説明

ジエン系ゴム組成物

【課題】空気入りタイヤのトレッド部形成材料等として好適に用いられ、耐摩耗性の改善や発熱量を抑え、転がり抵抗が良好であることを示す60℃におけるtanδ値の改善などを達成せしめ、また加硫ゴムの剛性と低燃費性とのバランスを良好とするジエン系ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部当り、ポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこのカルボニル基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物を順次反応させて得られた重量平均分子量Mwが50,000以下の水素結合性熱可塑性エラストマー0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部を添加してなるジエン系ゴム組成物によって達成され、望ましくは該ジエン系ゴム組成物中にさらにシリカ、カーボンブラックまたはこれら両者を30〜120重量部添加して用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエン系ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、空気入りタイヤのトレッド部形成材料等として好適に用いられるジエン系ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の空気入りタイヤについては、今迄以上に低燃費化が求められている。タイヤ用ゴム組成物中にシリカを配合することで、タイヤの高性能化が進んでいるが、さらなる物性の向上が望まれている。向上が求められる物性として、耐摩耗性の改善や発熱量を抑え、転がり抵抗が良好であることを示す60℃におけるtanδ値の改善などが挙げられる。
【0003】
また、近年自動車用空気入りタイヤに求められる性能は、低燃費性に加えて、安定性、操縦安定性などの多岐にわたっており、空気入りタイヤを構成するジエン系ゴム組成物については、これらの要求をみたすために種々の提案がなされている。例えば、低燃費性をみたすために、キャップトレッド用ジエン系ゴム組成物への上記の如きシリカの配合が考えられるが、シリカ配合は加硫ゴムの剛性(モジュラス、硬度)を低下させ、操縦安定性の低下や各部材の走行中の動きを大きくし、結果的にセパレーション等の安全面に悪影響を及ぼすこととなる。剛性を上げるためには、カーボンブラックの増量が考えられるが、これは低燃費性に悪影響を及ぼすようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4037016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、空気入りタイヤのトレッド部形成材料等として好適に用いられ、耐摩耗性の改善や発熱量を抑え、転がり抵抗が良好であることを示す60℃におけるtanδ値の改善などを達成せしめ、また加硫ゴムの剛性と低燃費性とのバランスを良好とするジエン系ゴム組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の目的は、ジエン系ゴム100重量部当り、ポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこのカルボニル基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物を順次反応させて得られた重量平均分子量Mwが50,000以下の水素結合性熱可塑性エラストマー0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部を添加してなるジエン系ゴム組成物によって達成され、望ましくは該ジエン系ゴム組成物中にさらにシリカ、カーボンブラックまたはこれら両者を30〜120重量部添加して用いられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るジエン系ゴム組成物は、ポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこのカルボニル基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物を順次反応させて得られた水素結合性熱可塑性エラストマーを、ジエン系ゴム、特にSBRを50重量%以上含有するジエン系ゴムに添加することにより、耐摩耗性の改善や発熱量を抑え、転がり抵抗が良好であることを示す60℃におけるtanδ値の改善などの点ですぐれた加硫物を与え得るので、自動車の空気入りタイヤのトレッド部形成などに有効に用いられる。
【0008】
また、ジエン系ゴム、特にSBRを90重量%以上含有するジエン系ゴムを、カーボンブラックまたはカーボンブラックおよびシリカと共に用いた場合には、空気入りタイヤのキャップトレッド部形成に有効であり、空気入りタイヤの剛性(モジュラス、硬度)と低燃費性とのバランス性にすぐれているものを与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ジエン系ゴムとしては、タイヤ製造に用いられる任意のジエン系ゴムを用いることができ、好ましくは天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴムが用いられる。特に、SBRを50〜100重量%含むものが用いられた場合には、空気入りタイヤのトレッド部形成材料として、また90〜100重量%含むものが用いられた場合には、空気入りタイヤのキャップトレッド部形成材料として好適に用いることができる。SBRとしては、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)のいずれをも用いることができ、SBRが他のジエン系ゴムとブレンドして用いられる場合には、他のジエン系ゴムとして天然ゴム、ブタジエンゴムまたはこれら両者が用いられることが好ましい。
【0010】
これらのジエン系ゴムに添加される、ポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物および含窒素複素環化合物と順次反応させて得られた水素結合性熱可塑性エラストマーとしては、重量平均分子量Mw(GPC法により測定)が50,000以下、好ましくは10,000〜40,000のものが用いられる。より具体的には、好ましくは特許文献1に記載される如き、主鎖がジエン系ゴム分子からなり、またカルボニル基含有不飽和化合物としては無水マレイン酸が用いられる。
【0011】
主鎖がジエン系ゴム分子からなる水素結合性熱可塑性エラストマーのジエン系ゴム分子としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム等が用いられ、好ましくはイソプレンゴムが用いられる。
【0012】
ここで、熱可塑性エラストマーとしてジエン系ゴムに無水マレイン酸をグラフトし、さらに官能性基置換含窒素複素環化合物を反応させた水素結合性のものが用いられるのは、シリカと親和性のよい水素結合基を形成されることにより、シリカの分散性、補強性が向上し、低発熱化、高物性、高耐摩耗性が発現するようになるためである。この水素結合は、カルボニル基含有不飽和化合物に由来するカルボニル基とこれと反応した含窒素複素環化合物との間で、O-H…O、N-H…O、O-H…N、N-H…Nで示されるようなドナー-H-アクセプターよりなり、自己架橋を可能とし、また加熱時(120℃)には解離して、常温付近では再び水素結合を形成させる。
【0013】
主鎖がこれらのジエン系ゴム分子からなり、そのポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこのカルボニル基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物と順次反応させて得られた水素結合性熱可塑性エラストマーの合成に際しては、まずジエン系ゴム分子に無水マレイン酸、マレイン酸等のカルボニル基含有不飽和化合物、好ましくは無水マレイン酸を付加反応させる。無水マレイン酸の変性率は、一般に変性されるポリマー分子重量に対して約0.1〜10重量%程度に設定される。
【0014】
このようにして付加された無水マレイン酸には、含窒素複素環が5員環または6員環であり、マレイン酸等と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物、例えば置換された官能性基がアミノ基である4H-3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノピリジン等を、また置換された官能性基が水酸基である4-ヒドロキシピリジン、4-メチロールピリジン等を少過剰用い、約120〜200℃で加熱することにより行われる。
【0015】
このような一連の反応によって得られるポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこの基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物を順次反応させた水素結合性熱可塑性エラストマーは、ジエン系ゴム100重量部当り0.1〜15重量部、好ましくは0.2〜10重量部の割合で用いられる。これよりも少ない割合で用いられると、耐摩耗性およびtanδ(60℃)の値などの改善が達成されず、一方これよりも多い割合で用いられると、モジュラス、破断強度などが低下するようになる。
【0016】
ジエン系ゴム組成物中には、ジエン系ゴム100重量部当り30〜120重量部のシリカ、カーボンブラックまたはこれら両者を添加して用いることが望ましい。これら充填剤、特にシリカの添加は、転がり抵抗などを低減させるが、これ以上の割合で用いられると、逆に転がり抵抗などを悪化させる。
【0017】
シリカとしては、BET法比表面積(ASTM D1993-03準拠)が70〜200m2/g、好ましくは70〜190m2/gのものが用いられる。これらは、ハロゲン化けい素または有機けい素化合物の熱分解法などで製造される乾式法シリカやけい酸ナトリウムの酸による分解法などで製造される湿式法シリカなどであり、コストおよび性能の面から、湿式法シリカが好んで用いられる。実際には、ゴム工業用として上市されている市販品をそのまま用いることができる。
【0018】
シリカに求められる特性およびジエン系ゴムとの分散性(シリカはゴムポリマーとの親和性に乏しく、またゴム中でシリカ同士がシラノール基を通して水素結合を生成し、シリカのゴム中への分散性を低下させる性質を有する)を高めるために、シランカップリング剤がシリカ100重量部当り0.5〜15重量部程度配合される。シランカップリング剤としては、シリカ表面のシラノール基と反応するアルコキシシリル基とポリマーと反応するイオウ連鎖を有するポリスルフィド系シランカップリング剤、例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が好んで用いられる。
【0019】
カーボンブラックとしては、一般にSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF等のファーネスブラックが用いられる。空気入りタイヤのトレッド部、特にキャップトレッド部の形成の際の有効な成分であるこれらのカーボンブラックは、それ単独であるいはシリカと共に、ジエン系ゴム100重量部当り30〜120重量部の割合で用いられる。
【0020】
以上の各成分を必須成分とするゴム組成物中には、加硫剤としての硫黄およびチアゾール系(MBT、MBTS、ZnMBT等)、スルフェンアミド系(CBS、DCBS、BBS等)、グアニジン系(DPG、DOTG、OTBG等)、チウラム系(TMTD、TMTM、TBzTD、TETD、TBTD等)、ジチオカルバミン酸塩系(ZTC、NaBDC等)、キサントゲン酸塩系(ZnBX等)等の加硫促進剤のいずれか一種類以上が配合されて用いられる。さらに、ゴムの配合剤として一般的に用いられている他の配合剤、例えばタルク、クレー、グラファイト、珪酸カルシウム等の補強剤または充填剤、ステアリン酸等の加工助剤、酸化亜鉛、軟化剤、可塑剤、老化防止剤などが必要に応じて適宜配合されて用いられる。
【0021】
組成物の調製は、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機または混合機およびオープンロール等を用いる一般的な方法で混練することによって行われ、得られた組成物は、所定形状に成形された後、用いられたジエン系ゴム、加硫剤、加硫促進剤の種類およびその配合割合に応じた加硫温度で加硫され、空気入りタイヤのトレッド部等を形成させる。
【実施例】
【0022】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0023】
参考例
無水マレイン酸変性液状イソプレンゴム(クラレ製品LIR-410A;Mw 25,000、無水マレイン酸変性率3.9重量%)200.00g(無水マレイン酸骨格換算で79.6ミリモル)に、4H-3-アミノ-1,2,4-トリアゾール6.97g(82.9ミリモル)を加え、160℃で3時間攪拌した。均一溶液になったことを確認した後、一昼夜放置することにより、ゲル状の水素結合性熱可塑性エラストマー202.8g(収率98%)を得た。
【0024】
反応生成物であるゲル状水素結合性熱可塑性エラストマーは、アミック酸結合を有するもの〔I〕、イミド結合を有するもの〔II〕またはこれら両者を有するものと思われ、その主生成物は〔II〕と考えられる。


または

【0025】
<実施例1〜7、比較例1〜5>
比較例1(標準例1)
SBR(日本ゼオン製品Nipol 1502) 100重量部
シリカ(ローディア社製品ZEOSIL 1165MP) 75 〃
亜鉛華(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(日油製品ビーズステアリン酸) 2 〃
老化防止剤6C(フレキシス社製品サントフレックス6PPD) 3 〃
老化防止剤RD(大内新興化学工業製品ノクラック224) 2 〃
シランカップリング剤(エボニックデグッサジャパン製品Si69) 8 〃
アロマ系オイル(昭和シェル石油製品エキストラクト4号S) 30 〃
硫黄(細井化学工業製品油処理硫黄) 2.10 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーNS) 2.30 〃
ジフェニルグアニジン(フレキシス社製品PERKACIT DPG GRS) 0.50 〃
以上の各成分の内、硫黄および加硫促進剤を除く各成分をバンバリーミキサで混練した後、硫黄および加硫促進剤を加えてオープンロールで混合し、得られたゴム組成物を160℃で20分間加硫した。
【0026】
得られた加硫物について、次の各項目の測定を行った。
JIS A硬度:JIS K6253に準拠、0℃、20℃、60℃のデュロメータ硬度試験(タイプA)を
実施
引張試験:JIS K6251に準拠し、20℃の100%モジュラス、300%モジュラス、引張強
度、切断時伸びを測定
tanδ(60℃):JIS K6394準拠、東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメーターを用
い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、60℃でのtanδを
測定
(この値が小さい程、発熱量が抑えられ、また転がり抵抗が良好である
ことを示している)
耐摩耗性:JIS K6264準拠、ランボーン摩耗試験機を用いて、荷重4.0kg(39N)、スリ
ップ率30%の条件下で摩耗量を測定してその逆数を求め、各標準例を100
とする指数で表示
(この値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示している)
【0027】
比較例2
比較例1において、アロマ系オイル量が33重量部に変更された。
【0028】
実施例1
比較例1において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー3重量部がさらに追加して用いられた。
【0029】
実施例2
比較例1において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー10重量部がさらに追加して用いられた。
【0030】
比較例3(標準例2)
比較例1において、下記各成分が用いられた。
天然ゴム(RSS#3) 20重量部
SBR(Nipol 1502) 70 〃
ブタジエンゴム(日本ゼオン製品NIPOL BR 1220) 10 〃
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品ショウブラックN339) 8 〃
シリカ(ZEOSIL 1165MP) 70 〃
亜鉛華(酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(ビーズステアリン酸) 1 〃
老化防止剤6C(サントフレックス6PPD) 2 〃
老化防止剤RD(ノクラック224) 2 〃
シランカップリング剤(Si69) 7 〃
アロマ系オイル(エキストラクト4号S) 28 〃
硫黄(油処理硫黄) 1.85 〃
加硫促進剤(ノクセラーNS) 2.30 〃
ジフェニルグアニジン(PERKACIT DPG GRS) 0.50 〃
【0031】
実施例3
比較例3において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー3重量部がさらに追加して用いられた。
【0032】
比較例4(標準例3)
比較例1において、下記各成分が用いられた。
SBR(Nipol 1502) 100重量部
カーボンブラック(ショウブラックN339) 10 〃
シリカ(ZEOSIL 1165MP) 40 〃
亜鉛華(酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(ビーズステアリン酸) 2 〃
老化防止剤6C(サントフレックス6PPD) 3 〃
老化防止剤RD(ノクラック224) 2 〃
シランカップリング剤(Si69) 8 〃
アロマ系オイル(エキストラクト4号S) 20 〃
硫黄(油処理硫黄) 2.20 〃
加硫促進剤(ノクセラーNS) 2.30 〃
ジフェニルグアニジン(PERKACIT DPG GRS) 0.50 〃
【0033】
実施例4
比較例4において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー5重量部がさらに追加して用いられた。
【0034】
実施例5
比較例4において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー10重量部がさらに追加して用いられた。
【0035】
実施例6
比較例4において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー25重量部がさらに追加して用いられた。
【0036】
比較例5(標準例4)
比較例1において、下記各成分が用いられた。
天然ゴム(RSS#3) 20重量部
SBR(Nipol 1502) 60 〃
ブタジエンゴム(NIPOL BR 1220) 20 〃
HAFカーボンブラック(ショウブラックN339) 3 〃
シリカ(ZEOSIL 1165MP) 90 〃
亜鉛華(酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(ビーズステアリン酸) 1 〃
老化防止剤6C(サントフレックス6PPD) 2 〃
老化防止剤RD(ノクラック224) 2 〃
シランカップリング剤(Si69) 9 〃
アロマ系オイル(エキストラクト4号S) 35 〃
硫黄(油処理硫黄) 1.70 〃
加硫促進剤(ノクセラーNS) 2.30 〃
ジフェニルグアニジン(PERKACIT DPG GRS) 0.50 〃
【0037】
実施例7
比較例5において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー5重量部がさらに追加して用いられた。
【0038】
以上の各実施例および比較例における測定結果は、次の表1に示される。
表1
引張試験
切断時
JIS A硬度 100%モジュ 300%モジュ 引張強 伸び tanδ 耐摩
0℃ 20℃ 60℃ ラス(MPa) ラス(MPa) 度(MPa) (%) 60℃ 耗性
比較例1 75 71 67 2.8 10.7 19.5 524 0.254 100
〃 2 75 72 67 2.6 9.9 19.3 544 0.264 93
実施例1 77 72 68 3.3 12.1 19.3 505 0.238 107
〃 2 79 73 69 3.6 13.0 19.3 479 0.212 108

比較例3 71 66 63 2.9 10.5 20.7 523 0.161 100
実施例3 71 67 63 3.0 10.8 20.9 541 0.151 104

比較例4 66 62 58 1.8 8.5 20.1 531 0.152 100
実施例4 68 64 61 1.9 8.7 20.0 518 0.143 103
〃 5 71 67 63 2.1 9.3 20.4 497 0.135 111
〃 6 78 74 71 2.4 9.9 20.3 481 0.130 115

比較例5 75 73 68 2.8 10.9 21.2 465 0.168 100
実施例7 76 74 70 3.0 12.5 20.8 453 0.154 106
【0039】
<実施例8〜10、比較例6〜9>
比較例6(標準例5)
SBR(Nipol 1502) 100重量部
HAFカーボンブラック(ショウブラックN339) 90 〃
亜鉛華(酸化亜鉛3種) 2 〃
ステアリン酸(ビーズステアリン酸) 2 〃
老化防止剤6C(サントフレックス6PPD) 3 〃
硫黄(油処理硫黄) 2 〃
加硫促進剤(ノクセラーNS) 1 〃
以上の各成分の内、硫黄および加硫促進剤を除く各成分をバンバリーミキサで混練した後、硫黄および加硫促進剤を加えてオープンロールで混合し、得られたゴム組成物を160℃で20分間加硫した。得られた加硫物について、JIS A硬度(20℃)、300%モジュラス(20℃)およびtanδ(60℃)の測定を行った。これらの値(標準例5を100とする指数)は、いずれも98以上であることが望ましい。
【0040】
比較例7
比較例6において、HAFカーボンブラック量が100重量部に変更された。
【0041】
比較例8
比較例6において、HAFカーボンブラック量が70重量部に変更され、さらにシリカ(ZEOSIL 1165MP)40重量部およびシランカップリング剤(Si69)3重量部が追加して用いられた。
【0042】
実施例8
比較例6において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー0.2重量部がさらに追加して用いられた。
【0043】
実施例9
比較例6において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー5.3重量部がさらに追加して用いられた。
【0044】
実施例10
比較例6において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー11.1重量部がさらに追加して用いられた。
【0045】
比較例9
比較例6において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー17.6重量部がさらに追加して用いられた。
【0046】
以上の実施例8〜10および比較例6〜9における測定結果は、次の表2に示される。
表2
300%モジュ tanδ
JIS A硬度 ラス(MPa) 60℃
比較例6 100 100 100
〃 7 106 107 93
〃 8 95 95 108
実施例8 100 100 103
〃 9 100 100 104
〃 10 100 100 105
比較例9 94 95 105
【0047】
<実施例11〜13、比較例10〜13>
比較例10(標準例6)
天然ゴム(RSS#3) 100重量部
HAFカーボンブラック(ショウブラックN339) 50 〃
老化防止剤6C(サントフレックス6PPD) 3 〃
亜鉛華(酸化亜鉛3種) 3 〃
ステアリン酸(ビーズステアリン酸) 2 〃
硫黄(油処理硫黄) 2 〃
加硫促進剤(ノクセラーNS) 1 〃
以上の各成分の内、硫黄および加硫促進剤を除く各成分をバンバリーミキサで混練した後、硫黄および加硫促進剤を加えてオープンロールで混合し、得られたゴム組成物を160℃で20分間加硫した。得られた加硫物について、JIS A硬度(20℃)、300%モジュラス(20℃)およびtanδ(60℃)の測定を行った。これらの値(標準例6を100とする指数)は、いずれも98以上であることが望ましい。
【0048】
比較例11
比較例10において、HAFカーボンブラック量が55重量部に変更された。
【0049】
比較例12
比較例10において、HAFカーボンブラック量が40重量部に変更され、さらにシリカ(ZEOSIL 1165MP)20重量部およびシランカップリング剤(Si69)1.5重量部が追加して用いられた。
【0050】
実施例11
比較例10において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー0.3重量部がさらに追加して用いられた。
【0051】
実施例12
比較例10において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー5.3重量部がさらに追加して用いられた。
【0052】
実施例13
比較例10において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー11.1重量部がさらに追加して用いられた。
【0053】
比較例13
比較例10において、参考例で得られたゲル状水素結合性熱可塑性エラストマー17.6重量部がさらに追加して用いられた。
【0054】
以上の実施例11〜13および比較例10〜13における測定結果は、次の表3に示される。
表3
300%モジュ tanδ
JIS A硬度 ラス(MPa) 60℃
比較例10 100 100 100
〃 11 105 106 94
〃 12 96 95 108
実施例11 100 100 103
〃 12 99 99 104
〃 13 98 98 108
比較例13 94 95 98


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100重量部当り、ポリマー主鎖にカルボニル基含有不飽和化合物およびこのカルボニル基と反応し得る官能性基で置換された含窒素複素環化合物を順次反応させて得られた重量平均分子量Mwが50,000以下の水素結合性熱可塑性エラストマー0.1〜15重量部を添加してなるジエン系ゴム組成物。
【請求項2】
ポリマー主鎖がジエン系ゴム分子からなる水素結合性熱可塑性エラストマーが用いられた請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項3】
カルボニル基含有不飽和化合物として無水マレイン酸を反応させた水素結合性熱可塑性エラストマーが用いられた請求項1または2記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項4】
官能性基置換含窒素複素環化合物としてアミノ基置換または水酸基置換含窒素複素環化合物を反応させた水素結合性熱可塑性エラストマーが用いられた請求項1、2または3記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項5】
組成物中にシリカ、カーボンブラックまたはこれら両者を30〜120重量部さらに添加した請求項1乃至4のいずれかに記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項6】
空気入りタイヤの形成材料として用いられる請求項1乃至5のいずれかに記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項7】
請求項6記載のジエン系ゴム組成物から成形、加硫された空気入りタイヤ。
【請求項8】
ジエン系ゴムとしてSBRを50重量%以上含有するジエン系ゴムが用いられた請求項1乃至5のいずれかに記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項9】
組成物中にシリカまたはシリカとカーボンブラックを30〜120重量部添加した請求項8記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項10】
空気入りタイヤのトレッド部形成材料として用いられる請求項8または9記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項11】
請求項10記載のジエン系ゴム組成物から成形、加硫されたトレッド部を有する空気入りタイヤ。
【請求項12】
ジエン系ゴムとしてSBRを90重量%以上含有するジエン系ゴムが用いられた請求項8記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項13】
組成物中にカーボンブラックまたはカーボンブラックとシリカを30〜120重量部添加した請求項12記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項14】
空気入りタイヤのキャップトレッド部形成材料として用いられる請求項12または13記載のジエン系ゴム組成物。
【請求項15】
請求項14記載のジエン系ゴム組成物から成形、加硫されたキャップトレッド部を有する空気入りタイヤ。


【公開番号】特開2010−196004(P2010−196004A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45424(P2009−45424)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】