説明

ジャケット型中電圧電気設備を冷却する方法および装置

本発明による装置は、必要な保守がわずかであり、わずかなエネルギーしか消費せず、またはさらにはまったくエネルギーを消費しない。回路遮断器等の電気装置(10)が配置されるジャケット(15)を冷却するために、相変化伝熱流体に基づく冷却手段を使用する。したがって、ジャケット(15)の頂部(16)に配置された凝縮器(21)に接続される蒸発器(11)が作製される。高電流中電圧電気設備に対する応用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に保護シース内に配置され、かつ相変化伝熱流体で動作する「ヒートパイプ」と呼ばれる冷却装置を使用する、中電圧発電機用の回路遮断器または断路器の分野に関する。
【0002】
ヒートパイプは、他のいかなるガスも存在しない場合に、気相および液相が平衡状態にある流体を収容する長い気密密閉された筐体の形態で提供されることが、想起されるべきである。本例では、これらの流体は、水、アルコールおよびアセトンを含むことができる。
【背景技術】
【0003】
そのタイプの機器の製造業者の不変の問題は、特に、電気を生成する発電所または電気を分配する配電所の出口の母線内に配置された回路遮断器および断路器に対して、こうした装置がさらに高い電流を伝導する性能を増大させることである。それは、特に、オルタネータ回路遮断器に当てはまる。
【0004】
一般に使用される方法は、関連する回路遮断器のさまざまな加熱部品および被加熱部品に接触している空気の温度をより一様にすることにある。こうした保護シース内の冷却は、そこに封入される空気の自然対流または強制対流によって発生する可能性があり、そこに、回路遮断器が入れられ、保護シース内の優勢な温度は、外部の優勢な温度より大幅に、30℃から少なくとも40℃高い。しかしながら、ファン等のこうした補助機器の使用は、さまざまな欠点を示し、それは、主回路から引き出される電力消費量が高いこと、補助ファンが故障するリスクあること、およびその結果としてそれらを二重にするかまたは低下した動作モード、雑音および著しいかさ高性を提供する必要があることである。
【0005】
別の解決法は、さまざまな伝達要素において電流部分の増大を可能にすることと、したがって回路遮断器部品のサイズを増大させることとにある。
【0006】
さらに、特許文献1は、高電圧断路器または回路遮断器を冷却する既知の冷却装置および方法を記載している。図1は、その文書に記載されている実施形態を断面で示す。図1は、高圧導体または回路遮断器のケーシングを主に示す。高圧導体または回路遮断器のケーシングは、それ用の冷却アセンブリ1の一部を形成する蒸発器3によって包囲されている。こうしたアセンブリには絶縁スリーブ7が付随し、それは、蒸発器3によって収集される熱を排気するために、相変化伝熱流体5で動作する装置を包囲している。可撓性スリーブ9がアセンブリを完成する。さまざまな部品が、保護シース8内に合わせて配置されている。冷却アセンブリは、たとえばフィンを備えた凝縮装置4に至るこの保護シース8の頂部に向かって開放している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1657731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、このタイプの設備を冷却する異なる解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の方法および装置の概念は、単に、関連しかつシース内に取り付けられた開閉装置を冷却するのだけではなく、シース自体も冷却することにある。
【0010】
本発明の第1の主な主題は、電気を処理し輸送する中電圧、高電流設備を冷却する方法であり、設備は、シース内に配置された電流輸送および電流遮断装置を含む。
【0011】
本発明によれば、本方法は、相変化伝熱流体を有する冷却要素を備えたシース(複数可)の壁を冷却するステップを含む。
【0012】
本方法の第1の実施態様では、シースに対して、相変化伝熱流体を有する要素の部分を組み込むために、二重壁タイプの壁が利用される。
【0013】
本発明の第2の実施態様では、シース(複数可)の壁の上に配置されるフィンが設けられたヒートパイプが利用される。
【0014】
一変形では、伝熱液を使用する冷却手段は、垂直でありかつシースに対して押し付けられる垂直板に組み込まれる、ヒートパイプである。
【0015】
本発明の第2の主題は、電気を処理し輸送する中電圧、高電流設備用の冷却装置であって、設備は、シース内に配置された電流輸送および電流遮断装置を含む。
【0016】
本発明では、相変化伝熱流体を使用することによって冷却するシース冷却手段が利用される。
【0017】
本装置の第1の実施形態では、シースの壁が二重壁であり、装置が、相変化伝熱流体を有する要素からなり、要素は各々、伝熱液を蒸発させるためにシース(複数可)の二重壁内に配置される部分を有し、要素の他の部分は凝縮器に接続されている。
【0018】
そして、凝縮器(複数可)は、好ましくはシースの屋根の上に配置される。
【0019】
したがって、任意に、凝縮器の強制換気を提供する手段を利用することが有利である。
【0020】
本発明の第2の好ましい実施形態では、シース冷却手段がヒートパイプであり、それらは各々、シース壁に埋め込まれる部分を有するかまたはシース壁と熱接触し、ヒートパイプにもまた凝縮器手段が設けられる。
【0021】
そして、フィンの形態のヒートパイプ凝縮器手段を前記ヒートパイプの周囲に垂直に配置することが好ましい。
【0022】
ヒートパイプを、シースに対して押し付けられる垂直板に埋め込むことも可能である。
【0023】
複数のシースが平行に隣り合って取り付けられている場合、シース間の強制換気用の手段を利用することが有利である。
【0024】
本発明およびそのさまざまな特徴を、さまざまな図が添付された以下の説明を読むことにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来技術による冷却装置を示す断面図(上述)である。
【図2A】本発明の冷却装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2B】本発明の冷却装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2C】本発明の冷却装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図3A】本発明の冷却装置の第2の実施形態を示す図である。
【図3B】本発明の冷却装置の第2の実施形態を示す図である。
【図3C】本発明の冷却装置の第2の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の冷却装置の第3の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2A、図2Bおよび図2Cは、発電機回路遮断器(GCB)を取り付ける3つの段階を断面で示す。図2A、図2Bおよび図2Cの各々において、中電圧開閉装置10、たとえば回路遮断器、断路器または導体が、絶縁支持体18に水平に取り付けられているように示されており、種々の部品はすべてシース15内に配置されている。開閉装置10の周囲に配置されている波状矢印は、前記開閉装置が、シース15内の大量の熱を拡散させることを示す。
【0027】
シース15は側壁12を有するようになっており、側壁12は、相変化伝熱流体を使用する冷却システムの一部を形成する蒸発器11を受け入れることができるように、二重壁である。したがって、シース15の側壁12は、開閉装置10によって発生する熱によって加熱され、相変化冷却装置の蒸発器11に収容されている流体の少なくとも部分的な蒸発をもたらすことができることが理解されるべきである。意図された用途では、シース15の側壁12の温度は約80℃であることが指摘される。
【0028】
シース15の側壁12内に配置されている蒸発器11は、パイプ14によって、シース15の屋根16の上に配置されている凝縮器21に接続されている。したがって、これら凝縮器21を、電気設備が位置している構内における周囲空気が通り抜けることができる。したがって、このように主にシース15の加熱のためにこの電気設備によって生成される熱は、雰囲気中に排気される。
【0029】
図2Bは、シース15の屋根16にも、内部に蒸発器17があり得る二重壁18を設けることができ、蒸発器17もまた、シース15の屋根16の上の凝縮器21に接続されていることを示す。したがって、最大量の熱を排気することができる。
【0030】
図2Cは、この設備を、各々がシース15の屋根16の上に配置される2つの凝縮器21の間に配置されたファン手段26によって完成することができることを示す。
【0031】
図3A、図3Bおよび図3Cに、一組の母線または発電所の外部設備に発電機回路遮断器(GCB)を取り付ける3つの段階をそれぞれ示す、第2のあり得る実施形態を示す。依然として、絶縁支持体18の上に配置された回路遮断器、断路器または導体であってもよい、開閉装置10があり得る。内部に開閉装置10があるシース25の壁22は、ここでは二重壁構造ではなく、ヒートパイプ27が設けられており、ヒートパイプ27の各々は、これらの壁22に埋め込まれた部分を有している。各ヒートパイプ27に、ヒートパイプ27に対して垂直に配置されている一定数のフィン28を設けてもよい。したがって、シース25の各側壁22に蓄積した熱がヒートパイプ内に分散される。したがって、シース25の側壁22に沿って換気が構成される。この対流は図3Aでは自然対流であるが、図3Cでは、検討中のシース25の側壁22に隣接してかつその下に配置されている垂直ファン手段38による、強制対流である。2つの隣接するシース25間の自然対流が、開閉装置10によって発生する熱の排気に対して好ましい要素であることが理解されるべきである。
【0032】
図3Bは、図2と同様に、シース25の天井36にヒートパイプ27を設けることも可能であり、ヒートパイプ27自体に同様にフィン28が設けられていることを示す。
【0033】
図4は、図2Aおよび図2Bに示す実施形態の変形を示す。シース45の壁に押し付けられている垂直板42に、垂直ヒートパイプ48が埋め込まれている。この実施形態では、垂直板42およびヒートパイプ48はシース45の外側であるが、内側に配置することができる。
【0034】
発明の利点
本発明の冷却方法により、システムが、いずれにおいても電気設備の通電部分と接触しないことが確実になる。
【0035】
そのエネルギー消費量は、ファン手段26および38の任意の使用にしか限定されない。
【0036】
最後に、本発明の装置によって必要とされる保守は、必要な場合、かつ開閉装置が通電されている場合であっても、フィン28を清掃することにのみ限定される。
【符号の説明】
【0037】
10 開閉装置
11 蒸発器
12 側壁
15 シース(冷却手段)
16 屋根
17 蒸発器
18 絶縁支持体、壁
21 凝縮器
22 壁
25 シース(冷却手段)
26 ファン手段
27 ヒートパイプ
28 フィン
36 天井
38 ファン手段
42 垂直板
45 シース(冷却手段)
48 ヒートパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気を処理し輸送する中電圧、高電流設備を冷却し、前記設備が、シース冷却手段(15、25)内に配置された電流輸送および電流遮断装置(10)を含む、冷却方法であって、前記シース冷却手段(複数可)(15、25)の壁(12、22、18、26)と接触して直接的に配置された相変化伝熱流体を有する冷却要素により、前記シース冷却手段(複数可)(15、25)の壁(12、22、18、36)を冷却するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記シース冷却手段(15)の前記壁(12、18)を使用するステップを含み、前記壁が、相変化伝熱流体を有する各要素の部分を組み込むために二重壁タイプであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シース冷却手段(45)に押し付けられている垂直板(42)内に垂直に埋め込まれているヒートパイプ(48)を使用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シース冷却手段(25)の前記壁の上に配置されているヒートパイプ(27)を使用するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
電気を処理し輸送する中電圧、高電流設備用の冷却装置であって、前記設備が、シース冷却手段内に配置された電流輸送および電流遮断装置(10)を含み、相変化伝熱流体で動作しているシース冷却手段(15、22、25)を含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
前記シース冷却手段(25)の側壁(12)が二重壁であることと、相変化伝熱流体で動作する蒸発器(11)が使用され、各蒸発器が、伝熱液を蒸発させるために前記二重壁内に配置されている部分を有し、前記蒸発器の他の部分が凝縮器(21)に接続されていることとを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記凝縮器(21)が、前記シース冷却手段(15)の屋根(16)の上に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
強制換気を提供するファン手段(26)を有し、前記ファン手段(26)が、前記凝縮器(21)に対して横方向に前記シース冷却手段(複数可)(15)の前記屋根(16)の上に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記シース冷却手段がヒートパイプ(27)であり、前記ヒートパイプ(27)の各々が、前記シース冷却手段(25)の壁に埋め込まれた部分を有することと、前記ヒートパイプに凝縮器手段が設けられることとを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記凝縮器手段が、前記ヒートパイプ(27)の周囲に垂直に取り付けられたフィン(28)であることを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記冷却手段が、前記シース冷却手段(45)の側壁に押し付けられている垂直板(42)に埋め込まれている垂直ヒートパイプ(48)であることを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記シース冷却手段(25)の間の上方換気に有利であるように強制換気を提供するファン手段(38)を有することを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−509148(P2013−509148A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534716(P2012−534716)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066010
【国際公開番号】WO2011/051195
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】