ジャー炊飯器
【課題】使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることのできるジャー炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器本体の内部に収納される鍋と、鍋の上部開口部を覆う蓋と、鍋底加熱手段と、鍋温度検知センサと、鍋底加熱手段を制御する加熱制御部と、米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、炊飯開始前に炊飯情報入力部により入力された炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、低温保温温度と高温保温温度とを交互に繰り返した後、通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、保温モード自動選択部で選択された保温モードと、鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部とを備える。
【解決手段】炊飯器本体の内部に収納される鍋と、鍋の上部開口部を覆う蓋と、鍋底加熱手段と、鍋温度検知センサと、鍋底加熱手段を制御する加熱制御部と、米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、炊飯開始前に炊飯情報入力部により入力された炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、低温保温温度と高温保温温度とを交互に繰り返した後、通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、保温モード自動選択部で選択された保温モードと、鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温機能を有するジャー炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器においては、炊飯された米飯は一定温度で保温されるようになっていた。例えば、その保温温度は、低いと米飯が腐敗してしまうため、米飯の腐敗を防ぎ、米飯の温熱感を保って食味の劣化を少なくすると言われている約70℃〜74℃の範囲で設定されていた。
【0003】
しかしながら、上記構成の炊飯器においては、保温温度が比較的高温のため、実際は、長時間保温すると、米飯が黄(褐)変したり、独特の臭気を発したり、粘りや弾力性等の食味物性が低下するといった問題点がある。
【0004】
そこで、通常保温温度(例えば70℃〜74℃の範囲内の温度)と、通常保温温度より保温温度が高い高温保温温度(例えば75℃〜95℃の範囲内の温度)と、通常保温温度よりも保温温度が低い低温保温温度(例えば55℃〜69℃の範囲内の温度)との3水準の保温温度を有し、それらの保温温度を一定時間毎に切り替えるサイクル加熱を行うことで、上記課題を解決する技術が特許文献1に開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、低温保温温度と高温保温温度とを交互に一定時間繰り返した後、通常保温温度に移行する保温モードと、通常保温温度のみからなる保温モードとを、使用者に選択可能にすることで、米飯の腐敗及び保温による食味劣化を効果的に低減させる技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2814915号公報
【特許文献2】特許第2891118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米は、白米や玄米等の米種や、収穫からの経過期間による新米度、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる組織の硬さなどにより、保温時の性能(黄変、白化等)に、ばらつきがある。このため、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に防ぐためには、炊飯する米の保温時の性能を正確に把握し、その性能に応じた保温モードを選択して入力する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、使用者が自ら、保温モードを選択しなければならないものであるために、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要が有り、使用者に過度な負担がかかる。したがって、炊飯する米の、個々の保温時の性能に応じて保温モードを使い分け、米飯の腐敗及び保温による食味劣化を効果的に低減させることは、現実的には困難である。
【0009】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることのできるジャー炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の第1態様によれば、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、炊飯開始前に上記炊飯情報入力部により入力された上記炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、を備えることを特徴とするジャー炊飯器を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、上記炊飯情報には、米の米種情報、米の新米度情報、米の組織の硬さ情報、及び予備浸水情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が含まれることを特徴とする第1態様に記載のジャー炊飯器を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、上記鍋底加熱手段による鍋加熱動作開始時に上記鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、を備えることを特徴とするジャー炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のジャー炊飯器によれば、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部を備えているので、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、それに適した保温コースが保温モード自動選択部により自動的に選択され、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要がない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【0014】
また、炊飯工程で糊化を進行させる前に予め米に吸水させておく浸水工程は、浸水工程開始前の水の水温が例えば20℃と考えて、浸水工程終了後、最適な吸水状態となるように設定されているので、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度が高い状態で炊飯した米は、浸水工程中に僅かに糊化し崩れて、炊き上がりの含水率が高く、保温時にべたつきやすい一方、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度が低い状態で炊飯した米は、浸水工程が終了しても十分な吸水状態が得られていない状態なので、炊き上がりの含水率が低く、乾燥しやすい。
【0015】
特に、本発明の第3態様によれば、加熱ユニットによる鍋加熱動作開始時に鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部を備えているので、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度と相関関係にある鍋温度に適した保温コースが保温モード自動選択部により自動的に選択され、使用者自身が鍋内に入れた水の温度を測って、それに適した保温コースを選択して入力する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
また、本発明において「炊飯情報」とは、米の炊飯開始時までに炊飯器に入力された、炊飯に関する情報をいう。例えば、白米、玄米、無洗米等の米種(炊飯コース)の情報、新米、古米等の収穫からの経過期間を表す新米度情報、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる米の組織の硬さ情報、予備浸水の有無を示す予備浸水情報などが挙げられる。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器について、図1〜図4を用いて以下に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図であり、図2は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図3は、その操作パネルの上面図、図4は、その保温モードの一例における保温温度の変化を示すグラフである。本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器は電気式IH加熱ジャー炊飯器である。図1において、第1の実施形態のジャー炊飯器は、本体1の内部に着脱可能に収納され、米飯を収容可能な鍋2と、本体1内に収納された鍋2の外周面に対向するように配置され、鍋2を加熱可能な加熱ユニット3と、鍋2の上部開口部を覆うように本体1に開閉自在に取り付けられた蓋4と、鍋2の底面中央部に外接し、鍋2の温度を検知する鍋温度検知センサの一例である鍋底温度センサ5と、蓋4の内部に配置され、鍋底温度センサ5の検知温度に基づいて、加熱ユニット3の鍋加熱動作を制御する加熱制御部71を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の被加熱物を炊飯及び保温する制御部6とを備えている。
【0018】
本体1は、上部が開口している略円筒形状、つまり略有底円筒形状を有し、炊飯器本体を形成している。本体1の上部開口の周囲にはリング状の上枠11が嵌められて取り付けられている。上枠11は、有底円筒形状に形成されたコイルベース12の上端部を固定しており、そのコイルベース12とで鍋収納部を形成している。コイルベース12の外周面には、鍋2の外周面と対向するように配置されて鍋2を誘導加熱するリング状の、底内コイル31、底外コイル32、及び側面コイル33が設置されている。底内コイル31は鍋2の底部2aと対向するように配置され、底外コイル32は鍋2の側底部2bと対向するように配置され、側面コイル33は鍋2の側部2cと対向するように配置されている。加熱ユニット3は、底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33と、後述する蓋コイル34とにより構成されている。
【0019】
コイルベース12と本体1の内面とで形成される空間には、制御部6からの制御により、底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33、及び後述する蓋コイル34に高周波電流を通電し、鍋2を誘導加熱するための加熱制御部71が設置されている。この加熱制御部71の下方には、加熱制御部71上に設置される発熱部品72を冷却するためのヒートシンク73が設置されている。ヒートシンク73の下方には、ヒートシンク73を冷却するための冷却用ファンモータ74が設けられている。冷却用ファンモータ74の、コイルベース12との対向面は、コイルベース12の形状に沿うように傾斜している。
【0020】
蓋4は、合成樹脂から形成された外蓋部41と、外蓋部41の内側に嵌められて取り付けられている内蓋部42と、内蓋部42の下面に着脱可能に取り付けられることで、蓋4の下面を構成する発熱板43とを有している。内蓋部42の上面には、発熱板43を誘導加熱するためのリング状の蓋コイル34が設置されている。蓋4は、内蓋部42の一部に設けられたヒンジ軸4aを本体1の上枠11の一部に一体形成されたヒンジ部材13に回動自在に支持されることで、本体1の上部開口部を開閉可能なように取り付けられている。
【0021】
発熱板43の外周下部には、リング状の鍋パッキン44が取り付けられている。鍋パッキン44は、炊飯中に鍋2内に発生する蒸気などを、本体1の内部空間へ流出させないように鍋2と蓋4との隙間を塞ぐように配置されている。発熱板43の上面の一部には、発熱板43の温度を検知するための蓋温度センサ45が圧接されている。また、発熱板43の中央部には鍋2内の蒸気を炊飯器外部に排出するための蒸気通路孔46が設けられている。
【0022】
蓋4の中央部には、貫通穴47が蓋4の厚さ方向に貫通するように設けられている。貫通穴47には、略円筒形状の蒸気筒48が炊飯器外部から嵌め込まれている。蒸気筒48には、鍋2内から蒸気通路孔46を通って排出される蒸気を、本体1の外部へ排出できるように、蒸気排出孔48aが設けられている。
【0023】
鍋底温度センサ5は、コイルベース12上に設けられ鍋2を支持するためのセンサバネ51によって付勢されることにより、鍋2の底部2a中央部に外接可能に配置されている。この鍋底温度センサ5は、炊飯及び保温時の鍋温度を検知することで、制御部6が鍋2内の被加熱物(米飯)を最適な温度状態に制御できるように設置されている。
【0024】
蓋4の内部で蓋温度センサ45の上方には、制御部6、操作基板61、情報入力部62、及び表示部の一例である表示板63が設置されている。外蓋部41には、炊飯器外部から表示板63を視認可能にする表示窓41aと、炊飯器外部から押圧することで情報入力部62の各入力ボタンを押圧することができる操作パネル41bとが設けられている。
【0025】
情報入力部62は、図3に示すように、炊飯情報入力部の一例である炊飯情報入力ボタンを備えている。炊飯情報入力ボタンは、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cから構成されている。炊飯コース入力ボタン62aは、米の米種情報の一例である、「白米コース」や「玄米コース」などの炊飯コースを入力できるボタンである。なお、入力した炊飯コースは、表示板63で確認できるようになっている。硬さ入力ボタン62bは、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる組織の硬さを、組織の硬さによって「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の3つに分類することで、入力できるようにしたボタンである。なお、ここで、「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の分類は、20℃及び糊化温度帯の70℃で10分浸水させたときの吸水率の違いにより行っている。組織の「柔らかい米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%以上の米をいい、例えばコシヒカリが挙げられる。組織の硬さが「普通米」であるとは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%未満の米をいい、例えば日本晴が挙げられる。組織の「硬い米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%未満の米をいい、例えばきらら397が挙げられる。米は常温での吸水率が高いほど粒の中まで水が浸透し、柔らかいごはんに炊き上がるが、糊化温度帯での吸水率が高いほど、糊化開始温度が低いため、べちゃつきやすいという特徴を持っている。
【0026】
新米度入力ボタン62cは、米の収穫からの経過期間に応じて、米の新米度を入力できるボタンである。本発明の第1の実施形態においては、収穫からの経過期間が3ヶ月未満の米を「新米」、3ヶ月以上の米を「古米」として、そのいずれかを入力できるように構成している。
【0027】
制御部6は、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cで入力された炊飯情報に応じて、総消費電力量の異なる複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部6aと、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cで入力された炊飯情報と鍋底温度センサ5及び蓋温度センサ45の検知温度とに基づいて、加熱制御部71を制御して、炊飯動作を行う炊飯制御部6bと、炊飯制御部6bの炊飯動作の終了を検知して、保温モード自動選択部6aで自動選択された保温モードと鍋底温度センサ5及び蓋温度センサ45の検知温度とに基づいて、加熱制御部71を制御して、炊飯された米飯の保温温度を制御する保温温度制御部6cを備えている。なお、制御部6は、別途設けられた計時部64により、炊飯及び保温における各工程の所要時間を制御している。
【0028】
本発明の第1の実施形態において、保温モード自動選択部6aは、保温開始から保温終了まで通常保温温度(第1保温温度、例えば70℃〜74℃の範囲内の温度)で米飯を保温する第1保温モードの一例である高温保温モード、又は通常保温温度より低い低温保温温度(第2保温温度、例えば55℃〜69℃の範囲内の温度)と、通常保温温度より高い高温保温温度(第3保温温度、例えば74℃〜95℃の範囲内の温度)とを交互に繰り返した後、通常保温温度に移行する第2保温モードの一例である標準保温モードを選択できるように構成されている。なお、標準保温モードで保温した場合の総消費電力量は、高温保温モードで保温する場合よりも少なくなるように設定されている。図4は、標準保温モードにおける鍋温度及び米飯の温度の変位の一例を示している。
【0029】
玄米や発芽玄米、雑穀米などの米は、長時間保温することは好ましくないと広く知られており、一般的に炊き上がり後は早期に食されるため、高温保温モードでの保温が適している。一方、白米は、長時間保温されることが多く、また、通常保温温度で長時間保温すると前述したように黄変や独特の臭気を発生するなどして食味が劣化するため、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が炊飯コース入力ボタン62aにより、「白米コース」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択し、「白米コース」以外の炊飯コースを入力した場合、自動的に高温保温モードを選択するように構成されている。
【0030】
また、「魚沼産コシヒカリ」等の組織の「柔らかい米」は、保温温度が低いと表面のべとつきが進展し、保温時の食感が悪くなるため、高温保温モードでの保温が適している。一方、「標準的なコシヒカリ」や「日本晴」等の「普通米」や、「きらら397」等の組織の「硬い米」は、組織の「柔らかい米」よりも吸水率が低く、保温中に乾燥して硬くなるため、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が硬さ入力ボタン62bにより、「柔らかい米」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、「柔らかい米」以外、つまり「普通米」又は「硬い米」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0031】
また、米は収穫からの経過期間が長くなればなるほど、米の周りに脂肪酸が多く発生することが知られている。脂肪酸は保温中に酸化されて異臭を発生する原因となるので、古米の場合は、この酸化反応を抑えてできるだけ異臭の発生を抑える必要がある。したがって、収穫からの経過期間が短い「新米」は高温保温モードが適しており、収穫からの経過期間が長い「古米」は標準保温モードが適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が新米度入力ボタン62cにより、「新米」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、「新米」以外、つまり「古米」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0032】
なお、使用者が複数の炊飯情報に基づいて、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cの中から複数の入力ボタンを押圧した場合、保温モード自動選択部6aは、押圧された炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cにより入力される保温モードのうち、1つでも高温保温モードが入力された場合には高温保温モードを選択し、全て標準保温モードが入力された場合のみ、標準保温モードを選択するように構成されている。例えば、炊飯する米の情報が、「白米」、「コシヒカリ」、及び「収穫からの経過期間が3ヶ月以上」であり、使用者が、炊飯コース入力ボタン62aにより「白米コース」、硬さ入力ボタン62bにより「普通米」、新米度入力ボタン62cにより「古米」を入力した場合、全ての保温モードが標準保温モードであるので、保温モード自動選択部6aは、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0033】
情報入力部62は更に、炊飯ボタン62dと切ボタン62eとを備えている。炊飯ボタン62dは、押圧されると保温温度制御部6に炊飯等の動作の開始を指示し、切ボタン62eは、押圧されると各操作の取消等を指示する。
【0034】
表示板63は、情報入力部62により入力された炊飯情報や日時などを表示するものである。なお、表示板63には、自動選択された保温モードや、その保温モードによる総消費電力量なども併せて表示可能にすることが好ましい。また、表示板63は、保温開始から現在までの累積消費電力量を演算する累積消費電力量演算部を備えて、その累積消費電力量を表示可能にしてもよい。このように構成することで、使用者に、正しく保温モードが選択されているか確認させることができるとともに、省エネを促すことができる。また、使用電力料金を表示させることでも省エネを促すことができる。
【0035】
上記のように構成される本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器によれば、炊飯開始前に使用者が炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cにより入力した炊飯情報に応じて、標準保温モード又は高温保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部6aを備えているので、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、それに適した保温コースが保温モード自動選択部6aにより自動的に選択される。したがって、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はなく、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0036】
なお、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、使用者が、炊飯する米を「新米」、「古米」と判断し、入力するように構成したが、別途カレンダー機能を備えて、カレンダーの日付により「新米」、「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。例えば、米の収穫時期を9月15日であると仮定して、カレンダーの日付が9月16日から12月15日の間であるなら「新米」、それ以外であるなら「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。
また、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、加熱ユニット3を底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33、及び蓋コイル34で構成し、鍋2内の被調理物を、鍋底側、鍋側面側、鍋2の上部開口部を覆う蓋4側から加熱するように構成したが、本発明はこれには限定されない。加熱ユニット3は、少なくとも鍋底側を加熱する鍋底加熱手段を備えておればよい。すなわち、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、底内コイル31又は底外コイル32を備えておればよい。
また、本発明の第1の実施形態の炊飯器においては、加熱ユニット3を全て、コイルにより構成したが、コイルに限られず、ヒータや、ヒータとコイルとの組合せなどにより構成されても構わない。
【0037】
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図である。本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器は、予備浸水入力ボタン62fをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0038】
予備浸水入力ボタン62fは、図5に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。ここで、予備浸水とは、鍋2に米と水を入れてから炊飯開始までの間に予め米に水を吸水させることをいう。本発明の第2の実施形態においては、使用者が、米に水を10分以上吸水させた場合を予備浸水「有」、その吸水が10分未満である場合を予備浸水「無」としている。
【0039】
予備浸水が有る場合、浸水工程開始時にはすでに米が吸水しているため、浸水工程で水温が50℃〜60℃に上がることにより米表面においては糊化がわずかに始まってしまい、浸漬時間が長くなると米表面が糊状になり、粒の崩れた食味の悪いごはんになってしまう。このため、予備浸水した米は、炊き上がりの含水率が高くなる傾向があり、保温時にべたつくため、高温保温モードでの保温が適している。一方、予備浸水せずに直ぐに炊飯する米は、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が予備浸水入力ボタン62fにより、予備浸水「有」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、予備浸水「無」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するようになっている。
【0040】
上記のように構成される本発明の第2の実施形態のジャー炊飯器によれば、予備浸水の有無を入力できる予備浸水入力ボタン62fを備えて、予備浸水の有無に応じた保温コースを自動的に選択できるように構成しているので、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0041】
なお、上述したように米飯に適する保温モードは、炊き上がりの含水率に応じて異なり、その炊き上がりの含水率は、使用する水の温度によっても左右される。その使用する水の温度は、加熱ユニット3による鍋加熱動作開始前において、その水を入れた鍋2の温度と相関関係にある。つまり、炊飯工程で糊化を進行させる前に予め米に吸水させておく浸水工程は、浸水工程開始前の水の水温が例えば20℃程度と考えて、浸水工程終了時、最適な吸水状態となるように設定されているので、鍋加熱動作開始時において、鍋2の温度が高い状態で炊飯した米は、浸水工程中に僅かに糊化し崩れて、炊き上がりの含水率が高く、保温時にべたつくため、高温保温モードでの保温が適する一方、鍋2の温度が低い状態で炊飯した米は、浸水工程が終了しても十分な吸水状態が得られていない状態なので、炊き上がりの含水率が低いため、乾燥を防止するために標準保温モードでの保温が適する。このため、鍋底温度センサ5により検知された鍋温度が、予め設定された温度以上であれば、保温モード自動選択部6aが高温保温モードを自動的に選択するとともに、予め設定された温度未満であれば、保温モード自動選択部6aが標準保温モードを自動的に選択するように構成してもよい。
【0042】
このように構成することによって、鍋温度に適した保温コースが自動的に選択されるので、使用者自身が鍋2内に入れた水の温度を測って、それに適した保温コースを選択する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0043】
《第3の実施形態》
本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図、図7は、本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャートである。本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器は、炊飯量判定部65をさらに有する点で、第2の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第2の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0044】
炊飯量判定部65は、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定するよう構成されている。より具体的には、炊飯量判定部65は、加熱ユニット3により予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量が予め設定された量以上であるかどうかを判定するよう構成されている。
【0045】
また、米飯は、その保温量が多過ぎると、冷めにくいので、標準保温モードに設定しても、低温保温温度まで低下するのに時間を要するため、高温保温モードに設定した場合と比べて、顕著な保温改善効果が見られない。さらに、標準保温モードに設定した場合には、高温保温温度まで、温度上昇させなければならないが、保温量が多過ぎると、温まりにくいので、高温保温温度に到達するまでに時間を要し、その間に腐敗してしまうということになる。したがって、本発明の第3の実施形態において、保温モード自動選択部6aは、炊飯量判定部65が、米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、高温保温モードを自動的に選択するように構成され、米飯の炊飯量が予め設定された量未満であると判定した場合には、標準保温モードを自動的に選択するように構成されている。なお、保温温度制御部6cは、炊飯情報、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報、及び炊飯量判定情報に基づいて、炊飯終了時に、保温モード自動選択部6aにより選択されている保温モードに基づいて、炊飯された米飯の保温温度を制御するように構成されている。
【0046】
次に、上記のように構成される本発明の第3の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択フローを、図7を参照しつつ説明する。
【0047】
まず、使用者が情報入力部62により、炊飯する米の、米種情報、硬さ情報、新米度情報、及び予備浸水情報を含む炊飯情報を入力した後、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dを押圧する(ステップ1)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の米種情報が「白米コース」である場合にはステップS3に進み、「白米コース」以外の場合にはステップS9に進む(ステップS2)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の硬さ情報が「普通米」又は「硬い米」である場合にはステップS4に進み、「柔らかい」である場合にはステップS9に進む(ステップS3)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の新米度情報が「新米」以外、つまり「古米」である場合にはステップS5に進み、「新米」である場合にはステップS9に進む(ステップS4)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、予備浸水情報が予備浸水「無」である場合にはステップS6に進み、予備浸水「有」の場合にはステップS9に進む(ステップS5)。
なお、上記ステップS2〜S5は順序が入れ替わっても構わない。
【0048】
次いで、入力された上記炊飯情報が「白米コース」、「普通米又は硬い米」、「古米」、及び予備浸水「無」であった場合、保温コース自動選択部6aは、鍋底温度センサ5により、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報を取得する(ステップS6)。
【0049】
次いで、保温コース自動選択部6aは、取得した鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であるかどうかを判定する(ステップS7)。
鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であった場合、保温モード自動選択部6aは、標準保温モードを自動的に選択する(ステップS8)。一方、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度以上であった場合、保温モード自動選択部6aは、高温保温モードを自動的に選択する(ステップS9)。
【0050】
次いで、炊飯量判定部65が、鍋底温度センサ5により検知した鍋温度の単位時間当たりの変化、つまり、鍋2の温度上昇率を算出(ステップS10、S11)する。次いで、ステップS8において標準保温モードが自動選択されている場合には、炊飯量判定部65が、算出した鍋2の温度上昇率に基づいて、炊飯量が予め設定された量未満であるかどうかを判定する(ステップS12)。なお、算出した鍋2の温度上昇率の情報は、炊飯工程時に、炊飯量に応じた加熱を行うためにも用いられる。
【0051】
判定された米飯の炊飯量が予め設定された量未満であった場合、保温コース自動選択部6aは、標準保温モードから保温モードを変更せず、また、判定された米飯の炊飯量が予め設定された量以上であった場合、保温コース自動選択部6aは、標準保温モードから高温保温モードに自動的に切り替え選択する(ステップS13)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温開始前に保温モードが保温モード自動選択部6aにより自動的に選択される。
【0052】
本発明の第3の実施形態のジャー炊飯器によれば、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定する炊飯量判定部65を備え、炊飯量判定部65が米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、それまでに保温モード自動選択部6aが選択した保温モードが標準保温モードであっても、高温保温モードを自動的に選択するようにしているので、炊飯量に応じて、それに適した保温コースが自動的に選択され、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0053】
なお、上記では、予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量を判定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の他の方法により、米飯の炊飯量を判定するよう構成してもよい。
【0054】
《第4の実施形態》
本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図8〜図11を用いて説明する。図8は、本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図、図9は、その操作パネルの上面図、図10は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図11は、その保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器は、室温センサ75、再加熱ボタン62g、パルス検出部76、及び変化検知部6dをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0055】
室温センサ75は、本体1内の室温を検知するため、図8に示すように、本体1の底部1a上に取り付けられている。室温センサ75は、加熱制御部71、底内コイル31及び底外コイル32の発熱の影響をなるべく受けないように、本体1の底部1a近傍であって、加熱制御部71、底内コイル31及び底外コイル32より、なるべく遠いところに設けることが好ましい。再加熱ボタン62gは、図9に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。使用者が標準保温モードの低温保温温度で保温中に米飯を食べたい場合、そのままでは米飯の温熱感が悪く、食味が良くない。そのため、再加熱ボタン62gは、加熱ユニット3の加熱量、つまり総消費電力量を上げて米飯を再加熱し、米飯の温度を食味の良い温度(例えば80℃)まで引き上げるように保温温度制御部6cに指示するものである。なお、使用者が再加熱ボタン62gを押圧するタイミングが分かるように、表示板63には保温温度を表示可能にしておくことが好ましい。
【0056】
パルス検出部76は、停電状態を検知するために、商用電源(例えばAC100V)からの0Vパルスを検出するものである。変化検知部6dは、図10に示すように、制御部6の一部に設けられている。変化検知部6dは、標準保温モードで保温中に「米飯の温度を上下動させる外的な変化」を検知したとき、保温モード自動選択部6aに、標準保温モードから高温保温モードに切り換え選択するように指示するものである。本発明の第4の実施形態において、「米飯の温度を上下動させる外的な変化」とは、再加熱、停電、室温が予め設定された温度よりも高くなることである。なお、「米飯の温度」とは、米飯の実際の温度をいう。
【0057】
標準保温モードで保温中に再加熱を行って米飯の温度を上げた後、保温温度を低温保温温度まで下げると、米飯の表面は乾燥するが、周囲に白化(結露)が生じ、食味が劣化してしまう。このため、保温モード選択部6aにより自動的に選択された保温モードが標準保温モードである場合は、高温保温モードに切り換えることが好ましい。そこで、変化検知部6dは、再加熱ボタン62gが押圧されたことを検知するように構成されている。
【0058】
また、標準保温モードで保温中に停電があった場合、保温中断により米飯の温度は低下する。米飯は、停電復帰後の米飯の温度が低い程、また、低温である時間が長い程、腐敗する危険性が増すため、停電復帰後は、加熱ユニット3の加熱量を上げて、米飯の温度を上昇させることが好ましい。つまり、保温モード選択部6aにより自動的に選択された保温モードが標準保温モードである場合は、高温保温モードに切り換えることが好ましい。そこで、変化検知部6dは、パルス検出部76が一定周期で発生される0Vパルスを検出できなくなったあと、再度0Vパルスを検出できるようになった時の、鍋底温度センサ5の検知温度が予め設定された温度(例えば60℃)より低い場合、停電があったことを検知するように構成されている。又は、変化検知部6dは、パルス検出部が一定周期で発生される0Vパルスを検出できなくなってから、再度0Vパルスを検出できるようになるまでの時間が予め設定された時間より長くなった場合に、停電があったことを検知するように構成されている。なお、停電時間の長さによる米飯の温度の低下の割合は、季節によって変化することが考えられるため、別途カレンダー機能を設けて、季節によって上記予め設定された時間を調整するように構成することが好ましい。
【0059】
次に、上記のように構成される本発明の第4の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの切り替え選択のフローを、図11を参照しつつ説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0060】
保温モード自動選択部6aは、保温中、変化検知部6dが、パルス検出部76が検出した0Vパルスの間隔が予め設定した時間内かどうか(ステップS21)、又は再加熱ボタン62gが押圧されたかどうか(ステップS22)の変化を検知した場合、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS23)。なお、ステップS21、22は、順序が入れ替わっても構わない。
【0061】
現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを標準保温モードから高温保温モードに切り替え選択する(ステップS24)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0062】
本発明の第4の実施形態のジャー炊飯器によれば、保温中に、再加熱や停電、室温の上昇など、米飯の温度を上下動させる外的な変化を検知する変化検知部6dを備え、上記変化があった場合には、保温モード自動選択部6aにより、自動的に標準保温モードから高温保温モードに切り替えられるように構成しているので、使用者の手間を省いて、負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、必要なときのみ、自動的に高温保温モードに切り替え、通常は総消費電力量の少ない標準保温モードで保温するように構成しているので、省エネを効率良く達成することができる。
【0063】
《第5の実施形態》
本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図12〜図15を用いて説明する。図12は、本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図、図13は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図14は、その保温モードの一例における保温温度の変化を示すグラフ、図15は、その保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器は、蒸気筒48に代えて、蓋開閉検知装置81を有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0064】
蓋開閉検知装置81は、蒸気筒82、マグネット83、及びリードスイッチ84で構成されている。蒸気筒82は、図12に示すように、ほぼ円筒形状を有し、貫通穴47に炊飯器外部から嵌め込まれている。蒸気筒82には、ヒンジ軸4aから遠ざかるにつれて下方に傾斜する傾斜部82aが形成されており、この傾斜部82a上に、球形のマグネット83が転がって動けるように配置されている。マグネット83は、蓋4が閉められた時にはヒンジ軸4aから遠い位置(図12中、実線で示す位置)に位置し、蓋4が開けられた時には傾斜部48bを転がり、ヒンジ軸4aに近い位置(図12中、点線で示す位置)に移動する。蓋4の内部の、上記遠い位置近傍には、リードスイッチ84が設置されている。リードスイッチ84は、蓋4の開閉によってマグネット83が傾斜部82aに沿って転がって、上記遠い位置から離れたり、近付いたりすることにより、ON、OFFする。このリードスイッチ84のON、OFFにより、蓋4の開閉状態を検知することが可能となっている。
【0065】
一般的に使用者は、炊飯終了後、米飯をほぐしたり、小分けにして食べたりするために、保温途中で一度は蓋4を開閉するものと考えられ、蓋4の開閉によって鍋2内の熱が炊飯器外部に逃げ、米飯の温度が下がって、米飯が腐敗しやすくなる。このため、本発明の第5実施形態においては、標準保温モードで保温開始後、蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉状態を検知したとき、保温モード自動選択部6aが、図14に示すように低温保温温度から高温保温温度にするタイミングのみを標準保温モードより速くすることで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を標準保温モードよりも多くした第3保温モードに、自動的に切り替え選択するように構成されている。
【0066】
次に、上記のように構成される本発明の第5の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの切り替え選択のフローを、図15を参照しつつ説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0067】
保温モード自動選択部6aは、保温中、蓋開閉検知部81が、蓋4の開閉があったことを検知(ステップS31)した場合、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS32)。
【0068】
現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。また、現在の保温モードが第3保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは第3保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを標準保温モードから第3保温モードに切り替え選択する(ステップS33)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0069】
本発明の第5の実施形態のジャー炊飯器によれば、蓋4の開閉を検知する蓋開閉検知装置81を備え、保温モード自動選択部6aにより保温開始前に自動選択された保温モードが標準保温モードであり、且つ蓋を開けられたことを検知したとき、保温モード自動選択部6aが自動的に、低温保温温度から高温保温温度にするタイミングのみを標準保温モードより速くすることで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を標準保温モードよりも多くした第3保温モードに切り替え選択するように構成しているで、蓋開閉後の加熱ユニット3の加熱量が増え、米飯の温度が上がり、米飯の腐敗を防ぐことができる。また、自動的に標準保温モードから第3保温モードに切り替わるように構成しているので、使用者の手間を省いて、負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、必要なとき(蓋開閉時)のみ、自動的に第3保温モードに切り替え、通常は総消費電力量の少ない標準保温モードで保温するように構成しているので、省エネを効率良く達成することができる。
【0070】
なお、上記において蓋開閉検知装置81は、一例として、蒸気筒82、マグネット83、及びリードスイッチ84で構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、任意の他の構成により、蓋4の開閉を検知するよう構成してもよい。
【0071】
《第6の実施形態》
本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器を説明する。図16は、本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図である。本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器は、切替入力部の一例である切替入力ボタン62hをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0072】
切替入力ボタン62hは、図16に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。切替入力ボタン62hは、使用者が保温モードを任意で他の保温モードに切り替え可能にするものである。なお、本発明の第6の実施形態において、保温温度制御部6cは、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが高温保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードに関わらず、高温保温モードで米飯を保温するように構成されている。つまり、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが標準保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードに基づいて、保温温度を制御するように構成されている。
【0073】
次に、上記のように構成される本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択フローを、図17を用いて説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0074】
保温モード自動選択部6aは、保温中、使用者により切替入力ボタン62hが押圧されたことを検知(ステップ41)した場合、押圧された保温モードの情報を取得する(ステップS42)。
【0075】
押圧された保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温開始前に自動選択された保温モードの情報を取得する(ステップS43)。保温開始前に自動選択された保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、保温開始前に自動選択された保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS44)。
【0076】
現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは標準保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、高温保温モードから標準保温モードに切り替え選択する(ステップS45)。
【0077】
また、押圧された保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS46)。現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、標準保温モードから高温保温モードに切り替え選択する(ステップS47)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0078】
第4の実施形態で述べたように、使用者が標準保温モードの低温保温温度で保温中に米飯を食べたい場合、再加熱ボタン62gを押圧することで、加熱ユニット3の加熱量を上げて米飯を再加熱し、米飯の温度を食味の良い温度まで引き上げることができる。しかしながら、米飯を小分けにして食する場合には、その度に再加熱ボタン62gを押圧しなければならず、使用者に過度の負担がかかることが有り得る。
【0079】
上記のように構成される本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、このような場合に、切替入力ボタン62hにより任意に保温モードを切り替えることができるので、必要なときに高温保温モードに切り替えて、加熱ユニット3の加熱量を上げて、米飯の温度を上げることができる。
【0080】
また、短時間で米飯を食べ切るつもりで、上記のようにして高温保温モードに切り替えたのち、短時間で米飯を食べ切れず、残った米飯を長時間保温する必要が生じることも考え得る。このような場合でも、本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、切替入力ボタン62hにより標準保温モードに切り替えて、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0081】
また、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが、総消費電力量の多い高温保温モードである場合に、保温途中で、総消費電力量の少ない標準保温モードに切り替えると、最低限必要な加熱量が必要量より不足することとなり、米飯が腐敗する。このため、本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが高温保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードを受け付けないようにしているので、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【0082】
《第7の実施形態》
本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図18及び図19を用いて説明する。図18は、本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図である。図19は、本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器は、浸水時間計時部91を有する点で、第5の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第5の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0083】
使用者が米を炊飯するときには、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dを押す前に必ず、米と水を入れた鍋2を本体1内にセットするために蓋4を開閉する動作が必要である。一方、本体1内にセットされた鍋2内の米と水は、セット後、すぐに炊飯されるとは限らない。例えば、使用者が外出から帰宅したときに、すぐに炊きたてのごはんが食べたいと思った時には、外出する前に予め、帰宅時間に合わせて炊飯予約がされることも考えられる。このような場合には、浸水時間が予め設定された時間以上となる可能性が高いと考えられる。
【0084】
このため、浸水時間計時部91は、蓋開閉検知装置81が蓋4が閉じられたことを検知してから、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dが押されるまでの時間を計測するように構成されている。また、保温モード自動選択部6aは、浸水時間計時部91が計測した計時時間が、予め設定された時間(例えば10分)以上であれば予備浸水「有」と判断して高温保温モードを自動的に選択し、予め設定された時間(例えば10分)未満であれば予備浸水「無」と判断して標準保温モードを自動的に選択するように構成されている。
【0085】
次に、上記のように構成される本発明の第7の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択のフローを、図19を参照しつつ説明する。なお、上述した第5の実施形態の選択フローと同様であるフローについては説明を省略する。
【0086】
浸水時間計時部91は、炊飯工程開始前に、蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉があったことを検知(ステップS41)した場合、計時時間を初期化して(ステップS42)、蓋4の開閉を検知したときからの時間をカウントしていく(ステップS43)。次いで、炊飯ボタン62dが押圧された場合(ステップS44)、保温モード自動選択部6aは、浸水時間計時部91の計時時間を読み出す(ステップS46)。一方、炊飯ボタン62dが押圧されず(ステップS44)、再び蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉があったことを検知(ステップS45)した場合、浸水時間計時部91は計時時間を初期化する。
【0087】
次いで、保温モード自動選択部6aは、読み出した浸水時間計時部91の計時時間が予め設定された時間以上であるかどうかを判定し(ステップS47)、予め設定された時間以上であれば高温保温モードを自動的に選択し(ステップS48)、予め設定された時間未満であれば標準保温モードを自動的に選択する(ステップS49)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、炊飯工程開始前に保温モードが自動的に選択される。
【0088】
本発明の第7の実施形態のジャー炊飯器によれば、予備浸水の有無を、蓋開閉検知装置81により蓋4の開閉を検知してから炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dが押されるまでの時間により、判断している。これにより、本発明の第2の実施形態では必要であった、使用者自らが、炊飯する米の予備浸水の有無を判断する必要性も無くすことが可能になる。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0089】
なお、ジャー炊飯器内に被加熱物を入れた鍋をセットした後にプラグが差し込まれるなどして、電源ON状態になってから炊飯ボタン62dが押されるまでの間に、蓋4の開閉が行われないこともあり得る。このような場合に備えて、プラグが差し込まれたことを検知する検知部をさらに設け、浸水時間計時部91が、前記検知部がプラグを差し込まれたことを検知してから、炊飯ボタン62dが押されるまでの時間を計測するように構成してもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、上記各実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
また、上記各実施形態は、マイコンにより制御されるその他の方式のジャー炊飯器においても実施可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明にかかるジャー炊飯器は、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることのできるジャー炊飯器を提供することができるので、保温機能を有するジャー炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図4】標準保温モードにおける保温温度の変化を示すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャート
【図8】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図9】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図10】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図11】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図12】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図13】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図14】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図15】第3保温モードにおける保温温度の変化を示すグラフ
【図16】本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図17】本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図18】本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図19】本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャート
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温機能を有するジャー炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器においては、炊飯された米飯は一定温度で保温されるようになっていた。例えば、その保温温度は、低いと米飯が腐敗してしまうため、米飯の腐敗を防ぎ、米飯の温熱感を保って食味の劣化を少なくすると言われている約70℃〜74℃の範囲で設定されていた。
【0003】
しかしながら、上記構成の炊飯器においては、保温温度が比較的高温のため、実際は、長時間保温すると、米飯が黄(褐)変したり、独特の臭気を発したり、粘りや弾力性等の食味物性が低下するといった問題点がある。
【0004】
そこで、通常保温温度(例えば70℃〜74℃の範囲内の温度)と、通常保温温度より保温温度が高い高温保温温度(例えば75℃〜95℃の範囲内の温度)と、通常保温温度よりも保温温度が低い低温保温温度(例えば55℃〜69℃の範囲内の温度)との3水準の保温温度を有し、それらの保温温度を一定時間毎に切り替えるサイクル加熱を行うことで、上記課題を解決する技術が特許文献1に開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、低温保温温度と高温保温温度とを交互に一定時間繰り返した後、通常保温温度に移行する保温モードと、通常保温温度のみからなる保温モードとを、使用者に選択可能にすることで、米飯の腐敗及び保温による食味劣化を効果的に低減させる技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2814915号公報
【特許文献2】特許第2891118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米は、白米や玄米等の米種や、収穫からの経過期間による新米度、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる組織の硬さなどにより、保温時の性能(黄変、白化等)に、ばらつきがある。このため、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に防ぐためには、炊飯する米の保温時の性能を正確に把握し、その性能に応じた保温モードを選択して入力する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、使用者が自ら、保温モードを選択しなければならないものであるために、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要が有り、使用者に過度な負担がかかる。したがって、炊飯する米の、個々の保温時の性能に応じて保温モードを使い分け、米飯の腐敗及び保温による食味劣化を効果的に低減させることは、現実的には困難である。
【0009】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることのできるジャー炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の第1態様によれば、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、炊飯開始前に上記炊飯情報入力部により入力された上記炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、を備えることを特徴とするジャー炊飯器を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、上記炊飯情報には、米の米種情報、米の新米度情報、米の組織の硬さ情報、及び予備浸水情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が含まれることを特徴とする第1態様に記載のジャー炊飯器を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、上記鍋底加熱手段による鍋加熱動作開始時に上記鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、を備えることを特徴とするジャー炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のジャー炊飯器によれば、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部を備えているので、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、それに適した保温コースが保温モード自動選択部により自動的に選択され、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要がない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【0014】
また、炊飯工程で糊化を進行させる前に予め米に吸水させておく浸水工程は、浸水工程開始前の水の水温が例えば20℃と考えて、浸水工程終了後、最適な吸水状態となるように設定されているので、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度が高い状態で炊飯した米は、浸水工程中に僅かに糊化し崩れて、炊き上がりの含水率が高く、保温時にべたつきやすい一方、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度が低い状態で炊飯した米は、浸水工程が終了しても十分な吸水状態が得られていない状態なので、炊き上がりの含水率が低く、乾燥しやすい。
【0015】
特に、本発明の第3態様によれば、加熱ユニットによる鍋加熱動作開始時に鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部を備えているので、鍋加熱動作開始時の鍋内に入れた水の温度と相関関係にある鍋温度に適した保温コースが保温モード自動選択部により自動的に選択され、使用者自身が鍋内に入れた水の温度を測って、それに適した保温コースを選択して入力する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
また、本発明において「炊飯情報」とは、米の炊飯開始時までに炊飯器に入力された、炊飯に関する情報をいう。例えば、白米、玄米、無洗米等の米種(炊飯コース)の情報、新米、古米等の収穫からの経過期間を表す新米度情報、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる米の組織の硬さ情報、予備浸水の有無を示す予備浸水情報などが挙げられる。
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器について、図1〜図4を用いて以下に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図であり、図2は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図3は、その操作パネルの上面図、図4は、その保温モードの一例における保温温度の変化を示すグラフである。本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器は電気式IH加熱ジャー炊飯器である。図1において、第1の実施形態のジャー炊飯器は、本体1の内部に着脱可能に収納され、米飯を収容可能な鍋2と、本体1内に収納された鍋2の外周面に対向するように配置され、鍋2を加熱可能な加熱ユニット3と、鍋2の上部開口部を覆うように本体1に開閉自在に取り付けられた蓋4と、鍋2の底面中央部に外接し、鍋2の温度を検知する鍋温度検知センサの一例である鍋底温度センサ5と、蓋4の内部に配置され、鍋底温度センサ5の検知温度に基づいて、加熱ユニット3の鍋加熱動作を制御する加熱制御部71を制御して鍋2を加熱し、鍋2内の被加熱物を炊飯及び保温する制御部6とを備えている。
【0018】
本体1は、上部が開口している略円筒形状、つまり略有底円筒形状を有し、炊飯器本体を形成している。本体1の上部開口の周囲にはリング状の上枠11が嵌められて取り付けられている。上枠11は、有底円筒形状に形成されたコイルベース12の上端部を固定しており、そのコイルベース12とで鍋収納部を形成している。コイルベース12の外周面には、鍋2の外周面と対向するように配置されて鍋2を誘導加熱するリング状の、底内コイル31、底外コイル32、及び側面コイル33が設置されている。底内コイル31は鍋2の底部2aと対向するように配置され、底外コイル32は鍋2の側底部2bと対向するように配置され、側面コイル33は鍋2の側部2cと対向するように配置されている。加熱ユニット3は、底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33と、後述する蓋コイル34とにより構成されている。
【0019】
コイルベース12と本体1の内面とで形成される空間には、制御部6からの制御により、底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33、及び後述する蓋コイル34に高周波電流を通電し、鍋2を誘導加熱するための加熱制御部71が設置されている。この加熱制御部71の下方には、加熱制御部71上に設置される発熱部品72を冷却するためのヒートシンク73が設置されている。ヒートシンク73の下方には、ヒートシンク73を冷却するための冷却用ファンモータ74が設けられている。冷却用ファンモータ74の、コイルベース12との対向面は、コイルベース12の形状に沿うように傾斜している。
【0020】
蓋4は、合成樹脂から形成された外蓋部41と、外蓋部41の内側に嵌められて取り付けられている内蓋部42と、内蓋部42の下面に着脱可能に取り付けられることで、蓋4の下面を構成する発熱板43とを有している。内蓋部42の上面には、発熱板43を誘導加熱するためのリング状の蓋コイル34が設置されている。蓋4は、内蓋部42の一部に設けられたヒンジ軸4aを本体1の上枠11の一部に一体形成されたヒンジ部材13に回動自在に支持されることで、本体1の上部開口部を開閉可能なように取り付けられている。
【0021】
発熱板43の外周下部には、リング状の鍋パッキン44が取り付けられている。鍋パッキン44は、炊飯中に鍋2内に発生する蒸気などを、本体1の内部空間へ流出させないように鍋2と蓋4との隙間を塞ぐように配置されている。発熱板43の上面の一部には、発熱板43の温度を検知するための蓋温度センサ45が圧接されている。また、発熱板43の中央部には鍋2内の蒸気を炊飯器外部に排出するための蒸気通路孔46が設けられている。
【0022】
蓋4の中央部には、貫通穴47が蓋4の厚さ方向に貫通するように設けられている。貫通穴47には、略円筒形状の蒸気筒48が炊飯器外部から嵌め込まれている。蒸気筒48には、鍋2内から蒸気通路孔46を通って排出される蒸気を、本体1の外部へ排出できるように、蒸気排出孔48aが設けられている。
【0023】
鍋底温度センサ5は、コイルベース12上に設けられ鍋2を支持するためのセンサバネ51によって付勢されることにより、鍋2の底部2a中央部に外接可能に配置されている。この鍋底温度センサ5は、炊飯及び保温時の鍋温度を検知することで、制御部6が鍋2内の被加熱物(米飯)を最適な温度状態に制御できるように設置されている。
【0024】
蓋4の内部で蓋温度センサ45の上方には、制御部6、操作基板61、情報入力部62、及び表示部の一例である表示板63が設置されている。外蓋部41には、炊飯器外部から表示板63を視認可能にする表示窓41aと、炊飯器外部から押圧することで情報入力部62の各入力ボタンを押圧することができる操作パネル41bとが設けられている。
【0025】
情報入力部62は、図3に示すように、炊飯情報入力部の一例である炊飯情報入力ボタンを備えている。炊飯情報入力ボタンは、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cから構成されている。炊飯コース入力ボタン62aは、米の米種情報の一例である、「白米コース」や「玄米コース」などの炊飯コースを入力できるボタンである。なお、入力した炊飯コースは、表示板63で確認できるようになっている。硬さ入力ボタン62bは、「コシヒカリ」や「あきたこまち」等の銘柄などによって異なる組織の硬さを、組織の硬さによって「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の3つに分類することで、入力できるようにしたボタンである。なお、ここで、「柔らかい米」、「普通米」、「硬い米」の分類は、20℃及び糊化温度帯の70℃で10分浸水させたときの吸水率の違いにより行っている。組織の「柔らかい米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%以上の米をいい、例えばコシヒカリが挙げられる。組織の硬さが「普通米」であるとは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%以上で、かつ70℃で10分浸水時の吸水率が20%未満の米をいい、例えば日本晴が挙げられる。組織の「硬い米」とは、20℃で10分浸水時の吸水率が10%未満の米をいい、例えばきらら397が挙げられる。米は常温での吸水率が高いほど粒の中まで水が浸透し、柔らかいごはんに炊き上がるが、糊化温度帯での吸水率が高いほど、糊化開始温度が低いため、べちゃつきやすいという特徴を持っている。
【0026】
新米度入力ボタン62cは、米の収穫からの経過期間に応じて、米の新米度を入力できるボタンである。本発明の第1の実施形態においては、収穫からの経過期間が3ヶ月未満の米を「新米」、3ヶ月以上の米を「古米」として、そのいずれかを入力できるように構成している。
【0027】
制御部6は、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cで入力された炊飯情報に応じて、総消費電力量の異なる複数の保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部6aと、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cで入力された炊飯情報と鍋底温度センサ5及び蓋温度センサ45の検知温度とに基づいて、加熱制御部71を制御して、炊飯動作を行う炊飯制御部6bと、炊飯制御部6bの炊飯動作の終了を検知して、保温モード自動選択部6aで自動選択された保温モードと鍋底温度センサ5及び蓋温度センサ45の検知温度とに基づいて、加熱制御部71を制御して、炊飯された米飯の保温温度を制御する保温温度制御部6cを備えている。なお、制御部6は、別途設けられた計時部64により、炊飯及び保温における各工程の所要時間を制御している。
【0028】
本発明の第1の実施形態において、保温モード自動選択部6aは、保温開始から保温終了まで通常保温温度(第1保温温度、例えば70℃〜74℃の範囲内の温度)で米飯を保温する第1保温モードの一例である高温保温モード、又は通常保温温度より低い低温保温温度(第2保温温度、例えば55℃〜69℃の範囲内の温度)と、通常保温温度より高い高温保温温度(第3保温温度、例えば74℃〜95℃の範囲内の温度)とを交互に繰り返した後、通常保温温度に移行する第2保温モードの一例である標準保温モードを選択できるように構成されている。なお、標準保温モードで保温した場合の総消費電力量は、高温保温モードで保温する場合よりも少なくなるように設定されている。図4は、標準保温モードにおける鍋温度及び米飯の温度の変位の一例を示している。
【0029】
玄米や発芽玄米、雑穀米などの米は、長時間保温することは好ましくないと広く知られており、一般的に炊き上がり後は早期に食されるため、高温保温モードでの保温が適している。一方、白米は、長時間保温されることが多く、また、通常保温温度で長時間保温すると前述したように黄変や独特の臭気を発生するなどして食味が劣化するため、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が炊飯コース入力ボタン62aにより、「白米コース」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択し、「白米コース」以外の炊飯コースを入力した場合、自動的に高温保温モードを選択するように構成されている。
【0030】
また、「魚沼産コシヒカリ」等の組織の「柔らかい米」は、保温温度が低いと表面のべとつきが進展し、保温時の食感が悪くなるため、高温保温モードでの保温が適している。一方、「標準的なコシヒカリ」や「日本晴」等の「普通米」や、「きらら397」等の組織の「硬い米」は、組織の「柔らかい米」よりも吸水率が低く、保温中に乾燥して硬くなるため、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が硬さ入力ボタン62bにより、「柔らかい米」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、「柔らかい米」以外、つまり「普通米」又は「硬い米」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0031】
また、米は収穫からの経過期間が長くなればなるほど、米の周りに脂肪酸が多く発生することが知られている。脂肪酸は保温中に酸化されて異臭を発生する原因となるので、古米の場合は、この酸化反応を抑えてできるだけ異臭の発生を抑える必要がある。したがって、収穫からの経過期間が短い「新米」は高温保温モードが適しており、収穫からの経過期間が長い「古米」は標準保温モードが適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が新米度入力ボタン62cにより、「新米」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、「新米」以外、つまり「古米」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0032】
なお、使用者が複数の炊飯情報に基づいて、炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cの中から複数の入力ボタンを押圧した場合、保温モード自動選択部6aは、押圧された炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cにより入力される保温モードのうち、1つでも高温保温モードが入力された場合には高温保温モードを選択し、全て標準保温モードが入力された場合のみ、標準保温モードを選択するように構成されている。例えば、炊飯する米の情報が、「白米」、「コシヒカリ」、及び「収穫からの経過期間が3ヶ月以上」であり、使用者が、炊飯コース入力ボタン62aにより「白米コース」、硬さ入力ボタン62bにより「普通米」、新米度入力ボタン62cにより「古米」を入力した場合、全ての保温モードが標準保温モードであるので、保温モード自動選択部6aは、自動的に標準保温モードを選択するように構成されている。
【0033】
情報入力部62は更に、炊飯ボタン62dと切ボタン62eとを備えている。炊飯ボタン62dは、押圧されると保温温度制御部6に炊飯等の動作の開始を指示し、切ボタン62eは、押圧されると各操作の取消等を指示する。
【0034】
表示板63は、情報入力部62により入力された炊飯情報や日時などを表示するものである。なお、表示板63には、自動選択された保温モードや、その保温モードによる総消費電力量なども併せて表示可能にすることが好ましい。また、表示板63は、保温開始から現在までの累積消費電力量を演算する累積消費電力量演算部を備えて、その累積消費電力量を表示可能にしてもよい。このように構成することで、使用者に、正しく保温モードが選択されているか確認させることができるとともに、省エネを促すことができる。また、使用電力料金を表示させることでも省エネを促すことができる。
【0035】
上記のように構成される本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器によれば、炊飯開始前に使用者が炊飯コース入力ボタン62a、硬さ入力ボタン62b、及び新米度入力ボタン62cにより入力した炊飯情報に応じて、標準保温モード又は高温保温モードの中から対応する保温モードを自動的に選択する保温モード自動選択部6aを備えているので、炊飯開始前に入力された炊飯情報に応じて、それに適した保温コースが保温モード自動選択部6aにより自動的に選択される。したがって、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はなく、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0036】
なお、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、使用者が、炊飯する米を「新米」、「古米」と判断し、入力するように構成したが、別途カレンダー機能を備えて、カレンダーの日付により「新米」、「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。例えば、米の収穫時期を9月15日であると仮定して、カレンダーの日付が9月16日から12月15日の間であるなら「新米」、それ以外であるなら「古米」を自動的に選択するように構成してもよい。
また、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、加熱ユニット3を底内コイル31、底外コイル32、側面コイル33、及び蓋コイル34で構成し、鍋2内の被調理物を、鍋底側、鍋側面側、鍋2の上部開口部を覆う蓋4側から加熱するように構成したが、本発明はこれには限定されない。加熱ユニット3は、少なくとも鍋底側を加熱する鍋底加熱手段を備えておればよい。すなわち、本発明の第1の実施形態のジャー炊飯器においては、底内コイル31又は底外コイル32を備えておればよい。
また、本発明の第1の実施形態の炊飯器においては、加熱ユニット3を全て、コイルにより構成したが、コイルに限られず、ヒータや、ヒータとコイルとの組合せなどにより構成されても構わない。
【0037】
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図である。本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器は、予備浸水入力ボタン62fをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0038】
予備浸水入力ボタン62fは、図5に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。ここで、予備浸水とは、鍋2に米と水を入れてから炊飯開始までの間に予め米に水を吸水させることをいう。本発明の第2の実施形態においては、使用者が、米に水を10分以上吸水させた場合を予備浸水「有」、その吸水が10分未満である場合を予備浸水「無」としている。
【0039】
予備浸水が有る場合、浸水工程開始時にはすでに米が吸水しているため、浸水工程で水温が50℃〜60℃に上がることにより米表面においては糊化がわずかに始まってしまい、浸漬時間が長くなると米表面が糊状になり、粒の崩れた食味の悪いごはんになってしまう。このため、予備浸水した米は、炊き上がりの含水率が高くなる傾向があり、保温時にべたつくため、高温保温モードでの保温が適している。一方、予備浸水せずに直ぐに炊飯する米は、標準保温モードでの保温が適している。このため、保温モード自動選択部6aは、使用者が予備浸水入力ボタン62fにより、予備浸水「有」を入力した場合、自動的に高温保温モードを選択し、予備浸水「無」を入力した場合、自動的に標準保温モードを選択するようになっている。
【0040】
上記のように構成される本発明の第2の実施形態のジャー炊飯器によれば、予備浸水の有無を入力できる予備浸水入力ボタン62fを備えて、予備浸水の有無に応じた保温コースを自動的に選択できるように構成しているので、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0041】
なお、上述したように米飯に適する保温モードは、炊き上がりの含水率に応じて異なり、その炊き上がりの含水率は、使用する水の温度によっても左右される。その使用する水の温度は、加熱ユニット3による鍋加熱動作開始前において、その水を入れた鍋2の温度と相関関係にある。つまり、炊飯工程で糊化を進行させる前に予め米に吸水させておく浸水工程は、浸水工程開始前の水の水温が例えば20℃程度と考えて、浸水工程終了時、最適な吸水状態となるように設定されているので、鍋加熱動作開始時において、鍋2の温度が高い状態で炊飯した米は、浸水工程中に僅かに糊化し崩れて、炊き上がりの含水率が高く、保温時にべたつくため、高温保温モードでの保温が適する一方、鍋2の温度が低い状態で炊飯した米は、浸水工程が終了しても十分な吸水状態が得られていない状態なので、炊き上がりの含水率が低いため、乾燥を防止するために標準保温モードでの保温が適する。このため、鍋底温度センサ5により検知された鍋温度が、予め設定された温度以上であれば、保温モード自動選択部6aが高温保温モードを自動的に選択するとともに、予め設定された温度未満であれば、保温モード自動選択部6aが標準保温モードを自動的に選択するように構成してもよい。
【0042】
このように構成することによって、鍋温度に適した保温コースが自動的に選択されるので、使用者自身が鍋2内に入れた水の温度を測って、それに適した保温コースを選択する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0043】
《第3の実施形態》
本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図6及び図7を用いて説明する。図6は、本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図、図7は、本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャートである。本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器は、炊飯量判定部65をさらに有する点で、第2の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第2の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0044】
炊飯量判定部65は、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定するよう構成されている。より具体的には、炊飯量判定部65は、加熱ユニット3により予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量が予め設定された量以上であるかどうかを判定するよう構成されている。
【0045】
また、米飯は、その保温量が多過ぎると、冷めにくいので、標準保温モードに設定しても、低温保温温度まで低下するのに時間を要するため、高温保温モードに設定した場合と比べて、顕著な保温改善効果が見られない。さらに、標準保温モードに設定した場合には、高温保温温度まで、温度上昇させなければならないが、保温量が多過ぎると、温まりにくいので、高温保温温度に到達するまでに時間を要し、その間に腐敗してしまうということになる。したがって、本発明の第3の実施形態において、保温モード自動選択部6aは、炊飯量判定部65が、米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、高温保温モードを自動的に選択するように構成され、米飯の炊飯量が予め設定された量未満であると判定した場合には、標準保温モードを自動的に選択するように構成されている。なお、保温温度制御部6cは、炊飯情報、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報、及び炊飯量判定情報に基づいて、炊飯終了時に、保温モード自動選択部6aにより選択されている保温モードに基づいて、炊飯された米飯の保温温度を制御するように構成されている。
【0046】
次に、上記のように構成される本発明の第3の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択フローを、図7を参照しつつ説明する。
【0047】
まず、使用者が情報入力部62により、炊飯する米の、米種情報、硬さ情報、新米度情報、及び予備浸水情報を含む炊飯情報を入力した後、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dを押圧する(ステップ1)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の米種情報が「白米コース」である場合にはステップS3に進み、「白米コース」以外の場合にはステップS9に進む(ステップS2)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の硬さ情報が「普通米」又は「硬い米」である場合にはステップS4に進み、「柔らかい」である場合にはステップS9に進む(ステップS3)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、米の新米度情報が「新米」以外、つまり「古米」である場合にはステップS5に進み、「新米」である場合にはステップS9に進む(ステップS4)。
次いで、保温コース自動選択部6aは、入力された炊飯情報の中の、予備浸水情報が予備浸水「無」である場合にはステップS6に進み、予備浸水「有」の場合にはステップS9に進む(ステップS5)。
なお、上記ステップS2〜S5は順序が入れ替わっても構わない。
【0048】
次いで、入力された上記炊飯情報が「白米コース」、「普通米又は硬い米」、「古米」、及び予備浸水「無」であった場合、保温コース自動選択部6aは、鍋底温度センサ5により、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報を取得する(ステップS6)。
【0049】
次いで、保温コース自動選択部6aは、取得した鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であるかどうかを判定する(ステップS7)。
鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度(例えば25℃)未満であった場合、保温モード自動選択部6aは、標準保温モードを自動的に選択する(ステップS8)。一方、鍋加熱動作開始時の鍋温度情報が予め設定された温度以上であった場合、保温モード自動選択部6aは、高温保温モードを自動的に選択する(ステップS9)。
【0050】
次いで、炊飯量判定部65が、鍋底温度センサ5により検知した鍋温度の単位時間当たりの変化、つまり、鍋2の温度上昇率を算出(ステップS10、S11)する。次いで、ステップS8において標準保温モードが自動選択されている場合には、炊飯量判定部65が、算出した鍋2の温度上昇率に基づいて、炊飯量が予め設定された量未満であるかどうかを判定する(ステップS12)。なお、算出した鍋2の温度上昇率の情報は、炊飯工程時に、炊飯量に応じた加熱を行うためにも用いられる。
【0051】
判定された米飯の炊飯量が予め設定された量未満であった場合、保温コース自動選択部6aは、標準保温モードから保温モードを変更せず、また、判定された米飯の炊飯量が予め設定された量以上であった場合、保温コース自動選択部6aは、標準保温モードから高温保温モードに自動的に切り替え選択する(ステップS13)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温開始前に保温モードが保温モード自動選択部6aにより自動的に選択される。
【0052】
本発明の第3の実施形態のジャー炊飯器によれば、炊飯中の鍋底温度センサ5より検知された鍋温度の単位時間当たりの変化に基づいて、米飯の炊飯量を判定する炊飯量判定部65を備え、炊飯量判定部65が米飯の炊飯量が予め設定された量以上であると判定した場合には、それまでに保温モード自動選択部6aが選択した保温モードが標準保温モードであっても、高温保温モードを自動的に選択するようにしているので、炊飯量に応じて、それに適した保温コースが自動的に選択され、使用者自身が炊飯する米の保温時の性能を正確に把握する必要はない。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0053】
なお、上記では、予め設定した火力で一定時間、加熱された鍋2の温度上昇率を算出することにより、米飯の炊飯量を判定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の他の方法により、米飯の炊飯量を判定するよう構成してもよい。
【0054】
《第4の実施形態》
本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図8〜図11を用いて説明する。図8は、本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図、図9は、その操作パネルの上面図、図10は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図11は、その保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器は、室温センサ75、再加熱ボタン62g、パルス検出部76、及び変化検知部6dをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0055】
室温センサ75は、本体1内の室温を検知するため、図8に示すように、本体1の底部1a上に取り付けられている。室温センサ75は、加熱制御部71、底内コイル31及び底外コイル32の発熱の影響をなるべく受けないように、本体1の底部1a近傍であって、加熱制御部71、底内コイル31及び底外コイル32より、なるべく遠いところに設けることが好ましい。再加熱ボタン62gは、図9に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。使用者が標準保温モードの低温保温温度で保温中に米飯を食べたい場合、そのままでは米飯の温熱感が悪く、食味が良くない。そのため、再加熱ボタン62gは、加熱ユニット3の加熱量、つまり総消費電力量を上げて米飯を再加熱し、米飯の温度を食味の良い温度(例えば80℃)まで引き上げるように保温温度制御部6cに指示するものである。なお、使用者が再加熱ボタン62gを押圧するタイミングが分かるように、表示板63には保温温度を表示可能にしておくことが好ましい。
【0056】
パルス検出部76は、停電状態を検知するために、商用電源(例えばAC100V)からの0Vパルスを検出するものである。変化検知部6dは、図10に示すように、制御部6の一部に設けられている。変化検知部6dは、標準保温モードで保温中に「米飯の温度を上下動させる外的な変化」を検知したとき、保温モード自動選択部6aに、標準保温モードから高温保温モードに切り換え選択するように指示するものである。本発明の第4の実施形態において、「米飯の温度を上下動させる外的な変化」とは、再加熱、停電、室温が予め設定された温度よりも高くなることである。なお、「米飯の温度」とは、米飯の実際の温度をいう。
【0057】
標準保温モードで保温中に再加熱を行って米飯の温度を上げた後、保温温度を低温保温温度まで下げると、米飯の表面は乾燥するが、周囲に白化(結露)が生じ、食味が劣化してしまう。このため、保温モード選択部6aにより自動的に選択された保温モードが標準保温モードである場合は、高温保温モードに切り換えることが好ましい。そこで、変化検知部6dは、再加熱ボタン62gが押圧されたことを検知するように構成されている。
【0058】
また、標準保温モードで保温中に停電があった場合、保温中断により米飯の温度は低下する。米飯は、停電復帰後の米飯の温度が低い程、また、低温である時間が長い程、腐敗する危険性が増すため、停電復帰後は、加熱ユニット3の加熱量を上げて、米飯の温度を上昇させることが好ましい。つまり、保温モード選択部6aにより自動的に選択された保温モードが標準保温モードである場合は、高温保温モードに切り換えることが好ましい。そこで、変化検知部6dは、パルス検出部76が一定周期で発生される0Vパルスを検出できなくなったあと、再度0Vパルスを検出できるようになった時の、鍋底温度センサ5の検知温度が予め設定された温度(例えば60℃)より低い場合、停電があったことを検知するように構成されている。又は、変化検知部6dは、パルス検出部が一定周期で発生される0Vパルスを検出できなくなってから、再度0Vパルスを検出できるようになるまでの時間が予め設定された時間より長くなった場合に、停電があったことを検知するように構成されている。なお、停電時間の長さによる米飯の温度の低下の割合は、季節によって変化することが考えられるため、別途カレンダー機能を設けて、季節によって上記予め設定された時間を調整するように構成することが好ましい。
【0059】
次に、上記のように構成される本発明の第4の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの切り替え選択のフローを、図11を参照しつつ説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0060】
保温モード自動選択部6aは、保温中、変化検知部6dが、パルス検出部76が検出した0Vパルスの間隔が予め設定した時間内かどうか(ステップS21)、又は再加熱ボタン62gが押圧されたかどうか(ステップS22)の変化を検知した場合、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS23)。なお、ステップS21、22は、順序が入れ替わっても構わない。
【0061】
現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを標準保温モードから高温保温モードに切り替え選択する(ステップS24)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0062】
本発明の第4の実施形態のジャー炊飯器によれば、保温中に、再加熱や停電、室温の上昇など、米飯の温度を上下動させる外的な変化を検知する変化検知部6dを備え、上記変化があった場合には、保温モード自動選択部6aにより、自動的に標準保温モードから高温保温モードに切り替えられるように構成しているので、使用者の手間を省いて、負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、必要なときのみ、自動的に高温保温モードに切り替え、通常は総消費電力量の少ない標準保温モードで保温するように構成しているので、省エネを効率良く達成することができる。
【0063】
《第5の実施形態》
本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図12〜図15を用いて説明する。図12は、本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図、図13は、その制御部関連の構成を示すブロック図、図14は、その保温モードの一例における保温温度の変化を示すグラフ、図15は、その保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器は、蒸気筒48に代えて、蓋開閉検知装置81を有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0064】
蓋開閉検知装置81は、蒸気筒82、マグネット83、及びリードスイッチ84で構成されている。蒸気筒82は、図12に示すように、ほぼ円筒形状を有し、貫通穴47に炊飯器外部から嵌め込まれている。蒸気筒82には、ヒンジ軸4aから遠ざかるにつれて下方に傾斜する傾斜部82aが形成されており、この傾斜部82a上に、球形のマグネット83が転がって動けるように配置されている。マグネット83は、蓋4が閉められた時にはヒンジ軸4aから遠い位置(図12中、実線で示す位置)に位置し、蓋4が開けられた時には傾斜部48bを転がり、ヒンジ軸4aに近い位置(図12中、点線で示す位置)に移動する。蓋4の内部の、上記遠い位置近傍には、リードスイッチ84が設置されている。リードスイッチ84は、蓋4の開閉によってマグネット83が傾斜部82aに沿って転がって、上記遠い位置から離れたり、近付いたりすることにより、ON、OFFする。このリードスイッチ84のON、OFFにより、蓋4の開閉状態を検知することが可能となっている。
【0065】
一般的に使用者は、炊飯終了後、米飯をほぐしたり、小分けにして食べたりするために、保温途中で一度は蓋4を開閉するものと考えられ、蓋4の開閉によって鍋2内の熱が炊飯器外部に逃げ、米飯の温度が下がって、米飯が腐敗しやすくなる。このため、本発明の第5実施形態においては、標準保温モードで保温開始後、蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉状態を検知したとき、保温モード自動選択部6aが、図14に示すように低温保温温度から高温保温温度にするタイミングのみを標準保温モードより速くすることで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を標準保温モードよりも多くした第3保温モードに、自動的に切り替え選択するように構成されている。
【0066】
次に、上記のように構成される本発明の第5の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの切り替え選択のフローを、図15を参照しつつ説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0067】
保温モード自動選択部6aは、保温中、蓋開閉検知部81が、蓋4の開閉があったことを検知(ステップS31)した場合、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS32)。
【0068】
現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。また、現在の保温モードが第3保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは第3保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを標準保温モードから第3保温モードに切り替え選択する(ステップS33)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0069】
本発明の第5の実施形態のジャー炊飯器によれば、蓋4の開閉を検知する蓋開閉検知装置81を備え、保温モード自動選択部6aにより保温開始前に自動選択された保温モードが標準保温モードであり、且つ蓋を開けられたことを検知したとき、保温モード自動選択部6aが自動的に、低温保温温度から高温保温温度にするタイミングのみを標準保温モードより速くすることで、保温開始から予め設定された時間(例えば12時間)までの総消費電力量を標準保温モードよりも多くした第3保温モードに切り替え選択するように構成しているで、蓋開閉後の加熱ユニット3の加熱量が増え、米飯の温度が上がり、米飯の腐敗を防ぐことができる。また、自動的に標準保温モードから第3保温モードに切り替わるように構成しているので、使用者の手間を省いて、負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、必要なとき(蓋開閉時)のみ、自動的に第3保温モードに切り替え、通常は総消費電力量の少ない標準保温モードで保温するように構成しているので、省エネを効率良く達成することができる。
【0070】
なお、上記において蓋開閉検知装置81は、一例として、蒸気筒82、マグネット83、及びリードスイッチ84で構成したが、本発明はこれに限られるものではなく、任意の他の構成により、蓋4の開閉を検知するよう構成してもよい。
【0071】
《第6の実施形態》
本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器を説明する。図16は、本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図である。本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器は、切替入力部の一例である切替入力ボタン62hをさらに有する点で、第1の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第1の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0072】
切替入力ボタン62hは、図16に示すように、情報入力部62の一部に設けられている。切替入力ボタン62hは、使用者が保温モードを任意で他の保温モードに切り替え可能にするものである。なお、本発明の第6の実施形態において、保温温度制御部6cは、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが高温保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードに関わらず、高温保温モードで米飯を保温するように構成されている。つまり、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが標準保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードに基づいて、保温温度を制御するように構成されている。
【0073】
次に、上記のように構成される本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択フローを、図17を用いて説明する。なお、保温開始前の保温モードの選択フローは、上述した第3の実施形態の選択フローと同様であるので説明を省略する。
【0074】
保温モード自動選択部6aは、保温中、使用者により切替入力ボタン62hが押圧されたことを検知(ステップ41)した場合、押圧された保温モードの情報を取得する(ステップS42)。
【0075】
押圧された保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温開始前に自動選択された保温モードの情報を取得する(ステップS43)。保温開始前に自動選択された保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、保温開始前に自動選択された保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS44)。
【0076】
現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは標準保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、高温保温モードから標準保温モードに切り替え選択する(ステップS45)。
【0077】
また、押圧された保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、現在の保温モードの情報を取得する(ステップS46)。現在の保温モードが高温保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、保温モードを切り替えないか、或いは高温保温モードを再選択する。一方、現在の保温モードが標準保温モードである場合、保温モード自動選択部6aは、標準保温モードから高温保温モードに切り替え選択する(ステップS47)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、保温中に保温モードが自動的に切り替え選択される。
【0078】
第4の実施形態で述べたように、使用者が標準保温モードの低温保温温度で保温中に米飯を食べたい場合、再加熱ボタン62gを押圧することで、加熱ユニット3の加熱量を上げて米飯を再加熱し、米飯の温度を食味の良い温度まで引き上げることができる。しかしながら、米飯を小分けにして食する場合には、その度に再加熱ボタン62gを押圧しなければならず、使用者に過度の負担がかかることが有り得る。
【0079】
上記のように構成される本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、このような場合に、切替入力ボタン62hにより任意に保温モードを切り替えることができるので、必要なときに高温保温モードに切り替えて、加熱ユニット3の加熱量を上げて、米飯の温度を上げることができる。
【0080】
また、短時間で米飯を食べ切るつもりで、上記のようにして高温保温モードに切り替えたのち、短時間で米飯を食べ切れず、残った米飯を長時間保温する必要が生じることも考え得る。このような場合でも、本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、切替入力ボタン62hにより標準保温モードに切り替えて、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0081】
また、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが、総消費電力量の多い高温保温モードである場合に、保温途中で、総消費電力量の少ない標準保温モードに切り替えると、最低限必要な加熱量が必要量より不足することとなり、米飯が腐敗する。このため、本発明の第6の実施形態のジャー炊飯器によれば、保温モード自動選択部6aが自動的に選択した保温モードが高温保温モードである場合は、切替入力ボタン62hによって入力された保温モードを受け付けないようにしているので、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。
【0082】
《第7の実施形態》
本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器を、図18及び図19を用いて説明する。図18は、本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図である。図19は、本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択のフローを示すフローチャートである。本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器は、浸水時間計時部91を有する点で、第5の実施形態のジャー炊飯器と異なる。それ以外の点においては、第5の実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0083】
使用者が米を炊飯するときには、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dを押す前に必ず、米と水を入れた鍋2を本体1内にセットするために蓋4を開閉する動作が必要である。一方、本体1内にセットされた鍋2内の米と水は、セット後、すぐに炊飯されるとは限らない。例えば、使用者が外出から帰宅したときに、すぐに炊きたてのごはんが食べたいと思った時には、外出する前に予め、帰宅時間に合わせて炊飯予約がされることも考えられる。このような場合には、浸水時間が予め設定された時間以上となる可能性が高いと考えられる。
【0084】
このため、浸水時間計時部91は、蓋開閉検知装置81が蓋4が閉じられたことを検知してから、炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dが押されるまでの時間を計測するように構成されている。また、保温モード自動選択部6aは、浸水時間計時部91が計測した計時時間が、予め設定された時間(例えば10分)以上であれば予備浸水「有」と判断して高温保温モードを自動的に選択し、予め設定された時間(例えば10分)未満であれば予備浸水「無」と判断して標準保温モードを自動的に選択するように構成されている。
【0085】
次に、上記のように構成される本発明の第7の実施形態のジャー炊飯器における保温モードの選択のフローを、図19を参照しつつ説明する。なお、上述した第5の実施形態の選択フローと同様であるフローについては説明を省略する。
【0086】
浸水時間計時部91は、炊飯工程開始前に、蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉があったことを検知(ステップS41)した場合、計時時間を初期化して(ステップS42)、蓋4の開閉を検知したときからの時間をカウントしていく(ステップS43)。次いで、炊飯ボタン62dが押圧された場合(ステップS44)、保温モード自動選択部6aは、浸水時間計時部91の計時時間を読み出す(ステップS46)。一方、炊飯ボタン62dが押圧されず(ステップS44)、再び蓋開閉検知装置81が蓋4の開閉があったことを検知(ステップS45)した場合、浸水時間計時部91は計時時間を初期化する。
【0087】
次いで、保温モード自動選択部6aは、読み出した浸水時間計時部91の計時時間が予め設定された時間以上であるかどうかを判定し(ステップS47)、予め設定された時間以上であれば高温保温モードを自動的に選択し(ステップS48)、予め設定された時間未満であれば標準保温モードを自動的に選択する(ステップS49)。
以上のようにして、保温モード自動選択部6aにより、炊飯工程開始前に保温モードが自動的に選択される。
【0088】
本発明の第7の実施形態のジャー炊飯器によれば、予備浸水の有無を、蓋開閉検知装置81により蓋4の開閉を検知してから炊飯工程開始を指示する炊飯ボタン62dが押されるまでの時間により、判断している。これにより、本発明の第2の実施形態では必要であった、使用者自らが、炊飯する米の予備浸水の有無を判断する必要性も無くすことが可能になる。したがって、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることができる。また、総消費電力量も効果的に減らすことができる。
【0089】
なお、ジャー炊飯器内に被加熱物を入れた鍋をセットした後にプラグが差し込まれるなどして、電源ON状態になってから炊飯ボタン62dが押されるまでの間に、蓋4の開閉が行われないこともあり得る。このような場合に備えて、プラグが差し込まれたことを検知する検知部をさらに設け、浸水時間計時部91が、前記検知部がプラグを差し込まれたことを検知してから、炊飯ボタン62dが押されるまでの時間を計測するように構成してもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。また、上記各実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
また、上記各実施形態は、マイコンにより制御されるその他の方式のジャー炊飯器においても実施可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明にかかるジャー炊飯器は、使用者の負担を軽減するとともに、米飯の腐敗及び保温による食味劣化をさらに効果的に低減させることのできるジャー炊飯器を提供することができるので、保温機能を有するジャー炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図2】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図4】標準保温モードにおける保温温度の変化を示すグラフ
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図6】本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャート
【図8】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図9】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図10】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図11】本発明の第4の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図12】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の断面図
【図13】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図14】本発明の第5の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図15】第3保温モードにおける保温温度の変化を示すグラフ
【図16】本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の操作パネルの上面図
【図17】本発明の第6の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの切り替え選択のフローを示すフローチャート
【図18】本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の制御部関連の構成を示すブロック図
【図19】本発明の第7の実施形態にかかるジャー炊飯器の保温モードの選択フローを示すフローチャート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、
上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、
上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、
上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、
上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、
米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、
炊飯開始前に上記炊飯情報入力部により入力された上記炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、
上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、
を備えることを特徴とするジャー炊飯器。
【請求項2】
上記炊飯情報には、米の米種情報、米の新米度情報、米の組織の硬さ情報、及び予備浸水情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載のジャー炊飯器。
【請求項3】
炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、
上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、
上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、
上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、
上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、
上記鍋底加熱手段による鍋加熱動作開始時に上記鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、
上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、
を備えることを特徴とするジャー炊飯器。
【請求項1】
炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、
上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、
上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、
上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、
上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、
米の炊飯に関する炊飯情報が入力される炊飯情報入力部と、
炊飯開始前に上記炊飯情報入力部により入力された上記炊飯情報に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、
上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、
を備えることを特徴とするジャー炊飯器。
【請求項2】
上記炊飯情報には、米の米種情報、米の新米度情報、米の組織の硬さ情報、及び予備浸水情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載のジャー炊飯器。
【請求項3】
炊飯器本体の内部に収納され、米飯を収容可能な鍋と、
上記鍋の上部開口部を覆う開閉自在な蓋と、
上記鍋を加熱する鍋底加熱手段と、
上記鍋の温度を検知する鍋温度検知センサと、
上記鍋底加熱手段の鍋加熱動作を制御する加熱制御部と、
上記鍋底加熱手段による鍋加熱動作開始時に上記鍋温度検知センサより検知された鍋温度に応じて、保温開始から保温終了まで通常保温温度で米飯を保温する高温保温モードと、前記通常保温温度より低い低温保温温度と前記通常保温温度より高い高温保温温度とを交互に繰り返した後、前記通常保温温度に移行する標準保温モードとのいずれか一方を自動的に選択する保温モード自動選択部と、
上記保温モード自動選択部で選択された上記保温モードと、上記鍋温度検知センサで検知された検知温度とに基づいて、上記加熱制御部を制御して、保温温度を制御する保温温度制御部と、
を備えることを特徴とするジャー炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−101212(P2009−101212A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29657(P2009−29657)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願2006−45213(P2006−45213)の分割
【原出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願2006−45213(P2006−45213)の分割
【原出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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