説明

ジメタルヒドロキシリンゴ酸塩

ジメタルヒドロキシリンゴ酸塩の組成物、ならびに前記の生物的に利用可能な組成物を投与および製造する方法を提供する。使用する金属は栄養的に関連性のある、あらゆる二価金属、例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、および鉄とすることができる。当該組成物は、リンゴ酸を二価金属の酸化物または水酸化物と1:2のモル比で反応させることにより、調製することができる。当該組成物は、経口送達を含むいくらかの公知の送達経路のいずれでも、恒温動物に投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の技術分野
本発明はミネラルの補足に使用することのできる、組成物ならびに組成物を製造および投与する方法を導く。より具体的には、本発明はジメタルヒドロキシリンゴ酸塩を導く。
【0002】
発明の背景
マグネシウムはヒトおよび他の恒温動物において骨、タンパク質、および脂肪酸の形成に必要なミネラルである。マグネシウムはまた、新たな細胞の形成、ある種のビタミンの活性化、筋肉弛緩、血液凝固、およびATP形成にも関与する。糖尿病の人は、正常な耐糖能を有する人に比して正常値より低いマグネシウムレベルをしばしば有する。マグネシウムの補足は、これらの分野のいくつかにおいては健康を維持する手助けとなり得る、同様にこれらの問題のいくつかを克服する手助けとなり得る。典型的には多くの人は食事で十分なマグネシウムを摂取してはいない。
【0003】
他方カルシウムは、ヒトの体内の最も豊富なミネラルである。平均的に体内に含有されるカルシウムの内、約99%は歯を含む骨に局在する。カルシウムは骨および歯を形成するために必要であり、また血液の凝固、神経細胞内のシグナル伝達、および筋肉収縮にも必要とされる。カルシウムの補足は骨粗しょう症の発症を低減させると考えられている。
【0004】
補足用のマグネシウムおよび/またはカルシウムの形の選択は、当産業界での多少の混乱をもたらす元となった。炭酸カルシウムは広く使用されているカルシウムの1つの形であるが、他の何らかの形と同じ様に吸収されるとは考えられていない。クエン酸カルシウムは、炭酸カルシウムより吸収されやすいと考えられている形を提供する。クエン酸/リンゴ酸カルシウム(CCM)は、同様に炭酸塩より十分に吸収されると考えられている。
【0005】
他の二価のミネラル、例えば亜鉛、銅、鉄、およびマンガンもまた、ヒトの食事に重要であることが知られており、補足的な形で投与することができる。例えば微量のミネラルの亜鉛は、ビタミンAの輸送、味覚、傷の治癒、および胎児の発達に関与することが知られている。亜鉛はまた多くの酵素、インスリンを含むホルモン、遺伝子の材料、およびタンパク質が正常に機能する上で一役を担っている。他方銅は、鉄の吸収に一役を担っており、多くの酵素の一部でもある。加えて鉄は、ヘモグロビンの産生および赤血球細胞の酸素化に必要であり、血液の質を強化し、そして抵抗力を高め、同様にエネルギー産生を高める。マンガンの利点は、記憶および反射の改善、疲労の軽減、ならびに甲状腺ホルモン、骨格、生殖、および中枢神経系の適正な発達の促進を含む。
【0006】
リンゴ酸は、自然界で産生されるジカルボン酸である。リンゴ酸は、食物からATPを誘導する複雑な過程(体を動かすエネルギーの流れ)において、一役を担っている。リンゴ酸は、広く様々な果物(リンゴに豊富に含まれている)および野菜に見出される。リンゴ酸は、既にヒトおよび他の恒温動物に豊富に見出されているように、副作用なく投与することができる。さらにリンゴ酸の補足がヒトの栄養摂取の手助けとなり得るという多少の証拠が挙げられている。
【0007】
発明の概要
ある種の錯体を使用することで、いくつかの量のある種の栄養的に関連性のある金属の生物的に利用可能な形を提供することができることが認められた。具体的には、この基準を満たす組成物は以下の構造を有することができ:
【0008】
【化1】

【0009】
式中MおよびM’は各々独立して栄養的に関連性のある二価金属である。
加えて高含有量の二価必須金属を、生物的に利用可能な形で恒温動物に投与する方法もまた提供する。当該方法は、式1の組成物を恒温動物に投与するステップを包含する。
【0010】
もう1つの態様において、生物的に利用可能な二価金属を含有する錯体、例えば式1に示した物質を製造する方法は、リンゴ酸を二価金属を含有する組成物と1:2のモル比で反応させるステップを包含することができ、この場合二価金属を含有する組成物の二価金属は栄養的に関連性のある二価金属である。
【0011】
好ましい(単数または複数の)態様の詳細な説明
本発明を開示、記載する前に、本明細書で開示する特定の過程のステップおよび材料は多少変更してもよいため、本発明は前記の過程のステップおよび材料に限定されないことと、理解されるものとする。当明細書で使用する専門用語は、特定の態様のみを記載する目的で使用されていることもまた理解されるものとする。本発明の範囲は添付の請求項およびその均等物によってのみ限定されることを意図しているため、用語により限定されることを意図してはいない。
【0012】
本明細書および添付の請求項において使用する場合、単数形の“a”“an”および“the”は、本文に他に明確な指示がない限り複数を指示するものを含むこともまた留意されるものとする。
【0013】
“栄養的に関連性のある金属”または“栄養的に関連性のある二価金属”という用語は、当該技術分野で知られているように、栄養補助食品の一部として使用することができ、ヒトおよび他の恒温動物に有益であることが知られており、そして従来の量で投与した場合実質的に非毒性である、あらゆる二価金属を意味する。このような金属の例として銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、カルシウム等を含む。
【0014】
ジメタルヒドロキシリンゴ酸塩(例えばジカルシウムヒドロキシマレート、ジマグネシウムマレート等)を言う場合、名称の“ジ”の部分は、2つのM(OH)またはメタルヒドロキシ基をいい、一方はリンゴ酸イオンの第1のカルボキシル基と錯体を形成し、他方はリンゴ酸イオンの第2のカルボキシル基と錯体を形成する。したがって各金属はリンゴ酸イオンと錯体を形成し、またそれ自身のヒドロキシ基とも錯体を形成して、金属の電荷が相殺される。使用することできる金属は、二価の栄養的に関連性のある金属を含み、同一の金属2つまたは2つの異なる金属が、リンゴ酸イオンの各カルボキシル基に存在することができる。
【0015】
“二価金属を含有する組成物”という用語は、本発明の態様に従ってリンゴ酸と反応させて、ジメタルヒドロキシリンゴ酸塩を形成させるために使用する組成物を意味するものとし、この場合、同金属は同一の金属2つまたは2つの異なる金属とすることができる。元素状態で存在する二価金属、二価金属の水酸化物、二価金属の酸化物、および二価金属の炭酸塩が含まれる。
【0016】
本発明の1つの態様において、以下の構造:
【0017】
【化2】

【0018】
を有する組成物を提供し、式中MおよびM’は各々独立して栄養的に関連性のある二価金属とする。言い換えるとMおよびM’は同一の二価金属とすることができる、または異なる二価金属とすることができる。あらゆる栄養的に関連性のある二価金属を使用することができるが、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガンおよび鉄を、使用するための所望の金属の例として提供する。
【0019】
本発明はまた、高含有量の金属を生物的に利用可能な形で、恒温動物に投与する方法を導く。1つの態様において上の式1の組成物は、恒温動物、たとえばヒトに投与することができる。投与は、経口投与を含む多数の公知の投与経路の1つによることができる。経口の送達または摂取用に製剤化する場合、このような組成物は、錠剤、カプセル、食品、飲料、乾燥飲料混合物、または経口摂取に受容可能なその他の物質を含む、多数の送達ビヒクル中に組み込むことができる。錠剤は咀嚼錠であっても非咀嚼錠であってもよい。食品の送達ビヒクルは、例えば食品のバーの形としてもよいし、乳製品に組み込んでもよい。飲料はスポーツ飲料、フルーツ飲料、柑橘系飲料、炭酸飲料、およびその他の適切な飲料媒体の形としてよい。乾燥飲料混合物は、フルーツ混合物および/または柑橘系混合物、またはその他の特定の飲料混合物の形としてよい。何の送達のビヒクルであっても、本発明の組成物は非常に安定であり、したがって当該技術分野で公知の多数の他のサプリメントと共に併用することができる。例えば本発明の組成物は、飲料混合物、サプリメントの錠剤もしくはカプセル、または食品アイテム中の、ミネラルの塩および/またはミネラルのアミノ酸キレートと共に併用することができる。
【0020】
もう1つの態様において、生物的に利用可能な二価金属を含有する錯体を製造する方法は、リンゴ酸を1つまたはそれより多くの二価金属を含有する組成物と、1:2のモル比で反応させるステップを包含することができ、この場合該組成物の二価金属は、栄養的に関連性のある二価金属とする。この反応は過剰の水の存在下で行うことができる、またはリンゴ酸および二価金属を含有する組成物の粒状のブレンドを提供した後、少量の水を段階的に加えることにより行うことができる。形成される生物的に利用可能な二価金属を含有する錯体は、上の式1の構造を含むことができる。
【0021】
式1の組成物の製造法の実施にあたって進めることのできる少なくとも4つの具体的な反応スキームを挙げるが、これらの反応スキームは限定していることを意図するものではない。第1の反応スキームを次のように下の式2に示す:
【0022】
【化3】

【0023】
上の反応スキームにおいて、Mは鉄、マグネシウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、または銅を含む、栄養的に関連性のある、あらゆる二価金属とすることができる。2つの余分な水分子は、水素原子がリンゴ酸から放出されて、2つの金属の水酸化物からの過剰なヒドロキシ基と反応する際に形成される。第2の反応スキームは次のように下の式3に示す:
【0024】
【化4】

【0025】
上の反応スキームにおいて、Mは鉄、マグネシウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、または銅を含む、栄養的に関連性のある、あらゆる二価金属とすることができる。金属の酸化物を使用する場合、上の式2の場合のように余分な水分子は形成されない。第3の反応スキームにおいて、式4を以下のように提供する:
【0026】
【化5】

【0027】
上の反応スキームにおいて、Mは鉄、マグネシウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、または銅を含む、栄養的に関連性のある、あらゆる二価金属とすることができる。元素状態で存在する金属を使用する場合、得られる生成物中に存在する余分な酸素原子は水に由来するため、2つの水素原子が残り、水中にイオンの形で残るかまたはHガスを形成する。式5は本発明の組成物を調製する上で使用することのできる第4の反応スキームを、次のように提供する:
【0028】
【化6】

【0029】
上の反応スキームにおいて、Mは鉄、マグネシウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、または銅を含む、栄養的に関連性のある、あらゆる二価金属とすることができる。金属の炭酸塩を使用する場合、2つの二酸化炭素分子が形成される。
【0030】
式2−5の各反応スキームは、反応においてただ1つの金属(M)を使用するように提供しているが、1つのリンゴ酸イオン上にあらゆる2つの金属の組み合わせで存在することもできる。言い換えると、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩または元素状態で存在する金属の2つの異なる組成物を含むように反応スキームを修飾することにより、本開示を考察すれば当業者には明らかであるように、このような組成物を形成させることができる。例えば1つの態様において、式2の反応スキームの2モル等量の水酸化カルシウムを使用するのではなく、1モル等量の水酸化カルシウムおよび1モル等量の水酸化亜鉛を使用して、このような結果を得ることができる。このような組成物を調製した場合、調製物中に、1)ジカルシウムヒドロキシマレート、2)ジ亜鉛ヒドロキシマレート、および3)カルシウムヒドロキシ亜鉛ヒドロキシマレートを含む、3つの可能性のある組成物が存在し得ることになる。リンゴ酸イオンの双方のカルボキシル基に1つのタイプの金属、またはリンゴ酸イオンの各カルボキシル基に2つの異なる金属を有する組成物の調製の実施例を、以下に提供する。
【0031】
本発明の各々の組成物および方法に関して、生成物が水溶液中に一度形成された後、生成物を乾燥して粒状組成物を形成することができる。所望の粒子サイズは当該技術分野で公知のように、スプレー乾燥、ドラム乾燥、トレイ(tray)乾燥、トンネル乾燥、凍結乾燥、圧縮空気による乾燥、オーブン乾燥を含む多数の乾燥法の1つを用いて形成することができる。
【0032】
上の式2−5において、示した反応は過剰の水の存在下におけるものであり、続いて乾燥ステップを行うことができる。しかし同じ反応スキームを過剰な水の非存在下で調製することができる。言い換えると、乾燥した生成物が所望される場合には、少量の水を増量しながら反応物に加えて顆粒状の生成物を形成させることができ、それによりスプレー乾燥ステップ(または他の均等な乾燥ステップ)の必要性を排除することができる。例えば反応ステップは、(a)粒状のリンゴ酸および粒状の二価金属を含有する組成物を乾燥した状態でブレンドして粒状のブレンドを形成させる;(b)この粒状のブレンドに、リンゴ酸および二価金属を含有する組成物間に部分的な反応を引き起こす量の水を添加する;(c)この粒状ブレンドを、該量の水の存在下でそのまま実質的に反応させる;そして(d)顆粒状生成物が形成される、すなわち実質的に完全に反応するまで、ステップ(b)およびステップ(c)を繰り返す、ことにより行うことができる。
【0033】
1つの態様において本過程は、まず反応物、すなわちリンゴ酸および二価金属を含有する組成物を乾燥した形で合わせて、それらを例えばリボンブレンダー等にて共に混合することにより行うことができる。混合装置は、受容可能な結果が得られるよう本過程の間継続的に作動させることができる。次に反応を達成するために必要な水の総量を分割して、例えば粒状の混合物中に水を噴霧することによりゆっくり添加することができる。水を反応物に一気に加えると、過剰反応および凝固の原因となる傾向があるので、水は好ましくは噴霧する。1つの態様において、水をさらに添加する毎にその間に反応時間をおくようにしながら、反応を完了するために必要な水の5%から20%を一回に加える、または噴霧することができる。反応物を冷却して維持するように、反応容器にウォータージャケット(water jacket)を使用することができる。
【0034】
水を少量ずつ段階的に加えると、生成物は完了へと進行していく。水を添加する各段階で反応物はスポンジ状になり、混合容器内で体積のレベルが上がる傾向を示す。一定の段階で反応が完了に近づくと、発熱が低下し、生成物レベルが下がり、密度が増加し、生成物はより顆粒の状態に戻る。次にさらに水を添加すると、(典型的には水の添加のステップ毎により小さな程度で)同様の現象が再び起こる。各段階で、反応が実質的に完了するまで生成物をそのまま反応させなければならない。水を添加した時に一度発熱と膨張が実質的に認められなくなれば、本過程は終了とする。この時点で水を続けて添加すると、生成物は望ましくない粉末の形に戻るように変化し始めることになる。したがって所望の顆粒が存在しており、反応が実質的に終了した時に、水の添加を停止するように注意しなければならい。本過程が完了したら、生成物を混合装置から取り出し、乾燥のため冷却したまたは暖かい室内に保存し、所望により所望の粒子サイズにすりつぶすことができる。
【実施例】
【0035】
実施例
以下の実施例は、ここに明らかにした本発明の態様を説明する。したがってこれらの実施例は本発明を限定するものとして考えられるべきではなく、現在の実験データに基づいて本発明の良いとわかっている組成物をいかに製造するかを教示するために単に示すに過ぎない。このようなものとして代表的ないくらかの組成物およびそれらの製造方法を、当明細書に開示する。
【0036】
実施例1
リンゴ酸の水溶液を、14.79gのリンゴ酸を25mLの水と、溶液が透明になるまで混合することにより調製した。水酸化カルシウムの水溶液もまた別の容器で、16.34gの水酸化カルシウムを25mLの水中で完全に混合することにより調製した。その後水酸化カルシウム溶液をリンゴ酸溶液に加えた。得られる生成物は、わずかに黄色がかったジカルシウムヒドロキシマレートを含有する溶液であった。
【0037】
実施例2
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を25mLの水と、溶液が透明になるまで混合することにより調製した。次に112.18gの粒状の酸化カルシウムを、撹拌しながらこの混合水溶液にゆっくり加えた。混合水溶液を45分間撹拌した後、スプレー乾燥した。得られる生成物はジカルシウムヒドロキシマレートの粉末であった。
【0038】
実施例3
ジカルシウムヒドロキシマレートの大量のバッチを、19.16kgのリンゴ酸を68.19Lの水中で混合することにより生成した。別のタンクで、16.33kgの酸化カルシウムを68.19Lの水中で混合した。この2つの溶液をゆっくり合わせて混合し、撹拌した。生成物を含有する乳状溶液を得、これをスプレー乾燥して、ジカルシウムヒドロキシマレートの粉末状生成物を得た。
【0039】
実施例4
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。炭酸カルシウムの水溶液もまた別の容器で、200.18gの炭酸カルシウムを50mLの水中で完全に混合することにより調製した。その後炭酸カルシウム溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジカルシウムヒドロキシマレートを生成した。
【0040】
実施例5
リンゴ酸の水溶液を、5.859kgのリンゴ酸を18.18Lの水と、溶液が透明になるまで混合することにより調製した。酸化マグネシウムの水溶液もまた別の容器で、3.515kgの酸化マグネシウムを18.18Lの水中で完全に混合することにより調製した。その後酸化マグネシウム溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。得られる溶液を冷却した後スプレー乾燥し、粉末状のジマグネシウムヒドロキシマレートを生成した。
【0041】
実施例6
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。水酸化銅(II)の水溶液もまた別の容器で、195.12gの水酸化銅(II)を50mLの水中で完全に混合することにより調製した。その後水酸化銅(II)溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状の二銅(II)ヒドロキシマレートを生成した。
【0042】
実施例7
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化亜鉛の水溶液もまた別の容器で、162.78gの酸化亜鉛を50mLの水中で完全に混合することにより調製した。その後酸化亜鉛溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状の二亜鉛ヒドロキシマレートを生成した。
【0043】
実施例8
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。次に111.69gの第一鉄の粉末(ferronyl powder)をリンゴ酸溶液に加えた。この溶液を約2時間撹拌した。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシ第一鉄マレートを生成した。
【0044】
実施例9
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。次に109.88gのMn金属をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。この溶液を約2時間撹拌した。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジマンガンヒドロキシマレートを生成した。
【0045】
実施例10
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化亜鉛の水溶液もまた別の容器で、81.39gの酸化亜鉛を50mLの水中で完全に混合することにより調製した。次に54.94gの第一鉄の粉末をリンゴ酸溶液に加えた。その後酸化亜鉛溶液を鉄/リンゴ酸溶液にゆっくり加えた。この溶液を約2時間そのまま混合させた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシ亜鉛第一鉄マレート(または亜鉛ヒドロキシ第一鉄ヒドロキシマレート)を生成した。
【0046】
実施例11
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化カルシウムの水溶液もまた別の容器で、56.08gの酸化カルシウムを50mLの水中で完全に混合することにより調製した。次に54.94gの第一鉄の粉末をリンゴ酸溶液に加えた。その後酸化カルシウム溶液を鉄/リンゴ酸溶液にゆっくり加えた。この溶液を約2時間そのまま混合させた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム第一鉄マレート(またはカルシウムヒドロキシ第一鉄ヒドロキシマレート)を生成した。
【0047】
実施例12
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。水酸化カルシウムの水溶液もまた別の容器で、74.09gの水酸化カルシウムを50mLの水中で完全に混合することにより調製した。次に54.94gの第一鉄の粉末をリンゴ酸溶液に加えた。その後水酸化カルシウム溶液を鉄/リンゴ酸溶液にゆっくり加えた。この溶液を約2時間そのまま混合させた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム第一鉄マレート(またはカルシウムヒドロキシ第一鉄ヒドロキシマレート)を生成した。
【0048】
実施例13
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。炭酸カルシウムの水溶液もまた別の容器で、100.09gの炭酸カルシウムを50mLの水中で完全に混合することにより調製した。次に54.94gの第一鉄の粉末をリンゴ酸溶液に加えた。その後炭酸カルシウム溶液を鉄/リンゴ酸溶液にゆっくり加えた。この溶液を約2時間そのまま混合させた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム第一鉄マレート(またはカルシウムヒドロキシ第一鉄ヒドロキシマレート)を生成した。
【0049】
実施例14
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化亜鉛の水溶液もまた別の容器で、81.38gの酸化亜鉛を25mLの水中で完全に混合することにより調製した。酸化カルシウムの水溶液もまた別の容器で、56.08gの酸化カルシウムを25mLの水中で完全に混合することにより調製した。
次に酸化亜鉛溶液および酸化カルシウム溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム亜鉛マレート(またはカルシウムヒドロキシ亜鉛ヒドロキシマレート)を生成した。
【0050】
実施例15
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化亜鉛の水溶液もまた別の容器で、81.38gの酸化亜鉛を25mLの水中で完全に混合することにより調製した。水酸化カルシウムの水溶液もまた別の容器で、74.09gの水酸化カルシウムを25mLの水中で完全に混合することにより調製した。
次に酸化亜鉛溶液および水酸化カルシウム溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム亜鉛マレート(またはカルシウムヒドロキシ亜鉛ヒドロキシマレート)を生成した。
【0051】
実施例16
リンゴ酸の水溶液を、134.09gのリンゴ酸を50mLの水と混合することにより調製した。酸化亜鉛の水溶液もまた別の容器で、81.38gの酸化亜鉛を25mLの水中で完全に混合することにより調製した。炭酸カルシウムの水溶液もまた別の容器で、100.09gの水酸化カルシウムを25mLの水中で完全に混合することにより調製した。
次に酸化亜鉛溶液および炭酸カルシウム溶液をリンゴ酸溶液にゆっくり加えた。その後得られる溶液をスプレー乾燥し、粉末状のジヒドロキシカルシウム亜鉛マレート(またはカルシウムヒドロキシ亜鉛ヒドロキシマレート)を生成した。
【0052】
実施例17
ジカルシウムヒドロキシマレートの顆粒状生成物を、2モル等量の粒状水酸化カルシウムを1モル等量の粒状リンゴ酸と共に(組成物全体で合計45kg)リボンブレンダーにて15分間、通常の速さで混合することにより調製した。少量の水をバッチに加えた時に生成物が過剰反応しないことを確実にするため、ウォータージャケットを使用した。次に、約1Lの水を粒状の混合生成物中にゆっくり噴霧した。約10分間の反応時間(この間、生成物はスポンジ状になって盛り上がった後、より顆粒状に戻って沈む)後、さらに1Lの水を加えた。水を添加してもさらなる反応が起こっていないことが認められるまで、これを数回繰り返し行った。最終的に顆粒状生成物を得た。完全に反応した顆粒状生成物が一度形成された後は、それ以上水を添加しなかった。その後得られる組成物を冷室中で乾燥させ、予め決定した粒子サイズにすりつぶした。
【0053】
実施例18
水酸化カルシウムの代わりに水酸化マグネシウムを使用したことを除いて、実施例19と同じ過程で行った。この過程により顆粒状のジマグネシウムヒドロキシマレートを得た。
【0054】
ある種の好ましい態様に関して本発明を記載したが、当業者は、本発明の精神から離れることなく様々な修飾、変更、割愛、および置き換えを行うことができることを理解するだろう。したがって添付の請求項の範囲によってのみ本発明は限定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有し、式中MおよびM’が各々独立して栄養的に関連性のある二価金属である組成物。
【請求項2】
Mがカルシウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Mがマグネシウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Mが亜鉛である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Mが銅である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Mが鉄である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Mがマンガンである請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
MおよびM’が、銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、栄養的に関連性のある同一の二価金属である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
MおよびM’が、銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から各々選択される、栄養的に関連性のある異なる二価金属である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
乾燥した粒子の形の請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
以下の構造:
【化2】

を有し、式中MおよびM’が各々独立して栄養的に関連性のある二価金属である組成物を、恒温動物に投与することを包含する、高含有量の二価必須金属を生物的に利用可能な形で恒温動物に投与する方法。
【請求項12】
MおよびM’が、銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、栄養的に関連性のある同一の二価金属である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
MおよびM’が、銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から各々選択される、栄養的に関連性のある異なる二価金属である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
投与ステップが、ミネラルの塩またはミネラルのアミノ酸キレートを、当該組成物と共に併用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
当該組成物を、経口送達用のサプリメントの錠剤またはカプセル中に製剤化する予備的ステップをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
当該組成物を、経口送達用の食品または飲料中に製剤化する予備的ステップをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
リンゴ酸を、1つまたはそれより多くの二価金属を含有する組成物と、1:2のリンゴ酸−対−二価金属を含有する組成物のモル比で反応させることを包含する生物的に利用可能な二価金属を含有する錯体を製造する方法であって、前記二価金属が1つまたはそれより多くの栄養的に関連性のある二価金属である前記方法。
【請求項18】
生物的に利用可能な二価金属を含有する錯体が以下の構造:
【化3】

を有し、式中MおよびM’が各々独立して1つまたはそれより多くの栄養的に関連性のある二価金属である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
反応のステップが以下の反応スキーム:
【化4】

による、ここで、式中Mは銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
反応のステップが以下の反応スキーム:
【化5】

による、ここで、式中Mは銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
反応のステップが以下の反応スキーム:
【化6】

による、ここで、式中Mは銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
反応のステップが以下の反応スキーム:
【化7】

による、ここで、式中Mは銅、亜鉛、マンガン、鉄、マグネシウム、およびカルシウムからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
反応ステップを過剰な水中で行い、続いて乾燥ステップを行い、粒状組成物を形成させる、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
反応ステップを以下のように、すなわち
(a)リンゴ酸および二価金属を含有する組成物を乾燥した状態でブレンドして粒状のブレンドを形成させる;
(b)この粒状のブレンドに、リンゴ酸および二価金属を含有する組成物間に部分的な反応を引き起こす量の水を添加する;
(c)この粒状ブレンドを、該量の水の存在下でそのまま実質的に反応させる;そして
(d)顆粒状生成物が形成される、すなわち実質的に完全に反応するまで、ステップ(b)およびステップ(c)を繰り返す
ことにより行う、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
顆粒状生成物を放置して乾燥させるステップをさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
顆粒状生成物をすりつぶして、予め決定した粒度の粒子を形成するステップをさらに包含する、請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2006−509012(P2006−509012A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557488(P2004−557488)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/038280
【国際公開番号】WO2004/050031
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(501078188)アルビオン・インターナショナル・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】