説明

スイッチドーム素子

【課題】電子機器の機能を操作するための改良された入力機器を提供する。
【解決手段】支持構造体(5)の上に円形パターン状に装着された1組のスイッチドーム(4)を備え、電子機器(10)の機能を操作するためのスイッチドーム素子において、隣接した前記スイッチドーム(4)の出力が一般的なAND回路(9)の入力に動作可能に接続される、ことを特徴とするスイッチドーム素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の機能を操作するためのスイッチドーム素子に関する。
【背景技術】
【0002】
より進化した機能のために移動体電話機(Mobile Phone)や高度自動機能電話機(Smart Phone)のユーザなどからの数多くの要求を満たすために、売り手側は、たとえば豊富な娯楽的機能を操作する、大きい表示デバイス、ジョイステイックやロッカーキー等を有するより進化した入力/出力デバイスを備えた移動体電話機を提案している。しかしながら、従来の技術において提案されている小型のジョイステイックやロッカーキー(Rocker Key)は、しかしながら限られた数の作動方向しか提案できず、ゲームで遊ぶとか、または他のグラフィックに特化した機能を実行するには不十分である。
【0003】
従来技術におけるロッカーキーデバイス1は、図2Aの概略展開上面図に示される。
【0004】
ロッカーキーデバイスは、ロッカーキー2、選択ボタン3およびスイッチドーム4を有し、これら全ては、たとえば移動体電話機の中に配置されるために、PCBのような支持構造体5の上に装着される。さらに図2Bを参照すると、図2Aのロッカーキーデバイス1の展開底面図が描かれている。ロッカーキー2には、ロッカーキー2がユーザに押された時にスイッチドーム4を作動させるため、ロッカーキー2または支持ゴムに一体化された作動ボス6が提供されている。
【0005】
図3Aには、ロッカーキーデバイスの1部分を形成する4方向配列によるスイッチドーム4の配置が描かれている。作動方向は矢印7で示される。上述するように、新しい機能やアプリケーションにおいては、的確に動作するより多くの作動方向を要求する。
【0006】
8つの選択可能な方向を提供する1つの従来の配置は、図3Aに示した4方向配列を拡張したものである。4つのスイッチドーム4が使われ、そこでは、1つの単一スイッチドームは、たとえば、図3Aに示すように、0/90/180/270°のような4つの方向のそれぞれで作動され、また、図3Bの矢印7で示すように、45/135/225/315°のような4つの追加方向のそれぞれで作動される。スイッチドーム4の位置および方向は、図面用紙の垂直方向に関係し、それはロッカーキーデバイスが提供されている移動体電話機の通常の動作に対応する。
【0007】
この設計に関連した問題は、4つの追加方向 45/135/225/315°のために、ユーザは殆ど不可能であるが、同時に2つのドームを押さなければならない事である。1つのドームだけが押されたときに、時間間隔が生じ、第1の4つの方向 0/90/180/270°の1つが最初の意図しない選択となってしまう。この問題は、意図した方向が正しく選択されることを保証するのに十分な長さを有するソフトウエアによる遅延で克服できる。しかしながら応答時間は一番遅いユーザに合わせる必要があるので、電話機の応答は大多数のユーザにとっては遅くなり、悩ましい問題となる。これは、特に電話機でゲームをするときに感じる。
【0008】
この配置における他の問題は、ジョイステイックやロッカーキーの傾き角および作動力が、0/90/180/270°の方向に対するものと、45/135/225/315°の方向に対するものとが同じにならないことである。
【0009】
8つの選択可能な方向を提供する他の従来技術の配列は、図4Aに示すように、0/45/90/135/180/225/270/315°に配置された8つのスイッチドームに基づくものである。4つのスイッチドーム配置と類似して、8つの方向の1つを選択する時に、単一のスイッチドームが作動される。
【0010】
8つのスイッチドームを備えるロッカーキーデバイス1の側面図を図4Bに示す。隣接するドームの作動ボス6から回動の中心8’までの距離は、目標とするドームから回動の中心8’までの距離の略70%である。同じ割合が、垂直ストロークにも適用される。したがって、意図するドームに隣接するドームの1つが誤って押されてしまう潜在的な危険がある。何の予告もなく、これが同時に間違った2つの方向の選択となってしまう。これは、電話機に同時刻に1つ以上のドームが押された入力を無視させるソフトウエアで補償することが出来る。これらは電話機のユーザを混乱させ、イライラさせる。本能的にユーザはキーをより強く押すが、それでも電話機からの応答は得られない。隣接するドームが閉じる接点でなくとも、作動装置、すなわちキーとボスは部分的に押し付ける。これは、ユーザにとって、クリック感触のフィードバックを乏しいものにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術による配置の問題を克服することである。
【0012】
この目的は、電子機器の機能を操作するためのスイッチドーム素子であって、前記素子が支持構造体の上に円形パターン状に装着された1組のスイッチドームを備えるスイッチドーム素子で達成される。スイッチドーム素子は、隣接した前記スイッチドームの出力が一般的なAND回路の入力に動作可能に接続されることを特徴とする。
【0013】
本発明の1側面によれば、前記スイッチドームは、前記円形パターンの中心から等距離にある前記円形パターンの周囲に等間隔に配置される。
【0014】
本発明のより具体的な側面によれば、前記1組のスイッチドームは、8つのスイッチドームを備える。
【0015】
より具体的な本発明の目的は、電子機器の機能を操作するための改良された入力機器を提供することである。
【0016】
この目的は、本発明によるスイッチドーム素子および前記スイッチドーム素子のスイッチドームを作動するスイッチドーム作動子を備える入力機器により達成される。
【0017】
前記入力機器の1側面によれば、作動子は、スイッチドームを作動する作動ボスが提供されたロッカーキーである。
【0018】
本発明の他の目的は、この発明性であるスイッチドームを、機器のアプリケーションや機能のための改良された操作用に通信機器で使うことである。
【0019】
この目的は、この発明性であるスイッチドームを携帯通信機器で使用することで達成される。
【0020】
本発明の1つの特徴は、スイッチドームの作動におけるソフトウエア応答遅延を必要としないことである。
【0021】
さらに、傾斜角および作動力が全ての方向において同じであり、クリック感触のフィードバックも良くなる。
【0022】
この明細書において、用語”備える(comprise)/備えている(comprising)”が用いられるときは、記述された特徴、組み合わせ、工程、構成物の存在を特定するが、1つまたは1つ以上の他の特徴、組み合わせ、工程、構成物またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを明記しておく。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、電子機器の機能を操作するためのスイッチドーム素子であって、前記素子が支持構造体の上に円形パターン状に装着された1組のスイッチドームを備えるスイッチドーム素子で達成される。スイッチドーム素子は、隣接した前記スイッチドームの出力が一般的なAND回路の入力に動作可能に接続されることを特徴とする。
【0024】
本発明の1側面によれば、前記スイッチドームは、前記円形パターンの中心から等距離にある前記円形パターンの周囲に等間隔に配置される。
【0025】
本発明のより具体的な側面によれば、前記1組のスイッチドームは、8つのスイッチドームを備える。
【0026】
本発明の他の目的は、本発明によるスイッチドーム素子および前記スイッチドーム素子のスイッチドームを作動するスイッチドーム作動子を備える入力機器により達成される。
【0027】
前記入力機器の1側面によれば、作動子は、スイッチドームを作動する作動ボスが提供されたロッカーキーである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、この発明性であるスイッチドームを携帯通信機器で使用することで達成される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来技術の配置の問題点を克服することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明をより詳細に説明し、本発明の利点や特徴を説明する目的で、以下好ましい実施例が、添付した図面を参照して説明される。
【0031】
ゲームで遊ぶとか、拡張した娯楽的機能を含む他のグラフィックに特化した機能とかの異なる電子機器のアプリケーション技術を操作する入力デバイス1の第1の実施例が図1に示される。
【0032】
用語の電子機器は、携帯無線通信機器を含む。これ以降、移動体無線端末とする用語の携帯無線通信機器は、移動体電話機、ページャ、伝達装置、いいかえれば電子手帳、高度自動機能電話機などの全てを含む。
【0033】
さらに、以下の説明においては、本発明の説明を介してより多く与えるため、数多くの具体的な詳細が詳細に提供される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細がなくても実施が可能であることは、当業者には明白である。本発明を不明確なものにしないように、よく知られた機能は詳細に説明はしない。
【0034】
この実施例において、入力デバイスは、それに限定されるものではないが、移動体無線端末10に搭載され、その中の回路に動作可能に接続されるロッカーキーデバイス1である。ロッカーキーデバイス1は、ロッカーキー2と、移動体無線端末10の異なる機能等の選択または作動用の選択ボタン3とを備える。本発明の入力デバイスは、しかしながら選択ボタン3により限定されるものではなく、それがなくても動作可能である。さらに移動体無線端末は、それに限定されるものではないが、移動体無線端末の通常動作を意図した追加の詳細部分を有する。この実施例において、移動体無線端末は、表示装置11、マイクロフォン12、キーパッド13、スピーカ14、一体化アンテナ(図示せず)および無線送受信機(図示せず)等を有し、これら全てのものは移動体無線端末で動作可能に回路に接続されている。全てのこれら追加の詳細部分は、発明の動作には必要ないものであるが、しかしながら本発明が用いられる移動体無線端末の要素を図示する目的で提供される。
【0035】
ロッカーキーデバイスは、図2Aおよび図2Bにより詳しく示される。ロッカーキーデバイス1は、ロッカーキー2と、選択ボタン3と、スイッチドーム4と、を備え、これら全てを、たとえば図1の移動体無線端末10の中に配置するため、PCBのような支持構造体5に搭載される。図2Aのロッカーキーデバイス1の展開底面図は図2Bに描かれている。ロッカーキーがユーザに押された時にスイッチドーム4を作動させるため、ロッカーキー2には、キー2または支持ゴムと一体化された作動ボス6が提供されている。
【0036】
図3A、3B、4Aおよび4Bは従来技術の配置を開示している。
【0037】
図5Aには、本発明による、8つの選択可能な動作の方向7を提供するスイッチドームデバイスを形成する1組の8つのスイッチドーム4の概略的配置が描かれている。
【0038】
8つの選択可能な方向は、円形パターンの中心までが等距離となるように、支持構造体5上の円形パターンの周囲に等しく割り当てられた8つのスイッチドーム4に基づくものである。
【0039】
スイッチドームは円形パターンの周囲にそしてユーザにより通常動作の垂直位置に保持された移動体無線端末10の表示装置の方向に関連させて 22.5/67.5/112.5/157.5/202.5/247.5/292.5/337.5°に配置される。
【0040】
本発明は、しかしながら、ドームのここに与えられた位置や作動の方向に限られるものではなく、それらはドーム間の維持される中間的な距離で回動されることも可能である。個々のスイッチドームやそれらの機能については当業者にはよく知られているものであり、ここでは、さらに詳しくは説明しない。
【0041】
本発明によれば、隣接するスイッチドーム4の出力は、図5Aに概略的に描かれているように、一般的なAND回路9の入力に動作可能に接続される。AND回路9は、限定するものではないが、好ましくは論理動作がよく知られているANDゲートとして実施される。AND回路9の出力は、移動体無線端末のPCB上の他の回路と接続される。たとえば、移動体無線端末の表示装置11上で、ユーザがカーソルを特定の方向に移動させようとする時、または他のアプリケーション技術またはゲームの制御において、ユーザはロッカーキーデバイス1を作動する。8つの選択可能な方向7の特定の方向でスイッチドーム4のペアを作動するため、ロッカーキー2は、このましくはロッカーキー2の上側の周辺近傍の位置で押される。押されたスイッチドーム4のそれぞれは、出力信号を発生する。もし、ユーザが、出力が同じAND回路9の入力に接続された2つのスイッチドーム4を作動するなら、出力信号がAND回路9から発生される。AND回路9からの出力は、移動体無線端末の表示装置11上で、カーソルを特定の方向に制御するため、または他のアプリケーション技術またはゲームの制御のため、PCB上の回路で受信される。図5Aおよび5Bから明らかなように、傾斜角および作動力は全ての方向で同一である。
【0042】
隣接するドーム4の作動ボス6から回動中心8’までの距離は、目標とするドーム4のボス6から回動中心8’までの距離の略40%である。同じ割合が垂直ストロークに適用される。かくして、3番目のドームでの作動装置のストロークは、押されることを意図した2つのドームのそれのたった40%である。したがって、隣接した3番目のドームを間違ってヒットする危険は殆ど少ない。たとえ3番目のドームが押された場合でも、”正しい”ドームが最初に押されているので、電話機のソフトウエアが3番目の接触を簡単に無視することが可能である。
【0043】
AND回路9により、たとえただ1つのドーム4が押されても出力は与えられない。少し強く押すという本能的なユーザの反応はより好ましい結果を与える。さらに、隣接のドームに接触することがないので、感触のフィードバックがよくなる。
【0044】
このように、本発明は、電子機器において機能を操作する入力デバイスとスイッチドームデバイスを提供する。しかしながら、ここで説明した実施例の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を特定の実施例に限定するものではない。
【0045】
たとえば、本発明の別の実施例においては、入力デバイスはジョイステイックである。この別の実施例においては、ドームはプラスチック支持構造体の中にはめ込まれ、PCBに搭載された回路部品の端子からのモールドされていないリード線と接続される。
【0046】
スイッチドームの数は、異なる実施例間で変わり、好ましくは8つ、または8つ以上が使用される。しかしながら、より複雑でないアプリケーション技術においては、8つより少ないドームが使われることになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による入力デバイスを含む移動体無線端末を示す。
【図2A】従来技術におけるロッカーキーデバイスの概略的展開上面図を示す。
【図2B】図2Aのロッカーキーデバイスの概略的展開底面図を示す。
【図3A】4つの選択可能な動作の方向に配列された4つのスイッチドームの概略的上面図を描く。
【図3B】選択される4つの付加された動作の方向を伴う図3Aのスイッチドームの概略的構成を描く。
【図4A】8つの選択可能な動作の方向を提供する8つの個々に選択可能なスイッチドームの概略的構成を描く。
【図4B】図4Aの配列構成よりなるロッカーキーデバイスの概略的側面図を示す。
【図5A】本発明による8つの選択可能な動作の方向を提供する8つのスイッチドームの概略的構成を描く。
【図5B】図5Aの配列構成よりなる本発明のロッカーキーデバイスの概略的側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体(5)の上に円形パターン状に装着された1組のスイッチドーム(4)を備え、電子機器(10)の機能を操作するためのスイッチドーム素子において、
隣接した前記スイッチドーム(4)の出力が一般的なAND回路(9)の入力に動作可能に接続される、ことを特徴とするスイッチドーム素子。
【請求項2】
前記スイッチドーム(4)は、前記円形パターンの中心(8)から等距離にある前記円形パターンの周囲に等間隔に配置される請求項1に記載のスイッチドーム素子。
【請求項3】
前記1組のスイッチドームは、8つのスイッチドーム(4)を備える請求項1または2に記載のスイッチドーム素子。
【請求項4】
スイッチドーム素子と前記スイッチドーム(4)を作動するスイッチドーム作動子(2)とを備え、電子機器(10)の機能を操作するための入力機器において、
前記スイッチドーム素子が請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチドーム素子である、ことを特徴とする入力機器。
【請求項5】
前記アクチュエータ(1)は、前記スイッチドーム(4)を作動する作動ボス(6)が提供されているロッカーキーである請求項4に記載の入力機器。
【請求項6】
前記アクチュエータ(1)は、ジョイスティックである請求項4に記載の入力機器。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の入力機器(1)に特徴を有する電子機器。
【請求項8】
前記スイッチドーム(4)は、ユーザにより通常操作の位置に保持された前記電子機器の表示装置(11)の方向に関連させて、支持構造体(5)の上の前記円形パターンの周囲の 22.5、67.5、112.5、157.5、202.5、247.5、292.5 および 337.5°の位置に位置される請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、移動体無線端末(10)である請求項7または8に記載の電子機器。

【図1】
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【公表番号】特表2007−507058(P2007−507058A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515929(P2006−515929)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006405
【国際公開番号】WO2005/001866
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】