説明

スイッチの製造方法及びスイッチ

【課題】小型化とスリム化の実現を可能とし、さらに接点部で導通不良が発生しても全ての部品を廃棄せず、他の部品の有効利用が可能になり、しかも製造されたスイッチに対して電圧仕様の変更を可能にすることができるスイッチの製造方法及びスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ100を分割可能に構成し、分割される一側を、操作子120と電源スイッチ機構130に加えて、復帰バネ140と電源リセット機構150を積層して取り付ける積層取付部112を備えて構成されるハウジング110とし、分割される他側を、ハウジング110の前記積層取付部112に取り付けられる復帰バネ140と電源リセット機構150とを備えて構成される電源リセットユニット180とし、該電源リセットユニット180をハウジング110の前記積層取付部112の下方より着脱可能に取り付けることを特徴とするスイッチの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複写機、パーソナルコンピュータ等に使用されるようなスイッチの製造方法に関し、さらに詳しくは共用性に優れたスイッチの製造方法及びスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、データ保護性能を持たせるスイッチとして、例えばシーソー状に操作される操作子を利用者が手動で操作することにより、スイッチ内部で接離可能に対向されている接点部を接触させてスイッチの電源をオンしている。その後、制御部が出力したリセット信号によって自動的に操作子を反転させて電源オフ状態に切り替わるようにしたリセット機構付きスイッチが知られている。
【0003】
このリセット機構付きスイッチは、ハウジングの内部に可動片と固定端子との接点部を接離させて電源をオンオフさせる電源スイッチ機構と、電源のオン保持状態をソレノイドにより解除させる電源リセット機構とが内蔵されている。
【0004】
具体的には1つの電源リセット機構と、その両側に2つの電源スイッチ機構をハウジング内に並列して配置している。このため、ハウジング内では3列に並列配置するスペースを要し、並列数に応じてスイッチの大きさは短手方向(幅方向)の寸法が大きくなっていた。また、スイッチの長手方向においても長尺の可動片をハウジングの内部に回動させてオンオフ可能に配置することから長手方向の寸法が長くなっていた。
この結果、現状ではスイッチの小型化に限界が生じ、さらなるスイッチのスリム化や小型化を図ることができなかった。
【0005】
さらに、この種のスイッチは電源スイッチとして大きな電流を開閉する用途に用いられるが、この際に接点部で溶着が起こりやすくなっていた。このため、可動片を復帰させるバネの付勢力を高めて接点部間を確実に離間させることが考えられるが、バネの付勢力を高めるとスイッチの操作感触が悪くなり、またバネの高付勢圧を受けるスイッチ機構部での磨耗を早めて寿命が短くなる問題を有していた。
【0006】
また、ハウジングに電源リセット機構を組み込む際、凹形状を有するハウジングの底面に形成されている孔部にL形状に構成された電源リセット機構の嵌合爪を着脱可能に嵌合させている。これにより、電源スイッチ機構の接点部が溶着しても分解して修復し、分別廃棄、リサイクルできるようにしたリセット機構付きスイッチが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
しかし、前記リセット機構付きスイッチを分解するには、ハウジングの凹形内方を開放するために他の部品を取り外さなければならず手間が掛かっていた。例えば、ハウジングの上面を覆うように組み付けられている操作子を取り外し、さらにハウジングの底面に嵌合している電源リセット機構の複数の嵌合爪を狭い空間で離脱させる細かな操作を必要とし、分解や修復するには多大な作業労力や熟練者を必要としていた。
【0008】
このようなことからスイッチの検査時に、接点部で導通不良が発生しているスイッチを検出した場合は、生産能率の観点から手間の掛かる一連の復旧作業(分解→修復または部品交換→再組立)をせずに、その導通不良が発生したスイッチを廃棄する場合が多くなっていた。
【0009】
このほかにも、リセット信号用にスイッチに内蔵されているソレノイドに対しても、その電圧仕様はスイッチの用途に応じて5V、12V、24Vなどの複数の仕様に設定して製造されている。このため、製造されたスイッチに対しては電圧仕様を変更することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3988323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、小型化とスリム化の実現を可能とし、さらに接点部で導通不良が発生しても全ての部品を廃棄せず、他の部品の有効利用が可能になり、しかも製造されたスイッチに対して電圧仕様の変更を可能にすることができるスイッチの製造方法及びスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、ハウジングに支持されて一方と他方に揺動操作される操作子と、前記操作子が前記一方に揺動操作されると前記ハウジング内で対向する可動片と固定端子との接点部を接触させる電源スイッチ機構と、前記操作子が前記他方に揺動操作されると揺動操作方向に前記操作子を付勢する復帰バネと、前記操作子が前記一方に揺動操作されることに従い前記復帰バネの復帰力を規制して前記可動片と固定端子との接点部の接触状態を保持する保持部と、該保持部によって保持された前記接触状態を解除させる解除部とで構成される電源保持解除機構とを備えたスイッチの製造方法であって、前記スイッチを分割可能に構成し、分割される一側を、前記操作子を前記ハウジングの上部に搭載し、該操作子の前記他方の下部側に前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを積層して取り付ける積層取付部を備えて構成されるハウジング本体とし、分割される他側を、前記ハウジング本体の前記積層取付部に取り付けられる前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを備えて構成される電源保持解除機構部とし、前記電源保持解除機構部を前記ハウジング本体の前記積層取付部の下方より着脱可能に取り付けるスイッチの製造方法であることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、ハウジング本体の下方から電源保持解除機構部を直接着脱できるので、スイッチを構成している他の部品を事前に取り外す必要がなくなる。このため、電源保持解除機構部を取り外す際は、ハウジング本体の上部に搭載されている操作子を取り付けたままで該電源保持解除機構部を取り外し、また取り付けることができる。
【0014】
殊に、スイッチを構成している他の部品を着脱する方向は上面を開放したハウジング本体の上面側から着脱するのに対し、電源保持解除機構部の着脱方向はハウジング本体の下面側から着脱するため、操作子を外す必要がなくなるなど他部品と干渉しない配置構造及び着脱操作が可能になる。
【0015】
また、電源保持解除機構部は復帰バネと前記電源保持解除機構とを積層状態にして着脱することができる。例えば、上下方向に重ね合わせて直方体のように一体化し、シンプルな形に構成することができる。このため、ハウジング本体の他方で積層取付部側も縦長の収納空間があればよく、スイッチの平面的な大きさを極力縮小化した構成が可能となる。さらに、復帰バネと電源保持解除機構の上下方向の動きは積層方向となるため、動作方向と配置方向が揃って効率の良いコンパクトな収納構成が可能になる。
【0016】
さらに、スイッチの製造後においても、電源保持解除機構部をハウジング本体に着脱できるため、別の電源保持解除機構部と取り替えることができる。このため、例えば5V、12V、24V等の電圧仕様の異なる電源保持解除機構部をスイッチの製造後であっても選択して取り替えることが可能になる。つまり、同じスイッチでありながら電圧仕様の変更が可能な共用機能を有する用途の広いスイッチとなる。
【0017】
この発明の態様として、前記電源保持解除機構部を位置決め手段により前記積層取付部の中心位置及び高さ位置を位置決めして取り付けるスイッチの製造方法であることを特徴とする。
【0018】
位置決め手段としては、スイッチの部品を取り付ける製造過程で積層取付部に電源保持解除機構部を取り付ける時に、予め定められた定位置で取り付けるように双方を対応させることで定位置に位置決めすることができる。例えば、凹凸係合により位置決めすることができる。
【0019】
さらに、この発明のスイッチの製造方法によると、積層取付部に電源保持解除機構部を該積層取付部の下方より差し込むだけで平面的な中心位置に自然に取り付けられる。さらに、積層取付部への下方からの差込量を予め定めておき、その差込完了位置で抜け止め固定すれば高さ方向の位置合せをも可能になる。
【0020】
また、電源保持解除機構部は復帰バネと電源保持解除機構とを一体化して独立して取り扱えるため、取り付けに際しては、下方より差し込むだけでハウジング本体に簡単に取り付けることができ、短時間で能率の良い組み立てができる。したがって、スイッチの組立性能が向上し、同時にスイッチの生産性も向上する。
【0021】
また、この発明の態様として、前記積層取付部にスライドさせて着脱させるスライドケースを備え、前記スライドケースに前記電源保持解除機構部を一体に組み込んで該スライドケースを前記積層取付部にスライドさせて着脱させるスイッチの製造方法であることを特徴とする。
【0022】
この発明のスイッチの製造方法によると、電源保持解除機構部を例えば直方体等のスライドケースに組込んで用いるため、コンパクトに効率よく収納できる。そして、着脱に際しては、スライドケースごと積層取付部の下方より装着あるいは離脱と上下方向にスライドさせることで簡単に着脱できる。
【0023】
さらに、電源保持解除機構部の複数のスイッチ部品を集約させて1部品のスライドケースとして取り扱えるので組立性の向上及び作業性の向上が図れる。例えば、スイッチの製造過程において、1つのスイッチをハウジング本体と、スライドケースとの2部品に分割して事前に組み立てておくことができる。このため、組み立てられた2部品を事前に検査することができる。
【0024】
つまり、スイッチの完全な組立て前に各ハウジング本体とスライドケースとの良否をそれぞれチェックし、不良品を検出すれば、スイッチの組立て前に各ハウジング本体とスライドケースのうち不良品となった一方を排除することができる。このため、スイッチの組立て完了後に不良品の発生が減少し、作業性及び生産性の良好なスイッチの製造が可能になる。
【0025】
この発明の態様として、ハウジングに支持されて一方と他方に揺動操作される操作子と、前記操作子が前記一方に揺動操作されると前記ハウジング内で対向する可動片と固定端子との接点部を接触させる電源スイッチ機構と、前記操作子が前記他方に揺動操作されると揺動操作方向に前記操作子を付勢する復帰バネと、前記操作子が前記一方に揺動操作されることに従い前記復帰バネの復帰力を規制して前記可動片と固定端子との接点部の接触状態を保持する保持部と、該保持部によって保持された前記接触状態を解除させる解除部とで構成される電源保持解除機構とを備えたスイッチであって、前記操作子を前記ハウジングの上部に搭載し、該操作子の前記他方の下部側に前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを積層して取り付ける積層取付部を備えて構成されるハウジング本体と、前記ハウジング本体の前記積層取付部に下方より着脱可能に取り付けられ、前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを備えて構成される電源保持解除機構部とでスイッチを構成することができる。
【0026】
この発明によると、1つのスイッチを2つに分けて一体化状態と分割状態との2態様にすることが可能な機能と、その分割するときの着脱方向をハウジング本体の下方に設定しているため、他の部品との干渉を避けてハウジング本体に直接着脱することができる効率の良い取り付けが可能になる。また、電源保持解除機構部の電圧仕様の変更が可能になるため、該スイッチの用途先においても直ぐに必要な電圧仕様タイプを選択して現場に即した利用が可能になる。
【0027】
このほか、スイッチは操作子が一方に揺動したときの揺動操作側に電源保持解除機構を配置しているため、操作子を一方に揺動操作した際に該操作子が直接、前記電源保持解除機構の保持部を保持させる構成となっている。このため、操作子を一方に揺動操作したときの揺動操作力が直接保持部に加わり、直接保持部を操作する構成が可能になる。
【0028】
さらに、電源スイッチ機構と電源保持解除機構とがハウジング内で操作子の揺動操作方向の一方と他方に分けて配置することができるため、これらの機構をハウジングの中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジングの幅方向を狭めてスリム化したスイッチの製作が可能になる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記積層取付部は、前記電源保持解除機構部を該積層取付部に中心位置及び高さ位置を位置決めして取り付ける位置決め手段を備えて構成することができる。
【0030】
位置決め手段としては、積層取付部に電源保持解除機構部が取り付けられる時に、定位置で固定するように双方を対応させることで達成することができる。例えば、凹凸係合により抜け止めして位置決めすることができる。
【0031】
この発明によると、積層取付部に電源保持解除機構部を該積層取付部の下方より差し込むだけで位置決めされて平面的な中心位置に取り付けられる。これにより、積層取付部の開口面に対する中心位置合せが可能になり、部品間の正確な接続及び電気的な導通接続を安定して確保することができる。さらに、積層取付部への下方からの差込量を定めておき、その差込完了位置で例えば抜け止め固定するようにすれば高さ方向の位置合せをも可能になる。この際は、スイッチの底面が他部品の底面高さと揃うなどスイッチの外形状が段差なく揃って美観を損なうことがない。
【0032】
また、電源保持解除機構部は復帰バネと電源保持解除機構とを一体化して独立して取り扱える。このため、取り付けに際しては、下方より差し込むだけでハウジング本体に簡単に取り付けることができ、短時間で能率の良い組み立てができる。したがって、スイッチの組立性能が向上し、同時にスイッチの生産性も向上する。さらに、電源保持解除機構部の取り外しにおいても、積層取付部から引き出し許容状態にしてハウジング本体の下方より真下に引き出すだけでよく、熟練を要せず簡単に取り外すことができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記電源保持解除機構部は、前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを前記積層取付部にスライドさせて着脱させるスライドケースに一体に組み込んで構成することができる。
【0034】
この発明によると、電源保持解除機構部をスライドケースに組込んで用いられるため、コンパクトに収納できるとともに、その外周囲を保護した状態で取り扱える。そして、着脱に際しては、スライドケースごと積層取付部の上下方向にスライドさせて簡単に着脱できる。この場合、スライドケースの外周面が積層取付部の内周面に接してガイドされながら着脱されるため円滑な着脱が得られる。さらに、スライドケースは独立した一体構造であるため、該スライドケースの外周面等に位置決め部分を簡単に構成できる。また、複数の部品を集約させて1部品として取り扱えるので組立性の向上及び作業性の向上が図れる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記スライドケースの上部側に、前記復帰バネを付勢方向にガイドするバネガイド手段を備えて構成することができる。
【0036】
前記バネガイド手段は、上下方向に伸縮する復帰バネのガイド部材としての役目を有し、例えば復帰バネの内周面をガイドする内周ガイド部材や復帰バネの外周面をガイドする外周ガイド部材で構成することができる。
この発明によると、復帰バネの下部側をバネガイド手段でガイドすることにより、復帰バネを復帰バネ付勢方向に円滑にガイドさせることができ、該復帰バネの上部をその上方で対向する操作子の下面と正確に対応させることができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記スライドケースの下部側に、前記解除部の端子に接続させるコネクタガイドを備えて構成することができる。
【0038】
この発明によると、解除部の端子と外部から接続されるコネクタとを正確に位置合せして部品間の接合を確実にし、且つ電気的な導通を確保して接続させることができる。これにより、外部のコネクタとの配線接続時にあっても接触信頼性の高い接続を確保できる。
【0039】
このように構成されたスイッチは、小型のスイッチとして例えば、複写機、パーソナルコンピュータ等の制御部を備えた各種の電子機器に広く適用することができる。
【発明の効果】
【0040】
この発明によれば、小型化とスリム化の実現を可能とし、さらに接点部で導通不良が発生しても全ての部品を廃棄せず、他の部品の有効利用が可能になり、しかも製造されたスイッチに対して電圧仕様の変更を可能にすることができるスイッチの製造方法及びスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】スイッチの外観斜視図。
【図2】スイッチを斜め前方から見た分解斜視図。
【図3】スイッチを斜め後方から見た分解斜視図。
【図4】電源スイッチ機構を一部断面して示す前方から見た要部斜視図。
【図5】電源スイッチ機構を一部断面して示す後方から見た要部斜視図。
【図6】電源リセットユニットを示す外観斜視図。
【図7】電源リセットユニットの分解斜視図。
【図8】電源リセットユニットの縦断面図。
【図9】電源リセットユニットと操作子との対応状態を示す斜視図。
【図10】電源リセットユニットの着脱状態を示す斜視図。
【図11】スイッチのオンオフ動作状態を示す縦断面図。
【図12】可動片のワイピング動作を断面して示すスイッチの説明図。
【図13】接点部の溶着解離動作を断面して示すスイッチの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0043】
図面はリセット機能を備えたスイッチを示している。図1(A)は一側から見たスイッチ100の外観斜視図を示し、図1(B)は他側から見たスイッチ100の外観斜視図を示している。図2は一側から見たスイッチ100の分解斜視図を示し、図3は他側から見たスイッチ100の分解斜視図を示している。
【0044】
このリセット機能を備えたスイッチ100は、ハウジング110に、操作子120と、電源スイッチ機構130と、復帰バネ140と、電源リセット機構150とを組込んで構成される。
【0045】
ハウジング110は、上面を開放した箱形状を有し、その長手方向Xの一側に上述の電源スイッチ機構130を組込む凹形状の空洞部111を有し、長手方向Xの他側に復帰バネ140と電源リセット機構150を積層して底部から取り付ける積層取付部112を有している。
【0046】
さらに、底部側には下方に並列して垂設される2組の合計4本の端子を仕切る端子仕切部113を有している。そして、ハウジング110の上部側に開口されている空洞部111への電源スイッチ機構130の組込み後に、該空洞部111の上面開口部に対して平面的に閉鎖する操作子120を回動自在に取付けている。
【0047】
さらに、このハウジング110の幅方向Yの両外側面にはスイッチ100を抜止取付用に図示しない機器に嵌め込んで取り付けるため、くの字形に外向きに突出させた弾性係止片114を有している。また、このハウジング110の広幅外側面の両側中央部には後述する操作子120を回動可能に支持するための枢支孔115を有している。
【0048】
上述の操作子120は直方体の底面を開放した箱形状に設けられ、その上面を指先で押下するのに適した緩やかな凹状円弧面にした押下操作面121としている。さらに、操作子120の長手方向X外側面の両側中央部には支軸122を突設している。これらの支軸122は上述したハウジング110の枢支孔115に回動自由に枢支されて、両側の枢支部分を回動支点に操作子120はハウジング110にシーソー状に回動自由に取り付けられている。
【0049】
このように操作子120は、ハウジング110内でシーソー状に回動自由に枢支されて長手方向Xに揺動し、この揺動操作された方向の一方F1を電源オン側に設定し、他方F2を電源オフ側に設定している。
【0050】
さらに、この操作子120は底面の開放された内部空間の一側に下向きに突出する押子123(図11参照)を垂設している。この押子123の下端部で上向きに付勢された後述する可動磁性片152の上面を下向きに押下する構成としている。
【0051】
さらに、操作子120は回動して電源をオンオフ操作する操作部材として備えられ、該操作子120の下面に、第1スイッチ操作部124と、第2スイッチ操作部125と、強制加圧片126とが備えられている。
【0052】
上述の第1スイッチ操作部124と第2スイッチ操作部125は操作子120の両側の支軸122間を結ぶ下面両側に形成されている。第1スイッチ操作部124は後述する第1電源スイッチ機構160の上部に備えられる第1スプリング連結体161の上部を嵌合保持する上バネ座としての円形孔を有している。また、第2スイッチ操作部125は後述する第2電源スイッチ機構170の上部に備えられる第2スプリング連結体171の上部を嵌合保持する上バネ座としての円形孔を有している。
【0053】
また、上述の強制加圧片126は、前記第1スイッチ操作部124と第2スイッチ操作部125との両側の側壁を縦長の長方板として垂設した垂設部分を該強制加圧片126としている。この強制加圧片126は操作子120の下面中央両側に該操作子120の一部として垂設されている。このため、該操作子120と一体に回動する。そして、図13に後述するように、該操作子120がオフ操作される該操作子120の操作力を電源スイッチ機構130の可動片162,172に伝達させて強制加圧を可能とし、その際に対向する固定端子の接点部間を強制離間させる構成としている。
【0054】
図4は図2の分解斜視図を組み立てた側より見た第1電源スイッチ機構160を表わす要部斜視図を示している。また、図5は図3の分解斜視図を組み立てた側より見た第2電源スイッチ機構170を表わす要部斜視図を示している。
前記電源スイッチ機構130は、第1電源スイッチ機構160と第2電源スイッチ機構170との2回路に対応して並列される2連のスイッチ構成を有している。
【0055】
上述の第1電源スイッチ機構160は、第1スプリング連結体161と、可動片162と、固定端子163と、共通固定端子164とを備えて構成される。
【0056】
第1スプリング連結体161は、細径のコイルスプリングを用いる。この第1スプリング連結体161は上端部を上述の第1スイッチ操作部124に嵌合させて操作子120と連結している。下端部は後述する可動片162の上向きに突出する嵌合突起165を該コイルスプリングの孔内に差し込んで嵌合させることにより可動片162に抜止めして連結している。この第1スプリング連結体161は、組立前の自由状態では真っ直ぐな円筒状を有しているが、組み立てられることによって上下端部が支持されて軸方向中央部が一方に若干屈曲されたくの字形となる。
【0057】
上述の可動片162は導電性金属板をL形状に屈曲し、L形屈曲部分を回動支点部として後述する共通固定端子164に回動可能に支持されている。そして、可動片162の中間部に上述した嵌合突起165を切り起して形成し、L形水平片側の先端部に導電性の接点部166を固着している。
【0058】
固定端子163は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に導電性の接点部167を固着している。そして、該固定端子163の逆L形垂直片側をハウジング110の端子取付孔116に差し込んで取り付ける。この際、該接点部167はハウジング110の底面に上向きに配置され、その上方の可動片162の接点部166と対向させている。
【0059】
同じく、共通固定端子164は導電性金属板を逆L形状に屈曲し、その上面に可動片支持部168を切り起こして形成している。そして、逆L形垂直片側をハウジング110の端子取付孔116に差し込んで取り付ける。
【0060】
ここで第1スプリング連結体161は、くの字形に第1スイッチ操作部124と可動片162との上下間に連結されており、第1スイッチ操作部124を形成している操作子120が回動することにより、その下方の回動軌跡上で第1スプリング連結体161を支持している上部での向きが一方F1と他方F2では異なる。この回動軌跡上で一方F1と他方F2に異なる角度差を生じさせることで該第1スプリング連結体161の中間部が反転して下方の可動片162に対するスイッチ操作力を与えるようにしている。
【0061】
また、第1スプリング連結体161を用いることにより、弾性に富み、軸方向だけでなく、その交差方向に対しても柔軟な屈曲性を有し、スイッチのように繰り返しオンオフさせるのに必要な弾性変形を容易に得ることができる。したがって、操作子120の回動に追従可能な柔軟性に富む第1スプリング連結体161を用いることにより、上述の回動軌跡上での角度差に容易に追従して下方の可動片162をオン方向とオフ方向に円滑に回動させることができる。
【0062】
第2電源スイッチ機構170は、前記第1電源スイッチ機構160と同一の構成を有して配置される。さらに、これらの第1電源スイッチ機構160と第2電源スイッチ機構170とは1つの操作子120の操作力を同時に受ける並列位置に配置されている。このため、第2電源スイッチ機構170は第1電源スイッチ機構160と同機能を有して同時にオンオフ操作が実行される。
【0063】
このため、第2電源スイッチ機構170は第1電源スイッチ機構160の各部品と同一の部品が配置される。よって、同一の構成部品であることから第1スプリング連結体171と可動片172と固定端子173と共通固定端子174と嵌合突起175と各接点部176,177等を備えた第2電源スイッチ機構170の同一の説明は既に第1電源スイッチ機構160で述べているので省略する。
【0064】
これらの第1電源スイッチ機構160と第2電源スイッチ機構170とはハウジング110内において図4及び図5にも示すように、第1仕切りプレート117により仕切られている。このため、各スイッチ機構160,170はハウジング110の内壁と仕切りプレート117とによって1つの区画されたスイッチ操作空間を確保している。
【0065】
さらに、前記仕切りプレート117は上面が操作子120の一方F1と他方F2での回動を規制するストッパ面となり、図11(B)に示すように、該操作子120の一方と対向する仕切りプレート117の上面にオンストッパ面117aを傾斜形成している。さらに、操作子120の他方と対向する仕切りプレート117の上面にオフストッパ面117bを傾斜形成している。
【0066】
図6は復帰バネ140と電源リセット機構150とを組み立てて一体化構成した電源リセットユニット180の斜視図を示し、図7はその電源リセットユニット180の分解斜視図を示し、図8はその電源リセットユニット180の要部縦断面図を示している。
【0067】
この電源リセットユニット180は、復帰バネ140と電源リセット機構150とを一体化して組み立てたものである。このように予め組み立てておくことにより独立して取り扱うことが可能になる。このため、予め図7に示すような複数の構成部品を図6に示すように一体化して構成するものである。したがって、ハウジング110への取り付けに際しても短時間で能率の良い組立てが可能になる。
【0068】
さらに、電源リセットユニット180の取り付けに際しては、ハウジング110の下方より取り付けることを可能にしている。これにより、他の部品との干渉を避けてハウジング110に直接取り付けることができる効率のよい取り付けを可能にしている。
【0069】
また、電源リセットユニット180をハウジング110の下方より差し込むだけでよく、簡単な取り付けを実現できるだけでなく、取付完了後においても、下方に引き出せば簡単に取り外すことができる着脱構造を有するものである。このように、1つのスイッチ100をハウジング110側と電源リセットユニット180側との2つに分けて取り扱うという構成を有するものである。
【0070】
以下、電源リセットユニット180の詳細な構成について説明する。
上述の電源リセットユニット180に組込まれる復帰バネ140は、コイルスプリングにより構成される。この復帰バネ140は後述する電源リセット機構150の可動磁性片152とソレノイド151との上下間に介在される。通常、復帰バネ140は図11(A)に示すように、伸長して可動磁性片152を介して操作子120を押し上げ、操作子120をオフ方向に回動させた待機状態にある。
【0071】
同じく上述の電源リセットユニット180に組込まれる電源リセット機構150は、ソレノイド151と可動磁性片152と永久磁石153と固定磁性片(ヨーク)153aとリセット信号入力端子154と、これらを収納支持するスライドケース155と、下部カバー156を備えて構成される。
【0072】
ソレノイド151は、板状の外周面にコイルを巻回し、上面には上下方向に開口する左右一対の挿通部151aを備えている。これらの挿通部151aに後述する可動磁性片152の脚部152aを上下方向に挿通可能に構成している。さらに、挿通した可動磁性片152の内端部側に、永久磁石153と固定磁性片153aとリセット信号入力端子154とが対向して配置されている。また、下部にはスライドケース取付け用に水平方向に貫通した係合孔151bを設けている。
【0073】
上述の可動磁性片152はT字形を有し、このT字形部分の下部側に2列に垂設した脚部152aを有し、これらの脚部152aがソレノイド151の各挿通部151aに挿通自由に設けられている。
また、この可動磁性片152はT字形の両側に延出した下面段差部分が復帰バネ140の上バネ座152bとなっている。そして、スライドケース155の上面が下バネ座155aとなり、これらの上下バネ座152b,155a間に復帰バネ140が伸縮自由に保持される。通常、スイッチの待機状態では図4及び図5に示すように、復帰バネ140が伸長して操作子120の一方を押し上げた状態にある。
【0074】
そして、操作子120がオン操作されて、該操作子120の下面の押子123が可動磁性片152の上部を下向きに押すと、可動磁性片152は復帰バネ140の付勢力に抗して下動する。その後、可動磁性片152の脚部が下端に至ると、その下方に対向する直方体の永久磁石153と、その永久磁石153を中央に挟んで両側に配設されるU字形の固定磁性片153aとにより吸着保持される。この吸着保持状態では図6及び図8に示すように前記復帰バネ140は上下方向に圧縮された状態に保持されている。この吸着保持作用により、電源オン状態が保持される。この電源オン状態でソレノイド151に対して外部より磁気解除作用をリセット信号入力端子154を介して与えると、その吸着保持を解除して電源オフする解除機能を有している。
【0075】
スライドケース155は、図7に示すように、箱形状を有する一側面を開口して設けられ、この開口された内部空間155bにソレノイド151を立姿勢で収納している。この内部空間155bの奥壁面下部にはソレノイド取付ピン155cを並列に突出しており、両ソレノイド取付ピン155cがソレノイド151取付時に該ソレノイド151の下部に横貫されている係合孔151bに水平に挿通してソレノイド151を正確に内部空間155bに位置決めして取り付ける。
【0076】
さらに、この内部空間155bを形成している天板には図8に示すように、可動磁性片152の脚部152aを挿通させる左右一対の天板挿通孔155dを開口している。これにより、可動磁性片152を上下動可能に支持している。また、内部空間155bを形成している底板の前端面には左右一対の上下方向の端子嵌合溝155eを切り欠いて設けている。
【0077】
スライドケース155の上部には、復帰バネ140の下バネ座155aでのガイド性能を高めるための内周バネガイド部155fと外周バネガイド部155gとを備えている。
【0078】
内周バネガイド部155fはスライドケース155の上面中央部で復帰バネ140の内径より小さく、且つ該復帰バネ140の内周面を上下方向にガイド可能に起立させた起立板を形成し、前記天板挿通孔155dを長手方向X(図5)より跨いだ状態に前記起立板を並列して配置している。
【0079】
すなわち、内周バネガイド部155fは起立板の外側が復帰バネ140の内周側をガイドする役目を有し、並列する起立板の起立対向面間で前記可動磁性片152を上下方向にガイドするガイド機能とを兼用させて持たせている。これにより、内周バネガイド部155fで上下方向に動く復帰バネ140と可動磁性片152とをそれぞれガイドできるようにしている。
【0080】
外周バネガイド部155gは、スライドケース155の上面に前記内周バネガイド部155fを中心とする両側に復帰バネ140の外周面に沿う一定長さの円弧形状を起立して形成している。これにより、外周バネガイド部155gが復帰バネ140の両側外周面に沿ってガイド可能に対応し、復帰バネ140を上下方向にガイドする。
【0081】
さらに、スライドケース155の両側面には、抜止溝155hと上係止突起155iと下係止突起155jとをこの順に上方から下方にかけて有している。
抜止溝155hは、スライドケース155が後述する積層取付部112に取り付けられたときに、その内部で抜け止め固定される。
【0082】
上述の積層取付部112は、ハウジング110の凹形内の一方F1の底部を開口して上下方向に貫通した平面視長方形状の縦長空間である。さらに、この縦長空間の中空高さの両壁面には図9に示すように、前記抜止溝155hと凹凸対応する抜止突起112aを突設している。
【0083】
したがって、電源リセットユニット180を積層取付部112の下方から押し込んでスライドさせて取り付けるときに、スライド後の取付完了位置で電源リセットユニット180のスライドケース155は両側の抜止溝155hが、積層取付部112の幅方向Yの両側内壁面より突出する抜止突起112aに凹凸対応して両側より係合する。これにより、電源リセットユニット180は積層取付部112内で抜止め固定されて取り付けられる。
【0084】
このとき、積層取付部112では、電源リセットユニット180を該積層取付部112に中心位置及び高さ位置を位置決めして組込むように構成している。
【0085】
位置決めに際しては、積層取付部112に電源リセットユニット180が取り付けられる時に、スライドケース155の箱形状を有する前後左右の側面を垂直方向に摺接ガイドするように積層取付部112の断面四角形状の収納空間を設けるだけでスライドケース155の前後位置が正確に位置決めされて平面的な中心位置に導いて取り付けることができる。
【0086】
さらに、抜止溝155hに対しては、図5に示すように、一側の抜止溝155hの溝内に狭幅の位置決め突起155kを形成し、この位置決め突起155kの長手方向X端面に前記抜止突起112aを対応させることで、より一層、長手方向Xの位置決め精度を高めることもできる。
【0087】
また、積層取付部112に電源リセットユニット180が取り付けられる時に、スライド完了した定位置で固定するように前記抜止溝155hと抜止突起112aとを位置決め対応させることで上下方向が正確に位置決めされる。すなわち、積層取付部112への下方からの差込量を定めておき、その差込完了位置で凹凸対応させて抜け止め固定することで高さ方向の位置合せができる。
【0088】
また、上述の上係止突起155iと下係止突起155jはスライドケース155の両側面の上下に突出し、後述する下部カバー156を係合させて連結させる役目を有している。このうち、上係止突起155iはスライドケース155の下部両側面に突出させて設けている。これに対し、下係止突起155jはスライドケース155の下部に、該スライドケース155より一回り小さいコ形状のコネクタガイドケース155lを垂設させ、そのコネクタガイドケース155lの両側面に突出させて設けている。
【0089】
そして、コネクタガイドケース155lのコ形状の内面に、リセット信号入力端子154に接続させるコネクタ連結部155mを構成している。したがって、後述する下部カバー156と組み合わせることによってリセット信号入力端子154と外部から接続される図示しないコネクタとを正確に位置合せして精度よく接続することができ、電気的に確実に導通させることができる。これにより、外部のコネクタとの配線接続時にあっても接触信頼性の高い接続を確保できる。
【0090】
上述の下部カバー156は、スライドケース155の下部幅より一回り大きく形成され、大きいコ形状と小さいコ形状とを上下に有する平面視2段階のコ形状に設けられ、上部広幅側のコ形状には前記上係止突起155iに対応する上係合溝156aを有し、下部狭幅側のコ形状には前記下係止突起155jに対応する下係合溝156bを有している。
【0091】
そして、この下部カバー156でスライドケース155の下部開放側を覆うように凹凸対応させた際に、上係合溝156aが上係止突起155iに係合し、下係合溝156bが下係止突起155jに係合して下部カバー156はスライドケース155の下部に連結して一体化される。これにより、平面視長方形状に囲まれたコネクタ連結ガイド用の接続空間155nが形成される(図10参照)。
【0092】
なお、下部カバー156の正面には端子保護プレート156cを有しており、取り付けたときに端子保護プレート156cがリセット信号入力端子154の露出部分を覆って保護する役目を有している。
【0093】
図9は電源リセットユニット180をハウジング110に組み込んだ内部状態を一部断面して示す斜視図、図10(A)は電源リセットユニット180の取付前の状態を示す斜視図、図10(B)は電源リセットユニット180の取付後の状態を示す斜視図である。
【0094】
上述の電源リセットユニット180を組込む側のハウジング110は、図10(A)に示すように一方F1に収納空間である積層取付部112を備えて構成される。したがって、このハウジング110の積層取付部112に電源リセットユニット180が着脱されるが、積層取付部112の形状及び電源リセットユニット180の形状は同一であるため、電源リセットユニット180の共通利用を可能にしている。したがって、後述する電圧仕様が異なる電源リセットユニット180を選択可能に変更することができる。
【0095】
なお、電源リセットユニット180の取付前と、取付後のスイッチ100は電源リセットユニット180の有無が異なるだけであり、いずれも操作子120と電源スイッチ機構130とを備えている。このため、2つに分割可能に構成される一側をハウジング110と共通して総称し、他側を電源リセットユニット180と称する。
【0096】
また、スイッチ100の上方と下方は、ハウジング110に操作子120を搭載する側を上方とし、これとは反対面側であるハウジング110の下面側を下方と称して定義する。したがって、図10に示すように、スイッチ100及びハウジング110を逆さまに表示してもスイッチ100の上方と下方の呼称は変わらない。
【0097】
このように構成された電源リセットユニット180をハウジング110に組み込む際は、図10(A)に示すように、ハウジング110の一側に開口されている平面視長方形状の縦長空間である積層取付部112の下方より電源リセットユニット180を差し込む。このとき、電源リセットユニット180の抜止溝155hが積層取付部112の抜止突起112aと対応した時点で係合し、電源リセットユニット180が積層取付部112に抜止め固定して取り付けられる。
【0098】
この電源リセットユニット180の取り付けに際しては、電源リセットユニット180ごと上下方向にスライドさせるだけで簡単に取り付けることができる。また、スライドケース155の外周面が積層取付部112の内周面に接してガイドされながら着脱されるため円滑な着脱が得られる。さらに、電源リセットユニット180は独立した一体構造であるため、該電源リセットユニット180の外周面等の一部に位置決め部分を簡単に構成できる。また、複数の部品を集約させて1部品として取り扱えるので組立性の向上及び作業性の向上が図れる。
【0099】
さらに、電源リセットユニット180を取り付けた時点で、位置決めされて平面的な中心位置に取り付けられるため、部品間の正確な接続及び電気的な導通接続を安定して確保することができる。さらに、差込完了位置で抜け止め固定するため高さ方向の位置合せもできる。この際は、スイッチの底面が他部品の底面高さと揃うなどスイッチの外形状が段差なく揃って直方体にまとまり美観を損なうことがない。
【0100】
殊に、ハウジング110の下方から電源リセットユニット180を着脱できるので、スイッチを構成している他の部品を事前に取り外す必要がなくなる。このため、電源リセットユニット180を着脱する際は、ハウジング110の上部に搭載されている操作子120を取り付けたままで電源リセットユニット180を取り外し、また取り付けることができる。
【0101】
さらに、他部品と干渉しないハウジング110の下方から電源リセットユニット180を取り外すことができるため、電源リセットユニット180の電圧仕様を5V、12V、24Vのように変更したい場合は、適宜選択することができる。このため、スイッチ100の用途先においても直ぐに必要な電圧仕様タイプを選択して現場に即した利用が可能になる。
【0102】
図11(A)はスイッチ100を一側面から見た第1電源スイッチ機構160のオフ状態を示し、図11(B)はスイッチ100を一側面から見た第1電源スイッチ機構160のオン状態を示し、図11(C)は操作子120のみオフされ、ソレノイド151はオンしている状態を示している。
【0103】
通常、図11(A)に示すように、第1電源スイッチ機構160がオフ状態の場合、復帰バネ140が伸長し、この復帰バネ140に付勢された可動磁性片152の上端部が押子123を介して操作子120を押し上げ、操作子120をオフ位置に付勢支持した状態にある。このとき、操作子120はオフ方向に回動した状態にある。このオフ状態では第1スプリング連結体161が電源オフ方向に弓なりに屈曲し、L形状の可動片162は屈曲部分を回動支点にオフ方向に回動し、該可動片162の接点部166が固定端子163の接点部167と離間した電源オフ状態にある。
【0104】
このように構成されたスイッチ100がオン操作された場合、図11(B)に示すように、操作子120がオン方向に押下されると、この操作子120の押子123が可動磁性片152を復帰バネ140の付勢力に抗して押し下げる。
【0105】
これにより、可動磁性片152は下動し、ソレノイド151の挿通部151aに挿通され、その下方に対向する永久磁石153及び固定磁性片153aの磁気吸引作用を受けて吸着される。このとき、復帰バネ140は圧縮されており、その圧縮状態のまま磁気吸着作用によりオン状態を保持する。
【0106】
また、この操作子120をオン操作した際に第1電源スイッチ機構160の第1スプリング連結体161の軸方向中央部が逆向きに反り返り、その反力で可動片162が回動し、接点部166,167を接触させて電源をオンする。
【0107】
次に、このスイッチ100をオフする際は、図11(C)に示すように、操作子120をオフ方向に押下操作する。このとき、操作子120はオフ方向に回動して電源はオフされる。その後、制御部からのリセット信号待ちとなり、リセット信号を受けるとそれまで圧縮状態に規制されていた復帰バネ140は伸長し、この伸長した復帰力を受けて第1電源スイッチ機構160は再び元の図11(A)に示す電源オフ状態に戻る。
【0108】
なお、第2電源スイッチ機構170も第1電源スイッチ機構160の動きと同じ動きとなり、同期してオン操作される。
この電源オン状態は制御部からソレノイド151に対してリセット信号が入力されるまでオン状態が保持される。
【0109】
このよう構成されたスイッチは、ハウジング110内において、電源リセット機構150は操作子120の揺動操作方向の一方F1であるオン側に配置されている。これに対し、第1電源スイッチ機構160は操作子120の揺動操作方向の他方F2であるオフ側に配置されている。このため、操作子120をオン側に操作した際は、該操作子120の操作方向で前記電源リセット機構150のソレノイド151に磁性片152を吸着保持させてロックする構成である。このため、操作子120のオン操作力は直接電源リセット機構150に加わり、操作力伝達用の中継部材を省略した構成が可能になる。
【0110】
また、第1電源スイッチ機構160と電源リセット機構150とをハウジング110内で操作子120のオン側とオフ側、つまり操作子120の揺動操作方向の一方F1と他方F2に分けて配置することができるため、これらの機構をハウジング110の中央部に集中させない分散させた配置構成にできる。このため、ハウジング110の幅方向を狭めてスリム化したスイッチ100を構成できる。
【0111】
さらに、電源リセット機構150側では構成部品を積層して構成できるため積層方向から見た平面的な配置スペースを小さくできる。このため、電源リセット機構150の占有面積が小さいコンパクトな配置構成が可能になり、確実にスイッチの小型化が可能になる。
【0112】
また、電源スイッチ機構130側では可動片162,172を例えばL形状などに折曲して配置するため、折曲付近を回動支点とする該可動片162,172は略半径長さの回動軌跡となり、該可動片の回動占有スペースを小さくすることが可能となる。これにより、可動片自体をハウジングにコンパクトに内蔵してハウジング110の縮小化が図れ、より一層スイッチの小型化を図ることができる。
【0113】
図12は第1電源スイッチ機構160を例にとって示すワイピング処理動作を示している。図12(A)は可動片と固定端子との接点部間におけるワイピング前の初期接触状態を示すスイッチの縦断面図、図12(B)は可動片と固定端子との接点部間におけるワイピング後の接触状態を示すスイッチの縦断面図、図12(C)は可動片が滑り移動した状態を示すスイッチの縦断面図である。
【0114】
第1電源スイッチ機構160に備えられている可動片162は、操作子120のオン操作に連動して該可動片162の接点部166が固定端子163の接点部167に接触する初期接触時(図12(A)参照)に、該接点部166,167の接離方向と略直交する方向に前記可動片162を滑り移動させる変位支持部169により回動自由に支持されている。
【0115】
この変位支持部169は、可動片162の両側を挟むようにして平行して起立させた両側の回動支持片169aでL形状を有する可動片の水平片側を挟むようにして該可動片162を回動可能に支持している。また、可動片162が回動自由に支持される両側は凹溝状に切り欠き、かつ水平片側に若干長く切り欠いて該可動片162を水平方向にスライド許容して構成している。
【0116】
また、接点部166,167が接触した状態では、可動片のL形水平片の先端側が下向きに傾斜した傾斜姿勢となる傾斜角度で支持して可動片162の滑り移動を促進している。これにより、操作子をオン操作した際は可動片162が回動するに伴って該可動片162が水平方向に若干滑り移動(図12(B)参照)する。
【0117】
このとき、可動片162の接点部166が固定端子163の接点部167に一定長さ摺接(図12(C)参照)する。いわゆるワイピング動作が実行される。このワイピング動作により接点部間は常に溶着回避性能が得られる。
【0118】
図13は第1電源スイッチ機構160を例にとって示す溶着回避動作を示している。図13(A)は接点部166,167が溶着した溶着解離前の状態を示すスイッチ100の縦断面図、図13(B)は操作子120により強制的に溶着を解離した溶着解離後の状態を示すスイッチ100の縦断面図、図13(C)は可動片162が溶着時から溶着解離するまでの状態を合成して示すスイッチ100の縦断面図である。
【0119】
前記操作子120には、前記した強制加圧片126が備えられており、該操作子120がオフ操作される該操作子120の操作力を受けて前記可動片162を、該可動片162の接点部166が前記固定端子163の接点部167より離間される方向に強制加圧する。
【0120】
この強制加圧片126は、図13(A)に示すように、接点部166,167が溶着している際、操作子120をオフ方向に操作し始めると、接点部166,167の溶着作用により、操作子120は回動抵抗が強まり、円滑な回動が規制されてオフ操作できない。この場合に、操作子120をさらに強くオフ操作方向に押し込むと、強制加圧片126が可動片162のL形垂直片側をオフ方向に強く押して強制加圧することができる。これにより、図13(B)に示すように、接点部166,167は離間し、溶着しているにかかわらず強制的に離間させて電源をオフ操作することができる。
【0121】
上述のように、電源リセットユニットは復帰バネと電源リセット機構とを一体化して独立して取り扱えるため、取り付けに際しては、ハウジングの下方より差し込むだけでハウジングに簡単に取り付けることができ、短時間で能率の良い組み立てができる。したがって、スイッチの組立性能が向上し、同時にスイッチの生産性も向上する。さらに、電源リセットユニットの取り外しにおいても、積層取付部から引き出し許容状態にしてハウジングの下方より真下に引き出すだけでよく、熟練を要せず簡単に取り外すことができる。さらに、スイッチの製造後において操作子を取り外すことなく電源リセットユニットの交換を可能にし、しかも所望の仕様電圧への変更が可能になり、共用化が図れるので市場性に適したスイッチとなる。
【0122】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明のハウジング本体は、実施例の電源リセットユニット取付前のハウジング110に対応し、以下同様に、
電源保持解除機構は、電源リセット機構150に対応し、
電源保持解除機構部は、電源リセットユニット180に対応し、
保持部は、永久磁石153及び固定磁性片153aに対応し、
解除部は、ソレノイド151に対応し、
位置決め手段は、抜止溝155hと抜止突起112aに対応し、
バネガイド手段は、内周バネガイド部155fと外周バネガイド部155gに対応し、
コネクタガイドは、コネクタ連結部155mと接続空間155nと下部カバー156に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0123】
例えば、上述の実施例では抜止溝155hと抜止突起112aとを凹凸対応させることにより高さ方向の抜け止めを兼ねて位置決めする例を示したが、これに限らず、電源リセットユニット180の取付完了位置で側方より弾性部材で付勢支持して位置決めしてもよく、また接着剤や粘着テープを用いて位置決めするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
100…スイッチ
110…ハウジング
112…積層取付部
120…操作子
130,160,170…電源スイッチ機構
140…復帰バネ
150…電源リセット機構
151…ソレノイド
152…可動磁性片
153…永久磁石
155…スライドケース
180…電源リセットユニット
F1…一方(オン側)
F2…他方(オフ側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに支持されて一方と他方に揺動操作される操作子と、
前記操作子が前記一方に揺動操作されると前記ハウジング内で対向する可動片と固定端子との接点部を接触させる電源スイッチ機構と、
前記操作子が前記他方に揺動操作されると揺動操作方向に前記操作子を付勢する復帰バネと、
前記操作子が前記一方に揺動操作されることに従い前記復帰バネの復帰力を規制して前記可動片と固定端子との接点部の接触状態を保持する保持部と、該保持部によって保持された前記接触状態を解除させる解除部とで構成される電源保持解除機構とを備えたスイッチの製造方法であって、
前記スイッチを分割可能に構成し、分割される一側を、
前記操作子を前記ハウジングの上部に搭載し、該操作子の前記他方の下部側に前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを積層して取り付ける積層取付部を備えて構成されるハウジング本体とし、
分割される他側を、
前記ハウジング本体の前記積層取付部に取り付けられる前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを備えて構成される電源保持解除機構部とし、
前記電源保持解除機構部を前記ハウジング本体の前記積層取付部の下方より着脱可能に取り付けることを特徴とする
スイッチの製造方法。
【請求項2】
前記電源保持解除機構部を位置決め手段により前記積層取付部の中心位置及び高さ位置を位置決めして取り付けることを特徴とする
請求項1に記載のスイッチの製造方法。
【請求項3】
前記積層取付部にスライドさせて着脱させるスライドケースを備え、
前記スライドケースに前記電源保持解除機構部を一体に組み込んで該スライドケースを前記積層取付部にスライドさせて着脱させることを特徴とする
請求項1または2に記載のスイッチの製造方法。
【請求項4】
ハウジングに支持されて一方と他方に揺動操作される操作子と、
前記操作子が前記一方に揺動操作されると前記ハウジング内で対向する可動片と固定端子との接点部を接触させる電源スイッチ機構と、
前記操作子が前記他方に揺動操作されると揺動操作方向に前記操作子を付勢する復帰バネと、
前記操作子が前記一方に揺動操作されることに従い前記復帰バネの復帰力を規制して前記可動片と固定端子との接点部の接触状態を保持する保持部と、該保持部によって保持された前記接触状態を解除させる解除部とで構成される電源保持解除機構とを備えたスイッチであって、
前記操作子を前記ハウジングの上部に搭載し、該操作子の前記他方の下部側に前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを積層して取り付ける積層取付部を備えて構成されるハウジング本体と、
前記ハウジング本体の前記積層取付部に下方より着脱可能に取り付けられ、前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを備えて構成される電源保持解除機構部とで構成される
スイッチ。
【請求項5】
前記積層取付部は、
前記電源保持解除機構部を該積層取付部に中心位置及び高さ位置を位置決めして取り付ける位置決め手段を備えた
請求項4に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記電源保持解除機構部は、
前記復帰バネと前記電源保持解除機構とを前記積層取付部にスライドさせて着脱させるスライドケースに一体に組み込んで構成した
請求項4または5に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記スライドケースの上部側に、
前記復帰バネを付勢方向にガイドするバネガイド手段を備えた
請求項6に記載のスイッチ。
【請求項8】
前記スライドケースの下部側に、
前記解除部の端子に接続させるコネクタガイドを備えた
請求項6または7に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−84458(P2012−84458A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231111(P2010−231111)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】