説明

ジアリールメチルピペラジン誘導体、その製造及びその使用

【要約書】
式:
【化1】


(ここにおいて、R1及びR2は、明細書に定義された通りである)の化合物及びその塩、及びその鏡像異性体並びにその化合物を含んでなる医薬組成物が製造される。それらは、治療、特に疼痛の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、その製造方法、その使用及び新規化合物を含んでなる医薬組成物に関する。新規化合物は、治療、そして特に疼痛、不安及びうつ病の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
δ受容体は、循環系及び疼痛系のような多くの身体機能に役割を有することが確認されている。従って、δ受容体のリガンドは、鎮痛剤として及び/又は抗高血圧剤としての使用可能性を見出すことができる。δ受容体のリガンドは、免疫調節活性を有することも示されていた。
【0003】
現在、少なくとも3つの異なる個体群のオピオイド受容体(μ、δ及びκ)の識別が十分に確立されており、三つはすべてヒトを含む多くの種の中枢神経系及び末梢神経系の両方で見られる。種々の動物モデルにおいて、これらの受容体の1つ又はそれ以上が活性化された時に痛覚脱失が観察された。
【0004】
一部の例外を除いて、今のところ入手可能な選択的オピオイドδリガンドは、性質がペプチドであり、全身性経路による投与に適していない。非ペプチド性のδ−アゴニストの1つの例は、SNC80 (Bilsky E.J. et al., Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 273(1), pp. 359−366 (1995))である。
【0005】
先行技術で確認された多くのδアゴニスト化合物は、多くの欠点があり、全身性経路によって投与した時に薬理動態が劣り、鎮痛剤ではなくなる。また、これらのδアゴニスト化合物の多くは、全身的に投与した時に、有意なけいれん性効果を示すことが実証されている。
【0006】
米国特許第6,130,222号は、いくつかのδ−アゴニストを記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、改善されたδ−アゴニストがさらに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の中で特に明記しない限り、この明細書で用いる命名法は、一般にNomenclature of Organic Chemistry, Sections A, B, C, D, E, F, and H, Pergamon Press, Oxford, 1979に記載された例及び規則に従っており、これはその具体的な化学構造の名称及び化学構造の命名における規則について参照により本明細書に組み込まれている。
【0009】
単独で又は接頭辞として使用される「Cm-n」又は「Cm-n基」なる用語は、m〜n個の炭素原子を有するすべての基のことである。
【0010】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される「炭化水素」なる用語は、炭素原子が14個までの炭素及び水素原子のみを含んでなるすべての構造のことである。
【0011】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される「炭化水素基」又は「ヒドロカルビル」なる用語は、炭化水素から1つ又はそれ以上の水素を除去して得られるすべての構造のことである。
【0012】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される「アルキル」なる用語は、1〜約12個の炭素原子を含む飽和一価の直鎖又は分枝鎖炭化水素基のことである。アルキルの具体的な例としては、C1-4アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、そしてより長いアルキル基、例えばペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルが含まれるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」なる用語は、環構造の一部としてN、O、P及びSから独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有し、環(複数可)中に少なくとも3個、そして約20個までの原子を含んでなる環を含む一価の基のことであり、ここにおいて、環を含む基は、芳香族の特徴(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有する。
【0013】
典型的なヘテロアリールは、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及び1,3,4−オキサジアゾリルである。
【0014】
「アルコキシ」なる用語は、一般式−O−Rの基のことであり、ここにおいて、Rはアルキルから選ばれる。典型的なアルコキシには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ及びイソブトキシが含まれる。
【0015】
ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0016】
基の接頭辞として使用される「ハロゲン化された」は、基上の1つ又はそれ以上の水素が1つ又はそれ以上のハロゲンで置き換えられたことを意味する。
【0017】
「RT」又は「rt」は、室温を意味する。
「−OTf」は、−O−S(=O)2−CF3のことである。
【0018】
一態様において、本発明は、式I:
【化1】

(式中、
R1は、フェニル及びC3-5ヘテロアリールから選ばれ、ここにおいて前記フェニル及びC3-5ヘテロアリールは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−CF3及びC1-4アシルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2は、−H、C1-4アルキル及びC1-4アルコキシから選ばれる)の化合物、その医薬上許容しうる塩、そのジアステレオマー、その鏡像異性体、及びそれらの混合物を提供する。
【0019】
一実施態様において、本発明の化合物は、式Iで表され、ここにおいてR1はフェニル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びピリジル−N−オキシドから選ばれ、ここにおいて前記フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びピリジル−N−オキシドは、ハロゲン及びC1-4アルキルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そしてR2は−H、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選ばれる。
【0020】
別の実施態様において、本発明の化合物は式Iによって表され、式IにおいてR1は、フェニル及びピリジルから選ばれ、ここにおいて前記フェニル及びピリジルは、メチル及びフルオロから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そしてR2はメチル及びメトキシから選ばれる。
【0021】
さらなる実施態様において、本発明の化合物は式Iによって表され、式Iにおいて、R1は、フェニル、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルから選ばれ;そしてR2はメチル及びメトキシから選ばれる。
【0022】
本発明の化合物が1つ又はそれ以上のキラル中心を含む場合、本発明の化合物は、鏡像異性体又はジアステレオマー形態として(又はラセミ混合物として)存在し、そして単離されることが理解される。本発明は、式Iの化合物のすべての可能な鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体又はそれらの混合物を含む。本発明の化合物の光学活性な形態は、例えばラセミ体のキラルクロマトグラフ分離によって、光学活性な出発物質からの合成によって、又は後に記載する手順に基づく不斉合成によって製造することができる。
【0023】
また、本発明のある種の化合物は、幾何異性体、例えばアルケンのE及びZ異性体として存在することができることが理解されるであろう。本発明は、式Iの化合物のすべての幾何異性体を含む。さらに本発明が式Iの化合物の互変異性体を包含することが理解されるであろう。
【0024】
また、本発明のある種の化合物は、非溶媒和形態と同様に溶媒和形態、例えば水和形態で存在できることが理解されるであろう。さらに、本発明は式Iの化合物の全てのこのような溶媒和形態を包含することが理解されるであろう。
【0025】
また、式Iの化合物の塩もまた、本発明の範囲内にある。一般に、本発明の化合物の医薬上許容しうる塩は、当分野でよく知られている標準的な方法を用いて、例えば十分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミンを適切な酸、例えばHCl又は酢酸と反応させて生理学上許容しうるアニオンを与えることによって得ることができる。また、カルボン酸又はフェノールのような適切な酸性プロトンを有する本発明の化合物を水性媒体中で1当量のアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物又はアルコキシド(例えばエトキシド又はメトキシド)、又は適切な塩基性の有機アミン(例えばコリン又はメグルミン)で処理し、続いて慣用の精製技術によって対応するアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム又はリチウム)又はアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩を製造することが可能である。
【0026】
一実施態様において、上記の式Iの化合物は、その医薬上許容しうる塩又は溶媒和物、特に酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩に転化させることができる。
【0027】
本発明の新規な化合物は、治療、特に種々の疼痛状態、例えば慢性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、癌性疼痛、関節リウマチによって生じる疼痛、片頭痛、内臓痛などの治療に有用である。
しかしながら、このリストは網羅的なものとして解釈すべきではない。
【0028】
本発明の化合物は、免疫調節剤として有用であり、特に自己免疫疾患、例えば関節炎、皮膚移植、臓器移植及び同様の外科的必要性、膠原病、種々のアレルギー、制癌薬及び抗ウイルス剤としての使用に有用である。
【0029】
本発明の化合物は、退行変性又はオピオイド受容体の機能障害がその範例に存在する又は関与する疾患状態に有用である。これは、診断技術及び画像形成用途、例えばポジトロン放出断層撮影(PET)において本発明の化合物の同位体的に標識化されたバージョンの使用を含むことができる。
【0030】
本発明の化合物は、下痢、うつ病、不安及びストレス関連疾患、例えば外傷後ストレス障害、パニック障害、全般性不安障害、対人恐怖症、及び強迫性障害、尿失禁、早漏、種々の精神病、咳、肺水腫、種々の胃腸障害、例えば便秘、機能性胃腸障害、例えば過敏性大腸症候群及び機能性消化不良、パーキンソン病及び他の運動障害、外傷性脳損傷、卒中、心筋梗塞後の心臓保護、脊髄損傷、アルコール、ニコチン、オピオイド及び他の薬物乱用の治療を含む薬物嗜癖、及び交感神経系の障害、例えば高血圧の治療に有用である。
【0031】
本発明の化合物は、全身麻酔及び監視下鎮静管理の際に使用するための鎮痛剤として有用である。異なる性質を有する薬剤の組み合わせは、麻酔状態(例えば記憶消失、痛覚脱失、筋弛緩及び鎮静作用)を維持するのに必要な効果のバランスを得るためにしばしば使用される。この組み合わせには、吸入麻酔剤、催眠薬、不安緩解剤、神経筋遮断薬及びオピオイドが含まれる。
【0032】
また、上記議論した状態のいずれかを治療する薬剤を製造するための上記式Iの化合物のいずれかの使用は、本発明の範囲内にある。
【0033】
本発明のさらなる態様は、上記式Iに記載の化合物の有効量をこのような治療を必要とする患者に投与することによる、上記議論した状態のいずれかにかかっている被験者の治療方法である。
【0034】
従って、本発明は、治療に使用するために上記定義されたような式Iの化合物又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0035】
さらなる態様において、本発明は、治療に使用する薬剤の製造における上記定義された式Iの化合物、又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。本明細書に関して、特にそれと反対の明記がない限り、「治療」なる用語には「予防」も含まれる。「治療上の」及び「治療上」なる用語は、そのように解釈すべきである。さらに、本発明の関連内の「治療」なる用語は、既存の疾患状態、急性若しくは慢性又は再発状態のいずれかを緩和するために本発明の化合物の有効量を投与することを包含する。また、この定義は、再発状態を防止するための予防治療及び慢性状態の継続的治療を包含する。
【0036】
本発明の化合物は、治療、特に慢性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、及び内臓痛を含む種々の疼痛状態の治療に有用であるが、これらに限定されない。
【0037】
ヒトのような温血動物の治療に使用する際、本発明の化合物は、経口的、筋内、皮下、局所的、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、クモ膜下腔内、脳室内を含むあらゆる経路によって及び関節への注射によって慣用の医薬組成物の形態で投与することができる。
【0038】
本発明の一実施態様においては、投与経路は、経口的、静脈内、又は筋内であることができる。
【0039】
特定の患者にとって最も適当な個々の処方計画及び投与量レベルを決定する際、投与量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、並びに主治医によって通常考慮される他の要因に応じて左右される。
【0040】
本発明の化合物から医薬組成物を製造する際、不活性な医薬上許容しうる担体は、固体又は液体であることができる。固体形態の製剤には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤及び坐剤が含まれる。
【0041】
固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤又は崩壊剤としても作用することができる1つ又はそれ以上の物質であることができ、それは封入材料であってもよい。
【0042】
散剤では、担体は、微粉砕された固体であり、それは微粉砕された本発明の化合物又は活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分を適切な比率で必要な接着性を有する担体と混合し、所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0043】
坐剤組成物を製造する際、低融点ろう、例えば脂肪酸グリセリド及びカカオ脂の混合物を最初に溶融し、そして活性成分を例えば撹拌によってその中に分散する。次いで、溶融した均質混合物を都合のよいサイズの鋳型へ注ぎ、冷却して凝固させる。
【0044】
適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、低融点ろう、カカオ脂、などである。
【0045】
組成物なる用語は、活性成分とカプセル供給担体として封入材料との製剤を含むことを意図するものとし、そこでは活性成分は、(他の担体と共に又はなしで)担体によって囲まれており、活性成分と会合している。同じように、カシェ剤が含まれる。
【0046】
錠剤、散剤、カシェ剤及びカプセル剤は、経口投与に適切な固体剤形として用いることができる。
【0047】
液体形態の組成物には、溶剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。例えば、活性化合物の滅菌水又は水プロピレングリコール溶液は、非経口投与に適切な液体製剤であることができる。また、液体組成物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤に処方することもできる。
【0048】
経口投与用の水性液剤は、水中に活性成分を溶解し、所望により適切な着色剤、着香剤、安定剤及び増粘剤を加えることによって製造することができる。経口使用のための水性懸濁剤は、微粉砕された活性成分を天然合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムのような粘稠材料及び医薬製剤の分野で知られている他の懸濁化剤と共に水中に分散することによって製造することができる。
【0049】
投与の様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは本発明の化合物0.05%〜99%w(質量%)、より好ましくは0.10〜50%wを含み、全ての質量パーセントは、全組成物に基づく。
【0050】
本発明を実施するための治療上有効量は、個々の患者の年齢、体重及び反応を含む、知られている基準を用いて決定することができ、そして当業者によって治療又は予防される疾患の枠の中で判断される。
【0051】
薬剤を製造するための上記定義された式Iのいずれかの化合物の使用は、本発明の範囲内にある。
【0052】
疼痛を治療する薬剤を製造するための式Iのいずれかの化合物の使用は、本発明の範囲内にある。
【0053】
さらに、慢性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛及び内臓痛が含まれるが、これらに限定されない種々の疼痛状態を治療する薬剤を製造するための式Iのいずれかの化合物の使用が提供される。
【0054】
本発明のさらなる態様は、上記式Iの化合物の有効量をこのような治療を必要とする患者に投与することによる上記議論した状態のいずれかにかかっている被験者の治療方法である。さらに、式Iの化合物又はその医薬上許容しうる塩と共に医薬上許容しうる担体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0055】
特に、治療のため、より具体的には疼痛を治療するための式Iの化合物又はその医薬上許容しうる塩と共に医薬上許容しうる担体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0056】
さらに、上記議論した状態のいずれかに使用するための式Iの化合物又はその医薬上許容しうる塩と共に医薬上許容しうる担体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0057】
さらなる態様において、本発明は、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0058】
一実施態様において、本発明は、式II
【化2】

(式中、Xはハロゲン及び−OTfから選ばれ;そしてR1及びR2は、上記定義された通りである)の化合物をR2−C(=O)−NH2と反応させることからなる、式I
【化3】

の化合物の製造方法を提供する。
【0059】
本発明の別の実施態様は、式IIの化合物をR2−C(=O)−NH2と反応させる工程をキサントホス、Pd2(dba)3及びCs2CO3から選ばれる試薬の存在下で実施することができる、上記の式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0060】
さらなる実施態様において、本発明は、式III:
【化4】

(式中、Xはハロゲン及び−OTfから選ばれ;そしてR1及びR2は上記定義された通りである)の化合物をR1−CHO又はR1−CH2Xと反応させることからなる式I
【化5】

の化合物の製造方法を提供する。
【0061】
本発明のなおさらなる実施態様は、式IIIの化合物をR1−CHOと反応させる工程を還元剤、例えばNaBH(OAc)3の存在下で実施する、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0062】
特に、本発明の化合物及びその製造に使用する中間体は、スキーム1〜3に例示したような合成経路に従って製造することができる。
【化6】

【0063】
【化7】

【0064】
【化8】

【0065】
生物学的評価
本発明の化合物は、温血動物、例えばヒトにおいてδ受容体に対して活性であることがわかった。特に本発明の化合物は、有効なδ受容体リガンドであることがわかった。以下のin vitroアッセイは、特にラット脳機能性アッセイ及び/又はヒトδ受容体機能性アッセイで示されるようなアゴニスト効力及び有効性に関してこれらの驚くべき活性を示す。
この特徴は、in vivo活性と関連があり、結合親和性で線形的に相関しているわけでは
ない。これらのin vitroアッセイでは、化合物をδ受容体に対するそれらの活性について試験し、IC50を得、δ受容体に対する特定の化合物についての選択的活性を決定した。これに関して、IC50は一般に標準放射性δ受容体リガンドの50%の置き換えが観察された化合物の濃度のことである。
また、κ及びμ受容体に対する化合物の活性も同様のアッセイで測定される。
【0066】
in vitroモデル
細胞培養
クローニングされたヒトκ、δ及びμ受容体及びネオマイシン耐性を発現するヒト293S細胞を、カルシウムを含まないDMEM10% FBS、5%BCS、0.1%Pluronic F−68及び600μg/mlのジェネティシンを含む振盪フラスコ中37℃及び5%CO2で、懸濁液中で成長させた。
ラット脳を秤量し、氷冷PBS(2.5mM EDTAを含む,pH 7.4)中ですすいだ。ポリトロンを用いて脳を氷冷溶解緩衝液(50mMトリス,pH 7.0,2.5mM EDTA,使用直前にフェニルメチルスルホニルフルオリドを加えてDMSO:エタノール中の0.5M保存液から0.5MmMにした)中で30秒間(ラット)均質化した。
【0067】
膜の調製
細胞をペレット化し、溶解緩衝液(50mMトリス,pH 7.0,2.5mM EDTA,使用直前にPMSFを加えてエタノール中の0.1M保存液から0.1mMにした)中で再懸濁し、氷上で15分間インキューベートし、次いでポリトロンを用いて30秒間均質化した。懸濁液を1000g(最大)で、4℃で10分間回転させた。上澄みを氷上で保存し、ペレットを再懸濁し、そして前のように回転させた。両方の回転からの上澄みを合わせて46,000g(最大)で30分間回転させた。ペレットを冷トリス緩衝液(50mMトリス/Cl,pH 7.0)中で再懸濁し、再び回転させた。最終的なペレットを膜緩衝液(50mMトリス,0.32Mスクロース,pH 7.0)中で再懸濁した。ポリプロピレン管中のアリコート(1ml)をドライアイス/エタノール中で凍結させて使用するまで−70℃で保存した。タンパク質濃度は、ドデシル硫酸ナトリウムを用いて改変ローリーアッセイによって測定した。
【0068】
結合アッセイ
膜を37℃で解凍し、氷上で冷却し、25−ゲージの針を3回通過させ、結合緩衝液(50mMトリス,3mM MgCl2,1mg/ml BSA(Sigma A−7888),pH 7.4、これを0.22mフィルタによって濾過した後、4℃で保存し、これに新たに5μg/ml アプロチニン,10μMベスタチン,10μMジプロチンAを加え、DTTは含まない)中に希釈した。アリコート100μlを、適当な放射性リガンド100μl及び種々の濃度の試験化合物100μlを含む氷冷した12×75mmポリプロピレン管に加えた。全結合(TB)及び非特異的結合(NS)をそれぞれ10μMナロキソンの存在下及び非存在下で測定した。管をかき混ぜ、そして25℃で60−75分間インキューベートし、この後、内容物を急速に真空濾過し、0.1%ポリエチレンイミン中に少なくとも2時間、予め浸漬したGF/Bフィルタ(Whatman)を通して氷冷した洗浄緩衝液(50mMトリス,pH 7.0,3mM MgCl2)約12ml/管を用いて洗浄した。シンチレーション液6−7mlを含むミニバイアル瓶に少なくとも12時間フィルタを浸漬した後に、フィルタ上に保持された放射活性(dpm)をベータカウンターで測定した。アッセイを96−箇所深穴プレートで行う場合、濾過は96−箇所PEI浸漬ユニフィルター上で行い、これを洗浄緩衝液3×1mlで洗浄し、オーブン中55℃で2時間乾燥した。50μl MS−20シンチレーション液/穴を加えた後に濾過プレートをTopCount(Packard)でカウントした。
【0069】
機能性アッセイ
化合物のアゴニスト活性は、化合物受容体複合体が、受容体がカップリングするG−タンパク質へのGTPの結合を活性化する度合いを測定することによって評価した。GTP結合実験では、GTP[γ]35Sは、試験化合物と、クローニングされたヒトオピオイド受容体を発現するHEK−293S細胞から又は均質化されたラット及びマウス脳からの膜とを合わせる。アゴニストは、これらの膜中でGTP[γ]35S結合を刺激する。化合物のEC50及びEmax値は、用量応答曲線から決定する。δアンタゴニストナルトリンドールによる用量応答曲線の右シフトが実施され、アゴニスト活性がδ受容体を通して介在することを実証した。Emax値を標準δアゴニストSNC80に関して測定し、すなわち100%を超えるのは、SNC80より良好な有効性を有する化合物である。
【0070】
ラット脳GTPについての手順
ラット脳膜を37℃で解凍し、25−ゲージ平滑末端針を3回通過させ、そしてGTPγS結合液(50mM Hepes,20mM NaOH,100mM NaCl,1mM EDTA,5mM MgCl2,pH 7.4,新たに加えた:1mM DTT,0.1% BSA)中で希釈した。最終的な120μM GDPを膜希釈液に加えた。化合物のEC50及びEmaxは、適当な量の膜タンパク(20μg/穴)の入った300μ中で、穴当たりGTPγ35S(0.11−0.14nM)の100000−130000dpmで行った10点用量応答曲線から評価した。基底結合及び刺激された最大結合は、3μM SNC−80の非存在下及び存在下で測定した。
【0071】
データ分析
特異的結合(SB)をTB−NSとして算出し、種々の試験化合物の存在下でのSBを対照SBのパーセンテージとして表示した。特異的に結合した放射性リガンドの置き換えにおけるリガンドについてのIC50値及びヒル係数(nH)は、ロジットプロット又は曲線適合プログラム、例えばLigand、GraphPad Prism、SigmaPlot又はReceptorFitから算出した。Kiの値は、Cheng−Prussoff式から算出した。IC50の平均±S.E.M.値、Ki及びnHは、少なくとも3つの置換曲線で試験したリガンドについて報告した。
上記試験プロトコールに基づいて、本発明者らは、本発明の化合物がヒトδ受容体に対して活性であることを見出した。
【0072】
受容体飽和実験
放射性リガンドKδ値は、推定されるKδの0.2〜5倍の範囲(必要な放射性リガンドの量が可能ならば10倍まで)の濃度で適当な放射性リガンドを用いて細胞膜上で結合アッセイを実施することによって測定した。特異的な放射性リガンド結合は、pmole/mg膜タンパクとして表示した。個々の実験からのKδ及びBmaxの値は、ワンサイトモデルによる特異的な結合(B)対個体からのnMフリーの(F)放射性リガンドの非線形適合から得た。
【0073】
フォンフレイ試験を用いた機械的アロディニアの測定
試験は、Chaplan等(1994)によって記載される方法を用いて08:00及び16:00時の間で実施した。ラットを足への接触可能なワイヤーメッシュ底面上のプレキシガラスケージ中に置き、10−15分間順化させた。試験した領域は、左後足の足底中央であり、あまり感受性でない足の肉趾は避けた。剛さが対数的に増加する連続する8本のフォンフレイ毛(0.41、0.69、1.20、2.04、3.63、5.50、8.51及び15.14グラム;Stoelting, Ill, USA)の系列を用いて足に接触させた。フォンフレイ毛をメッシュ床下から足に対してわずかな反りが生じるのに十分な力で足底表面に対して垂直に適用し、約6−8秒保持した。足を急激に引っ込めた場合、正の反応として記載した。毛を除去して直ちにしりごみするのも正の反応とみなした。歩行は曖昧な反応とみなして、このような場合、刺激を繰り返した。
【0074】
試験プロトコール
動物は、FCA−処置群について術後日1に試験した。50%引っ込め閾値は、ディクソン(1980)の上げ下げ法を用いて測定した。試験は系列の中央の2.04gの毛で始めた。上行性又は下行性にかかわらず、刺激は常に連続的なやり方で与えた。最初に選ばれた毛に対する足引っ込め反応がない場合、より強い刺激を与え、足を引っ込めた場合には、次のより弱い刺激を選ぶ。この方法による最適閾値計算は、50%閾値のすぐ近くに6つの反応を必要とし、反応における最初の変化が生じた時、例えば閾値が最初に超えた時に、これらの6つの反応のカウントを開始する。閾値が刺激の範囲から外れた場合、それぞれ15.14(正常な感受性)又は0.41(最大アロディニア)の値を設定した。慣例を用いて正および負の反応の生成パターンを表にした、X=引っ込めなし;O=引っ込め、そして式を用いて50%引っ込め閾値を補間した:
50% g 閾値=10(Xf+kδ)/10,000
ここで、Xf=使用した最後のフォンフレイ毛の値(ログ単位);k=正/負の反応パターンについての表の値(Chaplan et al. (1994)から);そしてδ=刺激間の平均差(ログ単位)ここでδ=0.224
【0075】
Chaplan et al. 1994に従ってフォンフレイ閾値を最大可能効果(% MPE)のパーセントに変換した。以下の式を用いて% MPEを計算した:
【数1】

【0076】
試験物質の投与
フォンフレイ試験前に試験物質をラットに注射し(皮下、腹腔内、静脈内、又は経口的に)、試験化合物の投与とフォンフレイ試験との間の時間は、試験化合物の性質に応じて変化させた。
【0077】
身もだえ試験
酢酸は、マウスの腹腔内に投与した時に腹筋収縮をもたらす。典型的なパターンでは、次いでマウスの体を伸長させる。鎮痛薬を投与した時、この記載された運動は、あまり頻繁に観察されず、薬物は潜在的に良好な候補物質として選ばれる。
【0078】
以下の要素が存在するときにのみ完全な及び典型的な身もだえ反射とみなした:動物が身動きしていない;腰をわずかに下げる;両足の足底の様相は、観察可能である。このアッセイでは、本発明の化合物は、1−100μmol/kgの経口投薬後、身もだえ反応の有意な阻害を示す。
(i) 液剤の製造
酢酸(AcOH):0.6%AcOHの最終濃度で最終容積20mlにするために酢酸120μLを蒸留水19.88mlに加えた。次いで、溶液を混合し(かき混ぜる)、注射の準備をした。
化合物(薬物):各化合物を製造し、標準的な方法に従って最も適切な賦形剤に溶解した。
(ii) 液剤の投与
試験前20、30又は40分(化合物の種類及びその特性による)に10ml/kg(平均マウス体重を考慮して)で経口的、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)又は静脈内(i.v.)に化合物(薬物)を投与した。化合物を中枢に:脳室内(i.c.v.)又はクモ膜下腔内(i.t.)に供給する場合、5μLの容積を投与した。
AcOHは、試験直前に10ml/kgで(平均マウス体重を考慮して)2つの部位で腹腔内(i.p.)に投与した。
(iii) 試験
動物(マウス)を20分間観察し、場合(身もだえ反射)の数を書きとめ、実験終了後に編集した。マウスを接触床敷を有する個別の「シューボックス」ケージに入れた。対照が1匹及び薬物投与が3匹の合計4匹のマウスを通常同時に観察した。
不安及び不安に類似する適応症については、ラットのgeller−seifter葛藤試験で有効性が確かめられた。
機能性胃腸障害の適応症については、American Journal of Physiology − Gastrointestinal & Liver Physiology. 282(2): G307−16, 2002 Feb中でCoutinho SV等によって記載されたアッセイにおいてラットにおける有効性を確かめることができる。
【0079】
さらなるin vivo試験プロトコール
被験者及びハウジング
実験未使用の雄スピローグドーリーラット(175−200g)を温度制御室中に5群収容した(22℃、湿度40−70%、明/暗12時間)。実験は、サイクルの明期に実施した。動物は、自由に食物及び水を与え、そしてデータを集めた直後に殺した。
【0080】
試料
化合物(薬物)試験には、なんら治療をうけなかったラットの群及び大腸菌リポ多糖類(LPS)で処置した別の群が含まれる。LPS処置した実験では、4つの群にLPSで注射し、次いでその4つの群のうちの1つを賦形剤で処置し、他の3つの群を薬物及びその賦形剤で注射した。実験の第2セットは、ラットの5群で実施した;これらはすべてLPS処置を受けなかった。実験未使用の群は、化合物(薬物)又は賦形剤を摂取しなかった;その他の4つの群は、薬物と共に又はなしで、賦形剤で処置した。これらを実施してUSVの減少に寄与することができる薬物の不安緩解効果又は鎮静効果を測定した。
【0081】
LPSの投与
ラットを処置前に15−20分間実験室中で順化させた。炎症は、LPSの投与により誘発させた(グラム陰性の病原性大腸菌血清型のエンドトキシン0111:B4,Sigma)。イソフルラン麻酔下で標準定位手術技術を用いてLPS(2.4μg)を10μlの容積で脳室内に(i.c.v.)注射した。両耳の間の皮膚を吻側に押し、約1cm縦切開して頭蓋表面を露出させた。穿刺部位は、座標:ブレグマに対して0.8mm後方、ラムダ(矢状縫合)に対して1.5mm側方(左)、そして側脳室において頭蓋表面の下(垂直)5mmによって決定した。ポリエチレン配管(PE20; 10−15cm)によって100μlハミルトンシリンジに取り付けた長さ5mmの滅菌ステンレス鋼の針(26G 3/8)を経てLPSを注射した。切断された針(20G)から作った4mmのストッパーを置き、シリコーン接着剤で26−Gの針に固定して所望の5mmの深さにした。
【0082】
LPSの注射後、針をさらに10秒同じ場所に残し、化合物を拡散させてから取り外した。切開を閉じ、ラットをその最初のケージに戻して、試験前に少なくとも3.5時間安静にさせた。
【0083】
エアパフ刺激の実験構成
ラットを実験室に残し、続いてLPS注射し、化合物(薬物)を投与した。試験時に全てのラットを取り出し、実験室の外側に置いた。1回に1匹のラットを試験実験室に連れてきて透明なボックス(9×9×18cm)中に置き、次いでこれを62(w)×35(d)×46(h)cmの寸法の防音の換気された小部屋(BRS/LVE, Div. Tech−Serv Inc)に置いた。0.32cmのエア出力ノズルによるエアパフの供給は、一定の持続期間(0.2s)及び一定の強度でエアパフを10秒当たり1パフの頻度で供給することができるシステム(AirStim, San Diego Intruments)によって制御した。最高10又は啼鳴が始まるまでパフを与え、たいていの場合、最初に啼鳴が始まる。最初のエアパフは、記録の開始を示す。
【0084】
実験構成及び超音波録音
啼鳴は、各小部屋に置いてマイクロホン(G.R.A.S. sound and vibrations, Vedbaek, Denmark)を用いて10分間記録し、LMS (LMS CADA−X 3.5B, Data Acquisition Monitor, Troy, Michigan)ソフトウェアによって制御した。周波数0〜32000Hzの間で記録して保存し、そして同じソフトウェア(LMS CADA−X 3.5B, Time Data Processing Monitor and UPA (User Programming and Analysis))によって分析した。
【0085】
化合物(薬物)
全ての化合物(薬物)は、6.5〜7.5の間でpHを調整し、4ml/kgの容積で投与した。化合物(薬物)を投与した後、試験時まで、動物を最初のケージに戻した。
【0086】
分析
記録を一連の統計的及びフーリエ分析にかけてフィルタを通し(20−24kHzの間で)、そして興味のパラメーターを算出した。データは、平均値±SEMとして表した。統計的有意性は、実験未使用のラットとLPS処置したラットとの間で比較するためのt検定、及び一方向性のANOVA、続いて薬物有効性についてはダネットの多重比較試験(事後)を用いて評価した。群間の差は、最小p値≦0.05で有意であるとみなした。実験は、少なくとも2回繰り返した。
【0087】
実施例
さらに、本発明を、以下の実施例によってより詳細に説明し、これらは方法を記載し、それによって本発明の化合物は、製造、精製、分析及び生物学上試験することができ、そして本発明を制限するものとして解釈されない。
【0088】
中間体1:4−ヨード−N,N−ジエチルベンズアミド
ジクロロメタン(600mL)中の4−ヨードベンゾイルクロリド(100g)の混合物にジエチルアミン(80mL)を0℃で滴加した。添加を完了した後、生成した反応混合物を室温に加温させて24時間撹拌した。次いで混合物を飽和塩化アンモニウムで洗浄した。有機抽出物を乾燥(Na2SO4)、濾過して濃縮した。残留物を熱エタノール/水(4:3)から再結晶させて無色の針晶として中間体1の95gを得た。
【0089】
中間体2:4−[(4−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
−20℃に冷却したTHF(66mL)及びメタノール(0.7mL)の混合物にイソプロピルマグネシウムクロリド(ジエチルエーテル中の2.0M溶液)(24.7mL,49.5mmol)を加えた。溶液を室温にして20分間撹拌した。次いで、反応液を0℃に冷却し、乾燥THF(40mL)中の中間体1(10.0g,33.0mmol)の溶液を30分かけてゆっくりと加えた。混合物を室温にして45分間撹拌し、次いで0℃に再び冷却した。乾燥THF(50mL)中の4−ブロモベンズアルデヒド(6.23g,33.7mmol)溶液を30分かけて滴加した。次いで、反応液を室温に加温して一夜撹拌した。翌日、飽和水性塩化アンモニウムを加えた。混合物を30分間撹拌し、次いでジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィでヘキサン中の50%酢酸エチルを用いて溶出して中間体2を得た(8.46g;収率71%)。純度(HPLC−215nm):> 87%;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 0.95−1.34 (m, 6H), 3.11−3.33 (br s, 2H), 3.38−3.62 (br s, 2H), 5.75 (s, 1H), 7.22 (d, J=8.79 Hz, 2H), 7.26−7.35 (m, 4H), 7.43 (d, J=8.59 Hz, 2H)。
【0090】
中間体3:4−[(4−ブロモフェニル)(ピペラジン−1−イル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
ジクロロメタン(75mL)中の中間体2(8.41g,23.2mmol)の溶液に臭化チオニル(2.16mL,27.9mmol)をゆっくりと加えた。反応液を室温で6時間撹拌した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、そして有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回洗浄し、合わせた有機抽出物を乾燥(Na2SO4)、濾過して濃縮した。粗臭化ベンジルをアセトニトリル(230mL)に溶解し、ピペラジン(6.40g,74.3mmol)を加えた。反応液を65℃で2時間加熱した後、反応混合物を室温にさまし、飽和塩化アンモニウム/酢酸エチルで洗浄し、そして有機層を分離した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、そして合わせた有機抽出物を乾燥(Na2SO4)、濾過して濃縮した。残留物を、ジクロロメタン中の2%メタノールにより溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、薄黄色の固形物として中間体3(7.13g,71%)を得た。この物質を次の工程に直接用いた。
【0091】
中間体4:4−[(4−ベンジルピペラジン−1−イル)(4−ブロモフェニル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
1,2−ジクロロエタン(50mL)中の中間体3(1.39g,3.23mmol)の溶液にベンズアルデヒド(0.53mL,5.2mmol)及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.16g,5.49mmol)を加えた。反応液を窒素下、室温で一夜撹拌した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、水層をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。残留物をジクロロメタン中の3%メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、無色の泡状物として中間体4(1.46g、87%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH 1.04−1.14 (m, 3H), 1.17−1.27 (m, 3H), 1.64−1.74 (m,
2H), 2.30−2.56 (m, 6H), 3.17−3.29 (m, 2H), 3.45−3.59 (m, 4H), 4.21 (s, 1H), 7.21−7.32 (m, 9H), 7.35−7.42 (m, 4H)。M.S.(計算値):520.19(MH+),M.S(実測値):520.06(MH+)
【0092】
中間体5:4−[{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}(ヒドロキシ)メチル]安息香酸メチル
THF(80mL)中の中間体1(10.0g,33.0mmol)の溶液をドライアイス/アセトニトリル浴中で−40℃に冷却したイソプロピルマグネシウムクロリドの溶液(18.2mL,THF中2.0M)に滴加した。2時間撹拌した後、THF(50mL)中の4−ホルミル安息香酸メチル(5.42g,33.0mmol)の溶液を、カニューレを通して加えた。反応液を0℃に加温し、30分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、層を分離し、そして水層は酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2中の5%MeOH)で精製して中間体5(8.70g,77%)を得た。1H NMR (CDCl3) δH 1.06−1.15 (m, 3H), 1.19−1.28 (m, 3H), 3.19−3.29 (m, 2H), 3.48−3.59 (m, 2H), 3.89−3.92 (s, 3H), 5.88 (d, J=3.07 Hz, 1H), 7.33 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.37 (d, J=7.94 Hz, 2H), 7.46 (d, J=8.19 Hz, 2H), 8.01 (d, J=8.19 Hz, 2H)。M.S.(計算値):342.16(MH+),M.S(実測値):342.08(MH+)
【0093】
中間体6:tert−ブチル4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(メトキシカルボニル)フェニル]メチル}ピペラジン−1−カルボキシレート
ジクロロメタン(200mL)中の中間体5(8.70g,28.7mmol)の溶液に、滴下漏斗から臭化チオニル(2.5mL,32mmol)をゆっくりと加えた。反応液を室温で3時間撹拌した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回洗浄し、合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。粗臭化ベンジルをアセトニトリル(200mL)中に溶解し、1−boc−ピペラジン(5.34g,28.7mmol)を加えた。反応液を65℃で2時間加熱した後、反応混合物を室温にさまし、一夜放置した。白色沈殿が形成され、これを濾過して無色の固形物として生成物を得た(12.2g,84%)。1H NMR (CDCl3) δH 1.07−1.13 (m, 3H), 1.19−1.25 (m, 3H), 1.44 (s, 9H), 2.28−2.39 (m, 4H), 3.17−3.28 (m, 2H), 3.39−3.47 (m, 4H), 3.48−3.57 (m, 2H), 3.89 (s, 3H), 4.30 (s, 1H), 7.30 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.42 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.49 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.96 (d, J=8.45 Hz, 2H)。M.S.(計算値):510.29(MH+),M.S(実測値):510.16(MH+)
【0094】
中間体7:4−([4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}メチル)安息香酸
エタノール(140mL)及び水(60mL)の混合物中の中間体6(11.2g,22.0mmol)及び水酸化カリウム(3.7g,66mmol)の溶液を65℃で2時間加熱した。溶液を室温にさまし、真空下で濃縮した。残留物を水中に溶解し、1M HClを加えることによって、pHを〜7に調整した。生成物は溶液から析出し、そしてブフナー漏斗を使用して濾過された。濾液を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。残留物を濾過した固形物と合わせて無色の固形物として中間体7(8.5g,79%)を得た。1H NMR (CDCl3) δH 1.05−1.18 (m, 3H), 1.19−1.30 (m, 3H), 1.46 (s, 9H), 2.26−2.45 (m, 4H), 3.18−3.32 (m, 2H), 3.38−3.49 (m, 4H), 3.49−3.61 (m, 2H), 4.32 (s, 1H), 7.32 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.42 (d, J=7.94 Hz, 2H), 7.53 (d, J=8.19 Hz, 2H), 8.02 (d, J=8.19 Hz, 2H)。M.S.(計算値):496.27(MH+),M.S(実測値):496.14(MH+)
【0095】
中間体8:tert−ブチル4−({4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}{4−[(メトキシカルボニル)アミノ]フェニル}メチル)ピペラジン−1−カルボキシレート
中間体7(5.3g,11mmol)を無水トルエン(100mL)に溶解し、Et3N(4.5mL,32mmol))で処理した。ジフェニルホスホリルアジド(4.6mL,21mmol)を滴加し、そして反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶液を還流下で1.5時間加熱してイソシアネートを形成し、次いで室温にさました。無水メタノール(100mL)を加え、反応液を還流下で4時間加熱した。室温にさました後、反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水相を酢酸エチルで2回洗浄し、合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。残留物をヘプタン中の20%〜80%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、無色の固形物として中間体8(3.10g,55%)を得た。1H NMR (CDCl3) δH 1.07−1.14 (m, 3H), 1.19−1.25 (m, 3H), 1.43 (s, 9H), 2.28−2.36 (m, 4H), 3.20−3.30 (m, 2H), 3.37−3.46 (m, 4H), 3.49−3.56 (m, 2H), 3.76 (s, 3H), 4.20 (s, 1H), 7.27−7.34 (m, 6H), 7.41 (d, J=7.94 Hz, 2H)。M.S.(計算値):525.30(MH+),M.S(実測値):525.14(MH+)
【0096】
中間体9:4−[ブロモ(4−ブロモフェニル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
ジクロロメタン(90mL)中の中間体2(9.77g,27mmol)の溶液に臭化チオニル(2.5mL,32.4mmol)をゆっくり加えた。反応液を室温で一夜撹拌した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、そして有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮して黄色の油11.5gを得た。生成物を次の工程に直接用いた。
【0097】
中間体10a:4−{(4−ブロモフェニル)[4−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
粗中間体9(3.8g,9.0mmol)をアセトニトリル(90mL)に溶解し、そして1−(2−フルオロベンジル)ピペラジン(3.04g,15.6mmol)を加えた。65℃で一夜加熱した後に、反応混合物を濃縮し、そして残留物をヘキサン中の0%〜100%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、黄色の油として中間体10a(1.04g,21%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δH 1.06−1.15 (m, 3H), 1.20−1.26 (m, 3H), 2.31−2.65 (m, 8H), 3.20−3.29 (m, 2H), 3.49−3.58 (m, 2H), 3.60−3.64 (m, 2H), 4.21−4.23 (m, 1H), 7.01−7.06 (m, 1H), 7.20 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.26−7.31 (m, 4H), 7.33−7.45 (m, 4H)。M.S.(計算値):537.18(MH+),M.S(実測値):536.98(MH+)
【0098】
中間体10b:4−{(4−ブロモフェニル)[4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
粗中間体9(3.8g,9.0mmol)をアセトニトリル(90mL)に溶解し、そして1−(4−フルオロベンジル)ピペラジン(3.04g,15.6mmol)を加えた。反応液を65℃で5時間加熱した後、反応混合物を濃縮し、そして残留物をヘキサン中の0%〜80%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィによって精製し、淡黄色の固形物として中間体10b(1.94g,40%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δH 1.04−1.15 (m, 3H), 1.17−1.26 (m, 3H), 2.20−2.64 (m, 8H), 3.19−3.27 (m, 2H), 3.45−3.48 (m, 2H), 3.49−3.56 (m, 2H), 4.20−4.22 (m, 1H), 6.95−7.00 (m, 2H), 7.26 (s, 6H), 7.37 (s, 6H), 7.37 (d, J=7.94 Hz, 2H), 7.40 (d, J=8.19 Hz, 2H)。M.S.(計算値):537.18(MH+),M.S(実測値):536.96(MH+)
【0099】
化合物1:(+)−4−[[4−(アセチルアミノ)フェニル](4−ベンジルピペラジン−1−イル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド及び化合物2:(−)−4−[[4−(アセチルアミノ)フェニル](4−ベンジルピペラジン−1−イル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
スミスプロセスバイアル瓶に中間体4(500mg,0.94mmol)、アセトアミド(67mg,1.13mmol)、キサントホス(81mg,0.14mmol)、Pd2(DBA)3(43mg,0.047mmol)、炭酸セシウム(429mg,1.32mmol)及び脱気したジオキサン(2mL)を入れた。キャップを完全に締め、そして容器をスミスシンセサイザ中、150℃で2時間マイクロ波照射に曝露した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、そして有機層を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮した。残留物を、LUNA C−18カラム,25分で10−50%Bの勾配,流速40mL/分,20℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFAを使用する逆相クロマトグラフィによって精製した。生成物をそのTFA塩として得、凍結乾燥して無色の固形物73mg(11%)を得た。次いで、Chiralpak AD半分取カラム,流速28mL/分,0.1%ジエチルアミンを含む5%MeOH/5%EtOH/90%ヘキサンを使用してキラルHPLCによって鏡像異性体を分離し、化合物1の21.4mg及び化合物2の13.1mgを得た。化合物をそれらのTFA塩に転化して無色の固形物として化合物1の21.8mg及び化合物2の17.1mgを得た。
分析キラルHPLC条件:
Chiralpak AD,流速1mL/分
5%MeOH/5%エタノール/90%ヘキサン
化合物1の保持時間:23.2分
化合物2の保持時間:29.4分
【0100】
化合物1:1H NMR 遊離アミン (400 MHz, CD3OD) δH 1.04−1.15 (m, 3H), 1.16−1.27 (m, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.31−2.59 (m, 8H), 3.18−3.29 (m, 2H), 3.46−3.58 (m, 4H), 4.21 (m, 1H), 7.21−7.34 (m, 9H), 7.35−7.43 (m, 4H)。M.S.(計算値):499.3(MH+),M.S(実測値):499.0(MH+)。HPLC:k'4.49;純度:94%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で20−50%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:14.9分;条件:Chiralcel OD,0.1%ジエチルアミンを含む88%ヘキサン中の12%エタノール。旋光性(TFA塩):[α]18D=+5.0°(c=0.70,MeOH)
【0101】
化合物2:1H NMR 遊離アミン (400 MHz, CD3OD) δH 1.04−1.15 (m, 3H), 1.16−1.27 (m, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.31−2.59 (m, 8H), 3.18−3.29 (m, 2H), 3.46−3.58 (m, 4H), 4.21 (m, 1H), 7.21−7.34 (m, 9H), 7.35−7.43 (m, 4H)。M.S.(計算値):499.3(MH+),M.S(実測値):499.0(MH+)。HPLC:k'4.49;純度:97%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm) 条件:Zorbax C−18,25分で20−50%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:17.9分;条件:Chiralcel OD,0.1%ジエチルアミンを含む88%ヘキサン中の12%エタノール。旋光度(TFA塩):[α]18D=−4.3°(c=0.83,MeOH)
【0102】
化合物3:(−)−メチル[4−((4−ベンジルピペラジン−1−イル){4−[(ジエチルアミノ)−カルボニル]フェニル}メチル)フェニル]カルバメート及び化合物4:(+)−メチル[4−((4−ベンジルピペラジン−1−イル){4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}メチル)フェニル]カルバメート
化合物1及び化合物2と同じ方法を用いたが、アセトアミドをカルバミン酸メチル(85mg,1.13mmol)で置き換えて、そのTFA塩として、無色の固形物としてラセミ体の生成物(138mg,20%)を得た。
Chiralcel OD半分取カラム,流速18mL/分,0.1%ジエチルアミンを含む10%MeOH/10%エタノール/80%ヘキサンを使用するキラルHPLCによって鏡像異性体を分離し、TFAで処理した後、無色の固形物として及びそれらのTFA塩として化合物3の88.6mg及び化合物4の64.9mgを得た。
分析キラルHPLC条件:
Chiralcel OD,流速1mL/分,
10%MeOH/10%エタノール/80%ヘキサン
化合物3の保持時間:10.7分
化合物4の保持時間:15.2分
【0103】
化合物3:1H NMR 遊離アミン (400 MHz, CD3OD) δH 1.08 (t, J=6.64 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.64 Hz, 3H), 2.18−2.47 (m, 2H), 2.92−3.11 (m, 2H), 3.19−3.41 (m, 6H), 3.47−3.56 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.33 (s, 2H), 4.43 (s, 1H), 7.30−7.41 (m, 6H), 7.48 (s, 5H), 7.54 (d, J=8.20 Hz, 2H)。M.S.(計算値):515.3(MH+),M.S(実測値):515.0(MH+)。HPLC:k'3.76;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA、B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:9.22分;条件:Chiralpak AD,0.1%DEAを含む30%イソプロパノール/70%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]D18 =−3.9°(c=1.07,MeOH)
【0104】
化合物4:1H NMR 遊離アミン (400 MHz, CD3OD) δH 1.08 (t, J=6.64 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.64 Hz, 3H), 2.18−2.47 (m, 2H), 2.92−3.11 (m, 2H), 3.19−3.41 (m, 6H), 3.47−3.56 (m, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.33 (s, 2H), 4.43 (s, 1H), 7.30−7.41 (m, 6H), 7.48 (s, 5H), 7.54 (d, J=8.20 Hz, 2H)。M.S.(計算値):515.3(MH+),M.S(実測値):515.0(MH+)。HPLC:k'3.76;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分間,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:12.81分;条件:Chiralpak AD,0.1%DEAを含む30%イソプロパノール/70%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]18D=+7.9°(c=0.746,MeOH)
【0105】
化合物5:(+)−メチル{4−[{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}(ピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}カルバメート
乾燥ジクロロメタン(115mL)中の中間体8(3.00g,5.73mmol)の溶液をフェノール(10.8g,114mmol)及びクロロトリメチルシラン(14.5mL,114mmol)で処理した。反応液を室温で3時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタンで希釈し、2M NaOHで4回、次いで水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮し、無色の固形物として生成物(2.11g,87%)を得た。純度(HPLC−254nm):>91%。Chiralcel OD半分取カラム,流速18mL/分,10%MeOH/10%エタノール/80%ヘキサン+0.1%ジエチルアミンを使用するキラルHPLCによってラセミ混合物(2.00g)を分離して、淡黄色の固形物として(−)−鏡像異性体0.952g及び(+)−鏡像異性体0.769gを得た。
分析キラルHPLC条件:
Chiralcel OD,流速1mL/分,
10%MeOH/10%エタノール/80%ヘキサン
(−)−鏡像異性体の保持時間:9.26分
(+)−鏡像異性体の保持時間:16.67分
【0106】
逆相クロマトグラフィ(0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中の5%〜45%アセトニトリル)によって(+)−鏡像異性体(150mg)を再精製した。生成物をそのトリフルオロ酢酸塩として得、そして凍結乾燥させて無色の固形物として化合物5(144mg)を得た。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.66 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.66 Hz, 3H), 2.58−2.67 (m, 4H), 3.21−3.27 (m, 6H), 3.52 (q, J=6.40 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.43 (s, 1H), 7.30−7.41 (m, 6H), 7.55 (d, J=8.19 Hz, 2H)。M.S.(計算値):425.3(MH+),M.S(実測値):425.0(MH+)。HPLC:k'2.69;純度:>94%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:16.88分;条件:Chiralpak OD,0.1%DEAを含む20%エタノール/80%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]18D=+2.9°(c=1.08,MeOH)
【0107】
化合物6:(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−2−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート
乾燥1,2−ジクロロエタン(15mL)中の化合物5(200mg,0.47mmol)の溶液を2−ピリジンカルボキシアルデヒド(67μL,0.71mmol)及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(160mg,0.75mmol)で処理した。混合物を窒素雰囲気下、室温で一夜撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィ(0.1%トリフルオロ酢酸を含む水中の5%〜45%アセトニトリル)によって精製した。生成物をそのTFA塩として得、凍結乾燥(H2O/MeCN)させて無色の固形物として化合物6を得た(274mg,78%)。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.14 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.91 Hz, 3H), 2.71−2.87 (m, 4H), 3.21−3.27 (m, 2H), 3.33−3.40 (m, 4H), 3.52 (q, J=6.66 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.44 (s, 2H), 4.56 (s, 1H), 7.34 (d, J=8.19 Hz, 2H), 7.36−7.42 (m, 4H), 7.45−7.49 (m, 1H), 7.52 (d, J=7.68 Hz, 1H), 7.57 (d, J=7.94 Hz, 2H), 7.91−7.96 (m, 1H), 8.66 (d, J=4.86 Hz, 1H)。M.S.(計算値):516.3(MH+),M.S(実測値):516.0(MH+)。HPLC:k'2.65;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.05%TFA,B:CH3CN中の0.05%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:10.45分;条件:Chiralpak OD,0.1%DEAを含む40%エタノール/60%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]18D=+7.8°(c=1.02,MeOH)
【0108】
化合物7:(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−3−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート
3−ピリジンカルボキシアルデヒド(67μL,0.71mmol)を用いて化合物6と同じ手順を用いて無色の固形物として化合物7(137mg,39%)を得た。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.66 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.91 Hz, 3H), 2.59−3.02 (m, 4H), 3.12−3.28 (m, 6H), 3.52 (q, J=7.17 Hz, 2H), 3.70 (s, 3H), 4.26 (br s, 2H), 4.78 (s, 1H), 7.34−7.48 (m, 6H), 7.60 (d, J=7.94 Hz, 2H), 7.72−7.80 (m, 1H), 8.19−8.27 (m, 1H), 8.69−8.84 (m, 2H)。M.S.(計算値):516.3(MH+),M.S(実測値):516.0(MH+)。HPLC:k'2.45;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.05%TFA,B:CH3CN中の0.05%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:9.38分;条件:Chiralpak OD,0.1%DEAを含む40%エタノール/60%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]18D=+8.2°(c=0.61,MeOH)
【0109】
化合物8:(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート
4−ピリジンカルボキシアルデヒド(68μL,0.71mmol)を用いて化合物6と同じ手順を用いて無色の固形物として化合物8(297mg,85%)を得た。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.91 Hz, 3H), 1.23 (t, J=6.66 Hz, 3H), 3.30 (m, 8H), 3.24 (q, J=7.17 Hz, 2H), 3.53 (q, J=7.17 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.05−4.16 (br s, 2H), 5.04−5.30 (br s, 1H), 7.44 (d, J=7.68 Hz, 2H), 7.48−7.54 (m, 4H), 7.68 (d, J=7.68 Hz, 2H), 7.90−7.97 (m, 2H), 8.76 (d, J=5.89 Hz, 2H)。M.S.(計算値):516.3(MH+),M.S(実測値):516.0(MH+)。HPLC:k'2.32;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配、流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.05%TFA,B:CH3CN中の0.05%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:13.02分;条件:Chiralpak OD,0.1%DEAを含む40%エタノール/60%ヘキサン。旋光度(TFA塩):[α]18D=+9.5°(c=1.12,MeOH)
【0110】
化合物9:(+)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド及び化合物10:(−)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
2つのスミスプロセスバイアル瓶にそれぞれ中間体10a(0.53g,0.99mmol)、アセトアミド(70mg,1.1mmol)、キサントホス(86mg,0.15mmol)、Pd2(DBA)3(45mg,0.05mmol)、炭酸セシウム(1.61g,4.95mmol)及びジオキサン(2.5mL)を入れた。キャップを完全に締め、そして容器をスミスシンセサイザ中、150℃で2時間マイクロ波照射に曝露した。合わせたバイアル瓶を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、そして有機層を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮し、残留物をLUNA C−18カラム,250×50mm,25分で20−60%Bの勾配,流速50mL/分,20℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFAを用いる逆相クロマトグラフィによって精製した。生成物をそのTFA塩として得、凍結乾燥して無色の固形物268mg(18%)を得た。次いで、Chiralpak AD半分取カラム,流速28mL/分,5%MeOH/5%エタノール/90%ヘキサン+0.1%ジエチルアミンを用いて鏡像異性体をキラルHPLCによって分離した。鏡像異性体をそのHCl塩に転化して無色の固形物として化合物9の30mg及び化合物10の20mgを得た。
分析キラルHPLC条件:
Chiralpak AD,流速1mL/分,
5%MeOH/5%エタノール/90%ヘキサン
化合物9の保持時間:20.69分
化合物10の保持時間:25.07分
【0111】
化合物9:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.64 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.84 Hz, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.90−3.17 (m, 4H), 3.20−3.28 (m, 2H), 3.48−3.64 (m, 6H), 4.50 (s, 2H), 4.92−5.16 (br s, 1H), 7.24−7.34 (m, 2H), 7.40 (d, J=8.20 Hz, 2H), 7.52−7.64 (m, 6H), 7.71−7.77 (m, 2H)。M.S.(計算値):517.3(MH+),M.S(実測値):517.0(MH+)。HPLC:k'3.31;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),98%(254nm),98%(280nm),Rt:19.99分;条件:Chiralpak AD,0.1%DEAを含む5%エタノール/5%MeOH/90%ヘキサン。旋光度:[α]17D=+7.8°(c=0.58,MeOH)
【0112】
化合物10:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δH 1.09 (t, J=6.64 Hz, 3H), 1.22 (t, J=6.84 Hz, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.90−3.17 (m, 4H), 3.20−3.28 (m, 2H), 3.48−3.64 (m, 6H), 4.50 (s, 2H), 4.92−5.16 (br s, 1H), 7.24−7.34 (m, 2H), 7.40 (d, J=8.20 Hz, 2H), 7.52−7.64 (m, 6H), 7.71−7.77 (m, 2H)。M.S.(計算値):517.3(MH+),M.S(実測値):517.0(MH+)。HPLC:k'3.31;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),93%(254nm),93%(280nm),Rt:24.32分;条件:Chiralpak AD,0.1%DEAを含む5%エタノール/5%MeOH/90%ヘキサン。旋光度:[α]17D =−8.4°(c=0.45,MeOH)
【0113】
化合物11:(+)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド及び化合物12:(−)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
3つのスミスプロセスバイアル瓶に、それぞれ中間体10b(0.50g,0.93mmol)、アセトアミド(66mg,1.2mmol)、キサントホス(81mg,0.14mmol)、Pd2(DBA)3(43mg,0.05mmol)、炭酸セシウム(1.51g,4.65mmol)及びジオキサン(2.5mL)を入れた。キャップを完全に締め、そして容器をスミスシンセサイザ中、150℃で2時間マイクロ波照射に曝露した。合わせたバイアル瓶を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、有機層を乾燥(MgSO4)、濾過して濃縮し、LUNA C−18のカラム,250×50mm,25分で15−65%Bの勾配,流速50mL/分,20℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFAを用いる逆相クロマトグラフィによって残留物を精製した。生成物をそのTFA塩として得、凍結乾燥して無色の固形物750mg(32%)を得た。次いで、Chiralpak AD半分取カラム,流速28mL/分,0.1%ジエチルアミンを含む5%MeOH/5%エタノール/90%ヘキサンを用いるキラルHPLCによって鏡像異性体を分離した。鏡像異性体をそれらのHCl塩に転化して無色の固形物として化合物11の133mg及び化合物12の90mgを得た。
分析キラルHPLCの条件:
Chiralpak AD,流速1mL/分,
5%MeOH/5%エタノール/90%ヘキサン
化合物11の保持時間:21.99分
化合物12の保持時間:27.82分
【0114】
化合物11:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δH 1.06 (t, J=7.03 Hz, 3H), 1.19 (t, J=6.64 Hz, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.87−3.14 (m, 4H), 3.17−3.25 (m, 2H), 3.41−3.53 (m, 6H), 4.35−4.38 (m, 2H), 4.90 (br s, 1H), 7.16−7.22 (m, 2H), 7.35 (d, J=8.20 Hz, 2H), 7.47−7.57 (m, 6H), 7.63−7.70 (m, 2H)。M.S.(計算値):517.3(MH+),M.S(実測値):517.0(MH+)。HPLC:k'3.39;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:17.53分;条件:Chiralcel OD,0.1%DEAを含む10%エタノール/90%ヘキサン。旋光度:[α]17D=+11.1°(c=0.69,MeOH)
【0115】
化合物12:1H NMR (400 MHz, CD3OD) δH 1.06 (t, J=7.03 Hz, 3H), 1.19 (t, J=6.64 Hz, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.87−3.14 (m, 4H), 3.17−3.25 (m, 2H), 3.41−3.53 (m, 6H), 4.35−4.38 (m, 2H), 4.90 (br s, 1H), 7.16−7.22 (m, 2H), 7.35 (d, J=8.20 Hz, 2H), 7.47−7.57 (m, 6H), 7.63−7.70 (m, 2H)。M.S.(計算値):517.3(MH+),M.S(実測値):517.0(MH+)。HPLC:k'3.41;純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm)。条件:Zorbax C−18,25分で10−95%Bの勾配,流速1mL/分,25℃,A:H2O中の0.1%TFA,B:CH3CN中の0.1%TFA;キラル純度:>99%(215nm),>99%(254nm),>99%(280nm),Rt:20.53分;条件:Chiralcel OD,0.1%DEAを含む10%エタノール/90%ヘキサン。旋光度:[α]17D=−11.5°(c=0.65,MeOH)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
R1は、フェニル及びC3-5ヘテロアリールから選ばれ、ここにおいて該フェニル及びC3-5ヘテロアリールは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−CF3及びC1-4アシルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2は、−H、C1-4アルキル及びC1-4アルコキシから選ばれる)
の化合物、その医薬上許容しうる塩、ジアステレオマー、鏡像異性体、又はそれらの混合物。
【請求項2】
式Iにおいて、
R1はフェニル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びピリジル−N−オキシドから選ばれ、ここにおいて該フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びピリジル−N−オキシドは、ハロゲン及びC1-4アルキルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2は−H、メチル、エチル、メトキシ及びエトキシから選ばれる、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式Iにおいて、
R1は、フェニル及びピリジルから選ばれ、ここにおいて該フェニル及びピリジルは、メチル及びフルオロから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2はメチル及びメトキシから選ばれる、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式Iにおいて、
R1は、フェニル、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルから選ばれ;そして
R2はメチル及びメトキシから選ばれる、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、
(+)−4−[[4−(アセチルアミノ)フェニル](4−ベンジルピペラジン−1−イル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド;
(−)−4−[[4−(アセチルアミノ)フェニル](4−ベンジルピペラジン−1−イル)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド;
(−)−メチル[4−((4−ベンジルピペラジン−1−イル){4−[(ジエチルアミノ)−カルボニル]フェニル}メチル)フェニル]カルバメート;
(+)−メチル[4−((4−ベンジルピペラジン−1−イル){4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}メチル)フェニル]カルバメート;
(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−2−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート;
(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−3−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート;
(+)−メチル(4−{{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}[4−(ピリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)カルバメート;
(+)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド;
(−)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(2−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド;
(+)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド;
(−)−4−{[4−(アセチルアミノ)フェニル][4−(4−フルオロベンジル)ピペラジン−1−イル]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド;及び
それらの医薬上許容しうる塩から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
薬剤として使用するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
疼痛、不安又はうつ病を治療する薬剤の製造における請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物及び医薬上許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物の治療上有効量を疼痛の治療を必要とする温血動物に投与する処置を含む該動物における疼痛の治療方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物の治療上有効量をうつ病の治療を必要とする温血動物に投与する処置を含む該動物におけるうつ病の治療方法。
【請求項11】
式II:
【化2】

の化合物をR2−C(=O)−NH2と反応させることからなる、式I:
【化3】

の化合物の製造方法。
式中、Xはハロゲン及び−OTfから選ばれ;
R1は、フェニル及びC3-5ヘテロアリールから選ばれ、ここにおいて該フェニル及びC3-5ヘテロアリールは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−CF3及びC1-4アシルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2は、−H、C1-4アルキル及びC1-4アルコキシから選ばれる。
【請求項12】
式III:
【化4】

の化合物をR1−CHO又はR1−CH2Xと反応させることからなる、式I:
【化5】

の化合物の製造方法。
式中、Xはハロゲン及び−OTfから選ばれ;
R1は、フェニル及びC3-5ヘテロアリールから選ばれ、ここにおいて該フェニル及びC3-5ヘテロアリールは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロゲン、アミノ、−CF3及びC1-4アシルから選ばれる1つ又はそれ以上の基で場合により置換されており;そして
R2は、−H、C1-4アルキル及びC1-4アルコキシから選ばれる。
【請求項13】
メチル{4−[{4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル}(ピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}カルバメート及びその塩から選ばれる化合物。

【公表番号】特表2008−531683(P2008−531683A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557968(P2007−557968)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000248
【国際公開番号】WO2006/091160
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】