
下で式(I−b)により表されるRおよびRが異なる意味するところを有する式(I)の化合物は、反応スキーム4に概説されるとおり製造し得る。
【0077】
【化10】

【0078】
(I−b)中のRおよびRは上で定義された意味するところを有する異なる基である。
【0079】
(XVI)の(XVII)との反応は、遷移金属触媒、とりわけパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンのようなPd錯体、または銅(II)トリフラートのような銅(II)塩若しくはCuを用いて実施する。式(XVI)の中間体は、例えば三臭化ホウ素(BBr)を使用して脱メチル化される対応する保護されたフェノール例えば対応するメトキシアナログから製造し得る。対応するメトキシアナログ(XVIa)はスキーム5に具体的に説明されるとおり製造し得る。式(XVIa)の化合物は、化合物(IX)を化合物(III)に転化するための段階について上で本明細書に記述されたと同一の型の手順を使用して、式(XVIII)の化合物から出発して得ることができる。
【0080】
【化11】

【0081】
スキーム6は、中間体(XVII)が、化合物(XIV)の化合物(XII)への転化で記述されたと同様の手順を使用してブロモ、ブロモアセチルフェニル誘導体から得ることができることを具体的に説明する。
【0082】
【化12】

【0083】
さらなる一局面において、本発明は、治療上有効な量の本明細書に明記されるところの式Iの化合物および製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。本文脈での治療上有効な量は、感染した被験体若しくは感染する危険にさらされている被験体においてHCV感染に対し予防的方法で作用する、HCV感染を安定化若しくは低下するのに十分な量である。なおさらなる一局面において、本発明は、製薬学的に許容できる担体を治療上有効な量の本明細書に明記されるところの式Iの化合物と緊密に混合するこ
とを含んでなる、本明細書に明記されるところの製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0084】
従って、本発明の化合物若しくはそれらのいかなる下位群も投与の目的上多様な製薬学的形態に処方しうる。適切な組成物として、薬物を全身に投与するのに通常使用される全部の組成物を引用しうる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分としての場合によっては付加塩の形態若しくは金属錯体の有効量の特定の化合物を製薬学的に許容できる担体と緊密な混合状態で合わせ、この担体は投与に望ましい製剤の形態に依存して広範な形態を取ることができる。これらの製薬学的組成物は、とりわけ経口で、直腸で、経皮で、若しくは非経口注入による投与に適する単位剤形で望ましい。例えば、経口剤形の組成物の製造において、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液のような経口の液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコールなど;若しくは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合にはデンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体の担体のような通常の製薬学的媒体のいずれを使用してもよい。投与におけるそれらの容易さのため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態を表し、この場合は固体の製薬学的担体が明らかに使用される。非経口組成物については、担体は通常少なくとも大きな部分で滅菌水を含むことができるが、とは言え例えば溶解性を補助するための他成分を包含しうる。例えば担体が食塩溶液、ブドウ糖溶液若しくは食塩およびブドウ糖溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を製造しうる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合は適切な液体担体、懸濁化剤などを使用しうる。使用直前に液体形態の製剤に転化されることを意図している固体形態の製剤もまた包含される。経皮投与に適する組成物中で、担体は、場合によっては小さい比率のいずれかの性質の適する添加物と組合せられた浸透増強剤および/若しくは適する湿潤剤を場合によっては含んでなり、この添加物は皮膚に対する重大な有害な影響を導入しない。本発明の化合物は、いずれかの技術既知の送達系を使用して溶液、懸濁剤若しくは乾燥粉末の形態での経口吸入若しくはガス注入を介してもまた投与しうる。
【0085】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、前述の製薬学的組成物を単位剤形に処方することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるところの単位剤形は単位投薬量として適する物理的に別個の単位を指し、各単位は必要とされる製薬学的担体とともに所望の治療効果を生じるよう計算された予め決められた量の有効成分を含有する。こうした単位剤形の例は、錠剤(割線付き若しくはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、坐剤、粉末包、カシェ剤、注入可能な溶液若しくは懸濁液など、およびそれらの分離された倍数である。
【0086】
式Iの化合物はHCVに対する活性を示し、そしてHCV感染症若しくはHCVに関連する疾患の処置および予防で使用し得る。後者は、肝硬変、末期肝疾患およびHCCに至る進行性肝線維化、炎症および壊死を包含する。本発明の多数の化合物がさらにHCVの変異株に対し活性であると考えられる。加えて、本発明の化合物は好都合な薬物動態プロファイルを示すことができ、そして許容できる半減期、AUC(曲線下面積)およびピーク値を包含しかつ不十分な急速な発生および組織保持のような不都合な現象を欠く、生物学的利用性に関して魅力的な特性を有しうる。
【0087】
式Iの化合物のHCVに対するin vitro抗ウイルス活性は、実施例の節にさらに例示される、Kriegerら(2001)Journal of Virology
75:4614−4624(引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるさらなる改変を伴うLohmannら(1999)Science 285:110−113に基づく細胞HCVレプリコン系で試験し得る。このモデルは、HCVの完全な感染モデルでない一方、現在利用可能な自律HCV RNA増殖の最も確実かつ効率的なモデルとして広範に受け入れられている。HCV機能を特異的に妨害する化合物を、HCVレプリコンモデルで細胞毒性若しくは細胞分裂停止効果を発揮するものと区別し、そ
して結果としてHCV RNA若しくは結合されたレポーター酵素濃度の低下を引き起こすことが重要であることが認識されるであろう。例えば、レサズリンのような蛍光発生性酸化還元色素を使用するミトコンドリア酵素の活性に基づく細胞傷害性の評価のためのアッセイが該分野で既知である。さらに、ホタルルシフェラーゼのような結合されたレポーター遺伝子活性の非選択的阻害の評価のために細胞カウンタースクリーニング(cellular counter screen)が存在する。適切な細胞型に、構成的に活性な遺伝子プロモーターにその発現が依存するルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定トランスフェクションにより装備することができ、そしてこうした細胞を非選択的阻害剤を除外するためのカウンタースクリーニングとして使用し得る。
【0088】
それらの抗ウイルス特性、とりわけそれらの抗HCV特性のため、本明細書に明記されるところの式Iの化合物は、とりわけ、HCVに感染した温血動物とりわけヒトの処置におけるHCV複製の阻害において、およびHCV感染の予防に有用である。本発明はさらに、HCVにより感染させられた若しくはHCVによる感染の危険にさらされている温血動物とりわけヒトの処置方法に関し、前記方法は、抗HCV有効量の本明細書に明記されるところの式Iの化合物の投与を含んでなる。
【0089】
本明細書に明記されるところの式Iの化合物は、従って、医薬品として、とりわけ抗HCV医薬品として使用しうる。医薬品としての前記使用若しくは処置方法は、HCVに感染した被験体若しくはHCV感染が疑われる被験体へのHCV感染に関連する状態と戦うのに有効な量の全身投与を含んでなる。
【0090】
本発明はまた、HCV感染の処置若しくは予防のための医薬品の製造における本化合物の使用にも関する。
【0091】
一般に、抗ウイルス有効1日量は、約0.01から約50mg/kgまで、若しくは約0.02ないし約30mg/kg体重であることができることを企図している。必要とされる用量を該日を通じて適切な間隔で2、3、4若しくはそれ以上の下位用量として投与することが適切でありうる。前記下位用量は、単位剤形あたり例えば約1ないし約500mg、若しくは約1ないし約300mg、若しくは約1ないし約100mg、若しくは約2ないし約50mgの有効成分を含有する単位剤形として処方しうる。
【0092】
本発明はまた、式Iの化合物、その製薬学的に許容できる塩若しくは溶媒和物および別の抗ウイルス化合物、とりわけ別の抗HCV化合物の組合せにも関する。「組合せ」という用語は、HCV感染症の処置における同時、別個若しくは連続使用のための組合せ製剤として、(a)上で明記されたところの式Iの化合物および(b)場合によっては別の抗HCV化合物を含有する製品に関することができる。
【0093】
以下の実施例は本発明を具体的に説明することを意味しており、そしてその範囲の制限と解釈されるべきでない。
【実施例】
【0094】
実施例合成
実施例1:1−(3−(4−アセチルフェノキシ)フェニル)エタノン
【0095】
【化13】

【0096】
DMSO(150mL)中の1−(3−ヒドロキシフェニル)エタノン(8g、58.7mmol)、1−(4−フルオロフェニル)エタノン(8.1g、58.7mmol)および無水炭酸カリウム(16.2g、117.5mmol)の混合物を140℃で16時間攪拌した。該混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。水層を1M HClでpH=6〜7まで酸性化しかつ酢酸エチルで抽出した。合わせた有機物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルでクロマトグラフィーし(酢酸エチル/ヘプタン:1/1)、1−(3−(4−アセチルフェノキシ)フェニル)エタノン(11g、74%)を白色固形物としてもたらした。
【0097】
LC/MS:m/z=256.2(M+1)。正確な質量:255.1。
【0098】
実施例2:2,2−ジブロモ−1−(3−(4−(2,2−ジブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン
【0099】
【化14】

【0100】
クロロホルム(300mL)中の1−(3−(4−アセチルフェノキシ)フェニル)エタノン(11g、43.2mmol)の溶液に臭素(6.6mL、129.7mmol)を一滴ずつ添加した。該反応を80℃で4時間攪拌し、室温に冷却しかつ減圧下に濃縮した。該混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。結果として生じる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:EtOAc/ヘプタン:3/7)により精製して、2,2−ジブロモ−1−(3−(4−(2,2−ジブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノンを黄色固形物(16g、65%)として提供した。
【0101】
実施例3:2−ブロモ−1−(3−(4−(2−ブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン
【0102】
【化15】

【0103】
0℃のテトラヒドロフラン(300mL)中の2,2−ジブロモ−1−(3−(4−(2,2−ジブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン(16g、28mmol)
の溶液にトリエチルアミン(3.6mL)および亜リン酸ジエチル(10.7mL、83.2mmol)を添加した。該反応を徐々に室温に加温し、そして該混合物を30分間攪拌しかつ減圧下に濃縮した。該混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。水層をEtOAcで抽出しかつ合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。結果として生じる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:EtOAc/ヘプタン:3/7)により精製して、2−ブロモ−1−(3−(4−(2−ブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン(10.2g、88%)を黄色油状物として提供した。
【0104】
実施例3a:2−ブロモ−1−(4−(3−(2−ブロモアセチル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)エタノン
【0105】
【化16】

【0106】
2−ブロモ−1−(4−(3−(2−ブロモアセチル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)エタノンは、出発原料として1−(5−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)エタノンおよび1−(4−フルオロフェニル)エタノンを用いて実施例1ないし3に記述されると同様の手順を使用して合成した。
【0107】
実施例4:2−アジド−1−(3−(4−(2−アジドアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン
【0108】
【化17】

【0109】
DMSO(200mL)中の2−ブロモ−1−(3−(4−(2−ブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン(10.2g、24.3mmol)の溶液にアジ化ナトリウム(3.5g、53.4mmol)を添加した。該反応混合物を室温で60分間攪拌し、そしてその後減圧下に濃縮した。該粗混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。粗生成物をそれ自体次の段階で使用した。
【0110】
実施例5:2−アミノ−1−(3−(4−(2−アミノアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン二塩酸塩
【0111】
【化18】

【0112】
メタノール(400mL)中の2−アジド−1−(3−(4−(2−アジドアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン(9g、26.4mmol)の溶液にHCl(メタノール中1M、53mL)を添加し、そして該混合物を窒素雰囲気(1bar)下Pd/C(10%)を使用して2時間水素化した。該溶液をセライトで濾過しかつ減圧下に濃縮した。粗物質(the crude)をジクロロメタンに溶解し、そしてHCl(イソプロパノール中6N)の添加後に塩酸塩が沈殿した。濾過および真空中での乾燥が2−アミノ−1−(3−(4−(2−アミノアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン二塩酸塩を提供した。
【0113】
LC/MS:m/z=285.2(M+1)。正確な質量:284.1
【0114】
実施例6:(S)−tert−ブチル2−(2−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)アセチル)フェノキシ)フェニル)−2−オキソエチルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレート
【0115】
【化19】

【0116】
DMF(200mL)中の2−アミノ−1−(3−(4−(2−アミノアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン二塩酸塩(5.65g、15.8mmol)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(10.4mL)、HATU(15g、39.54mmol)およびBOC−L−プロリン(7.5g、34.7mmol)を添加した。該混合物を室温で60分間攪拌しそしてその後減圧下に濃縮した。該混合物をEtOAcと水の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。結果として生じる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:ジクロロメタン/MeOH:9/1)により精製して、(S)−tert−ブチル2−(2−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)アセチル)フェノキシ)フェニル)−2−オキソエチルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボキシレートを黄色油状物(8g、74.5%)として提供した。
【0117】
LC/MS:m/z=679.3(M+1)。正確な質量:678.3
【0118】
実施例7:(S)−tert−ブチル2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレ
ート
【0119】
【化20】

【0120】
p−キシレン(20mL)中の(S)−tert−ブチル2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(1.3g、17.6mmol)の溶液に封止チューブ中でHOAc(0.5mL)および酢酸アンモニウム(600mg、0.88mmol)を添加した。該混合物を140℃で2時間電子レンジ中で加熱した。該混合物をEtOAcと水の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。結果として生じる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:ジクロロメタン/MeOH:9/1)により精製して、(S)−tert−ブチル2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(420mg、74%)を提供した。
【0121】
LC/MS:m/z=641.2(M+1)。正確な質量:640.3
【0122】
実施例8:2−((S)−ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩
【0123】
【化21】

【0124】
ジクロロメタン中の(S)−tert−ブチル2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(500mg、0.78mmol)の溶液にHCl(1M、3mL)を添加し、室温で攪拌した後に反応生成物が沈殿した。濾過および真空オーブン中での乾燥が、2−((S)−ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダ
ゾール塩酸塩(220mg)を提供した。
【0125】
実施例9:2−フェニル−1−((S)−2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)エタノン
【0126】
【化22】

【0127】
DMF(20mL)中の2−((S)−ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩(72mg)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)、HATU(155mg、0.4mmol)およびフェニル酢酸(49mg、0.36mmol)を添加した。該反応を室温で1時間攪拌しかつ減圧下に濃縮した。粗生成物を逆相調製的HPLCにより精製して、2−フェニル−1−((S)−2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)エタノン(6mg)を提供した。
【0128】
LC/MS:m/z=677.6(M+1)。正確な質量:676.3
【0129】
実施例10:2−ヒドロキシ−1−((2S)−2−(5−(4−(3−(2−((2S)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フェノニルエタノン。
【0130】
【化23】

【0131】
DMF(15mL)中の2−((S)−ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩(56mg)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL)、HATU(103mg、0.27mmol)およびDL−マンデル酸(36mg、0.24mmol)を添加した。該反応を室温で1時間攪拌しかつ減圧下に濃縮した。粗生成物を逆相調製的HPLCにより精製して、2−ヒドロキシ−1−((2S)−2−(5−(4−(3−(2−((2S)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)
フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−フェノニルエタノン(3mg)を提供した。
【0132】
LC/MS:m/z=709.4(M+1)。正確な質量:708.3
【0133】
実施例11:2−m−トリル−1−((2S)−2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(2−m−トリルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)エタノン
【0134】
【化24】

【0135】
DMF(22mL)中の2−((S)−ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩(100mg、0.22mmol)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL)、HATU(216mg、0.56mmol)および2−m−トリル酢酸(75mg、0.5mmol)を添加した。該反応を室温で1時間攪拌しかつ減圧下に濃縮した。粗生成物を逆相調製的HPLCにより精製して、2−m−トリル−1−((2S)−2−(5−(4−(3−(2−((S)−1−(2−m−トリルアセチル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−イル)エタノン(5mg)を提供した。
【0136】
LC/MS:m/z=705.2(M+1)。正確な質量:704.3
【0137】
実施例12:1’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(2−クロロエタノン)
【0138】
【化25】

【0139】
還流冷却器および大型磁性攪拌バーを装備した三頚丸底フラスコにジフェニルエーテル(30g、0.176mol)、塩化クロロアセチル(79.6g、0.71mol)および二硫化炭素(100mL)を入れた。該混合物を、塩化アルミニウム(141g、1.06mol)をおよそ3gの1回分で添加する間若しくは該反応混合物が沸騰し始めるまで、活発に攪拌させる。添加が完了した場合に該反応混合物を攪拌しながら100℃に
2.5時間加熱した。該反応を室温に冷却しかつ1時間静置(sit)させた。上層(二硫化炭素)をデカンテーションした。下層を、活発に攪拌しながら、氷(600mL)および濃塩酸(50mL)をそれぞれ含有する4個のビーカー(各1L)に等しく分割した。該混合物を合わせそしてジクロロメタン(5×400mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過しかつ濾液の溶媒を減圧下に除去して褐色油状物を提供した。該粗混合物を、ヘプタンないし酢酸エチル勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより部分的に精製した。最良の画分を合わせそして減圧下に溶媒を除去して褐色油状物を提供した。該油状物を酢酸エチル中で再結晶して表題生成物(16.25g)を提供した。第二の収穫物はさらなる25gを提供した。
【0140】
LC/MS m/z=323(M+1)。正確な質量:322.0
【0141】
H−NMR(クロロホルム−d、400MHz):8.01ppm(d、4H)、7.15ppm(d、4H)、4.69ppm(s、4H)。
【0142】
実施例13:(2S,2’S)−1−tert−ブチル’2,2−2,2’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(2−オキソエタン−2,1−ジイル)ジピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0143】
【化26】

【0144】
アセトニトリル中の実施例12で得られた化合物(5g、15.5mmol)にBoc−L−プロリン(6.99g、32.5mmol)を添加し、次いでDIEA(4.4g、34.04mmol)を一滴ずつ添加した。該反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去した。水(50mL)を添加しそして該混合物をジクロロメタン(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過しそして濾液の溶媒を減圧下に除去した。粗生成物を、ヘプタンないし酢酸エチル勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題生成物を提供した。
【0145】
LC/MS:m/z=681(M+1)。正確な質量:680.3
【0146】
実施例14:(2S,2’S)−tert−ブチル2,2’−(5,5’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(1H−イミダゾール−5,2−ジイル))ジピロリジン−1−カルボキシレート
【0147】
【化27】

【0148】
封止可能な容器中に実施例13で得られた出発エステル、酢酸アンモニウム(20等量)およびキシレンを入れた。該混合物を還流で数時間攪拌させて表題生成物を提供した。該混合物をEtOAcと水の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空中で濃縮した。結果として生じる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル:ジクロロメタン/MeOH:9/1)により精製して表題生成物を提供した。
【0149】
LC/MS:m/z=641(M+1)。正確な質量:640.3
【0150】
実施例15:(S)−5,5’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾール)
【0151】
【化28】

【0152】
実施例14で得られた化合物のプロリン部分の保護基を、実施例8に記述されたと同一の手順に従って除去する。
【0153】
LC/MS:m/z=441(M+1)。正確な質量:440.2
【0154】
さらに、プロリン部分の脱保護された窒素を、実施例9でと同一の手順を使用してアシル化する。
【0155】
実施例16:(S)−tert−ブチル2−(4−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート
【0156】
【化29】

【0157】
アセトニトリル(150mL)中の2−ブロモ−1−(4−(3−(2−ブロモアセチル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)エタノン(実施例3a)(10g、14mmol)の溶液に室温でN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−プロリン(11.2g、28mmol)を添加した。この溶液にヒューニッヒ塩基(23mL、42mmol)を一滴ずつ添加し、その後該混合物を室温で6時間攪拌した。該反応混合物をその後真空中で濃縮しかつ粗物質をジクロロメタン(300mL)で希釈した。該有機混合物をその後水(2×300mL)で洗浄した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過および溶媒の蒸発後に該混合物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン:3/7)により精製して、純粋な(S)−2−(2−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボニルオキシ)アセチル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−2−オキソエチル)1−tert−ブチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレートを生じ、これをそれ自体次の段階で使用した。(S)−2−(2−(4−(3−(2−((S)−1−(tertブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボニルオキシ)アセチル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−2−オキソエチル)1−tert−ブチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレートをその後キシレン(150mL)に溶解しかつNHOAc(5等量)を添加した。該反応混合物を140℃で6時間攪拌した。その後該混合物をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄しかつNaSOで乾燥した。該混合物を濾過し、溶媒を除去しかつ残渣をフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/MeOH:95/5)により精製して、表題化合物(4.1g、収率:44%)を提供した。
【0158】
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.48(s、9H)1.50(s、9H)1.86−2.02(m、2H)2.07−2.23(m、4H)2.91−3.04(m、2H)3.39(br.s.、4H)3.97(br.s.、3H)4.97(dd、J=7.5、2.4Hz、2H)6.90(m、5H)6.98(d、J=8.6Hz、2H)7.14(s、2H)
【0159】
実施例17:(S)−tert−ブチル2−(5−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの代替製造法
【0160】
【化30】

【0161】
CHCl(40mL)中の2−ブロモ−1−(3−(4−(2−ブロモアセチル)フェノキシ)フェニル)エタノン(2.05g、5mmol)の溶液にN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−プロリン(2.15g、10mmol)を0℃で添加した。トリエチルアミン(1.0g、10mmol)をその後一滴ずつ慎重に添加し、そして該混合物を室温で6時間攪拌した。その後CHCl(150mL)を添加し、該混合物を水で洗浄しかつNaSOで乾燥した。濾過後に溶媒を除去し、そして得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル:2/1)により精製して、(S)−2−(2−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボニルオキシ)アセチル)フェノキシ)フェニル)−2−オキソエチル)1−tert−ブチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレート 収量2.11g(63%)を提供した。キシレン(150mL)中の(S)−2−(2−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボニルオキシ)アセチル)フェノキシ)フェニル)−2−オキソエチル)1−tert−ブチルピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(6.80g、10mmol)およびNHOAc(7.7g、100mmol)の混合物を140℃で6時間攪拌した。その後該混合物を酢酸エチル(300mL)で抽出し、水で洗浄しかつNaSOで乾燥した。濾過後に溶媒を除去し、そして得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/MeOH:95/5)により精製して、表題化合物(50%)を提供した。
【0162】
H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.49(m、18H)1.84−2.02(m、4H)2.15(br.s.、4H)3.41(m、4H)4.86−5.03(m、2H)6.87(d、J=7.0Hz、1H)7.04(m、3H)7.17(m、3H)7.32(m、3H)
【0163】
実施例18ないし41
一般的手順:
【0164】
【化31】

【0165】
最初に、ジクロロメタン中の(S)−tert−ブチル2−(5−(3−(4−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレートの溶液に過剰のHCl(イソプロパノール中1M)を一滴ずつ添加した。沈殿された固形物を濾過分離しかつ真空オーブン中で乾燥して、2−(ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−(ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩を提供した。
【0166】
その後、DMF(7ml)中の2−(ピロリジン−2−イル)−5−(4−(3−(2−(ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)フェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾール塩酸塩(300mg)の溶液に、ヒューニッヒ塩基(0.45ml、2.72mmol)、HATU(647mg、1.70mmol)および対応する酸(1.5mmol)を添加した。該混合物を室温で4時間攪拌しそして真空中で濃縮した。該混合物をIsolute(SCX−3、15mL)プラグに負荷し、そして該プラグをMeOHで洗浄した(4回)。その後NH/MeOH(2回)で生成物をすすぎ落とした。得られた溶液をその後真空中で濃縮し、そして固形物が得られるまで粗生成物をHCl(水中1M)およびDCM(3/l)で処理した。該固形物をその後濾過分離しかつ水性HCl(1M)で洗浄した。該生成物を真空オーブン中で乾燥して標的生成物を生じた。
【0167】
この一般的手順に従って合成された化合物を表1に列挙する。表1に示されるとおり、数種の化合物はHCl塩として製造した一方、他者は遊離塩基として製造した。化合物39、40、43および44は慣習的シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH(7N NH)/DCM:2/98)若しくは逆相クロマトグラフィーによりさらに精製した。
【0168】
【表1−1】

【0169】
【表1−2】

【0170】
【表1−3】

【0171】
【表1−4】

【0172】
実施例45ないし48
表2に列挙される化合物は、上の化合物18ないし41についてと同一の一般的手順を使用して、しかし(S)−tert−ブチル2−(4−(4−(3−(2−((S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾル−4−イル)−4−メトキシフェノキシ)フェニル)−1H−イミダゾル−2−イル)ピロリジン−1−カルボキシレート(実施例16)から出発して得た。化合物45、46、47および48は慣習的シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH(7N NH)/DCM:2/98)若しくは逆相クロマトグラフィーによりさらに精製した。
【0173】
【表2】

【0174】
実施例49
表3に列挙される化合物は、上の化合物18ないし41についてと同一の一般的手順を使用して、しかし(S)−5,5’−(4,4’−オキシビス(4,1−フェニレン))ビス(2−((S)−ピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾール)(実施例15)から出発して得た。
【0175】
【表3】

【0176】
全部の化合物はLC/MSにより特徴付けした。例示される化合物の保持時間(Rt)を表4に列挙する。表4は例示される化合物のそれぞれのRtを決定するのに使用したLC/MS法もまた列挙する。以下のLC/MS法を使用した。すなわち
【0177】
方法A:PDA検出器(範囲210〜400nm)およびデュアルモードイオン源ES
+/−を伴うWaters SQDを装備されたWaters Acquity UPLC。使用されたカラムはHalo C18、2.7μ、2.1×50mmであり、そして50℃で保持した。95%水性ギ酸(0.1%)/5%アセトニトリルないし100%アセトニトリルの勾配を1.5分にわたり傾斜し、0.6分間保持し、その後0.5分間で100%水性ギ酸(0.1%)に戻る。流速は0.6mL/分であった。
【0178】
方法B:液体クロマトグラフィー:Waters Alliance 2695、UV検出器:Waters 996 PDA、範囲:210〜400nm、質量検出器:Waters ZQ、イオン源:ES+、ES− 使用されたカラム:SunFire C18 3.5μ 4.6×100mm 移動相A:HO中10mM NHOOCH+0.1%HCOOH;移動相B:CHOH;カラム温度:50℃;流れ:1.5mL/分
勾配時間(分)[%A/%B]0[65/35]ないし7[5/95]ないし9.6[5/95]ないし9.8[65/35]ないし12[65/35]。
【0179】
方法C:PDA検出器(範囲210〜400nm)およびデュアルモードイオン源ES+/−を伴うWaters SQDを装備されたWaters Acquity UPLC。使用されたカラムはXS Strategy 1.7μ、2.1×20mmであり、そして50℃で保持した。100%水性ギ酸(0.1%)ないし100%アセトニトリルの勾配を1.5分にわたり傾斜し、0.6分間保持し、その後0.5分間で100%水性ギ酸(0.1%)に戻る。流速は0.6mL/分であった。
【0180】
選択された化合物をNMRによりさらに特徴付けした。NMRスペクトルは、別の方法で述べられない限り1Hについて400MHzおよび13Cについて100MHzで作動するBruker Avance 400分光計でかつ溶媒としてDMSOを用いて記録した。すべての場合でテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用した。化学シフトはppmでおよびJ値はHzで示す。
【0181】
多重性は以下の略語、すなわち二重項についてd、三重項についてt、多重項についてmなどを使用して示す。
【0182】
実施例32:
H NMR(600MHz、DMSO−d)δ ppm 2.00−2.16(m、6H)、2.42(m、2H)、3.71−3.82(m、2H)、4.03−4.14(m、2H)、5.25−5.41(m、1H)、6.79(m、2H)、7.07−7.14(m、1H)、7.19(m、2H)、7.19(br.s.、1H)、7.57(m、1H)、7.67(m、1H)、7.71(m、1H)、7.77(s、2H)、7.90(m、2H)、8.01(s、1H)、8.13(s、1H)、8.28(br.s.、2H)
【0183】
実施例39:
H NMR(600MHz、DMSO−d)δ ppm 1.02−1.05(m、6H)1.88−2.19(m、8H)3.07−3.13(m、3H)3.17−3.20(m、3H)3.37−3.50(m、4H)3.51−3.56(m、6H)3.75−3.86(m、2H)4.20−4.32(m、2H)4.98−5.10(m、2H)6.80(br.s.、1H)6.97(br.s.、2H)7.18−7.26(m、2H)7.29−7.34(m、1H)7.37(br.s.、2H)7.44−7.52(m、2H)7.66−7.75(m、2H)11.63−11.82(m、2H)
【0184】
実施例40:
H NMR(600MHz、メタノール−d)δ ppm0.84−1.06(m、18H)1.81−2.43(m、8H)3.36−3.44(m、2H)3.61−3.67(m、6H)3.78−3.88m、2H)3.93−4.03(m、2H)4.26−4.41(m、2H)5.05−5.23(m、2H)6.74−7.08(m、4H)7.15−7.77(m、8H)
【0185】
実施例45:
H NMR(600MHz、DMSO−d)δ ppm 0.71−0.84(m、12H)1.92−2.22(m、8H)2.28−2.41(m、2H)3.50−3.56(m、6H)3.78−4.00(m、4H)3.94−3.99(m、3H)4.02−4.15(m、2H)5.11−5.23(m、2H)7.04−7.13(m、2H)7.15−7.21(m、1H)7.22−7.30(m、2H)7.68−7.75(m、1H)7.83−7.89(m、2H)7.83−7.89(m、2H)7.89−7.93(m、1H)7.94−7.99(m、1H)
【0186】
実施例48:
1H NMR(600MHz、DMSO−d)δ ppm 1.87−2.10(m、8H)2.29−2.40(m、2H)3.73−3.89(m、4H)3.96(br.s.、3H)5.13−5.25(m、2H)5.30−5.41(m、2H)7.07−7.13(m、2H)7.16−7.23(m、2H)7.24−7.40(m、12H)7.65−7.98(m、5H)
【0187】
生物学的実施例
レプリコンアッセイ
式(I)の化合物をHCVレプリコンで阻害活性について検査した。この細胞アッセイは、複数標的スクリーニング戦略においてKriegerら(2001)Journal
of Virology 75:4614−4624により記述される改変を伴う、Lohmannら(1999)Science 285 pp.110−113により記述されたところのバイシストロン性発現構築物に基づく。
【0188】
本質的に、該方法は後に続くとおりであった。すなわち、
該アッセイは安定にトランスフェクトされた細胞株Huh−7 luc/neo(下でHuh−Lucと称される)を利用した。本細胞株は、レポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)により先行される脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの配列内リボソーム進入部位(IRES)から翻訳されるHCVタイプ1bの野生型NS3−NS5B領域、および選択可能なマーカー部分(neo、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)を含んでなるバイシストロン性発現構築物をコードするRNAを有する。該構築物はHCVタイプ1bからの5’および3’NTR(非翻訳領域)により隣接されている。G418(neo)の存在下での該レプリコン細胞の継続培養はHCV RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律性にかつ高レベルまで複製するHCV RNAを発現する安定にトランスフェクトされたレプリコン細胞を、抗ウイルス化合物をスクリーニングするのに使用した。
【0189】
該レプリコン細胞を、多様な濃度で添加した試験および対照化合物の存在下に384ウェルプレートにプレーティングした。3日のインキュベーション後に、(標準的ルシフェラーゼアッセイ基質および試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTM
ultraHTSマイクロプレートイメージャーを使用して)ルシフェラーゼ活性をアッセイすることによりHCV複製を測定した。対照培養物中のレプリコン細胞は、いかなる阻害剤も非存在下で高いルシフェラーゼ発現を有する。ルシフェラーゼ活性に対する化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞でモニターして各試験化合物の用量反応曲線を可能
にした。検出されたルシフェラーゼ活性のレベルを50%減少させる、若しくはより特異的には、遺伝子的に連結されたHCVレプリコンRNAが複製する能力を低下させるのに必要とされる化合物の量を表すEC50値をその後計算した。
【0190】
結果
表4は、上に示された実施例の化合物について得られたレプリコンの結果および細胞傷害性の結果を示す。
【0191】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
いかなる可能な立体異性体も包含する、式I:
【化1】

[ここで:
RおよびRは、相互から独立に、ハロおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されているベンゾイル、または−C(=O)−Het(ここでHetはC1−4アルキルから独立に選択される1若しくは2置換基で場合によっては置換されており)、あるいは式−C(=O)−CH(R)−Rの基、ベンジルオキシカルボニル、C−Cアルキルオキシカルボニル、式HN−CH(R)−C(=O)−の基、式R−O−C(=O)−HN−CH(R)−C(=O)−の基、若しくは−C(=O)−C(=O)−フェニルであり;
は、C−Cアルキル、C3−6シクロアルキル、ベンジル若しくはフェニルであり、ここで該フェニルはハロ、C−Cアルキル、メトキシ、トリフルオロメトキシからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されることができるか、または、隣接する環原子上の2置換基が該フェニル環と一緒になってベンゾジオキソールを形成し、ならびに、該C−Cアルキルはモノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、フェニルスルホニル、Hetで場合によっては置換されており、ならびに、ここでベンジルはハロ、メトキシからそれぞれ独立に選択される1、2若しくは3置換基で場合によっては置換されており;
は、水素、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、イミダゾリル、C−Cアルキルカルボニルアミノ若しくはC−Cアルキルオキシカルボニルアミノから選択され;
Hetは、OおよびNから選択される1若しくは2個のヘテロ原子を含んでなりかつ4ないし7個の環原子を有する複素環基であり、ここで前記複素環は環炭素原子によりカルボニル炭素に結合されており、かつ、前記ヘテロ原子の最低1個は前記環炭素原子に隣接しており、
およびRは、相互から独立に水素、ヒドロキシル、C−Cアルキル若しくはハロであり;
およびRは、相互から独立に水素、C−Cアルキル、ハロ若しくはメトキシであり;
各Rは独立に水素、フェニル、またはメトキシ若しくはフェニルで場合によっては置換されているC−Cアルキルであり;ならびに
はC−Cアルキル若しくはベンジルである]
の化合物;あるいはその製薬学的に許容できる塩および/若しくは溶媒和物。
【請求項2】
およびRが水素、ヒドロキシ若しくはフルオロであり、とりわけRおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
RおよびRが、相互から独立に、式−C(=O)−CH(R)−R若しくは−C(=O)=Hetの基であり、とりわけ、RおよびRが相互から独立に式−C(=O)−CH(R)−Rの基である、請求項1若しくは2に記載の化合物。
【請求項4】
が、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、モノ若しくはジC−Cアルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、C−CアルキルカルボニルアミノまたはC−Cアルキルオキシカルボニルアミノであるか;あるいは、Rがヒドロキシル、アミノ、ジC−Cアルキルアミノ若しくはモルホリニルであるか;あるいはRがヒドロキシ、アミノ若しくはジメチルアミノである、請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が、ハロ若しくはC−Cアルキルで場合によっては置換されているフェニル環である、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がフェニルおよびイソプロピルから選択される、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Hetが、2−ピリジニル、2−ピリミジル、2−ピラジニル、2−イミダゾイル、2−チアゾリル、2−チオフェニル、2−ピラゾリニル、2−ピペリジニル、2−ピロリジニル、2−ピロリル、2−フラニル、2−テトラヒドロフラニル、2−オキセタニル、2−若しくは3−モルホリニルおよび2−ピペラジニル、とりわけ2−テトラヒドロフラニルから選択される、請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
およびRが独立に水素、メチル、メトキシ若しくはクロロであり、とりわけRおよびRが水素である、請求項1ないし7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】

【化2】

が、2個のフェニル基の間の酸素架橋に関してメタ位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
HCV複製の阻害における使用のための請求項1ないし9のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2012−524761(P2012−524761A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506527(P2012−506527)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055482
【国際公開番号】WO2010/122162
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ (94)
【氏名又は名称原語表記】Tibotec Pharmaceuticals
【Fターム(参考)】