説明

ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害化合物、同化合物を製造する方法、及び活性剤として同化合物を含む医薬組成物

ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)に対する優れた阻害活性を有する、本明細書で定義する式(1)の新規化合物、同化合物を製造する方法、及び活性剤として同化合物を含む医薬組成物が本明細書で開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)に対する優れた阻害活性を有する新規化合物、同化合物及び同化合物を活性剤として含む医薬組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、ヒトの健康に深刻な副作用を与え、そして、さまざまな合併症を伴う。糖尿病には2種の主要なタイプがあり、I型真性糖尿病は、膵臓細胞の破壊により、インスリンの分泌能力が少ししかないか、又は、全く無いことにより特徴付けられ、そして、II型真性糖尿病は、他の原因によるインスリン欠乏及びインスリン抵抗性により特徴付けられる。II型真性糖尿病の発症率は、全糖尿病患者の90%又はそれ以上の割合を占める。糖尿病合併症の代表的な例としては、高脂質血症、高血圧症、網膜症及び腎不全が挙げられる(非特許文献1)。スルホニル尿素(膵臓インスリン分泌の刺激)、ビグアニド(肝臓におけるグルコースの生成を阻害する)、α−グルコシダーゼ阻害剤(腸におけるグルコースの吸収を阻害する)などが、抗糖尿病薬として使用されていた。最近になって、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト(チアゾリジンジオン:インスリンの感受性の促進)は、前途有望な糖尿病薬として多大の注目を引いている。しかしながら、これらの抗糖尿病薬は、低血糖症、体重増加などの副作用がある(非特許文献2)。それ故、副作用を低下させ、特に、低血糖症及び体重増加をもたらさない糖尿病治療薬開発の強い要求がある。
【0003】
一方、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)欠損マウスが、グルカゴン様蛋白質1(GLP−1)活性、及び、高インスリンレベルを維持し、その結果、血中グルコース濃度を低下させるので、抗糖尿病薬としてDPP−IVの治療の可能性を示唆した(非特許文献3) 。GLP−1は、インビボでの膵臓β−細胞の分化及び成長に関与し、そして、インスリンの生成及び分泌に重要な役割を果たす。GLP−1は、DPP−IVにより非活性化され、DPP−IV阻害剤はGLP−1の非活性化機構を阻害することにより、インスリンの分泌を上昇させることが報告された。DPP−IV阻害剤は、また、ラットを満腹と充満に導き、腸での食物の消化を低下させ、体重減少をもたらすので、抗肥満薬として開発中である。更に、多くの研究者及び研究機関は、また、DPP−IV阻害剤が、動物モデル実験において、血中グルコース及び脂質レベルを制御することを示した(非特許文献4)。この観点より、DPP−IV阻害剤は、糖尿病治療のための可能性のある有用な薬剤であると考えることができる。
【0004】
現在までのところ、有益なDPP−IV阻害剤の探索及び開発のための多くの研究は、シアノ基がピロリジン環に導入された物質に集中している。例えば、特許文献1は、次式:
【化1】

ここで、Rは置換アダマンチルであり、そしてnは、0〜3の範囲である;
で表わされるDPP−IV阻害剤を開示している。
【0005】
他の阻害剤は、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに見出すことができる。特許文献2においては、次式:
【化2】

ここで、Arは、無置換又は置換フェニルであり;R15、R16及びR17は、互いに独立に、水素又はアルキルであり;そして、U、V及びWは、互い独立に、窒素、酸素、又は置換窒素又は炭素である;
で表わされるDPP−IV阻害剤を開示している。
【0006】
また、特許文献3は、次式:
【化3】

ここで、Arは無置換又は置換フェニルであり;R18は水素又はアルキルであり;そして、Tは窒素又は置換炭素である;
で表わされるDPP−IV阻害剤を提案している。
【0007】
更に、特許文献4は、次式:
【化4】

ここで、Arは無置換又は置換フェニルであり;R19、R20及びR21は、互いに独立に、水素又はアルキルであり;そして、Qは窒素又は置換炭素である;
で表わされるDPP−IV阻害剤を開示している。
【0008】
DPP−IV阻害剤関連の特許公報で、本出願者に譲渡された、標題が「ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害化合物」である特許文献5において、本発明者は、以下の式I’で表わされる化合物の、広範囲で包括的な効果を提示している。
【0009】
DPP−IV阻害剤関連の特許公報で、本出願者に譲渡された、標題が「ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害化合物」である特許文献5において、本発明者は、以下の式I’で表わされる化合物の、広範囲で包括的な効果を提示している。
【化5】

【0010】
更に、本発明の発明者は、本出願者の以前の特許において開示された式I’の化合物は、高いDPP−IV阻害効果を有するアミンの置換基Aへの導入、及びさまざまな置換基(ヒドロキシ又はカルボニル基など)の置換基Bへの導入により、DPP−IVに対する著しく改良された阻害活性及び選択性を示すことができることを発見した。
【0011】
特に、その他のジペプチジルペプチダーゼに対する従来技術の低い選択性は、さまざまな副作用をもたらすかもしれないということを論証する最近の報告(非特許文献5)を考慮して、本発明は、本発明化合物の優れた薬学的有効性、及び高いDPP−IV選択性に関して極めて重要な結果をもたらす。その上、上記化学構造を有する本発明のDPP−IV阻害剤化合物及びその製造方法は、関連技術分野において開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第00/34241号
【特許文献2】国際公開第04/064778号
【特許文献3】国際公開第03/004498号
【特許文献4】国際公開第03/082817号
【特許文献5】国際公開第06/104356号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Paul Zimmer et al.,Nature,2001,414,782
【非特許文献2】David E.Moller,Nature,2001,414,821
【非特許文献3】Marguet D. et al,Natl.Acad.Sci.USA,(2000)97,6874−6879
【非特許文献4】Pospislik J.A. et al,Diabetes,(2002)51,943−950
【非特許文献5】Lankas,G.R. et al.,Potential Importance of Selectivity over Dipeptidyl Peptidases 8 and 9(ジペプチジルペプチダーゼ8及び9に対する選択性の潜在的な重要性),diabetes,2005,548,2988〜1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の問題を解決し、そして、優れたDPP−IV阻害活性及び選択性を有する化合物を見出すための、さまざまな広範囲で且つ徹底的な研究及び実験の結果として、本発明の発明者は、後で説明するように、随意に置換されたラクタム環構造を有する化合物が、DPP−IV阻害剤として有効であることを発見した。本発明はこれらの発見を基に完成された。
【0015】
それ故、本発明の目的は、特にヒドロキシ又はカルボニルにより、随意に置換されたラクタム環構造を有するDPP−IV阻害剤を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、同化合物の製造方法を提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、同化合物を含む医薬組成物、及び同化合物の有効量をそれを必要とする被験者へ投与することを含む、DPP−IV関連疾病の治療又は予防のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の態様に従って、上記及び他の目的は、式I:
【化6】

ここで、
Aは、式2の置換基:
【化7】

ここで、
は、水素又はCFであり;そして
は、水素、置換又は無置換のC−C10アルキル、置換又は無置換のC−C10シクロアルキル、置換又は無置換のC−Cアリール及び置換又は無置換のC−Cヘテロアリールから成る群から選択され;そして
式3の置換基:
【化8】

ここで、Rは、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換のC−Cアルキルから成る群から選択される;
から選択され;そして
Bは、式4の置換基:
【化9】

ここで、
Xは−CR−又は−CO−であり、ここで、R及びRの内少なくとも1つがヒドロキシである条件で、R及びRは、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換のC−Cアルキルから成る群から選択され;そして
nは0又は1である;
式5の置換基:
【化10】

ここで、
Xは−CR1011−又は−CO−であり、ここで、R10及びR11の内少なくとも1つがヒドロキシである条件で、R10及びR11は、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
12、R13及びR14は、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換のC−Cアルキルから成る群から選択され;そして
Yは、酸素又は硫黄である;
式6の置換基:
【化11】

ここで、
Xは、−CR1516−又は−CO−であり、ここで、R15及びR16の内少なくとも1つがヒドロキシである条件で、R15及びR16は、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
17、R18及びR19は、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換のC−Cアルキルから成る群から選択され;そして
Zが酸素であるとき、R19は存在しない条件で、Zは、−CH−又は酸素である;そして
式7の置換基:
【化12】

ここで、
Xは、−CR2021−又は−CO−であり、ここで、R20及びR21の内少なくと1つがヒドロキシである条件で、R20及びR21は、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
22は、置換又は無置換のC−Cアルキルである;
から成る群から選択される;
で表わされるジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)阻害剤化合物の供給により達成できる。
【0019】
本発明の発明者により行われたさまざまな実験によると、式1の化合物は、優れたDPP−IV阻害効果を有するアミン基の置換基Aへの導入、及びある置換基(ヒドロキシ又はカルボニル基など)の、置換基Bとして存在する環構造への導入を通して、DPP−IV阻害活性及び選択性における著しい改良を示すことを確認した。
【0020】
更に、本発明の化合物は、薬学的に許容可能な酸と付加塩を生成することができる。
【0021】
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、投与される生体に対して、著しい刺激を発生させず、そして、化合物の生物学的活性及び特性を抑制しない化合物の製剤を意味する。薬学的に許容可能な塩の例としては、薬学的に許容可能なアニオンを含む、化合物の非毒性の酸付加塩を生成することが可能な酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マンデル酸及びサリチル酸などの有機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸などのスルホン酸との化合物の酸付加塩が含まれる。具体的に、薬学的に許容可能な酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩、リジン、アルギニン及びグアニジンなどのアミノ酸との塩、そして、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン及びトリエチルアミンなどの有機塩基との塩が挙げられる。本発明に基づく式1の化合物は、当該分野で公知の従来法により、その塩に転換してもよい。
【0022】
特に指示の無い限り、「式1の化合物」は、式1の化合物それ自体、並びに薬学的に許容可能な塩を包含することを意味する。
【0023】
本明細書では、用語「アルキル」は、不飽和基を含まず、炭素及び水素原子からなる基を意味する。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよい。アルキル基の例としては、それらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル及びsec−ブチルが挙げられる。
【0024】
低級アルキルは、C−C10アルキル(例えば、直鎖又は分枝鎖のアルキル骨格において、1〜10個の炭素原子を有するアルキル)である。アルキル基は、場合により、置換されてもよい。それが置換されるとき、アルキルは、いかなる結合点(いかなる炭素原子)においても、4個又はそれ以下の置換基で置換できる。
【0025】
アルキルが別のアルキルで置換されるとき、これは、また、「分枝アルキル」に言及することを意味する。
【0026】
本明細書では、用語「シクロアルキル」は、炭素原子間で交互又は共役二重結合を形成せずに、3〜15個の炭素原子、好ましくは、3〜8個の炭素原子を含むアルキル種を言う。シクロアルキルは、1〜4個の環を含み得る。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルを挙げ得る。シクロアルキルの典型的な置換基としては、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、C−C10アルキルヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール及びC−C10アルキルチオを挙げ得る。
【0027】
ヘテロシクロアルキルは、飽和又は不飽和の7〜11員環の二環ヘテロ環系又は安定した非芳香族性の3〜8員環の単環ヘテロ環系であり、又は縮合、スピロ若しくは架橋環系であってもよく、ここで、環の炭素は、窒素(N)、硫黄(S)又は酸素(O)などのヘテロ原子で代替される。ヘテロシクロ環は、それぞれ、1つ又はそれ以上の炭素原子、及び1〜4個のヘテロ原子から成る。ヘテロシクロアルキルは、安定な構造をもたらすどの環内炭素原子に結合し得る。好ましいヘテロ環基の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、チアゾール,イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン及びトリアジンがあげられ得るが、それらに限定されない。ヘテロ環の例としては、ピペリジニル、ピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びテトラヒドロフラニルなどの3〜7員環の単環ヘテロ環が挙げられ、より好ましくは、3〜7員環の単環ヘテロ環が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0028】
用語「アリール」は、共役パイ(π)電子系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族基を言い、炭素環アリール(例えば、フェニル)及びヘテロ環アリール(例えば、ピリジン)基が挙げられる。この用語は、単環又は縮合多環(即ち、炭素原子の隣接した対を共有する環)基を含むことを意味する。アリール基は、場合により、1〜4個のヘテロ原子(例えば、窒素(N)、硫黄(S)又は酸素(O))を、炭素環又は芳香族環に含んでもよく、その様なヘテロ原子を含むアリール系は「ヘテロアリール」とも呼ばれる。
【0029】
アリール又はヘテロアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キナゾリニル、チアゾリル、ベンゾチオフェニル、フラニル、イミダゾリル及びチオフェニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
本発明に基づく式1の化合物において、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールが置換されるとき、置換基は、C−C10アルキル又はハロゲンであり、特に好ましくは、フッ素置換のC−C10アルキルである。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施態様において、式1におけるAは、式2で表わされる置換基であり、ここでRは、水素又はCFであり、そしてR2は、水素、及びC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、C−Cアリール及びC−Cヘテロアリールから成る群から選択され、それらは、それぞれ場合により、ハロゲンで置換されてもよい。
【0032】
が、無置換又はハロゲン−置換のC−C10ヘテロシクロアルキル又は無置換又はハロゲン−置換C−Cヘテロアリールであるとき、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールは、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピリジン、ピリジノン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリダジノン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン及びアゼピンから成る群から選択されるいずれか1つである。
【0033】
本発明のより好ましい実施態様において、Rは、トリフルオロメチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロブチル、ピリジン、フラン、メトキシエチル、チオフェン及び4−フルオロフェニルから成る群から選択される。
【0034】
更に、式1におけるBは、式4で表わされる置換基であり、ここでXは、−(CH−OH)−又は−CO−であり、R及びRは、互いに独立に、水素、フルオロ、及び無置換のC−Cアルキルから選択され、そして、R及びRは、互いに独立に、水素である。
【0035】
本発明の化合物はその異性体も包含する。特に好ましいのは、NH置換の炭素原子が、式Iaの構造において示す通り、立体中心を形成する化合物であり;
【化13】

ここで、A及びBは式1で定義した通りである。
【0036】
特に好ましくは、本発明に基づく式1の化合物の非限定の例として、次の化合物を挙げ得る:
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6R)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6S)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3,3−ジフルオロ−ピペリジン−2,6−ジオン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン;
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオン;及び
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3−メチル−ピロリジン−2,6−ジオン。
【0037】
本発明の化合物又は薬学的に許容可能な塩は、水和物又は溶媒和物の形体であってもよい。
【0038】
更に、本発明は式1の化合物を製造する方法を提供する。
式1の化合物を製造する典型的な方法は、式8の化合物を式9の化合物と反応させ、そしてアミノ保護基Pを除去することを含む。
【化14】

式8及び9において、
A及びBは上記で定義した通りであり;
は、アミン保護基であり;そして
は、存在せず、又は塩酸、硫酸又はトリフルオロ酢酸である。
【0039】
[反応スキーム1]
【化15】

反応スキーム1において、A、B及びPは、上記で定義した通りであり;そしてGHは、塩酸、硫酸又はトリフルオロ酢酸である。
【0040】
試薬及び反応条件:
a:EDCI、HOBT、EtN又はAHH;
b:G
具体的には、化合物1は、次の通りに得ることができる。第一に、所望のアミン基は、EDC及びHOBTを用いたカップリング反応によって式8の化合物へ導入され、それにより、アミドとして化合物10が生成される。次いで、アミン保護基PがBocであるとき、TFA又はHClなどの強酸を用いて;又はアミン保護基PがCbzであるとき、H/Pd/C又はTMSIを用いて;アミン保護基PがFmocであるとき、EtNHを用いて、アミン保護基Pは化合物1を得るために除去される。
【0041】
反応工程a)において、アミンAは、国際公開第04/064778号、国際公開第03/004498号、国際公開第03/082817号、国際公開第06/104356号などで開示された方法を用いて得てもよく、又は別に、市販のアミンであってもよい。
【0042】
一方、式8の化合物は、以下の反応スキーム2により、一般的に製造できる。
【0043】
[反応スキーム2]
【化16】

反応スキーム2において、B及びPは、上記で定義した通りであり、そして、Rは、ベンジル、メチル、エチル又はi−プロピルである。
【0044】
試薬及び反応条件
a:ClCOi−Bu、NMM、THF;NaBH又はHO;
b:BH、DIAD、PPh又はTHF;
c:NaBH、MeOH又はSiOカラムクロマトグラフ;
d:Pd/C、H(ベンジルエステル);LiOH−HO又はMeOH−HO(メチル、エチル又はi−プロピルエステル);
具体的には、式11のカルボン酸は、無水エステルに転換され、そしてエステル化合物は、その後、ナトリウムボロヒドリド(NaBH)を用いてメタノール中で還元され、それにより、第一級アルコールとして化合物12を得る。得られた第一級アルコールと所望のイミド化合物のカップリング生成物、即ち化合物13は、DIAD及びPPhを用いて得ることができる。その後、アミン保護基PがBocであるとき、TFA又はHClなどの強酸を用いて;アミン保護基PがCbzであるとき、H/Pd/C又はTMSIを用いて;アミン保護基PがFmocであるとき、EtNHを用いて、アミン保護基Pは、化合物8を得るために除去される。
【0045】
一方、式8における置換基Bは、以下の反応スキーム3−1又は反応スキーム3−2に基づき、一般的に製造できる。
【0046】
[反応スキーム3−1]
【化17】

反応スキーム3−1において、Ra及びRbは、互いに独立に、水素又はハロゲンである。
【0047】
試薬及び反応条件
a:アクリル酸エチル、Cu粉、TMEDA、THF;
b:NH/MeOH;
c:NaOEt、EtOH;HCl;
具体的には、式14のジエステル化合物は、式14の化合物のアクリル酸エチルとのマイケル付加反応によって得られ、そして、アミド基を含む式16の化合物は、得られたジエステルのアンモニアとの反応によって得られる。以上のように、反応は、反応化合物に含まれる1つ又はそれ以上のハロゲン原子の電子吸引性故に、2つのエステル間のハロゲンに隣接したカルボニル基に対して進行する。最終的に、環化反応は、エタノール中、ナトリウムエトキシドの存在下で実施され、イミドの窒素原子に結合するナトリウムを有する塩化合物を得る。塩化合物の無水強酸での処理で、所望の式17のイミド化合物を供給する。得られた不溶のNaClの固体は、単純な濾過で除去された。
【0048】
[反応スキーム3−2]
【化18】

反応スキーム3−2において、nは0又は1であり;R’は、メチル又は水素であり;R’’は、ヒドロキシ又はアミノであり;そしてRcはC−Cアルキルである。
【0049】
試薬及び反応条件
a:AcO;
b:NHOH、THF;
c:AcO;
【0050】
R’がメチルであれば、その時は、生成化合物は、使用前に、水酸化リチウム又は水酸化カリウムなどの強塩基との反応で加水分解される。
【0051】
溶媒としての無水酢酸、及び式18の二酸化合物に対する反応物質の添加により、無水物環の形体で高度に反応性のある中間体が得られる。式20の化合物は、アンモニアによる中間体の開環により製造される。反応スキーム3−1とは異なり、強電子吸引性の置換基が存在しないので、アンモニアは、2つのケトンの炭素原子を攻撃でき、それ故、2タイプのアミノ酸化合物が製造される。これらのアミノ酸化合物は、次の反応に対して有害ではなく、それ故、更なる分離をせずに直接用いることができる。最後に、式21の所望のイミド化合物は、工程(a)で示す通り、無水酢酸の添加により、アミノ酸形体での化合物20の環化によって得られる。
【0052】
特に指示のない限り、本発明に用いられる出発化合物は当該分野で公知であり、又は公知の化合物から、それ自体公知の方法、又はその類似の方法により製造できる。
【0053】
式1の化合物は、再結晶化、イオン電子泳動法、シリカゲルカラムクロマトグラフィー又はイオン交換樹脂クロマトグラフィーなどの従来方法により、反応生成物から単離、精製することができる。
【0054】
上述のように、本発明に基づく化合物、その製造のための出発物質及び中間体は、さまざまな方法で合成可能であり、それ故、それらの方法は式1の化合物の製造を考慮して、本発明の範囲内に含まれると解釈すべきである。
【0055】
更に、本発明は、式1の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を含むDPP−IVを阻害するための医薬組成物を提供する。
【0056】
医薬組成物は、本発明の化合物及び希釈剤、キャリアなどのその他の化学的成分を含んでもよい。従って、医薬組成物としては、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤又は賦形剤、又は、必要に応じて、その組み合わせを含んでもよい。医薬組成物は、被験者の生体に対して、化合物のインビボ投与を容易にする。化合物を投与するさまざまな技法は、当該分野で公知であり、経口、注射、エアロゾル、非経口及び局所投与などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
用語「キャリア」は、細胞又は組織への化合物の導入を容易にする化学的化合物を意味する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、多くの有機化合物の、生体細胞又は組織への取り込みを容易にするので、一般的に利用されるキャリアである。
【0058】
用語「希釈剤」は、関心のある化合物を溶解し、並びに組成物の生物学的に活性な形体を安定化させる、水で希釈された化学的化合物と定義する。緩衝溶液に溶解した塩は、当該分野において希釈剤として利用されている。1つの一般的に使用される緩衝溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり、それはヒト体液内の塩条件を模倣しているからである。緩衝塩は、低濃度における溶液のpHを制御することが可能であり、緩衝希釈剤は、化合物の生物学的活性をほとんど改変させない。
【0059】
用語「生理学的に許容可能な」とは、化合物の生物学的活性及び物理的特性に有害でないキャリア又は希釈剤と定義する。
【0060】
本発明の化合物は、目的とする用途に基づき、さまざまな薬学的投薬形体に処方することができる。本発明に基づく医薬組成物の製造において、活性剤、より具体的には、式1の化合物、又は薬学的に許容可能なその塩は、製造すべき投薬形体に応じて選択できる1つ又はそれ以上の薬学的に許容可能なキャリアと混合し得る。例えば、本発明に記載の医薬組成物は、注射又は経口投与として好適な投薬形体に処方できる。
【0061】
本発明の化合物は、公知の薬学的に許容可能なキャリア及び賦形剤を用いて従来手法で処方し得て、そして、単位服用量形体又は複数回投与容器で提示し得る。処方は、溶液、又は油中又は水性媒体の懸濁液、乳化液、などの形体をとり得て、そして従来の分散剤、懸濁剤、又は安定化剤を含んでもよい。あるいは、活性剤は、使用前、滅菌された発熱物質の無い水で再構成するための粉末形体であってもよい。本発明の化合物は、また、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む坐薬に処方してもよい。経口投与用の固体の投薬形体としは、カプセル、錠剤、ピル、粉末及び顆粒が挙げられる。好ましい投薬形体は、カプセル及び錠剤である。錠剤及びピルは被覆されていることが好ましい。経口投与用の固体の投薬形体は、活性剤としての本発明の化合物を、1つ又はそれ以上の、スクロース、ラクトース、澱粉などの不活性な希釈剤、及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、崩壊剤、結合剤などのキャリアと混合することにより得られ得る。
【0062】
必要に応じて、本発明の化合物及び同化合物を含む組成物は、他の医薬品、例えば、他の抗糖尿病剤と組み合わせて投与してもよい。
【0063】
処方が単位服用量として提示されるとき、活性剤としての式1の化合物は、好ましくは、単位服用量で、0.1〜1500mg含むことができる。式1の化合物の投与量は、被験者の体重、年齢及び苦痛の性質及び深刻度及び処方医師の判断に依存する。成人投与に対しては、必要とする投薬量は、投薬頻度及び強度に依存して、1日当たり、1〜500mgの範囲内であろう。成人への筋肉内又は静脈内投与に対しては、1日当たりの全投薬量は、約5〜300mgで十分であろう。ある被験者では、1日当たりの投薬量がそれより多くなることもあるであろう。
【0064】
本発明はDPP−IVの不適切な活性を伴う疾病を、式1の化合物の有効量を使用することによって治療又は予防方法を提供する。DPP−IV関連の疾病の代表的な例としては、上記で述べた糖尿病、肥満症などが挙げられるが、それに決して限定されない。とりわけ、本発明は、II型真性糖尿病の治療又は予防に好ましい。用語「治療」とは、式1の化合物又は同化合物を含む組成物を、疾病の症状を示している被験者へ投与したとき、疾病の進行を停止し、又は遅延させることを意味する。用語「予防」とは、式1の化合物又は同化合物を含む組成物が、疾病の症状を提示していないが、疾病の進展症状のリスクが高い被検者に投与したとき、疾病の症状を停止し、又は遅延することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ところで、本発明は、次の実施例を参照することにより、より詳細に説明されるであろう。これらの実施例は本発明を説明するためにのみ提供され、本発明の範囲及び精神を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0066】
製造実施例1
2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩の合成
(1)3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成
塩化メチレン(200mL)中の1.0当量の二炭酸ジブチル(159g)を、ゆっくりと、塩化メチレン(800mL)中の3−ヒドロキシピペリジン・塩酸塩(100g、0.73mol)及び1.1当量のトリエチルアミン(111mL)の混合物に室温で加えた。次いで、得られた混合物を更に2時間撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を更に2時間撹拌した。反応溶液を1.0Nの塩酸水溶液(1.0L)で洗浄し、有機層を濃縮して、標題化合物(138g、収率:94%)を白色固体として得た。反応溶液を、1.0Nの塩酸水溶液(1.0L)で洗浄し、有機層を濃縮し、標題化合物を白色固体として得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.35−1.55(11H,m),1.75(1H,m),1.88(1H,m),3.08(2H,m),3.53(1H,m),3.73(2H,brd,J=5.6Hz)。
【0067】
(2)3−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成
(1)項で合成した3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(4.0g、20mmol)を、混合溶媒(トルエン、水及びエチルエステル=2:1:1、100ml)に溶解し、そして、1.0mol%のTEMPO(31mg)及びNaBr(2.3g)を順次それに加えた。NaHCO(4.7g)及びNaOCl(5%、36mL)の混合物を、冷却条件下(0〜4℃)で、その混合物にゆっくりと加えた。反応が完了した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾過した有機層を減圧下で濃縮し、標題化合物(3.8g、収率:95%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.47(s,9H),1.98(m,2H),2.47(t,J=6.7Hz,2H),3.59(t,J=6.1Hz,2H),4.00(bs,2H)。
【0068】
(3)3−オキソ−4−(2,2,2−トリクロロアセチル)−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルの合成
(2)項で合成した3−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(7.7g、38.4mmol)を、無水のTHF(60mL)に溶解し、そして、得られた溶液を、冷却条件下(−10〜−5℃)、1.0MのLHMDS(46mL)溶液に撹拌しつつ加え、次いで、30分間撹拌した。トリフルオロ酢酸エチル(6.6g)を、同一の冷却条件で混合物に滴下しながら加えた。反応溶液を、ゆっくりと室温まで温め、そして、飽和の酸性水溶液(100mL)を添加して反応を停止させた。反応溶液を酢酸エチル(100mL)で2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。抽出物を減圧下で蒸留し、標題化合物(9.5g、収率:80%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.48(s,9H),2.58(bt,2H),3.57(t,J=5.8Hz,2H),4.23(bs,2H)。
【0069】
(4)2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7(8H)−カルボン酸t−ブチルエステルの合成
(3)項で合成した3−オキソ−4−(2,2,2−トリクロロアセチル)−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(2.96g、10mmol)を、ピリジン(10mL)に溶解し、そして、ゆっくりと、トリフルオロアセトアミジン(2.0g)に、80℃で、撹拌しつつ加えた。反応が完了した後、ピリジンを減圧下で蒸留して除去した。得られた濃縮物を塩化メチレンに溶解し、1.0Nの塩酸水溶液で洗浄した。有機層を減圧下で蒸留し、標題化合物(3.24g)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.50(s,9H),3.12(bt,2H),3.78(t,J=5.8Hz,2H),4.85(s,2H)。
【0070】
(5)2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩の合成
(4)項で合成した2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7(8H)−カルボン酸t−ブチルエステル(7.5g、20mmol)を、塩化水素ガスで飽和させた酢酸エチル(100mL)に溶解し、混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒及び残留塩酸ガスを減圧下で留去し、得られた茶色の固体をt−ブチルメチルエーテルを用いて、1時間、スラリー状にした。残留物を濾過して、標題化合物(5.1g)を得た。
HNMR(400MHz,CDOD)δ3.41(t,J=6.4Hz,2H),3.68(t,J=6.4Hz,2H),4.66(s,2H)。
【0071】
製造実施例2
2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩誘導体の合成
製造実施例1の手法と同様に、次の誘導体を合成した。
(1)2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(2)2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(3)2−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(4)2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(5)2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(6)2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(7)2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩;
(8)2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩。
【0072】
製造実施例3
3,3−ジフルオロピペリジン−2,6−ジオンの合成
(1)2,2−ジフルオロペンタン二酸ジエチルエステルの合成
市販のブロモジフルオロ酢酸エチル(16mL、120mmol)及びアクリル酸エチル(11mL、100mmol)を、テトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、そして、銅粉(15.2g、240mmol)及びTMEDA(16.7mL、110mmol)を、室温で、順次それに加えた。約8時間の撹拌後、反応を1.0Nの塩酸の飽和水溶液を加えて反応を停止させ、そして、トルエンで2回抽出した。反応溶液を減圧下で蒸留し、濃縮された標題化合物を、更なる精製をせずに、直接、次の工程に用いた。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.25(t,J=7.2Hz,3H),1.35(t,J=7.2Hz,3H),2.41(m,2H),2.52(m,2H),4.15(q,J=7.2Hz,2H),4.32(q,J=7.2Hz,2H)。
【0073】
(2)4−カルバモイル−4,4−ジフルオロ酪酸エチルエステルの合成
(1)項で合成した、2,2−ジフルオロペンタン二酸ジエチルエステル(21g)をエタノール(50mL)に溶解し、そして2.0Mのメタノール性アンモニア溶液をゆっくりとそれに加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、減圧下で蒸留し、標題化合物(18.2g)を粘稠な油として得、それを更なる精製をせずに次の工程で用いた。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.25(t,J=7.2Hz,3H),2.43(m,2H),2.54(m,2H),4.14(q,J=7.2Hz,2H),5.92(brs,1H),6.30(brs,1H)。
【0074】
(3)3,3−ジフルオロピペリジン−2,6−ジオンの合成
(2)項で合成した4−カルバモイル−4,4−ジフルオロ酪酸エチルエステル(18g)を、エタノール(100mL)に溶解し、そして、1.0Nのナトリウムエトキシドのエタノール溶液(105mL)を、それにゆっくりと加えた。室温で3時間撹拌した後、混合物を、ジオキサン中の3.0Nの塩酸を加えて、pH3〜4に調整し、得られたNaClを濾過で除去した。高度に粘稠な油をジエチルエーテル(100mL)でスラリー状にした。得られた白色固体を濾過し、乾燥して、標題化合物(11.4g)を得た。
HNMR(500MHz,DMSO−d)δ2.56(m,2H),2.71(t,J=6.8Hz,2H),11.60(brs,1H)。
【0075】
製造実施例4
(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ酪酸i−プロピルエステルの合成
市販の(2S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−コハク酸4−i−プロピルエステル(2.8g、10.3mmol)を、テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、そして、N−メチルモルホリン(1.13mL)をそれに加えた。混合物を−10℃に冷却した。クロロギ酸i−ブチル(1.40mL)を混合物に加え、その後、活性エステルを生成させるため10分間撹拌した。得られたアンモニウム塩酸塩を濾過で除去した後、水中のNaBH4(0.59g)を、濾液に滴下しながら濾液に加え、反応を飽和のNH4Cl溶液を加えて停止させた。得られた反応スラリーを酢酸エチルで2回抽出し、有機層を無水の硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で蒸留し、標題化合物(2.51g、収率:95%)を、薄黄色の油として得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.22(d,J=6.8,6H),1.44(s,9H),2.54−2.62(m,2H),3.65(d,J=4.0,2H),3.99(bs,1H),5.02(m,1H),5.36(bs,1H)。
【0076】
(2)(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸i−プロピルエステルの合成
(1)項で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ酪酸i−プロピルエステル(5.3g、20mmol)、及び製造実施例3で合成した3,3−ジフルオロピペリジン−2,6−ジオン(3.6g、26mmol)を塩化メチレン(20mL)に溶解し、そして、0〜5℃の温度に冷却した。トリフェニルホスフィン(6.3g)及びトルエン中の2.2MのDEAD(11mL)を順次加え、そして、反応温度をゆっくりと常温まで温めた。4時間撹拌した後、反応溶液を、特別な停止工程を行わずに、直接、カラムクロマトグラフィーにかけて、標題化合物(5.5g、収率:70%)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.22(m,6H),1.35(s,9H),2.33−2.56(m,4H),2.87(m,2H),3.70(brd,J=11.8,1H),4.07−4.19(m,3H),5.04(m,1H),5.11(brd,J=9.8,1H)。
【0077】
(3)(3S)−t−ブトキシカルボニル−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸i−プロピルエステルの合成
(2)項で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸i−プロピルエステル(5.5g、14mmol)を、テトラヒドロフラン及びメタノール(2:1、60mL)の混合物溶媒中に溶解し、0〜5℃の温度に冷却した。1.0当量のNaBH(530mg)を加え、そして、混合物を冷却温度に維持しつつ、30分間撹拌した。反応を飽和のNHCl水溶液を加えて停止させ、そしてカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(4.0g)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.22(m,6H),1.41(brs,9H),2.15(m,1H),2.45−2.70(m,5H),3.05(m,0.4H),3.42(m,0.6H),3.80(m,0.6H),4.10−4.35(m,2.4H),4.88−5.10(m,2H),5.35−5.60(m,1.6H),6.15(brs,0.4H)。
【0078】
(4)(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(3)項で合成した、(3S)−t−ブトキシカルボニル−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸i−プロピルエステル(4.0g、10mmol)を、テトラヒドロフラン、HO及びメタノール(1:1:1、30mL)の混合溶媒に溶解し、そして水酸化リチウム水和物(630mg)を、室温でそれに加えた。2時間後、反応溶液を蒸留水(100mL)で希釈し、不純物を塩化メチレン(50mL)で洗浄した。塩基性の水溶液に強酸性の水溶液を加えて、pHを3.0〜4.0に調整し、得られた白色スラリー液を2回塩化メチレンで抽出した。有機抽出物を減圧下で蒸留し、濃縮された標題化合物(1.9g)を得、それは、更なる精製をせずに、次の工程で用いた。
HNMR(500MHz,DMSO−d)δ1.31(brs,9H),2.05(m,1H),2.20−2.50(m,5H),2.85(m,0.6H),3.05(m,0.4H),3.60(m,2H),3.98(m,1),4.80(m,1H),6.50(brs,0.4H),6.75(brs,0.6H),7.02(m,1H),12.05(brs,1H)。
【0079】
製造実施例5
[3(S)−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(2.6g、4mmol)、及び製造実施例1で合成した2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(1.4g)を、塩化メチレン(50mL)に溶解し、そして、0〜4℃の温度に冷却した。HOBT(650mg)、ジイソプロピルエチルアミン(2.2mL)及びEDCI(1.20g)を順次それに加え、そして反応温度を、ゆっくりと、室温まで上昇させた。6時間撹拌した後、反応溶液を、1.0Nの塩酸水溶液で洗浄し、そして、有機層を減圧下で蒸留し、標題化合物(2.6g)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.31(m,9H),2.14(m,1H),2.30−2.85(m,3H),2.90−3.30(m,3H),3.45(m,0.5H),3.60−4.30(m,3H),4.75−5.05(m,2H),5.95−6.50(m,1H)。
【0080】
製造実施例6
[(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−(2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(20mg、0.06mmol)、及び製造実施例2−(1)で合成した2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(22mg)を、ジメチルホルムアルデヒド(2mL)に溶解し、そして、0〜4℃の温度に冷却した。HOBT(650mg)、ジイソプロピルエチルアミン(2.2mL)及びEDCI(1.20g)を、順次、それに加え、反応温度を、ゆっくりと、室温まで上昇させた。反応溶液を10時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液を加え、そして有機層を酢酸エチルで抽出した。残留物を分取型TLCで精製し、標題化合物(7.4mg、収率:22%)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ0.98−1.02(m,3H),1.26−1.30(m,2H),1.40−1.46(m,9H),1.75−1.86(m,3H),2.17(m,1H),2.55−2.69(m,3H),2.88−3.10(m,5H),3.49−4.31(m,4H),4.70−4.96(m,3H)
MS(m/e)602(M+Na)。
【0081】
実施例1
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6R)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化19】

製造実施例5で合成した[3(S)−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(2.0g)は、ジアステレオマー異性体の混合物であり、それは、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで2つの異性体に分離した。分離した異性体から比較的極性の高い異性体を酢酸エチル(10mL)に溶解し、市販の4.0Nのジオキサン中の塩化水素溶液で処理した。反応溶液を減圧下で蒸留し、粘稠な油をt−ブチルメチルエーテル(10mL)でスラリー状にした。得られたスラリー液を濾過し、乾燥して、標題化合物(500mg)を得た。
HNMR(500MHz,DMSO−d)δ2.16(m,1H),2.35−2.55(m,2H),2.78−2.88(m,2H),2.95−3.18(m,2H),3.40(m,1H),3.70(m,1H),3.82(m,2H),4.90(m,2H),7.30(brs,1H),7.95(m,3H)。
【0082】
実施例2
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6S)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化20】

実施例1と同様に、製造実施例5で合成したジアステレオマー異性体の混合物を、カラムクロマトグラフィーにかけ、比較的極性の低い異性体を分離し、それを酢酸エチル(10mL)に溶解し、次いで、市販の4.0Nのジオキサン中の塩化水素溶液で処理し、30分間撹拌した。反応溶液を減圧下で蒸留し、得られた濃縮物をt−ブチルメチルエーテル(10mL)でスラリー状にした。得られたスラリー液を濾過し、乾燥して、標題化合物(250mg)を得た。
HNMR(500MHz,DMSO−d)δ2.13(m,1H),2.35−2.55(m,2H),2.75−2.90(m,2H),2.98(brs,1H),3.12(brs,1H),3.50−3.74(m,2H),3.80(m,3H),3.82(m,2H),4.90(m,2H),7.25(brs,1H),7.95(m,3H)。
【0083】
実施例3
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化21】

製造実施例6で合成した化合物は、市販の4.0Nのジオキサン中の塩化水素溶液で処理し、そして1時間撹拌した。反応溶液を減圧下で蒸留し、分取型TLCで精製し、標題化合物(4.7mg、収率:77%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ0.87−0.91(m,3H),1.72−1.80(m,3H),2.45−2.64(m,6H),2.81−3.06(m,4H),3.25−3.80(m,5H),4.19−4.78(m,3H);
MS(m/e)480(M+1)。
【0084】
製造実施例7
[(S)−3−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(26mg、0.07mmol)、及び製造実施例2−(2)で合成した2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(30mg)を結合させ、標題化合物(15.5mg、収率:36%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.38−1.42(m,18H),2.16−2.24(m,2H),2.58−2.72(m,5H),2.99−3.12(m,3H),3.81−3.89(m,3H),4.30(m,1H),4.74−4.97(m,3H);
MS(m/e)616(M+Na)。
【0085】
実施例4
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化22】

実施例3の手法と同様に、製造実施例7で合成した化合物を用いて、標題化合物(10.5mg、収率:76%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.30(d,9H),2.07(b,1H),2.42−2.56(m,4H),2.61−2.98(m,3H),3.21−3.30(m,2H),3.70−3.80(m,3H),4.69−4.79(m,3H);
MS(m/e)494(M+1)。
【0086】
製造実施例8
[(S)−3−(2−シクロ−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(26mg、0.07mmol)、及び製造実施例2−(3)で合成した2−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(30mg)を結合させ、標題化合物(14.6mg、収率:34%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.39(m,9H),1.96−2.24(m,4H),2.38−2.74(m,9H),2.99−3.12(m,3H),3.82−3.89(m,4H),4.30(m,1H),4.78−4.97(m,3H);
MS(m/e)614(M+Na)。
【0087】
実施例5
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化23】

実施例3の手法と同様に、標題化合物(13mg)を、製造実施例8の化合物を用いて定量的に得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.87−2.02(m,3H),2.26−2.52(m,9H),2.89−2.99(m,2H),3.21−3.25(m,2H),3.70−3.80(m,4H),3.99−4.80(m,3H);
MS(m/e)492(M+1)。
【0088】
製造実施例9
[(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(24mg、0.07mmol)、及び製造実施例2−(4)で合成した2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(30mg)を結合させ、標題化合物(13.5mg、収率:32%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.37(m,9H),2.16−2.26(m,2H),2.59−2.88(m,5H),3.01−3.22(m,3H),3.37−3.94(m,3H),4.30(m,1H),4.92−5.01(m,3H),8.28(m,2H),8.75(m,1H);
MS(m/e)637(M+Na)。
【0089】
実施例6
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化24】

製造実施例9で合成した化合物を、市販の4.0Nのジオキサン中の塩化水素溶液で処理し、そして1時間撹拌した。標題化合物がジアステレオ−化合物であったので、反応溶液を減圧下で蒸留し、分取型TLCで2つの異性体に分離した。分離した異性体から、比較的極性の低い標題化合物(2mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17(m,1H),2.58−2.68(m,4H),2.77−2.82(m,1H),3.11−3.21(m,2H),3.34−3.70(m,2H),3.91−4.00(m,3H),4.77−5.06(m,3H),8.44(d,2H,J=6.0MHz),8.76(d,2H,J=4.8MHz);
MS(m/e)515(M+1)。
【0090】
実施例7
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化25】

製造実施例9で合成した化合物を、市販の4.0Nのジオキサン中の塩化水素溶液で処理し、そして1時間撹拌した。標題化合物がジアステレオ−化合物であったので、反応溶液を減圧下で蒸留し、分取型TLCで2つの異性体に分離した。分離した異性体から、比較的極性の高い標題化合物(1.8mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17(m,1H),2.53−2.65(m,4H),2.74−2.80(m,1H),3.06−3.20(m,2H),3.34−3.66(m,2H),3.82−4.00(m,3H),4.77−5.00(m,3H),8.43(d,2H,J=6.0MHz),8.76(d,2H,J=4.4MHz);
MS(m/e)515(M+1)。
【0091】
製造実施例10
[(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(25mg、0.07mmol)、及び製造実施例2−(5)で合成した2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(30mg)を結合させ、標題化合物(18.1mg、収率:43%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.28(m,9H),2.13(m,1H),2.39−2.47(m,3H),2.61−2.76(m,2H),2.89−3.03(m,3H),3.56−3.80(m,3H),4.31(m,1H),4.70−4.86(m,3H),6.55−6.56(m,1H),7.28(d,1H,J=4.0MHz),7.52−7.57(m,1H);
MS(m/e)626(M+Na)。
【0092】
実施例8
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化26】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例10で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の低い標題化合物(4.7mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17(m,1H),2.45−2.81(m,5H),3.04−3.17(m,2H),3.33−3.72(m,2H),3.87−3.96(m,3H),4.90−5.00(m,3H),6.68(s,1H),7.41(d,1H,J=3.2MHz),7.79(s,1H);
MS(m/e)504(M+1)。
【0093】
実施例9
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化27】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例10で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の高い標題化合物(4.8mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17(m,1H),2.51−2.76(m,5H),3.03−3.11(m,2H),3.34−3.70(m,2H),3.84−3.93(m,3H),4.82−4.90(m,3H),6.68(s,1H),7.41(d,1H,J=3.6MHz),7.79(s,1H);
MS(m/e)504(M+1)。
【0094】
製造実施例11
{(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−3−オキソ−プロピル}−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(61mg、0.17mmol)、及び製造実施例2−(6)で合成した2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(65mg)を結合させ、標題化合物(38.2mg、収率:37%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.31−1.44(m,9H),2.17−2.24(m,2H),2.58−3.74(m,4H),2.88−3.37(m,10H),3.85−3.98(m,4H),4.29(m,1H),4.75−4.96(m,3H);
MS(m/e)618(M+Na)。
【0095】
実施例10
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化28】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例11で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の低い標題化合物(6.2mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.18(m,1H),2.62−2.78(m,4H),3.02−3.42(m,10H),3.68−4.06(m,5H),4.80−4.90(m,3H);
MS(m/e)496(M+1)。
【0096】
実施例11
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化29】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例11で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の高い標題化合物(9.1mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.21(m,1H),2.60−2.64(m,3H),2.87−3.37(m,11H),3.61−4.02(m,5H),4.79−4.99(m,3H);
MS(m/e)496(M+1)。
【0097】
製造実施例12
{(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−チオフェン)−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル}−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(39mg、0.11mmol)、及び製造実施例2−(7)で合成した2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(50mg)を結合させ、標題化合物(26mg、収率:38%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.40(s,9H),2.16−2.25(m,2H),2.59−2.75(m,5H),3.01−3.13(m,3H),3.83−3.93(m,3H),4.31(m,1H),4.88−4.98(m,3H),7.51−7.53(m,1H),7.89(d,1H,J=4.4MHz),8.40(s,1H);
MS(m/e)642(M+Na)。
【0098】
実施例12
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化30】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例12で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の低い標題化合物(6.2mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.18(m,1H),2.58−2.67(m,4H),2.77−2.81(m,1H),3.04−3.12(m,2H),3.34−3.42(m,2H),3.81−3.96(m,3H),4.90−4.97(m,3H),7.52−7.55(m,1H),7.89(d,1H,J=5.2MHz),8.40−8.41(m,1H);
MS(m/e)520(M+1)。
【0099】
実施例13
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化31】

実施例6の手法と同様に、2つの異性体を製造実施例12で合成した化合物から分離した。分離した異性体から、比較的極性の高い標題化合物(5.8mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17(m,1H),2.55−2.65(m,4H),2.80−2.85(m,1H),3.04−3.12(m,2H),3.46−3.51(m,1H),3.66−3.74(m,1H),3.86−3.95(m,3H),4.85−4.93(m,3H),7.52−7.55(m,1H),7.89(d,1H,J=5.2MHz),8.40−8.41(m,1H);
MS(m/e)520(M+1)。
【0100】
製造実施例13
{(S)−1−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−[2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−3−オキソ−プロピル}−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例5の手法と同様に、製造実施例4で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(30mg、0.09mmol)、及び製造実施例2−(8)で合成した2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(25mg)を結合させ、標題化合物(10.5mg、収率:20%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.41−1.44(m,9H),2.57−2.61(m,6H),3.12−3.14(m,3H),3.91−4.00(m,4H),4.86−4.96(m,4H),7.16−7.18(m,2H),8.46−8.49(m,2H);
MS(m/e)654(M+Na)。
【0101】
実施例14
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化32】

実施例3の手法と同様に、製造実施例13で合成した化合物を用いて、標題化合物(8.8mg、収率:93%)を得た。
HNMR(500MHz,MeOH−d)δ2.55−2.64(m,6H),3.00−3.38(m,5H),3.86−3.93(m,2H),4.84−4.92(m,3H),7.21−7.24(m,2H),8.48−8.51(m,2H);
MS(m/e)532(M+1)。
【0102】
製造実施例14
(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−酪酸ベンジルエステルの合成
(S)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−コハク酸4−ベンジルエステル(545mg、1.69mmol)をテトラヒドロフラン(THF)中に溶解し、それに、N−メチルモルホリン(NMM、0.19mL、1.77mmol)及びクロロギ酸イソブチル(0.23mL、1.77mmol)を0℃で加え、次いで、その温度で30分間撹拌した。30分後、得られた白色固体塩を、セライト濾過で除去し、そして、蒸留水(2mL)中のナトリウムボロヒドリド(96mg、2.53mmol)の溶液を得られた透明な濾液に、更なる濃縮をせずに室温で加えた。室温で1時間撹拌後、THFを減圧下で蒸留した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、そして、1NのHClを加えて反応を停止させた。有機層を酢酸エチルで抽出し、そして、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、標題化合物(468mg、収率:90%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.42(s,9H),2.67(d,2H,J=5.5Hz),3.67−3.68(m,2H),3.99−4.01(m,1H),5.12(s,2H),5.29(b,1H),7.33−7.36(m,5H);
MS(m/e)332(M+Na)。
【0103】
(2)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステルの合成
製造実施例4−(2)の手法と同様に、(1)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−酪酸ベンジルエステル(1.5g、4.9mmol)、及び製造実施例3で合成した3,3−ジフルオロピペリジン−2,6−ジオン(880mg、5.9mmol)を用いて、標題化合物(1.86g、収率:86%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.37(s,9H),2.43(m,2H),2.62−2.67(m,2H),2.88−2.89(m,2H),3.71(d,1H,J=11Hz),4.2(m,2H),5.17(s,2H),5.19(d,1H),7.36−7.37(m,5H)。
【0104】
(3)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(2)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステル(310mg、0.70mmol)をメタノールに溶解し、そして、10%Pd/C(31mg、0.1当量)を、それに加えた。混合物を1気圧の水素ガス雰囲気下、1時間撹拌した。反応が完了した後、固体物質をセライト濾過によって除去し、粗製の標題化合物(260mg)を得た。
【0105】
製造実施例15
[(S)−3−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例5の手法と同様に、製造実施例14で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3,3−ジフルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(30mg、0.09mmol)、及び製造実施例1で合成した2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(23mg、0.009mmol)を用いて、標題化合物(6.6mg、収率:13%)を得た。
HNMR(500MHz,CDCl)δ1.37(s,9H),2.42(m,2H),2.76−2.95(m,4H),3.14−3.28(m,2H),3.71−4.22(m,5H),4.85−5.00(m,2H),5.52−5.55(m,1H);
MS(m/e)626(M+1)。
【0106】
実施例15
1−[(S)−2−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3,3−ジフルオロ−ピペリジン−2,6−ジオンの合成
【化33】

実施例3の手法と同様に、製造実施例15で合成した化合物を用いて、標題化合物(6.4mg、収率:97%)を得た。
HNMR(500MHz,MeOH−d)δ2.51−2.54(m,2H),2.85−2.91(m,4H),3.12−3.21(m,3H),4.10−4.20(m,4H),4.95(m,2H);
MS(m/e)504(M+1)。
【0107】
製造実施例16
3−フルオロ−ピペリジン−2,6−ジオンの合成
(1)2−フルオロ−ペンタン二酸ジエチルエステルの合成
製造実施例3−(1)の手法と同様に、市販のブロモフルオロ酢酸エチルエステル(7.1mL、60mmol)及びアクリル酸エチル(3.3mL、30mmol)を用いて、標題化合物(1.86g、収率:30%)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.25−1.37(m,6H),2.17−2.37(m,2H),2.51−2.57(m,2H),4.14−4.33(m,4H),4.93−5.08(m,1H)。
【0108】
(2)4−カルバモイル−4−フルオロ−酪酸エチルエステルの合成
製造実施例3−(2)の手法と同様に、(1)項で合成した2−フルオロ−ペンタン二酸ジエチルエステル(2.4g、11.7mmol)を用いて、粗製の標題化合物(2.2g)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.21−1.33(m,3H),2.13−2.38(m,2H),2.47−2.52(m,2H),4.13−4.18(m,2H),4.89−5.08(m,1H),5.90−6.32(b,1H)。
【0109】
(3)3−フルオロ−ピペリジン−2,6−ジオンの合成
製造実施例3−(3)の手法と同様に、(2)項で合成した4−カルバモイル−4−フルオロ−酪酸エチルエステル(2.2g、12.5mmol)を用いて、標題化合物(720mg、収率:44%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.18−2.41(m,2H),2.71−2.75(m,2H),5.11−5.27(m,1H);
MS(m/e)132(M+1)。
【0110】
製造実施例17
(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸イソプロピルエステルの合成
製造実施例4−(2)の手法と同様に、製造実施例16で合成した3−フルオロ−ピペリジン−2,6−ジオン(47mg、0.36mmol)、及び製造実施例4−(1)で合成した(3S)−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ酪酸i−プロピルエステル(78.4mg、0.3mmol)を用いて、粗製の標題化合物(139mg)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.24−1.39(m,6H),1.44(s,9H),2.24−2.35(m,2H),2.48−2.71(m,2H),2.85−2.91(m,2H),3.73(d,1H,J=4.8Hz),4.09−4.20(m,2H),4.99−5.31(m,3H);
MS(m/e)397(M+Na)。
【0111】
(2)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸イソプロピルエステルの合成
製造実施例4−(3)の手法と同様に、(1)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸イソプロピルエステル(139mg、0.37mmol)を用いて、標題化合物(109mg、収率:78%)を得た。
MS(m/e)399(M+Na)。
【0112】
(3)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
製造実施例4−(4)の手法と同様に、(2)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸イソプロピルエステル(102mg、0.27mmol)を用いて、標題化合物(54mg、収率:60%)を得た。
MS(m/e)357(M+Na)。
【0113】
製造実施例18
[(S)−3−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例17で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(38mg、0.11mmol)、及び製造実施例2−(2)で合成した2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(49mg、0.16mmol)を用いて、標題化合物(42mg、収率:65%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.41(d,18H),2.17(m,2H),2.45(m,2H),2.71(m,2H),3.00(m,1H),3.11(m,2H),3.92(m,3H),4.11(m,1H),4.88−4.91(m,3H)5.43−5.55(m,1H);
MS(m/e)598(M+Na)。
【0114】
実施例16
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化34】

実施例3の手法と同様に、製造実施例18で合成した化合物を用いて、標題化合物(6.0mg、収率:18%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.42(s,9H),2.00−2.50(m,4H),2.81−3.11(m,5H),3.50−3.93(m,4H),4.84−5.10(m,3H)5.48−5.62(m,1H);
MS(m/e)476(M+1)。
【0115】
製造実施例19
[(S)−1−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例17で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(35mg、0.11mmol)、及び製造実施例2−(5)で合成した2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(45mg、0.15mmol)を用いて、標題化合物(49mg、収率:79%)を得た。
MS(m/e)608(M+Na)。
【0116】
実施例17
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化35】

実施例3の手法と同様に、製造実施例19で合成した化合物を用いて、標題化合物(15mg、収率:35%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.17−3.14(m,9H),3.70−3.89(m,4H),4.86−4.87(m,3H)5.43−5.55(m,1H),6.68(m,1H),7.41(m,1H),7.79(m,1H);
MS(m/e)486(M+1)。
【0117】
製造実施例20
[(S)−1−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例17で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(48mg、0.14mmol)、及び製造実施例2−(7)で合成した2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(65mg、0.20mmol)を用いて、標題化合物(13mg、収率:15%)を得た。
MS(m/e)624(M+Na)。
【0118】
実施例18
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン塩酸塩の合成
【化36】

実施例3の手法と同様に、製造実施例20で合成した化合物を用いて、標題化合物(1.4mg、収率:12%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ2.2−2.3(m,4H),2.50(m,1H),3.00−3.15(m,4H),3.74(m,1H),3.88(m,3H),4.88(m,3H),5.51(m,1H),7.53(m,1H),7.88(m,1H),8.39(m,1H);
MS(m/e)502(M+1)。
【0119】
製造実施例21
[(S)−1−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−プロピル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例17で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(47mg、0.14mmol)、及び製造実施例2−(1)で合成した2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(56mg、0.20mmol)を用いて、標題化合物(15mg、収率:18%)を得た。
MS(m/e)584(M+Na)。
【0120】
実施例19
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化37】

実施例3の手法と同様に、製造実施例21で合成した化合物を用いて、標題化合物(2.3mg、収率:18%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ0.95−0.99(m,3H),1.82−1.84(m,2H),2.18(m,2H),2.44−2.56(m,3H),2.74(m,1H),2.90−3.07(m,5H),3.76−3.89(m,4H),4.84(m,3H),5.54(m,1H);
MS(m/e)462(M+1)。
【0121】
製造実施例22
[(S)−1−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−ピリジン−4−イル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例17で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−フルオロ−2−ヒドロキシ−6−オキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(33mg、0.10mmol)、及び製造実施例2−(4)で合成した2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(44mg、0.14mmol)を用いて、標題化合物(55mg、収率:65%)を得た。
MS(m/e)619(M+Na)。
【0122】
実施例20
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン・塩酸塩の合成
【化38】

実施例3の手法と同様に、製造実施例22で合成した化合物を用いて、標題化合物(12mg、収率:24%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.30−3.21(m,8H),3.37−4.20(m,5H),5.00(m,3H),8.43(s,2H),8.76(s,2H);
MS(m/e)519(M+Na)。
【0123】
製造実施例23
3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオンの合成
無水酢酸を市販の2−メチルグルタル酸(1g、6.8mmol)に、室温で加え、そして、混合物を還流下、60℃、8時間撹拌した。反応の完結をTLCで確認した後、残留無水酢酸を減圧下で蒸留した。濃縮した化合物をテトラヒドロフランに溶解し、そしてアンモニア水溶液(1.7mL、14.6mmol)を、それに、0℃でゆっくりと加え、次いで室温で8時間撹拌した。反応が完了した後、残留アンモニア水溶液を減圧下で除去し、そして無水酢酸を加え、次いで、60℃、8時間還流した。残留無水酢酸を減圧下で除去した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、標題化合物(682mg、収率:78%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.24−1.28(m,3H),1.71−1.77(1H),2.04−2.08(m,1H),2.57−2.65(m3H);
MS(m/e)128(M+1)。
【0124】
製造実施例24
(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステルの合成
製造実施例4−(2)の手法と同様に、製造実施例23で合成した3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオン(53mg、0.42mmol)、及び製造実施例14‐(1)で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−酪酸ベンジルエステル(107mg、0.35mmol)を用いて、標題化合物(129mg、収率:88%)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.30−1.35(m,3H),1.47(s,9H),1.78−2.01(m,2H),2.53−2.85(m,5H),3.72(m,1H),4.13−4.36(m,2H),5.12−5.23(m,3H),7.30−7.39(m,5H);
MS(m/e)441(M+Na)。
【0125】
(2)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステル(218mg、0.52mmol)をメタノールに溶解し、そして、10%Pd/C(22mg、0.1当量)をそれに加え、次いで、1気圧の水素ガス雰囲気下で、1時間撹拌した。反応が完了した後、チャコール上のPdをセライト濾過で除去した。残留物を分取型TLCで精製し、標題化合物(59mg、収率:35%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.28(m,3H),1.42(s,9H),1.80−1.99(m,2H),2.38−2.87(m,5H),3.72(m,1H),4.22−4.44(m,2H);
MS(m/e)351(M+Na)。
【0126】
製造実施例25
[(S)−1−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−3−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例24で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,6−ジオキソ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(29mg、0.09mmol)、及び製造実施例2−(7)で合成した2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(40mg、0.12mmol)を用いて、標題化合物(47mg、収率:88%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.24−1.28(m,3H),1.38(s,9H),1.68−2.04(m,2H),2.69−2.94(m,5H),3.02−3.17(m,2H),3.91(m,2H),3.72(m,1H),4.11−4.20(m,3H),4.80−4.90(m,2H),7.53(m,1H),7.91(m,1H),8.41(m,1H);
MS(m/e)618(M+Na)。
【0127】
実施例21
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオン・塩酸塩の合成
【化39】

実施例3の手法と同様に、製造実施例25で合成した化合物を用いて、標題化合物(23mg、収率:65%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.23−1.31(m,3H),1.72−2.17(m,2H),2.64−2.72(m,5H),3.04−3.13(m,2H),3.55−3.68(m,2H),3.87−3.93(m,2H),4.17(m,1H),4.90(m,2H),7.53(m,1H),7.90(m,1H),8.41(m,1H);
MS(m/e)496(M+1)。
【0128】
製造実施例26
3−メチル−ピロリジン−2,5−ジオンの合成
(1)2−メチル−コハク酸の合成
市販のメチルコハク酸ジメチル(1.57g、9.8mmol)を、テトラヒドロフラン及び水の混合溶媒(3:1)の溶解し、そして水酸化リチウム(4g、98mmol)を加え、そして、還流下、40℃、2日間撹拌した。反応の完結をTLCで確認した後、残留物を減圧下で蒸留し、標題化合物を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.21−1.23(d,3H,J=7.2Hz),2.43−2.48(m,1H),2.64−2.70(m,1H),2.80−2.89(m,1H)。
【0129】
(2)3−メチル−ピロリジン−2,5−ジオンの合成
製造実施例23の手法と同様に、(1)項で合成した2−メチル−コハク酸を用いて標題化合物(250mg)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.19−1.29(m,3H),2.32−2.40(m,1H),2.71−2.96(m,2H)。
【0130】
製造実施例27
(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)−酪酸の合成
(1)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステルの合成
製造実施例4−(2)の手法と同様に、製造実施例26合成した3−メチル−ピロリジン−2,5−ジオン(61mg、0.54mmol)、及び製造実施例14−(1)で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ−酪酸ベンジルエステル(140mg、0.45mmol)を用いて、粗製の標題化合物(230mg)を得た。
HNMR(400MHz,CDCl)δ1.31−1.39(m,3H),1.43(s,9H),2.29−2.39(m,1H),2.62−2.92(m,4H),3.70(m,1H),4.18(m,2H),5.13−5.14(m,2H),5.24(b,1H),7.35−7.36(m,5H);
MS(m/e)427(M+Na)。
【0131】
(2)(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)−酪酸の合成
製造実施例23−(2)の手法と同様に、(1)項で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)−酪酸ベンジルエステル(218mg、0.52mmol)を用いて、標題化合物(62mg)を得た。
MS(m/e)337(M+Na)。
【0132】
製造実施例28
[(S)−3−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−1−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルメチル)−3−オキソ−プロピル]−カルバミン酸t−ブチルエステルの合成
製造実施例6の手法と同様に、製造実施例27で合成した(S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−(3−メチル−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル)−酪酸(39mg、0.13mmol)、及び製造実施例2−(2)で合成した2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ピリド[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(52mg、0.18mmol)を用いて、標題化合物(74mg)を定量的に得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.24−1.28(m,3H),1.38−1.42(m,18H),2.27−2.92(m,5H),3.00−3.12(m,2H),3.63−4.59(m,5H),4.82−4.86(m,2H);
MS(m/e)578(M+Na)。
【0133】
実施例22
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3−メチル−ピロリジン−2,6−ジオン・塩酸塩の合成
【化40】

実施例3の手法と同様に、製造実施例28で合成した化合物を用いて、標題化合物(32mg、収率:61%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)δ1.26−1.29(m,3H),1.42(s,9H),2.33−2.38(m,1H),2.57−2.67(m,2H),2.90−2.92(m,2H),3.00−3.10(m,2H),3.55−3.37(m,3H),3.84−3.90(m,2H),4.82−4.86(m,2H);
MS(m/e)456(M+1)。
【0134】
実験実施例1
DPP−IV阻害活性のアッセイ
セリンプロテアーゼとして知られているジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)を公知の方法(Tanaka T. et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1994)91,3082−3086)の改良で得、それは、クローニング、バキュロウイルス(Baculo virus)の使用による精製、及び活性化工程を含む。DPP−IVは、次の様な候補阻害剤の薬学的有効性を評価するために用いられた。クローン化DPP−IVをバキュロウイルスで発現させ、それをニッケルカラムで精製し、その後、透析にかけた。実施例で合成された阻害剤は、蛍光基質、Ac−Gly−Pro−AFCを用いて、そのDPP−IV阻害活性を評価した。酵素反応は、25℃において、50mMのHEPES(pH=7.4)及び7.1nMのDPP−IV濃度を含有する緩衝溶液内で100μMのAc−Gly−Pro−AFCを用いて、さまざまな濃度の阻害剤に対して行われた。阻害剤のIC50値は、酵素反応1時間後に、蛍光スペクトロメーター内で発生された蛍光量を測定し、その後、全酵素反応の50%阻害を示す阻害剤濃度を計算して求めた。蛍光スペクトロメーターとしては、Spectra MAX GeminiXS蛍光スペクトロメーター(Molecular Device Co.製)を用い、励起及び発光波長は、400nm、505nmにそれぞれ設定した。得られた結果を以下の表1に要約する。
【表1】

【0135】
実験実施例2
DPP−II、VIII及びIXの阻害活性のアッセイ
実施例1〜22の幾つかの化合物及び公知のDPP−IV阻害剤のDPP酵素選択性を比較するために、これらの評価化合物の酵素阻害活性を次の通りに測定した。
【0136】
−DPP−II阻害活性の測定
DPP−IIを入手し、精製した。基剤としてのGly−Pro−AFCを用いて、以下の表2に記載されたDPP−IV阻害剤が、DPP−II阻害活性について評価された。酵素反応は、室温で、50mMの酢酸(pH4.5)を含む緩衝溶液中、DPP−II(0.018μg)及び100μMのGly−Pro−AFCを用い、さまざまな濃度のDPP−IV阻害剤に対して行われた。阻害剤のIC50値は、60分間蛍光スペクトロメーターを用いて反応速度を追跡し、そして、TableCurve 2D(v5.01)を用いた結果を分析して求められた。DPP−IV阻害剤は、それぞれ405nm及び505nmの励起及び発光波長での蛍光スペクトロメーターを用いて解析した。
【0137】
‐DPP−VIII阻害活性の測定
DPP−VIIIを入手し、精製した。基剤としてのGly−Pro−AFCを用いて、以下の表2に記載されたDPP−IV阻害剤が、DPP−VIII阻害活性について評価された。酵素反応は、室温で、50mMのHEPES(pH7.5)を含む緩衝溶液中、DPP−VIII(0.0049μg)及び100μMのGly−Pro−AFCを用い、さまざまな濃度のDPP−IV阻害剤に対して行われた。阻害剤のIC50値は、60分間蛍光スペクトロメーターを用いて反応速度を追跡し、そして、TableCurve 2D(v5.01)を用いて得られた結果を分析して求められた。DPP−IV阻害剤は、それぞれ405nm及び505nmの励起及び発光波長での蛍光スペクトロメーターを用いて分析した。
【0138】
‐DPP−IX阻害活性の測定
DPP−IXを入手し、精製した。基剤としてのGly−Pro−AFCを用いて、以下の表2に記載のDPP−IV阻害剤が、DPP−IX阻害活性について評価された。酵素反応は、室温で、50mMのHEPES(pH7.5)を含む緩衝溶液中、DPP−IX(200ng)及び100μMのGly−Pro−AFCを用い、さまざまな濃度のDPP−IV阻害剤に対して行われた。阻害剤のIC50値は、蛍光スペクトロメーターを用いて反応速度の時間追跡を行い、そして、TableCurve 2D(v5.01)を用いて結果を分析して求められた。DPP−IV阻害剤は、それぞれ405nm及び505nmの励起及び発光波長での蛍光スペクトロメーターを用いて分析した。
【0139】
得られたアッセイ結果を、以下の表2にまとめた。
【表2】

a.参照:本出願者に譲渡された国際公開第06/104356号;
b.IDF、2006で公開されたデータ;
c.Kim,D.,et al.,J.Med Chem,2005,48,141−151;
【0140】
表2の結果から見られるように、本発明の化合物は、国際公開第06/104356号のDPP−IV阻害剤と比較して、DPP−IVに対する優れた選択性を示した。これらの結果は、前述の通り、副反応による化合物の潜在的な毒性を最小化できることを示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0141】
前述の説明から明らかな通り、本発明に記載の新規化合物はDPP−IVの活性を阻害し、それ故、インスリンの分泌を促進し、結果として血中のグルコースレベルを低下させる。従って、これらの化合物は、DPP−IV関連の疾病、例えば、糖尿病(特にII型)、肥満症などの治療又は予防のために使用できる。
【0142】
本発明の好ましい実施態様は、説明目的のために開示されたものではあるが、当業者は、さまざまな改良、追加及び代替が、付随する特許請求の範囲で開示される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、可能であることは理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で表わされる化合物であって:
【化1】

ここで、
Aは、式2の置換基:
【化2】

ここで、
は、水素又はCFであり;そして Rは、水素、置換又は無置換C−C10アルキル、置換又は無置換C−C10シクロアルキル、置換又は無置換C−C10ヘテロシクロアルキル、置換又は無置換C−Cアリール及び置換又は無置換C−Cヘテロアリールから成る群から選択され;及び
式3の置換基:
【化3】

ここで、Rは、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換C−Cアルキルから成る群から選択される;
から選択され;
Bは、式4の置換基:
【化4】

ここで
Xは、−CR−又は−CO−であり、ここで、R及びRの内少なくとも1つがヒドロキシであるという条件で、R及びRは、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換C−Cアルキルから成る群から選択され;そして
nは0又は1であり;
式5の置換基:
【化5】

ここで、
Xは、−CR1011−又は−CO−であり、ここで、R10及びR11の内少なくとも1つはヒドロキシである条件で、R10及びR11は、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
12、R13及びR14は、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換C−Cアルキルから成る群から選択され;そして
Yは、酸素又は硫黄であり;
式6の置換基:
【化6】

ここで、
Xは、−CR1516−又は−CO−であり、ここで、R15及びR16の内少なくとも1つがヒドロキシである条件で、R15及びR16は、互いに独立に、水素又はヒドロキシであり;
Zが酸素であるとき、R19は存在しないという条件で、Zは、−CH−又は酸素であり;そして、
17、R18及びR19は、互いに独立に、水素、ハロゲン、及び置換又は無置換C−Cアルキルから成る群から選択され;及び
式7の置換基:
【化7】

ここで、
Xは、−CR2021−又は−CO−であり、ここで、R20及びR21に内少なくとも1つがヒドロキシであるという条件で、R20及びR21は、互いに独立に、 水素又はヒドロキシであり、
22は、置換又は無置換C−Cアルキルである;
から成る群から選択される;
化合物、又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールが置換されるとき、置換基がC−C10アルキル又はハロゲンであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ハロゲンがフッ素であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式1におけるAは、式2で表わされる置換基であり、ここで、Rは、水素又はCFであり、そしてRは、水素及びC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10ヘテロシクロアルキル、C−Cアリール及びC−Cヘテロアリールから成る群から選択され、ここで、それぞれは、場合により、ハロゲンで置換されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
は、無置換又はハロゲン−置換C−C10ヘテロシクロアルキル、又は無置換若しくはハロゲン−置換C−Cヘテロアリールであるとき、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールは、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾジリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピリジン、ピリジノン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリダジノン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン及びアゼピンから成る群から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、トリフルオロメチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロブチル、ピリジン、フラン、メトキシエチル、チオフェン及び4−フルオロフェニルから成る群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式1におけるBは、式4で表わされる置換基であり、ここで、Xは、−(CH−OH)−又は−CO−であり、R及びRは、互いに独立に、水素、フルオロ、及び無置換C−Cアルキルから成る群から選択され;そして、R及びRは、互いに独立に、水素であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が式1aの化合物であり:
【化8】

ここで、A及びBは式1で定義された通りである;
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
下記の化合物から成る群から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6R)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(2S)−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−(6S)−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−シクロブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−4−オキソ−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(2−メトキシ−エチル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−{(S)−2−アミノ−4−[2−(4−フルオロ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル]−4−オキソ−ブチル}−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2,4−ビス−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3,3−ジフルオロ−ピペリジン−2,6−ジオン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−フラン−2−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−プロピル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−ピリジン−4−イル−5−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−5−フルオロ−6−ヒドロキシ−ピペリジン−2−オン
1−[(S)−2−アミノ−4−オキソ−4−(2−チオフェン−3−イル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−ブチル]−3−メチル−ピペリジン−2,6−ジオン
1−[(S)−2−アミノ−4−(2−t−ブチル−4−トリフルオロメチル−5,8−ジヒドロ−6H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−イル)−4−オキソ−ブチル]−3−メチル−ピロリジン−2,6−ジオン
【請求項10】
請求項1の式1の化合物、又は薬学的に許容可能なその塩を含む、ジぺプチジルペプチダーゼ(DPP−IV)を阻害するための医薬組成物。
【請求項11】
DPP−IV関連の疾病を治療する、又は予防することを目的とするものであることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記DPP−IV関連の疾病が、糖尿病又は肥満症であることを特徴とする請求項11に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−507832(P2011−507832A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539306(P2010−539306)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007543
【国際公開番号】WO2009/082134
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(507274777)エルジー ライフ サイエンス リミテッド (5)
【Fターム(参考)】